説明

タクシー燃料警告装置

【課題】タクシーに顧客が乗車する場合であっても適切なタイミングで燃料補給を促すことのできるタクシー燃料警告装置を提供する。
【解決手段】タクシーの残燃料を判定する残燃料判定手段と、残燃料判定手段が判定した残燃料が所定量以下であるときに燃料補給の警告を行う警告手段と、顧客の乗車有無を判定する乗車判定手段と、乗車判定手段に基づいて警告手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、乗車判定手段がタクシーへの顧客の乗車有りと判定した場合、残燃料判定手段がタクシーの残燃料が所定量以下であると判定しても警告手段による警告を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタクシーに顧客が乗車するときに適切な給油時期を判断して案内する装置である。
【背景技術】
【0002】
従来、燃費計算などを行う装置や残燃料により案内を行うことは知られている。(例えば特許文献1〜5参照)。これらの特許文献の方法では目的地設定の時点や、燃料が足りなくなると判断されたときに案内している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−194470号公報
【特許文献2】特開昭61−194471号公報
【特許文献3】特開平2−141899号公報
【特許文献4】特開平11−14381号公報
【特許文献5】特開2009−301315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、タクシー等に顧客を乗せているとき、運転手は、顧客とのトラブルを避けるために燃料補給の案内がされても燃料を補給することができない。このため、運転手は、意識して顧客の居ない時に自らの判断で燃料を補給しており、燃料補給の案内を有効に利用することができないという問題があった。
【0005】
また都会のタクシーでは燃料にプロパンを使用しており、補給地点が限られている。このため、タクシーが普段営業していない地域まで来たときに燃料補給地点を探すことが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、タクシーに顧客が乗車する場合であっても適切なタイミングで燃料補給を促すことのできるタクシー燃料警告装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、制御手段が、乗車判定手段がタクシーへの顧客の乗車有りと判定した場合、残燃料判定手段がタクシーの残燃料が所定量以下であると判定しても警告手段による警告を禁止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タクシーの運転手はタクシーに顧客が乗車する場合であっても適切なタイミングで燃料補給を促すことのできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態におけるタクシー燃料警告装置のブロック図
【図2】図1の要部であるナビゲーション手段のブロック図
【図3】図1の要部である情報計算記録手段のブロック図
【図4】図1の要部である警告手段のブロック図
【図5】図1の要部であるタクシー燃料警告装置による補給判定処理のフローチャート図
【図6】同図5の目的地周辺の経路探索処理のフローチャート図
【図7】同図5の現在地周辺の経路探索処理のフローチャート図
【図8】同図5の燃費計算処理のフローチャート図
【図9】同図5の警告処理のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態におけるタクシー燃料警告装置について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は本発明の実施形態におけるタクシー燃料警告装置のブロック図である。
【0012】
