説明

タッチパネル型液晶表示端末およびこれを備えた取引処理装置

【課題】撮影が可能でかつ登録顔画像と正確に照合することができる顔撮影を可能とするタッチパネル型液晶表示端末を提供する。
【解決手段】操作画面6を有しその操作画面6に対してタッチ操作されるとそのタッチ操作信号を出力することができる操作画面部と、上記操作画面近傍または当該操作画面内で上記画面のタッチ操作者の顔の撮影が可能な位置に設置された顔撮影用カメラと、上記顔撮影用カメラでの撮影顔画像を記録する顔画像記録部と、顔画像の登録サーバと、全体を統括制御する制御部と、を備え、上記制御部は、上記操作画面部からのタッチ操作信号を受け、上記顔撮影用カメラを駆動してタッチ操作者の顔画像を撮影制御すると共に、上記撮影した顔画像を上記顔画像記録部に記録制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル型液晶表示端末およびこれを備えた取引処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金融機関の店舗等に設置したATM等の取引処理装置においては映像監視データと連携させて、不正な取引等の防止を図るシステムがすでに実用化されている。このような取引処理装置では、液晶表示端末にタッチパネル画面を備え、このタッチパネル画面に預け入れ、振込み、残高照会等の各種メニューを表示している。
【0003】
こうした取引処理装置の設置場所では、犯罪や事故の防止または抑止を目的として、防犯カメラが設置され、取引処理装置の操作者や設置場所の内外を撮影し、その映像を監視するとともに、撮影映像を一定期間保存することが行われている。ところで、1台の取引処理装置での監視映像は単に事後における検証のために抽出されて利用されるにとどまる。なお、こうした監視映像についての特許文献は多数あり、例えば下記するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献2】特開2006−48466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、上記監視映像は単なる取引処理装置の操作者の映像だけでしかなく、取引処理装置と連動して操作者の顔認証を行うものではないから、操作者はパスワード等の認証を受けさえすれば、取引処理装置を操作することができるようになっている。
【0006】
一方、顔認証をする場合は、予め、操作者の顔を撮影して取引処理装置に登録しておき、また、取引処理装置には上記防犯カメラとは別にカメラを装備し、このカメラで撮影した顔画像と取引処理装置に登録されている顔画像とを照合することで顔認証を行う顔認証装置を装備することが必要となってくる。そして上記照合のためには顔撮影用カメラによる顔撮影は一様な条件下で行うことが望ましい。
【0007】
本発明においては、顔認証のための顔撮影用カメラの撮影条件の一様化を図ることで登録顔画像と正確に照合することができる顔撮影を可能とすることを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるタッチパネル型液晶表示端末は、液晶表示パネルとタッチパネルとを含む操作画面と、上記操作画面近傍または当該操作画面内で上記タッチ操作者に対する顔撮影が可能な位置に設置された顔撮影用カメラと、上記顔撮影用カメラでの撮影顔画像を記録する顔画像記録部と、顔画像の登録サーバと、全体を統括制御する制御部と、タッチ操作者の顔画像を登録する登録サーバとを備え、上記制御部は、上記タッチパネルへの操作にかかる信号を受け、上記顔撮影用カメラを駆動してタッチ操作者の顔画像を撮影すると共に、上記撮影した顔画像を上記顔画像記録部に記録し、上記タッチ操作者の顔画像を、上記登録サーバに登録している登録顔画像と照合することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、上記顔撮影用カメラは、操作者の顔を立体撮影することができる少なくとも2台のカメラで構成し、上記制御部は、上記両カメラそれぞれからの顔画像に係る撮影映像から立体顔画像処理を行い、その処理をした立体顔画像を記録処理する。
【0010】
好ましくは、上記操作画面の一部を外部からは操作画面内側が見えないマジックミラーで構成すると共に、上記顔撮影用カメラを上記マジックミラー内側に配置する。
【0011】
本発明による取引処理装置は、取引上の各部を備えたキャビネットと、上記キャビネット上に配置された上記端末と、を具備し、上記端末が、上記キャビネットにおける上記各部と連系して上記操作画面上に所要の画像を表示すると共に、顔撮影用カメラを各部の操作に応じて駆動可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、顔撮影用カメラを操作画面近傍または操作画面内に設置したので、登録顔画像と照合する顔撮影を行う際に撮影条件の一様化を図ることができるようになる。
