説明

タッチ検出機能付きスイッチ装置

【課題】使用者の手指が操作部材に接触したことを確実に検出でき、半田付け箇所がなく製造過程における組み付け性が良いとともに耐久性に優れ、更に、意匠の制約の少ないタッチ検出機能付きスイッチ装置を提供する。
【解決手段】導電部材44は、一端部にタッチ検出用電極部44aと他端部に接続片部44bとを備えて構成されている。タッチ検出用電極部44aは、操作ボタン43の接触面部43eの裏側全体に亘ってこれに沿って配置され、接触面部43eとの離間距離が一定になるように埋設され、接続片部44bは右側面部43hに埋設される。接続片部44bの下端部44cには電気接続部50が固定され、電気接続部50はタッチ検出用電極部44aと電気的に接続されている。電気接続部50は、プリント配線基板47の裏側に配置され、操作ボタン43の押圧操作に伴いプリント配線基板47の配線部47aに対して接離可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材に手指が接触(タッチ)した際に、このタッチを検出するためのタッチ検出用電極を有するタッチ検出機能付きスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の選択部を画面に表示する表示装置の選択用のスイッチ装置としては、複数の前記選択部に対応して複数の操作部材としての操作ボタンを備えている。使用者の手指が前記操作ボタンに接触した際に、このタッチを検出して、前記操作ボタンに対応する前記選択部の表示状態を変化させることで、使用者は前記表示装置の画面を見ながら手指が接触している前記操作ボタンを認識することができる。そして、使用者は前記表示装置の画面を見ながら選択した前記操作ボタンを手指にて押圧操作すると、前記操作ボタンの下側に配設されたスイッチ要素が動作して対応する前記選択部を選択決定するようにした構成のスイッチ装置が考えられている。
【0003】
例えば、上述したスイッチ装置としては特許文献1から4に開示されている。
特許文献1に開示のスイッチ装置は、図4に示すように、操作ボタン1の操作面部1aの内側にタッチ検出用電極部2、側面部1bの内側に可動電極部3が配設されている。タッチ検出用電極部2および可動電極部3は矩形板状をなしており、相互に電気的に接続されている。側面部1bとボディ4との隙間に可動電極部3と略同形状をなす固定電極部5が可動電極部3と対向するように配置され、プリント配線基板6の配線部6aに接続されている。可動電極部3および固定電極部5により平行平板コンデンサC1が形成され、タッチ検出用電極部2と配線部6aとは容量結合を介して電気的に接続されている。
【0004】
使用者の手指が操作ボタン1の操作面部1aに触れることにより、コンデンサC1の静電容量が変化し、この静電容量の変化を検出することで操作面部1aに手指が触れたか否かを検知する。
しかし、特許文献1に開示のスイッチ装置の構成では、可動電極部3と固定電極部5との対向間隔にばらつきが生じ、このため可動電極部3と固定電極部5とで構成されるコンデンサC1の静電容量が不安定になって、操作ボタン1に対する手指のタッチ検出が不安定になる問題がある。
【0005】
特許文献2のスイッチ装置は、図5に示すように、操作ボタン11の表面に薄膜状のタッチ検出用電極部12を形成し、このタッチ検出用電極部12に対向して容量結合するように操作ボタン11に結合用電極部13を埋設している。結合用電極部13とプリント配線基板14の配線部14aとは接続線15により電気的に接続されている。接続線15は、一端部が半田付けにより結合用電極部13に接続され、他端部が半田付けにより配線部14aに接続されている。タッチ検出用電極部12および結合用電極部13によりコンデンサC2が形成されている。
【0006】
使用者の手指が操作ボタン11のタッチ検出用電極部12に触れることにより、コンデンサC2の静電容量が変化し、この静電容量の変化を検出することでタッチ検出用電極部12に手指が触れたか否かを検出する。
しかし、特許文献2に開示のスイッチ装置の構成では、結合用電極部13と配線部14aとを電気的に繋ぐために接続線15を接続しなければならず製造過程における組み付け性が良くなかった。さらに、接続線15は、半田付けにより結合用電極部13および配線部14aに接続されており、その半田付け部分は、操作ボタン11の操作時に負荷がかかり、耐久性が良くなかった。
