説明

タッチパネル

【課題】タッチパネル10を構成する第1透明基板1と第2透明基板2間の光の干渉により生ずるニュートンリングが、タッチパネル10の下部に設置した表示装置の表示品質を低下させた。
【解決手段】表面に第1透明導電膜4が形成された第1透明基板1と、表面に第2透明導電膜5が形成された第2透明基板2とが、第1及び第2透明導電膜を内側にしてシール材3を介して互いに離間して接着されており、第1透明導電膜4と第1透明基板1との間に第1反射防止膜6aが形成される構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から押圧された押圧部の位置を検出して、情報入力可能とするタッチパネルに関し、特に、光の干渉により生ずるニュートンリングを見え難くしたタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネル等の表示装置の表面に取り付けて、表示画面を見ながら表示位置に対応する位置情報を入力可能とするタッチパネルが実用化されている。図7(a)は、この種のタッチパネル50の模式的な縦断面図であり、図7(b)は、このタッチパネル50の模式的な上面図である。タッチパネル50は、上透明電極54が形成された上透明基板51と、下透明電極56が形成された下透明基板52とが、上透明電極54及び下透明電極56を内側にしてシール材53により互いに離間して貼り付けられている。
【0003】
一般的に上透明基板51と下透明基板52の間隔は10μm〜100μmの一定間隔とする。まず、上透明基板51の表面に上透明電極54を形成する。下透明基板52に下透明電極56を形成する。次に、例えば、直径10μmのギャップ材を混入したシール材53を下透明基板52の表面外周部に印刷する。その後、上透明電極54及び下透明電極56を内側にして、上透明基板51と下透明基板52を圧着してシール材53を固化する。これにより、上透明基板51と下透明基板52との間隙はギャップ材の直径により規定される。
【0004】
更に、上透明基板51と下透明基板52の間隙に空気を充填して外気に対して陽圧とし、タッチパネル50中央部を膨らませる。これは、外気の温度が低下して内部に充填された空気の体積が収縮したときに、上透明電極54と下透明電極56とが接触する誤動作を防止するためである。タッチパネル50の中央部が膨らむために、この中央部の領域には必ず上透明基板51の表面と下透明基板52の表面とが平行となる領域が形成される。
【0005】
図7(b)に示すように、タッチパネル50のこの上下透明基板が認識可能な比較的広い面積で概ね平行となる場合に、ニュートンリング59が現れる。タッチパネル50は、表示装置、例えば液晶表示装置の上に設置される。操作者は、表示装置の表示面を見ながらタッチパネル50を操作する。この場合に、タッチパネル50にニュートンリングが現れると、表示装置により表示される表示画像の品質が低下する。
【0006】
図8は、特許文献1の図1(a)に示されているタッチパネル50の縦断面図である。このタッチパネル50は、上透明電極54が形成された上透明基板51と、下透明電極56が形成された下透明基板52とがシール材53を介して対向接着されている。下透明電極56の膜内部には、球状シリカ58が混入されている。下透明電極56の上にはドットスペーサ57が設置されている。下透明電極56の端部には銀電極からなる下引き回し電極55bが、上透明電極54の端部近傍には銀電極からなる上引き回し電極55aが形成されている。タッチパネル50に入射した光は、下透明電極56の球状シリカ58により乱反射される。この乱反射により、ニュートンリングの発生を防止することができる、というものである。
【0007】
また、特許文献2には、透明電極に多数の微細凹部を形成してニュートンリングの発生を防止することが記載されている。この場合も、上記特許文献1と同様に、透明電極において入射光を散乱させて、ニュートンリングの生成を防止する、というものである。
【特許文献1】特開2004−246420号公報
【特許文献2】特開2004−234386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の方法では、入射した光を透明電極に形成した光散乱手段により散乱させることによりニュートンリングの生成を防止する。そのために、タッチパネルの背面側に設けた表示装置に表示される画像がぼやける。また、画像光のような直進する光が光散乱手段により散乱されるために、直進光の光強度が低下する。そのために、表示画像が暗くなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために以下の手段を講じた。
