説明

タッチパネルセンサおよびタッチパネルセンサの製造方法

【課題】露光マスク間の相対的な位置ずれに起因して金属層のパターンの電気抵抗が変動することを防ぐことができるタッチパネルセンサを提供する。
【解決手段】タッチパネルセンサ60は、基板12と、基板12の一側の面上に所定パターンで設けられた第1下側パターン20と、第1下側パターン20上に所定パターンで設けられた第1上側パターン30と、を備えている。第1下側パターン20は、所定の領域にわたって形成された第1シールドパターン71を含んでいる。また第1上側パターン30は、少なくとも部分的に第1シールドパターン71上に設けられた第1ダミーパターン73を含んでいる。第1ダミーパターン73のうち第1シールドパターン71上に設けられた部分は、第1シールドパターン71の外縁全域に沿って線状に延びるとともに、第1シールドパターン71を少なくとも部分的に露出させるよう形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と、基板上に所定パターンで設けられ、透明導電材料からなる下側パターンと、下側パターン上に所定パターンで設けられ、金属材料からなる上側パターンと、を備えたタッチパネルセンサに関する。また本発明は、当該タッチパネルセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板と、基板上に所定のパターンで設けられ、タッチを検出する透明導電パターンと、透明導電パターンに電気的に接続された取出導電パターンと、を有するタッチパネルセンサが知られている。透明導電パターンは、一般に、透明導電材料からなる透明導電層をパターニングすることにより形成される。また取出導電パターンは、一般に、透明導電層上に設けられ、金属材料からなる金属層をパターニングすることにより形成される。また透明導電パターンからの信号を外部に伝達させる際の電気抵抗を低減するため、一般に、取出導電パターンと基板との間には透明導電層が介在されている。
【0003】
タッチパネルセンサの各パターンを基板の法線方向に沿った階層で区画して考える場合、透明導電層をパターニングすることにより得られる透明導電パターンなどのパターンは、取出導電パターンよりも基板側(下側)に位置する下側パターンとなっている。また、金属層をパターニングすることにより得られる取出導電パターンなどのパターンは、透明導電パターンよりも基板から遠ざかる側(上側)に位置する上側パターンとなっている。
【0004】
このようなタッチパネルセンサは、例えば、基板と、基板上に設けられた透明導電層と、透明導電層上に設けられた金属層と、金属層上に設けられた感光層と、を有する積層体を、フォトフリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより製造される。この場合、例えば特許文献1に記載されているように、パターニング工程は、透明導電層および金属層を同一パターンに成形する1回目のパターニング工程と、パターニングされた透明導電層上の金属層を部分的に除去する2回目のパターニング工程とを含んでいる。
【0005】
フォトフリソグラフィ法において、各パターニング工程は、はじめに露光マスクを用いて積層体の感光層を露光し、次に露光された感光層を現像し、その後に残っている感光層をマスクとして透明導電層や金属層をエッチングすることによって行われる。この場合、1回目のパターニング工程で用いられる露光マスク(以下、ファースト露光マスク)は、最終的に得られるタッチパネルセンサにおける透明導電層の形状に対応して感光層を残すよう設計されている。一方、2回目のパターニング工程で用いられる露光マスク(以下、セカンド露光マスク)は、除去されるべき金属層に対応する領域に感光層を残さないよう設計されている。
【0006】
ところで、近年、タッチパネルセンサの検出感度を向上させるため、ノイズを遮蔽するためのシールドパターンを設けることや、取出導電パターンにおける寄生容量の偏差を抑制するためのダミーパターンを設けることなどが提案されている(例えば特許文献2,3参照)。このようなシールドパターンやダミーパターンは、製造効率の観点から考えると、透明導電パターンや取出導電パターンのパターニングと同時に透明導電層や金属層から形成されることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−257442号公報
【特許文献2】特開2009−169720号公報
【特許文献3】特開2010−257178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のようなシールドパターンやダミーパターンは、求められる耐ノイズ特性などに応じて、様々なパターンで形成される。従って、シールドパターンやダミーパターンを透明導電パターンや取出導電パターンのパターニングと同時に透明導電層や金属層から形成する場合、従来よりも精密なパターニングが求められる。
【0009】
パターニングの精度を決定する要因の1つとして、露光の際の露光マスクの位置決めの精度が挙げられる。しかしながら、露光マスクの位置決めの精度には限界がある。従って、例えばファースト露光マスクの配置が所望の位置からずれることにより、1回目のパターニング工程によって得られる透明導電層および金属層のパターン形状が所望のパターン形状から全体的にずれることが考えられる。また、セカンド露光マスクの配置も所望の位置からずれることが考えられる。
【0010】
また上述のように、セカンド露光マスクを用いた2回目のパターニング工程では、残っている金属層のうちの一部分のみが除去される。この場合、セカンド露光マスクの配置が所望の位置からずれ、これによってファースト露光マスクとセカンド露光マスクとの間の相対的な位置関係が理想からずれると、得られる金属層のパターン形状が全体的にずれるだけでなく、セカンド露光マスクによる露光の対象となる領域と対象とならない領域との境界で金属層のパターンの幅が細くなってしまうことが考えられる。この結果、金属層のパターンの電気抵抗が大きくなってしまうことが考えられる。
【0011】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るタッチパネルセンサおよびタッチパネルセンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、基板と、前記基板の一側の面上に所定パターンで設けられ、透光性および導電性を有する透明導電材料からなる第1下側パターンと、前記第1下側パターン上に所定パターンで設けられ、遮光性および導電性を有する金属材料からなる第1上側パターンと、を備え、前記第1下側パターンは、多列に並べられ、各々がx方向に延びる複数の第1透明導電パターンと、所定の領域にわたって形成された第1シールドパターンと、を含み、前記第1上側パターンは、各第1透明導電パターンに接続され、線状に延びる第1取出導電パターンと、各第1取出導電パターンに接続された第1端子部と、少なくとも部分的に前記第1シールドパターン上に設けられた第1ダミーパターンと、を含み、前記第1ダミーパターンのうち前記第1シールドパターン上に設けられた部分は、前記第1シールドパターンの外縁全域に沿って線状に延びるとともに、前記第1シールドパターンを少なくとも部分的に露出させるよう形成されていることを特徴とするタッチパネルセンサである。
【0013】
本発明によるタッチパネルセンサは、前記基板の他側の面上に所定パターンで設けられ、透光性および導電性を有する透明導電材料からなる第2下側パターンと、前記第2下側パターン上に所定パターンで設けられ、遮光性および導電性を有する金属材料からなる第2上側パターンと、をさらに備えていてもよい。この場合、前記第2下側パターンは、多列に並べられ、各々がx方向に直交するy方向に延びる複数の第2透明導電パターンを含み、前記第2上側パターンは、各第2透明導電パターンに接続され、線状に延びる第2取出導電パターンと、各第2取出導電パターンに接続された第2端子部と、を含み、前記第1シールドパターンの領域は、前記基板の法線方向から見た場合に各第2取出導電パターンの領域を部分的に含んでいてもよい。
【0014】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記第2下側パターンは、所定の領域にわたって形成された第2シールドパターンをさらに含んでいてもよい。この場合、前記第2上側パターンは、少なくとも部分的に前記第2シールドパターン上に設けられた第2ダミーパターンをさらに含み、前記第2ダミーパターンのうち前記第2シールドパターン上に設けられた部分は、前記第2シールドパターンの外縁全域に沿って線状に延びるとともに、前記第2シールドパターンを少なくとも部分的に露出させるよう形成されていてもよい。
【0015】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記第2シールドパターンの領域は、前記基板の法線方向から見た場合に各第1取出導電パターンの領域を部分的に含んでいてもよい。
【0016】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記第1ダミーパターンは、前記各第1取出導電パターンのうち最も外側に位置する第1取出導電パターンに少なくとも部分に沿って延びる部分を有していてもよい。
【0017】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記第2ダミーパターンは、前記各第2取出導電パターンのうち最も外側に位置する第2取出導電パターンに少なくとも部分に沿って延びる部分を有していてもよい。
【0018】