図1において、タクシー燃料警告装置1は、目的地設定手段2と、車速メータ3と、GPS(Global Positioning System)手段4と、燃料メーター手段5と、タクシーメーター手段6と、報知手段7とに接続される。タクシー燃料警告装置1は、筐体に収納された電子回路で構成され、車速入力手段8と、自車位置入力手段9と、残燃料入力手段10と、営業状態入力手段11と、営業状態出力手段12と、案内出力手段13と、ナビゲーション手段14と、情報計算記録手段15と、警告手段16とを有する。尚、目的地設定手段2はナビゲーション手段14と一体でもよいし、ナビゲーション手段14はタクシー燃料警告手段1と別装置であってもよい。
【0013】
目的地設定手段2はナビゲーション手段14と接続される。目的地設定手段2は例えばカーナビゲーションシステムの目的地設定の装置で構成され、顧客の目的地設定を行う。
【0014】
車速メータ3は車速検出センサまたは自車の速度メーター等で構成され、車速入力手段8と接続する。車速メータ3は車速入力手段8に自車両の速度を出力する。この車速メータ3は自車位置精度を上げるためと走行距離の精度を向上させるために必要である。燃費計算と賃走計算に十分な精度が補償できれば別の方法でもよい。
【0015】
GPS手段4はGPSアンテナで構成され、自車位置入力手段9と接続される。GPS手段4は自車位置の緯度経度データと、時刻データを自車位置入力手段9に出力する。尚、GPS手段4は地磁気センサ、車速センサと舵角センサ、配車センターから位置情報を受信する通信手段、時計などで構成されてもよい。
【0016】
燃料メーター手段5は燃料タンクに取り付けられた残燃料を示す計測器で構成され、残燃料入力手段10と接続される。燃料タンクに残された燃料量が取得できれば他の方法でもかまわない。
【0017】
タクシーメーター手段6はタクシーメーターで構成され、営業状態入力手段11と営業状態出力手段12に接続する。タクシーメーターは「空車」、「賃走」が区別でき、「回送」表示ができるものであればよい。
【0018】
報知手段7はナビゲーションのディスプレイ、スピーカーなどで構成され、案内出力手段13に接続する。ディスプレイはナビゲーションシステムの画面案内または燃料警告を映像と音声で運転手に案内をする。例えば燃料補給地点までのルートと地図を重畳表示したり、燃料の補給が必要な場合の案内を行う。
【0019】
車速入力手段8はコネクタで構成され、車速メーター3と、ナビゲーション手段14に接続する。
【0020】
自車位置入力手段9はコネクタで構成され、GPS手段4と、ナビゲーション手段14に接続する。
【0021】
残燃料入力手段10はコネクタで構成され、燃料メーター手段5と、情報計算記録手段15と、警告手段16に接続する。
【0022】
営業状態入力手段11はコネクタで構成され、タクシーメーター手段6と、情報計算記録手段15と、警告手段16に接続する。
【0023】
営業状態出力手段12はコネクタで構成され、タクシーメーター手段6と、警告手段16に接続する。
【0024】
案内出力手段13はコネクタで構成され、報知手段7と、ナビゲーション手段14と、警告手段16に接続する。
【0025】
ナビゲーション手段14はカーナビゲーションシステムで構成され、目的地設定手段2と、車速入力手段8と、自車位置入力手段9と、案内出力手段13と、情報計算記録手段15と、警告手段16とに接続する。ナビゲーション手段14は、顧客の目的地の位置情報と、自車両の速度データと、自車両の位置情報と、時刻情報を取得し、情報計算記録手段15に走行距離と時刻を出力する。また、ナビゲーション手段14は、警告手段16に燃料補給地点までの経路を出力する。さらにナビゲーション手段14は、必要に応じて、案内出力手段13を介して報知手段7に燃料補給地点までの経路誘導情報を出力させる。
【0026】
