ダイオード素子およびこのダイオード素子を電子源とした表示装置
【課題】薄膜電子源に好適なMIM型ダイオード素子の電子加速層を陽極酸化で形成する際の成膜不均一に起因する面内もしくは隣接画素間の電子放出量の分布の不均一を抑制し、表示装置に適用した場合の面内輝度差を低減可能としたダイオード素子を提供する。
【解決手段】MIM型ダイオード素子を構成する絶縁層12が下部電極11の表面を陽極酸化により形成した非晶質な酸化膜であり、下部電極11をアルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜で形成し、陽極酸化されるアルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜を非晶質体とした。
【解決手段】MIM型ダイオード素子を構成する絶縁層12が下部電極11の表面を陽極酸化により形成した非晶質な酸化膜であり、下部電極11をアルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜で形成し、陽極酸化されるアルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜を非晶質体とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属−絶縁層−金属型のダイオード素子に関し、特にマトリクス状に配置された複数の電子源から放出された電子で蛍光面を発光させて画像を表示するフラットパネル方式の画像表示装置における薄膜型電子源に好適なダイオード素子およびこのダイオード素子を電子源とした表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微小で集積可能な薄膜型の電子源(電子放出素子、エミッタ、あるいはカソードとも言う) アレイを用いて画像を表示する装置として、特に、薄型のフラットパネルディスプレイ(FPD)と略称される表示装置して、金属―絶縁体―金属(MIM)型、金属―絶縁体―半導体(MIS)型、表面伝導型、あるいは金属―絶縁体―半導体−金属型等の薄膜型電子源を用いた画像表示装置などがある。ここでは、MIM型の薄膜型電子源アレイを構成するダイオード素子と、このダイオード素子を用いた表示装置を例として説明する。なお、薄膜型電子源アレイを薄膜型電子源あるいは単に電子源とも称する。また、この種のフラットパネル方式の表示装置を単にパネルとも称する。この種の表示装置に関する従来技術を開示したものとしては、特許文献1を挙げることができる。また、非特許文献1には、MIMの電子放出素子の動作原理と構造が解説されている。
【0003】
図20は、薄膜型電子源の基本構造の一例をMIM型のダイオード素子を用いて説明する断面図である。そして、図21は、図20のダイオード素子の動作原理を説明する図である。MIM型の薄膜型電子源は、絶縁基板10に成膜した下部電極11にトンネル絶縁層(電子加速層とも言う)12と層間絶縁層14を介して交叉させて積層した上部電極13を有する。上部電極13には上部電極給電配線16と接続電極15により給電される。上部電極給電線配線16の上には表面保護層17が形成され、その上に上部電極形成用の薄膜13’が成膜されている。
【0004】
先ず、図20に示した薄膜型電子源の動作原理を図21により説明する。図21において、上部電極13と下部電極11の間に駆動電圧Vdを印加して、電子加速層であるトンネル絶縁層12内の電界を1〜10MV/cm程度にすると、下部電極11中のフェルミ準位近傍の電子はトンネル現象により、障壁を透過し、トンネル絶縁層12、上部電極13の伝導帯へ注入されホットエレクトロンとなる。
【0005】
これらのホットエレクトロンはトンネル絶縁層12の中、上部電極13の中で拡散されてエネルギーを損失するが、上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーを有する一部のホットエレクトロンは真空20中に放出される。他の薄膜型電子源も、原理は多少異なるものもあるが、薄い上部電極13を通してホットエレクトロンを放出する点で共通する。
【0006】
そして、図20に断面構造を示したように、このような薄膜型電子源を構成するダイオード素子の下部電極11と、この下部電極11に交差する上部電極13およびこの上部電極13に給電する上部電極給電線配線16を二次元マトリクス状に配置して電子源アレイとし、下部電極11に表示信号を印加し、上部電極13(上部電極給電配線16)に走査信号を印加して交差部の薄膜型電子源からの電子を蛍光体に指向させて励起することで画像表示を行う。なお、この場合、上部電極給電配線16は走査線バス配線となる。
【0007】
電子加速層であるトンネル絶縁層は、下部電極である下地金属(アルミニウム(Al)又はアルミニウム合金(アルミニウムと例えばネオジム(Nd)の合金)、あるいは金属タンタル(Ta)など)を陽極酸化した酸化膜で構成される。
