説明

タッチパネルの駆動方法及び入力方法

【課題】ユーザによる入力が容易であり、ユーザによる誤操作が低減されるタッチパネルの駆動方法及び入力方法を提供する。
【解決手段】タッチパネルに表示された画面1の任意の位置4がタッチ(T)されると、その位置4を含みタッチパネル画面1を横断する線L1,L2により分割された複数の画面領域A,B,C,Dを設定し、次に、そのうちの一つの画面領域Cに属する任意の位置5がタッチ(T)されると、その画面領域Cに割り当てられた処理動作(C画面表示)を実行する。さらに、その位置5でリリース(R)されると、その画面領域Cに割り当てられた処理動作(C画面表示)が確定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルの駆動方法及び入力方法に係り、特に、タッチパネルに表示された画面にタッチして入力操作するタッチパネルの駆動方法及び入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、LCD等のディスプレイと組み合わされ、機器の入力操作を行う入力装置である。つまり、その機器のユーザが、画面上のある領域に表示されたボタンを選択する場合、その領域内にタッチパネルの上から触ることにより、あたかもボタンを押したかのような入力操作が可能となる入力装置である。このようなタッチパネルを用いた入力装置は、銀行のATM、OA機器、PDA(携帯情報端末)、携帯電話、ゲーム機等、幅広く利用されている。
【0003】
タッチパネルには、一般的に、上下2枚の抵抗膜がスペーサを介して重ね合わされている。これらの抵抗膜は、それぞれ電極と一体となっているため、上部の抵抗膜は上部電極となり、下部の抵抗膜は下部電極となる。この構成により、タッチパネルは、2つの機能を有する。第1に、機器のユーザが、指などによりタッチパネルに接触すると、上部電極と下部電極とが接触し、それにより入力操作がON状態であると判断する機能を有する。第2に、上部電極は入力点のX軸の位置を検出し、下部電極は入力点のY座標を検出し、この2つのデータから入力点の座標を認識する機能を有する。すなわち、上部電極及び下部電極は、それぞれ入力点の電圧(アナログ)を検出し、この電圧をAD変換してデジタル値とし、それぞれ入力点のX軸座標値及びY軸座標値を認識する。そして、この入力点の座標値から、その座標位置に対応したボタンに割り当てられた入力操作を認識する。
【0004】
タッチパネルのボタンの領域は、入力された座標を正確に検出するために、指の大きさから決まる一定の限度がある。従って、その機器に設けられた機能や操作を一定の画面内に同時に表示するために、各種の工夫がなされている。例えば、PDAでは、指に代えてペン(スタイラス等)による入力方法を採用している。
【0005】
また、タッチパネルには、その機器に設けられた多様な機能や操作を効率的に選択させるために、画面を階層構造(ツリー)とする場合がある。例えば、ゲーム機では、ユーザに、まずゲームの選択画面から所望のゲームを選択させ、次に、そのゲームでの設定条件を選択画面を表示して順次選択させる。さらには、画面上にフォルダを設定し、それぞれのフォルダのタイトルを触ることで画面を選択させる入力方法をとる場合もある。
【0006】
一方、特許文献1には、アナログタッチパネルを使用し、マウスを使用して行える総てのデータ入力動作(特に、右クリックによるデータ入力動作)を可能とするデータ入力方法が開示されている。また、特許文献2には、タッチ操作の軌跡を検出するタッチパネル入力装置、及び入力方法が開示されている。
【0007】
特許文献1のデータ入力方法は、基準位置(第1の座標)を押圧指示したまま、参照位置(第2の座標)を指示した後、短時間の内に参照位置(第2の座標)の指示を解除する操作を行うものである。この操作により、第1の押圧座標に対する右クリックに対応したデータ処理動作が実行される。また、第1の座標をグラフの原点とし、X,Y軸に16分割された象限により異なるデータ処理を行う。
【0008】
特許文献2のタッチパネル入力装置、及び入力方法は、タイマに送信される計時開始信号、タイマから出力される計時終了信号、及び状態信号によりタッチ入力データのコマンドを判断する。すなわち、タッチパネルを目視せずに、短押、長押、リリース等の操作の組合せにより、再生、停止、曲送り、曲戻し、早送り、早戻し等の操作の入力を行う。
【0009】
【特許文献1】特開2000−47807号公報
【特許文献2】特開2003−140820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
