説明

タッチパネル

【課題】各種電子機器の入力操作部を構成する際などに、液晶表示装置等の表示面側に装着されるタッチパネルに関し、タッチパネル内部に結露が発生しにくいものを提供する。
【解決手段】高分子フィルムからなる第二透明基板22とその下面の第二透明導電膜24との間に水蒸気透過防止層40を設けたタッチパネルとしたため、厳しい高温高湿雰囲気下から低温低湿雰囲気下への移動に対しても、タッチパネル内部に結露が発生しにくいものが容易に実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の入力操作部を構成する際などに、液晶表示装置等の表示面側に装着され、表示内容と対応してペンまたは指による押圧操作で所定信号の入力操作ができるタッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯機器やメニュー選択を必要とする電子機器において、表示内容と対応してペンまたは指による押圧操作で所定信号の入力操作ができるタッチパネルを用いたものが増えている。
【0003】
このタッチパネルには、いくつかの方式のものがあるが、以下には、最も多く使用されている抵抗膜アナログ方式のタッチパネルについて、図面を用いて説明する。なお、図面においては、構成が理解し易いように厚み方向の寸法を拡大して示している。
【0004】
図6は従来のタッチパネルの断面図である。
【0005】
図6において、1は、下方側に配置された第一透明基板であり、この第一透明基板1の上面には、スパッタリング等によってスズドープ酸化インジウム(以下、ITOという)等からなる第一透明導電膜3が全面に通常200Å程度の膜厚で形成されている。なお、第一透明基板1の材質としては、ガラス板やポリカーボネート樹脂・アクリル樹脂等の樹脂シート、または、透明性の優れた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等の高分子フィルムが用いられる。
【0006】
そして、同図中に点線で示した当該タッチパネルにおける可視領域境界6の内側部分の第一透明導電膜3上には、絶縁性のエポキシ樹脂等による微小寸法のドットスペーサ5が所定ピッチで設けられている。
【0007】
なお、第一透明基板1が、フィルム等のようにフレキシブル性に富む材質である場合は、その下面に支持用のポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の樹脂シートやガラス板を貼り合せる場合もある。
【0008】
そして、2は、当該タッチパネルの操作側となる第二透明基板であり、通常、透明性の優れた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネート、シクロオレフィン系フィルムから構成される。この第二透明基板2の下面にはスパッタリング等によりITO等からなる第二透明導電膜4が全面に通常200Å程度の膜厚で形成されており、前記可視領域境界6の内側で、第二透明導電膜4が、第一透明導電膜3と所定の間隔を保つ対向状態になるように、第一透明基板1と第二透明基板2とは、その可視領域境界6の外側部分で額縁状に接着されている。
【0009】
そして、第二透明基板2の上面側には、アクリル系樹脂からなる鉛筆硬度3Hのハードコート層7が設けられ、ペンまたは指での操作時におけるキズ等の発生を防いでいる。
【0010】
そして、前記可視領域境界6の外側領域には、各々の透明導電膜3と4に電圧を供給するための配線部および電極(以下、配線・電極パターンと言う)8と12、アンダーコートレジスト9と13、オーバーコートレジスト10と14、第一および第二透明基板1および2を接着するための粘着層11等がパターン状に形成されている。
【0011】
なお、配線・電極パターン8と12は、銀粉を樹脂中に分散した導電性塗料の印刷乾燥膜で形成され、各レジスト9と13、10と14は、前記配線・電極パターン8と12の電気的接続を必要としない部分における絶縁性確保のために配してある。
【0012】
なお、図6に示すものは、第一透明基板1、第二透明基板2とも、透明導電膜3、4をパターン状にエッチングしていない全面構成のものであるため、配線・電極パターン8、12の下部に各々アンダーコートレジスト9、13を配しているが、透明導電膜を必要な部分だけにパターン状にエッチングし、配線・電極パターン8、12のうち配線部等の電気的接続を必要としない部分が前記各透明導電膜3、4に重ならないように設計すれば、アンダーコートレジスト9、13は必ずしも必要ではない。
【0013】
通常、前記可視領域境界6を境として額縁状に構成される外側領域は、上述のようなレジスト9、10、13、14、配線・電極パターン8、12や粘着層11などが積み重ねて形成されるために、当該部分における第一透明導電膜3と第二透明導電膜4との間の上下間隔は、80〜300μm程度となる。また、可視領域境界6内の第一透明導電膜3と第二透明導電膜4との上下間隔は、第一透明基板1や第二透明基板2の撓みなどにより、部分的に80μm以下の部分や300μm以上の部分も存在するようになる。
【0014】
そして、15は、第一透明導電膜3および第二透明導電膜4からの導出信号を外部回路に伝達するために接着固定されたフレキシブル配線板(以下FPCという)で、そのテール部が、機器の外部回路(図示せず)に接続されて機器に搭載されるようになる。
