タッチスイッチ
【課題】本発明の目的は、ディスプレイの表示品位低下を防止できるタッチスイッチを提供することにある。
【解決手段】タッチスイッチ10は、絶縁性の透明基板12、透明基板12の一面に形成されたタッチ電極部14、および透明基板12の一面に形成された引き出し配線部16を備える。タッチ電極部14同士、引き出し配線部16同士、タッチ電極部14とそのタッチ電極部14から延びていない引き出し配線部16の間にはタッチ電極部14などと導通する部材を設けず、絶縁部20とする。絶縁部20は蛇行されたものである。
【解決手段】タッチスイッチ10は、絶縁性の透明基板12、透明基板12の一面に形成されたタッチ電極部14、および透明基板12の一面に形成された引き出し配線部16を備える。タッチ電極部14同士、引き出し配線部16同士、タッチ電極部14とそのタッチ電極部14から延びていない引き出し配線部16の間にはタッチ電極部14などと導通する部材を設けず、絶縁部20とする。絶縁部20は蛇行されたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指やペンなどでタッチされた位置を検出するタッチスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より種々のタッチスイッチが開発・開示されている。タッチスイッチはディスプレイの前面に配置されるため、透明にされる。そのため、タッチスイッチに使用される電極はITOなどの透明電極が使用される。
【0003】
しかし、金属に比べてITOの抵抗率は高い。タッチスイッチのサイズが大型化すると、抵抗値の増加に伴い静電容量検出の感度が低下し、タッチスイッチとして動作させるのが困難になる。また、ITOに含まれるインジウムは希少金属であるため、ITOの使用を避けることが好ましい。
【0004】
そこで、金属線で電極を形成したタッチスイッチが下記特許文献1〜3に開示されている。金属線が極細線であるため、タッチスイッチの光透過率を落としにくい。金属線はITOよりも抵抗が低く、タッチスイッチの大型化が可能である。
【0005】
透明基板の上に複数のタッチ電極部を縦横に並べたタッチスイッチがある(特許文献4など)。タッチ電極部から引き出し配線部が透明基板の端部に延びている。特許文献4の図7に示されるタッチスイッチはITOが使用されているが、特許文献1〜3の金属線を適用することが可能である。この場合、図12、図13のように、透明基板52の上にタッチ電極部54と引き出し配線部56が形成されたタッチスイッチ50となる。タッチ電極部54と引き出し配線部56は金属線58を網目状にしたものである。タッチ電極部54同士の間、引き出し配線部56同士の間、タッチ電極部54と引き出し配線部56との間は、金属線58を形成せず、絶縁部60となる。
【0006】
しかし、絶縁部60には金属線58がないため、タッチ電極部54や引き出し配線部56との光透過率の差が大きくなる。また、絶縁部60の面積も、タッチスイッチ50の端部にいくにしたがって、図13(a)から図13(b)のように増加し、金属線58の密度が低くなる。このため、ディスプレイの前面にタッチスイッチ50を配置し、特にディスプレイで均一な色彩の表示がおこなわれると、タッチ電極部54や引き出し配線部56が視認され、ディスプレイの表示品位が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−344163号公報
【特許文献2】特開2004−192093号公報
【特許文献3】特開2003−256136号公報
【特許文献4】国際公開番号WO2005/114369
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ディスプレイの表示品位低下を防止できるタッチスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のタッチスイッチは、基板と、前記基板の一面に金属線で網目状にして形成された複数のタッチ電極部と、前記基板の一面に金属線で網目状にして形成され、それぞれのタッチ電極部から基板の端部に引き出された引き出し配線部と、前記タッチ電極部同士の間、引き出し配線部同士の間、およびタッチ電極部と引き出し配線部との間に蛇行をするように形成された絶縁部とを備える。
【0010】
基板の上に金属線を網目状にして形成されたタッチ電極部と引き出し配線部とを有する。タッチ電極部同士などを絶縁するための絶縁部は蛇行している。
【0011】
前記タッチ電極部の金属線が、第1方向を向いた第1金属線と第2方向を向いた第2金属線を備え、前記引き出し配線部の金属線が、第1方向を向いた第1金属線と第2方向を向いた第2金属線を備える。第1金属線と第2金属線によって網目状にする。
【0012】
前記絶縁部は、第1方向を向いた帯状の第1絶縁部と第2方向を向いた帯状の第2絶縁部をつなぎ合わせて構成される。絶縁部が蛇行する方向は第1方向と第2方向である。
【0013】
前記絶縁部の幅よりもタッチ電極部および引き出し配線部の金属線同士の間が広い。タッチ電極部などの金属線同士の幅を広げ、光が透過しやすい絶縁部の開口率と同じようにする。
【0014】
前記タッチ電極部と引き出し配線部から絶縁された第3金属線を絶縁部に設ける。絶縁部に金属線を設けて、絶縁部の開口率をタッチ電極部などの開口率と同じになるようにする。また、絶縁部の幅によっては、第3金属線で網目形状にする。
【0015】
