タッチパネル、及びこれを用いた表示装置
【課題】 位置の検出精度、または、検出感度が高く、透明電極のパターン形状が視認されるなどして見栄えが悪くなることを抑制することのできる静電容量式のタッチパネルを提供すること。
【解決手段】
透明基板と、該透明基板の上に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,前記第1の透明電極と前記第2の透明電極を共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から、前記第2の透明電極、前記第1の透明電極が順に備えられ、前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間に第1の透明絶縁層を有し、前記第1の透明電極の上層に、操作面の全域にわたって第2の透明絶縁層を有し、さらには前記第2の透明絶縁層の上層に、操作面の全域にわたって第3の透明絶縁層を設けたタッチパネルである。
【解決手段】
透明基板と、該透明基板の上に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,前記第1の透明電極と前記第2の透明電極を共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から、前記第2の透明電極、前記第1の透明電極が順に備えられ、前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間に第1の透明絶縁層を有し、前記第1の透明電極の上層に、操作面の全域にわたって第2の透明絶縁層を有し、さらには前記第2の透明絶縁層の上層に、操作面の全域にわたって第3の透明絶縁層を設けたタッチパネルである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式のタッチパネル、及び静電容量式のタッチパネルを備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDA(パーソナルディジタルアシスタント)などの携帯機器では、画面の大型化に伴いスイッチやテンキーなどの入力手段を配置できる場所が小さくなっている。また、多機能化に伴い操作をより直感的に行えるタッチパネル付き表示装置への要求が高まっている。
タッチパネルは、指などで操作面を触れた際、その接触位置を検出することで、入力装置として機能するものである。この接触位置を検出する検出方式には、主に抵抗膜方式と、静電容量方式がある。
現在、PDAなどの携帯機器では主に抵抗膜方式が利用されている。抵抗膜方式は表面に透明電極を備える2つの透明基板を透明電極を形成した面が互いに向き合うように一定の空隙を設けて配置する。
このため2つの透明電極と空気との界面で不要な反射を生じ、この不要反射のため明るい環境では、外光の不要な反射により画面が見にくくなる、あるいは、画像光の一部が反射して画面が暗くみえるという課題を有する。
【0003】
一方、静電容量方式は、これを構成する層間に空気層がないので不要反射が小さくなり透過率が高くなる。可動部がないため磨耗の心配が小さいので耐久性が高い。さらに、基板は、一枚でよいので薄型化しやすく、携帯機器には好適な方式である。
このような静電容量タッチパネルとしては、透明基板の上に透明電極を1層設けるシンプルな構成が知られている。ただし、このような構成では、接触位置の検出精度が低いため、特に小さな画面を備える機器では、より高い検出精度が望まれていた。
【0004】
特許文献1には、X方向の座標を検出するための第1の透明電極と、Y方向の座標を検出するための第2の透明電極を、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、あるいはガラスなどの誘電体層を介して配置することで、高い精度で位置検出が可能になることが開示されている。
そして、この特許文献1に記載のタッチパネルにあっては、第1の透明電極をX方向に離間し、第2の透明電極をY方向に離間することでより高い精度で位置検出できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−173238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1に記載のタッチパネルにあっては、例えば、PETフィルムの片面にX方向の座標を検出するための電極を複数に離間して配置し、別の面にY方向の座標を検出するための電極を複数に離間して配置している。この場合、PETフィルムを中心として厚み方向に対称の構造となるため、電極が視認されるなどの問題は生じにくい。
しかしながら、電極を形成し、パターニングするといった工程を透明基材となるPETフィルムの両面に施す必要があるため、工程が多くなりコストが高くなるといった問題を有している。
【0007】
低コスト化のために、透明基材の一方の面にX方向の座標を検出するための第1の透明電極と、Y方向の座標を検出するための第2の透明電極を絶縁層を介して配置する構造が考えられる。
図13は、このような構造のタッチパネルの一部断面図である。第1の透明電極及び第2の透明電極としてはITO(酸化インジウム錫、Indium Tin Oxide)が考えられ、電極間の絶縁層としては酸化シリコンなどの透明な無機物、あるいはアクリル系などの透明樹脂が考えられる。
この場合、公知技術のようにPETフィルムの両面に第1及び第2の透明電極をそれぞれ配置したときには顕在化しない、電極のパターンが視認されて見栄えが悪くなるという問題を生じる。
【0008】
このような問題が生じるのは、以下の理由による。
透明電極の屈折率は、約2.0で、絶縁層と透明基板の屈折率は、約1.5である。第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとすると、それぞれの領域では電極の厚さが同じであっても、透明基板と電極、電極と絶縁層、電極と空気など屈折率が異なる界面が異なる位置に存在する。
このため干渉を伴う界面反射は各領域で異なり、それが電極のパターンとして視認されやすくなる。
図14は、第1及び第2の透明電極として厚さ15nmのITO(屈折率2.05)を用い、厚さ125nm、屈折率1.46の透明材料を絶縁層として利用する場合の各領域の分光反射率を示している。隣り合う領域Aと領域Bとで反射率差が4.2%あり、さらに領域Aと領域Cとでは反射率の差が6.2%もあるため視認されやすく、見栄えが悪くなる。
【0009】
本発明は、位置の検出精度、あるいは、検出感度が高く、透明電極のパターン形状が視認されるなどして見栄えが悪くなることを抑制した静電容量式のタッチパネルを提供することにある。
さらに、タッチパネルを備える表示装置において、より明るく、見やすい画像を実現することにある。
【0010】
本発明のその他の課題と新規な特徴については本明細書の記述及び添付図面を参照して明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明に係るタッチパネルは、
透明基板に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極は共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に備えられ,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間には第1の透明絶縁層を有し,
さらに第1の透明電極の上層に、操作面の全域にわたって第2の透明絶縁層を形成し,
さらに第2の透明絶縁層の上層に第3の透明絶縁層を操作面の全域にわたって形成することを特徴とする。
【0012】
この際、第1の透明絶縁層と第2の透明絶縁層は、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率差が0.12以下であり、さらに、第3の透明絶縁層の屈折率が第1及び第2の透明絶縁層の屈折率よりも小さく、第3の透明絶縁層の厚さが第1及び第2の透明絶縁層の合計の厚さよりも小さいことを特徴とする。
【0013】
また、前記課題を解決するため、本発明に係るタッチパネルは、
透明基板に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極は共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に備えられ,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間には第1の透明絶縁層を有し,
前記第1の透明電極及び前記第2の透明電極と、前記第1の透明絶縁層の屈折率の差が波長550nmで0.12以下であることを特徴とする。
さらに、前記課題を解決するため、本発明に係るタッチパネルは、
前記第1の透明電極の上層に第2の透明絶縁層を備え,
前記第2の透明絶縁層は、屈折率と厚さが第1の透明絶縁層より小さいことを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するため、本発明に係るタッチパネルを備える表示装置は、
タッチパネルと表示装置とこれらを固定する透明体から構成される表示装置であって,
前記タッチパネルは透明基板と、前記透明基板の上に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
さらに前記第1の透明電極と前記第2の透明電極が共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に備えられ,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間には第1の透明絶縁層を有し,
さらに前記第1の透明電極の上層に、操作面の全域にわたって第2の透明絶縁層を有して構成し,
前記タッチパネルと前記表示装置を、それぞれ操作面と表示領域が重なるように、前記透明体によって固定されており、前記透明体の屈折率は前記タッチパネルの透明基板、及び前記表示装置の最表面の部材との屈折率差が0.09以下である透明な樹脂から構成され,
前記タッチパネルはこれを構成する前記透明基板の前記第1及び第2の透明電極が形成された面とは反対側の面を前記表示装置側に向けて配置することを特徴とする。
【0015】
前記課題を解決するため、本発明に係るタッチパネルを備える表示装置は、
タッチパネルと表示装置とこれらを固定する透明体から構成される表示装置であって,
前記タッチパネルは透明基板と、前記透明基板の上に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
さらに前記第1の透明電極と前記第2の透明電極が共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に備えられ,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間には第1の透明絶縁層を有し,
さらに前記第1の透明電極の上層に、操作面の全域にわたって第2の透明絶縁層を有して構成し,
前記タッチパネルと前記表示装置を、それぞれ操作面と表示領域が重なるように、前記透明体によって固定されており、前記透明体の屈折率は前記タッチパネルの透明基板、及び前記表示装置の最表面の部材との屈折率差が0.09以下である透明な樹脂から構成され,
前記タッチパネルはこれを構成する前記透明基板の前記第1及び第2の透明電極が形成された面とは反対側の面を前記表示装置側に向けて配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位置の検出精度、あるいは、検出感度を高くするために、2層の透明電極を分離して配置するタッチパネルにおいて、透明電極のパターン形状が視認されることで見栄えが悪くなることを抑制した静電容量式のタッチパネルを実現できる。さらに、タッチパネルを備える表示装置において、より明るく、見やすい画像を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のタッチパネルの一例を示す平面図である。
【図2】本発明のタッチパネルの一例を示す平面図である
【図3】本発明のタッチパネルの第1の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明のタッチパネルの第1の実施形態の一部断面図である。
【図5】本発明のタッチパネルの第1の実施形態の分光反射率である。
【図6】本発明のタッチパネルの第2の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図7】本発明のタッチパネルの第2の実施形態の一部断面図である。
【図8】本発明のタッチパネルの第4の実施形態の分光反射率である。
【図9】本発明のタッチパネルの第5の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図10】本発明のタッチパネルの第5の実施形態の一部断面図である。
【図11】本発明のタッチパネルの第5の実施形態の分光反射率である。
【図12】本発明のタッチパネルを備える表示装置の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図13】本発明が課題とする構造のタッチパネルの一部断面図である。
【図14】本発明が課題とする構造のタッチパネルの分光反射率である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。この実施形態は、種々の変更が可能であり、また、各実施形態同士の組み合せは本発明に包含されるものである。
図1及び図2はそれぞれ本発明に係るタッチパネルの一実施例を示す平面図である。
【0019】
図1において、タッチパネル1は、透明基板100上に形成されたX方向の座標を検出するための第1の透明電極10と、Y方向の座標を検出するための第2の透明電極20を備え、第1の透明電極10と第2の透明電極20の間には図示しない透明な絶縁層が設けられている。
第1の透明電極10と第2の透明電極20は、タッチパネルの操作面2に相当する位置に形成されており、それぞれX方向及びY方向に複数の領域に分離している。これは、従来から知られている通り、位置検出の精度を高めるためである。
【0020】
この際、第1の透明電極10と第2の透明電極20の形状は、図中では複数の菱形をつなぎ合わせた形状をしているが、本発明は電極の形状、及び、分離(離間)した電極の本数がこれに限定されるものではない。電極の数や形状は、操作面の大きさと要求される検出位置の精度に応じて決定すればよい。
第1の透明電極10は、X座標検出用導電部30と接続し、第2の透明電極20はY座標検出用導電部40と接続されている。
X座標検出用導電部30とY座標検出用導電部40は、透明である必要が無いため金属の電極材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、クロム、銅、やこれらを含む合金を使用することができるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0021】