【特許文献1】特開2004−111053号公報
【特許文献2】特開平8−31302号公報
【非特許文献1】楠等、「月刊ディスプレイ」平成14年3月、株式会社テクノタイムズ社発行、Vol.8No.3,p54(2002)
【非特許文献2】Schultze , et al. Corrosion Engineering, Science and Technology Vol.39 No.1, p45 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
下地金属を酸化して酸化膜の絶縁層を形成する時、一般的に熱酸化が使われる。この場合、膜厚、界面準位、固定電荷などの物性値が、熱処理条件のみならず下地の結晶状態に依存することが知られている。電気化学的な酸化方法である陽極酸化においても、同様な現象が起きることが非特許文献1に報告されている。また、金属タンタル(Ta)を陽極酸化してMIMエミッタを形成した公知例として特許文献2がある。この中で、下地の金属タンタル(Ta)膜を非晶質にすることで、(1)ダイオード電流が下がり、(2)同時にエミッション電流が増大する、ことが開示されている。この理由として、多結晶金属では粒界が存在し、粒界部の酸化膜欠陥がリーク電流の発生源となる。このため非晶質にすれば、粒界の影響がなくなりエミッションに寄与しないリーク電流が減少する。また同時に、酸化膜の安定性が改善されるので、エミッション電流も増大すると説明している。
【0009】
これに対して本発明はAl合金を用いたMIMエミッタを取り扱う。上記文献を参考に、同様な実験を試みたところ異なる現象を見出した。図1は、下地膜に、無配向多結晶膜と(1 1 1)配向多結晶膜のそれぞれからなるMIMエミッタにおけるエミッション電流、ダイオード電流のダイオード電圧依存性を示す図である。図1では、下地膜に無配向多結晶膜(以下、無配向膜(後述のB膜)と呼ぶ)と(111)配向多結晶膜(以下、配向膜(後述のA膜)と呼ぶ)のそれぞれからなるMIMエミッタにおける、エミッション電流、ダイオード電流のダイオード電圧依存性を示す。
【0010】
図1に示されたように、(1)前記文献のTaからなるMIMエミッタとは異なり、ダイオードのリーク電流は小さく、かつ明確な閾値特性を有している。(2)ダイオード電流のリーク電流に両者の差は見られない。(3)配向膜の方が約0.5V右に閾値がずれている。(4)閾値の違いを考慮すれば、両者のエミッション電流、及び電子利用効率は同等である。
【0011】
このように、Ta酸化膜とは異なる電気特性を示すのは、Ta酸化膜の電気伝導がP−F(プール・フレンケル)伝導で行われるの対して、Al酸化膜ではF−N(ファウラ・ノルドハイム)伝導が関与しているためと考えられる。従って配向の違いによる電気特性を説明するには、粒界の影響とは別な理由を見出す必要がある。
【0012】
上記(2)〜(4)の現象が起きた理由としては、A(1 1 1)配向膜の酸化膜厚が、無配向に比べて厚い、B(1 1 1)配向膜の方が、酸化膜中における正の固定電荷が少ない、等が考えられるが、原因を特定することは現段階で困難である。
【0013】
試みに、ダイオードの電流−電圧特性を、いわゆるF−Nプロットにすると、J/E2と1/Eが直線に乗る。この傾きと切片から障壁高さと電子の有効質量が求まる。このとき、仮説Aを採用し配向膜の膜厚を5%厚めに仮定すると、
【表1】
となり、実測を良く再現することができる。
【0014】
いずれにせよ、下地膜の結晶性によって素子の電気特性が影響を受けるのは好ましいとは言えない。製造過程で結晶配向を適切に制御しなければならない。
【0015】
本発明の目的は、薄膜電子源に好適なMIM型ダイオード素子の電子加速層を陽極酸化で形成する際の成膜不均一に起因する面内もしくは隣接画素間の電子放出量の分布の不均一を抑制し、表示装置に適用した場合の面内輝度差を低減可能としたダイオード素子およびこのダイオード素子を電子源とした表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明は、電子加速層を形成するための下地金属である下部電極を、[I]無配向膜とする、あるいは[II]低配向膜とするが基板内の配向分布を制限する、ことを基本構成とする。本発明の代表的構成を記述すれば、以下のとおりである。
【0017】
本発明のダイオード素子は、平坦な基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子を構成する。
【0018】
