説明

タッチパネル及び位置検出方法

【課題】複数の接触点を検出することのできるタッチパネルを提供する。
【解決手段】第1の基板上に形成された上部導電膜を有する上部電極基板10と、第2の基板上に形成された下部導電膜を有する下部電極基板20と、前記下部導電膜おいて電位分布を生じさせるために前記下部導電膜の四辺の端部に各々設けられた電極と、を有し、前記上部導電膜と前記下部導電膜とは対向して設置されており、前記上部導電膜上には、複数の電極が設けられており、前記上部導電膜上に設けられた複数の電極により検出された電位に基づき位置検出を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル及び位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、ディスプレイに直接入力をすることが可能な入力デバイスであり、ディスプレイの前面に設置して使用される。タッチパネルは、ディスプレイにより視覚的にとらえた情報に基づき、直接入力することができることから、様々な用途において普及している。
【0003】
このようなタッチパネルとしては、抵抗膜方式が広く知られている。抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電膜が形成された上部電極基板及び下部電極基板において、各々の透明導電膜同士が対向するように設置し、上部電極基板の一点に力を加えることにより各々の透明導電膜同士が接触し、力の加えられた位置の位置検出を行うことができるものである。
【0004】
抵抗膜方式のタッチパネルは、4線式と5線式とに大別することができる。4線式は、上部電極基板又は下部電極基板のどちらか一方にX軸の電極が設けられており、他方にY軸の電極が設けられている。一方、5線式は、下部電極基板にX軸の電極及びY軸の電極がともに設けられており、上部電極基板は、電圧を検出するためのプローブとして機能するものである(例えば、特許文献1、2)。
【0005】
具体的に、図1及び図2に基づき5線式のタッチパネルについて説明する。図1は、5線式のタッチパネルの斜視図であり、図2は、5線式のタッチパネルの断面の概要図である。
【0006】
5線式のタッチパネル200は、一方の面に透明導電膜230の形成されたフィルムからなる上部電極基板210と、一方の面に透明導電膜240の形成されたガラスからなる下部電極基板220により構成されており、透明導電膜230及び透明導電膜240が対向するようにスペーサ250を介し固定されている。5線式のタッチパネル200と不図示のホストコンピュータとはフレキシブル基板260により電気的に接続されている。
【0007】
このような構成の5線式のタッチパネル200では、図3(a)に示されるように、透明導電膜240の端部の4辺に設けられた電極241、242、243、244により、X軸方向、Y軸方向に交互に電圧を印加し、透明導電膜230と透明導電膜240とが、接触位置A点において接触することにより、図3(b)に示されるように、透明導電膜230を介し電位Vaを検出し、X軸方向及びY軸方向の各々の座標位置を検出する方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−272722号公報
【特許文献2】特開2008−293129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した5線式のタッチパネルでは、一点における接触位置は検出することは可能であるが、複数点が同時に接触した場合には位置検出をすることができない。
【0010】
即ち、図4(a)に示すように、透明導電膜240の4辺に設けられた電極241、242、243、244により、X軸方向、Y軸方向に交互に電圧を印加した場合において、透明導電膜230と透明導電膜240とが接触位置A点及びB点の2点において接触すると、A点とB点の間の中間点における押下されていない一点の座標位置が検出されてしまう。これは、図4(b)に示すように、電位検出による位置検出方法であることから、接触位置A点及びB点の二点で接触した場合であっても、透明導電膜230を介し検出される電位はVcの1つだけであるため、接触位置が一点であるものと判断してしまうためである。
【0011】
このことは5線式のタッチパネルに限られず、電極と透明導電膜との間にダイオードを設けた構造のいわゆる7線式のタッチパネルについても同様である。
【0012】
尚、5線式のタッチパネルの構造について、より詳細に説明すると、5線式のタッチパネルは、図5に示されるように、下電極基板220には、透明導電膜240の4辺に設けられた電極241、242、243、244に所定の電圧を印加するため4つの電極端子271、272、273、274が設けられており、4つの電極端子271、272、273、274に所定の電圧を印加することにより、透明導電膜240の4辺に設けられた電極241、242、243、244に所定の電圧が印加される。このため下電極基板220からフレキシブル基板260には4本の配線が引出されている。また、上電極基板210には、透明導電膜230上の4辺の近傍に設けられた4角形状の電極231が設けられている。このため上電極基板210からフレキシブル基板260には、電極231に接続される1本の配線が引出されている。このように5本の配線が引出されることから5線式と呼ばれている。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、透明導電膜等をエリア分割することなく、二点の接触位置を検出することができ、また、二点接触によるジェスチャー機能の動作の入力を行なうことのできるタッチパネル及び位置検出方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1の基板上に形成された上部導電膜を有する上部電極基板と、第2の基板上に形成された下部導電膜を有する下部電極基板と、前記下部導電膜おいて電位分布を生じさせるために前記下部導電膜の四辺の端部に各々設けられた電極と、を有し、前記上部導電膜と前記下部導電膜とは対向して設置されており、前記上部導電膜上には、複数の電極が設けられており、前記上部導電膜上に設けられた複数の電極により検出された電位に基づき位置検出を行なうものであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、第1の基板上に形成された上部導電膜を有する上部電極基板と、第2の基板上に形成された下部導電膜を有する下部電極基板と、前記下部導電膜おいて電位分布を生じさせるために、前記下部導電膜の四辺の端部にダイオードを介して設けられた2つのL字状の電極と、を有し、前記2つのL字状の電極のうち、一方よりも他方の電位が高い場合には、第1の方向に電位分布が生じ、他方よりも一方の電位が高い場合には、第2の方向に電位分布が生じ、第1の方向と第2の方向とは直交するものであって、前記上部導電膜と前記下部導電膜とは対向して設置されており、前記上部導電膜上には、複数の電極が設けられており、前記