説明

タッチスイッチ及び冷蔵庫

【課題】 タッチスイッチにおいて、操作パネルにてスイッチ操作ができることはもとより、操作パネルの設計自由度の向上及び意匠的外観の向上、さらには電気絶縁の向上にも寄与できるようにする。
【解決手段】 タッチスイッチ9は、タッチ電極11と対向電極部12とを備えている。タッチ電極11は操作パネル10に設けられている。さらに操作パネル10の裏側には、対向電極部12が設けられている。この対向電極部12は両面印刷基板14を挟んで対向する一対の電極15a、15bを有する。そして、前記タッチ電極11と、前記一対の電極15a、15bの一方15aとを導通し、当該一対の電極15a、15b間の静電容量の変化がスイッチオン・オフ信号として取り出される構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手や指の接近や接触を検知する静電容量型のタッチスイッチ及びこれを備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば冷蔵庫では、冷蔵室などの扉を、スイッチ入力に基づいて強制開放もしくは開放補助する構成としたものがある。このものでは、扉にマイクロスイッチなどのメカ式スイッチを設け、冷蔵庫本体側にこのスイッチのオンオフに応動するアクチュエータ(例えばソレノイド)を設け、前記スイッチがユーザーによりオン操作されると、このアクチュエータが扉を押し出す動作をすることにより、該扉を強制開放もしくは開放補助するものである。
【0003】
この場合、ユーザーの使い勝手を良くするために、ある程度広い操作板を介してマイクロスイッチを押圧可能な構成とすることが考えられているが、この場合、この操作板のどの部分を押圧してもマイクロスイッチが確実にスイッチ動作するように構成することが難しく、また、操作板を可動とする機構も必要で設計上の制約が発生する。
【0004】
そこで、図5に示すように、静電容量型タッチスイッチを採用することが考えられる。この場合、冷蔵室の扉31に取り付けられる操作パネル32をアクリルなどの絶縁体から構成し、この操作パネル32の表裏両面に電極33a、33bを装着し、裏側の電極33bから静電容量の変化信号を取り出し、タッチスイッチ判定部34へ出力する構成とする。この構成により、ユーザーが手や指を表側の電極33aに接近もしくは接触すると静電容量が変化してスイッチオン・オフ信号が出力される。
【特許文献1】特開2005−4969(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の静電容量型タッチスイッチにおいては、操作パネルに一対の電極33a、33bを装着する構成であるため、操作パネルに他のスイッチや表示部などがある場合、設計自由度が低下する。また、電極33aにはユーザーが直接接触することから、電極33aの取付強度も必要であって、例えば接着よりもねじ締めが好適する。しかし、ねじ締めの場合には、操作パネルの加工が面倒で、また意匠的外観も悪くなる。また、電極33aにユーザーが直接接触するから、電気用品安全法などにより電気絶縁も考慮に入れる必要がある。この場合、絶縁体の厚みを厚くすると、静電容量が低くなる。十分な静電容量を確保するためには、電極面積を広く確保する制約が生じる。この結果、この場合も操作パネルでの設計上の制約が大きくなる。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作パネルにてスイッチ操作ができることはもとより、操作パネルの設計自由度の向上に寄与できるタッチスイッチ及びこれを備えた冷蔵庫を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、操作パネルに取り付けられるタッチ電極と、絶縁体を挟んで対向する一対の電極を有する対向電極部とを備え、前記タッチ電極と、前記対向電極部の一方の電極とを導通し、当該対向電極部の一対の電極間の静電容量の変化がスイッチオン・オフ信号として用いられる構成である。
【0008】
