説明

タンクミキサーの制御システム

【課題】運転管理システムにおいて、対象となるタンクの操油作業のJOB開始/終了のタイミング(JOBと連動)で、そのタンクの他のJOBでの使用状況や、タンク在庫量(レベル)、タンクミキサー使用の競合、およびその他の諸状況を、運転管理システムが判断して、自動的にタンクミキサーの稼動・停止の制御を自動的に行い、省力化と誤操作の防止を図ることが可能なタンクミキサーの制御システムを提供する。
【解決手段】タンク内部に貯留された流体を撹拌するためのタンクミキサーの制御システムであって、タンクの使用状況と、前記タンクの使用状況に応じて、事前に登録された判断基準に基づいて、コンピューターによってタンクミキサーの稼働・停止を判断し、コンピューターからの命令によってタンクミキサーの稼働・停止を自動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク内部に貯留された流体を撹拌するためのタンクミキサーの稼働・停止を自動制御するためのタンクミキサーの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、LPGや、ガソリン、灯油、軽油などの燃料油などからなる石油製品や、エンジン油、ギヤ油などの潤滑油、これらの性能を向上するための添加剤、ベンゼン、アスファルトなどの石油半製品など(以下、「石油製品」と言う)を製造する場合には、図1に示したように、例えば、以下のような各操油作業が行われている。
(1) タンク入荷(外航船入荷/内航船入荷)
原油をタンカー10から受け入れて、原油タンク12に受け入れる作業
(2) タンク間移送
タンク14からタンク12へ油を移送する作業
(3)装置への原料供給(チャージ)
タンクから各種装置へ、例えば、原油タンク12から蒸留装置16へ、半製品タンク18から各種の処理装置20などの装置への原料油などの供給作業
(4)タンク調合(ブレンド)
例えば、複数の半製品タンク19の油を、ブレンダーで調合し、製品タンク22へ受け入れる作業
(5)タンク循環(攪拌)
タンク、例えば、製品タンク22内の油を均一にするためや、製品タンク22内の油に添加剤を投入するために、1基のタンクの油を循環ライン24を通して循環させる作業
(6)海上/陸上出荷
製品タンク22から、タンカー26、タンクローリ28などを介して出荷する作業
従来、このような操油作業を実行する際には、運転管理システムにて予め作業(以下、「JOB」と言う)を予約して、作業開始時にJOBを実行しており、これにより、タンクや配管の設備であるバルブ、ポンプなどを自動制御して、操油作業を行っている。
【0003】
この操油作業において、欠かすことのできないタンク設備は、原油、半製品、製品などの油の貯蔵や受払い作業の際に使用されるものであり、その付属設備として、タンクミキサーが設置されている。
【0004】
このタンクミキサーの目的は、原油の貯蔵に伴うスラッジの堆積防止、油の受払いに伴う品質の均一化を行うものである。
すなわち、上記(1)タンク入荷(外航船入荷/内航船入荷)作業において、受け入れ作業中は、受け入れ油の品質を均一化する目的で、タンクミキサーを稼動させる必要がある。
【0005】
また、上記(2)タンク間移送作業、(3)装置への原料供給(チャージ)、(4)タンク調合(ブレンド)、(5)タンク循環(攪拌)、(6)海上/陸上出荷のいずれにおいても、タンク内の流体の品質の均一化を行うために、タンクミキサーを稼動させる必要がある。
【0006】
さらに、これらの作業においては、タンク内の流体の品質を均一化させる目的で、作業終了後以降も作業終了後、一定起動時間タンクミキサーを稼動させ、所定時間後にタンクミキサーを停止させることが行われている。
【0007】
一方、上記(1)タンク入荷(外航船入荷/内航船入荷)作業において、特に、外航船入荷の場合は、税関のいわゆる「検尺作業」が行われるようになっている。
このため、タンク液面や内部油が動いていると正確な検尺作業ができないため、検尺予定の所定時間前に、すなわち、入荷の前に行われるいわゆる「前検尺(前尺)」、入荷後に行われるいわゆる「後検尺(後尺)」作業の所定時間前に、タンクミキサーを事前に停止する必要がある。
【0008】
また、上記(3)装置への原料供給(チャージ)作業において、例えば、半製品タンク18などから蒸留装置20などの処理装置への原料供給において、タンクミキサーを稼動した状態で原料供給を実施した場合には、半製品タンク18などのタンク内に滞留するスラッジなどの不要成分を混入させてしまうケースがあるので、原料供給作業中(JOBの開始から終了までの間)は、タンクミキサーの稼動を禁止するような運用が行われている。
【0009】
従って、原料供給のJOB開始時に、タンクミキサーが既に稼動している際には、タンクミキサーを停止させる必要がある。また、原料供給のJOBの終了時に、その他のタンクミキサーを稼動させる必要がある作業形態が実行中の時は、停止していたタンクミキサーを稼動させる必要がある。
【0010】
また、タンクミキサーの稼動・停止において、タンクの在庫レベルが低い場合は、タンクミキサーのプロペラが液面に近い状態で稼動すると、静電気などが発生して、好ましくないので、タンク毎にミキサーが稼動できる最低レベルを設定しており、稼動可能な最低レベル以下の状態では、タンクミキサーを稼動させず停止する必要がある。
【0011】
さらに、これらの作業におけるJOBとは無関係に、スラッジ発生の減少、品質の均一化等の目的で所定時間タンクミキサーを稼働させる必要もある。さらには、1つのタンクに複数台のタンクミキサーを備える場合には、電力過剰を抑える目的で、これらのタンクミキサーを同時に稼動させずに、順番に稼動させる運用が行われている。
【特許文献1】特開昭60−202781号公報
【特許文献2】特開2006−225507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、このような一連の作業において、タンクミキサーの稼動・停止(ON/OFF)操作は、従来では、作業員が行っているのが現状である。
すなわち、従来では、図16に示したように、運転管理システムの各種の操油作業(JOB)を監視して、タンクの使用状況によりタンクミキサーを稼動(起動)するタイミング、および停止するタイミングを判断して、その都度熟練した作業員が現場に出向いて、タンクのレベルをタンクレベル計で監視しつつ、手動でタンクミキサーの稼動・停止を操作する必要がある。
【0013】
このため、このような運転管理システムでの監視、現場での稼動・停止操作などの煩雑な作業が必要で、稼動・停止の誤操作が発生するおそれがあり、また、熟練した監視要員、操作要員を確保する必要で、コストが高くつくことにもなる。
【0014】
本発明は、このような現状に鑑み、運転管理システムにおいて、対象となるタンクの操油作業のJOB開始/終了のタイミング(JOBと連動)で、そのタンクの他のJOBでの使用状況や、タンク在庫量(レベル)、タンクミキサー使用の競合、およびその他の諸状況を、運転管理システムが判断して、自動的にタンクミキサーの稼動・停止の制御を自動的に行い、省力化と誤操作の防止を図ることが可能なタンクミキサーの制御システムを
