説明

タッチセンシング方法及びこれを用いたデバイス

【課題】センシングアレイのタッチ状態を正確に検出する。
【解決手段】本実施の形態に係るセンシング方法は、少なくとも一つの検出行を備えるセンシングアレイを検出するセンシング方法であって、前記検出行から取り出された複数の検出データ信号に応じた検出曲線を得て、前記検出曲線の曲線特性が複数の予め設定された曲線特性の一つに一致しているかを判断し、前記検出行に関連する判定結果に応じてセンシングアレイのタッチ状態を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンシング技術に関し、特にセンシングアレイのタッチセンシング方法及びタッチセンシングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、一つの物体によりタッチされるタッチセンシングアレイの検出行を示す。図1を参照すると、検出行10は、一列に配置された複数の検出セルC1−1〜C1−14からなる。一般に、検出行10の一つのタッチ検出操作は、検出行10から読み出される一連の検出データ信号を生成する。例えば、一つの物体11(例えば、一つのタッチポイントである指など)が検出行10の検出セルC1−6とC1−7に近い位置に接触した場合、検出セルC1−1〜C1−14から読み出される検出データ信号の強度は、ガウス曲線によって表わされる。
【0003】
応用分野では、検出行10が複数の物体によってタッチされるものもある。図2を参照すると、一つの物体20が検出行10の検出セルC1−4に近い位置に接触する一方で、他の物体21が検出行10の検出セルC1−8に近い位置に接触している。検出セルC1−1〜C1−14から読み出される検出データ信号の強度は、二つのガウス曲線によって表わされる。
【0004】
従来技術では、ガウス曲線に従って、検出行10がタッチされたときに生成される実際のデータは干渉ノイズと区別される。一般に、読み出されたデータを判定するために最小閾値が設定される。しかしながら、検出行10のタッチされたエリアが比較的小さい場合、検出行10がタッチされたときに生成される実際のデータは干渉ノイズとして扱われる可能性がある。このため、このような状況では、ガウス曲線の最小閾値を設定することは現実的な意味がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許出願公開第I269997号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、センシングアレイに接触する物体の位置などのような、センシングアレイのタッチ状態を正確に検出することが可能なタッチセンシング方法及びタッチセンシングデバイスを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態に係るセンシングアレイを検出する検出方法が提供される。センシングアレイは、少なくとも一つの検出行を備える。この検出方法か、以下のステップを備える。前記検出行から取り出された複数の検出データ信号に応じた検出曲線を得る。前記検出曲線の曲線特性が複数の予め設定された曲線特性の一つに一致しているかを判定する。前記検出行に関連する判定結果に応じてセンシングアレイのタッチ状態を得る、
【0008】
いくつかの実施の形態では、前記複数の検出データ信号は、前記検出行の前記複数の検出セルに関する容量値を表わす。さらに、前記検出行の接触状態は、少なくとも一つの物体によって前記センシングアレイが接触されたか、前記センシングアレイに接触する物体の数、少なくとも一つの物体が前記センシングアレイに接触したときの前記センシングアレイにおける当該物体の位置、少なくとも一つの物体が前記検出行に接触したときの前記検出行における接触面積、のうちの少なくとも一つを含む。
【0009】
