説明

タンパク質間相互作用の検出方法

【課題】タンパク質間相互作用を検出する新しい方法を提供すること。
【解決手段】特定な配列からなるアミノ酸配列のTlucC(mut)ドメインを、第1のタンパク質に融合させる工程と、特定な配列からなるアミノ酸配列のGlucNドメイン、特定な配列からなるアミノ酸配列のFlucNドメイン、または、特定な配列からなるアミノ酸配列のTlucNドメインを第2のタンパク質に融合させる工程と、融合した第1のタンパク質と融合した第2のタンパク質とを相互作用させる工程と、融合した第1のタンパク質と融合した第2のタンパク質との複合体から放出される光を検出する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質間相互作用を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、スプリットルシフェラーゼのフラグメントの相補性を利用して、目的とする2つのタンパク質の相互作用を検出する系が開発された。タンパク質間相互作用を検出するため、相補性を利用する方法としては、一般に、スプリットしたリポータータンパク質の各フラグメントを、目的とするタンパク質と融合するが、その際、そのどちらのフラグメントも自らは有意な活性を保持しないようにしておく。目的とするタンパク質同士が相互作用すると、2つの不活性なリポータータンパク質フラグメントは、活性を復活するように互いに相補し、そのタンパク質間相互作用を間接的に追跡するための読み出しシグナルを出す。
【0003】
ジヒドロ葉酸還元酵素、β‐ラクタマーゼ緑色蛍光タンパク質をはじめとする様々なレポータータンパク質に関して、このような相補性を利用する方法が用いられてきた。また、ウミシイタケルシフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、赤色発光コメツキムシルシフェラーゼ、緑色発光コメツキムシルシフェラーゼなど、数種類のルシフェラーゼも用いられてきた。このようなルシフェラーゼのスプリットフラグメントはそれぞれに特異性を持ち、同じ種のルシフェラーゼ由来の別のフラグメントに隣接して配置されたときのみ、強い発光能を回復することができる。
【非特許文献1】Kim, S. B., Ozawa, T., Watanabe, S., Umezawa, Y., 2004.Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 101, 11542-11547
【発明の開示】
【0004】
本発明者は、同じルシフェリン基質を使用して、赤色発光コメツキムシルシフェラーゼ(TlucN; 配列番号4)のN末端フラグメントのみならず、野生型ホタルルシフェラーゼ(FlucN; 配列番号3)および緑色発光コメツキムシルシフェラーゼ(GlucN; 配列番号2)などの別の種のルシフェラーゼ由来のN末端フラグメントを相補することができる赤色発光コメツキムシルシフェラーゼ(TlucC(mut); 配列番号1)の変異体C末端フラグメントを開発した。
【0005】
本発明の1つの実施形態はTlucC(mut)ドメインを含むことを特徴とするタンパク質である。TlucC(mut)ドメインはアミノ酸配列番号1を有する。
【0006】
別の実施形態は、TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質と、アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインを有するタンパク質を含む複合体である。これらのタンパク質は相互に結合能を有する。
【0007】
別の実施形態は、GlucNドメイン、FlucNドメイン、またはTlucNドメインを有するタンパク質を検出する方法である。この方法は、該タンパク質を、TlucC(mut)ドメインを含むタンパク質と相互作用させ、複合体を形成させることを特徴とする。この複合体において、前記ドメインが互いに相補して、特異的な光を放出することができるようになる。この放出される光を検出することにより、GlucNドメイン、FlucNドメイン、またはTlucNドメインを含むタンパク質を検出することができる。
【0008】
別の実施形態はTlucC(mut)ドメインを含むタンパク質を検出する方法である。この方法は、該タンパク質を、GlucNドメイン、FlucNドメイン、またはTlucNドメインを含むタンパク質と相互作用させて複合体を形成させることを特徴とする。この複合体において、前記ドメインは互いに相補し、特異的な光を放出することができるようになる。この放出される光を検出することにより、TlucC(mut)ドメインを含むタンパク質を検出することができる。
【0009】
別の実施形態は、TlucC(mut)ドメインを含む第1のタンパク質と、アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインを有する第2のタンパクとの複合体を検出する方法である。この方法はこの複合体から放出される光を検出することを特徴とする。
【0010】
別の実施形態は、TlucC(mut)ドメインを含む第1のタンパク質と、GlucNドメイン、FlucNドメイン、またはTlucNを含む第2のタンパク質との結合を検出する方法である。この方法は、これらのタンパク質を相互作用させ、複合体を形成させる工程と、この複合体から放出される光を検出する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