上部導電膜上に設けられた複数の電極により検出された電位に基づき位置検出を行なうものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上部電極基板は略長方形状又は略正方形状に形成されており、前記上部導電膜上に設けられた複数の電極は2つであって、前記上部導電膜の四辺に沿って形成されているものであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記上部導電膜上に設けられた複数の電極は、ともに前記上部導電膜の四辺に沿ってL字状に形成されているものであることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上部電極基板は略長方形状又は略正方形状に形成されており、前記上部導電膜上に設けられた複数の電極は4つであって、前記上部導電膜の四辺に沿って各々形成されているものであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記上部導電膜は透明導電膜により形成されており、前記複数の電極は金属材料により形成されているものであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記複数の電極は銀を含む材料により形成されているものであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、第1の基板上に形成された上部導電膜を有する上部電極基板と、第2の基板上に形成された下部導電膜を有する下部電極基板と、前記下部導電膜おいて電位分布を生じさせるために前記下部導電膜の四辺の端部に各々設けられた電極と、を有し、前記上部導電膜と前記下部導電膜とは対向して設置されているタッチパネルにおける位置検出方法において、前記上部導電膜上には、複数の電極が設けられており、前記上部導電膜上に設けられた複数の電極により検出された電位に基づき位置検出を行なうものであって、前記複数の電極において検出された電位が異なる場合には、前記タッチパネルにおける接触位置は、複数であると判断するものであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、第1の基板上に形成された上部導電膜を有する上部電極基板と、第2の基板上に形成された下部導電膜を有する下部電極基板と、前記下部導電膜おいて電位分布を生じさせるために前記下部導電膜の四辺の端部にダイオードを介して設けられた2つのL字状の電極と、を有し、前記2つのL字状の電極のうち、一方よりも他方の電位が高い場合には、第1の方向に電位分布が生じ、他方よりも一方の電位が高い場合には、第2の方向に電位分布が生じ、第1の方向と第2の方向とは直交するものであって、前記上部導電膜と前記下部導電膜とは対向して設置されているタッチパネルにおける位置検出方法において、前記上部導電膜上には、複数の電極が設けられており、前記上部導電膜上に設けられた複数の電極により検出された電位に基づき位置検出を行なうものであって、前記複数の電極において検出された電位が異なる場合には、前記タッチパネルにおける接触位置は、複数であると判断するものであることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、前記複数の電極において検出された電位に基づき、前記タッチパネルにおける接触位置の位置座標を算出することを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、前記複数の電極において検出された電位、または、検出された座標位置が変化している場合には、前記複数の接触位置により、表示画像を拡大する旨または縮小する旨のいずれかの情報入力がなされたものであることを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、前記複数の電極において検出された電位、または、検出された座標位置が変化している場合には、前記複数の接触位置により、表示画像を拡大する旨、縮小する旨、回転する旨のいずれかの情報入力がなされたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、透明導電膜等をエリア分割することなく、二点の接触位置を検出することができ、また、二点接触によるジェスチャー機能の動作の入力を行なうことのできるタッチパネル及び位置検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の5線式のタッチパネルの斜視図
【図2】従来の5線式のタッチパネルの断面概要図
【図3】従来の5線式のタッチパネルにおける座標検出方法の説明図(1)
【図4】従来の5線式のタッチパネルにおける座標検出方法の説明図(2)
【図5】従来の5線式のタッチパネルの構造図
【図6】第1の実施の形態におけるタッチパネルの構造図
【図7】第1の実施の形態におけるタッチパネルの断面図
【図8】第1の実施の形態におけるタッチパネルの説明図(1)
【図9】第1の実施の形態におけるタッチパネルの説明図(2)
【図10】第1の実施の形態におけるタッチパネルの情報入力方法のフローチャート
【図11】ジェスチャー機能のサブルーチンのフローチャート
【図12】第1の実施の形態における他のタッチパネルの構造図(1)
【図13】第1の実施の形態における他のタッチパネルの構造図(2)
【図14】第1の実施の形態における他のタッチパネルの構造図(3)
【図15】第1の実施の形態における他のタッチパネルの構造図(4)
【図16】第2の実施の形態におけるタッチパネルの構造図
【図17】第2の実施の形態におけるタッチパネルの説明図(1)
【図18】第2の実施の形態におけるタッチパネルの説明図(2)
【図19】第2の実施の形態におけるタッチパネルの情報入力方法のフローチャート
【図20】本発明における他のタッチパネルの構造図
【図21】第3の実施の形態におけるタッチパネルの構造図
【図22】第3の実施の形態におけるタッチパネルの説明図(1)
【図23】第3の実施の形態におけるタッチパネルの説明図(2)
【図24】第4の実施の形態におけるタッチパネルの構造図
【図25】第4の実施の形態におけるタッチパネルの説明図(1)
【図26】第4の実施の形態におけるタッチパネルの説明図(2)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
〔第1の実施の形態〕
(タッチパネルの構造)