【0007】
特許文献3に開示のスイッチ装置は、図6に示すように、操作ボタン21にタッチ検出用電極部22を一体に固定している。このタッチ検出用電極部22は、一端部は操作ボタン21の接触面部21aに露出しており、他端部はプリント配線基板23の配線部23aと接続線24を介して電気的に接続されている。接続線24は、一端部が半田付けによりタッチ検出用電極部22に接続され、他端部が半田付けにより配線部23aに接続されている。
【0008】
使用者の手指が操作ボタン21に取り付けられたタッチ検出用電極部22に近接すると、手指とタッチ検出用電極部22とで可変のコンデンサが構成される。このような状態において、手指がタッチ検出用電極部22に接触すると前記コンデンサの静電容量の変化はほとんどなくなる。これにより操作ボタン21の接触面部21aに露出しているタッチ検出用電極部22に手指が触れたか否かが検出される。
【0009】
しかし、特許文献3に開示のスイッチ装置の構成では、上述した特許文献2に開示のスイッチ装置と同様に、タッチ検出用電極部22と配線部23aとを電気的に繋ぐために接続線24を接続しなければならず組み付け性が良くなかった。さらに、接続線24は、半田付けによりタッチ検出用電極部22および配線部23aに接続されており、その半田付け部分は、操作ボタン21の操作時に負荷がかかり、耐久性が良くなかった。
【0010】
特許文献4に開示のスイッチ装置は、図7に示すように、ボディ31に手指で接触される操作ボタン32を移動可能に設け、ボディ31に操作ボタン32に対応して配線部33aを有するプリント配線基板33を設け、このプリント配線基板33に板状のタッチ検出用電極部34を立設して、その立設基部34aを配線部33aに電気的に接続し、先端部34bを操作ボタン32の手指が接触する側の面近傍に位置させるようにしている。
【0011】
使用者の手指が操作ボタン32に取り付けられたタッチ検出用電極部34に近接すると、手指とタッチ検出用電極部34とで可変のコンデンサが構成される。このような状態において、手指がタッチ検出用電極部34に接触すると前記コンデンサの静電容量の変化はほとんどなくなる。これによりタッチ検出用電極部34に手指が触れたか否かが検出される。
【0012】
しかし、特許文献4に開示のスイッチ装置の構成では、タッチ検出用電極部34の先端部34bがスイッチ装置の表面に露出するため、該スイッチ装置の意匠を制約していた。さらに、タッチ検出用電極部34の無い方向からの操作ボタン32の操作時には手指がタッチ検出用電極部34の先端部34bに触れないことがあり、タッチ検出できないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007−173067号公報
【特許文献2】特開2008−41484号公報
【特許文献3】特開2008−108557号公報
【特許文献4】特開2008−78022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者の手指が操作部材に接触したことを確実に検出でき、接続線の半田付けがなく製造過程における組み付け性が良いとともに耐久性に優れ、更に、意匠の制約の少ないタッチ検出機能付きスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成するために、本発明のタッチ検出機能付きスイッチ装置は、裏面に配線部を有した配線基板と、前記配線基板の表面に設けられた押圧操作式のスイッチ要素と、手指が接触される接触面部を有するとともにスイッチ押圧部を有し、前記配線基板の表面側に位置させて原位置と押込み位置との間で往復移動可能に設けられ、前記接触面部が手指によって押圧操作されることに伴い前記原位置から前記押込み位置へ移動され、前記押込み位置で前記スイッチ押圧部により前記スイッチ要素を押圧操作する操作部材と、前記操作部材に当該操作部材とともに移動するように設けられ、一端部に前記接触面部の裏側にこれに沿って配置されたタッチ検出用電極部を有する導電部材と、前記導電部材の他端部に前記タッチ検出用電極部と電気的に接続されて設けられ、前記配線基板の裏側に配置されて前記配線部に対し接離可能な電気接続部と、を備え、前記操作部材が前記原位置に移動した状態で前記電気接続部が前記配線部に接触してそれらが電気的に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、タッチ検出用電極部は、接触面部の裏側にこれに沿って配置されている。