説明

タンパク質折りたたみ阻害剤の同定のための方法

本発明は、耐性を生じない、タンパク質の折りたたみおよびそれによる生物学的機能のペプチド阻害剤を同定するための方法に関する。特に、本発明は、高い変異原性の割合を有するウイルス酵素の阻害剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質の折りたたみおよび生物学的機能の阻害剤を同定するための方法、具体的には、高い選択性があり耐性を生じないタンパク質の折りたたみのペプチド阻害剤を同定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質が主要な生理的役割を果たすという事実は、当該分野で周知である。タンパク質を治療薬、触媒、および特異的な性質を有する適切な物質として使用するために多くの努力がなされてきた。
【0003】
多くの疾患は、タンパク質における変異により機能性の損失を引き起こすことに由来する。例えばいくつかの場合において、タンパク質により及ぼされる触媒活性が損なわれることにより、結果として代謝経路の変化を生じる可能性がある(例えば、フェニルケトン尿症)。いくつかの他の場合において、タンパク質の構造的な特性自体が、物理的な機能性を損なうように影響される可能性がある(例えば、筋ジストロフィー)。クロイツフェルト・ヤコブ病および他の伝染性脳症は、形の変化およびポリマーの形成のタンパク質の構造的な修飾の結果として生じ得る[1]。同様に、疾患は、アミロイドーシスの結果としても生じる可能性があり、タンパク質は重合されたβシートの長鎖に徐々に変換され、沈殿してフィブリルを形成する[2]。
【0004】
多くの癌は、タンパク質の突然変異の結果として生じることが既知である。この点で、約50%のヒトの癌が、その安定性を主に低下させる腫瘍抑制因子P53における突然変異により引き起こされることが既知である[3]。
【0005】
酵素および受容体は、薬物の通常の標的であり、機能を回復させ、または感染性の病原体もしくは癌を破壊する。タンパク質科学の最終的な目標は、そのアミノ酸配列からタンパク質の構造および活性の両方を予測すること(いわゆる「折りたたみの問題」)ならびに前記活性を阻害することを可能にすることである[4, 5]。
【0006】
これを達成することで、新規の触媒、物質、および薬理学的に活性を有する薬剤、特に酵素活性を阻害するのに適した薬剤を設計および合成することが可能になるであろう。
【0007】
これらの薬剤が示し得る主要な性質は、特異性(すなわち、毒性がない)および効率である。従来は、酵素の活性部位をキャッピングすること(競合阻害)またはタンパク質のどこか他の領域/部分に結合し、酵素を基質への結合性に対して不適合にする構造的な変化を誘発することにより達成される(アロステリック阻害)。
【0008】
これらの目標のいずれかを達成するために、リガンドとタンパク質との間の結合は最適化される必要がある。これは、むしろ困難なことであり、酵素と基質もしくは他のリガンドとの間のエネルギーのみならず水との相互作用エネルギー、および反応の間のエントロピー変化も計算する必要があるという事実により、時間のかかる問題である。正味の結合エネルギーは、2つのより大きな数字間で小さな違いである。
【0009】
さらなる問題は、標的が高い突然変異の割合を示すウイルスタンパク質である場合に生じ、多くは周知の耐性の発生を伴う。それ故、既知の活性部位に集中した設計を超えるタンパク質阻害剤のより効率的且つ経済的な設計を可能にする新規の戦略を発明すること、ならびに酵素とその基質との間の相互作用を遮断することに向けられ、耐性を生じない戦略を生み出すことが非常に重要である。
【0010】
多くの実験的研究[6-8, 38, 41]および理論的研究[9, 10]は、球状の、シングルドメインタンパク質(すなわち、60〜150のアミノ酸を含んでなる長さNのタンパク質[28])が階層構造を介して折りたたまれていることを示し、わずかな連続したアミノ酸で構成される小さな単位はより大きな単位を形成し、次にさらに大きな単位を形成し、最終的にタンパク質全体に関与する。
【0011】
アミノ酸鎖セグメントの折りたたみおよび会合の実験的な研究は、未変性の状態の形成の前に、初期の折りたたみ事象の中で、部分的な未変性様構造を同定している。これらの構造的な要素は、通常、折りたたみドメインまたはフォールドオン(foldons)と呼ばれる[9]。これらの単位の実用的な定義は、「変性した状態から開始した場合に、タンパク質が折りたたまれる最初に観察可能な未変性様構造の3次元構造」である。これらの構造的なドメインの中の突然変異は、適切に折りたたまれたタンパク質の形成を著しく制限し得る[10]。
【0012】
モデル計算[11, 12]は、小さな、単量体の、シングルドメインのタンパク質の折りたたみが、折りたたまれていない高次構造から開始し、続いて以下の事象を段階的に続行することを示している:1)ポリペプチド鎖に沿って近くに位置する、高度に保存され、強く相互作用する(「熱い(hot)」)わずかな疎水性アミノ酸により安定化される、概して約20%〜約30%のタンパク質アミノ酸(それ故、5%〜15%の各タンパク質アミノ酸)を含有する、わずかな(2〜4)局所的な基本構造(一般的にLESと呼ばれる)の形成;2)折りたたみの過程全体の主要な自由エネルギーバリヤーに関するシステムをもたらす最小限の組の天然のコンタクトの形成である、(後に重大な意味を持つ)折りたたみの核におけるLESのドッキング[13];3)折りたたみの核の形成のすぐ後の、未変性の構造における残りのアミノ酸の緩和。LESを安定化する「熱い(hot)」部位は、突然変異誘発を(非保存的に)指示することに対して非常に感受性があることが見出されている。ほとんどのタンパク質安定化エネルギーはこれらの部位に集中しているが、それらの1または2を突然変異させる可能性は折りたたまれた高次構造を不安定化する高い可能性を有する。モデル計算のLESを用いて前のパラグラフの折りたたみドメインを同定することは自然である。