また別の実施形態は、相互に結合能を有する第1のタンパク質と第2のタンパク質との結合を検出する方法である。この方法は、TlucC(mut)ドメインを第1のタンパク質に融合させる工程と、GlucNドメイン、FlucNドメイン、またはTlucNを第2のタンパク質と融合させる工程と、融合した第1のタンパク質と融合した第2のタンパク質とを相互作用させ、複合体を形成させる工程と、この複合体から放出される光を検出することを特徴とする。
【0012】
別の実施形態は、第2のタンパク質と第3のタンパク質から、第1のタンパク質の結合タンパク質を選択する方法である。 第1のタンパク質はTlucC(mut)ドメインに融合し、第2のタンパク質と、第3のタンパク質のそれぞれが、アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインからなる群から選ばれる異なるドメインに融合する。この方法は、第1のタンパク質を第2のタンパク質および第3のタンパク質と相互作用させ、放出される光を検出して、前記光を前記タンパク質のどの複合体が放出しているかを判断することを特徴とする。
【0013】
別の実施形態は、第2のタンパク質と第3のタンパク質から、第1のタンパク質の結合タンパク質を選択する方法である。この方法は、TlucC(mut)ドメインを第1のタンパク質に融合させる工程と、アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインからなる群から選ばれる2つのドメインのそれぞれを、第2のタンパク質および第3のタンパク質に融合させる工程をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
なお、TlucC(mut)ドメインを含有するタンパク質が、アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインを含有するタンパク質と複合体を形成することができれば、TlucC(mut)ドメインは、配列番号1において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、若しくは付加されたアミノ酸配列を有していても構わない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、赤色発光コメツキムシルシフェラーゼのC末端変異体(TlucC(mut))を用いることによる、タンパク質間相互作用を検出するための、改変された相補性利用方法を提供する。
【0016】
赤色発光コメツキムシルシフェラーゼの野生型C末端フラグメント(wtTlucC)は、赤色発光コメツキムシルシフェラーゼ(TlucN)由来のN末端フラグメントのみと相補することができ、その他の種由来のN末端フラグメントとは相補しない。しかし、実施例で示すように、TlucC(mut)は、同じルシフェリン基質を用いて、赤色発光コメツキムシルシフェラーゼ(TlucN)のN末端フラグメントだけでなく、野生型ホタルルシフェラーゼ(FlucN)および緑色発光コメツキムシルシフェラーゼ(GlucN)など、他の種類由来のN末端フラグメントにも相補することができる。これらの3つのドメイン、GlucNドメイン、FlucNドメインおよびTlucNドメインは、本明細書中では、抗TlucC(mut)ドメインと呼ぶこととする。
【0017】
また、実施例4に示すように、TlucC(mut)ドメインと抗TlucC(mut)ドメインとの組み合わせにより、それらを有するタンパク質同士の複合体は、特異的なパターンの波長の光、即ち、TlucNとの組み合わせの場合は約600nm、GlucNとの組み合わせの場合は約530nm、FlucNとの組み合わせの場合は約560nmにピークを有する光を放出する。従って、検出する光の波長によって、どの複合体からの放出光であるかが識別できる。例えば、TlucNとの組み合わせの場合は600nm、GlucNとの組み合わせの場合は530nm、FlucNとの組み合わせの場合は560nmの波長の光を検出することにより、複合体を特定することができる。さらに、この特性を利用すれば、同時に複数の複合体が発光していても、どの複合体が発光しているか、識別可能になる。
【0018】
複合体から放出される光は、細胞破砕液、細胞抽出液、あるいは培養細胞における発光だけでなく、実施例5に示すように、生体における発光でも検出可能であるが、皮内、皮下など、体表近くの位置にある細胞での発光は、より検出が容易である。
【0019】
TlucC(mut)のこの特性を利用すると、例えば、次のような応用が可能である。
(1)TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質を用いて、抗TlucC(mut)ドメインを有し、そのタンパク質に結合するタンパク質を検出すること。
(2)抗TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質を用いて、TlucC(mut)ドメインを有し、そのタンパク質に結合するタンパク質を検出すること。
(3)TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質と抗TlucC(mut)ドメインを有し、そのタンパク質に結合するタンパク質との複合体を検出すること。
