説明

タンパク質架橋試薬セット

【課題】 タンパク質分子間及びタンパク質複合体のトポロジー解析における架橋部位近傍の静電的環境についての情報を入手可能な架橋試薬の提供。
【解決手段】 基本骨格がペプチド鎖で構成されており、官能基1と官能基2を有する架橋試薬1と、官能基1の近傍の電荷のみが、前記架橋試薬1と異なる架橋試薬2と、を有することを特徴とするタンパク質架橋試薬セット、並びに、基本骨格がペプチド鎖で構成されており、官能基1と官能基2を有する架橋試薬1と、官能基1の近傍の電荷のみが、前記架橋試薬1と異なる架橋試薬2と、官能基1の近傍の電荷のみが、前記架橋試薬1と前記架橋試薬2のいずれとも異なる架橋試薬3と、を有することを特徴とするタンパク質架橋試薬セット、及び、該タンパク質架橋試薬セットを用いた、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍の荷電状態の検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋部位近傍の環境に関する情報を得ることができるタンパク質架橋試薬セット、及び該タンパク質架橋試薬セットを用いることを特徴とするタンパク質架橋部位の近傍の荷電状態の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質の機能解明は、生命現象の解明や有効な医薬品の開発等において、重要な課題である。生体においては、主にタンパク質が機能因子として働いているためである。多くの場合、タンパク質の機能は、タンパク質の立体構造やタンパク質間の相互作用に依存している。このため、タンパク質の機能を解明するためには、複数のタンパク質間の相互作用に関する情報や、複数のタンパク質から構成されたタンパク質複合体の構造、物性、機能等に関する情報を入手することが、特に重要である。
【0003】
タンパク質間相互作用やタンパク質複合体解析のための手法として、トポロジー解析が挙げられる。トポロジー解析とは、タンパク質分子間又はタンパク質複合体内で、架橋試薬を用いて架橋反応を行い、得られた架橋産物を解析するものである。解析の目的に応じた、種々の架橋試薬が開示されている。例えば、異種アミノ酸残基の側鎖と選択的に反応させるため、異種の官能基を導入した架橋試薬として、N−(11−マレイミドウンデカノイルオキシ)スクシンイミド等の、アミノ基とチオール基との架橋反応が可能な異反応性二価性架橋試薬がある。該異反応性二価性架橋試薬は、例えば、マレイミド基とN−ヒドロキシスクシンイミド活性化エステル基を分子の両端にもち、タンパク質のアミノ基に対しては活性化エステル基が、チオール基に対してはマレイミド基が、それぞれ選択的に反応する。
【0004】
また、(1)メチレン鎖長の異なるジスクシンイミド系2価性架橋試薬が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。該2価性架橋試薬は、1の架橋試薬内に2の官能基を有しており、該2官能基間のメチレン鎖長が異なる数種の該2価性架橋試薬を用いて架橋処理することにより、タンパク質間の架橋距離やタンパク質複合体の位置関係を明らかにすることができるものである。その他、検出の高感度化を図るため、蛍光原子団を導入した架橋試薬等がある。
【非特許文献1】Enami et al.(1992)Plant and Cell Physiology 33(3)、p291−297
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タンパク質と架橋試薬との架橋反応に限らず、タンパク質と他の物質との結合においては、タンパク質の結合部位近傍の環境、特に、静電的に中性なのか、又は正若しくは負に帯電しているのか、というような静電的環境は、タンパク質間相互作用において非常に重要な因子である。にもかかわらず、上記異反応性二価性架橋試薬や上記(1)の架橋試薬のような、現在トポロジー解析に用いられている架橋試薬は、タンパク質の架橋部位の反応性や、架橋部位同士の距離や位置関係についての情報、すなわち、架橋部位自身についての情報を得ることはできるが、架橋部位の近傍の環境についての情報は得ることができない、という問題があった。
【0006】