【0013】
同じモデルは、ペプチド(我々はp-LESと呼ぶ)を利用してタンパク質の未変性の高次構造を不安定化できることを示し、それらの配列はタンパク質のLESの配列と同一である[14]。
【0014】
従来と比較して、これらの折りたたみ阻害剤の2つの重要な利点がある。第1に、それらの分子構造は標的タンパク質によって直接的に示唆される。標的タンパク質のLESを見つけるだけで、設計または最適化は必要ない。認識し、および相互に強く相互作用し、早くタンパク質の折りたたみを作るため、ならびに他のタンパク質との凝集を避けるために、LESの設計は無数のウイルス(またはタンパク質を発現する生物体)の産生を介した進化により行われているので、結果として得られる阻害剤は、毒性をほとんど示さないことが予想される。第2に、逸脱の突然変異体を介した非操作性を与えそうにない。実際に、p-LESは、標的タンパク質の相補的なLESに結合し、折りたたみの核を安定化する同じパラダイムに従って、安定化は、タンパク質の「熱い」アミノ酸により制御される[15, 16]。
【0015】
従って、逸脱の突然変異体は、LESの安定化およびドッキングに不可欠である「熱い」アミノ酸において突然変異を含む必要がある。そのような突然変異は、一般に、タンパク質の変性を導く。言い換えると、タンパク質が未変性の生物学的に活性のある状態に折りたたまれることを阻害しない構造的な突然変異は、局所的な基本構造が折りたたみの核にドッキングすることもp-LESの阻害剤作用も妨げない。折りたたみの核の形成を妨げる突然変異は、LESの不安定化またはドッキングにより、原理的にはp-LESの作用を妨げるが、変異したタンパク質は折りたたむことができないので発現しない。
【発明の概要】
【0016】
要約すると、本発明は、球状の、シングルドメインタンパク質(典型的に、これらのタンパク質の長さは60〜150である)のLESを個別化するための、単純、経済的、且つ(本質的に)誤りのない方法に関する。従って、耐性を生じないと思われるこれらのタンパク質(p-LESペプチド)の折りたたみの、高度に特異的で強い効果のある阻害剤の個別化に関する。
【0017】
一般に、球状のマルチドメインタンパク質は、配列単位の組み合わせとして構築され(真核生物については約125アミノ酸、原核生物については約150アミノ酸[27, 28]の特徴的な長さのドメイン、ブロック[17-24]、またはモジュール[25, 26])、配列単位はシングルドメインタンパク質と同様に折りたたまれるため、本発明は、サイズまたはモジュール性に関わらずタンパク質の折りたたみのペプチド阻害剤を同定するための方法、ならびに3ステート多量体(three-state multimer)の各モノマーにも関する[29, 30]。
【0018】
続いて、球状タンパク質または3ステート多量体に属するモノマーの配列単位のフレームワークの範囲内で、本発明について説明する。
【発明の目的】
【0019】
本発明は、逸脱の突然変異体を誘発することなく、タンパク質の折りたたみおよび特異的な生物活性[4]のペプチド阻害剤の同定をするための方法に関する。
【0020】
それ故、本発明の第1の目的は、Nアミノ酸を含有するタンパク質の折りたたみのペプチド阻害剤を同定するための方法であって、以下を含んでなる方法である:
a)タンパク質全体を網羅するように、それぞれ標的タンパク質のセグメントと同じ配列を示す長さLのMのペプチドを設計する工程と(異なるペプチド間におけるいくらかの重複は許容する。典型的に、Lは約10のアミノ酸を含有し、好ましくは、約4〜約20で変化する。従って、Mの範囲は約5〜約50であり、典型的には約20である。);
b)単独またはグループで前記Mの設計されたペプチドを調製する工程と;
c)前記検討中のタンパク質および前記ペプチドの1つを適切なモル比でそれぞれ含有するMの溶液を調製し、各溶液を37℃でインキュベートする工程と;
d)上記溶液におけるペプチドの阻害効果もしくは変性の程度またはその両方を、標準的な技術により評価し、タンパク質に阻害活性を与えるペプチドを同定する工程。
【0021】
本発明の方法は、信頼でき且つむしろ単純な方法で、特別の目的を持って設計され、調製されたMのペプチドの中から、検討中のタンパク質に対する阻害活性または最も高い阻害活性を有するペプチドを同定することができる点で特に有益である。
【発明の詳細な説明】
【0022】
本発明によると、他に断らない限り、「ペプチド」という用語は、典型的に、約10のオーダーのアミノ酸を含んでなる短いペプチド鎖を意味する。好ましくは、前記ペプチドは、約4〜約20で変化するLを有するLアミノ酸を含んでなる。「ペプチド」の配列は、他に定義しない限り、等しい長さのタンパク質のセグメントと一致する。
【0023】
