説明

タンパク質含有原料の加水分解のための装置および方法ならびに得られた加水分解産物の用途

タンパク質含有原料を水溶性タンパク質およびその他の成分へ加水分解するための装置および方法。これらの装置および方法は、食品製造プラントから出る魚類または動物胴体などのタンパク質含有原料が回収され、所望により処理される任意の回収または処理段階を含む。次に、原料を1以上の酵素と反応させて存在するタンパク質を加水分解し、その後、この1以上の酵素を不活化し、成分を分離する。これらのプロセスおよび装置はバッチ法として実施することもできるし、あるいは有利には連続法として実施することもでき、これにより水溶性タンパク質、油、骨粉、およびその他食品または食品添加物として有用性を有する製品が得られる。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本開示は、タンパク質含有原料の加水分解のためのプラントおよび方法、ならびにそれから得られた加水分解産物の使用に関する。
【0002】
種々のバッチ式加水分解法が知られており、それぞれ、処理時間が長い、可溶性タンパク質の収率が低い、製品の品質または風味が良くない、脂肪含量が高い、資源の利用が効率的でないといった特定の欠点を有する。本開示によれば魚類、動物および植物材料といったタンパク質含有材料の加水分解をもたらす装置、方法およびシステム、ならびにそれから得られる加水分解産物が提供される。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、(i)タンパク質を含有する魚類、動物または植物原料と(ii)タンパク質分解酵素とを含む反応混合物を加水分解および分離する装置および方法の実施態様が提供される。この原料は、食品加工処理による副産物または廃棄物の形であってもよい。これらの装置および方法は、原料(通常は、魚類または動物胴体などの細片)を回収し、所望により回収された原料片を小さくする処理を行う任意の回収区域または領域、反応混合物を加水分解する加水分解区域または領域、反応混合物中に存在する酵素を実質的に不活化する不活化区域または領域、および反応混合物の少なくとも一部を、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの液体成分へと分離する分離区域または領域を含む。他の実施態様では、水溶性タンパク質を含む液体部分に含まれる水を蒸発させて加水分解物を含む濃縮溶液を得るか、または乾燥させて固体加水分解物を生産する。
【0004】
他の実施態様では、回収領域および/または加水分解領域および/または不活化領域および/または分離領域は、反応混合物の液体成分中に存在するエマルジョンが常に所定のレベルより低くなるように反応混合物を維持することができ、また、そのように維持する。一つの実施態様では、存在するエマルジョンは反応混合物の5%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、最も好ましくは0.5%以下である。もう1つの実施態様では、反応混合物中に存在するエマルジョンは常に3%以下である。
【0005】
いくつかの実施態様では、原料の粒径は選別して小さくするか、最小とするか、またはエマルジョンが形成されないようにすることができる。例えば、使用原料が魚類を含む本発明の一つの実施態様では、原料を粗挽きするか、刻むか、または切断して、原料片または粒子の大きさが幅約16mm以上となるようにすればよい。ある実施態様では、原料の大きさは幅約16mm〜約50mmであり、別の実施態様では、原料凝集塊の大きさは幅約30mm以上である。原料片の大きさの測定値は任意の選択された方向または次元のものであってよい。従って、一方向のみ30mm幅である原料の長い細片やシートでも、本発明での使用に許容される。
【0006】
当業者ならば、原料粒子の凝集サイズがいくつかの方法で達成、制御または測定できることが分かるであろう。例えば、原料を摩砕するために使用される方法は、原料を押し出す開口部が備わっていればよい。従って、開口部の大きさおよび/または形状は所望の原料片の凝集サイズに到達するに相応な様々のものであってよい。同様に、細断法では、全量をどのように切断するか、または刻むかを制御すればよい。また、原料片または粒子の大きさは、カリパスまたは他の好適ないずれかの測定手段を用いることなどによって測定してもよい。あるいは、原料の大きさは原料片の重量と大きさを相関させることにより判定することもできる。
【0007】
本発明のいくつかの実施態様では、大きな原料を用いても、反応混合物を加水分解するのに必要な時間がそれほど長くならない。例えば、本発明の一つの実施態様では、原料片の大きさが50%増えても、反応混合物中のそれを加水分解するのに必要な時間は10%未満の延長にしかならず、より好ましくは5%未満の延長にしかならない。
【0008】
他の実施態様では、前記装置は、1時間当たり2トン、3トン、4トンまたは5トン、あるいはそれ以上の原料を加水分解することができる。また、本発明による装置は、例えば1時間当たり8トン、10トン、13トンまたは15トン、あるいはそれ以上といった、さらに大量の原料を加水分解することもできる。
【0009】
1時間当たり高容量の原料を加水分解できることに加え、本発明の他の実施態様によれば、長時間所望の能力で運転可能である。例えば、一つの実施態様では、前記装置は少なくとも約72時間連続的に原料を有用な産物に変換または転換することができる。もう1つの実施態様では、装置は約7日以上連続的に運転可能である。さらにもう1つの実施態様では、装置は約2週間以上連続的に運転可能である。
【0010】
もう1つの実施態様では、加水分解領域または区域は少なくとも1つの加水分解反応器を含む。この加水分解反応器は実質的に管状であるが、他の形状または構成でも使用できる。他の実施態様では、加水分解領域または区域は、酵素と原料の反応混合物をその装置の加水分解領域または区域内で移動させるためのフィーダースクリューを含む。
【0011】
フィーダースクリューはまた、以下にさらに詳細に記載する不活化領域または区域内など、この装置の他の区域または領域内で用いてもよい。例えば、一つの実施態様では、反応混合物を不活化領域内で移動させるために1以上のフィーダースクリューを用いてもよい。これらのフィーダースクリューは、骨などの固体成分と液体成分を含む反応混合物を分離のために移動させることができる。
【0012】
もう1つの実施態様では、反応混合物は脂肪層を含んでもよく、これは例えば吸入排出および/またはデカンテーションにより分離することができる。
【0013】
さらに他の実施態様によれば、原料中のタンパク質重量に対して少なくとも約50重量%、60重量%および70重量%またはそれ以上の水溶性タンパク質収量を生産する装置および方法が提供される。
【0014】
さらに他の実施態様は、反応混合物のpHをその既存の状態から調整されないというものである。さらにもう1つの実施態様は、原料のpHが調整されない、または原料pHおよび反応混合物のpHがその既存の状態から調整されないというものである。例えば、このような実施態様における原料および反応混合物のpHは、約6〜約9の間、好ましくは約6.5〜約8の間、より好ましくは約7〜8の間、または約7である。
【0015】
さらに他の実施態様によれば、魚類由来のものなど動物タンパク質に由来するアミノ酸を含む、またはこれを含有するタンパク質含有製品が提供される。本発明の他の実施態様は、植物由来のタンパク質含有原料を提供することを含む。また、このような製品がヒトまたは動物のための食品として、または栄養補助食品として用いられる実施態様も開示する。
【0016】
本開示の他の特徴および利点は、添付の図面および特許請求の範囲とともに以下の説明を参照することにより明らかとなる。
【発明の具体的説明】
【0017】
本節では、種々の実施態様の詳細な考察を示す。以下の考察から、当業者ならば、記載されている種々の具体的な実施態様になし得る多くの変形、置換および変更が容易に分かるであろう。
【0018】
A.原料
本明細書に記載の装置、システムおよび方法は、タンパク質性(すなわち、タンパク質を含有する)原料を、水溶性のタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸などの有用な製品へと加水分解するのに有用である。本明細書において「原料」とは、原料を有用な製品へと加水分解、変換または転換する酵素を添加する前の、植物、動物、原生生物、真菌、および細菌をはじめとする5つの生物界のいずれか1つまたは数種に由来する任意のタンパク質性原料を意味する。よって、原料には、限定されるものではないが、タンパク質、不飽和脂肪酸の豊富な油および骨の供給源である、植物または動物(魚類など)由来の非酵素処理材料がある。
【0019】
魚類製品および甲殻類などのその他の海洋生物、家禽類製品、ビーフ製品および他の反芻動物製品、ラム製品、豚製品、および藍藻類などの微生物製品に由来する原料は、本明細書に記載の目的に十分適したものである。魚類原料ならば、原料としては、例えば骨、頭、尾および内蔵、ならびに人間による消費を目的とした魚の加工から出る他のいずれかの廃棄物が挙げられる。原料はまた、例えば肉のついた骨を含む屠殺廃棄物または植物原料であってもよい。
【0020】
一般に、適正な条件下で原料を加水分解できる反応混合物とするためには、原料に酵素と水を加えればよい。一つの実施態様では、本明細書に記載の装置、システムおよび方法は、魚由来の、または魚を含む原料を処理して、ω−3脂肪酸など、心血管疾患の罹患率を引き下げることが示されている不飽和脂肪酸の豊富な油である有用製品を提供するのに有用である。特に、限定されるものではないが、サバ、マス、ニシン、サーディン、マグロ、およびサケをはじめとする高脂肪魚由来の原料は、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の2種のω−3脂肪酸に富む。高脂肪魚が原料に含まれる場合には、本明細書に記載の装置、システムおよび方法は、(例えば装置からの吸入排出および/またはデカンテーションにより)分離可能な油成分または相を生産することができ、ω−3脂肪酸を含有する食品添加物の製造に使用でき、あるいはさらに処理して、例えば脂溶性ビタミン類を抽出することもできる。
【0021】
さらに、魚類は、必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシン、リシン、メチオニン、トレオニン、トリプトファン、およびフェニルアラニンの供給源である。これら必須アミノ酸の他、本明細書に記載の加水分解物はまた、脂肪および脂溶性ビタミン類の吸収に用いられるタウリンなどの他のアミノ酸様成分を有意なレベルで含み得る。タウリンは喫煙に伴う異常な血管応答の逆転をはじめとする多くの利点を持つことが分かっている。よって、本明細書に記載の加水分解物を用いて、タウリン錠または他のタウリン含有製品を製造することができる。好ましくは、タウリン錠または他のタウリン含有製品は、人間による消費のために適している。本明細書において「加水分解物」とは、水溶性のタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸をいう。
【0022】
さらに、タウリンはネコの必須栄養素であるが、これは、例えばイヌやヒトとは違い、ネコは要求を満たせるほどの量のタウリンを合成できないためである。これに対し、ヒトやイヌは、必須アミノ酸のメチオニンやシステインからタウリンを産生することができる。しかし、ネコはこの反応のための酵素を持っておらず、タウリンを食物から得なければならない。よって、本明細書に記載の加水分解物はネコの食品添加物を製造するためにも使用できる。
【0023】
B. 回収領域
本明細書に開示の装置、システムまたは方法は、1以上の回収または調製領域を含むことができる。この回収または調製領域は、加水分解を受ける前に、原料を回収でき、所望によりさらなる処理を行える場所、例えばアセンブリ、区域、ステージまたは独立したハウジング、チャンバー、反応器またはユニットを単に内包しているものである。この回収領域は加水分解領域と直接または間接的に連絡させることができ、加水分解領域の近くにあってもよいし、離れていてもよい。従って、回収領域は加水分解領域と直結させることもできるし、あるいは1以上の中間的な区域、接続または導管を介して接続することもできる。あるいは、回収領域は加水分解区域から離れた位置、例えば魚肉加工プラントや動物屠殺場にあってもよく、現場処理を行うか、行わないかにかかわらず、また、そこでさらなる処理を行うか、行わないかにかかわわらず、原料を単に加水分解領域に輸送・供給すればよい。
【0024】
従って、回収領域は、ミンチ、摩砕、細断、切断、ブレンディングまたはその他の物理的操作など、原料片を小さくする加水分解前処理工程を含むことができ、これにより原料の有効表面積が増え、原料片と1以上の酵素の間の接触がさらに有効となる。さらに、原料片は、下記のように加水分解領域へ運ばれた際の乳化を回避または最小化するような寸法である。脂肪含量の高い原料(例えば脂肪含量約10重量%(湿重)以上、より好ましくは15%以上)は、乳化を軽減、最小化または回避する助けとするために、もっと大きな細片に加工することもできる。例えば、原料片の寸法は、少なくとも1方向または1次元が約15mm〜約50mm、好ましくは約20mm〜約40mm、約25mm〜約35mmであればよい。他の実施態様では、いっそう大きな原料が使用でき、驚くべきことに、魚の骨丸ごとといった、長さ最大300mm以上の物片でも、原料の加水分解にかかる時間の有意な延長または長期化なく処理できることが分かった。ある場合には、魚丸ごとや同様の大きさの他の原料も使用可能である。
【0025】
あるいは、いくつかの実施態様では、脂肪含量の高い材料よりも乳化の可能性が低い低脂肪含量の原料である場合などには、もっと小さな原料を使用することができる。従って、いくつかの実施態様では、原料片の大きさは15mmより小さくてもよい。本発明のこの態様の目的では、低脂肪含量原料の脂肪含量は約5重量%以下、より好ましくは約2重量%以下である。
【0026】
任意の加水分解前処理を含む回収工程は、加水分解前処理の結果として原料中に存在する脂質の乳化量を制御するために調節または変更することができる。乳化は、例えば、激しいもしくは乱流の混合もしくは処理を最小化すること、または微細な摩砕またはミンチからの乳化を軽減するために大きな原料片を用いることにより制御することができる。さらに、化学的離乳化剤または離乳化添加物を用いて乳化を低下、防止または排除してもよい。化学的離乳化としては、相分離を促進することを目的とした1以上の化学的離乳化剤または離乳化添加物を原料または反応混合物に添加することを含み得る。化学的乳化制御剤または離乳化剤を用いる場合は、目的の最終製品で乳化またはその他の作用が最小限となるように選択しなければならない。
【0027】
エマルジョンの制御は、その代わりにまたはそれに加えて、既知の物理的手段による離乳化も含み得る。例えば、物理的離乳化としては重力沈降および/または静電気的合着が挙げられる。後者の方法の背後にある基本的な概念は、システム内に分散した相滴の電気的に助長される荷電、移動、衝突、さらには合着を通じて相分離を促進することである。
【0028】
種々の実施態様では、回収領域で原料に水を加えればよい。原料の温度が低い場合には(例えば冷凍または冷蔵されている場合)、原料または反応混合物の温度を、伝導性をよくし、加水分解に適切な所望の温度または温度範囲とするために水を加熱してもよい。例えば、反応混合物の温度は、原料に水と酵素を添加した後に約20℃〜約85℃の間であればよい。好ましくは、反応混合物の温度は、原料に水と酵素を添加した後に約30℃〜約70℃、より好ましくは約50℃〜約60℃の間である。
【0029】
酵素もまた、回収領域において原料に加えればよい。以下に論じるように、その代わりにまたはそれに加えて、水および/または酵素は加水分解領域に導入された後に原料に加えてもよい。回収領域で原料へ酵素および水を添加すると、加水分解過程を開始させることができる。同様に、反応混合物の温度または他の条件は、反応混合物が加水分解領域へ導入される前に起こる加水分解の程度を制御または制限するように制御することができる。加水分解過程を制御することにより、加水分解領域へ導入する前の反応混合物の出荷、輸送または貯蔵中の乳化の可能性を全体的に最小化、軽減または回避しつつ、便宜または望ましければ、酵素および/または水の添加を行うことができる。
【0030】
C.加水分解領域
本明細書に開示の装置および方法はまた、任意の回収領域から原料を受け取る1以上の加水分解領域も含むことができる。この加水分解領域は、原料が加水分解を受け得る場所、例えばアセンブリ、区域、ステージ、独立型または接続型ハウジング、チャンバー、反応器またはユニットを単に内包しているものである。従って、加水分解領域は、通常、回収領域(設けられている場合)の後に置かれる。
