説明

タービンスクロール部構造

【課題】タービンハウジングの接続部(舌部)の外部の外気露出表面積が増加させて、当該部からの放熱を増加させることにより、舌部に蓄積する熱を抑制させて、当該部に使用する材料の耐熱グレードを下げることによるコスト低減を図る。
【解決手段】ラジアルタービンのタービンスクロール部1の構造において、タービンハウジング5への排ガス導入口からスクロール部1への接続部の流路3をタービンロータの回転軸の軸線L1に沿って、オフセットHさせると共に、流路3と動翼6へ流入する動翼側通路4とを仕切る舌部2に流路3から動翼側通路4へ排ガスが流れる切欠き部P1を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の過給機(排気ターボチャージャ)に用いられ、排ガスを渦巻状のスクロール部からタービンロータの動翼へと半径方向に流入させて、該動翼に作用させた後、軸方向に流出させることにより、該タービンロータを回転駆動させるように構成されたラジアルタービンの排ガス流路を形成するスクロール部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内燃機関等に用いられる過給機(排気ターボチャージャ)には、排ガスをタービンハウジング内に形成された渦巻状のスクロール部から該スクロール部の内側に位置するタービンロータの動翼へと半径方向に流入させて該動翼に作用させた後軸方向に流出させることにより、タービンロータを回転駆動させるように構成されたラジアルタービンが多く採用されている。
図6は従来技術であるかかるラジアルタービンを用いた過給機の一例を示す特開2003−120303号公報(特許文献1)である。図において01はタービンハウジング、04はタービンハウジング01内に形成された渦巻状のスクロール部、05はタービンハウジング01の内周に形成された排ガス排出口通路、06はコンプレッサハウジング、09はタービンハウジング01及び、コンプレッサハウジング06を連結する軸受ハウジングである。
【0003】
010はタービンホイールで外周部に複数のタービン動翼03が円周方向等間隔に固着されている。07はコンプレッサインペラ、08はコンプレッサインペラ07の空気出口に設けられたディフューザ、012はタービンホイール010とコンプレッサインペラ07とを連結するロータシャフトである。011は軸受ハウジング09に取付けられてロータシャフト012を支軸する一対の軸受である。L1はタービンホイール010、コンプレッサインペラ及び、ロータシャフト012の回転軸心である。
【0004】
そして、ラジアルタービンを備えた過給機において、内燃機関(図示省略)からの排ガスはスクロール部04に入り、スクロール部04の渦巻状に沿って周回しながらタービン動翼03外周側入口端面からタービン動翼03に流入して、タービンホイール010の中心側に向かい半径方向に流れて、タービンホイール010に膨張仕事をなした後に、ロータシャフト012の軸線L1方向に流出して、排ガス出口通路05から過給機外に送出される。
【0005】
図7(A)は特許文献1のラジアルタービンの排ガス入口内周に形成される舌部近傍で、ロータシャフト012の軸線L1に対し直角方向の断面概略構成図を示し、(B)は図7(A)のW矢視図を示す。
図7(A)において04はスクロール部、044は排ガス導入口、045は排ガス導入口044からの排ガスが流路046を通過して、スクロール部04部へ導入される接続部の流路046と動翼へ流入する動翼側通路047とを仕切る舌部が形成されている。
そして、(B)図に示すように、舌部045は排ガス熱を流路046側及び動翼側通路047側から受けることになり、一方で、舌部045に蓄積された熱は矢印Zで表すように放熱経路が狭く放熱効率がよくない。
従って、舌部045の温度は800〜900℃に成ることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−120303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる、ラジアルタービンにおいて、エンジンからの高温排ガスは流路046を通過して、スクロール部04を渦巻部に沿って周回しながら動翼側通路047へ流出していく。
このため、舌部045は流路046及び、動翼側通路047の両側から高温排ガスに曝され、舌部045の放熱経路はZ方向〔図7(A)参照〕しかないので、熱が蓄積し易く高温になり、舌部045は表面酸化や、熱応力が原因で疲労損傷が発生しやすくなる。