【0015】
このFPC15は、基板フィルム16の一方側の面上に、複数本の配線パターン17を備え、その各配線パターン17の中間部上などの露出不要部分をカバーレイ18で覆って構成されている。そして、このFPC15は、異方導電膜19を介して、第二透明基板2に熱圧着により接続され、FPC15の各配線パターン17と配線・電極パターン8、12との間は電気的に接続されている。
【0016】
従来のタッチパネルスイッチは、前記のように構成され、その使用時には、第二透明基板2上の所定位置を押圧操作して第二透明基板2を部分的に撓ませて、その操作箇所に応じた透明導電膜3、4どうしの位置を部分的に接触させ、その接触位置を、FPC15を介して検出することができるものであった。
【0017】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【特許文献1】特開平6−28098号公報
【特許文献2】特開2002−328779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前記従来のタッチパネルにおいては、第二透明基板2に高分子フィルム製の材質のものを用いて構成していたため、第二透明基板2側の水蒸気透過性が高く、高温高湿雰囲気下に長時間放置していると、タッチパネルの内部空間すなわち第一透明基板1と第二透明基板2との間で構成される領域内の空気層も高温高湿雰囲気になってしまい、その後、当該タッチパネルを低温低湿雰囲気下に急に移動させると、タッチパネル内に結露が発生する可能性があった。
【0019】
このとき、第二透明基板2の下面側に構成されている第二透明導電膜4は無機化合物であるITOから構成されているため、水蒸気透過防止機能を有してはいるが、その膜厚は、通常、光線透過率や電気抵抗値の関係から200Å程度のものであるため、JIS K7129またはモコン法に準拠した水蒸気透過率としては0.3g/m2・day程度であり、例えば60℃90%の高温高湿下にタッチパネルを240hr放置後、急激に25℃60%の常温常湿内に移動させた際、タッチパネルの内部に結露が発生してしまい、当該厚みのITO構成のもののみでは十分な水分の浸入防止や結露防止を図ることは困難であった。
【0020】
そして、通常、タッチパネル業界としては、前記のような急激な温湿度変化が起こる可能性は実使用上では少ないが、使い勝手において制約が加わるため、その改善を要求されつつある。
【0021】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、内部結露が発生しにくいタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
【0023】
本発明の請求項1に記載の発明は、少なくともいずれか一方が樹脂シートや高分子フィルムからなる上面に第一透明導電膜を備えた第一透明基板と下面に第二透明導電膜を備えた第二透明基板とが、互いの導電膜が対向状態となるように所定間隔を保って対向配置され、可視領域境界の外側が粘着層で接着固定されて構成されるタッチパネルにおいて、前記可視領域境界内の前記各導電膜面への結露防止手段を講じたタッチパネルとしたものである。結露防止手段を講じたことにより、高温高湿雰囲気下から急激に低温低湿雰囲気下に移動させても、タッチパネル内部に結露が発生しにくいものにできるという作用を有する。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、結露防止手段として、樹脂シートや高分子フィルムからなる側の透明基板に対し、その基板の外方面、または前記基板とそれに配された透明導電膜との間に無機化合物からなる水蒸気透過防止層を設けて水分の浸入防止を図るものとしたものである。
【0025】
この構成は、樹脂シートや高分子フィルム製の基板に対し、前記基板に配された透明導電膜とは別に、専用の水蒸気透過防止層を設け、樹脂シートや高分子フィルム製の透明基板の水蒸気透過性を抑制してあるため、高温多湿雰囲気下においても、タッチパネル内部に水蒸気が流入しにくくでき、その結果、高温高湿雰囲気下から急激に低温低湿雰囲気下に移動させても、タッチパネル内部に結露が発生しにくくなるという作用を有する。
【0026】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の発明において、水蒸気透過防止層及び透明導電膜が設けられた透明基板は、JIS Z 7129またはモコン法に準拠した水蒸気透過率が0.1g/m2・day以下のものであり、前記設定値のものであれば、より厳しい高温高湿雰囲気下から低温低湿雰囲気下への移動に対しても、タッチパネル内部に結露が発生しにくいものにできるという作用を有する。
【0027】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明において、結露防止手段として、樹脂シートや高分子フィルムからなる側の透明基板に対し、無機化合物からなる水蒸気透過防止層が形成された高分子フィルムまたは樹脂シートを、少なくともタッチパネル可視領域に応じた範囲で貼り合わせて水分の浸入防止を図るものであり、厳しい高温高湿雰囲気下から低温低湿雰囲気下への移動に対しても、タッチパネル内部に結露が発生しにくいだけでなく、水蒸気透過防止層を各透明基板とは別部材の高分子フィルム上または樹脂シート上に作製して、後で貼り合わせる構成であるため、歩留り向上やコスト低減の面で有利であるという作用を有する。