【0031】
上記で論じたように、加水分解領域は回収領域の近くにあってもよいし、離れていてもよい。さらに、回収領域および加水分解領域は互いに一体として接続していてもよく、この場合には原料または反応混合物はどちらの領域にも見られる。従って、回収領域および加水分解領域は互いに液体連絡していてもよいし、あるいは本発明の装置、システムまたは方法中の実質的に同じ器具または部品によって識別されるものでもよい。例えば、原料を含む容器または供給システムは、酵素および水を添加した後の加水分解領域であってもよい。
【0032】
1以上の酵素は、加水分解領域に入る前の原料にすでに混合されていてもよいし、加水分解領域中の原料に加えてもよいし、またはその双方であってもよい。原料に1以上の酵素と所望により水を添加すれば反応混合物となり、すなわち、反応混合物はそれが1以上の酵素を含むという点で原料とは異なる。同様に、水(所望により約20℃〜約85℃に加熱した湯も含む)も、加水分解領域の前および/または加水分解領域にとどまっている間に原料に加えればよい。上記で論じたように、水および/または原料の温度は、これもまた加水分解が起こるに適したものであり得る他の温度範囲に調節することができる。混合の順序は問わず、加水分解領域において原料と酵素が接触し、反応混合物として一緒に存在する。
【0033】
もう1つの実施態様では、1以上の酵素はまた、活性酵素を含む反応混合物の液体部分が加水分解領域の第一の場所から第二の場所へとサイホンで吸い上げるか、または再循環させることによって原料に加えることができる。例えば、反応混合物の液体部分は、加水分解領域の流出端から加水分解領域の流入端へ、またはその付近へこのような液体部分を再導入することにより再循環させればよい。
【0034】
あるいは、加水分解領域の液体は、加水分解の開始を助けるため、または原料の解糖または加温を助けるため、またはその双方のために回収領域へサイホンで吸い上げるか、または再循環させることができる。通常、原料と接触させ、加水分解を促進する酵素は、加水分解中には消費されないか、または少なくとも酵素が原料を加水分解できなくなるまで数回再利用することができる。従って、原料の加水分解にすでに用いられているこのような酵素はその活性を保持しており、従って、活性酵素の実用可能な供給源である。
【0035】
酵素を再循環させる場合、新しい酵素を加えて少なくとも部分的にまたは完全に置き換えることができ、すなわち、再循環された酵素は加水分解領域または加水分解領域に運ばれるまでの回収領域に新しい酵素の代わりとして、または新しい酵素に加えて導入することができる。例えば、本発明の一つの実施態様では、加水分解領域中の酵素の約30%以上が再循環され、再利用される。加水分解領域中の酵素の約50%以上、または80%以上といったいっそう高い酵素量を再循環または再利用させることができる。
【0036】
好適な条件下では、1以上の酵素を原料と反応させ、加水分解物または加水分解産物、ならびに他の可溶性または不溶性産物を得ることができる。本明細書において「加水分解物」と「加水分解産物」は互換的に用いられ、水に可溶なタンパク質、ペプチドおよび/またはアミノ酸を意味する。上記で論じたように、反応混合物は原料、酵素、他の構成要素(例えば水)、そのようにして形成された加水分解産物、および固体(加水分解後に残る骨)をはじめとする加水分解領域の総ての内容物を含むと考えられる。加水分解領域は加水分解を促進する環境を形成し、一つの実施態様によれば、反応混合物を加水分解するとともに、反応混合物の乳化が所定のレベルに制御されている。エマルジョン制御および/または離乳化は実質的に上記のように行うことができる。
【0037】
加水分解領域は、化学的および/または物理的に反応混合物を加水分解する助けとなる種々の構成および装置を含み得る。加水分解領域はまた、反応混合物を加水分解領域内で移動、運搬または輸送する助けとなる種々の構成および装置を含み得る。連続法に相当する一つの実施態様では、反応混合物は、エマルジョンの形成を回避または最小化しながら、輸送機構および/または穏やかな攪拌および/または混合物の提供、例えばコンベアーベルト、振動ベルト、マイクロ波または超音波伝達システム、タンブラーなどにより加水分解領域から不活化領域へと進み得る。
【0038】
例えば、加水分解領域では、アルキメデススクリュー、シングルまたはツインスクリューポンプなどを用いればよい。従って、オーガーはハウジング内で回転して反応混合物を移動させ、かつ/または穏やかに混合することができる。同様に、加水分解領域は、反応混合物が移動する経路を規定する内表面を有するハウジングまたはスリーブを有し得る。しかしながら、反応混合物を移動させ、かつ/または穏やかに混合するためのオーガーを用いるのではなく、ハウジングを回転させることにより反応混合物を同様に移動させ、かつ/または穏やかに混合することを達成するねじ込み溝を備えていてもよい。図7Aに示されているこの代替的な実施態様は、それにより内部移動部分のないスクリューポンプとして同様の結果を達成するものである。
【0039】
図7Bに示されているもう1つの実施態様では、槽、ハウジング、またはチャネルのループを加水分解領域として使用することができる。この実施態様では、反応混合物の槽またはチャネルは、その中で移動する移動スクリーン、パネル、容器を備えている。原料または反応混合物はループの第一の場所に導入し、スクリーン、パネル、容器によりループの少なくとも一部に移動する。場合によっては、加水分解領域のこの場所または別の場所で水および/または酵素を加えてもよい。加水分解された成分と固体は第二の場所で加水分解領域から取り出すことができる。
【0040】
上記のように、反応混合物は、酵素と原料の間の接触を促進または最適化する制御様式で混合しながら、かつ、エマルジョンの形成を回避または最小化しながら、反応混合物を前進させる1以上のフィーダースクリューなどの手段によって移動可能である。例えば、フィーダースクリューは、反応混合物を穏やかに攪拌するために所定の第一の期間またはあるパラメーターに合致するまでは時計回りに、そして所定の第二の期間または他のパラメーターに合致するまでは反時計回りに回転することができる。
【0041】
時計回りおよび反時計回りの速度および時間はそれぞれ独立に変更できる。例えば、時計回り回転時間は反時計回り回転時間より長くても、同じでも、短くてもよい。通常、時計回り運動時間は約120秒〜約30秒、より好ましくは約90秒であってよく、一方、時計回り運動時間は約90秒〜約30秒、より好ましくは約60秒であってよい。時計回りおよび反時計回り回転の速度は、例えば約3回転/分(rpm)〜約0.10rpm、より好ましくは約0.5rpm〜0.75rpmまたは約0.66rpmであってよい。これらのスクリューはこのような時計回りおよび反時計回り回転を連続的または間欠的に提供することができる。従って、これらの実施態様では、不活化反応器の加水分解区域での保持時間は、第一に、フィーダースクリューを一方向または反対の方向に交互に回転させ、それにより反応混合物を段階的な動きで輸送することにより制御することができ、この場合、反応混合物は引き戻されるよりも若干長い距離前へ運ばれる。
【0042】
材料は1以上の酵素と接触させ、すなわち、反応混合物は加水分解領域で全部で約120分〜約15分、好ましくは約90分〜約30分、最も好ましくは約45分〜約50分の時間反応させる。従って、加水分解領域での回転速度、回転時間、および原料の運搬距離は、通常、当業者により、加水分解領域において反応混合物の所望の滞留時間が得られるように決定することができる。
【0043】
D.不活化領域
本明細書に開示の装置または方法は1以上の不活化領域を含むことができる。この不活化領域は、反応混合物中の酵素が加水分解後に不活化される場所、例えばアセンブリ、区域、ステージまたは独立したハウジング、チャンバー、反応器またはユニットを単に内包しているものである。不活化は、反応混合物の温度を引き上げて酵素を変性させ、そして実質的に不活化するか、または反応混合物のpHを変更することによるなど、種々の方法を用いて行うことができる。本明細書において「実質的に不活化する」とは、すでに原料と接触している1以上の酵素を約90%不活性にする、好ましくは約95%不活性にする、より好ましくは約99%不活性にすることを意味する。
【0044】
不活化するために加熱を用いる場合には、得られる目的製品が栄養的価値を失わないよう、すなわち、反応混合物中のタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を分解または破壊しないように注意しなければならない。従って、不活化領域は加水分解酵素を不活化するに十分な温度、例えば約85℃〜約100℃、好ましくは約90℃〜約95℃の温度を維持するよう調整すべきである。1以上の酵素を不活化する加熱温度は約0.5分〜約45分、より好ましくは約1分〜約30分、さらに好ましくは約5分〜約25分、最も好ましくは約10分〜約20分維持することができる。酵素を不活化するには、例えば85℃〜約90℃の温度を約15分維持すればよい。溶液の温度を調整することによる酵素の不活化で十分であり、それは例えば上記のようなデカンターまたはトリカンター分離(またはその他の分離)に望ましい高温域ともなるからである。
【0045】
もう1つの実施態様では、pHを調整して1以上の酵素を実質的に不活化するため、1以上の酸または塩基を加える。通常、この方法に用いられる酵素は、反応混合物のpHが約4未満および約9より大きい場合に不活化される。
【0046】
もう1つの実施態様では、pH範囲は調整しない。これは、存在する酸性または塩基性溶媒に関して、例えばそれらの使用および廃棄に関する環境問題などの必要がなくなることから有利である。また、このような溶媒にはコストがかかる。この実施態様では、pHを調整しない場合、以下のpH範囲で至適活性を有する酵素を用いればよい:至適pHが約6〜約9の間、好ましくは約6.5〜約8の間、より好ましくは約7〜8の間、または約7のもの。
【0047】
不活化領域は、反応混合物用の単一の流入口と単一の排出口を有する反応器またはチャンバーを含むものでもよいし、または連続加水分解過程を促進し得る1以上の独立した流入口と1以上の独立した排出口を含む装置であってもよい。不活化領域はバッチ式または連続式不活化反応、あるいはその双方が可能な設計にすることができる。
【0048】
以下にさらに詳細に述べる1つの実施態様によれば、不活化反応器の流出端、すなわち、不活化された反応混合物を不活化領域から排出するところが、不活化された反応混合物の固形物構成要素、相または成分(この用語は固体を含む反応混合物部分を表すのに用いる)用の少なくとも1つの排出口と、固形物成分用排出口から離れて配置された、不活化された反応混合物の液体構成要素、相または成分(この用語は液体を含む反応混合物部分を表すのに用いる)用の少なくとも1つの排出口を有する。固体成分用排出口は固体成分と液体のみの成分との混合を十分に回避または最小化するよう、液体成分用排出口から離して配置する。従って、一つの実施態様では、肉を含んだ骨を砕いたものなどの原料の連続酵素的加水分解が行える。このような場合、主としてきれいにした骨からなり得る固形物は不活化領域の底部に間もなく蓄積することになり、液相の脂肪画分は不活化反応器の上部に集まる。
【0049】
不活化領域の運転温度によっては、脂肪画分液相および/または固形物が不活化領域の加熱された壁面に曝されると、不活化領域の内面に堆積物または残渣が生じることがある。これらの残渣または堆積物は時間がたつにつれて増え、酵素を不活化する所望の温度を維持するために不活化領域にさらに熱を供給する必要がある。最後には、不活化領域を停止し、内面を洗浄して余分な残渣および堆積物を取り除くことができる。一つの実施態様では、ワイパー、ブレートなどを用いて不活化領域の内面を定期的にすくい取ったり、洗浄したりして、閉鎖と洗浄の間の長時間、運行を止めないようにすることができる。あるいは、穏やかな混合または攪拌を用いて、不活化領域の加熱面に接する反応混合物の流動を作り出すこともできる。
【0050】
不活化領域にオーガーまたはスクリューを設ける場合には、もう1つの実施態様において、反応混合物に一様に、または十分に熱が分布するようにオーガーまたはスクリューを加熱してもよい。この実施態様では、加熱面の全体の運転温度が、上記で示した範囲よりも約3℃以上、より好ましくは約5℃以上低くなってもよい。加熱面の温度を下げると、反応混合物に対する熱分布が良好または効率的となるので、堆積物または残渣の形成を軽減または排除することもできる。
【0051】
一つの実施態様では、不活化反応器の流出部は、骨などの固形物成分を、必要に応じて、所望の速度で分離除去するための少なくとも1つの排出口を含む。固形物成分の除去は連続的でも間欠的でもよく、不活化領域の空間をむだに占め、それにより不活化領域の流入端における新たな反応混合物のさらなる、または連続的な供給を妨げる、または遅らせるかさの高い固形物の蓄積を避けるのが有利である。固形物成分用の少なくとも1つの排出口は、実質的に、不活化領域内に置かれている固形物層と同じレベル、またはそれより低いレベルに配置してもよいし、あるいは単に、不活化領域の底部にある骨およびその他の固体成分のための輸送装置(例えば、スクリュー、コンベアー、ベルトなど)を含んでもよい。
【0052】
有利な一つの実施態様では、不活化チャンバー内に単一のスクリューを用いる。チャンバーの流出端には、不活化された反応混合物(固体成分および液体成分)が、エマルジョンを回避または最小化する大型の低速ポンプ(例えば、アルキメデスポンプ、シングルまたはダブルスクリューポンプなど)により管、経路または導管を通って、所定のフィルターメッシュサイズを超える固体成分中の大きな物片(例えば、骨)を実質的に除去する1以上のスクリーン/フィルターへと排出する開口部が設けてある。
【0053】
本明細書において「メッシュサイズ」とは、例えば、スクリーン平方インチ当たりの孔の数を意味する。1以上のフィルターまたはスクリーンを用いる実施態様では、各フィルターまたはスクリーンは、例えば、不活化された反応混合物と接触する第一のフィルターまたはスクリーン最大のメッシュサイズを有し、その後に反応混合物が接触する各フィルターまたはスクリーンではメッシュサイズが徐々に小さくなるように、種々のメッシュサイズを用いることができる。このように、複数のフィルターまたはスクリーンの構成においてメッシュサイズが違うことにより、最大の固体が最初に分離され、より小さなメッシュサイズのフィルターまたはスクリーンがより小さな固体を効率的に分離するということが確実なものとなる。通常、メッシュサイズは約1〜約200メッシュであり、平方インチ当たり1〜200穴の間のスクリーンに粒子を通す。また、約5メッシュ〜約150メッシュ、約20メッシュ〜約100メッシュ、約30メッシュ〜約80メッシュのメッシュサイズのスクリーンが包含される。
【0054】
フィルターまたはスクリーンを通る可溶性および不溶性粒子を含む液相は、脂肪または脂質成分、溶解しているタンパク、ペプチドおよびアミノ酸を含む水性成分、ならびに溶解していないタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含む水性成分の分離を容易にするトリカンターなどの液体分離装置へと吸入排出する。この態様において好ましく用いられるポンプは、エマルジョンの形成を回避するために動きの遅い部品を備えた高容量ポンプである。しかし、トリカンターには一定量だけを送り、その一定量を超える量は不活化領域に戻るようにする(例えばオーバーフロー逆行による)。通常、トリカンターの一定量はトリカンターが保持できる液体の最大量によって決まる。
【0055】
不活化反応器が、固形物相用排出口から離れて配置された、液相取り出し用の付加的な1以上の排出口を備えている場合、液体成分は、固形物相がどのように、いつ、どんな量で排出されるかとは独立に、自由に排出させることが有利であり得る。上記のように、1以上の付加的液体成分用の排出口と固体成分用の排出口との間の距離は、固体成分と液体のみの成分との混合を回避または最小化するのに十分なものとする。
【0056】
他の実施態様では、不活化領域に、固形物成分および/または液体成分を不活化領域からそれぞれを個々の排出口の方向に移動または運搬することを目的とした1以上のフィーダースクリューを設けることができる。これにより、反応混合物(この時点では主として固形物、および加水分解産物を含む液体を含む)が不活化反応器内に蓄積せず、不活化のための新たな反応混合物の付加を妨げないということが簡単な方法で保証される。
【0057】