これによれば、ユーザーの手や指が操作パネルのタッチ電極に接近もしくは接触すると、対向電極部においてこのタッチ電極と導通状態の一方の電極に対してユーザーが接近もしくは接触したこととなり、該一対の電極間の静電容量が変化し、その変化がスイッチオン・オフ信号として用いられる。つまり、タッチスイッチがスイッチ操作されたことになる。この場合、対向電極部は操作パネルと別に構成されているから、対向電極部を操作パネルとは関係なく設計することが可能で、電気絶縁に必要な絶縁体厚さや一対の電極の広さを制約を受けずに確保した設計が可能である。そして、操作パネルには、タッチ電極を設けるだけ良く、形状の選定及び取り付け方の選定の自由度も高い。従って、操作パネルにてスイッチ操作ができることはもとより、操作パネルの設計自由度の向上及び意匠的外観の向上、さらには電気絶縁の向上にも寄与できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、操作パネルにてスイッチ操作ができることはもとより、操作パネルの設計自由度の向上に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を冷蔵庫のタッチスイッチに適用した一実施例について図面を参照しながら説明する。図4には冷蔵庫を正面から見て示している。冷蔵庫1は、庫本体2に図示しないが冷蔵室、野菜室、切替室、製氷室、冷凍室を形成しており、各室は、冷蔵室用扉3、野菜室用扉4、切替室用扉5、製氷室用扉6、冷凍室用扉7により開閉されるようになっている。
【0011】
前記冷蔵室用扉3は、図2に示すソレノイド8の動作により強制開放もしくは開放補助されるようになっており、このソレノイド8を動作させるスイッチとして、図1に示すタッチスイッチ9が該冷蔵室用扉3に設けられている。冷蔵庫用扉3の前面には操作パネル10が設けられており、この操作パネル10の裏側には電装品収容部3aが形成されている。
【0012】
前記タッチスイッチ9は、タッチ電極11や、対向電極部12などを備えている。タッチ電極11は、樹脂成形されており、全面に導電めっき例えばクロームめっきが施されている。このタッチ電極11は裏面側にねじボス部11aが形成されている。前記操作パネル10にはこのタッチ電極11を収容配置可能な配置孔部10aが形成されており、前記タッチ電極11は、この配置孔部10aに挿入配置されて、裏側からねじ13のねじ締めにより操作パネル10に配設されている。この場合タッチ電極11の前面部11bは操作パネル10表側に露出している。
【0013】
前記対向電極部12は、絶縁体に相当する両面印刷基板14と、一対の電極15a、15bとを備えて構成されている。この一対の電極15a、15bは、両面印刷基板14の両面に印刷成形された銅パターンから構成されたものである。従って、この電極15a、15bは絶縁体である両面印刷基板14を挟んで対向する形態である。また両面印刷基板14の板厚は例えば1.6mmとしている。なお、絶縁体として両面印刷基板14の板厚(一対の電極15a、15b間距離)は、電気用品安全法などを考慮すると、0.8mm以上あれば何ら問題はなく、十分な絶縁距離がとれている。この場合、絶縁距離が大きいと、必要な静電容量を確保するには電極面積を広くすることが必要となるが、対向電極部12はパネル10とは別の部位に設けるから、電極面積も十分にとることができる。
【0014】
前記両面印刷基板14には、複数の取付リブ14aが形成されており、この取付リブ14aを介して前記操作パネル10の裏面10cに取り付けられている。
そして、前記タッチ電極11と、前記一対の電極15a、15bうちの一方の電極15aとは接続リード線16により導通している。この場合、接続リード線16の一端部は、前記ねじ13によりタッチ電極11に機械・電気的に接続されており、また、他端部は、電極15aに例えば半田付けにより機械・電気的に接続されている。
【0015】
上記一対の電極15a、15bにおいては、ユーザーの手や指が一方の電極15aに接近もしくは接触することで一対の電極15a、15b間の静電容量が変化する。この変化はスイッチオン・オフ信号として取り出される。以下、スイッチオン・オフ信号を取り出す電気的構成を概略的に説明する。図2において、タッチスイッチ判定部17は、前記一対の電極15a、15b間の静電容量の変化を検出してスイッチオン・オフ信号として用いる。このタッチスイッチ判定部17は、静電容量の変化に応じて発信振幅が変化する構成の発信回路を含んで構成されており、その発信振幅の変化を検出することでスイッチオン・オフ信号を取り出すものである。
【0016】
このスイッチオン・オフ信号は、自動扉制御部18に与えられる。この自動扉制御部18は、マイクロコンピュータを含んで構成されていて、スイッチオン・オフ信号が与えられると、ソレノイド駆動回路部19に扉開放指令信号を出力する。なお、前記タッチスイッチ判定部17や自動扉制御部18も前記両面印刷基板14に実装されている。また、冷蔵室や、冷凍室などの温度調節のための温度調節スイッチ群20も前記両面印刷基板14に実装されている。この温度調節スイッチ群20は操作パネル10から操作可能とされている。