提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前述したような従来技術における課題および目的を達成するために発明されたものであって、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
タンク内部に貯留された流体を撹拌するためのタンクミキサーの制御システムであって、
前記タンクの使用状況と、前記タンクの使用状況に応じて、事前に登録された判断基準に基づいて、コンピューターによってタンクミキサーの稼働・停止を判断し、コンピューターからの命令によってタンクミキサーの稼働・停止を自動制御することを特徴とする。
【0016】
このように構成することによって、タンクの使用状況と、このタンクの使用状況に応じて、事前に登録された判断基準に基づいて、コンピューターによってタンクミキサーの稼働・停止を判断し、コンピューターからの命令によってタンクミキサーの稼働・停止を自動制御することができるので、従来のように、運転管理システムでの監視、現場での稼動・停止操作などの煩雑な作業が不要で、稼動・停止の誤操作が発生するおそれがなく、また、熟練した監視要員、操作要員を確保することが不要で、コストを低減することができ、省力化と誤操作の防止を図ることが可能なタンクミキサーの制御システムを提供することが可能である。
【0017】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、前記タンクの使用状況が、作業区分に基づいたタンクの使用状況であることを特徴とする。
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、前記作業区分が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環、または、装置チャージであることを特徴とする。
【0018】
このように、タンクの使用状況が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環、または、装置チャージなどの作業区分に基づいたタンクの使用状況であるので、これらの作業区分に応じて、諸状況を、運転管理システムが判断して、自動的にタンクミキサーの稼動・停止の制御を自動的に行い、省力化と誤操作の防止を図ることが可能である。
【0019】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記タンクの使用状況が、前記作業区分における、JOB管理オペレーション、タンクミキサー目的別操作オペレーション、タンクレベル計測オペレーション、または、タンクレベルデータ操作オペレーション、DCS操作オペレーションに基づく作業種別によるタンクの使用状況であることを特徴とする。
【0020】
このようにタンクの使用状況が、JOB管理オペレーション、タンクミキサー目的別操作オペレーション、タンクレベル計測オペレーション、または、タンクレベルデータ操作オペレーション、DCS操作オペレーションに基づく作業種別によるタンクの使用状況であるので、これらのオペレーションに応じて、運転管理システムが判断して、自動的にタンクミキサーの稼動・停止の制御を自動的に行い、省力化と誤操作の防止を図ることが可能である。
【0021】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記JOB管理オペレーションにおけるJOBの開始時に、前記作業区分が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環である場合に、
前記タンクミキサーが停止中の場合は、タンクミキサーを稼働するように構成されていることを特徴とする。
【0022】
このようにJOB管理オペレーションにおけるJOBの開始時に、作業区分が、タンク
入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環である場合に、タンクミキサーが停止中の場合は、タンクミキサーを稼働するように構成されているので、自動的にタンクミキサーが稼動して、これらの作業の際に、原油の貯蔵に伴うスラッジの堆積防止、油の受払いに伴う品質の均一化を図ることができる。
【0023】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記JOB管理オペレーションにおけるJOBの開始時に、前記作業区分が、装置チャージである場合に、
前記タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする。
【0024】
このように、JOB管理オペレーションにおけるJOBの開始時に、作業区分が、装置チャージである場合に、タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクミキサーを停止するように構成されているので、例えば、半製品タンクなどから蒸留装置などの処理装置への原料供給において、タンクミキサーを稼動した状態で原料供給を実施した場合にも、タンクミキサーの稼動が自動的に停止状態となる。
【0025】
従って、半製品タンクなどのタンク内に滞留するスラッジなどの不要成分を混入させてしまうことがなく、均一な品質の原料を処理装置に供給でき、一定の品質の処理を行うことができる。
【0026】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、前記作業区分が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環である場合に、
前記タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする。
【0027】
このように、JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環である場合に、タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクミキサーを停止するように構成されているので、これらの作業が終了した時点で、タンクミキサーが停止するので、余分なタンクミキサーの稼動を防止でき、電力の消費などを抑えることができる。
【0028】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分がタミキサーを一定時間稼働する必要のある場合、作業時間が、タンクミキサー稼働必要時間を下回る場合には、タイマーによって、タンクミキサー稼働必要時間が終了した時に、タンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする。
【0029】
このように、JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、例えば、作業区分がタンク入荷作業などミキサーを一定時間稼働する必要のある場合に、タイマーによって、タンクミキサー稼働必要時間が終了した時に、タンクミキサーを停止するように構成されているので、スラッジ発生の減少、品質の均一化等の目的で所定時間タンクミキサーを稼働させることができる。