第1の実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態におけるタッチパネルは、図6及び図7に示されるように、下電極基板20はガラス基板21の一方の面に透明導電膜40が設けられたものであり、透明導電膜40上の4辺の端部の近傍には、電極41、42、43、44が設けられており、更に、電極41、42、43、44に所定の電圧を印加するため4つの電極端子71、72、73、74が設けられている。従って、4つの電極端子71、72、73、74に所定の電圧を印加することにより、透明導電膜40の4辺に設けられた電極41、42、43、44に所定の電圧が印加される。また、上電極基板10はフィルム基板11の一方の面に透明導電膜30が設けられたものであり、透明導電膜30上の4辺の端部の近傍には、L字状の電極31及び32が設けられている。電極31及び32は、銀電極等の金属材料により形成されており、4辺のうち略直交する2辺、即ち、X軸方向の辺とY軸方向の辺とが各々一つずつ接続されることにより、L字形状の構造となるように形成されている。上部電極基板10と下部電極基板20とは、透明導電膜30が形成されている面と透明導電膜40が形成されている面とが対向している状態でスペーサ50を介し固定されている。また、本実施の形態におけるタッチパネルと不図示のホストコンピュータとはフレキシブル基板60により電気的に接続されている。尚、上部電極基板10には透明導電膜30上に、電極31及び32が設けられているため、上部電極基板10からフレキシブル基板60等には不図示の2本の配線が引出されている。よって。本実施の形態におけるタッチパネルからは6本の配線が引出されている。
【0030】
尚、透明導電膜30及び透明導電膜40を構成する材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO(酸化亜鉛)にAlまたはGa等が添加された材料、SnO(酸化スズ)にSb等が添加された材料等が挙げられる。
【0031】
また、上部電極基板10を形成するフィルム基板11となる材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート:polyethylene terephthalate)、PC(ポリカーボネート:Polycarbonate)等が挙げられるが、この他にも、可視領域において透明の樹脂材料として、耐熱性ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、環状ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、ポリアリレート、ポリプロピレン、耐熱ナイロン等が挙げられる。
【0032】
また、下部電極基板20を形成するガラス基板21に代えて、樹脂基板を用いてもよい。樹脂基板を形成する材料としては、PET、耐熱性ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、環状ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、ポリアリレート、ポリプロピレン、耐熱ナイロン等が挙げられる。
【0033】
(2点の位置検出方法)
次に、本実施の形態におけるタッチパネルにおいて、接触点が2点である場合の接触位置の位置検出方法について説明する。最初に、図8に示されるように、下部電極基板20の電極端子71及び74に0Vを印加し、電極端子72及び73に5Vを印加する。これにより電極41は0Vとなり、電極43は5Vとなり、X軸方向に電位分布が発生する。この状態においてタッチパネルに接触している接触位置が接触点A1及びB1である場合、接触点A1及びB1において下部電極基板20における透明導電膜40と上部電極基板10における透明導電膜30とが接触する。このため、下部電極基板20における透明導電膜40に形成された電位分布により、接触点A1における電位は、例えば2Vとなり、この電位は上部電極基板10における透明導電膜30を介し、接触点A1に近い電極31より検出される。同様に、下部電極基板20における透明導電膜40に形成された電位分布により、接触点B1における電位は、例えば4Vとなり、この電位は上部電極基板10における透明導電膜30を介し、接触点B1に近い電極32より検出される。即ち、透明導電膜30は導電性を有するものの抵抗成分を有しているため、接触点における電位は、より近い電極に強く影響を及ぼす。従って、各々の接触点における電位は、電極31または32のいずれか近い方の電極で検出される。尚、接触点における電位とは、接触点の電位と等しい場合のみならず、近い値も含むものとする。このように電極31及び32において検出された電位に基づき、接触点A1及びB1におけるX座標のおおよその位置を知ることができる。
【0034】
次に、図9に示すように、下部電極基板20の電極端子73及び74に0Vを印加し、電極端子71及び72に5Vを印加する。これにより電極44は0Vとなり、電極42は5Vとなり、Y軸方向に電位分布が発生する。この状態においてタッチパネルに接触している接触位置が接触点A1及びB1である場合、接触点A1及びB1において下部電極基板20における透明導電膜40と上部電極基板10における透明導電膜30とが接触する。このため、下部電極基板20における透明導電膜40に形成された電位分布により、接触点A1における電位は、例えば4Vとなり、この電位は上部電極基板10における透明導電膜30を介し、接触点A1に近い電極31より検出される。同様に、下部電極基板20における透明導電膜40に形成された電位分布により接触点B1における電位は、例えば2Vとなり、この電位は上部電極基板10における透明導電膜30を介し、接触点B1に近い電極32より検出される。このように電極31及び32において検出された電位に基づき、接触点A1及びB1におけるY座標のおおよその位置を知ることができる。
【0035】
以上により、電極31及び32において検出された電位は、異なる値であることから、本実施の形態におけるタッチパネルに接触している接触点は、2点であることを判断することができ、更には、電極31及び32において検出された電位の値により、接触点A1及びB1におけるX軸方向及びY軸方向におけるおおよその座標位置を知ることができる。
【0036】
(情報入力方法)
次に、本実施の形態におけるタッチパネルを用いた情報入力方法について説明する。この情報入力方法は、タッチパネルにおいて接触している接触点が2点である場合であって、画面表示の回転、拡大、縮小等のジェスチャー機能を行なうものである。
【0037】
図10に基づき、本実施の形態におけるタッチパネルを用いた情報入力方法について説明する。
【0038】
最初に、ステップ102(S102)において、電位測定を行なう。具体的には、下部電極基板20の透明導電膜40にX軸方向の電位分布を発生させて、電極31及び電極32において電位測定を行ない、同様に、下部電極基板20の透明導電膜40にY軸方向の電位分布を発生させて、電極31及び電極32において電位測定を行なう。
【0039】
次に、ステップ104(S104)において、電極31と電極32とにおいて測定された電位が等しいか否かの判断が行なわれる。具体的には、X軸方向に電位分布を発生させた状態における電極31において測定された電位と電極32において測定された電位とが等しいか否かの判断、及び、Y軸方向に電位分布を発生させた状態における電極31において測定された電位と電極32において測定された電位とが等しいか否かの判断が行なわれる。電極31と電極32において測定された電位が、X軸方向及びY軸方向においてともに等しいと判断された場合には、ステップ108に移行する。一方、電極31と電極32において測定された電位が、X軸方向及びY軸方向の少なくともいずれか一方において、等しくないものと判断された場合には、ステップ106に移行する。