その対応策として、タービンハウジング01の材料として高温での耐酸化性や耐疲労特性のよい高価な材料(例えばオーステナイト鋳鋼、フェライト鋳鋼等)が使用されておりコスト増加の要因となっている。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、タービンハウジングの接続部(舌部)の外部の外気露出表面積を増加させて、当該部からの放熱量を増加させることにより、舌部に蓄積する熱を抑制させて、当該部に使用する材料の耐熱グレードを下げることによるコスト低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる課題を解決するため、タービンハウジング内に形成された渦巻状のスクロール部から該スクロール部の動翼へと半径方向に排ガスを流入させて、該動翼に作用させた後、軸方向に流出させることによりタービンロータを回転駆動するように構成されたラジアルタービンのタービンスクロール部構造において、
前記タービンハウジングへの排ガス導入口から前記スクロール部への接続部の流路を前記タービンロータの回転軸の軸線に沿って、オフセットさせる共に、該オフセットによって前記流路と前記動翼へ流入する動翼側通路とを仕切る舌部近傍に外気に露出した壁面を形成し、該壁面によって前記舌部近傍の放熱を行わせるようにしたことを特徴とする。
【0010】
このような構成により、接続部の流路をオフセットすることによりタービンハウジングの接続部外部の露出表面積が増加して、当該部からの放熱が増加することにより、舌部に蓄積する熱を抑制して、当該部に使用する材料の耐熱グレードを下げ、コスト低減を図ることができる。
また、切欠き部を設けることにより、舌部が受ける熱量を抑制する効果がある。
【0011】
また、本発明において好ましくは、前記壁面の軸方向長さは前記オフセット量に応じて変化し、前記流路の前記オフセットの量は前記舌部の先端に向かい減少させたさせるとよい。
【0012】
このような構成により、舌部前端のオフセットを少なくすることにより、スクロール部入口での段差を減少させることにより、排ガスの流動損失を抑制できる。
【0013】
また、本発明において好ましくは、前記流路の前記オフセットは前記渦巻状の内周側のみを変形させた形状にすると良い。
【0014】
スクロール部の外周側の変形量を抑制して、エンジンへの搭載性悪化を防止すると共に、舌部の放熱を促進することができる。
【0015】
また、本発明において好ましくは、前記オフセットは前記タービンスクロール部の軸芯と前記舌部の先端を結ぶ線を基準にして、軸心を中心にして排ガス流入側へ略45度の部分から減少して前記舌部の先端でオフセットがゼロになるように設定されるとよい。
【0016】
このような構成により、オフセットの範囲を、軸心を中心にして排ガス流入側へ略45度の部分から減少して前記舌部の先端でオフセットがゼロになるようにすることで、排ガスの流れがガイドする方向が決まり、排ガスの排ガスの流動損失を抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
接続部の流路軸線をオフセットすることによりタービンハウジングの接続部外部の露出表面積を増加させて、当該部からの放熱を増加させることにより、舌部に蓄積する熱を抑制して、当該部に使用する材料の耐熱グレードを下げることにより、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る舌部のタービンロータ軸線と直角方向断面図、(B)は(A)のG矢視で、スクロール部及び、タービンロータの回転軸線に沿う上半分断面を示す要部概略構造図を示す。
【図2】本発明の第1実施形態に係る舌部のタービンロータ軸線に対して直角方向断面図を示す。
【図3】(A)は本発明の第2実施形態に係るスクロール部の排ガス流通空間部の概略構造図、(B)は(A)のK部概略断面形状図、(C)は(A)のM部概略断面形状図、及び(D)は(A)のN部概略断面形状図を示す。
【図4】本発明の第2実施形態に係るスクロール部の排ガス流通空間部の断面形状変化のイメージ図を示す。
【図5】(A)は本発明の第3実施形態に係るスクロール部の排ガス流通空間部の概略構造図、(B)は(A)のQ部概略断面形状図、(C)は(A)のR部概略断面形状図、及び(D)は(A)のS部概略断面形状図を示す。
【図6】本発明が適用されるラジアルタービンを用いた過給機の回転軸線に沿う断面図を示す。
