説明

タッチパネル用透明電極センサ、タッチパネル、透明電極センサ用糸束、および透明電極センサ用織物

【課題】本発明は、低抵抗化および透明性を両立することが可能であり、信頼性が高く、経済的な製造が可能なタッチパネル用透明電極センサを提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、上記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む複数の第1電極と、上記絶縁性織物内に上記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む複数の第2電極とを有し、上記第1電極および上記第2電極が絶縁されるように上記導電性糸が配置されている透明電極センサ用織物を備え、透明樹脂中に、上記透明電極センサ用織物が充填されていることを特徴とするタッチパネル用透明電極センサを提供することにより、上記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量方式のタッチパネルに用いられる透明電極センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のディスプレイの画面上に装着された入力装置として使用されている。タッチパネルの方式は、入力位置の検出方法により、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、電磁誘導方式、超音波方式等が提案されているが、近年では、マルチタッチの検出(多点検出)が可能な方式として、静電容量方式のタッチパネルが注目されている。
【0003】
静電容量方式のタッチパネルにおいては、人間の指等の外部導体がタッチパネルに接触もしくは接近するときに発生する静電容量の変化を利用して、タッチパネル上における人間の指等の外部導体の位置を検出する。
一般に、静電容量方式のタッチパネルは、透明基板上に複数の透明電極がx方向に配列された電極フィルムと、透明基板上に複数の透明電極がy方向に配列された電極フィルムとが貼り合わされたものや、透明基板の上面に複数の透明電極がx方向に配列され、透明基板の下面に複数の透明電極がy方向に配列されたものが知られている。
【0004】
従来、タッチパネルの透明電極には、酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物が用いられている。一方、ITO等の金属酸化物は一般に表面抵抗値が高いため、精度良く静電容量の変化を検出することが困難になり、信頼性に劣るという問題がある。近年ではディスプレイの大型化に伴いタッチパネルにも大型化の要求があり、大面積化につれて上記の問題が顕著となることから、透明電極の表面抵抗値を低くすることが望まれている。
なお、ITO等の透明電極を厚膜にすれば低抵抗化が可能であるが、タッチパネルの透明性が低下してしまうという問題が生じる。
また、従来、透明基板上に複数の透明電極を形成する際にはフォトリソグラフィ法が用いられており、この方法では透明基板上に成膜した導電性材料の大部分が除去されてしまうため、資源の有効利用や経済性等の点で課題がある。
【0005】
また、タッチパネルにおけるITO等の透明電極の代替として、金属膜からなる格子網目状の電極を用いることが提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、格子網目状の電極には金属膜が用いられていることからタッチパネルの透明性が低いという問題がある。また、格子網目状の電極を形成する際にはフォトリソグラフィ法が適用されるため、上記と同様に、不経済であるという課題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−192093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、低抵抗化および透明性を両立することが可能であり、信頼性が高く、経済的な製造が可能なタッチパネル用透明電極センサを提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、上記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む複数の第1電極と、上記絶縁性織物内に上記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む複数の第2電極とを有し、上記第1電極および上記第2電極が絶縁されるように上記導電性糸が配置されている透明電極センサ用織物を備え、透明樹脂中に、上記透明電極センサ用織物が充填されていることを特徴とするタッチパネル用透明電極センサを提供する。
【0009】
本発明によれば、第1電極および第2電極は導電性糸を含むので、低抵抗化が可能であり、高信頼性を実現することが可能となる。また本発明によれば、透明電極センサ用織物を構成する絶縁性糸と透明樹脂との屈折率差を小さくすることにより、導電性糸が配置されている領域以外を透明とすることができ、透明性を確保することが可能である。さらに本発明によれば、第1電極および第2電極には導電性糸が用いられるので、フォトリソグラフィ法を適用する必要がなく、経済面でも優れている。
【0010】
また本発明は、タッチパネル用透明電極センサを備えるタッチパネルであって、上記タッチパネル用透明電極センサが、絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、上記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む複数の第1電極と、上記絶縁性織物内に上記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む複数の第2電極とを有し、上記第1電極および上記第2電極が絶縁されるように上記導電性糸が配置されている透明電極センサ用織物を備え、透明樹脂中に上記透明電極センサ用織物が充填されたものであることを特徴とするタッチパネルを提供する。
【0011】
本発明によれば、上述のタッチパネル用透明電極センサを備えるので、低抵抗化および透明性の両立を図り、高信頼性、経済的なタッチパネルとすることが可能となる。
【0012】
さらに本発明は、絶縁性糸と導電性糸とが束ねられていることを特徴とする透明電極センサ用糸束を提供する。
【0013】
本発明の透明電極センサ用糸束を横糸および縦糸として織られた織物が透明樹脂中に充填されたタッチパネル用透明電極センサでは、縦横に配置された導電性糸が電極として機能することができるので、上述したように、低抵抗化および透明性の両立を図り、高信頼性、経済的なタッチパネル用透明電極センサとすることが可能となる。
【0014】
上記発明においては、上記導電性糸の周囲を囲むように上記絶縁性糸が配置されていることが好ましい。本発明の透明電極センサ用糸束を横糸および縦糸として織った際に、横糸を構成する導電性糸と縦糸を構成する導電性糸とを互いに接触しないように容易に織ることができるからである。
【0015】
また本発明は、絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、上記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む第1電極と、上記絶縁性織物内に上記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む第2電極とを有し、上記第1電極および上記第2電極が絶縁されるように上記導電性糸が配置されていることを特徴とする透明電極センサ用織物を提供する。
【0016】
本発明の透明電極センサ用織物が透明樹脂中に充填されたタッチパネル用透明電極センサでは、上述したように、低抵抗化および透明性の両立を図り、高信頼性、経済的なタッチパネル用透明電極センサとすることが可能となる。
【0017】
上記発明においては、上記絶縁性織物が上記絶縁性糸で織られた織物であり、上記絶縁性糸で織られた織物に上記導電性糸が縫い込まれていてもよい。この場合、複数の第1電極が延在する第一の方向および複数の第2電極が延在する第二の方向を任意の方向に容易に調整することができる。
【0018】
また上記発明においては、上述の透明電極センサ用糸束が織り込まれていてもよい。この場合、第1電極を構成する導電性糸および第2電極を構成する導電性糸を互いに接触しないように比較的容易に配置することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、低抵抗化および透明性を両立し、信頼性が高く、経済的なタッチパネル用透明電極センサが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の透明電極センサ用織物の一例を示す概略平面図である。
【図2】本発明のタッチパネル用透明電極センサの一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の透明電極センサ用織物の他の例を示す概略平面図である。
【図4】本発明のタッチパネル用透明電極センサの他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明の透明電極センサ用織物の他の例を示す概略平面図である。
【図6】本発明の透明電極センサ用織物の他の例を示す概略平面図である。
【図7】本発明の透明電極センサ用織物の他の例を示す概略平面図である。
【図8】本発明の透明電極センサ用織物の他の例を示す概略平面図である。
【図9】本発明の透明電極センサ用糸束の一例を示す概略断面図である。
【図10】本発明の透明電極センサ用糸束の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のタッチパネル用透明電極センサ、タッチパネル、透明電極センサ用糸束、および透明電極センサ用織物について詳細に説明する。
【0022】
A.タッチパネル用透明電極センサ
まず、本発明のタッチパネル用透明電極センサについて説明する。