さらに、本明細書に記載のフィーダースクリューは、個々の領域(すなわち、回収領域、加水分解領域、不活化領域および分離領域)の原料、反応混合物または不活化された反応混合物の信頼性の高い輸送または運搬を保証するために、ねじ山周囲に沿って設けられたスコップ、スパチュラ、レッジ、またはシートと適合させることができる。この構成を有するフィーダースクリューの1つの例示が図8に示されている。示されているように、スコップ、スパチュラ、レッジ、またはシートは、スクリューまたはオーガーの最外縁またはその付近に配置すればよい。スクリューまたはオーガーが回転すると、これらの装置は底面または床に残っている固形物の下にゆっくりスライドし、固形物をゆっくり押し上げる。スクリューまたはオーガーが回転または逆転を続けると、最後には固形物はスコップ、スパチュラ、レッジまたはシートから滑り落ちる。この方式では、スクリューまたはオーガーは、そうでなければ加水分解できた反応混合物の一部を捕捉してしまうかもしれない固体の穏やかな混合を提供し得る。
【0058】
また、回収および加水分解領域に関して上記したように、不活化領域も反応混合物中のエマルジョンを低レベルに維持するように設計することができる。例えば、不活化領域は乳化を回避または最小化する速度で不活化された反応混合物を運搬する運搬機構(例えば、スクリューまたはパドルまたはスパチュラ)を含んでもよい。エマルジョンの制御または維持管理および/または離乳化は、回収および/または加水分解領域に関して上記した方法により達成することができる。スクリューまたはその他の装置を用いて不活化区域中の反応混合物を輸送および混合する場合は、このような装置は、さらなる乳化が起こり得る激しい混合を避けるような構成とすればよい。
【0059】
E.分離領域
本明細書に開示の装置または方法は1以上の分離領域を含むことができる。分離領域は不活化領域での不活化の後に不活化された反応混合物がその構成成分へと分離される場所、例えばアセンブリ、区域、ステージまたは独立したハウジング、チャンバー、反応器またはユニットを単に内包しているものである。分離領域は不活化領域と直接連絡していてもよいし、間接的に連絡していてもよく、不活化領域の近くにあってもよいし、離れていてもよい。従って、分離領域は直結させることもできるし、あるいは1以上の中間的な区域、接続または導管を介して接続することもできる。あるいは、分離領域は不活化領域から離れたところに配置して、不活化された反応混合物を分離領域に単に輸送してもよい。
【0060】
分離領域は、以下に論じるように、不活化された反応混合物の少なくとも一部をいくつかの分離手段またはシステムを用いて2以上の構成成分へと分離することができる。分離は、例えばまず固体を液体から分離し、その後種々の固体および/または液体成分を分離するなど、順次行うことができる。同様に、所望の分離および製品を得るために、分離手順の組合せ(例えば脂肪層の吸入排出、固体からの液体の濾過分離、および遠心分離、デカンテーションおよび/またはトリカンテーション)を用いもよい。また、分離は並行して、または同時に行うこともでき、例えば反応混合物から固体と液体を同時に分離し、その後、さらに分離することができる。例えば種々の脂質を含む脂肪層、溶解しているタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含む水層、ならびに溶解していないタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含む水層は、例えば吸入排出、遠心分離、デカンテーション、トリカンテーションまたはそのいずれかの組合せによって同時および/または順次取り出し、または分離することができる。
【0061】
一つの実施態様では、分離領域には、反応混合物の異なる成分用の独立した排出口が見られる。分離領域には固体成分を取り出すための1以上の排出口があってよく、本明細書に記載のようなさらなる処理、例えば固体成分を骨粉に処理するなどの処理を施せばよい。分離領域には液体成分を取り出すための1以上の排出口があってよく、この液体成分は脂肪または脂質成分、溶解しているタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含む水性成分、ならびに溶解していないタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含む水性成分など、液体成分の異なる画分へと分離され得る。例えば、1以上の液体成分用の排出口は、個々の液体成分に対して並行かつそれを横切る平面に、固形物相用から、固体成分と液体成分との混合を回避または最小化するのに十分な距離をおいて適宜配置すればよい。従って、例えば、固形物相は1つの排出口から、固形物を受け取る分離領域内の容器またはチャンバーへと排出し、一方、液体成分は固形物用排出口から離れた別の排出口から排出する。
【0062】
もう1つの実施態様では、上記のようなフィルターまたはスクリーンを用いて反応混合物を濾過し、例えば液体成分から固体成分を分離する。このような実施態様では、固体成分と液体成分の双方を含む反応混合物をフィルタースクリーンと接触させ、固体はフィルターの上に分離され、濾液は下に落ちる。
【0063】
さらにもう1つの実施態様では、不活化された反応混合物の固体成分は上記の方法のいずれかにより、またはタンパク質の濾過方法によって液体成分から分離することができる。一方、液体成分は吸入排出、フラッシュ、流出、ピペット吸い出し、またはそうでなければ、回転その他液体成分を個別の構成成分(すなわち、脂肪または脂質成分、および/または溶解しているタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含む水性成分、および/または溶解していないタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含む水性成分)へと分離する1以上のデカンターまたはトリカンター遠心機へと移すことができる。
【0064】
F.バッチ式および連続式運転
本明細書に記載の装置および方法、またはその領域は、バッチ方式で用いてもよい。バッチ法では、所定量の原料をシステムに供給し、処理した後に、さらなる原料をシステムに供給する。本明細書に開示されている実施態様は、適切にスケールアップして1時間当たり2トン、3トン、4トンまたは5トンまたはそれ以上の原料を加水分解できる。
【0065】
しかし、原料を前もって測定する必要なく連続的に供給する連続法を備え、その方法を最大1〜3ヶ月以上の間連続的に運転するのが有利である。従って、上記の領域、装置、方法またはプラントはいずれも、中断なく1日24時間、数日間または数週間連続運転するように構成することができる。これらの装置および方法は、少なくとも3日の連続運転、より有利には少なくとも7日、より有利には少なくとも10〜30日の連続運転を提供するように構成するのが有利である。いくつかの点で運転者は、システムの効率および能力を最大限にするために生産を停止して種々の領域を清掃するのが望ましいことが分かるであろう。例えば、種々の領域の清掃としては、残渣を溶かすために酸または塩基を加えたり、固形物または残渣を除去するために加圧した液体または溶媒を適用したりするなど、化学的および/または物理的手段が挙げられる。
【0066】
本明細書に記載の実施態様のいずれにおいても、装置または方法は類似または同一の機能を並行して行う2以上の領域または区域を含んでよい。例えば、維持管理または清掃のために不活化領域の1つが停止されていても装置が運転し続けられるように、装置および方法に2以上の不活化領域を提供してもよい。同様に、至適条件下で処理速度のより大きな可調性を得るために複数の領域または区域を用いてもよい。例えば、1つの大きなトリカンターよりも効率的かつ/または迅速に成分を分離するために2以上の小型のトリカンターを用いてもよい。従って、1時間当たり10トン以上の原料を処理することができる装置または方法には、各5トンを処理可能な2以上のトリカンターを用いればよい。
【0067】
あるいは、本発明の装置または方法は、単一のハウジングまたはアセンブリ内に2、3またはそれ以上の領域または区域を組み合わせてもよい。例えば、1つのハウジングまたはチャンバー内に増設された回転オーガーまたはスクリューを提供してもよい。スクリューまたはオーガーが回転すると、ハウジングまたはチャンバー内を原料または反応混合物が前進する。ハウジングの異なる領域は、上記の加水分解過程の領域、区域またはステージに応じて異なる運転条件であってよい。従って、ハウジングの最初の部分または領域は、加水分解が起こる範囲内の温度を有する加水分解領域として設計すればよい。ハウジングの第二の部分または領域は酵素を不活化する高温を有する不活化領域であり得る。ハウジングの第三の部分または領域は、不活化された反応混合物がその構成成分へと分離される分離領域の少なくとも一部であり得る。例えば、ハウジングのある部分が、液相を通し得るスクリーンまたは複数の開口部を形成していてもよい。その後、スクリューの回転を続けると、固形物は回収地点またはその次の処理領域に向かって押し出される。
【0068】
G.エマルジョンの制御
上述のように、最終製品にとって脂肪含量が低いことが重要な場合、または品質の高い油が望まれる場合など、特定の環境下では、その水性成分から実質的に分離された、できる限り多くの脂肪成分を維持することが望ましい。例えば、上記のような不活化後などの過程中で脂肪成分を除去してもよい。あるいは、脂肪成分は不活化前に除去してもよく、そうすれば好ましく除去され、活性酵素を含む水相から実質的になくなる(すなわち、90%未満、好ましくは95%、より好ましくは99%未満)。もう1つの実施態様では、乳化量は当業者に公知の方法により、反応混合物中で制御することができる。乳化はタンパク質と脂質を結合させ、ひと度乳化の形で混合してしまえば、大スケール法では、遠心分離を用いてタンパク質と脂質成分を分離するのが難しいことが分かっている。従って、この方法がブレンディング、高剪断力により、または他のいくつかの手段により乳化を引き起こす場合には、脂肪を抜く前処理がなされていない大部分の魚類、家禽類および肉製品がそうであるように、脂肪含量が15〜25重量%である出発原料から、脂肪または脂質含量が2〜3%より低い最終製品を得ることは難しい。むしろ、反応混合物の10%未満、より好ましくは反応混合物の5%未満、より好ましくは反応混合物の2%未満、より好ましくは反応混合物の1%未満、最も好ましくは反応混合物の0.5%以下の量に乳化を制御または制限する様式で反応混合物を運搬すれば、大スケール法において、15〜25%の脂肪を含有する出発原料から乾物で1%未満の脂肪(2〜3%脂肪)を含む生産物が取得可能であることが分かっている。
【0069】
このようなエマルジョン制御は、上記で論じたように、激しい混合および乱流を最小化することなど、種々の方法で達成することができる。それに加え、またはその代わりに、化学的エマルジョン制御剤および/または物理的または化学的離乳化を用いてもよい。
【0070】
反応混合物中の乳化率%は、例えば、加水分解反応器および/または不活化反応器からの代表的なサンプルを採取し、エマルジョン容量を反応混合物または不活化された反応混合物の総容量と比較することにより測定することができる。この代表的サンプルから固形物成分を取り出し、液体部分を、残りの水性成分から脂肪または脂質成分を分離するに十分な時間および回転速度で遠心分離する。遠心分離時間は約30秒〜約30分、好ましくは約1分〜約15分、より好ましくは約2分〜約10分、最も好ましくは約3分〜約5分まで変更可能である。ここでもまた、上記のように、本明細書に開示されている範囲限界は総て相互に変更して新たな範囲を形成することができる。例えば、約30秒〜10分の間、1分〜約3分、5分〜約15分の遠心分離時間も包含される。遠心分離の回転速度は約500rpm〜約10,000rpm、好ましくは約1000rpm〜約5,000rpm、より好ましくは約2,000rpm〜約4,000rpm、最も好ましくは約2,500rpm〜約3,500rpmまで様々である。次に、遠心機から遠沈管を取り出して内容物を分析する。遠沈管は不溶性または溶解していないタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸の沈降成分または部分、溶解しているタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含む、沈降部分の上の水性成分または部分、水性成分の上の油または脂肪の成分または部分、ならびに水中油または脂肪の懸濁物を含む乳化成分または部分を含み、水性部分から油部分が分離する。沈降部分、水性部分および油部分を合わせたものに対するエマルジョン部分の容量の割合%は、反応混合物のエマルジョンの容量%を表す。
【0071】
H.反応混合物および得られる加水分解物
上述のように、反応混合物はタンパク質含有原料、酵素、および水を含む。魚や骨を含む肉などの特定の原料を用いる場合は、反応混合物は少なくとも1つの固形物成分と少なくとも1つの液体成分を含む。原料がさらに脂肪を含む場合、反応混合物中の液体は通常、限定されるものではないが、脂肪または脂質液体成分および少なくとも1つの液体水性成分をはじめとする数種の異なる成分に分かれる。従って、反応混合物は、1以上の固体成分、少なくとも1つの水性液体成分、および脂肪含有液体成分を含む数種の異なる成分に分離できる。
【0072】
脂肪または脂質が存在する場合、これは水性液の上部に層をなす。従って、不活化領域または加水分解領域の上部に実質量の脂肪成分が集積し、必要であれば、脂肪成分に対して並行でこれを横切る平面に位置している、不活化領域または加水分解領域の流出端において脂肪成分用の排出口から取り出すか、または分離すればよい。あるいは、脂肪または脂質成分は、加水分解領域、不活化領域および/または分離領域に存在する1以上の導管を通して吸入排出することにより取り出し、または分離すればよく、これは本明細書に記載のように遠心分離および/またはデカンテーションによりさらに分離することができる。それに加え、またはその代わりに、脂肪または脂質成分を水性成分とともに取り出し、遠心分離および/またはデカンテーションにより分離するすることもできる。
【0073】
部分的に溶解しているアミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質、および部分的に溶解していない、または不溶性のアミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質、またはこれら成分の混合物、ならびに脂肪滴を含み得る水性液体成分もまた、不活化領域および/または分離の流出端において同様に設けられた1以上の水性成分排出口を通して取り出し、または分離してもよい。あるいは、水性液体成分は、不活化領域または分離領域に存在する1以上の導管を通して吸入排出することにより取り出し、または分離してもよい。
【0074】
液体成分はまた、溶解できない成分と溶解していない成分を含んでいる場合もあり、これらは通常は可溶性成分を含む水層より下の層に見られる第二の分離した水性成分中に存在し得る。他の液体成分同様、この第二の水性成分は、排出口が第二の水性成分と接触するように位置されている活性化領域の流出端の1以上の独立した排出口を通して取り出し、または分離してもよいし、あるいは第二の水性成分と接触している1以上の導管を通して吸入排出してもよい。
【0075】
I.生産製品
固体および液体成分を含む反応混合物を抽出および/または分離して、本明細書に記載の装置および方法を用いて種々の有用な製品を得ることができる。脂肪成分を限定されるものではないが、食品添加物およびその他食用油などの種々の有用な製品へと抽出および処理することができる。固形物成分もまた、限定されるものではないが、骨粉および肥料などの有用な製品へと抽出および処理することができる。液体成分もさらに、限定されるものではないが、脂肪または脂質成分、水溶性のタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含有する水性成分、ならびに不溶性および溶解していないタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含有する水性成分へと分離することができる。水溶性タンパク質を含む加水分解物は、原料に応じ、タンパク質含量が高く、脂肪含量が低く、かつ、高い消化係数を有するものである可能性があり、中でも工業的発酵に、または食品添加物、栄養補助食品、ブイヨン、生物培養培地、または肥料として有用なものとなり得る。
【0076】
消化率の係数、または消化率係数はヒト、イヌ、ネコ、ミンクなどの種々の動物で測定することができる。消化率係数とは、動物の代謝要求を満たすために実際に消化および吸収される摂取加水分解産物の割合を意味する。一つの実施態様では、消化率はミンクで測定する。通常、水溶性タンパク質画分から抽出された既知量の加水分解物をミンクに与え、それらの排泄物を分析し、タンパク質含量を測定する。排泄物にタンパク質量が存在しなければ、その動物の代謝要求を満たすために吸収されたものと推測される。
