説明

タンクローリ誤発進防止装置

【課題】タンクローリ誤発進防止機能を有さないタンクローリが接続配管を介して基地と接続された状態で誤発進してしまうのを防止する。
【解決手段】基地1に設けられた液体ホース1aを介して基地1と接続されたタンクローリ2が誤発進するのを防止するタンクローリ誤発進防止装置において、エンジンキー検出センサ1dによってタンクローリ2のエンジンキー2aが検出され、扉検出センサ1fによってエンジンキー収納ボックス1cの扉が閉じられたことが検出され、かつ、扉ロック装置1eによってエンジンキー収納ボックス1cの扉がロックされなければ、基地1からタンクローリ2へ液体ホース1aを介して液体を充填できないようにし、液体ホース1aが液体ホース検出センサ1hによって検出されなければ、扉ロック装置1eによるロックが解除されないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地に設けられた接続配管を介して基地とタンクローリとが接続された状態でタンクローリが誤発進するのを防止するためのタンクローリ誤発進防止装置に関し、特には、タンクローリ自体がタンクローリ誤発進防止機能を有さない場合であっても、タンクローリと基地とが接続配管を介して接続された状態でタンクローリが誤発進してしまうのを防止することができるタンクローリ誤発進防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体(液化LPガス)を供給するための基地とタンクローリとが、基地に設けられた接続配管(LPガス供給ホース)を介して接続された状態でタンクローリが誤発進するのを防止するためのタンクローリ誤発進防止装置が知られている。この種のタンクローリ誤発進防止装置の例としては、例えば特開2002−302200号公報に記載されたものがある。
【0003】
特開2002−302200号公報に記載されたタンクローリ誤発進防止装置では、基地からタンクローリに液体(液化LPガス)を供給すべき時に、タンクローリに設けられた弁計器箱の扉が開けられ、次いで、基地に設けられた接続配管(LPガス供給ホース)が、弁計器箱内のカップリングに接続される。
【0004】
詳細には、特開2002−302200号公報に記載されたタンクローリ誤発進防止装置では、弁計器箱の扉が開けられると、タンクローリの車輪がロックされ、それにより、基地とタンクローリとが接続配管(LPガス供給ホース)を介して接続された状態でタンクローリが誤発進してしまうのが防止されている。
【0005】
更に、特開2002−302200号公報に記載されたタンクローリ誤発進防止装置では、基地からタンクローリへの液体(液化LPガス)の供給が終了し、接続配管(LPガス供給ホース)が弁計器箱内のカップリングから取り外され、弁計器箱の扉が閉じられると、タンクローリの車輪のロックが解除され、それにより、タンクローリが発進できるようになっている。
【0006】
つまり、特開2002−302200号公報に記載されたタンクローリ誤発進防止装置は、タンクローリに設けられた弁計器箱の扉の開閉検出手段と、タンクローリに設けられたタンクローリの車輪のロック手段とによって構成されている。
【0007】
そのため、特開2002−302200号公報に記載されたタンクローリ誤発進防止装置によっては、弁計器箱の扉の開閉検出手段とタンクローリの車輪のロック手段とが設けられたタンクローリと、基地とが、接続配管(LPガス供給ホース)を介して接続された状態でタンクローリが誤発進してしまうのを防止することができるものの、弁計器箱の扉の開閉検出手段またはタンクローリの車輪のロック手段が設けられていないタンクローリと、基地とが、接続配管(LPガス供給ホース)を介して接続された状態でタンクローリが誤発進してしまうのを防止することができない。
【0008】
換言すれば、特開2002−302200号公報に記載されたものでは、タンクローリ自体がタンクローリ誤発進防止機能を有しており、そのタンクローリと基地とが接続配管(LPガス供給ホース)を介して接続された状態で、そのタンクローリが誤発進してしまうのが防止されている。
【0009】
そのため、特開2002−302200号公報に記載されたものでは、タンクローリ自体がタンクローリ誤発進防止機能を有さない場合に、そのタンクローリと基地とが接続配管(LPガス供給ホース)を介して接続された状態で、そのタンクローリが誤発進してしまうのを防止することができない。
【0010】
【特許文献1】特開2002−302200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記問題点に鑑み、本発明は、タンクローリ自体がタンクローリ誤発進防止機能を有さない場合であっても、タンクローリと基地とが接続配管を介して接続された状態でタンクローリが誤発進してしまうのを防止することができるタンクローリ誤発進防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、基地に設けられた接続配管を介して基地とタンクローリとが接続された状態でタンクローリが誤発進するのを防止するためのタンクローリ誤発進防止装置において、タンクローリのエンジンキーを収納するエンジンキー収納手段と、前記エンジンキー収納手段に収納されたタンクローリのエンジンキーを検出するエンジンキー検出手段と、前記エンジンキー収納手段の扉が閉じられたことを検出するエンジンキー収納扉閉検出手段と、前記エンジンキー収納手段からタンクローリのエンジンキーを取り出すことができないように前記エンジンキー収納手段をロックするロック手段と、前記接続配管が基地の格納位置に格納されたことを検出する接続配管検出手段とを基地に設け、前記エンジンキー検出手段によってタンクローリのエンジンキーが検出され、前記エンジンキー収納扉閉検出手段によって前記エンジンキー収納手段の扉が閉じられたことが検出され、かつ、前