そして、前記絶縁層は、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が非晶質体であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜からの広角X線回折における(2 2 0)回折線のピーク強度と(1 1 1)回折線のピーク強度の比[(2 2 0)強度/(1 1 1)強度]が0.2から0.6の範囲にある低配向なアルミニウムもしくはアルミニウム合金膜の結晶体であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、実用時において、前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が、前記基板内における優先配向結晶面のX線回折ロッキングカーブの半値幅分布が10%以下の結晶体であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明のダイオード素子は、その前記下部電極に対して、前記上部電極に正バイアスを印加することによりホットエレクトロンを前記絶縁膜に注入し、該注入されたホットエレクトロンの一部を前記上部電極から真空へ放出させる冷陰極型電子源を構成するものであり、前記上部電極は、当該電極中の電子散乱に関する平均自由工程に比べて同等あるいはそれ以下の膜厚を有し、かつ、その表面仕事関数が当該電極中のホットエレクトロンの最高エネルギーよりも小さいことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、前記ダイオード素子の前記上部電極は、イリジウム、白金、金の順で重ねられた積層膜であることを特徴とする。
【0023】
そして、本発明の表示装置は、マトリクス配置された複数の電子源を内面に備えた平坦な第1の基板と、前記電子源のそれぞれに対応して配置された複数の蛍光体を備えた平坦な第2の基板とを有し、この電子源として上記した構成のダイオード素子を用いたことを特徴とする。
【0024】
本発明は、上記構成および後述する実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【発明の効果】
【0025】
薄膜電子源に好適なMIM型ダイオード素子の電子加速層を陽極酸化で形成する際の成膜不均一に起因する面内もしくは隣接画素間の電子放出量の分布の不均一が抑制され、表示装置に適用した場合の面内輝度差が低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の最良の実施形態を実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
実施例1では、配向度の異なる低配向膜から作られたダイオード素子で構成したMIMエミッタの特性の違いを開示する。図2は、広角X線回折スペクトルで示す各種アルミニウムーネオジム(Al−Nd)膜の回折角と回折強度の関係を説明する図である。図2をもとに、配向性の強弱を表す指標として配高度を次のように定義する。すなわち、
配向度 = (2 2 0)強度 /(1 1 1)強度、
各仕様の膜に対して、配向度を算出すると、
無配向膜:0.035,0.06、配向膜0.55、JCPDSカード:0.22
これから、配向度が0.2から0.6の膜を低配向であるとする。Al合金の成膜に下記のA膜〜C膜を用いた。
【0028】
(1)(1 1 1)配向膜の成膜(A膜):インライン型のDCマグネトロンスパッタ装置を使用した。インライン型のDCマグネトロンスパッタ装置では、短冊状の固定ターゲットを用い、その前を基板が一定速度で通過することで成膜を行う。この本装置は、ロードロック機構とオイルフリーな排気系を有するので、ベースプレッシャーは10-7Torr程度と高真空になる。このような装置を用いて、高成膜レート条件で得る膜は通常(1 1 1)配向となる。
【0029】
(2)低配向膜の成膜:(1)のA膜とは逆に、ロードロック機構を持たない油拡散ポンプを持つRFマグネトロンスパッタ装置(B膜)と、オイルフリー排気系をもつDCマグネトロンスパッタ装置(C膜)を使用した。このような装置を用いて、低成膜レート条件で得る膜は、チャンバー内の残留ガス(水、ハイドロカーボン)や、プロセスガス(Ar)を巻き込んで成長するため無配向膜となる。
【0030】
上記のそれぞれの膜の結晶配向性を評価するために、広角X線回折スペクトルを取得した。その結果が図2に示される。A膜では、(1 1 1)回折線のほかに、(2 2 0)等の回折ピークが観測された。これに対してB、C膜では、微弱な回折ピークが見られるだけであった。
【実施例2】
【0031】
実施例2では、基板内に配向分布がある場合を説明する。Al合金の成膜に、前述のインライン型のDCマグネトロンスパッタ装置を使用した。このスパッタ装置ではターゲットに遥動型のマグネットが装備されており、遥動によりいわゆるエロージョンと呼ばれるスパッタ現象が集中する領域の発生を防止している。しかしながら、この遥動により基板内で約10%の輝度分布が生じることが判った。
【0032】
図3は、本発明の実施例2を説明するカソード基板の表示画面の前面点灯表示写真(a)と、トンネル部の表面凹凸分布をAFMで測定した結果(b)、および同分布を触針式段差計で測定した結果(c)を示す図である。ここでは、作製したカソードアレー(エミッタアレー)基板を、緑蛍光体を全面に塗布したガラス基板と対向させ,真空容器中で全面点灯試験を行った。