(4)TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質の、抗TlucC(mut)ドメインを有する結合タンパク質に対する結合を検出すること。
(5)それぞれに異なる抗TlucC(mut)ドメインを有する第2のタンパク質と第3のタンパク質から、TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質の結合タンパク質を選択すること。
【0020】
実施形態(1)では、抗TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質が存在するかどうかは、そのタンパク質を、TlucC(mut)ドメインを有し、かつ抗TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質に結合するタンパク質と相互作用させ、これらのタンパク質が結合して両者のドメインが相互作用するように近接する時放出される光を検出することにより、調べることができる。
【0021】
実施形態(2)では、TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質が存在するかどうかは、そのタンパク質を、抗TlucC(mut)ドメインを有し、かつTlucC(mut)ドメインを有するタンパク質に結合するタンパク質と相互作用させ、これらのタンパク質が結合して両者のドメインが相互作用するように近接する時放出される光を検出することにより、調べることができる。
【0022】
例えば、細胞内で、抗TlucC(mut)ドメインが融合した目的とするタンパク質をコードする遺伝子が発現している場合、その発現は、TlucC(mut)ドメインが融合し、その目的とするタンパク質と結合することができるタンパク質をコードした別の遺伝子を、その細胞の中で共に発現させることにより、検出することができる。すなわち、その細胞の中で、これら2つの融合タンパク質がどちらも結合し、各ドメインが相互作用するほど近接すると、ドメインは相互に相補し、そのドメインの組み合わせに特異的な光を放出する。この放出光を検出することによって、目的とするタンパク質の存在を検出することが可能となる。
【0023】
このような系の応用例としては、タンパク質の発現やプロモータの特異性を調べるために利用することなどが挙げられる。
【0024】
実施形態(3)では、TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質と抗TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質との複合体は特異的な波長の光を放出することから、アッセイ系の中で放出される光を調べることにより、その複合体の存在を検出することができる。
【0025】
実施形態(4)では、TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質が抗TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質と結合する場合、これらのタンパク質は複合体を形成するため、この得られた複合体を実施形態(3)で記載したように調べることによって、その結合を検出することができる。
【0026】
実施形態(5)では、TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質の結合タンパク質を、それぞれ異なる抗TlucC(mut)ドメインを有する2つまたは3つのタンパク質から選択することができる。すなわち、抗TlucC(mut)ドメインの種類により、異なる波長の光が放出されるため、放出される光とその波長を検出することにより、どの複合体が形成されたかがわかり、さらにTlucC(mut)ドメインを有するタンパク質に対する結合タンパク質を同定し、選択することができる。
【0027】
この実施形態は広範囲に応用することができる。例えば、TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質の特性が、細胞内における状態によって変わり、この特性によって、タンパク質の結合パートナーが変わる場合、この細胞の状態は、TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質と、抗TlucC(mut)ドメインを有するその他のタンパク質とを、細胞に導入してTlucC(mut)ドメインを有するタンパク質の結合パートナーを調べることにより、検知することができる。複合体が発光などによってリアルタイムで検出される場合、タンパク質の特性の変化もリアルタイムで検出することができる。
【0028】
以上のすべての実施形態において、融合タンパク質を作製する方法は限定されないが、化学合成または分子生物学的合成による作製が好ましく、分子生物学的合成が最も好ましい。例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子を発現ベクターに挿入し、この発現ベクターを細胞に導入すると、この融合タンパク質を細胞中で発現させることができる。
【0029】
融合タンパク質の複合体から放出された光を検出する方法は、特に限定されず、基質と放出される光に対して最も好適な方法を用いることができる。
【実施例】
【0030】
<実施例1> TlucC(mut)による、TlucN、GlucNまたはFlucNの相補
