説明

タッチパネル

【課題】耐久性及び信頼性の高いタッチパネルを提供する。
【解決手段】上部導電膜を有する上部電極基板と、下部導電膜を有する下部電極基板と、前記上部電極基板に設けられた電極部と前記下部電極基板に設けられた電極部とが接続される導電接着部と、前記下部導電膜に電位分布を発生させるための複数の電極と、を有し、前記下部電極基板は、前記複数の電極が形成される第1の領域と、前記導電接着部が形成される第2の領域とを有しており、前記第1の領域と前記第2の領域との間には、前記第1の領域と前記第2の領域を絶縁するための前記下部導電膜が除去された溝部が形成されていることを特徴とするタッチパネルを提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、ディスプレイに直接入力をすることが可能な入力デバイスであり、ディスプレイの前面に設置して使用される場合が多い。タッチパネルは、ディスプレイにより視覚的にとらえた情報に基づき、直接入力することができることから、様々な用途において普及している。
【0003】
このようなタッチパネルとしては、抵抗膜方式が広く知られている。抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電膜が形成された上部電極基板及び下部電極基板において、各々の透明導電膜同士が対向するように設置し、上部電極基板の一点に力を加えることにより各々の透明導電膜同士が接触し、力の加えられた位置の位置検出を行うことができるものである。
【0004】
抵抗膜方式のタッチパネルは、4線式、5線式、ダイオード式に大別することができる。4線式は、上部電極基板又は下部電極基板のどちらか一方にX軸の電極が設けられており、他方にY軸の電極が設けられている(例えば、特許文献1)。また、5線式は、下部電極基板にX軸の電極及びY軸の電極がともに設けられており、上部電極基板は、電圧を検出するためのプローブとして機能するものである(例えば、特許文献2)。また、ダイオード式は、下部電極基板にダイオードが設けられている構造のものであり、電圧を印加するための2つの電極と、電位をモニタするための4つの電極とが設けられており、電圧を検出するためにプローブとして機能する上部電極基板に設けられた電極と併せて、電極が7つ形成されることから7線式とも呼ばれている(例えば、特許文献3)。
【0005】
ここで、図1及び図2に基づき5線式のタッチパネルについて説明する。図1は、5線式のタッチパネルの斜視図であり、図2は、5線式のタッチパネルの断面の概要図である。
【0006】
5線式のタッチパネル200は、一方の面に透明導電膜230の形成されたフィルムからなる上部電極基板210と、一方の面に透明導電膜240の形成されたガラスからなる下部電極基板220により構成されており、透明導電膜230及び透明導電膜240が対向するようにスペーサ250を介し固定されている。5線式のタッチパネル200と不図示のホストコンピュータとはフレキシブル基板260により電気的に接続されている。
【0007】
このような構成の5線式のタッチパネル200では、図3に示すように、透明導電膜240の端部の4辺に設けられた電極241、242、243、244において、X軸方向またはY軸方向に電位勾配を有するように電圧を交互に印加し、この状態において、透明導電膜230と透明導電膜240とが接触することにより、接触点における透明導電膜230における電位は、透明導電膜240における接触点の電位となるため、この電位を検出することにより、接触点の座標位置を検出することができるものである。尚、図3は、5線式のタッチパネルの概念図であり、図3(a)はX軸方向に電位分布を生じさせる場合、図3(b)はY軸方向に電位分布を生じさせる場合を示すものである。
【0008】
このため5線式のタッチパネルでは、下部電極基板220における透明導電膜240において電圧の印加がなされ、上部電極基板210における透明導電膜230において接触点における電位が検出される。尚、7線式のタッチパネルにおいても、下部電極基板において電圧の印加がなされ、上部電極基板において接触点における電位を検出する点においては同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−272722号公報
【特許文献2】特開2008−293129号公報
【特許文献3】特開2005−196280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、5線式のタッチパネルや7線式のタッチパネルでは、通常1つのフレキシブル基板260が下部電極基板220側に設けられている。このため、図4及び図5に示されるように、上部電極基板210における透明導電膜230は導電接着部270により絶縁膜を介して下部電極基板220上に接続されており、下部電極基板220側に接続されているフレキシブル基板260と接続される。尚、図4はタッチパネルの上面図であり、図5は、図4における破線4A−4Bにおいて切断した断面図である。