本発明は、上記記載のタッチパネルセンサを製造する方法において、前記基板と、前記基板の一側の面上に設けられ、透明導電材料からなる第1透明導電層と、前記第1透明導電層上に設けられ、金属材料からなる第1金属層と、前記第1金属層上に設けられた光溶解型の第1感光層と、を有する積層体を準備する工程と、遮光部と透光部とを有する一側ファースト露光マスクを用いて前記第1感光層を露光する工程と、前記露光された第1感光層を現像して一側ファースト感光パターンを形成する工程と、前記一側ファースト感光パターンをマスクとして前記第1透明導電層および前記第1金属層をエッチングする工程と、パターニングされた前記第1金属層上に、光溶解型の感光層からなり、所定のパターンを有する一側セカンド感光パターンを形成する工程と、前記一側セカンド感光パターンをマスクとして前記第1金属層をさらにエッチングする工程と、を備え、前記一側セカンド感光パターンは、遮光部と透光部とを含む一側セカンド露光マスクを用いて光溶解型の感光層を露光することにより形成され、前記一側ファースト露光マスクの前記遮光部は、前記第1下側パターンおよび前記第1上側パターンのそれぞれに対応する部分を含み、前記一側セカンド露光マスクの前記透光部は、前記第1下側パターンの各第1透明導電パターンに対応する部分と、前記第1下側パターンの前記第1シールドパターンのうち露出される部分に対応する部分と、を含むことを特徴とするタッチパネルセンサの製造方法である。
【0019】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記タッチパネルセンサは、前記基板の他側の面上に所定パターンで設けられ、透光性および導電性を有する透明導電材料からなる第2下側パターンと、前記第2下側パターン上に所定パターンで設けられ、遮光性および導電性を有する金属材料からなる第2上側パターンと、をさらに備えていてもよい。この場合、前記第2下側パターンは、多列に並べられ、各々がx方向に直交するy方向に延びる複数の第2透明導電パターンを含み、前記第2上側パターンは、各第2透明導電パターンに接続され、線状に延びる第2取出導電パターンと、各第2取出導電パターンに接続された第2端子部と、を含み、前記一側セカンド露光マスクは、その透光部のうち前記第1シールドパターンの露出される部分に対応する部分が、前記基板の法線方向から見た場合に各第2取出導電パターンの領域を部分的に含むよう配置されてもよい。
【0020】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記積層体は、前記基板の他側の面上に設けられ、透明導電材料からなる第2透明導電層と、前記第2透明導電層上に設けられ、金属材料からなる第2金属層と、前記第2金属層上に設けられた光溶解型の第2感光層と、をさらに有していてもよい。この場合、タッチパネルセンサの製造方法は、遮光部と透光部とを有する他側ファースト露光マスクを用いて前記第2感光層を露光する工程と、前記露光された第2感光層を現像して他側ファースト感光パターンを形成する工程と、前記他側ファースト感光パターンをマスクとして前記第2透明導電層および前記第2金属層をエッチングする工程と、パターニングされた前記第2金属層上に、光溶解型の感光層からなり、所定のパターンを有する他側セカンド感光パターンを形成する工程と、前記他側セカンド感光パターンをマスクとして前記第2金属層をさらにエッチングする工程と、を備え、前記他側セカンド感光パターンは、遮光部と透光部とを含む他側セカンド露光マスクを用いて光溶解型の感光層を露光することにより形成され、前記他側ファースト露光マスクの前記遮光部は、前記第2下側パターンおよび前記第2上側パターンのそれぞれに対応する部分を含み、前記他側セカンド露光マスクの前記透光部は、前記第2下側パターンの各第2透明導電パターンに対応する部分を含んでいてもよい。
【0021】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記第2下側パターンは、所定の領域にわたって形成された第2シールドパターンをさらに含み、前記第2上側パターンは、少なくとも部分的に前記第2シールドパターン上に設けられた第2ダミーパターンをさらに含んでいてもよい。この場合、前記第2ダミーパターンのうち前記第2シールドパターン上に設けられた部分は、前記第2シールドパターンの外縁全域に沿って線状に延びるとともに、前記第2シールドパターンを少なくとも部分的に露出させるよう形成されており、前記他側セカンド露光マスクの前記透光部は、前記第2下側パターンの前記第2シールドパターンのうち露出される部分に対応する部分をさらに含んでいてもよい。
【0022】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記他側セカンド露光マスクは、その透光部のうち前記第2シールドパターンの露出される部分に対応する部分が、前記基板の法線方向から見た場合に各第1取出導電パターンの領域を部分的に含むよう配置されてもよい。
【0023】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記一側セカンド感光パターンは、はじめに、前記一側ファースト感光パターンをマスクとしてエッチングされた前記第1金属層上に光溶解型の感光層を設け、次に、この感光層を前記一側セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された感光層を現像することにより形成されてもよい。
【0024】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記一側セカンド感光パターンは、はじめに、エッチングされた前記第1金属層上に残っている前記一側ファースト感光パターンを前記一側セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された前記一側ファースト感光パターンを現像することにより形成されてもよい。
【0025】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記他側セカンド感光パターンは、はじめに、前記他側ファースト感光パターンをマスクとしてエッチングされた前記第2金属層上に光溶解型の感光層を設け、次に、この感光層を前記他側セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された感光層を現像することにより形成されてもよい。
【0026】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記他側セカンド感光パターンは、はじめに、エッチングされた前記第2金属層上に残っている前記他側ファースト感光パターンを前記他側セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された前記他側ファースト感光パターンを現像することにより形成されてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、前記基板の一側の面上に形成され、透明導電材料からなる第1下側パターンは、所定の領域にわたって形成された第1シールドパターンを含んでおり、第1下側パターン上に形成され、金属材料からなる第1上側パターンは、少なくとも部分的に前記第1シールドパターン上に設けられた第1ダミーパターンを含んでいる。この第1ダミーパターンのうち第1シールドパターン上に設けられた部分は、第1シールドパターンを少なくとも部分的に露出させるよう形成されている。このような第1シールドパターンを形成することにより、基板の一側から他側への視認性を確保しながら、ノイズが基板の一側から他側へ、または他側から一側へ放出されるのを防ぐことができる。また第1ダミーパターンは、第1シールドパターンの外縁全域に沿って線状に延びている。この場合、第1シールドパターンの一端から他端へ至る電流経路として、外縁に沿って延びる第1ダミーパターンの一方の経路、例えば右回りの経路と、外縁に沿って延びる第1ダミーパターンの他方の経路、例えば左回りの経路の2つの経路が確保されることになる。このため、第1シールドパターンを少なくとも部分的に露出させるようフォトリソグラフィー法を用いて第1シールドパターン上の金属材料を除去する際、ファースト露光マスクとセカンド露光マスクとの間の相対的な位置関係がずれ、これによって第1ダミーパターンの一方の経路が細くなったとしても、一方の経路が細くなった分だけ第1ダミーパターンの他方の経路が太くなるようになっている。このため、ファースト露光マスクとセカンド露光マスクとの間の相対的な位置関係がずれた場合であっても、第1シールドパターンの一端から他端へ至る電流経路の電気抵抗が大きく劣化するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の実施の形態におけるタッチパネルセンサを示す平面図。
【図2A】図2Aは、タッチパネルセンサの基板の一側に設けられる積層パターンを示す平面図。
【図2B】図2Bは、タッチパネルセンサの基板の他側に設けられる積層パターンを示す平面図。
【図3】図3(a)は、積層体を示す縦断面図、図3(b)は、積層体をパターニングすることにより得られるタッチパネルセンサを模式的に示す縦断面図。
【図4A】図4Aは、一側ファースト露光マスクを示す図。
【図4B】図4Bは、他側ファースト露光マスクを示す図。
【図5A】図5Aは、一側セカンド露光マスクを示す図。
【図5B】図5Bは、他側セカンド露光マスクを示す図。
【図6】図6(a)(b)(c)(d)は、1回目のパターニング工程を示す図。
【図7A】図7Aは、1回目のパターニング工程により得られた基板の一側の積層パターンを示す平面図。
【図7B】図7Bは、1回目のパターニング工程により得られた基板の他側の積層パターンを示す平面図。
【図8】図8(a)(b)(c)(d)は、2回目のパターニング工程を示す図。
【図9】図9(a)は、本発明の実施の形態による第1シールドパターンおよび第1ダミーパターンを拡大して示す模式図、図9(b)(c)は、一側ファースト露光マスクと一側セカンド露光マスクの相対的な位置関係がずれた場合に得られる第1ダミーパターンを示す図。
【図10】図10(a)は、比較の形態による第1シールドパターンおよび第1ダミーパターンを拡大して示す模式図、図10(b)(c)は、一側ファースト露光マスクと一側セカンド露光マスクの相対的な位置関係がずれた場合に得られる第1ダミーパターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1乃至図10を参照して、本発明の実施の形態について説明する。はじめに図1を参照して、本実施の形態によるタッチパネルセンサ60全体について説明する。図1は、タッチパネルセンサ60を示す平面図である。
【0030】