ラパマイシンの存在下で結合能をもつ相互作用タンパク質であるFKBPおよびFRBを利用し、TlucN、GlucN、またはFlucNが、TlucC(mut)を相補することができることを、確認した。
【0031】
pTlucN−FKBP、pGlucN−FKBP、pFlucN−FKBP、およびpFRB−TlucC(mut)を構築するため、TlucN、GlucN、FlucN、FKBP、FRB、およびTlucC(mut)のcDNAを標準的なPCRにより合成して、コザック配列および制限酵素部位を付加した。これらのcDNAを生成するために用いたプライマーの配列は次の通りである。
(TlucN-1) 5’AAGCTTGCCATGGTAAAGCGTGAGAAAAATGTC3’(配列番号5)
(TlucN-2) 5’GGATCCTCCGCCTCCTCCGCCGTCGTCGATGGCCTC3’(配列番号6)
(GlucN-1) 5’AAGCTTGCCATGGAGAGAGAGAAGAAC3’(配列番号7)
(GlucN-2) 5’GGATCCTCCGCCTCCTCCTACCATAGGTCCCCAGAT3’(配列番号8)
(FlucN-1) 5’AAGCTTGCCATGGAAGACGCCAAAAACATAAAGAAAGGC3’(配列番号9)
(FlucN-2) 5’GGATCCTCCGCCTCCTCCATCCTTGTCAATCAAGGCGTTGGT3’(配列番号10)
(FKBP-1) 5’GGATCCATGGGCGTGCAGGTGGAG3’(配列番号11)
(FKBP-2) 5’CTCGAGCGTTCCAGTTTTAGAAGCTC3’(配列番号12)
(FRB-1) 5’GGATCCATGGTAGCCATCCTCTGG3’(配列番号13)
(FRB-2) 5’CTCGAGCGTGATATCCGTCTGAACAC3’(配列番号14)
(TlucC-1) 5’CTCGAGTGGAGGCGGCGGAAGCAAGGGTTATGTCAAT3’ (配列番号15)
(TlucC-2) 5’CCGCGGGCCCACACCGCCGGCCTTCACCAA3’(配列番号16)
(TlucC(mut)-1) 5’CTCGAGTGGAGGCGGCGGAAGCAAGGGTTATGTCAAT3’(配列番号17)
(TlucC(mut)-2) 5’CCGCGGGCCCACACCGCCGGCCTTCACCAA3'(配列番号18)
【0032】
これらのcDNAの配列を確認後、TlucN、GlucN、およびFlucNのcDNAをそれぞれ、HindIIIおよびBamH1で切断し、同じ制限酵素で切断したpcDNA4/V5−Hisベクターと結合させ、それぞれ、pTlucN、pGlucN、およびpFlucNベクターを構築した。その後、FKBPのcDNAをBamH1とXho1で切断し、同じ制限酵素で切断したpTlucNベクター、pGlucNベクター、またはpFlucNベクターと結合させ、pTlucN−FKBP、pGlucN−FKBP、およびpFlucN−FKBのコンストラクトを完成させた。
【0033】
同様に、TlucCおよびTlucC(mut)のcDNAをXho1およびApa1で切断し、同じ制限酵素で切断したpcDNA4/V5−Hisベクターと結合させ、それぞれpTlucCおよびpTlucC(mut)ベクターのコンストラクトを完成させた。その後、 FRBのcDNAをBamH1とXho1で切断し、同じ制限酵素で切断したpTlucNおよびpFRB−TlucC(mut)ベクターと結合させ、それぞれ、pFRB−TlucCおよびpFRB−TlucC(mut)のコンストラクトを完成させた。
【0034】
トランスフェクションの効率を標準化するために、ウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)を発現するpTK−Rluc(プロメガ社)を内部コントロールとして用いた。
【0035】
COS−7細胞を12穴プレートに播種し、LipofectAMINE 2000(ギブコBRL社)を用いて、<pTlucN−FKBP、pFRB−TlucC(mut)、およびpTK−Rluc>と、<pGlucN−FKBP、pFRB−TlucC(mut)、およびpTK−Rluc>と、<pFlucN−FKBP、pFRB−TlucC(mut)、およびpTK−Rluc>とを、それぞれトランスフェクトして、一過的に発現させた。各々の対照実験として、pFRB−TlucC(mut)の代わりにpFRB−TlucCを用いた。トランスフェクション後12〜16時間目に、細胞をラパマイシン(最終濃度:100nM)で30分間刺激し、その後PBSで1回洗浄した。ネガティブコントロールとして用いた細胞は、ラパマイシンによる刺激は行わなかったが、それ以外のすべての実験手順を行った。
【0036】
Dual−Luciferase assay kit (プロメガ社)の基質溶液80μLをプレートの各ウェルに加えた。37℃で3分間インキュベート後、細胞溶解液からの発光強度をルミノメーター(Lumat LB9507)で30秒間記録した。測定波長は、TlucNでは600nm、GlucNでは530nm、FlucNでは560nmとした(この波長については、実施例4の結果を参照)。コメツキムシ・ルシフェラーゼまたはホタル・ルシフェラーゼの活性(L)を測定した後に、ウミシイタケルシフェラーゼに特異的な基質を加えて3分間インキュベートし、その活性(L)を30秒間測定した。TlucN、GlucNまたはFlucNと、TlucC(mut)が相補することにより得られたルシフェラーゼ活性値を、ウミシイタケルシフェラーゼにより得られた値で正規化し、「RLU率(Dual)」(すなわち、(L)/(L))と名づけた。