【0040】
次に、ステップ106(S106)において、タッチパネルに接触している接触点は2点であるものと判断されているため、タッチパネルに接触している2点の接触点のおおよその座標位置が、電極31及び32において測定された電位に基づき算出される。具体的には、電位分布と座標位置とは比例関係にあるため、前述した方法により電位に対応したおおよその位置座標を算出することができる。尚、算出された2点の接触点の座標位置は不図示のメモリ等に記憶される。
【0041】
一方、ステップ108(S108)において、タッチパネルに接触している接触点は1点であるものと判断されているため、タッチパネルに接触している1点の接触点の座標位置が、電極31及び32において測定された電位に基づき算出される。具体的には、電位分布と座標位置とは比例関係にあるため、電位に対応した位置座標を算出することができる。
【0042】
次に、ステップ110(S110)において、タッチパネルにおける2点の接触点の座標位置が、前回算出した座標位置と同じか否かの判断が行なわれる。具体的には、ステップ106において算出された今回の2点の接触点の座標位置と、不図示のメモリ等に記憶されている前回算出された2点の接触点の座標位置とが同じであるか否かの判断が行なわれる。今回算出された2点の接触点の座標位置が、前回算出した座標位置と同じであるものと判断された場合には、タッチパネルにおいて2点の接触点は移動していないものと解され、ステップ114に移行する。一方、今回算出された2点の接触点の座標位置が、前回算出した座標位置と同じではないものと判断された場合には、ステップ112に移行する。
【0043】
次に、ステップ112(S112)において、ジェスチャー機能が実施される。具体的には、タッチパネルに接触している2点の座標位置が前回と今回とでは異なるため、2点の接触点を移動させることによるジェスチャー情報の入力(ジェスチャー機能のための入力)がなされたものと判断され、対応するジェスチャー機能が実行される。このジェスチャー機能の詳細については後述する。
【0044】
次に、ステップ114(S114)において、タッチパネルによる入力を終了するか否かの判断が行なわれる。具体的には、タッチパネルの電源をオフ等にすることにより行なわれる。タッチパネルによる入力を終了するものと判断された場合には、そのまま終了する。一方、タッチパネルによる入力を終了しないものと判断された場合には、ステップ102に移行して、再び、電位測定が行なわれる。
【0045】
次に、図11に基づき、ステップ112に示されるジェスチャー機能のサブルーチンについて説明する。図11は、一例として、ジェスチャー機能が、回転、拡大、縮小である場合を示すものである。
【0046】
最初に、ステップ202(S202)において、タッチパネルにおける2点の接触点による入力が、回転動作であるか否かの判断が行なわれる。具体的には、前回の接触点の位置座標と今回の接触点の位置座標に基づき、2点の接触点がジェスチャー入力における回転動作を行なうようなものであるか否かにより判断が行なわれる。回転動作であるものと判断された場合には、ステップ204に移行する。一方、回転動作ではないものと判断された場合には、ステップ206に移行する。
【0047】
次に、ステップ204(S204)において、表示画面に表示されている画像の回転動作が行なわれる。
【0048】
次に、ステップ206(S206)において、タッチパネルにおける2点の接触点による入力が、拡大動作であるか否かの判断が行なわれる。具体的には、前回の接触点の位置座標と今回の接触点の位置座標に基づき、2点の接触点がジェスチャー入力における拡大動作を行なうようなものであるか否かにより判断が行なわれる。拡大動作であるものと判断された場合には、ステップ208に移行する。一方、拡大動作ではないものと判断された場合には、ステップ210に移行する。
【0049】
次に、ステップ208(S208)において、表示画面に表示されている画像の拡大動作が行なわれる。
【0050】
次に、ステップ210(S210)において、タッチパネルにおける2点の接触点による入力が、縮小動作であるか否かの判断が行なわれる。具体的には、前回の接触点の位置座標と今回の接触点の位置座標に基づき、2点の接触点がジェスチャー入力における縮小動作を行なうようなものであるか否かにより判断が行なわれる。縮小動作であるものと判断された場合には、ステップ212に移行する。一方、縮小動作ではないものと判断された場合には、ジェスチャー機能による入力は行なわれなかったものと判断されメインルーチンに戻る。
【0051】
次に、ステップ212(S212)において、表示画面に表示されている画像の縮小動作が行なわれる。
【0052】
この後、メインルーチンに戻る。
【0053】
以上により、本実施の形態におけるタッチパネルを用いてジェスチャー情報の入力を行なうことができる。尚、本実施の形態では、ステップ112において、2点の接触点の座標位置が変化することにより、ジェスチャー情報の入力がなされた場合について説明したが、2点の接触点における電位が変化することにより、ジェスチャー情報の入力がなされるものであってもよい。
【0054】
(上部電極基板における電極の他の構成例)
次に、上部電極基板10における電極の他の構造例について説明する。本実施の形態におけるタッチパネルにおいては、上部電極基板10に設けられる2つの電極は、L字形状の構造となるもの以外にも、以下の構造のものが挙げられる。
【0055】
図12に示されるタッチパネルは、上部電極基板10の透明導電膜30上に設けられる電極31a、32aが、X軸方向に平行となる対向する2つの辺に沿って形成されているものである。
【0056】
また、図13に示されるタッチパネルは、上部電極基板10の透明導電膜30上に設けられる電極31b、32bが、Y軸方向に平行となる対向する2つの辺に沿って形成されているものである。
【0057】
また、図14に示されるタッチパネルは、上部電極基板10の透明導電膜30上に設けられる電極31c、32cが、X軸方向に平行となる対向する2つの辺に沿って形成されており、更に、その両端は、ともにY軸方向に沿って形成されているものである。尚、電極31cと電極32cとは、Y軸方向において接触しないように形成されている。
【0058】
また、図15に示されるタッチパネルは、上部電極基板10の透明導電膜30上に設けられる電極31d、32dが、Y軸方向に平行となる対向する2つの辺に沿って形成されており、更に、その両端は、ともにX軸方向に沿って形成されているものである。尚、電極31dと電極32dとは、X軸方向において接触しないように形成されている。
【0059】
〔第2の実施の形態〕
(タッチパネルの構造)