【0028】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、水蒸気透過防止層が設けられた高分子フィルムまたは樹脂シートは、JIS Z 7129またはモコン法に準拠した水蒸気透過率が0.1g/m2・day以下のものであり、前記設定値のものであれば、より厳しい高温高湿雰囲気下から低温低湿雰囲気下への移動に対しても、タッチパネル内部に結露が発生しにくいものにでき、かつ、水蒸気透過防止層を各透明基板とは別部材の高分子フィルム上または樹脂シート上に作製して、後で貼り合わせる構成であるため、歩留り向上やコスト低減の面で有利であるという作用を有する。
【0029】
請求項6に記載の発明は、請求項2または4記載の発明において、無機化合物として、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、スズドープ酸化インジウム(以下、ITOという)、酸化アルミニウム、酸化窒化ケイ素の少なくとも一つが含まれるものであり、前記のものはいずれも透明性に優れているので、水蒸気透過防止層を設けても従来のタッチパネルの透明性を維持し、品格の優れたタッチパネルが得られるという作用を有する。
【0030】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の発明において、無機化合物が、反射防止効果を有するものであり、前記無機化合物が、水蒸気透過防止層としての機能に加え、反射防止層としても機能するため、光線透過率が従来のものよりも優れたタッチパネルにできるという作用を有する。
【0031】
請求項8に記載の発明は、請求項1記載の発明において、結露防止手段として、樹脂シートや高分子フィルムからなる側の透明基板に対し、厚さ1.5mm以下のガラス板を、少なくともタッチパネル可視領域に応じた範囲で貼り合わせて水分の浸入防止を図るものとしたものであり、1.5mm以下のガラス板を用いることにより、操作性などへの影響度合いも少なくて、水蒸気の透過も非常に少ないものにできるという作用を有する。
【0032】
請求項9に記載の発明は、請求項8記載の発明において、ガラス板の透明基板に貼り合わされた面とは逆の面に、ハードコード膜付き高分子フィルムが貼り合わせられたものであり、ガラス板の上下面が、樹脂シートや高分子フィルムなどの樹脂部材で挟み込まれる構成となるため、機器の落下などでガラス板が割れた際にも、ガラスの飛散等の発生低減が図れると共に、ハードコート膜付き高分子フィルムのハードコート膜により傷などの発生も防止できるという作用を有する。
【0033】
請求項10に記載の発明は、請求項1記載の発明において、第一透明導電膜と第二透明導電膜との間隔を、タッチパネルの粘着層で接着されている内側の全領域において5〜60μmで設定したものであり、第一透明導電膜と第二透明導電膜との間隔を狭くすることにより、タッチパネルの可視領域境界内に含まれる空気量が減少されるようになるため、結果的にタッチパネル内部に結露が発生しにくいものにできるという作用を有する。
【発明の効果】
【0034】
以上のように本発明によれば、高温高湿雰囲気下から急激に低温低湿雰囲気下に移動させても、タッチパネル内部に結露が発生しにくく、タッチパネルの良好な視認性や操作性などを維持でき、タッチパネルの使用雰囲気における制約条件の緩和が可能となるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。図面としては構成が理解し易いように厚み方向の寸法を拡大して示している。
【0036】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態によるタッチパネルの上面図、図2は、同図1のA−A線における断面図である。
【0037】
同図において、21は、ソーダガラスからなる第一透明基板であり、その上面側にはスズドープ酸化インジウム(以下、ITOという)等からなる第一透明導電膜23が全面に形成され、さらに、同図中に点線で示す可視領域境界26の内側の第一透明導電膜23上には、絶縁性のエポキシ樹脂による微小寸法のドットスペーサ25が所定ピッチで設けられている。
【0038】
そして、22は、厚さ188μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる可撓性を有する操作側の第二透明基板であり、その第二透明基板22の下面全面には、400Åの酸化ケイ素からなる水蒸気透過防止層40が形成されている。さらに、その水蒸気透過防止層40の下面に200ÅのITOからなる第二透明導電膜24が形成されている。
【0039】
その第二透明導電膜24が、タッチパネルの可視領域境界26の内側で、前記第一透明導電膜23と約20〜500μmの間隔を保つ絶縁状態になるように維持されるようにして、第二透明基板22は、前記可視領域境界26の外側領域となる額縁状部分で前記第一透明基板21と接着されている。
【0040】
そして、第二透明基板22の上面側には、ペンまたは指での操作時においてキズ等の発生を保護するために、アクリル系樹脂からなる鉛筆硬度3Hのハードコート層27が設けられている。
【0041】
