説明

タンク装置

【課題】タンク本体の高さが変化する場合でも、ロッドの長さを変えることなくタンク本体内で吸込フィルタを適正に保持する。
【解決手段】高さ寸法A1を有するタンク本体12内でロッド15の自由端15Aを保持するときには、タンク本体12の高さ寸法A1に対応したロッド保持部材18を選択してフィルタ挿通孔16に取付け、タンク本体12よりも大きな高さ寸法を有するタンク本体内でロッド15の自由端を保持するときには、タンク本体の高さ寸法に対応したロッド保持部材を選択してフィルタ挿通孔16に取付ける。この結果、高さ寸法A1を有するタンク本体12を用いた場合でも、より大きな高さ寸法を有するタンク本体を用いた場合でも、ロッド15の長さ寸法B1を変化させることなく、吸込フィルタ14を、吸込管13の開口端13Aを覆った状態に保持しておくことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に搭載される作動油タンク等として好適に用いられるタンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械としての油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成され、上部旋回体を旋回させつつ作業装置を俯仰動させることにより、土砂の掘削作業等を行うものである。
【0003】
ここで、油圧ショベルには、下部走行体を走行させる走行用の油圧モータ、上部旋回体を旋回させる旋回用の油圧モータ、作業装置のブーム、アーム、バケットを作動させる油圧シリンダ等の各種の油圧アクチュエータが搭載されている。そして、これら油圧アクチュエータに供給される作動油は、上部旋回体に設けられた作動油タンク装置内に貯溜され、この作動油タンク装置内の作動油を油圧ポンプによって吸込み、油圧アクチュエータに圧送することにより、油圧ショベルが走行動作、旋回動作、掘削作業等を行う構成となっている。
【0004】
この場合、作動油タンク装置は、通常、作動油を貯溜するタンク本体と、該タンク本体の下側に開口して設けられポンプに吸込まれる作動油が流通する吸込管と、該吸込管を覆って着脱可能に取付けられ該吸込管を流通する作動油を清浄化する吸込フィルタと、下端側が該吸込フィルタに固定され上端側が自由端となったロッドと、タンク本体の上側に設けられ吸込フィルタとロッドとが一緒に挿通されるフィルタ挿通孔と、該フィルタ挿通孔を施蓋しつつタンク本体内へと突出し前記ロッドの上端側を保持するロッド保持部材とを備えて構成されている(例えば、特許文献1,2)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−46437号公報
【特許文献2】特開2006−46016号公報
【0006】
そして、従来技術による作動油タンク装置は、吸込管を通じて油圧ポンプに吸込まれる作動油が吸込フィルタを通過するときに、この作動油中に混入した異物を吸込フィルタによって捕捉することにより、清浄な作動油のみを油圧ポンプによって吸込み、各油圧アクチュエータに供給する構成となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、油圧ショベルの上部旋回体の大きさを変えずに作業装置を一廻り大型化する傾向があり、この場合には、作業装置に設けられる各油圧シリンダが大型化する分、タンク本体の容量が増大することになる。また、例えばハイリフト仕様の作業装置のような複数のブームを有する作業装置を用いる場合には、作業装置に設けられる油圧シリンダの数が増加する分、タンク本体の容量が増大することになる。
【0008】
ここで、作動油タンク装置は、上部旋回体のベースとなる旋回フレーム上の限られた面積範囲内に配置されるため、タンク本体の底面積を拡大して容量を増やすのは困難である。従って、タンク本体の容量を増大させるときには、通常、底面積を一定に保ったままタンク本体の高さ寸法を大きくする方法が採用されている。
【0009】
しかし、タンク本体の高さ寸法を大きくした場合には、タンク本体の下側に配置される吸込フィルタと、タンク本体の上側に配置されるロッド保持部材との間の距離が大きくなる。このため、吸込フィルタに固定されたロッドの自由端がロッド保持部材から離脱してしまい、タンク本体内の適正な位置に吸込フィルタを保持することができなくなるという問題がある。
【0010】
これに対し、タンク本体の高さ寸法が増大した分、ロッドの長さ寸法を増大させることが考えられるが、ロッドの下端側は吸込フィルタの上部に固定されている。このため、ロッドの長さが増大して重量が増加した場合には、吸込フィルタがロッドの重量によって変形してしまい、吸込フィルタの機能が低下してしまう。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、タンク本体の容量が変化することにより当該タンク本体の高さが変化する場合でも、ロッドの長さを変えることなくタンク本体内で吸込フィルタを適正に保持することができるようにしたタンク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため本発明は、液体を貯溜するタンク本体と、該タンク本体の下側に開口して設けられポンプに吸込まれる液体が流通する吸込管と、該吸込管を覆って着脱可能に取付けられ該吸込管を流通する液体を清浄化する吸込フィルタと、下端側が該吸込フィルタに固定され上端側が自由端となったロッドと、前記タンク本体の上側に設けられ前記吸込フィルタと該ロッドとが一緒に挿通されるフィルタ挿通孔と、該フィルタ挿通孔を施蓋しつつ前記タンク本体内へと突出し前記ロッドの自由端を保持するロッド保持部材とを備えてなるタンク装置に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記ロッド保持部材は、前記タンク本体内への突出長さが異なる複数種類を備え、これら複数種類のロッド保持部材のうち前記タンク本体の高さに対応した一つのロッド保持部材を選択して前記フィルタ挿通孔に取付ける構成としたことにある。