記ロック手段によって前記エンジンキー収納手段がロックされなければ、基地からタンクローリへ、あるいは、タンクローリから基地へ、前記接続配管を介して液体またはガスを充填できないようにし、前記接続配管が前記接続配管検出手段によって検出されなければ、前記ロック手段によるロックが解除されないようにしたことを特徴とするタンクローリ誤発進防止装置が提供される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、予め定められた識別データが記録された識別データ記録手段を前記接続配管に設け、識別データを読み取る識別データ読み取り手段を前記格納位置に設け、前記接続配管が前記接続配管検出手段によって検出され、かつ、前記識別データ読み取り手段によって読み取られた識別データが前記予め定められた識別データでなければ、前記ロック手段によるロックが解除されないようにしたことを特徴とする請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置が提供される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、前記格納位置から前記接続配管を移動できないように前記接続配管を前記格納位置に固定する接続配管固定手段を前記格納位置に設け、前記エンジンキー検出手段によってタンクローリのエンジンキーが検出され、前記エンジンキー収納扉閉検出手段によって前記エンジンキー収納手段の扉が閉じられたことが検出され、かつ、前記ロック手段によって前記エンジンキー収納手段がロックされなければ、前記接続配管固定手段による固定が解除されないようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のタンクローリ誤発進防止装置が提供される。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記接続配管が前記格納位置に格納されていない時に点灯あるいは点滅する警告灯を基地に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンクローリ誤発進防止装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、タンクローリのエンジンキーを収納するエンジンキー収納手段と、エンジンキー収納手段に収納されたタンクローリのエンジンキーを検出するエンジンキー検出手段と、エンジンキー収納手段の扉が閉じられたことを検出するエンジンキー収納扉閉検出手段と、エンジンキー収納手段からタンクローリのエンジンキーを取り出すことができないようにエンジンキー収納手段をロックするロック手段と、接続配管が基地の格納位置に格納されたことを検出する接続配管検出手段とが、基地に設けられている。
【0017】
更に、請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、エンジンキー検出手段によってタンクローリのエンジンキーが検出され、エンジンキー収納扉閉検出手段によってエンジンキー収納手段の扉が閉じられたことが検出され、かつ、ロック手段によってエンジンキー収納手段がロックされなければ、基地からタンクローリへ、あるいは、タンクローリから基地へ、接続配管を介して液体またはガスを充填できない。
【0018】
換言すれば、請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、タンクローリのエンジンキー穴にエンジンキーが差し込まれた状態では、基地からタンクローリへ、あるいは、タンクローリから基地へ、接続配管を介して液体またはガスを充填できない。
【0019】
そのため、請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置によれば、基地からタンクローリへ、あるいは、タンクローリから基地へ、接続配管を介して液体またはガスが充填されている状態で、タンクローリのエンジンが始動され、タンクローリが誤発進してしまうのを防止することができる。
【0020】
また、請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、接続配管が接続配管検出手段によって検出されなければ、ロック手段によるロックが解除されない。
【0021】
換言すれば、請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、接続配管が基地の格納位置に格納されなければ、エンジンキー収納手段からタンクローリのエンジンキーを取り出すことがでない。つまり、請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、基地とタンクローリとが接続配管を介して接続された状態では、エンジンキー収納手段からタンクローリのエンジンキーを取り出してタンクローリのエンジンを始動することができない。
【0022】
そのため、請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置によれば、例えば基地からタンクローリへの液体またはガスの充填が終了した後、あるいは、タンクローリから基地への液体またはガスの充填が終了した後に、基地とタンクローリとが接続配管を介して接続されたままの状態でタンクローリが誤発進してしまうのを防止することができる。
【0023】
すなわち、請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置によれば、タンクローリ自体がタンクローリ誤発進防止機能を有さない場合であっても、タンクローリと基地とが接続配管を介して接続された状態でタンクローリが誤発進してしまうのを防止することができる。
【0024】