そして、前記可視領域境界26の外側領域には、各々の透明導電膜23と24に電圧を供給するための配線部および電極(以下、配線・電極パターンと言う)28と32が、銀粉を樹脂中に分散した導電性塗料の印刷乾燥膜により形成されている。また、その配線・電極パターン28と32において、電気的接続を必要としない部分の絶縁性を確保するために、アンダーコートレジスト29と33、オーバーコートレジスト30と34がパターン状に形成されて配されている。
【0042】
さらに、第一透明基板21と第二透明基板22を接着するための粘着層31も、可視領域境界26の外側領域に、枠状つまり額縁状に構成されている。
【0043】
そして、35は、第一透明導電膜23および第二透明導電膜24からの導出信号を外部回路に伝達するためのフレキシブル配線板(以下FPCという)で、ポリイミドからなる基材フィルム36の一方の面上に、金メッキされた銅箔で複数の配線パターン37が構成されていると共に、各配線パターン37の露出不要部分はポリイミドからなるカバーレイ38で覆われた構成となっている。
【0044】
そして、FPC35の各配線パターン37は、詳細な図示は省略するが、異方導電膜39を介して、配線・電極パターン32および38に電気的接続状態になっている。
【0045】
以上のように、当該実施の形態1によるタッチパネルは構成されている。
【0046】
ここで、当該実施の形態1によるタッチパネルの製造方法について簡単に説明する。
【0047】
まず、第一透明基板21の表面に、ITOからなる第一透明導電膜23をスパッタリングにより形成する。
【0048】
一方、第二透明基板22には、片面にアクリル系樹脂を主成分とする塗料をロールコータによりハードコート層27として塗工形成し、その逆面に、まず水蒸気透過防止層40として酸化ケイ素をスパッタリングにより400Åの膜厚で形成し、その後、スパッタリングによりITOからなる第二透明導電膜24を形成する。
【0049】
そして、第一透明基板21において、可視領域境界26の内側部分にドットスペーサ25を印刷形成する。
【0050】
また、第一および第二透明基板21および22の可視領域境界26の外側には、アンダーコートレジスト29と33、配線・電極パターン28と32、オーバーコートレジスト30と34、粘着層31等をスクリーン印刷によって所定パターンで形成する。
【0051】
そして、前記各層を形成した後、ガラスである第一透明基板21は、タッチパネルサイズにスクライブ、切断し、またポリエチレンテレフタレートフィルムである第二透明基板22はタッチパネルサイズに打ち抜く。
【0052】
次に、前記所定形状で加工された個片の第一透明基板21および第二透明基板22を、第一透明導電膜23と第二透明導電膜24とが対向するようにして可視領域境界26の外側領域に構成した粘着層31で貼り合わせ、その可視領域境界26外側の接着性を強固にするための外周部押さえ工程や、水面平滑性を安定化させるためのエージング工程等を経たあと、第一透明基板21に異方導電膜39を用いてFPC35を熱圧着して接着固定する。
【0053】
この熱圧着によって、FPC35の各配線パターン37は、配線・電極パターン28や32を介して第一透明導電膜23、第二透明導電膜24に電圧印加可能なように電気的に接続される。
【0054】
次に、当該実施の形態1によるタッチパネルの動作を簡単に説明する。
【0055】
その動作としては、第二透明基板22の上方から指またはペンで所定位置を押圧操作することによって、第二透明基板22はその操作部分を中心として部分的に下方に撓み、当該操作箇所に応じた第一透明導電膜23部分と第二透明導電膜24部分とが接触し、その接触点での電圧比率をFPC35を介して導出し、それを外部回路にて検出するものである。
【0056】
そして、当該実施の形態1によるタッチパネルは、前述したように第二透明基板22と第二透明導電膜24との間に酸化ケイ素からなる膜厚400Åの水蒸気透過防止層40を設けた構成となっている。この水蒸気透過防止層40および第二透明導電膜24が設けられた第二透明基板22のJIS K7129またはモコン法に準拠した水蒸気透過率は0.01g/m2・dayのものであり、タッチパネルを60℃90%240hr放置後、急激に25℃60%の常温常湿内に移動させても、タッチパネルの内部に結露が殆ど発生しないものにできた。なお、前記水蒸気透過率が0.1g/m2・day以下のものであれば、実使用上で、タッチパネルの内部結露防止効果に優れるタッチパネルを構成できる。また、専用の水蒸気透過防止層40を設けずとも、無機化合物層からなる透明導電膜の膜厚を厚く形成しても同様の効果が期待できる。
【0057】
また、水蒸気透過防止層40の配置位置は、第二透明基板22の外方側となる上面側に配設してもよい。この場合にも、第二透明基板22の最上層はハードコート層27で保護することが好ましいので、第二透明基板22の上面とハードコート層27との間に配置する必要がある。
【0058】
また、水蒸気透過防止層40の屈折率を制御することで、ITO面の光線反射率を低減することができる。
【0059】