【0010】
請求項1に係る発明においては、表面に第1透明導電膜が形成された第1透明基板と、表面に第2透明導電膜が形成された第2透明基板とが、前記第1及び第2透明導電膜を内側にして、シール材を介して互いに離間して接着されており、前記第1透明導電膜と前記第1透明基板との間には、第1反射防止膜が形成されているタッチパネルとした。
【0011】
請求項2に係る発明においては、前記第2透明導電膜と前記第2透明基板との間には、第2反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルとした。
【0012】
請求項3に係る発明においては、前記シール材は、前記第1透明基板及び前記第2透明基板の外周部に形成されており、前記第1透明基板には、前記シール材よりも内側であって前記シール材に近接して、前記第1透明導電膜に電気的に接続する第1電極が形成されており、前記第2透明基板には、前記シール材よりも内側であって前記シール材に近接して、前記第2透明導電膜に電気的に接続する第2電極が形成されており、前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1透明基板又は前記第2透明基板の表面からの高さが、前記シール材の前記表面からの高さよりも高いことを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネルとした。
【0013】
請求項4に係る発明においては、前記第1透明基板又は前記第2透明基板の中央部を外部から荷重して前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜とが電気的に導通する作動荷重は、5グラム〜40グラムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネルとした。
【発明の効果】
【0014】
表面に透明導電膜が形成された2枚の透明基板を、透明導電膜を内側にしてシール材を介して互いに離間して接着し、少なくとも一方の透明基板と透明導電膜との間に反射防止膜を形成した。これにより、透明基板の内表面での光反射強度が低下して、ニュートンリングをほとんど視認できなくすることができた。同時に、光透過率が向上し背面に設置した表示装置の表示画像を明るくすることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明について詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態を表すタッチパネル10の模式的な縦断面図である。タッチパネル10は、第1透明基板1と第2透明基板2とがシール材3を介して離間して接着されている。第1透明基板1の第2透明基板2側の表面(以下、内表面という)には、第1反射防止膜6aと、第1反射防止膜6aの上に形成された第1透明導電膜4が形成されている。第2透明基板2の第1透明基板1側に表面(以下、内表面という)には第2透明導電膜5が形成されている。
【0017】
この構成により、第2透明基板2の上部から押圧すると、その押圧した位置において第1透明導電膜4と第2透明導電膜5とが接触する。第1透明導電膜4の両端間に電圧を印加して第2透明導電膜5によりその電圧を検出し、また、第2透明導電膜5の両端間に電圧を印加して第1透明導電膜4によりその電圧を検出して、その接触点の位置を特定する。
【0018】
第1透明基板1の表面と第1透明導電膜4の間に第1反射防止膜6aを形成したことにより、第1透明基板1の内表面側の反射率が低下する。その結果、第1透明基板1の内表面と第2透明基板2の内表面との間の光の反射に基づくニュートンリングがほとんど視認できなくなった。また、タッチパネル10の光の透過率が向上した。そのため、第1透明基板1の背面側に設けた表示装置に表示される表示画像の品質が向上した。
【0019】
ここで、第1透明基板1及び第2透明基板2として、ソーダ石灰ガラスやホウケイ酸ガラス等の透明ガラスを使用することができる。第1透明基板1は厚さを0.1mm〜2mmとし、第2透明基板2は厚さを0.05mm〜0.5mmとする。第1及び第2透明基板1、2は、シール材3により接着後にその外面をエッチング又は研磨して、所定の板厚とすることができる。第1透明基板1と第2透明基板の間隔は、10μm〜400μmとする。この間隔は、シール材3に所定の粒径を有するギャップ材を混入させることにより高精度に制御することができる。まず、シール材3に所定の粒径を有するギャップ材を混入させる。次に、シール材3を第1透明基板1の表面の周辺部に印刷する。次に、第2透明基板2を第1透明基板1の上に載置して押圧し、シール材を硬化させる。このように形成することにより、第1透明基板1と第2透明基板2のシール材3の部位における間隔をギャップ材の粒径とすることができる。
【0020】
第1反射防止膜6aは、例えば酸化チタン(TiO2)と酸化シリコン(SiO2)を交互に積層した多層構造、例えば4層構造とすることができる。酸化チタン膜や酸化シリコン膜は蒸着やスパッタリングにより形成することができる。第1透明導電膜4及び第2透明導電膜5はインジウムスズ酸化物(以下、ITOという)を使用する。ITO膜はスパッタリング法や電子ビーム蒸着法等により8nm〜16nm堆積させる。第1透明基板1と第2透明基板2とシール材3により囲まれる空間には、所定の圧力で空気又はNを封入している。なお、第1及び第2透明導電膜4、5として、酸化スズや酸化亜鉛を使用することができる。
【0021】
このように形成したタッチパネル10の全光線透過率は87%であった。第1反射防止膜6aを形成しないで、他の構成要素を同一の材料を使用して同一の条件で作成した場合の全光線透過率は85%であった。第1反射防止膜6aを形成することにより第1透明基板1の内表面における反射率が低下してニュートンリングはほとんど視認できなくなった。更に、透過率が向上したことにより、背面に設置した表示装置の表示画像品質が向上した。
【0022】
タッチパネル10の中央部を押圧荷重して第1透明導電膜4と第2透明導電膜5とが導通を開始する最低の荷重を作動荷重とする。上記第1実施形態においては、作動荷重を5グラム〜40グラムとしている。この作動荷重よりも高くすると、特に先端部の尖ったペン入力等による入力ができ難くなる。また、この作動荷重よりも低くすると、全体的に干渉縞が発生しやすくなる。加えて、例えば周囲温度が−20℃低下すると、第1透明基板1と第2透明基板2との間の間隙が収縮し、第1透明導電膜4と第2透明導電膜5とが接触して誤動作を起こしやすくなる。作動荷重は、より好ましくは略10グラム〜20グラムに設定する。
【0023】
なお、タッチパネル10の大きさ及び作動荷重とニュートンリングの発生との間には相関関係がある。タッチパネル10の外形の大きさ、即ちパネルの対角線の長さが小さくなるほど、第1透明基板1と第2透明基板2との間の間隙が狭くなり、中央部にニュートンリングが発生しやすくなる。
【0024】
本第1の実施形態においては、大きさが2インチ〜4インチのタッチパネル10を構成して作動荷重を5グラム〜40グラムとした場合でも、ニュートンリングが見え難くなり、背面側に設置した表示装置の表示画像の品質低下を防止することができる。
【0025】
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態に係るタッチパネル10の模式的な縦断面図である。図2に示すように、タッチパネル10は、第1透明基板1と第2透明基板2とがシール材3を介して離間して接着されている。第2透明基板2の内表面には第2反射防止膜6bと、第2反射防止膜6bの上に形成された第2透明導電膜5が形成されている。第1透明基板1の内表面には第2透明導電膜4が形成されている。なお、第2反射防止膜6bは、第1の実施形態と同様に、例えば酸化チタンと酸化シリコンを交互に積層した多層構造、例えば4層構造とすることができる。酸化チタン膜や酸化シリコン膜は蒸着やスパッタリングにより形成することができる。
【0026】
このように形成したタッチパネル10の全光線透過率は87%であった。第2反射防止膜6bを形成しないで、他の構成要素を同一の材料を使用して同一の条件で作成した場合の全光線透過率は85%であった。第1反射防止膜6aを形成することにより第1透明基板1の内表面における反射率が低下してニュートンリングはほとんど視認できなくなった。更に、透過率が向上したことにより、背面に設置した表示装置の表示画像品質が向上した。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0027】
<第3の実施形態>
図3は、本発明の第3の実施形態に係るタッチパネル10の模式的な縦断面図である。図3に示すように、タッチパネル10は、第1透明基板1と第2透明基板2とがシール材3を介して離間して接着されている。第1透明基板1の内表面には第1反射防止膜6aと、第1反射防止膜6aの上に形成された第1透明導電膜4が形成されている。第2透明基板2の内表面には第2反射防止膜6bと、第2反射防止膜6bの上に形成された第2透明導電膜5が形成されている。