タッチパネルセンサ
タッチパネルセンサ60は、タッチパネルセンサ60への外部導体(例えば、人間の指)の接触位置または接近位置を検知して、検知に基づく信号を外部に送るものである。このタッチパネルセンサ60は、基板12と、基板12上に所定のパターンで設けられ、接触位置などのいわゆるタッチを検出する透明導電パターン61,62と、透明導電パターン61,62にそれぞれ電気的に接続された取出導電パターン63,64と、を備えている。このうち基板12の一側(例えば観察者側)には、多列に並べられ、各々がx方向に延びる複数の第1透明導電パターン61と、各第1透明導電パターン61に接続され、線状に延びる複数の第1取出導電パターン63とが設けられている。また、基板12の他側(例えば表示部側)には、多列に並べられ、各々がy方向に延びる複数の第2透明導電パターン62と、各第2透明導電パターン62に接続され、線状に延びる複数の第2取出導電パターン64とが設けられている。なお「線状に延びる」とは、図1および後述の図2A,2Bに示すように、第1取出導電パターン63および第2取出導電パターン64が、略一定の幅を有するとともに様々な方向へ引き回されている、という態様を表している
【0031】
また、第1透明導電パターン61および第2透明導電パターン62からの信号を外部へ取り出すための第1端子部65および第2端子部66が、それぞれ第1取出導電パターン63および第2取出導電パターン64に接続されている。なお図1においては、基板12の他側に設けられている構成要素が点線で表されている。
【0032】
図1に示すように、基板12上の領域は、表示部(図示せず)からの映像が表示される表示領域Tであって、タッチを検出する第1透明導電パターン61および第2透明導電パターン62が配置される表示領域Tと、表示領域Tの周囲に形成され、第1取出導電パターン63および第2取出導電パターン64が配置される配線領域Tと、配線領域Tの外側に形成され、第1端子部65および第2端子部66が配置される端子領域Tと、に区画される。このうち配線領域Tおよび端子領域Tは、表示部からの映像が表示されない非表示領域となっている。図1に示すように、第1取出導電パターン63および第2取出導電パターン64は、配線領域Tから端子領域Tへ延びている。
【0033】
上述のように、第1透明導電パターン61および第2透明導電パターン62は、表示部からの映像が表示される表示領域Tに設けられている。このため、第1透明導電パターン61および第2透明導電パターン62は、導電性および透光性を有する透明導電材料から構成されている。一方、上述のように、第1取出導電パターン63、第2取出導電パターン64、第1端子部65および第2端子部66は、表示部からの映像が表示されない非表示領域に設けられている。このため、取出導電パターン63,64および端子部65,66を構成する材料が透光性を有する必要はない。従って取出導電パターン63,64および端子部65,66は一般に、透透明導電材料よりも高い電気伝導率を有し、遮光性を備えた金属材料から構成される。
【0034】
〔一側の構成要素〕
次に図1および図2Aを参照して、タッチパネルセンサ60の各構成要素のうち基板12の一側に設けられているさらなる構成要素について説明する。図2Aは、基板12の一側に設けられている構成要素を示す平面図である。
【0035】
(シールドパターン)
図2Aに示すように、基板12の一側の配線領域Tには、所定の領域にわたって隙間無く形成された第1シールドパターン71が設けられている。この第1シールドパターン71の領域は、基板12の法線方向から見た場合に基板12の他側に設けられている上述の各第2取出導電パターン64の領域を部分的に含んでいる。例えば図1から見て取れるように、第1シールドパターン71は、各第2取出導電パターン64をほぼ全域にわたって覆うよう配置されている。このような第1シールドパターン71を設けることにより、タッチパネルセンサ60の一側において生じるノイズが基板12の他側の第2取出導電パターン64に伝達されることを防ぐことができる。例えば、指などの外部導体が基板12の一側の第1透明導電パターン61にタッチし、この際の容量変化に基づいて基板12の一側でノイズが発生したとしても、このノイズが、基板12の他側の第2取出導電パターン64に伝達されることを防ぐことができる。これによって、基板12の他側における検出の感度を向上させることができる。
【0036】
このような第1シールドパターン71は、好ましくは、透光性を有する材料から構成される。例えば、第1透明導電パターン61を構成する透明導電材料と同一の透明導電材料から構成される。これによって、タッチパネルセンサ60の製造工程において、第1シールドパターン71の反対側に形成される第2取出導電パターン64を視認することが可能となり、このことにより、第2取出導電パターン64の断線チェックなどを簡易に実施することができる。
【0037】
フォトリソグラフィー法を用いてタッチパネルセンサ60が製造される場合、第1透明導電パターン61および第1シールドパターン71は、例えば後述する積層体の透明導電層をパターニングすることにより同時に形成される。これによって、より少ない工数で第1透明導電パターン61および第1シールドパターン71を形成することが可能となる。
【0038】
(ダミーパターン)
また図2Aに示すように、複数の第1取出導電パターン63のうち最も外側にある各第1取出導電パターン63のさらに外側に、第1ダミーパターン73が設けられている。この第1ダミーパターン73は、最も外側にある各第1取出導電パターン63に部分的に沿って延びるとともに、少なくとも部分的に上述の第1シールドパターン71上に位置するよう形成されている。また第1ダミーパターン73は、配線領域Tから端子領域Tへ延び、そして第1端子部75に接続されている。第1端子部75は、適切な配線(図示せず)などを介して接地されている。
【0039】
(ダミーパターンの第1の目的)
このような第1ダミーパターン73は、第1に、各第1取出導電パターン63における寄生容量の偏差を低減するという目的のために設けられている。第2に、第1シールドパターン71を低抵抗で接地するという目的のために設けられている。はじめに、第1の目的について説明する。
【0040】
図2Aに示すように、複数の第1取出導電パターン63のうち最も外側にある各第1取出導電パターン63においては、隣接する第1取出導電パターン63が片側にしか形成されていない。このため、仮に第1ダミーパターン73が設けられていないとする場合、最も外側にある各第1取出導電パターン63において形成される静電容量は、その他の第1取出導電パターン63において形成される静電容量よりも小さくなってしまう。この場合、最も外側にある各第1取出導電パターン63に対応する第1透明導電パターン61をスキャンする際の容量検出感度が、その他の第1取出導電パターン63に対応する第1透明導電パターン61をスキャンする際の容量検出感度と異なることが考えられる。
ここで本実施の形態によれば、最も外側にある各第1取出導電パターン63のさらに外側に、第1ダミーパターン73が設けられている。このため、最も外側にある各第1取出導電パターン63において形成される静電容量と、その他の第1取出導電パターン63において形成される静電容量とをほぼ等しくすることができる。これによって、第1透明導電パターン61による検出感度が向上することが期待される。なおこのような効果は、第1ダミーパターン73のうち図2Aにおいて矢印Rにより示される範囲に対応する部分によってもたらされる。
【0041】
このような第1ダミーパターン73は、好ましくは、第1取出導電パターン63を構成する金属材料と同一の金属材料から、第1取出導電パターン63と略同一のパターン幅で形成される。また、最も外側にある第1取出導電パターン63と第1ダミーパターン73との間の間隔は、隣接する2つの第1取出導電パターン63間の間隔と略同一となっている。これによって、寄生容量の偏差を低減するという効果をより高めることができる。
【0042】
(ダミーパターンの第2の目的)
次に第2の目的について説明する。上述のように、第1ダミーパターン73は、少なくとも部分的に上述の第1シールドパターン71上に位置するよう形成されている。具体的には、第1ダミーパターン73のうち第1シールドパターン71上に設けられた部分は、第1シールドパターン71の外縁全域に沿って線状に延びるとともに、第1シールドパターン71のうちその外縁よりも内側の部分を露出させるよう形成されている。なお「露出させる」とは、図2Aに示すように、第1シールドパターン71のうちその外縁よりも内側の部分の上に第1ダミーパターン73が設けられていないということを意味している。また「露出させる」という文言は、第1ダミーパターン73以外の構成要素、例えば保護層(図示せず)などが第1シールドパターン71のうちその外縁よりも内側の部分の上に設けられることを排除するものではない。なお第1シールドパターン71の外縁全域に沿って線状に延びる第1ダミーパターン73の幅は、例えば、外縁全域にわたって均一の幅tとなっている(図2A参照)。
【0043】
このような第1ダミーパターン73を設けることにより、第1ダミーパターン73を介して第1シールドパターン71を低抵抗で接地することができ、このことにより、第1シールドパターン71のシールド効果を高めることができる。また後述するように、第1ダミーパターン73が第1シールドパターン71の外縁全域に沿って線状に延びることにより、露光マスクの位置ずれが生じた場合であっても、第1シールドパターン71を常に低抵抗で接地することができる。
【0044】
〔他側の構成要素〕
次に図1および図2Bを参照して、タッチパネルセンサ60の各構成要素のうち基板12の他側に設けられているさらなる構成要素について説明する。図2Bは、基板12の他側に設けられている構成要素を示す平面図である。なお便宜上、図2Bには、基板12の一側から見た場合のパターン形状が示されている。
【0045】
(シールドパターン)