【0011】
具体的には、下部電極基板220における透明導電膜240上の導電接着部270が形成される領域では、絶縁ペースト等を用いてスクリーン印刷等により絶縁膜281、282が形成されており、絶縁膜281の一部の領域及び絶縁膜282の一部の領域上には銀ペースト等の金属ペーストを用いてスクリーン印刷等により電極部271が形成されており、電極部271の上には電極部271の表面の一部に開口を有する絶縁膜283が形成されている。また、上部電極基板210の透明導電膜230上には銀ペースト等の金属ペーストを用いてスクリーン印刷等により電極部272が形成されている。上部電極基板210と下部電極基板220とは、電極部271と電極部272とが接続される部分に開口部を有する両面テープ284により張り合わされており、両面テープ284の開口部、即ち、電極部271と電極部272とが接続される部分には、導電性接着剤等により形成された導電部273が設けられており、電極部271と電極部272とは導電部273により電気的に接続されている。尚、導電接着部270は、電極部271、電極部272、導電部273により形成されている。
【0012】
このような構造のタッチパネルでは、上部電極基板210の透明導電膜220における電位と下部電極基板220の透明導電膜240に印加されている電位とが異なるものとなる。従って、上部電極基板210の透明導電膜220における電位と同電位となる電極部271と下部電極基板220における透明導電膜240との間では、絶縁膜281及び絶縁膜282を介し電位差が生じているため、電極部271を形成する材料に含まれる銀イオン等の金属イオンが、絶縁膜281及び絶縁膜282内を矢印Aに示す方向にマイグレーションし、絶縁膜281及び絶縁膜282において絶縁不良が発生する。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、銀イオン等の金属イオンのマイグレーションが発生しない構造であって、耐久性及び信頼性を向上させた構造のタッチパネルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上部導電膜を有する上部電極基板と、下部導電膜を有する下部電極基板と、前記上部電極基板に設けられた電極部と前記下部電極基板に設けられた電極部とが接続される導電接着部と、前記下部導電膜に電位分布を発生させるための複数の電極と、を有し、前記下部電極基板は、前記複数の電極が形成される第1の領域と、前記導電接着部が形成される第2の領域とを有しており、前記第1の領域と前記第2の領域との間には、前記第1の領域と前記第2の領域を絶縁するための前記下部導電膜が除去された溝部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記溝部は、レーザー光により下部電極膜を除去する方法、スクライブ、ダイシング又はエッチングにより下部電極膜を除去する方法のいずれかにより形成されているものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記第2の領域では、前記下部導電膜上に絶縁膜が形成されており、前記下部電極基板に設けられた前記電極部は前記絶縁膜上に形成されるものであって、前記電極部は、銀を含む材料により形成されているものであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上部導電膜を有する上部電極基板と、下部導電膜を有する下部電極基板と、前記上部電極基板に設けられた電極部と前記下部電極基板に設けられた電極部とが接続される導電接着部と、前記下部導電膜に電位分布を発生させるための複数の電極と、を有し、前記下部電極基板は、前記複数の電極が形成される第1の領域と、前記導電接着部が形成される第2の領域とを有しており、前記下部電極基板において、前記第1の領域には、前記下部導電膜が形成されており、前記第2の領域には、前記下部導電膜が形成されていないものであることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記下部電極基板における前記第1の領域における下部導電膜は、前記下部電極基板に透明導電膜を形成した後、前記第2の領域における透明導電膜を除去することにより形成されたものであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記下部電極基板における前記第1の領域における下部導電膜は、ITO転写シートにより形成されるものであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記電極部は、銀を含む材料により形成されているものであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、前記下部電極基板には、フレキシブル基板が接続されていることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、前記フレキシブル基板は、前記第1の領域に設けられた前記複数の電極と電気的に接続され、かつ、前記第2の領域に設けられた導電接着部と電気的に接続されるものであることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、前記フレキシブル基板に設けられる配線の数は、5本または7本であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、銀イオン等の金属イオンのマイグレーションが発生しない構造であって、耐久性及び信頼性を向上させた構造のタッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の5線式のタッチパネルの斜視図
【図2】従来の5線式のタッチパネルの断面概要図
【図3】従来の5線式のタッチパネルにおける座標検出方法の説明図
【図4】従来の5線式のタッチパネルの上面図
【図5】従来の5線式のタッチパネルの要部断面図
【図6】第1の実施の形態におけるタッチパネルの上面図
【図7】第1の実施の形態におけるタッチパネルの要部断面図
【図8】第1の実施の形態における他のタッチパネルの要部断面図(1)
【図9】第1の実施の形態における他のタッチパネルの要部断面図(2)
【図10】第1の実施の形態におけるタッチパネルの製造方法のフローチャート
【図11】第2の実施の形態におけるタッチパネルの要部断面図
【図12】第2の実施の形態におけるタッチパネルの製造方法のフローチャート
【図13】第2の実施の形態におけるタッチパネルの製造方法の説明図
【図14】第2の実施の形態におけるタッチパネルの他の製造方法のフローチャート
【図15】第2の実施の形態におけるタッチパネルの他の製造方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
〔第1の実施の形態〕
(タッチパネル)
第1の実施の形態におけるタッチパネルについて、図6及び図7に基づき説明する。本実施の形態におけるタッチパネルは、5線式または7線式のタッチパネルであって、透明フィルム等により形成される上部電極基板10と、ガラス基板等により形成される下部電極基板20と、フレキシブル基板50とを有している。尚、本実施の形態における説明では、5線式のタッチパネルを例に説明する。図6は本実施の形態におけるタッチパネルの上面図であり、図7は、図6における破線6A−6Bにおいて切断した断面図である。
【0028】
上部電極基板10の表面には、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明導電膜11が形成されている。上部電極基板10は、フィルム状に形成されており、上部電極基板10を形成する材料としては、透明な樹脂材料であるポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が用いられている。
【0029】
下部電極基板20の表面には、ITO等からなる透明導電膜21が形成されており、下部電極基板20の周囲に設けられた4つの電極31、32、33、34が設けられている。下部電極基板20を形成する材料としては、ガラス、プラスチック等が用いられている。
【0030】
上部電極基板10における透明導電膜11は導電接着部40により下部電極基板20上に絶縁膜を介して接続されており、下部電極基板20側からフレキシブル基板50と接続される。尚、上部電極基板10の透明導電膜11上または下部電極基板20の透明導電膜21上のどちらか一方の表面には、不図示のドットスペーサが形成されている。
【0031】
下部電極基板20における透明導電膜21上の導電接着部40が形成される領域では、絶縁ペースト等を用いてスクリーン印刷等により絶縁膜61、62が形成されており、絶縁膜61の一部の領域及び絶縁膜62の一部の領域上には銀ペースト等の金属ペーストを用いてスクリーン印刷等により電極部41が形成されている。また、電極部41の上には電極部41の表面の一部に開口を有する絶縁膜63が形成されている。また、上部電極基板10の透明導電膜11上には銀ペースト等の金属ペーストを用いてスクリーン印刷等により電極部42が形成されている。上部電極基板10と下部電極基板20とは、電極部41と電極部42とが接続される部分に開口部を有する両面テープ64により張り合わされており、電極部41と電極部42とが接続される部分となる両面テープ64の開口部には、導電性接着剤等により導電部43が形成されており、電極部41と電極部42とは導電部43により電気的に接続されている。尚、導電接着部40は、電極部41、電極部42、導電部43により形成されている。