次に、第2の実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態におけるタッチパネルは、図16に示されるように、下電極基板120はガラス基板の一方の面に透明導電膜140が設けられたものであり、透明導電膜140上の4辺の端部の近傍には、電極141、142、143、144が設けられており、更に、電極141、142、143、144に所定の電圧を印加するため4つの電極端子171、172、173、174が設けられている。従って、4つの電極端子171、172、173、174に所定の電圧を印加することにより、透明導電膜140の4辺に設けられた電極141、142、143、144に所定の電圧が印加される。また、上電極基板110はフィルム基板の一方の面に透明導電膜130が設けられたものであり、透明導電膜130上の4辺の端部の近傍には、各々の辺に沿って電極131、132、133、134が設けられている。電極131、132、133、134は、銀電極等の金属材料により形成されている。上部電極基板110と下部電極基板120とは、透明導電膜130が形成されている面と透明導電膜140が形成されている面とが対向している状態で不図示のスペーサを介し固定されている。また、本実施の形態におけるタッチパネルと不図示のホストコンピュータとはフレキシブル基板160により電気的に接続されている。尚、上部電極基板110には透明導電膜130上に、電極131、132、133、134が設けられているため、上部電極基板110からフレキシブル基板160等には不図示の4本の配線が引出されている。よって、本実施の形態におけるタッチパネルからは8本の配線が引出されている。
【0060】
(2点の位置検出方法)
次に、本実施の形態におけるタッチパネルにおいて、接触点が2点である場合の接触位置の位置検出方法について説明する。最初に、図17に示すように、下部電極基板120の電極端子171及び174に0Vを印加し、電極端子172及び173に5Vを印加する。これにより電極141は0Vとなり、電極143は5Vとなり、X軸方向に電位分布が発生する。この状態においてタッチパネルに接触している接触位置が接触点A2及びB2である場合、接触点A2及びB2において下部電極基板120における透明導電膜140と上部電極基板110における透明導電膜130とが接触する。このため、下部電極基板120における透明導電膜140に形成された電位分布により、接触点A2における電位は、例えば2Vとなり、この電位は上部電極基板110における透明導電膜130を介し、接触点A2に近い電極132または電極131より検出される。同様に、下部電極基板120における透明導電膜140に形成された電位分布により、接触点B2における電位は、例えば4Vとなり、この電位は上部電極基板110における透明導電膜130を介し、接触点B2に近い電極134または電極133より検出される。即ち、透明導電膜130は導電性を有するものの抵抗成分を有しているため、接触点における電位は、より近い電極に強く影響を及ぼすため、各々の接触点における電位は、電極131、132、133、134のうち近い方の電極で検出される。尚、接触点における電位とは、接触点の電位と等しい場合のみならず、近い値も含むものとする。このように電極131、132、133、134において検出された電位に基づき、接触点A2及びB2におけるX座標のおおよその位置を知ることができる。
【0061】
次に、図18に示すように、下部電極基板120の電極端子173及び174に0Vを印加し、電極端子171及び172に5Vを印加する。これにより電極144は0Vとなり、電極142は5Vとなり、Y軸方向に電位分布が発生する。この状態においてタッチパネルに接触している接触位置が接触点A2及びB2である場合、接触点A2及びB2において下部電極基板120における透明導電膜140と上部電極基板110における透明導電膜130とが接触する。このため、下部電極基板120における透明導電膜140に形成された電位分布により、接触点A2における電位は、例えば4Vとなり、この電位は上部電極基板110における透明導電膜130を介し、接触点A2に近い電極132または電極131より検出される。同様に、下部電極基板120における透明導電膜140に形成された電位分布により接触点B2における電位は、例えば2Vとなり、この電位は上部電極基板110における透明導電膜130を介し、接触点B2に近い電極134または電極133より検出される。このように電極131、132、133、134において検出された電位に基づき、接触点A2及びB2におけるY座標のおおよその位置を知ることができる。
【0062】
以上により、電極131、132、133、134において検出された電位は、異なる値であることから、本実施の形態におけるタッチパネルに接触している接触点は、2点であることを判断することができ、更に、電極131、132、133、134において検出された電位の値により、接触点A2及びB2におけるX軸方向及びY軸方向におけるおおよその座標位置を知ることができる。
【0063】
(情報入力方法)
次に、本実施の形態におけるタッチパネルを用いた情報入力方法について説明する。この情報入力方法は、タッチパネルにおいて接触している接触点が2点である場合であって、画面表示の回転、拡大、縮小等のジェスチャー機能を行なうものである。
【0064】
図19に基づき、本実施の形態におけるタッチパネルを用いた情報入力方法について説明する。
【0065】
最初に、ステップ302(S302)において、電位測定を行なう。具体的には、下部電極基板120の透明導電膜140にX軸方向の電位分布を発生させて、電極131、132、133、134において電位測定を行ない、同様に、下部電極基板120の透明導電膜140にY軸方向の電位分布を発生させて、電極131、132、133、134において電位測定を行なう。
【0066】
次に、ステップ304(S304)において、電極131、132、133、134により測定された電位が等しいか否かの判断が行なわれる。具体的には、X軸方向に電位分布を発生させた状態において、電極131、132、133、134により測定された電位がすべて等しく、かつ、Y軸方向に電位分布を発生させた状態において、電極131、132、133、134により測定された電位がすべて等しいか否かの判断が行なわれる。X軸方向及びY軸方向に電位分布を発生させた状態において、電極131、132、133、134により測定された電位がすべて等しいと判断された場合には、ステップ308に移行する。一方、X軸方向及びY軸方向に電位分布を発生させた状態において、電極131、132、133、134において測定された電位のうち、等しくない電位のものが少なくとも1つ以上あるものと判断された場合には、ステップ306に移行する。
【0067】
次に、ステップ306(S306)において、タッチパネルに接触している接触点は2点であるものと判断されているため、タッチパネルに接触している2点の接触点のおおよその座標位置が、電極131、132、133、134において測定された電位に基づき算出される。具体的には、電位分布と座標位置とは比例関係にあるため、電位に対応したおおよその位置座標を算出することができる。尚、算出された2点の接触点の座標位置は不図示のメモリ等に記憶される。
