ターミナルカバー
【課題】バッテリーの上方にスペースが不足している場合においても、ターミナル部へ容易にアクセス可能なターミナルカバーを提供すること。
【解決手段】ターミナルカバー1は、電気絶縁性を有しており、バッテリー3に配されたバッテリーポスト31とバッテリーポスト31に接続されたターミナル部2とを覆うものである。ターミナルカバー1は、バッテリーポスト31及びターミナル部2とを覆うカバー本体部10と、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13とを有している。ターミナルカバー1は、蓋体13が作業口121を覆う閉状態と、蓋体13が作業口121を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されている。
【解決手段】ターミナルカバー1は、電気絶縁性を有しており、バッテリー3に配されたバッテリーポスト31とバッテリーポスト31に接続されたターミナル部2とを覆うものである。ターミナルカバー1は、バッテリーポスト31及びターミナル部2とを覆うカバー本体部10と、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13とを有している。ターミナルカバー1は、蓋体13が作業口121を覆う閉状態と、蓋体13が作業口121を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーのバッテリーポスト及びターミナル部を覆うターミナルカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等のバッテリーにおいて電極をなすバッテリーポストには、バッテリーの電力を外部機器へと供給するために、電力供給線が接続される。電力供給線の端部には、ターミナル部が設けられており、ターミナル部をバッテリーポストと接続することにより、バッテリーポストと電力供給線とが接続される。ターミナル部及びバッテリーポストには、接触によるショートや漏電を防止するために、ターミナル部及びバッテリーポストを覆う電気絶縁性を備えたターミナルカバーが配される。
【0003】
ターミナルカバーとしては、特許文献1に示されたように、バッテリーポスト92とターミナル部93とを覆う閉状態と、それらを開放する開状態とに切換え可能に構成されたものがある(図13)。このタイプのターミナルカバー9は、バッテリーポスト92とターミナル部93とを覆うカバー部90と、バッテリーポスト92の軸線と垂直に配された回転軸91とを備えている。また、ターミナル部93には、回転軸91を回転可能に軸支する軸受部931を備えている。ターミナル部93の軸受部931にターミナルカバー9の回転軸91を配することにより、回転軸91を中心として、ターミナルカバー9をバッテリーポスト92の軸線方向に回転させることができる。これにより、ターミナルカバー9を開閉させることができる。このように、ターミナルカバー9を開閉可能に構成することにより、ターミナル部93へのアクセスを容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−31204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のターミナルカバー9には以下の問題点がある。
ターミナルカバー9においては、バッテリーの上方に充分なスペースが確保することができない場合に、ターミナルカバー9を開閉することができない。
【0006】
例えば、バッテリーを自動車の車室内に配置する際には、クォーターパネル等の車室内に面して配される側壁において、横方向に窪ませたバッテリー配置スペースを形成し、その内側にバッテリーを配する場合がある。このとき、周辺に配される部品の配置によって、バッテリーの上方に充分な作業スペースを確保することができない場合がある。そのため、ターミナル部93にアクセスするためには、バッテリーをバッテリー配置スペースから取り出す必要がある。したがって、このような場合にはターミナル部93へのアクセスが容易に行えない。
【0007】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、バッテリーの上方にスペースが不足している場合においても、ターミナル部へ容易にアクセス可能なターミナルカバーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、バッテリーに配されたバッテリーポストと該バッテリーポストに接続されたターミナル部とを覆う電気絶縁性のターミナルカバーであって、
上記バッテリーポスト及び上記ターミナル部とを覆うカバー本体部と、
該カバー本体部の側面に貫通形成された作業口と、該作業口を覆う蓋体とを有しており、
該蓋体が上記作業口を覆う閉状態と、上記蓋体が上記作業口を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されていることを特徴とするターミナルカバーにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0009】
上記ターミナルカバーは、上記カバー本体部の側面に貫通形成された上記作業口と、該作業口を覆う上記蓋体とを有しており、該蓋体が上記作業口を覆う閉状態と、上記蓋体が上記作業口を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されている。つまり、上記作業口は、上記カバー本体部の側面に形成されているため、上記作業口の上記蓋体を開閉する際に、上記ターミナルカバーの上方のスペースによる影響を受けにくい。したがって、例えば、上方のスペースが狭い場合においても上記作業口を開閉することができ、該作業口から上記ターミナル部へのアクセスを容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1における、ターミナルカバーの組付状態を示す説明図。
【図2】実施例1における、バッテリーの搭載状態を示す正面図。
【図3】実施例1における、バッテリーの搭載状態を示す平面図(図2におけるA−A矢視断面図)。
【図4】実施例1における、構成部品を示す分解説明図。
【図5】実施例1における、ターミナル部の要部拡大平面図。
【図6】実施例1における、ターミナル部の要部拡大正面図(図5における、B矢視方向の説明図)。
【図7】実施例1における、ターミナルカバーの単体図。
【図8】実施例1における、ターミナルカバーの断面形状を示す説明図(図1における、D−D線矢視断面図)。
【図9】実施例1における、蓋体を閉状態としたターミナルカバーを示す断面図(図1における、E−E線矢視断面図)。
