説明

タクロリムス固体分散物

本発明はHLB値がおおよそ7に等しいかそれより大なる物性を有する固体界面活性剤を用いて作成のタクロリムス固体分散物の担体に関する。本界面活性剤は担体機能と溶解強化剤機能を同時に発揮する。その結果タクロリムスの溶解速度が改善され、迅速な薬剤放除により経口吸収性と生体利用効率が増加できる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水不溶性タクロリムス固体分散物の薬剤担体に関する。特に本発明は固体分散の薬剤担体だけでなく溶解強化剤となり得る界面活性剤に関する。本界面活性剤は室温で固相でありその親水性疎水性バランス(HLB)値はおおよそ7に等しいかそれより大である。本発明の固体分散物の溶解速度改善によりタクロリムスの経口吸収性と生体利用効率を増加できる。
【背景技術】
【0002】
水不溶性薬剤の溶解速度改善に多くの努力がなされてきた。これらとしては(a)薬剤粒子サイズの減少による表面積の増加、(b)界面活性剤への可溶化、(c)マイクロエマルジョンの形成、(d)固体分散形成による薬剤結晶性の減少などがある。固体分散物は固体担体に分散した非晶性薬剤の医薬品調合である。固体分散の生成には薬剤と固体担体を有機溶剤に溶解するか融合して作成し、次いで乾燥か冷却して作成した。
【0003】
本発明で用いる薬剤は17−アリルー1,14−ジヒドロキシー12−[2−(4−ヒドロキシー3−メトキシシクロヘキシル)―1−メチルビニル]−23,25−ジメトキシー13,19,21,27−テトラメチルー11,28−ジオキシー4−アザトリシクロ[22.3.1.0.4.9]オクタコスー18―エンー2,3,10,16−テトラオン(以後“タクロリムス”と言う)である。タクロリムスは公開ヨーロッパ特許公告181462(発行日、1986年6月11日)に記載の免疫抑制活性や抗菌活性のような薬剤活性を有し、骨髄移植での移植片対宿主性病および自己免疫症、感染症、それに類する症状による拒絶反応の治療と防止に有用である。
【0004】
しかし経口投与ではタクロリムスの吸収性と生体利用効率は薬剤の水不溶性のため低い。従ってタクロリムスは径口投与でやや不利である。
【0005】
日本特許公開昭62−277321では水不溶性薬剤タクロリムスと水溶性ポリマーの薬剤担体からなる固体分散物を開示しているが、経口投与後この固体分散物の吸収変動が大になる傾向があることが一般に知られている。
【0006】
更に米国特許6,346,537ではタクロリムスを含む水不溶性活性成分、界面活性剤、水溶性ポリマー及び糖類、軽無水ケイ酸からなる一群から選んだ薬剤承認固体担体からなる薬剤組成を開示した。固体担体単独では日本特許公開昭62−277321での固体分散と同じでタクロリムス溶解速度は増加しない。それ故タクロリムスと一つ又は複数の界面活性剤を固体担体に同時に分散する事が提案された。しかしこの場合界面活性剤はタクロリムスの可溶化のためだけに用いられ、タクロリムス担体のためには使用されてなかった。
【0007】
韓国特許公開2001−0006070では水不溶性薬剤と二つ又はそれ以上の界面活性剤からなる薬剤組成を開示している。しかしこの場合在来組成は液体組成として開示され、一つの界面活性剤が水不溶性薬剤と他界面活性剤とを溶解する。又その界面活性剤は溶液中の水不溶性薬剤可溶化にだけ用いられる。従ってこの在来組成は固体形で経口投与するために開発した本特許とは関連しない。
【0008】
又韓国特許公開2003−0040556にはマクロライド化合物固体分散物からなる持続放除処方が記載されている。マクロライド化合物を水溶性基剤(例えば水溶性ポリマー)、水不溶性基剤(例えばワックス、水不溶性ポリマー)を単一又は組み合わせて用いた固体担体に非晶状態で分散する。
【0009】
上記韓国特許公開2003−0040556の開示では崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、グリコール酸澱粉ナトリウム、微結晶性セルロース、クロスポビドン等)又は界面活性剤(ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシ40ステアレート、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、蔗糖脂肪酸エステル(HLB≧10))を薬剤初期溶解速度増加のために固体分散物に加える。しかし薬剤放除が持続しすぎる場合、少量の界面活性剤を初期溶解速度増加のために使用するだけである。固体分散物の薬剤担体のためには用いられない。
【0010】
上記固体分散物は経口投与では溶解速度が限定されているので生体利用効率上不利である。
【0011】
本発明の発明者等は上記在来技術の問題を解決し、担体機能と溶解強化剤機能を発揮する固体分散への有効担体を開発する努力を行った。その結果本発明者等はHLB値がおおよそ7に等しいかそれより大である物性を持つ固体界面活性剤が固体分散物の担体として有効であることが分かった。その結果タクロリムスの溶解速度が改良され、優れた溶解速度により生体利用効率と径口吸収性が増加する。本固体分散物は噴霧乾燥機か流動床造粒機を用いて容易に且つ安定に生成できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明によりタクロリムス固体分散物の溶解速度が改良され、そのすぐれた溶解性により経口吸収性と生体利用効率の増加が提供される。
【0013】
本発明により又薬剤担体としての機能と溶解強化剤としての機能を同時に発揮する固体分散担体が提供される。
【0014】
本発明は又固体分散物の薬剤担体として界面活性剤を用いて生ずる固体分散を提供する。本界面活性剤は親水性親油性バランス(HLB)値がおおよそ7かそれより大で、室温で固相という物性を有する。更に本発明は固体分散物処理法と固体分散物を用いた径口投薬形態を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的の達成のため本発明はタクロリムスの固体分散物用担体としてHLB値がおおよそ7に等しいかそれより大なる物性を持つ固体界面活性剤を提供する。本界面活性剤は担体機能と溶解強化剤機能を同時に発揮できる。
【0016】
本発明は又溶解速度が改善し、迅速な溶解速度により経口吸収性と生体利用効率が増加するようにタクロリムスの固体分散を提供する。
【0017】
本発明は又タクロリムスの固体分散処理法と固体分散物を用いた経口投薬形態を提供する。