【0037】
図2に示すように、pTlucN−FKBPおよびpFRB−TlucC(mut)を用いると、ラパマイシン存在下で得られたシグナルは、ラパマイシンを使用しないコントロールの13倍であった。pGlucN−FKBPおよびpFRB−TlucC(mut)を用いると、ラパマイシン存在下で得られたシグナルは、ラパマイシンを使用しないコントロールの約20倍であった。また、pFlucN−FKBPおよびpFRB−TlucC(mut)を用いると、ラパマイシン存在下で得られたシグナルは、ラパマイシンを使用しないコントロールの約3800倍であった。
このように、TlucC(wt)は、TlucN以外の、GlucNやFlucNとほとんど結合しないにもかかわらず、本実施例によって、TlucC(mut)は、タンパク質間相互作用を評価するための、TlucN、GlucN、またはFlucNに対する優れた相補パートナーとなり得ることが示された。
【0038】
<実施例2> BADと14−3−3との相互作用
本実施例では、BADタンパク質またはBAD誘導体と14−3−3タンパク質との相互作用を、GlucNとTlucC(mut)の相補ペア(図3)を用いて調べた。
【0039】
pBAD−TlucC(mut)およびpGlucN−14−3−3を構築するため、BADおよび14−3−3のcDNAを標準的なPCRにより合成して、コザック配列および図3に示した制限酵素部位を付加した。
【0040】
(BAD-1) 5’GGATCCGCCACCATGGGAACCCAAAG 3’(配列番号19)
(BAD-2) 5’GAATCCCCCTGGGAGGGGGTGGAGCCTC 3’(配列番号20)
(14-3-3-1) 5’GGATCCGCCACCATGGATAAAAATGAG 3’(配列番号21)
(14-3-3-2) 5’GAATTCCCATTTTCCCCTCCTTCTCCTGC 3’(配列番号22)
【0041】
これらのcDNAの配列を確認後、BADcDNAをHindIIIおよびBamH1で切断し、同じ制限酵素で切断したpTlucC(mut)ベクターと結合させ、BAD−TlucC(mut)コンストラクトを完成させた。同様に、14−3−3cDNAをBamH1およびEcoR1によって切断し、同じ制限酵素で切断したpGlucNと結合させて、pGlucN−14−3−3コンストラクトを完成させた。
【0042】
COS−7細胞を12穴プレートに播種し、実施例1と同様に、p14−3−3−GlucN、pBAD−TlucC(mut)、またはpBCL−XL−GlucNをトランスフェクトし、一過的に発現させた。トランスフェクション後16〜24時間目に、サンプルバッファー(125 nM Tris pH6.8, 10% グリセロール, 4% SDS, 0.006% ブロモフェノールブルー, 1.8% β‐メルカプトエタノール)で細胞を溶解し、抗V5抗体[5000倍希釈1%スキムミルク/TBST(50 mM Tris−HCl pH 8.0, 150 mM NaCl, 0.05% Tween 20)]およびアルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG抗体(4000倍希釈1%スキムミルク/TBST)を用いて、溶解液に対しウエスタンブロットを行った。タンパク質の発現は、ECL(商標)キット(アマシャム・バイオサイエンシーズ、英国)(図4)を使用して、イメージ・アナライザー(LAS−1000plus、富士フイルム社、東京、日本)により解析した。その結果、これらのコンストラクトからの発現が確認された。
【0043】
次に、リン酸化部位S112、S136、またはS155のセリンをアラニンに変異させた、BAD(S112A)、BAD(S136A)、BAD(S155A)のcDNAをもつコンストラクトを作製した(図3)。
【0044】
BAD(S112A)、BAD(S136A)、BAD(S155A)、およびBAD(StrippleA)のcDNAを、標準的なPCRにより合成し、コザック配列および制限酵素部位を付加した。これらのcDNAの配列を確認後、BAD(S112A)、BAD(S136A)、BAD(S155A)、およびBAD(StrippleA)をHindIIIおよびEcoR1で切断し、同じ制限酵素で切断したpTlucC(mut)ベクターに結合させ、それぞれpBAD(S112A)−TlucC(mut)、pBAD(S136A)−TlucC(mut)、pBAD(S155A)−TlucC(mut), およびpBAD(StrippleA)−TlucC(mut)コンストラクトを完成させた。
【0045】
BAD(S112A)、BAD(S136A)、およびBAD(S155A)を合成するためにPCRで使用したオリゴヌクレオチドペアの配列は、次の通りである。
(BAD(S112A)-1) 5' GAGACTCGGAGTCGCCACAGTGCGTACCCAGCGGGGACCGAG 3'(配列番号23)
(BAD(S112A)-2) 5' CTCGGTCCCCGCTGGGTACGCACTGTGGCGACTCCGAGTCTC 3'(配列番号24)
(BAD(S136A)-1) 5' CGAGGACGCTCGCGTGCGGCTCCCCCCAATCTCTGGGCAGCG 3'(配列番号25)