請求項2に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、予め定められた識別データが記録された識別データ記録手段が接続配管に設けられ、識別データを読み取る識別データ読み取り手段が基地の格納位置に設けられている。
【0025】
更に、請求項2に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、接続配管が接続配管検出手段によって検出され、かつ、識別データ読み取り手段によって読み取られた識別データが、接続配管の識別データ記録手段に記録された予め定められた識別データでなければ、ロック手段によるロックが解除されない。
【0026】
つまり、請求項2に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、例えば他の接続配管のような真の接続配管以外の物が基地の格納位置に格納されるのに伴って、接続配管が基地の格納位置に格納されたと接続配管検出手段が誤検出した場合であっても、真の接続配管の識別データ記録手段に記録された予め定められた識別データが識別データ読み取り手段によって読み取られなければ、ロック手段によるロックが解除されず、エンジンキー収納手段からタンクローリのエンジンキーを取り出してタンクローリのエンジンを始動することができない。
【0027】
そのため、請求項2に記載のタンクローリ誤発進防止装置によれば、真の接続配管が基地の格納位置に格納されていないにもかかわらずタンクローリの発進を許容してしまうのを確実に防止することができる。
【0028】
タンクローリのエンジンキー穴にエンジンキーが差し込まれた状態で基地とタンクローリとを接続配管を介して接続することができると、タンクローリと基地とが接続配管を介して接続された状態でタンクローリが誤発進してしまうおそれがある。
【0029】
この点に鑑み、請求項3に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、基地の格納位置から接続配管を移動できないように接続配管を基地の格納位置に固定する接続配管固定手段が基地の格納位置に設けられている。
【0030】
更に、請求項3に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、エンジンキー検出手段によってタンクローリのエンジンキーが検出され、エンジンキー収納扉閉検出手段によってエンジンキー収納手段の扉が閉じられたことが検出され、かつ、ロック手段によってエンジンキー収納手段がロックされなければ、接続配管固定手段による固定が解除されない。
【0031】
換言すれば、請求項3に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、タンクローリのエンジンキー穴にエンジンキーが差し込まれた状態では、基地の格納位置から接続配管を移動させることができず、基地とタンクローリとを接続配管を介して接続することができない。
【0032】
そのため、請求項3に記載のタンクローリ誤発進防止装置によれば、例えば基地とタンクローリとが接続配管を介して接続された後に液体またはガスの充填が開始されることなく中止された場合に、基地とタンクローリとが接続配管を介して接続された状態でタンクローリが誤発進してしまうのを防止することができる。
【0033】
請求項4に記載のタンクローリ誤発進防止装置では、接続配管が基地の格納位置に格納されていない時に点灯あるいは点滅する警告灯が基地に設けられている。そのため、請求項4に記載のタンクローリ誤発進防止装置によれば、警告灯が設けられていない場合よりも、タンクローリのドライバにタンクローリ誤発進を注意させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明のタンクローリ誤発進防止装置の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置の概略構成図、図2は第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置のブロック図である。
【0035】
図1および図2において、1は基地を示しており、2はタンクローリを示しており、2aはタンクローリ2のエンジンキーを示している。1aは例えば液化アンモニアのような液体を基地1からタンクローリ2に充填するために基地1に設けられた液体ホースを示している。1bはタンクローリ2に液体が充填されるのに伴って、タンクローリ2のタンク内から押し出されるガスを基地1に戻すために基地1に設けられたガスホースを示している。1a’は液体ホース格納位置を示しており、1b’はガスホース格納位置を示している。
【0036】
つまり、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、液体が基地1からタンクローリ2に充填される時に、基地1とタンクローリ2とが、液体ホース1aを介して接続されると共に、ガスホース1bを介して接続される。
【0037】
また、図1および図2において、1cは液体が基地1からタンクローリ2に充填される時にタンクローリ2のエンジンキー2aを収納するためのエンジンキー収納ボックスを示している。1dはエンジンキー収納ボックス1cに収納されたエンジンキー2aを検出するためのエンジンキー検出センサを示している。1eはエンジンキー収納ボックス1cの扉をロックするための扉ロック装置を示している。1fはエンジンキー収納ボックス1cの扉が閉じられた状態を検出するための扉検出センサを示している。1gはエンジンキー収納ボックス1cの扉がロックされた状態を検出するための扉ロック検出センサである。
【0038】
更に、図1および図2において、1hは液体ホース格納位置1a’に格納された液体ホース1aを検出するための液体ホース検出センサを示しており、1iはガスホース格納位置1b’に格納されたガスホース1bを検出するためのガスホース検出センサを示している。1jは液体ホース1aに搭載された液体ホース用ICチップを示しており、1kはガスホース1bに搭載されたガスホース用ICチップを示している。