このため、手指が接触面部のどこに接触しても、タッチ検出用電極部と手指との離間距離にばらつきがなく、タッチ検出用電極部と手指とにより安定した静電容量を有するコンデンサが構成され、配線基板の配線部において、その安定した静電容量を検出することができ、操作部材へのタッチ操作を確実に検出することができる。また、タッチ検出用電極部は接触面部に露出することがないので、タッチ検出機能付きスイッチ装置の意匠の制約を少なくすることができる。
【0017】
さらに、電気接続部は導電部材に設けられタッチ検出用電極部と電気的に接続されている。導電部材は操作部材と一体に移動し、操作部材の押圧操作に基づいて電気接続部は配線部に対して接離可能に接触してそれらが電気的に接続されるので、タッチ検出用電極部と配線部とを電気的に繋ぐ接続線を別途必要とはしない。また、導電部材は伸縮する必要がない。このため、タッチ検出機能付きスイッチ装置は、耐久性および製造過程における組み付け性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示すタッチ検出機能付きスイッチ装置の操作ボタンの原位置における縦断側面図
【図2】タッチ検出機能付きスイッチ装置の操作ボタンの押込み位置における縦断側面図
【図3】タッチ検出回路の等価回路を示す図
【図4】従来例1を示す図1相当図
【図5】従来例2を示す図1相当図
【図6】従来例3を示す図1相当図
【図7】従来例4を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。
図1はタッチ検出機能付きスイッチ装置の操作ボタン43の原位置における縦断側面図であり、図2は同操作ボタン43の押込み位置における縦断側面図である。前記原位置とは押圧操作されていない状態の操作ボタン43の前記スイッチ装置内での位置であり、前記押込み位置とは押圧操作されている状態の操作ボタン43の前記スイッチ装置内での位置である。
【0020】
プラスチック製のボディ41は、図1における上下両側が開口した略矩形筒状部41aと平面状に延設形成された板状部41bとを有する。このボディ41の略矩形筒状部41aには、ボタン収納孔部42が形成されており、このボタン収納孔部42には、操作部材としての操作ボタン43が図1における上下方向に移動可能、即ち前記原位置と前記押込み位置(図2参照)との間で往復移動可能に収納されている。操作ボタン43は、プラスチック製で下面が開口する略矩形容器状に形成され、上部は他の部位より小形であり、この小形部43aと大形部43bとの間に段部43cが形成されている。
【0021】
操作ボタン43の上面部43dは一定の肉厚により形成されており、その表面には使用者の手指Mが触れる接触面部43eが形成されている。また、操作ボタン43の段部43cが形成されている左側面部43gとは反対側に位置する右側面部43hも一定の肉厚をもって形成されている。なお、左側面部43gの底面には、後述する押圧操作式のスイッチ要素たるスイッチ49を押圧操作するスイッチ押圧部43fが形成されている。
【0022】
導電部材44は、帯板状の金属、例えば銅でできており、操作ボタン43のプラスチックによる成形時に同時に埋設されたもので(例えば、インサート成形)、操作ボタン43と一体に移動し、図1に示すように、操作ボタン43の上面部43dおよび右側面部43hに埋設された略L字状をなしている。
【0023】
導電部材44は、一端部(略L字状の短手部に相当)にタッチ検出用電極部44aと他端部(略L字状の長手部に相当)に接続片部44bとを備えて構成されている。タッチ検出用電極部44aは、上面部43dの接触面部43eの裏側全体に亘ってこれに沿って配置され、接触面部43eとの離間距離が一定になるように埋設されている。