【0014】
請求項2の発明は、前記ロッド保持部材は、前記フィルタ挿通孔を施蓋する蓋体と、基端側が該蓋体に取付けられ先端側が前記ロッドの自由端が嵌入されるロッド嵌入部となったパイプ体とにより構成したことにある。
【0015】
請求項3の発明は、前記パイプ体の先端側には、前記パイプ体のロッド嵌入部に前記ロッドの自由端を嵌入するときに前記ロッド嵌入部と前記ロッドの自由端とを前記フィルタ挿通孔から目視するための目視用開口を設ける構成としたことにある。
【0016】
請求項4の発明は、前記パイプ体の先端側には、前記ロッドの自由端を前記ロッド嵌入部へと案内するため先端側が拡径したテーパ筒部を設ける構成としたことにある。
【0017】
請求項5の発明は、前記パイプ体は前記タンク本体の高さに応じて長さが異なる複数種類を備え、これら複数種類のパイプ体のうち一つのパイプ体を選択して前記蓋体に着脱可能に取付ける構成としたことにある。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、タンク本体の容量の変化に伴って該タンク本体の高さ寸法が変化したとしても、タンク本体内への突出長さが異なる複数種類のロッド保持部材を用意し、これら複数種類のロッド保持部材のうちタンク本体の高さ寸法に対応した一つのロッド保持部材を選択してフィルタ挿通孔に取付けることができる。
【0019】
これにより、吸込フィルタに固定されたロッドの長さが最大長さを超えることがなく、吸込フィルタに適合した一定の長さを有するロッドを用いたまま、ロッド保持部材によって当該ロッドの自由端を保持することができる。この結果、タンク本体の高さ寸法の変化に関わらず、常にタンク本体内の適正な位置に吸込フィルタを保持しておくことができるので、油圧アクチュエータに供給される作動油を吸込フィルタによって適正に清浄化することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、ロッド保持部材を、フィルタ挿通孔を施蓋する蓋体と、該蓋体に固定され先端側がロッド嵌入部となったパイプ体とにより構成したので、蓋体から突出するパイプ体の長さ寸法を、タンク本体の高さ寸法に応じて変更することにより、パイプ体のロッド嵌入部にロッドの自由端を確実に嵌入することができる。従って、タンク本体の高さ寸法の変化に関わらず、パイプ体のロッド嵌入部にロッドの自由端を嵌入することにより、タンク本体内の適正な位置に吸込フィルタを保持することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、パイプ体のロッド嵌入部にロッドの自由端を嵌入するときに、作業者は、フィルタ挿通孔からパイプ体の先端側に設けた目視用開口を通じて、パイプ体のロッド嵌入部とロッドの自由端とを直接目視することができる。このため、パイプ体のロッド嵌入部にロッドの自由端を迅速に嵌入することができ、その作業性を高めることができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、パイプ体の先端側に設けたテーパ筒部によって、ロッドの自由端をパイプ体のロッド嵌入部へと案内することができるので、タンク本体のフィルタ挿通孔をロッド保持部材の蓋体によって施蓋するときに、パイプ体のロッド嵌入部をロッドの自由端に容易に嵌入することができ、その作業性を一層高めることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、長さが異なる複数種類のパイプ体のうちタンク本体の高さ寸法に対応した一つのパイプ体を選択し、このパイプ体を蓋体に着脱可能に取付けることにより、吸込フィルタに取付けられたロッドの自由端を保持することができる。従って、ロッド保持部材のうち蓋体を共通部品とし、この蓋体に対してパイプ体のみを交換することにより、タンク本体の高さ寸法の変化に迅速に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るタンク装置の実施の形態を、油圧ショベルの作動油タンク装置に適用した場合を例に挙げ、図1ないし図15を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械の代表例である油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前部側に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0026】
そして、作業装置4は、上部旋回体3に取付けられたブーム4Aと、該ブーム4Aの先端側に取付けられたアーム4Bと、該アーム4Bの先端側に取付けられたバケット4Cと、ブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4Fとにより大略構成されている。
【0027】