前記タッチ電極部と引き出し配線部の縁部に配置された第1金属線の幅、第2金属線の幅、第3金属線の幅の少なくとも1つが変化する。金属線の幅を調節して、絶縁部の開口率をタッチ電極部などの開口率と同じになるようにする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記構成によりタッチスイッチ全域で光の透過率を均一化することができる。ディスプレイの前面にタッチスイッチを配置しても、表示品位を下げにくい。従来と比べて、特にディスプレイで均一な色彩を表示したときに、タッチスイッチのタッチ電極部や引き出し配線部が視認されにくい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のタッチスイッチのタッチ電極部および引き出し配線部の一例を示す図である。
【図2】金属線によってタッチ電極部と引き出し配線部とを構成した図である。
【図3】図1のx方向に延びる絶縁部を示す図であり、(a)は蛇行する割合の多い絶縁部であり、(b)は蛇行する割合が少ない絶縁部であり、(c)は第1絶縁部と第2絶縁部の幅が異なる図である。
【図4】図1のy方向に延びる絶縁部を示す図であり、(a)は蛇行する割合の多い絶縁部であり、(b)は蛇行する割合が少ない絶縁部であり、(c)は第1絶縁部と第2絶縁部の幅が異なる図である。
【図5】図1のy方向に延びる絶縁部であり、絶縁部ごとに幅が異なる図である。
【図6】数式1〜3を使用して開口率を求める図であり、(a)は第1絶縁部を示し、(b)は第2絶縁部を示す図である。
【図7】金属線のピッチを示す図である。
【図8】従来のタッチスイッチの開口率を求める図である。
【図9】絶縁部に金属線を設けた図であり、(a)は幅広の絶縁部に金属線が設けられ、(b)は連続した金属線を示す図である。
【図10】絶縁部に金属線を設けた図であり、(a)は第1および第2絶縁部にそれぞれ金属線が設けられ、(b)は複数の金属線が直列に並んだ場合を示す図である。
【図11】数式5を使用して開口率を求める図であり、(a)は第1絶縁部を示し、(b)は第2絶縁部を示す図である。
【図12】従来のタッチスイッチのタッチ電極部および引き出し配線部の一例を示す図である。
【図13】従来のタッチ電極部と引き出し配線部の平面図であり、(a)はタッチ電極部と引き出し配線部の接続を示し、(b)は引き出し配線部が並べられた箇所を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のタッチスイッチについて図面を使用して説明する。図面は模式的に示しており、実物とは異なる場合がある。説明するタッチスイッチは静電容量式のタッチスイッチである。
【0019】
図1のタッチスイッチ10は、絶縁性の透明基板12、透明基板12の一面に形成されたタッチ電極部14、および透明基板12の一面に形成された引き出し配線部16を備える。
【0020】
透明基板12は誘電体基板である。透明基板12の材料は、ガラス、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレートなどの透明材料が挙げられる。ガラスであれば厚みは約0.1〜5mmであり、プラスチックであれば厚みは約10〜4000μmである。また、これらの材料を多層に積層してもよい。説明中、透明基板12の横方向をx方向、縦方向をy方向とする。
【0021】
透明基板12の一面にタッチ電極部14と引き出し配線部16が形成され、他面がディスプレイと接する。透明基板12の一面側には、タッチ電極部14と引き出し配線部16を覆うように、透明接着剤を使用して透明のカバーフィルムが取り付けられる。カバーフィルム以外に透明の樹脂またはガラスを積層して保護膜としても良い。ディスプレイに透明基板12を取り付けるとき、他面とディスプレイとの間に透明接着剤を使用しても良い。
【0022】
接着剤としては、アクリル系の接着剤、アクリルウレタン系の接着剤、ポリエステルアクリレート系の接着剤、エポキシアクリレート系の接着剤などの透明接着剤を挙げることができる。またタッチ電極部14を、ディスプレイに接する面に設けることも可能である。
【0023】
タッチ電極部14は、図2に示すように、第1方向αを向いた第1金属線18aと第2方向βを向いた第2金属線18bとを網目状にしたものである。網目状の具体例としては、金属線18a,18bを交差させた形状が挙げられる。金属線18a,18bは極細線である。金属線18a,18b同士は等間隔に並べられる。タッチ電極部14は、透明基板12の一面に縦横に並べられる。指などが近接またはタッチされた位置にあるタッチ電極部14の静電容量が変化し、その変化を検出することによって、タッチスイッチとして動作する。静電容量を検出できるのであれば、タッチ電極部14は方形に限定されない。
【0024】
引き出し配線部16は、タッチ電極部14と同様に第1方向αを向いた第1金属線18aと第2方向βを向いた第2金属線18bとを網目状にしたものである。金属線18a,18bは極細線である。金属線18a,18b同士は等間隔に並べられる。引き出し配線部16は、タッチ電極部14から透明基板12の端部に延びるようにして形成される。透明基板12の端部でタッチ電極部14の静電容量の変化を検出する検出回路に接続される。
【0025】
なお、図1においては、引き出し配線部16は透明基板12の端部から延びているが、特許文献4の図7のように、対向する両端部から延びる場合もある。したがって、説明中、透明基板12の端部から中央部に向かうことは、検出回路に接続される部分から離れることである。
【0026】
タッチ電極部14および引き出し配線部16は、全ての金属線18a,18bが網目状になってつながっている。タッチ電極部14および引き出し配線部16はその領域全体として導電性を有する。
【0027】
ディスプレイには縦横にブラックマトリクスが形成されている。金属線18a,18bの方向は、ブラックマトリクスの方向に対して斜方向になるようにする。ブラックマトリクスと金属線18a,18bが同方向に並ぶとモアレが発現するため、それを避けるためである。金属線18a,18bの方向は、例えばブラックマトリクスに対して、約65°の角度を有するようにする。
