説明

タービン動翼のシュラウド間隙計測装置、及び計測方法

【課題】タービン回転中に効率よくシュラウド間の間隙を計測する。
【解決手段】タービンロータ12の周方向に沿って植込まれた複数のタービン動翼14の各翼先端に設けられ、タービンの回転に伴い隣接翼間で互いに接触可能なシュラウド16の隣接間隙を、タービン回転中に計測するために、タービン動翼14の径方向の外側からシュラウド16に向けて発光するとともに、反射光を受光して電気信号に変換する光学式センサ46と、この電気信号(波形52)のシュラウド16からの反射光を受光した部位Δtと受光しなかった部位Δtの時間比と、シュラウド16の周方向の寸法Lとに基づいて、シュラウドの隣接間隙を演算する演算装置48と、を備えて間隙計測装置40を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン動翼のシュラウド間隙計測装置、及び計測方法に係り、特に、タービン回転中にシュラウド間の間隙を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の発電プラントは、蒸気タービンプラント、又はガスタービンに蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電プラントを問わず、高効率、高出力を要求され、ガスタービン、蒸気タービン共に単機出力が増加傾向にある。それに伴い、最終段をはじめとするタービン出口付近の段落はその翼長が長大化し、運転中の過大な振動を回避するための様々な手段が講じられてきた。
【0003】
例えば、タービンロータに植込まれた動翼は、ルート部(根元部)からチップ部(先端部)にかけて翼プロファイル各断面が捩れるように連続した構造を有し、運転時に回転遠心力による捩り戻り(以下、アンツイストと呼ぶ。)が作用するので、この作用を用いて、運転時にタービン動翼相互間を連結し、タービン動翼の振動を抑制することが知られている。
【0004】
つまり、各翼先端のチップ部に翼プロファイル全体を覆うシュラウドを、タービン静止時には隣接するシュラウド間に間隙があり、タービンロータの回転数の増加と共にアンツイストにより隙間が減少し、やがてシュラウド同士が接触するように設けるものである。これにより、周方向にわたって隣り合ったシュラウド同士を連結させることによって、高い振動減衰特性を得ることができる。なお、また、シュラウド間隙は、振動減衰特性などを考慮して、シュラウド同士が、定格回転時に設定した接触力で接触するように設計される。
【0005】
シュラウド間の間隙寸法のばらつきは、各翼のシュラウド同士が接触する回転数のばらつきを意味し、また接触面の接触力のばらつきにも影響するため、間隙寸法の公差管理が必要となる。
【0006】
間隔寸法の公差管理の方法としては、タービン静止中にシュラウド間の間隙寸法をノギスなどにより計測することなどが従来行われてきたが、計測のバラツキが大きいうえに、周方向に沿って数十箇所以上の間隙をこの方法で計測、管理するのは効率が悪い。
【0007】
特に、アキシャルエントリー溝(以下、適宜Ax溝という。)構造を有する動翼の場合は、回転による遠心力によって初めてロータ側のAx溝と隙間なく接触するため、静止時にはAx溝に隙間がありシュラウドの間隙は容易に変化し、間隙の公差管理は容易ではない。
【0008】
そこで、特許文献1には、タービン回転中に、シュラウド間の間隙を計測する技術が記載されている。具体的には、まず、シュラウドに所定の間隔をあけて複数の計測基準線を予め描いておくとともに、ストロボ発光体でシュラウドを照明しながらカメラで撮像して画像を得る。そして、既知である計測基準線間の寸法と、画像上での計測基準線間の寸法の比を求め、この比に基づいてシュラウド間の間隙を求めるというものである。
【0009】
【特許文献1】特許第2678647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、タービン回転中にシュラウド間の間隙を効率的に計測できない場合がある。
【0011】