【図10】実施例1における、蓋体を開状態としたターミナルカバーを示す断面図(図1における、E−E線矢視断面図)。
【図11】実施例1における、蓋体を開状態としたターミナルカバーを示す説明図。
【図12】実施例1における、カバー本体部を開状態としたターミナルカバーを示す説明図。
【図13】背景技術における、ターミナルカバーを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記ターミナルカバーにおいて、上記蓋体と上記カバー本体部とは、両者の間に設けられた第1薄肉部からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、上記蓋体が上記第1薄肉部を中心に回転可能に構成することもできる(請求項2)。この場合には、上記蓋体と上記カバー本体部とを一部品として扱うことができ、その取り扱いを容易とすることができる。
【0012】
また、上記ターミナル部は、上記バッテリーの点検を行うバッテリーテスターの検出部を接続可能に構成された接続部を備えており、上記作業口は、上記接続部と対応した位置に形成することができる(請求項3)。この場合には、上記作業口の内側に上記接続部が配されているため、上記接続部の位置を把握しやすい。したがって、上記検出部と上記接続部との接続作業を容易に行うことができる。
【0013】
また、上記作業口には、上記バッテリーテスターの上記検出部の姿勢を規制する姿勢規制手段を備えることができる(請求項4)。例えば、上記接続部に接続された上記検出部の姿勢によっては、上記検出部と周辺部品とが干渉する場合が考えられる。そのため、上記姿勢規制手段を備えることにより、上記検出部の姿勢を規制し、上記検出部と周辺部品との干渉を防止することができる。
【0014】
また、上記姿勢規制手段は、上記作業口の内周端部により構成することができる(請求項5)。この場合には、上記ターミナルカバーの構造を複雑とすることなく、上記姿勢規制手段を容易に設けることができる。
【0015】
また、上記ターミナルカバーは、上記ターミナル部と固定される固定部を備え、上記カバー本体部は、上記固定部に対して回転可能に構成されており、上記バッテリーポスト及び上記ターミナル部を覆うカバー位置と、これらを露出させる開放位置との間で移動可能に構成することができる(請求項6)。この場合には、上記カバー本体部を上記バッテリーの上方に向かって開放することができる。そのため、上記バッテリーの上方にスペースが確保されている場合には、上記カバー本体部を上方に向かって開放し、上記ターミナル部にアクセスすることができる。これにより、1つの部品で種々の配置状態に対応することができ、配置自由度を向上することができる。
【0016】
また、上記カバー本体部と上記固定部とは、両者の間に設けられた第2薄肉部からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、上記カバー本体部は、上記第2薄肉部を中心として回転可能に構成することができる(請求項7)。この場合には上記カバー本体部と上記固定部とを一部品として取り扱うことができ、その取り扱いを容易とすることができる。
【0017】
また、上記カバー本体部は、該カバー本体部の位置を規制するために上記ターミナル部に係合する係合部を備えることができる(請求項8)。この場合には、上記ターミナルカバーに外力が付与された場合においても、上記ターミナル部から上記ターミナルカバーが外れることを防止することができる。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
ターミナルカバーにかかる実施例について、図1〜図12を参照して説明する。
図1に示すごとく、ターミナルカバー1は、電気絶縁性を有しており、バッテリー3に配されたバッテリーポスト31とバッテリーポスト31に接続されたターミナル部2とを覆うものである。ターミナルカバー1は、バッテリーポスト31及びターミナル部2とを覆うカバー本体部10と、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13とを有している。ターミナルカバー1は、蓋体13が作業口121を覆う閉状態(図9)と、蓋体13が作業口121を覆っていない開状態(図10)とに切換え可能に構成されている。
【0019】
本例のターミナルカバー1について、さらに詳細に説明する。
本例は、自動車において車室内に配置されたバッテリー3のバッテリーポスト31と、バッテリーポスト31と接続されたターミナル部2とを覆うターミナルカバー1を示すものである。
【0020】
図2及び図3に示すごとく、バッテリー3は、車室内に面して配されたクォーターパネルにおいて、横方向に窪ませるように形成されたバッテリー配置スペース41の内側に配してある。バッテリー配置スペース41において、バッテリー3の上方に位置する天井面42とバッテリー上面33との間の距離は、ターミナルカバー1の高さにバッテリーポスト31の高さを加えた値よりも小さく、バッテリー配置スペース41内にバッテリー3を配置した状態でターミナルカバー1を上方に向かって開放することができない。
【0021】
バッテリー上面33において手前側の位置には、略円錐台形状をなす2つのバッテリーポスト31、32が配されており、一方はプラス電極をなし、他方はマイナス電極をなしている。本例においては、図3及び図4に示すバッテリーポスト31をプラス電極とし、反対側のバッテリーポスト32をマイナス電極とした。したがって、接触によりショートや漏電が発生する可能性があるプラス電極側のバッテリーポスト31及びターミナル部2にターミナルカバー1を配した。
【0022】
ターミナル部2は、図4に示すごとく、車体側の機器と接続されたワイヤーハーネス22と接続されており、バッテリーポスト31と接続されるターミナル本体部21と、ターミナル本体部21とワイヤーハーネス22との間に配されたヒュージブルリンク23とを有している。
【0023】
ターミナル本体部21は、図5及び図6に示すごとく、バッテリーポスト31に固定されるターミナル保持部211と、ターミナル保持部211を締め付ける締付部213と、ヒュージブルリンク23と接続されるターミナル連結部216とを備えている。ターミナル保持部211は、略長方形状の板材をその長手方向が円周上に配されるよう略筒状に形成されており、その軸方向から見たとき円周上に開口部212を有すると共に、軸方向と直交する方向から見たとき略円錐台形状をなしている。
【0024】