【0028】
金属線18a,18bの形成方法は、(i)極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを透明基板12の上にスクリーン印刷する方法(特開2007−142334等参照)、(ii)銅などの金属箔を透明基板12の上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法(特開2008−32884等参照)が挙げられる。
【0029】
また、金属線18a,18bの形成方法は、上記(i)、(ii)の形成方法に限定されることはない。上記(i)以外のグラビア印刷などの印刷法や上記(ii)以外のフォトリソグラフィを使用してもよい。
【0030】
タッチ電極部14同士および引き出し配線部16同士は絶縁する必要がある。また、タッチ電極部14とそのタッチ電極部14から延びていない引き出し配線部16も絶縁する必要がある。したがって、それらの間にはタッチ電極部14などと導通する部材を設けず、絶縁部20とする。
【0031】
タッチ電極部14や引き出し配線部16の外縁は金属線18a,18bである。したがって、絶縁部20は第1方向αと第2方向βを向きながら蛇行する。ここで、第1方向を向いた帯状の部分を第1絶縁部20a、第2方向βを向いた帯状の部分を第2絶縁部20bとする(図3〜5)。絶縁部20は第1絶縁部20aと第2絶縁部20bが連続した形状であり、絶縁基板12のx方向またはy方向に延びるように蛇行する。なお、実際の第1絶縁部20aと第2絶縁部20bは非常に微細であるが、金属線18a,18bに比べて非常に幅広であるため、帯状と記載する。
【0032】
絶縁部20の一例としては、絶縁基板12のx方向、y方向に対する金属線18a,18bの角度によって、蛇行する割合を異ならせる(図3(a)、(b))。絶縁部20が延びる方向が異なっても同様である(図4(a)、(b))。また、第1絶縁部20aの幅と第2絶縁部20bの幅が、異なるようにしても良い(図3(c)、図4(c))。さらに、絶縁部20ごとに幅を変更しても良い(図5)。
【0033】
絶縁部20が蛇行する方向が金属線18a,18bの方向と同じであり、絶縁部20が目立ちにくくなる。タッチ電極部14および引き出し配線部16が視認しにくくなる。タッチスイッチ10をディスプレイの前面に配置した場合、ディスプレイの表示品位を低下させにくくなる。
【0034】
また、絶縁部20の幅は、タッチ電極部14および引き出し配線部16の金属線18a,18b同士の間よりも狭くする。これは、絶縁部20には金属線18a,18bが無く、タッチ電極部14と引き出し配線部16よりも光透過率が高くなるためである。
【0035】
ここで、図6を使用して絶縁部20の幅を調節するために、タッチスイッチ10の開口率について説明する。なお、絶縁部20は金属線18a,18bを含まないが、説明の便宜上、絶縁部20に隣接する金属線18a,18bを含めて開口率を説明する。
【0036】
図7に示すように、絶縁部20において、金属線18a,18bの中心同士の距離(ピッチ)をWaとWbとする。Waは第1絶縁部20aを介しており、Wbは第2絶縁部20bを介している。また、タッチ電極部14と引き出し配線部16の金属線18a,18bのピッチをP、金属線18a,18bの幅をLとする。図6の場合、タッチ電極部14と引き出し配線部16の開口率をR1、第1絶縁部20aの開口率をR2、第2絶縁部20bの開口率をR3とすると、下記の数式で表される。
【0037】
【数1】
【数2】
【数3】
【0038】
上記の数式1〜3を使用して、y方向を向くように形成した絶縁部20の開口率の例を表1に、x方向を向くように形成した絶縁部20の開口率の例を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
さらに、比較のために従来のタッチスイッチ50の開口率を求める。従来の絶縁部60は直線状である。図8は従来のタッチスイッチ60の一部分であり、絶縁部60の幅をW、絶縁基板12の横方向(または縦方向)に対する金属線58の角度をθとすると、図8の絶縁部60の開口率Rは数式4で導かれる。また、数式4を使用した開口率の例を表3に示す。
【0042】
【数4】
【0043】
【表3】
【0044】
WaとWbを調節することによって、従来に比べて第1および第2絶縁部20a,20bの開口率R2,R3をタッチ電極部14などの開口率R1に近づけることができる。このため、本発明のタッチスイッチ10は、タッチ電極部14などが目立ちにくいものであった。開口率R1に対し、開口率R2やR3が従来の開口率Rよりも離れる場合があるが、絶縁部20が蛇行しているため、従来に比べてタッチ電極部14などが目立ちにくくなっている。絶縁部20が金属線18a,18bと同一方向に蛇行することによって、絶縁部20が認識しにくくなるためである。従来に比べて、タッチ電極部14などの設計の自由度が高くなり、製造し易くなる。
【0045】
WaとWbの調節の仕方によっては、表1や表2のように開口率を近づけるのが難しい場合がある。その場合、絶縁部20に第3金属線18cを設ける(図9)。第3金属線18cはタッチ電極部14および引き出し配線部16には接続されず、絶縁されたものである。第3金属線18cは、タッチ電極部14や引き出し配線部16の金属線18a,18bと同じ材料で、同時に形成される。第3金属線18cは、第1または第2金属線18a,18bと平行であり、絶縁部20の中心に配置される。
【0046】