【0030】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分が作業終了後一定時間ミキサーを起動する必要がある場合は、タイマーによって、作業終了後一定起動時間が終了した時に、タンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする。
【0031】
このように、JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、例えば、作業区分がタンク間移送等の作業終了後一定時間ミキサーを起動する必要がある場合に、作業終了後一定起動時間が終了した時に、タンクミキサーを停止するように構成されているので、スラッジ発生の減少、品質の均一化等の目的で所定時間タンクミキサーを稼働させることができる。
【0032】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記タンクミキサー目的別操作オペレーションによって、タンクミキサーの稼働・停止が設定できるように構成されていることを特徴とする。
【0033】
このように構成することによって、タンクミキサー目的別操作オペレーション、すなわち、いわゆる「目的別オペレーション」によって、目的別起動、目的別停止、運転時間変更など、個別にタンクの使用状況、目的などに応じて、タンクミキサーの稼動・停止の制御を自動的に行うことが可能である。
【0034】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記タンクレベル計測オペレーションによる停止要求時に、前記タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクレベル計測の所定時間前にタンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする。
【0035】
このようにタンクレベル計測オペレーションによる停止要求時に、タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクレベル計測の所定時間前にタンクミキサーを停止するように構成されているので、例えば、外航船入荷の場合の、税関のいわゆる「検尺作業」が行われる場合に、入荷の前に行われるいわゆる「前検尺(前尺)」、入荷後に行われるいわゆる「後検尺(後尺)」作業の所定時間前に、タンクミキサーを事前に停止することができ、タンク液面や内部油が静止状態になっており、正確な検尺作業を実施することができる。
【0036】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記タンクレベルデータ操作オペレーションによって、
前記タンクレベルが所定のレベル以上になった場合に、
前記タンクミキサーが停止中で、タンクミキサー使用のJOB管理オペレーションがある場合に、タンクミキサーを稼働するように構成されるとともに、
前記タンクレベルが所定のレベル未満になった場合に、
前記タンクミキサーが稼働中である場合に、タンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする。
【0037】
このように構成することによって、タンクの在庫レベルが低い場合は、タンクミキサーのプロペラが液面に近い状態で稼動することがないので、静電気などが発生せず、また、タンクレベルが所定のレベル以上になった場合に、タンクミキサー使用のJOB管理オペレーションがある場合に、タンクミキサーを確実に稼働することができ、スラッジ発生の減少、品質の均一化等を図ることができる。
【0038】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記DCS操作オペレーションによって、タンクミキサーの稼働・停止が設定できるように構成されていることを特徴とする。
【0039】
このように、DCS(Distributed Control System)に対して、DCSでのいわゆる「1タグ操作」で、必要に応じて、直接タンクミキサーの稼動・停止を行うことができる。
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記作業種別の各オペレーションが競合した場合には、後に行われるオペレーションに
よるタンクミキサーの稼働・停止が優先されるように構成されていることを特徴とする。
【0040】
このように構成することによって、後に行われるオペレーションによるタンクミキサーの稼働・停止が優先されるので、誤動作を防止することができ、現在実施されているオペレーションに応じて、タンクミキサーの稼働・停止を自動的に実施することでき、スラッジ発生の減少、品質の均一化等を図ることができる。
【0041】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記作業種別の各オペレーションが競合した場合には、前記タンクミキサー目的別操作オペレーションによって停止したミキサーに対しては、JOB管理オペレーション、タンクレベルデータ操作オペレーションによっては、タンクミキサーを稼働しないように構成されていることを特徴とする。
【0042】
このように、タンクミキサー目的別操作オペレーションによって停止したミキサーに対して、JOB管理オペレーション、タンクレベルデータ操作オペレーションによっては、タンクミキサーを稼働しないので、目的別に応じて、タンクミキサー目的別操作オペレーションによって停止したミキサーが不用意に稼動することがなく、安全性の確保、電力消費の削減を図ることができる。
【0043】
また、本発明のタンクミキサーの制御システムは、
前記作業種別の各オペレーションが競合した場合には、前記タンクレベルが所定のレベル未満になった場合には、稼働中のタンクミキサーが最優先で停止されるように構成されていることを特徴とする。
【0044】
このようにタンクレベルが所定のレベル未満になった場合には、稼働中のタンクミキサーが最優先で停止されるので、タンクの在庫レベルが低い場合に、タンクミキサーのプロペラが液面に近い状態で稼動することがないので、静電気などが発生することがない。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、タンクの使用状況と、このタンクの使用状況に応じて、事前に登録された判断基準に基づいて、コンピューターによってタンクミキサーの稼働・停止を判断し、コンピューターからの命令によってタンクミキサーの稼働・停止を自動制御することができるので、従来のように、運転管理システムでの監視、現場での稼動・停止操作などの煩雑な作業が不要で、稼動・停止の誤操作が発生するおそれがなく、また、熟練した監視要員、操作要員を確保することが不要で、コストを低減することができ、省力化と誤操作の防止を図ることが可能なタンクミキサーの制御システムを提供することが可能である。