さらに、「ペプチド阻害剤」により、我々は、標的タンパク質の折りたたみおよびその特異的な生物学的機能をブロックするペプチドを意図する。すなわち、前記阻害剤は、タンパク質のLESと本質的に同一の配列を有し、それ故p-LESとも呼ばれる[14]。
【0024】
「LES」(局所的な基本構造)により、我々は、折りたたみの過程において非常に早期に形成される第1の未変性構造を意図する[11, 12](文献においてはフォールドオン(foldons)または折りたたみドメインとも呼ばれる[9, 10, 38])。これらの構造は、一般的に、疎水性の、高度に保存された(「熱い」)アミノ酸の強い相互作用により安定化される。より組織立てられた、いわゆる閉じたLESと、より組織立てられていない、いわゆる開いたLESとの間で区別され得る[15]。後者のタイプのLESは、溶媒中で単離された場合、いずれの(重要な)未変性のコンタクトも示さない。逆に、閉じたLESは、単離された場合、(後で重大な意味を持つ(post-critical))折りたたみの核において重要な役割を果たす、未変性のコンタクトを示す[13]。
【0025】
(後で重要な意味を持つ)折りたたみの核「FN」は、折りたたみの全過程においてタンパク質により生じる最も高い自由エネルギーバリヤーに打ち勝つのに必要な最小限の組の未変性のコンタクトを意図するものである[13]。これらのコンタクトの大部分は、LESのドッキングから生じる。「熱い」アミノ酸は、タンパク質の折りたたみにおいて中心的な役割を果たすアミノ酸を意図する。これらのアミノ酸の非保存的な突然変異は、一般的に、タンパク質の変性を導く[16]。
【0026】
本発明の方法のステップ(a)によると、その変種と共に、長さLのMのペプチドは、検討中のタンパク質のセグメントと同じ配列を示すように設計されてよい。MおよびLの値は、タンパク質の全アミノ酸配列を網羅するように選択され、いくらか重複することは許容される。典型的に、Lは10アミノ酸であり(長さNのシングルドメインタンパク質について、全アミノ酸の数Nの約1/10に対応し、すなわち
【数1】

【0027】
である)、好ましくは、約4〜約20で変化する。従って、Mは約5〜約50の範囲であり、典型的には約20である。
【0028】
非限定的な説明のための例として、本発明の方法は、それぞれ12のアミノ酸の長さのアミノ酸鎖を有する19のペプチド(すなわちM=19)を設計することにより、例えば120のアミノ酸を含んでなるタンパク質に対して阻害活性を有するペプチドの同定を提供し得る。
【0029】
上記より、それぞれ12のアミノ酸の長さを有する19のペプチドは、所定のタンパク質のセグメントと同一の配列を示し、タンパク質全体として、配列は網羅される必要があるため、重複するセグメントを有するペプチドが生じ得るということは当業者に自明である(それぞれの連続するペプチド間で例えば約50%重複する)。
【0030】
典型的に、本発明の方法のステップ(a)は、アミノ酸番号1から開始し、タンパク質全体を連続的に網羅するように、所定のMのペプチドを体系的に設計することを提供し得る(異なるペプチド間で約50%〜約70%の重複は許容される;以下の実施例4を参照されたい)。
【0031】
あるいは、前記Mのペプチドは、窒素および炭素の末端に近いタンパク質のセグメントならびにタンパク質の中心に対応する領域から開始することにより設計されてよく、異なるペプチド間の重複はここでも許容される。
【0032】
ステップ(b)は、当該分野で周知の方法によりMのペプチドを調製することを含んでなる。前記方法は、例として、ペプチドの合成に対する既知の合成アプローチのいずれか、または既知の方法に従って適切な部位で切断することにより、タンパク質から直接的に得る可能性を含んでよい。
【0033】
ステップ(c)は、ステップ(b)で調製されたペプチドのいずれかを、標的タンパク質と共に適切な溶媒中に溶解することにより行われる。前記ペプチドと前記タンパク質との間のモル比は、1:1〜10:1(ペプチド/タンパク質)の範囲で適切に変化してよく、好ましくは、ペプチド/タンパク質の相対的な濃度は3:1である。そのようにして得られた溶液を、約37℃で数分間、例えば10分以内インキュベートする。
【0034】
あるいは、ステップb)およびc)は、コンピューターシミュレーションで置き換えられてよく、タンパク質の単純化モデル(例えば、全原子Goモデル、Cα Goモデル等[33])を熱力学的なサンプリングまたはシミュレートされた動力学と共に用いて(例えば、モンテカルロアルゴリズム、ニュートン動力学等)、各タイプのペプチドの存在下におけるタンパク質の展開をシミュレートし(タンパク質の折りたたまれていないか折りたたまれた高次構造から開始する)、これらペプチドの存在下におけるタンパク質自体の変性の程度を決定する。
【0035】
これらのシミュレーションは、タンパク質のセグメントと同一である阻害剤の配列においてのみならず、溶媒中のその未変性の高次構造においても情報を提供し得る。高度の構造および安定性を示すものは、わずかな構造および/または大きなゆらぎを示す阻害剤と比較して好ましい。このことは、高度な構造を持った阻害剤(いわゆる「閉じた」局所的な基本構造(LES)、すなわちタンパク質の安定化において重要な未変性のコンタクトを示す動機のセグメントに対応する)がより特異的であることが期待され、それ故、他のわずかな構造を持ついわゆる「開いた」LESよりも毒性が低いという事実と一致する[11, 12, 15]。この側面において、残基のCα-原子のみを考えるモデル計算がこれら2つのタイプのLES間の違いを強調することに価値はない。
