説明

タッチパネル装置

【課題】複雑な回路や演算を必要とせず、温度変化が顕著な環境における位置精度を向上させることができるタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【解決手段】可動側透明基板1および固定側透明基板7に形成された矩形状の導電膜からなる能動領域1a、7aと、該能動領域1a、7aの対向する端部に配設された電極2と、前記能動領域1a、7aに電位勾配を発生させるコントロール基板9と、前記電極2と前記コントロール基板9を接続する引き回しパターン3とからなるタッチパネル装置において、前記能動領域1a、7aの周囲に該能動領域1a、7aの導電膜と略同一の周囲環境における抵抗値変化率を有する抵抗値変化対応パターン8を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、抵抗膜式タッチパネルは、能動領域(ITO膜のキーエリア)の電位(電界)の値によりX、Y軸の座標位置が決まる。その能動領域の電位の値は主に、フレキシブルプリント基板(テール)とコントロール部コネクタとの接触抵抗値、フレキシブルプリント基板の導体抵抗値、フレキシブルプリント基板と上部フィルムおよび下部ガラスとの接触抵抗値、上部フィルムおよび下部ガラスに配置されているフレキシブルプリント基板接触部から電極までの引き回しパターンの導体抵抗値、能動領域の導体抵抗値によって決まる。上記抵抗値は位置補正(キャリブレーション)後にタッチパネルの周囲環境(温度)が変化すると、各抵抗値は異なった割合で値が変化するため、位置ずれが発生するという問題があった。
【0003】
そのため、下記特許文献1では、押圧されない状態で検出した電位を検出のその時の有効領域とし、その有効領域を最大分解能で等分し、押圧された時の電位と等分された有効領域の電位を順次比較してタッチパネル上の位置を各座標ごとに算出する抵抗膜接触型タッチパネル制御装置としている。下記特許文献2では、水平抵抗膜および垂直抵抗膜の各端部の電圧をタッチしない状態で検出してRAMに記憶しておき、タッチした状態で検出される電圧をRAMに記憶されている電圧により補正し、タッチした状態で検出される電圧に含まれる温度による電圧変動成分を除去し、補正した電圧に基づいてタッチ位置を検出するため、温度の影響を受けることなく正確にタッチ位置を検出できるタッチパネル制御装置としている。下記特許文献3では、感圧タッチパネルの端子間抵抗値を計測し、キャリブレーション時に求められている銀電極抵抗値およびITO膜抵抗値にそれぞれ変化率を乗算した値の和と一致するような変化率を算出し、算出された変化率に基づいてキャリブレーション値を更新して位置ずれ補正を行う抵抗膜式タッチパネル装置としている。下記特許文献4では、巡回時に常時更新される温度ドリフトオフセット誤差信号と、電源投入時または再補正動作信号が与えられた時のみ保持されるオフセット誤差信号をもとに、タッチパネルの各電極から出力されるタッチパネル出力信号に対しオフセット補償を行い、検出チャネル間の回路特性のバラツキ、初期オフセット、温度ドリフトに伴って発生する温度ドリフトオフセット誤差信号による座標算出用演算回路の演算結果に生ずる誤差を有効に低減する接触位置座標検出方法および装置としている。下記特許文献5では、能動領域の面抵抗と抵抗性周囲電極の抵抗値の比率を測定するための測定用パターンもしくは測定用端子を形成し、その測定用パターンもしくは測定用端子から測定回路を介して得られた信号と初期の信号を比較し、演算手段により比率を算出して位置補正を行う座標入力装置としている。
【0004】
また、下記特許文献6では、連続的にタッチパネル外周に形成していたシール剤の周方向に複数の空隙部を所要の位置に複数形成することによって、上下基板の隙間である空気室とタッチパネルの周囲の雰囲気とを解放状態にするタッチパネル及びそれを用いた表示機器としており、下記特許文献7では、線形化パターンの少なくとも一部を絶縁体で覆い、時間の経過による電圧勾配の変化を緩和するユーザインターフェイスとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−295727号
【特許文献2】特開平09−160719号
【特許文献3】特開2001−265512号
【特許文献4】特開2006−285518号
【特許文献5】特開2009−110457号
【特許文献6】特開2004−184540号