一方、上部旋回体3は、支持構造体をなす旋回フレーム5を有し、該旋回フレーム5の前部左側には、運転室を画成するキャブ6が配設され、旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト7が配設されている。また、カウンタウエイト7の前側には、エンジン、油圧ポンプ、熱交換装置等の搭載機器(いずれも図示せず)を収容する建屋カバー8が設けられている。さらに、建屋カバー8の右前側には、燃料を貯溜する燃料タンク9が配設され、建屋カバー8の左前側には、後述の作動油タンク装置11が配設されている。
【0028】
11は建屋カバー8の左前側に位置して旋回フレーム5上に設けられた作動油タンク装置で、該作動油タンク装置11は、下部走行体2に設けられた走行用の油圧モータ及び上部旋回体3に設けられた旋回用の油圧モータ(いずれも図示せず)、作業装置4を構成するブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4F等の各油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。
【0029】
そして、作動油タンク装置11は、図3ないし図6に示すように、後述のタンク本体12、吸込管13、吸込フィルタ14、ロッド15、フィルタ挿通孔16、ロッド保持部材18等により構成されている。
【0030】
12は作動油タンク装置11のベースとなるタンク本体で、該タンク本体12は、図1に示す旋回フレーム5の上面側にブラケット等(図示せず)を介して取付けられ、その内部に作動油を貯溜するものである。ここで、タンク本体12は、図3及び図4に示すように、底面板12Aと、上面板12Bと、前面板12Cと、後面板12Dと、左,右の側面板12Eとによって囲まれた直方体の箱状に形成されている。
【0031】
そして、タンク本体12を構成する後面板12Dの高さ方向の中間部位には、油圧ショベル1に搭載された各油圧アクチュエータからの戻り油をタンク本体12内に流入させる流入管12Fが固着されている。また、タンク本体12の底面板12Aには、後述の吸込管13が接続され、タンク本体12の上面板12Bには、後述のフィルタ挿通孔16が設けられている。
【0032】
13はタンク本体12の底面板12Aに開口して設けられた吸込管で、該吸込管13は、略L字状をなすエルボにより形成されている。ここで、底面板12Aに接続された吸込管13の一端側は、タンク本体12内に開口する開口端13Aとなっている。一方、吸込管13の他端側は、油圧配管、油圧ホース等を介して油圧ポンプ(いずれも図示せず)の吸込側に接続されるものである。そして、タンク本体12内に貯溜された作動油は、吸込管13等を通じて油圧ポンプに吸込まれ、該油圧ポンプの吐出側から油圧アクチュエータへと圧送される構成となっている。
【0033】
14はタンク本体12内の下端側に設けられた吸込フィルタで、該吸込フィルタ14は、タンク本体12内に開口した吸込管13の開口端13Aを覆って着脱可能に取付けられ、タンク本体12から吸込管13へと流通する作動油を清浄化するものである。ここで、吸込フィルタ14は、全体として吸込管13の開口端13Aよりも大きな内径寸法を有する円筒状に形成されている。また、吸込フィルタ14の上端側には円板状の上取付板14Aが設けられ、該上取付板14Aの中心部には、後述するロッド15の基端側が固定される構成となっている。
【0034】
一方、吸込フィルタ14の下端側には環状の下取付板14Bが設けられ、該下取付板14Bの内周側は、吸込管13の開口端13Aの外周に挿嵌されている。このように、吸込フィルタ14は、吸込管13の開口端13Aを覆った状態でタンク本体12内に設けられ、タンク本体12内の作動油が吸込管13へと流通するときに、この作動油内に混入した異物を捕捉して清浄化するものである。
【0035】
15は基端側が吸込フィルタ14に固定されたロッドで、該ロッド15は、吸込フィルタ14から上,下方向に延びている。ここで、ロッド15は一定の長さを有する1本の丸棒材により形成され、ロッド15の基端側(下端側)は吸込フィルタ14の上取付板14Aに固定されている。一方、ロッド15の上端側は自由端15Aとなり、この自由端15Aの外周側に形成された雄ねじ部にはナット15B,15Bが互いに廻止め状態に螺合している。そして、ロッド15の自由端15Aは、後述のロッド保持部材18によって保持される構成となっている。ここで、ロッド15は、吸込フィルタ14がロッド15の重量によって変形、破損等を生じるのを防止するため、許容最大長さ以下の一定の長さをもって形成されている。
【0036】
16はタンク本体12の上面板12Bに穿設されたフィルタ挿通孔で、該フィルタ挿通孔16は、タンク本体12内に吸込フィルタ14を配置するときに、該吸込フィルタ14とロッド15とが一緒に挿通されるものである。ここで、フィルタ挿通孔16は、吸込フィルタ14の外径寸法よりも大径な円形孔として形成され、吸込管13の開口端13Aとほぼ同心上に配置されている。また、タンク本体12の上面板12Bには、フィルタ挿通孔16を外周側から取囲む環状の取付フランジ17が溶接等によって固着され、該取付フランジ17には、後述の蓋体19が着脱可能に取付けられる構成となっている。
【0037】
18はタンク本体12のフィルタ挿通孔16に着脱可能に取付けられるロッド保持部材で、該ロッド保持部材18は、フィルタ挿通孔16を施蓋しつつタンク本体12内へと突出し、吸込フィルタ14に固定されたロッド15の自由端15Aを保持するものである。ここで、ロッド保持部材18は、本実施の形態によるタンク本体12に対応するもので、図5ないし図7に示すように、後述の蓋体19と、パイプ体21とにより大略構成されている。
【0038】