本発明は、タンパク質分子間及びタンパク質複合体のトポロジー解析におけるタンパク質架橋部位の近傍の局所環境情報、特に静電的環境についての情報を入手可能な架橋試薬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、基本骨格がペプチド鎖で構成されており、2の官能基を有する架橋試薬であって、該2の官能基のうち、1の官能基の近傍のペプチド鎖を構成するアミノ酸残基の電荷のみが異なる2種類又は3種類の架橋試薬を用いて架橋処理を行い、それぞれの架橋試薬により得られた架橋産物の量を比較検討することにより、タンパク質架橋部位の近傍の荷電状態についての情報を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、基本骨格がペプチド鎖で構成されており、官能基1と官能基2を有する架橋試薬1と、官能基1の近傍の電荷のみが、前記架橋試薬1と異なる架橋試薬2と、を有することを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、基本骨格がペプチド鎖で構成されており、官能基1と官能基2を有する架橋試薬1と、官能基1の近傍の電荷のみが、前記架橋試薬1と異なる架橋試薬2と、官能基1の近傍の電荷のみが、前記架橋試薬1と前記架橋試薬2のいずれとも異なる架橋試薬3と、を有することを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、前記官能基1と前記官能基2が、前記ペプチド鎖の両端にあることを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、前記官能基1と前記官能基2が、同一種類の官能基であることを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、前記官能基が、活性化エステル基であることを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、前記活性化エステル基が、スクシンイミドエステル基であることを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、前記ペプチド鎖が標識されていることを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、前記標識が、蛍光標識であることを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、前記蛍光標識が、NBD(4−ニトロベンゾキサ−1,3−ジアゾール)、DANSL(5−ジメチルアミノナフタレンスルホニル)、フルオレセイン、及びローダミンからなる群より選ばれる1以上の蛍光母核を有する蛍光物質を用いた蛍光標識であることを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、前記架橋試薬1が、下記式(1)で表され、
1−(A2)m−(A3)n−A3a (1)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A3は(a)中性アミノ酸残基、(b)アルギニン残基又はヒスチジン残基、(c)グルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基、からなる群より選ばれる1種のアミノ酸残基であり;A3aは、前記A3のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
前記架橋試薬2が、下記式(2)で表される
1−(A2)m−(A4)n−A4a 式(2)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A4は前記(a)、(b)、(c)からなる群より選ばれ、かつ前記A3とは異なる1種のアミノ酸残基であり;A4aは、前記A4のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
ことを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、前記架橋試薬1が、下記式(1)で表され、
1−(A2)m−(A3)n−A3a (1)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A3は(a)中性アミノ酸残基、(b)アルギニン残基又はヒスチジン残基、(c)グルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基、からなる群より選ばれる1種のアミノ酸残基であり;A3aは、前記A3のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
前記架橋試薬2が、下記式(2)で表され、
1−(A2)m−(A4)n−A4a 式(2)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A4は前記(a)、(b)、(c)からなる群より選ばれ、かつ前記A3とは異なる1種のアミノ酸残基であり;A4aは、前記A4のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
前記架橋試薬3が、下記式(3)で表される
1−(A2)m−(A5)n−A5a 式(3)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A5は前記(a)、(b)、(c)からなる群より選ばれ、かつ前記A3及びA4とは異なる1種のアミノ酸残基であり;A5aは、前記A5のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