【0032】
下部電極基板20の透明導電膜21においては、4つの電極31、32、33、34が設けられている領域(第1の領域)23と、導電接着部40の形成される領域(第2の領域)24との間には、溝部22が設けられており、透明導電膜21は溝部22により分離されている。尚、フレキシブル基板50は、溝部22を覆うように接続されており、第2の領域24における導電接着部40と接続される端子及び第1の領域23における4つの電極31、32、33、34は、不図示の配線によりフレキシブル基板50に設けられた各々の端子と接続されている。
【0033】
溝部22を形成する方法としては、レーザー光を照射することによりレーザー光の照射された部分の透明導電膜21を除去する方法、スクライブ、ダイシング、エッチング等の方法が挙げられる。
【0034】
このように、下部電極基板20の透明導電膜21において溝部22を形成することにより、下部電極基板20において所定の電圧を印加するために設けられた4つの電極31、32、33、34が形成されている領域(第1の領域)23と、導電接着部40が形成される領域(第2の領域)24とに分離することができる。即ち、第1の領域23と第2の領域24との間は絶縁されているため、導電接着部40における電極41と、溝部22により分離された透明導電膜21との間には電圧は印加されない。よって、絶縁膜61及び62を介し銀イオン等の金属イオンがマイグレーションすることはなく、絶縁膜61及び絶縁膜62において絶縁不良が発生することはない。これにより、タッチパネルの信頼性及び寿命を高めることができる。
【0035】
尚、図7は、下部電極基板20において透明導電膜21上に絶縁膜61を形成した後に溝部22を形成した構造のものであるが、図8に示されるように、透明導電膜21に溝部22を形成した後、絶縁膜61及び62を形成した構造のものであってもよく、また、図9に示されるように、透明導電膜21上に絶縁膜61、62、電極部41及び絶縁膜63を形成した後に、スクライブやダイシング等により溝部22を形成した構造のものであってもよい。
【0036】
(製造方法)
次に、図10に基づき本実施の形態におけるタッチパネルの製造方法について説明する。
【0037】
最初に、ステップ102(S102)において、下部電極基板20の表面に透明導電膜21を形成する。具体的には、ガラス等の下部電極基板20の表面にITO等からなる透明導電膜21を真空蒸着、スパッタリング等により成膜、または、ITO転写シート等による転写により形成する。尚、下部電極基板20としてガラス等の基板上にあらかじめITO膜が形成されているものを用いてもよい。
【0038】
次に、ステップ104(S104)において、透明導電膜21に溝部22を形成する。溝部22を形成する方法としては、レーザー光を照射することによりレーザー光の照射された部分の透明導電膜21を除去する方法、スクライブ、ダイシング、エッチング等により透明導電膜21を除去する方法が挙げられる。尚、溝部22の形成の工程の前後において、絶縁膜の形成が行なわれる。
【0039】
次に、ステップ106(S106)において、透明導電膜11の形成されている上部電極基板10と下部電極基板20とを両面テープ64により貼り合わせる。この際、両面テープ64には、電極部41及び42に対応する位置に開口部が設けられており、この開口部内に、導電性接着剤により導電部43を形成する。
【0040】
以上により、本実施の形態におけるタッチパネルを製造することができる。尚、4つの電極31、32、33、34を形成する工程等は、ステップ104の前又は後のいずれにおいても行なうことが可能である。
【0041】
〔第2の実施の形態〕
(タッチパネル)
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、下部電極基板において透明導電膜の形成されていない領域に導電接着部が形成されている構造のタッチパネルである。図11に基づき、本実施の形態におけるタッチパネルについて説明する。
【0042】
本実施の形態におけるタッチパネルでは、下部電極基板120において、透明導電膜121が形成されている(第1の領域)123と、透明導電膜121が除去されている領域(第2の領域)124とを有している。尚、第1の領域123には、不図示の4つの電極が設けられており、第2の領域124には、導電接着部40が形成される。
【0043】