情報計算記録手段15はCPU(CentralProcessingUnit)と揮発メモリと、不揮発メモリ又はHDD(HardDiskDrive)で構成され、車速入力手段8と、残燃料入力手段10と、営業状態入力手段11と、ナビゲーション手段14と、警告手段16とに接続する。情報計算記録手段15は、車速入力手段8から車速データを取得する。また、情報計算記録手段15は、ナビゲーション手段14から走行距離と時刻を取得する。また、情報計算記録手段15は、残燃料入力手段10から燃料の残量値を取得する。また、情報計算記録手段15は、営業状態入力手段11から「賃走」状態の開始と終了の情報を取得する。これらの情報に基づいて、情報計算記録手段15は、警告手段16に現在の時間帯の一定期間過去の平均燃費値と現在の時間帯の一定時間過去の賃走最大距離を出力する。情報計算記録手段15はエンジンが動作中のとき時間帯毎に賃走距離の最大値を記録しながら、時間帯別に平均燃費を計算記録する。
【0027】
警告手段16はCPUと揮発メモリと不揮発メモリで構成され、残燃料入力手段10と、営業状態入力手段11と、ナビゲーション手段14と、情報計算記録手段15と、営業状態出力手段12と、案内出力手段13とに接続する。警告手段16は、ナビゲーション手段14から燃料補給地点までの経路を取得し、残燃料入力手段10から燃料の残量値を取得し、営業状態入力手段11から「賃走」状態の開始と終了の情報を取得し、情報計算記録手段15に現在の時間帯の一定期間過去の平均燃費値と現在の時間帯の一定時間過去の賃走最大距離を取得する。警告手段16は残燃料を判定し、燃料補給地点までたどり着ける燃料がなくなる手前の空車の時に案内出力手段13と、営業状態出力手段12に警告を出力する。
【0028】
次に図1のナビゲーション手段14について詳細に説明する。図2は図1の要部であるナビゲーション手段のブロック図である。
【0029】
図2に示すように、ナビゲーション手段14は、自車位置計算手段21と、目的地記録手段22と、地図データ記録手段23と、周辺検索手段24と、経路探索手段25と、経
路誘導手段26で構成され、目的地設定手段2と、車速入力手段8と、自車位置入力手段9と、案内出力手段13と、情報計算記録手段15と、警告手段16とに接続する。ナビゲーション手段14は、顧客の目的地の位置情報と、自車両の速度データと、自車両の位置情報と、時刻情報を取得し、情報計算記録手段15に走行距離と、時刻を出力する。また、ナビゲーション手段14は、警告手段16に燃料補給地点までの経路と時刻を案内出力手段13に出力する。なお、ナビゲーション手段14は、必要に応じて、燃料補給地までの経路誘導を案内出力手段13に出力する。
【0030】
自車位置計算手段21はGPSレシーバー、CPU、記録素子、時計で構成され、車両入力手段8と、自車位置入力手段9と情報計算記録手段15と周辺検索手段24と、経路探索手段25と接続する。自車位置計算手段21は、自車両の位置を特定するための計算と、時刻の補正とを行う。
【0031】
目的地記録手段22はメモリで構成され、目的地設定手段2と周辺検索手段24と接続する。目的地記録手段22は、ナビゲーション手段14によって設定された顧客の目的地を記録し、この記録した目的地の情報を周辺検索手段24に出力する。
【0032】
地図データ記録手段23は不揮発メモリ又はHDDで構成され、周辺検索手段24と、経路探索手段25と、経路誘導手段26に接続する。ナビゲーション手段14による燃料補給地点などの地点検索、経路探索、経路誘導に必要な地図情報を格納する。
【0033】
周辺検索手段24はCPUと揮発メモリと不揮発メモリで構成され、自車位置計算手段21と、目的地記録手段22と、地図データ記録手段23と、経路探索手段25に接続する。周辺検索手段24は、自車両または設定された顧客の目的地の周辺検索を実施し、自車両または設定された顧客の目的地近くの燃料補給地点を検索する。
【0034】
経路探索手段25はCPUと揮発メモリと不揮発メモリで構成され、警告手段16と、自車位置計算手段21と、周辺検索手段24と、地図データ記録手段23と、経路誘導手段26に接続する。経路探索手段25は、自車位置計算手段21によって算出された現在地から周辺検索手段24によって検索された燃料補給地点までの経路を含めた経路探索を実施する。経路探索手段25は、この経路探索結果のうち最も短い経路を警告手段16および経路誘導手段26に出力する。経路探索手段25は、現在地から燃料補給地点までの経路探索を行う場合、自車両の走行により経路探索の起点が移動するので一定距離ごとに計算を繰り返し行う。