その機器の機能や操作をタッチパネルの画面内にボタンとして表示すると、上述のようにそのボタンの領域には限度があるため、ユーザにとって操作性が悪く、押し方如何で誤操作が発生するという問題がある。特に、表示画面が小さな機器の場合にはボタンも小さくなり、ユーザに対して、操作にストレスを感じさせ、誤操作を誘引する。
【0011】
また、その機器に設けられた機能や操作を階層構造(ツリー)とすると、ある階層の選択表示から他の階層の選択表示へ変更する場合には、その都度ボタンを押して上位の階層まで戻らなければならず手間がかかる。また、複雑な階層構造の場合、階層全体のなかで、どの位置にいるのかが分からなくなるという問題がある。
【0012】
本願の目的は、かかる課題を解決し、ユーザによる入力操作が容易であり、ユーザによる誤操作が低減されるタッチパネルの駆動方法及び入力方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係るタッチパネルの駆動方法は、タッチパネルに表示した画面の任意の位置がタッチされると、その位置を含みタッチパネル画面を横断する線により分割された複数の画面領域を設定し、次に、そのうちの一つの画面領域に属する任意の位置がタッチされると、その画面領域に割り当てられた処理動作を実行することを特徴とする。
【0014】
また、タッチパネルの駆動方法は、タッチパネルの画面が、起動されたタッチパネルの画面枠内の任意の位置がタッチされることで表示されることが好ましい。
【0015】
また、タッチパネルの駆動方法は、タッチパネル画面を横断する線が、タッチパネル画面を交差する斜線であることが好ましい。
【0016】
また、タッチパネルの駆動方法は、タッチパネル画面を横断する線が、タッチパネル画面を縦方向に縦断する線と、横方向に横断する線と、であることが好ましい。
【0017】
また、タッチパネルの駆動方法は、分割された複数の画面領域に割り当てられた処理動作が、そのタッチしている位置でリリースされることにより確定することが好ましい。
【0018】
また、タッチパネルの駆動方法は、分割された複数の画面領域に割り当てられた処理動作が、そのタッチしている状態でスライドされると、異なる位置が連続してタッチされているものとして実行することが好ましい。
【0019】
また、タッチパネルの駆動方法は、分割された複数の画面領域に割り当てられた処理動作が、そのタッチしている位置でホールドされると、その位置が連続してタッチされているものとして実行することが好ましい。
【0020】
さらに、タッチパネルの駆動方法は、分割された複数の画面領域に割り当てられた処理動作が、メニュー選択画面の表示であることが好ましい。
【0021】
本発明に係るタッチパネルの入力方法は、タッチパネルに表示された画面の任意の位置をタッチした後に、その位置を含みタッチパネル画面を横断する線により分割された複数の画面領域のうちのいずれかに属する任意の位置をタッチすることで、その画面領域に割り当てられた新たな画面を表示させることを特徴とする。
【0022】
また、タッチパネルの入力方法は、タッチパネルの画面を、起動したタッチパネルの画面枠内の任意の位置をタッチすることで表示させることが好ましい。
【0023】
また、タッチパネルの入力方法は、新たな画面の表示を、そのタッチしている位置でリリースすることにより確定させることが好ましい。
【0024】
また、タッチパネルの入力方法は、確定された画面の表示を、タッチパネルに表示された画面の任意の位置に最初のタッチを行い、一定時間内に、戻す画面までの階層の数だけタッチを行うことで、その画面の表示に切り替えることが好ましい。
【0025】
また、タッチパネルの入力方法は、確定された画面の表示を、タッチパネルに表示された画面の任意の位置に最初のタッチを行い、一定時間内に、戻す画面までの階層の数だけタッチを行うことで、その画面の表示に切り替えさせることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
上記構成により、タッチパネルの駆動方法は、ユーザにより、タッチパネルに表示された画面の任意の位置に最初にタッチされる。また、ユーザにより、分割された画面領域が選択され、次にタッチされることで所望の機能や操作を選択することができる。すなわち、ユーザは、最初のタッチにおいて、タッチパネルの画面全体のいずれの位置にタッチしても良い。また、ユーザは、次のタッチにおいても、分割された画面領域のいずれの位置にタッチしても良い。つまり、ユーザに対して、画面内のボタンを探索させる必要がない。また、選択するボタンの領域内に確実にタッチさせる必要もない。すなわち、ユーザに、分割された画面領域のそれぞれに割り当てられた処理機能さえ認識させれば、簡易な入力操作が可能となる。