【0033】
図3の(a)写真から、縦縞(4本の暗部,約90mm周期)模様が判別できる。当該部分の基板を切り出し、トンネル絶縁膜(エミッション領域)をAFMにより表面粗さを、また触針式段差系で巻く厚を測定した。その結果、上記明暗と表面粗さ(二乗平均荒さ)との間には相関が見られたのに対し、膜厚とは相関が見られなかった。
【0034】
図4は、図3で用いたカソード基板と同一条件で作製したAl−Nd膜のトンネル部の表面凹凸分布をAFMで測定した結果(a)と、同一箇所を絶対反射率の分布を測定した結果(b)、および同一箇所でシート抵抗の分布を測定した結果(c)を示す図である。。これによれば、表面粗さと絶対反射率とは相関があることが判る。一方、表面粗さとシート抵抗とは相関が見られなかった。
【0035】
次に、X線解析により、Al合金膜の結晶性を評価した。図5は、図3で用いたカソード基板と同一条件で作製したAl−Nd膜の絶対反射率を測定した結果(a)と、(a)の測定箇所と同一箇所で(1 1 1)回折ピークのロッキングカーブから得た回折強度(b)、半値幅(c)、面間隔(d)の測定結果を示す図である。回折強度と半値幅には、縦縞と同じ周期の変動が観測されることから、マグネットの遥動により配向性が変調されることが判明した。
【0036】
回折強度の最大点(半値幅の最小点)は、絶対反射率の最小点 = 表面粗さの最小点すなわち輝度分布の暗点に対応しており、このことは実施例1における(1 1 1)配向膜では電流が流れ難い(閾値が右にシフトする)結果と一致している。
【0037】
この測定から(1 1 1)配向膜を使う場合、少なくとも強度比で、(Imax−Imin)/(Imax+Imin)=39.0%、もしくは半値幅比で、(Wmax−Wmin)/(Wmax+Wmin)=8.8%以下の配向分布に制御しないと、輝度分布10%以下の均一性が得られないことが判った。
【0038】
本件の場合、その対策としてマグネットの遥動を停止して成膜したところ、(1 1 1)半値幅比で2%の配向膜が得られ、もはや縦縞は視認出来なくなった。
【0039】
ここで、実施例で開示したX線回折の測定方法について説明すると、
(1)広角X線回折の測定条件:広角X線回折の測定にはX線回折装置を用い、X線源にはCuターゲットを用いて、50kV、250mAの出力とした。分光器結晶は、検出器前に設置したグラファイトを用い、Cu−kα線(波長:15418Å)のみを取り出した。検出器にはシンチレーションカウンターを用いた。試料直前の発散スリットは0.5度、試料直後の散乱スリットは0.5度、検出直前の受光スリットは0.3mmとした。測定は、θ−2θ走査、2度/分の連続スキャン、0.05度ステップ、走査範囲は2θで10度〜100度とした。
【0040】
(2)回折線(111)のロッキングカーブの測定条件:ロッキングカーブの測定には薄膜X線回折装置を用いた。X線源にはCuターゲットを用い、40kV、400mAの出力とした。分光器結晶は、光源直下に設置した多層膜鏡を用い、Cu−K線(波長:15418Å)のみを取り出した。検出器にはシンチレーションカウンターを用いた。試料直前のスリットは0.2×10mm、検出器直前のソーラースリットは0.4度とし、ビームサイズ10mm方向の角度発散を制限した。(1 1 1)回折線の角度(2θ)に検出器を設置し、試料へのX線入射角:θを走査して測定した。測定は2度/分の連続スキャン、0.1度ステップ、走査範囲はθで0度〜38度とした。
【0041】
次に、図6乃至図15により、本発明のダイオード素子を適用した表示装置の電子源を製造する工程を説明する。図7は図6に続く工程図、図8は図7に続く工程図、・・・図15は図14に続く工程図で、各図において、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A’線に沿った断面図、(c)は(a)のB−B’線に沿った断面図を示す。
【0042】
図6において、ガラス等の絶縁性の基板(背面基板、あるいはカソード基板とも称する)10上に信号電極11(以下、下部電極11)用の金属膜を成膜する。下部電極11の材料としてはアルミニウム(A1)やアルミニウム合金を用いる。ここでは、ネオジム(Nd)を2原子量%ドープしたA1−Nd合金を用いた。この金属膜の成膜には、例えば、スパッタ法を用いる。膜厚は300nmとした。成膜後はホトリソグラフィ工程、エッチングエ程により図6に示すようなストライプ状の下部電極11を形成する。エッチング液には、例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液によるウェットエッチングを適用する。
【0043】