ターミナル保持部211の開口部212に配された一対の端部には、それぞれボルト挿通穴(図示略)が形成されると共に径方向外側に向かって立設した一対の締付部213が形成されている。ボルト挿通穴にボルト214を挿通しナット215と締結することで、開口部212の間隔を狭めると共にターミナル保持部211の内径が狭められる。これにより、ターミナル保持部211をバッテリーポスト31に固定することができる。
【0025】
ターミナル連結部216は、ターミナル保持部211において締付部213と反対側の位置における下端部から、ターミナル保持部211の軸線方向と垂直な平面上に形成されると共に締付部213と反対側に向かって延設されている。
【0026】
図4に示すごとく、ヒュージブルリンク23は、一対の電極を有するヒューズ234を内蔵しており、一方の電極はワイヤーハーネス22と接続されており、他方の電極はバスバー231と接続されている。
【0027】
図5及び図6に示すごとく、バスバー231は、ヒュージブルリンク23から延設されており、その延設方向とターミナル連結部216の延設方向とが同方向となるように、ターミナル本体部21の上面に重ねて配される。バスバー231とターミナル連結部216とは、ボルト232とナット233とにより互いに締結固定される。図8に示すごとく、本例において、バスバー231の幅寸法W1は、ターミナル連結部216の幅寸法W2に対して大きく設定されており、バスバー231の端部がターミナル連結部216の端部から突き出すように配されている。
また、本例においては、バスバー231が配された範囲で、かつ後述の姿勢規制手段18の範囲内をバッテリーテスターの検出部5と接続する接続部24とした。
【0028】
上記のごとく接続されたバッテリーポスト31及びターミナル部2は、ターミナルカバー1によって覆われている。
図1及び図7に示すごとく、ターミナルカバー1は、電気絶縁性を備えた絶縁樹脂によって形成されており、バッテリーポスト31とターミナル部2とを覆うカバー本体部10と、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13と、ターミナル部2と固定される固定部16とを有している。
【0029】
カバー本体部10は、図1、図3及び図8に示すごとく、略長方形状のカバー上面部11と、カバー上面部11から下方に向かって垂下するよう形成されたカバー側面部12とを備えている。
【0030】
図1および図7に示すごとく、カバー上面部11をなす略長方形状における一方の長辺から垂下したカバー側面部12には、貫通形成された作業口121を有している。作業口121は、ターミナルカバー1をバッテリー3に組付けた際に、接続部24と対応する位置で、かつバッテリー配置スペース41の開口部側に配されるよう形成されている。作業口121において固定部16と反対側に配された内周端部122は、ターミナルカバー1をバッテリー3に組付けた際に、バスバー231の延設方向先端部と対応した位置に形成されている。
また、本例においては、作業口121を1つとしたが、任意の位置に複数の作業口を形成することもできる。
【0031】
図9及び図10に示すごとく、作業口121を覆う蓋体13とカバー本体部10とは、作業口121における上方に配された内周端部122と、蓋体13の上端との間に設けられた第1薄肉部14からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、蓋体13は、第1薄肉部14を中心に回転可能に構成されている。これにより、図9に示す蓋体13が作業口121を覆う閉状態と、図10に示す蓋体13を回転させ作業口121を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されている。尚、蓋体13とカバー本体部10とを繋ぐ第1薄肉部14の形成位置は、上記の形成位置に限るものではなく、作業口121のいずれか一つの内周端部122と、この一つの内周端部と対向する蓋体13の端部との間に形成することができる。
【0032】
図8〜図10に示すごとく、カバー本体部10は、カバー本体部10の位置を規制するためにターミナル部2に係合する一対の係合部17を備えている。一対の係合部17は、カバー本体部10のカバー上面部11から下方に向かって垂下する係合本体部171と、係合本体部171から突出した係合爪部172とを備えている。一対の係合部17は、カバー上面部11をなす略長方形状の長手方向と直交する方向にバスバー231の幅W1と対応した間隔を介して配されており、バスバー231の幅方向における両端部とそれぞれ係合可能に構成されている。
【0033】
図11に示すごとく、作業口121側に配された係合部17は、作業口121の内側に配されており、固定部16と反対側に配された内周端部122と係合部17との間の距離が、バッテリーテスターの検出部5の幅と対応するように配してある。これにより、内周端部122と係合部17とが検出部5の姿勢規制手段18をなし、検出部5を作業口121へ挿入する範囲を規制すると共に、検出部5を接続部24へと接続した際の検出部5の姿勢を規制することができる。
【0034】
尚、本例においては、作業口121の内周端部122と係合部17とによって姿勢規制手段18を構成したがこれに限るものではなく、種々の構造を用いることができる。姿勢規制手段18としては、例えば、作業口の内周端部のみによって構成することもできるし、係合部17のような規制部を作業口の内側に一対設けて構成することもできる。また、本例に示すごとく、作業口の内周端部と規制部とを組み合わせて構成することも可能である。
【0035】
図1、図3及び図4に示すごとく、固定部16は、ヒュージブルリンク23が備えるヒューズを覆うように固定されており、上方から見てヒュージブルリンク23の外形と対応した略矩形状の固定上面部161と、固定上面部161の外周から垂下するように配された固定側壁部162とを備えている。固定側壁部162において、カバー本体部10と固定部16との並び方向と直交する方向に配された2つの固定側壁部162には固定係合爪(図示略)が形成されており、ヒュージブルリンク23に形成された被係合部(図示略)と係合可能に構成されている。これにより、固定部16をヒュージブルリンク23へと固定している。
【0036】
図1及び図12に示すごとく、固定部16とカバー本体部10とは、互いに対向する固定側壁部162とカバー側面部12との間に設けられた第2薄肉部15からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、カバー本体部10は、第2薄肉部15を中心として回転可能に構成されている。第2薄肉部15は、カバー上面部11と平行な平面上に形成されており、図1に示すバッテリーポスト31及びターミナル部2を覆うカバー位置と、図12に示すカバー本体部10を上方に回転させバッテリーポスト31及びターミナル部2を露出させる開放位置との間で移動可能に構成されている。尚、固定部とカバー本体部とを繋ぐ第2薄肉部は、固定部及びカバー本体部の形状に応じて、種々の位置に形成することができる。