【0027】
また、タッチパネルの駆動方法は、ユーザにより最初にタッチされた位置を含み、タッチパネル画面を横断する線により分割された複数の画面領域を設定する。すなわち、ユーザは、最初にタッチした位置から、例えば、上、下、右、左といった平易な方向さえ認識していれば簡易な入力操作が可能となる。
【0028】
上記構成により、タッチパネルの入力方法は、ユーザは、タッチパネルに表示された画面の任意の位置に最初にタッチする。また、ユーザは、分割された画面領域を選択して次にタッチすることで所望の機能や操作を選択することができる。すなわち、ユーザは、最初のタッチにおいて、タッチパネルの画面全体のいずれの位置にタッチしても良い。また、ユーザは、次のタッチにおいても、分割された画面領域のいずれの位置にタッチしても良い。つまり、ユーザは、画面内のボタンを探索する必要がなく、また、選択するボタンの領域内に確実にタッチする必要もない。すなわち、ユーザは、分割された画面領域のそれぞれに割り当てられた処理機能さえ認識していれば、簡易な入力操作が可能となる。
【0029】
また、タッチパネルの入力方法は、ユーザが最初にタッチされた位置を含み、タッチパネル画面を横断する線により分割された複数の画面領域が設定される。すなわち、ユーザは、最初にタッチした位置から、例えば、上、下、右、左といった平易な方向さえ認識していれば簡易な入力操作が可能となる。
【0030】
以上のように、本発明に係るタッチパネルの駆動方法によれば、ユーザによる簡易な入力操作が可能となり、ユーザによる誤操作が低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。
【0032】
(基本構成)
図1に、本発明に係る駆動方法及び入力方法の1つの実施形態の基本構成を示す。本実施形態では、図1(a)に示すように、タッチパネル画面1は、基本的に、タッチパネル画面1の斜線L01及びL02と、斜線L01とL02との交点3と、2本の斜線L01及びL02により分割された4つの領域A0,B0,C0,D0と、から構成される。本実施形態では、この斜線L01及びL02は、タッチパネル画面1の角部2をそれぞれ結ぶ2つの対角線である。これは、ユーザが、タッチパネル画面1の輪郭から斜線の角度や斜線により分割された領域を認識し易いからである。但し、この斜線L01,L02は、この対角線に限らず、例えば、図1(b)に示すように、タッチパネル画面1の上下の辺に対して略45度の角度で交差する斜線L01,L02であっても良いし、他の角度を有する斜線L01、L02であっても良い。
【0033】
図1(c)に、タッチパネル画面1を横断する線の他の実施例として、タッチパネル画面1を横断する線が、タッチパネル画面1を縦方向に縦断する線と、横方向に横断する線である場合を示す。この場合は、4つの領域A0,B0,C0、D0は、交点3を中心として、右上方向、右下方向、左上方向及び左下方向の領域となる。さらに、タッチパネル画面1を横断する線は、上述した斜線と、縦方向に縦断する線と、横方向に横断する線と、から選択され組み合わされた複数の線であっても良い。また、これらのタッチパネル画面1を横断する線は、本実施の形態では画面上に表示されるが、この線は、画面上に表示されていなくても良い。
【0034】
(基本動作)
図2に、本発明に係る駆動方法及び入力方法の1つの実施形態の基本動作を示す。図2(a)に示すように、ユーザにより、タッチパネルに表示された「基本メニュー選択画面」の任意の第1ポイント4がタッチされると、図2(a)に矢印Pで示すように、交点3は、その第1ポイント4に移動する。そして、その第1ポイント4を含み、2本の斜線L01,L02に略平行な新たな斜線L1,L2が設定され、2本の斜線L1,L2により分割された4つ領域A,B,C,Dが新たに設定される。
【0035】
図2(b)に示すように、ユーザは、次に、第1ポイント4から、ユーザの指等を画面に接触させたまま、図中の下方にスライドさせ、選択したC領域の第2ポイント5をタッチする。ユーザの指等によるC領域でのタッチで、画面はC領域に割り当てられた「Cメニュー選択画面」に切り替わる。次に、ユーザは、第2ポイント5においてリリースする。このリリースにより画面は確定される。