【図7】(A)は従来技術における舌部のタービンロータ軸線と直角方向断面図、(B)は(A)のW矢視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。
但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
(第1実施形態)
図1に基づいて、本発明の第1実施形態に係るスクロール部の排ガス流通空間部の概略構造図を示す。
本発明の第1実施形態にかかるタービンスクロール部について説明する。
本発明が適用されるラジアルタービンを用いた過給機の全体構造を示す図6において、01はタービンハウジング、04はタービンハウジング01内に形成された渦巻状のスクロール部、05はタービンハウジング01の内周に形成された排ガス排出口通路、06はコンプレッサハウジング、09はタービンハウジング01及び、コンプレッサハウジング06を連結する軸受ハウジングである。
【0021】
010はタービンホイールで外周部に複数のタービン動翼03が円周方向等間隔に固着されている。07はコンプレッサインペラ、08はコンプレッサインペラ07の空気出口に設けられたディフューザ、012はタービンホイール010とコンプレッサインペラ07とを連結するロータシャフトである。011は軸受ハウジング09に取付けられてロータシャフト12を支軸する一対の軸受である。
L1はタービンホイール010、コンプレッサインペラ及び、ロータシャフト012
の回転軸心である。
【0022】
かかるラジアルタービンを備えた過給機において、内燃機関(図示省略)からの排ガスは排ガス導入口からスクロール04に入り、該スクロール部04の渦巻に沿って周回しながら複数のタービン動翼03の外周側入口端面からタービン動翼03に流入して、タービンホイール010の中心側に向かい半径方向に流れて、タービンホイール010に膨張仕事をなした後、軸方向に流れて排ガス出口通路05から排出する。
【0023】
以上に示すようにラジアルタービン付き過給機の基本構成は従来技術と同様である。
本発明においてはスクロールの形状を改良している。
【0024】
図1(A)は本発明の第1実施形態に係る舌部のタービンロータ軸線と直角方向断面図、(B)は(A)のG矢視で、スクロール部及び、タービンロータの回転軸線に沿う上半分断面を示す要部概略構造図を示す。
3は排ガス流入口からの排ガスをスクロール部1に流入させるタービンハウジング5によって形成される流路である。1は渦巻状に形成され、流路3から流入した排ガスを渦巻状の流れに変え、動翼側通路4を介して動翼6に向け噴出させるタービンハウジング5によって形成されるスクロール部である。2は流路3とスクロール部1との接続部で、動翼側通路4とを仕切る舌部である。
【0025】
流路3はタービンロータの回転軸(図6のロータシャフト)の軸線L1に沿ってオフセット量Hだけ変形させた構造となっている。
図1(B)にその具体的構造を示すように、流路3の排ガス通路断面積は変更することができない(通路断面積を変更すると、ターボチャージャの性能が変化する)。
従って、タービンハウジング5によって形成される流路3の断面形状は維持された状態で軸線L1に沿って破線部分から実線部分にオフセットした形状となり、それに伴い舌部2もオフセットした形状になる。
そのため、舌部2が位置するタービンハウジング5の外壁部は外気に露出する動翼側通路外周壁面21及び、スクロール部1の内周側にはスクロール側内周壁面22が形成され、当該部から舌部2に蓄積された熱は放散されやすくなる。
従って、舌部2に蓄積される熱量は動翼側通路外周壁面21及び、スクロール側内周壁面22からの放熱に加え、タービンハウジング5全体からも効率よく放熱される。
【0026】
また、図2は舌部2をタービンロータの回転軸の軸線L1に対し直角方向に断面した図を示している。舌部2には、軸線L1と舌部2の先端縁23を結ぶ基準線L2を基準にして、軸線L1を中心に舌部2の基端側(排ガス流入口側)へ略45度傾斜させた線と交わる部分まで、舌部2の先端縁23からの長さFの切欠き部P1が設けられている。該切欠き部P1から動翼側通路4に排ガスが流れるようになっている。
これは、舌部2が排ガスに曝される部分を少なくして、舌部2に蓄積される熱量を少なくするためである。
また、舌部2の切欠長さFの位置を45度とした理由は、舌部2の当該部分厚みが先端縁23の厚みに対し略2倍になっており、タービンハウジング5全体への熱伝導が多くなり、舌部2の放熱効率がよくなる。
【0027】