ことを特徴とするタンパク質架橋試薬セットを提供するものである。
また、本発明は、前記いずれか記載のタンパク質架橋試薬セットを用いて、タンパク質分子内又は分子間を架橋することにより、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍の荷電状態の検査方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のタンパク質架橋試薬セットを用いることにより、架橋処理により得られた架橋産物の量を比較検討するだけで、タンパク質架橋部位の近傍が、静電的に中性なのか、又は正若しくは負に帯電しているのか、という荷電状態、すなわち静電的環境についての情報を得ることができる。通常の架橋反応と同様に、単にタンパク質と該タンパク質架橋試薬を反応させるだけでよいため、よりネイティブな構造のタンパク質の局所的な環境の情報を得ることができる。
また、本発明のタンパク質架橋部位の近傍の荷電状態の検査方法により、立体構造解析等を要することなく、簡便に、タンパク質架橋部位の近傍の静電的環境についての情報を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において架橋試薬とは、タンパク質を架橋する試薬を意味する。同一種類のタンパク質分子間を架橋する試薬であってもよく、異種類のタンパク質分子間を架橋する試薬であってもよい。また、タンパク質分子内を架橋する試薬であってもよい。
【0011】
本発明のタンパク質架橋試薬セット(以下、架橋試薬セットと略す。)は、基本骨格がペプチド鎖で構成されており、官能基1と官能基2を有する架橋試薬1と、官能基1の近傍の電荷のみが前記架橋試薬1と異なる架橋試薬2と、を有するタンパク質架橋試薬である。つまり、架橋試薬2は、架橋試薬1のペプチド鎖を構成するアミノ酸残基のうち、官能基1が結合しているアミノ酸残基の近傍のアミノ酸残基のみが、架橋試薬1とは電荷が異なるアミノ酸残基である。
【0012】
官能基1が結合しているアミノ酸残基の近傍のアミノ酸残基とは、静電的環境についての情報を得たい架橋部位の範囲に応じて、適宜決定することができるが、官能基1が結合しているアミノ酸残基又は該アミノ酸残基から1〜3アミノ酸残基であることが好ましく、官能基1が結合しているアミノ酸残基又は該アミノ酸残基の隣のアミノ酸残基であることが特に好ましい。架橋部位に強い影響を与えることができるためである。
【0013】
ここで、電荷が異なるとは、同種の電荷であって、電荷の絶対量が異なる場合であってもよいが、電荷の種類が異なることが好ましい。電荷の種類が異なるとは、例えば、架橋試薬1が正電荷である場合には、架橋試薬2は負電荷若しくは中性であることを意味する。また、架橋試薬1が中性である場合には、架橋試薬2は正若しくは負電荷であることを意味する。
【0014】
架橋試薬のペプチド鎖を構成するアミノ酸残基のうち、官能基1が結合しているアミノ酸残基の近傍のアミノ酸残基を、側鎖が正電荷を有するアミノ酸残基とすることで、官能基1の近傍の電荷を正電荷とすることができる。同様に、側鎖が負電荷を有するアミノ酸残基とすることで、官能基1の近傍の電荷を負電荷とすることができ、側鎖が電荷を有さないアミノ酸残基とすることで、官能基1の近傍の電荷を中性とすることができる。側鎖が正電荷を有するアミノ酸残基として、アルギニン残基及びヒスチジン残基が好ましい。側鎖が負電荷を有するアミノ酸残基として、グルタミン酸残基及びアスパラギン酸残基がある。側鎖が電荷を有さないアミノ酸残基は、疎水性アミノ酸残基であってもよく、親水性アミノ酸残基であってもよい。また、適当な電荷を有するアミノ酸残基であれば、非天然型のアミノ酸残基であってもよい。
【0015】
本発明の架橋試薬のペプチド鎖を構成するアミノ酸残基のうち、官能基1が結合しているアミノ酸残基の近傍のアミノ酸残基以外のアミノ酸残基は、いずれのアミノ酸残基であってもよく、非天然型のアミノ酸残基であってもよい。側鎖が電荷を有さないアミノ酸残基であることや、側鎖が比較的小さいアミノ酸残基であることが好ましい。架橋反応において、ペプチド鎖のうち、架橋試薬1と架橋試薬2で共通する部分が及ぼす影響を低く抑えることができるため、官能基1の近傍の電荷の影響をより適正に判断することが可能となるためである。
【0016】
本発明の架橋試薬のペプチド鎖を構成するアミノ酸残基数は、特に限定されるものではなく、架橋反応に用いるタンパク質の大きさや性質等に応じて、適宜決定することができる。3〜7アミノ酸残基から構成されるペプチド鎖であることが好ましい。ペプチド鎖が螺旋構造をとりにくく、ペプチド鎖の長さを、ペプチド鎖を構成するアミノ酸残基数に応じた長さにすることができるためである。その他、アミノ酸残基数を適宜選択することにより、架橋試薬の最大架橋距離を、所望のタンパク質間架橋距離とすることもできる。