【0036】
(操作パターン)
図3に、本発明の実施形態における、ユーザによるタッチパネルの操作パターン、各操作パターンの記号、及びその処理動作を示す。この操作パターンのうち基本操作パターンは、タッチ(T)、ホールド(H)、スライド(S)、及びリリース(R)の4種類である。ここで、タッチ(T)とは、タッチパネルの画面にユーザの指等により触れることをいう。また、ホールド(H)とは、指等により画面にタッチした状態で、その指等をタッチされた位置に留めることをいう。このホールド(H)は、連続して同じ位置をタッチ(T)しているものと判断され、タッチ(T)と同様に処理される。また、スライド(S)とは、指等により画面にタッチした状態で、画面上を移動させることをいう。このスライド(S)は、連続して異なる位置をタッチ(T)しているものと判断され、タッチ(T)と同様に処理される。さらに、リリース(R)とは、タッチ、ホールド(同じ位置の連続したタッチ)、及びスライド(異なる位置の連続したタッチ)の状態から、指等を画面から離すことをいう。これらの基本操作は、ユーザの指だけではなく、ペン(スタイラス等)や他の器具により行われても良い。なお、本明細書の関連する図において、上記した基本操作パターンには、それぞれの記号を付す。なお、画面を短くつつくタップという基本操作パターンを設け、タッチ(T)と区別された操作パターンを定義しても良い。
【0037】
これらの基本操作パターンに対して、タッチパネルは、その2つの機能により認識する。すなわち、(1)入力操作がON状態又はOFF状態であると判断する機能、及び(2)入力点の座標値を認識する機能である。タッチ(T)に対しては、タッチパネルを構成する上部電極と下部電極とが接触することで、入力操作がON状態であると判断し、その画面領域に割り当てられた処理動作を行う。また、ホールド(H)に対しては、上部電極と下部電極との接触が維持され、その座標値のまま入力操作が連続してON状態であると判断し、タッチ(T)と同様の処理を行う。また、スライド(S)に対しては、上部電極と下部電極との接触が維持され、その接触した点の座標移動が認識され、その移動する座標値で入力操作が連続してON状態であると判断し、タッチ(T)と同様の処理を行う。さらに、リリース(R)に対しては、上部電極と下部電極との接触が切断されることで、入力操作がOFF状態であると判断し、その選択された画面を確定する。
【0038】
基本操作パターンの処理動作の設定は、上述したものに限らず、他の実施例としても良い。例えば、スライド(S)について、指等により画面にタッチした状態で、画面上を移動させている状態では、連続して異なる位置をタッチ(T)しているものと判断せずに、移動後にある位置で、一定の時間を越えてホールド(H)された場合に、タッチ(T)したものと判断しても良い。この場合には、タッチパネルは、その内部機能にタイマを有し時間の計測により判断し処理する。
【0039】
本発明は、これらの基本操作パターン及びそれらを組合せた応用操作パターンにより総ての入力操作が行われ、タッチパネルに入力された指示が駆動処理される。図3に、タッチ(T)、ホールド(H)、スライド(S)、及びリリース(R)という4つの基本操作パターンが組み合わされた、応用操作パターンを示す。基本的に、2度連続してタッチ(T)するダブルタッチという応用操作パターンは、確定された画面を取り消す操作パターンである。本実施形態では、ダブルタッチ+リリース(DT・R)により、その画面の1つ前の画面に戻す指令がなされたと判断して処理する。この操作パターンは、2回の「タッチ(T)+リリース(R)」が、それぞれ、タッチパネルに表示された画面上の任意の位置で、一定の時間(例えば、0.5秒又は1.0秒)以内に行われた場合に検出される。1回の「タッチ(T)+リリース(R)」が行われた場合、基本操作パターンの設定により、そのタッチされた画面を確定する。従って、画面は変化しない。その後、一定時間内に第2のタッチ(T)+リリース(R)が繰り返されると、その画面は取り消され、1つ前の階層の画面が表示される。
【0040】
また、本実施形態では、ダブルタッチ+ホールド(DT・H)により、その画面の1つ前の別の選択メニューに画面を変更させる指令と判断する。この操作パターンは、1回目のタッチ(T)+リリース(R)及び2回目のタッチ(T)+ホールド(H)が、それぞれ、タッチパネルに表示された画面の任意の位置で、一定の時間(例えば、0.5秒又は1.0秒)以内に行われた場合に判断される。1回のタッチ(T)+リリース(R)が行われた場合、そのタッチされた画面が確定するため画面は変化しない。その後、一定時間内に第2のタッチ(T)+ホールド(R)が繰り返されると、その画面は取り消され、1つ前の画面の階層の他の選択メニューを閲覧できる。なお、ダブルタッチ(DT)は、ダブルタップとし、画面を短くつつく応用操作パターンとしても良い。