水蒸気透過防止層40が、屈折率1.4の酸化ケイ素の場合、膜厚を800〜1000Åにすると、ITO面の光線反射率が低減し、水蒸気透過防止層40および第二透明導電膜24を設けた第二透明基板22としての全光線透過率は91%のものとなる。つまり、この仕様のものであれば、水蒸気透過防止層40が反射防止効果をも備えた状態のものにでき、この仕様のものを、第一透明導電膜23を設けたガラス製で全光線透過率が94%の第一透明基板21に組み合わせてタッチパネルとした時には、タッチパネルとして全光線透過率は86%のものにでき、水蒸気透過防止層40を設けない場合の全光線透過率83%と比較して高透過率のタッチパネルが得られる。
【0060】
以上のように、実施の形態1によるタッチパネルは、高分子フィルムからなる第二透明基板22に水蒸気透過防止層40を配した構成であるため、高温高湿雰囲気下から急激に低温低湿雰囲気下に移動させても、タッチパネル内部に結露が発生しにくく、タッチパネルの良好な視認性や操作性などを維持でき、タッチパネルの使用雰囲気における制約条件が緩和できて種々の電子機器への搭載拡大に貢献することができる。
【0061】
なお、第一透明基板21としては、前記に説明したソーダガラス以外に、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂、ポリシクロヘキサジエン系樹脂、ノルボルネン樹脂等の一般的な押し出し成型、キャスティング成型、あるいは射出成型によって形成された樹脂シートや、二軸延伸ポリエステルフィルムやポリカーボネートフィルム等の高分子フィルムを用いてもよく、その厚さは0.1〜10mm、好ましくは0.15〜3mmのものが実用的である。
【0062】
また、二軸延伸ポリエステルフィルムやポリカーボネートフィルム等のフィルムを用いる場合には、第一透明導電膜23を形成した面と逆面に、ガラス、またはポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂、ポリシクロヘキサジエン系樹脂、ノルボルネン樹脂等の一般的な押し出し成型、キャスティング成型、あるいは射出成型によって形成された樹脂シートを支持体として貼り合わせてもよい。
【0063】
但し、第一透明基板21として樹脂シートや高分子フィルムを用いる場合は、第一透明基板21にも水蒸気透過防止層を設けることが必要であり、第一透明基板21と第一透明導電膜23の間、または第一透明基板21の第一透明導電膜23が形成された面とは逆面に、前記に説明した酸化ケイ素の膜を設けることが有効である。
【0064】
また、第二透明基板22としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートの他、二軸延伸ポリエチレンナフタレートや一軸延伸ポリエチレンテレフタレート等の延伸フィルムや、キャスティング法によるポリカーボネートやポリシクロオレフィンフィルム等を用いることができ、その厚さは、0.01〜0.4mm、好ましくは0.025〜0.2mmのものが実用的である。
【0065】
さらに、第一透明導電膜23および第二透明導電膜24としては、ITOの他、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、金(Au)薄膜、銀(Ag)薄膜等としてもよく、また、その形成方法としては、前記のスパッタリング以外に、CVD(化学的気相堆積法)、真空蒸着、イオンプレーティング、金属有機物の塗布焼成等を用いてもよい。
【0066】
そして、水蒸気透過防止層40としては、酸化ケイ素の他、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、ITO、酸化アルミニウム、酸化窒化ケイ素の少なくとも一つ以上の無機化合物層を用いることができ、それぞれ、適切な膜厚がある。前述の酸化ケイ素を始め、酸化チタン、酸化アルミニウムの場合は、200Å以上、好ましくは300〜2000Å、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、ITOの場合は、300Å以上、好ましくは400〜1200Å、酸化窒化ケイ素の場合は、200Å以上、好ましくは250〜1200Åであり、水蒸気透過率0.1g/m2・day以下、好ましくは0.001〜0.03g/m2・dayとするのがよい。前記記載以下の膜厚では、できあがった膜にピンホールがあり、水蒸気透過率が0.1g/m2・day以上になり、前記記載の膜厚以上では、無機化合物膜の内部応力が上昇して密着性が劣ったり、光線透過率が減少する可能性があるので、その厚みは、必要に応じて適宜設定することが重要である。
【0067】
また、これら水蒸気透過防止層40の形成法としては、上述のスパッタリング法のほか、プラズマCVD(化学的気相堆積法)、エレクトロンビーム真空蒸着法等、その水蒸気透過防止材料に適したできるだけ緻密な膜ができる方法を用いて形成すればよい。
【0068】
また、アンダーコートレジスト29、33、オーバーコートレジスト30、34の材質としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂の他、ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等を用いることができ、その印刷面と接着性の良いものを選択することが重要である。
【0069】
さらに、配線・電極パターン28、32は、前述した銀粉とポリエステル系樹脂の組み合わせの他、導電粉として、銀粉とカーボン粉の混合粉や、銅粉、金粉等を用いても良く、また樹脂成分としては、エポキシ系、フェノール系、アクリル系、ウレタン系等のもので、電気抵抗値、密着性、導電粉の分散性、耐環境性等に適したものから適宜選択できる。