本発明のタッチパネル用透明電極センサは、絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、上記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む複数の第1電極と、上記絶縁性織物内に上記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む複数の第2電極とを有し、上記第1電極および上記第2電極が絶縁されるように上記導電性糸が配置されている透明電極センサ用織物を備え、透明樹脂中に、上記透明電極センサ用織物が充填されていることを特徴とするものである。
【0023】
本発明のタッチパネル用透明電極センサについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のタッチパネル用透明電極センサにおける透明電極センサ用織物の一例を示す概略平面図である。図2は、本発明のタッチパネル用透明電極センサの一例を示す概略断面図であり、図1に示す透明電極センサ用織物を備えるタッチパネル用透明電極センサの例である。なお、図2における透明電極センサ用織物は、図1のA−A線断面図に相当する。
図1および図2に例示する透明電極センサ用織物10は、絶縁性糸11aの横糸および絶縁性糸11bの縦糸で織られた絶縁性織物2と、上記絶縁性織物2内に第一の方向d1に延在する導電性糸12aからなる複数の第1電極3と、上記絶縁性織物2内に上記第一の方向d1と90度で交差する第二の方向d2に延在する導電性糸12bからなる複数の第2電極4とを有している。透明電極センサ用織物10においては、絶縁性織物2が絶縁性糸11aの横糸および絶縁性糸11bの縦糸で織られた織物であり、絶縁性糸11aの横糸に沿って第1電極3を構成する導電性糸12aが縫い込まれ、絶縁性糸11bの縦糸に沿って第2電極4を構成する導電性糸12bが縫い込まれている。また、第1電極3を構成する導電性糸12aと第2電極4を構成する導電性糸12bとは互いに接触しないように縫い込まれている。そのため、第一の方向d1に延在する導電性糸12aからなる第1電極3と、第二の方向d2に延在する導電性糸12bからなる第2電極4とは絶縁されている。
【0024】
図2に例示するタッチパネル用透明電極センサ1は上述の透明電極センサ用織物10を備えており、透明樹脂5中に透明電極センサ用織物10が充填されている。通常、透明樹脂5と透明電極センサ用織物10の絶縁性糸11a,11bとは屈折率がほぼ等しく、導電性糸12a,12bからなる第1電極3および第2電極4が配置されている領域以外は透明性を有している。
【0025】
図1および図2に例示するタッチパネル用透明電極センサにおいては、第1電極および第2電極が交差して配置されており、人間の指等の外部導体をタッチパネル用透明電極センサに接触もしくは接近させたときに発生する静電容量の変化を、第1電極および第2電極によって検出することができる。したがって、タッチパネル用透明電極センサ上における人間の指等の外部導体の位置を検出することができる。
【0026】
図3は、本発明のタッチパネル用透明電極センサにおける透明電極センサ用織物の他の例を示す概略平面図である。図4は、本発明のタッチパネル用透明電極センサの他の例を示す概略断面図であり、図3に示す透明電極センサ用織物を備えるタッチパネル用透明電極センサの例である。なお、図4における透明電極センサ用織物は、図3のB−B線断面図に相当する。
図3および図4に例示する透明電極センサ用織物10は、絶縁性糸11aおよび導電性糸12aが束ねられた透明電極センサ用糸束(図示なし)と絶縁性糸11aとを有する横糸と、絶縁性糸11bおよび導電性糸12bが束ねられた透明電極センサ用糸束20bと絶縁性糸11bとを有する縦糸とで織られた織物である。透明電極センサ用織物10においては、横糸に沿って第1電極3を構成する導電性糸12aが織り込まれ、縦糸に沿って第2電極4を構成する導電性糸12bが織り込まれており、絶縁性糸11a,11bからなる絶縁性織物2内に、第一の方向d1に延在する導電性糸12aからなる複数の第1電極3と、第一の方向d1と90度で交差する第二の方向d2に延在する導電性糸12bからなる複数の第2電極4とが配置されている。第1電極3を構成する導電性糸12aと第2電極4を構成する導電性糸12bとは互いに接触しないように織り込まれている。そのため、第一の方向d1に延在する導電性糸12aからなる第1電極3と、第二の方向d2に延在する導電性糸12bからなる第2電極4とは絶縁されている。
なお、図3において導電性糸12a,12b、第1電極3、第2電極4は破線で示されている。
【0027】
図4に例示するタッチパネル用透明電極センサ1は上述の透明電極センサ用織物10を備えており、透明樹脂5中に透明電極センサ用織物10が充填されている。通常、透明樹脂5と透明電極センサ用織物10の絶縁性糸11a,11bとは屈折率がほぼ等しく、導電性糸12a,12bからなる第1電極3および第2電極4が配置されている領域以外は透明性を有している。
【0028】
図3および図4に例示するタッチパネル用透明電極センサにおいては、第1電極および第2電極が交差して配置されており、人間の指等の外部導体をタッチパネル用透明電極センサに接触もしくは接近させたときに発生する静電容量の変化を、第1電極および第2電極によって検出することができる。したがって、タッチパネル用透明電極センサ上における人間の指等の外部導体の位置を検出することができる。
【0029】
本発明によれば、第1電極および第2電極は導電性糸を含むので、導電性糸の材料を適宜選択することにより、第1電極および第2電極の表面抵抗値を低くすることができる。また本発明によれば、透明電極センサ用織物を構成する絶縁性糸と透明樹脂との屈折率差を小さくすることにより、導電性糸を含む第1電極および第2電極が配置されている領域以外を透明とすることができる。導電性糸の材料を適宜選択することにより、導電性糸は細くしたり本数を減らしたりすることができるため、透明性を確保することが可能である。したがって本発明においては、従来困難であった低抵抗化および透明性を両立し、精度良く静電容量の変化を検出することができ、信頼性を向上させることが可能となる。
【0030】
また本発明によれば、第1電極および第2電極には導電性糸が用いられるので、従来のように電極形成にフォトリソグラフィ法を適用する必要がなく、材料の無駄を省くことができ、製造工程、製造コスト等、経済的な製造が可能なタッチパネル用透明電極センサとすることが可能である。
【0031】
以下、本発明のタッチパネル用透明電極センサにおける各構成について説明する。
【0032】
1.透明電極センサ用織物
本発明に用いられる透明電極センサ用織物は、絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、上記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む複数の第1電極と、上記絶縁性織物内に上記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む複数の第2電極とを有し、上記第1電極および上記第2電極が絶縁されるように上記導電性糸が配置されているものである。また、透明電極センサ用織物は、透明樹脂中に充填されるものである。
【0033】
透明電極センサ用織物は、絶縁性糸で形成された絶縁性織物と導電性糸を含む第1電極および第2電極とを有するものであればよく、その作製方法としては、まず絶縁性糸を織って絶縁性糸で織られた織物からなる絶縁性織物を作製し、次いで絶縁性糸で織られた織物からなる絶縁性織物に導電性糸を縫い込み、透明電極センサ用織物を作製してもよく、また絶縁性糸および導電性糸を織って絶縁性糸および導電性糸で織られた織物からなる透明電極センサ用織物を作製する、つまり絶縁性糸からなる絶縁性織物の作製と導電性糸の織り込みとを同時に行ってもよく、さらにまず絶縁性糸および導電性糸を織って絶縁性糸および導電性糸で織られた織物を作製し、次いで絶縁性糸および導電性糸で織られた織物に導電性糸を縫い込み、透明電極センサ用織物を作製してもよい。すなわち、透明電極センサ用織物においては、例えば、絶縁性織物が絶縁性糸で織られた織物であり、透明電極センサ用織物が絶縁性糸で織られた織物に導電性糸が縫い込まれたものであってもよく、また透明電極センサ用織物が絶縁性糸および導電性糸で織られた織物であってもよく、さらに透明電極センサ用織物が絶縁性糸および導電性糸で織られた織物に導電性糸が縫い込まれたものであってもよい。
【0034】
ここで、本願明細書において、「導電性糸を織り込む」とは、絶縁性糸および導電性糸を組み合わせて布地を織ることで、絶縁性織物内に導電性糸を配置することをいう。
また、「導電性糸を縫い込む」とは、絶縁性糸で織られた布地の裏表に交互に導電性糸を刺すことで、絶縁性織物内に導電性糸を配置することをいう。
【0035】
透明電極センサ用織物において、絶縁性織物が絶縁性糸で織られた織物であり、絶縁性糸で織られた織物に導電性糸が縫い込まれている場合、第1電極を構成する導電性糸と第2電極を構成する導電性糸とが互いに接触しないように導電性糸が縫い込まれる。
透明電極センサ用織物が、絶縁性糸および導電性糸で織られた織物である場合、第1電極を構成する導電性糸と第2電極を構成する導電性糸とが互いに接触しないように導電性糸が織り込まれる。
透明電極センサ用織物において、絶縁性糸および導電性糸で織られた織物に導電性糸が縫い込まれている場合、第1電極を構成する導電性糸と第2電極を構成する導電性糸とが互いに接触しないように導電性糸が縫い込まれかつ織り込まれる。
【0036】
導電性糸を縫い込むまたは織り込む際には、導電性糸のみを縫い込むまたは織り込んでもよく、絶縁性糸および導電性糸が束ねられた透明電極センサ用糸束を縫い込むまたは織り込んでもよい。中でも、絶縁性糸および導電性糸が束ねられた透明電極センサ用糸束が縫い込まれているまたは織り込まれていることが好ましい。第1電極を構成する導電性糸と第2電極を構成する導電性糸とが互いに接触しないように導電性糸を比較的容易に縫い込むまたは織り込むことができるからである。
【0037】
図1および図2に示す例においては、絶縁性織物2が絶縁性糸11aの横糸および絶縁性糸11bの縦糸で織られた織物であり、絶縁性糸11a,11bの織物からなる絶縁性織物2に第1電極3および第2電極4を構成する導電性糸12a,12bが縫い込まれている。