【0046】
また、本発明によれば、タンクの使用状況が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環、または、装置チャージなどの作業区分に基づいたタンクの使用状況であるので、これらの作業区分に応じて、諸状況を、運転管理システムが判断して、自動的にタンクミキサーの稼動・停止の制御を自動的に行い、省力化と誤操作の防止を図ることが可能である。
【0047】
また、本発明によれば、タンクの使用状況が、JOB管理オペレーション、タンクミキサー目的別操作オペレーション、タンクレベル計測オペレーション、または、タンクレベルデータ操作オペレーション、DCS操作オペレーションに基づく作業種別によるタンクの使用状況であるので、これらのオペレーションに応じて、運転管理システムが判断して、自動的にタンクミキサーの稼動・停止の制御を自動的に行い、省力化と誤操作の防止を図ることが可能である。
【0048】
また、本発明によれば、JOB管理オペレーションにおけるJOBの開始時に、作業区分が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環である場合に、タンクミキサーが停止中の場合は、タンクミキサーを稼働するように構成されているので、自動的にタンクミキサーが稼動して、これらの作業の際に、原油の貯蔵に伴うスラッジの堆積防止、油の受払いに伴う品質の均一化を図ることができる。
【0049】
また、本発明によれば、JOB管理オペレーションにおけるJOBの開始時に、作業区分が、装置チャージである場合に、タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクミキサーを停止するように構成されているので、例えば、半製品タンクなどから蒸留装置などの処理装置への原料供給において、タンクミキサーを稼動した状態で原料供給を実施した場合にも、タンクミキサーの稼動が自動的に停止状態となる。
【0050】
従って、半製品タンクなどのタンク内に滞留するスラッジなどの不要成分を混入させてしまうことがなく、均一な品質の原料を処理装置に供給でき、一定の品質の処理を行うことができる。
【0051】
また、本発明によれば、JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環である場合に、タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクミキサーを停止するように構成されているので、これらの作業が終了した時点で、タンクミキサーが停止するので、余分なタンクミキサーの稼動を防止でき、電力の消費などを抑えることができる。
【0052】
また、本発明によれば、JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分がタンク入荷作業などミキサーを一定時間稼働する必要のある場合に、タイマーによって、タンクミキサー稼働必要時間が終了した時に、タンクミキサーを停止するように構成されているので、スラッジ発生の減少、品質の均一化等の目的で所定時間タンクミキサーを稼働させることができる。
【0053】
また、本発明によれば、JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分がタンク間移送等の作業終了後一定時間ミキサーを起動する必要がある場合に、作業終了後一定起動時間が終了した時に、タンクミキサーを停止するように構成されているので、スラッジ発生の減少、品質の均一化等の目的で所定時間タンクミキサーを稼働させることができる。
【0054】
また、本発明によれば、タンクミキサー目的別操作オペレーション、すなわち、いわゆる「目的別オペレーション」によって、目的別起動、目的別停止、運転時間変更など、個別にタンクの使用状況、目的などに応じて、タンクミキサーの稼動・停止の制御を自動的に行うことが可能である。
【0055】
また、本発明によれば、タンクレベル計測オペレーションによる停止要求時に、タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクレベル計測の所定時間前にタンクミキサーを停止するように構成されているので、例えば、外航船入荷の場合の、税関のいわゆる「検尺作業」が行われる場合に、入荷の前に行われるいわゆる「前検尺(前尺)」、入荷後に行われるいわゆる「後検尺(後尺)」作業の所定時間前に、タンクミキサーを事前に停止することができ、タンク液面や内部油が静止状態になっており、正確な検尺作業を実施することができる。
【0056】
また、本発明によれば、タンクの在庫レベルが低い場合は、タンクミキサーのプロペラが液面に近い状態で稼動することがないので、静電気などが発生せず、また、タンクレベルが所定のレベル以上になった場合に、タンクミキサー使用のJOB管理オペレーション
がある場合に、タンクミキサーを確実に稼働することができ、スラッジ発生の減少、品質の均一化等を図ることができる。
【0057】
また、本発明によれば、DCS(Distributed Control System)に対して、DCSでのいわゆる「1タグ操作」で、必要に応じて、直接タンクミキサーの稼動・停止を行うことができる。
【0058】
また、本発明によれば、後に行われるオペレーションによるタンクミキサーの稼働・停止が優先されるので、誤動作を防止することができ、現在実施されているオペレーションに応じて、タンクミキサーの稼働・停止を自動的に実施することでき、スラッジ発生の減少、品質の均一化等を図ることができる。
【0059】
また、本発明によれば、タンクミキサー目的別操作オペレーションによって停止したミキサーに対して、JOB管理オペレーション、タンクレベルデータ操作オペレーションによっては、タンクミキサーを稼働しないので、目的別に応じて、タンクミキサー目的別操作オペレーションによって停止したミキサーが不用意に稼動することがなく、安全性の確保、電力消費の削減を図ることができる。
【0060】
また、本発明によれば、タンクレベルが所定のレベル未満になった場合には、稼働中のタンクミキサーが最優先で停止されるので、タンクの在庫レベルが低い場合に、タンクミキサーのプロペラが液面に近い状態で稼動することがないので、静電気などが発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明のタンクミキサーの制御システムを適用する操油作業全体の概略図、図2は、本発明のタンクミキサーの制御システムの構成概略図、図3は、本発明のタンクミキサーの制御システムの作動を説明する概略図である。
【0062】
図1の操油作業全体については、その各操油作業については、上記の背景技術の欄において説明したので、その詳細については省略する。
図2に示したように、本発明のタンクミキサーの制御システム30は、コンピューターなどからなる運転管理システム32を備えており、この運転管理システム32には、予め作業毎に決められた操油作業(JOB)34が、RAMなどの記憶装置に記憶されるようになっている。
【0063】