【0036】
体系的な実験情報が、多くのタンパク質の部位に付随するφ-値[4]に関して存在する場合、タンパク質の「暖かい(warm)」および「熱い(hot)」部位(すなわち、タンパク質の折りたたみにおいて中心的な役割を果たし[16]、高度に保存されて占有するアミノ酸に対応)の決定を可能にするように、タンパク質に沿った最初および最後のアミノ酸の長さおよび数を最終的にわずかに調節することができ、ペプチド阻害剤が全ての熱い(hot)アミノ酸、および全てではなくても、暖かい(warm)アミノ酸のほとんどを含むことを保証する。
【0037】
繰り返し過程は、適切なソフトウェアを用いて、標的タンパク質の異なるアミノ酸に付随するφ-値を計算することにより常に行われ得る(以下の実施例1を参照されたい)。一度新規の阻害剤が設計されると、上述したステップ(d)による分析を介してその効果を試験することも可能である。
【0038】
本発明の方法のステップ(d)によると、ペプチドの阻害効率もしくは変性の程度または両方は、上述した溶液中において、通常の方法により行われてよい。非限定的な例として、分光光度分析、沈降平衡試験、円二色性、または核磁気共鳴技術が、上述した阻害効果を測定するために全て使用され、行われてよい。
【0039】
同様に、吸収の実験は、タンパク質が酵素である場合に阻害効率を決定することが当該分野において既知である[4, 31]。
【0040】
前に報告したように、タンパク質の折りたたみを効率的にブロックするペプチドが一度見つけられると、残りのペプチドの阻害の性質をチェックする工程を行うことはアプリオリ(a priori)で必要ではなく、研究および同定はその時点で終結する。
【0041】
言い換えると、本発明の方法は、調製され、そのように試験されたMのペプチドの全ての中で、最も高い阻害活性を与えられた最適なペプチドを同定するために提供されてよい。
【0042】
あるいは、上述したように、ステップ(c)の異なる溶液は、任意の順番で試験されてよく、一度望ましい阻害活性を有するペプチドが見出された場合に方法全体が停止されてよく、全ての溶液を試験し、そのために調製する必要はない。
【0043】
従って、本発明の代替の実施形態によると、ステップ(a)は、4〜20で変化する長さの単一ペプチドを設計することを含んでよく;ステップ(b)は前記ペプチドを調製することを含んでよく;ステップ(c)は、同じペプチドを用いてタンパク質の溶液を調製することを含んでよく、ステップ(d)は、前記ペプチドの阻害活性を評価することを含んでよい。前記ペプチドの阻害活性が良好なものであることが分かった場合、前記方法は、適切なペプチド阻害剤を容易に同定することが可能であるとして終結してよい。逆に、良好でない場合、または前記ペプチドが有意な阻害効果を欠く場合、ステップ(a)〜(d)は、適切なペプチドが同定されるまで、他のペプチドを用いて繰り返されてよい。
【0044】
タンパク質の折りたたみを阻害し、我々がp-LESと呼ぶわずかな(1〜4)ペプチドは、折りたたみ過程において、LESを生じるタンパク質のアミノ酸セグメントを同定する。
【0045】
その生物学的活性を満たすために、タンパク質は未変性の(折りたたまれた)高次構造である必要があるため、p-LESは、タンパク質の機能の十分な、特異的な、不朽の、効果的な阻害剤であることが期待される。
【0046】
前記p-LESは、培地において溶解性を試験されるべきであり、必要な場合、それらの疎水性を低下させるために修飾されてよい。
【0047】
修飾は、例えば、1)極性および/または荷電したアミノ酸を添加すること;2)鎖を短縮し、CもしくはN末端またはその両方において1または2の疎水性アミノ酸を遊離すること;3)他のいくらか疎水性の低いアミノ酸で疎水性アミノ酸を置換することにより、保存的な突然変異誘発を行うことにより生じてよい。
【0048】
加えて、p-LESはペプチドであるため、それらは、細胞により消化されてよく、および/またはアレルギーを引き起こし得る。
【0049】
この場合、p-LESは、それらの擬態分子または周知の方法によりD-アミノ酸を使用して合成された結局は同じアミノ酸配列のペプチドに対応する折りたたみ阻害剤の先導として使用されてよい。
【0050】
本発明の種々の側面および実施形態は、p-LESのペプチド擬態性および溶解性について、実施例においてより詳細に述べられている。
【0051】
前記実施例は、本発明の限定を意図するものではなく、方法の詳細の修飾が本発明の範囲から離れることなく適用されることは認められるべきである。
【0052】
〔図面〕
図1:src SH3の結晶学的構造のカーツーン。(5の)逆平行のβ-シートは矢印の(ライトグレーの)リボンとして示し、一方、α-ヘリックスはダークグレーで示す。
【0053】
図2:相対的な未変性のコンタクトの数として定義され、SH3タンパク質1つについて3の異なる温度で計算される、オーダーパラメーターqの平衡分布確率。タンパク質は、q>0.7の値において未変性の高次構造であり、q<0.5において変性した状態である。未変性の状態と変性した状態のピークが同じ面積である温度T=0.843は、折りたたみの温度である。
【0054】