【特許文献7】特表2005−523532号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来のタッチパネル装置では、上記特許文献1から5のような電位を順次比較するための回路や抵抗値を測定するための回路等の複雑な回路が必要となり、さらに、測定された抵抗値から比率や補正係数等を算出するため、複雑な演算が必要であった。また、上記特許文献6では、タッチパネル内部と周囲環境を同環境としても導体は温度変化によって抵抗値が変化するため、位置ずれを補正することができず、上記特許文献7では、線形化パターンの抵抗値変化を抑えるだけであるため、線形化パターン以外の抵抗値が変化した場合には位置ずれが発生するといった問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記状況に鑑みて、複雑な回路や演算を必要とせず、温度変化が顕著な環境における位置精度を向上させることができるタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕可動側透明基板(1,11)および固定側透明基板(7,17)に形成された矩形状の導電膜からなる能動領域(1a,7a,11a,17a)と、該能動領域(1a,7a,11a,17a)の対向する端部に配設された電極(2,12)と、前記能動領域(1a,7a,11a,17a)に電位勾配を発生させるコントロール基板(9,19)と、前記電極(2,12)と前記コントロール基板(9,19)を接続する引き回しパターン(3,13)とからなるタッチパネル装置において、前記能動領域(1a,7a,11a,17a)の周囲に該能動領域(1a,7a,11a,17a)の導電膜と略同一の周囲環境における抵抗値変化率を有する抵抗値変化対応パターン(8,18)を配設したことを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載のタッチパネル装置において、前記抵抗値変化対応パターン(8,18)を前記可動側透明基板(1,11)および前記固定側透明基板(7,17)の夫々に少なくとも1箇所形成し、前記引き回しパターン(3,13)中に配設したことを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載のタッチパネル装置において、前記抵抗値変化対応パターン(8,18)の周囲環境における抵抗値の変化量が前記能動領域(1a,7a,11a,17a)の導電膜の周囲環境における抵抗値の変化量の±10%以内であることを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載のタッチパネル装置において、前記抵抗値変化対応パターン(8,18)は前記能動領域(1a,7a,11a,17a)の導電膜と同一の材料からなることを特徴とする。
〔5〕上記〔4〕記載のタッチパネル装置において、前記抵抗値変化対応パターン(8,18)および前記能動領域(1a,7a,11a,17a)の導電膜はITO膜であることを特徴とする。
〔6〕上記〔1〕記載のタッチパネル装置において、前記コントロール基板(9)に前記引き回しパターン(3)を接続するコネクタ(10)を配設し、該コネクタ(10)と前記引き回しパターン(3)の接触抵抗値が0.1Ω以下であるとともに摂氏−50〜100度での接触抵抗値の変化量が摂氏20度での接触抵抗値の±0.1Ω以内とすることを特徴とする。
〔7〕上記〔1〕記載のタッチパネル装置において、前記引き回しパターン(3,13)は電気抵抗率が10×10−4Ω・m以下であるとともに温度係数が0〜0.005以内であることを特徴とする。
〔8〕上記〔1〕記載のタッチパネル装置において、前記引き回しパターン(13)と前記コントロール基板(19)の間にフレキシブルプリント基板(21)を配設したことを特徴とする。
〔9〕上記〔8〕記載のタッチパネル装置において、前記コントロール基板(19)に前記フレキシブルプリント基板(21)を接続するコネクタ(20)を配設し、該コネクタ(20)と前記フレキシブルプリント基板(21)の接触抵抗値が0.1Ω以下であるとともに摂氏−50〜100度での変化量が摂氏20度時の接触抵抗値の±0.1Ω以内とすることを特徴とする。
〔10〕上記〔8〕記載のタッチパネル装置において、前記引き回しパターン(13)と前記フレキシブルプリント基板(21)を導電性接着剤で接続し、前記引き回しパターン(13)と前記フレキシブルプリント基板(21)の接触抵抗値が0.5Ω以下であるとともに摂氏−50〜100度での接触抵抗値の変化量が摂氏20度での接触抵抗値の±0.1Ω以内とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)温度変化が顕著な環境における位置精度の向上を図ることができる。
(2)複雑な回路を必要とせずに位置精度の向上を図ることができる。
(3)複雑な演算を必要とせずに位置精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の平面図である。
【図3】本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の原理を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図である。