このソレノイド駆動回路部19は、ソレノイド8に対して通断電を制御するスイッチを有しており、前記扉開放指令信号が与えられると、ソレノイド8を通電する。このソレノイド8は通電されると、プランジャが冷蔵庫用扉3を押し出す方向に動作され、これにより冷蔵庫用扉3が強制開放もしくは開放補助される。
【0017】
このような本実施例よれば、ユーザーの手や指が操作パネル10のタッチ電極11に接近もしくは接触すると、対向電極部12においてこのタッチ電極11と導通状態の一方の電極15aに対してユーザーが接近もしくは接触したこととなり、該一対の電極間15a、15bの静電容量が変化する。その変化はタッチスイッチ判定部17によりスイッチオンあるいはスイッチオフとして判定される。
【0018】
この場合、対向電極部12は操作パネル10と別に構成されているから、対向電極部12を操作パネル10とは関係なく設計することが可能で、電気絶縁に必要な絶縁体厚さや一対の電極15a、15bの広さを制約を受けずに確保した設計が可能である。そして、操作パネル10には、タッチ電極11を設けるだけ良く、形状の選定及び取り付け方の選定の自由度も高い。従って、操作パネル10にてスイッチ操作ができることはもとより、操作パネル10の設計自由度の向上及び意匠的外観の向上、さらには電気絶縁の向上にも寄与できる。
【0019】
また、本実施例によれば、対向電極部12の絶縁体を両面印刷基板14から構成し、且つ、一対の電極15a、15bを、該両面印刷基板14の両面に印刷成形した銅パターンから構成したから、他の回路部もこの両面印刷基板14に実装でき、電気回路部品のユニット化に寄与できて、個数低減に寄与できる。
さらに、このタッチスイッチ9を備えた冷蔵庫1によれば、操作パネル10にてスイッチ操作ができることはもとより、操作パネル10の設計自由度の向上及び意匠的外観の向上、ひいては冷蔵庫1の設計自由度の向上及び外観の向上を図ることができる。さらにはタッチスイッチ9の電気絶縁の向上も図り得るから、冷蔵庫1の電気絶縁性も良好に確保できる。
【0020】
なお、上記実施例では、対向電極の絶縁体を印刷基板から構成したが、これは合成樹脂板などの単なる絶縁体でも良く、この場合、一対の電極は銅パターンでなく、一般的な導体板でも良い。また、本発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、本発明タッチスイッチは、冷蔵庫の扉開放や開放補助のためのソレノイド通断電用ではなく、扉吸着あるいは扉開放などのための電磁石装置通断電用としても良い。さらに、本発明は、他の電気機器などに広く適用して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例を示す冷蔵庫扉部分のタッチスイッチの縦断側面図
【図2】ソレノイド駆動関連の電気的構成を示すブロック図
【図3】操作パネル部分を裏側から見た背面図
【図4】冷蔵庫の正面図
【図5】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0022】
図面中、1は冷蔵庫、3は冷蔵室用扉、8はソレノイド、9はタッチスイッチ、10は操作パネル、11はタッチ電極、12は対向電極部、14は両面印刷基板(絶縁体)、15a、15bは電極、16は接続リード線、17はタッチスイッチ判定部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作パネルに取り付けられるタッチ電極と、
絶縁体を挟んで対向する一対の電極を有する対向電極部とを備え、
前記タッチ電極と、前記対向電極部の一方の電極とを導通し、当該対向電極部の一対の電極間の静電容量の変化がスイッチオン・オフ信号として用いられる構成のタッチスイッチ。
【請求項2】
対向電極部は、絶縁体を両面印刷基板から構成し、且つ一対の電極を該両面印刷基板の両面に印刷成形した銅パターンから構成したことを特徴とする請求項1に記載のタッチスイッチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタッチスイッチを備えてなる冷蔵庫。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−304077(P2006−304077A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125192(P2005−125192)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】