図3:挿入において示された最初と最後のアミノ酸により特徴付けられるタンパク質セグメントの1つと同じ配列を有する3つのペプチドおよびSrc-SH3タンパク質ドメインで構成される系に対する、オーダーパラメーターqのT=0.825における平衡分布確率。
【0055】
図4:挿入において示された最初と最後のアミノ酸により特徴付けられるタンパク質断片の1つと同じ配列を有する3つのペプチドおよびSrc-SH3タンパク質ドメインで構成される系に対する、T=0.825において計算されたオーダーパラメーターqの平衡分布確率。
【0056】
図5:横軸に示した部位で開始し、長さ6のタンパク質の断片と同じ配列である3つのペプチドとSrc-SH3タンパク質ドメインからなる系についての、T=0.825における未変性の状態の集合であり、タンパク質の未変性の状態の集合自体に関して規格化されている(pNno-p-LES)。前記ペプチドはセグメント1-6で開始し、セグメント55-60で終わり、異なるペプチド間の重複は67%である。直線は、目を導くためのものである。白抜きの点は、2つの本来のペプチド、すなわちペプチドp-S2 (=21-27)およびp-S3 (=35-40)のわずかな修飾により得られるペプチドp-S'2 (=18-28)およびp-S'3 (=36-42)の阻害の性質の情報を提供する。
【0057】
図6:T=0.825におけるSrc SH3タンパク質ドメインの未変性の状態の集合(白抜きの点)。横軸の値0について示された結果は、野生型の配列に対応する。他の結果は、9、30(冷たい(cold),C)、5、49、および55(暖かい(warm),W)、ならびに18、26(熱い(hot),H)の位置において突然変異を有するタンパク質に対応する。3つのp-S3 (35-40)の存在下、T=0.825におけるSrc SH3タンパク質ドメインの未変性の状態の相対的な集合は、黒塗りの三角で示される。直線は、目を導くためのものである。異なる突然変異の部位における値は、横軸に示された突然変異を有するタンパク質の野生型配列に対応する。
【0058】
図7:修飾されたGoモデルを用いて計算された、Src-SH3の突然変異における自由エネルギーの変化
【数2】

【0059】

【数3】

【0060】
の値も示す。
【数4】

【0061】
の範囲の部位(#18、26、27、および40)は熱い(hot)アミノ酸と呼ばれる一方、
【数5】

【0062】
の場合(#4、5、6、28、39、41、48、49、50、および55)は暖かい(warm)アミノ酸と認められる。体系的な計算および実験的な情報は、シングルドメイン、単一の球状タンパク質の「熱い(hot)」および「暖かい(warm)」部位が上述した割合で存在していることを示す([40]およびその中の参考文献を参照されたい)。
【0063】
図8:図7と同じであるが、タンパク質工学により
【数6】

【0064】
を実験的に決定した[32]。この場合、部位10、20、24、および26は熱い(hot)部位であり、部位5、7、18、23、38、41、44、48、49、および50は暖かい(warm)部位と認められる。
【0065】
図9:HIV-1-PRホモダイマーの未変性の高次構造のカーツーン。各モノマーは99のaaを含有する。異なるグレーのレベルで示したのは、2つのモノマーである。右に示したモノマーにおいて、このモノマーに付随するLESの可能な候補は、ダークグレーで示す[37]。
【0066】
図10:一般的な
【数7】

【0067】
を使用して計算した、タンパク質の未変性の状態の安定性pN(y-軸)に対する、HIV-1-PRのある一定の数の位置のモノマーにおける突然変異(x-軸)の影響[37]。黒い×は、モノマー単独の未変性の高次構造の安定性に対応するのに対し(生物学的温度T=2.5kJ/mol)、黒塗りの点は、タイプp-S8 (=83-93)の3つのp-LESの存在下におけるモノマーのpNの値である。突然変異部位=0における×および点は、野生型の配列に付随する結果を示す。直線は、目を導くためのものである。
【0068】
図11:ペプチド83-93 (1)、阻害剤ペプチドなし(2)、ペプチド61-70 (3)、およびペプチド9-19 (4)の存在下における、時間の関数としてのHIV-1-PRの活性ベンチマークの吸収(参考文献[36])。
【0069】
〔実施例〕
例1(Src-SH3)
このドメインは、5の逆平行β-シートおよび1つのα-ヘリックスを示し、60残基で構成される(図1参照)。
熱力学的ならびに動力学的な実験により広く特徴付けられているため、本発明の方法に対する興味深いベンチマークである[32]。
【0070】
一般的なGoモデルを使用することにより[33]、SH3ドメインの折りたたみのシミュレーションが行われ、該ドメインがその未変性の高次構造である確率が計算される(図2参照)。我々は、長さN/10(=6)のタンパク質の28セグメントの1つ、すなわち、1-6、3-8、5-10、...、55-60と同一の配列を示すペプチドのペプチド-ドメイン3:1割合での存在下において、各場合のSH3ドメインの展開の計算を繰り返した。結果は、図3、4、および5に示す。
【0071】
これらの結果から、折りたたみは、ペプチドp-S1=3-8、p-S2=21-27、p-S3=35-40、およびp-S4=45-50により阻害され、p-S3ペプチドが最も効果的であることを明確に示すことができる。