【0070】
そして、アンダーコートレジスト29、33、オーバーコートレジスト30、34、配線・電極パターン28、32、粘着層31は、例えばオフセット印刷等の印刷方法、あるいは他のインキ塗工方法、例えば描画ヘッドによるインキパターニング塗布方法等を用いて形成しても良く、また、粘着層31は両面粘着テープをパターン状に加工して貼り合わせて構成しても良い。
【0071】
また、FPC35の基材フィルム36とカバーレイ38は、ポリエチレンテレフタレート材質のもの等としてもよく、配線パターン37は、金メッキされた銅箔の他、半田メッキされた銅箔や、銀粉等を樹脂中に分散した導電ペーストを印刷して硬化させた皮膜で構成してあっても良い。
【0072】
また、異方導電膜39の主成分としては、前記のエポキシ樹脂の他にアクリル樹脂等、さらに金メッキ樹脂ビーズの他に、半田メッキ樹脂ビーズやセラミックビーズ、金属粒子を用いたものであってもよい。
【0073】
(実施の形態2)
図3は本発明の第2の実施の形態によるタッチパネルの断面図である。
【0074】
なお、実施の形態1と同一構成の部分については、同一符号を付して、その詳細説明は省略する。
【0075】
実施の形態2によるタッチパネルは、高分子フィルムからなる第二透明基板22側に水蒸気透過防止層40を配設してある点では、実施の形態1によるものと同じであるが、その設け方等が異なるものである。
【0076】
つまり、同図に示すように、当該実施の形態2による第二透明基板22は、下面に第二透明導電膜24のみ、上面にハードコート層27のみが形成されたものとなっている。一方、水蒸気透過防止層40は、前記第二透明基板22とは別の高分子フィルム43に配設され、その高分子フィルム43を、粘着層44を介して第二透明基板22上に貼り合せることによって、水蒸気透過防止層40を第二透明基板22側に配設したものとしている。
【0077】
その高分子フィルム43は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなり、その下面側に、スパッタリングによって1000Åの膜厚で無機化合物の酸化窒化ケイ素による水蒸気透過防止層40が形成されている。また、その逆面となる上面側には、アクリル系樹脂によるハードコート層42が形成されている。そして、第二透明基板22の上面のうち、少なくとも可視領域境界26の内側全面で、前記水蒸気透過防止層40が貼り合わさるようにして、粘着層44を介して前記高分子フィルム43は第二透明基板22上に配されている。
【0078】
その他の構成は、実施の形態1によるものと同じであるため、説明は省略する。
【0079】
そして、前記酸化窒化ケイ素からなる水蒸気透過防止層40等が設けられた高分子フィルム43と第二透明導電膜24などが設けられた第二透明基板22とが貼り合わされたもののJIS K7129またはモコン法に準拠した水蒸気透過率は、0.003g/mm2・dayのものにでき、60℃90%240hr放置後、急激に25℃60%の常温常湿内に移動させても、タッチパネル内部の結露の発生が実施の形態1のものに対しさらに低減できるものにできた。なお、高温高湿条件として70℃95%240hr放置とした場合でも同様の結果が得られた。
【0080】
なお、高分子フィルム43に構成する水蒸気透過防止層40の材質としては前記の酸化窒化ケイ素以外に、実施の形態1の場合と同様に、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、ITO、酸化アルミニウムのうち、少なくとも一つ以上の層が形成してあってもよい。その適切な膜厚、および形成法などは実施の形態1の場合とまったく同様である。
【0081】
以上のように、実施の形態2によるタッチパネルは、水蒸気透過防止層40を、第二透明基板22とは別部材の高分子フィルム43に作製して、後で貼り合わせて配する構成であるため、歩留り向上やコスト低減の面で有効な手法となる。
【0082】
なお、高分子フィルム43は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム以外に、ポリカーボネートフィルム、ポリオレフィン系フィルム、トリアセチルセルロースフィルム等を用いてもよい。また、高分子フィルム43の代わりに樹脂シートを用いることもできる。
【0083】
なお、第一透明基板21が樹脂製である場合には、第一透明基板21の外方面となる下面に、水蒸気透過防止層を有する高分子フィルム43を、少なくとも可視領域境界26の内側全面で貼り合わせて構成すれば、同様の効果が得られること等は、実施の形態1の場合と同じである。
【0084】
また、粘着層44は、高分子フィルム43の下面に配された水蒸気透過防止層40に直接コーティングして形成してもよいし、アクリル系両面粘着テープ等で構成してもよい。
【0085】
(実施の形態3)
図4は本発明の第3の実施の形態によるタッチパネルの断面図である。
【0086】
なお、実施の形態2と同一構成の部分については、同一符号を付して、その詳細説明は省略する。
【0087】
実施の形態3によるタッチパネルも、高分子フィルムからなる第二透明基板22側に水蒸気透過防止層40が配設してある点では、実施の形態2によるものと同じであるが、その設け方等が異なっている。なお、同図に示すように、第二透明基板22は、下面に第二透明導電膜24のみ、上面にハードコート層27のみが形成された実施の形態2のものと同一構成のものを用いている。