【0037】
次に本例の作用効果について説明する。
ターミナルカバー1は、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13とを有しており、蓋体13が作業口121を覆う閉状態と、蓋体13が作業口121を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されている。つまり、作業口121は、カバー本体部10の側面に形成されているため、作業口121の蓋体13を開閉する際に、ターミナルカバー1の上方のスペースによる影響を受けにくい。したがって、例えば、上方のスペースが狭い場合においても作業口121を開閉することができ、作業口121からターミナル部2へのアクセスを容易化することができる。
【0038】
ターミナルカバー1において、蓋体13とカバー本体部10とは、両者の間に設けられた第1薄肉部14からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、蓋体13が第1薄肉部14を中心に回転可能に構成してある。そのため、蓋体13とカバー本体部10とを一部品として扱うことができ、その取り扱いを容易とすることができる。
【0039】
また、ターミナル部2は、バッテリー3の点検を行うバッテリーテスターの検出部5を接続可能に構成された接続部24を備えており、作業口121は、接続部24と対応した位置に形成してある。これにより、作業口121の内側に接続部24が配されているため、接続部24の位置を把握しやすい。したがって、検出部5と接続部24との接続作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、作業口121には、バッテリーテスターの検出部5の姿勢を規制する姿勢規制手段18を備えている。例えば、接続部24に接続された検出部5の姿勢によっては、検出部5と周辺部品とが干渉する場合が考えられる。そのため、姿勢規制手段18を備えることにより、検出部5の姿勢を規制し、検出部5と周辺部品との干渉を防止することができる。
【0041】
また、姿勢規制手段18は、作業口121の少なくとも一部を内周端部122により構成してある。そのため、ターミナルカバー1の構造を複雑とすることなく、姿勢規制手段18を容易に設けることができる。
【0042】
また、ターミナルカバー1は、ターミナル部2と固定される固定部16を備え、カバー本体部10は、固定部16に対して回転可能に構成されており、バッテリーポスト31及びターミナル部2を覆うカバー位置と、これらを露出させる開放位置との間で移動可能に構成してある。そのため、カバー本体部10をバッテリー3の上方に向かって開放することができる。したがって、バッテリー3の上方にスペースが確保されている場合には、カバー本体部10を上方に向かって開放し、ターミナル部2にアクセスすることができる。これにより、1つの部品で種々の配置状態に対応することができ、配置自由度を向上することができる。
【0043】
また、カバー本体部10と固定部16とは、両者の間に設けられた第2薄肉部15からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、カバー本体部10は、第2薄肉部15を中心として回転可能に構成してある。この場合にはカバー本体部10と固定部16とを一部品として取り扱うことができ、その取り扱いを容易とすることができる。
【0044】
また、カバー本体部10は、カバー本体部10の位置を規制するためにターミナル部2に係合する係合部17を備えている。そのため、ターミナルカバー1に外力が付与された場合においても、ターミナル部2からターミナルカバー1が外れることを防止することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ターミナルカバー
10 カバー本体部
121 作業口
13 蓋体
2 ターミナル部
3 バッテリー
31、32 バッテリーポスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーのバッテリーポスト及びターミナル部を覆うターミナルカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等のバッテリーにおいて電極をなすバッテリーポストには、バッテリーの電力を外部機器へと供給するために、電力供給線が接続される。電力供給線の端部には、ターミナル部が設けられており、ターミナル部をバッテリーポストと接続することにより、バッテリーポストと電力供給線とが接続される。ターミナル部及びバッテリーポストには、接触によるショートや漏電を防止するために、ターミナル部及びバッテリーポストを覆う電気絶縁性を備えたターミナルカバーが配される。
【0003】
ターミナルカバーとしては、特許文献1に示されたように、バッテリーポスト92とターミナル部93とを覆う閉状態と、それらを開放する開状態とに切換え可能に構成されたものがある(図13)。このタイプのターミナルカバー9は、バッテリーポスト92とターミナル部93とを覆うカバー部90と、バッテリーポスト92の軸線と垂直に配された回転軸91とを備えている。また、ターミナル部93には、回転軸91を回転可能に軸支する軸受部931を備えている。ターミナル部93の軸受部931にターミナルカバー9の回転軸91を配することにより、回転軸91を中心として、ターミナルカバー9をバッテリーポスト92の軸線方向に回転させることができる。これにより、ターミナルカバー9を開閉させることができる。このように、ターミナルカバー9を開閉可能に構成することにより、ターミナル部93へのアクセスを容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−31204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のターミナルカバー9には以下の問題点がある。
ターミナルカバー9においては、バッテリーの上方に充分なスペースが確保することができない場合に、ターミナルカバー9を開閉することができない。
【0006】
例えば、バッテリーを自動車の車室内に配置する際には、クォーターパネル等の車室内に面して配される側壁において、横方向に窪ませたバッテリー配置スペースを形成し、その内側にバッテリーを配する場合がある。このとき、周辺に配される部品の配置によって、バッテリーの上方に充分な作業スペースを確保することができない場合がある。そのため、ターミナル部93にアクセスするためには、バッテリーをバッテリー配置スペースから取り出す必要がある。したがって、このような場合にはターミナル部93へのアクセスが容易に行えない。