【0072】
従って、セグメントSi (i=1、2、3、および4)は、src SH3ドメインのLESとして認定される。
【0073】
ペプチドトp-Si (i=1、2、3、および4)は効果的な阻害剤であるだけでなく、不変の有効性が図6に示された結果により実証されている。
【0074】
図6において、タンパク質の安定性について、点変異がそれ自体および3つのp-S3ペプチドの存在下で有する効果について報告する。タンパク質の安定性にも折りたたみの能力にも影響を与えない突然変異(例えば、#9および#30における突然変異)は、p-S3ペプチドの阻害能力を変化させないままである。一方、逸脱の突然変異(例えば、#(5、18、26、49、および55)の位置における突然変異)は折りたたむことができない。これらの結果は、部位#(9,30)、#(5,49,55)、および#(18,26)がそれぞれ冷たい(cold)、暖かい(warm)、および熱い(hot)部位とみなされることと一致する。
【0075】
図5と図7に示された結果を組み合わせると、熱い(hot)部位(部位#18、26、27、および40)の全てならびに暖かい(warm)部位(4、5、6、28、39、41、48、49、50、55)のほとんどを含むことを保証するために、4つの阻害剤p-Si (i=1、2、3、および4)の長さならびに最初および最後のアミノ酸番号をわずかに調節することができる。これらのラインに沿って行われる最初に考えられる結果は:p-S1=p-S1'=3-8 (暖かい(warm)アミノ酸4、5、および6を含む)、p-S'2=18-28 (熱い(hot)アミノ酸18、26、27; 暖かい(warm)アミノ酸28)、p-S'3=36-42 (熱い(hot)アミノ酸40; 暖かい(warm)アミノ酸39、41)、p-S'4=p-S4=45-50 (暖かい(warm)アミノ酸48、49、50)を与える。単一の(暖かい;warm)アミノ酸(#55)は、この阻害剤ペプチドの組には取り込まれない/含まれないことに注目する。これは、(後で重要な意味を持つ)FNに関与するすべての暖かい(warm)部位が、必ずしもLESに属するわけではないという事実と一致する(例えば、S36モデルタンパク質の暖かい(warm)アミノ酸#16は、後で重要な意味を持つFNの一部であるが、LESのいずれにも属さない[16])。繰り返されたペプチドの改善された効果は、図5でp-S2'およびp-S3'(白抜きの点)について示された結果により例示される。
【0076】
これまでに報告された結果の全てをモデル計算から明らかにすることには価値がない。本発明の場合(Src-SH3タンパク質ドメイン)、詳しい実験的な情報は、折りたたみの過程において重要な役割を果たすアミノ酸に関して存在するため(タンパク質工学によるΔΔG値が知られている、図8を参照)、繰り返しの過程を行うためにこの情報の利点を利用することが可能である。
【0077】
図8に示された結果から、「熱い(hot)」および「暖かい(warm)」部位は、それぞれ、アミノ酸#10、20、24、26およびアミノ酸#5、7、18、23、38、41、48、50に対応することが示される。
【0078】
これらの結果ならびに図5および6に示された結果を利用すると、考えられる第1の繰り返し(iteration)は、p-S1'=5-10 (熱いアミノ酸10、および暖かいアミノ酸 #5、7を含む)、p-S2'=20-26 (熱いアミノ酸 #20、24、26; 暖かいアミノ酸 #23)、p-S3'=38-44 (暖かいアミノ酸 #38、41、44)、およびp-S4'=p-S4=45-50 (暖かいアミノ酸 #48、50)を与える。
【0079】
上述したアプローチを通して決定されたこれらのペプチドの阻害特性は、本発明の方法のステップ(d)で引用した分析により試験されるべきである。
【0080】
例2(HIV-PR, 計算)
HIV-1-PRは、それぞれ99のaaを含有する鎖により形成されるホモダイマーである(図9)。この酵素の安定性の性質は、何百というナノ秒(ns)にわたる長い全ての原子のシミュレーションにより研究されている。対応する結果を利用して、一般的な
【数8】

【0081】
が開発された。それは、酵素の折りたたみの全体の動力学的な展開をシミュレートするために使用され、結果は全ての原子と比較され、標準的なGoモデルシミュレーションは文献において利用できる。これらのシミュレーションから得られる洞察と突然変異により生じる情報(表1)とを組み合わせることにより、タンパク質の「熱い(hot)」および「暖かい(warm)」部位が決定され、LESの候補を選び出すことができる。特に、領域 S8=(83-93) (詳細は[37]およびその中の参考文献を参照されたい)。
【0082】
HIV-1-PRモノマーの折りたたみのシミュレーションは、3つのp-S8ペプチドの存在下で行われた。未変性の状態の集合pNを、10オングストローム未満のRMSDおよび形成される未変性のコンタクトの70%以上を示す鎖が形成される標準化された可能性と定義すると、pN=0.28であることが見出される。この数字は、同じ生物学的条件下におけるタンパク質についてのpN =0.87、ならびに断片61-71および4-14と同じ配列を有する対照ペプチドの存在下におけるタンパク質についての数字pN =0.72および0.66と比較されるべきである[37]。
【0083】