図3および図4に示す例においては、透明電極センサ用織物10が、絶縁性糸11aおよび導電性糸12aが束ねられている透明電極センサ用糸束(図示なし)と絶縁性糸11aとを有する横糸、および、絶縁性糸11bおよび導電性糸12bが束ねられている透明電極センサ用糸束20bと絶縁性糸11bとを有する縦糸で織られた織物であり、第1電極3および第2電極4を構成する導電性糸12a,12bが織り込まれている。
【0038】
以下、透明電極センサ用織物における各構成について説明する。
【0039】
(1)絶縁性織物
本発明に用いられる絶縁性織物は、絶縁性糸で形成されたものである。この絶縁性織物内には、任意の交差する二方向に第1電極および第2電極がそれぞれ配列される。
【0040】
絶縁性織物は、絶縁性糸で形成されたものであればよく、例えば、絶縁性織物が絶縁性糸で織られた織物であってもよく、絶縁性糸および導電性糸で織られた織物を構成する絶縁性糸からなる絶縁性織物であってもよい。
【0041】
絶縁性織物を構成する絶縁性糸としては、糸表面が絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ガラス、樹脂、セラミック等の糸を挙げることができる。
ガラスとしては、特に限定されるものではなく、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。中でも、Eガラスはガラスの溶融粘度が比較的低いため、生産性に優れており、安価で実用性が高いという利点を有する。また、Eガラスでは低溶融粘度での加工が可能であり、ガラス糸の平均直径を細くすることが容易であるという利点も有する。
樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフイン系樹脂、フルオロカーボン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を挙げることができる。
セラミックとしては、例えば、アルミナ、シリカ等が挙げられる。
これらの絶縁性糸の材料は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0042】
ガラス糸を用いる場合は、剛性や耐熱性を高く、熱膨張率を低くすることができる。本発明のタッチパネル用透明電極センサを例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイに使用する場合、タッチパネル用透明電極センサ上にカラーフィルタ層や電極を形成する工程等、タッチパネル用透明電極センサに熱処理が施される工程を行う場合がある。この熱処理の際、タッチパネル用透明電極センサの熱膨張率が高いと、位置ずれが起こる等の不具合が生じるおそれがある。これに対し、ガラス糸を用いた場合には、透明樹脂中に、ガラス糸から構成される絶縁性織物からなる補強材が全面にわたって充填されていることにより、透明樹脂が補強されるため、低い熱膨張率を得ることができる。したがって、ディスプレイ用途に好適なタッチパネル用透明電極センサとすることができる。
絶縁性織物が絶縁性糸で織られた織物であり、絶縁性糸がガラス糸である場合、ガラスクロスを用いることができる。
【0043】
また、樹脂糸を用いる場合は、屈折率の調整が容易であり、透明樹脂との屈折率の差をより小さくすることができ、透明性に優れるタッチパネル用透明電極センサとすることができる。
【0044】
また、絶縁性糸の径は比較的細いことが好ましい。例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイ等に使用されるタッチパネル用透明電極センサの場合、表面粗度が小さく、また屈曲性を有することが望ましいからである。表面粗度の低減および屈曲性の向上に対しては、絶縁性織物を構成する絶縁性糸の平均直径をできるだけ細くすることが好ましいのである。具体的に、絶縁性糸の平均直径としては5μm以下が好ましく、4.5μm以下がさらに好ましい。
なお、平均直径は、電子顕微鏡で得られた断面観察写真により測定される数平均で定義するものとする。
【0045】
また、絶縁性糸には扁平化加工が施されていることが好ましい。後述するように本発明のタッチパネル用透明電極センサの表面粗度は小さいことが好ましく、絶縁性糸の扁平化加工により表面粗度を小さくすることができるからである。
糸の扁平化加工の方法としては特に限定されないが、高圧水流による加工、液体を媒体とした高周波の振動による加工等が好適である。
【0046】
絶縁性織物を構成する縦糸および横糸は、上記の絶縁性糸の扁平化加工等によって十分に拡幅されていることが好ましい。具体的には、糸−糸間の隙間の距離が絶縁性糸の平均直径の5倍以内であることが好ましい。
【0047】
絶縁性織物の織物構造は特に限定されないが、後述するように本発明のタッチパネル用透明電極センサの表面粗度は小さいことが好ましく、織物構造によって表面粗度を調整できることから、表面粗度が小さくなるような織物構造であることが好ましい。具体的には、織物のバスケットホールを小さくすること、すなわち織物の面方向において絶縁性糸が分布していない面積をできるだけ少なくすることが好ましい。バスケットホールを小さくすることは、絶縁性糸の扁平化加工により達成できる。
【0048】
絶縁性織物の厚みは特に限定されないが、10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜200μmの範囲内であることがより好ましい。絶縁性織物の厚みが上記範囲内であれば、絶縁性糸のうねりを小さくし、絶縁性織物における複屈折を小さくすることができ、本発明のタッチパネル用透明電極センサの透明性を高めることができるからである。ここで、より高い透明性を得るためには、絶縁性織物において複屈折が生じないことが好ましい。絶縁性織物を構成する絶縁性糸のうねりが大きい場合、および絶縁性織物の粗密不均一が大きい場合には、複屈折が大きくなり透明性の発現が困難になるおそれがあるからである。絶縁性糸のうねりを小さくするためには、絶縁性織物の厚みは上記範囲内が好ましいのである。
【0049】
絶縁性織物の縦糸および横糸を構成する絶縁性糸の本数は特に限定されないが、少ない方が好ましい。具体的には、絶縁性織物の縦糸および横糸を構成する絶縁性糸の本数は、それぞれ50本〜200本の範囲内であることが好ましく、50本〜100本の範囲内であることがより好ましい。絶縁性織物の縦糸および横糸を構成する絶縁性糸の本数が少なければ、厚み方向の絶縁性糸分布の重なりを少なくし、上記のように絶縁性糸が十分に拡幅された絶縁性織物を得ることができるからである。
【0050】
絶縁性糸は、通常使用される撚り数を有する原糸を使用してもよいが、扁平化をより効率良く行うため、撚り数を少なくした絶縁性糸を使用することが好ましい。例えば、絶縁性糸がガラス糸である場合、通常使用される撚り数は0.7〜1.0回/inchであることから、ガラス糸の撚り数は0(ゼロ)〜0.5回/inchであることが好ましい。このように低撚糸化することにより、扁平化加工を行った際、径断面から見た糸形状が楕円形から平板形状になり、より高度に扁平化された絶縁性糸形状を実現でき、絶縁性織物の面方向における絶縁性糸分布が高い、すなわち面方向における隙間が少ない絶縁性織物が得られるからである。
【0051】
また、絶縁性織物の織組織は、第1電極を構成する導電性糸と第2電極を構成する導電性糸とを互いに接触しないように配置することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平織、綾織、朱子織等の任意の織組織とすることができる。例えば、図1〜図4において織組織は平織であり、図5において織組織は綾織である。
【0052】
透明樹脂100質量部に対する絶縁性織物の含有量は特に限定されないが、薄く軽量でかつフレキシブル性に優れるタッチパネル用透明電極センサが得られる点で、例えば10質量部〜80質量部の範囲内であることが好ましく、20質量部〜60質量部の範囲内であることがより好ましい。
【0053】
(2)第1電極および第2電極
本発明に用いられる第1電極は、上記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含むものであり、複数配置されるものである。また、本発明に用いられる第2電極は、上記絶縁性織物内に上記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含むものであり、複数配置されるものである。第1電極および第2電極を構成する導電性糸は、第1電極および第2電極が絶縁されるように配置されている。
【0054】
第1電極が延在する第一の方向と第2電極が延在する第二の方向とは交差していれば特に限定されるものではなく、第一の方向と第二の方向とのなす角度は、例えば、45度(135度)、90度等とすることができる。図1および図3に示す例においては、第一の方向d1と第二の方向d2とは90度で交差しており、図5および図6に示す例においては、第一の方向d1と第二の方向d2とは45度(135度)で交差している。第一の方向と第二の方向とのなす角度は、絶縁性織物の織組織や、導電性糸を縫い込むまたは織り込む態様等により適宜選択することができる。中でも、第一の方向と第二の方向とのなす角度は、90度または45度(135度)であることが好ましく、90度であることがより好ましい。第1電極および第2電極を構成する導電性糸の配置が容易となるからである。
【0055】
導電性糸が縫い込まれている場合には、導電性糸を縫い込む方向を任意に設定することができる。例えば、図1および図3に示すように横糸および縦糸に沿って導電性糸12a,12bを縫い込むだけでなく、図5および図6に例示するように横糸や縦糸に沿わずに導電性糸12bを縫い込むことができる。そのため、第一の方向と第二の方向とのなす角度を調整することが可能である。
一方、導電性糸が織り込まれている場合には、導電性糸は横糸または縦糸に沿って織り込まれる。そのため、第一の方向と第二の方向とのなす角度は、通常90度となる。
【0056】