【0007】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、バッテリーの上方にスペースが不足している場合においても、ターミナル部へ容易にアクセス可能なターミナルカバーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、バッテリーに配されたバッテリーポストと該バッテリーポストに接続されたターミナル部とを覆う電気絶縁性のターミナルカバーであって、
上記バッテリーポスト及び上記ターミナル部とを覆うカバー本体部と、
該カバー本体部の側面に貫通形成された作業口と、該作業口を覆う蓋体とを有しており、
該蓋体が上記作業口を覆う閉状態と、上記蓋体が上記作業口を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されていることを特徴とするターミナルカバーにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0009】
上記ターミナルカバーは、上記カバー本体部の側面に貫通形成された上記作業口と、該作業口を覆う上記蓋体とを有しており、該蓋体が上記作業口を覆う閉状態と、上記蓋体が上記作業口を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されている。つまり、上記作業口は、上記カバー本体部の側面に形成されているため、上記作業口の上記蓋体を開閉する際に、上記ターミナルカバーの上方のスペースによる影響を受けにくい。したがって、例えば、上方のスペースが狭い場合においても上記作業口を開閉することができ、該作業口から上記ターミナル部へのアクセスを容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1における、ターミナルカバーの組付状態を示す説明図。
【図2】実施例1における、バッテリーの搭載状態を示す正面図。
【図3】実施例1における、バッテリーの搭載状態を示す平面図(図2におけるA−A矢視断面図)。
【図4】実施例1における、構成部品を示す分解説明図。
【図5】実施例1における、ターミナル部の要部拡大平面図。
【図6】実施例1における、ターミナル部の要部拡大正面図(図5における、B矢視方向の説明図)。
【図7】実施例1における、ターミナルカバーの単体図。
【図8】実施例1における、ターミナルカバーの断面形状を示す説明図(図1における、D−D線矢視断面図)。
【図9】実施例1における、蓋体を閉状態としたターミナルカバーを示す断面図(図1における、E−E線矢視断面図)。
【図10】実施例1における、蓋体を開状態としたターミナルカバーを示す断面図(図1における、E−E線矢視断面図)。
【図11】実施例1における、蓋体を開状態としたターミナルカバーを示す説明図。
【図12】実施例1における、カバー本体部を開状態としたターミナルカバーを示す説明図。
【図13】背景技術における、ターミナルカバーを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記ターミナルカバーにおいて、上記蓋体と上記カバー本体部とは、両者の間に設けられた第1薄肉部からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、上記蓋体が上記第1薄肉部を中心に回転可能に構成することもできる(請求項2)。この場合には、上記蓋体と上記カバー本体部とを一部品として扱うことができ、その取り扱いを容易とすることができる。
【0012】
また、上記ターミナル部は、上記バッテリーの点検を行うバッテリーテスターの検出部を接続可能に構成された接続部を備えており、上記作業口は、上記接続部と対応した位置に形成することができる(請求項3)。この場合には、上記作業口の内側に上記接続部が配されているため、上記接続部の位置を把握しやすい。したがって、上記検出部と上記接続部との接続作業を容易に行うことができる。
【0013】
また、上記作業口には、上記バッテリーテスターの上記検出部の姿勢を規制する姿勢規制手段を備えることができる(請求項4)。例えば、上記接続部に接続された上記検出部の姿勢によっては、上記検出部と周辺部品とが干渉する場合が考えられる。そのため、上記姿勢規制手段を備えることにより、上記検出部の姿勢を規制し、上記検出部と周辺部品との干渉を防止することができる。
【0014】
また、上記姿勢規制手段は、上記作業口の内周端部により構成することができる(請求項5)。この場合には、上記ターミナルカバーの構造を複雑とすることなく、上記姿勢規制手段を容易に設けることができる。
【0015】
また、上記ターミナルカバーは、上記ターミナル部と固定される固定部を備え、上記カバー本体部は、上記固定部に対して回転可能に構成されており、上記バッテリーポスト及び上記ターミナル部を覆うカバー位置と、これらを露出させる開放位置との間で移動可能に構成することができる(請求項6)。この場合には、上記カバー本体部を上記バッテリーの上方に向かって開放することができる。そのため、上記バッテリーの上方にスペースが確保されている場合には、上記カバー本体部を上方に向かって開放し、上記ターミナル部にアクセスすることができる。これにより、1つの部品で種々の配置状態に対応することができ、配置自由度を向上することができる。
【0016】
また、上記カバー本体部と上記固定部とは、両者の間に設けられた第2薄肉部からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、上記カバー本体部は、上記第2薄肉部を中心として回転可能に構成することができる(請求項7)。この場合には上記カバー本体部と上記固定部とを一部品として取り扱うことができ、その取り扱いを容易とすることができる。
【0017】
また、上記カバー本体部は、該カバー本体部の位置を規制するために上記ターミナル部に係合する係合部を備えることができる(請求項8)。この場合には、上記ターミナルカバーに外力が付与された場合においても、上記ターミナル部から上記ターミナルカバーが外れることを防止することができる。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
ターミナルカバーにかかる実施例について、図1〜図12を参照して説明する。