切欠きの幅は任意に求めればよいが、切欠きを大きくすると流路3から動翼側通路4に流れる排ガスが多くなり、ターボチャージャの性能が低下する。一方、小さすぎると、舌部2の蓄熱量が多くなり、温度上昇が高くなる。
但し、露出面21、22が大きくなるので、従来に対し温度上昇が抑制される。
従って、ターボチャージャの仕様状況(要求性能)に沿うようにオフセット量Hを決めればよい。
この結果、舌部2と一体成形されるタービンハウジング5の材量の耐熱グレードを下げることが可能となる。
材料の一例として、従来はオーステナイト鋳鋼又は、フェライト鋳鋼等の高価な材料を使用していたが、フェライト鋳鉄等に代替可能となった。
【0028】
このような構成にすることにより、接続部の流路3を軸線L1に沿ってオフセットすることにより舌部2が位置するタービンハウジング5の外壁部の放熱面積が増加して、当該部からの放熱が増加することにより、タービンハウジング5に使用する材料の耐熱グレードを下げることによるコスト低減を図ることができる。
さらに、切欠き部23を設けることにより、舌部2に受ける熱量を抑制する効果がある。
【0029】
(第2実施形態)
本実施形態において、第1実施形態と同じものは同符号を付して、説明を省略する。
図3に基づいて本発明の第2実施形態にかかるタービンスクロール部の構造を説明する。
図3(A)本発明の第2実施形態に係るスクロール部の排ガスが流通する空間部の概略構造図で、(B),(C)及び(D)は図3(A)のT矢視におけるK,M,N各位置の舌部8におけるオフセット状態のタービンハウジング5の概略構造図を示す。
7は排ガス流入口からの排ガスをスクロール部1に流入させるタービンハウジング5によって形成される流路である。8は流路3とスクロール部1との接続部で、動翼側通路4とを仕切る舌部である。
【0030】
図3(A)に示すように、舌部8は動翼側通路4に対し、タービンロータの回転軸(図6のロータシャフト)の軸線L1に沿ってオフセット量Eを、舌部8の基端側から先端縁81に向けオフセット量Eを小さくして、先端縁81ではオフセット0(ゼロ)とした構造となっている。
図3(B)、(C)及び(D)にその具体的構造を示すように、流路3の排ガス通路断面積は変更することができない。(通路断面積の変更は、ターボチャージャの性能が変化する)。
従って、タービンハウジング5によって形成される流路3の断面形状は維持された状態で軸線L1に沿って破線部分から実線部分にオフセット量Eとした形状になる。
K断面オフセット量E1とM断面オフセット量E2との間にはE1>E2の状態に形成され、N断面ではオフセット量0となっている。
これに伴い、舌部8に形成される切欠き部P2の幅は図3(A)において、切欠長さFの舌部2の基端側位置から舌部2の先端縁81に向けて滑らかに拡大し、先端縁81では動翼側通路4幅と同じになっている。
そして、図3(B)、(C)及び(D)の切欠き部P2の幅はPK<PM<PNの順に大きくなっている。
【0031】
図4は第2実施形態に係るスクロール部の排ガス流通空間部の断面形状変化のイメージ図を示す。
各断面形状は、K断面が図3(B)、M断面が図3(C)及び、N断面が図3(D)を表し、幅GWが軸線L1に平行な部分を示しスクロール部1の外周部の辺51に相当する。GHは軸線L1の半径方向の長さで、スクロール部1の外周部から動翼側通路4を含んだ形状となっている。
K断面オフセット量E1もが一番多く、次にM断面オフセット量E2、そしてN断面でオフセット量0(ゼロ)となっている。
断面として3箇所を表示したが、図から容易に判断できるように、断面形状は連続して変化している場合を開示してある。
【0032】
本実施形態では、舌部8におけるオフセット状況を3位置で変化状況を説明したが、オフセット量E(E1,E2)の変化状況は滑らかあるいは、段階的に変化させてもよい。
滑らかに変化させた場合には、スクロール部入口の段差を除去できるため、内部を流れる排ガスの流動損失が少なくなり、ターボチャージャの性能が維持できる。
一方段階的に変化させた場合には、タービンハウジング5の表面が波状になり、舌部8からの伝導熱放散面積が大きくなり、舌部8の昇温が抑制される。
【0033】
(第3実施形態)
本実施形態において、第1実施形態と同じものは同符号を付して、説明を省略する。
図5に基づいて、本発明の第3実施形態にかかるタービンスクロール部について説明する。
図5(A)はスクロール部の排ガスが流通する空間部の概略構造図で、(B),(C)及び(D)は図5(A)のU矢視におけるQ,R,S各位置の舌部8におけるオフセット状態のタービンハウジング5の概略構造図を示す。