具体的には、第3金属線18cは、第1絶縁部20aまたは第2絶縁部20bのいずれかに設ける(図9(a))。また、第3金属線18cを第1絶縁部20aと第2絶縁部20bに設け、連続させる(図9(b))。さらに、第1絶縁部20aと第2絶縁部20bに別個に第3金属線18cを設けたり(図10(a))、複数の金属線が直列に並ぶようにして第3金属線18cを形成したりしても良い(図10(b))。第3金属線18cを設けてタッチスイッチ10の全域の開口率を均一にする。
【0047】
図11のように第2絶縁部20bに第3金属線18cを設けたとする。第3金属線18cの幅をLD、線長をWDとすると、図11における第2絶縁部20bの開口率R3Dは数式5のようになる。
【0048】
【数5】
【0049】
ここで、第1絶縁部20aにある第3金属線18cの線長をWDa、第2絶縁部20bにある第3金属線18cの線長をWDbとし、数式5を使用した開口率を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
第2絶縁部20bに第3金属線18cを設けることによって、絶縁部20の開口率をタッチ電極部14などの開口率に近づけることができる。このことは第2絶縁部20bに限定されず、第1絶縁部20aにおいても同様である。タッチスイッチ10の全域で開口率がほぼ均一となり、タッチ電極14および引き出し配線部16が目立ちにくくなる。
【0052】
表4では第3金属線18cの幅を第1および第2金属線18a,18bの幅と同じにしているが、第3金属線18cの幅を第1および第2金属線18a,18bの幅と異ならせても良い。
【0053】
図9〜図11では絶縁部20に第3金属線18cを設けたが、タッチ電極部14や引き出し配線部16のように、第3金属線18cで網目形状を形成しても良い。絶縁部20の幅が広い場合に第3金属線18cで網目形状を形成し、開口率を調節する。
【0054】
また、絶縁部20に第3金属線18cを設ける以外に、タッチ電極部14、引き出し配線部16、またはその両方にある金属線18a,18bの幅を変化させて、開口率を調節しても良い。調節される金属線18a,18bは、タッチ電極部14や引き出し配線部16の縁部にある金属線18a,18bであり、第1金属線18aと第2金属線18bの少なくとも1つの幅を変化させる。タッチスイッチ10の全域の開口率が均一になるようにする。
【0055】
さらに、第1金属線18aと第2金属線18bの線幅を変化させる以外に、第3金属線18cの幅を変化させても良い。第1〜3金属線18a,18b,18cの少なくとも1つの幅を適宜変更して、タッチスイッチ10の全域の開口率が均一になるようにする。
【0056】
以上の説明は、タッチ電極部14と引き出し配線部16の第1金属線18aがいずれも第1方向αを向き、第2金属線18bがいずれも第2方向βを向いていたが、第1金属線18a同士の方向は異なっても良い。また、第2金属線18b同士の方向は異なっても良い。すなわち、本願発明は、タッチ電極部14と引き出し配線部16において、(1)第1金属線18aの方向と第2金属線18bの方向がいずれも一致する構成、(2)第1金属線18aの方向が異なり、第2金属線18bの方向が一致する構成、(3)第1金属線18aの方向が一致し、第2金属線18bの方向が異なる構成、(4)第1金属線18aの方向と第2金属線18bの方向のいずれもが異なる構成、(5)上記の(1)〜(4)の少なくとも2つを組み合わせた構成が挙げられる。
【0057】
タッチ電極部14と引き出し配線部16において、第1金属線18aの方向、第2金属線18bの方向、またはその両方の方向を異ならせても、上記の実施形態と同様に、絶縁部20は蛇行される。蛇行する角度は、金属線18a,18bの方向によって変化する。また、絶縁部20の幅を調節したり、第3金属線18cを設けたりして、タッチスイッチ10の光の透過率が均一になるようにする。さらに、第1金属線18a、第2金属線18b、第3金属線18cの少なくとも1つの幅を適宜変更し、光の透過率を調節しても良い。絶縁部20の幅が広くなりすぎる箇所には、第3金属線18cを網目状にしても良い。
【0058】
タッチスイッチ10は、ディスプレイの前面に配置することを前提として説明したが、不透明なタッチデジタイザに適用することも可能である。
【0059】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0060】
10:タッチスイッチ
12:透明基板
14:タッチ電極部
16:引き出し配線部
18a,18b,18c:金属線
20,20a,20b:絶縁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、指やペンなどでタッチされた位置を検出するタッチスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より種々のタッチスイッチが開発・開示されている。タッチスイッチはディスプレイの前面に配置されるため、透明にされる。そのため、タッチスイッチに使用される電極はITOなどの透明電極が使用される。
【0003】
しかし、金属に比べてITOの抵抗率は高い。タッチスイッチのサイズが大型化すると、抵抗値の増加に伴い静電容量検出の感度が低下し、タッチスイッチとして動作させるのが困難になる。また、ITOに含まれるインジウムは希少金属であるため、ITOの使用を避けることが好ましい。
【0004】
そこで、金属線で電極を形成したタッチスイッチが下記特許文献1〜3に開示されている。金属線が極細線であるため、タッチスイッチの光透過率を落としにくい。金属線はITOよりも抵抗が低く、タッチスイッチの大型化が可能である。
【0005】