19はロッド保持部材18を構成する蓋体で、該蓋体19は、タンク本体12の上面板12Bに穿設されたフィルタ挿通孔16を施蓋するものである。ここで、蓋体19は、金属材料または樹脂材料を用いて取付フランジ17とほぼ等しい外径寸法を有する円板状に形成され、蓋体19の中心部には、後述のエアブリーザ20が取付けられる環状の取付座19Aが一体形成されている。そして、蓋体19は、複数のボルト19B,19B,…を用いて取付フランジ17の上面に着脱可能に取付けられ、タンク本体12のフィルタ挿通孔16を液密に施蓋している。
【0039】
20は蓋体19の取付座19Aに取付けられたエアブリーザ(呼吸栓)で、該エアブリーザ20は、タンク本体12内の圧力が外気圧よりも上昇したときにタンク本体12内の空気を外部に排出する排気チェック弁と、タンク本体12内が負圧となったときにタンク本体12内に外部の空気を吸込む吸気チェック弁とを備えて構成されている。そして、エアブリーザ20は、タンク本体12内の圧力が外気圧とほぼ同圧となるように調整するものである。
【0040】
21は基端側21Aが蓋体19に固定されたパイプ体で、該パイプ体21の先端側は、蓋体19の下面からタンク本体12内に突出し、吸込フィルタ14に固定されたロッド15の自由端15Aを保持するものである。ここで、パイプ体21は、図5ないし図7に示すように、金属材料または樹脂材料を用いて円筒状に形成され、その長さ方向の途中部位には、軽量化を図るための複数の径方向孔21B,21B,…が穿設されている。
【0041】
そして、パイプ体21の基端側21Aは、蓋体19の中心部下面に固着され、パイプ体21の先端側は、ロッド15の自由端15Aに向けてタンク本体12内に突出している。ここで、蓋体19とパイプ体21とがいずれも金属材料で形成されている場合は、両者は溶接または圧入等の手段を用いて固着され、蓋体19とパイプ体21とがいずれも樹脂材料で形成されている場合は、両者は接着または圧入等の手段を用いて固着されるものである。また、パイプ体21の先端部には、パイプ体21の外径寸法よりも狭幅な長方形状の端板21Cが固着して設けられ、該端板21Cには、パイプ体21の軸中心と同心上にロッド嵌入部としてのロッド嵌入孔21Dが穿設されている。
【0042】
そして、図4及び図6に示すように、タンク本体12のフィルタ挿通孔16をロッド保持部材18の蓋体19によって施蓋するときに、吸込フィルタ14に固定されたロッド15の自由端15Aを、パイプ体21のロッド嵌入孔21Dに嵌入することにより、図3及び図5に示すように、パイプ体21によってロッド15の自由端15Aを保持し、吸込フィルタ14を、吸込管13の開口端13Aを覆った状態に保持することができる構成となっている。
【0043】
ここで、図3に示すように、タンク本体12とロッド15とについて、タンク本体12の底面板12Aの下面から蓋体19の下面までの距離(タンク本体12の高さ寸法)をA1、タンク本体12の底面板12Aの下面からロッド15の自由端15Aまでの距離(ロッド15の長さ寸法)をB1、蓋体19の下面からのパイプ体21の突出長さをC1、パイプ体21の先端部とロッド15の自由端15Aとの重なり寸法をΔCとした場合、パイプ体21の突出長さC1は、下記数1のように表わされる。
【0044】
【数1】

【0045】
即ち、本実施の形態によるパイプ体21の突出長さC1は、タンク本体12の高さ寸法A1とロッド15の長さ寸法B1との差よりもΔCだけ長い寸法に設定されている。
【0046】
22,22はパイプ体21の先端側に設けられた2個の目視用開口で、該各目視用開口22は、パイプ体21の端板21Cから上方に延びる長孔状に形成され、パイプ体21の径方向で互いに対向するように配置されている。これにより、図4及び図6に示すように、パイプ体21のロッド嵌入孔21Dをロッド15の自由端15Aに嵌入するときに、図6中に一点鎖線で示す作業者の視線Lは、タンク本体12のフィルタ挿通孔16からパイプ体21の目視用開口22を通じて当該パイプ体21のロッド嵌入孔21Dに達し、さらに、ロッド嵌入孔21Dを通じてロッド15の自由端15Aに達するようになる。
【0047】
即ち、パイプ体21のロッド嵌入孔21Dをロッド15の自由端15Aに嵌入するときに、作業者は、タンク本体12のフィルタ挿通孔16から、パイプ体21に設けた目視用開口22を通じて、ロッド嵌入孔21Dとロッド15の自由端15Aとを直接目視しながら、ロッド嵌入孔21Dにロッド15の自由端15Aを嵌入することができる構成となっている。
【0048】
23はパイプ体21の先端側に設けられたテーパ筒部で、該テーパ筒部23は、ロッド15の自由端15Aを、パイプ体21のロッド嵌入孔21Dへと案内するものである。ここで、図5及び図6に示すように、テーパ筒部23は、ロッド15の自由端15Aに設けたナット15Bの外径よりも大きな内径寸法を有し、先端側(下端側)に向けて徐々に拡径するテーパ状の円筒体により構成されている。そして、テーパ筒部23は、その基端側(上端側)がパイプ体21の端板21Cに固着されることにより、該端板21Cに穿設されたロッド嵌入孔21Dと同心上に配置されている。
【0049】
従って、図4及び図6に示すように、タンク本体12のフィルタ挿通孔16を蓋体19によって施蓋するときに、パイプ体21の先端側に設けたテーパ筒部23内にロッド15の自由端15Aを挿入すると、該自由端15Aに設けたナット15Bが、テーパ筒部23の内周面に当接する。この場合、テーパ筒部23は、先端側から基端側(パイプ体21側)に向けて徐々に縮径するテーパ状をなしているので、ロッド15のナット15Bをテーパ筒部23に当接させつつ蓋体19を下方に移動させることにより、ロッド15の自由端15Aをパイプ体21のロッド嵌入部21Dへと案内し、図3及び図5に示すように、ロッド15の自由端15Aを、ロッド嵌入部21Dに容易に嵌入することができる構成となっている。