【0018】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明ではタクロリムス固体分散物用の薬剤担体として親水性親油性バランス(HLB)値がおおよそ7に等しいかより大な物性を持つ固体界面活性剤を用いる。
【0020】
界面活性剤として硫酸ラウリルナトリウム(HLB=40)、HLB値がおおよそ7に等しいかより大なる物性を持つポロキサマー(ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338、ポロキサマー407)、HLB値がおおよそ7乃至おおよそ18の物性を持つ蔗糖脂肪酸エステル(蔗糖ステアリン酸エステル、蔗糖オレイン酸エステル、蔗糖パルミチン酸エステル、蔗糖ミリスチン酸エステル、蔗糖ラウリル酸エステルなど)からなる一群から一つ又はそれ以上を選ぶ。本界面活性剤は上記には限定されない。HLB値がおおよそ7に等しいか大なる物性を持つ固体界面活性剤が利用できる。薬剤と界面活性剤を好ましくは重量比で1:0.1乃至1:100、より好ましくは1:3乃至1:50で使用する。
【0021】
本発明は固体界面活性剤を固体分散タクロリムスの薬剤担体として用いる。固体分散は溶解速度改良に十分で、タクロリムスの経口吸収性と生体利用効率を増加できる。
【0022】
固体分散物はタクロリムスと固体界面活性剤を同時に有機溶剤に溶解及び/又は分散し、次いで真空乾燥により有機溶剤を除去し、次いで粉砕して生成する。更に固体分散物は噴霧乾燥機や流動層造粒機を用いて生成できる。本発明では界面活性剤を固体分散物の薬剤担体として働くようにタクロリムスで有機溶剤に溶解するか分散する。
【0023】
本発明ではエタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン及びクロロフォルムなどの一群から選んだ一つ又はそれ以上のいずれかの薬剤承認溶剤を用いるが、上記溶剤には限定されない。
【0024】
本発明のタクロリムス固体分散物はタクロリムスと固体界面活性剤を適切な有機溶剤に溶解又は分散し、真空乾燥で有機溶剤を除去し、次いで溶液を噴霧乾燥するか流動層造粒機で顆粒化して作成できる。
【0025】
固体分散物作成において賦形剤(澱粉など)、崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、グリコール酸澱粉ナトリウム、微結晶性セルロース、クロスポビドンなど)、着色剤、香味剤、甘み剤及び潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクなど)を任意に溶液に添加できる。
【0026】
更に上記添加物だけでなく、乳酸、タルク及び無水二塩基リン酸カルシウムのような薬剤承認添加物も流動層造粒機の造粒種用に使用できる。乳酸、タルク及び無水二塩基リン酸カルシウムのような種として用いる添加物はタクロリムス固体分散物生成に必要ではない。これらは単に流動層造粒化用種にしか過ぎない。即ち添加物は固体分散物の薬剤担体用には用いない。
【0027】
薬剤承認の賦形剤、崩壊剤、バインダー、着色剤、安定剤、甘み剤又は潤滑剤を本発明の固体分散粒子に添加でき、混合物を強く圧縮し粉砕できる。その結果生成粉末の流動性と内容物の均一性が改良される。従って粉末はカプセルや錠剤に容易に処方される。
【0028】
本発明のタクロリムス固体分散物は高溶解速度と優れた安定性を有し、その結果経口吸収性と生体利用効率が一律に改良される。
【0029】
本発明の固体分散物は経口投与用に薬剤調合に使用でき、在来法により粉末、顆粒、カプセル、錠剤や同類のような種々の投薬形態に変換できる。もし必要なら薬剤承認の賦形剤、崩壊剤、バインダー、着色剤、安定剤、甘み剤、潤滑剤、コーティング剤、可塑剤及び同類を薬剤投与形態調合に使用できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の固体分散物担体により水不溶性薬剤タクロリムスの溶解速度を改善され、迅速な薬剤放除によりタクロリムスの経口吸収性と生体利用効率が増加する。
【0031】
本発明で薬剤担体として用いる界面活性剤は担体機能と溶解強化剤機能を同時に発揮できる。
【0032】
又本発明で与えられる医薬品投与形態によりタクロリムスの生体利用効率と経口吸収性を改善する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下の実施例は本発明を詳細に説明する事を意図し、本発明の範囲を限定するように構成したものでは決してない。
[比較例1]低HLB値の界面活性剤によるタクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=7、3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[比較例2]低HLB値の界面活性剤によるタクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=6、3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[比較例3]
藤沢薬品から市販のプログラフ1mgカプセル(製品番号IC4541A)を作成した。
[実施例1]HLB値がおおよそ7の界面活性剤によるタクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=7、3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例2]HLB値がおおよそ9の界面活性剤によるタクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9、3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例3]HLB値がおおよそ11の界面活性剤によるタクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=11、3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例4]HLB値がおおよそ15の界面活性剤によるタクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=15、3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例5]HLB値がおおよそ16の界面活性剤によるタクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=16、3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例6]硫酸ラウリルナトリウムによるタクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例7]ポロキサマーによるタクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液にポロキサマー188(3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例8]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,3g)を薬剤担体として分散し、クロスカルメロースナトリウム(7g)を追加した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例9]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(3g)を薬剤担体として分散し、クロスカルメロースナトリウム(7g)を追加した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例10]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液にポロキサマー188(3g)を薬剤担体として分散し、クロスカルメロースナトリウム(7g)を追加した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例11]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,3g)と硫酸ラウリルナトリウム(3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例12]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,3g)とポロキサマー188(3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例13]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(3g)とポロキサマー188(3g)を薬剤担体として分散した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例14]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,3g)と硫酸ラウリルナトリウム(3g)を薬剤担体として分散し、次いでクロスカルメロースナトリウム(7g)を追加し。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例15]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,3g)とポロキサマー188(3g)を薬剤担体として分散し、次いでクロスカルメロースナトリウム(7g)を追加した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例16]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(1g)をエタノール(10ml)とジクロルメタン(5ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(3g)とポロキサマー188(3g)を薬剤担体として分散し、次いでクロスカルメロースナトリウム(7g)を追加した。溶液を真空乾燥機を用いて減圧下で蒸発した。乾燥後残留生成物を粉砕した。
[実施例17]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,90g)を薬剤担体として分散した。溶液を流動相造粒機で流動化したタルク(300g)上に噴霧し、次いで乾燥した。
[実施例18]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,90g)を薬剤担体として分散した。溶液を流動相造粒機で流動化した無水二塩基リン酸カルシウム(300g)上に噴霧し、次いで乾燥した。
[実施例19]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,90g)を薬剤担体として分散した。溶液を流動相造粒機で流動化した乳酸(300g)上に噴霧し、次いで乾燥した。
[実施例20]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(90g)を薬剤担体として分散した。溶液を流動相造粒機で流動化したタルク(300g)上に噴霧し、次いで乾燥した。
[実施例21]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(90g)を薬剤担体として分散した。溶液を流動相造粒機で流動化した無水二塩基リン酸カルシウム(300g)上に噴霧し、次いで乾燥した。
[実施例22]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(90g)を薬剤担体として分散した。溶液を流動相造粒機で流動化した乳酸(300g)上に噴霧し、次いで乾燥した。
[実施例23]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,90g)を薬剤担体として分散した。溶液を流動相造粒機で流動化したタルク(300g)上に噴霧し、次いで乾燥した。
[実施例24]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(90g)と蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,90g)を薬剤担体として分散した。溶液を流動相造粒機で流動化した無水二塩基リン酸カルシウム(300g)上に噴霧し、次いで乾燥した。
[実施例25]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(90g)と蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,90g)を薬剤担体として分散した。溶液を流動相造粒機で流動化した乳酸(300g)上に噴霧し、次いで乾燥した。