X座標検出用導電部30とY座標検出用導電部40は、図示しないフレキシブルプリント回路板(以下、FPCとも呼ぶ)と接続され、このFPCを介して図示しないスイッチング回路や検出回路などに接続されている。
X座標検出用導電部30とY座標検出用導電部40は、それぞれ第1の透明電極10と第2の透明電極に所定の電圧を印加するための電極として機能し、スイッチング回路の切り替えにより第1の透明電極10と第2の透明電極20のいずれか一方に選択的に電圧を印加することができる。
電圧が印加された透明電極上には、電界が形成され、この状態で、指などが触れると、接触位置は、人体の静電容量を介して接地されることになる。その結果、対象となるX座標検出用導電部30またはY座標検出用導電部40と接触位置との間に抵抗値の変化が生じる。
【0022】
抵抗値は、接触位置とX座標検出用導電部30またはY座標検出用導電部40との距離に比例するため、検出回路は、接触位置とX座標検出用導電部30またはY座標検出用導電部40との間に流れる電流値を検出することで接触位置の座標を求めることができる。
なお、本発明は、このような静電容量方式のタッチパネル、及びこれを備える表示装置に関するものであるが、その特徴は専らタッチパネルの操作面2の断面構造にある。
このため、位置検出の方法や仕組み、位置検出をするための回路など、本発明の特徴ではない事柄に関しては上記に限定されず、公知技術を用いれば良い。このため、本願では位置検出の方法や仕組み、位置検出をするための回路など本発明の特徴でない事柄については詳細な説明は省略する。
【0023】
また、図1と図2の違いは、X座標検出用導電部30とY座標検出用導電部40がそれぞれ第1の透明電極10と第2の透明電極20の両側にあるか(図1の場合)、片側のみにあるか(図2の場合)の違いである。どちらを選択するかは検出感度やコストなどを鑑みて選択すればよい。
【0024】
次に本発明に係るタッチパネルの特徴について図面を参照して説明するが、各図面は、発明の要点をわかり易く説明するために、縮尺や形状は、誇張されている。
【0025】
《タッチパネルの第1の実施形態》
図3は、本発明の第1の実施形態に係るタッチパネルの概略構成を示す断面図で、図1または図2のA−A’における断面構造を示す図である。
なお、図1と図2は、位置A−A’においては、同一の構造であるため、以下の記述においては、これを区別しないものとする。
【0026】
第1の実施形態のタッチパネルは、ガラスまたは透明な樹脂材料から構成される透明基板100にY方向に複数に分離して形成した第2の透明電極20と、その上層に操作面2の全域にわたって形成した第1の透明絶縁層200と、第1の透明絶縁層200の上層にX方向に複数に分離して形成した第1の透明電極10と、第1の透明電極10の上層に操作面2の全域にわたって形成した第2の透明絶縁層300とから構成される。
【0027】
透明基板100としては、少なくとも可視光に対する透過率が85%以上と高い透明な材料、例えば、ガラスや、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリ塩化ビニリデン樹脂,ポリカーボネート樹脂等の透明樹脂を用いることができる。
【0028】
第1の透明電極10及び第2の透明電極20は、少なくとも可視光に対する透過率が高く、導電性を有する透明電極材料から構成する。このような導電性を有する透明電極材料としては、例えば、ITO(酸化インジウム錫、Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)を用いることができる。
これらの透明電極は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などの物理的作成法や、スプレー法、ディップ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの化学的作成法から、その下地となる透明基板あるいは第1の透明絶縁層を考慮して最適な方法を選択すればよい。
【0029】
また、第1の透明電極10及び第2の透明電極20をそれぞれX方向とY方向に分離する方法としては、面状に形成した透明電極をホトリソグラフィー技術を利用してエッチング法でパターニングする方法、あるは、有機溶剤に上記材料からなる導電性フィラーなどを分散した塗料を用い、印刷法により直接、所望のパターンに形成する方法がある。
ここで、重要なのは、その膜厚を精度良く制御できることであり、後述する所望の膜厚を実現できて、さらに透明、かつ、抵抗値が低い製造方法がより望ましいが本発明においては、これを限定するものではない。
第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300は、透明基板100との屈折率の差が小さいことが重要である。これは、屈折率の差が大きいと、透明基板100と第1の透明絶縁層200、及び、第1の透明絶縁層200と第2の透明絶縁層300との界面での反射が大きくなるからである。
【0030】
したがって、本発明においては、透明基板100と第1の透明絶縁層200と第2の絶縁層300の波長550nmにおける屈折率の差が最大0.09以下となる材料を選択する。これは、透明基板100の屈折率が1.5程度の場合、屈折率の差が0.09以下となれば、界面反射は0.1%未満となり影響を無視できるようになるからである。
このような条件を満足する第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300としては、例えば、透明基板100としてガラス(屈折率1.53)を使用する場合、屈折率が1.44〜1.62の範囲にある酸化シリコンなどの透明な無機材料や、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリ塩化ビニリデン樹脂,ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂などの透明な有機材料を用いれば良い。
【0031】
光学的な面からは、第1の透明絶縁層200と第2の透明絶縁層300とで同じ材料を用いることで第1の透明絶縁層200と第2の透明絶縁層300の界面反射はなくすことができる。
第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300として、酸化シリコンを用いる場合、その成膜方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法がある。あるいは、ゾル−ゲル法を用いても良い。
この場合、原料としてシリコンアルコキシドであるシリコンエトキシド(Si(OC2O5)4)、シリコンメトキシド、シリコンノルマルプロポキシド、シリコンイソプロポキシド、シリコンノルマルブトキシド、シリコンイソブトキシド、シリコンセカンダリブトキシド、シリコンターシャリブトキシドなどを用いることが可能であり、これらの単体、或いはこれらの二種類以上の混合物であっても良い。
【0032】
また、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300としてアクリル樹脂やシリコーン樹脂などの透明な有機材料を用いる場合、塗布は、スピンコート,ディップコート(浸漬),バーコート,アプリケーターによるコート,スプレーコート,フローコート等の方法が考えられる。また、硬化は、材料の組成に応じて熱硬化や光硬化で行うことができる。
【0033】
次に、より具体的な例によって第1の実施形態における効果を説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
第1の実施形態においては、透明基板100として屈折率1.53のガラス基板を用い、第1の透明電極及び第2の透明電極として屈折率2.05のITOを用い、第1の透明絶縁層及び第2の透明絶縁層として屈折率1.46の酸化シリコンを用いている。
また、第1の透明電極の厚さtxは、15nm、第2の透明電極の厚さtyは、15nm、第1の透明絶縁層の厚さti1は、125nm、第2の透明絶縁層の厚さti2は、125nmとしている。
【0034】
図5は、図4において、第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとした場合の各領域の分光反射率を示す。
なお、この反射率は、透明基板100上であって、第1及び第2の透明電極を形成した側の面の反射率を示す。
第1の実施形態においては、第2の透明絶縁層300を第2の透明電極20の上層に形成することで、各領域間の最大の視感反射率差は、2.3%となり、各領域の平均反射率は、1.9%となる。
これは、第2の透明絶縁層がない場合に、各領域間の最大の視感反射率差が6.2%で、各領域の平均反射率が3.8%あるのに対して、それぞれ37%と50%に低減している。
【0035】
つまり、第1の実施形態では、各領域間の視感反射率差が小さくなることで透明電極のパターンが見えることが抑制され、さらに反射率が減ることで、より透過率が高いタッチパネルが実現できる。
このため、本実施の第1の実施形態に係るタッチパネルを備える表示装置では、より明るく、見やすい画像を実現できる。
なお、第1の透明絶縁層200と第2の透明絶縁層300は、前記屈折率の条件を満たせば必ずしも同じ材料である必要はない。例えば、第1の透明絶縁層200は酸化シリコンからなる硬い層とし、第2の透明絶縁層300は、シリコーン樹脂のように弾性を有する層とすると良い。この場合、使用者がタッチパネルを押すと凹むため、操作感が高まるといった効果が期待できる。
【0036】
《タッチパネルの第2の実施形態》
次に、本発明に係るタッチパネルの第2の実施形態について図面を参照して説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルの概略構成を示す断面図であり、図1または図2のA−A’における断面構造を示す図である。
【0037】
第2の実施形態のタッチパネルは、ガラスまたは透明な樹脂材料から構成される透明基板100にY方向に複数に分離して形成した第2の透明電極20と、その上層に操作面2の全域にわたって形成した第1の透明絶縁層200と、第1の透明絶縁層200の上層にX方向に複数に分離して形成した第1の透明電極10とから構成される。
【0038】
第2の実施形態のタッチパネルは、第1の実施形態に示されるタッチパネルにおいて、第1の透明絶縁層200として、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率の差が0.12以下の材料を用い、さらに第2の透明絶縁層を設けない構成である。
このため、第1の実施形態に示されるタッチパネルと同様な部分については詳細な説明は省略する。
【0039】
第2の実施形態においては、第1の透明絶縁層200として、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率差が0.12以下の材料を用いることを特徴としている。
これは、第1の透明電極10及び第2の透明電極20として利用されるITOやIZO、あるいはZnOの屈折率が2.0程度であり、この場合は、屈折率の差が0.12以下であれば、界面反射が0.1%未満となり影響を無視できるからである。
このような高屈折率の透明絶縁層としては、酸化シリコンと酸化チタンよりなる非晶質マトリックスガラスや、この酸化シリコンと酸化チタンよりなるマトリクス中に、さらに必要に応じて酸化チタン結晶粒子を分散することで所望の屈折率に調整したガラスが考えられる。このガラスはゾル−ゲル法を用いて形成できる。
【0040】
具体的には、酸化シリコン原料としてシリコンアルコキシドであるシリコンエトキシド(Si(OC2O5)4)を用いる。これ以外にも、シリコンアルコキシドとしてシリコンメトキシド、シリコンノルマルプロポキシド、シリコンイソプロポキシド、シリコンノルマルブトキシド、シリコンイソブトキシド、シリコンセカンダリブトキシド、シリコンターシャリブトキシドなどを用いることが可能であり、これらの単体、或いはこれらの二種類以上の混合物であっても良い。
【0041】
また、酸化チタン原料としては、チタンアルコキシドであるチタンノルマルブトキシド(Ti(OC4O9)4)を用いる。これ以外にも、チタンアルコキシドとしてチタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンノルマルプロポキシド、シリコンイソプロポキシド、チタンイソブトキシド、チタンセカンダリブトキシド、チタンターシャリブトキシドなどを用いることが可能であり、これらの単体、或いはこれらの二種類以上の混合物であっても良い。
【0042】
酸化ケイ素−酸化チタンマトリックスは、具体的には、以下の方法により合成することができる。
すなわち、第一段階として、アルコール中に溶解したシリコンエトキシド1モルに水1モルを加えて加水分解したのち、チタンブトキシド、またはチタンイソプロポキシドを1モル加えて十分に攪拌してシリカ−チタニアネットワークを構築する。
この際、急激な加水分解反応を抑制するため、シリコンエトキシド1モルを、エタノール又はメタノール2モル中にスターラを用いて攪拌しながら溶解するとよい(溶液A)。
【0043】
さらに加水分解用の純水に、希塩酸1%を添加してpHを2.0以下にし、加水分解用の水を準備する(溶液B)。
このシリコンエトキシドのアルコール溶液を、スターラを用いて激しく攪拌しながら、pHを2.0以下に調整した純水1モルを滴下し、シリコンエトキシドの4つのアルコキシル基のうちの一つを加水分解する(溶液C)。
この反応式は、式(1)のようになる。
【0044】
〔式1〕
【0045】
式(1)において、Etは、エトキシキル基(−C2H5)を表す。この溶液Cを約10分間攪拌したのち、10分ほど静置する。
次に、急激な加水分解反応を抑制するためチタンノルマルブトキシド1モルを、エタノールまたはメタノール3モル中にスターラを用いて攪拌しながら溶解する(溶液D)。
式(1)で合成したシリコンエトキシドの加水分解溶液(溶液C)を、スターラを用いて激しく攪拌しながら、このチタンノルマルブトキシドのアルコール溶液を滴下し、式(2)に示す化学反応を進行させ、溶液Eを得る。
【0046】
〔式2〕
【0047】
式(2)において、Buは、ブトキシル基(−C4H9)を表す。この反応により、Si−O−Tiネットワークが形成される。この溶液をさらに10分〜1時間程度攪拌したのち、10分ほど静置する。
【0048】
次に、第二段階として、ルチル型チタン酸化物結晶粒子のメタノール溶液を滴下する。先の溶液Eにルチル型酸化チタン結晶粒子(平均粒径10nm)を含有したメタノール分散ゾルを滴下し、溶液Fを得る。
【0049】
さらに、第三段階として、残りの水のアルコール溶液を激しく攪拌しながら滴下することにより、未反応の酸化ケイ素、酸化チタンを完全に加水分解させて、ルチル型チタン酸化物が分散された酸化シリコン−酸化チタンマトリックスを形成する。
溶液Fに残存する未反応のアルコキシル基を加水分解するため、純水に希塩酸を添加してpHを2.0以下にし、これにエタノールまたはメタノールを添加した加水分解用の水を準備する(溶液G)。溶液Fを、スターラを用いて激しく攪拌しながら溶液Gを滴下し、加水分解を進行させ、溶液Hを得る。
【0050】
第四段階として、溶液Hが流動性を有する内に塗布し、水の添加により、加水分解を進行させるとゲル化が進行する。さらに、乾燥によりゲル中に含まれるアルコールを揮発させることでルチル型酸化チタン結晶が分散された酸化シリコン−酸化チタンガラスを得る。
この非晶質マトリックスガラスは、酸化チタン結晶粒子は添加しなくても、酸化シリコンと酸化チタンの組成によりその屈折率が調整することができ、酸化チタンの組成を増やすことで屈折率を高くできる。例えば、酸化チタンの組成を0〜80mol%まで変化させると屈折率(ここではD線)は、1.45から1.94まで高くできる。
さらに高い屈折率を実現するには、酸化チタン結晶粒子を添加すればよく、例えば非晶質マトリックス中の酸化チタンの含有量を50mol%とし、酸化チタン結晶粒子を60mol%添加すると屈折率(ここではD線)を2.26まで高めることができる。
【0051】
なお、非晶質マトリックス成分中の酸化チタンのマトリクス中での含有量はTiO2の酸化物換算で80mol%を超えると白濁が生じるため、酸化チタンのマトリクス中での含有量は80mol%以下とすることが望ましい。
また、マトリックス中での含有量がTiO2の酸化物換算で31mol%未満であると、屈折率を上げるために酸化チタン結晶微粒子を含有させると、その含有量によっては白濁を生じる。
このため、酸化チタンのマトリクス中での含有量は31mol%以上とすることが望ましい。さらに、添加する酸化チタン結晶微粒子の粒径については、平均粒径が20nmを超えると白濁を生じ、平均粒径が3nm未満のものは不安定で凝集が顕著であるため、平均粒径としては3nm以上20nm以下が望ましい。
【0052】
次に、より具体的な例によって、第2の実施形態における効果について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
第2の実施形態は、透明基板100として屈折率1.53のガラス基板を用い、第1の透明電極及び第2の透明電極として屈折率2.05のITOを用い、第1の透明絶縁層としては、酸化シリコン−酸化チタンの非晶質マトリックスに酸化チタン結晶粒子を添加して屈折率を透明電極と同じ2.05に調整した材料を用いる。
また、第1の透明電極の厚さtxは、15nm、第2の透明電極の厚さtyは、15nm、第1の透明絶縁層の厚さti1は、125nmとしている。
【0053】
この場合、第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとすると、領域Bと領域Cでは、反射率の差は、0.1%未満と小さくなる。
また、領域Aと領域Bでは視感反射率差は、0.2%である。なお、ここで述べた反射率は、透明基板100上の第1及び第2の透明電極を形成した側の面のみの反射率を示す。
これは、第1の透明絶縁層を酸化シリコンやシリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂などから構成して、第2の実施形態のように第1の透明電極10や第2の透明電極20との屈折率差が小さくなるように調整しない場合(例えば屈折率1.46の場合)に各領域間の最大の視感反射率差が6.2%になるのに対し、約1/30に低減している。
【0054】
したがって、第2の実施形態では、各領域間の視感反射率差が小さくなることで透明電極のパターンが見えることが抑制されるタッチパネルが実現できる。
このため、本実施の第2の実施形態に係るタッチパネルを備える表示装置においては、より見やすい画像を実現することができる。
なお、第2の実施形態のように第1の透明絶縁層の屈折率を第1および第2の透明電極の値に近づけた場合、これらの平均屈折率をNmとすると、屈折率Nmは透明基板の屈折率よりも高くなることが一般的である。
この場合、反射率を低減するには第1の透明絶縁層の厚さti1やこれに第1の透明電極の厚さti1を加えた厚さti1+txが、式(3)に示すdに対し、式(4)の関係を満たすことが望ましい。
【0055】
〔式3〕
d=λ/(2Nm) ……………………(3)
〔式4〕
ti1+tx≧d≧ti1 ……………(4)
【0056】
ここで、λは、波長であり、λを視感度が高い波長550nmとし、この厚さの条件を満たすことで人が感じるタッチパネルの不要反射を小さくできる。
【0057】
《タッチパネルの第3の実施形態》
次に、本発明に係るタッチパネルの第3の実施形態について図面を参照して説明する。
【0058】
第3の実施形態のタッチパネルは、前記第2の実施形態に示されるタッチパネルにおいて、第1の透明電極10の上層に、操作面2の全域にわたって第2の透明絶縁層300を形成するものである。
このため、前記第2の実施形態に示されるタッチパネルと同様な部分については詳細な説明は省略する。
なお、第3の実施形態の断面構造は、前記第1の実施形態に示されるタッチパネルと構成が同様であるため、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、図1または図2のA−A’における断面構造を示す図である。
【0059】
第3の実施形態では、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300として、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率差が0.12以下の材料を用いることを特徴とする。これは、第1の透明電極10及び第2の透明電極20の屈折率が2.0程度の場合、屈折率の差が0.12以下であれば、界面反射が0.1%未満となり影響を無視できるからである。
このような高屈折率の透明絶縁層としては、前記の通り、酸化シリコンと酸化チタンよりなる非晶質マトリックスガラスや、この酸化シリコンと酸化チタンよりなるマトリクス中に、さらに必要に応じて酸化チタン結晶粒子を分散することで所望の屈折率に調整したガラスが考えられる。
【0060】
次に、より具体的な例によって、第3の実施形態における効果について説明する。
図4は、本発明の第3の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図を示している。
図4において、第3の実施形態は、透明基板100として屈折率1.53のガラス基板を用い、第1の透明電極10及び第2の透明電極20として屈折率2.05のITOを用い、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300としては、酸化シリコン−酸化チタンの非晶質マトリックスに酸化チタン結晶粒子を添加して屈折率を透明電極と同じ2.05に調整した材料を用いている。
また、第1の透明電極の厚さtxは、15nm、第2の透明電極の厚さtyは、15nm、第1の透明絶縁層の厚さti1は、100nm、第2の透明絶縁層の厚さti2は、40nmとしている。
したがって、taは、140nmとなる。
【0061】
この場合、第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとすると、各領域の反射率差は、0.1%未満と小さくなる。
つまり、第3の実施形態においては、各領域間の視感反射率差が小さくなることで透明電極のパターンが見えることが抑制されるタッチパネルが実現できる。このため、第3の実施形態に係るタッチパネルを備える表示装置では、より見やすい画像を実現することができる。
なお、ここで述べた反射率は、透明基板100上の第1及び第2の透明電極を形成した側の面のみの反射率を示している。
【0062】
なお、第3の実施形態のように第1及び第2の透明絶縁層の屈折率を第1および第2の透明電極の値に近づけた場合、これらの平均屈折率をNmとすると、屈折率Nmは透明基板の屈折率よりも高くなることが一般的である。
この場合、反射率を低減するには、厚さtaが前記式(3)に示すdと同じになる、または、近い値になることが望ましい。
ここで、λは、波長であり、λを視感度が高い波長550nmとし、この厚さの条件を満たすことで人が感じるタッチパネルの不要反射を小さくできる。
【0063】
《タッチパネルの第4の実施形態》
次に、本発明に係るタッチパネルの第4の実施形態について図面を参照して説明する。
【0064】
第4の実施形態のタッチパネルは、前記第3の実施形態に示されるタッチパネルにおいて、第1の透明電極10の上層に、操作面2の全域にわたって形成する第2の透明絶縁層300の屈折率と厚さを、ともに第1の透明絶縁層200のよりも小さくするものである。
このため、前記第3の実施形態に示されるタッチパネルと同様な部分については、詳細な説明は省略する。
なお、第4の実施形態の断面構造は、前記第1の実施形態と構成が同様であるため、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、本発明の第4の実施形態に係るタッチパネルの概略構成を示す断面図であり、図1または図2のA−A’における断面構造を示す図である。
また、図4は、本発明の第4の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
【0065】
第4の実施形態では、第1の透明絶縁層200として、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率差が0.12以下の材料を用い、さらに第1の透明絶縁層200よりも屈折率が低く、厚さが薄い第2の透明絶縁層300を第1の透明電極10の上層に、操作面2の全域にわたって形成することを特徴としている。
【0066】
第1の透明電極10及び第2の透明電極20として利用されるITOやIZO、あるいはZnOの屈折率は、2.0程度である。この場合、屈折率の差が0.12以下の材料を用いれば、第1の透明電極10及び第2の透明電極20と第1の透明絶縁層200との間での界面反射は、0.1%未満となり影響を無視することができる。
このような高屈折率の第1の透明絶縁層200としては、前記の通り、酸化シリコンと酸化チタンよりなる非晶質マトリックスガラスや、この酸化シリコンと酸化チタンよりなるマトリクス中に、さらに必要に応じて酸化チタン結晶粒子を分散することで所望の屈折率に調整したガラスを用いることができる。
【0067】
第2の透明絶縁層300は、第1の透明絶縁層200よりも屈折率が低い材料を用い、その厚さは第1の透明絶縁膜よりも薄くする。
具体的には、第1の透明絶縁層と第1の透明電極及び第2の透明電極の屈折率の平均値をNHとし、第2の透明絶縁層の屈折率をNLとすると、式(5)及び式(6)で定義するdHとdLに対して、第1の透明電極の厚さtxと、第1の透明絶縁層の厚さti1、及び第2の透明絶縁層の厚さti2が式(7)及び式(8)の関係を満たすことが望ましい。
【0068】
〔式5〕
dH=λ/(2NH) …………………(5)
〔式6〕
dL=λ/(4NL) …………………(6)
〔式7〕
ti1+tx≧dH≧ti1 ……………(7)
〔式8〕
ti2≧dL≧ti2−tx ……………(8)
【0069】
この条件を満たすことで、透明基板100上の第1及び第2の透明電極を形成した側の面における反射率が小さくなるという効果が得られる。
ここで、λは、波長であり、λを視感度が高い波長550nmとし、この厚さの条件を満たすことで人が感じるタッチパネルの不要反射を小さくできる。
さらに、タッチパネルの最表面となる第2の透明絶縁層300は、屈折率が1.4〜1.5程度でも高い反射率低減効果が得られるため、材料の選択肢が広がるといった効果がある。
【0070】
例えば、高い表面硬度を得て、耐摩耗性を向上する場合には、第2の透明絶縁層300として酸化シリコンなどの無機材料で緻密な層を形成すればよい。
あるいは、逆に、第2の透明絶縁層300としてシリコーン樹脂などの弾性を有する材料を用いれば、使用者がタッチパネルを押すと凹むため、操作感が高まるといった効果を期待することができる。
【0071】
次に、より具体的な例を用いて第4の実施形態における反射率低減の効果を説明する。
図4は、本発明の第4の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
第4の実施形態は、透明基板100として屈折率1.53のガラス基板を用い、第1の透明電極10及び第2の透明電極20として屈折率2.05のITOを用いている。
また、第1の透明絶縁層200としては、酸化シリコン−酸化チタンの非晶質マトリックスに酸化チタン結晶粒子を添加して屈折率を透明電極と同じ2.05に調整した材料を用い、第2の透明絶縁層300としては屈折率1.46の酸化シリコンを用いている。
【0072】
第1の透明電極の厚さtxと第2の透明電極の厚さtyは、ともに15nmとし、第1の透明絶縁層の厚さti1は、125nm、第2の透明絶縁層の厚さti2は、100nmとする。
これらの条件は、式(5)〜式(8)を全て満たしている。
図8は、この条件における反射率を示すもので、図4において、第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとした場合の各領域の分光反射率を示している。
なお、この反射率は、透明基板100上であって、第1及び第2の透明電極を形成した側の面の反射率である。
【0073】
第4の実施形態においては、各領域間の最大の視感反射率差は、0.25%となり、各領域の平均反射率は、1.9%となる。
これは、従来の各領域間の最大の視感反射率差が6.2%で、各領域の平均反射率が3.8%であるのに対して、それぞれ4%と50%に大幅に低減している。
さらに、各領域間の反射光の色度差Δu’v’は、従来、0.1であったのに対し、0.01と極めて小さくなっている。
このため、第4の実施形態においては、各領域間の視感反射率差及び反射光の色度差が小さくなることで透明電極のパターンが見えることが大幅に抑制され、さらに、反射率が小さくなることでより透過率が高いタッチパネルを実現することができる。
このため、第4の実施形態のタッチパネルを備える表示装置においては、より明るく、見やすい画像を実現することができる。
【0074】
《タッチパネルの第5の実施形態》
次に、本発明に係るタッチパネルの第5の実施形態について図面を参照して説明する。
【0075】
第5の実施形態のタッチパネルは、前記第3の実施形態に示されるタッチパネルにおいて、第1及び第2の透明絶縁層や第1及び第2の透明電極の厚さを必要に応じて変更し、さらに、第2の透明絶縁層の上層に、第3の透明絶縁層を操作面2の全域にわたって形成するようにしたものである。
このため、前記第3の実施形態に示されるタッチパネルと同様な部分については、詳細な説明は省略する。
図9は、本発明の第5の実施形態に係るタッチパネルの概略構成を示す断面図であり、図1または図2のA−A’における断面構造を示す図である。
また、図10は、本発明の第5の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
【0076】