実施の形態に係るセンシングアレイを検出するセンシングデバイスが提供される。センシングアレイは、少なくとも一つの検出行を備える。前記センシングデバイスは、演算ユニット、判定ユニット、検出ユニットを備える。演算ユニットは、前記検出行から取り出された複数の検出データ信号に応じた検出曲線を得る。判定ユニットは、前記検出曲線の曲線特性が複数の予め設定された曲線特性の一つに一致しているかを判定する。検出ユニットは、前記検出行に関連する判定結果に応じてセンシングアレイのタッチ状態を得る。
【0010】
いくつかの実施の形態では、前記複数の検出データ信号は、前記検出行の前記複数の検出セルに関する容量値を表わす。さらに、演算ユニットは、複数の検出信号のうち二つの検出データ信号ごとの差を算出し、複数の差分値を得る。判定ユニットは、前記複数の差分値に応じた前記検出曲線を得る、
【0011】
いくつかの他の実施の形態では、前記検出行の接触状態は、少なくとも一つの物体によって前記センシングアレイが接触されたか、前記センシングアレイに接触する物体の数、少なくとも一つの物体が前記センシングアレイに接触したときの前記センシングアレイにおける当該物体の座標、少なくとも一つの物体が前記センシングアレイに接触したときの前記センシングアレイにおける接触面積のうちの少なくとも一つを含む。
【発明の効果】
【0012】
タッチセンシングデバイス及びタッチセンシング方法によれば、検出されるべき検出行に関する検出曲線の特性は、予め設定された曲線の特性と比較される。曲線の特性の比較結果によってセンシングアレイの検出における干渉ノイズの影響を低減することができ、センシングアレイのタッチ状態の検出の精度を高めることができる。
【0013】
以下の実施の形態において添付の図面を参照して詳細な説明がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、添付図面を参照して、以下の詳細な説明及び実施例を読むことにより、より詳しく理解されうる。
【図1】一つの物体によりタッチされたタッチセンシングアレイの検出行を示す図である。
【図2】二つの物体によりタッチされたタッチセンシングアレイの検出行を示す図である。
【図3】実施の形態に係るセンシングデバイスを示す図である。
【図4】図3の実施の形態に係るセンシングアレイを示す図である。
【図5A】検出行のタッチ状態を示す図である。
【図5B】図5Aのタッチ状態に対応する差分値を示す図である。
【図5C】図5Aのタッチ状態に対応するプロファイル型を示す図である。
【図6A】他のタッチ状態に対応する差分値を示す図である。
【図6B】図6Aの差分値に対応するプロファイル型を示す図である。
【図7A】他のタッチ状態に対応する差分値を示す図である。
【図7B】図7Aの差分値に対応するプロファイル型を示す図である。
【図8A】他のタッチ状態に対応する差分値を示す図である。
【図8B】図8Aの差分値に対応するプロファイル型を示す図である。
【図9A】他のタッチ状態に対応する差分値を示す図である。
【図9B】図9Aの差分値に対応するプロファイル型を示す図である。
【図10A】他のタッチ状態に対応する差分値を示す図である。
【図10B】図10Aの差分値に対応するプロファイル型を示す図である。
【図11A】他のタッチ状態に対応する差分値を示す図である。
【図11B】図11Aの差分値に対応するプロファイル型を示す図である。
【図12】実施の形態に係るセンシング方法を示すフローチャートである。
【図13A】検出行のタッチ状態を示す図である。
【図13B】図13Aのタッチ状態に対応する差分値を示す図である。
【図13C】図13Aの検出データ信号に対応するプロファイル型を示す図である。
【図14A】検出行のタッチ状態の他の例を示す図である。
【図14B】図14Aのタッチ状態に対応する差分値を示す図である。
【図14C】図14Aの検出データ信号に対応するプロファイル型を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、本発明を実施する最良の形態である。この説明は本発明の一般原理を説明する目的でなされており、限定する意味でとってはならない。本発明のスコープは、添付の特許請求の範囲を参照することにより規定される。
【0016】