【0035】
経路誘導手段26はCPUと揮発メモリと不揮発メモリで構成され、警告手段16と、経路探索手段25と、地図データ記録手段23と、案内出力手段13とに接続する。経路誘導手段26は、顧客の目的地が設定されている場合は顧客の目的地までの誘導を引き続き行い、警告手段16から燃料補給地への誘導の要求が出力されるのを待つ。
【0036】
次に図1の情報計算記録手段15について詳細に説明する。図3は図1の要部である情報計算記録手段のブロック図である。
【0037】
図3に示すように、情報計算記録手段15は燃費計算手段31と、賃走計算手段32と、過去データ記録手段33で構成され、車速入力手段8と、残燃料入力手段10と、営業状態入力手段11と、ナビゲーション手段14と、警告手段16に接続する。
【0038】
燃費計算手段31はCPUと揮発メモリと不揮発性メモリで構成され、車速入力手段8と残燃料入力手段10とナビゲーション手段14と過去データ記録手段33に接続する。燃費計算手段31は、一定時間帯毎に残燃料入力手段10から残燃料の情報を取得し、前
回の取得情報との燃料差から使用燃料を算出する。また、燃費計算手段31は、この算出した使用燃料、車速入力手段8から取得した車速情報に基づいて算出した走行距離、ナビゲーション手段14から入力された情報から燃費や所定経路の移動に必要な燃料を計算する。なお、燃費計算手段31は、燃料の増加が一定値以上あったと判定した場合、燃料補給されたと判定する。
【0039】
賃走計算手段32はCPUと揮発メモリと不揮発性メモリで構成され、車速入力手段8と営業状態入力手段11とナビゲーション手段14と過去データ記録手段33に接続する。賃走計算手段32は、営業状態が「賃走」の状態に変わったときから、「賃走」以外の状態に変わるまでの間、車速入力手段8から入力された車速情報に基づいて走行距離を計算する。また、賃走計算手段32は、この計算した走行距離と、過去データ記録手段33から取得した曜日毎の同じ時間帯の過去データとを比較する。賃走計算手段32は、計算した走行距離の方が長いと判定した場合、この計算した走行距離を過去データ記録手段33に出力して記録させる。
【0040】
過去データ記録手段33は不揮発性メモリ又はHDDで構成され、警告手段16と、燃費計算手段31と、賃走計算手段32に接続する。タクシーの場合、曜日と時間帯による燃費や走行距離等の変化が大きいため、過去データ記録手段33は、曜日毎、時間帯毎に平均燃費データと距離データを記録する。また、過去データ記録手段33は、この曜日毎、時間帯毎に分類された平均燃費データと走行距離の最大値を警告手段16に出力する。
【0041】
次に図1の警告手段16について詳細に説明する。図4は図1の要部である警告手段のブロック図である。
【0042】
図4に示すように、警告手段16は残燃料判定手段41と、時刻判定手段42と、警告制御手段43で構成され、残燃料入力手段10と営業状態入力手段11と、ナビゲーション手段14と、営業状態出力手段12と、案内出力手段13と、情報計算記録手段15に接続する。
【0043】
残燃料判定手段41はCPUと揮発メモリと不揮発性メモリで構成され、残燃料入力手段10とナビゲーション手段14と情報計算記録手段15と、警告制御手段43とに接続する。残燃料判定手段41は、残燃料入力手段10から残燃料の情報を取得し、現在の残燃料が所定値、または、ナビゲーション手段14から取得した近傍の燃料補給地点までの燃料に安全係数を加えた値を下回るか否か、過去の燃費を用いて計算する。残燃料判定手段41は、残燃料がこれらのいずれかの値を下回った場合、残燃料が低下している旨の情報を警告制御手段43に出力する。
【0044】
時刻判定手段42はCPUと揮発メモリと不揮発性メモリで構成され、ナビゲーション手段14と、警告制御手段43に接続する。タクシーの場合、長距離の賃走を欲する顧客もいるため、顧客の多い時間帯に燃料補給は避けることが望ましい。例えば、顧客が多い夜間の時間帯には燃料補給を避けることが望ましい。したがって、時刻判定手段42は、例えば夕方など燃料補給を避けたい時間帯の前に設定された設定時刻に到達した場合に燃料補給を促す旨の情報を警告制御手段43に出力する。