【0039】
また、図1および図2において、1lはICチップに記録された識別データを読み取るために液体ホース格納位置1a’に配置されたICチップ読み取り装置を示しており、1mはICチップに記録された識別データを読み取るためにガスホース格納位置1b’に配置されたICチップ読み取り装置を示している。1nは液体ホース1aを液体ホース格納位置1a’から移動できないように固定するための液体ホース固定装置を示しており、1oはガスホース1bをガスホース格納位置1b’から移動できないように固定するためのガスホース固定装置を示している。
【0040】
更に、図1および図2において、1pは例えばタンクローリ2の運転席から見える位置に配置された警告灯を示しており、1qは充填開始ボタンを示しており、1rは非常停止ボタンを示しており、1sは充填終了ボタンを示しており、1tは制御装置を示している。
【0041】
第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、基地1からタンクローリ2に液体を充填すべき時に、エンジンキー2aがエンジンキー収納ボックス1cに収納され、エンジンキー収納ボックス1cの扉が扉ロック装置1eによってロックされる。
【0042】
詳細には、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、エンジンキー収納ボックス1cに収納されたエンジンキー2aがエンジンキー検出センサ1dによって検出され、かつ、エンジンキー収納ボックス1cの扉が閉じられた状態が扉検出センサ1fによって検出され、かつ、エンジンキー収納ボックス1cの扉がロックされた状態が扉ロック検出センサ1gによって検出されると、制御装置1tからの信号に基づいて、液体ホース固定装置1nによる液体ホース1aの固定が解除され、液体ホース1aが液体ホース格納位置1a’から移動可能になる。また、制御装置1tからの信号に基づいて、ガスホース固定装置1oによるガスホース1bの固定が解除され、ガスホース1bがガスホース格納位置1b’から移動可能になる。
【0043】
次いで、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1に示すように、液体ホース1aが液体ホース格納位置1a’から移動せしめられて、基地1とタンクローリ2とが液体ホース1aによって接続されると共に、ガスホース1bがガスホース格納位置1b’から移動せしめられて、基地1とタンクローリ2とがガスホース1bによって接続される。
【0044】
換言すれば、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、エンジンキー収納ボックス1cに収納されたエンジンキー2aがエンジンキー検出センサ1dによって検出され、かつ、エンジンキー収納ボックス1cの扉が閉じられた状態が扉検出センサ1fによって検出され、かつ、エンジンキー収納ボックス1cの扉がロックされた状態が扉ロック検出センサ1gによって検出されなければ、液体ホース固定装置1nによる液体ホース1aの固定が解除されず、ガスホース固定装置1oによるガスホース1bの固定が解除されない。
【0045】
つまり、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、タンクローリ2のエンジンキー穴(図示せず)にエンジンキー2aが差し込まれた状態、つまり、タンクローリ2が誤発進するおそれがある状態では、液体ホース1aを液体ホース格納位置1a’から移動させて基地1とタンクローリ2とを接続することができず、ガスホース1bをガスホース格納位置1b’から移動させて基地1とタンクローリ2とを接続することができない。
【0046】
更に、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、液体ホース1aが液体ホース格納位置1a’から移動せしめられるか、あるいは、ガスホース1bがガスホース格納位置1b’から移動せしめられると、警告灯1pの赤色灯が点灯あるいは点滅する。
【0047】
詳細には、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、液体ホース1aが液体ホース検出センサ1hによって検出されなくなるか、あるいは、液体ホース格納位置1a’に配置されたICチップ読み取り装置1lによって液体ホース用ICチップ1jの識別データを読み取れなくなるか、あるいは、ガスホース1bがガスホース検出センサ1iによって検出されなくなるか、あるいは、ガスホース格納位置1b’に配置されたICチップ読み取り装置1mによってガスホース用ICチップ1kの識別データを読み取れなくなると、警告灯1pの赤色灯が点灯あるいは点滅する。
【0048】
次いで、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、充填開始ボタン1qが押動されると、予め定められた量の液体が、液体ホース1aを介して基地1からタンクローリ2に充填される。液体の充填中には、タンクローリ2のタンク内から押し出されるガスが、ガスホース1bを介して基地1に戻される。
【0049】
換言すれば、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、エンジンキー収納ボックス1cに収納されたエンジンキー2aがエンジンキー検出センサ1dによって検出され、かつ、エンジンキー収納ボックス1cの扉が閉じられた状態が扉検出センサ1fによって検出され、かつ、エンジンキー収納ボックス1cの扉がロックされた状態が扉ロック検出センサ1gによって検出されなければ、液体ホース1aを介して基地1からタンクローリ2に液体を充填することができない。