図2Bに示すように、基板12の他側の配線領域Tには、所定の領域にわたって隙間無く形成された第2シールドパターン72が設けられている。この第2シールドパターン72の領域は、基板12の法線方向から見た場合に基板12の一側に設けられている上述の各第1取出導電パターン63の領域を部分的に含んでいる。例えば図1から見て取れるように、第2シールドパターン72は、各第1取出導電パターン63をほぼ全域にわたって覆うよう配置されている。このような第2シールドパターン72を設けることにより、タッチパネルセンサ60の他側において生じるノイズが基板12の一側の第1取出導電パターン63に伝達されることを防ぐことができる。例えば、表示部から放射されるノイズが基板12の一側の第1取出導電パターン63に伝達されることを防ぐことができる。これによって、基板12の一側における検出の感度を向上させることができる。
【0046】
第2シールドパターン72の材料は、上述の第1シールドパターン71の場合と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0047】
(ダミーパターン)
また図2Bに示すように、複数の第2取出導電パターン64のうち最も外側にある第2取出導電パターン64のさらに外側に、第2ダミーパターン74が設けられている。この第2ダミーパターン74は、最も外側にある各第2取出導電パターン64に部分的に沿って延びるとともに、少なくとも部分的に上述の第2シールドパターン72上に位置するよう形成されている。また第2ダミーパターン74は、配線領域Tから端子領域Tへ延び、そして第2端子部76に接続されている。第2端子部76は、適切な配線(図示せず)などを介して接地されている。
【0048】
この第2ダミーパターン74により、上述の第1ダミーパターン73の場合と同様に、各第2取出導電パターン64における寄生容量の偏差を低減するとともに、第2シールドパターン72を低抵抗で接地することができる。なお寄生容量の偏差を低減するという効果は、第2ダミーパターン74のうち図2Bにおいて矢印Rにより示される範囲に対応する部分によってもたらされる。
【0049】
第2ダミーパターン74は、好ましくは、第2取出導電パターン64を構成する金属材料と同一の金属材料から、第2取出導電パターン64と略同一のパターン幅で形成される。また、最も外側にある第2取出導電パターン64と第2ダミーパターン74との間の間隔は、隣接する2つの第2取出導電パターン64間の間隔と略同一となっている。これによって、寄生容量の偏差を低減するという効果をより高めることができる。
【0050】
また図2Bに示すように、第2ダミーパターン74のうち第2シールドパターン72上に設けられた部分は、第2シールドパターン72の外縁全域に沿って線状に延びるとともに、第2シールドパターン72のうちその外縁よりも内側の部分を露出させるよう形成されている。これによって、第1ダミーパターン73の場合と同様に、露光マスクの位置ずれが生じた場合であっても、第2シールドパターン72を常に低抵抗で接地することが可能となる。なお第2シールドパターン72の外縁全域に沿って線状に延びる第2ダミーパターン74の幅は、例えば、外縁全域にわたって均一の幅uとなっている(図2B参照)。
【0051】
タッチパネルセンサの製造方法
次に、タッチパネルセンサ60の製造方法について説明する。本実施の形態によるタッチパネルセンサ60は、フォトリソグラフィー法を用いて積層体をパターニングすることにより得られる。はじめに、用いられる積層体について説明する。
【0052】
(積層体)
図3(a)は、積層体13を示す縦断面図である。また図3(b)は、フォトリソグラフィー法を用いて積層体13をパターニングすることにより得られるタッチパネルセンサ60を模式的に表す縦断面図である。
【0053】
積層体13は、基板12と、基板12の一側の面上に設けられ、透明導電材料からなる第1透明導電層14と、第1透明導電層14上に設けられ、金属材料からなる第1金属層15と、第1金属層15上に設けられた光溶解型の第1感光層16と、基板12の他側の面上に設けられ、透明導電材料からなる第2透明導電層17と、第2透明導電層17上に設けられ、金属材料からなる第2金属層18と、第2金属層18上に設けられた光溶解型の第2感光層19と、を有している。
【0054】
第1透明導電層14および第2透明導電層17を構成する透明導電材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物が用いられる。これらの金属酸化物が2種以上複合されてもよい。
【0055】
第1金属層15および第2金属層18を構成する金属材料としては、アルミニウム(Al)、モリブデン、パラジウム、銀(Ag)、クロム、銅等の金属及びそれらを主成分とする合金、あるいはそれら合金を含む積層体が用いられる。このうち銀を含む合金の例としては、銀、パラジウム、銅を含んでなるAPC合金が挙げられる。
【0056】
第1感光層16および第2感光層19としては、所定の光、例えば紫外線によって照射されることにより溶解する光溶解型の感光層が用いられる。
【0057】
後述するように、第1取出導電パターン63、第1端子部65、第1ダミーパターン73および第1端子部75は、積層体13の第1金属層15をパターニングすることにより同時に形成される。これによって、より少ない工数で第1取出導電パターン63、第1端子部65、第1ダミーパターン73および第1端子部75を形成することが可能となる。
【0058】
ところでフォトリソグラフィー法を用いて製造されたタッチパネルセンサ60においては、一般に、第1取出導電パターン63、第1端子部65、第1ダミーパターン73および第1端子部75と基板12との間に第1透明導電層14が介在されている。なぜなら、これによって、第1取出導電パターン63、第1端子部65、第1ダミーパターン73および第1端子部75における電気抵抗を、第1透明導電層14の分だけ低減することができるからである。このようにタッチパネルセンサ60において、第1取出導電パターン63、第1端子部65、第1ダミーパターン73および第1端子部75は、パターニングされた第1透明導電層14上に設けられたパターンとなっている。すなわち、本実施の形態におけるタッチパネルセンサ60は、図3(b)で模式的に示されているように、第1透明導電層14をパターニングすることにより得られる第1下側パターン20と、第1下側パターン20上に所定パターンで設けられ、第1金属層15をパターニングすることにより得られる第1上側パターン30と、を備えている。このうち第1下側パターン20には、上述の第1透明導電パターン61および第1シールドパターン71が含まれている。また第1上側パターン30には、上述の第1取出導電パターン63、第1端子部65、第1ダミーパターン73および第1端子部75が含まれている。
【0059】
同様に、基板12の他側に関しても、本実施の形態におけるタッチパネルセンサ60は、第2透明導電層17をパターニングすることにより得られる第2下側パターン25と、第2下側パターン25上に所定パターンで設けられ、第2金属層18をパターニングすることにより得られる第2上側パターン35と、を備えている。このうち第2下側パターン25には、上述の第2透明導電パターン62および第2シールドパターン72が含まれている。また第2上側パターン35には、上述の第2取出導電パターン64、第2端子部66、第2ダミーパターン74および第2端子部76が含まれている。
【0060】
(露光マスク)
次に、フォトリソグラフィー法において用いられる露光マスクについて説明する。本実施の形態においては、後述するように2回の露光工程が実施される。
【0061】
1回目の露光工程においては、図4Aに示す一側ファースト露光マスク40と、図4Bに示す他側ファースト露光マスク45と、が使用される。このうち一側ファースト露光マスク40は、1回目の露光工程において基板12の一側に配置される露光マスクとなっており、一方、他側ファースト露光マスク45は、1回目の露光工程において基板12の他側に配置される露光マスクとなっている。
【0062】
また2回目の露光工程においては、図5Aに示す一側セカンド露光マスク50と、図5Bに示す他側セカンド露光マスク55と、が使用される。このうち一側セカンド露光マスク50は、2回目の露光工程において基板12の一側に配置される露光マスクとなっており、一方、他側セカンド露光マスク55は、2回目の露光工程において基板12の他側に配置される露光マスクとなっている。
【0063】
以下、各露光マスク40,45,50,55について詳細に説明する。
【0064】
〔一側ファースト露光マスク〕
はじめに一側ファースト露光マスク40について説明する。一側ファースト露光マスク40は、光を遮蔽する遮光部41と、光を透過させる透光部42とからなっている。このうち遮光部41は、図4Aに示すように、第1感光層16のうち第1シールドパターン71に対応する領域に露光光が照射されるのを防ぐシールドパターン用遮光部43と、第1感光層16のうち第1透明導電パターン61に対応する領域に露光光が照射されるのを防ぐ透明導電パターン用遮光部44と、を含んでいる。また図4Aに示すように、遮光部41は、第1感光層16のうち第1取出導電パターン63,第1端子部65,第1ダミーパターン73および第1端子部75に対応する領域に露光光が照射されるのを防ぐ部分をさらに含んでいる。すなわち遮光部41は、第1感光層16のうち上述した第1下側パターン20および第1上側パターン30に含まれる各パターンに対応する領域に露光光が照射されるのを防ぐよう形成されている。
【0065】
〔一側セカンド露光マスク〕
次に一側セカンド露光マスク50について説明する。一側セカンド露光マスク50は、光を遮蔽する遮光部51と、光を透過させる透光部52とからなっている。このうち透光部52は、図5Aに示すように、基板12の一側の感光層のうち第1シールドパターン71に対応する領域に向けて露光光を透過させるシールドパターン用透光部53と、基板12の一側の感光層のうち第1透明導電パターン61に対応する領域に向けて露光光を透過させる透明導電パターン用透光部54と、を含んでいる。なお上述のように第1シールドパターン71の領域が各第2取出導電パターン64の領域を部分的に含む場合、一側セカンド露光マスク50は、露光の際、シールドパターン用透光部53が第2取出導電パターン64となる領域を部分的に含むよう配置される。
【0066】