図7において、下部電極11の一部にレジストパターンを付与し、表面を局所的に陽極酸化する。続いて、局所酸化に用いたレジストパターンを剥離し、下部電極11の表面を再度陽極酸化し、下部電極11上に電子加速層となる絶縁層(トンネル絶縁膜)12を形成する。トンネル絶縁膜12の回りにはフィールド絶縁膜12Aが形成される。この時、既に酸化膜が成長した領域では、酸化は行われず、前工程でレジストに覆われていた領域だけに酸化膜が成長する。
【0044】
図8は、信号線の端子部における図8と同様の説明図である。本発明では、信号線の端子部にも画素部分と同様の絶縁層12が複数形成される。
【0045】
図9において、絶縁層14として、窒化珪素SiN(例えば、Si3N4)をスパッタ法により形成する。接続電極15としてクロム(Cr)を100nm、上部電極給電線(上部電極給電配線、走査線バス配線)16としてA1合金を2μm、その上に表面保護層17としてクロム(Cr)を形成する。
【0046】
図10において、走査線となる部分に表面保護層17のCrを残す。Crのエッチングには、硝酸セリウム2アンモニウムと硝酸の混合水溶液が適している。このとき、表面保護層17の線幅は、次工程で作製される上部電極給電線16の線幅よりも狭くなるように設計する必要がある。これは、上部電極給電線16が2μmのA1合金からなるため、ウェットエッチングにより同程度のサイドエッチングの発生が避けられないためである。これを考慮しないと表面保護層17が上部電極給電線16から庇上に張り出す。表面保護層電極17の庇上に張り出した部分は、強度が不十分で、製造工程中容易に崩落や、剥離を起こし、走査線間のショート不良に至るとともに、高電圧印加時に電界集中を起こすため致命的な放電を誘発する。
【0047】
図11において、上部電極給電線16を下部電極11とは直交する方向にストライプ状に加工する。エッチング液には例えば、燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液(PAN)が適している。
【0048】
図12において、接続電極15を絶縁膜14の開口部側にせり出すように、また反対側では上部電極給電配線16に対して後退するように(アンダーカットができるように)加工する。このためには、ホトレジストパターン18を、前者では接続電極15上に、後者では表面保護層17上に配してウェットエッチングを行えばよい。エッチング液には前述の硝酸セリウム2アンモニウムと硝酸との混合水溶液が好適である。このとき、絶縁膜下層14はトンネル絶縁膜12をエッチング液から守るエッチングストッパーの役割を担っている。
【0049】
図13において、電子放出部を開けるために、レジストパターン18を形成しホトリソグラフィとドライエッチングにより絶縁膜14の一部を開口する。エッチングガスにはCF4と02との混合ガスが好適である。露出したトンネル絶縁膜12には再度陽極酸化を施し、エッチングによる加工損傷を修復してもよい。図14に示したようにレジストパターンを除去する。
【0050】
図15に示したように、上部電極13を形成してカソード基板(電子源基板、陰極基板)が完成する。上部電極13の成膜にはシャドウマスクを用い、基板周辺に配された電気配線の端子部分などに成膜しないようにスパッタリング(スパッタ)法で行う。上部電極給電線16は前述のアンダーカット構造部分で被服不良を起こし、上部電極13が走査線毎に自動的に分離される。上部電極13の材料としては、Ir,Pt,Auの積層膜を用い、それぞれの膜厚は数nmとする。これにより、ホトリソグラフィ・エッチングに付随する上部電極13やトンネル絶縁膜12への汚染や損傷を回避することができる。
【0051】
MIM型カソード基板を用いた画像表示装置の構成例を図16と図17により説明する。まず、上述したプロセスでカソード基板10上にMIM型電子源を複数個配列したカソード基板を作製する。説明のため、図16には(3×4)ドットのMIM型電子源基板の平面図と断面図を示したが、実際には表示ドット数に対応した数のMIM型電子源のマトリクスを形成する。
【0052】
図16(a)は平面図、図16(b)は図16(a)のA−A’断面図、図16(c)は図16(a)のB−B’断面図である。前記の説明における符号と同一符号は同一機能部分に対応する。
【0053】
図17により、前面基板(アノード基板とも称する)の構成をその作製方法で説明する。図17(a)は平面図、図17(b)は図17(a)のA−A’断面図、図17(c)は図17(a)のB−B’断面図である。前記の説明における符号と同一符号は同一機能部分に対応する。アノード基板110には透光性のガラスなどを用いる。
【0054】
まず、画像表示装置のコントラストを上げる目的でブラックマトリクス117を形成する。ブラックマトリクス117は、PVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸アンモニウムとを混合した溶液をアノード基板110に塗布し、ブラックマトリクス117を形成したい部分以外に紫外線を照射して感光させた後、未感光部分を除去し、そこに黒鉛粉末を溶かした溶液を塗布してPVAをリフトオフすることにより形成する。
【0055】