【0050】
本実施の形態による作動油タンク装置11は上述の如き構成を有するもので、以下、タンク本体12内で吸込フィルタ14を保持する作業について説明する。
【0051】
まず、タンク本体12の高さ寸法A1と、吸込フィルタ14に固定したロッド15の長さ寸法B1とにより、上述した数1に基づいて蓋体19からのパイプ体21の突出長さC1を算出する。このようにして、蓋体19からのパイプ体21の突出長さC1を有するロッド保持部材18を、高さ寸法A1を有するタンク本体12に対応するロッド保持部材として選択する。
【0052】
次に、図4及び図6に示すように、選択したロッド保持部材18をタンク本体12のフィルタ挿通孔16に取付けるため、タンク本体12の取付フランジ17に向けて下方へと移動させ、ロッド保持部材18のパイプ体21をタンク本体12内に挿入していく。そして、パイプ体21の先端側に設けたロッド嵌入孔21Dに、吸込フィルタ14に固定されたロッド15の自由端15Aを嵌入する。
【0053】
この場合、パイプ体21の先端側には目視用開口22が設けられているので、ロッド保持部材18を持った作業者は、図6中に一点鎖線で示す視線Lのように、タンク本体12のフィルタ挿通孔16から、目視用開口22を通じてパイプ体21のロッド嵌入孔21Dを目視すると共に、該ロッド嵌入孔21Dを通じてロッド15の自由端15Aを目視することができる。
【0054】
このように、パイプ体21のロッド嵌入孔21Dをロッド15の自由端15Aに嵌入するときに、作業者は、パイプ体21の先端側に設けた目視用開口22を通じて、フィルタ挿通孔16からロッド嵌入孔21Dとロッド15の自由端15Aとを直接目視しつつ、ロッド嵌入孔21Dにロッド15の自由端15Aを嵌入する作業を行うことができるので、その作業性を高めることができる。
【0055】
また、パイプ体21の先端側には、パイプ体21からロッド15に向けて先端側が徐々に拡径するテーパ筒部23が設けられているので、このテーパ筒部23内にロッド15の自由端15Aを挿入し、該自由端15Aに取付けたナット15Bをテーパ筒部23の内周面に当接させることにより、図3及び図5に示すように、ロッド15の自由端15Aをパイプ体21のロッド嵌入孔21Dへと案内することができる。
【0056】
このようにして、ロッド保持部材18の蓋体19をタンク本体12の取付フランジ17に当接させる間に、パイプ体21のロッド嵌入孔21Dに確実にロッド15の自由端15Aを嵌入することができる。従って、ロッド保持部材18をタンク本体12のフィルタ挿通孔16に取付けるときに、ロッド保持部材18のパイプ体21によってロッド15の自由端15Aを保持することができ、吸込フィルタ14を、吸込管13の開口端13Aを覆った状態に保持することができる。
【0057】
そして、ロッド保持部材18の蓋体19をボルト19Bを用いて取付フランジ17に固定し、タンク本体12のフィルタ挿通孔16を施蓋することにより、タンク本体12内の適正な位置で吸込フィルタ14を保持する作業が終了する。
【0058】
次に、図8ないし図12は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態に用いたタンク本体に比較して、高さ寸法が大きいタンク本体を用いた場合を示している。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0059】
図中、31は本実施の形態による作動油タンク装置を示し、該作動油タンク装置31は、第1の実施の形態による作動油タンク装置11と同様に、後述のタンク本体32、吸込管13、吸込フィルタ14、ロッド15、フィルタ挿通孔16、後述のロッド保持部材33等により構成されている。
【0060】
然るに、本実施の形態による作動油タンク装置31は、第1の実施の形態によるタンク本体12に比較して高さ寸法が大きなタンク本体32と、このタンク本体32に対応するロッド保持部材33とを備えた点で、第1の実施の形態による作動油タンク装置11とは異なるものである。
【0061】
32は作動油タンク装置31のベースとなるタンク本体で、該タンク本体32は、第1の実施の形態によるタンク本体12と同様に、底面板32Aと、上面板32Bと、前面板32Cと、後面板32Dと、左,右の側面板32Eとによって囲まれた直方体の箱状に形成されている。そして、タンク本体32を構成する後面板32Dの高さ方向の中間部位には、各油圧アクチュエータからの戻り油をタンク本体32内に流入させる流入管32Fが固着されている。
【0062】
ここで、タンク本体32の底面板32Aには吸込管13が接続され、タンク本体32の上面板32Bには、フィルタ挿通孔16と取付フランジ17とが設けられている。そして、タンク本体32内には、吸込管13の開口端13Aを覆った状態で吸込フィルタ14が配設され、該吸込フィルタ14に固定されたロッド15の自由端15Aは上方へと延びている。
【0063】
33はタンク本体32のフィルタ挿通孔16に着脱可能に取付けられるロッド保持部材で、該ロッド保持部材33は、フィルタ挿通孔16を施蓋しつつタンク本体32内へと突出し、吸込フィルタ14に固定されたロッド15の自由端15Aを保持するものである。ここで、ロッド保持部材33は、本実施の形態によるタンク本体32に対応するもので、図10ないし図12に示すように、蓋体19と、後述のパイプ体34とにより大略構成され、蓋体19の取付座19Aにはエアブリーザ20が取付けられている。