透明基板の上に複数のタッチ電極部を縦横に並べたタッチスイッチがある(特許文献4など)。タッチ電極部から引き出し配線部が透明基板の端部に延びている。特許文献4の図7に示されるタッチスイッチはITOが使用されているが、特許文献1〜3の金属線を適用することが可能である。この場合、図12、図13のように、透明基板52の上にタッチ電極部54と引き出し配線部56が形成されたタッチスイッチ50となる。タッチ電極部54と引き出し配線部56は金属線58を網目状にしたものである。タッチ電極部54同士の間、引き出し配線部56同士の間、タッチ電極部54と引き出し配線部56との間は、金属線58を形成せず、絶縁部60となる。
【0006】
しかし、絶縁部60には金属線58がないため、タッチ電極部54や引き出し配線部56との光透過率の差が大きくなる。また、絶縁部60の面積も、タッチスイッチ50の端部にいくにしたがって、図13(a)から図13(b)のように増加し、金属線58の密度が低くなる。このため、ディスプレイの前面にタッチスイッチ50を配置し、特にディスプレイで均一な色彩の表示がおこなわれると、タッチ電極部54や引き出し配線部56が視認され、ディスプレイの表示品位が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−344163号公報
【特許文献2】特開2004−192093号公報
【特許文献3】特開2003−256136号公報
【特許文献4】国際公開番号WO2005/114369
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ディスプレイの表示品位低下を防止できるタッチスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のタッチスイッチは、基板と、前記基板の一面に金属線で網目状にして形成された複数のタッチ電極部と、前記基板の一面に金属線で網目状にして形成され、それぞれのタッチ電極部から基板の端部に引き出された引き出し配線部と、前記タッチ電極部同士の間、引き出し配線部同士の間、およびタッチ電極部と引き出し配線部との間に蛇行をするように形成された絶縁部とを備える。
【0010】
基板の上に金属線を網目状にして形成されたタッチ電極部と引き出し配線部とを有する。タッチ電極部同士などを絶縁するための絶縁部は蛇行している。
【0011】
前記タッチ電極部の金属線が、第1方向を向いた第1金属線と第2方向を向いた第2金属線を備え、前記引き出し配線部の金属線が、第1方向を向いた第1金属線と第2方向を向いた第2金属線を備える。第1金属線と第2金属線によって網目状にする。
【0012】
前記絶縁部は、第1方向を向いた帯状の第1絶縁部と第2方向を向いた帯状の第2絶縁部をつなぎ合わせて構成される。絶縁部が蛇行する方向は第1方向と第2方向である。
【0013】
前記絶縁部の幅よりもタッチ電極部および引き出し配線部の金属線同士の間が広い。タッチ電極部などの金属線同士の幅を広げ、光が透過しやすい絶縁部の開口率と同じようにする。
【0014】
前記タッチ電極部と引き出し配線部から絶縁された第3金属線を絶縁部に設ける。絶縁部に金属線を設けて、絶縁部の開口率をタッチ電極部などの開口率と同じになるようにする。また、絶縁部の幅によっては、第3金属線で網目形状にする。
【0015】
前記タッチ電極部と引き出し配線部の縁部に配置された第1金属線の幅、第2金属線の幅、第3金属線の幅の少なくとも1つが変化する。金属線の幅を調節して、絶縁部の開口率をタッチ電極部などの開口率と同じになるようにする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記構成によりタッチスイッチ全域で光の透過率を均一化することができる。ディスプレイの前面にタッチスイッチを配置しても、表示品位を下げにくい。従来と比べて、特にディスプレイで均一な色彩を表示したときに、タッチスイッチのタッチ電極部や引き出し配線部が視認されにくい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のタッチスイッチのタッチ電極部および引き出し配線部の一例を示す図である。
【図2】金属線によってタッチ電極部と引き出し配線部とを構成した図である。
【図3】図1のx方向に延びる絶縁部を示す図であり、(a)は蛇行する割合の多い絶縁部であり、(b)は蛇行する割合が少ない絶縁部であり、(c)は第1絶縁部と第2絶縁部の幅が異なる図である。
【図4】図1のy方向に延びる絶縁部を示す図であり、(a)は蛇行する割合の多い絶縁部であり、(b)は蛇行する割合が少ない絶縁部であり、(c)は第1絶縁部と第2絶縁部の幅が異なる図である。
【図5】図1のy方向に延びる絶縁部であり、絶縁部ごとに幅が異なる図である。
【図6】数式1〜3を使用して開口率を求める図であり、(a)は第1絶縁部を示し、(b)は第2絶縁部を示す図である。
【図7】金属線のピッチを示す図である。
【図8】従来のタッチスイッチの開口率を求める図である。
【図9】絶縁部に金属線を設けた図であり、(a)は幅広の絶縁部に金属線が設けられ、(b)は連続した金属線を示す図である。
【図10】絶縁部に金属線を設けた図であり、(a)は第1および第2絶縁部にそれぞれ金属線が設けられ、(b)は複数の金属線が直列に並んだ場合を示す図である。
【図11】数式5を使用して開口率を求める図であり、(a)は第1絶縁部を示し、(b)は第2絶縁部を示す図である。
【図12】従来のタッチスイッチのタッチ電極部および引き出し配線部の一例を示す図である。
【図13】従来のタッチ電極部と引き出し配線部の平面図であり、(a)はタッチ電極部と引き出し配線部の接続を示し、(b)は引き出し配線部が並べられた箇所を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のタッチスイッチについて図面を使用して説明する。図面は模式的に示しており、実物とは異なる場合がある。説明するタッチスイッチは静電容量式のタッチスイッチである。