(BAD(S136A)-2) 5' CGCTGCCCAGAGATTGGGGGGAGCCGCACGCGAGCGTCCTCG 3'(配列番号26)
(BAD(S155A)-1) 5' GAGCTCCGAAGGATGGCCGATGAGTTTGAGGGTTCCTTC 3'(配列番号27)
(BAD(S155A)-2) 5' GAAGGAACCCTCAAACTCATCGGCCATCCTTCGGAGCTC 3'(配列番号28)
【0046】
発現ベクター、p14−3−3−TlucN、およびpBAD−TlucC(mut)、pBAD(S112A)−TlucC、pBAD(S136A)(mut)−TlucC(mut)、pBAD(S155A)−TlucC(mut)、またはpBAD(StrippleA)−TlucC(mut)のいずれか1つを、上記の通りCOS−7細胞に共導入した。トランスフェクション後12〜16時間目に、細胞を溶解し、発光をルミノメーターで測定した。結果を図5に示す。
【0047】
p14−3−3−GlucNとpBAD−TlucC(mut)との野生型ペアを用いた場合、非常に強い発光強度が観察された。このことは、14−3−3タンパク質とBADタンパク質とが内因的に強く相互作用しているという事実を反映していた。しかし、14−3−3と、BAD(S112A)またはBAD(S136A)BADとのペアの発光強度は、野生型ペアの2分の1であった。BAD(S155A)は、強度が5分の1まで減少し、S136、S112、S155の全てをアラニンに変異させたBAD(StrippleA)は、BAD(StrippleA)と14−3−3との相互作用はごくわずかであった。
【0048】
次に、リン酸化BAD(Ser112)、リン酸化BAD(Ser136)、またはリン酸化BAD(Ser155)に対する抗リン酸化BAD抗体を用いて、COS−7細胞でウエスタンブロットを行ったところ、BAD(S112A), BAD(S136A), BAD(S155A)では、それぞれ 112番目、136番目、155番目のアミノ酸のリン酸化を確認しなかったが、 BAD(wt)では、これら3つのアミノ酸のすべてのリン酸化を確認した。図6に示すように、BAD(wt)-TlucC(mut)ではシグナルが観察されたが、BAD(S112A)−TlucC(mut)、BAD(S136A)−TlucC(mut)、および BAD(S155A)−TlucC(mut)では、発現量はBAD(wt)-TlucC(mut)と同じであったものの、シグナルは検出されなかった。別の細胞株、HeLa細胞を使用した場合も同じ結果が得られた(データは示さず)。
【0049】
さらに、BAD/14−3−3間相互作用に対する様々な化合物の影響を調べた。ホルスコリン(Forskolin)およびIBMX(3-Isobutyl-1-methylxanthine)はリン酸化刺激物質として知られている。また、DATS(Dialyl trisulfide)およびオレイン酸(Oliec acid)は脱リン酸化物質として知られている。実ここでは、COS−7細胞を培養し、上記のように、pBAD−TlucC(mut)およびpGlucN−14−3−3を細胞に導入した後、発光アッセイを行う前に、ホルスコリン、IBMX、DATS、またはオレイン酸(各100μM)を加えた培地中で60分間細胞をインキュベートした。図7に示すように、ホルスコリンおよびIBMXでは、発光シグナルが増強したが、DATSおよびオレイン酸では減少した。この結果は、発光シグナルがタンパク質の結合強度を反映することを示している。
【0050】
<実施例3> BADとBCL−Xとの相互作用
本実施例においては、相互作用タンパク質としてBADとBCL−Xを用いた。
【0051】
pGlucN−BCL−Xを構築するために、BCL−XのcDNAを標準的なPCRによって合成し、コザック配列と制限酵素部位を付加した。このcDNAの配列を確認後、BCL−XcDNAをEcoR1およびXho1で切断し、同じ制限酵素で切断したpGlucNベクターと結合させて、pGlucN‐BCL−Xコンストラクトを完成させた。
【0052】
発現ベクターであるpBAD−TlucC(mut)およびpGlucN−BCL−XLをCOS−7細胞に共導入し、実施例1と同様に、それらの発光シグナルを測定したところ、リガンドが何も存在しなくとも、強い発光シグナルが観察された(図8)。
【0053】
次に、BCL−X阻害剤であるアンチマイシン(Antimycin)およびHA 14−1の能力を評価した。ここでは、BAD−TlucC(mut)およびGlucN−BCL−Xを含む細胞を、発光アッセイの前に30〜60分間アンチマイシンまたはHA 14−1(各100μM)と共にインキュベートした。図8に示すように、どちらの化合物を用いた場合も、発光シグナルが顕著に減少した。よって、ここでもやはり、BAD−TlucC(mut)およびGlucN−BCL−XLによる発光シグナルが、これらの結合強度を反映することが示された。
【0054】
<実施例4>放出される光のスペクトル
本実施例においては、GlucN、FlucN、あるいはTlucNとTlucC(mut)との組み合わせにより放出される光のスペクトルを示す。
【0055】