第5の実施形態においては、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300として、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率差が0.12以下の材料を用いている。
これは、第1の透明電極10及び第2の透明電極20の屈折率が2.0程度の場合、屈折率の差が0.12以下であれば、界面反射が0.1%未満となり、その影響を無視できるからである。
このような高屈折率の透明絶縁層としては、前記の通り、酸化シリコンと酸化チタンよりなる非晶質マトリックスガラスや、この酸化シリコンと酸化チタンよりなるマトリクス中に、さらに必要に応じて酸化チタン結晶粒子を分散することで所望の屈折率に調整したガラスを用いることができる。
【0077】
第2の透明絶縁層300の上層に形成する第3の透明絶縁層400は、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300よりも屈折率が低い材料を用い、その厚さは、第1の透明絶縁層と第2の透明絶縁層の合計の厚さよりも小さくする。
より厳密には、第1の透明絶縁層及び第2の透明絶縁層と第1の透明電極及び第2の透明電極の屈折率の平均値をNHHとし、第3の透明絶縁層の屈折率をNLLとすると、式(9)及び式(10)で定義されるdHHとdLLに対して、第1の透明絶縁層200厚さti1と第2の透明絶縁層300の厚さti2の合計の厚さti12と、第3の透明絶縁層の厚さti3が、それぞれ等しくなることが望ましい。
【0078】
〔式9〕
dHH=λ/(2・NHH)×(2n+1)/2 ……………(9)
〔式10〕
dLL=λ/(4・NLL) ………………………(10)
【0079】
ただし、実際の製造の際には、層厚の変動が生じることを考慮すると、その変動は±10%以下、より望ましくは±5%以下の誤差で等しくなることが不要な反射を削減するうえで望ましいため、式(11)及び式(12)の条件を満たすことが望ましい。
【0080】
〔式11〕
1.05dHH≧ti12≧0.95dHH ……………………(11)
〔式12〕
1.05dLL≧ti3≧0.95dLL ………………………(12)
【0081】
この式(11)及び式(12)の条件を満たすことによって、透明基板100上の第1及び第2の透明電極を形成した側の面における反射率が小さくなるという効果を得ることができる。
ここで、λは、波長であり、λを視感度が高い波長550nmとし、この厚さの条件を満たすことで人が感じるタッチパネルの不要反射を小さくできる。
さらに、タッチパネルの最表面となる第3の透明絶縁層300については、屈折率が1.4〜1.5程度でも高い反射率低減効果が得られるため、材料の選択肢が広がるといった効果がある。
【0082】
例えば、高い表面硬度を得て、耐摩耗性を向上する場合には、第3の透明絶縁層400として酸化シリコンなどの無機材料で緻密な層を形成すればよい。
あるいは、逆に、第3の透明絶縁層400としてシリコーン樹脂などの弾性を有する材料を用いれば、使用者がタッチパネルを押すと凹むため、操作感が高まるといった効果を期待することができる。
【0083】
次に、より具体的な例を用いて第5の実施形態における反射率低減の効果を説明する。
図10は、本発明の第5の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
第5の実施形態では、透明基板100として屈折率1.53のガラス基板を用い、第1の透明電極10及び第2の透明電極20として屈折率2.05のITOを用いている。
また、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300としては、酸化シリコン−酸化チタンの非晶質マトリックスに酸化チタン結晶粒子を添加して屈折率を透明電極と同じ2.05に調整した材料を用い、第3の透明絶縁層400としては、屈折率1.46の酸化シリコンを用いている。
【0084】
図11は、この条件における第5の実施形態の分光反射率を示す図であり、第3の透明絶縁層の厚さti3を94nmに固定し、第1の透明絶縁層の厚さと第2の透明絶縁層の厚さti2の合計の厚さti12を201nm、335nm、470nm、604nmと変えた場合を示している。
これらの条件は、式(9)〜式(12)を全て満たしている。
なお、図10において、第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとした場合に各領域の分光反射率は、第1及び第2の透明電極と第1及び第2の透明絶縁層の屈折率をほぼ同じすることで、その違いはほとんどなくなるため、領域Bの分光反射率のみを示してある。
また、この反射率は、透明基板100上であって、第1及び第2の透明電極を形成した側の面の反射率である。
【0085】
第5の実施形態においては、各領域間の視感反射率差は、0.1%以下となる。また、各領域の平均反射率は透明絶縁層の厚さti12を201nm、335nm、470nm、604nmと変えた場合に、それぞれ1.7%、1.3%、0.97%、0.70%となり、従来の各領域の平均反射率が3.8%であるのに対して、45%から18%に大幅に低減する。
このため、第5の実施形態においては、各領域間の視感反射率差が小さくなることで透明電極のパターンが見えることが大幅に抑制され、さらに反射率が小さくなることでより透過率が高いタッチパネルを実現することができる。
このため、第5の実施形態のタッチパネルを備える表示装置では、より明るく、見やすい画像を実現できる。
【0086】
特に、第5の実施形態においては、第1の透明絶縁層200と第2の透明絶縁層300の厚さの合計が600nmを超えるような厚さになっても高い反射率低減効果が得られるので、第1の透明絶縁層や第1及び第2の透明電極の厚さをより厚くすることが可能になる。
このため、第1の透明電極と第2の透明電極との間の透明絶縁層を厚くすることで、第1の透明電極と第2の透明電極の交差部の容量を下げることができる。また、第1及び第2の透明電極を厚くして抵抗値を下げることで、タッチパネルの操作位置の検出感度を高めることができる。
【0087】
すなわち、本発明の第5の実施形態に係るタッチパネルにあっては、第1及び第2の透明電極や、第1の透明絶縁層の厚さを大きくすることでタッチパネルの操作位置の検出感度を高めることと、不要な反射を減らすことが両立できるという効果がある。
具体例としては、第1の透明電極の厚さtxと第2の透明電極の厚さtyは、ともに40nmとすることで低抵抗化し、さらに、第1の透明絶縁層の厚さti1を500nmとすることで第1の透明電極と第2の透明電極の交差部を低容量化することができる。
この際、第2の透明絶縁層の厚さti2は、104nmとしてこれらの合計厚さti12を604nmとし、第3の透明絶縁層の厚さti3は94nmとすることで式(9)〜式(12)の条件を全て満たすことができる。
【0088】
《タッチパネルを備える表示装置の実施形態》
次に、本発明に係るタッチパネルを備える表示装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
図12には、本発明に係るタッチパネルを備える表示装置の概略構成を示す断面図が示されている。
【0089】
図12において、タッチパネルを備える表示装置は、タッチパネル1と、表示装置2と、これらを固定する透明体4とから構成されている。
表示装置3としては、液晶表示装置、あるいは有機発光ダイオード表示装置(以下、OLED表示装置と呼ぶ)を用いることができる。
液晶表示装置は、一般に光の透過率や反射率を制御することで画像を形成する液晶表示パネルと光源としてのバックライト装置、もしくはフロントライト装置と組み合わせることで表示装置を実現する。
また、OLED表示装置は、OLED表示パネル自身が画像光を放射するため特に光源と組み合わせなくとも表示装置を実現することができる。
【0090】
タッチパネル1と表示装置3は、互いの操作面2と表示領域が重なるように、透明体4によって固定される。
透明体4は、少なくとも表示装置3の表示面およびタッチパネル1の操作面に相当する領域は全て覆うように形成する。
また、その屈折率は、タッチパネル1の透明基板、及び表示装置の最表面の部材との屈折率差が小さく、透明な樹脂によって構成されている。
より具体的には、透明体4の屈折率は、タッチパネル1を構成する透明基板、及び表示装置3の最表面の部材との屈折率差が0.09以下である透明な樹脂から構成する。
これは、透明基板100の屈折率が1.5程度の場合、屈折率の差が0.09以下となれば、界面反射は、0.1%未満となり影響を無視できるようになるからである。
【0091】
液晶表示装置やOLED表示装置では、最表面に偏光板を備えており、偏光板は、その最表面に透明樹脂による保護フィルムが配置されている。保護フィルムの屈折率は、1.48〜1.54程度であり、タッチパネルの透明基板も同程度の屈折率であるため透明体4としては、屈折率が1.48〜1.54程度のアクリル系やシリコーン系などの透明樹脂を用いることができる。
また、透明体4は、熱硬化などで硬化してもよいし、エラストマーのように弾性を持たせても良い。透明体4を備えることで、表示装置2とタッチパネル1との間での界面反射が抑制できる。
タッチパネル1は、前記、タッチパネルの第1の実施形態〜第5の実施形態に記載のいずれのタッチパネルも用いることができる。この際、タッチパネル1を構成する透明基板の第1及び第2の透明電極が形成された面とは反対側の面を表示装置側に向けて配置する。これは、本発明に係るタッチパネルが透明電極が形成された面の反射率が低いためである。
【0092】
一般に、表示装置を明るい環境の下で観察する場合、画面の表面で外光が反射して画像が見づらくなることがある。このため画面の表面に反射防止膜を設けて外光の反射を抑制することが行われる。本実施形態(タッチパネルを備える表示装置の実施形態)の表示装置においては、表面にタッチパネルを備えているが、このタッチパネルは、表面の反射率が低くできるため新たに反射防止膜を設ける必要がない。
例えば、タッチパネルの第5の実施形態における透明絶縁層の厚さti12が604nmの場合には、視感反射率は0.70%となり、反射防止膜と同等の性能を得られる。
このように本発明に係るタッチパネルを備える表示装置にあっては、タッチパネルでの反射が少ないためより明るく、見やすい画像を実現することができる。
【符号の説明】
【0093】
1…………………………タッチパネル
2…………………………操作面
3…………………………表示装置
4…………………………透明体
10………………………第1の透明電極
20………………………第2の透明電極
30………………………X座標検出用導電部
40………………………Y座標検出用導電部
100……………………透明基板
200……………………第1の透明絶縁層
300……………………第2の透明絶縁層
400……………………第3の透明絶縁層
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式のタッチパネル、及び静電容量式のタッチパネルを備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDA(パーソナルディジタルアシスタント)などの携帯機器では、画面の大型化に伴いスイッチやテンキーなどの入力手段を配置できる場所が小さくなっている。また、多機能化に伴い操作をより直感的に行えるタッチパネル付き表示装置への要求が高まっている。
タッチパネルは、指などで操作面を触れた際、その接触位置を検出することで、入力装置として機能するものである。この接触位置を検出する検出方式には、主に抵抗膜方式と、静電容量方式がある。
現在、PDAなどの携帯機器では主に抵抗膜方式が利用されている。抵抗膜方式は表面に透明電極を備える2つの透明基板を透明電極を形成した面が互いに向き合うように一定の空隙を設けて配置する。
このため2つの透明電極と空気との界面で不要な反射を生じ、この不要反射のため明るい環境では、外光の不要な反射により画面が見にくくなる、あるいは、画像光の一部が反射して画面が暗くみえるという課題を有する。
【0003】
一方、静電容量方式は、これを構成する層間に空気層がないので不要反射が小さくなり透過率が高くなる。可動部がないため磨耗の心配が小さいので耐久性が高い。さらに、基板は、一枚でよいので薄型化しやすく、携帯機器には好適な方式である。
このような静電容量タッチパネルとしては、透明基板の上に透明電極を1層設けるシンプルな構成が知られている。ただし、このような構成では、接触位置の検出精度が低いため、特に小さな画面を備える機器では、より高い検出精度が望まれていた。
【0004】
特許文献1には、X方向の座標を検出するための第1の透明電極と、Y方向の座標を検出するための第2の透明電極を、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、あるいはガラスなどの誘電体層を介して配置することで、高い精度で位置検出が可能になることが開示されている。
そして、この特許文献1に記載のタッチパネルにあっては、第1の透明電極をX方向に離間し、第2の透明電極をY方向に離間することでより高い精度で位置検出できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−173238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1に記載のタッチパネルにあっては、例えば、PETフィルムの片面にX方向の座標を検出するための電極を複数に離間して配置し、別の面にY方向の座標を検出するための電極を複数に離間して配置している。この場合、PETフィルムを中心として厚み方向に対称の構造となるため、電極が視認されるなどの問題は生じにくい。
しかしながら、電極を形成し、パターニングするといった工程を透明基材となるPETフィルムの両面に施す必要があるため、工程が多くなりコストが高くなるといった問題を有している。
【0007】
低コスト化のために、透明基材の一方の面にX方向の座標を検出するための第1の透明電極と、Y方向の座標を検出するための第2の透明電極を絶縁層を介して配置する構造が考えられる。
図13は、このような構造のタッチパネルの一部断面図である。第1の透明電極及び第2の透明電極としてはITO(酸化インジウム錫、Indium Tin Oxide)が考えられ、電極間の絶縁層としては酸化シリコンなどの透明な無機物、あるいはアクリル系などの透明樹脂が考えられる。
この場合、公知技術のようにPETフィルムの両面に第1及び第2の透明電極をそれぞれ配置したときには顕在化しない、電極のパターンが視認されて見栄えが悪くなるという問題を生じる。
【0008】
このような問題が生じるのは、以下の理由による。
透明電極の屈折率は、約2.0で、絶縁層と透明基板の屈折率は、約1.5である。第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとすると、それぞれの領域では電極の厚さが同じであっても、透明基板と電極、電極と絶縁層、電極と空気など屈折率が異なる界面が異なる位置に存在する。