【0050】
つまり、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、タンクローリ2のエンジンキー穴(図示せず)にエンジンキー2aが差し込まれた状態、つまり、タンクローリ2が誤発進するおそれがある状態では、液体ホース1aを介して基地1からタンクローリ2に液体を充填することができない。
【0051】
第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、液体の充填中、例えば液体の充填を中止すべき事情が生じた場合に非常停止ボタン1rが押動されると、基地1からタンクローリ2への液体の充填が中止される。
【0052】
第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、基地1からタンクローリ2への液体の充填が終了すると、次いで、充填終了ボタン1sが押動され、次いで、液体ホース1aが、タンクローリ2から取り外されて液体ホース格納位置1a’に格納されると共に、ガスホース1bが、タンクローリ2から取り外されてガスホース格納位置1bに格納される。その結果、警告灯1pの緑色灯が点灯し、扉ロック装置1gによるエンジンキー収納ボックス1cの扉のロックが解除され、タンクローリ2のエンジンキー2aがエンジンキー収納ボックス1cから取り出し可能になり、タンクローリ2の発進が許容される。
【0053】
詳細には、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、液体ホース格納位置1a’に格納された液体ホース1aが液体ホース検出センサ1hによって検出されなければ、警告灯1pの緑色灯が点灯せず、扉ロック装置1gによるエンジンキー収納ボックス1cの扉のロックが解除されない。
【0054】
また、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、ガスホース格納位置1b’に格納されたガスホース1bがガスホース検出センサ1iによって検出されなければ、警告灯1pの緑色灯が点灯せず、扉ロック装置1gによるエンジンキー収納ボックス1cの扉のロックが解除されない。
【0055】
更に、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、液体ホース用ICチップ1jに記録された識別データが、液体ホース格納位置1a’に配置されたICチップ読み取り装置1lによって読み取られなければ、警告灯1pの緑色灯が点灯せず、扉ロック装置1gによるエンジンキー収納ボックス1cの扉のロックが解除されない。
【0056】
また、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、図1および図2に示すように、ガスホース用ICチップ1kに記録された識別データが、ガスホース格納位置1b’に配置されたICチップ読み取り装置1mによって読み取られなければ、警告灯1pの緑色灯が点灯せず、扉ロック装置1gによるエンジンキー収納ボックス1cの扉のロックが解除されない。
【0057】
以上のように、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置によれば、特開2002−302200号公報に記載された発明のように、タンクローリ自体にタンクローリ誤発進防止機能を設ける必要なく、液体の充填中にタンクローリ2が誤発進してしまうのを防止することができる。
【0058】
詳細には、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置によれば、特開2002−302200号公報に記載された発明のように、タンクローリ自体にタンクローリ誤発進防止機能を設ける必要なく、タンクローリ2と基地1とが液体ホース1aまたはガスホース1bを介して接続された状態でタンクローリ2が誤発進してしまうのを防止することができる。
【0059】
換言すれば、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置によれば、タンクローリ誤発進防止機能が設けられていないタンクローリ2が液体ホース1aまたはガスホース1bを介して基地1と接続された状態で誤発進してしまうのを防止することができる。
【0060】
上述したように、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、エンジンキー収納ボックス1cの扉がロックされたことを確認するために扉ロック検出センサ1gが設けられているが、第2の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、扉ロック検出センサ1gを設ける代わりに、エンジンキー収納ボックス1cの扉をロックする信号が制御装置1tから扉ロック装置1eに出力された時に、エンジンキー収納ボックス1cの扉がロックされたと判断することも可能である。
【0061】
また、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、液体ホース固定装置1nおよびガスホース固定装置1oが設けられているが、第3の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、液体ホース固定装置1nおよびガスホース固定装置1oを省略することも可能である。第3の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置によっても、基地1からタンクローリ2への液体の充填中にタンクローリ2が誤発進してしまうのを防止することができる。
【0062】
更に、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、警告灯1pが設けられているが、第4の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、警告灯1pを省略することも可能である。