【0028】
このように形成したタッチパネル10の全光線透過率は91%であった。すでに説明したように、いずれか一方の透明基板の透明導電膜と透明基板の間に反射防止膜を設けた場合の透過率は87%であった。第1反射防止膜6aを形成することにより第1透明基板1の内表面における反射率が低下してニュートンリングはほとんど視認できなくなった。更に、透過率が向上したことにより、背面に設置した表示装置の表示画像品質が向上した。
【0029】
<第4の実施形態>
図4は、本発明の第4の実施形態に係るタッチパネル10の模式的な縦断面図である。本実施形態においては、第3の実施形態に係るタッチパネル10の上下の外面に、第3反射防止膜6c及び第4反射防止膜6dを設けた。その他の構成は、図3に示した第3の実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0030】
第3反射防止膜6c及び第4反射防止膜6dは、既に説明したと同様に、例えば酸化チタンと酸化シリコンを交互に積層した多層構造、例えば4層構造とすることができる。酸化チタン膜や酸化シリコン膜は蒸着やスパッタリングにより形成することができる。また、このような薄膜の反射防止膜に代えて、反射防止フィルムを貼り付けることができる。これにより、タッチパネル10の全光線透過率は97%〜99%となった。従って、第1及び第2透明基板1、2の両内面に第1及び第2反射防止膜6a、6bを形成した場合よりも、略6%〜8%透過率が向上した。その結果、背面に設置した表示装置の表示画像品質が更に向上した。
【0031】
<第5の実施形態>
図5は、本発明の第5の実施形態に係るタッチパネル10の説明図である。図5(a)は、タッチパネル10の模式的な縦断面図であり、図5(b)は、タッチパネル10の左端部Xの部分拡大図であり、図5(c)は、タッチパネル10の模式的な上面図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。
【0032】
図5(a)に示すように、タッチパネル10は、第1透明基板1と第2透明基板2がシール材3を介して互いに離間して接着されている。第1透明基板1の内表面には、第1反射防止膜6aと、その上に第1透明導電膜4が積層して形成されている。第2透明基板2の内表面には、第2透明導電膜5が形成されている。更に、第1透明基板1の内表面側には、シール材3よりも内側であってシール材3に近接して第1電極7aが形成されている。第1電極7aは第1透明導電膜4に電気的に接続している。同様に、第2透明基板2の内表面側には、シール材3よりも内側であってシール材3に近接して第2電極7bが形成されている。第2電極7bは第2透明導電膜5に電気的に接続している。
【0033】
図5(b)に示すように、第1電極7aは、第1透明基板1の内表面からの高さがシール材3よりもδh高く形成されている。つまり、第1透明基板1と第2透明基板2の間隔は、シール材3が形成されている場所よりも第1電極7aが形成されている場所のほうが広い。同様に、第2電極7bは、第2透明基板2の内表面からの高さがシール材3よりもδh高く形成されている。
【0034】
図5(c)に示すように、第1電極7aは対向する両辺においてシール材3に沿って平行して形成されている。同様に第2電極7bは対向する両辺においてシール材3に沿って平行して形成されている。このように、第1電極7a、第2電極7bをシール材3よりも内側に、しかもシール材3の高さよりも高く形成することにより、内部空間を大気圧とした場合でも第1透明基板1と第2透明基板2の中央部における間隙が広くなる。
【0035】
ここで、第1電極7a及び第2電極7bは、例えば所定の直径を有するファイバーを混入した銀電極により形成する。また、シール材3には上記ファイバーよりも径の小さなギャップ材を混入している。例えば、第1電極7a及び第2電極7bに混入するファイバーの直径を12μmとする。シール材3に混入するギャップ材の径を10μmにする。これにより、第1透明基板1と第2透明基板2との間の間隔を高精度に制御することができるとともに、中央部より周辺部のほうが間隙の広い膨らんだタッチパネル10を構成することができる。
【0036】