本発明においては、第1電極および第2電極の他に、第一の方向および第二の方向にそれぞれ交差する第三の方向に延在する導電性糸を含む第3電極が複数配置されていてもよい。この場合、第1電極、第2電極および第3電極を構成する導電性糸は、第1電極、第2電極および第3電極が互いに絶縁されるように配置される。第3電極が配置されていることにより、さらに精度良く静電容量の変化を検出できるようになる。
例えば図7においては、絶縁性織物2内に、第一の方向d1に延在する導電性糸12aからなる複数の第1電極3と、上記第一の方向d1と90度で交差する第二の方向d2に延在する導電性糸12bからなる複数の第2電極4と、上記第一の方向d1と45度で交差し、上記第二の方向d2と45度で交差する第三の方向d3に延在する導電性糸12cからなる複数の第3電極6とが配置されている。第1電極3を構成する導電性糸12aと第2電極4を構成する導電性糸12bとは互いに接触しないように織り込まれている。また、第3電極6を構成する導電性糸12cは、第1電極3を構成する導電性糸12aおよび第2電極4を構成する導電性糸12bに接触しないように縫い込まれている。そのため、これらの第一の方向d1に延在する導電性糸12aからなる第1電極3と、第二の方向d2に延在する導電性糸12bからなる第2電極4と、第三の方向d3に延在する導電性糸12cからなる第3電極6とは絶縁されている。なお、図7において導電性糸12a,12bは破線で示されている。
第1電極が延在する第一の方向と第2電極が延在する第二の方向と第3電極が延在する第三の方向とは互いに交差していれば特に限定されるものではなく、各方向のなす角度は、絶縁性織物の織組織や、導電性糸を縫い込むまたは織り込む態様等により適宜選択することができ、上記の第一の方向および第二の方向のなす角度と同様とすることができる。
【0057】
第1電極および第2電極を構成する導電性糸としては、糸表面が導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、導電性材料から構成されるものであってもよく、絶縁性糸が導電性材料で被覆されたものであってもよい。
【0058】
導電性材料としては、例えば、金属、導電性高分子、炭素材料等が挙げられる。
金属としては、例えば、金、銀、銅、クロム、ニッケル、錫、ステンレス、チタン等を挙げることができる。導電性糸が金属から構成される場合、金属ワイヤを用いることもできる。
導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等を挙げることができる。
炭素材料としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン等を挙げることができる。
これらの導電性材料は1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0059】
なお、導電性材料で被覆される絶縁性糸については、上記絶縁性織物に用いられる絶縁性糸と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
絶縁性糸を導電性材料で被覆する方法としては、導電性材料の種類に応じて適宜選択されるものであり、例えば、めっき法、絶縁性糸を導電性高分子を含む溶液に浸漬する方法、絶縁性糸を金属粒子が分散されたペーストに浸す方法、真空蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。絶縁性糸を導電性高分子を含む溶液に浸漬する方法や、絶縁性糸を金属粒子が分散されたペーストに浸す方法は、簡便な方法であるという利点を有する。
【0060】
導電性糸の径は比較的細いことが好ましい。例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイ等に使用されるタッチパネル用透明電極センサの場合、表面粗度が小さく、また屈曲性を有することが望ましいからである。表面粗度の低減および屈曲性の向上に対しては、導電性糸の平均直径をできるだけ細くすることが好ましいのである。導電性糸の平均直径としては、導電性糸の構成等に応じて適宜選択される。導電性糸が導電性材料から構成される場合には、導電性糸の平均直径としては、具体的に40μm以下が好ましく、25μm以下がさらに好ましい。また、導電性糸が絶縁性糸が導電性材料で被覆されたものである場合には、導電性糸の平均直径は、具体的に10μm以下が好ましい。
なお、平均直径は、電子顕微鏡で得られた断面観察写真により測定される数平均で定義するものとする。
【0061】
また、導電性糸には扁平化加工が施されていることが好ましい。後述するように本発明のタッチパネル用透明電極センサの表面粗度は小さいことが好ましく、導電性糸の扁平化加工により表面粗度を小さくすることができるからである。
糸の扁平化加工の方法としては特に限定されるものではなく、導電性糸を構成する導電性材料に応じて適宜選択される。例えば、高圧水流による加工、液体を媒体とした高周波の振動による加工等を挙げることができる。
【0062】
導電性糸が撚糸である場合、導電性糸は、通常使用される撚り数を有する原糸を使用してもよいが、扁平化をより効率良く行うため、撚り数を少なくした導電性糸を使用することが好ましい。このように低撚糸化することにより、扁平化加工を行った際、径断面から見た糸形状が楕円形から平板形状になり、より高度に扁平化された導電性糸形状を実現できるからである。
【0063】
第1電極および第2電極を構成する導電性糸の本数は、1本以上であればよく、導電性糸の構成等に応じて適宜選択される。
導電性糸が導電性材料から構成される場合には、第1電極および第2電極を構成する導電性糸の本数は1本でよい。導電性糸が導電性材料から構成される場合には、導電性糸が絶縁性糸が導電性材料で被覆されたものである場合と比較して、導電性糸の直径が大きいので、1本でも導通を確保することができる。また、第1電極および第2電極を構成する導電性糸の本数が多いと、タッチパネル用透明電極センサの透過率が低下する場合がある。
一方、導電性糸が絶縁性糸が導電性材料で被覆されたものである場合には、第1電極および第2電極を構成する導電性糸の本数は2本以上であることが好ましく、中でも2本〜10本の範囲内であることが好ましい。導電性糸が絶縁性糸が導電性材料で被覆されたものである場合には、導電性糸が導電性材料から構成される場合と比較して、導電性糸の直径が小さいが、第1電極および第2電極を構成する導電性糸が複数本であれば、1本の導電性糸が断線しても導通を確保することができるからである。
例えば、図1においては第1電極3および第2電極4がそれぞれ1本の導電性糸12a,12bを有しており、図8においては第1電極3および第2電極4がそれぞれ3本の導電性糸12a,12bを有している。
第1電極および第2電極を構成する導電性糸が複数本である場合、複数本の導電性糸は互いに接触していてもよく接触していなくてもよい。
【0064】
第1電極および第2電極の幅は、第1電極および第2電極がタッチパネル用透明電極センサの電極として機能する幅であれば特に限定されるものではなく、第1電極および第2電極を構成する導電性糸の径や本数、本発明のタッチパネル用透明電極センサの大きさや用途等により適宜選択される。
【0065】
第1電極は第一の方向に延在し、複数配列されていればよく、第1電極の本数としては特に限定されるものではなく、本発明のタッチパネル用透明電極センサの大きさや用途等により適宜選択される。
同様に、第2電極は第一の方向と交差する第二の方向に延在し、複数配列されていればよく、第2電極の本数としては特に限定されるものではなく、本発明のタッチパネル用透明電極センサの大きさや用途等により適宜選択される。
【0066】
また、第1電極間の間隔および第2電極間の間隔は特に限定されるものではなく、本発明のタッチパネル用透明電極センサの大きさや用途等により適宜選択される。
【0067】
第1電極および第2電極の形成において、導電性糸を縫い込むまたは織り込む際には、導電性糸のみを縫い込むまたは織り込んでもよく、絶縁性糸および導電性糸が束ねられた透明電極センサ用糸束を縫い込むまたは織り込んでもよい。中でも、絶縁性糸および導電性糸が束ねられた透明電極センサ用糸束が縫い込まれているまたは織り込まれていることが好ましい。第1電極を構成する導電性糸と第2電極を構成する導電性糸とが互いに接触しないように導電性糸を容易に縫い込むまたは織り込むことができるからである。
なお、絶縁性糸および導電性糸が束ねられた透明電極センサ用糸束については、後述の「C.透明電極センサ用糸束」の項に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
【0068】
導電性糸を縫い込むまたは織り込む際の導電性糸の配置としては、導電性糸を含む第1電極および第2電極が絶縁されるように導電性糸を配置する、すなわち第1電極を構成する導電性糸と第2電極を構成する導電性糸とが互いに接触しないように導電性糸を配置することができれば特に限定されるものではなく、導電性糸を縫い込むまたは織り込む態様や、絶縁性織物の織組織等に応じて適宜選択される。
【0069】
(3)透明電極センサ用織物
本発明における透明電極センサ用織物の作製方法としては、上述したように、まず絶縁性糸を織って絶縁性糸で織られた織物からなる絶縁性織物を作製し、次いで絶縁性糸で織られた織物からなる絶縁性織物に導電性糸を縫い込み、透明電極センサ用織物を作製してもよく、また絶縁性糸および導電性糸を織って絶縁性糸および導電性糸で織られた織物からなる透明電極センサ用織物を作製する、つまり絶縁性糸で形成される絶縁性織物の作製と導電性糸の織り込みとを同時に行ってもよく、さらにまず絶縁性糸および導電性糸を織って絶縁性糸および導電性糸で織られた織物を作製し、次いで絶縁性糸および導電性糸で織られた織物に導電性糸を縫い込み、透明電極センサ用織物を作製してもよい。すなわち、透明電極センサ用織物においては、例えば、絶縁性織物が絶縁性糸で織られた織物であり、透明電極センサ用織物が絶縁性糸で織られた織物に導電性糸が縫い込まれたものであってもよく、また透明電極センサ用織物が絶縁性糸および導電性糸で織られた織物であってもよく、さらに透明電極センサ用織物が絶縁性糸および導電性糸で織られた織物に導電性糸が縫い込まれたものであってもよい。
【0070】