そして、運転管理システム32には、モニター36を備えており、これにより、符号38で示したように、各種作業の稼動状況、タンクミキサーの稼動状況を、コンピューター38の監視画面で監視することができるようになっている。
【0064】
また、現場のタンク40は、DCS(Distributed Control System)41を介して、タンク40に設けられたタンクミキサー42のモーター44を制御することができるように、運転管理システム32に接続されている。
【0065】
なお、図2では、1台だけのタンク40を示しているが、操油作業に応じて、複数の
タンク40が、DCS41を介して、運転管理システム32に接続されている。さらに、図示していないが、タンク40の配管のバルブ、流量計などの機器にも、DCS41を介して、運転管理システム32に接続され、運転管理システム32において、各種の操油作業の管理が行えるようになっている。
【0066】
また、タンク40に付設されたタンクレベル計46と、運転管理システム32のモニター36が接続されており、タンク40内の流体の液面レベルを監視することができるようになっている。
【0067】
なお、本発明のタンクミキサーの制御システム30では、万一の事態に備えて、タンク40に手動稼動・停止装置48を備えており、作業員が手動で、タンクミキサー42の稼動・停止を実施することができるようになっている。
【0068】
なお、図3に示したように、必要に応じて、メンテナンス52による一定作業の実施、各種のメッセージ54の表示、メッセージログ56の保存が行えるように構成されている。
【0069】
このように構成される本発明のタンクミキサーの制御システム30では、図3に示したように、タンクミキサー42の稼動・停止が、それぞれ下記のようなオペレーションに基づいて制御されるようになっている。このような各種のオペレーションにおいて、本発明のタンクミキサーの制御システム30で行われる制御について、以下に説明する。
(A)JOB管理オペレーション
後述するように、外航船入荷、装置への原料供給(チャージ)等のJOBの開始、終了等のタイミングでタンクミキサー42の稼動・停止が行われる。
【0070】
このJOB管理オペレーションでは、上記の背景技術の欄において説明した、
(1)タンク入荷(外航船入荷/内航船入荷)
(2)タンク間移送
(3)装置への原料供給(チャージ)
(4)タンク調合(ブレンド)
(5)タンク循環(攪拌)
(6)海上/陸上出荷
について、運転管理システム32には、予め作業毎に決められた操油作業(JOB)34について制御される。
(A−1)JOBの開始時の処理
(イ)タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環である場合
JOB管理オペレーションにおけるJOBの開始時に、作業区分が、(1)タンク入荷、(2)タンク間移送、(4)タンク調合、(5)タンク循環である場合に、タンクミキサー42が停止中の場合は、タンクミキサー42を稼働するように制御される。
【0071】
このように構成することによって、自動的にタンクミキサー42が稼動して、これらの作業の際に、原油の貯蔵に伴うスラッジの堆積防止、油の受払いに伴う品質の均一化を図ることができる。
(ロ) 装置への原料供給(チャージ)である場合
JOB管理オペレーションにおけるJOBの開始時に、作業区分が、(3)装置への原料供給(チャージ)である場合に、タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクミキサーを停止するように制御される。
【0072】
このように構成することによって、例えば、半製品タンク18などから蒸留装置20などの処理装置への原料供給において、タンクミキサー42を稼動した状態で原料供給を実施した場合にも、タンクミキサー42の稼動が自動的に停止状態となる。
【0073】
従って、半製品タンク18などのタンク内に滞留するスラッジなどの不要成分を混入させてしまうことがなく、均一な品質の原料を処理装置に供給でき、一定の品質の処理を行うことができる。
(A−2)JOBの終了時の処理
(イ)タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環である場合
JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分が、(1)タンク入荷、(2)タンク間移送、(4)タンク調合、(5)タンク循環である場合に、タンクミキサー42が稼動中の場合は、タンクミキサー42を停止するように制御される。
【0074】
このように構成することによって、これらの作業が終了した時点で、タンクミキサー42が停止するので、余分なタンクミキサー42の稼動を防止でき、電力の消費などを抑えることができる。
(ロ) 装置への原料供給(チャージ)である場合
JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分が、(3)装置への原料供給(チャージ)である場合に、タンクミキサーが停止中の場合で、他のJOB管理オペレーションがある場合には、タンクミキサー42を稼動するように制御される。
(ハ)タイマー管理
JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分が、(1)タンク入荷作業などミキサーを一定時間稼働する必要のある場合、作業時間が、タンクミキサー稼働必要時間を下回る場合には、タイマーによって、タンクミキサー稼働必要時間が終了した時に、タンクミキサーを停止するように制御される。
【0075】
また、JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分が(2)タンク間移送等の作業終了後一定時間ミキサーを起動する必要がある場合は、タイマーによって、作業終了後一定起動時間が終了した時に、タンクミキサーを停止するように制御される。
【0076】
このように構成することによって、スラッジ発生の減少、品質の均一化等の目的で所定時間タンクミキサー42を稼働させることができる。
(A−3)JOB管理オペレーションの具体例
(1)タンク入荷のJOB管理オペレーション
タンク入荷を一例として、JOB管理オペレーションの具体例について説明する。
【0077】
図4に示したように、入荷作業開始の時点で、タンクミキサー42を稼動(起動)して、稼動状態にし、入荷作業時間が「ミキサー稼動必要時間」以上の時は、入荷作業終了の時点でミキサーを停止するように制御される。
【0078】
一方、図5に示したように、入荷作業開始の時点で、タンクミキサー42を稼動(起動)して、稼動状態にし、入荷作業時間が「ミキサー稼動必要時間」未満の時は、入荷作業の終了時には、タンクミキサー42を停止せず、タイマーで管理して、その差の時間後にタンクミキサー42を停止する。
(2)タンク調合などのJOB管理オペレーション
図6に示したように、タンク調合などのJOB管理オペレーションでは、タンクレベルが「ミキサー停止レベル」を超えている時に、JOB開始でタンクミキサー42の起動を行い、JOB中断にてタンクミキサー42の停止を行うようになっている。