【0019】
図1のタッチスイッチ10は、絶縁性の透明基板12、透明基板12の一面に形成されたタッチ電極部14、および透明基板12の一面に形成された引き出し配線部16を備える。
【0020】
透明基板12は誘電体基板である。透明基板12の材料は、ガラス、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレートなどの透明材料が挙げられる。ガラスであれば厚みは約0.1〜5mmであり、プラスチックであれば厚みは約10〜4000μmである。また、これらの材料を多層に積層してもよい。説明中、透明基板12の横方向をx方向、縦方向をy方向とする。
【0021】
透明基板12の一面にタッチ電極部14と引き出し配線部16が形成され、他面がディスプレイと接する。透明基板12の一面側には、タッチ電極部14と引き出し配線部16を覆うように、透明接着剤を使用して透明のカバーフィルムが取り付けられる。カバーフィルム以外に透明の樹脂またはガラスを積層して保護膜としても良い。ディスプレイに透明基板12を取り付けるとき、他面とディスプレイとの間に透明接着剤を使用しても良い。
【0022】
接着剤としては、アクリル系の接着剤、アクリルウレタン系の接着剤、ポリエステルアクリレート系の接着剤、エポキシアクリレート系の接着剤などの透明接着剤を挙げることができる。またタッチ電極部14を、ディスプレイに接する面に設けることも可能である。
【0023】
タッチ電極部14は、図2に示すように、第1方向αを向いた第1金属線18aと第2方向βを向いた第2金属線18bとを網目状にしたものである。網目状の具体例としては、金属線18a,18bを交差させた形状が挙げられる。金属線18a,18bは極細線である。金属線18a,18b同士は等間隔に並べられる。タッチ電極部14は、透明基板12の一面に縦横に並べられる。指などが近接またはタッチされた位置にあるタッチ電極部14の静電容量が変化し、その変化を検出することによって、タッチスイッチとして動作する。静電容量を検出できるのであれば、タッチ電極部14は方形に限定されない。
【0024】
引き出し配線部16は、タッチ電極部14と同様に第1方向αを向いた第1金属線18aと第2方向βを向いた第2金属線18bとを網目状にしたものである。金属線18a,18bは極細線である。金属線18a,18b同士は等間隔に並べられる。引き出し配線部16は、タッチ電極部14から透明基板12の端部に延びるようにして形成される。透明基板12の端部でタッチ電極部14の静電容量の変化を検出する検出回路に接続される。
【0025】
なお、図1においては、引き出し配線部16は透明基板12の端部から延びているが、特許文献4の図7のように、対向する両端部から延びる場合もある。したがって、説明中、透明基板12の端部から中央部に向かうことは、検出回路に接続される部分から離れることである。
【0026】
タッチ電極部14および引き出し配線部16は、全ての金属線18a,18bが網目状になってつながっている。タッチ電極部14および引き出し配線部16はその領域全体として導電性を有する。
【0027】
ディスプレイには縦横にブラックマトリクスが形成されている。金属線18a,18bの方向は、ブラックマトリクスの方向に対して斜方向になるようにする。ブラックマトリクスと金属線18a,18bが同方向に並ぶとモアレが発現するため、それを避けるためである。金属線18a,18bの方向は、例えばブラックマトリクスに対して、約65°の角度を有するようにする。
【0028】
金属線18a,18bの形成方法は、(i)極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを透明基板12の上にスクリーン印刷する方法(特開2007−142334等参照)、(ii)銅などの金属箔を透明基板12の上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法(特開2008−32884等参照)が挙げられる。
【0029】
また、金属線18a,18bの形成方法は、上記(i)、(ii)の形成方法に限定されることはない。上記(i)以外のグラビア印刷などの印刷法や上記(ii)以外のフォトリソグラフィを使用してもよい。
【0030】
タッチ電極部14同士および引き出し配線部16同士は絶縁する必要がある。また、タッチ電極部14とそのタッチ電極部14から延びていない引き出し配線部16も絶縁する必要がある。したがって、それらの間にはタッチ電極部14などと導通する部材を設けず、絶縁部20とする。
【0031】
タッチ電極部14や引き出し配線部16の外縁は金属線18a,18bである。したがって、絶縁部20は第1方向αと第2方向βを向きながら蛇行する。ここで、第1方向を向いた帯状の部分を第1絶縁部20a、第2方向βを向いた帯状の部分を第2絶縁部20bとする(図3〜5)。絶縁部20は第1絶縁部20aと第2絶縁部20bが連続した形状であり、絶縁基板12のx方向またはy方向に延びるように蛇行する。なお、実際の第1絶縁部20aと第2絶縁部20bは非常に微細であるが、金属線18a,18bに比べて非常に幅広であるため、帯状と記載する。
【0032】
絶縁部20の一例としては、絶縁基板12のx方向、y方向に対する金属線18a,18bの角度によって、蛇行する割合を異ならせる(図3(a)、(b))。絶縁部20が延びる方向が異なっても同様である(図4(a)、(b))。また、第1絶縁部20aの幅と第2絶縁部20bの幅が、異なるようにしても良い(図3(c)、図4(c))。さらに、絶縁部20ごとに幅を変更しても良い(図5)。
【0033】