【0017】
本発明において用いられる官能基は、タンパク質と結合する性質を有する官能基、すなわち、タンパク質が有するアミノ基、カルボキシル基、チオール基等に対して反応性を有する官能基であれば、特に限定されるものではなく、通常架橋試薬に用いられるいずれの官能基を用いても良い。該官能基として、例えば、活性化エステル基、イソチオシアナート基、チオール基、ジスルフィド基等がある。反応性が良好であるため、活性化エステル基であることが好ましい。該活性化エステル基として、例えば、スクシンイミドエステル基、ニトロフェニルエステル基、ペンタフルオロフェニルエステル基、及びベンゾトリアゾールエステル基等がある。特にスクシンイミドエステル基であることが好ましい。
【0018】
本発明の架橋試薬を構成する官能基1と官能基2は、基本骨格のペプチド鎖のいずれにあってもよいが、ペプチド鎖の両端にあること、すなわち、官能基1と官能基2がペプチド鎖の両端のアミノ酸残基にそれぞれ結合していることが好ましい。タンパク質の架橋効率が良好なためである。
【0019】
本発明の架橋試薬を構成する官能基1と官能基2は、同一種類の官能基であることが好ましい。官能基1と官能基2のタンパク質に対する反応性が同等であることにより、官能基1の近傍の電荷の差異のみが有する架橋効率に与える影響を、より正確に評価することができるためである。官能基1と官能基2を異種の官能基とする場合には、官能基1を、官能基2よりも反応性が高い官能基とすることが好ましい。官能基2の反応性のほうが高い場合には、官能基1の近傍の電荷の差異が架橋反応に与える影響の評価が困難になるおそれがあるためである。
【0020】
本発明の架橋試薬のペプチド鎖は、標識されていることが好ましい。架橋産物の検出が容易となるためである。該標識として、例えば、蛍光標識、放射性同位体による標識、及びビオチン等の低分子化合物による標識等がある。検出感度が高く、安全であることから、蛍光標識であることが好ましい。該蛍光標識に用いる蛍光物質は、架橋反応を阻害しない物質である限り特に限定されず、タンパク質等を標識する場合に通常用いられる蛍光物質を用いることができる。該蛍光物質として、例えば、NBD、DANSL、フルオレセイン、及びローダミン等の蛍光母核を有する蛍光物質がある。NBD型やDANSL型の蛍光母核を有する蛍光物質は、通常、親水性よりも疎水性の環境下で蛍光強度が増大する性質を有している。このため、架橋試薬単体の状態のよりもタンパク質との架橋産物の状態のほうが、蛍光強度が強くなるため、好ましい。また、フルオレセイン類の蛍光母核を有する蛍光物質は、非常に蛍光が明るいこと、及び、汎用されていることから、検出感度をさらに向上させることができるため、好ましい。ローダミン類の蛍光母核を有する蛍光物質は、pH等の環境の影響を受けにくいため、蛍光が安定しており、好ましい。
【0021】
該蛍光物質は、架橋反応を阻害しない限り、該ペプチド鎖を構成するいずれのアミノ酸残基に結合させてもよい。蛍光物質の種類によっては、pHや極性の有無等の環境の影響を受け易いことがあるため、該蛍光物質は、官能基1の近傍であって架橋試薬1と架橋試薬2で電荷が異なる部位からより離れたアミノ酸残基に結合させることが好ましい。架橋試薬1と架橋試薬2で異なる環境が、該蛍光物質の蛍光強度に与える影響を小さくすることができるためである。例えば、官能基1と官能基2がペプチド鎖の両端のアミノ酸残基にそれぞれ結合している場合には、該蛍光物質は、官能基2が結合しているアミノ酸残基に結合していることが好ましい。
【0022】
本発明の架橋試薬は、いずれの方法により合成してもよい。例えば、ペプチド鎖に官能基や蛍光物質等を修飾する方法により合成してもよく、官能基等を予め側鎖に結合させたアミノ酸を用いてペプチド鎖を合成する方法により合成してもよい。ペプチド鎖の合成は、例えば、カップリング剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いて合成することができる。また、官能基等の修飾は、常法により行うことができる。
【0023】
本発明のタンパク質架橋試薬セットを用いて、タンパク質分子内又は分子間を架橋することにより、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍の荷電状態を調べることができる。具体的には、タンパク質と架橋試薬1を用いて得られた架橋産物の量と、タンパク質と架橋試薬2を用いて得られた架橋産物の量を比較検討する。
【0024】