COS−7培養細胞にpGlucN−FKBPおよびpFRB−TlucC(mut)をトランスフェクトし、37℃で24時間インキュベートした。その後、ラパマイシン(1.0μM)で細胞を刺激し、37℃でさらに10〜12時間インキュベートした。その後、培地を除去し、ルシフェリン基質溶液を加えた。3から5分後、細胞を溶解し、蛍光分光光度計を用いてスペクトルを観察した。図9に示すように、およそ530nm付近でピーク(lmax)を示した。同様にしてpFlucN−FKBPおよびpFRB−TlucC(mut)の組み合わせにおいては、検出された波長はおよそ560nm付近でピーク(lmax)を示し、pTlucN−FKBPおよびpFRB−TlucC(mut)の組み合わせにおいては、検出された波長はおよそ600nm付近でピーク(lmax)を示した。
【0056】
<実施例5>マウス皮下に存在させた細胞中の発光検出
本実施例においては、TlucNとTluc(mut)との組み合わせにより放出される光が、in vivoで発光した場合にも検出可能であることを示す。
【0057】
ここで、発現ベクターであるpGluc(wt)、p14−3−3−GlucN、pBAD−TlucC(mut) または pBAD(StrippleA)−TlucC(mut)を以下のようにしてマウスに導入した。
【0058】
p14−3−3−GlucN、pBAD−TlucC(mut) または pBAD(StrippleA)−TlucC(mut)は、実施例2で作製した物を用いた。pGluc(wt)は、以下のように作製した。
【0059】
まず、Gluc(wt)のcDNAを、標準的なPCRにより合成し、制限酵素部位を付加した。これらのcDNAの配列を確認後、HindIIIおよびXhoIで切断し、同じ制限酵素で切断したpcDNA4/V5−Hisベクターと結合させ、pGluc(wt)を構築した。ここで用いたPCRプライマーを以下に示す。
(Gluc(wt)-1) 5´AAGCTTATGGAGAGAGAGAAGAACGTGTACGGC 3´(配列番号29)
(Gluc(wt)-2) 5´CTCGAGCGCAGCTTAGAAGCCTTCTCCATCAG 3´(配列番号30)
【0060】
COS7細胞の培養には、4つの10cm培養皿を用いた。それぞれの培養細胞に対し、(1)pGluc(wt)単独、(2)pBAD−TlucC(mut)およびp14−3−3−TlucN、(3)pBAD−TlucC(mut)、 p14−3−3−TlucNおよびGluc(wt)(4)pBAD(StrippleA)−TlucC(mut)、 p14−3−3−TlucNおよびpGluc(wt)をトランスフェクトし、37℃で18-24時間培養した後に、細胞を回収し、リン酸緩衝液に懸濁した。1×106個の細胞を、麻酔したBALB/Cヌードマウス(4週令の雌マウス、体重約15g)に、それぞれ図10に示した場所に移植し、15分後、ルシフェリン(3mg/100μl PBS)を腹腔に注射した。10分後、CCDカメラ(Versarray: 1300B, Prinston Instruments)を用いて、マウスのイメージングが行われた。
【0061】
その結果、図10に示すように、Gluc(wt)から530nmの光が(1)、(3)及び(4)で検出され、TlucC(mut)とTlucNの結合によって、600nmの光が(2)及び(3)で検出された。(4)では、BAD(StrippleA)タンパク質と14−3−3タンパク質は結合しないため、TlucC(mut)とTlucNも結合せず、光は検出されなかった。
【0062】
このように、TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質と、抗TlucC(mut)ドメインを有するタンパク質との複合体が生体内で発光しても、体外からその光を検出できるだけでなく、各複合体特異的な波長の光を検出することによって、各複合体を識別できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】タンパク質の相補性に基づく、生物発光プローブの原理を模式的に示したものである。
【図2】一実施例において、(a)FlunNとTlucC(mut)、(b)GlucNとTlucC(mut)、(c)TlucCとTlucC(mut)の相補性を示したものである。
【図3】一実施例において、使用した各発光プローブコンストラクトを示したものである。
【図4】一実施例において、COS−7細胞での、pBAD(wt)−TlucC(mut)、pBAD(S112A)−TlucC(mut)、pBAD(S136A)−TlucC(mut)、pBAD(S155A)−TlucC(mut)、pBAD(StrippleA)−TlucC(mut)、pGlucN−14−3−3、およびpGlucN−BCL−Xからの発現を示したものである。
【図5】一実施例において、BADまたはBADの変異体と14−3−3との相互作用を示したものである。
【図6】一実施例において、BAD(S112A)、BAD(S136A)、BAD(S155A)における、112番目のアミノ酸、136番目のアミノ酸、155番目のアミノ酸が、それぞれリン酸化しないこと、また、これら3つのアミノ酸が全て、BAD(wt)においてリン酸化することを示したものである。
【図7】一実施例において、BAD/14−3−3相互作用に対する様々なリン酸化刺激物質およびリン酸化阻害物質の影響を示す。
【図8】一実施例において、BADとBCL−Xとの相互作用、およびこのBAD/BCL−X相互作用に対するBCL−X阻害物質の影響を示す図である。
【図9】一実施例において、GlucNとTlucC(mut)との組み合わせ、FlucNとTlucC(mut)、およびTlucNとTlucC(mut)がそれぞれ放出する光のスペクトルシフトを示す図である。