【0077】
有利には、加水分解物の消化率係数は少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約97%である。
【0078】
本明細書に記載の実施態様は有利には、原料中のタンパク質重量の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%の加水分解タンパク質収率が得られる。収量は当業者に周知のケルダール法を用いてサンプル中に存在する窒素の量を測定することによってその重量部量を測定するなど、種々の方法で測定することができる。通常、ケルダール法では、原料の総タンパク質重量(代表的サンプルを用いる)を測定し、可溶性タンパク質最終製品の総タンパク質重量(代表的サンプルを用いる)と比較する。
【0079】
収率計算の一例は以下の通りである:原料1000kgを加水分解する。この原料は湿重で20%のタンパク質(分析サンプル)を含むので、システムに全部で200kgのタンパク質が供給されたことになる。この量は300kgの加水分解物となり、乾物50%(蒸発後に秤量)、タンパク質濃度88%である。これは、この画分が132kgのタンパク質を含み、収率66%と言い換えられる(乾重150kg、88%タンパク質=132kgタンパク質、タンパク質200kgのうち66%がシステムに入った)。
【0080】
本明細書に記載の工程および装置から得られた加水分解物は可溶性のタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸を含有する、分離後の水性成分と言える。「加水分解産物」とはまた、水性成分の種々の濃縮溶液、または水性成分から水を除去することにより得られる乾燥加水分解タンパク質分をも意味する場合がある。加水分解物は、例えば微細な固体を受け取る分離装置から来るので、水性成分のいくらかのパーセンテージを占める。
【0081】
本発明の実施態様では、例えば、それ自体、加水分解物と呼んでもよい水性成分は、約0.1%〜約20%、好ましくは約1%〜約15%、より好ましくは約2%〜約12%、さらに好ましくは約4%〜約10%、最も好ましくは約6%〜約8%D.M.(乾物)の可溶性タンパク質を含む(水性加水分解物の総重量に対する乾燥タンパク質重量を、加水分解物を蒸発させた後にその中に含まれる可溶性タンパク質の総重量と比較することにより測定)。
【0082】
一つの実施態様では、加水分解物は約50%D.M.を含むので、この時点で蒸発させ、その後、ギ酸などの酸加えて微生物耐性を持たせ、その後、この加水分解物を動物の餌または同様の製品として販売することができる。しかし、この割合%は目的の乾物含量に応じて高くしても低くしてもよい。例えば、加水分解物はさらに乾燥させて粉末(D.M.は90%を超える)とすることができ、この実施態様では、微生物耐性を持たせるために酸を加える必要はない。
【0083】
J.酵素
原料を加水分解するには多くの異なるタイプの酵素を使用することができる。使用する酵素または酵素混合物のタイプは加水分解する原料によって異なる。例えば、タンパク質分解酵素およびエンドペプチダーゼおよびエキソペプチド混合物は、魚類、家禽類、およびビーフ、ラムおよびその他の肉類など、タンパク質含有原料とともに使用できる。タンパク質分解酵素(または「プロテアーゼ」)としては、Alcalase(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Protamex(登録商標)、およびその混合物が挙げられ、その各々がデンマークのノボザイム社から入手できる。エンドペプチダーゼおよびエキソペプチダーゼ混合物としては、Flavourzyme(デンマークのノボザイム社)が挙げられる。使用可能な他のタンパク質分解酵素としては、オランダのGist−brocades製のPescalase(登録商標)、および英国のBiocatalysts Ltd製のPromo 31(登録商標)が挙げられる。例えば、原料1トン当たり約300gのAlcalase(登録商標)と約900gのNeutrase(登録商標)などの組合せも使用でき、養殖タイセイヨウサケに関して許容される結果を得ることができる。さらに、原料中に存在するプロテアーゼ、例えば、 原料自体に含まれる魚類プロテアーゼを用いてもよい。また、哺乳類または他の種から単離した天然プロテアーゼも使用できる。
【0084】
植物起源の原料を用いる場合は、炭水化物分割酵素、すなわちカルボヒドラーゼを加えて材料中の炭水化物も分解する必要があることがあり、この実施態様に関してはセルラーゼ領域13L(Biocatalysts)など、種々のセルロース系、炭水化物系およびグルコナーゼ系酵素または酵素の組合せがあり得る。
【0085】
用いる酵素量は原料のタイプおよび組成、ならびに運転パラメーター(例えば加水分解の温度および速度)によって異なる。この主要な指標は目的の製品のタイプおよび量を製造するのに十分な酵素使用量である。理論では、酵素使用量は酵素の活性および分解が必要なペプチド結合の数に基づいて決定すればよいが、時間および温度を含む運転の実用面では特定の酵素または組合せに関して酵素の添加を増したとしても加水分解がそれ以上高まらないという点を決定するために若干の通常に実験が必要となる。得られる製品の味も使用する酵素によって異なる可能性があり、どの酵素を用いるかの決定の計算に入れることができる。通常、所定の酵素に関して、一定量の原料を加水分解するのに用い得る至適酵素量に関する情報は酵素の製造業者によって提供されている。
【0086】
大部分の酵素は85℃より上、または約20℃より下の環境では作用しない。従って、加水分解領域の温度範囲は約20℃〜約85℃、より好ましくは約50℃〜約60℃、最も好ましくは約55℃に維持するのが有利である。
【0087】
K.図面
図1は加水分解装置(またはシステムもしくはプラント)の実施態様を示している。回収領域10は原料容器12と原料破砕装置14を含む。破砕装置は例えば肉挽き機またはブレンダーであってよく、そこで原料が細かく粉砕され、通常約15mm〜約50mmのより小さな物片となる。一つの実施態様では、原料の大きさは、乳化を実質的に回避または最小化するのに十分な、より小さな原料片となるように制御された様式で小さくする。次に、原料を、加水分解領域20の1以上の加水分解装置、特に原料が混合され、部分的に加温(例えば約20℃〜約85℃の温度)した水と連続的に供給される好適なタンパク質分解酵素とを接触させる槽22に運搬する。
【0088】
あるいは、槽22に送る前に、原料に熱水を加えてもよい。原料が槽22に到達する前に熱水を加えることの1つの利点は、特に冬季や原料が冷蔵または冷凍環境で保存されている場合、原料は低温であることがあり、加える水は熱く(好ましくは100℃近く)することができるので、低温の原料と熱水の混合物が、有効な酵素作用の至適温度範囲である約50℃〜60℃の平衡温度に達するということである。槽22において、または回収領域10において原料に水を加える場合、あるいは回収領域1に導入する前に原料と混合しても、低温原料と熱水の混合物は、酵素の添加前に約50℃〜60℃の所望の平衡温度に達する十分な時間がある。酵素は、回収領域10および/または加水分解領域20において所望の温度に達した後ならば、どの時点で加えてもよい。従って、回収領域の平均温度は、5℃(低温材料の温度)〜60℃(平衡に達した後の低温原料と水の温度)の範囲にあるのが有利である。
【0089】
図1の実施態様では、破砕原料、酵素および水の反応混合物は加水分解反応器24に送られ、加水分解反応器24と同じ径の第一のフィーダースクリュー(図示せず)の手段により、加水分解反応器24から排出口に達するまでに酵素がより多くの原料部分を加水分解できるように設定された送り速度でその中を運搬される。反応混合物はその酵素に適当な至適加水分解温度に維持され、これにより、肉部分が溶解し、きれいになった骨が加水分解反応器24の底部に残る。
【0090】
送り速度は加水分解反応器24の寸法、および反応混合物の供給速度、ならびに加水分解反応器24から不活化領域30への反応混合物の排出速度を考慮に入れて決定する。送り速度は加水分解領域の種々のパラメーターを監視する人またはコンピューターにより制御され、所望の結果を達成すべく送り速度を改変することができる。
【0091】
不活化領域30は流入口を有する流入端33と1以上の流出口34および36を有する流出端34を備えた不活化反応器32を含む。不活化反応器はどのような形状または大きさであってもよく、好ましくは加熱マントル37に囲まれた管状反応器である。不活化反応器の横断面形状は例えばU型、V型または三角形、平行四辺形(例えば正方形、長方形、菱形など)、卵形などであり得る。反応混合物中に存在する酵素、ならびにタンパク質起源のその他の成分を変性させるための、反応混合物と加熱マントル37から放出される熱との混合は、不活化反応器32より径が小さく、不活化反応器32の底部から離れた位置に配置されている第二の回転フィーダースクリュー(図示せず)の手段によって行う。この第二のフィーダースクリューは、一部には加熱マントルから反応混合物へと下方向に熱を伝えるその回転手段により、また一部には不活化反応器32の流出端34に向かって混合物を移動させることにより働く。フィーダースクリュー、ならびに種々の成分の流出速度は、不活化領域の種々のパラメーターを監視する人またはコンピューターにより制御され、所望の結果を達成すべく、滞留時間および熱などの種々のパラメーターを改変することができる。
【0092】
不活化反応器の流出端34では、実質的に総ての酵素活性が停止しており、この時点でタンパク質およびペプチドは熱によって変性されており、タンパク質起源の水溶性または水不溶性成分のいずれかとして流出し得る。最初に供給された原料は本方法のこの段階で固体成分38と液体成分39に実質的に変換されている。固体成分38は主としてきれいになった骨および/または鱗を含み、不活化反応器32の流出端34の排出口35から排出され、乾燥させた後に骨粉または肥料へと加工することができる。
【0093】
液体成分39は脂肪および上述のタンパク質起源の成分を含み、流出端34の排出口36から排出される。いくつかの実施態様では、液体成分39をホモジナイズまたは混合するのが好ましく、他の実施態様では混合またはホモジナイゼーションは有益ではない。このような混合またはホモジナイゼーションはさらなる乳化を招かないことが有利である。いずれの場合でも、液体成分39は最終処理または分離領域40へと送られる。図1では、最終分離領域40は、液体成分を脂肪画分44、タンパク質起源の水溶性成分を含む画分46、およびタンパク質起源の水不溶性成分を含む画分48へと分画するために用い得るデカンターまたはトリカンター42を含む。
【0094】
連続供給される原料の組成は相当に異なる可能性があり、従って個々の相および画分の大きさおよび程度も相当に異なる。結局のところ、いくつかの状況およびいくつかの原料では、液相画分用の独立した排出口を設けるのは困難である。いつもそれが問題になるわけではないが、いくつかの原料を用いる場合には、例えば脂肪成分と水性成分が互いに混入し合い、それらの個々の排出口を詰まらせることさえあるという危険性がある。このことにより、分離された純粋な生成物相および画分を不活化反応器32の流出端34から連続的に排出させることが困難となる。
【0095】
また、詰まる可能性のある排出口に向かって材料を絶えず押しやる連続的に回転する第一および第二のフィーダースクリューを備えることは望ましいとは言えない。これらの例では、不活化反応器32が能力飽和となってフィーダースクリューの最適な機能を妨げるという危険性が存在し得る。反応器壁面および配管の接合部にかかる圧力は、その結果として起こる漏れや爆発の危険性とともに著しく高まる。これを防ぐためには、時々プラントを停止し、清掃すればよい。
【0096】
ホモジナイゼーションが好ましい場合、図3の不活化反応器332などで示されるように、懸濁液の循環、実質的一様性または均質性を維持する混合回転翼50、攪拌器、および循環ポンプで液体成分を所望によりホモジナイズすることができる。混合回転翼50は、例えば、不活化反応器32内にホモジナイズされた液体成分用の排出口36と接続して配置することができる。以下、「ホモジナイズされた液体成分」とは、脂肪成分と水性成分の液体成分の均質な懸濁液を表すのに用いる。
【0097】
混合回転翼50はホモジナイゼーションが好ましい場合にのみ必要となり、ホモジナイゼーションが好ましくない場合には、不活化反応器32には混合回転翼50を設けないか、または混合回転翼50を単にオフにすることができる。混合回転翼50は、ホモジナイズされた液体成分を形成させるために液体成分と懸濁している成分とをホモジナイズし、これにより、このホモジナイズされた液体成分またはその一部は排出口36の前面には蓄積せず、排出口36を遮断することはなくなる。原料のタイプおよび組成に適合したホモジナイゼーションを行えば、熱処理された液体および/または懸濁反応混合物は不活化反応器32の流出端34にある排出口36から連続的に、中断なく排出される。従って、所望により、脂肪の豊富な液体成分を激しいホモジナイゼーション中に混合することができる。
【0098】
上記で論じたように、加水分解領域20、およびその次の不活化領域30において製造される好適な薬剤によるこれらの変性および不活性化から得られる、またはその後に残っているタンパク質、アミノ酸およびペプチドの形の溶解および非溶解成分は、混合して実質的に均質な懸濁液とすればよく、これは容易かつ迅速に連続的に排出され、固形物成分38から分離することができる。この実施態様では、原料の組成に関する要求がなくなり、不活化反応器32からの排出口の配置に対する制限も小さくなる。
【0099】
ホモジナイズされた液体成分は次に分離領域50に運ばれる。分離アセンブリは、最終の分離のための、連続的に働くデカンターまたはトリカンター42を含む。
【0100】
デカンターを用いる場合、ホモジナイズされた液体成分は、脂肪画分と、可溶性および不溶性成分を含む水性画分とに分画される。
【0101】
トリカンターを用いる場合、上述のホモジナイズされた液体成分は、脂肪画分44、水溶性成分46を含む水性画分、好ましくは、変性露出したそれらの疎水性側鎖の結果として通常水に不溶性または難溶性である変性タンパク質およびペプチドの形で水不溶性成分48を含む画分に分画される。
【0102】
得られた最終画分はさらに精製してもよいし、栄養補助食品としてそのまま用いてもよい。さらに、可溶性タンパク質画分は、工業的発酵、肥料、動物の餌、培養培地、ならびに栄養素および栄養補助食品に用いるためのタンパク質、ペプチドおよびアミノ酸の有用な供給源となることが分かっている。タンパク質可溶性画分から抽出された加水分解物の生体消化率(biological digestibility)係数は90%以上、より具体的には95〜97%であることが分かっている。
【0103】
従って、通常は焼却廃棄しなければならない食品工業からの多くの異なるタイプの廃棄物を利用することができる。よって、このような廃棄物は、食品工業の有用資源となる。
【0104】
例えば、ω−3脂肪酸などの必須脂肪酸および油を、脂肪画分44から抽出することができる。きれいになった骨の形の固体成分38は、動物の餌に用いるための骨粉の製造に使用できる。乾物含量がタンパク質に由来する画分は、タンパク質、ペプチドまたはアミノ酸の強化食品に用いることができる。苦味のある疎水性アミノ酸を含まない画分は、人の食品として特に好ましい。あるいは、タンパク質画分は動物の餌に使用できる。
【0105】
最終製品の脂肪含量が低いことが望ましいさらにもう1つの実施態様では、脂肪成分または脂肪成分の一部を不活化反応器8からバッチ式で、または水性成分とは別に不活化反応器8の上部から連続的に抜き取るか除去することができる。得られる水性成分は少量の脂肪滴を含むが、大部分は水溶性および水不溶性成分を含む。原料によっては、生じた反応混合物を、不活化反応器32の独立した排出口から独立した画分として排出させることもできる。そうでなければ、これらの画分は分離領域40で分離することができる。
【0106】
図2は、図1に関して記載された加水分解のためのさらなる実施態様を示す。この実施態様では、釣り針、おもり、ナイフの破片などの金属含有成分を除去する目的で、調製区域200は原料容器212と破砕装置214の間に挟まれた、さらなる区域216を有する。示された例では、区域216は磁石218を有する。
【0107】
加水分解区域220は、調整区域200から原料を受け取り、それを加水分解する。加水分解区域は槽224を含み、ここで原料は温水および酵素と混合される。加水分解反応器224は、槽222から原料、酵素および水の混合物を受け取り、不活化区域230に向けて運ぶ。