【0079】
そして、このようにタンクミキサー42の稼動を一時停止した後、再度JOB開始でタンクミキサー42の稼動を行うようになっている。
また、JOBの終了時には、タンクミキサー42を停止せず、タイマーで管理して、作業終了後一定起動x時間の経過後にタンクミキサー42を停止するように制御される。
(B)タンクミキサー目的別操作オペレーション
JOBとは無関係に、スラッジ発生の減少、品質の均一化等の目的で所定時間タンクミキサーを稼働させるなどの目的別で、タンクミキサー42の稼動・停止が、コンピュータ
ー38の監視画面で行えるようになっている。
【0080】
すなわち、図7に示したように、コンピューターのモニターの操作画面の目的別オペレーションメニューの、タンクミキサー操作ボタンAをクリックすることによって、予め記憶されたプログラムに基づいて、タンクミキサー42の稼動・停止が、コンピューター38の監視画面で行えるようになっている。なお、図7では、説明の便宜上、タンクミキサー操作ボタンA、タンク加熱操作ボタン、ライン加熱操作ボタンのみを示しており、その他のボタンは目的別操作を省略して示している。
【0081】
このように構成することによって、タンクミキサー目的別操作オペレーション、すなわち、いわゆる「目的別オペレーション」によって、目的別起動、目的別停止、運転時間変更など、個別にタンクの使用状況、目的などに応じて、タンクミキサー42の稼動・停止の制御を自動的に行うことが可能である。
(C)タンクレベル計測オペレーション
外航船入荷の場合の、税関のいわゆる「検尺作業」が行われる場合に、入荷の前に行われるいわゆる「前検尺(前尺)」、入荷後に行われるいわゆる「後検尺(後尺)」作業の所定時間前に、タンクミキサー42を事前に停止するように制御されるようになっている。
【0082】
このようにタンクレベル計測オペレーションによる停止要求時に、タンクミキサー42が稼働中の場合は、タンクレベル計測の所定時間前にタンクミキサーを停止するように構成されているので、例えば、外航船入荷の場合の、税関のいわゆる「検尺作業」が行われる場合に、入荷の前に行われるいわゆる「前検尺(前尺)」、入荷後に行われるいわゆる「後検尺(後尺)」作業の所定時間前に、タンクミキサー42を事前に停止することができ、タンク液面や内部油が静止状態になっており、正確な検尺作業を実施することができる。
(C−1) 入荷作業での静置時間
(1) 入荷作業での静置時間の基本の制御
図8に示したように、外航船入荷作業に伴う輸入検尺の「前検尺(前尺)」作業の際には、タンク静置のために、前尺予定時刻(図8の左側の三角のマークの時点)に対して、n時間前にタンクミキサー42を停止するように制御される。
【0083】
そして、タンクのJOB開始で、タンクミキサー42が稼動され、図8の点線で示したように、JOB終了時に入荷作業時間が、ミキサー稼動必要時間(K)未満の場合には、その差分により、ミキサー停止時間を求め、タイマーによって、図8の右側の実線で示したように、タンクミキサー42を停止するように制御されるようになっている。
【0084】
なお、図8の実施例では、図8の右側の点線で示したように、入荷後に行われる「後検尺(後尺)」作業の後尺予定時刻(図8の右側の四角のマークの時点)に対して、m時間前よりも、このタイマーによるミキサー停止時刻が前になっている。
【0085】
これに対して、図9に示したように、入荷後に行われる「後検尺(後尺)」作業の後尺予定時刻(図9の右側の四角のマークの時点)に対して、m時間前の時刻が、このタイマーによるミキサー停止時刻よりも前になる場合には、後尺予定時刻(図9の右側の四角のマークの時点)に対して、m時間前の時点で、図9の右側の実線で示したように、タンクミキサー42を強制的に停止するように制御される。
【0086】
一方、図10に示したように、入荷後に行われる「後検尺(後尺)」作業の後尺予定時刻(図10の右側の四角のマークの時点)に対して、m時間前の時刻が、このタイマーによるミキサー停止時刻よりも後になる場合には、図10の右側の実線で示したように、J
OB終了時にタンクミキサー42を強制的に停止するように制御される。
(2)入荷作業でのタンク切替
図11に示したように、入荷作業において、受け入れタンクの切り替え作業は、受入タンク(A)のJOB終了と、受入タンク(B)のJOB開始にて切り替わるものであって、作業的な内容は、いずれも、上記(1)の「入荷作業での静置時間の基本の制御」の入荷作業と同様である。
【0087】
なお、この実施例では、外航船入荷作業に伴う輸入検尺について説明したが、その操油作業以外のプラントなどにおいても、タンクレベルを測定する必要がある場合には、上記と同様な制御を行えばよい。
(D)タンクレベルデータ操作オペレーション
タンク40に付設されたタンクレベル計46に基づいて、タンクミキサー42のプロペラの液面レベルに設定された所定の稼動MINレベルの到達、復帰のタイミングでタンクミキサー42の稼動・停止が行われる。
【0088】
このように構成することによって、タンクの在庫レベルが低い場合は、タンクミキサー42のプロペラが液面に近い状態で稼動することがないので、静電気などが発生せず、また、タンクレベルが所定のレベル以上になった場合に、タンクミキサー42使用のJOB管理オペレーションがある場合に、タンクミキサー42を確実に稼働することができ、スラッジ発生の減少、品質の均一化等を図ることができる。
(E)DCS操作オペレーション
DCS41に対して、DCS41でのいわゆる「1タグ操作」50で、必要に応じて、直接タンクミキサーの稼動・停止を行う。
【0089】
このように、(Distributed Control System)に対して、DCSでのいわゆる「1タグ操作」で、必要に応じて、直接タンクミキサーの稼動・停止を行うことができる。
なお、実際には、これらのオペレーションが競合するように実施されることになるが、基本的には、下記のように制御が行われるようになっている。
(i)後に行われるオペレーションによるタンクミキサーの稼働・停止が優先
後に行われるオペレーションによるタンクミキサーの稼働・停止が優先されるように構成されている。
【0090】
このように構成することによって、後に行われるオペレーションによるタンクミキサーの稼働・停止が優先されるので、誤動作を防止することができ、現在実施されているオペレーションに応じて、タンクミキサーの稼働・停止を自動的に実施することでき、スラッジ発生の減少、品質の均一化等を図ることができる。
(ii)タンクミキサーの非稼働
タンクミキサー目的別操作オペレーションによって停止したミキサーに対しては、JOB管理オペレーション、タンクレベルデータ操作オペレーションによっては、タンクミキサーを稼働しないように構成されている。
【0091】
このように、タンクミキサー目的別操作オペレーションによって停止したミキサーに対して、JOB管理オペレーション、タンクレベルデータ操作オペレーションによっては、タンクミキサーを稼働しないので、目的別に応じて、タンクミキサー目的別操作オペレーションによって停止したミキサーが不用意に稼動することがなく、安全性の確保、電力消費の削減を図ることができる。