なお上述のように、第1シールドパターン71上には、第1シールドパターン71の外縁全域に沿って線状に延びる第1ダミーパターン73が形成される。従って、一側セカンド露光マスク50のシールドパターン用透光部53の寸法は、第1ダミーパターン73の幅の分だけ一側ファースト露光マスク40のシールドパターン用遮光部43よりも小さくなっている。具体的には、第1ダミーパターン73の幅をtとする場合(図2A参照)、一側セカンド露光マスク50のシールドパターン用透光部53の寸法は、一側ファースト露光マスク40のシールドパターン用遮光部43の寸法よりも、x方向およびy方向においてそれぞれ2tだけ小さくなっている。また、各露光マスク40,50は、シールドパターン用遮光部43の中心とシールドパターン用透光部53の中心とが対応するよう形成されている。これによって、第1シールドパターン71の外縁全域に沿って線状に延び、幅tを有する第1ダミーパターン73を得ることができる。
【0067】
なお本実施の形態において、第1ダミーパターン73の幅tは、起こりうる露光マスクの相対的な位置のずれの程度よりも大きくなっている。例えば、一側ファースト露光マスク40と一側セカンド露光マスク50との間で生じうる位置のずれが最大50μmである場合、第1ダミーパターン73の幅tは50μmよりも大きくなっている。これによって、仮に露光マスクの間の相対的な位置のずれが生じた場合であっても、第1シールドパターン71の外縁に沿って線状に延びる第1ダミーパターン73が途中で途切れてしまうことを防ぐことができる。
【0068】
なお露光マスクの位置のずれとは、所定のアライメントマーク(図示せず)を基準とした場合の一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の位置ずれだけでなく、第1シールドパターン71を基準とした場合の一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の位置ずれも含む概念とする。従って、露光マスクの位置のずれは、各露光マスク40,50を位置決めする露光機(図示せず)のアライメント精度に起因して生じるだけでなく、一側ファースト露光マスク40を用いた露光から一側セカンド露光マスク50を用いた露光までの間に生じうる積層体13の伸縮などにも起因して生じ得る。
【0069】
〔他側ファースト露光マスク〕
次に他側ファースト露光マスク45について説明する。他側ファースト露光マスク45は、光を遮蔽する遮光部46と、光を透過させる透光部47とからなっている。このうち遮光部46は、図4Bに示すように、第2感光層19のうち第2シールドパターン72に対応する領域に露光光が照射されるのを防ぐシールドパターン用遮光部48と、第2感光層19のうち第2透明導電パターン62に対応する領域に露光光が照射されるのを防ぐ透明導電パターン用遮光部49と、を含んでいる。また図4Bに示すように、遮光部46は、第2感光層19のうち第2取出導電パターン64,第2端子部66,第2ダミーパターン74および第2端子部76に対応する領域に露光光が照射されるのを防ぐ部分をさらに含んでいる。すなわち遮光部46は、一側ファースト露光マスク40の遮光部41の場合と同様に、第2感光層19のうち上述した第2下側パターン25および第2上側パターン35に含まれる各パターンに対応する領域に露光光が照射されるのを防ぐよう形成されている。
【0070】
〔他側セカンド露光マスク〕
次に他側セカンド露光マスク55について説明する。他側セカンド露光マスク55は、光を遮蔽する遮光部56と、光を透過させる透光部57とからなっている。このうち透光部57は、図5Bに示すように、基板12の他側の感光層のうち第2シールドパターン72に対応する領域に向けて露光光を透過させるシールドパターン用透光部58と、基板12の他側の感光層のうち第2透明導電パターン62に対応する領域に向けて露光光を透過させる透明導電パターン用透光部59と、を含んでいる。なお上述のように第2シールドパターン72の領域が各第1取出導電パターン63の領域を部分的に含んでいる場合、他側セカンド露光マスク55は、露光の際、シールドパターン用透光部58が第1取出導電パターン63となる領域を部分的に含むよう配置される。
【0071】
なお上述のように、第2シールドパターン72上には、第2シールドパターン72の外縁全域に沿って線状に延びる第2ダミーパターン74が形成される。従って、他側セカンド露光マスク55のシールドパターン用透光部58の寸法は、第2ダミーパターン74の幅の分だけ他側ファースト露光マスク45のシールドパターン用遮光部48よりも小さくなっている。具体的には、第2ダミーパターン74の幅をuとする場合(図2B参照)、他側セカンド露光マスク55のシールドパターン用透光部58の寸法は、他側ファースト露光マスク45のシールドパターン用遮光部48の寸法よりも、x方向およびy方向においてそれぞれ2uだけ小さくなっている。また、各露光マスク45,55は、シールドパターン用遮光部48の中心とシールドパターン用透光部58の中心とが対応するよう形成されている。これによって、第2シールドパターン72の外縁全域に沿って線状に延び、幅uを有する第2ダミーパターン74を得ることができる。
【0072】
第2ダミーパターン74の幅uは、第1ダミーパターン73の幅tの場合と同様に、起こりうる露光マスクの相対的な位置のずれの程度よりも大きくなっている。これによって、仮に露光マスクの間の相対的な位置のずれが生じた場合であっても、第2シールドパターン72の外縁に沿って線状に延びる第2ダミーパターン74が途中で途切れてしまうことを防ぐことができる。
【0073】
(1回目のパターニング工程)
次に、露光マスク40,45,50,55を用いて積層体13をパターニングする工程について説明する。はじめに図6(a)(b)(c)(d)を参照して、一側ファースト露光マスク40および他側ファースト露光マスク45を用いる1回目のパターニング工程について説明する。なお図6(a)(b)(c)(d)に示す積層体13の縦断面図は、パターニング工程を模式的に示すためのものであり、図1乃至図2Bに示すタッチパネルセンサ60の各パターンの形状とは厳密には一致していない。
【0074】
まず積層体13を準備する。次に図6(a)に示すように、積層体13の一側に一側ファースト露光マスク40を配置し、積層体13の他側に他側ファースト露光マスク45を配置する。
【0075】
その後、第1感光層16の感光特性に対応した露光光(例えば、紫外線)を、ファースト露光マスク40を介して第1感光層16に照射する。同時に、第2感光層19の感光特性に対応した露光光(例えば、紫外線)を、他側ファースト露光マスク45を介して第2感光層19に照射する。この結果、第1感光層16および第2感光層19が、最終的に得られる第1下側パターン20および第2下側パターン25に対応したパターンで露光される。
【0076】
なお、図6(a)に示すように、積層体13において、第1感光層16と第2感光層19との間には、遮光性を有する第1金属層15および第2金属層18が介在されている。このため、積層体13の一側から照射される露光光が第2感光層19に到達することはなく、同様に、積層体13の他側から照射される露光光が第1感光層16に到達することもない。このため、第1感光層16および第2感光層19を同時に露光することが可能となっている。
【0077】
次に、露光された第1感光層16および第2感光層19を現像する。これによって、図6(b)に示すように、最終的に得られる第1下側パターン20と略同一のパターンを有する一側ファースト感光パターン16aと、最終的に得られる第2下側パターン25と略同一のパターンを有する他側ファースト感光パターン19aとが形成される。
【0078】
次に、一側ファースト感光パターン16aをマスクとして、第1金属層15をエッチングする。同様に、他側ファースト感光パターン19aをマスクとして、第2金属層18をエッチングする。これによって、図6(c)に示すように、第1金属層15が一側ファースト感光パターン16aと略同一のパターンにパターニングされ、第2金属層18が他側ファースト感光パターン19aと略同一のパターンにパターニングさる。この際、エッチング液は、第1金属層15および第2金属層18を構成する材料に応じて適宜選択されるが、例えば燐酸、硝酸、酢酸および水などを所定の割合で含むエッチング液が用いられる。
【0079】
次に、一側ファースト感光パターン16aをマスクとして、第1透明導電層14をエッチングする。また、他側ファースト感光パターン19aをマスクとして、第2透明導電層17をエッチングする。これによって、図6(d)に示すように、第1透明導電層14が一側ファースト感光パターン16aと略同一のパターンにパターニングされ、第2透明導電層17が他側ファースト感光パターン19aと略同一のパターンにパターニングされる。この際、エッチング液は、第1透明導電層14および第2透明導電層17を構成する材料に応じて適宜選択されるが、例えば塩化第二鉄を含むエッチング液が用いられる。
【0080】
図7Aは、1回目のパターニング工程により得られた基板12の一側の積層パターンを示す平面図であり、図7Bは、1回目のパターニング工程により得られた基板12の他側の積層パターンを示す平面図である。図7Aに示すように、第1透明導電層14,第1金属層15および一側ファースト感光パターン16aは、第1下側パターン20および第1上側パターン30のそれぞれを包含する形状を有している。また図7Bに示すように、第2透明導電層17,第2金属層18および他側ファースト感光パターン19aは、第2下側パターン25および第2上側パターン35のそれぞれを包含する形状を有している。
【0081】
(2回目のパターニング工程)
次に図8(a)(b)(c)(d)を参照して、一側セカンド露光マスク50および他側セカンド露光マスク55を用いる2回目のパターニング工程について説明する。なお図8(a)(b)(c)(d)に示す積層体13の縦断面図は、パターニング工程を模式的に示すためのものであり、図1乃至図2Bに示すタッチパネルセンサ60の各パターンの形状とは厳密には一致していない。
【0082】
はじめに図8(a)に示すように、1回目のパターニングが実施された後の積層体13の一側に一側セカンド露光マスク50を配置し、他側に他側セカンド露光マスク55を配置する。
【0083】