このため干渉を伴う界面反射は各領域で異なり、それが電極のパターンとして視認されやすくなる。
図14は、第1及び第2の透明電極として厚さ15nmのITO(屈折率2.05)を用い、厚さ125nm、屈折率1.46の透明材料を絶縁層として利用する場合の各領域の分光反射率を示している。隣り合う領域Aと領域Bとで反射率差が4.2%あり、さらに領域Aと領域Cとでは反射率の差が6.2%もあるため視認されやすく、見栄えが悪くなる。
【0009】
本発明は、位置の検出精度、あるいは、検出感度が高く、透明電極のパターン形状が視認されるなどして見栄えが悪くなることを抑制した静電容量式のタッチパネルを提供することにある。
さらに、タッチパネルを備える表示装置において、より明るく、見やすい画像を実現することにある。
【0010】
本発明のその他の課題と新規な特徴については本明細書の記述及び添付図面を参照して明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明に係るタッチパネルは、
透明基板に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極は共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に備えられ,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間には第1の透明絶縁層を有し,
さらに第1の透明電極の上層に、操作面の全域にわたって第2の透明絶縁層を形成し,
さらに第2の透明絶縁層の上層に第3の透明絶縁層を操作面の全域にわたって形成することを特徴とする。
【0012】
この際、第1の透明絶縁層と第2の透明絶縁層は、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率差が0.12以下であり、さらに、第3の透明絶縁層の屈折率が第1及び第2の透明絶縁層の屈折率よりも小さく、第3の透明絶縁層の厚さが第1及び第2の透明絶縁層の合計の厚さよりも小さいことを特徴とする。
【0013】
また、前記課題を解決するため、本発明に係るタッチパネルは、
透明基板に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極は共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に備えられ,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間には第1の透明絶縁層を有し,
前記第1の透明電極及び前記第2の透明電極と、前記第1の透明絶縁層の屈折率の差が波長550nmで0.12以下であることを特徴とする。
さらに、前記課題を解決するため、本発明に係るタッチパネルは、
前記第1の透明電極の上層に第2の透明絶縁層を備え,
前記第2の透明絶縁層は、屈折率と厚さが第1の透明絶縁層より小さいことを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するため、本発明に係るタッチパネルを備える表示装置は、
タッチパネルと表示装置とこれらを固定する透明体から構成される表示装置であって,
前記タッチパネルは透明基板と、前記透明基板の上に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
さらに前記第1の透明電極と前記第2の透明電極が共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に備えられ,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間には第1の透明絶縁層を有し,
さらに前記第1の透明電極の上層に、操作面の全域にわたって第2の透明絶縁層を有して構成し,
前記タッチパネルと前記表示装置を、それぞれ操作面と表示領域が重なるように、前記透明体によって固定されており、前記透明体の屈折率は前記タッチパネルの透明基板、及び前記表示装置の最表面の部材との屈折率差が0.09以下である透明な樹脂から構成され,
前記タッチパネルはこれを構成する前記透明基板の前記第1及び第2の透明電極が形成された面とは反対側の面を前記表示装置側に向けて配置することを特徴とする。
【0015】
前記課題を解決するため、本発明に係るタッチパネルを備える表示装置は、
タッチパネルと表示装置とこれらを固定する透明体から構成される表示装置であって,
前記タッチパネルは透明基板と、前記透明基板の上に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
さらに前記第1の透明電極と前記第2の透明電極が共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に備えられ,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間には第1の透明絶縁層を有し,
さらに前記第1の透明電極の上層に、操作面の全域にわたって第2の透明絶縁層を有して構成し,
前記タッチパネルと前記表示装置を、それぞれ操作面と表示領域が重なるように、前記透明体によって固定されており、前記透明体の屈折率は前記タッチパネルの透明基板、及び前記表示装置の最表面の部材との屈折率差が0.09以下である透明な樹脂から構成され,
前記タッチパネルはこれを構成する前記透明基板の前記第1及び第2の透明電極が形成された面とは反対側の面を前記表示装置側に向けて配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位置の検出精度、あるいは、検出感度を高くするために、2層の透明電極を分離して配置するタッチパネルにおいて、透明電極のパターン形状が視認されることで見栄えが悪くなることを抑制した静電容量式のタッチパネルを実現できる。さらに、タッチパネルを備える表示装置において、より明るく、見やすい画像を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のタッチパネルの一例を示す平面図である。
【図2】本発明のタッチパネルの一例を示す平面図である
【図3】本発明のタッチパネルの第1の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明のタッチパネルの第1の実施形態の一部断面図である。
【図5】本発明のタッチパネルの第1の実施形態の分光反射率である。
【図6】本発明のタッチパネルの第2の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図7】本発明のタッチパネルの第2の実施形態の一部断面図である。
【図8】本発明のタッチパネルの第4の実施形態の分光反射率である。
【図9】本発明のタッチパネルの第5の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図10】本発明のタッチパネルの第5の実施形態の一部断面図である。
【図11】本発明のタッチパネルの第5の実施形態の分光反射率である。
【図12】本発明のタッチパネルを備える表示装置の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図13】本発明が課題とする構造のタッチパネルの一部断面図である。
【図14】本発明が課題とする構造のタッチパネルの分光反射率である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。この実施形態は、種々の変更が可能であり、また、各実施形態同士の組み合せは本発明に包含されるものである。
図1及び図2はそれぞれ本発明に係るタッチパネルの一実施例を示す平面図である。
【0019】
図1において、タッチパネル1は、透明基板100上に形成されたX方向の座標を検出するための第1の透明電極10と、Y方向の座標を検出するための第2の透明電極20を備え、第1の透明電極10と第2の透明電極20の間には図示しない透明な絶縁層が設けられている。
第1の透明電極10と第2の透明電極20は、タッチパネルの操作面2に相当する位置に形成されており、それぞれX方向及びY方向に複数の領域に分離している。これは、従来から知られている通り、位置検出の精度を高めるためである。
【0020】
この際、第1の透明電極10と第2の透明電極20の形状は、図中では複数の菱形をつなぎ合わせた形状をしているが、本発明は電極の形状、及び、分離(離間)した電極の本数がこれに限定されるものではない。電極の数や形状は、操作面の大きさと要求される検出位置の精度に応じて決定すればよい。
第1の透明電極10は、X座標検出用導電部30と接続し、第2の透明電極20はY座標検出用導電部40と接続されている。
X座標検出用導電部30とY座標検出用導電部40は、透明である必要が無いため金属の電極材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、クロム、銅、やこれらを含む合金を使用することができるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0021】
X座標検出用導電部30とY座標検出用導電部40は、図示しないフレキシブルプリント回路板(以下、FPCとも呼ぶ)と接続され、このFPCを介して図示しないスイッチング回路や検出回路などに接続されている。
X座標検出用導電部30とY座標検出用導電部40は、それぞれ第1の透明電極10と第2の透明電極に所定の電圧を印加するための電極として機能し、スイッチング回路の切り替えにより第1の透明電極10と第2の透明電極20のいずれか一方に選択的に電圧を印加することができる。
電圧が印加された透明電極上には、電界が形成され、この状態で、指などが触れると、接触位置は、人体の静電容量を介して接地されることになる。その結果、対象となるX座標検出用導電部30またはY座標検出用導電部40と接触位置との間に抵抗値の変化が生じる。
【0022】
抵抗値は、接触位置とX座標検出用導電部30またはY座標検出用導電部40との距離に比例するため、検出回路は、接触位置とX座標検出用導電部30またはY座標検出用導電部40との間に流れる電流値を検出することで接触位置の座標を求めることができる。
なお、本発明は、このような静電容量方式のタッチパネル、及びこれを備える表示装置に関するものであるが、その特徴は専らタッチパネルの操作面2の断面構造にある。
このため、位置検出の方法や仕組み、位置検出をするための回路など、本発明の特徴ではない事柄に関しては上記に限定されず、公知技術を用いれば良い。このため、本願では位置検出の方法や仕組み、位置検出をするための回路など本発明の特徴でない事柄については詳細な説明は省略する。
【0023】
また、図1と図2の違いは、X座標検出用導電部30とY座標検出用導電部40がそれぞれ第1の透明電極10と第2の透明電極20の両側にあるか(図1の場合)、片側のみにあるか(図2の場合)の違いである。どちらを選択するかは検出感度やコストなどを鑑みて選択すればよい。
【0024】
次に本発明に係るタッチパネルの特徴について図面を参照して説明するが、各図面は、発明の要点をわかり易く説明するために、縮尺や形状は、誇張されている。
【0025】
《タッチパネルの第1の実施形態》
図3は、本発明の第1の実施形態に係るタッチパネルの概略構成を示す断面図で、図1または図2のA−A’における断面構造を示す図である。
なお、図1と図2は、位置A−A’においては、同一の構造であるため、以下の記述においては、これを区別しないものとする。
【0026】
第1の実施形態のタッチパネルは、ガラスまたは透明な樹脂材料から構成される透明基板100にY方向に複数に分離して形成した第2の透明電極20と、その上層に操作面2の全域にわたって形成した第1の透明絶縁層200と、第1の透明絶縁層200の上層にX方向に複数に分離して形成した第1の透明電極10と、第1の透明電極10の上層に操作面2の全域にわたって形成した第2の透明絶縁層300とから構成される。
【0027】
透明基板100としては、少なくとも可視光に対する透過率が85%以上と高い透明な材料、例えば、ガラスや、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリ塩化ビニリデン樹脂,ポリカーボネート樹脂等の透明樹脂を用いることができる。
【0028】
第1の透明電極10及び第2の透明電極20は、少なくとも可視光に対する透過率が高く、導電性を有する透明電極材料から構成する。このような導電性を有する透明電極材料としては、例えば、ITO(酸化インジウム錫、Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)を用いることができる。
これらの透明電極は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などの物理的作成法や、スプレー法、ディップ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの化学的作成法から、その下地となる透明基板あるいは第1の透明絶縁層を考慮して最適な方法を選択すればよい。
【0029】
また、第1の透明電極10及び第2の透明電極20をそれぞれX方向とY方向に分離する方法としては、面状に形成した透明電極をホトリソグラフィー技術を利用してエッチング法でパターニングする方法、あるは、有機溶剤に上記材料からなる導電性フィラーなどを分散した塗料を用い、印刷法により直接、所望のパターンに形成する方法がある。
ここで、重要なのは、その膜厚を精度良く制御できることであり、後述する所望の膜厚を実現できて、さらに透明、かつ、抵抗値が低い製造方法がより望ましいが本発明においては、これを限定するものではない。
第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300は、透明基板100との屈折率の差が小さいことが重要である。これは、屈折率の差が大きいと、透明基板100と第1の透明絶縁層200、及び、第1の透明絶縁層200と第2の透明絶縁層300との界面での反射が大きくなるからである。
【0030】
したがって、本発明においては、透明基板100と第1の透明絶縁層200と第2の絶縁層300の波長550nmにおける屈折率の差が最大0.09以下となる材料を選択する。これは、透明基板100の屈折率が1.5程度の場合、屈折率の差が0.09以下となれば、界面反射は0.1%未満となり影響を無視できるようになるからである。
このような条件を満足する第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300としては、例えば、透明基板100としてガラス(屈折率1.53)を使用する場合、屈折率が1.44〜1.62の範囲にある酸化シリコンなどの透明な無機材料や、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリ塩化ビニリデン樹脂,ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂などの透明な有機材料を用いれば良い。