次に、赤色蛍光体111を形成する。蛍光体粒子にPVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸アンモニウムとを混合した水溶液をアノード基板110上に塗布した後、蛍光体を形成する部分に紫外線を照射して感光させた後、未感光部分を流水で除去する。このようにして赤色蛍光体111をパターン化する。同様にして、緑色蛍光体112と青色蛍光体113を形成する。蛍光体としては、例えば赤色にY202S:Eu(P22−R)、緑色にZnS:Cu,Al(P22−G)、青色にZnS:Ag(P22−B)を用いればよい。
【0056】
次いで、ニトロセルロースなどの膜でフィルミングして表面を平坦化した後、アノード基板110全体にAlを膜厚75nm程度蒸着してメタルバック114とする。このメタルバック114が加速電極として働く。その後、アノード基板110を大気中400℃程度に加熱してフィルミング膜やPVAなどの有機物を加熱分解する。このようにして、アノード基板が完成する。このようにして製作したアノード基板110とカソード基板10とをスペーサ30を介し、表示領域の周囲に枠ガラス116を介在させてフリットガラス115で封着する。
【0057】
図18は、カソード基板とアノード基板を貼り合わせた画像表示装置断面図であり、図18(a)は図17のA−A’断面に相当し、図18(b)は図17のB‐B’断面に相当する。貼り合わせたアノード基板110とカソード基板10間の距離は1〜3mm程度になるようにスペーサ30の高さを設定する。スペーサ30は、例えば板状のガラスまたはセラミックスを上部電極給電線16上に配置する。この場合、スペーサが表示基板側のブラックマトリクス117の下に配置されるため、スペーサ30は発光を阻害しない。ここでは、説明のため、R(赤)、G(緑)、B(青)に発光するドット毎、すなわち上部電極給電線16上の上に全てスペーサ30を立てているが、実際は機械強度が耐える範囲でスペーサ30の枚数(密度)を減らし、例えば数cmおきに立てればよい。
【0058】
また、ここでは説明しなかったが、支柱状のスペーサ、格子状のスペーサを使用する場合でも同様な手法によりパネル組み立てが可能である。封着したパネルは、10-7Torr程度の真空に排気して封じ切る。封止後、内蔵したゲッターを活性化し、基板と枠とで構成される容器内を高真空に維持する。例えば、Baを主成分とするゲッター材の場合、高周波誘導加熱等によりゲッター膜を形成できる。また、Zrを主成分とする非蒸発型ゲッターを用いてもよい。このようにして、MIM型電子源を用いた表示パネルが完成する。アノード基板110とカソード基板10間の距離は1〜3mm程度と長いので、メタルバック114に印加する加速電圧を1〜10KVと高電圧に出来る。これにより、蛍光体には陰極線管(CRT)用の蛍光体を使用できる。
【0059】
図19は、本発明の画像表示装置の全体構成例の概略を説明する展開斜視図である。カソード基板を構成する背面パネルPNL1には、そのカソード基板10の内面に、一方向に延在し該一方向と直交する他方向に並設されて前記他方向に走査信号が順次印加される複数の走査線で構成される上部電極13と、他方向に延在し走査線で構成される上部電極13に交差する如く前記一方向に並設された複数の信号線11(下部電極11)と、上部電極13と下部電極11の各交叉部近傍に設けた電子源ELSを有する。陰極基板10の上に下部電極11が形成され、その上に層間絶縁層を介して上部電極13が形成されている。
【0060】
そして、アノード基板を構成する前面パネルPNL2には、その基板110の内面にブラックマトリクス43で互いに区画された3色(赤(R)、緑(G)、青(B))の3つの副画素41と、アノード(陽極)43が形成されている。この構成例では、陰極基板10の走査線で構成される上部電極13の上に、当該走査線13に沿ってスペーサ30を設置して両パネルを所定の間隔で図示しない枠ガラスを介在させて貼り合せ、真空封止している。スペーサ30は一枚のみ図示したが、通常は一本の走査線を構成する上部電極13の上に複数に分割して、かつ何本かの上部電極13ごとに設置される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】下地膜に、無配向多結晶膜と(1 1 1)配向多結晶膜のそれぞれからなるMIMエミッタにおけるエミッション電流、ダイオード電流のダイオード電圧依存性を示す図である。
【図2】広角X線回折スペクトルで示す各種アルミニウムーネオジム膜の回折角と回折強度の関係を説明する図である。
【図3】本発明の実施例2を説明するカソード基板の表示画面の前面点灯表示写真(a)と、トンネル部の表面凹凸分布をAFMで測定した結果(b)、および同分布を触針式段差計で測定した結果(c)を示す図である。
【図4】図3で用いたカソード基板と同一条件で作製したAl−Nd膜のトンネル部の表面凹凸分布をAFMで測定した結果(a)と、同一箇所を絶対反射率の分布を測定した結果(b)、および同一箇所でシート抵抗の分布を測定した結果(c)を示す図である。