次に露光光を、一側セカンド露光マスク50を介して一側ファースト感光パターン16aに照射する。同時に、露光光を、他側セカンド露光マスク55を介して他側ファースト感光パターン19aに照射する。この結果、一側ファースト感光パターン16aのうち第1透明導電パターン61および第1シールドパターン71に対応する部分が露光される。また、他側ファースト感光パターン19aのうち第2透明導電パターン62および第2シールドパターン72に対応する部分が露光される。
【0084】
次に、露光された一側ファースト感光パターン16aおよび他側ファースト感光パターン19aを現像する。これによって、図8(b)に示すように、最終的に得られる第1上側パターン30と略同一のパターンを有する一側セカンド感光パターン16bと、最終的に得られる第2上側パターン35と略同一のパターンを有する他側セカンド感光パターン19bと、が形成される。
【0085】
次に、一側セカンド感光パターン16bをマスクとして、第1透明導電層14上に残っている第1金属層15をエッチングする。同様に、他側セカンド感光パターン19bをマスクとして、第2透明導電層17上に残っている第2金属層18をエッチングする。これによって、図8(c)に示すように、第1金属層15が一側セカンド感光パターン16bと略同一のパターンにパターニングされ、第2金属層18が他側セカンド感光パターン19bと略同一のパターンにパターニングされる。この際、エッチング液としては、第1透明導電層14および第2透明導電層17をエッチングすることなく第1金属層15および第2金属層18のみを選択的にエッチングするエッチング液が用いられる。例えば燐酸、硝酸、酢酸および水などを所定の割合で含むエッチング液が用いられる。
【0086】
最後に、第1金属層15および第2金属層18上に残っている一側セカンド感光パターン16bおよび他側セカンド感光パターン19bを除去する。これによって、図8(d)に示すように、基板12と、基板12の一側の面上に所定パターンで設けられた第1下側パターン20と、第1下側パターン20上に所定パターンで設けられた第1上側パターン30と、基板12の他側の面上に所定パターンで設けられた第2下側パターン25と、第2下側パターン25上に所定パターンで設けられた第2上側パターン35と、を含むタッチパネルセンサ60が得られる。
【0087】
(露光マスクの配置がずれる場合について)
ところで上述のように、露光マスクの位置決めの精度には限界がある。このため、上述した2回のパターニング工程において、一側ファースト露光マスク40および他側ファースト露光マスク45に対する一側セカンド露光マスク50および他側セカンド露光マスク55の相対的な位置関係がずれることが考えられる。以下、そのような相対的な位置関係のずれが生じた場合における、本実施の形態の効果について説明する。
【0088】
なお、一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の相対的な位置関係のずれが生じた場合における効果と、他側ファースト露光マスク45に対する他側セカンド露光マスク55の相対的な位置関係のずれが生じた場合における効果とは略同一となっている。従って、ここでは、一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の相対的な位置関係のずれが生じた場合における効果についてのみ説明する。
【0089】
図9(a)(b)(c)は、本実施の形態による第1シールドパターン71および第1ダミーパターン73を模式的に示す平面図である。このうち図9(a)は、一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の相対的な位置ずれが無い場合に得られる第1シールドパターン71および第1ダミーパターン73を示す図である。また、図9(b)(c)は、一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の相対的な位置ずれがy方向(図9(b)における上下方向)およびx方向(図9(c)における左右方向)に生じた場合に得られる第1シールドパターン71および第1ダミーパターン73を示す図である。
【0090】
はじめに、一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の相対的な位置ずれが無い場合について説明する。この場合、図9(a)に示すように、得られる第1ダミーパターン73の幅は、第1シールドパターン71の外縁全域にわたってtとなっている。
【0091】
ここで、第1シールドパターン71のうち図9(a)において符号Pで示す点が、第1ダミーパターン73および第1端子部75を介して接地される経路について考える。この場合、点Pは、矢印kで示される、右回りで第1ダミーパターン73を介して第1端子部75に到達する経路(以下、右回り経路)と、矢印kで示される、左回りで第1ダミーパターン73を介して第1端子部75に到達する経路(以下、左回り経路)と、の2つの経路で接地されている。なお、第1シールドパターン71の電気抵抗は第1ダミーパターン73の電気抵抗に比べて大きいので、第1シールドパターン71を通って第1端子部75に到達する経路は無視されている。
【0092】
次に、一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の相対的な位置ずれがy方向に生じた場合について説明する。この場合、図9(b)に示すように、露光マスクの位置ずれの分だけ、右回り経路の第1ダミーパターン73のうちx方向に延びる部分の幅が小さくなっている。一方、露光マスクの位置ずれの分だけ、左回り経路の第1ダミーパターン73のうちx方向に延びる部分の幅が大きくなっている。この結果、図9(a)に示す形態および図9(b)に示す形態において、点Pから第1ダミーパターン73を介して第1端子部75に至る経路の電気抵抗は略同一になっている。
【0093】
次に、一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の相対的な位置ずれがx方向に生じた場合について説明する。この場合、図9(c)に示すように、露光マスクの位置ずれの分だけ、右回り経路の第1ダミーパターン73のうちy方向に延びる部分の幅が小さくなっている。一方、露光マスクの位置ずれの分だけ、左回り経路の第1ダミーパターン73のうちy方向に延びる部分の幅が大きくなっている。この結果、図9(a)に示す形態および図9(c)に示す形態において、点Pから第1ダミーパターン73を介して第1端子部75に至る経路の電気抵抗は略同一になっている。
【0094】
このように本実施の形態によれば、上述のように、透明導電材料からなる第1下側パターン20は、所定の領域にわたって隙間無く形成された第1シールドパターン71を含んでいる。また、第1下側パターン20上に形成され、金属材料からなる第1上側パターン30は、少なくとも部分的に第1シールドパターン71上に設けられた第1ダミーパターン73を含んでいる。この第1ダミーパターン73のうち第1シールドパターン71上に設けられた部分は、第1シールドパターン71の外縁全域に沿って線状に延びている。このため、一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の相対的な位置関係がずれ、これによって第1ダミーパターン73の右回り経路が細くなったとしても、右回り経路が細くなった分だけ左回り経路が太くなるようになっている。このため、一側ファースト露光マスク40に対する一側セカンド露光マスク50の相対的な位置関係がずれた場合であっても、第1シールドパターン71を全域にわたって常に低抵抗で接地することができる。これによって、第1シールドパターン71のシールド効果を常に安定して実現することができる。
【0095】
また本実施の形態によれば、第1ダミーパターン73のうち第1シールドパターン71上に設けられた部分は、第1シールドパターン71を少なくとも部分的に露出させるよう形成されている。このため、基板12の一側から他側への視認性を確保しながら、ノイズが基板の一側から他側へ、または他側から一側へ放出されるのを防ぐことができる。
【0096】
また本実施の形態によれば、第1シールドパターン71の外縁に沿って第1ダミーパターン73を形成することにより、第1ダミーパターン73に、第1シールドパターン71を低抵抗で接地する作用、および、第1取出導電パターン63の寄生容量の偏差を抑制する作用の両方を付与することができる。これによって、簡易な構成で効率的にタッチパネルセンサ60の特性を向上させることができる。
【0097】
なお図2Aに示すように、積層体13の第1金属層15をパターニングして第1取出導電パターン63、第1端子部65、第1ダミーパターン73および第1端子部75を形成する際、同時に第1アライメントマーク67が形成されてもよい。この第1アライメントマーク67は、例えば、タッチパネルセンサ60を表示部(図示せず)に組み合わせる際のアライメントマークとして利用される。
【0098】
また図2Bに示すように、第2金属層18をパターニングして第2取出導電パターン64、第2端子部66、第2ダミーパターン74および第2端子部76を形成する際、同時に第2アライメントマーク68や第2ID領域70が形成されてもよい。第2アライメントマーク68は、例えば、タッチパネルセンサ60を表示部(図示せず)に組み合わせる際のアライメントマークとして利用される。また第2ID領域70は、タッチパネルセンサ60の製品名や製造番号などのID情報を表示するよう利用される。
【0099】
比較の形態
次に、図10(a)(b)(c)を参照して、本実施の形態の効果を比較の形態と比較して説明する。図10(a)(b)(c)に示す比較の形態によるタッチパネルセンサの第1シールドパターンおよび第1ダミーパターンは、第1ダミーパターンが第1シールドパターンの片側にのみ設けられている点が異なるのみであり、他の構成は、上述の本実施の形態におけるタッチパネルセンサの第1シールドパターンおよび第1ダミーパターンと略同一である。図10(a)(b)(c)に示す比較の形態において、上述の本実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0100】