【図10】一実施例において、ヌードマウスの皮下細胞中における発光の検出を示す図である。Em530nm、Em600nmは、検出した光の波長を表す。OPENは、波長を絞らずに検出した場合の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列番号1を有するTlucC(mut)ドメインを含有するタンパク質。
【請求項2】
配列番号1において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、若しくは付加されたアミノ酸配列を有するTlucC(mut)ドメインを含有するタンパク質であって、
アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインを含有するタンパク質と複合体を形成することができるタンパク質。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタンパク質と、アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインを含有するタンパク質とを含む複合体。
【請求項4】
アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインを有するタンパク質を検出する方法であって、
当該タンパク質を、当該タンパク質が結合能をもつ請求項1または2に記載のタンパク質と相互作用させ、複合体を形成させる工程と
前記複合体から放出される光を検出する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載のタンパク質検出方法であって、
アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインを有するタンパク質を、請求項1または2のタンパク質と相互作用させ、複合体を形成させる工程と、
前記複合体から放出される光を検出する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の複合体の検出方法であって、前記複合体から放出される光を検出する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の第1のタンパク質と、アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインを有する第2のタンパク質との結合を検出する方法であって、
第1のタンパク質と第2のタンパク質を相互作用させ、複合体を形成させる工程と、
前記複合体から放出される光を検出する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
相互に結合能を有する第1のタンパク質と第2のタンパク質との結合を検出する方法であって、
アミノ酸配列番号1を有するTlucC(mut)ドメインを、第1のタンパク質に融合させる工程と、
アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインを第2のタンパク質に融合させる工程と、
前記融合した第1のタンパク質と前記融合した第2のタンパク質とを相互作用させ、複合体を形成させる工程と、
前記複合体から放出される光を検出する工程と、
を含むことをと特徴とする方法。
【請求項9】
第2のタンパク質と第3のタンパク質から、第1のタンパク質の結合タンパク質を選択する方法であって、
前記第1のタンパク質はアミノ酸配列番号1を有するTlucC(mut)ドメインに融合しており、前記第2のタンパク質と、前記第3のタンパク質のそれぞれは、アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインからなる群から選ばれる異なるドメインに融合しており、
前記第1のタンパク質を前記第2のタンパク質および前記第3のタンパク質と相互作用させる工程と、
放出される光を検出して、前記光を前記タンパク質のどの複合体が放出しているかを判断する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、さらに、
アミノ酸配列番号1を有するTlucC(mut)ドメインを前記第1のタンパク質に融合させる工程と、
アミノ酸配列番号2を有するGlucNドメイン、アミノ酸配列番号3を有するFlucNドメイン、またはアミノ酸配列番号4を有するTlucNドメインからなる群から選ばれる2つのドメインのそれぞれを、前記第2のタンパク質および前記第3のタンパク質に融合させる工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
アミノ酸配列番号1を有するTlucC(mut)ドメインをコードする配列を含むことを特徴とする、ベクター。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−159889(P2009−159889A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−789(P2008−789)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(508007075)株式会社ProbeX (3)
【出願人】(504261077)大学共同利用機関法人自然科学研究機構 (156)
【Fターム(参考)】