【0108】
不活化区域は、その流入端233に位置した流入口を通じて、加水分解された、または部分的に加水分解された反応混合物を受け取る不活化反応器232を含む。不活化反応器は、その流出端234に、加熱マントル237と排出口235および236を含む。反応混合物中の酵素は不活化反応器232で不活化され、反応混合物の固体成分238は第一の排出口235を通じて排出され、液体成分239は、第一の排出口235とは別で、かつ、第一の排出口235から離れて位置する第二の排出口236から排出される。反応混合物をホモジナイズするために不活化反応器232内で作動する混合回転翼250もまた含めることができる。
【0109】
分離領域または区域240は、液体成分239をデカンターまたはトリカンターに受け取り、これは、それを3つの画分:脂肪画分244;タンパク質起源の水溶性成分を含む液体画分246;およびタンパク質起源の水不溶性成分を含む画分248に遠心分離する。
【0110】
図3は加水分解のためのさらなる実施態様を示す。この実施態様では、不活化反応器332は混合回転翼を持たない。代わりに、液相は不活化反応器中で循環状態で維持される。循環は、例えば循環ポンプ(図示せず)によって維持される。
【0111】
上記のように、回収領域300は原料容器312、原料破砕装置314、および原料から釣り針、おもり、ナイフの破片などの金属含有成分を除去する目的で、原料容器312と破砕装置314の間に挟まれた、さらなる区域316を有する。
【0112】
加水分解区域320は調製区域300から原料を受け取り、それを加水分解する。加水分解区域は槽322を含み、ここで原料が温水および酵素と混合される。加水分解反応器324は槽322から原料、酵素および水の混合物を受け取り、不活化区域330に向けてこれを運ぶ。
【0113】
不活化区域は、その流入端333を通じて、加水分解された、または部分的に加水分解された反応混合物を受け取る不活化反応器332を含む。不活化反応器はその流出端334に加熱マントル337と排出口335および336を含む。反応混合物中の酵素は不活化反応器332で不活化され、反応混合物の固体成分338は第一の排出口335を通じて排出され、液体成分339は、第一の排出口335とは別で、かつ、第一の排出口335から離れて位置する第二の排出口336から排出される。
【0114】
分離領域または区域340は、液体成分339をデカンターまたはトリカンター342に受け取り、これはそれを3つの画分:脂肪画分344;タンパク質起源の水溶性成分を含む液体画分346;およびタンパク質起源の水不溶性成分を含む画分348に遠心分離する。
【0115】
本明細書に記載のいずれの実施態様においても、反応混合物は酵素に適当な至適加水分解温度に維持され、肉部分が溶解され、加水分解反応器の底部にきれいになった骨が残る。送り速度は、温度および使用する特定の酵素、加水分解反応器の寸法および反応混合物の供給速度、ならびに加水分解反応器からの反応混合物の流出速度など、種々のパラメーターを考慮に入れて決定される。
【0116】
図4は、本発明の一つの実施態様に従う加水分解反応器424の断面図を示す。矢印Aで示されるように、加水分解反応器424の流入端409から、魚の部分の細片などの原料、酵素および水の反応混合物(例えば、温度は約20℃〜85℃の間、好ましくは50℃〜60℃、より好ましくは約50℃)が加えられる。加水分解反応器424は、加水分解反応器424の内径とほぼ同じ径のねじ山474を備えた第一のフィーダースクリュー470を持つように設計することができる。各ねじ山470は、反応混合物を混合し、加水分解反応器424の流出口480に向けて運ぶために、スクリューの周囲に位置するスコップ472を含み得る。第一の期間では、この第一のフィーダースクリュー4700は流出口480の方向に距離「a」だけ反応混合物を移動させる。続いての第二の期間では、第一のフィーダースクリュー470の回転方向が逆転し、それにより反応混合物は加水分解反応器424の流入口409の方向へ、距離「a」よりも短い距離「b」だけ引き戻される。逆向きに移動することで最適な加水分解条件が提供され、矢印Bで示されているように、加水分解された反応混合物が流出口480の方向、不活化反応器432の中へ徐々に連続的に移動する。加水分解反応器424は水平でもよいし、垂直でも、約1°〜89°の間の角度であってもよい(図示せず)。垂直の場合、反応混合物が重力により流出端に向かう助けとなるように、流入端を流出端より上にすることができる。あるいは、反応混合物が重力に逆らって流出端に向かって進むように、流出端を流入端の上にすることもできる。
【0117】
不活化反応器432には、第二および第三のフィーダースクリュー482および488を設けてあるが、双方とも第一のフィーダースクリュー470と同様に、所望により反応混合物を運ぶためのスコップまたはシート472を備えた設計としてもよい。この第二のフィーダースクリュー482は、通常、加水分解反応器424の第一のフィーダースクリュー470と同様に、不活化反応器432内の逆向きの移動をさせる。第二のフィーダースクリュー482は、第三のフィーダースクリュー488がきれいになった骨の形態の固形物成分およびその他の固体成分を不活化反応器432の流出端434の排出口435から送り出すことができるような空間を考慮して、不活化反応器432の径よりも小さくする。この不活化反応器は加熱マントル437で取り囲まれ、加水分解酵素を不活化するのに適した温度、例えば約85℃〜約100℃の間、好ましくは約95℃に維持される。この温度範囲、好ましくは約95℃で反応混合物を維持すると、種々の成分の分離が最適に達成されることが分かっている。
【0118】
温度、反応器424、432の長さ、およびその中の原料の量などの運転パラメーターを、フィーダースクリュー470、482、488の速度、およびフィーダースクリューの数およびその移動の長さ「a」および「b」と組み合わせて、酵素の種類、量および濃度と組み合わせる、または適合させることにより、反応器424、432内での保持時間、すなわち反応およおび不活化の時間を至適化することができる。加水分解物を苦くするアミノ酸の割合を制御し、それをできる限り少なくすることができる最適な運転パラメーターは、経験的に、または理論的な判断により、所望によりその後の制御測定により決定することができる。
【0119】
上述のように、相または画分用の排出口が不活化反応器432の流出端に設けられ、不活化反応器432の面に平行およびこれを横切る面から現れ、ここで、相または画分は自動的に調節される。排出口は相または画分の厚みを横切るように延び、これにより、相互に混入することなく、相および画分の迅速な連続的排出が確保される。
【0120】
前述の装置および方法の変形例も考えられる。例えば、脂肪成分は独立に回収および利用してもよいし、あるいは水性成分と再混合し、その後、最終の処理区域で後処理してもよい。
【0121】
あるいは、第二のフィーダースクリュー482は排出口435に向けて固相を運ぶために、同時に使用できるように径を大きくしてもよい(図示せず)。もう1つの実施態様(図示せず)では、第二のフィーダースクリュー482は不活化反応器432がすっぽり入る径、比較的小さな第三のフィーダースクリュー488のスペースを考慮した長さとすることができる。
【0122】
図4では、第三のフィーダースクリュー488はその底面全体に位置するように示されている。しかし、固形物成分が不活化反応器432から排出される前に液体成分を出すために、第三のフィーダースクリュー488の少なくとも一部を液体成分の上に持ってくるのが適当な場合もある。このような実施態様(図示せず)では、固形物成分用の排出口を液体成分用の排出口の上に持ってくる。
【0123】
図5には、反応混合物における乳化のレベルを制御するためのシステムが示されている。調製領域500は原料容器512と原料破砕装置514を有する。破砕装置514は乳化を実質的に回避する穏やかな様式で原料を細かく粉砕し、より小さな成分とする、例えば肉挽き機またはブレンダーであってもよい。次に、原料は加水分解領域520内の加水分解装置に向けて運ばれる。加水分解領域520では、細かく分割された原料が槽522に向けて運ばれ、ここで、部分的に加温された水および連続的に供給される好適なタンパク質分解酵素と混合される。破砕された原料、酵素、および水の反応混合物が加水分解反応器524に供給され、例えば加水分解反応器524のほぼ同じ径の第一のフィーダースクリュー(図示せず)により、加水分解反応器524から排出口に達した場合に酵素がより多くの原料部分を加水分解できるように設定された送り速度でそれを運搬する。フィーダースクリュー速度はまた、乳化を最小化するようにも設定すべきであり、分離された脂肪と水性成分では限られたエマルジョンしか形成されない。水性成分はその中に分散した脂肪滴を含むが、乳化は制御することができる。5%だけ、好ましくは2%だけ、好ましくは2%未満、極めて好ましくは1%未満、最も好ましくは約0.5%以下の反応混合物が乳化するだけである。フィーダースクリューは、乳化を制御するために低い剪断力で、実質的にゆっくりとした回転で作動することができる。このような様式では、反応混合物はゆっくりと運ばれ、乳化が制御される。
【0124】
乳化率%が0.5%といった望ましい量を超える場合には、加水分解反応を改変すれば、乳化率%を許容レベルにまで引き下げることができる。乳化は、化学的(化学的エマルジョン制御および/または離乳化)または物理的(物理的エマルジョン制御および/または離乳化)などの種々の方法で制御できる。
【0125】
一つの実施態様(図示せず)では、任意のポンプで、反応混合物中で形成した脂肪成分の一部を加水分解反応器524から抜き取り、脂肪保持容器570中の脂肪に堆積させることができる。この脂肪保持容器570からの脂肪は、次に、最終製品へと処理される。この改変型の実施態様はまた、回収される脂肪の品質をも改善するが、それは不活化領域530内に見られる高い熱レベルに脂肪が曝されないためである。その代わりに、またはそれに加えて、不活化領域から脂肪を除去することもできる。
【0126】
あるいは、図5に示されるように、脂肪保持容器570からの脂肪は、水性成分と一緒にさらなる処理を行うために、分離領域540に、または直接デカンターもしくはトリカンターに移動させることができる。
【0127】
一方で、残りの反応混合物はほとんど固形物成分と水性成分を含み、この水性成分はエマルジョンが少ないか、または全くないのが有利である。反応混合物は、図4に関して上記したように、シングルコンベアースクリュー構成またはダブルコンベアースクリュー構成のいずれかを用いて加水分解反応器524から不活化領域530に運ばれる。不活化領域530では、反応混合物は不活化反応器532に入り、反応混合物中の酵素が上記で説明したように不活化される。不活化反応器532は水性成分と固形物成分の双方のための1つのみの排出口535を含み、この排出口から一緒に排出される。不活化反応器532はまた、固形物が排出口535を詰まらせないように逆方向に回転する穏やかな攪拌器550も含み得る。穏やかな攪拌器550は排出口535を塞いでいる固形物を反応混合物中に上昇させ、これを水性成分と一緒に排出させる。ポンプを用いて反応混合物を抜き、それをフィルタースクリーン560にポンプで送り、そこで堆積させることもできる。フィルタースクリーン560は固形物成分を濾過し、分離領域540に備えられた固形物容器543内にこれを堆積させる。水性成分は分離領域540に備えられたデカンターまたはトリカンター542に堆積させる。
【0128】
図6は、本明細書の記載に従って使用できる濾過システムを示している。反応混合物は脂肪成分610、水性成分615および固形物成分620を含み、総て排出口650に向かって進む。上記のように、脂肪成分610の多くを加水分解反応器から取り出すことができる場合もあるが、脂肪成分610が残り、原料が実質的に脂肪フリーでなければ、水性成分615がいくらかの脂肪滴も含む場合もある。いずれの場合でも、固形物620は排出口650に対して逆方向に回転する穏やかな攪拌器655によって攪拌する。この逆回転により、排出口650付近に生じた固形堆積物が上昇する。排出口650に隣接する溝660もまた排出口650の遮断量を制御するが、これは、穏やかな攪拌器655によってかきまぜられない堆積物はこの溝660の底部にとどまり、排出口650から離れるからである。低速で作動する大型の高容量ポンプ665が反応混合物をパイプ670を通じて送る。低速高容量ポンプ665は高速ポンプよりも乳化を低減させる。
【0129】
反応混合物はノズル675に向かって吸入排出し、そこから反応混合物がフィルタースクリーン680上に排出される。フィルタースクリーン680は下へ傾斜し、第一の濾過領域682、次に無孔領域684、その後に第二の濾過領域686を含む。第一および第二の濾過領域682および686は、脂肪成分610を形成している脂肪および脂質、ならびに水性成分615は透過するが、固形物成分620を形成している固形物は透過しない。無孔領域684は脂肪、脂質および固形物を透過しない。第一の濾過領域682の下には、第一の濾過領域682を透過した脂肪および液体を捕捉する漏斗690がある。脂肪および脂質は、ひと度不活化反応器632から排出されると冷めやすい。従って、漏斗で捕捉された脂肪および脂質は、混合物を約90℃〜約110℃の間、より好ましくは約93℃〜約97℃の間、最も好ましくは約95℃まで再び加熱する熱交換器692に達する。このように、脂肪および脂質がトリカンターに到達した際に、トリカンター中の混合物の温度は約90℃〜約110℃の間、有利には約93℃〜約97℃の間、最も有利には約95℃になっていなければならない。この熱の上昇レベルはトリカンター642内での脂肪と水性成分の分離を最適にする傾向があることが分かっており、ここで、これは3つの画分:脂肪画分;水溶性タンパク質を含有する水性画分;および不溶性タンパク質を含有する沈降物へと遠心分離する。
【0130】
第二の濾過領域686の下の第二の漏斗695は残りの脂肪および脂質を受け取り、さらなる処理のための不活化反応器632か、さらなる処理のための加水分解反応器(図示せず)かのいずれかにポンプ(図示せず)で送り戻される。あるいは、第二の漏斗695で捕捉された脂質および脂肪は熱交換器692へ吸入排出し、トリカンター642中に堆積させることができる(経路140を経て)。これに加え、オーバーフローリターン(ポンプがあってもなくてもよい)を設けて、図9に示されるものと同様の様式で、反応混合物を不活化反応器632または加水分解反応器へ、オーバーフローにより戻してもよい。一方で、固形物は、さらなる処理のため、濾過スクリーン680に沿って、固形物容器643へと転がり落ちる。この固形物は主に骨、魚の鱗、石、ごみ、堆積物などからなる。濾過スクリーン680は脂質および脂肪からある程度の固形物を、また、好ましくは脂質および脂肪から実質的に総ての固形物を分離することができる。
【0131】
トリカンター642内では、脂肪および脂質の混合物を独立した3つの画分:脂肪画分;水溶性タンパク質を含有する水性画分;および不溶性タンパク質を含有する沈降物を得るために遠心分離を行う。好適なトリカンターは、ドイツのWestfaliaSurge製のモデル番号CA501−63−32である。一定時間当たりにトリカンターを通すのに適したrpm数および適した材料量は、トリカンターの製造業者によって示されている。例えば、4000rpmおよびディフェレンシャルスピード4.3で使用できる。これらの3つの画分を分離領域に置き、さらななる処理を行えばよい。
【0132】
一つの実施態様では、水溶性タンパク質を含有する水性画分は、第二の遠心機または分離機、例えばGEA Westfalia Separator AG,モデル番号MSD90(図示せず)によってさらに精製する。これにより、残っている不溶性タンパク質の微粒子が除かれる。この段階で、水性画分はまだ、固形物約8%の透明な溶液である。次に、水溶性タンパク質を含有する水性画分を蒸発装置(図示せず)を用いて水を蒸発させることにより乾燥させると、乾物50%まで溶液が減る。この段階で、この溶液はシロップ状の製品となり、保存のために酸を添加することができる。この製品をさらなる乾燥装置を用いてさらに乾燥させれば、乾物90〜95%となるまで容量を減らすことができる。
【0133】
図9に示されるように、一つの実施態様によれば、フィルタースクリーン915(図6のフィルタースクリーン680と同じ)は、液体レベルより高いところにある。液体レベル925に対してフィルタースクリーン915を高くすることで、ポンプなしのオーバーフローが提供でき、ポンプなしのオーバーフローリターン905は、レベル925で示されているように、フィルタースクリーン915のほぼ底部に配置する。この構成により、オーバーフローした反応混合物を、図示されているように不活化反応器632へ、または加水分解反応器へ戻すためのポンプ(例えば、低速高容量ポンプ)の必要がなくなる。しかし、いくつかの適用では、オーバーフローした反応混合物をオーバーフローリターン905を経て吸入排出するためのポンプを設ければよいということを考えるべきである。