絶縁部20が蛇行する方向が金属線18a,18bの方向と同じであり、絶縁部20が目立ちにくくなる。タッチ電極部14および引き出し配線部16が視認しにくくなる。タッチスイッチ10をディスプレイの前面に配置した場合、ディスプレイの表示品位を低下させにくくなる。
【0034】
また、絶縁部20の幅は、タッチ電極部14および引き出し配線部16の金属線18a,18b同士の間よりも狭くする。これは、絶縁部20には金属線18a,18bが無く、タッチ電極部14と引き出し配線部16よりも光透過率が高くなるためである。
【0035】
ここで、図6を使用して絶縁部20の幅を調節するために、タッチスイッチ10の開口率について説明する。なお、絶縁部20は金属線18a,18bを含まないが、説明の便宜上、絶縁部20に隣接する金属線18a,18bを含めて開口率を説明する。
【0036】
図7に示すように、絶縁部20において、金属線18a,18bの中心同士の距離(ピッチ)をWaとWbとする。Waは第1絶縁部20aを介しており、Wbは第2絶縁部20bを介している。また、タッチ電極部14と引き出し配線部16の金属線18a,18bのピッチをP、金属線18a,18bの幅をLとする。図6の場合、タッチ電極部14と引き出し配線部16の開口率をR1、第1絶縁部20aの開口率をR2、第2絶縁部20bの開口率をR3とすると、下記の数式で表される。
【0037】
【数1】
【数2】
【数3】
【0038】
上記の数式1〜3を使用して、y方向を向くように形成した絶縁部20の開口率の例を表1に、x方向を向くように形成した絶縁部20の開口率の例を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
さらに、比較のために従来のタッチスイッチ50の開口率を求める。従来の絶縁部60は直線状である。図8は従来のタッチスイッチ60の一部分であり、絶縁部60の幅をW、絶縁基板12の横方向(または縦方向)に対する金属線58の角度をθとすると、図8の絶縁部60の開口率Rは数式4で導かれる。また、数式4を使用した開口率の例を表3に示す。
【0042】
【数4】
【0043】
【表3】
【0044】
WaとWbを調節することによって、従来に比べて第1および第2絶縁部20a,20bの開口率R2,R3をタッチ電極部14などの開口率R1に近づけることができる。このため、本発明のタッチスイッチ10は、タッチ電極部14などが目立ちにくいものであった。開口率R1に対し、開口率R2やR3が従来の開口率Rよりも離れる場合があるが、絶縁部20が蛇行しているため、従来に比べてタッチ電極部14などが目立ちにくくなっている。絶縁部20が金属線18a,18bと同一方向に蛇行することによって、絶縁部20が認識しにくくなるためである。従来に比べて、タッチ電極部14などの設計の自由度が高くなり、製造し易くなる。
【0045】
WaとWbの調節の仕方によっては、表1や表2のように開口率を近づけるのが難しい場合がある。その場合、絶縁部20に第3金属線18cを設ける(図9)。第3金属線18cはタッチ電極部14および引き出し配線部16には接続されず、絶縁されたものである。第3金属線18cは、タッチ電極部14や引き出し配線部16の金属線18a,18bと同じ材料で、同時に形成される。第3金属線18cは、第1または第2金属線18a,18bと平行であり、絶縁部20の中心に配置される。
【0046】
具体的には、第3金属線18cは、第1絶縁部20aまたは第2絶縁部20bのいずれかに設ける(図9(a))。また、第3金属線18cを第1絶縁部20aと第2絶縁部20bに設け、連続させる(図9(b))。さらに、第1絶縁部20aと第2絶縁部20bに別個に第3金属線18cを設けたり(図10(a))、複数の金属線が直列に並ぶようにして第3金属線18cを形成したりしても良い(図10(b))。第3金属線18cを設けてタッチスイッチ10の全域の開口率を均一にする。
【0047】
図11のように第2絶縁部20bに第3金属線18cを設けたとする。第3金属線18cの幅をLD、線長をWDとすると、図11における第2絶縁部20bの開口率R3Dは数式5のようになる。
【0048】
【数5】
【0049】
ここで、第1絶縁部20aにある第3金属線18cの線長をWDa、第2絶縁部20bにある第3金属線18cの線長をWDbとし、数式5を使用した開口率を表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
第2絶縁部20bに第3金属線18cを設けることによって、絶縁部20の開口率をタッチ電極部14などの開口率に近づけることができる。このことは第2絶縁部20bに限定されず、第1絶縁部20aにおいても同様である。タッチスイッチ10の全域で開口率がほぼ均一となり、タッチ電極14および引き出し配線部16が目立ちにくくなる。
【0052】
表4では第3金属線18cの幅を第1および第2金属線18a,18bの幅と同じにしているが、第3金属線18cの幅を第1および第2金属線18a,18bの幅と異ならせても良い。
【0053】
図9〜図11では絶縁部20に第3金属線18cを設けたが、タッチ電極部14や引き出し配線部16のように、第3金属線18cで網目形状を形成しても良い。絶縁部20の幅が広い場合に第3金属線18cで網目形状を形成し、開口率を調節する。
【0054】
また、絶縁部20に第3金属線18cを設ける以外に、タッチ電極部14、引き出し配線部16、またはその両方にある金属線18a,18bの幅を変化させて、開口率を調節しても良い。調節される金属線18a,18bは、タッチ電極部14や引き出し配線部16の縁部にある金属線18a,18bであり、第1金属線18aと第2金属線18bの少なくとも1つの幅を変化させる。タッチスイッチ10の全域の開口率が均一になるようにする。
【0055】