【図5】図3で用いたカソード基板と同一条件で作製したAl−Nd膜の絶対反射率を測定した結果(a)と、(a)の測定箇所と同一箇所で(1 1 1)回折ピークのロッキングカーブから得た回折強度(b)、半値幅(c)、面間隔(d)の測定結果を示す図である。
【図6】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図である。
【図7】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図6に続く図である。
【図8】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図7に続く図である。
【図9】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図8に続く図である。
【図10】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図9に続く図である。
【図11】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図10に続く図である。
【図12】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図11に続く図である。
【図13】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図12に続く図である。
【図14】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図13に続く図である。
【図15】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図14に続く図である。
【図16】MIM型カソード基板の構成例を説明する図である。
【図17】アノード基板の構成例を説明する図である。
【図18】カソード基板とアノード基板を貼り合わせた画像表示装置断面図である。
【図19】本発明の画像表示装置の全体構成例の概略を説明する展開斜視図である。
【図20】薄膜型電子源の基本構造例をMIM型を用いて説明する断面図である。
【図21】薄膜型電子源の動作原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0062】
10・・・絶縁基板、11・・・下部電極、12・・・トンネル絶縁層(電子加速層)、13・・・上部電極、14・・・層間絶縁層、15・・・接続電極、16・・・上部電極給電配線、17・・・表面保護膜。
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属−絶縁層−金属型のダイオード素子に関し、特にマトリクス状に配置された複数の電子源から放出された電子で蛍光面を発光させて画像を表示するフラットパネル方式の画像表示装置における薄膜型電子源に好適なダイオード素子およびこのダイオード素子を電子源とした表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微小で集積可能な薄膜型の電子源(電子放出素子、エミッタ、あるいはカソードとも言う) アレイを用いて画像を表示する装置として、特に、薄型のフラットパネルディスプレイ(FPD)と略称される表示装置して、金属―絶縁体―金属(MIM)型、金属―絶縁体―半導体(MIS)型、表面伝導型、あるいは金属―絶縁体―半導体−金属型等の薄膜型電子源を用いた画像表示装置などがある。ここでは、MIM型の薄膜型電子源アレイを構成するダイオード素子と、このダイオード素子を用いた表示装置を例として説明する。なお、薄膜型電子源アレイを薄膜型電子源あるいは単に電子源とも称する。また、この種のフラットパネル方式の表示装置を単にパネルとも称する。この種の表示装置に関する従来技術を開示したものとしては、特許文献1を挙げることができる。また、非特許文献1には、MIMの電子放出素子の動作原理と構造が解説されている。
【0003】
図20は、薄膜型電子源の基本構造の一例をMIM型のダイオード素子を用いて説明する断面図である。そして、図21は、図20のダイオード素子の動作原理を説明する図である。MIM型の薄膜型電子源は、絶縁基板10に成膜した下部電極11にトンネル絶縁層(電子加速層とも言う)12と層間絶縁層14を介して交叉させて積層した上部電極13を有する。上部電極13には上部電極給電配線16と接続電極15により給電される。上部電極給電線配線16の上には表面保護層17が形成され、その上に上部電極形成用の薄膜13’が成膜されている。
【0004】
先ず、図20に示した薄膜型電子源の動作原理を図21により説明する。図21において、上部電極13と下部電極11の間に駆動電圧Vdを印加して、電子加速層であるトンネル絶縁層12内の電界を1〜10MV/cm程度にすると、下部電極11中のフェルミ準位近傍の電子はトンネル現象により、障壁を透過し、トンネル絶縁層12、上部電極13の伝導帯へ注入されホットエレクトロンとなる。