図1に示すごとく、ターミナルカバー1は、電気絶縁性を有しており、バッテリー3に配されたバッテリーポスト31とバッテリーポスト31に接続されたターミナル部2とを覆うものである。ターミナルカバー1は、バッテリーポスト31及びターミナル部2とを覆うカバー本体部10と、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13とを有している。ターミナルカバー1は、蓋体13が作業口121を覆う閉状態(図9)と、蓋体13が作業口121を覆っていない開状態(図10)とに切換え可能に構成されている。
【0019】
本例のターミナルカバー1について、さらに詳細に説明する。
本例は、自動車において車室内に配置されたバッテリー3のバッテリーポスト31と、バッテリーポスト31と接続されたターミナル部2とを覆うターミナルカバー1を示すものである。
【0020】
図2及び図3に示すごとく、バッテリー3は、車室内に面して配されたクォーターパネルにおいて、横方向に窪ませるように形成されたバッテリー配置スペース41の内側に配してある。バッテリー配置スペース41において、バッテリー3の上方に位置する天井面42とバッテリー上面33との間の距離は、ターミナルカバー1の高さにバッテリーポスト31の高さを加えた値よりも小さく、バッテリー配置スペース41内にバッテリー3を配置した状態でターミナルカバー1を上方に向かって開放することができない。
【0021】
バッテリー上面33において手前側の位置には、略円錐台形状をなす2つのバッテリーポスト31、32が配されており、一方はプラス電極をなし、他方はマイナス電極をなしている。本例においては、図3及び図4に示すバッテリーポスト31をプラス電極とし、反対側のバッテリーポスト32をマイナス電極とした。したがって、接触によりショートや漏電が発生する可能性があるプラス電極側のバッテリーポスト31及びターミナル部2にターミナルカバー1を配した。
【0022】
ターミナル部2は、図4に示すごとく、車体側の機器と接続されたワイヤーハーネス22と接続されており、バッテリーポスト31と接続されるターミナル本体部21と、ターミナル本体部21とワイヤーハーネス22との間に配されたヒュージブルリンク23とを有している。
【0023】
ターミナル本体部21は、図5及び図6に示すごとく、バッテリーポスト31に固定されるターミナル保持部211と、ターミナル保持部211を締め付ける締付部213と、ヒュージブルリンク23と接続されるターミナル連結部216とを備えている。ターミナル保持部211は、略長方形状の板材をその長手方向が円周上に配されるよう略筒状に形成されており、その軸方向から見たとき円周上に開口部212を有すると共に、軸方向と直交する方向から見たとき略円錐台形状をなしている。
【0024】
ターミナル保持部211の開口部212に配された一対の端部には、それぞれボルト挿通穴(図示略)が形成されると共に径方向外側に向かって立設した一対の締付部213が形成されている。ボルト挿通穴にボルト214を挿通しナット215と締結することで、開口部212の間隔を狭めると共にターミナル保持部211の内径が狭められる。これにより、ターミナル保持部211をバッテリーポスト31に固定することができる。
【0025】
ターミナル連結部216は、ターミナル保持部211において締付部213と反対側の位置における下端部から、ターミナル保持部211の軸線方向と垂直な平面上に形成されると共に締付部213と反対側に向かって延設されている。
【0026】
図4に示すごとく、ヒュージブルリンク23は、一対の電極を有するヒューズ234を内蔵しており、一方の電極はワイヤーハーネス22と接続されており、他方の電極はバスバー231と接続されている。
【0027】
図5及び図6に示すごとく、バスバー231は、ヒュージブルリンク23から延設されており、その延設方向とターミナル連結部216の延設方向とが同方向となるように、ターミナル本体部21の上面に重ねて配される。バスバー231とターミナル連結部216とは、ボルト232とナット233とにより互いに締結固定される。図8に示すごとく、本例において、バスバー231の幅寸法W1は、ターミナル連結部216の幅寸法W2に対して大きく設定されており、バスバー231の端部がターミナル連結部216の端部から突き出すように配されている。
また、本例においては、バスバー231が配された範囲で、かつ後述の姿勢規制手段18の範囲内をバッテリーテスターの検出部5と接続する接続部24とした。
【0028】
上記のごとく接続されたバッテリーポスト31及びターミナル部2は、ターミナルカバー1によって覆われている。
図1及び図7に示すごとく、ターミナルカバー1は、電気絶縁性を備えた絶縁樹脂によって形成されており、バッテリーポスト31とターミナル部2とを覆うカバー本体部10と、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13と、ターミナル部2と固定される固定部16とを有している。
【0029】
カバー本体部10は、図1、図3及び図8に示すごとく、略長方形状のカバー上面部11と、カバー上面部11から下方に向かって垂下するよう形成されたカバー側面部12とを備えている。
【0030】
図1および図7に示すごとく、カバー上面部11をなす略長方形状における一方の長辺から垂下したカバー側面部12には、貫通形成された作業口121を有している。作業口121は、ターミナルカバー1をバッテリー3に組付けた際に、接続部24と対応する位置で、かつバッテリー配置スペース41の開口部側に配されるよう形成されている。作業口121において固定部16と反対側に配された内周端部122は、ターミナルカバー1をバッテリー3に組付けた際に、バスバー231の延設方向先端部と対応した位置に形成されている。
また、本例においては、作業口121を1つとしたが、任意の位置に複数の作業口を形成することもできる。
【0031】
図9及び図10に示すごとく、作業口121を覆う蓋体13とカバー本体部10とは、作業口121における上方に配された内周端部122と、蓋体13の上端との間に設けられた第1薄肉部14からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、蓋体13は、第1薄肉部14を中心に回転可能に構成されている。これにより、図9に示す蓋体13が作業口121を覆う閉状態と、図10に示す蓋体13を回転させ作業口121を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されている。尚、蓋体13とカバー本体部10とを繋ぐ第1薄肉部14の形成位置は、上記の形成位置に限るものではなく、作業口121のいずれか一つの内周端部122と、この一つの内周端部と対向する蓋体13の端部との間に形成することができる。
【0032】