[実施例26]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(90g)と蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,90g)を薬剤担体として分散し、クロスカルメロースナトリウム(210g)を追加した。溶液を流動相造粒機で流動化した無水二リン酸カルシウム(300g)上に噴霧し、次いで乾燥した。
[実施例27]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9,90g)を薬剤担体として分散し、次いでクロスカルメロースナトリウム(210g)を追加した。固体分散物を溶液の噴霧乾燥により生成した。
[実施例28]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(90g)を薬剤担体として分散し、次いでクロスカルメロースナトリウム(210g)を追加した。固体分散物を溶液の噴霧乾燥により生成した。
[実施例29]タクロリムス固体分散物の作成
タクロリムス(30g)をエタノール(100ml)とジクロルメタン(50ml)混合物に溶解した。得られた溶液に硫酸ラウリルナトリウム(90g)と蔗糖脂肪酸エステル(HLB=9、90g)を薬剤担体として分散し、次いでクロスカルメロースナトリウム(210g)を追加した。固体分散物を溶液の噴霧乾燥により生成した。
[作成実施例1]タクロリムスカプセルの作成
タクロリムス1mg含有の各固体分散物(比較例1と2及び実施例1から29で生成)を無水乳酸、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムと混合した。混合物を別々にゼラチンカプセルに満たした。
[作成実施例2]タクロリムス錠剤の作成
タクロリムス1mg含有の各固体分散物(比較例1と2及び実施例1から29で生成)を無水乳酸、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムと混合した。混合物を別々に錠剤処方した。
[試験例1]溶解試験
溶解試験を韓国薬局法(KP)の方法2(パドル式)により実施した。試験溶液として0.005%(w/v)ヒドロキプロピルセルロース溶液900mLを用いた。パドル速度を50rpmに設定した。比較例3のプログラフ1mgのカプセルと作成実施例1と2で生成のカプセルと錠剤を試験溶液に加え、5分、10分、15分、30分および60分後に試験溶液を試料として採取した。これらを高速液体クロマトグラフィーにより分析した。結果を表1と2に示した。
表1 作成実施例1で生成のタクロリムスカプセルの溶解率(%)

【0034】

表2 作成実施例2で生成のタクロリムス錠剤の溶解率(%)

【0035】
その結果作成実施例1と2で生成のカプセル及び錠剤の最大溶解率はおおよそ65%に等しいかそれ以上であった。
【0036】
本発明での溶解速度は比較例3で生成の市販投薬形態の溶解速度より大きい。(図1参照。)
従って上記作成固体分散物を用いて生成したタクロリムス投与形態は薬剤放除が早く、投与形態の経口吸収性はタクロリムスの優れた溶解速度により増加する。
【0037】
比較例1と2で生成の固体分散物では早い薬剤放除を示さない。それ故HLB値が7以下の物性を持つ界面活性剤は本発明の固体分散物生成には好ましくない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例26と比較例で生成した固体分散物の溶解速度の比較グラフを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクロリムスと親水性疎水性バランス(HLB)値がおおよそ7かそれ以上の物性を持つ固体界面活性剤とからなる固体分散物。
【請求項2】
界面活性剤が硫酸ラウリルナトリウム(HLB=40)、ポロキサマー(HLB≧7)、及び蔗糖脂肪酸エステル(18≧HLB≧7)からなる一群から少なくとも一つを選んだ請求項1による固体分散物。
【請求項3】
タクロリムスと固体界面活性剤が重量比約1:0.1から約1:100で混合した請求項1による固体分散物。
【請求項4】
担体機能も持たない添加物を、薬剤承認の賦形剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、甘み剤及び潤滑剤からなる一群から一つ以上を選択した請求項1乃至請求項3のいずれか一つによる固体分散物。
【請求項5】
エタノール、イソプロパノール、ジクロルメタン及びクロロフォルムからなる一群から少なくとも一つを選んだ溶剤中に、タクロリムスと固体界面活性剤(HLB≧7)に溶解か分散した溶液を生成し、その溶液を乾燥する事からなる固体分散物処理加工法。
【請求項6】
更に担体機能のない薬剤承認の賦形剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、甘み剤及び潤滑剤からなる一群から少なくとも一つの添加物を溶液に添加する事からなる請求項5の方法。
【請求項7】
エタノール、イソプロパノール、ジクロルメタン及びクロロフォルムからなる一群から少なくとも一つを選んだ溶剤中に、タクロリムスと固体界面活性剤(HLB≧7)に溶解か分散して溶液を生成し、担体機能のない薬剤承認の賦形剤、崩壊剤、着色剤、香味剤、甘み剤及び潤滑剤からなる一群から少なくとも一つを選んだ添加物に顆粒生成のためその溶液を噴霧することからなる固体分散物処理加工法。



【図1】
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【公表番号】特表2007−527383(P2007−527383A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518554(P2006−518554)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001684
【国際公開番号】WO2005/004848
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(503308483)チョン クン ダン ファーマスーティカル コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】