この阻害剤が耐性を生じないという証拠は、図10に示されている。タンパク質の安定性にも折りたたみの能力にも影響を与えない突然変異は、p-S8ペプチドの阻害特性を本質的に変化させない(例えば、部位#19における突然変異)。逸脱の突然変異(例えば、部位#33における突然変異)は本質的に折りたたむことができない。
【0084】
例3(HIV-PR, 実験)
野生型HIV-1-PRモノマーのセグメント9-19および61-70、ならびにセグメント83-93 (S8)と同じ配列を示すペプチドは、固相合成により得られた。各溶液は、0.8 mM NaCl、1nM EDTA、および1mM ジチオスレイトール(dithiothritol)を20 mM リン酸緩衝液(pH 6)に加え、さらに2.78μgのHIV-1プロテアーゼおよび5.4μMペプチドを加えることにより調製された(すなわち、異なるペプチドのそれぞれの濃度は、プロテアーゼの3倍である)。
【0085】
分光光学的な分析は、色素産生基質を用いて行われ[34]、310nmにおいて、時間に関する吸収の変化を測定した[36]。対応する結果のいくつかは、図11に報告されている。ペプチド83-93はプロテアーゼの活性を一貫して減少させること、およびそれ故阻害剤として使用されることが分かる。この配列は、HIV-1-PRのLESを生じると解釈され得る。図9から観察されるように、このLESはよく組み立てられており、多くの内部の未変性のコンタクトを含む(α-ヘリックスターンを安定化する)。従って、それは、特に特異的なペプチド阻害剤として適している。この断片[35]またはその相補的な断片断片(すなわち、断片24-34)において観察される突然変異が保存された突然変異であると見出されることは、商業的な薬物(プロテアーゼの活性部位を阻害する目的)により引き起こされるかそうでないかにかかわらず、価値がないことである(表1を参照されたい)。
【表1】

【0086】
表1:参考文献[35]に報告されているような、観察されるHIV-1-PRの突然変異。野生型配列(wt)の各残基に対して、治療される患者および/または治療されない患者において観察される突然変異(mut)、ならびにこれら突然変異の最小の保存に関連するPAM250スコア(PAM250は、関連するタンパク質間で生じるアミノ酸置換の分析に由来するスコアである。関連するタンパク質間で一般的に起こる置換についての正の値(保存的な突然変異)および置換が起こりそうにない場合のゼロまたは負のスコア(非保存性の突然変異)の範囲を特定する)が収載されている。太字は、非保存的な突然変異が起こる部位である。
【0087】
例4
Nアミノ酸を含有する所定のタンパク質、長さL=(N/10)±2のペプチドが調製され、それぞれタンパク質のセグメントの同じ配列を示す。ペプチド#1は、アミノ酸1で始まりアミノ酸Lで終わるセグメントと一致し、ペプチド#2はセグメント(L/z+1)−[(1+z)L/z]と一致し、・・・、i番目のペプチドは、セグメント(iL/z+1)−[(i+z)L/z](i=1,2,...im、im=zN/L-z)と一致する。従って、産生されるペプチドの最大数は、im+1である。量zは、2つの連続したペプチド間に許容される重複を調節する。z=2,3の推奨される値は、50%および67%の重複を導く。
【0088】
(現実的な)例示のために、値N=100、L=10、z=3を選択することが可能である。その場合、im=27および67%の重複が得られる。28の考えられるペプチドのそれぞれの最初および最後のアミノ酸に対応する番号は、表2に収載されている。
【0089】
これらの結果をHIV-1-PRダイマーのモノマーの場合と一致させ、折りたたみを阻害するペプチドの研究において3つの異なるシナリオを想定することが可能である:a)アミノ酸(aa)1から開始し、aa100まで行う順序立てられた検索(すなわち、N末端から開始し、C末端の方向へ進行する)、b)逆の順番の順序だてられた検索(100から1、すなわちC末端からN末端)、c)N末端およびC末端ならびにタンパク質の中間から開始し、これらの領域からタンパク質全体を網羅するように遠ざかって移動するランダム検索。第1の場合は、p-LES阻害剤を見つけるために26回試すことが必要であり(表2のペプチド#26)、第2の場合は3回試す必要があり、第3の場合は12回試す必要があった(表2を参照されたい)。
【表2】

【0090】
表2:HIV-1-PRの配列のペプチドへの分裂の例。カラムにはそれぞれ、ペプチドの識別番号、指標i(本文を参照)、HIV-1-PR配列における対応する断片、ならびにタンパク質の中心およびC末端およびN末端から本質的に同時に開始する非逐次的な試験の例(ローマ数字)を示す。ペプチド#26が試験される場合、この場合の検索は、12のステップの後に終了する。
【0091】
〔参考文献〕
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【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】src SH3の結晶学的構造のカーツーン。
【図2】相対的な未変性のコンタクトの数として定義され、SH3タンパク質1つについて3の異なる温度で計算される、オーダーパラメーターqの平衡分布確率。