さらに、第1金属線18aと第2金属線18bの線幅を変化させる以外に、第3金属線18cの幅を変化させても良い。第1〜3金属線18a,18b,18cの少なくとも1つの幅を適宜変更して、タッチスイッチ10の全域の開口率が均一になるようにする。
【0056】
以上の説明は、タッチ電極部14と引き出し配線部16の第1金属線18aがいずれも第1方向αを向き、第2金属線18bがいずれも第2方向βを向いていたが、第1金属線18a同士の方向は異なっても良い。また、第2金属線18b同士の方向は異なっても良い。すなわち、本願発明は、タッチ電極部14と引き出し配線部16において、(1)第1金属線18aの方向と第2金属線18bの方向がいずれも一致する構成、(2)第1金属線18aの方向が異なり、第2金属線18bの方向が一致する構成、(3)第1金属線18aの方向が一致し、第2金属線18bの方向が異なる構成、(4)第1金属線18aの方向と第2金属線18bの方向のいずれもが異なる構成、(5)上記の(1)〜(4)の少なくとも2つを組み合わせた構成が挙げられる。
【0057】
タッチ電極部14と引き出し配線部16において、第1金属線18aの方向、第2金属線18bの方向、またはその両方の方向を異ならせても、上記の実施形態と同様に、絶縁部20は蛇行される。蛇行する角度は、金属線18a,18bの方向によって変化する。また、絶縁部20の幅を調節したり、第3金属線18cを設けたりして、タッチスイッチ10の光の透過率が均一になるようにする。さらに、第1金属線18a、第2金属線18b、第3金属線18cの少なくとも1つの幅を適宜変更し、光の透過率を調節しても良い。絶縁部20の幅が広くなりすぎる箇所には、第3金属線18cを網目状にしても良い。
【0058】
タッチスイッチ10は、ディスプレイの前面に配置することを前提として説明したが、不透明なタッチデジタイザに適用することも可能である。
【0059】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【符号の説明】
【0060】
10:タッチスイッチ
12:透明基板
14:タッチ電極部
16:引き出し配線部
18a,18b,18c:金属線
20,20a,20b:絶縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一面に金属線で網目状にして形成され、基板上で縦横に配列された複数のタッチ電極部と、
前記基板の一面に金属線で網目状にして形成され、それぞれのタッチ電極部から基板の端部に引き出された引き出し配線部と、
前記タッチ電極部同士の間、引き出し配線部同士の間、およびタッチ電極部と引き出し配線部との間に蛇行するように形成された絶縁部と、
を備えたタッチスイッチ。
【請求項2】
前記タッチ電極部の金属線が、第1方向を向いた第1金属線と第2方向を向いた第2金属線を備え、
前記引き出し配線部の金属線が、第1方向を向いた第1金属線と第2方向を向いた第2金属線を備えた
請求項1のタッチスイッチ。
【請求項3】
前記絶縁部が、第1方向を向いた帯状の第1絶縁部と第2方向を向いた帯状の第2絶縁部をつなぎ合わせて構成された請求項2のタッチスイッチ。
【請求項4】
前記絶縁部の幅よりもタッチ電極部および引き出し配線部の金属線同士の間が広い請求項1から3のいずれかのタッチスイッチ。
【請求項5】
前記タッチ電極部と引き出し配線部から絶縁された第3金属線を絶縁部に設けた請求項1から4のいずれかのタッチスイッチ。
【請求項6】
前記第3金属線を網目状に形成した請求項5のタッチスイッチ。
【請求項7】
前記タッチ電極部と引き出し配線部の縁部に配置された第1金属線の幅、第2金属線の幅、第3金属線の幅の少なくとも1つが変化する請求項5または6のタッチスイッチ。
【請求項1】
基板と、
前記基板の一面に金属線で網目状にして形成され、基板上で縦横に配列された複数のタッチ電極部と、
前記基板の一面に金属線で網目状にして形成され、それぞれのタッチ電極部から基板の端部に引き出された引き出し配線部と、
前記タッチ電極部同士の間、引き出し配線部同士の間、およびタッチ電極部と引き出し配線部との間に蛇行するように形成された絶縁部と、
を備えたタッチスイッチ。
【請求項2】
前記タッチ電極部の金属線が、第1方向を向いた第1金属線と第2方向を向いた第2金属線を備え、
前記引き出し配線部の金属線が、第1方向を向いた第1金属線と第2方向を向いた第2金属線を備えた
請求項1のタッチスイッチ。
【請求項3】
前記絶縁部が、第1方向を向いた帯状の第1絶縁部と第2方向を向いた帯状の第2絶縁部をつなぎ合わせて構成された請求項2のタッチスイッチ。
【請求項4】
前記絶縁部の幅よりもタッチ電極部および引き出し配線部の金属線同士の間が広い請求項1から3のいずれかのタッチスイッチ。
【請求項5】
前記タッチ電極部と引き出し配線部から絶縁された第3金属線を絶縁部に設けた請求項1から4のいずれかのタッチスイッチ。
【請求項6】
前記第3金属線を網目状に形成した請求項5のタッチスイッチ。
【請求項7】
前記タッチ電極部と引き出し配線部の縁部に配置された第1金属線の幅、第2金属線の幅、第3金属線の幅の少なくとも1つが変化する請求項5または6のタッチスイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−286886(P2010−286886A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138224(P2009−138224)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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