【0045】
警告制御手段43はCPUと揮発メモリと不揮発性メモリで構成され、営業状態入力手段11と、営業状態出力手段12と、案内出力手段13とナビゲーション手段14と残燃料判定手段41と、時刻判定手段42に接続する。警告制御手段43は、残燃料判定手段41と時刻判定手段42から入力された情報に基づいて燃料補給が必要と判定した場合、営業状態入力手段11の状態から顧客の乗車判定を行う。例えば、警告制御手段43は、営業状態入力手段11の状態が「賃走」状態になったときに顧客が乗車中と判定し、「賃
走」以外の状態になったときに顧客が乗車していないと判定する。
【0046】
また、警告制御手段43は、「賃走」以外の状態になったときに案内出力手段13に接続されたディスプレイまたは、スピーカーまたは、発光灯のいずれか一つ以上に燃料補給の案内命令を出力する。また、警告制御手段43は、ナビゲーション手段14に経路誘導開始の指示をして燃料補給地点まで経路誘導させてもよい。また、警告制御手段43は、営業状態入力手段11の状態が「空車」の状態のときに、残燃料判定手段41から燃料補給が必要との判定結果を取得した場合、「回送」と表示する命令を営業状態出力手段12に出力してもよい。
【0047】
なお、本実施形態では営業状態入力手段11の状態に基づいて警告制御手段43が顧客の乗車有無を判定したが、営業状態入力手段11が乗車有無を判定してその判定結果を警告制御手段43に入力してもよい。
【0048】
次に、本発明の実施形態におけるタクシー燃料警告装置の補給判定処理について説明する。
【0049】
図5は同図1の要部であるタクシー燃料警告装置による補給判定処理のフローチャート図を示したものである。
【0050】
まず、ステップS11に示すように、ナビゲーション手段14は、顧客の目的地が設定されているか否か判定する。
【0051】
ステップS11でYESの場合、ステップS12に示すように、ナビゲーション手段14の経路探索手段25は、顧客の到着地点となる目的地周辺の経路探索処理を行う。
【0052】
ステップS12の後、またはステップS11でNOの場合、ステップS13に示すように、経路探索手段25は自車両の現在地周辺の経路探索処理を行う。
【0053】
次に、ステップS14に示すように、燃費計算手段15は燃費計算処理を行う。
【0054】
そして、ステップS15に示すとおり、警告制御手段43は警告処理を行う。
【0055】
そして、エンジンを停止させるまで繰り返しステップS11から動作を続ける。
【0056】
次に、ステップS12の目的地周辺の経路探索処理について説明する。
【0057】
図6は、目的地周辺の経路探索処理のフローチャート図である。
【0058】
ステップS21に示すように、経路探索手段25は、顧客目的地周辺の燃料補給地点を仮の目的地に設定する。例えば、周辺検索手段24は、目的地設定手段2への入力によって目的地記録手段22に記録された顧客目的地を読み出す。周辺検索手段24は、この読み出した顧客目的地周辺の燃料補給地点を検索する。経路探索手段25は、周辺検索手段24が検索した顧客目的地周辺の燃料補給地点を読み出して仮の目的地に設定する。
【0059】
次に、ステップS22に示すように、経路探索手段25は、自車位置計算手段21から取得した自車位置を仮の出発地に設定する。
【0060】
そして、ステップS23に示すように、経路探索手段25は、仮の出発地から仮の目的地までの経路探索を行い、顧客目的地到達後に燃料補給地点へ向かう経路を取得する。
【0061】
次に、ステップS13の現在地周辺の経路探索処理について説明する。
【0062】
図7は、現在地周辺の経路探索処理のフローチャート図である。
【0063】
ステップS31に示すように、経路探索手段25は、自車位置周辺の燃料補給地点を仮の目的地に設定する。例えば、周辺検索手段24は、自車位置計算手段21から入力された自車両の現在地周辺の燃料補給地点を検索する。経路探索手段25は、周辺検索手段24が検索した自車位置周辺の燃料補給地点を読み出して仮の目的地に設定する。