【図3】挿入において示された最初と最後のアミノ酸により特徴付けられるタンパク質セグメントの1つと同じ配列を有する3つのペプチドおよびSrc-SH3タンパク質ドメインで構成される系に対する、オーダーパラメーターqのT=0.825における平衡分布確率。
【図4】挿入において示された最初と最後のアミノ酸により特徴付けられるタンパク質断片の1つと同じ配列を有する3つのペプチドおよびSrc-SH3タンパク質ドメインで構成される系に対する、T=0.825において計算されたオーダーパラメーターqの平衡分布確率。
【図5】横軸に示した部位で開始し、長さ6のタンパク質の断片と同じ配列である3つのペプチドとSrc-SH3タンパク質ドメインからなる系についての、T=0.825における未変性の状態の集合。
【図6】T=0.825におけるSrc SH3タンパク質ドメインの未変性の状態の集合(白抜きの点)。
【図7】修飾されたGoモデルを用いて計算された、Src-SH3の突然変異における自由エネルギーの変化。
【図8】図7と同じであるが、タンパク質工学により実験的に決定した場合。
【図9】HIV-1-PRホモダイマーの未変性の高次構造のカーツーン。
【図10】タンパク質の未変性の状態の安定性pN(y-軸)に対する、HIV-1-PRのある一定の数の位置のモノマーにおける突然変異(x-軸)の影響。
【図11】ペプチド83-93 (1)、阻害剤ペプチドなし(2)、ペプチド61-70 (3)、およびペプチド9-19 (4)の存在下における、時間の関数としてのHIV-1-PRの活性ベンチマークの吸収。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さLのNのアミノ酸のタンパク質の折りたたみのペプチド阻害剤を同定するための方法であって、
a)典型的に10のオーダーであり、一般的に約4〜20の範囲である長さLのMのペプチドであって、ある程度の重複を有し、タンパク質全体を網羅するように、それぞれ検討中のタンパク質のセグメントと同じ配列を示し、前記Mは典型的に、5〜10で変化する整数であるMのペプチドを設計する工程と;
b)単独またはグループで前記Mの設計されたペプチドを調製する工程と;
c)前記検討中のタンパク質および前記ペプチドの1つを適切なモル比でそれぞれ含有するMの溶液を調製し、各溶液を37℃でインキュベートする工程と;
d)上記溶液におけるペプチドの阻害効果もしくは変性の程度またはその両方を、標準的な技術により評価し、タンパク質に対して阻害活性を与えるペプチドを同定する工程と
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記Nは60〜150である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペプチドの長さLは4〜20である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ペプチドの長さはL=N/10に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)は、標準的な方法に従って、Mのペプチドを合成することまたは標的タンパク質を適切に切断することにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ペプチド/タンパク質のモル比は1:1〜10:1で変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ペプチド/タンパク質のモル比は3:1である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(b)および(c)はコンピュータープログラムシミュレーションで置換されてよい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(b)および(c)は、分光光度分析、沈降平衡試験、円二色性、または核磁気共鳴技術により行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により同定されるペプチド阻害剤。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項9に記載のペプチド阻害剤。
【請求項12】
マルチドメインタンパク質の各ドメインに適用される、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−501535(P2009−501535A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521864(P2008−521864)
【出願日】平成18年7月17日(2006.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007018
【国際公開番号】WO2007/009727
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(508020502)ウニベルシタ’デグリ・ストゥディ・ディ・ミラノ (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITA’ DEGLI STUDI DI MILANO
【住所又は居所原語表記】Via Festa del Perdono, 7 − I−20122 Milano, Italy
【Fターム(参考)】