図8〜図10に示すごとく、カバー本体部10は、カバー本体部10の位置を規制するためにターミナル部2に係合する一対の係合部17を備えている。一対の係合部17は、カバー本体部10のカバー上面部11から下方に向かって垂下する係合本体部171と、係合本体部171から突出した係合爪部172とを備えている。一対の係合部17は、カバー上面部11をなす略長方形状の長手方向と直交する方向にバスバー231の幅W1と対応した間隔を介して配されており、バスバー231の幅方向における両端部とそれぞれ係合可能に構成されている。
【0033】
図11に示すごとく、作業口121側に配された係合部17は、作業口121の内側に配されており、固定部16と反対側に配された内周端部122と係合部17との間の距離が、バッテリーテスターの検出部5の幅と対応するように配してある。これにより、内周端部122と係合部17とが検出部5の姿勢規制手段18をなし、検出部5を作業口121へ挿入する範囲を規制すると共に、検出部5を接続部24へと接続した際の検出部5の姿勢を規制することができる。
【0034】
尚、本例においては、作業口121の内周端部122と係合部17とによって姿勢規制手段18を構成したがこれに限るものではなく、種々の構造を用いることができる。姿勢規制手段18としては、例えば、作業口の内周端部のみによって構成することもできるし、係合部17のような規制部を作業口の内側に一対設けて構成することもできる。また、本例に示すごとく、作業口の内周端部と規制部とを組み合わせて構成することも可能である。
【0035】
図1、図3及び図4に示すごとく、固定部16は、ヒュージブルリンク23が備えるヒューズを覆うように固定されており、上方から見てヒュージブルリンク23の外形と対応した略矩形状の固定上面部161と、固定上面部161の外周から垂下するように配された固定側壁部162とを備えている。固定側壁部162において、カバー本体部10と固定部16との並び方向と直交する方向に配された2つの固定側壁部162には固定係合爪(図示略)が形成されており、ヒュージブルリンク23に形成された被係合部(図示略)と係合可能に構成されている。これにより、固定部16をヒュージブルリンク23へと固定している。
【0036】
図1及び図12に示すごとく、固定部16とカバー本体部10とは、互いに対向する固定側壁部162とカバー側面部12との間に設けられた第2薄肉部15からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、カバー本体部10は、第2薄肉部15を中心として回転可能に構成されている。第2薄肉部15は、カバー上面部11と平行な平面上に形成されており、図1に示すバッテリーポスト31及びターミナル部2を覆うカバー位置と、図12に示すカバー本体部10を上方に回転させバッテリーポスト31及びターミナル部2を露出させる開放位置との間で移動可能に構成されている。尚、固定部とカバー本体部とを繋ぐ第2薄肉部は、固定部及びカバー本体部の形状に応じて、種々の位置に形成することができる。
【0037】
次に本例の作用効果について説明する。
ターミナルカバー1は、カバー本体部10の側面に貫通形成された作業口121と、作業口121を覆う蓋体13とを有しており、蓋体13が作業口121を覆う閉状態と、蓋体13が作業口121を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されている。つまり、作業口121は、カバー本体部10の側面に形成されているため、作業口121の蓋体13を開閉する際に、ターミナルカバー1の上方のスペースによる影響を受けにくい。したがって、例えば、上方のスペースが狭い場合においても作業口121を開閉することができ、作業口121からターミナル部2へのアクセスを容易化することができる。
【0038】
ターミナルカバー1において、蓋体13とカバー本体部10とは、両者の間に設けられた第1薄肉部14からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、蓋体13が第1薄肉部14を中心に回転可能に構成してある。そのため、蓋体13とカバー本体部10とを一部品として扱うことができ、その取り扱いを容易とすることができる。
【0039】
また、ターミナル部2は、バッテリー3の点検を行うバッテリーテスターの検出部5を接続可能に構成された接続部24を備えており、作業口121は、接続部24と対応した位置に形成してある。これにより、作業口121の内側に接続部24が配されているため、接続部24の位置を把握しやすい。したがって、検出部5と接続部24との接続作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、作業口121には、バッテリーテスターの検出部5の姿勢を規制する姿勢規制手段18を備えている。例えば、接続部24に接続された検出部5の姿勢によっては、検出部5と周辺部品とが干渉する場合が考えられる。そのため、姿勢規制手段18を備えることにより、検出部5の姿勢を規制し、検出部5と周辺部品との干渉を防止することができる。
【0041】
また、姿勢規制手段18は、作業口121の少なくとも一部を内周端部122により構成してある。そのため、ターミナルカバー1の構造を複雑とすることなく、姿勢規制手段18を容易に設けることができる。
【0042】
また、ターミナルカバー1は、ターミナル部2と固定される固定部16を備え、カバー本体部10は、固定部16に対して回転可能に構成されており、バッテリーポスト31及びターミナル部2を覆うカバー位置と、これらを露出させる開放位置との間で移動可能に構成してある。そのため、カバー本体部10をバッテリー3の上方に向かって開放することができる。したがって、バッテリー3の上方にスペースが確保されている場合には、カバー本体部10を上方に向かって開放し、ターミナル部2にアクセスすることができる。これにより、1つの部品で種々の配置状態に対応することができ、配置自由度を向上することができる。
【0043】
また、カバー本体部10と固定部16とは、両者の間に設けられた第2薄肉部15からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、カバー本体部10は、第2薄肉部15を中心として回転可能に構成してある。この場合にはカバー本体部10と固定部16とを一部品として取り扱うことができ、その取り扱いを容易とすることができる。
【0044】
また、カバー本体部10は、カバー本体部10の位置を規制するためにターミナル部2に係合する係合部17を備えている。そのため、ターミナルカバー1に外力が付与された場合においても、ターミナル部2からターミナルカバー1が外れることを防止することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ターミナルカバー