【0064】
34は基端側34Aが蓋体19に固定されたパイプ体で、該パイプ体34の先端側は、蓋体19の下面からタンク本体32内に突出し、吸込フィルタ14に固定されたロッド15の自由端15Aを保持するものである。ここで、パイプ体34は円筒状のパイプ材を用いて形成され、その長さ方向の途中部位には複数の径方向孔34B,34B,…が穿設されている。
【0065】
そして、パイプ体34の基端側34Aは、蓋体19の中心部下面に溶接等の手段を用いて固着され、パイプ体34の先端側は、ロッド15の自由端15Aに向けてタンク本体32内に突出している。また、パイプ体34の先端部には端板34Cが固着して設けられ、該端板34Cにはロッド嵌入部としてのロッド嵌入孔34Dが穿設されている。
【0066】
ここで、図8に示すように、タンク本体32とロッド15とについて、タンク本体32の底面板32Aの下面から蓋体19の下面までの距離(タンク本体32の高さ寸法)をA2、タンク本体32の底面板32Aの下面からロッド15の自由端15Aまでの距離(ロッド15の長さ寸法)をB1、蓋体19の下面からのパイプ体34の突出長さをC2、パイプ体34の先端部とロッド15の自由端15Aとの重なり寸法をΔCとした場合、パイプ体34の突出長さC2は、下記数2のように表わされる。
【0067】
【数2】

【0068】
即ち、本実施の形態によるパイプ体34の突出長さC2は、タンク本体32の高さ寸法A2とロッド15の長さ寸法B1との差よりもΔCだけ長い寸法に設定されている。なお、ロッド15の長さ寸法B1は一定寸法であり、上述した第1の実施の形態と同一である。
【0069】
35,35はパイプ体34の先端側に設けられた2個の目視用開口で、該各目視用開口35は、パイプ体34の端板34Cから上方に延びる長孔状に形成されている。これにより、パイプ体34のロッド嵌入孔34Dをロッド15の自由端15Aに嵌入するときに、作業者は、タンク本体32のフィルタ挿通孔16から、パイプ体34の先端側に設けた目視用開口35を通じて、ロッド嵌入孔34Dとロッド15の自由端15Aとを直接目視しながら、ロッド嵌入孔34Dにロッド15の自由端15Aを嵌入することができる構成となっている。
【0070】
36はパイプ体34の先端側に設けられたテーパ筒部で、該テーパ筒部36は、ロッド15の自由端15Aに設けたナット15Bの外径よりも大きな内径寸法を有し、先端側(下端側)に向けて徐々に拡径するテーパ状の円筒体により構成されている。そして、テーパ筒部36は、ロッド15の自由端15Aをパイプ体34のロッド嵌入孔34Dへと案内するものである。
【0071】
本実施の形態による作動油タンク装置31は、上述の如き構成を有するもので、タンク本体32内で吸込フィルタ14を保持する場合には、まず、タンク本体32の高さ寸法A2と、吸込フィルタ14に固定したロッド15の長さ寸法B1とにより、上述した数2に基づいて蓋体19からのパイプ体34の突出長さC2を算出する。このようにして、蓋体19からのパイプ体34の突出長さC2を有するロッド保持部材33を、高さ寸法A2を有するタンク本体32に対応するロッド保持部材として選択する。
【0072】
次に、図9及び図11に示すように、選択したロッド保持部材33のパイプ体34をタンク本体32内に挿入し、パイプ体34の先端側に設けたロッド嵌入孔34Dに、吸込フィルタ14に固定されたロッド15の自由端15Aを嵌入する。
【0073】
この場合、作業者は、パイプ体34の先端側に設けた目視用開口35を通じて、フィルタ挿通孔16からロッド嵌入孔34Dとロッド15の自由端15Aとを直接目視しつつ、ロッド嵌入孔34Dにロッド15の自由端15Aを嵌入する作業を行うことができるので、その作業性を高めることができる。
【0074】
また、パイプ体34の先端側には先端側が徐々に拡径するテーパ筒部36が設けられているので、このテーパ筒部36内にロッド15の自由端15Aを挿入し、該自由端15Aに取付けたナット15Bをテーパ筒部36の内周面に当接させることにより、図8及び図10に示すように、ロッド15の自由端15Aをパイプ体34のロッド嵌入孔34Dへと案内することができる。
【0075】
このように、本実施の形態においても、ロッド保持部材33をタンク本体32のフィルタ挿通孔16に取付けるときに、ロッド保持部材33のパイプ体34によってロッド15の自由端15Aを保持することができるので、吸込フィルタ14を吸込管13の開口端13Aを覆った状態に保持することができる。
【0076】
かくして、第1の実施の形態による作動油タンク装置11は、高さ寸法A1を有するタンク本体12内で吸込フィルタ14に固定されたロッド15の自由端15Aを保持するため、蓋体19からのパイプ体21の突出長さC1を有するロッド保持部材18を選択し、該ロッド保持部材18をタンク本体12のフィルタ挿通孔16に取付ける構成としている。
【0077】
一方、第2の実施の形態による作動油タンク装置31は、第1の実施の形態によるタンク本体12よりも大きな高さ寸法A2を有するタンク本体32内でロッド15の自由端15Aを保持するため、蓋体19からのパイプ体34の突出長さC2を有するロッド保持部材33を選択し、該ロッド保持部材33をタンク本体32のフィルタ挿通孔16に取付ける構成としている。
【0078】
このように、高さ寸法A1を有するタンク本体12が、これよりも大きな高さ寸法A2を有するタンク本体32に変化したとしても、このタンク本体32の高さ寸法A2に対応するロッド保持部材33を選択してタンク本体32のフィルタ挿通孔16に取付けることにより、吸込フィルタ14に固定されたロッド15の長さを増大させることなく、一定の長さ寸法B1を有するロッド15の自由端15Aを、ロッド保持部材33によって確実に保持することができる。