透明電極センサ用織物の厚みは特に限定されないが、10μm〜300μmの範囲内であることが好ましく、10μm〜200μmの範囲内であることがより好ましい。透明電極センサ用織物の厚みが上記範囲内であれば、本発明のタッチパネル用透明電極センサの透明性を高めることができるからである。
【0071】
2.透明樹脂
本発明に用いられる透明樹脂は、透明樹脂中に、上記透明電極センサ用織物が充填されるものである。
【0072】
本発明のタッチパネル用透明電極センサは、透明樹脂と絶縁性織物とを有する。タッチパネル用透明電極センサを透明にするためには、透明樹脂および絶縁性織物を構成する絶縁性糸の屈折率が互いにほぼ等しいことが好ましい。具体的には、優れた透明性を得るためには、透明樹脂および絶縁性織物を構成する絶縁性糸の屈折率の差が0.02以下であることが好ましく、さらに0.01以下が好ましい。屈折率の差が0.02より大きい場合は透明性に劣る傾向がある。
【0073】
透明樹脂の屈折率は、絶縁性織物を構成する絶縁性糸の屈折率との差が上記範囲であれば特に限定されるものではなく、絶縁性織物を構成する絶縁性糸の種類に応じて適宜選択される。
例えば、ガラスの屈折率(ナトリウムD線波長での値をいう)としては、Eガラスの屈折率は1.56(日本電気硝子株式会社カタログ値)、Sガラスの屈折率は1.53、NEガラスの屈折率は1.51、Dガラスの屈折率は1.47であることが知られている。絶縁性織物を構成する絶縁性糸がガラス糸である場合、Eガラスの場合は透明樹脂の屈折率は1.54〜1.58の範囲内、Sガラスの場合は透明樹脂の屈折率は1.51〜1.55の範囲内、NEガラスの場合は透明樹脂の屈折率は1.49〜1.53の範囲内、Dガラスの場合は透明樹脂の屈折率は1.45〜1.47の範囲内であることが好ましい。
【0074】
また、透明樹脂は、アッベ数が30以上45未満であることが好ましい。
ここで、アッベ数(νd)とは、屈折率の波長依存性を示すものであり、νd=(ηD−1)/(ηF−ηC)で求められる。ηC、ηD、ηFは、それぞれC線(波長656nm)、D線(波長589nm)およびF線(波長486nm)に対する屈折率である。一般に、アッベ数は、ガラスのような無機材料では比較的大きく、樹脂のような有機材料では比較的小さい。アッベ数が小さすぎると、屈折率の波長依存性が大きく、得られる材料の透明性が劣る傾向がある。また、本発明においては透明樹脂への充填物として絶縁性織物を用いる。よって、絶縁性織物と組合せて用いる透明樹脂においては、屈折率の波長依存性および透明性確保の観点から、アッベ数が30以上であることが好ましい。一方、上述したように絶縁性織物を構成する絶縁性糸と屈折率を近接させて高い透明性を得る観点から、透明樹脂のアッベ数は45未満であることが好ましい。
【0075】
なお、屈折率およびアッベ数の値は、例えば多波長アッベ屈折計を用いて屈折率を測定し、測定波長と屈折率の測定値とから上述の式に従ってアッベ数を算出することによりそれぞれ得ることができる。
【0076】
透明樹脂としては、上述の屈折率およびアッベ数を満たすものであれば特に限定されるものではなく、絶縁性織物を構成する絶縁性糸の種類に応じて適宜選択される。中でも、透明樹脂は、屈折率が絶縁性織物を構成する絶縁性糸に近い程好ましく、また耐熱性や耐薬品性に優れていることがより好ましい。
このような透明樹脂としては、絶縁性織物を構成する絶縁性糸の種類に応じて適宜選択されるものであり、具体的には、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、アクリレート系樹脂、オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ジアリルカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シルセスキオキサン縮合物等が挙げられる。例えば、絶縁性織物を構成する絶縁性糸にEガラスを用いる場合には、Eガラスと屈折率が近接していること、および耐熱性、耐薬品性等の性能を考慮すれば、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、またはジアリルフタレート系樹脂が好ましい。
【0077】
エポキシ系樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂等が挙げられる。
イソシアネート系樹脂としては、例えば、芳香族系のトリレンジイソシアネート、4,4′ジフェニルメタンジイソシアネートや脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。中でも、トリレンジイソシアネート系のものが好ましい。また、これらは単独または2種類以上併用して用いることができる。
ジアリルフタレート系樹脂としては、例えば、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマー、ジアリルテレフタレートプレポリマーなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上併用して用いることができる。
【0078】
透明樹脂は、1種類を用いてもよく、絶縁性織物を構成する絶縁性糸との屈折率との差をより小さくする目的等で2種類以上を組合せてもよい。
また、樹脂成分以外の成分として、例えば無機系材料、各種屈折率調整剤等を組合せたものを透明樹脂として用いてもよい。例えばエポキシ系樹脂を用いる場合、屈折率を調整する目的で、2種以上のエポキシ系樹脂、エポキシ系樹脂以外の樹脂、無機系材料、各種屈折率調整剤等を用いて透明樹脂を構成することができる。
屈折率調整剤としては、例えば、樹脂成分の屈折率が絶縁性織物を構成する絶縁性糸より高い場合はエチレングリシジルメタクリレートの共重合体やポリプレングリコールジグリシジルエーテル等を添加し、樹脂成分の屈折率が絶縁性織物を構成する絶縁性糸より低い場合は芳香環や環状脂肪族構造を有する化合物、または臭素等のハロゲン元素やイオウを導入した化合物などを添加して、屈折率を調整することができる。
【0079】
3.その他の構成
本発明においては、絶縁性織物を構成する絶縁性糸がガラス糸である場合、透明樹脂中に、上記透明電極センサ用織物の他に、ガラスフィラーが充填されていてもよい。剛性、耐熱性、熱膨張率等の特性をより良好にすることができるからである。
【0080】
本発明に用いられるガラスフィラーとは、本発明で用いるガラス糸を除くガラス全般を意味し、特に例えばガラス粒子やガラスチョップ等の不連続状のものを意味する。ガラスフィラーとしては、典型的には粒子形状のもの、具体的にはガラスパウダーやガラスビーズを用いることができる。粒子形状のガラスフィラーとしては、ガラス繊維を微粉砕したもの等を例示できる。
【0081】
粒子形状のガラスフィラーの形状としては、砕状、球状等が例示される。中でも、透明樹脂中への均一分散性を考慮すると、ガラスフィラーの粒径のバラツキはできるだけ小さくいことが好ましい。またガラスフィラーの平均粒径としては、5μm以下が好ましく、1μm〜3μmの範囲内がより好ましい。なお、平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒径分布測定器により測定される数平均で定義するものとする。
【0082】
また、ガラスフィラーと透明樹脂との接着性を向上させてタッチパネル用透明電極センサの透明性を向上させることができる点で、ガラスフィラーの表面がシランカップリング剤等の表面処理剤で処理されていることが好ましい。好ましいシランカップリング剤としては、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシランの塩酸塩(東レダウコーニング株式会社製;SZ6032)等を例示できる。
【0083】
透明樹脂100質量部に対するガラスフィラーの含有量は、薄く軽量でかつフレキシブル性に優れるタッチパネル用透明電極センサが得られる点で、例えば5質量部〜150質量部の範囲内であることが好ましく、20質量部〜80質量部の範囲内であることがより好ましい。
【0084】
本発明のタッチパネル用透明電極センサには、必要に応じて、透明性、耐熱性、耐薬品性を損なわないレベルで、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤等を含有させてもよく、またガラスフィラー以外のフィラーを含有させてもよい。
【0085】
4.タッチパネル用透明電極センサ
本発明のタッチパネル用透明電極センサは、第1電極および第2電極が形成されている領域を除いて、使用される波長領域で透明であるものである。本願明細書において「透明」とは、波長400nm〜700nmの全領域において、光透過率が80%以上であることを意味するものとする。中でも、本発明のタッチパネル用透明電極センサは、第1電極および第2電極が形成されている領域を除いて、可視光領域である380nm〜800nmの全領域において光透過率が80%以上であることがより好ましい。
【0086】
本発明のタッチパネル用透明電極センサの厚さとしては、例えば400μm以下、より典型的には20μm〜300μm程度とすることができる。
【0087】
本発明のタッチパネル用透明電極センサは、表面粗度が小さいことが好ましく、具体的には最大表面粗度(Rmax)で1.5μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがさらに好ましい。表面粗度が低減されたタッチパネル用透明電極センサは、液晶ディスプレイ等に使用する場合において特に好適である。
なお、表面粗度は表面粗度計(商品名:SUFCOM E−MD 東京精密株式会社製)により測定された最大表面粗度(Rmax)で定義するものとする。
【0088】
また、本発明のタッチパネル用透明電極センサは、熱膨張率が小さいことが好ましく、具体的には熱膨張率が20ppm/℃以下であることが好ましく、15ppm/℃以下であることがより好ましい。本発明のタッチパネル用透明電極センサを例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイに使用する場合、タッチパネル用透明電極センサ上にカラーフィルタ層や電極を形成する工程等、タッチパネル用透明電極センサに熱処理が施される工程を行う場合がある。この熱処理の際、タッチパネル用透明電極センサの熱膨張率が高いと、位置ずれ等の不具合が生じるおそれがある。