すなわち、上記特許文献1の方法で、タービン回転中にタービンの周方向全てのシュラウド間隙を計測したい場合などには、数十枚、或いは百枚以上ある全てのシュラウドに、精度よく複数の計測基準線を予め描く必要があり、効率的とはいえない。
【0012】
そこで、本発明は、タービン回転中に効率よくシュラウド間の間隙を計測することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明のタービン動翼のシュラウド間隙計測装置は、タービンロータの周方向に沿って植込まれた複数のタービン動翼の各翼先端に設けられ、タービンの回転に伴い隣接翼間で互いに接触可能なシュラウドの隣接間隙を、タービン回転中に計測するものであって、タービン動翼の径方向の外側からシュラウドに向けて発光するとともに、反射光を受光して電気信号に変換する光学式センサと、この電気信号の経時変化とシュラウドの周方向の寸法とに基づいてシュラウドの隣接間隙を演算する演算手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0014】
すなわち、タービン回転中に、例えばレーザ光などをタービン動翼の径方向外側からシュラウドに向けて発光し、その反射光を受光すると、シュラウドからの反射光は受光レベルが高く、一方、シュラウド間隙では反射率が低いので反射光の受光レベルはこれより低くなる。すると、この受光レベルに応じて変換された電気信号には、シュラウドに相当する部位、及び間隙に相当する部位が現れることとなるので、この経時変化と、既知であるシュラウドの周方向の寸法とに基づけば、シュラウドの隣接間隙を演算することができる。
【0015】
より具体的には、演算手段は、電気信号のシュラウドからの反射光を受光した部位と受光しなかった部位の時間比と、シュラウドの周方向の寸法とに基づいて、シュラウドの隣接間隙を演算することができる。
変換された電気信号は、例えばシュラウドに対応する信号レベルが高い部位と、間隙に対応する信号レベルが低い部位とが交互に現れるような波形となる。そして、これらの部位の時間の長さの比は、シュラウドの周方向の寸法とシュラウド間隙の比に相当するものであるので、既知のシュラウド周方向寸法と、電気信号から得られる時間比とに基づけば、シュラウド間隙を演算することができる。
【0016】
このように、本発明では、シュラウドに対して予め計測用の作業を施すことはなんら必要なく、かつ、タービンを回転させながら連続して周方向全体にわたる複数のシュラウド隣接間隙を、効率よく計測することができる。
【0017】
また、タービンロータ、タービン動翼、及びシュラウドの少なくともいずれかの周方向の一部分に他の部分と物理的に異ならせて設けられた回転基準と、この回転基準による物理的変化を計測して電気信号に変換する基準信号発生装置を備え、演算手段は、基準信号発生装置の出力する電気信号の経時変化に基づいてタービンの回転基準を認識し、演算されたシュラウドの隣接間隙の部位を特定することができる。
【0018】
これによれば、タービン1回転の回転基準を認識することができるので、電気信号波形に現れる高レベル部位、低レベル部位の組が、タービンの周方向に複数存在するシュラウド、シュラウド隣接間隙の組のいずれに対応するものであるかを特定することができる。
【0019】
例えば、回転基準を、タービンロータ、タービン動翼、及びシュラウドの少なくともいずれかの周方向の一部分に他の部分と光の反射率を異ならせて設け、基準信号発生装置は、この回転基準に向けて発光するとともに、反射光を受光して電気信号に変換することができる。
【0020】
このように、タービンを回転させながらシュラウドの隣接間隙を計測することができるので、タービン動翼がタービンロータにアキシャルエントリー溝構造により植込まれたタービンのように、タービン静止時には間隙計測が困難なものであっても、効率よくシュラウド間の間隙を計測することができる。
【0021】