【0088】
そして、実施の形態3によるものは、前記第二透明基板22の上面に、粘着層44を介して水蒸気透過防止層40として機能する厚さ0.2mmのガラス板50を貼り合せて配設したものである。
【0089】
さらに、そのガラス板50の上面には、粘着層44を介して二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる高分子フィルム51が貼り合わされている。この高分子フィルム51の操作面側となる上面には、アクリル系樹脂によるハードコート層52が形成されている。
【0090】
そして、前記ガラス板50は、粘着層44を介して、第二透明基板22の上面のうち、少なくとも可視領域境界26の内側全面で貼り合わせられている。
【0091】
なお、前記構成であれば、ガラス板50の上下面が高分子フィルムからなる第二透明基板22と高分子フィルム51とで挟み込まれた構成となるため、機器の落下などでガラス板50が割れた際にも、ガラスの飛散等が低減されるという効果も得られる。
【0092】
この水蒸気透過防止層40として機能するガラス板50と第二透明導電膜24などが設けられた第二透明基板22とが貼り合わされたもののJIS K7129またはモコン法に準拠した水蒸気透過率は、ほぼ0g/mm2・dayであり、60℃90%240hr放置後、急激に25℃60%の常温常湿内に移動させても、タッチパネル内部の結露発生が殆ど防止できるものであった。また、高温高湿条件として85℃85%240hr放置後でも同様の結果が得られた。
【0093】
以上のように、実施の形態3によるタッチパネルは、高温高湿雰囲気下から急激に低温低湿雰囲気下に移動させた場合のタッチパネル内の結露発生を最小限に抑えることができるため、さらに厳しい環境条件であっても良好に使用することができるものが実現できる。
【0094】
なお、前記構成のように操作側に水蒸気透過防止層40としてのガラス板50を配設する場合には、厚さが1.5mm以下であれば、タッチパネルの操作力を重くすることなく快適な操作が可能であるが、好ましくは1.0mm以下のものを用いるのが良い。
【0095】
また、前記構成以外に、高分子フィルム51をなくした構成としてもよく、この場合には、ガラス板50の上面側にアクリル系樹脂などによるハードコート層を形成すれば、表面アンチグレア対応なども可能である。
【0096】
さらに、第一透明基板21が樹脂製である場合には、実施の形態2などの場合と同様に、ガラス板50や高分子フィルム51を第一透明基板21側に配すればよい。
【0097】
(実施の形態4)
図5は本発明の第4の実施の形態によるタッチパネルの断面図である。
【0098】
同図に示すように、当該実施の形態4によるタッチパネルは、従来の形態によるタッチパネルとほぼ同等の構成であるが、第一透明導電膜23と第二透明導電膜24の間隔を狭くするための工夫がなされている点で異なるものである。なお、実施の形態1と同一構成の部分については、同一符号を付して、その詳細説明は省略する。
【0099】
そして、その第一透明導電膜23と第二透明導電膜24との間の間隔を狭くするために、第一透明基板21および第二透明基板22上のいずれにもアンダーコートレジストを設けずに済むように、各透明導電膜23、24の中央部を残すようにしてエッチングによりパターニングし、厚さ8μmの配線・電極パターン28、32、そしてエポキシ系の絶縁性に優れた厚さ10μmのオーバーコートレジスト30、34を設けたものとした。また、粘着層31としても、粘着テープによらず、アクリル系粘着剤による10μmの厚みとした構成としている。
【0100】
前記のように各透明導電膜23、24をエッチングして使用し、前記構成とすることによって、第一透明導電膜23と第二透明導電膜24との対向面どうしの上下方向の間隔aを、可視領域境界26の内側全体にわたって46μm以下に制御するように構成したものとした。
【0101】
この実施の形態4によるタッチパネルの構成では、実施の形態1〜3による水蒸気透過防止層を設けていないので、第二透明導電膜24を含む第二透明基板22のJIS K7129またはモコン法に準拠した水蒸気透過率は、0.3g/m2・dayであるが、60℃90%240hr放置後、急激に25℃60%の常温常湿内に移動させても、タッチパネル内部の結露の発生が殆ど見られなかった。
【0102】
この理由としては、タッチパネルの可視領域境界26内の空間に含まれる空気量が少ないものにできるため、結露しにくいと考えられる。
【0103】
なお、前記可視領域境界26内の全体にわたる第一透明導電膜23と第二透明導電膜24との間の間隔aは、60μmであれば、同等の効果を得ることができるが、両者間の絶縁安定性を確保するためには、環境の変化などを考慮して最低5μm以上は必要である。
【0104】
また、図5に示すように、第二透明導電膜24と第二透明基板22の間に、樹脂などで表面凹凸層60を設けることも好ましい。これは、表面に凹凸を有するほうが、急激な温湿度変化に遭遇した場合の表面に水が凝結する核が大きくなりにくくなって結露防止にさらに効果があることと、第一透明導電膜23と第二透明導電膜24の間隔aを従来のタッチパネルと比較して小さくしていることから、ニュートンリングが発生しやすく、その対策としても有効であること、という2つの理由に基づくためである。