なお、熱膨張率は、熱機械分析装置(TMA)による熱膨張率測定方法で測定される値である。
【0089】
本発明のタッチパネル用透明電極センサを例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイに使用する場合、表面平滑性を向上させるため、タッチパネル用透明電極センサの両面にさらに樹脂のコーティング層を形成してもよい。コーティングに用いる樹脂としては、透明性、耐熱性、耐薬品性に優れるものを好ましく使用できる。具体的には、透明電極センサ用織物に含浸させた透明樹脂と同じ樹脂が好ましく、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂等が好ましい。コーティング層の厚さは0.1μm〜50μmの範囲内が好ましく、1.0μm〜20μmの範囲内がより好ましい。
【0090】
また、本発明のタッチパネル用透明電極センサを例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイに使用する場合、水蒸気や酸素に対するガスバリア層をさらに設けてもよい。ガスバリア層には、例えば、酸化ケイ素等の誘電体や、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー等の比較的ガスバリア性の高い材料を用いることができる。ガスバリア層の形成方法としては、材料に応じて適宜選択されるものであり、蒸着法、塗布法等を例示できる。
【0091】
5.タッチパネル用透明電極センサの製造方法
本発明のタッチパネル用透明電極センサは、例えば、上記透明樹脂を含む樹脂ワニスに上記透明電極センサ用織物を浸漬する浸漬工程と、浸漬した透明電極センサ用織物を乾燥させてプリプレグを形成する乾燥工程と、プリプレグを加熱成型する成型工程とを含む方法により製造することができる。
【0092】
樹脂ワニスは、透明樹脂の他に、溶媒、屈折率調整剤、色差調整剤等を含むことができる。溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−ブタノンやアセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。なお、樹脂ワニスは溶媒を含有してもよいが、溶媒の含有量が少ないと環境面や安全性等が向上することから無溶媒での適応も可能である。
【0093】
上記浸漬工程においては、樹脂ワニスが透明電極センサ用織物に含浸されるが、この際、樹脂ワニスは、掻き落としバーにより付着量を制御しつつ透明電極センサ用織物に含浸させることが好ましい。絶縁性織物を構成する絶縁性糸のうねりによる光沢ムラを解消できる点で、透明電極センサ用織物の表面に透明樹脂の層が厚さ5μm以上、特に厚さ10μm以上で形成されるように樹脂ワニスを透明電極センサ用織物に含浸させることが好ましい。
【0094】
透明電極センサ用織物の表面に透明樹脂の層を所望の厚さで形成する方法としては、透明樹脂の透明電極センサ用織物への含浸量を増加させる方法の他、上記浸漬工程において一度透明樹脂を含浸させた透明電極センサ用織物に再度透明樹脂を塗布する方法、または硬化させた後の透明電極センサ用織物に再度透明樹脂を塗布する方法等を例示できる。
【0095】
上記乾燥工程では、上記浸漬した透明電極センサ用織物を乾燥させてプリプレグを形成する。乾燥条件は用いる透明樹脂、溶媒等の種類によって適宜選択されるが、例えば乾燥温度100℃〜200℃程度、乾燥時間30秒〜3分程度等の条件とすることができ、その他乾燥機内風量等の条件を適宜選択することができる。
【0096】
上記成型工程では、上記プリプレグを加熱することによって加熱成型を行う。加熱成型条件は用いる透明樹脂、溶媒等の種類によって適宜選択されるが、例えば、加熱温度100℃〜250℃程度、加熱時間30分〜3時間程度、成型圧力5kgf/cm2〜100kgf/cm2程度等の条件とすることができる。
【0097】
6.用途
本発明のタッチパネル用透明電極センサは、タッチパネルに使用されるものであり、静電容量方式のタッチパネルに好適である。
【0098】
B.タッチパネル
次に、本発明のタッチパネルについて説明する。
本発明のタッチパネルは、タッチパネル用透明電極センサを備えるタッチパネルであって、上記タッチパネル用透明電極センサが、絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、上記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む複数の第1電極と、上記絶縁性織物内に上記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む複数の第2電極とを有し、上記第1電極および上記第2電極が絶縁されるように上記導電性糸が配置されている透明電極センサ用織物を備え、透明樹脂中に上記透明電極センサ用織物が充填されたものであることを特徴とするものである。すなわち、本発明のタッチパネルは、上述のタッチパネル用透明電極センサを備えることを特徴とするものである。
【0099】
本発明のタッチパネルは、上述のタッチパネル用透明電極センサを備えているので、透明性および低抵抗化を両立でき、信頼性を高めることができる。また、製造工程や製造コストを削減することが可能であり、経済的なタッチパネルとすることができる。
【0100】
本発明のタッチパネルは、上述のタッチパネル用透明電極センサを備えるものであればよく、必要に応じて他の構成部材を有していてもよい。
なお、タッチパネル用透明電極センサについては、上記「A.タッチパネル用透明電極センサ」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明のタッチパネルにおける他の構成について説明する。
【0101】
1.機能層
本発明においては、タッチパネル用透明電極センサの一方の面に、防眩機能、反射防止機能等の光学機能、あるいは耐擦傷機能、防汚染機能、撥水機能、帯電防止機能、抗菌機能等の其の他機能を有する機能層が形成されていてもよい。機能層は、単層であってもよく、多層であってもよい。
【0102】
機能層の形成位置としては、タッチパネル用透明電極センサの一方の面であればよいが、中でも、本発明のタッチパネルをディスプレイに用いた場合に機能層が観察側の最表面に配置されるように、機能層が形成されていることが好ましい。
【0103】
以下、機能層についてそれぞれ説明する。
【0104】
(1)ハードコート層
本発明においては、タッチパネル用透明電極センサの一方の面に、耐擦傷機能を有するハードコート層が形成されていてもよい。
【0105】
ハードコート層は、JISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましい。
【0106】
また、ハードコート層の透明性は高いほど好ましく、具体的には可視光域380nm〜780nmの範囲内における光透過率が70%以上、中でも80%以上であることが好ましい。
なお、光透過率の測定は、分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いることができる。
【0107】
ハードコート層に用いられる材料としては、上述の特性を満たすものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートプレポリマー、あるいは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを単独であるいはこれらの中から2種以上選択して組み合わせて配合した電離放射線硬化性樹脂を挙げることができる。電離放射線としては、紫外線、電子線等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂を紫外線硬化性樹脂として使用する場合には、光重合開始剤または光重合促進剤として増感剤を添加することができる。
【0108】
ハードコート層の形成方法としては、上記材料を必要に応じて溶媒で希釈した塗工液を、上記タッチパネル用透明電極センサ上に塗布することにより形成することができる。
【0109】
(2)防眩層
本発明においては、タッチパネル用透明電極センサの一方の面に、防眩機能を有する防眩層が形成されていてもよい。
防眩層としては、樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーが添加されたものや、あるいは層表面に外光を乱反射する微細凹凸が形成されたものを用いることができる。樹脂バインダとしては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、上記ハードコート層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適に使用される。
樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーが添加された防眩層は、塗布法により形成することができる。また、層表面に微細凹凸が形成された防眩層は、賦形版の押圧等を用いた賦形加工により形成することができる。
【0110】
(3)反射防止層
本発明においては、タッチパネル用透明電極センサの一方の面に、反射防止機能を有する反射防止層が形成されていてもよい。
反射防止層としては、低屈折率層の単層、あるいは、低屈折率層と高屈折率層とを低屈折率層が最上層に位置するように交互に積層した多層構成の一般的なモノを用いることができる。低屈折率層には、例えば、ケイ素酸化物、フッ化マグネシウム、フッ素含有樹脂等が用いられる。また、高屈折率層には、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等が用いられる。
反射防止層にさらに耐擦傷機能を付与する場合には、上記ハードコート層の項で記載した硬度の高い材料を適宜用いることができる。
反射防止層の形成方法としては、例えば、蒸着法、スパッタ法、塗布法等が挙げられる。
【0111】
2.カラーフィルタ層
本発明においては、タッチパネル用透明電極センサの一方の面に、カラーフィルタ層が形成されていてもよい。