【0064】
次に、ステップS32に示すように、経路探索手段25は、自車位置計算手段21から取得した自車位置を仮の出発地に設定する。
【0065】
そして、ステップS33に示すように、経路探索手段25は、仮の出発地から仮の目的地までの経路探索を行い、自車位置から燃料補給地点へ向かう経路を取得する。
【0066】
次に、ステップS14の燃費計算処理について説明する。
【0067】
図8は、燃費計算処理のフローチャート図である。
【0068】
まず、ステップS41に示すように、燃費計算手段31は、曜日毎、時間帯毎の平均燃費を算出する。例えば、燃費計算手段31は、車速入力手段8から入力された車速情報と残燃料入力手段10から入力された残燃料とから算出した燃費情報を、図示しない計時手段から入力された時間情報に対応付ける。なお、この時間情報には曜日の情報も含まれる。燃費計算手段31は、この時間情報に対応付けられた燃費情報を集計して時間帯ごとの平均燃費を算出する。そして、ステップS42に示すように、過去データ記録手段33は、燃費計算手段31から入力された平均燃費を記録する。例えば、過去データ記録手段33は燃費計算手段31から入力された平均燃費によって以前に記録された平均燃費を更新する。
【0069】
次に、ステップS43に示すように、賃走計算手段32は、自車両の賃走距離を計算する。例えば、賃走計算手段32は、営業状態入力手段11の入力状態が「賃走」状態から「支払」状態に変わるまでの間に車速入力手段8から入力された車速情報に基づいて自車両の賃走距離を算出する。また、賃走計算手段32は、この算出した賃走距離を図示しない計時手段から入力された時間情報に対応付ける。
【0070】
次に、ステップS44に示すように、賃走計算手段32は、ステップS43で算出した賃走距離が過去データ記録手段33に記録された過去の賃走距離の最大値より大きいか否か判定する。例えば、賃走計算手段32は、算出した賃走距離に対応付けられた曜日や時間帯に対応する過去の賃走距離の最大値を過去データ記録手段33から読み出す。賃走計算手段32は、この過去データ記録手段33から読み出した過去の賃走距離の最大値よりも算出した賃走距離の方が大きいか否かを判定する。
【0071】
ステップS45でYESの場合、賃走計算手段32は、過去データ記録手段33にステップS43で算出した賃走距離を記録させる。例えば、賃走計算手段32は、過去データ記録手段33のうちステップS43で算出した賃走距離に対応付けられた曜日や時間帯と同じ曜日や時間帯の領域に記憶されている過去の賃走距離の最大値を、ステップS43で算出した賃走距離で更新する。一方、ステップS45でNOの場合、賃走計算手段32は、ステップS45の処理を行わない。
【0072】
次に、ステップS46に示すように、燃費計算手段31は、残燃料入力手段10を介して燃料メータ手段5から入力された残燃料L1を算出する。
【0073】
次に、ステップS47に示すように、燃費計算手段31は、現在の曜日と時間に対応する過去の賃走距離の最大値で往復するときの使用燃料L2を算出する。例えば、燃費計算手段31は、図示しない計時手段から入力された現在の曜日、時間に対応する賃走距離の最大値を過去データ記録手段33から読み出す。また、燃費計算手段31は、ステップS41で算出された平均燃費を過去データ記録手段33から読み出す。そして、燃費計算手段31は、この平均燃費に基づいて、読み出した賃走距離の最大値の2倍分(往復分)の移動に必要な使用燃料L2を算出する。この処理は、過去の賃走結果に基づいて、往復できる燃料があるか判定する目安を得るためのものである。
【0074】
次に、ステップS48に示すように、燃費計算手段31は、現在地から、顧客目的地に到着後、さらに周辺の燃料補給地点への移動に必要な使用燃料L3を算出する。例えば、燃費計算手段31は、自車位置計算手段21から現在位置を取得する。また、燃費計算手段31は、現在地から顧客目的地を経由して周辺の燃料補給地点まで到達する経路を経路探索手段25から取得する。そして、燃費計算手段31は、過去データ記録手段33から読み出した平均燃費に基づいて、この取得した経路の移動に必要な使用燃料L3を算出する。なお、ガス欠を防ぐため、この使用燃料L3は、経路の移動に必要な量に所定の余裕量を加えた値に設定されてもよい。