図3は、実施の形態に係るセンシングデバイスを示す。図3を参照すると、センシングデバイス3は、センシングアレイ4に加えられるタッチ状態を検出する。図4は、図3の実施の形態に係る検出行を示す。図4に示すように、センシングアレイ4は、検出行4−1〜4−N(Nは正の整数)を備え、夫々の検出行は複数のセルを有する。例えば、検出行4−1は、検出セルC4−1〜C4−M(Mは正の整数)を備える。
【0017】
センシングデバイス3は、演算ユニット30、判定ユニット31、検出ユニット32を備える。判定ユニット31は、予め設定された曲線の特性の差分タイプを記憶するメモリ310、曲線処理装置311を備える。実施の形態では、予め設定された曲線の特性はプロファイル型(profile form)であり、プロファイル型は干渉ノイズに影響を受けない差分値によって得られる。
【0018】
図5A〜5Cは、検出行のタッチ状態と、タッチ状態に対応した差分値及びプロファイル型を示す。図5Aは、検出行5のタッチ状態を示す。検出行5は、複数の検出セルC5−1〜C5−Mを有しているものとする。タッチ状態の検出が干渉ノイズによる影響を受けない場合、一つの物体50(一つのタッチポイントである指など)が検出行5の検出セルC5−6に対応する位置に接触したとき、検出セルC5−1〜C5−Mから読み出される検出データ信号は、ガウス曲線G50によって表わされる。
【0019】
このとき、複数の差分値が検出データ信号のなかの二つの検出データ信号毎の差に応じて得られる。図5Bに示す差分値D5−1〜D5−4は、一つの物体50が検出行5に接触したときの有意の差分値である。例えば、差分値D5−1は、検出セルC5−5、C5−6の検出データ信号間の差であり、差分値D5−2は、検出セルC5−6、C5−7の検出データ信号間の差である。図5Cに示すように、検出曲線P50は、差分値D5−1〜D5−4から得られる。
【0020】
実施の形態では、プロファイル型は以下の六つの幾何学符号により表わされうる。
(1)三角形▲は、対応する差分値が全て正であり、プロファイル型において左から右に向かって増加した後減少する、フルレンジ(full range)を表わす。
(2)反転三角形▼は、対応する差分値が全て負であり、プロファイル型において、左から右に向かって減少した後増加する、フルレンジを表わす。
【0021】
(3)白抜き三角形△は、対応する差分値が全て正であり、プロファイル型において左から右に向かって減少する、ハーフレンジ(half range)を表わす。
(4)反転白抜き三角形▽は、対応する差分値が全て負であり、プロファイル型において左から右に向かって増加する、ハーフレンジ(half range)を表わす。
【0022】
(5)二つの三角形▲▲は、対応する差分値が全て正であり、二つのフルレンジの二つのピークポイントを表わす。
(6)二つの反転三角形▼▼は、対応する差分値が全て負であり、二つのフルレンジの二つのピークポイントを表わす。
【0023】
図5B〜5Cを参照すると、一つのタッチポイント(一つの物体50の接触)が発生すると、二つの負の差分値D5−1〜D5−2と、二つの正の差分値D5−3〜D5−4が生成される。この場合、差分値D5−1〜D5−4から得られる検出曲線P50のプロファイル型は、▽△で表わされる。
【0024】
図6A〜6Bを参照すると、他のタイプに対応する一連の差分値とこれに対応するプロファイル型が示される。一つのタッチポイントが発生すると、二つの負の差分値D6−1〜D6−2と、三つの正の差分値D6−3〜D6−5が生成される。この場合、差分値D6−1〜D6−5から得られる検出曲線P60のプロファイル型は、▽▲で表わされる。
【0025】
図7A〜7Bを参照すると、他のタイプに対応する一連の差分値とこれに対応するプロファイル型が示される。一つのタッチポイントが発生すると、三つの負の差分値D7−1〜D7−3と、二つの正の差分値D7−4〜D7−5が生成される。この場合、差分値D7−1〜D7−5から得られる検出曲線P70のプロファイル型は、▲△で表わされる。
【0026】