【0068】
一方、ステップ308(S308)において、タッチパネルに接触している接触点は1点であるものと判断されているため、タッチパネルに接触している1点の接触点の座標位置が、電極131、132、133、134において測定された電位に基づき算出される。具体的には、電位分布と座標位置とは比例関係にあるため、電位に対応した位置座標を算出することができる。
【0069】
次に、ステップ310(S310)において、タッチパネルにおける2点の接触点の座標位置が、前回算出した座標位置と同じか否かの判断が行なわれる。具体的には、ステップ306において算出された今回の2点の接触点の座標位置と、不図示のメモリ等に記憶されている前回算出された2点の接触点の座標位置とが同じであるか否かの判断が行なわれる。今回算出された2点の接触点の座標位置が、前回算出した座標位置と同じであるものと判断された場合には、タッチパネルにおいて2点の接触点は移動していないものと解され、ステップ314に移行する。一方、今回算出された2点の接触点の座標位置が、前回算出した座標位置と同じではないものと判断された場合には、ステップ312に移行する。
【0070】
次に、ステップ312(S312)において、ジェスチャー機能が実施される。具体的には、タッチパネルに接触している2点の座標位置が前回と今回とでは異なるため、2点の接触点を移動させることによるジェスチャー情報の入力(ジェスチャー機能のための入力)がなされたものと判断され、対応するジェスチャー機能が実行される。尚、ジェスチャー機能は、図11に示されるサブルーチンのように行なわれる。
【0071】
次に、ステップ314(S314)において、タッチパネルによる入力を終了するか否かの判断が行なわれる。具体的には、タッチパネルの電源をオフ等にすることにより行なわれる。タッチパネルによる入力を終了するものと判断された場合には、そのまま終了する。一方、タッチパネルによる入力を終了しないものと判断された場合には、ステップ302に移行して、再び、電位測定が行なわれる。
【0072】
尚、本実施の形態では、ステップ312において、2点の接触点の座標位置が変化することにより、ジェスチャー情報の入力がなされた場合について説明したが、2点の接触点における電位が変化することにより、ジェスチャー情報の入力がなされるものであってもよい。
【0073】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。また、第1の実施の形態では、上部電極基板10における透明導電膜30上に2つの電極31、32を設けた構造のものについて説明し、第2の実施の形態では、上部電極基板110における透明導電膜130上に4つの電極131、132、133、134を設けた構造のものについて説明したが、図20に示されるように、上部電極基板180における透明導電膜181上に3つの電極182、183、184を設けた構造のタッチパネルについても、本発明における効果と同様の効果を得ることができる。
【0074】
〔第3の実施の形態〕
(タッチパネルの構造)
次に、第3の実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態におけるタッチパネルは、図21に示されるように、下電極基板220はガラス基板の一方の面に透明導電膜40が設けられたものであり、透明導電膜40上の4辺の端部の近傍には、2つのL字状の電極241、242が設けられている。L字状の電極241及び242は、各々隣接するX軸方向に沿った領域とY軸に沿った領域とを有しており、これらの領域はL字状の電極241とL字状の電極242とにおいて対向するように形成されている。L字状の電極241は、ダイオード271、272を介し透明導電膜40と接続されている。具体的には、L字状の電極241のX軸方向に沿った領域では、ダイオード271のアノードがL字状の電極241と接続され、カソードが透明導電膜40と接続されており、電極241から透明導電膜40に電流は流れるが、透明導電膜40から電極241には電流は流れない。また、L字状の電極241のY軸方向に沿った領域では、ダイオード272のカソードがL字状の電極241と接続され、アノードが透明導電膜40と接続されており、透明導電膜40から電極241には電流は流れるが、電極241から透明導電膜40に電流は流れない。
【0075】
また、L字状の電極242は、ダイオード273、274を介し透明導電膜40と接続されている。具体的には、L字状の電極242のX軸方向に沿った領域では、ダイオード273のカソードがL字状の電極242と接続され、アノードが透明導電膜40と接続されており、透明導電膜40から電極242には電流は流れるが、電極242から透明導電膜40に電流は流れない。また、L字状の電極242のY軸方向に沿った領域では、ダイオード274のアノードがL字状の電極242と接続され、カソードが透明導電膜40と接続されており、電極242から透明導電膜40に電流は流れるが、透明導電膜40から電極242には電流は流れない。
【0076】
従って、本実施の形態では、電極241と電極242に所定の電圧を印加することにより、透明導電膜40においてX軸方向に電位勾配を発生させたり、Y軸方向に電位勾配を発生させたりすることができる。尚、本実施の形態では、L字状の電極241及び242は、L字状に形成されているものについて説明するが、X軸方向に沿った電極とY軸方向に沿った電極とを別個に形成し、これらを接続したものであってもよい。
【0077】
(2点の位置検出方法)
次に、本実施の形態におけるタッチパネルにおいて、接触点が2点である場合の接触位置の位置検出方法について説明する。最初に、図22に示すように、下部電極基板220の電極241に0Vを印加し、電極242に5Vを印加する。これにより電極242のY軸に沿った領域から電極241のY軸に沿った領域に向かう電位分布、即ち、X軸方向に電位分布が発生する。この状態においてタッチパネルに接触している接触位置が接触点A3及びB3である場合、接触点A3及びB3において下部電極基板220における透明導電膜40と上部電極基板10における透明導電膜30とが接触する。このため、下部電極基板220における透明導電膜40に形成された電位分布により、接触点A3における電位は、例えば2Vとなり、この電位は上部電極基板10における透明導電膜30を介し、接触点A3に近い電極31より検出される。同様に、下部電極基板220における透明導電膜40に形成された電位分布により、接触点B3における電位は、例えば4Vとなり、この電位は上部電極基板10における透明導電膜30を介し、接触点B3に近い電極32より検出される。即ち、透明導電膜30は導電性を有するものの抵抗成分を有しているため、接触点における電位は、より近い電極に強く影響を及ぼす。従って、各々の接触点における電位は、電極31または32のいずれか近い方の電極で検出される。尚、接触点における電位とは、接触点の電位と等しい場合のみならず、近い値も含むものとする。このように電極31及び32において検出された電位に基づき、接触点A3及びB3におけるX座標のおおよその位置を知ることができる。