【0041】
従来、これらの指等によるダブルタッチ(DT)は、厳密に同一のポイントをタッチすることが難しいため、特許文献1に開示されている方法などが考案されている。しかし、本発明では、総ての入力操作において、タッチパネル画面1上にはボタンはなく、ある特定のポイントを正確に2度繰り返して押さえる必要がない。従って、ダブルタッチ(DT)に関しても、簡易な操作となり、ユーザによる誤作動はほとんど生じない。
【0042】
(駆動方法及び入力方法)
図4に、本発明に係る駆動方法の基本的なフローを示し、また、図5に本発明に係る入力方法の基本的なフローを示す。図4のフローは、タッチパネル側から見た、入力に対する駆動処理フローである。図5のフローは、ユーザ側から見た、入力についての操作フローであり、図4のフローと実質的に同様な内容となる。従って、以下においては、図4の駆動方法のフロー図を用いて説明する。記号S1〜S11は、フロー図における各ステップを示す。
【0043】
図4に示すように、タッチパネルは、タッチパネルに電源が入った状態で、ユーザによりタッチパネル画面1内の任意の位置がタッチされると(S1)、選択画面を表示する(S2)。つまり。タッチパネルは、タッチパネル画面1内の任意の位置がタッチされることで、入力操作がOFFからONとなったことを認識し、選択画面を表示する。従って、本発明によると、従来のタッチパネルに用いられているスイッチ類は不要となり、画面へのタッチにより初期操作を行うことが可能となる。
【0044】
図2(a)に示すように、タッチパネルに表示された画面の任意の位置である第1ポイント4がタッチされると(S3)、交点3を、その第1ポイント4に移動する。そして、その第1ポイント4を通り、2本の斜線L01,L02に略平行な新たな斜線L1,L2を設定し、2本の斜線L1,L2により分割された4つ領域A,B,C,Dを新たに設定する(S4)。図2(a)に示すように、本実施形態では、タッチパネル画面1には、メニュー表示11を表示し、ユーザに対し各領域A,B,C,Dに割り当てられた処理動作が、その方向と共に表示する。このメニュー表示11の形態は、この表示方法に限らず、例えば、タッチパネル画面1の操作画面外にレイアウトされたメニュー表示11であっても良い。
【0045】
この4つの領域A,B,C,Dは、ユーザがタッチした第1ポイント4を中心として、上方向、下方向、右方向及び左方向の領域である。このことは、ユーザは、最初にタッチした指等を上下左右という、感覚的にも分かり易い方向に移動させれば良いことを意味する。従って、入力方法として極めて簡易であり、誤操作の生じる可能性は極めて低い。図1(c)に示すように、タッチパネル画面1を横断する線が、タッチパネル画面1を縦方向に縦断する線と、横方向に横断する線である場合は、ユーザは、タッチした第1ポイント4を中心として、斜めに右上、右下、左上及び左下の方向を認識すればよい。
【0046】
図6に、本発明に係る駆動方法及び入力方法の1つの実施形態におけるメニュー画面の選択方法を示す。まず、ユーザにより、第1ポイント4をタッチされた後、図6にて斜線で示すC領域のメニューが選択される場合について説明する。ユーザにより、最初に画面にタッチ(T)した第1ポイント4から、指等を画面に接触させたまま、図中の下方にスライド(S)される(S5)。指等がC領域に入ると、画面をC領域に割り当てられたCメニュー選択画面に切り替える。すなわち、その領域内でその領域に割り当てられた新たな画面を表示する(S6)。次に、ユーザは、第2ポイント5においてリリース(R)する(S7)。このリリース(R)により、表示された画面に確定する(S8)。従って、ユーザが、リリース(R)をせずにホールド(H)又はスライド(S)を継続すると、画面は確定しない。例えば、図6中のB領域に属する第2ポイント6でホールド(H)し、その表示された画面を確認した後、A領域に属する第3のポイント7へスライド(S)し、そのスライド(S)の間に表示された画面(A)を確認し、D領域に属する第4のポイント8へスライド(S)し、そのスライド(S)の間に表示された画面(D)を確認し、さらに、C領域に属する第5のポイント9へスライド(S)し、そのスライド(S)の間に表示された画面(C)を確認し、そこでリリース(R)した場合には、画面(C)が確定する。このように、リリース(R)されずに、さらに画面領域にタッチ(T)されたままスライド(S)される(S10)と、そのスライド(S)によりタッチ(T)された画面領域が、前回の画面領域と同じか否かが判断される(S11)。同じ場合には、次のタッチ(T)まで待ち、異なる場合には、S6に戻り、新たな画面を表示する。これらの操作は、選択画面が最終となるまで繰り返される(S9)。