図8A〜8Bを参照すると、他のタイプに対応する一連の差分値とこれに対応するプロファイル型が示される。一つのタッチポイントが発生すると、三つの負の差分値D8−1〜D8−3と、三つの正の差分値D8−4〜D8−6が生成される。この場合、差分値D8−1〜D8−6から得られる検出曲線P80のプロファイル型は、▲▼で表わされる。
【0027】
図9A〜9Bを参照すると、他のタイプに対応する一連の差分値とこれに対応するプロファイル型が示される。二つのタッチポイントが発生すると、五つの負の差分値D9−1〜D9−5と、五つの正の差分値D9−6〜D9−10が生成される。この場合、差分値D9−1〜D9−10から得られる検出曲線P90のプロファイル型は、▼▼▲で表わされる。図9Bによれば、曲線の前半に差分値D9−2、D9−5にそれぞれ対応する二つのピークポイントが存在する。
【0028】
図10A〜10Bを参照すると、他のタイプに対応する一連の差分値とこれに対応するプロファイル型が示される。二つのタッチポイントが発生すると、五つの負の差分値D10−1〜D10−5と、五つの正の差分値D10−6〜D10−10が生成される。この場合、差分値D10−1〜D10−10から得られる検出曲線P10のプロファイル型は、▼▲▲で表わされる。図10Bによれば、曲線の後半に差分値D10−6、D10−8にそれぞれ対応する二つのピークポイントが存在する。
【0029】
図11A〜11Bを参照すると、他のタイプに対応する一連の差分値とこれに対応するプロファイル型が示される。二つのタッチポイントが発生すると、五つの負の差分値D11−1〜D11−5と、五つの正の差分値D11−6〜D11−10が生成される。この場合、差分値D11−1〜D11−10から得られる検出曲線P11のプロファイル型は、▼▼▲▲で表わされる。図11Bによれば、曲線の前半に差分値D11−2、D11−5にそれぞれ対応する二つのピークポイントが存在し、曲線の後半に差分値D11−6、D11−9にそれぞれ対応する二つのピークポイントが存在する。
【0030】
判定ユニット31のメモリ310は、予め設定されたプロファイル型として用いる前に、少なくとも、図5B、6B、7B、8B、9B、10B、11Bのプロファイル型P50、P60、P70、P80、P90、P10、P11を記憶する。
【0031】
図12は、センシングデバイス3のタッチセンシング方法の実施の形態を示す。図3〜4、12を参照すると、演算ユニット30は、センシングアレイ4に接続されている。演算ユニット30は、検出行4−1〜4−Nから一つの検出行を選択し、検出操作のため検出されるべき検出行として用いる(ステップS10)。例えば、検出行4−1が選択され、検出される検出行として用いられる。検出行4−1に実行される検出操作が以下に説明される。
【0032】
演算ユニット30は、検出行4−1の検出セルC4−1〜C4−Mからの検出データ信号S4−1〜S4−Mを取り出す(ステップS11)。検出データ信号S4−1〜S4−Mは、それぞれ検出セルC4−1〜C4−Mに関する容量値を示す。容量値は、検出セルC4−1〜C4−Mに近づく物体によって変化する。演算ユニット30は、検出データ信号S4−1〜S4−Mの二つの検出データ信号毎に差を算出し、差分値D4−1〜4−Xを得る(Xは正の整数であり、1<X<Mである)(ステップS12)。演算ユニット30は、差分値D4−1〜D4−Xに応じて検出行4−1に対応する検出曲線P40を得る(ステップS13)。
【0033】
例えば、図13A〜図13Cを参照すると、検出行のタッチ状態、検出データ信号に対応する差分値及びプロファイル型の実施の形態が示される。一つの物体130(一つのタッチポイントである指など)が検出行4−1の検出セルC4−6とC4−7の近くの位置に接触したとき、検出セルC4−1〜C4−Mから読み出される検出データ信号S4−1〜S4−Mの強度は、ガウス曲線G130によって表わされうる。
【0034】
演算ユニット30は、検出行4−1の検出セルC4−1〜C4−Mから検出データ信号S4−1〜S4−Mを取り出し(ステップS11)、検出データ信号S4−1〜S4−Mのうち2つの検出データ信号毎に差を算出し、差分値D4−1〜D4−Xを得る(ステップS12)。図13Bに示す差分値D4−1〜D4−5は、一つの物体130が検出行4−1に接触したときの有意な差分値である。