【0024】
接続片部44bは、タッチ検出用電極部44aと電気的に接続されるとともに右側面部43hに埋設され、その下端部44cは右側面部43hの下端より下方に突出されている。接続片部44bの下端部44cは、後述する可撓体48のシート部48bに設けられた貫通孔48dおよびプリント配線基板47の貫通孔47bを貫通し、プリント配線基板47の裏側に位置される。
【0025】
図1に示すように、配線基板たるプリント配線基板47がボディ41の下側に位置するように配設され、プリント配線基板47の表面側(図1において上方)に操作ボタン43が位置される。このプリント配線基板47の部品装着面(表面)にはプリント配線がなされるとともに、絶縁材、例えばゴム製の可撓体48が固定されている。また、プリント配線基板47の裏面にも、配線部47aのプリント配線がなされている。
【0026】
可撓体48は、上部には操作ボタン43の左側面部43gの底面に形成されたスイッチ押圧部43fに下方から当接する受圧部48aと、下部にはプリント配線基板47の上面に設置されるシート部48bと、受圧部48aとシート部48bとをつなぐラバードーム部48cとが一体となり形成されている。
【0027】
ラバードーム部48cは中空円錐状(杯を伏せた状態)をなし、弾性力を有し受圧部48aを上方に付勢するとともに、スイッチ押圧部43fを介して操作ボタン43も上方に付勢する。シート部48bはボディ41の板状部41bの下面に形成されたリブ41cによりプリント配線基板47へ押し付けられる。可撓体48の受圧部48aの底面に可動接点49aが設けられ、これと対向してプリント配線基板47の表面に固定接点49bが2個設けられ、以て、押圧操作式のスイッチ要素たるスイッチ49が構成されている。
【0028】
導電部材44の下端部44cには電気接続部50が固定され、電気接続部50はタッチ検出用電極部44aと電気的に接続されている。電気接続部50は、プリント配線基板47の裏側に配置され、操作ボタン43の押圧操作に伴いプリント配線基板47の配線部47aに対して接離可能に設けられている。電気接続部50は導電性を有する弾性体、例えばシリコーンゴムに導電剤としてカーボンブラックを添加してなる導電性ゴムから成形されたもので、略直方体に形成され配線部47aに対応する部位に上方へわずかに突出形成されている接触部50aを有する。電気接続部50は、操作ボタン43の前記原位置に移動した状態で配線部47aに接触して電気的に接続され、操作ボタン43の前記押込み位置に移動した状態で配線部47aと離間される。
【0029】
操作ボタン43は前記原位置に移動した状態で可撓体48により図1における上方に付勢されており、導電部材44は操作ボタン43に固定されているため、電気接続部50も操作ボタン43とともに上方に付勢される。このため、電気接続部50の接触部50aはプリント配線基板47の裏面に設けられた配線部47aに押圧され接触し、導電部材44と配線部47aとは電気的に接続される。
【0030】
タッチ検出機能付きスイッチ装置の底部はカバー51により覆われており、カバー51に形成されたリブ51aによりプリント配線基板47は下方から支持されている。
次に、このタッチ検出機能付きスイッチ装置のタッチ検出回路52について、図3を参照して説明する。このタッチ検出回路52は、一般的な静電容量検出回路であり、高周波信号を出力する発振部53(一方の端子がグランドに接続されている。)、負荷抵抗54、高周波信号の検波および平滑を行なう検波部55およびオペアンプ56を備えている。
【0031】
操作ボタン43の前記原位置の状態では、発振部53の出力端子(他方の端子)には、負荷抵抗54および配線部47aを介してタッチ検出用電極部44aが接続されている。なお、操作ボタン43の前記押込み位置の状態では、配線部47aとタッチ検出用電極部44aとの間は断電されている。検波部55は、ダイオードおよびコンデンサなどからなり、発振部53からの高周波信号が負荷抵抗54を介して入力される。また、検波部55の出力は、オペアンプ56を介して増幅およびオフセットされた信号Voutとして図示しない制御装置に入力される。なお、発振部53、負荷抵抗54、検波部55およびオペアンプ56は、パッケージ化された静電容量検出IC57として構成されている。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