【0112】
カラーフィルタ層の形成位置としては、タッチパネル用透明電極センサの一方の面であればよいが、中でも、本発明のタッチパネルをディスプレイに用いた場合にカラーフィルタ層がタッチパネル用透明電極センサのディスプレイ側に配置されるように、カラーフィルタ層が形成されていることが好ましい。
【0113】
カラーフィルタ層は、一般に赤色、緑色、青色の着色画素と、各画素間に形成された遮光部とを有する。カラーフィルタ層としては、従来公知の構成とすればよい。
着色画素は、例えば、各着色画素に対応した顔料、顔料分散剤およびバインダ等を含むものとすればよい。
遮光部は、例えば、カーボン微粒子または金属酸化物等の遮光物質を含有するものや、クロム等の金属薄膜とすることができる。
遮光部の形成方法としては、上記遮光物質を含有する組成物を用いて膜を形成し、この膜を所望のパターンにパターニングする方法、あるいは、上記金属薄膜を蒸着法またはスパッタリング法等で形成し、フォトリソグラフィ法によりパターニングする方法を挙げることができる。
【0114】
3.タッチパネル
本発明のタッチパネルは、上記タッチパネル用透明電極センサを備えていればよく、液晶ディスプレイ等のディスプレイと一体となったものであってもよい。
また、本発明のタッチパネルの方式としては、静電容量方式であることが好ましい。
【0115】
C.透明電極センサ用糸束
次に、本発明の透明電極センサ用糸束について説明する。
本発明の透明電極センサ用糸束は、絶縁性糸と導電性糸とが束ねられていることを特徴とするものである。
【0116】
本発明の透明電極センサ用糸束について図面を参照しながら説明する。
図9(a)〜(c)は本発明の透明電極センサ用糸束の一例を示す断面図である。
図9(a)に例示する透明電極センサ用糸束20は複数本の絶縁性糸11と1本の導電性糸12とが束ねられたものであり、1本の導電性糸12の周囲を囲むように複数本の絶縁性糸11が配置されている。
図9(b)に例示する透明電極センサ用糸束20は複数本の絶縁性糸11と1本の導電性糸12とが束ねられたものであり、透明電極センサ用糸束20の端に1本の導電性糸12が配置されている。
図9(c)に例示する透明電極センサ用糸束20は複数本の絶縁性糸11と複数本の導電性糸12とが束ねられたものであり、複数本の導電性糸12の周囲を囲むように複数本の絶縁性糸11が配置されている。
【0117】
本発明によれば、絶縁性糸と導電性糸とが束ねられているので、本発明の透明電極センサ用糸束を横糸および縦糸として織られた織物においては、導電性糸を縦横に配置することができる。そのため、本発明の透明電極センサ用糸束の横糸および縦糸で織られた織物を透明樹脂中に充填してタッチパネル用透明電極センサを作製した場合には、人間の指等の外部導体をタッチパネル用透明電極センサに接触もしくは接近させたときに発生する静電容量の変化を、縦横に配置された導電性糸によって検出することができる。したがって、タッチパネル用透明電極センサ上における人間の指等の外部導体の位置を検出することができる。
【0118】
このようなタッチパネル用透明電極センサにおいては、導電性糸が電極として機能するので、導電性糸の材料を適宜選択することにより、表面抵抗値を低くすることができる。また、絶縁性糸と透明樹脂との屈折率差を小さくすることにより、導電性糸が配置されている領域以外を透明とすることができ、透明性を確保することができる。したがって、低抵抗化および透明性を両立し、精度良く静電容量の変化を検出することができ、信頼性を高めることが可能となる。
また、導電性糸が電極として機能するので、従来のように電極形成にフォトリソグラフィ法を適用する必要がなく、材料の無駄を省くことができる。
【0119】
このように本発明の透明電極センサ用糸束を用いることにより、低抵抗化および透明性を兼備し、信頼性が高く、経済的なタッチパネル用透明電極センサを得ることが可能となる。
【0120】
以下、本発明の透明電極センサ用糸束における構成について説明する。
【0121】
1.絶縁性糸および導電性糸
本発明の透明電極センサ用糸束は、絶縁性糸と導電性糸とが束ねられているものである。
なお、絶縁性糸および導電性糸については、上記「A.タッチパネル用透明電極センサ 1.透明電極センサ用織物」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0122】
絶縁性糸および導電性糸の配置としては、絶縁性糸および導電性糸が束ねられていれば特に限定されるものではなく、例えば、図9(a)、(c)に示すように導電性糸12の周囲を囲むように絶縁性糸11が配置され、導電性糸12が透明電極センサ用糸束20の内部に配置されていてもよく、図9(b)に示すように導電性糸12が透明電極センサ用糸束20の端に配置されていてもよい。中でも、導電性糸の周囲を囲むように絶縁性糸が配置されていることが好ましい。本発明の透明電極センサ用糸束を横糸および縦糸として織った際に、横糸を構成する導電性糸と縦糸を構成する導電性糸とが接触しないように織ることが容易だからである。
【0123】
透明電極センサ用糸束を構成する絶縁性糸の本数は、1本以上であればよいが、2本以上であることが好ましく、中でも2本〜50本の範囲内であることが好ましい。透明電極センサ用糸束を構成する絶縁性糸が複数本であれば、本発明の透明電極センサ用糸束を横糸および縦糸として織った際に、横糸を構成する導電性糸と縦糸を構成する導電性糸とが接触しないように織ることが比較的容易になるからである。一方、透明電極センサ用糸束を構成する絶縁性糸が多すぎると、本発明の透明電極センサ用糸束を横糸および縦糸として織られた織物において、厚み方向の絶縁性糸分布の重なりが多くなり、表面粗度が大きくなるおそれがある。
【0124】
また、透明電極センサ用糸束を構成する導電性糸の本数は、1本以上であればよく、導電性糸の構成等に応じて適宜選択される。
導電性糸が導電性材料から構成される場合には、透明電極センサ用糸束を構成する導電性糸の本数は1本以上が好ましく、また1本でもよい。導電性糸が導電性材料から構成される場合には、導電性糸が絶縁性糸が導電性材料で被覆されたものである場合と比較して、導電性糸の直径が大きいので、1本でも導通を確保することができる。また、透明電極センサ用糸束を構成する導電性糸の本数が多いと、本発明の透明電極センサ用糸束を用いて作製したタッチパネル用透明電極センサにおいて透過率が低下する場合がある。
一方、導電性糸が絶縁性糸が導電性材料で被覆されたものである場合には、透明電極センサ用糸束を構成する導電性糸の本数は2本以上であることが好ましく、中でも2本〜10本の範囲内であることが好ましい。導電性糸が絶縁性糸が導電性材料で被覆されたものである場合には、導電性糸が導電性材料から構成される場合と比較して、導電性糸の直径が小さいが、透明電極センサ用糸束を構成する導電性糸が複数本であれば、本発明の透明電極センサ用糸束を用いてタッチパネル用透明電極センサを作製した場合に、1本の導電性糸が断線しても導通を確保することができるからである。
例えば、図9(a)、(b)においては導電性糸12が1本であり、図9(c)においては導電性糸12が3本である。
透明電極センサ用糸束を構成する導電性糸が複数本である場合、複数本の導電性糸は互いに接触していてもよく接触していなくてもよい。
【0125】
絶縁性糸および導電性糸は束ねられていればよく、撚り合わされていてもよく、撚り合わされていなくてもよい。また、導電性糸の周囲を囲むように絶縁性糸が配置されている場合には、図10(a)に例示するように導電性糸(図示なし)を芯として絶縁性糸11が巻きつけられていてもよく、図10(b)に例示するように導電性糸(図示なし)の周囲を囲むように絶縁性糸11を配置して絶縁性糸11および導電性糸(図示なし)が引き揃えられていてもよい。
【0126】
絶縁性糸および導電性糸が撚り合わされている場合には、通常使用される撚り数としてもよいが、撚り数を少なくすることが好ましい。後述する透明電極センサ用糸束の扁平化をより効率良く行うことができるからである。このように低撚糸化することにより、扁平化加工を行った際、径断面から見た糸形状が楕円形から平板形状になり、より高度に扁平化された糸形状を実現でき、本発明の透明電極センサ用糸束を横糸および縦糸として織った際に、織物の面方向における糸分布が高い、すなわち面方向における隙間が少ない織物が得られる。
【0127】
透明電極センサ用糸束には扁平化加工が施されていることが好ましい。タッチパネル用透明電極センサの表面粗度は小さいことが好ましく、透明電極センサ用糸束の扁平化加工により表面粗度を小さくすることができるからである。
透明電極センサ用糸束の扁平化加工の方法としては、特に限定されるものではなく、絶縁性糸および導電性糸の材料に応じて適宜選択されるものであり、例えば、高圧水流による加工、液体を媒体とした高周波の振動による加工等が挙げられる。
【0128】
透明電極センサ用糸束の径は比較的細いことが好ましい。例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイ等に使用されるタッチパネル用透明電極センサの場合、表面粗度が小さく、また屈曲性を有することが望ましいからである。表面粗度の低減および屈曲性の向上に対しては、透明電極センサ用糸束の平均直径をできるだけ細くすることが好ましいのである。透明電極センサ用糸束の平均直径としては、導電性糸の構成等に応じて適宜選択される。導電性糸が導電性材料から構成される場合には、透明電極センサ用糸束の平均直径としては、具体的に100μm以下が好ましく、80μm以下がさらに好ましい。また、導電性糸が絶縁性糸が導電性材料で被覆されたものである場合には、透明電極センサ用糸束の平均直径は、具体的に80μm以下が好ましく、60μm以下がさらに好ましい。
なお、平均直径は、電子顕微鏡で得られた断面観察写真により測定される数平均で定義するものとする。
【0129】
2.用途
本発明の透明電極センサ用糸束は、タッチパネル用透明電極センサにおける透明電極センサ用織物に好ましく用いられる。特に、静電容量方式のタッチパネル用途に好適である。
【0130】
D.透明電極センサ用織物
次に、本発明の透明電極センサ用織物について説明する。