また、上記課題を解決するため、本発明のタービン動翼のシュラウド間隙計測方法は、タービンロータの周方向に沿って植込まれた複数のタービン動翼の各翼先端に設けられ、タービンの回転に伴い隣接翼間で互いに接触可能なシュラウドの隣接間隙を、タービン回転中に計測するものであって、タービン動翼の径方向の外側からシュラウドに向けて発光するとともに、反射光を受光して電気信号に変換し、この電気信号の経時変化とシュラウドの周方向の寸法とに基づいてシュラウドの隣接間隙を演算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、タービン回転中に効率よくシュラウド間の間隙を計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を適用してなるタービン動翼のシュラウド間隙計測装置、及び方法の実施形態を図1〜図7を用いて説明する。
【0024】
まず、図1を用いて、本発明のタービン動翼のシュラウド間隙計測装置(以下、適宜、単に間隙計測装置という。)の適用対象となるタービンの概略を説明する。タービン回転軸10に対してタービンロータ12が設けられており、タービンロータ12の周方向に沿って複数のタービン動翼14が植込まれている。通常であれば数十枚〜百数十枚程度のタービン動翼14が植え込まれる。
【0025】
そして、各翼先端には、タービンの回転に伴い隣接翼間で互いに接触可能なシュラウド16が設けられている。なお、説明の便宜上、タービンを単段で描いているが、実際は、タービン回転軸10に沿って、複数段のタービンが設けられる。
【0026】
続いて、タービン動翼14及びシュラウド16の詳細について図2を用いて説明する。図2は、タービン動翼、及びシュラウドの斜視図である。図2に示すように、タービン動翼14は、ルート部(根元部)20からチップ部(先端部)22にかけて翼プロファイル各断面が捩れるように連続した構造を有している。また、タービン動翼14は、ルート部20が回転軸方向に沿って延在しており、回転軸に対して径方向の外側に向かうにしたがって除々に捩れて、チップ部22がタービンの回転の周方向に沿って延在するように形成されている。
【0027】
シュラウド16は、チップ部22を覆うように、径方向にほぼ直交して設けられた板状部材であり、チップ部22に合わせて回転軸方向より周方向のほうに長く延在して形成されている。さらに、シュラウド16は、タービン回転に伴うアンツイストにより隣接翼間のシュラウド同士が接触できるように、周方向に対向する2辺に凹部が形成されている。
【0028】
また、本実施形態では、タービン動翼14とタービンロータ12との連結、つまりタービン動翼14のタービンロータ12に対する植込みには、アキシャルエントリー溝(Ax溝)構造を採用している。Ax溝構造とは、図2,3に示すように、タービン動翼14のルート部20の径方向の内側に設けられ、図示のように凹凸が形成された嵌め込み部材24を、この凹凸に対応してタービンロータ12に設けられたAx溝に、軸方向にスライドさせて嵌め込むものである。
【0029】
ところで、このようなタービン動翼14は、発電プラントの高効率、高出力の要請から高翼長化が顕著になっており、これに伴う捩れの急増、チップ部付近での翼プロファイル断面の薄肉化などの影響もあり、タービン運転中の過大な振動の抑制が求められている。そこで、上述のようにタービン動翼14のチップ部22にシュラウドを設けて、タービンの周方向にわたって隣接するシュラウド同士を連結させることにより剛性を向上させ、その結果、高い振動減衰特性を得ている。
【0030】
具体的には、タービン動翼の組立時においては、隣翼同士のシュラウドには間隙が設けられており、この間隙はロータの回転数の増加と共にアンツイストが生じることによって減少し、やがてはシュラウド同士が接触し、定格回転時に設定した接触力でシュラウド同士が接触するように設計されている。
【0031】
したがって、シュラウド間の間隙寸法のばらつきは、各翼のシュラウド同士が接触する回転数のばらつきを意味し、また接触面の接触力のばらつきにも影響する。間隙寸法のばらつきにより、過度に大きな接触力が生じた場合、フレッティングの原因となり、これによる接触面の摩耗は翼振動特性の変化を起こし得る。その結果として、初期の振動減衰特性が得られなくなれば、翼破損などを引き起こす可能性もあるため、間隙寸法の公差管理が必要である。