一般に、所定の径のギャップ材を混入したシール材3の内側に、このギャップ材よりも径の若干大きなギャップ材を混入した電極を近接して形成すると、間隙の均一性が向上してニュートンリングが発生しやすくなる。特にタッチパネル10の外形(対角線)が4インチ以下においてニュートンリングの発生が顕著となる。また、作動荷重を5グラム〜40グラムとするためには内部空間の空気圧を低下させる必要があり、そのためにニュートンリングが発生しやすくなる。
【0037】
そこで、上記第5の実施形態に示すように、第1透明基板1の表面と第1透明導電膜4との間に第1反射防止膜6aを形成することにより、このニュートンリングの発生を低減させることができる。特に、タッチパネル10の外形を4インチ以下とし、作動荷重を5グラム〜40グラムに低減した場合においても、ニュートンリングの発生を低減させ、同時に光の透過率を向上させることができる。これにより、下部に設置した表示装置に表示される表示画像の品質低下を防止することができる。
【0038】
なお、第1反射防止膜6aに代えて、第2透明基板2の内表面と第2透明導電膜5との間に第2反射防止膜6bを形成してもよいし、第1透明基板1の表面と第1透明導電膜4との間、及び第2透明基板2の表面と第2透明導電膜5との間の両方に第1及び第2反射防止膜6a、6bを形成してもよいし、更に、第1透明基板1と第2透明基板2の外面に第3及び第4反射防止膜6c、6d又は反射防止フィルムを形成してもよい。
【0039】
また、第1及び第2反射防止膜6a、6bとして、酸化チタンと酸化シリコンの多層膜から構成することができる。また、第1透明導電膜4及び第2透明導電膜5として、例えば膜厚8nm〜12nmのITO、酸化スズ、酸化亜鉛又はこれらの複合物を使用することができる。また、第1透明基板1及び第2透明基板2として、ソーダ石灰ガラスやホウケイ酸ガラス等のガラスを使用することができる。第1透明基板1の厚さを0.1mm〜2.0mm、第2透明基板2の厚さを0.05mm〜0.5mmとすることができる。タッチパネル10の外形は10インチ以上であっても良いし、10インチ以下であっても良い。ニュートンリングの発生が顕著となる対角が2インチ〜4インチの外形を有するタッチパネル10に本発明を適用した場合、特に有効である。
【0040】
図6は、タッチパネル10に発生するニュートンリングについて、第2透明基板2の板厚及び中心部に対する荷重と、反射防止膜6との間の関係を表すグラフである。タッチパネル10の外形(対角の長さ)は2.6インチである。横軸が第2透明基板2の板厚(mm)であり、縦軸がペン等により入力可能な中心部の作動荷重(g)である。一般的に、第2透明基板2の板厚が厚くなるほど、第1透明基板1と第2透明基板2との間の間隔の均一性が良くなり、ニュートンリングが見えやすくなる。同様に、ペン等により入力可能な作動荷重が小さくなるほど、中心部のふくらみが減少して、ニュートンリングが見えやすくなる。
【0041】
グラフAは、第1透明基板1の内面と第2透明基板2の内面の夫々に反射防止膜6a、6bを形成した場合(図3の場合)の、ニュートンリングが見えやすい領域と見え難い領域の境界を表している。即ち、グラフAより上部の領域ではニュートンリングが見え難くなり、グラフAより下部の領域ではニュートンリングが見えやすくなる。具体的には、第2透明基板2の板厚を0.1mmとした場合には、タッチパネル10の中心部の作動荷重を約2グラム以上とすれば、ニュートンリングが見え難くなる。第2透明基板2の板厚を0.15mmとした場合には、中心部の作動荷重を約10グラム以上とすればニュートンリングが見え難くなる。第2透明基板2の板厚を0.2mmとした場合には、中心部の作動荷重を約27グラム以上とすれば、ニュートンリングが見え難くなる。
【0042】
グラフBは、第1透明基板1の内面又は第2透明基板2の内面のいずれか一方に反射防止膜6a又は6bを形成した場合(図1又は図2の場合)の、ニュートンリングが見えやすい領域と見え難い領域の境界を表している。即ち、グラフBより上部の領域ではニュートンリングが見え難くなり、グラフBより下部の領域ではニュートンリングが見えやすくなる。具体的には、第2透明基板2の板厚を0.1mmとした場合には、中心部の作動荷重を約26グラム以上とすれば、ニュートンリングが見え難くなる。第2透明基板2の板厚を0.15mmとした場合には、中心部の作動荷重を約32グラム以上とすればニュートンリングが見え難くなる。第2透明基板2の板厚を0.2mmとした場合には、中心部の作動荷重を約60グラム以上とすれば、ニュートンリングが見え難くなる。
【0043】