【0035】
例えば、差分値D4−1は、検出セルC4−5、C4−6の検出データ信号S4−5、S4−6間の差であり、差分値D4−2は検出セルC4−6、C4−7の検出データ信号S4−6、S4−7間の差である。演算ユニット30は、差分値D4−1〜D4−5に応じて、検出行4−1に対応する検出曲線P40を得る(ステップS13)。図13Cに示すように、この場合、検出曲線P40のプロファイル型は▽▲で表される。
【0036】
応用分野では、検出行4−1は、複数の物体によってタッチされる。図14A〜14Cを参照すると、検出行のタッチ状態、検出データ信号に対応する差分値及びプロファイル型の他の実施の形態が示される。例えば、一つの物体140(指など)が検出行4−1の検出セルC4−4の近くの位置に接触し、他の物体141(指など)が検出行4−1の検出セルC4−8の近くの位置に接触したとき、検出セルC4−1〜C4−Mから読み出される検出データ信号S4−1〜S4−Mの強度は、2つのガウス曲線G140、G141によって表わされうる。
【0037】
演算ユニット30は、検出行4−1の検出セルC4−1〜C4−Mから検出データ信号S4−1〜S4−Mを取り出し(ステップS11)、検出データ信号S4−1〜S4−Mのうち2つの検出データ信号毎に差を算出し、差分値D4−1〜D4−Xを得る(ステップS12)。図14Bに示す差分値D4−1〜D4−10は、二つの物体140、141が検出行4−1に接触したときの有意な差分値である。例えば、差分値D4−1は、検出セルC4−1、C4−2の検出データ信号S4−1、S4−2間の差である。
【0038】
演算ユニット30は、差分値D4−1〜D4−10に応じて、検出行4−1に対応する検出曲線P40を得る(ステップS13)。図14Cに示すように、本実施の形態では、二つの物体140、141(二つのタッチポイント)が検出行4−1に接触したとき、曲線の二つの半分のそれぞれに二つのピークポイントが存在する。
【0039】
例えば、差分値D4−2〜D4−5にそれぞれ対応する曲線の前半に二つのピークポイントが存在し、差分値D4−7〜D4−9にそれぞれ対応する曲線の後半に二つのピークポイントが存在する。しかしながら、二つのタッチポイントが発生する他の場合では、曲線の二つの半分(曲線の前半又は後半)の一方のみに二つのピークが存在する。
【0040】
検出行4−1に対応する検出曲線が得られた後、判定ユニット31の曲線処理装置311は検出曲線のノイズ除去演算(perfection operationともいう)を実行することができる(ステップS14)。ノイズ除去演算は、従来の曲線を完全にする方法(検出曲線のノイズが除去され明確になるもの)に限られない。
【0041】
実施の形態では、曲線処理装置311は、夫々の検出曲線に対してノイズ除去演算を実行しないこともある。すなわち、ステップS14は省略可能である。そして、判定ユニット31は、検出曲線P40のプロファイル型(▽▲/▼▼▲▲)がメモリ310に保存された検出曲線P50、P60、P70、P80、P90、P10、P11のプロファイル型の一つと一致するか判断される(ステップS15)。
【0042】
判定ユニット31が、検出行4−1に対応する検出曲線P40のプロファイル型がメモリ310に保存された検出曲線P50、P60、P70、P80、P90、P10、P11のプロファイル型の一つと一致すると判断した場合、判定ユニット31は検出ユニット32に判定結果を通知する。判定結果は、検出行4−1に対応する検出曲線P40が一つの予め設定されたプロファイル型と一致することを含む。
【0043】
検出ユニット32は、検出行4−1に関連する判定結果に応じて検出行4−1のタッチ状態を検出する(ステップS16)。検出行4−1のタッチ状態は、検出行4−1が少なくとも一つの物体によってタッチされたか、検出行4−1に接触する物体の数、少なくとも一つの物体が検出行4−1に接触したときの検出行4−1における少なくとも一つの物体の位置、及び/又は、少なくとも一つの物体が検出行4−1に接触したときの検出行4−1における接触面積を含む。その後、センシングデバイス3は、検出動作を終了する。