【0105】
なお、その凹凸のレベルとしては、JIS B 0601に準拠した表面粗さ(Rz)が0.01〜50μmのものが有効で、好ましくは0.1〜10μmのものが良い。0.01μm以下では、結露防止効果およびニュートンリング防止効果が劣ること、また、50μm以上では、表面の曇り度が大きくなりすぎて、タッチパネルの下に配備される表示素子がぼやけて見にくくなる。
【0106】
さらに、当該実施の形態4による構成のものに、実施の形態1〜3の水蒸気透過防止層を設けると、60℃90%240hrあるいは85℃85%240hr放置後、急激に25℃60%の常温常湿内に移動させても、完全に結露を防止することができ、大変厳しい環境条件でのタッチパネル使用を可能にすることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明によるタッチパネルは、可視領域境界内の結露防止手段を講じたものであるため、高温高湿雰囲気下から急激に低温低湿雰囲気下に移動させても、タッチパネル内部に結露が発生しにくく、良好な視認性や操作性などが維持できるという効果を有し、各種電子機器の入力操作部の構成時等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるタッチパネルの上面図
【図2】同図1のA−A線における断面図
【図3】本発明の第2の実施の形態によるタッチパネルの断面図
【図4】本発明の第3の実施の形態によるタッチパネルの断面図
【図5】本発明の第4の実施の形態によるタッチパネルの断面図
【図6】従来のタッチパネルの断面図
【符号の説明】
【0109】
21 第一透明基板
22 第二透明基板
23 第一透明導電膜
24 第二透明導電膜
25 ドットスペーサ
26 可視領域境界
27、42、52 ハードコート層
28、32 配線・電極パターン
29、33 アンダーコートレジスト
30,34 オーバーコートレジスト
31、44 粘着層
35 フレキシブル配線板
36 基材フィルム
37 配線パターン
38 カバーレイ
39 異方導電膜
40 水蒸気透過防止層
43、51 高分子フィルム
50 ガラス板
60 表面凹凸層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともいずれか一方が樹脂シートや高分子フィルムからなる上面に第一透明導電膜を備えた第一透明基板と下面に第二透明導電膜を備えた第二透明基板とが、互いの導電膜が対向状態となるように所定間隔を保って対向配置され、可視領域境界の外側が粘着層で接着固定されて構成されるタッチパネルにおいて、前記可視領域境界内の前記各導電膜面への結露防止手段を講じたタッチパネル。
【請求項2】
結露防止手段として、樹脂シートや高分子フィルムからなる側の透明基板に対し、その基板の外方面、または前記基板とそれに配された透明導電膜との間に無機化合物からなる水蒸気透過防止層を設けて水分の浸入防止を図るものとした請求項1記載のタッチパネル。
【請求項3】
水蒸気透過防止層及び透明導電膜が設けられた透明基板は、JIS Z 7129またはモコン法に準拠した水蒸気透過率が0.1g/m2・day以下のものである請求項2記載のタッチパネル。
【請求項4】
結露防止手段として、樹脂シートや高分子フィルムからなる側の透明基板に対し、無機化合物からなる水蒸気透過防止層が形成された高分子フィルムまたは樹脂シートを、少なくともタッチパネル可視領域に応じた範囲で貼り合わせて水分の浸入防止を図るものとした請求項1記載のタッチパネル。
【請求項5】
水蒸気透過防止層が設けられた高分子フィルムまたは樹脂シートは、JIS Z 7129またはモコン法に準拠した水蒸気透過率が0.1g/m2・day以下のものである請求項4記載のタッチパネル。
【請求項6】
無機化合物として、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、スズドープ酸化インジウム(以下、ITOという)、酸化アルミニウム、酸化窒化ケイ素の少なくとも一つが含まれる請求項2または4記載のタッチパネル。
【請求項7】
無機化合物が、反射防止効果を有する請求項6記載のタッチパネル。
【請求項8】
結露防止手段として、樹脂シートや高分子フィルムからなる側の透明基板に対し、厚さ1.5mm以下のガラス板を、少なくともタッチパネル可視領域に応じた範囲で貼り合わせて水分の浸入防止を図るものとした請求項1記載のタッチパネル。
【請求項9】
ガラス板の透明基板に貼り合わされた面とは逆の面に、ハードコート膜付き高分子フィルムが貼り合わせられた請求項8記載のタッチパネル。
【請求項10】
第一透明導電膜と第二透明導電膜との間隔を、タッチパネルの粘着層で接着されている内側の全領域において5〜60μmで設定した請求項1記載のタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−72694(P2006−72694A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255212(P2004−255212)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】