グラフCは、第1透明基板1及び第2透明基板2の内面のいずれにも反射防止膜を形成しない従来例の場合の、ニュートンリングが見えやすい領域と見え難い領域の境界を表している。即ち、グラフCより上部の領域ではニュートンリングが見え難くなり、グラフCより下部の領域ではニュートンリングが見えやすくなる。具体的には、第2透明基板2の板厚を0.1mmとした場合には、中心部の作動荷重を約40グラム以上としなければ、ニュートンリングが発生する。また、第2透明基板2の板厚を0.15mmとした場合には、中心部の作動荷重を約62グラム以上としなければニュートンリングが発生する。第2透明基板2の板厚を0.2mmとした場合には、中心部の作動荷重を約100グラム以上としなければ、ニュートンリングが発生する。
【0044】
以上の説明から明らかに、第1透明基板1の内面又は/及び第2透明基板2の内面に反射防止膜を形成することにより、ペン先等により書き込む際の中心部の作動荷重を低下させることができる。また、第2透明基板2の板厚も低減して、薄いタッチパネル10を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係るタッチパネルを表す模式的な縦断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係るタッチパネルを表す模式的な縦断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係るタッチパネルを表す模式的な縦断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るタッチパネルを表す模式的な縦断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るタッチパネルの説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係るタッチパネル10に発生するニュートンリングについて、第2透明基板2の板厚及び中心部に対する荷重と反射防止膜6との間の関係を表すグラフである。
【図7】従来公知のタッチパネルの説明図である。
【図8】従来公知のタッチパネルの模式的な縦断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 第1透明基板
2 第2透明基板
3 シール材
4 第1透明導電膜
5 第2透明導電膜
6 反射防止膜
7a 第1電極
7b 第2電極
10 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に第1透明導電膜が形成された第1透明基板と、表面に第2透明導電膜が形成された第2透明基板とが、前記第1及び第2透明導電膜を内側にして、シール材を介して互いに離間して接着されており、
前記第1透明導電膜と前記第1透明基板との間には、第1反射防止膜が形成されているタッチパネル。
【請求項2】
前記第2透明導電膜と前記第2透明基板との間には、第2反射防止膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記シール材は、前記第1透明基板及び前記第2透明基板の外周部に形成されており、
前記第1透明基板には、前記シール材よりも内側であって前記シール材に近接して、前記第1透明導電膜に電気的に接続する第1電極が形成されており、
前記第2透明基板には、前記シール材よりも内側であって前記シール材に近接して、前記第2透明導電膜に電気的に接続する第2電極が形成されており、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1透明基板又は前記第2透明基板の表面からの高さが、前記シール材の前記表面からの高さよりも高いことを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第1透明基板又は前記第2透明基板の中央部を外部から荷重して前記第1透明導電膜と前記第2透明導電膜とが電気的に導通する作動荷重は、5グラム〜40グラムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−271709(P2009−271709A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121288(P2008−121288)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(595162688)テクノプリント株式会社 (3)
【Fターム(参考)】