【0044】
例えば、判定ユニット31が、検出行4−1に対応する検出曲線P40のプロファイル型がメモリ310に記憶される検出曲線P60のプロファイル型▽▲に一致すると判断した場合、検出ユニット32は、判定結果に応じて、検出行4−1が一つの物体によって接触されたことを検出する。図13Aに示すように、物体130は、検出行4−1の検出セルC4−6とC4−7の近くの位置に接触している。検出曲線P40は、有意の差分値D4−1〜D4−5に応じて得られるため、検出ユニット32は、一つの物体が検出行4−1に接触したとき、当該一つの物体のタッチ位置及びタッチ領域を得ることができる。
【0045】
他の例では、判定ユニット31が、検出行4−1に対応する検出曲線P40のプロファイル型がメモリ310に記憶される検出曲線P11のプロファイル型▼▼▲▲に一致すると判断した場合、検出ユニット32は、判定結果に応じて、検出行4−1が二つの物体によって接触されたことを検出する。図14Aに示すように、物体140は、検出行4−1の検出セルC4−4の近くの位置に接触している一方で、物体141は、検出行4−1の検出セルC4−8の近くの位置に接触している。検出曲線P40は、有意の差分値D4−1〜D4−10に応じて得られるため、検出ユニット32は、二つの物体が検出行4−1に接触したとき、当該二つの物体のタッチ位置及びタッチ領域を得ることができる。
【0046】
判定ユニット31が検出行4−1に対応する検出曲線のプロファイル型がメモリ310に記憶された予め設定されたプロファイル型のいずれにも一致しないと判断した場合、検出動作は終了される。
【0047】
上述の実施の形態では、ステップS15において、判定ユニット31が検出行4−1に対応する検出曲線のプロファイル型がメモリ310に記憶された予め設定されたプロファイル型と一致しないと判断した後、検出行4−1の検出ステップS16の後、検出動作が終了された。
【0048】
いくつかの実施の形態では、ステップS15において、判定ユニット31が検出行4−1に対応する検出曲線のプロファイル型がメモリ310に記憶された予め設定されたプロファイル型と一致しないと判断し、検出行4−1の検出ステップS16の後、検出方法は、ステップS10に戻り、演算ユニット30は引き続き他の検出行4−2〜4−N中の他の検出行を選択して検出されるべき検出行とし、再度検出動作が実行される。
【0049】
例えば、演算ユニット30は、検出行4−1の次の検出行4−2を検出すべき検出行として選択する。演算ユニット30、判定ユニット31、検出ユニット32がステップS11〜S16と同様の動作を実行する。検出ユニット32は、検出行4−2〜4−Nのうち少なくとも二つ、検出行4−2〜4−Nのうちのいくつか又は検出行4−2〜4−Nのすべての検出行に関連する判定結果を得た場合、検出ユニット32は、判定結果に応じて、センシングアレイ4のタッチ状態を検出できる。
【0050】
センシングアレイ4のタッチ状態は、センシングアレイ4が少なくとも一つの物体によってタッチされたこと、センシングアレイ4に接触する物体の数、少なくとも一つの物体がセンシングアレイ4に接触したときのセンシングアレイ4中の少なくとも一つの物体の座標、及び/又は少なくとも一つの物体がセンシングアレイ4に接触したときのセンシングアレイ4の接触面積を含む。
【0051】
上述の説明によれば、センシングデバイス3は、検出すべき検出行の検出曲線のプロファイル型と比較する前に、予め設定されたプロファイル型のいくつかの型を保存する。プロファイル型の比較によって、干渉ノイズの影響を低減することができる。さらに、実施の形態のセンシングデバイス3は最小閾値を設定しなくてよい。このため、センシングアレイ4の接触面積が小さい場合でも、センシングアレイ4の接触状態を正確に検出することができる。
【0052】