【図5】本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の固定側透明基板および可動側透明基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のタッチパネル装置は、可動側透明基板および固定側透明基板に形成された矩形状の導電膜からなる能動領域と、該能動領域の対向する端部に配設された電極と、前記能動領域に電位勾配を発生させるコントロール基板と、前記電極と前記コントロール基板を接続する引き回しパターンとからなるタッチパネル装置において、前記能動領域の周囲に該能動領域の導電膜と略同一の周囲環境における抵抗値変化率を有する抵抗値変化対応パターンを配設する。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図、図2は本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の平面図であり、図2(a)は可動側透明基板を、図2(b)は固定側透明基板を示している。図3は本発明の第1実施例を表すタッチパネル装置の原理を示す図であり、図3(a)は従来のタッチパネル装置の等価回路を、図3(b)および図3(c)は本発明のタッチパネル装置の等価回路を示している。
【0014】
これらの図において、1は可動側透明基板、2は電極、3は引き回しパターン、4は粘着糊、5は絶縁レジスト、6はドットスペーサ、7は固定側透明基板、8は抵抗値変化対応パターン、9はコントロール基板、10はコネクタである。可動側透明基板1には、矩形状のITO膜からなる能動領域1a、コネクタ10に接続される接続部1b、抵抗値変化対応パターン8aおよび8bが形成され、能動領域1aの対向する端部にAgペーストからなる電極2aおよび2bが形成され、能動領域1aの周囲に抵抗値変化対応パターン8aおよび8bを介して電極2aおよび2bに接続されるAgペーストからなる引き回しパターン3aおよび3bが形成され、後述する固定側透明基板に形成される引き回しパターン3eおよび3fに接続される引き回しパターン3cおよび3dが形成され、能動領域1aの周囲に粘着糊4が配設されている。固定側透明基板7には、矩形状のITO膜からなる能動領域7aと、抵抗値変化対応パターン8cおよび8dが形成され、電極2aおよび2bと直交する方向の能動領域7aの対向する端部にAgペーストからなる電極2cおよび2dが形成され、能動領域7aの周囲に抵抗値変化対応パターン8cおよび8dを介して電極2cおよび2dに接続されるAgペーストからなる引き回しパターン3eおよび3fが形成され、能動領域7a上にドットスペーサ6が配設されるとともに能動領域7aの周囲に絶縁レジスト5が配設されている。
【0015】
可動側透明基板1がドットスペーサ6により一定の間隔をあけて固定側透明基板7上に配置され、粘着糊4によって固定される。このとき、引き回しパターン3cと3e、3dと3fが導電性接着剤等(図示なし)で接続される。そして、コントロール基板9に実装されたコネクタ10に接続部1bを接続することで、タッチパネル装置が完成される。
【0016】
以上のように構成された本発明のタッチパネル装置は、可動側透明基板1の能動領域1aを押下すると、固定側透明基板7の能動領域7aと接触し、測定された電圧値により押下した座標位置が決定される。周囲環境が変化すると、能動領域1aおよび7aの抵抗値、電極2の抵抗値、引き回しパターン3の抵抗値および各部材間の接触抵抗値が変化し、これに伴って電圧値も変化するが、電極2と引き回しパターン3の間に配設された抵抗値変化対応パターン8が能動領域1aおよび7aの抵抗値の変化に追従して略同一の変化率で抵抗値が変化し、能動領域1aおよび7aに印加される電圧値の変化を抑えることができるため、位置ずれが抑制できる。また、引き回しパターン3aとコネクタ10との接触抵抗値および抵抗値変化量を最小限に抑えることで、さらに位置ずれの抑制効果を向上することができる。
【0017】
ここで、位置ずれを抑制する原理について具体的に説明する。図3(a)に示すように、従来のタッチパネル装置において、周囲温度摂氏20度での能動領域(ITO膜)の抵抗値が400Ω、電極、引き回しパターンの抵抗値および各部材間の接触抵抗値が10Ωである場合、周囲温度が摂氏50度になると、能動領域の抵抗値は440Ω、電極、引き回しパターンの抵抗値および各部材間の接触抵抗値は15Ωに変化する。このとき、能動領域に印加される電圧は4.762Vから4.681Vに変化するため0.081Vの差が生じ、位置ずれが発生する。これに対し、本発明のタッチパネル装置は図3(b)に示すように、周囲温度摂氏20度での能動領域1aおよび7aの抵抗値が400Ω、電極2、引き回しパターン3の抵抗値および各部材間の接触抵抗値が10Ω、抵抗値変化対応パターン8の抵抗値が40Ωである場合、周囲温度が摂氏50度になると、能動領域1aおよび7aの抵抗値は440Ω、電極2、引き回しパターン3の抵抗値および各部材間の接触抵抗値は15Ω、抵抗値変化対応パターン8の抵抗値は44Ωに変化する。このとき、能動領域1aおよび7aに印加される電圧は4.000Vから3.943Vに変化するが、電圧の差を0.057Vに抑えることができるため、位置ずれが抑制できる。また、図3(c)に示すように、電極2、引き回しパターン3の抵抗値および各部材間の接触抵抗値の変化量を最小限に抑え、周囲温度摂氏50度における抵抗値を12Ωとした場合、能動領域1aおよび7aに印加される電圧は3.986Vに変化し、電圧の差を0.014Vに抑えることができるため、さらに位置ずれが抑制効果を向上するできる。