(iii)タンクレベルが所定のレベル未満になった場合
タンクレベルが所定のレベル未満になった場合には、稼働中のタンクミキサーが最優先で停止されるように構成されている。
【0092】
このようにタンクレベルが所定のレベル未満になった場合には、稼働中のタンクミキサー42が最優先で停止されるので、タンクの在庫レベルが低い場合に、タンクミキサー42のプロペラが液面に近い状態で稼動することがないので、静電気などが発生することがない。
【0093】
以下に、これらのオペレーションが競合する場合の具体例について、説明する。
(a)JOBで使用時、目的別オペレーションで停止した場合
図12に示したように、タンクミキサー42をJOBで使用中に、目的別オペレーションで停止した場合、JOB終了時点では、タンクミキサー42の稼動状態が、既に目的別オペレーションで「停止中」のため、タイマー監視およびタンクミキサー42の停止は行わないように制御される(図12の右側の点線の矢印参照)。
(b)ミキサー稼働MINレベル未満でのJOBが開始された場合
図13に示したように、JOB開始時に、図13の上側のタンクレベルのグラフに示したように、タンクレベルが「ミキサー停止レベル」以下だった場合には、JOB開始のタイミングでは、図13の左側に示したように、タンクミキサー42の稼動は行われないように制御される。
【0094】
そして、図13の「停止レベルの復帰」の点線の矢印で示したように、タンクレベルが「ミキサー停止レベル」の復帰を受けたタイミングでタンクミキサー42の起動を行うようになっている。
【0095】
また、JOBの終了時には、図13の点線で示したように、目的別オペレーションで既にタンクミキサー42が停止されているので、図13の右側の点線の矢印で示したように、タイマーによる監視およびタイマーによる(タイムアップ)によっては、タンクミキサー42は停止しないように制御される。
(c)JOBで稼働中、目的別オペレーションによる稼動・停止の場合
図14に示したように、JOBの開始と同時に、タンクミキサー42が稼動され(図14の左側の点線の矢印参照)、JOBでタンクミキサー42の使用中に、目的別オペレーションでタンクミキサー42を停止される。
【0096】
このような場合、目的別オペレーションでタンクミキサー42を停止した(図14の左側の点線の矢印参照)後に、更に目的別オペレーションでタンクミキサー42を稼動した時(図14の右側の点線の矢印参照)は、最終操作が「目的別使用」とする。
【0097】
この場合、最終操作が「目的別使用」であるが、図14の右側に示したように、JOB終了時点では、目的別オペレーションでタンクミキサー42が既に稼動中であるので、ミキサー停止時間を、タイマーで監視し、JOB終了時点からタイマー時間を計算して、タイムアップにてタンクミキサー42の停止を行うように制御される(図14の右側の点線の矢印参照)。
(d)目的別オペレーションで稼動後にJOB使用となった場合
図15に示したように、目的別オペレーションでタンクミキサー42を稼動して、タンクミキサー42を稼動中に、タンクミキサー42の使用のJOBを開始した場合(図15の左側の点線参照)は、タンクミキサー42の最終操作を「JOB使用」に変更する。
【0098】
この場合、図15の右側に示したように、JOB終了時点では、タンクミキサー42の最終操作が「JOB使用」であり、しかも、JOB終了時点では、タンクミキサー42が稼動中であるので、作業終了後一定起動x時間のタイムアップにてタンクミキサー42の停止を行うように制御される(図15の右側の点線の矢印参照)。
【0099】
なお、オペレーションが競合する場合の上記の(a)〜(d)の実施例は、あくまでも
例示であって、その他のオペレーションが競合する場合にも、上記(i)〜(iii)の制御基準に基づいて制御するようにすれば良い。
【0100】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、操油作業の場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、流体であれば、石油製品に限定されるものではなく、例えば、コンクリート、化学製品、食用油、飼料、塗料などのその他の流体、粉体、粉粒体を扱うタンクなどのプラントなどにも適用可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、本発明のタンクミキサーの制御システムを適用する操油作業全体の概略図である。
【図2】図2は、本発明のタンクミキサーの制御システムの構成概略図である。
【図3】図3は、本発明のタンクミキサーの制御システムの作動を説明する概略図である。
【図4】図4は、本発明のタンクミキサーの制御システムのタンク入荷のJOB管理オペレーションの実施例の作動を示すチャート図である。
【図5】図5は、本発明のタンクミキサーの制御システムのタンク入荷のJOB管理オペレーションの実施例の作動を示すチャート図である。
【図6】図6は、本発明のタンクミキサーの制御システムのタンク調合などのJOB管理オペレーションの実施例の作動を示すチャート図である。
【図7】図7は、本発明のタンクミキサーの制御システムのタンクミキサー目的別操作オペレーションの実施例のコンピューターのモニターの操作画面を示す図である。
【図8】図8は、本発明のタンクミキサーの制御システムのタンクレベル計測オペレーションにおける入荷作業での静置時間の基本の制御の実施例の作動を示すチャート図である。
【図9】図9は、本発明のタンクミキサーの制御システムのタンクレベル計測オペレーションにおける入荷作業での静置時間の基本の制御の実施例の作動を示すチャート図である。
【図10】図10は、本発明のタンクミキサーの制御システムのタンクレベル計測オペレーションにおける入荷作業での静置時間の基本の制御の実施例の作動を示すチャート図である。
【図11】図11は、本発明のタンクミキサーの制御システムのタンクレベル計測オペレーションにおける入荷作業でのタンク切替の実施例の作動を示すチャート図である。
【図12】図12は、本発明のタンクミキサーの制御システムのオペレーションが競合する場合におけるJOBで使用時、目的別オペレーションで停止した場合の実施例の作動を示すチャート図である。
【図13】図13は、本発明のタンクミキサーの制御システムのオペレーションが競合する場合におけるミキサー稼働MINレベル未満でのJOBが開始された場合の実施例の作動を示すチャート図である。
【図14】図14は、本発明のタンクミキサーの制御システムのオペレーションが競合する場合におけるJOBで稼働中、目的別オペレーションによる稼動・停止の場合の実施例の作動を示すチャート図である。
【図15】図15は、本発明のタンクミキサーの制御システムのオペレーションが競合する場合における目的別オペレーションで稼動後にJOB使用となった場合の実施例の作動を示すチャート図である。
【図16】図16は、従来の運転管理システムのタンクミキサーの稼動・停止の構成概略図である。
【符号の説明】
【0102】