9は排ガス流入口からの排ガスをスクロール部1に流入させるタービンハウジング5によって形成される流路である。8は流路3とスクロール部1との接続部で、動翼側通路4とを仕切る舌部である。
【0034】
図5(A)に示すように、舌部8は動翼側通路4に対し、タービンロータの回転軸(図6のロータシャフト)の軸線L1に沿ってオフセット量Jを、舌部8の基端側から先端縁81に向けオフセット量Jを小さくして、先端縁81ではオフセット0とした構造となる。
また、図5(B)、(C)及び(D)にその具体的構造を示すように、本実施形態では流路9の外周部91の位置及び、幅Vは変更せずに、舌部8の部分とスクロール部1の内周側壁だけをオフセットした構造にした。
そして、流路7の排ガス通路断面積は変更することができない(通路断面積を変更すると、ターボチャージャの性能が変化する)ので、オフセットした当該部は破線で示す一般断面形状から実線の形状に変化している。
従って、タービンハウジング5によって形成される流路7の断面積は維持された状態で軸線L1に沿って破線部分から実線部分にオフセット量J(J1,J2)の形状になる。
Q断面のオフセット量J1とR断面のオフセット量J2との間にはJ1>J2の状態に形成され、S断面ではオフセット量0となっている。
そして、図5(B)、(C)及び(D)の切欠き部P3の幅はPQ<PR<PSの順に大きくなっている。
これに伴い、舌部8に形成される切欠き部P2の幅は図3(A)において、切欠長さFの舌部2の基端側(排ガス流入口側)位置から舌部2の先端縁81に向けて滑らかに拡大し、先端縁81では動翼側通路4の幅と同じになっている。
【0035】
本実施形態における作用効果は第1及び第2実施形態の効果に加え、スクロール部の外周側の変形量を抑制して、エンジンへの搭載性悪化を防止すると共に、舌部の放熱を促進することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
内燃機関の出力向上のため、内燃機関等に用いられ、渦巻状のスクロール部から半径方向に流入させて該動翼に作用させた後軸方向に流出させることにより、タービンロータを回転駆動させるように構成されたラジアルタービンに用いられるとよい。
【符号の説明】
【0037】
1 スクロール部
2、8 舌部
3、7、9 流路
4 動翼側通路
5 タービンハウジング
6 動翼
F 切欠長さ
L1 軸線
L2 基準線
P1,P2,P3 切欠き部
H、E,J オフセット量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンハウジング内に形成された渦巻状のスクロール部から該スクロール部の動翼へと半径方向に排ガスを流入させて、該動翼に作用させた後、軸方向に流出させることによりタービンロータを回転駆動するように構成されたラジアルタービンのタービンスクロール部構造において、
前記タービンハウジングへの排ガス導入口から前記スクロール部への接続部の流路を前記タービンロータの回転軸の軸線に沿って、オフセットさせる共に、該オフセットによって前記流路と前記動翼へ流入する動翼側通路とを仕切る舌部近傍に外気に露出した壁面を形成し、該壁面によって前記舌部近傍の放熱を行わせるようにしたことを特徴とするタービンスクロール部構造。
【請求項2】
前記壁面の軸方向長さは前記オフセット量に応じて変化し、前記流路の前記オフセットの量は前記舌部の先端に向かい減少させたことを特徴とする請求項1記載のタービンスクロール部構造。
【請求項3】
前記流路の前記オフセットは前記渦巻状の内周側のみを変形させた形状にしたことを特徴とする請求項1記載のタービンスクロール部構造。
【請求項4】
前記オフセットは前記タービンスクロール部の軸芯と前記舌部の先端を結ぶ線を基準にして、軸心を中心にして排ガス流入側へ略45度の部分から減少して前記舌部の先端でオフセットがゼロになるように設定されることを特徴とする請求項1記載のタービンスクロール部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−137068(P2012−137068A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291359(P2010−291359)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】