10 カバー本体部
121 作業口
13 蓋体
2 ターミナル部
3 バッテリー
31、32 バッテリーポスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーに配されたバッテリーポストと該バッテリーポストに接続されたターミナル部とを覆う電気絶縁性のターミナルカバーであって、
上記バッテリーポスト及び上記ターミナル部とを覆うカバー本体部と、
該カバー本体部の側面に貫通形成された作業口と、該作業口を覆う蓋体とを有しており、
該蓋体が上記作業口を覆う閉状態と、上記蓋体が上記作業口を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項2】
請求項1に記載のターミナルカバーにおいて、上記蓋体と上記カバー本体部とは、両者の間に設けられた第1薄肉部からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、上記蓋体が上記第1薄肉部を中心に回転可能に構成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のターミナルカバーにおいて、上記ターミナル部は、上記バッテリーの点検を行うバッテリーテスターの検出部を接続可能に構成された接続部を備えており、上記作業口は、上記接続部と対応した位置に形成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のターミナルカバーにおいて、上記作業口には、上記バッテリーテスターの上記検出部の姿勢を規制する姿勢規制手段を備えていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項5】
請求項4に記載のターミナルカバーにおいて、上記姿勢規制手段は、上記作業口の内周端部により構成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のターミナルカバーにおいて、上記ターミナル部と固定される固定部を備え、上記カバー本体部は、上記固定部に対して回転可能に構成されており、上記バッテリーポスト及び上記ターミナル部を覆うカバー位置と、これらを露出させる開放位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のターミナルカバーにおいて、上記カバー本体部と上記固定部とは、両者の間に設けられた第2薄肉部からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、上記カバー本体部は、上記第2薄肉部を中心として回転可能に構成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のターミナルカバーにおいて、上記カバー本体部は、該カバー本体部の位置を規制するために上記ターミナル部に係合する係合部を備えていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項1】
バッテリーに配されたバッテリーポストと該バッテリーポストに接続されたターミナル部とを覆う電気絶縁性のターミナルカバーであって、
上記バッテリーポスト及び上記ターミナル部とを覆うカバー本体部と、
該カバー本体部の側面に貫通形成された作業口と、該作業口を覆う蓋体とを有しており、
該蓋体が上記作業口を覆う閉状態と、上記蓋体が上記作業口を覆っていない開状態とに切換え可能に構成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項2】
請求項1に記載のターミナルカバーにおいて、上記蓋体と上記カバー本体部とは、両者の間に設けられた第1薄肉部からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、上記蓋体が上記第1薄肉部を中心に回転可能に構成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のターミナルカバーにおいて、上記ターミナル部は、上記バッテリーの点検を行うバッテリーテスターの検出部を接続可能に構成された接続部を備えており、上記作業口は、上記接続部と対応した位置に形成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のターミナルカバーにおいて、上記作業口には、上記バッテリーテスターの上記検出部の姿勢を規制する姿勢規制手段を備えていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項5】
請求項4に記載のターミナルカバーにおいて、上記姿勢規制手段は、上記作業口の内周端部により構成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のターミナルカバーにおいて、上記ターミナル部と固定される固定部を備え、上記カバー本体部は、上記固定部に対して回転可能に構成されており、上記バッテリーポスト及び上記ターミナル部を覆うカバー位置と、これらを露出させる開放位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のターミナルカバーにおいて、上記カバー本体部と上記固定部とは、両者の間に設けられた第2薄肉部からなるインテグラルヒンジと共に一体成形されており、上記カバー本体部は、上記第2薄肉部を中心として回転可能に構成されていることを特徴とするターミナルカバー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のターミナルカバーにおいて、上記カバー本体部は、該カバー本体部の位置を規制するために上記ターミナル部に係合する係合部を備えていることを特徴とするターミナルカバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−69590(P2013−69590A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208231(P2011−208231)
【出願日】平成23年9月23日(2011.9.23)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月23日(2011.9.23)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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