さらに、実施の形態によれば、センシングアレイ4に接触する物体のサイズがより大きくなり(物体のサイズは接触領域に正比例する)、一つの検出行中の2つの検出セルごとの距離がより小さい場合、判定ユニット31により得られた検出曲線は、物体が検出セルに接触する実際の接触動作をより正確に確認でき、検出曲線に応じて検出されるセンシングアレイ4の接触状態はより正確になる。
【0053】
本発明が最良の形態に関して実施例を用いて説明されたが、本発明が開示された実施の形態に限定されないことが理解される。それどころか、(当業者にとって容易な)様々な改良及び類似のアレンジをカバーすることを目的としている。従って、このような改良や類似のアレンジを包含するように、添付の特許請求の範囲のスコープは最も広く解釈されることがふさわしい。
【0054】
(付記1)
少なくとも一つの検出行を備えるセンシングアレイを検出するセンシングデバイスであって、
前記検出行から取り出された複数の検出データ信号に応じた検出曲線を得る演算ユニットと、
前記検出曲線の曲線特性が複数の予め設定された曲線特性の一つに一致しているかを判定する判定ユニットと、
前記検出行に関連する判定結果に応じてセンシングアレイのタッチ状態を得る検出ユニットと、
を備えるセンシングデバイス。
(付記2)
前記判定ユニットは、前記検出曲線に対しノイズ除去演算を実行する曲線処理装置を備える付記1に記載のセンシングデバイス。
(付記3)
前記演算ユニットは、複数の検出信号のうち二つの検出データ信号ごとの差を算出し、複数の差分値を得て、
前記判定ユニットは、前記複数の差分値に応じた前記検出曲線を得る
付記1又は2に記載のセンシングデバイス。
(付記4)
前記検出曲線の曲線特性及び前記予め設定された曲線の特性は前記複数の差分値から得られるプロファイル型である付記3に記載のセンシングデバイス。
(付記5)
前記検出行の接触状態は、
少なくとも一つの物体によって前記センシングアレイが接触されたか、
前記センシングアレイに接触する物体の数、
少なくとも一つの物体が前記センシングアレイに接触したときの前記センシングアレイにおける当該物体の座標、
少なくとも一つの物体が前記検出行に接触したときの前記検出行における接触面積、
のうちの少なくとも一つを含む、付記1〜4のいずれかに記載のセンシングデバイス。
(付記6)
前記検出行は、複数の検出セルを備え、
前記複数の検出データ信号は、それぞれ前記複数検出セルから取り出される、付記1〜5のいずれかに記載のセンシングデバイス。
(付記7)
前記複数の検出データ信号は、前記複数の検出セルに関する容量値を表わす、付記6に記載のセンシングデバイス。
(付記8)
前記センシングアレイは、連続して配置された複数の検出行を備え、
前記演算ユニットは、毎回検出されるべき検出行として用いられる検出行を前記複数の検出行から一つ選択し、前記複数の検出行から少なくとも二つの検出行が選択される付記1〜7のいずれかに記載のセンシングデバイス。
(付記9)
前記判定ユニットが前記複数の検出行のうち少なくとも二つの検出行に関連する検出結果を得る場合、前記検出ユニットは、前記少なくとも二つの検出行に関連する前記検出結果に応じて前記センシングアレイのタッチ状態を得る、付記8に記載のセンシングデバイス。
(付記10)
前記センシングアレイの接触状態は、
少なくとも一つの物体によって前記センシングアレイが接触されたか、
前記センシングアレイに接触する物体の数、
少なくとも一つの物体が前記センシングアレイに接触したときの前記センシングアレイにおける当該物体の座標、
少なくとも一つの物体が前記センシングアレイに接触したときの前記センシングアレイにおける接触面積、
のうちの少なくとも一つを含む、付記9に記載のセンシングデバイス。
【符号の説明】
【0055】
3 センシングデバイス
4 センシングアレイ
4−1〜4−N 検出行
C4−1〜C4−N 検出セル
5 検出行
C5−1〜C5−N 検出セル
D4−1〜D4−10、D5−1〜D5−4、D6−1〜D6−5、D7−1〜D7−5、D8−1〜D8−6、D9−1〜D9−10、D10−1〜D10−10、D11−1〜D11−10 差分値
S4−1〜S4−M 検出データ信号
30 演算ユニット