例えば、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍が正に帯電している場合には、官能基1の近傍の電荷が負である架橋試薬1と、官能基1の近傍の電荷が正又は中性である架橋試薬2からなる架橋試薬セットを用いて、該タンパク質を架橋すると、該架橋試薬1を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量は、該架橋試薬2を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量よりも多くなる。これは、該タンパク質架橋部位近傍が正に帯電しているために、官能基1の近傍の電荷が負である架橋試薬1は、該タンパク質架橋部位近傍に静電的な相互作用により引き寄せられるため、該架橋試薬1による該タンパク質の架橋反応が、該架橋試薬2による該タンパク質の架橋反応よりも促進されるためであると推察される。同様に、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍が負に帯電している場合には、官能基1の近傍の電荷が正である架橋試薬1と、官能基1の近傍の電荷が負又は中性である架橋試薬2からなる架橋試薬セットを用いて、該タンパク質を架橋すると、該架橋試薬1を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量は、該架橋試薬2を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量よりも多くなる。
【0025】
同様に、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍の電荷が中性である場合には、官能基1の近傍の電荷が中性である架橋試薬1と、官能基1の近傍の電荷が正又は負である架橋試薬2からなる架橋試薬セットを用いて、該タンパク質を架橋すると、該架橋試薬1を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量は、該架橋試薬2を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量とほぼ同量となる。
【0026】
その他、架橋試薬1と架橋試薬2の、官能基1の近傍の電荷の絶対量が異なる場合には、電荷が同種である場合であっても、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍の荷電状態を調べることができる。例えば、架橋試薬1と架橋試薬2の官能基1の近傍の電荷がいずれも正であり、かつ、架橋試薬1の該電荷の絶対量が、架橋試薬2の該電荷の絶対量の2倍である架橋試薬セットを用いて、タンパク質を架橋する場合に、該タンパク質架橋部位の近傍が負に帯電していると、該架橋試薬1を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量は、該架橋試薬2を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量よりも多くなる。また、該タンパク質架橋部位の近傍が正に帯電していると、該架橋試薬1を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量は、該架橋試薬2を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量よりも少なくなる。該タンパク質架橋部位の近傍の電荷が中性である場合には、該架橋試薬1を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量と、該架橋試薬2を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量は、ほぼ同量となる。
【0027】
官能基1の近傍の電荷が互いに異なる3種類の架橋試薬からなる架橋試薬セットを用いて、タンパク質分子内又は分子間を架橋することにより官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍の荷電状態を、より正確に調べることができる。
【0028】
例えば、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍が正に帯電している場合には、官能基1の近傍の電荷が負である架橋試薬1と、官能基1の近傍の電荷が正である架橋試薬2と、官能基1の近傍の電荷が中性である架橋試薬3からなる架橋試薬セットを用いて、該タンパク質を架橋すると、該架橋試薬1を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量が最も多く、該架橋試薬2を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量が最も少なくなる。
【0029】