【0047】
すなわち、ユーザは、リリース(R)するまでは、各領域に属するポイント6,7,8を経由して各メニュー選択画面をショッピングすることが可能である。また、単に、スライド(S)により、一巡してから所望の新たなメニュー画面を選択することができる。この手法により、メニュー表示11を参照しなくとも、総てのメニューを簡易に閲覧することが可能となる。従来の駆動方法及び入力方法では、選択メニューをそれぞれ閲覧する場合は、その都度、元の選択画面に戻すボタンを押した上で、新たに選択ボタンを押さなければならなかったが、本発明に係る駆動方法及び入力方法では、スライド(S)という一つの動作により閲覧することが可能となる。
【0048】
(駆動方法及び入力方法についての実施例)
本発明に係る駆動方法及び入力方法についての実施例として、ダブルタッチ+リリース(DT・R)及びダブルタッチ+ホールド(DT・H)ついて説明する。図7に、これらの機能の説明のための階層構造を示す。現在の画面は、階層(2)において選択した画面(C2)により、表示された一つ下位の階層(3)での選択メニューであるものとする。ここで、ユーザは、画面(C21),画面(C22),画面(C23),及び画面(C24)のうちから画面(C23)を選択した。ここで、リリースすることにより、画面(C23)が確定する。しかし、ユーザは、画面(C23)の選択が誤りであることに気がつくと、その画面(C23)上の任意の位置でダブルタッチ+リリース(DT・R)する。この操作により、画面は、1つ前の階層(2)で選択された画面(C2)に戻り、その画面が確定される。このダブルタッチは、さらにトリプルタッチとすることで、2つ前の階層(1)で選択された画面(C)に戻りその画面が確定される。すなわち、このダブルタッチ+リリースの回数をカウントし、その回数だけ階層を戻ると判断する。或いは、クリック+リリース毎にその1つ前の階層の画面に戻るとしても良い。
【0049】
次に、ダブルタッチ+ホールド(DT・H)について説明する。2回目のタッチ(T)でリリース(R)せずにホールド(H)すると、その1つ前の階層の画面(C2)に戻り、確定されていない状態となる。従って、画面(C2)の状態で、他の選択メニューである画面(C1)、画面(C3)、及び画面(C4)を、スライド(S)することで閲覧することが可能となる。このように、画面の戻しにおいても、基本操作パターンにより、簡易に行うことが可能となる。
【0050】
(駆動方法及び入力方法についての他の実施形態)
上述した、操作パターンは、基本的に、タッチ(T)、ホールド(H)、スライド(S)、及びリリース(R)の4つのパターンから構成される。従って、これらの指等により行われる操作パターンを音声入力により入力させることが可能である。例えば、タッチパネル画面1をタッチ(T)したまま、スライド(S)させる代わりに、「上」、「下」、「右」、「左」等の音声により画面を選択することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る駆動方法及び入力方法の一つの実施形態の基本構成を示す説明図である。
【図2】本発明に係る駆動方法及び入力方法の一つの実施形態の基本動作を示す説明図である。
【図3】本実施形態における、ユーザによるタッチパネルの操作パターンの説明図である。
【図4】駆動方法のフロー図である。
【図5】入力方法のフロー図である。
【図6】駆動方法及び入力方法の1つの実施形態におけるメニューの選択方法の基本概念を示す概念図である。