図10(a)(b)(c)は、比較の形態による第1シールドパターン71および第1ダミーパターン173を模式的に示す平面図である。このうち図10(a)は、露光マスク間の相対的な位置ずれが無い場合に得られる第1シールドパターン71および第1ダミーパターン173を示す図である。また、図10(b)(c)は、露光マスク間の相対的な位置ずれがy方向(図10(b)における上下方向)およびx方向(図10(c)における左右方向)に生じた場合に得られる第1シールドパターン71および第1ダミーパターン173を示す図である。
【0101】
図10(a)に示すように、比較の形態においては、第1ダミーパターン173が第1シールドパターン71の片側にのみ設けられている。従って、比較の形態においては、点Pは、上述の本実施の形態における右回り経路のみによって接地されている。
【0102】
次に、露光マスク間の相対的な位置ずれがy方向に生じた場合について説明する。この場合、図10(b)に示すように、露光マスクの位置ずれの分だけ、第1ダミーパターン173のうちx方向に延びる部分の幅が小さくなっている。この結果、図10(b)に示す形態においては、図10(a)に示す形態に比べて、点Pから第1ダミーパターン173を介して第1端子部75に至る経路の電気抵抗が大きくなっている。
【0103】
次に、露光マスク間の相対的な位置ずれがx方向に生じた場合について説明する。この場合、図10(c)に示すように、露光マスクの位置ずれの分だけ、第1ダミーパターン173のうちy方向に延びる部分の幅が小さくなっている。この結果、図10(c)に示す形態においては、図10(a)に示す形態に比べて、点Pから第1ダミーパターン173を介して第1端子部75に至る経路の電気抵抗が大きくなっている。
【0104】
このように比較の形態においては、露光マスク間の相対的な位置ずれの分だけ、第1シールドパターン71の接地抵抗が変動してしまうことが考えられる。
【0105】
これに対して本実施の形態によれば、上述のように、第1ダミーパターン73のうち第1シールドパターン71上に設けられた部分は、第1シールドパターン71の外縁全域に沿って線状に延びている。このため、露光マスク間の相対的な位置ずれが生じた場合であっても、第1シールドパターン71を全域にわたって常に低抵抗で接地することができる。
【0106】
なお本実施の形態において、第1上側パターン30によってその外縁全域を囲われた第1下側パターン20が、第1ダミーパターン73によってその外縁全域を囲われた第1シールドパターン71からなる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1シールドパターン71および第1ダミーパターン73の組合せ以外にも、第1上側パターン30によってその外縁全域を囲われた第1下側パターン20が存在していてもよい。
【0107】
また本実施の形態において、一側ファースト露光マスク40を用いた露光と他側ファースト露光マスク45を用いた露光とが同時に実施される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、一側ファースト露光マスク40を用いた露光と他側ファースト露光マスク45を用いた露光とが別々に実施されてもよい。同様に、一側セカンド露光マスク50を用いた露光と他側セカンド露光マスク55を用いた露光とが別々に実施されてもよい。
【0108】
また本実施の形態において、一側セカンド感光パターン16bが、はじめに、第1上側パターン30上に残っている一側ファースト感光パターン16aを一側セカンド露光マスク50を用いて露光し、その後、露光された一側ファースト感光パターン16aを現像することにより形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、1回目のパターニング工程の後、第1上側パターン30上に残っている一側ファースト感光パターン16aを除去し、次に、第1上側パターン30上に新たに追加で光溶解型の感光層(図示せず)を設け、その後、この追加の感光層を一側セカンド露光マスク50を用いて露光し、そして、露光された追加の感光層を現像することにより一側セカンド感光パターン16bが形成されてもよい。
【0109】
同様に、本実施の形態において、他側セカンド感光パターン19bが、はじめに、第2上側パターン35上に残っている他側ファースト感光パターン19aを他側セカンド露光マスク55を用いて露光し、その後、露光された他側ファースト感光パターン19aを現像することにより形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、1回目のパターニング工程の後、第2上側パターン35上に残っている他側ファースト感光パターン19aを除去し、次に、第2上側パターン35上に新たに追加で光溶解型の感光層(図示せず)を設け、その後、この追加の感光層を他側セカンド露光マスク55を用いて露光し、そして、露光された追加の感光層を現像することにより他側セカンド感光パターン19bが形成されてもよい。
【0110】
なお、第1上側パターン30上および第2上側パターン35上に新たに追加で光溶解型の感光層を設ける方法は特に限定されず、様々な公知の方法が用いられ得る。例えば、感光層の材料が溶解している感光液中に積層体13を浸漬させる方法、いわゆるディップコート法により、第1上側パターン30上および第2上側パターン35上に新たに追加で光溶解型の感光層が設けられる。なおディップコート法を用いる場合、第1上側パターン30上および第2上側パターン35上に一側ファースト感光パターン16aおよび他側ファースト感光パターン19aが残っていたとしても、積層体13が感光液中に浸漬されている間に一側ファースト感光パターン16aおよび他側ファースト感光パターン19aが感光液中に溶解され得る。すなわち、ディップコート法を用いる場合、第1上側パターン30上および第2上側パターン35上に残っている一側ファースト感光パターン16aおよび他側ファースト感光パターン19aを除去することと、第1上側パターン30上および第2上側パターン35上に新たに追加で光溶解型の感光層(図示せず)を設けることとを同時に実施することができる。またディップコート法を用いる場合、基板12の両側に同時に感光層を同時に設けることができる。従って、基板12の両側に感光層が設けられる場合、ディップコート法が好ましく用いられる。
【0111】
また上述の本実施の形態において、第1感光層16および第2感光層19として光溶解型の感光層が用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、感光層16および第2感光層19として光硬化型の感光層が用いられてもよい。
なお光硬化型の感光層が用いられる場合、当業者にとって自明なことではあるが、各露光マスク40,45,50,55における遮光部と透光部のパターンが反転されることになる。
また光硬化型の感光層が用いられる場合、1回目のパターニング工程の後、残っている感光層が除去されることになる。その後、2回目のパターニング工程において、新たな感光層が設けられ、そしてセカンド露光マスクによって感光層が露光される。
【0112】
また上述の本実施の形態において、基板12の一側および他側の両方に下側パターンおよび上側パターンからなる積層パターンが形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、基板12の一側または他側の一方にのみ積層パターンが形成されていてもよい。基板12の一側または他側の一方にのみ積層パターンが形成されている場合であっても、上述の本実施の形態における技術的思想を適用することにより、下側パターンの外縁全域にわたって形成される上側パターンの抵抗値が変動することを防ぐことができる。
【0113】
また上述の本実施の形態において、第1シールドパターン71または第2シールドパターン72が、所定の領域にわたって隙間無く形成されている例を示した。すなわち、第1シールドパターン71または第2シールドパターン72がいわゆるベタ層として形成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1シールドパターン71または第2シールドパターン72は、ストライプ状などの様々な模様を有していてもよい。これによって、第1シールドパターン71または第2シールドパターン72は、様々な周波数のノイズに柔軟に対応することができる。従って、本実施の形態における第1シールドパターン71または第2シールドパターン72は、ノイズを遮蔽するために第1透明導電層14または第2透明導電層17が形成されている領域として定義される。
【符号の説明】
【0114】
10 積層パターン基板
12 基板
13 積層体
14 第1透明導電層
15 第1金属層
16 第1感光層
17 第2透明導電層
18 第2金属層
19 第2感光層
20 第1下側パターン
25 第2下側パターン
30 第1上側パターン
35 第2上側パターン
40 一側ファースト露光マスク
41 遮光部
42 透光部
45 他側ファースト露光マスク
46 遮光部
47 透光部
50 一側セカンド露光マスク
51 遮光部
52 透光部
55 他側セカンド露光マスク
56 遮光部
57 透光部
60 タッチパネルセンサ
61 第1透明導電パターン
62 第2透明導電パターン
63 第1取出導電パターン
64 第2取出導電パターン
65 第1端子部
66 第2端子部
67 第1アライメントマーク
68 第2アライメントマーク
70 第2ID領域
71 第1シールドパターン
72 第2シールドパターン
73 第1ダミーパターン
74 第2ダミーパターン
75 第1端子部
76 第2端子部
表示領域
配線領域
端子領域
中間領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一側の面上に所定パターンで設けられ、透光性および導電性を有する透明導電材料からなる第1下側パターンと、
前記第1下側パターン上に所定パターンで設けられ、遮光性および導電性を有する金属材料からなる第1上側パターンと、を備え、
前記第1下側パターンは、多列に並べられ、各々がx方向に延びる複数の第1透明導電パターンと、所定の領域にわたって形成された第1シールドパターンと、を含み、