特に、本実施形態のようなAx溝構造を有する動翼の場合、回転による遠心力によって初めてロータ側のAx溝と隙間なく接触するため、タービンの静止時にはAx溝には図3に示すように隙間がありシュラウドの間隙は容易に変化する。それはたとえAx溝の隙間にシムを挿入し隙間を埋めてガタを低減した場合であっても、シュラウドの間隙が同じ翼間で一様でない。したがって、タービンの静止時の間隙の公差管理には困難が伴う。
【0032】
以下、この点に鑑みてなされた本発明のタービン動翼のシュラウド間隙計測装置について説明する。図4は、間隙計測装置の全体構成を示す図である。図4は、図1におけるタービン回転軸10に沿った断面の上半分を示す図である。
【0033】
間隙計測装置40は、タービン動翼14の径方向の外側からシュラウド16に向けて発光するとともに、反射光を受光して電気信号に変換する光学式センサ46と、この電気信号の経時変化などに基づいてシュラウドの隣接間隙を演算する演算装置48と、タービンロータ12に向けて発光するとともに、反射光を受光して電気信号に変換する基準信号発生装置50などを備えて構成されている。
【0034】
光学式センサ46は、タービン動翼14の径方向の外側に固定した発光用及び受光用の光ファイバ42と、発光素子、受光素子、及び受光素子での受光レベルに応じて電気信号に変換するプリアンプ44などで構成されている。なお、発光素子には、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)、半導体レーザなどを用いることができる。また、受光、及び受光レベルに応じた電気信号の変換は、例えばフォトダイオード(Photo Diode)を用いて行うことができる。
【0035】
また、演算装置48は、光学式センサ46と接続されており、光学式センサ46からの出力(電気信号)を受信するとともに、この電気信号の経時変化と、シュラウドの周方向の寸法とに基づいてシュラウド16の隣接間隙を演算する演算手段を備えている。また、受信した電気信号、その他間隙計測に必要な情報をリアルタイムで確認できるようモニタを備えている。
【0036】
また、基準信号発生装置50は、タービンロータ12の周方向の一部分に他の部分と光の反射率を異ならせて設けられた、例えば反射テープなどの回転基準に向けて発光するとともに、反射光を受光して電気信号に変換するものである。発光、受光、及び電気信号への変換などは、上述の光学式センサ46と同様に構成することができる。
【0037】
なお、このような光学式の基準信号発生装置は、基準信号を得るには好適な例であるが、基準信号発生装置は光学式に限定されるものではなく、タービンロータ12などの回転体側の周方向の一部分に他の部分と物理的に異ならせて設けられた回転基準による物理変化を計測して電気信号に変換するものであればよい。
【0038】
光学式の他には、渦電流センサを用いた方式を採用することができる。この場合、回転基準としては磁性を異ならせたものを用いればよい。例えば、タービンロータの周方向の一部に強磁性体の突起を設け、この突起による磁性の変化をタービンロータに対向させて設けた渦電流センサにより検出して電気信号に変換することにより回転基準信号を得ることができる。また、突起ではなく、タービンロータの外表面に非磁性体の部分を設け、この非磁性体に回転基準として強磁性体を埋め込むようにしてもよい。
【0039】
続いて、間隙計測装置40の動作、作用を図5〜図7を用いて説明する。タービンを回転させながら、光学式センサ46によりタービン動翼14の径方向の外側からシュラウド16に向けて、例えば指向性の高いレーザ光を発光するとともに、順次反射光を受光して電気信号に変換する。
【0040】
レーザ光に対してシュラウド16が通過する場合、言い換えればシュラウド16にレーザ光があたっている場合、シュラウド16の面からの反射レーザを受光することになる。一方、レーザ光がシュラウド間の間隙を通過する場合、シュラウド16の面からの光の反射はないので、受光量はシュラウド16からの反射レーザを受光したときより少なくなる。
【0041】
このようにして順次反射光を受光して受光レベルに応じて変換された電気信号の例を図5に示す。図の波形52が変換された電気信号を示している。出力電圧の高い部位がシュラウド16の面からの反射光を変換したものに対応し、出力電圧の低い、ほぼ0Vとなっている部位が反射光の少ないシュラウド間の間隙に対応するものである。この電気信号が演算装置48に入力される。