【0031】
光学的な面からは、第1の透明絶縁層200と第2の透明絶縁層300とで同じ材料を用いることで第1の透明絶縁層200と第2の透明絶縁層300の界面反射はなくすことができる。
第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300として、酸化シリコンを用いる場合、その成膜方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法がある。あるいは、ゾル−ゲル法を用いても良い。
この場合、原料としてシリコンアルコキシドであるシリコンエトキシド(Si(OC2O5)4)、シリコンメトキシド、シリコンノルマルプロポキシド、シリコンイソプロポキシド、シリコンノルマルブトキシド、シリコンイソブトキシド、シリコンセカンダリブトキシド、シリコンターシャリブトキシドなどを用いることが可能であり、これらの単体、或いはこれらの二種類以上の混合物であっても良い。
【0032】
また、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300としてアクリル樹脂やシリコーン樹脂などの透明な有機材料を用いる場合、塗布は、スピンコート,ディップコート(浸漬),バーコート,アプリケーターによるコート,スプレーコート,フローコート等の方法が考えられる。また、硬化は、材料の組成に応じて熱硬化や光硬化で行うことができる。
【0033】
次に、より具体的な例によって第1の実施形態における効果を説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
第1の実施形態においては、透明基板100として屈折率1.53のガラス基板を用い、第1の透明電極及び第2の透明電極として屈折率2.05のITOを用い、第1の透明絶縁層及び第2の透明絶縁層として屈折率1.46の酸化シリコンを用いている。
また、第1の透明電極の厚さtxは、15nm、第2の透明電極の厚さtyは、15nm、第1の透明絶縁層の厚さti1は、125nm、第2の透明絶縁層の厚さti2は、125nmとしている。
【0034】
図5は、図4において、第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとした場合の各領域の分光反射率を示す。
なお、この反射率は、透明基板100上であって、第1及び第2の透明電極を形成した側の面の反射率を示す。
第1の実施形態においては、第2の透明絶縁層300を第2の透明電極20の上層に形成することで、各領域間の最大の視感反射率差は、2.3%となり、各領域の平均反射率は、1.9%となる。
これは、第2の透明絶縁層がない場合に、各領域間の最大の視感反射率差が6.2%で、各領域の平均反射率が3.8%あるのに対して、それぞれ37%と50%に低減している。
【0035】
つまり、第1の実施形態では、各領域間の視感反射率差が小さくなることで透明電極のパターンが見えることが抑制され、さらに反射率が減ることで、より透過率が高いタッチパネルが実現できる。
このため、本実施の第1の実施形態に係るタッチパネルを備える表示装置では、より明るく、見やすい画像を実現できる。
なお、第1の透明絶縁層200と第2の透明絶縁層300は、前記屈折率の条件を満たせば必ずしも同じ材料である必要はない。例えば、第1の透明絶縁層200は酸化シリコンからなる硬い層とし、第2の透明絶縁層300は、シリコーン樹脂のように弾性を有する層とすると良い。この場合、使用者がタッチパネルを押すと凹むため、操作感が高まるといった効果が期待できる。
【0036】
《タッチパネルの第2の実施形態》
次に、本発明に係るタッチパネルの第2の実施形態について図面を参照して説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルの概略構成を示す断面図であり、図1または図2のA−A’における断面構造を示す図である。
【0037】
第2の実施形態のタッチパネルは、ガラスまたは透明な樹脂材料から構成される透明基板100にY方向に複数に分離して形成した第2の透明電極20と、その上層に操作面2の全域にわたって形成した第1の透明絶縁層200と、第1の透明絶縁層200の上層にX方向に複数に分離して形成した第1の透明電極10とから構成される。
【0038】
第2の実施形態のタッチパネルは、第1の実施形態に示されるタッチパネルにおいて、第1の透明絶縁層200として、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率の差が0.12以下の材料を用い、さらに第2の透明絶縁層を設けない構成である。
このため、第1の実施形態に示されるタッチパネルと同様な部分については詳細な説明は省略する。
【0039】
第2の実施形態においては、第1の透明絶縁層200として、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率差が0.12以下の材料を用いることを特徴としている。
これは、第1の透明電極10及び第2の透明電極20として利用されるITOやIZO、あるいはZnOの屈折率が2.0程度であり、この場合は、屈折率の差が0.12以下であれば、界面反射が0.1%未満となり影響を無視できるからである。
このような高屈折率の透明絶縁層としては、酸化シリコンと酸化チタンよりなる非晶質マトリックスガラスや、この酸化シリコンと酸化チタンよりなるマトリクス中に、さらに必要に応じて酸化チタン結晶粒子を分散することで所望の屈折率に調整したガラスが考えられる。このガラスはゾル−ゲル法を用いて形成できる。
【0040】
具体的には、酸化シリコン原料としてシリコンアルコキシドであるシリコンエトキシド(Si(OC2O5)4)を用いる。これ以外にも、シリコンアルコキシドとしてシリコンメトキシド、シリコンノルマルプロポキシド、シリコンイソプロポキシド、シリコンノルマルブトキシド、シリコンイソブトキシド、シリコンセカンダリブトキシド、シリコンターシャリブトキシドなどを用いることが可能であり、これらの単体、或いはこれらの二種類以上の混合物であっても良い。
【0041】
また、酸化チタン原料としては、チタンアルコキシドであるチタンノルマルブトキシド(Ti(OC4O9)4)を用いる。これ以外にも、チタンアルコキシドとしてチタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンノルマルプロポキシド、シリコンイソプロポキシド、チタンイソブトキシド、チタンセカンダリブトキシド、チタンターシャリブトキシドなどを用いることが可能であり、これらの単体、或いはこれらの二種類以上の混合物であっても良い。
【0042】
酸化ケイ素−酸化チタンマトリックスは、具体的には、以下の方法により合成することができる。
すなわち、第一段階として、アルコール中に溶解したシリコンエトキシド1モルに水1モルを加えて加水分解したのち、チタンブトキシド、またはチタンイソプロポキシドを1モル加えて十分に攪拌してシリカ−チタニアネットワークを構築する。
この際、急激な加水分解反応を抑制するため、シリコンエトキシド1モルを、エタノール又はメタノール2モル中にスターラを用いて攪拌しながら溶解するとよい(溶液A)。
【0043】
さらに加水分解用の純水に、希塩酸1%を添加してpHを2.0以下にし、加水分解用の水を準備する(溶液B)。
このシリコンエトキシドのアルコール溶液を、スターラを用いて激しく攪拌しながら、pHを2.0以下に調整した純水1モルを滴下し、シリコンエトキシドの4つのアルコキシル基のうちの一つを加水分解する(溶液C)。
この反応式は、式(1)のようになる。
【0044】
〔式1〕
【0045】
式(1)において、Etは、エトキシキル基(−C2H5)を表す。この溶液Cを約10分間攪拌したのち、10分ほど静置する。
次に、急激な加水分解反応を抑制するためチタンノルマルブトキシド1モルを、エタノールまたはメタノール3モル中にスターラを用いて攪拌しながら溶解する(溶液D)。
式(1)で合成したシリコンエトキシドの加水分解溶液(溶液C)を、スターラを用いて激しく攪拌しながら、このチタンノルマルブトキシドのアルコール溶液を滴下し、式(2)に示す化学反応を進行させ、溶液Eを得る。
【0046】
〔式2〕
【0047】
式(2)において、Buは、ブトキシル基(−C4H9)を表す。この反応により、Si−O−Tiネットワークが形成される。この溶液をさらに10分〜1時間程度攪拌したのち、10分ほど静置する。
【0048】
次に、第二段階として、ルチル型チタン酸化物結晶粒子のメタノール溶液を滴下する。先の溶液Eにルチル型酸化チタン結晶粒子(平均粒径10nm)を含有したメタノール分散ゾルを滴下し、溶液Fを得る。
【0049】
さらに、第三段階として、残りの水のアルコール溶液を激しく攪拌しながら滴下することにより、未反応の酸化ケイ素、酸化チタンを完全に加水分解させて、ルチル型チタン酸化物が分散された酸化シリコン−酸化チタンマトリックスを形成する。
溶液Fに残存する未反応のアルコキシル基を加水分解するため、純水に希塩酸を添加してpHを2.0以下にし、これにエタノールまたはメタノールを添加した加水分解用の水を準備する(溶液G)。溶液Fを、スターラを用いて激しく攪拌しながら溶液Gを滴下し、加水分解を進行させ、溶液Hを得る。
【0050】
第四段階として、溶液Hが流動性を有する内に塗布し、水の添加により、加水分解を進行させるとゲル化が進行する。さらに、乾燥によりゲル中に含まれるアルコールを揮発させることでルチル型酸化チタン結晶が分散された酸化シリコン−酸化チタンガラスを得る。
この非晶質マトリックスガラスは、酸化チタン結晶粒子は添加しなくても、酸化シリコンと酸化チタンの組成によりその屈折率が調整することができ、酸化チタンの組成を増やすことで屈折率を高くできる。例えば、酸化チタンの組成を0〜80mol%まで変化させると屈折率(ここではD線)は、1.45から1.94まで高くできる。
さらに高い屈折率を実現するには、酸化チタン結晶粒子を添加すればよく、例えば非晶質マトリックス中の酸化チタンの含有量を50mol%とし、酸化チタン結晶粒子を60mol%添加すると屈折率(ここではD線)を2.26まで高めることができる。
【0051】
なお、非晶質マトリックス成分中の酸化チタンのマトリクス中での含有量はTiO2の酸化物換算で80mol%を超えると白濁が生じるため、酸化チタンのマトリクス中での含有量は80mol%以下とすることが望ましい。
また、マトリックス中での含有量がTiO2の酸化物換算で31mol%未満であると、屈折率を上げるために酸化チタン結晶微粒子を含有させると、その含有量によっては白濁を生じる。
このため、酸化チタンのマトリクス中での含有量は31mol%以上とすることが望ましい。さらに、添加する酸化チタン結晶微粒子の粒径については、平均粒径が20nmを超えると白濁を生じ、平均粒径が3nm未満のものは不安定で凝集が顕著であるため、平均粒径としては3nm以上20nm以下が望ましい。
【0052】
次に、より具体的な例によって、第2の実施形態における効果について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
第2の実施形態は、透明基板100として屈折率1.53のガラス基板を用い、第1の透明電極及び第2の透明電極として屈折率2.05のITOを用い、第1の透明絶縁層としては、酸化シリコン−酸化チタンの非晶質マトリックスに酸化チタン結晶粒子を添加して屈折率を透明電極と同じ2.05に調整した材料を用いる。
また、第1の透明電極の厚さtxは、15nm、第2の透明電極の厚さtyは、15nm、第1の透明絶縁層の厚さti1は、125nmとしている。
【0053】
この場合、第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとすると、領域Bと領域Cでは、反射率の差は、0.1%未満と小さくなる。
また、領域Aと領域Bでは視感反射率差は、0.2%である。なお、ここで述べた反射率は、透明基板100上の第1及び第2の透明電極を形成した側の面のみの反射率を示す。
これは、第1の透明絶縁層を酸化シリコンやシリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂などから構成して、第2の実施形態のように第1の透明電極10や第2の透明電極20との屈折率差が小さくなるように調整しない場合(例えば屈折率1.46の場合)に各領域間の最大の視感反射率差が6.2%になるのに対し、約1/30に低減している。
【0054】
したがって、第2の実施形態では、各領域間の視感反射率差が小さくなることで透明電極のパターンが見えることが抑制されるタッチパネルが実現できる。
このため、本実施の第2の実施形態に係るタッチパネルを備える表示装置においては、より見やすい画像を実現することができる。
なお、第2の実施形態のように第1の透明絶縁層の屈折率を第1および第2の透明電極の値に近づけた場合、これらの平均屈折率をNmとすると、屈折率Nmは透明基板の屈折率よりも高くなることが一般的である。
この場合、反射率を低減するには第1の透明絶縁層の厚さti1やこれに第1の透明電極の厚さti1を加えた厚さti1+txが、式(3)に示すdに対し、式(4)の関係を満たすことが望ましい。
【0055】
〔式3〕
d=λ/(2Nm) ……………………(3)
〔式4〕
ti1+tx≧d≧ti1 ……………(4)
【0056】
ここで、λは、波長であり、λを視感度が高い波長550nmとし、この厚さの条件を満たすことで人が感じるタッチパネルの不要反射を小さくできる。
【0057】
《タッチパネルの第3の実施形態》
次に、本発明に係るタッチパネルの第3の実施形態について図面を参照して説明する。
【0058】
第3の実施形態のタッチパネルは、前記第2の実施形態に示されるタッチパネルにおいて、第1の透明電極10の上層に、操作面2の全域にわたって第2の透明絶縁層300を形成するものである。
このため、前記第2の実施形態に示されるタッチパネルと同様な部分については詳細な説明は省略する。
なお、第3の実施形態の断面構造は、前記第1の実施形態に示されるタッチパネルと構成が同様であるため、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、図1または図2のA−A’における断面構造を示す図である。
【0059】
第3の実施形態では、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300として、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率差が0.12以下の材料を用いることを特徴とする。これは、第1の透明電極10及び第2の透明電極20の屈折率が2.0程度の場合、屈折率の差が0.12以下であれば、界面反射が0.1%未満となり影響を無視できるからである。
このような高屈折率の透明絶縁層としては、前記の通り、酸化シリコンと酸化チタンよりなる非晶質マトリックスガラスや、この酸化シリコンと酸化チタンよりなるマトリクス中に、さらに必要に応じて酸化チタン結晶粒子を分散することで所望の屈折率に調整したガラスが考えられる。