【0013】
また、顔撮影用カメラを操作画面内のマジックミラー内側に配置した場合では、操作者に操作画面操作上の不快感を与えないで顔撮影を可能とすることができる。
【0014】
また、本発明においては、操作顔画像と登録顔画像とが同一人であるのに照合ミスにより上記操作ができない場合は、パスワード入力操作に置き換えることで、操作を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るタッチパネル型液晶表示端末を備えた取引処理装置の外観の概略を示す図である。
【図2】図2は図1のA−A線に沿う断面構成を示す図である。
【図3】図3は図1の端末の内部回路ブロックの構成を示す図である。
【図4】図4は図1の端末において顔撮影用カメラの使用状況の説明に用いる図である。
【図5】図5は顔撮影用カメラの別の実施形態を示す図である。
【図6】図6は図5のB−B線に沿う断面構成を示す図である。
【図7】図7は上記端末における操作画面上でパスワード入力のための仮想キーボードを表示する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るタッチパネル型液晶表示端末(以下、単に端末と称する)により構成したATM等の取引処理装置を説明する。図1に本発明の実施形態に係る端末を備えた取引処理装置の外観構成、図2に図1のA−A線に沿った概略の断面構成を示す。これら図1および図2を参照して、取引処理装置1は、キャビネット1A上に端末1Bを付設した構成となっている。キャビネット1Aの上面には紙幣投入/取出口1a、硬貨投入/取出口1b、通帳挿入/取出口1c、カード挿入/取出口1d、がそれぞれ配備されている。
【0017】
端末1Bは、キャビネット1A上の奥側に立設されており、筐体2における前面の矩形フレーム枠2aで囲む領域に液晶表示パネル3とその上のタッチパネル4とからなる操作パネル5を設けた構成となっている。液晶表示パネル3には取引処理装置操作用の操作画面6が表示される。この操作画面6は具体的には示さないが例えば預け入れ、振込み、残高照会等の各種メニュー6a,6b,…で構成される。この操作画面6は透明のタッチパネル4を介して操作者側から視認することができると共にタッチパネル4へのタッチ操作で操作することができるようになっている。タッチパネル4へのタッチ操作はメニュー選択信号として処理され、取引処理装置操作が可能となる。
【0018】
液晶表示パネル3の背部にはバックライト装置7が配置されている。筐体2内部には顔撮影用カメラ8a,8b(図面では顔撮影用カメラ8bのみ表れる)と、基板上に各種回路部品が搭載されてなる内部回路9とが配置されている。内部回路9と上記各パネル3,4、バックライト装置7、顔撮影用カメラ8a,8bとは制御信号等の授受のため電気配線9a,9bが配線されている。
【0019】
顔撮影用カメラ8a,8bはフレーム枠2aに設けた左右一対の撮影窓10a,10bから操作者の顔の立体(3D)撮影が可能になっている。
【0020】
図3を参照して内部回路9を説明すると、内部回路9は、端末1Bを含めた取引処理装置1全体を統括制御することができる制御部としてのCPU10と、制御プログラムの格納、CPU10のワーク、その他に用いるメモリ11と、操作画面6における画面表示処理や、顔撮影用カメラ8a,8bからの撮影画像の処理を行う画像処理部12と、操作画面6上での操作を行うためのパスワードの管理を行うパスワード管理部13と、端末操作者の顔画像を登録している登録サーバ14と、顔撮影用カメラ8a,8bで撮影した顔画像を記録保存する顔画像記録部15と、インターフェース部16と、を具備する。インターフェース部16は、液晶表示パネル3、タッチパネル4、顔撮影用カメラ8a,8bに対する入/出力インターフェースと、キャビネット1Aの紙幣投入/取出口1aでの紙幣処理や、硬貨投入/取出口1bでの硬貨処理や、通帳搬送、カード搬送、各種用紙票へのプリントのためのプリント機構等、図示略の各種機構部17に対する入/出力インターフェースを行う。
【0021】
なお、CPU10は端末1Bの制御のみとし、取引処理装置1全体としては別のCPUにより制御してもよい。
【0022】
以下、動作を説明する。
【0023】