【0078】
次に、図23に示すように、下部電極基板220の電極242に0Vを印加し、電極241に5Vを印加する。これにより電極241のX軸に沿った領域から電極242のX軸に沿った領域に向かう電位分布、即ち、Y軸方向に電位分布が発生する。この状態においてタッチパネルに接触している接触位置が接触点A3及びB3である場合、接触点A3及びB3において下部電極基板220における透明導電膜40と上部電極基板10における透明導電膜30とが接触する。このため、下部電極基板220における透明導電膜40に形成された電位分布により、接触点A3における電位は、例えば4Vとなり、この電位は上部電極基板10における透明導電膜30を介し、接触点A3に近い電極31より検出される。同様に、下部電極基板220における透明導電膜40に形成された電位分布により接触点B3における電位は、例えば2Vとなり、この電位は上部電極基板10における透明導電膜30を介し、接触点B3に近い電極32より検出される。このように電極31及び32において検出された電位に基づき、接触点A3及びB3におけるY座標のおおよその位置を知ることができる。
【0079】
以上により、電極31及び32において検出された電位は、異なる値であることから、本実施の形態におけるタッチパネルに接触している接触点は、2点であることを判断することができ、更には、電極31及び32において検出された電位の値により、接触点A3及びB3におけるX軸方向及びY軸方向におけるおおよその座標位置を知ることができる。
【0080】
尚、情報入力方法については、第1の実施の形態と同様に行なうことができる。また、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0081】
〔第4の実施の形態〕
(タッチパネルの構造)
次に、第4の実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。本実施の形態におけるタッチパネルは、図24に示されるように、下電極基板320はガラス基板の一方の面に透明導電膜140が設けられたものであり、透明導電膜140上の4辺の端部の近傍には、2つのL字状の電極341、342が設けられている。L字状の電極341、342は、各々隣接するX軸方向に沿った領域とY軸に沿った領域とを有しており、これらの領域はL字状の電極341とL字状の電極342とにおいて対向するように形成されている。L字状の電極341は、ダイオード371、372を介し透明導電膜140と接続されている。具体的には、L字状の電極341のX軸方向に沿った領域では、ダイオード371のアノードがL字状の電極341と接続され、カソードが透明導電膜140と接続されており、電極341から透明導電膜140に電流は流れるが、透明導電膜140から電極341には電流は流れない。また、L字状の電極341のY軸方向に沿った領域では、ダイオード372のカソードがL字状の電極341と接続され、アノードが透明導電膜140と接続されており、透明導電膜140から電極341には電流は流れるが、電極341から透明導電膜140に電流は流れない。
【0082】
また、L字状の電極342は、ダイオード373、374を介し透明導電膜140と接続されている。具体的には、L字状の電極342のX軸方向に沿った領域では、ダイオード373のカソードがL字状の電極342と接続され、アノードが透明導電膜140と接続されており、透明導電膜140から電極342には電流は流れるが、電極342から透明導電膜140に電流は流れない。また、L字状の電極342のY軸方向に沿った領域では、ダイオード374のアノードがL字状の電極342と接続され、カソードが透明導電膜140と接続されており、電極342から透明導電膜140に電流は流れるが、透明導電膜140から電極342には電流は流れない。
【0083】
従って、本実施の形態では、電極341と電極342に所定の電圧を印加することにより、透明導電膜140においてX軸方向に電位勾配を発生させたり、Y軸方向に電位勾配を発生させたりすることができる。尚、本実施の形態では、L字状の電極341及び342は、L字状に形成されているものについて説明するが、X軸方向に沿った電極とY軸方向に沿った電極とを別個に形成し、これらを接続したものであってもよい。
【0084】
(2点の位置検出方法)
次に、本実施の形態におけるタッチパネルにおいて、接触点が2点である場合の接触位置の位置検出方法について説明する。最初に、図25に示すように、下部電極基板320の電極341に0Vを印加し、電極342に5Vを印加する。これにより電極342のY軸に沿った領域から電極341のY軸に沿った領域に向かう電位分布、即ち、X軸方向に電位分布が発生する。この状態においてタッチパネルに接触している接触位置が接触点A4及びB4である場合、接触点A4及びB4において下部電極基板320における透明導電膜140と上部電極基板110における透明導電膜130とが接触する。このため、下部電極基板320における透明導電膜140に形成された電位分布により、接触点A4における電位は、例えば2Vとなり、この電位は上部電極基板110における透明導電膜130を介し、接触点A4に近い電極132または電極131より検出される。同様に、下部電極基板320における透明導電膜140に形成された電位分布により、接触点B4における電位は、例えば4Vとなり、この電位は上部電極基板110における透明導電膜130を介し、接触点B4に近い電極134または電極133より検出される。即ち、透明導電膜130は導電性を有するものの抵抗成分を有しているため、接触点における電位は、より近い電極に強く影響を及ぼすため、各々の接触点における電位は、電極131、132、133、134のうち近い方の電極で検出される。尚、接触点における電位とは、接触点の電位と等しい場合のみならず、近い値も含むものとする。このように電極131、132、133、134において検出された電位に基づき、接触点A4及びB4におけるX座標のおおよその位置を知ることができる。
【0085】
次に、図26に示すように、下部電極基板320の電極342に0Vを印加し、電極341に5Vを印加する。これにより電極341のX軸に沿った領域から電極342のX軸に沿った領域に向かう電位分布、即ち、Y軸方向に電位分布が発生する。この状態においてタッチパネルに接触している接触位置が接触点A4及びB4である場合、接触点A4及びB4において下部電極基板320における透明導電膜140と上部電極基板110における透明導電膜130とが接触する。このため、下部電極基板320における透明導電膜140に形成された電位分布により、接触点A4における電位は、例えば4Vとなり、この電位は上部電極基板110における透明導電膜130を介し、接触点A4に近い電極132または電極131より検出される。同様に、下部電極基板320における透明導電膜140に形成された電位分布により接触点B4における電位は、例えば2Vとなり、この電位は上部電極基板110における透明導電膜130を介し、接触点B4に近い電極134または電極133より検出される。このように電極131、132、133、134において検出された電位に基づき、接触点A4及びB4におけるY座標のおおよその位置を知ることができる。