【0079】
この結果、高さ寸法A1を有するタンク本体12を用いた場合でも、高さ寸法A2を有するタンク本体32を用いた場合でも、ロッド15の長さ寸法B1を変化させることなく、吸込フィルタ14を、吸込管13の開口端13Aを覆った適正な状態に保持しておくことができる。
【0080】
従って、ロッド15の重量が増大して吸込フィルタ14が変形、破損等を生じることがなく、タンク本体32から吸込管13を通じて油圧アクチュエータに供給される作動油を、吸込フィルタ14によって適正に清浄化することができる。
【0081】
次に、図13及び図14は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ロッド保持部材を、蓋体と、該蓋体に着脱可能に取付けられる複数種類のパイプ体とにより構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0082】
図中、41は本実施の形態によるロッド保持部材で、該ロッド保持部材41は、後述の蓋体42と、後述する複数種類のパイプ体43,47とにより構成されている。そして、ロッド保持部材41は、蓋体42を共通部品とし、各パイプ体43,47のうちタンク本体の高さ寸法に対応する一つのパイプ体を選択して蓋体42に着脱可能に取付けるものである。
【0083】
42はタンク本体12のフィルタ挿通孔16を施蓋する蓋体で、該蓋体42は、第1の実施の形態による蓋体19に代えて本実施の形態に用いたものである。ここで、蓋体42は、タンク本体12の取付フランジ17とほぼ等しい外径寸法を有する円板状に形成され、その中心部には、エアブリーザ20が取付けられる環状の取付座42Aが一体形成されている。そして、蓋体42は、複数のボルト42Bを用いて取付フランジ17の上面に着脱可能に取付けられ、タンク本体12のフィルタ挿通孔16を液密に施蓋している。
【0084】
また、蓋体42の中心部下面から取付座42Aには、軸方向に延びるパイプ嵌合穴42Cが設けられ、該パイプ嵌合穴42Cには、後述するパイプ体43,47の基端側が嵌合する構成となっている。さらに、取付座42Aには、パイプ嵌合穴42Cを通って径方向に貫通するピン孔42Dが穿設され、該ピン孔42Dには、後述の割ピン46が挿通される構成となっている。
【0085】
43は基端側43Aが蓋体42に着脱可能に取付けられるパイプ体で、該パイプ体43は、第1の実施の形態によるパイプ体21とほぼ同様に、円筒状のパイプ材を用いて形成され、長さ方向の途中部位には複数の径方向孔43Bが穿設されている。また、パイプ体43の先端側には端板43Cが固着され、該端板43Cにはロッド嵌入部としてのロッド嵌入孔43Dが設けられている。
【0086】
ここで、パイプ体43の基端側43Aには、径方向に貫通するピン孔43Eが設けられている。一方、パイプ体43の先端側には、2個の目視用開口44が設けられると共に、テーパ筒部45が設けられている。
【0087】
そして、パイプ体43は、その基端側43Aを蓋体42のパイプ嵌合穴42C内に嵌合させることにより、蓋体42に着脱可能に取付けられ、蓋体42のピン孔42Dと、パイプ体43のピン孔43Eとに割ピン46を挿通することにより、蓋体42に対してパイプ体43を抜止めする構成となっている。
【0088】
47は基端側47Aが蓋体42に着脱可能に取付けられる他のパイプ体で、該パイプ体47は、上述のパイプ体43よりも大きな長さ寸法をもって形成され、長さ方向の途中部位には複数の径方向孔47Bが穿設されている。また、パイプ体47の先端側には端板47Cが固着され、該端板47Cにはロッド嵌入部としてのロッド嵌入孔47Dが設けられている。
【0089】
ここで、パイプ体47の基端側47Aには、径方向に貫通するピン孔47Eが設けられている。一方、パイプ体47の先端側には、2個の目視用開口48が設けられると共に、テーパ筒部49が設けられている。
【0090】
そして、パイプ体47は、その基端側47Aを蓋体42のパイプ嵌合穴42C内に嵌合させることにより、蓋体42に着脱可能に取付けられ、蓋体42のピン孔42Dと、パイプ体47のピン孔47Eとに割ピン46を挿通することにより、蓋体42に対してパイプ体47を抜止めする構成となっている。
【0091】
かくして、本実施の形態によれば、ロッド保持部材41を、蓋体42と、長さ寸法が異なる複数種類(2種類)のパイプ体43,47とにより構成したので、タンク本体の高さ寸法に対応する長さ寸法を有するパイプ体43またはパイプ体47を選択的に蓋体42に取付けることができる。従って、ロッド保持部材41のうち蓋体42を共通部品とし、この蓋体42に対してパイプ体43,47のみを交換することにより、タンク本体の高さ寸法の変化に迅速に対応することができるので、部品点数を削減することができ、製造コストの低減にも寄与することができる。
【0092】
なお、上述した第3の実施の形態では、共通部品としての蓋体42にパイプ嵌合穴42Cを設け、このパイプ嵌合孔42Cにパイプ体43の基端側43A、またはパイプ体47の基端側47Aを着脱可能に嵌合し、割ピン46によって抜止めする場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図15に示す変形例のように、パイプ嵌合孔42Cの内周側に雌ねじ部42D′を設けた共通部品としての蓋体42′を用いると共に、基端側43Aの外周に雄ねじ部43E′を設けたパイプ体43′と、基端側47Aの外周に雄ねじ部47E′を設けたパイプ体47′とを用い、蓋体42′の雌ねじ部42D′にパイプ体43′の雄ねじ部43E′、またはパイプ体47′の雄ねじ部47E′を螺合して取付ける構成としてもよい。