10 タンカー
12 原油タンク
14 タンク
16 蒸留装置
18 半製品タンク
19 半製品タンク
20 処理装置
22 製品タンク
24 循環ライン
26 タンカー
28 タンクローリ
30 制御システム
32 運転管理システム
36 モニター
38 コンピューター
40 タンク
41 DCS
42 タンクミキサー
44 モーター
46 タンクレベル計
48 手動稼動・停止装置
50 1タグ操作
52 メンテナンス
54 メッセージ
56 メッセージログ
A タンクミキサー操作ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内部に貯留された流体を撹拌するためのタンクミキサーの制御システムであって、
前記タンクの使用状況と、前記タンクの使用状況に応じて、事前に登録された判断基準に基づいて、コンピューターによってタンクミキサーの稼働・停止を判断し、コンピューターからの命令によってタンクミキサーの稼働・停止を自動制御することを特徴とするタンクミキサーの制御システム。
【請求項2】
前記タンクの使用状況が、作業区分に基づいたタンクの使用状況であることを特徴とする請求項1に記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項3】
前記作業区分が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環、または、装置チャージであることを特徴とする請求項2に記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項4】
前記タンクの使用状況が、前記作業区分における、JOB管理オペレーション、タンクミキサー目的別操作オペレーション、タンクレベル計測オペレーション、または、タンクレベルデータ操作オペレーション、DCS操作オペレーションに基づく作業種別によるタンクの使用状況であることを特徴とする請求項2から3のいずれかに記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項5】
前記JOB管理オペレーションにおけるJOBの開始時に、前記作業区分が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環である場合に、
前記タンクミキサーが停止中の場合は、タンクミキサーを稼働するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項6】
前記JOB管理オペレーションにおけるJOBの開始時に、前記作業区分が、装置チャージである場合に、
前記タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする請求項4から5のいずれかに記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項7】
前記JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、前記作業区分が、タンク入荷、タンク間移送、タンク調合、タンク循環である場合に、
前記タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする請求項4から5のいずれかに記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項8】
前記JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分がミキサーを一定時間稼働する必要のある場合、作業時間が、タンクミキサー稼働必要時間を下回る場合には、タイマーによって、タンクミキサー稼働必要時間が終了した時に、タンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項9】
前記JOB管理オペレーションにおけるJOBの終了時に、作業区分が作業終了後一定時間ミキサーを起動する必要がある場合は、タイマーによって、作業終了後一定起動時間が終了した時に、タンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項10】
前記タンクミキサー目的別操作オペレーションによって、タンクミキサーの稼働・停止が設定できるように構成されていることを特徴とする請求項4から9のいずれかに記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項11】
前記タンクレベル計測オペレーションによる停止要求時に、前記タンクミキサーが稼働中の場合は、タンクレベル計測の所定時間前にタンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする請求項4から9のいずれかに記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項12】
前記タンクレベルデータ操作オペレーションによって、
前記タンクレベルが所定のレベル以上になった場合に、
前記タンクミキサーが停止中で、タンクミキサー使用のJOB管理オペレーションがある場合に、タンクミキサーを稼働するように構成されるとともに、
前記タンクレベルが所定のレベル未満になった場合に、
前記タンクミキサーが稼働中である場合に、タンクミキサーを停止するように構成されていることを特徴とする請求項4から11のいずれかに記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項13】
前記DCS操作オペレーションによって、タンクミキサーの稼働・停止が設定できるように構成されていることを特徴とする請求項4から12のいずれかに記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項14】
前記作業種別の各オペレーションが競合した場合には、後に行われるオペレーションによるタンクミキサーの稼働・停止が優先されるように構成されていることを特徴とする請求項4から13のいずれかに記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項15】
前記作業種別の各オペレーションが競合した場合には、前記タンクミキサー目的別操作オペレーションによって停止したミキサーに対しては、JOB管理オペレーション、タンクレベルデータ操作オペレーションによっては、タンクミキサーを稼働しないように構成されていることを特徴とする請求項4から14のいずれかに記載のタンクミキサーの制御システム。
【請求項16】
前記作業種別の各オペレーションが競合した場合には、前記タンクレベルが所定のレベル未満になった場合には、稼働中のタンクミキサーが最優先で停止されるように構成されていることを特徴とする請求項4から15のいずれかに記載のタンクミキサーの制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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