【0063】
また、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、ICチップ読み取り装置1l、液体ホース用ICチップ1j、ICチップ読み取り装置1m、および、ガスホース用ICチップ1kが設けられているが、第5の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、それらを省略することも可能である。
【0064】
更に、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、液体ホース1aおよびガスホース1bの2本のホースを介して基地1とタンクローリ2とが接続されているが、第6の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、2本以外の任意の数のホースを介して基地1とタンクローリ2とを接続することも可能である。
【0065】
また、第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、液体が基地1からタンクローリ2に充填され、ガスがタンクローリ2から基地1に戻されているが、第7の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置では、液体をタンクローリ2から基地1に戻したり、ガスを基地1からタンクローリ2に充填したりすることも可能である。
【0066】
第8の実施形態では、第1から第7の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置の概略構成図である。
【図2】第1の実施形態のタンクローリ誤発進防止装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
1 基地
1a 液体ホース
1a’ 液体ホース格納位置
1b ガスホース
1b’ ガスホース格納位置
1c エンジンキー収納ボックス
1d エンジンキー検出センサ
1e 扉ロック装置
1f 扉検出センサ
1g 扉ロック検出センサ
1h 液体ホース検出センサ
1i ガスホース検出センサ
1j 液体ホース用ICチップ
1k ガスホース用ICチップ
1l,1m ICチップ読み取り装置
1n 液体ホース固定装置
1o ガスホース固定装置
1p 警告灯
1q 充填開始ボタン
1r 非常停止ボタン
1s 充填終了ボタン
1t 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地に設けられた接続配管を介して基地とタンクローリとが接続された状態でタンクローリが誤発進するのを防止するためのタンクローリ誤発進防止装置において、
タンクローリのエンジンキーを収納するエンジンキー収納手段と、
前記エンジンキー収納手段に収納されたタンクローリのエンジンキーを検出するエンジンキー検出手段と、
前記エンジンキー収納手段の扉が閉じられたことを検出するエンジンキー収納扉閉検出手段と、
前記エンジンキー収納手段からタンクローリのエンジンキーを取り出すことができないように前記エンジンキー収納手段をロックするロック手段と、
前記接続配管が基地の格納位置に格納されたことを検出する接続配管検出手段とを基地に設け、
前記エンジンキー検出手段によってタンクローリのエンジンキーが検出され、前記エンジンキー収納扉閉検出手段によって前記エンジンキー収納手段の扉が閉じられたことが検出され、かつ、前記ロック手段によって前記エンジンキー収納手段がロックされなければ、基地からタンクローリへ、あるいは、タンクローリから基地へ、前記接続配管を介して液体またはガスを充填できないようにし、
前記接続配管が前記接続配管検出手段によって検出されなければ、前記ロック手段によるロックが解除されないようにしたことを特徴とするタンクローリ誤発進防止装置。
【請求項2】
予め定められた識別データが記録された識別データ記録手段を前記接続配管に設け、識別データを読み取る識別データ読み取り手段を前記格納位置に設け、
前記接続配管が前記接続配管検出手段によって検出され、かつ、前記識別データ読み取り手段によって読み取られた識別データが前記予め定められた識別データでなければ、前記ロック手段によるロックが解除されないようにしたことを特徴とする請求項1に記載のタンクローリ誤発進防止装置。
【請求項3】
前記格納位置から前記接続配管を移動できないように前記接続配管を前記格納位置に固定する接続配管固定手段を前記格納位置に設け、
前記エンジンキー検出手段によってタンクローリのエンジンキーが検出され、前記エンジンキー収納扉閉検出手段によって前記エンジンキー収納手段の扉が閉じられたことが検出され、かつ、前記ロック手段によって前記エンジンキー収納手段がロックされなければ、前記接続配管固定手段による固定が解除されないようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のタンクローリ誤発進防止装置。
【請求項4】
前記接続配管が前記格納位置に格納されていない時に点灯あるいは点滅する警告灯を基地に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンクローリ誤発進防止装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−30770(P2008−30770A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203663(P2006−203663)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(390016078)昭和エンジニアリング株式会社 (9)
【Fターム(参考)】