【0134】
図6に示されているフィルターシステムでは、第一の濾過領域682を透過した脂肪および脂質を捕捉するために漏斗690(図9では図示せず)を設ければよい。捕捉された材料はパイプ935を介して低速高容量ポンプ945を用いて熱交換器692へと吸入排出すればよい。また、当業者であれば、本開示を読めば容易に明らかになろうが、図6に示されている漏斗695などの付加的な部品を設けてもよい。
【0135】
このように、本明細書に教示する装置および方法を用いれば、一様かつ連続的な排出流入とデカンターへの流入が維持でき(極めて複雑な組成の原料であっても)、一定量および一定組成の熱処理加水分解産物が得られる。
【0136】
L.実施例
実施例1
図1に示されているものと同様の方法およびシステムを用いることで、タラの骨や頭の形の魚廃棄材料の混合物を30mm口径のオリフィスを通し、1時間当たり3トンの速度で軽く挽く。挽いた魚混合物を同じ速度でブレンダーバットに運び、沸騰水を1:1の比率で加える。このブレンダーバットの出口における温度を測定すると55℃である。この熱い魚混合物に混合物1kg当たり1gのNovo Alcalase(登録商標)2を加え、その後、酵素と魚の混合物を長さ8m、直径0.9mの管状加水分解反応器に運ぶ。このび加水分解反応器内で、酵素を含む魚混合物は、50%ピッチのねじ山を備えたフィーダースクリューにより、管の縦方向に、加水分解反応器から出口の方向へゆっくり運ばれた。各ねじ山にはその周囲に沿って200mm×200mm×300mmのシートを取り付けた。加水分解反応器を通過するのに40分かかり、魚廃棄物と酵素の混合物の温度を加水分解反応器の出口で測定する50℃である。
【0137】
加水分解された混合物は不活化反応器に運ばれ、ここで、約120℃の一定温度に維持した周囲のスチームマントルによって加熱することでAlkalase(登録商標)および天然魚酵素が不活化され、タンパク質およびペプチドが変性された。この不活化反応器の内容物は50%ピッチのねじ山と各ねじ山の周囲に沿ったスコップを備えたフィーダースクリューにより、その排出口へと押し出された。不活化槽の中程で好ましくは温度を測定したところ95℃以上であった。液相を、目で見て均質となるまで強力攪拌機でホモジナイズし、きれいになった骨の形の固相をフィーダースクリューにより不活化反応器の底部から連続的に除去した。液相は脂肪、油、脂肪酸、タンパク質、様々な長さのペプチド、アミノ酸、および水からなっていた。ホモジナイズされた液相はトリカンターに運ばれ、そこで脂肪画分、可溶性部分を含む水性画分、および不溶性部分を含む水性画分の3つの画分に分かれた。
【0138】
トリカンターにて遠心分離を行ったところ、脂肪画分2%、タンパク質由来の可溶性成分を含む水性画分80%、および不溶性成分タンパク質を含む水性画分18%であった。可溶性成分を含む水性画分の組成の対照測定値は、タンパク質5%、脂肪0.003%、残りは水という組成であることを示した。不溶性成分を含む水相の組成の対照測定値は、タンパク質7%、脂肪0.5%、残りは水という組成であることを示した。
【0139】
得られた水性タンパク質画分はタラのよい風味がありフィッシューソースおよびスープのベースとして、または魚肉製品として使用できる。固相からの骨は乾燥させた後に摩砕して骨粉とすることができる。脂肪画分は高含量の飽和脂肪酸を含み、健康食品に使用できる。
【0140】
実施例2
用いた方法および装置は、原料が骨付きチキンからの出た胴体であったこと以外は実施例1と同じであった。加水分解反応器内での攪拌および混合は、まず、加水分解反応器内のフィーダースクリューを、酵素を含むチキン混合物が加水分解反応器の縦方向に0.2m引き戻される間は時計回りに回転させることで進行した。液相中の脂肪画分は膜ポンプにより不活化反応器の上端、攪拌機の1m手前のところに別々に排出させた。脂肪画分はデカンターへの吸入排出し、そこでそれを加える前に不活化槽からの液相と混合する。
【0141】
トリカンターにて遠心分離を行ったところ、脂肪画分10%、タンパク質由来の可溶性成分を含む水性画分70%、および不溶性成分タンパク質を含む水性画分20%であった。可溶性成分を含む水性画分の組成の対照測定値は、その組成がタンパク質6%、脂肪0.004%、残りは水という組成であることを示した。不溶性成分を含む水性画分の対照測定値は、その組成がタンパク質9%、脂肪0.5%、残りは水という組成であることを示した。
【0142】
タンパク質由来の不溶性成分を含む水性画分はスープもしくはソースのベースとして、または肉製品の添加物として使用できる。タンパク質由来の不溶性成分を含む水性画分は挽き肉、ソーセージおよびランチョンミートなどの肉製品と混合してもよい。固相からの骨はまず乾燥させた後に摩砕して骨粉としてもよい。
【0143】
液相は通常、脂肪画分と1以上の水性画分に分離される。不溶性の変性水性タンパク質画分は、可溶性の変性水性タンパク質画分を含み、従って、これら2つの画分は理論的には、さらなる後処理のために別々に排出可能なほどに互いから分離される。しかしながら、原料のタイプによっては、これは実施面ではもっと困難であるかもしれない。
【0144】
実施例3
この実施例では、原料は頭を含む、おろした後のサケの廃棄材料である。最終製品、すなわち加水分解物は、室温で実質的に水溶性で、タンパク質、ペプチドおよびアミノ酸の混合物を含んだ白色粉末である。室温である程度攪拌すれば、裸眼で見られる沈殿はない。出発材料は15〜25%の脂肪を含み、残りはタンパク質と骨である。この原料を、図5に関して記載した加水分解反応器および不活化反応器内の乳化の制御を含め、図1に関して記載した方法およびシステムに実質的に従って加水分解する。乳化は反応混合物の2%にまで制限される。加水分解はさらに1時間当たり約3トンの水を用い、1時間当たり役3トンの原料の速度で行う。このプロセスを停止することなく72時間行い、約216トンの魚原料と216トンの水を処理する。連続加水分解は最大30日というもっと長期間行うことができたが、反応器の清掃のために3日目に停止する。
【0145】
加水分解および酵素の不活化後の反応混合物はトリカンターに堆積し、遠心分離して3成分:脂肪画分;室温で水溶性のタンパク質を含む水性画分;および不溶性タンパク質からなる沈降物とする。タンパク質に関しては、室温である程度攪拌すれば、裸眼で見える沈殿はない。水溶性タンパク質を含有する画分に由来する溶質を抽出および分析する。乾燥品の生化学分析からは次のようなデータが得られる。
【0146】
【表1】

【0147】
【表2】

【0148】
【表3】

【0149】
【表4】

【0150】
【表5】

【0151】
水溶性抽出物は室温で水溶性の白色粉末である。ミンクで試験したところ、その生体消化率(biological digestibility)指数は95〜97%である。
【0152】
本開示は全般的に、また1以上の実施態様に関して記載してきたが、本装置およびプロセスの基礎にある原理の理解が得られる。しかし、動物または植物原料を含有するタンパク質の加水分解のためには、本明細書に具体的に記載されてはいないが、本開示が適用できる多くの構成が存在する。従って、本開示は本明細書に記載の特定の実施態様に限定されるものではなく、むしろ加水分解方法、システム、および装置について広い適用性を有すると理解すべきである。さらに、各実施態様の特定の特徴は他の実施態様において例示または記載されている方法、システム、または装置と組み合わせて使用できることは明白である。よって、上記の説明は例示であって、限定を意味するものではない。従って、添付の特許請求の範囲内にある総ての変形や変更または同等の配置および実施は本発明の範囲内であると考えられる。
【0153】
本明細書において、また特許請求の範囲において単数冠詞「a」、「an」、「the」、「該」などは1または1より多いことを意味し、そうではないことが明示されない限り、それらの単数形に続く言葉を何ら限定するものではない。そうではないことが示されない限り、選択肢を示すための「または」を含む請求項はいずれも、「または」の語によって結ばれた選択肢の1つ、1を超えるもの、または総てのものが、それ以外の点ではそのような請求項の限定に見合う実施態様に存在する場合に満たされるものとすべきである。
【0154】
本願は、2002年12月2日に出願された「動物または植物原料を含有するタンパク質の連続加水分解のためのプラントおよび方法ならびに得られた加水分解産物の用途」と題されたデンマーク特許出願番号PA2002 01859の優先権を主張するものであり、その全開示内容は引用することにより本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】動物、植物由来のものなど、タンパク質性原料を加水分解するための装置および方法の一つの実施態様を示すブロック図。
【図2】原料由来の金属部分を除去するための装置の別の実施態様を示すブロック図。
【図3】液相の循環を保つ反応器を含む別の実施態様を示すブロック図。
【図4】一つの実施態様の加水分解反応器および不活化反応器の側面図。
【図5】加水分解アセンブリからの油の除去を含む別の実施態様のブロック図。
【図6】動物または植物原料を加水分解するための装置および方法に用いるための、不活化反応器、傾斜フィルタースクリーンおよび分離固体・液体回収容器を示す図。
【図7】原料または反応混合物の移動、運搬または輸送を助けるためのもう1つの構成および装置を示す。
【図8】ねじ山周囲に沿ってスコップ、スパチュラ、レッジ、またはシートが配置されているビスまたはオーガーの一部の部分図。
【図9】図6の濾過システムの変形例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質含有原料の加水分解のための装置であって、
該原料と領域中に存在する少なくとも1種の酵素とを含む反応混合物を反応させることにより該原料の加水分解をもたらす加水分解領域(この反応混合物は固体と液体の双方を含み、加水分解時には該反応混合物は加水分解産物をさらに含む)、
加水分解領域から反応混合物を受け取り、該反応混合物中に存在する酵素を実質的に不活化する不活化領域、および
不活化領域から反応混合物の少なくとも一部を受け取り、それを、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの実質的に液体の成分を含む2以上の成分に分離することができる分離領域
を含んでなる、装置。
【請求項2】
分離領域が、受け取った反応混合物の一部を前記の少なくとも1つの実質的に液体の成分と少なくとも1つの実質的に固体を含有する成分とに分離することができるものである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記液体成分中に存在するエマルジョンが常に所定のレベル以下の量で存在する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
エマルジョンの存在レベルが約5%以下である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
エマルジョンの存在レベルが約2%以下である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
エマルジョンの存在レベルが約1%以下である、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
エマルジョンの存在レベルが約0.5%以下である、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
分離領域が傾斜フィルタースクリーンを含むものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
液体成分の少なくとも一部を受け取り、これを、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの第一の画分と、水不溶性タンパク質を含む少なくとも1つの第二の画分とに分離する遠心機をさらに含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
反応混合物からその反応混合物中に存在する油を吸入排出することができる少なくとも1つのポンプ、もしくは反応混合物中に存在する油をデカントするためのデカンター、またはこれらの双方をさらに含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
不活化領域が、反応混合物の固体成分用の少なくとも1つの排出口と、反応混合物の液体成分用の少なくとも1つの排出口とを含んでなるものであり、液体成分用の排出口が、固体成分用の排出口から、固体成分と液体成分の混合を回避または最小化するのに十分な距離をおいて配置されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
液体成分用の少なくとも1つの排出口が、水溶性のアミノ酸、タンパク質、またはペプチドと水不溶性のアミノ酸、タンパク質、またはペプチドとを含む水性画分用の排出口を含んでなるものである、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
加水分解領域が反応混合物を加水分解領域内で移動させるための少なくとも1つのフィーダースクリューを含んでなるものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
加水分解領域が管状反応器を含んでなるものである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
不活化領域が反応混合物を不活化領域内で移動させるための少なくとも1つのフィーダースクリューを含んでなるものである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも1つのフィーダースクリューが、第一の期間は時計回りに回転し、第二の期間は反時計回りに回転する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つのフィーダースクリューが、その周辺にスコップまたはシートが配置されているねじ山を含むものである、請求項13〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
不活化反応器が、反応混合物の少なくとも一部を排出するための排出口と、その排出口付近の反応混合物に固形物を懸濁させる、排出口に隣接した攪拌器を含むものである、請求項1〜17のいれか一項に記載の装置。
【請求項19】
攪拌器が逆方向に回転するスクリューを含むものである、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
反応混合物中の液体の乳化が所定のレベル以下に維持されるように、ポンプが反応混合物を不活化領域から分離領域へ向けて吸入排出する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
タンパク質含有原料片が回収される回収領域をさらに含んでなり、該タンパク質含有原料片がこの回収領域から加水分解領域へ供給される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
回収領域が、回収された原料片を小さくする処理装置を含んでなるものである、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
1時間当たり2トンの速度で前記原料を加水分解しうるものである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
少なくとも72時間連続して加水分解しうるものである、請求項1〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
加水分解領域、不活化領域、および分離領域が連続非バッチ様式で運転可能である、請求項1〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
反応混合物中の液体から、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約50重量%の水溶性タンパク質収率を得ることができる、請求項1〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