【0075】
次に、ステップS49に示すように、燃費計算手段31は、現在地周辺の燃料補給地点への移動に必要な使用燃料L4を算出する。例えば、燃費計算手段31は、自車位置計算手段21から現在位置を取得する。また、燃費計算手段31は、現在地から周辺の燃料補給地点まで到達する経路を経路探索手段25から取得する。そして、燃費計算手段31は、過去データ記録手段33から読み出した平均燃費に基づいて、この取得した経路の移動に必要な使用燃料L4を算出する。なお、ガス欠を防ぐため、この使用燃料L4は、経路の移動に必要な量に所定の余裕量を加えた値に設定されてもよい。特に、この余裕量は、ステップS48で算出された使用燃料における余裕量よりも大きく設定される。これにより、顧客目的地周辺の燃料補給地点に向かうときよりも、現在地周辺の燃料補給地点に向かうときの方が緊急性や、ガス欠防止の精度を高めることができる。
【0076】
次に、ステップS15の警告処理について説明する。
【0077】
図9は、警告処理のフローチャート図である。
【0078】
ステップS51に示すように、警告制御手段43は、時刻判定手段42が設定時刻を経過したと判定したとき、既に案内出力手段13に案内出力命令を行ったか否か判定する。ステップS51でYESの場合、警告制御手段43は、ステップS52に示すように、残燃料判定手段41に残燃料L1が使用燃料L2以上であるか判定させる。これによって、警告制御手段43は、過去の賃走結果を目安として現在の曜日と時間において顧客を目的地まで移動させた後に戻ってこれるか判定することができる。
【0079】
ステップS52でNOの場合、警告制御手段43は、ガス欠の可能性があると判定し、ステップS53に示すように、残燃料判定手段41に残燃料L1が使用燃料L3以下であるか判定させる。これによって、警告制御手段43は、現在の曜日と時間において顧客の目的地周辺の燃料補給地点に到達可能か否かを判定することができる。一方、ステップS52でYESの場合、警告制御手段43は、ガス欠の可能性は低いと判定して処理を終了する。
【0080】
ステップS53でNOの場合、警告制御手段43は、顧客目的地に到達後にガス欠の可能性があると判定し、ステップS54に示すように、営業状態入力手段11が「賃走」状態から「賃走」以外の状態に変化したか否か判定する。
【0081】
ステップS54でYESの場合、ステップS55に示すように、警告制御手段43は、案内出力手段13に警告と経路誘導の指示を行う。これにより、タクシーの残燃料が所定量以下になっても、タクシーに顧客がいる賃走中は燃料補給の案内をしたり回り道したりせずに、賃走が終了してから燃料補給の案内や燃料補給地点への経路案内をすることができる。したがって、燃料補給の案内で顧客をわずらわせることの防止と燃料補給の案内との両立を図ることができる。
【0082】
一方、ステップS53でYESの場合、またはステップS54でNOの場合、警告制御手段43は、ステップS56に示すように、残燃料判定手段41に残燃料L1が使用燃料L4以下であるか判定させる。これによって、警告制御手段43は、現在の曜日と時間において現在地周辺の燃料補給地点に到達可能か否かを判定することができる。
【0083】
ステップS56でYESの場合、警告制御手段43は、賃走中にガス欠の可能性が高く、燃料補給しないとかえって顧客を目的地へ移動させることに支障が出ると判定し、営業状態入力手段11の状態にかかわらず、ステップS55の警告および経路誘導処理を行う。例えば、警告制御手段43の指示に基づいて、報知手段7は、案内出力手段12を介して運転手に燃料補給の報知や燃料補給地点への経路案内を行う。また、警告制御手段43は、営業状態出力手段12を介してタクシーメータ手段6に燃料補給の指示を行わせてもよい。これにより、賃走中にガス欠を起こして顧客とのトラブルが生じることを防止することができる。
【0084】