透明導電膜121が除去されている第2の領域124における下部電極基板120上には、絶縁ペースト等を用いてスクリーン印刷等により絶縁膜61、62が形成されており、絶縁膜61の一部の領域及び絶縁膜62の一部の領域上には銀ペースト等の金属ペーストを用いてスクリーン印刷等により電極部41が形成されている。また、電極部41の上には電極部41の表面の一部に開口を有する絶縁膜63が形成されている。また、上部電極基板10の透明導電膜11上には銀ペースト等の金属ペーストを用いてスクリーン印刷等により電極部42が形成されている。上部電極基板10と下部電極基板120とは、電極部41と電極部42とが接続される部分に開口部を有する両面テープ64により張り合わされており、電極部41と電極部42とが接続される部分となる両面テープ64の開口部には、導電性接着剤等により形成された導電部43が形成されており、電極部41と電極部42とが導電部43により電気的に接続されている。
【0044】
本実施の形態におけるタッチパネルでは、下部電極基板120において導電接着部40が形成される第2の領域124には、透明導電膜121が形成されていない。よって、絶縁膜61及び62の両側において電位差が生じることもなく、絶縁膜61及び62を介し銀イオン等の金属イオンがマイグレーションすることがないため、絶縁膜61及び絶縁膜62において絶縁不良が発生することはない。これにより、タッチパネルの信頼性及び寿命を高めることができる。
【0045】
(製造方法)
次に、図12に基づき本実施の形態におけるタッチパネルの製造方法について説明する。
【0046】
最初に、ステップ202(S202)において、下部電極基板120の表面に透明導電膜121を形成する。具体的には、ガラス等の下部電極基板120の表面にITO等からなる透明導電膜121を真空蒸着、スパッタリング等により成膜、または、ITO転写シート等による転写により形成する。尚、ガラス等にITO膜が形成されているものを用いてもよい。
【0047】
次に、ステップ204(S204)において、下部電極基板120において透明導電膜121の一部を除去する。透明導電膜121が除去される領域は、導電接着部40が形成される第2の領域124となる領域である。下部電極基板120における透明導電膜121の除去方法としては、透明導電膜121上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、第2の領域124を除く第1の領域123上にレジストパターンを形成する。この後、エッチング液を用いたウエットエッチング、または、RIE(Reactive Ion Etching)等によるドライエッチングにより、レジストパターンの形成されていない第2の領域124における透明導電膜121を除去する。更にこの後、有機溶剤等によりレジストパターンを除去する。これにより、下部電極基板120における第2の領域124において、透明導電膜121を除去することができる。図13には、この工程により形成されるものであって、下部電極基板120の第2の領域124において透明導電膜121が除去されており、第1の領域123において透明導電膜121が形成されているものを示す。
【0048】
次に、ステップ206(S206)において、下部電極基板120において透明導電膜121が除去された第2の領域124に、絶縁膜61、62及び63、電極部41を形成する。
【0049】
次に、ステップ208(S208)において、透明導電膜11の形成されている上部電極基板10と下部電極基板120とを両面テープ64により貼り合わせる。この際、両面テープ64には、電極部41及び42に対応する位置に開口部が設けられており、この開口部内に、導電性接着剤により導電部43を形成する。
【0050】
以上により、本実施の形態におけるタッチパネルを製造することができる。尚、下部電極基板120において電位分布を発生させるための不図示の4つの電極を形成する工程等は、ステップ204の後において行なわれる。
【0051】
次に、図14に基づき本実施の形態における別のタッチパネルの製造方法について説明する。
【0052】
最初に、ステップ302(S302)において、下部電極基板120の表面の所定の領域に透明導電膜121を形成する。具体的には、図15に示すように、ガラス等の下部電極基板120の表面の所定の領域にITO転写シート170を用いて透明導電膜121を形成する。ITO転写シート170は、ITOからなる透明導電膜121が、セパレーター171に貼り付けられているものであり、下部電極基板120の所定の領域にITO転写シート170を貼り付けた後、セパレーター171を剥がすことにより、下部電極基板120上の所定の領域に透明導電膜121を形成することができる。これにより、第1の領域123には透明導電膜121が形成され、第2の領域124には透明導電膜21が形成されていない下部電極基板120を形成することができる。
【0053】
次に、ステップ304(S304)において、下部電極基板120において透明導電膜121が形成されていない第2の領域124に、絶縁膜61、62及び63、電極部41を形成する。
【0054】
次に、ステップ306(S306)において、透明導電膜11の形成されている上部電極基板10と下部電極基板20とを両面テープ64により貼り合わせる。この際、両面テープ64には、電極部41及び42に対応する位置に開口部が設けられており、この開口部内に、導電性接着剤により導電部43を形成する。