【0018】
このように、本実施例に示すタッチパネル装置は、周囲環境が変化すると、抵抗値変化対応パターン8が能動領域1aおよび7aの抵抗値の変化に追従して略同一の変化率で抵抗値が変化し、能動領域1aおよび7aに印加される電圧値の変化を抑えて位置ずれが抑制できるため、位置精度の向上を図ることができるという特徴を有している。また、引き回しパターン3とコネクタ10の接触抵抗値および抵抗値変化量や引き回しパターン3の電気抵抗率および温度係数を最小限に抑えることで、位置ずれの抑制効果を向上することができるため、さらに位置精度の向上を図ることができる。
【0019】
本実施例では、抵抗値変化対応パターンを可動側透明基板および固定側透明基板の夫々2箇所に設け、電極と引き回しパターンの間に配設しているが、夫々1箇所としてもよく、配設位置も引き回しパターンの任意の場所としてもよく、種々の方法が考えられる。
【0020】
図4は本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の分解斜視図、図5は本発明の第2実施例を表すタッチパネル装置の平面図であり、図2(a)は可動側透明基板を、図2(b)は固定側透明基板を示している。
【0021】
これらの図において、11は可動側透明基板、12は電極、13は引き回しパターン、14は粘着糊、15は絶縁レジスト、16はドットスペーサ、17は固定側透明基板、18は抵抗値変化対応パターン、19はコントロール基板、20はコネクタ、21はフレキシブルプリント基板である。可動側透明基板11には、矩形状のITO膜からなる能動領域11a、抵抗値変化対応パターン18aおよび18bが形成され、能動領域11aの対向する端部にAgペーストからなる電極12aおよび12bが形成され、能動領域11aの周囲に抵抗値変化対応パターン18aおよび18bを介して電極12aおよび12bに接続されるAgペーストからなる引き回しパターン13aが形成され、能動領域11aの周囲に粘着糊14が配設されている。固定側透明基板17には、矩形状のITO膜からなる能動領域17aと、抵抗値変化対応パターン18cおよび18dが形成され、電極12aおよび12bと直交する方向の能動領域17aの対向する端部にAgペーストからなる電極12cおよび12dが形成され、能動領域17aの周囲に抵抗値変化対応パターン18cおよび18dを介して電極12cおよび12dに接続されるAgペーストからなる引き回しパターン13bが形成され、能動領域17a上にドットスペーサ16が配設されるとともに能動領域17aの周囲に絶縁レジスト15が配設されている。
【0022】
可動側透明基板11がドットスペーサ16により一定の間隔をあけて固定側透明基板17上に配置され、粘着糊14によって固定される。このとき、引き回しパターン13aと13bが導電性接着剤(図示なし)でフレキシブルプリント基板21に接続される。そして、コントロール基板19に実装されたコネクタ20にフレキシブルプリント基板21を接続することで、タッチパネル装置が完成される。
【0023】
以上のように構成された本発明のタッチパネル装置は、可動側透明基板11の能動領域11aを押下すると、固定側透明基板17の能動領域17aと接触し、測定された電圧値により押下した座標位置が決定される。周囲環境が変化すると、能動領域11aおよび17aの抵抗値、電極12の抵抗値、引き回しパターン13の抵抗値、フレキシブルプリント基板21の抵抗値および各部材間の接触抵抗値が変化し、これに伴って電圧値も変化するが、電極12と引き回しパターン13の間に配設された抵抗値変化対応パターン18が能動領域11aおよび17aの抵抗値の変化に追従して略同一の変化率で抵抗値が変化し、能動領域11aおよび17aに印加される電圧値の変化を抑えることができるため、位置ずれが抑制できる。また、引き回しパターン13とフレキシブルプリント基板21との接触抵抗値および抵抗値変化量、フレキシブルプリント基板21とコネクタ20との接触抵抗値および抵抗値変化率を最小限に抑えることで、さらに位置ずれの抑制効果を向上することができる。位置ずれを抑制する原理については第1実施例と同様である。
【0024】
このように、本実施例に示すタッチパネル装置は、周囲環境が変化すると、抵抗値変化対応パターン18が能動領域11aおよび17aの抵抗値の変化に追従して略同一の変化率で抵抗値が変化し、能動領域11aおよび17aに印加される電圧値の変化を抑えて位置ずれが抑制できるため、位置精度の向上を図ることができるという特徴を有している。また、引き回しパターン13とフレキシブルプリント基板21との接触抵抗値および抵抗値変化量、フレキシブルプリント基板21とコネクタ20との接触抵抗値および抵抗値変化率や引き回しパターン13の電気抵抗率および温度係数を最小限に抑えることで、位置ずれの抑制効果を向上することができるため、さらに位置精度の向上を図ることができる。
【0025】
本実施例では、抵抗値変化対応パターンを可動側透明基板および固定側透明基板の夫々2箇所に設け、電極と引き回しパターンの間に配設しているが、夫々1箇所としてもよく、配設位置も引き回しパターンの任意の場所としてもよく、種々の方法が考えられる。