反応混合物中の液体から、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約60重量%の水溶性タンパク質収率を得ることができる、請求項1〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
反応混合物中の液体から、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約70重量%の水溶性タンパク質収率を得ることができる、請求項1〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
反応混合物中の液体から、原料中に含まれるタンパク質重量の約70重量%の水溶性タンパク質収率を得ることができる、請求項1〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
請求項1〜29のいずれか一項に記載の装置を用いてタンパク質含有原料を加水分解することを含んでなる、タンパク質含有原料の加水分解のための方法。
【請求項31】
タンパク質含有原料の加水分解のための方法であって、
加水分解領域において、該原料と該原料中のタンパク質を加水分解することができる酵素とを含む反応混合物を加水分解する工程(この反応混合物は固体と液体の双方を含み、加水分解時には該反応混合物は加水分解産物をさらに含む)、
不活化領域において、該反応混合物中に含まれる酵素を不活化する工程、および
反応混合物の少なくとも一部を、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの実質的に液体の成分を含む2以上の成分に分離する工程
を含んでなる、方法。
【請求項32】
分離工程が、反応混合物の少なくとも一部を、少なくとも1つの実質的に液体の成分と少なくとも1つの実質的に固体を含有する成分とに分離することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記方法において存在するエマルジョンが常に所定のレベル以下の量に維持される、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
エマルジョンの存在レベルが約5%以下に維持される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
エマルジョンの存在レベルが約2%以下に維持される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
エマルジョンの存在レベルが約1%以下に維持される、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
エマルジョンの存在レベルが約0.5%以下に維持される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
分離工程が、傾斜フィルタースクリーンを用いて反応混合物の少なくとも一部を分離し、これにより、少なくとも1つの実質的に液体の成分と実質的に固体の成分を得ることを含む、請求項31〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
傾斜フィルタースクリーンが約1〜約200メッシュのメッシュサイズを有するものである、請求項31〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
分離工程が、少なくとも1つの実質的に液体の成分を、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの第一の画分と、水不溶性タンパク質を含む少なくとも1つの第二の画分とに分離することをさらに含む、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1つの実質的に液体の成分を分離する工程が遠心分離処理を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
反応混合物が、主として水溶液を含む第一の成分、主として脂質を含む第二の成分、および主として固形物を含む第三の成分へと分離される、請求項31〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
分離工程が、不活化反応器から反応混合物を吸入排出することを含む、請求項31〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
加水分解工程が、少なくとも1つのフィーダースクリューにより加水分解領域内で反応混合物を移動させることを含む、請求項31〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
加水分解工程が、管状反応器中で反応混合物を加水分解することを含む、請求項31〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
不活化工程が、少なくとも1つのフィーダースクリューにより不活化領域内で反応混合物を移動させることを含む、請求項31〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
不活化工程中、少なくとも1つのフィーダースクリューが、時間を区切って時計回りおよび反時計回りに回転する、請求項43〜46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
反応混合物からその反応混合物中に存在する油を吸入排出する工程、もしくは反応混合物中に存在する油をデカントする工程、またはこれらの双方をさらに含んでなる、請求項31〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
加水分解領域、不活化領域、またはこれらの双方から油が吸入排出される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
分離工程の前に、不活化領域に存在する固形物が実質的に懸濁されるように、不活化領域に存在する反応混合物が攪拌される、請求項31〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
加水分解工程の前に、回収領域においてタンパク質含有原料が細片として回収される、請求項31〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
加水分解の前に、回収された原料片が、1片が小さくなるように処理される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
細片の大きさが約15mm〜約50mmである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
細片の大きさが、300mm以上である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
原料が、魚類、動物および植物材料からなる群に由来する材料を含むものである、請求項31〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
原料が魚類由来の材料を含むものである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
原料が1時間当たり2トンの速度で加水分解される、請求項31〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
加水分解工程が連続非バッチ処理として行われる、請求項31〜57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
不活化工程が連続非バッチ処理として行われる、請求項31〜58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記連続非バッチ処理が、少なくとも72時間連続して加水分解しうるものである、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
反応混合物中の液体が固体から実質的に分離され、その液体から水溶性タンパク質が得られる、請求項31〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記方法から得られる水溶性タンパク質の収率が、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約50重量%である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記方法から得られる水溶性タンパク質の収率が、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約60重量%である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記方法から得られる水溶性タンパク質の収率が、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約70重量%である、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記方法から得られる水溶性タンパク質の収率が、原料中に含まれるタンパク質重量の約70重量%である、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
請求項61〜65のいずれか一項に記載の方法により得られた水溶性タンパク質を含有する、製品。
【請求項67】
原料が魚類材料を含んでなり、さらには、製品が、室温で水溶性であり、実質的に脂質を含まず、かつ、魚類由来の1種以上のアミノ酸を含む、請求項66に記載の製品。
【請求項68】
魚類由来の1種以上のアミノ酸が、リシンおよびメチオニンを含む、請求項66に記載の製品。
【請求項69】
実質的にアスパラギンまたはグルタミンを含まない、請求項67または68に記載の製品。
【請求項70】
タウリンを含む、請求項67〜69のいずれか一項に記載の製品。
【請求項71】
製品の生体消化率が少なくとも70%である、請求項66〜70のいずれか一項に記載の製品。
【請求項72】
製品の生体消化率が少なくとも80%である、請求項66〜70のいずれか一項に記載の製品。
【請求項73】
製品の生体消化率が少なくとも90%である、請求項66〜70のいずれか一項に記載の製品。
【請求項74】
固形物をも含むタンパク質含有原料の加水分解のための装置であって、
該原料と領域中に存在する少なくとも1種の酵素とを含む反応混合物を反応させることにより該原料を加水分解するための手段(この反応混合物は固体と液体の双方を含み、加水分解時には該反応混合物は加水分解産物をさらに含む)、
該反応混合物中に存在する酵素を実質的に不活化するための手段、および
該反応混合物の少なくとも一部を、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの実質的に液体の成分を含む2以上の成分に分離するための手段
を含んでなり、その反応混合物中の液体に存在するエマルジョンを常に所定のレベル未満に維持する、装置。
【請求項75】
タンパク質を含有する動物または植物原料、好ましくは食品加工による副産物または廃棄物の形の原料の反応混合物を、少なくとも1つの液相(13)と少なくとも1つの固相(12)に連続的に加水分解するためのプラントであって、
調製区域(1)、それに接続されている加水分解区域(4)、該加水分解区域(4)に接続されている不活化区域(7)、および該不活化区域に接続されている最終処理区域(17)を含んでなり、
前記加水分解区域(4)が、酵素および原料からなる反応混合物を少なくとも1つの管状加水分解反応器(6)内で移動させ、そしてさらに前方の、加水分解区域(4)に流入端(9)およびそれと反対に配置されている流出端(10)により接続されている少なくとも1つの不活化反応器(8)を有する不活化区域(7)に運ぶための第一のフィーダースクリュー(20)を有する、少なくとも1つの実質的に管状の加水分解反応器(6)を含むものであり、
この少なくとも1つの不活化反応器(8)の流出端(10)が、固相(12)用の少なくとも1つの排出口(14)と、固相(12)用の排出口(14)から離れて配置されている液相(13)用の少なくとも1つの排出口(16)を有する、プラント。
【請求項76】
不活化反応器(8)が、不活化反応器(8)の内容物を排出口(14、16)に向けて移動させるための第二のフィーダースクリュー(24)を有するものである、請求項75に記載のプラント。
【請求項77】
不活化反応器(8)が、その底部に配置されている、固相(12)用の排出口(14)およびその外部へ向けて、沈降した固形物を移動させるための第三のフィーダースクリュー(25)を有するものである、請求項75または76に記載のプラント。
【請求項78】
前記フィーダースクリュー(20、24、25)のうち少なくとも1つが、所定の第一の期間には時計回りに、所定の第二の期間には反時計回りに回転するように配置されているものである、請求項75または76に記載のプラント。
【請求項79】
前記フィーダースクリュー(20、24、25)のうち少なくとも1つが、該フィーダースクリュー(20、24、25)のねじ山(22)周囲の領域にスコップまたはシート(22)を備えるように設計されたものである、請求項75〜78のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項80】
液相(14)用の排出口(16)が、脂肪画分用の脂肪排出口と、水溶性のアミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質、水に不溶または難溶のアミノ酸、ペプチドおよび/またはタンパク質、またはこれらの成分の混合物からなる群から選択される成分を含有する水性画分用の少なくとも1つのタンパク質排出口とを含む、請求項75〜79のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項81】
液相(14)用の排出口(16)に、タンパク質起源の溶解および非溶解成分を含む水相と脂肪相とを混合することを目的とする手段(18)が設置されている、請求項75〜78のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項82】
水相と脂肪相とを混合するための手段が混合回転翼(18)または循環ポンプである、請求項81に記載のプラント。
【請求項83】
タンパク質起源の水溶性および水不溶性成分ならびに脂肪画分が、連続運転デカンターまたはトリカンター中で互いに分離される、請求項81に記載のプラント。
【請求項84】
請求項54〜62に記載のプラントにおいて、タンパク質を含有する動物または植物原料の反応混合物を液相(13)と固相(12)に連続的に加水分解する方法であって、
原料を分割する工程、
原料と酵素を混合する工程、
所定の時間、原料を酵素的に加水分解する工程、
不活化反応器(8)中で、反応混合物中に存在する酵素を不活化し、不活化反応器(8)中の反応混合物から固相(12)と液相(14)を連続的に排出させる工程
を含んでなり、この液相(13)が、脂肪画分と、タンパク質起源の溶解および非溶解成分の内容物を含む水性画分とを含んでなり、この脂肪画分と水性画分が、別個に同じ速度もしくは異なる速度で、または一緒にホモジナイズされた懸濁液として、不活化反応器(8)から連続的に排出される、方法。
【請求項85】
タンパク質起源の溶解および非溶解成分と脂肪相が、トリカンターまたはデカンターで順次分離される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
原料から金属部分が分離される予備工程をさらに含んでなる、請求項84または85に記載の方法。
【請求項87】
請求項75〜83に記載のプラントおよび/または請求項84〜86に記載の方法によって製造された、タンパク質加水分解物。
【請求項88】
ヒトまたは動物の栄養素または栄養補助食品としての、請求項87に記載のタンパク質加水分解物の直接的またはさらなる加工後の適用。
【請求項89】
タンパク質を含有する動物または植物原料の連続的加水分解のためのプラントおよび方法、ならびに得られた加水分解産物の適用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質含有原料の加水分解のための装置であって、
該原料と領域中に存在する少なくとも1種の酵素とを含む反応混合物を反応させることにより該原料の加水分解をもたらす加水分解領域(この反応混合物は固体と液体の双方を含み、加水分解時には該反応混合物は加水分解産物をさらに含む)、