また、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍の電荷が中性である場合には、官能基1の近傍の電荷が負である架橋試薬1と、官能基1の近傍の電荷が正である架橋試薬2と、官能基1の近傍の電荷が中性である架橋試薬3からなる架橋試薬セットを用いて、該タンパク質を架橋すると、該架橋試薬3を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量は、該架橋試薬1や該架橋試薬2を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量よりも多くなる。一方、該架橋試薬1を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量と、該架橋試薬2を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量は、ほぼ同量となる。
【0030】
その他、例えば、官能基1の近傍の電荷が正である架橋試薬1と架橋試薬2と、官能基1の近傍の電荷が負である架橋試薬3とからなり、かつ、架橋試薬1の該電荷の絶対量が、架橋試薬2の該電荷の絶対量の2倍である架橋試薬セットを用いて、タンパク質を架橋する場合に、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍が負に帯電していると、該架橋試薬1を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量が最も多く、該架橋試薬3を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量が最も少なくなる。一方、該タンパク質架橋部位の近傍の電荷が中性である場合には、いずれの架橋試薬を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量も、ほぼ同量となる。
【0031】
本発明の架橋試薬として、例えば、架橋試薬1が、下記式(1)で表され、
1−(A2)m−(A3)n−A3a (1)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A3は(a)中性アミノ酸残基、(b)アルギニン残基又はヒスチジン残基、(c)グルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基、からなる群より選ばれる1種のアミノ酸残基であり;A3aは、前記A3のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
架橋試薬2が、下記式(2)で表される
1−(A2)m−(A4)n−A4a 式(2)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A4は前記(a)、(b)、(c)からなる群より選ばれ、かつ前記A3とは異なる1種のアミノ酸残基であり;A4aは、前記A4のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
架橋試薬セットがある。
【0032】
その他にも、例えば、上記式(1)で表される架橋試薬1と上記(2)で表される架橋試薬2に加えて、さらに、下記式(3)で表される架橋試薬3、
1−(A2)m−(A5)n−A5a 式(3)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A5は前記(a)、(b)、(c)からなる群より選ばれ、かつ前記A3及びA4とは異なる1種のアミノ酸残基であり;A5aは、前記A5のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
からなる架橋試薬セットがある。
【0033】
なお、架橋試薬とタンパク質を架橋させる方法や、得られた架橋産物の解析は、常法により行うことができる。例えば、タンパク質溶液に架橋試薬を添加することにより、架橋試薬とタンパク質を架橋させることができる。また、吸光度分析や比色分析により、架橋産物を解析することができる。蛍光標識された架橋試薬からなる架橋試薬セットを用いる場合には、蛍光分析により、架橋産物を解析することができる。その他、解析を行う前に、架橋産物を分離して検出してもよい。該分離方法として、電気泳動法やカラムクロマトグラフィ法等がある。
【0034】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
3アミノ酸残基からなるペプチド鎖の、C末端に官能基1を、N末端に官能基2とNBDを有する、官能基1の近傍の電荷の種類が異なる3種類の架橋試薬からなる架橋試薬セットを、一般的な液相ペプチド合成プロセスにしたがって合成した。官能基としてスクシンイミドエステル基を用いた。
【0036】
まず、官能基1の近傍の電荷が負であり、下記式(4)で表される
NBD−Asp(OSu)−Ala−Glu−OSu 式(4)
架橋試薬1を、「ペプチド合成」(著者:泉屋信夫ら、丸善(株) 昭和50年発行)に記載の方法に従って合成した。合成の概要を図1に示した。
【0037】