【0060】
次に、より具体的な例によって、第3の実施形態における効果について説明する。
図4は、本発明の第3の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図を示している。
図4において、第3の実施形態は、透明基板100として屈折率1.53のガラス基板を用い、第1の透明電極10及び第2の透明電極20として屈折率2.05のITOを用い、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300としては、酸化シリコン−酸化チタンの非晶質マトリックスに酸化チタン結晶粒子を添加して屈折率を透明電極と同じ2.05に調整した材料を用いている。
また、第1の透明電極の厚さtxは、15nm、第2の透明電極の厚さtyは、15nm、第1の透明絶縁層の厚さti1は、100nm、第2の透明絶縁層の厚さti2は、40nmとしている。
したがって、taは、140nmとなる。
【0061】
この場合、第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとすると、各領域の反射率差は、0.1%未満と小さくなる。
つまり、第3の実施形態においては、各領域間の視感反射率差が小さくなることで透明電極のパターンが見えることが抑制されるタッチパネルが実現できる。このため、第3の実施形態に係るタッチパネルを備える表示装置では、より見やすい画像を実現することができる。
なお、ここで述べた反射率は、透明基板100上の第1及び第2の透明電極を形成した側の面のみの反射率を示している。
【0062】
なお、第3の実施形態のように第1及び第2の透明絶縁層の屈折率を第1および第2の透明電極の値に近づけた場合、これらの平均屈折率をNmとすると、屈折率Nmは透明基板の屈折率よりも高くなることが一般的である。
この場合、反射率を低減するには、厚さtaが前記式(3)に示すdと同じになる、または、近い値になることが望ましい。
ここで、λは、波長であり、λを視感度が高い波長550nmとし、この厚さの条件を満たすことで人が感じるタッチパネルの不要反射を小さくできる。
【0063】
《タッチパネルの第4の実施形態》
次に、本発明に係るタッチパネルの第4の実施形態について図面を参照して説明する。
【0064】
第4の実施形態のタッチパネルは、前記第3の実施形態に示されるタッチパネルにおいて、第1の透明電極10の上層に、操作面2の全域にわたって形成する第2の透明絶縁層300の屈折率と厚さを、ともに第1の透明絶縁層200のよりも小さくするものである。
このため、前記第3の実施形態に示されるタッチパネルと同様な部分については、詳細な説明は省略する。
なお、第4の実施形態の断面構造は、前記第1の実施形態と構成が同様であるため、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、本発明の第4の実施形態に係るタッチパネルの概略構成を示す断面図であり、図1または図2のA−A’における断面構造を示す図である。
また、図4は、本発明の第4の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
【0065】
第4の実施形態では、第1の透明絶縁層200として、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率差が0.12以下の材料を用い、さらに第1の透明絶縁層200よりも屈折率が低く、厚さが薄い第2の透明絶縁層300を第1の透明電極10の上層に、操作面2の全域にわたって形成することを特徴としている。
【0066】
第1の透明電極10及び第2の透明電極20として利用されるITOやIZO、あるいはZnOの屈折率は、2.0程度である。この場合、屈折率の差が0.12以下の材料を用いれば、第1の透明電極10及び第2の透明電極20と第1の透明絶縁層200との間での界面反射は、0.1%未満となり影響を無視することができる。
このような高屈折率の第1の透明絶縁層200としては、前記の通り、酸化シリコンと酸化チタンよりなる非晶質マトリックスガラスや、この酸化シリコンと酸化チタンよりなるマトリクス中に、さらに必要に応じて酸化チタン結晶粒子を分散することで所望の屈折率に調整したガラスを用いることができる。
【0067】
第2の透明絶縁層300は、第1の透明絶縁層200よりも屈折率が低い材料を用い、その厚さは第1の透明絶縁膜よりも薄くする。
具体的には、第1の透明絶縁層と第1の透明電極及び第2の透明電極の屈折率の平均値をNHとし、第2の透明絶縁層の屈折率をNLとすると、式(5)及び式(6)で定義するdHとdLに対して、第1の透明電極の厚さtxと、第1の透明絶縁層の厚さti1、及び第2の透明絶縁層の厚さti2が式(7)及び式(8)の関係を満たすことが望ましい。
【0068】
〔式5〕
dH=λ/(2NH) …………………(5)
〔式6〕
dL=λ/(4NL) …………………(6)
〔式7〕
ti1+tx≧dH≧ti1 ……………(7)
〔式8〕
ti2≧dL≧ti2−tx ……………(8)
【0069】
この条件を満たすことで、透明基板100上の第1及び第2の透明電極を形成した側の面における反射率が小さくなるという効果が得られる。
ここで、λは、波長であり、λを視感度が高い波長550nmとし、この厚さの条件を満たすことで人が感じるタッチパネルの不要反射を小さくできる。
さらに、タッチパネルの最表面となる第2の透明絶縁層300は、屈折率が1.4〜1.5程度でも高い反射率低減効果が得られるため、材料の選択肢が広がるといった効果がある。
【0070】
例えば、高い表面硬度を得て、耐摩耗性を向上する場合には、第2の透明絶縁層300として酸化シリコンなどの無機材料で緻密な層を形成すればよい。
あるいは、逆に、第2の透明絶縁層300としてシリコーン樹脂などの弾性を有する材料を用いれば、使用者がタッチパネルを押すと凹むため、操作感が高まるといった効果を期待することができる。
【0071】
次に、より具体的な例を用いて第4の実施形態における反射率低減の効果を説明する。
図4は、本発明の第4の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
第4の実施形態は、透明基板100として屈折率1.53のガラス基板を用い、第1の透明電極10及び第2の透明電極20として屈折率2.05のITOを用いている。
また、第1の透明絶縁層200としては、酸化シリコン−酸化チタンの非晶質マトリックスに酸化チタン結晶粒子を添加して屈折率を透明電極と同じ2.05に調整した材料を用い、第2の透明絶縁層300としては屈折率1.46の酸化シリコンを用いている。
【0072】
第1の透明電極の厚さtxと第2の透明電極の厚さtyは、ともに15nmとし、第1の透明絶縁層の厚さti1は、125nm、第2の透明絶縁層の厚さti2は、100nmとする。
これらの条件は、式(5)〜式(8)を全て満たしている。
図8は、この条件における反射率を示すもので、図4において、第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとした場合の各領域の分光反射率を示している。
なお、この反射率は、透明基板100上であって、第1及び第2の透明電極を形成した側の面の反射率である。
【0073】
第4の実施形態においては、各領域間の最大の視感反射率差は、0.25%となり、各領域の平均反射率は、1.9%となる。
これは、従来の各領域間の最大の視感反射率差が6.2%で、各領域の平均反射率が3.8%であるのに対して、それぞれ4%と50%に大幅に低減している。
さらに、各領域間の反射光の色度差Δu’v’は、従来、0.1であったのに対し、0.01と極めて小さくなっている。
このため、第4の実施形態においては、各領域間の視感反射率差及び反射光の色度差が小さくなることで透明電極のパターンが見えることが大幅に抑制され、さらに、反射率が小さくなることでより透過率が高いタッチパネルを実現することができる。
このため、第4の実施形態のタッチパネルを備える表示装置においては、より明るく、見やすい画像を実現することができる。
【0074】
《タッチパネルの第5の実施形態》
次に、本発明に係るタッチパネルの第5の実施形態について図面を参照して説明する。
【0075】
第5の実施形態のタッチパネルは、前記第3の実施形態に示されるタッチパネルにおいて、第1及び第2の透明絶縁層や第1及び第2の透明電極の厚さを必要に応じて変更し、さらに、第2の透明絶縁層の上層に、第3の透明絶縁層を操作面2の全域にわたって形成するようにしたものである。
このため、前記第3の実施形態に示されるタッチパネルと同様な部分については、詳細な説明は省略する。
図9は、本発明の第5の実施形態に係るタッチパネルの概略構成を示す断面図であり、図1または図2のA−A’における断面構造を示す図である。
また、図10は、本発明の第5の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
【0076】
第5の実施形態においては、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300として、第1の透明電極10及び第2の透明電極20との屈折率差が0.12以下の材料を用いている。
これは、第1の透明電極10及び第2の透明電極20の屈折率が2.0程度の場合、屈折率の差が0.12以下であれば、界面反射が0.1%未満となり、その影響を無視できるからである。
このような高屈折率の透明絶縁層としては、前記の通り、酸化シリコンと酸化チタンよりなる非晶質マトリックスガラスや、この酸化シリコンと酸化チタンよりなるマトリクス中に、さらに必要に応じて酸化チタン結晶粒子を分散することで所望の屈折率に調整したガラスを用いることができる。
【0077】
第2の透明絶縁層300の上層に形成する第3の透明絶縁層400は、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300よりも屈折率が低い材料を用い、その厚さは、第1の透明絶縁層と第2の透明絶縁層の合計の厚さよりも小さくする。
より厳密には、第1の透明絶縁層及び第2の透明絶縁層と第1の透明電極及び第2の透明電極の屈折率の平均値をNHHとし、第3の透明絶縁層の屈折率をNLLとすると、式(9)及び式(10)で定義されるdHHとdLLに対して、第1の透明絶縁層200厚さti1と第2の透明絶縁層300の厚さti2の合計の厚さti12と、第3の透明絶縁層の厚さti3が、それぞれ等しくなることが望ましい。
【0078】
〔式9〕
dHH=λ/(2・NHH)×(2n+1)/2 ……………(9)
〔式10〕
dLL=λ/(4・NLL) ………………………(10)
【0079】
ただし、実際の製造の際には、層厚の変動が生じることを考慮すると、その変動は±10%以下、より望ましくは±5%以下の誤差で等しくなることが不要な反射を削減するうえで望ましいため、式(11)及び式(12)の条件を満たすことが望ましい。
【0080】
〔式11〕
1.05dHH≧ti12≧0.95dHH ……………………(11)
〔式12〕
1.05dLL≧ti3≧0.95dLL ………………………(12)
【0081】
この式(11)及び式(12)の条件を満たすことによって、透明基板100上の第1及び第2の透明電極を形成した側の面における反射率が小さくなるという効果を得ることができる。
ここで、λは、波長であり、λを視感度が高い波長550nmとし、この厚さの条件を満たすことで人が感じるタッチパネルの不要反射を小さくできる。
さらに、タッチパネルの最表面となる第3の透明絶縁層300については、屈折率が1.4〜1.5程度でも高い反射率低減効果が得られるため、材料の選択肢が広がるといった効果がある。
【0082】
例えば、高い表面硬度を得て、耐摩耗性を向上する場合には、第3の透明絶縁層400として酸化シリコンなどの無機材料で緻密な層を形成すればよい。
あるいは、逆に、第3の透明絶縁層400としてシリコーン樹脂などの弾性を有する材料を用いれば、使用者がタッチパネルを押すと凹むため、操作感が高まるといった効果を期待することができる。
【0083】
次に、より具体的な例を用いて第5の実施形態における反射率低減の効果を説明する。
図10は、本発明の第5の実施形態に係るタッチパネルの一部断面図である。
第5の実施形態では、透明基板100として屈折率1.53のガラス基板を用い、第1の透明電極10及び第2の透明電極20として屈折率2.05のITOを用いている。
また、第1の透明絶縁層200及び第2の透明絶縁層300としては、酸化シリコン−酸化チタンの非晶質マトリックスに酸化チタン結晶粒子を添加して屈折率を透明電極と同じ2.05に調整した材料を用い、第3の透明絶縁層400としては、屈折率1.46の酸化シリコンを用いている。
【0084】
図11は、この条件における第5の実施形態の分光反射率を示す図であり、第3の透明絶縁層の厚さti3を94nmに固定し、第1の透明絶縁層の厚さと第2の透明絶縁層の厚さti2の合計の厚さti12を201nm、335nm、470nm、604nmと変えた場合を示している。
これらの条件は、式(9)〜式(12)を全て満たしている。
なお、図10において、第1の透明電極上を領域A、電極がない部分を領域B、第2の透明電極上を領域Cとした場合に各領域の分光反射率は、第1及び第2の透明電極と第1及び第2の透明絶縁層の屈折率をほぼ同じすることで、その違いはほとんどなくなるため、領域Bの分光反射率のみを示してある。
また、この反射率は、透明基板100上であって、第1及び第2の透明電極を形成した側の面の反射率である。
【0085】
第5の実施形態においては、各領域間の視感反射率差は、0.1%以下となる。また、各領域の平均反射率は透明絶縁層の厚さti12を201nm、335nm、470nm、604nmと変えた場合に、それぞれ1.7%、1.3%、0.97%、0.70%となり、従来の各領域の平均反射率が3.8%であるのに対して、45%から18%に大幅に低減する。
このため、第5の実施形態においては、各領域間の視感反射率差が小さくなることで透明電極のパターンが見えることが大幅に抑制され、さらに反射率が小さくなることでより透過率が高いタッチパネルを実現することができる。
このため、第5の実施形態のタッチパネルを備える表示装置では、より明るく、見やすい画像を実現できる。
【0086】
特に、第5の実施形態においては、第1の透明絶縁層200と第2の透明絶縁層300の厚さの合計が600nmを超えるような厚さになっても高い反射率低減効果が得られるので、第1の透明絶縁層や第1及び第2の透明電極の厚さをより厚くすることが可能になる。
このため、第1の透明電極と第2の透明電極との間の透明絶縁層を厚くすることで、第1の透明電極と第2の透明電極の交差部の容量を下げることができる。また、第1及び第2の透明電極を厚くして抵抗値を下げることで、タッチパネルの操作位置の検出感度を高めることができる。
【0087】