本発明の透明電極センサ用織物は、絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、上記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む第1電極と、上記絶縁性織物内に上記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む第2電極とを有し、上記第1電極および上記第2電極が絶縁されるように上記導電性糸が配置されていることを特徴とするものである。
【0131】
本発明の透明電極センサ用織物について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の透明電極センサ用織物の一例を示す概略平面図である。図1に例示する透明電極センサ用織物10は、絶縁性糸11aの横糸および絶縁性糸11bの縦糸で織られた絶縁性織物2と、上記絶縁性織物2内に第一の方向d1に延在する導電性糸12aからなる複数の第1電極3と、上記絶縁性織物2内に上記第一の方向d1と90度で交差する第二の方向d2に延在する導電性糸12bからなる複数の第2電極4とを有している。透明電極センサ用織物10においては、絶縁性織物2が絶縁性糸11aの横糸および絶縁性糸11bの縦糸で織られた織物であり、絶縁性糸11aの横糸に沿って第1電極3を構成する導電性糸12aが縫い込まれ、絶縁性糸11bの縦糸に沿って第2電極4を構成する導電性糸12bが縫い込まれている。また、第1電極3を構成する導電性糸12aと第2電極4を構成する導電性糸12bとは互いに接触しないように縫い込まれている。そのため、第一の方向d1に延在する導電性糸12aからなる第1電極3と、第二の方向d2に延在する導電性糸12bからなる第2電極4とは絶縁されている。
【0132】
図3は、本発明の透明電極センサ用織物の他の例を示す概略平面図である。図3に例示する透明電極センサ用織物10は、絶縁性糸11aおよび導電性糸12aが束ねられた透明電極センサ用糸束(図示なし)と絶縁性糸11aとを有する横糸と、絶縁性糸11bおよび導電性糸12bが束ねられた透明電極センサ用糸束20bと絶縁性糸11bとを有する縦糸とで織られた織物である。透明電極センサ用織物10においては、横糸に沿って第1電極3を構成する導電性糸12aが織り込まれ、縦糸に沿って第2電極を構成する導電性糸12bが織り込まれており、絶縁性糸11a,11bの絶縁性織物2内に、第一の方向d1に延在する導電性糸12aからなる複数の第1電極3と、第一の方向d1と90度で交差する第二の方向d2に延在する導電性糸12bからなる複数の第2電極4とが配置されている。第1電極3を構成する導電性糸12aと第2電極4を構成する導電性糸12bとは互いに接触しないように織り込まれている。そのため、第一の方向d1に延在する導電性糸12aからなる第1電極3と、第二の方向d2に延在する導電性糸12bからなる第2電極4とは絶縁されている。
なお、図3において導電性糸12a,12bは破線で示されている。
【0133】
本発明の透明電極センサ用織物を透明樹脂中に充填してタッチパネル用透明電極センサを作製した場合には、人間の指等の外部導体をタッチパネル用透明電極センサに接触もしくは接近させたときに発生する静電容量の変化を、第1電極および第2電極によって検出することができる。したがって、タッチパネル用透明電極センサ上における人間の指等の外部導体の位置を検出することができる。
【0134】
本発明によれば、第1電極および第2電極は導電性糸を含むので、導電性糸の材料を適宜選択することにより、表面抵抗値を低くすることができる。また、本発明の透明電極センサ用織物を透明樹脂中に充填してタッチパネル用透明電極センサを作製した場合、透明電極センサ用織物を構成する絶縁性糸と透明樹脂との屈折率差を小さくすることにより、導電性糸を含む第1電極および第2電極が配置されている領域以外を透明とすることができる。導電性糸の材料を適宜選択することにより、導電性糸は細くしたり本数を減らしたりすることができるので、透明性を確保することができる。
【0135】
また本発明によれば、第1電極および第2電極には導電性糸を用いるので、従来のように電極形成にフォトリソグラフィ法を適用する必要がなく、材料の無駄を省くことができる。
【0136】
このように本発明の透明電極センサ用織物を用いることにより、低抵抗化および透明性を兼備し、信頼性の高い、経済的なタッチパネル用透明電極センサを得ることが可能となる。
【0137】
なお、透明電極センサ用織物については、上記「A.タッチパネル用透明電極センサ 1.透明電極センサ用織物」の項に詳しく記載したので、ここでの説明は省略する。
【0138】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0139】
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
1.透明電極センサ用織物の作製
ガラスクロスは旭化成エレクトロニクス株式会社製1000クロスを使用した。該ガラスクロスは扁平化加工を行うことによって糸は拡幅され、面方向でほぼ隙間無くガラス糸が配置しているものである。(ガラス糸の平均フィラメント径4.0μm、フィラメント本数50本)
使用糸種 ECC3000 1/0 1Z Eガラス組成
織り密度 タテ方向:85本/inch ヨコ方向:85本/inch
厚さ 10μm
布重量 11g/m2
【0140】
導電性糸には、直径15μmのステンレス製の糸を用いた。
ガラスクロスにタテ方向とヨコ方向にそれぞれ絶縁されるように導電性糸を1本ずつ5mmピッチで縫い、透明電極センサ用織物とした。
【0141】
2.透明電極センサの作製
透明樹脂には、ジアリルイソフタレート樹脂(ダイソー株式会社製 製品名ダイソーイソダップ アッベ数:40 屈折率:1.55)を用いた。
透明樹脂を含む樹脂ワニスに、絶縁性織物となるガラスクロスを浸漬し、0.100mmのスリットで余分な樹脂ワニスを掻き落とし、160℃で2分間乾燥し、プリプレグを得た。この際、透明樹脂100部に対してガラスクロス20部となるよう透明樹脂を塗工した。
【0142】
上記プリプレグを1枚用いて、195℃、40kgf/m2の条件で60分間加熱成型し、透明電極センサ(厚さ0.04mm)を得た。
【0143】
作製した透明電極センサに引出し電極を形成して回路と接続し、透明電極センサの導電性糸からなるx-yの電極に指を接触した箇所で静電容量の変化を検出した。
【0144】
[実施例2]
下記のように導電性糸を配置したこと以外は、実施例1と同様に透明電極センサを作製した。
導電性糸には、直径5μmの絶縁性糸の表面にスパッタ法により銀膜を形成したものを使用した。
ガラスクロスにタテ方向とヨコ方向にそれぞれ絶縁されるように導電性糸を5本ずつ5mmピッチで縫い、透明電極センサ用織物とした。
【0145】
作製した透明電極センサに引出し電極を形成して回路と接続し、透明電極センサの導電性糸からなるx-yの電極に指を接触した箇所で静電容量の変化を検出した。
【符号の説明】
【0146】
1 … タッチパネル用透明電極センサ
2 … 絶縁性織物
3 … 第1電極
4 … 第2電極
5 … 透明樹脂
10 … 透明電極センサ用織物
11、11a、11b … 絶縁性糸
12、12a、12b … 導電性糸
20、20b … 透明電極センサ用糸束
d1 … 第一の方向
d2 … 第二の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、前記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む複数の第1電極と、前記絶縁性織物内に前記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む複数の第2電極とを有し、前記第1電極および前記第2電極が絶縁されるように前記導電性糸が配置されている透明電極センサ用織物を備え、
透明樹脂中に、前記透明電極センサ用織物が充填されていることを特徴とするタッチパネル用透明電極センサ。
【請求項2】
タッチパネル用透明電極センサを備えるタッチパネルであって、
前記タッチパネル用透明電極センサが、絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、前記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む複数の第1電極と、前記絶縁性織物内に前記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む複数の第2電極とを有し、前記第1電極および前記第2電極が絶縁されるように前記導電性糸が配置されている透明電極センサ用織物を備え、透明樹脂中に前記透明電極センサ用織物が充填されたものであることを特徴とするタッチパネル。
【請求項3】
絶縁性糸と導電性糸とが束ねられていることを特徴とする透明電極センサ用糸束。
【請求項4】
前記導電性糸の周囲を囲むように前記絶縁性糸が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の透明電極センサ用糸束。
【請求項5】
絶縁性糸で形成された絶縁性織物と、
前記絶縁性織物内に第一の方向に延在する導電性糸を含む第1電極と、
前記絶縁性織物内に前記第一の方向と交差する第二の方向に延在する導電性糸を含む第2電極と
を有し、前記第1電極および前記第2電極が絶縁されるように前記導電性糸が配置されていることを特徴とする透明電極センサ用織物。
【請求項6】
前記絶縁性織物が前記絶縁性糸で織られた織物であり、前記絶縁性糸で織られた織物に前記導電性糸が縫い込まれていることを特徴とする請求項5に記載の透明電極センサ用織物。
【請求項7】
請求項3または請求項4に記載の透明電極センサ用糸束が織り込まれていることを特徴とする請求項5に記載の透明電極センサ用織物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−16069(P2013−16069A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149225(P2011−149225)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】