加水分解領域から反応混合物を受け取り、該反応混合物中に存在する酵素を実質的に不活化する不活化領域、および
不活化領域から反応混合物の少なくとも一部を受け取り、それを、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの実質的に液体の成分および少なくとも1つの実質的に固体を含有する成分を含む2以上の成分に分離することができる、不活化領域から分離して配置された分離領域
を含んでなり、加水分解領域、不活化領域および分離領域が連続非バッチ様式で運転され、かつ、該液体成分中に存在するエマルジョンが常に所定のレベル以下の量で存在する、装置。
【請求項2】
エマルジョンの存在レベルが約5%以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
エマルジョンの存在レベルが約2%以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
エマルジョンの存在レベルが約1%以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
エマルジョンの存在レベルが約0.5%以下である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
分離領域が傾斜フィルタースクリーンを含むものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
液体成分の少なくとも一部を受け取り、これを、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの第一の画分と、水不溶性タンパク質を含む少なくとも1つの第二の画分とに分離する遠心機をさらに含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
反応混合物からその反応混合物中に存在する油を吸入排出することができる少なくとも1つのポンプ、もしくは反応混合物中に存在する油をデカントするためのデカンター、またはこれらの双方をさらに含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
加水分解領域が反応混合物を加水分解領域内で移動させるための少なくとも1つのフィーダースクリューを含んでなるものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
加水分解領域が管状反応器を含んでなるものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
不活化領域が反応混合物を不活化領域内で移動させるための少なくとも1つのフィーダースクリューを含んでなるものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つのフィーダースクリューが、第一の期間は時計回りに回転し、第二の期間は反時計回りに回転する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つのフィーダースクリューが、その周辺にスコップまたはシートが配置されているねじ山を含むものである、請求項9〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
不活化反応器が、反応混合物の少なくとも一部を排出するための排出口と、その排出口付近の反応混合物に固形物を懸濁させる、排出口に隣接した攪拌器を含むものである、請求項1〜13のいれか一項に記載の装置。
【請求項15】
攪拌器が逆方向に回転するスクリューを含むものである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
反応混合物中の液体の乳化が所定のレベル以下に維持されるように、ポンプが反応混合物を不活化領域から分離領域へ向けて吸入排出する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
タンパク質含有原料片が回収される回収領域をさらに含んでなり、該タンパク質含有原料片がこの回収領域から加水分解領域へ供給される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
回収領域が、回収された原料片を小さくする処理装置を含んでなるものである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
1時間当たり2トンの速度で前記原料を加水分解しうるものである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも72時間連続して加水分解しうるものである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
反応混合物中の液体から、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約50重量%の水溶性タンパク質収率を得ることができる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
反応混合物中の液体から、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約60重量%の水溶性タンパク質収率を得ることができる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
反応混合物中の液体から、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約70重量%の水溶性タンパク質収率を得ることができる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
反応混合物中の液体から、原料中に含まれるタンパク質重量の約70重量%の水溶性タンパク質収率を得ることができる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか一項に記載の装置を用いてタンパク質含有原料を加水分解することを含んでなる、タンパク質含有原料の加水分解のための方法。
【請求項26】
タンパク質含有原料の加水分解のための方法であって、
加水分解領域において、該原料と該原料中のタンパク質を加水分解することができる酵素とを含む反応混合物を加水分解する工程(この反応混合物は固体と液体の双方を含み、加水分解時には該反応混合物は加水分解産物をさらに含む)、
不活化領域において、該反応混合物中に含まれる酵素を不活化する工程、および
不活化領域から分離して配置された分離領域において、反応混合物の少なくとも一部を、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの実質的に液体の成分および少なくとも1つの実質的に固体を含有する成分を含む2以上の成分に分離する工程
を含んでなり、加水分解領域、不活化領域および分離領域が連続非バッチ様式で運転され、かつ、該液体成分中に存在するエマルジョンが常に所定のレベル以下の量で存在する、方法。
【請求項27】
エマルジョンの存在レベルが約5%以下に維持される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
エマルジョンの存在レベルが約2%以下に維持される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
エマルジョンの存在レベルが約1%以下に維持される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
エマルジョンの存在レベルが約0.5%以下に維持される、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
分離工程が、傾斜フィルタースクリーンを用いて反応混合物の少なくとも一部を分離し、これにより、少なくとも1つの実質的に液体の成分と実質的に固体の成分を得ることを含む、請求項26〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
傾斜フィルタースクリーンが約1〜約200メッシュのメッシュサイズを有するものである、請求項26〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
分離工程が、少なくとも1つの実質的に液体の成分を、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの第一の画分と、水不溶性タンパク質を含む少なくとも1つの第二の画分とに分離することをさらに含む、請求項26〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つの実質的に液体の成分を分離する工程が遠心分離処理を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
反応混合物が、主として水溶液を含む第一の成分、主として脂質を含む第二の成分、および主として固形物を含む第三の成分へと分離される、請求項26〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
分離工程が、不活化反応器から反応混合物を吸入排出することを含む、請求項26〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
加水分解工程が、少なくとも1つのフィーダースクリューにより加水分解領域内で反応混合物を移動させることを含む、請求項26〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
加水分解工程が、管状反応器中で反応混合物を加水分解することを含む、請求項26〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
不活化工程が、少なくとも1つのフィーダースクリューにより不活化領域内で反応混合物を移動させることを含む、請求項26〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
不活化工程中、少なくとも1つのフィーダースクリューが、時間を区切って時計回りおよび反時計回りに回転する、請求項37〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
反応混合物からその反応混合物中に存在する油を吸入排出する工程、もしくは反応混合物中に存在する油をデカントする工程、またはこれらの双方をさらに含んでなる、請求項26〜40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
加水分解領域、不活化領域、またはこれらの双方から油が吸入排出される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
分離工程の前に、不活化領域に存在する固形物が実質的に懸濁されるように、不活化領域に存在する反応混合物が攪拌される、請求項26〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
加水分解工程の前に、回収領域においてタンパク質含有原料が細片として回収される、請求項26〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
加水分解の前に、回収された原料片が、1片が小さくなるように処理される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
細片の大きさが約15mm〜約50mmである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
細片の大きさが、300mm以上である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
原料が、魚類、動物および植物材料からなる群に由来する材料を含むものである、請求項26〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
原料が魚類由来の材料を含むものである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
原料が1時間当たり2トンの速度で加水分解される、請求項26〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記連続非バッチ処理が、少なくとも72時間連続して加水分解しうるものである、請求項26〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
反応混合物中の液体が固体から実質的に分離され、その液体から水溶性タンパク質が得られる、請求項26〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記方法から得られる水溶性タンパク質の収率が、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約50重量%である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記方法から得られる水溶性タンパク質の収率が、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約60重量%である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記方法から得られる水溶性タンパク質の収率が、原料中に含まれるタンパク質重量の少なくとも約70重量%である、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記方法から得られる水溶性タンパク質の収率が、原料中に含まれるタンパク質重量の約70重量%である、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
請求項52〜57のいずれか一項に記載の方法により得られた水溶性タンパク質を含有する、製品。
【請求項58】
原料が魚類材料を含んでなり、さらには、製品が、室温で水溶性であり、実質的に脂質を含まず、かつ、魚類由来の1種以上のアミノ酸を含む、請求項57に記載の製品。
【請求項59】
魚類由来の1種以上のアミノ酸が、リシンおよびメチオニンを含む、請求項57に記載の製品。
【請求項60】
タウリンを含む、請求項58または59に記載の製品。
【請求項61】
製品の生体消化率が少なくとも70%である、請求項58〜60のいずれか一項に記載の製品。
【請求項62】
製品の生体消化率が少なくとも80%である、請求項58〜60のいずれか一項に記載の製品。
【請求項63】
製品の生体消化率が少なくとも90%である、請求項58〜60のいずれか一項に記載の製品。
【請求項64】
固形物をも含むタンパク質含有原料の加水分解のための装置であって、
該原料と領域中に存在する少なくとも1種の酵素とを含む反応混合物を反応させることにより該原料を加水分解するための手段(この反応混合物は固体と液体の双方を含み、加水分解時には該反応混合物は加水分解産物をさらに含む)、
該反応混合物中に存在する酵素を実質的に不活化するための手段、および
該反応混合物の少なくとも一部を、水溶性タンパク質を含む少なくとも1つの実質的に液体の成分および少なくとも1つの実質的に固体を含有する成分を含む2以上の成分に分離するための、不活化領域から分離して配置された手段
を含んでなり、加水分解領域、不活化領域および分離領域が連続非バッチ様式で運転され、かつ、その反応混合物中の液体に存在するエマルジョンを常に所定のレベル未満に維持する、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−507838(P2006−507838A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557428(P2004−557428)
【出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2003/038121
【国際公開番号】WO2004/049818
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(505206772)グリーン、アース、インダストリーズ、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】GREEN EARTH INDUSTRIES LLC
【出願人】(505207975)マリン、バイオプロダクツ、アクティーゼルスカブ (1)
【氏名又は名称原語表記】MARINE BIOPRODUCTS AS
【Fターム(参考)】