すなわち、本発明の第5の実施形態に係るタッチパネルにあっては、第1及び第2の透明電極や、第1の透明絶縁層の厚さを大きくすることでタッチパネルの操作位置の検出感度を高めることと、不要な反射を減らすことが両立できるという効果がある。
具体例としては、第1の透明電極の厚さtxと第2の透明電極の厚さtyは、ともに40nmとすることで低抵抗化し、さらに、第1の透明絶縁層の厚さti1を500nmとすることで第1の透明電極と第2の透明電極の交差部を低容量化することができる。
この際、第2の透明絶縁層の厚さti2は、104nmとしてこれらの合計厚さti12を604nmとし、第3の透明絶縁層の厚さti3は94nmとすることで式(9)〜式(12)の条件を全て満たすことができる。
【0088】
《タッチパネルを備える表示装置の実施形態》
次に、本発明に係るタッチパネルを備える表示装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
図12には、本発明に係るタッチパネルを備える表示装置の概略構成を示す断面図が示されている。
【0089】
図12において、タッチパネルを備える表示装置は、タッチパネル1と、表示装置2と、これらを固定する透明体4とから構成されている。
表示装置3としては、液晶表示装置、あるいは有機発光ダイオード表示装置(以下、OLED表示装置と呼ぶ)を用いることができる。
液晶表示装置は、一般に光の透過率や反射率を制御することで画像を形成する液晶表示パネルと光源としてのバックライト装置、もしくはフロントライト装置と組み合わせることで表示装置を実現する。
また、OLED表示装置は、OLED表示パネル自身が画像光を放射するため特に光源と組み合わせなくとも表示装置を実現することができる。
【0090】
タッチパネル1と表示装置3は、互いの操作面2と表示領域が重なるように、透明体4によって固定される。
透明体4は、少なくとも表示装置3の表示面およびタッチパネル1の操作面に相当する領域は全て覆うように形成する。
また、その屈折率は、タッチパネル1の透明基板、及び表示装置の最表面の部材との屈折率差が小さく、透明な樹脂によって構成されている。
より具体的には、透明体4の屈折率は、タッチパネル1を構成する透明基板、及び表示装置3の最表面の部材との屈折率差が0.09以下である透明な樹脂から構成する。
これは、透明基板100の屈折率が1.5程度の場合、屈折率の差が0.09以下となれば、界面反射は、0.1%未満となり影響を無視できるようになるからである。
【0091】
液晶表示装置やOLED表示装置では、最表面に偏光板を備えており、偏光板は、その最表面に透明樹脂による保護フィルムが配置されている。保護フィルムの屈折率は、1.48〜1.54程度であり、タッチパネルの透明基板も同程度の屈折率であるため透明体4としては、屈折率が1.48〜1.54程度のアクリル系やシリコーン系などの透明樹脂を用いることができる。
また、透明体4は、熱硬化などで硬化してもよいし、エラストマーのように弾性を持たせても良い。透明体4を備えることで、表示装置2とタッチパネル1との間での界面反射が抑制できる。
タッチパネル1は、前記、タッチパネルの第1の実施形態〜第5の実施形態に記載のいずれのタッチパネルも用いることができる。この際、タッチパネル1を構成する透明基板の第1及び第2の透明電極が形成された面とは反対側の面を表示装置側に向けて配置する。これは、本発明に係るタッチパネルが透明電極が形成された面の反射率が低いためである。
【0092】
一般に、表示装置を明るい環境の下で観察する場合、画面の表面で外光が反射して画像が見づらくなることがある。このため画面の表面に反射防止膜を設けて外光の反射を抑制することが行われる。本実施形態(タッチパネルを備える表示装置の実施形態)の表示装置においては、表面にタッチパネルを備えているが、このタッチパネルは、表面の反射率が低くできるため新たに反射防止膜を設ける必要がない。
例えば、タッチパネルの第5の実施形態における透明絶縁層の厚さti12が604nmの場合には、視感反射率は0.70%となり、反射防止膜と同等の性能を得られる。
このように本発明に係るタッチパネルを備える表示装置にあっては、タッチパネルでの反射が少ないためより明るく、見やすい画像を実現することができる。
【符号の説明】
【0093】
1…………………………タッチパネル
2…………………………操作面
3…………………………表示装置
4…………………………透明体
10………………………第1の透明電極
20………………………第2の透明電極
30………………………X座標検出用導電部
40………………………Y座標検出用導電部
100……………………透明基板
200……………………第1の透明絶縁層
300……………………第2の透明絶縁層
400……………………第3の透明絶縁層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、該透明基板の上に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極を共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から、前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に設け,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間に第1の透明絶縁層を設け,
前記第1の透明電極の上層に、操作面の全域にわたって第2の透明絶縁層を設け,
前記第2の透明絶縁層の上層に、操作面の全域にわたって第3の透明絶縁層を設け,
前記第1の透明絶縁層と前記第2の透明絶縁層は、前記第1の透明電極及び前記第2の透明電極との屈折率差が0.12以下であり、前記第3の透明絶縁層の屈折率を前記第1及び第2の透明絶縁層の屈折率よりも小さくし、前記第3の透明絶縁層の厚さを前記第1透明絶縁層及び第2の透明絶縁層の合計の厚さよりも小さく構成したことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチパネルにおいて,
前記第1の透明絶縁層及び前記第2の透明絶縁層と前記第1の透明電極及び前記第2の透明電極の屈折率の平均値をNHHとし、前記第3の透明絶縁層の屈折率をNLLとして次式により、dHHとdLLを定義し、
dHH=λ/(2・NHH)×(2n+1)/2
dLL=λ/(4・NLL)
さらに、前記第1の透明絶縁層の厚さと前記第2の透明絶縁層の厚さの合計をti12とし、前記第3の透明絶縁層の厚さをti3としたとき、次式を満たすことを特徴とするタッチパネル。
1.05dHH≧ti12≧0.95dHH
1.05dLL≧ti3≧0.95dLL
【請求項3】
タッチパネルと表示装置とを有し、前記タッチパネルの操作面と前記表示装置の表示領域とがそれぞれ重なるように固定されてなる表示装置であって、
前記タッチパネルは、請求項1又は2に記載のタッチパネルからなることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
透明基板と、該透明基板の上に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極を共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から、前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に設け,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間に第1の透明絶縁層を設け,
波長550nmにおける、前記第1の透明電極及び前記第2の透明電極と、前記第1の透明絶縁層の屈折率の差が0.12以下であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項5】
請求項4に記載のタッチパネルにおいて,
前記第1の透明絶縁層と前記第1および第2の透明電極の屈折率の平均値をNmとし、第1の透明絶縁層の厚さをti1、第1の透明電極の厚さtxとした場合、次式の関係を満たすことを特徴とするタッチパネル。
d=λ/(2Nm)
ti1+tx≧d≧ti1
【請求項6】
請求項4に記載のタッチパネルにおいて,
前記第1の透明絶縁層が酸化シリコンと酸化チタンよりなる非晶質マトリックスガラス、もしくは、酸化シリコンと酸化チタンよりなるマトリクス中に酸化チタン結晶粒子が分散されたガラスであることを特徴とするタッチパネル。
【請求項7】
請求項4に記載のタッチパネルにおいて,
さらに前記第1の透明電極の上層に第2の透明絶縁層を設け,
前記第2の透明絶縁層は屈折率と厚さが第1の透明絶縁層より小さいことを特徴とするタッチパネル。
【請求項8】
請求項7に記載のタッチパネルにおいて,
前記第1の透明絶縁層と前記第1及び第2の透明電極の屈折率の平均値をNHとし、第2の透明絶縁層の屈折率をNLとして、dHとdLを次式で定義し、
dH=λ/(2NH)
dL=λ/(4NL)
さらに、第1の透明電極の厚さをtxとし、第1の透明絶縁層の厚さをti1、及び第2の透明絶縁層の厚さをti2としたとき次式の関係を満たすことを特徴とするタッチパネル。
ti1+tx≧dH≧ti1
ti2≧dL≧ti2−tx
【請求項9】
タッチパネルと表示装置とを有し、前記タッチパネルの操作面と前記表示装置の表示領域とがそれぞれ重なるように固定されてなる表示装置であって、
前記タッチパネルは、請求項4乃至8の内の何れかに記載のタッチパネルからなることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
透明基板と、該透明基板の上に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極を共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から、前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に設け,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間に第1の透明絶縁層を設け,
前記第1の透明電極の上層に、操作面の全域にわたって第2の透明絶縁層を設け,
前記第2の透明絶縁層の上層に、操作面の全域にわたって第3の透明絶縁層を設け,
前記第1の透明絶縁層と前記第2の透明絶縁層は、前記第1の透明電極及び前記第2の透明電極との屈折率差が0.12以下であり、前記第3の透明絶縁層の屈折率を前記第1及び第2の透明絶縁層の屈折率よりも小さくし、前記第3の透明絶縁層の厚さを前記第1透明絶縁層及び第2の透明絶縁層の合計の厚さよりも小さく構成したことを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチパネルにおいて,
前記第1の透明絶縁層及び前記第2の透明絶縁層と前記第1の透明電極及び前記第2の透明電極の屈折率の平均値をNHHとし、前記第3の透明絶縁層の屈折率をNLLとして次式により、dHHとdLLを定義し、
dHH=λ/(2・NHH)×(2n+1)/2
dLL=λ/(4・NLL)
さらに、前記第1の透明絶縁層の厚さと前記第2の透明絶縁層の厚さの合計をti12とし、前記第3の透明絶縁層の厚さをti3としたとき、次式を満たすことを特徴とするタッチパネル。
1.05dHH≧ti12≧0.95dHH
1.05dLL≧ti3≧0.95dLL
【請求項3】
タッチパネルと表示装置とを有し、前記タッチパネルの操作面と前記表示装置の表示領域とがそれぞれ重なるように固定されてなる表示装置であって、
前記タッチパネルは、請求項1又は2に記載のタッチパネルからなることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
透明基板と、該透明基板の上に少なくとも2つの異なる方向の位置を検出するための第1の透明電極と第2の透明電極を備える静電容量方式のタッチパネルであって,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極を共に前記透明基板の同じ側の面に、前記透明基板側から、前記第2の透明電極、前記第1の透明電極の順に設け,
前記第1の透明電極と前記第2の透明電極の間に第1の透明絶縁層を設け,
波長550nmにおける、前記第1の透明電極及び前記第2の透明電極と、前記第1の透明絶縁層の屈折率の差が0.12以下であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項5】
請求項4に記載のタッチパネルにおいて,
前記第1の透明絶縁層と前記第1および第2の透明電極の屈折率の平均値をNmとし、第1の透明絶縁層の厚さをti1、第1の透明電極の厚さtxとした場合、次式の関係を満たすことを特徴とするタッチパネル。
d=λ/(2Nm)
ti1+tx≧d≧ti1
【請求項6】
請求項4に記載のタッチパネルにおいて,
前記第1の透明絶縁層が酸化シリコンと酸化チタンよりなる非晶質マトリックスガラス、もしくは、酸化シリコンと酸化チタンよりなるマトリクス中に酸化チタン結晶粒子が分散されたガラスであることを特徴とするタッチパネル。
【請求項7】
請求項4に記載のタッチパネルにおいて,
さらに前記第1の透明電極の上層に第2の透明絶縁層を設け,
前記第2の透明絶縁層は屈折率と厚さが第1の透明絶縁層より小さいことを特徴とするタッチパネル。
【請求項8】
請求項7に記載のタッチパネルにおいて,
前記第1の透明絶縁層と前記第1及び第2の透明電極の屈折率の平均値をNHとし、第2の透明絶縁層の屈折率をNLとして、dHとdLを次式で定義し、
dH=λ/(2NH)
dL=λ/(4NL)
さらに、第1の透明電極の厚さをtxとし、第1の透明絶縁層の厚さをti1、及び第2の透明絶縁層の厚さをti2としたとき次式の関係を満たすことを特徴とするタッチパネル。
ti1+tx≧dH≧ti1
ti2≧dL≧ti2−tx
【請求項9】
タッチパネルと表示装置とを有し、前記タッチパネルの操作面と前記表示装置の表示領域とがそれぞれ重なるように固定されてなる表示装置であって、
前記タッチパネルは、請求項4乃至8の内の何れかに記載のタッチパネルからなることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−160203(P2012−160203A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98393(P2012−98393)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【分割の表示】特願2008−226832(P2008−226832)の分割
【原出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【分割の表示】特願2008−226832(P2008−226832)の分割
【原出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
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