31 判定ユニット
32 検出ユニット
50 物体
G50、G130、G140、G141 ガウス曲線
P50、P60、P70、P80、90、P10、P11、P40 検出曲線
310 メモリ
311 曲線処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの検出行を備えるセンシングアレイを検出するセンシング方法であって、
(a)前記検出行から取り出された複数の検出データ信号に応じた検出曲線を得て、
(b)前記検出曲線の曲線特性が複数の予め設定された曲線特性の一つに一致しているかを判断し、
(c)前記検出行に関連する判定結果に応じてセンシングアレイのタッチ状態を得る、
センシング方法。
【請求項2】
前記検出曲線に対しノイズ除去演算を実行する請求項1に記載のセンシング方法。
【請求項3】
前記ステップ(a)は、
複数の検出信号のうち二つの検出データ信号ごとの差を算出し、複数の差分値を得て、
前記複数の差分値に応じた前記検出曲線を得る、
請求項1又は2に記載のセンシング方法。
【請求項4】
前記検出曲線の曲線特性及び前記予め設定された曲線の特性は前記複数の差分値から得られるプロファイル型である請求項3に記載のセンシング方法。
【請求項5】
前記検出行の接触状態は、
少なくとも一つの物体によって前記センシングアレイが接触されたか、
前記センシングアレイに接触する物体の数、
少なくとも一つの物体が前記センシングアレイに接触したときの前記センシングアレイにおける当該物体の位置、
少なくとも一つの物体が前記検出行に接触したときの前記検出行における接触面積、
のうちの少なくとも一つを含む、請求項1〜4のいずれかに記載のセンシング方法。
【請求項6】
前記検出行は、複数の検出セルを備え、
前記複数の検出データ信号は、それぞれ前記複数検出セルから取り出される、請求項1〜5のいずれかに記載のセンシング方法。
【請求項7】
前記複数の検出データ信号は、前記複数の検出セルに関する容量値を表わす、請求項6に記載のセンシング方法。
【請求項8】
前記センシングアレイは、連続して配置された複数の検出行を備え、
検出されるべき検出行として用いられる検出行が、毎回前記複数の検出行から一つ選択され、前記複数の検出行から少なくとも二つの検出行が選択される請求項1〜7のいずれかに記載のセンシング方法。
【請求項9】
前記複数の検出行のうち少なくとも二つの検出行に関連する検出結果が得られる場合、前記少なくとも二つの検出行に関連する前記検出結果に応じて前記センシングアレイのタッチ状態が得られる、請求項8に記載のセンシング方法。
【請求項10】
前記センシングアレイの接触状態は、
少なくとも一つの物体によって前記センシングアレイが接触されたか、
前記センシングアレイに接触する物体の数、
少なくとも一つの物体が前記センシングアレイに接触したときの前記センシングアレイにおける当該物体の座標、
少なくとも一つの物体が前記センシングアレイに接触したときの前記センシングアレイにおける接触面積、
のうちの少なくとも一つを含む、請求項9に記載のセンシングデバイス。
【請求項11】
少なくとも一つの検出行を備えるセンシングアレイを検出するセンシングデバイスであって、
前記検出行から取り出された複数の検出データ信号に応じた検出曲線を得る演算ユニットと、
前記検出曲線の曲線特性が複数の予め設定された曲線特性の一つに一致しているかを判定する判定ユニットと、
前記検出行に関連する判定結果に応じてセンシングアレイのタッチ状態を得る検出ユニットと、
を備えるセンシングデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【公開番号】特開2013−45446(P2013−45446A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118602(P2012−118602)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(509205375)宸鴻科技(廈門)有限公司 (17)
【Fターム(参考)】