【0042】
演算装置48では、光学式センサ46から出力された電気信号をメモリに記憶して、シュラウド間の間隙の計測を以下のように行う。なお、計測後にモニタに波形を再生することもできる。
【0043】
信号波形の、シュラウドからの反射光を受光した部位の時間をΔtとし、受光しなかった部位の時間をΔtとする。そして、図6に示す既知の値であるシュラウド16の周方向の寸法をLとする。図6は、径方向の外側からみた2枚のシュラウドを模式的に示す図である。
【0044】
また、図6の破線部を拡大した図7に示すように、最終的に求めたいシュラウド間隙は、対向するシュラウド16の接触端面にほぼ垂直な間隙gである。タービンの回転の周方向とシュラウド16の接触端面とのなす角度をθとし、周方向に沿ったシュラウド16の端面間の間隙をLとする。
【0045】
すると、ΔtとΔtの比、つまりシュラウドからの反射光を受光した部位と受光しなかった部位の時間比は、LとLの比、つまりシュラウド16の周方向の寸法とシュラウドの隣接間隙の比に相当することから、gは数1式で求められる。
【数1】

また、図5に示すように、基準信号発生装置50から出力されるタービンの1回転の基準を認識するための回転基準信号54を用いることにより、演算されたシュラウド間隙gが、タービンの周方向に複数存在するシュラウド隣接間隙のいずれに対応するものであるかを特定することができる。
【0046】
つまり、基準信号発生装置50は、タービンを回転させながら、周方向の一部分に他の部分と光の反射率が異なる、例えば反射テープなど回転基準のマークが設けられたタービンロータ12に向けて発光し、反射光を受光して電気信号に変換するものである。したがって、変換された電気信号には、タービンの1回転中に1箇所、反射テープでの反射光に対応する出力電圧が高い部位が現れ、タービンの1回転周期、及びその回転の基準などを認識することができる。その結果、反射テープの箇所と、シュラウドとの位置関係がわかっていれば、演算されたシュラウド間隙gが、タービンの周方向に複数存在するシュラウド隣接間隙のいずれに対応するものであるかを特定することができる。
【0047】
また、回転基準信号54間の時間をΔtとし、タービン動翼14の枚数をkとすると、数2式からシュラウド間隙gを求めることが可能である。
【数2】

このように、タービンの1回転を認識するための回転基準信号54を得て、さらにタービン動翼の枚数kを入力して計測を行うことにより、Δtの間に信号波形に現れるΔtの回数と、入力されたkとを比較して、測定系が安定していることを確認した上でシュラウド間隙の計測を開始することができる。つまり、Δtの回数とkとが同じであれば測定系が安定しており、一方、異なっていれば、何らかの要因で測定系が安定してないことを認識できる。これによれば、シュラウド間隙の計測精度をより向上させることができる。
【0048】
以上、本実施形態のタービン動翼のシュラウド間隙計測装置によれば、タービン動翼の全翼間のシュラウド間隙を、タービン回転中に効率よく計測することができる。すると、タービン回転数変化に対応する間隙の変化を捉えることが可能となり、全翼の接触回転数管理が可能となる。その結果、シュラウド間の間隙のより信頼性の高い公差管理が可能となる。
【0049】
なお、本実施形態では、タービン動翼14とタービンロータ12との連結、つまりタービン動翼14のタービンロータ12に対する植込みには、アキシャルエントリー溝(Ax溝)構造を採用しているが、これに限らず、例えばフォーク溝構造や、くら型溝構造であっても同様に本発明を適用することができる。
【0050】
また、本実施形態では、回転基準信号54を得るために、タービンロータ12に回転基準マークの反射テープを貼って、タービンロータ12に対して発光、受光などをしているが、これに限らず、例えば、周方向に複数存在するシュラウドの1枚に回転基準マークを設けてもよい。これによれば、光学式センサ46を、回転基準を認識するための信号を得ること、間隙測定のための信号を得ること、の両方に共通して使用することができるので、基準信号発生装置50が不要となり、より構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明のタービン動翼のシュラウド間隙計測装置の適用対象となるタービンの概略を説明する図である。