得られた化合物のIRスペクトル分析を行って、カルボキシル基の1700cm-1付近の吸収ピークと、スクシンイミドエステルの1770cm-1付近の吸収ピークを確認した。また、蛍光スペクトル分析を行い、NBDのスペクトルの特徴、すなわち、極大蛍光波長が540nm(励起波長488nm)であることを確認した。これらの分析結果から、該化合物が、カルボキシル基とスクシンイミドエステルとを有するNH−NBD誘導体であり、目的の架橋試薬1であることを確認した。
【0038】
Glu(OBut)−OBzlに代えて、Arg(Boc)−OBzlを用いた以外は、全て架橋試薬1の合成と同様にして、官能基1の近傍の電荷が正であり、下記式(5)で表される
NBD−Asp(OSu)−Ala−Arg−OSu 式(5)
架橋試薬2を合成した。
【0039】
さらに、Glu(OBut)−OBzlに代えて、Gln(Boc)−OBzlを用いた以外は、全て架橋試薬1の合成と同様にして、官能基1の近傍の電荷が中性であり、下記式(6)で表される
NBD−Asp(OSu)−Ala−Gln−OSu 式(6)
架橋試薬3を合成した。
【実施例2】
【0040】
実施例1で合成した架橋試薬セットを用いて、ニワトリ卵白リゾチーム(分子量14.3kD)を架橋し、リゾチームの架橋部位近傍の荷電状態を検査した。
まず、実施例1で合成した3種類の架橋試薬を、エチルアルコールを用いて、それぞれ5×10-4Mの架橋試薬溶液を調製した。さらに、0.1Mリン酸−ホウ酸緩衝液(pH7.5)を用いて、5×10-4Mのリゾチーム溶液を調製した。
次に、3本の試験管に1mlずつ分注した該リゾチーム溶液に、0.2mlの該架橋試薬溶液をそれぞれ混合し、30℃で8時間放置することにより、3種類の架橋反応液を得た。
【0041】
得られた架橋反応液を、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分析し、市販の蛍光イメージアナライザーを用いて、励起波長488nmでシグナルを検出したところ、約30kDaの位置に、架橋前のリゾチーム溶液では検出されなかった新たな蛍光性タンパク質のバンドを検出した。該蛍光性タンパク質の大きさは、リゾチームのおよそ2倍であり、該架橋試薬でリゾチーム分子同士が架橋された架橋産物であった。なお、該架橋試薬1〜3の最大架橋距離は、骨格ペプチドのアミノ酸残基数から約23Åと算出された。
【0042】
得られた架橋産物量を、バンドの蛍光強度を用いて比較すると、該架橋試薬1を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量が最も多く、該架橋試薬2を用いて得られた該タンパク質の架橋産物量が最も少なかった。この結果から、官能基1が架橋するリゾチーム架橋部位の近傍の局所環境では、負の電荷を有する架橋試薬との反応を促進する相互作用が働いていることが示唆された。リゾチームは、等電点が11.3であり、塩基性タンパク質であることからも、該可能性は支持される。すなわち、リゾチーム分子間架橋反応においては、少なくとも、一方のリゾチーム架橋部位の近傍は正の電荷を有しており、このために、該リゾチーム架橋部位の近傍に架橋試薬の負電荷が吸引・濃縮され、架橋試薬と該リゾチーム架橋部位との反応が促進されたと推察される。
以上、実施例2の結果から、本発明の架橋試薬セットを用いることにより、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍の荷電状態を高感度で検査することができること、及び、タンパク質間架橋距離に関する情報も入手できることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の架橋試薬セットにより、荷電状態等の、タンパク質架橋部位の近傍の局所環境に関する情報を簡便かつ高感度で入手できることから、タンパク質のトポロジー解析の分野で利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1において、架橋試薬1の合成経路を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本骨格がペプチド鎖で構成されており、官能基1と官能基2を有する架橋試薬1と、
官能基1の近傍の電荷のみが、前記架橋試薬1と異なる架橋試薬2と、
を有することを特徴とするタンパク質架橋試薬セット。
【請求項2】
基本骨格がペプチド鎖で構成されており、官能基1と官能基2を有する架橋試薬1と、
官能基1の近傍の電荷のみが、前記架橋試薬1と異なる架橋試薬2と、
官能基1の近傍の電荷のみが、前記架橋試薬1と前記架橋試薬2のいずれとも異なる架橋試薬3と、
を有することを特徴とするタンパク質架橋試薬セット。
【請求項3】
前記官能基1と前記官能基2が、前記ペプチド鎖の両端にあることを特徴とする、請求項1又は2記載のタンパク質架橋試薬セット。
【請求項4】