【0086】
以上により、電極131、132、133、134において検出された電位は、異なる値であることから、本実施の形態におけるタッチパネルに接触している接触点は、2点であることを判断することができ、更に、電極131、132、133、134において検出された電位の値により、接触点A4及びB4におけるX軸方向及びY軸方向におけるおおよその座標位置を知ることができる。
【0087】
尚、情報入力方法については、第2の実施の形態と同様に行なうことができる。上記以外の内容については、第2の実施の形態と同様である。
【0088】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0089】
10 上部電極基板
11 フィルム基板
20 下部電極基板
21 ガラス基板
30 透明導電膜
31 電極
32 電極
40 透明導電膜
41 電極
42 電極
43 電極
44 電極
50 スペーサ
60 フレキシブル基板
71 電極端子
72 電極端子
73 電極端子
74 電極端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板上に形成された上部導電膜を有する上部電極基板と、
第2の基板上に形成された下部導電膜を有する下部電極基板と、
前記下部導電膜おいて電位分布を生じさせるために前記下部導電膜の四辺の端部に各々設けられた電極と、
を有し、前記上部導電膜と前記下部導電膜とは対向して設置されており、
前記上部導電膜上には、複数の電極が設けられており、
前記上部導電膜上に設けられた複数の電極により検出された電位に基づき位置検出を行なうものであることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
第1の基板上に形成された上部導電膜を有する上部電極基板と、
第2の基板上に形成された下部導電膜を有する下部電極基板と、
前記下部導電膜おいて電位分布を生じさせるために、前記下部導電膜の四辺の端部にダイオードを介して設けられた2つのL字状の電極と、
を有し、前記2つのL字状の電極のうち、一方よりも他方の電位が高い場合には、第1の方向に電位分布が生じ、他方よりも一方の電位が高い場合には、第2の方向に電位分布が生じ、第1の方向と第2の方向とは直交するものであって、
前記上部導電膜と前記下部導電膜とは対向して設置されており、
前記上部導電膜上には、複数の電極が設けられており、
前記上部導電膜上に設けられた複数の電極により検出された電位に基づき位置検出を行なうものであることを特徴とするタッチパネル。
【請求項3】
上部電極基板は略長方形状又は略正方形状に形成されており、
前記上部導電膜上に設けられた複数の電極は2つであって、前記上部導電膜の四辺に沿って形成されているものであることを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記上部導電膜上に設けられた複数の電極は、ともに前記上部導電膜の四辺に沿ってL字状に形成されているものであることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル。
【請求項5】
上部電極基板は略長方形状又は略正方形状に形成されており、
前記上部導電膜上に設けられた複数の電極は4つであって、前記上部導電膜の四辺に沿って各々形成されているものであることを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記上部導電膜は透明導電膜により形成されており、
前記複数の電極は金属材料により形成されているものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記複数の電極は銀を含む材料により形成されているものであることを特徴とする請求項6に記載のタッチパネル。
【請求項8】
第1の基板上に形成された上部導電膜を有する上部電極基板と、第2の基板上に形成された下部導電膜を有する下部電極基板と、前記下部導電膜おいて電位分布を生じさせるために前記下部導電膜の四辺の端部に各々設けられた電極と、を有し、前記上部導電膜と前記下部導電膜とは対向して設置されているタッチパネルにおける位置検出方法において、
前記上部導電膜上には、複数の電極が設けられており、
前記上部導電膜上に設けられた複数の電極により検出された電位に基づき位置検出を行なうものであって、
前記複数の電極において検出された電位が異なる場合には、前記タッチパネルにおける接触位置は、複数であると判断するものであることを特徴とする位置検出方法。
【請求項9】
第1の基板上に形成された上部導電膜を有する上部電極基板と、第2の基板上に形成された下部導電膜を有する下部電極基板と、前記下部導電膜おいて電位分布を生じさせるために前記下部導電膜の四辺の端部にダイオードを介して設けられた2つのL字状の電極と、を有し、前記2つのL字状の電極のうち、一方よりも他方の電位が高い場合には、第1の方向に電位分布が生じ、他方よりも一方の電位が高い場合には、第2の方向に電位分布が生じ、第1の方向と第2の方向とは直交するものであって、前記上部導電膜と前記下部導電膜とは対向して設置されているタッチパネルにおける位置検出方法において、
前記上部導電膜上には、複数の電極が設けられており、
前記上部導電膜上に設けられた複数の電極により検出された電位に基づき位置検出を行なうものであって、
前記複数の電極において検出された電位が異なる場合には、前記タッチパネルにおける接触位置は、複数であると判断するものであることを特徴とする位置検出方法。
【請求項10】
前記複数の電極において検出された電位に基づき、前記タッチパネルにおける接触位置の位置座標を算出することを特徴とする請求項8または9に記載の位置検出方法。
【請求項11】
前記複数の電極において検出された電位、または、検出された座標位置が変化している場合には、前記複数の接触位置により、表示画像を拡大する旨または縮小する旨のいずれかの情報入力がなされたものであることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の位置検出方法。
【請求項12】
前記複数の電極において検出された電位、または、検出された座標位置が変化している場合には、前記複数の接触位置により、表示画像を拡大する旨、縮小する旨、回転する旨のいずれかの情報入力がなされたものであることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−221177(P2012−221177A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85720(P2011−85720)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】