【図2】タービン動翼、及びシュラウドの斜視図である。
【図3】アキシャルエントリー溝(Ax溝)構造を説明する図である。
【図4】本発明のタービン動翼のシュラウド間隙計測装置の全体構成を示す図である。
【図5】光学式センサで受光レベルに応じて変換された電気信号の例を示す図である。
【図6】径方向の外側からみた2枚のシュラウドを模式的に示す図である。
【図7】図6の破線部を拡大した図である。
【符号の説明】
【0052】
10 タービン回転軸
12 タービンロータ
14 タービン動翼
16 シュラウド
20 ルート部(根元部)
22 チップ部(先端部)
24 嵌め込み部材
40 間隙計測装置
42 光ファイバ
44 プリアンプ
46 光学式センサ
48 演算装置
50 基準信号発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンロータの周方向に沿って植込まれた複数のタービン動翼の各翼先端に設けられ、タービンの回転に伴い隣接翼間で互いに接触可能なシュラウドの隣接間隙を、タービン回転中に計測するタービン動翼のシュラウド間隙計測装置であって、
前記タービン動翼の径方向の外側から前記シュラウドに向けて発光するとともに、反射光を受光して電気信号に変換する光学式センサと、該電気信号の経時変化と前記シュラウドの周方向の寸法とに基づいて前記シュラウドの隣接間隙を演算する演算手段と、を備えてなることを特徴とするタービン動翼のシュラウド間隙計測装置。
【請求項2】
前記演算手段は、前記電気信号の前記シュラウドからの反射光を受光した部位と受光しなかった部位の時間比と、前記シュラウドの周方向の寸法とに基づいて、前記シュラウドの隣接間隙を演算する請求項1のタービン動翼のシュラウド間隙計測装置。
【請求項3】
前記タービンロータ、前記タービン動翼、及び前記シュラウドの少なくともいずれかの周方向の一部分に他の部分と物理的に異ならせて設けられた回転基準と、該回転基準による物理的変化を計測して電気信号に変換する基準信号発生装置を備え、前記演算手段は、前記基準信号発生装置の出力する電気信号の経時変化に基づいて前記タービンの回転基準を認識し、演算されたシュラウドの隣接間隙の部位を特定する請求項2のタービン動翼のシュラウド間隙計測装置。
【請求項4】
前記回転基準は、前記タービンロータ、前記タービン動翼、及び前記シュラウドの少なくともいずれかの周方向の一部分に他の部分と光の反射率を異ならせて設けられてなり、前記基準信号発生装置は、前記回転基準に向けて発光するとともに、反射光を受光して電気信号に変換する請求項3のタービン動翼のシュラウド間隙計測装置。
【請求項5】
前記タービン動翼が前記タービンロータにアキシャルエントリー溝構造により植込まれてなる請求項1乃至4のいずれか1項のタービン動翼のシュラウド間隙計測装置。
【請求項6】
タービンロータの周方向に沿って植込まれた複数のタービン動翼の各翼先端に設けられ、タービンの回転に伴い隣接翼間で互いに接触可能なシュラウドの隣接間隙を、タービン回転中に計測するタービン動翼のシュラウド間隙計測方法であって、
前記タービン動翼の径方向の外側から前記シュラウドに向けて発光するとともに、反射光を受光して電気信号に変換し、該電気信号の経時変化と前記シュラウドの周方向の寸法とに基づいて前記シュラウドの隣接間隙を演算することを特徴とするタービン動翼のシュラウド間隙計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−19590(P2009−19590A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183503(P2007−183503)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】