【0055】
以上により、本実施の形態におけるタッチパネルを製造することができる。尚、下部電極基板120において電位分布を発生させるための不図示の4つの電極を形成する工程等は、ステップ302の後において行なわれる。
【0056】
尚、本実施の形態において、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0057】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0058】
10 上部電極基板
11 透明導電膜
20 下部電極基板
21 透明導電膜
22 溝部
23 第1の領域
24 第2の領域
31、32、33、34 電極端子
40 導電接着部
41 電極部
42 電極部
43 導電部
50 フレキシブル基板
61 絶縁膜
62 絶縁膜
63 絶縁膜
64 両面テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部導電膜を有する上部電極基板と、
下部導電膜を有する下部電極基板と、
前記上部電極基板に設けられた電極部と前記下部電極基板に設けられた電極部とが接続される導電接着部と、
前記下部導電膜に電位分布を発生させるための複数の電極と、
を有し、
前記下部電極基板は、前記複数の電極が形成される第1の領域と、前記導電接着部が形成される第2の領域とを有しており、
前記第1の領域と前記第2の領域との間には、前記第1の領域と前記第2の領域を絶縁するための前記下部導電膜が除去された溝部が形成されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記溝部は、レーザー光により下部電極膜を除去する方法、スクライブ、ダイシング又はエッチングにより下部電極膜を除去する方法のいずれかにより形成されているものであることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記第2の領域では、前記下部導電膜上に絶縁膜が形成されており、前記下部電極基板に設けられた前記電極部は前記絶縁膜上に形成されるものであって、
前記電極部は、銀を含む材料により形成されているものであることを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
上部導電膜を有する上部電極基板と、
下部導電膜を有する下部電極基板と、
前記上部電極基板に設けられた電極部と前記下部電極基板に設けられた電極部とが接続される導電接着部と、
前記下部導電膜に電位分布を発生させるための複数の電極と、
を有し、
前記下部電極基板は、前記複数の電極が形成される第1の領域と、前記導電接着部が形成される第2の領域とを有しており、
前記下部電極基板において、前記第1の領域には、前記下部導電膜が形成されており、前記第2の領域には、前記下部導電膜が形成されていないものであることを特徴とするタッチパネル。
【請求項5】
前記下部電極基板における前記第1の領域における下部導電膜は、前記下部電極基板に透明導電膜を形成した後、前記第2の領域における透明導電膜を除去することにより形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記下部電極基板における前記第1の領域における下部導電膜は、ITO転写シートにより形成されるものであることを特徴とする請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記電極部は、銀を含む材料により形成されているものであることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記下部電極基板には、フレキシブル基板が接続されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記フレキシブル基板は、前記第1の領域に設けられた前記複数の電極と電気的に接続され、かつ、前記第2の領域に設けられた導電接着部と電気的に接続されるものであることを特徴とする請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記フレキシブル基板に設けられる配線の数は、5本または7本であることを特徴とする1から9のいずれかに記載のタッチパネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−141845(P2012−141845A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166(P2011−166)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】