【0093】
また、上述した第1の実施の形態では、ロッド保持部材18を構成するパイプ体21の先端側に、吸込フィルタ14に固定されたロッド15の自由端15Aが嵌入するロッド嵌入孔21Dを穿設した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばパイプ体の先端側にロッド嵌入部としての凹陥部を設け、この凹陥部内にロッド15の自由端15Aが嵌入させる構成としてもよい。このことは、第2の実施の形態によるパイプ体34のロッド嵌入孔34Dについても同様である。
【0094】
さらに、上述した各実施の形態では、油圧ショベルに搭載される作動油タンク装置に適用した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン、ホイールローダ等の他の建設機械に搭載される作動油タンク装置にも広く適用することができる。また、作動油タンク装置に限らず、例えば燃料タンク装置にも適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施の形態による作動油タンク装置を搭載した油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルの平面図である。
【図3】作動油タンク装置を図2中の矢示III−III方向からみた断面図である。
【図4】タンク本体にロッド保持部材を取付ける状態を示す断面図である。
【図5】図3中のロッド保持部材等を拡大した要部拡大断面図である。
【図6】図4中のロッド保持部材等を拡大した要部拡大断面図である。
【図7】第1の実施の形態によるロッド保持部材の蓋体とパイプ体とを分解して示す分解斜視図である。
【図8】第2の実施の形態による作動油タンク装置を図3と同様位置からみた断面図である。
【図9】タンク本体にロッド保持部材を取付ける状態を示す断面図である。
【図10】図8中のロッド保持部材等を拡大した要部拡大断面図である。
【図11】図9中のロッド保持部材等を拡大した要部拡大断面図である。
【図12】第2の実施の形態によるロッド保持部材の蓋体とパイプ体とを分解して示す分解斜視図である。
【図13】第3の実施の形態によるロッド保持部材を示す図6と同様な要部拡大断面図である。
【図14】ロッド保持部材を示す分解斜視図である。
【図15】第3の実施の形態によるロッド保持部材の変形例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0096】
11,31 作動油タンク装置
12,32 タンク本体
13 吸込管
13A 開口端
14 吸込フィルタ
15 ロッド
15A 自由端
16 フィルタ挿通孔
18,33,41 ロッド保持部材
19,42,42′ 蓋体
21,34,43,47,43′,47′ パイプ体
21A,34A,43A,47A 基端側
21D,34D,43D,47D ロッド嵌入孔(ロッド嵌入部)
22,35,44,48 目視用開口
23,36,45,49 テーパ筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯溜するタンク本体と、該タンク本体の下側に開口して設けられポンプに吸込まれる液体が流通する吸込管と、該吸込管を覆って着脱可能に取付けられ該吸込管を流通する液体を清浄化する吸込フィルタと、下端側が該吸込フィルタに固定され上端側が自由端となったロッドと、前記タンク本体の上側に設けられ前記吸込フィルタと該ロッドとが一緒に挿通されるフィルタ挿通孔と、該フィルタ挿通孔を施蓋しつつ前記タンク本体内へと突出し前記ロッドの自由端を保持するロッド保持部材とを備えてなるタンク装置において、
前記ロッド保持部材は、前記タンク本体内への突出長さが異なる複数種類を備え、これら複数種類のロッド保持部材のうち前記タンク本体の高さに対応した一つのロッド保持部材を選択して前記フィルタ挿通孔に取付ける構成としたことを特徴とするタンク装置。
【請求項2】
前記ロッド保持部材は、前記フィルタ挿通孔を施蓋する蓋体と、基端側が該蓋体に取付けられ先端側が前記ロッドの自由端が嵌入されるロッド嵌入部となったパイプ体とにより構成してなる請求項1に記載のタンク装置。
【請求項3】
前記パイプ体の先端側には、前記パイプ体のロッド嵌入部に前記ロッドの自由端を嵌入するときに前記ロッド嵌入部と前記ロッドの自由端とを前記フィルタ挿通孔から目視するための目視用開口を設ける構成としてなる請求項2に記載のタンク装置。
【請求項4】
前記パイプ体の先端側には、前記ロッドの自由端を前記ロッド嵌入部へと案内するため先端側が拡径したテーパ筒部を設ける構成としてなる請求項2または3に記載のタンク装置。
【請求項5】
前記パイプ体は前記タンク本体の高さに応じて長さが異なる複数種類を備え、これら複数種類のパイプ体のうち一つのパイプ体を選択して前記蓋体に着脱可能に取付ける構成としてなる請求項2,3または4に記載のタンク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−185130(P2008−185130A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19387(P2007−19387)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】