前記官能基1と前記官能基2が、同一種類の官能基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか記載のタンパク質架橋試薬セット。
【請求項5】
前記官能基が、活性化エステル基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか記載のタンパク質架橋試薬セット。
【請求項6】
前記活性化エステル基が、スクシンイミドエステル基であることを特徴とする、請求項5記載のタンパク質架橋試薬セット。
【請求項7】
前記ペプチド鎖が標識されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか記載のタンパク質架橋試薬セット。
【請求項8】
前記標識が、蛍光標識であることを特徴とする、請求項7記載のタンパク質架橋試薬セット。
【請求項9】
前記蛍光標識が、NBD(4−ニトロベンゾキサ−1,3−ジアゾール)、DANSL(5−ジメチルアミノナフタレンスルホニル)、フルオレセイン、及びローダミンからなる群より選ばれる1以上の蛍光母核を有する蛍光物質を用いた蛍光標識であることを特徴とする、請求項8記載のタンパク質架橋試薬セット。
【請求項10】
前記架橋試薬1が、下記式(1)で表され、
1−(A2)m−(A3)n−A3a (1)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A3は(a)中性アミノ酸残基、(b)アルギニン残基又はヒスチジン残基、(c)グルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基、からなる群より選ばれる1種のアミノ酸残基であり;A3aは、前記A3のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
前記架橋試薬2が、下記式(2)で表される
1−(A2)m−(A4)n−A4a 式(2)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A4は前記(a)、(b)、(c)からなる群より選ばれ、かつ前記A3とは異なる1種のアミノ酸残基であり;A4aは、前記A4のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のタンパク質架橋試薬セット。
【請求項11】
前記架橋試薬1が、下記式(1)で表され、
1−(A2)m−(A3)n−A3a (1)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A3は(a)中性アミノ酸残基、(b)アルギニン残基又はヒスチジン残基、(c)グルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基、からなる群より選ばれる1種のアミノ酸残基であり;A3aは、前記A3のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
前記架橋試薬2が、下記式(2)で表され、
1−(A2)m−(A4)n−A4a 式(2)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A4は前記(a)、(b)、(c)からなる群より選ばれ、かつ前記A3とは異なる1種のアミノ酸残基であり;A4aは、前記A4のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
前記架橋試薬3が、下記式(3)で表される
1−(A2)m−(A5)n−A5a 式(3)
(但し、A1はアミノ基に蛍光物質が導入されかつ側鎖のカルボキシル基が活性エステル化されたグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基であり;A2は中性アミノ酸残基であり;A5は前記(a)、(b)、(c)からなる群より選ばれ、かつ前記A3及びA4とは異なる1種のアミノ酸残基であり;A5aは、前記A5のα−カルボキシル基が活性エステル化されたアミノ酸残基であり;m及びnは、0〜3の整数であり、かつm≧nである。)
ことを特徴とする請求項2〜9のいずれか記載のタンパク質架橋試薬セット。
【請求項12】
前記1〜11のいずれか記載のタンパク質架橋試薬セットを用いて、タンパク質分子内又は分子間を架橋することにより、官能基1が架橋するタンパク質架橋部位の近傍の荷電状態の検査方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−208079(P2008−208079A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47139(P2007−47139)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】