前記第1上側パターンは、各第1透明導電パターンに接続され、線状に延びる第1取出導電パターンと、各第1取出導電パターンに接続された第1端子部と、少なくとも部分的に前記第1シールドパターン上に設けられた第1ダミーパターンと、を含み、
前記第1ダミーパターンのうち前記第1シールドパターン上に設けられた部分は、前記第1シールドパターンの外縁全域に沿って線状に延びるとともに、前記第1シールドパターンを少なくとも部分的に露出させるよう形成されていることを特徴とするタッチパネルセンサ。
【請求項2】
前記基板の他側の面上に所定パターンで設けられ、透光性および導電性を有する透明導電材料からなる第2下側パターンと、
前記第2下側パターン上に所定パターンで設けられ、遮光性および導電性を有する金属材料からなる第2上側パターンと、をさらに備え、
前記第2下側パターンは、多列に並べられ、各々がx方向に直交するy方向に延びる複数の第2透明導電パターンを含み、
前記第2上側パターンは、各第2透明導電パターンに接続され、線状に延びる第2取出導電パターンと、各第2取出導電パターンに接続された第2端子部と、を含み、
前記第1シールドパターンの領域は、前記基板の法線方向から見た場合に各第2取出導電パターンの領域を部分的に含んでいることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項3】
前記第2下側パターンは、所定の領域にわたって形成された第2シールドパターンをさらに含み、
前記第2上側パターンは、少なくとも部分的に前記第2シールドパターン上に設けられた第2ダミーパターンをさらに含み、
前記第2ダミーパターンのうち前記第2シールドパターン上に設けられた部分は、前記第2シールドパターンの外縁全域に沿って線状に延びるとともに、前記第2シールドパターンを少なくとも部分的に露出させるよう形成されていることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項4】
前記第2シールドパターンの領域は、前記基板の法線方向から見た場合に各第1取出導電パターンの領域を部分的に含んでいることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項5】
前記第1ダミーパターンは、前記各第1取出導電パターンのうち最も外側に位置する第1取出導電パターンに少なくとも部分に沿って延びる部分を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のタッチパネルセンサ。
【請求項6】
前記第2ダミーパターンは、前記各第2取出導電パターンのうち最も外側に位置する第2取出導電パターンに少なくとも部分に沿って延びる部分を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のタッチパネルセンサ。
【請求項7】
請求項1に記載のタッチパネルセンサを製造する方法において、
前記基板と、前記基板の一側の面上に設けられ、透明導電材料からなる第1透明導電層と、前記第1透明導電層上に設けられ、金属材料からなる第1金属層と、前記第1金属層上に設けられた光溶解型の第1感光層と、を有する積層体を準備する工程と、
遮光部と透光部とを有する一側ファースト露光マスクを用いて前記第1感光層を露光する工程と、
前記露光された第1感光層を現像して一側ファースト感光パターンを形成する工程と、
前記一側ファースト感光パターンをマスクとして前記第1透明導電層および前記第1金属層をエッチングする工程と、
パターニングされた前記第1金属層上に、光溶解型の感光層からなり、所定のパターンを有する一側セカンド感光パターンを形成する工程と、
前記一側セカンド感光パターンをマスクとして前記第1金属層をさらにエッチングする工程と、を備え、
前記一側セカンド感光パターンは、遮光部と透光部とを含む一側セカンド露光マスクを用いて光溶解型の感光層を露光することにより形成され、
前記一側ファースト露光マスクの前記遮光部は、前記第1下側パターンおよび前記第1上側パターンのそれぞれに対応する部分を含み、
前記一側セカンド露光マスクの前記透光部は、前記第1下側パターンの各第1透明導電パターンに対応する部分と、前記第1下側パターンの前記第1シールドパターンのうち露出される部分に対応する部分と、を含むことを特徴とするタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項8】
前記タッチパネルセンサは、前記基板の他側の面上に所定パターンで設けられ、透光性および導電性を有する透明導電材料からなる第2下側パターンと、前記第2下側パターン上に所定パターンで設けられ、遮光性および導電性を有する金属材料からなる第2上側パターンと、をさらに備え、
前記第2下側パターンは、多列に並べられ、各々がx方向に直交するy方向に延びる複数の第2透明導電パターンを含み、
前記第2上側パターンは、各第2透明導電パターンに接続され、線状に延びる第2取出導電パターンと、各第2取出導電パターンに接続された第2端子部と、を含み、
前記一側セカンド露光マスクは、その透光部のうち前記第1シールドパターンの露出される部分に対応する部分が、前記基板の法線方向から見た場合に各第2取出導電パターンの領域を部分的に含むよう配置されることを特徴とする請求項7に記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項9】
前記積層体は、前記基板の他側の面上に設けられ、透明導電材料からなる第2透明導電層と、前記第2透明導電層上に設けられ、金属材料からなる第2金属層と、前記第2金属層上に設けられた光溶解型の第2感光層と、をさらに有し、
前記タッチパネルセンサの製造方法は、
遮光部と透光部とを有する他側ファースト露光マスクを用いて前記第2感光層を露光する工程と、
前記露光された第2感光層を現像して他側ファースト感光パターンを形成する工程と、
前記他側ファースト感光パターンをマスクとして前記第2透明導電層および前記第2金属層をエッチングする工程と、
パターニングされた前記第2金属層上に、光溶解型の感光層からなり、所定のパターンを有する他側セカンド感光パターンを形成する工程と、
前記他側セカンド感光パターンをマスクとして前記第2金属層をさらにエッチングする工程と、を備え、
前記他側セカンド感光パターンは、遮光部と透光部とを含む他側セカンド露光マスクを用いて光溶解型の感光層を露光することにより形成され、
前記他側ファースト露光マスクの前記遮光部は、前記第2下側パターンおよび前記第2上側パターンのそれぞれに対応する部分を含み、
前記他側セカンド露光マスクの前記透光部は、前記第2下側パターンの各第2透明導電パターンに対応する部分を含むことを特徴とする請求項8に記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項10】
前記第2下側パターンは、所定の領域にわたって形成された第2シールドパターンをさらに含み、
前記第2上側パターンは、少なくとも部分的に前記第2シールドパターン上に設けられた第2ダミーパターンをさらに含み、
前記第2ダミーパターンのうち前記第2シールドパターン上に設けられた部分は、前記第2シールドパターンの外縁全域に沿って線状に延びるとともに、前記第2シールドパターンを少なくとも部分的に露出させるよう形成されており、
前記他側セカンド露光マスクの前記透光部は、前記第2下側パターンの前記第2シールドパターンのうち露出される部分に対応する部分をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項11】
前記他側セカンド露光マスクは、その透光部のうち前記第2シールドパターンの露出される部分に対応する部分が、前記基板の法線方向から見た場合に各第1取出導電パターンの領域を部分的に含むよう配置されることを特徴とする請求項10に記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項12】
前記一側セカンド感光パターンは、はじめに、前記一側ファースト感光パターンをマスクとしてエッチングされた前記第1金属層上に光溶解型の感光層を設け、次に、この感光層を前記一側セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された感光層を現像することにより形成されることを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項13】
前記一側セカンド感光パターンは、はじめに、エッチングされた前記第1金属層上に残っている前記一側ファースト感光パターンを前記一側セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された前記一側ファースト感光パターンを現像することにより形成されることを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項14】
前記他側セカンド感光パターンは、はじめに、前記他側ファースト感光パターンをマスクとしてエッチングされた前記第2金属層上に光溶解型の感光層を設け、次に、この感光層を前記他側セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された感光層を現像することにより形成されることを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載のタッチパネルセンサの製造方法。
【請求項15】
前記他側セカンド感光パターンは、はじめに、エッチングされた前記第2金属層上に残っている前記他側ファースト感光パターンを前記他側セカンド露光マスクを用いて露光し、その後、露光された前記他側ファースト感光パターンを現像することにより形成されることを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載のタッチパネルセンサの製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−203565(P2012−203565A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66390(P2011−66390)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】