【0026】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のタッチパネル装置は、複雑な回路や演算を必要とせず、温度変化が顕著な環境における位置精度を向上させることができるタッチパネル装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1,11 可動側透明基板
1a,7a,11a,17a 能動領域
1b 接続部
2,2a,2b,2c,2d,12,12a,12b,12c,12d 電極
3,3a,3b,3c,3d,3e,3f,13,13a,13b 引き回しパターン
4,14 粘着糊
5,15 絶縁レジスト
6,16 ドットスペーサ
7,17 固定側透明基板
8,8a,8b,8c,8d,18,18a,18b,18c,18d 抵抗値変化対応パターン
9,19 コントロール基板
10,20 コネクタ
21 フレキシブルプリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動側透明基板および固定側透明基板に形成された矩形状の導電膜からなる能動領域と、該能動領域の対向する端部に配設された電極と、前記能動領域に電位勾配を発生させるコントロール基板と、前記電極と前記コントロール基板を接続する引き回しパターンとからなるタッチパネル装置において、前記能動領域の周囲に該能動領域の導電膜と略同一の周囲環境における抵抗値変化率を有する抵抗値変化対応パターンを配設したことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
請求項1記載のタッチパネル装置において、前記抵抗値変化対応パターンを前記可動側透明基板および前記固定側透明基板の夫々に少なくとも1箇所形成し、前記引き回しパターン中に配設したことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項3】
請求項1記載のタッチパネル装置において、前記抵抗値変化対応パターンの周囲環境における抵抗値の変化量が前記能動領域の導電膜の周囲環境における抵抗値の変化量の±10%以内であることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項4】
請求項1記載のタッチパネル装置において、前記抵抗値変化対応パターンは前記能動領域の導電膜と同一の材料からなることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項5】
請求項4記載のタッチパネル装置において、前記抵抗値変化対応パターンおよび前記能動領域の導電膜はITO膜であることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項6】
請求項1記載のタッチパネル装置において、前記コントロール基板に前記引き回しパターンを接続するコネクタを配設し、該コネクタと前記引き回しパターンの接触抵抗値が0.1Ω以下であるとともに摂氏−50〜100度での接触抵抗値の変化量が摂氏20度での接触抵抗値の±0.1Ω以内とすることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項7】
請求項1記載のタッチパネル装置において、前記引き回しパターンは電気抵抗率が10×10−4Ω・m以下であるとともに温度係数が0〜0.005以内であることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項8】
請求項1記載のタッチパネル装置において、前記引き回しパターンと前記コントロール基板の間にフレキシブルプリント基板を配設したことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項9】
請求項8記載のタッチパネル装置において、前記コントロール基板に前記フレキシブルプリント基板を接続するコネクタを配設し、該コネクタと前記フレキシブルプリント基板の接触抵抗値が0.1Ω以下であるとともに摂氏−50〜100度での変化量が摂氏20度時の接触抵抗値の±0.1Ω以内とすることを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項10】
請求項8記載のタッチパネル装置において、前記引き回しパターンと前記フレキシブルプリント基板を導電性接着剤で接続し、前記引き回しパターンと前記フレキシブルプリント基板の接触抵抗値が0.5Ω以下であるとともに摂氏−50〜100度での接触抵抗値の変化量が摂氏20度での接触抵抗値の±0.1Ω以内とすることを特徴とするタッチパネル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−73860(P2012−73860A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218684(P2010−218684)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】