使用者の手指Mが前記原位置の状態の操作ボタン43における小形部43aの上面の接触面部43eに近接すると、使用者の手指Mはグランドに接続された状態になっているので、タッチ検出用電極部44aと使用者の手指Mとで可変のコンデンサC(図3参照)が構成される。このような状態において、使用者の手指Mが操作ボタン43の接触面部43eに接触すると、コンデンサCの静電容量の変化はほとんどなくなる。これにより、プリント配線基板47の配線部47aは、導電部材44のタッチ検出用電極部44aと手指Mとから構成されるコンデンサCを介してグランドに接続されることになる。従って、発振部53から出力された高周波信号は、負荷抵抗54の抵抗値とコンデンサCのインピーダンスとで分圧されて検波部55に入力される。
【0033】
その結果、操作ボタン43の接触面部43eに手指Mが触れていない状態と比べて、検波部55に入力される高周波信号のレベルが小さくなるため、検波部55およびオペアンプ56を介して出力される信号Voutのレベルも小さくなる。前記制御装置は、この信号Voutのレベルの変化により操作ボタン43の接触面部43eへの手指Mの接触を検出し、図示しない表示装置の画面において、その操作ボタン43に対応する選択部を暫定的な表示状態にする。
【0034】
その後、操作ボタン43の接触面部43eが手指Mによって押圧操作されることに伴い、操作ボタン43は可撓体48のラバードーム部48cの弾性変形に基づく付勢力に抗して前記原位置から前記押込み位置へ移動され、前記押込み位置において操作ボタン43のスイッチ押圧部43fによりスイッチ49が押圧操作される(図2参照)。これにより、スイッチ49は動作(オン)してオン信号を選択信号として前記制御装置に与えるようになり、前記制御装置は、操作ボタン43に対応する選択部を固定的な表示状態に変化させ、その選択部の選択を決定する。なお、導電部材44の下端部44cに設けられた電気接続部50は、操作ボタン43が前記原位置から前記押込み位置へ移動されることに伴い、プリント配線基板47の配線部47aから離間されるが、タッチ検出後であるのでタッチ検出に問題はない。
【0035】
上記した本実施形態に係るタッチ検出機能付きスイッチ装置は、以下の効果を奏する。
導電部材44はタッチ検出用電極部44aと接続片部44bとを有し、接続片部44bの下端部44cには電気接続部50を有しており、タッチ検出用電極部44aと電気接続部50とは電気的に接続されている。操作ボタン43が前記原位置に移動した状態では、電気接続部50はプリント配線基板47の配線部47aと接触しそれらは電気的に接続され、タッチ検出用電極部44aと配線部47aとは電気的に接続されるため、これらを接続するための接続線が不要となる。このため、タッチ検出機能付きスイッチ装置の製造過程における接続工程が不要となり組み付け性がよく、接続線が無いため接続部分に用いる半田付けの必要性がなく、接続部の劣化も無いため、スイッチ装置の押圧操作に対する耐久性がよい。
【0036】
さらに、操作ボタン43は前記原位置に移動した状態で可撓体48により図1における上方に付勢されており、電気接続部50も操作ボタン43とともに上方に付勢されている。このため、電気接続部50の接触部50aはプリント配線基板47の裏面に設けられた配線部47aに押圧され接触し、導電部材44と配線部47aとは確実に電気的に接続される。
【0037】
さらに、電気接続部50は弾性体である。このため、配線部47aと電気接続部50との接触面に仮に異物が入り込んだ場合でも、接触部50aが弾性変形して配線部47aと接触部50aとは接触し、より確実に配線部47aと電気接続部50とは電気的に接続される。
【0038】
さらに、タッチ検出用電極部44aは、接触面部43eとの離間距離が一定になるように操作ボタン43の上面部43dに埋設されている。このため、手指Mが接触面部43eに接触した状態でのコンデンサCの静電容量はばらつくことはなく、コンデンサCのインピーダンスは安定し、負荷抵抗54の抵抗値とコンデンサCのインピーダンスとで分圧されて検波部55に入力される発振部53から出力された高周波信号も安定するため、前記制御装置は確実に操作ボタン43へのタッチ操作を検出することができる。