ステップS56でNOの場合、警告制御手段43は、賃走中に燃料補給案内を行うと顧客に支障が生じると判定し、警告制御手段43は処理を終了する。
【0085】
以上、本発明の実施形態によれば、タクシーの残燃料が所定量以下になっても、タクシーに顧客がいる賃走中は燃料補給の案内をしたり回り道したりせずに、賃走が終了してから燃料補給の案内や燃料補給地点への経路案内をすることができる。したがって、燃料補給の案内で顧客をわずらわせることの防止と燃料補給の案内との両立を図ることができる。特に、燃料にプロパンを使用して燃料補給地点が限られているタクシーにとっては、早く目的地へ到着したい顧客へのサービスと、営業外の地域まで来たときに燃料補給地点を探すわずらわしさの低減との両立を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のタクシー燃料警告装置は、タクシーに顧客が乗車する場合であっても燃料補給を適切なタイミングで促すことができる点で有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 タクシー燃料警告装置
14 ナビゲーション手段
15 情報計算記録手段
16 警告手段
41 残燃料判定手段
43 警告制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシーの残燃料を判定する残燃料判定手段と、
前記残燃料判定手段が判定した残燃料が所定量以下であるときに燃料補給の警告を行う警告手段と、
顧客の乗車有無を判定する乗車判定手段と、
前記乗車判定手段に基づいて前記警告手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記乗車判定手段がタクシーへの顧客の乗車有りと判定した場合、前記残燃料判定手段がタクシーの残燃料が所定量以下であると判定しても前記警告手段による警告を禁止することを特徴とするタクシー燃料警告装置。
【請求項2】
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記目的地設定手段が設定した目的地周辺の燃料補給地点を検索する周辺検索手段と、
前記周辺検索手段が検索した燃料補給地点までの経路を計算する経路探索手段と、
前記残燃料判定手段が判定した残燃料で前記目的地設定手段が設定した目的地に到着可能か否かを判定する到着可否判定手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記到着可否判定手段が到着可能と判定したときに前記警告手段への警告禁止命令を維持し、前記到着可否判定手段が到着不能と判定したとき前記警告手段への警告禁止命令を解除することを特徴とする請求項1のタクシー燃料警告装置
【請求項3】
タクシーの状態を外部に報知する報知手段をさらに備え、
前記乗車有無判定手段がタクシーへの顧客の乗車無しと判定した場合、前記残燃料判定手段がタクシーの残燃料が所定量以下であると判定したときに前記制御手段は前記報知手段に乗車できない旨を報知させることを特徴とする請求項1に記載のタクシー燃料警告装置
【請求項4】
過去の平均燃費から、残燃料で走行可能な距離を計算する走行可能距離計算手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のタクシー燃料警告装置。
【請求項5】
時間帯で変化する燃費、および走行距離に応じて走行可能距離を保持する過去データ記録手段をさらに備え、前記制御手段は、前記過去データ記録手段に記録されたデータに応じて前記警告手段による警告時期を判定することを特徴とする請求項1に記載のタクシー燃料警告装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−56417(P2012−56417A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200650(P2010−200650)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】