【図7】ダブルタッチ+リリース及びダブルタッチ+ホールドの機能の説明のための階層構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 タッチパネル画面、2 角部、3 交点、4 第1ポイント、5、6 第2ポイント、7 第3ポイント、8 第4ポイント,9 第5ポイント、11 メニュー表示、A,B,C,D 領域、L 横断線、H ホールド、R リリース、T タッチ、S スライド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルに表示した画面の任意の位置がタッチされると、その位置を含みタッチパネル画面を横断する線により分割された複数の画面領域を設定し、次に、そのうちの一つの画面領域に属する任意の位置がタッチされると、その画面領域に割り当てられた処理動作を実行することを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチパネルの駆動方法において、タッチパネルの画面は、起動されたタッチパネルの画面枠内の任意の位置がタッチされることで表示されることを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタッチパネルの駆動方法において、タッチパネル画面を横断する線は、タッチパネル画面を交差する斜線であることを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載のタッチパネルの駆動方法において、タッチパネル画面を横断する線は、タッチパネル画面を縦方向に縦断する線と、横方向に横断する線と、であることを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1に記載のタッチパネルの駆動方法において、分割された複数の画面領域に割り当てられた処理動作は、そのタッチしている位置でリリースされることにより確定することを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1に記載のタッチパネルの駆動方法において、分割された複数の画面領域に割り当てられた処理動作は、そのタッチしている状態でスライドされると、異なる位置が連続してタッチされているものとして実行することを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1に記載のタッチパネルの駆動方法において、分割された複数の画面領域に割り当てられた処理動作は、そのタッチしている位置でホールドされると、その位置が連続してタッチされているものとして実行することを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1に記載のタッチパネルの駆動方法において、確定された画面の表示は、表示された画面の任意の位置に最初のタッチが行われ、一定時間内に、戻す画面までの階層の数だけタッチが行われることで、その画面の表示に切り替わることを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1に記載のタッチパネルの駆動方法において、分割された複数の画面領域に割り当てられた処理動作は、メニュー選択画面の表示であることを特徴とするタッチパネルの駆動方法。
【請求項10】
タッチパネルに表示された画面の任意の位置をタッチした後に、その位置を含みタッチパネル画面を横断する線により分割された複数の画面領域のうちのいずれかに属する任意の位置をタッチすることで、その画面領域に割り当てられた新たな画面を表示させることを特徴とするタッチパネルの入力方法。
【請求項11】
請求項10に記載のタッチパネルの入力方法において、タッチパネルの画面は、起動したタッチパネルの画面枠内の任意の位置をタッチすることで表示させることを特徴とするタッチパネルの入力方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のタッチパネルの入力方法において、新たな画面の表示は、そのタッチしている位置でリリースすることにより確定させることを特徴とするタッチパネルの入力方法。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1に記載のタッチパネルの入力方法において、確定された画面の表示は、タッチパネルに表示された画面の任意の位置に最初のタッチを行い、一定時間内に、戻す画面までの階層の数だけタッチを行うことで、その画面の表示に切り替えさせることを特徴とするタッチパネルの入力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−9668(P2008−9668A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178889(P2006−178889)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(500165153)株式会社シンソフィア (5)
【Fターム(参考)】