操作者が端末1Bの操作画面6に振り込み、預け入れ等の種々の金融取引を実行するための各種メニュー6a,6b…をタッチ操作する。なお、この取引処理装置1では各種機構部17として、上記したように、紙幣投入/取出口1aでの紙幣処理機構、硬貨投入/取出口1bでの硬貨処理加工、通帳挿入/取出口1cでの通帳処理機構、等がある。このタッチ操作に際して操作者は、操作画面6に近接し、顔撮影用カメラ8a,8bで立体撮影(3次元撮影)に適した位置におかれる。そして、操作画面6を操作すると、これに連動してインターフェース部16を介してCPU10にその操作情報が入力され、CPU10は、顔撮影用カメラ8a,8bを駆動する。CPU10は両顔撮影用カメラ8a,8bでの立体撮影に係る顔画像のデータは画像処理部12で処理させ、その処理した顔画像のデータを顔画像記録部15に保存処理させる。この保存に際しては、操作者のID等を対応付けして保存する。なお、図示を略するが、これら顔撮影用カメラ8a,8bの中央にもう1台の顔撮影用カメラを配置し、端末設置者側が立体撮影(3次元撮影)ではなく、2次元撮影する場合にこの中央の顔撮影用カメラのみを選択的に駆動できるようにしてもよい。これは、例えば登録サーバ14に登録の顔画像に立体の顔画像が登録保存されていなくて、通常の2次元顔画像のみが登録保存されている場合、中央の顔撮影用カメラのみを選択的に駆動して2次元顔画像を得る場合に好都合である。なお、図4に操作者18が取引処理装置1の操作画面6に対して操作を行うことで両顔撮影用カメラ8a,8bが駆動している様子を示している。
【0024】
以上で顔画像記録部15に顔画像データを記録する一方で、CPU10は、顔撮影用カメラ8a,8bで撮影した顔画像と登録サーバ14に登録している各顔画像とを照合し、照合する登録顔画像が登録サーバ14に登録されている場合、操作者の操作画面6に対する操作を有効とし、照合する登録顔画像が登録サーバ14に登録されていない場合は、操作者の操作画面6に対する操作を無効とする。
【0025】
次に、実施形態では端末1B正面の中央上部に顔撮影用カメラ8a,8bを配置しているが、この配置位置では操作者にとり精神的な圧迫を及ぼしえる。そこで、図5、図6で示すように操作画面6の中央一部に外部からは操作画面6内側が見えないマジックミラー20を配置すると共に、顔撮影用カメラ21をマジックミラー20内側に配置する。この場合、顔撮影用カメラ21はバックライト装置7を避けた位置でマジックミラー20から液晶表示パネル3に設けた撮影窓22の内側に配置する。
【0026】
このような配置では、操作者からは顔撮影用カメラ21はマジックミラー20で全く視認することができない一方で、操作者の顔を顔撮影用カメラ21で明確に撮影することができるようになる。
【0027】
また、端末1Bのフレーム枠2aに操作者に操作が可能な操作ボタン30を配置し、正当な操作者であるのに、登録サーバに登録の顔画像と顔撮影用カメラで撮影した顔画像とが照合で不一致とされて取引処理装置を操作できない場合が考えられる。このような正当な操作者を救済するべく、操作ボタン30を操作すると、操作画面6上に仮想キーボード31が表示され、この仮想キーボード31上でパスワードを入力操作することで、取引処理装置操作を可能としてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 取引処理装置
1A キャビネット
1B 端末
2 筐体
2a フレーム枠
3 液晶表示パネル
4 タッチパネル
5 操作パネル
6 操作画面
7 バックライト
8a,8b 顔撮影用カメラ
9 内部回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルとタッチパネルとを含む操作画面と、上記操作画面近傍または当該操作画面内で上記タッチ操作者に対する顔撮影が可能な位置に設置された顔撮影用カメラと、上記顔撮影用カメラでの撮影顔画像を記録する顔画像記録部と、顔画像の登録サーバと、全体を統括制御する制御部と、タッチ操作者の顔画像を登録する登録サーバとを備え、上記制御部は、上記タッチパネルへの操作にかかる信号を受け、上記顔撮影用カメラを駆動してタッチ操作者の顔画像を撮影すると共に、上記撮影した顔画像を上記顔画像記録部に記録し、上記タッチ操作者の顔画像を、上記登録サーバに登録している登録顔画像と照合する、ことを特徴とするタッチパネル型液晶表示端末。
【請求項2】
上記顔撮影用カメラは、操作者の顔を立体撮影することができる少なくとも2台のカメラで構成し、上記制御部は、上記両カメラそれぞれからの顔画像に係る撮影映像から立体顔画像処理を行い、その処理をした立体顔画像を記録処理する、請求項1に記載の端末。
【請求項3】
上記操作画面の一部を外部からは操作画面内側が見えないマジックミラーで構成すると共に、上記顔撮影用カメラを上記マジックミラー内側に配置する、請求項1に記載の端末。
【請求項4】
取引上の各部を備えたキャビネットと、
上記キャビネット上に配置された、請求項1ないし3のいずれかに記載の端末と、
を具備し、
上記端末は、上記キャビネットにおける上記各部と連系して上記操作画面上に所要の画像を表示すると共に、顔撮影用カメラを各部の操作に応じて駆動可能とした、ことを特徴とする取引処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−64008(P2012−64008A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208099(P2010−208099)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】