【0039】
さらに、導電部材44のタッチ検出用電極部44aは、操作ボタン43の接触面部43eの裏側全体に亘ってこれに沿って配置されている。このため、接触面部43eのどこに手指Mが接触しても前記制御装置は確実に操作ボタン43へのタッチ操作を検出することができる。
【0040】
さらに、タッチ検出用電極部44aは、操作ボタン43の接触面部43eの裏側に亘ってこれに沿って配置され、操作ボタン43の表面に露出することはない。このため、タッチ検出用電極部44aがタッチ検出機能付きスイッチ装置の意匠を制約することは少ない。
【0041】
さらに、導電部材44は操作ボタン43とともに移動し、操作ボタン43の前記押込み位置では、導電部材44に設けられた電気接続部50はプリント配線基板47の配線部47aから離間する。このため、導電部材44は伸縮することはなく耐久性がよい。
【0042】
(その他の実施形態)
以上説明したタッチ検出機能付きスイッチ装置は、上記し図示した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適宜変更して適用可能である。例えば、上記した実施形態では、接続片部44bの下端部44cは、可撓体48のシート部48bに設けられた貫通孔48dおよびプリント配線基板47の貫通孔47bを貫通し、プリント配線基板47の裏側に位置される。しかし、これに限られることはなく、プリント配線基板47の内周縁部に配置された操作ボタン43において、その接続片部44bの下端部44cは、可撓体48のシート部48bおよびプリント配線基板47の端から通過させて、プリント配線基板47の裏側に位置されてもよい。
【0043】
また、上記した実施形態では、電気接続部50は、導電部材44の下端部44cに固定され、操作ボタン43の押圧操作に伴い配線部47aに対して接離可能に設けられている。しかし、これに限るものではなく、導電部材44の下端部44cを曲成して、操作ボタン43の押圧操作に伴い配線部47aに対して接離可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
図面中、43は操作ボタン(操作部材)、43eは接触面部、43fはスイッチ押圧部、44は導電部材、44aはタッチ検出用電極部、47はプリント配線基板(配線基板)、47aは配線部、49はスイッチ(スイッチ要素)、50は電気接続部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に配線部を有した配線基板と、
前記配線基板の表面に設けられた押圧操作式のスイッチ要素と、
手指が接触される接触面部を有するとともにスイッチ押圧部を有し、前記配線基板の表面側に位置させて原位置と押込み位置との間で往復移動可能に設けられ、前記接触面部が手指によって押圧操作されることに伴い前記原位置から前記押込み位置へ移動され、前記押込み位置で前記スイッチ押圧部により前記スイッチ要素を押圧操作する操作部材と、
前記操作部材に当該操作部材とともに移動するように設けられ、一端部に前記接触面部の裏側にこれに沿って配置されたタッチ検出用電極部を有する導電部材と、
前記導電部材の他端部に前記タッチ検出用電極部と電気的に接続されて設けられ、前記配線基板の裏側に配置されて前記配線部に対し接離可能な電気接続部と、を備え、
前記操作部材が前記原位置に移動した状態で前記電気接続部が前記配線部に接触してそれらが電気的に接続されることを特徴とするタッチ検出機能付きスイッチ装置。
【請求項2】
前記電気接続部は、導電性を有する弾性体により構成されていることを特徴とする請求項1記載のタッチ検出機能付きスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−249108(P2011−249108A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120437(P2010−120437)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】