【0005】
これらのホットエレクトロンはトンネル絶縁層12の中、上部電極13の中で拡散されてエネルギーを損失するが、上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーを有する一部のホットエレクトロンは真空20中に放出される。他の薄膜型電子源も、原理は多少異なるものもあるが、薄い上部電極13を通してホットエレクトロンを放出する点で共通する。
【0006】
そして、図20に断面構造を示したように、このような薄膜型電子源を構成するダイオード素子の下部電極11と、この下部電極11に交差する上部電極13およびこの上部電極13に給電する上部電極給電線配線16を二次元マトリクス状に配置して電子源アレイとし、下部電極11に表示信号を印加し、上部電極13(上部電極給電配線16)に走査信号を印加して交差部の薄膜型電子源からの電子を蛍光体に指向させて励起することで画像表示を行う。なお、この場合、上部電極給電配線16は走査線バス配線となる。
【0007】
電子加速層であるトンネル絶縁層は、下部電極である下地金属(アルミニウム(Al)又はアルミニウム合金(アルミニウムと例えばネオジム(Nd)の合金)、あるいは金属タンタル(Ta)など)を陽極酸化した酸化膜で構成される。
【特許文献1】特開2004−111053号公報
【特許文献2】特開平8−31302号公報
【非特許文献1】楠等、「月刊ディスプレイ」平成14年3月、株式会社テクノタイムズ社発行、Vol.8No.3,p54(2002)
【非特許文献2】Schultze , et al. Corrosion Engineering, Science and Technology Vol.39 No.1, p45 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
下地金属を酸化して酸化膜の絶縁層を形成する時、一般的に熱酸化が使われる。この場合、膜厚、界面準位、固定電荷などの物性値が、熱処理条件のみならず下地の結晶状態に依存することが知られている。電気化学的な酸化方法である陽極酸化においても、同様な現象が起きることが非特許文献1に報告されている。また、金属タンタル(Ta)を陽極酸化してMIMエミッタを形成した公知例として特許文献2がある。この中で、下地の金属タンタル(Ta)膜を非晶質にすることで、(1)ダイオード電流が下がり、(2)同時にエミッション電流が増大する、ことが開示されている。この理由として、多結晶金属では粒界が存在し、粒界部の酸化膜欠陥がリーク電流の発生源となる。このため非晶質にすれば、粒界の影響がなくなりエミッションに寄与しないリーク電流が減少する。また同時に、酸化膜の安定性が改善されるので、エミッション電流も増大すると説明している。
【0009】
これに対して本発明はAl合金を用いたMIMエミッタを取り扱う。上記文献を参考に、同様な実験を試みたところ異なる現象を見出した。図1は、下地膜に、無配向多結晶膜と(1 1 1)配向多結晶膜のそれぞれからなるMIMエミッタにおけるエミッション電流、ダイオード電流のダイオード電圧依存性を示す図である。図1では、下地膜に無配向多結晶膜(以下、無配向膜(後述のB膜)と呼ぶ)と(111)配向多結晶膜(以下、配向膜(後述のA膜)と呼ぶ)のそれぞれからなるMIMエミッタにおける、エミッション電流、ダイオード電流のダイオード電圧依存性を示す。
【0010】
図1に示されたように、(1)前記文献のTaからなるMIMエミッタとは異なり、ダイオードのリーク電流は小さく、かつ明確な閾値特性を有している。(2)ダイオード電流のリーク電流に両者の差は見られない。(3)配向膜の方が約0.5V右に閾値がずれている。(4)閾値の違いを考慮すれば、両者のエミッション電流、及び電子利用効率は同等である。
【0011】
このように、Ta酸化膜とは異なる電気特性を示すのは、Ta酸化膜の電気伝導がP−F(プール・フレンケル)伝導で行われるの対して、Al酸化膜ではF−N(ファウラ・ノルドハイム)伝導が関与しているためと考えられる。従って配向の違いによる電気特性を説明するには、粒界の影響とは別な理由を見出す必要がある。
【0012】
上記(2)〜(4)の現象が起きた理由としては、A(1 1 1)配向膜の酸化膜厚が、無配向に比べて厚い、B(1 1 1)配向膜の方が、酸化膜中における正の固定電荷が少ない、等が考えられるが、原因を特定することは現段階で困難である。
【0013】
試みに、ダイオードの電流−電圧特性を、いわゆるF−Nプロットにすると、J/E2と1/Eが直線に乗る。この傾きと切片から障壁高さと電子の有効質量が求まる。このとき、仮説Aを採用し配向膜の膜厚を5%厚めに仮定すると、
【表1】
となり、実測を良く再現することができる。
【0014】
いずれにせよ、下地膜の結晶性によって素子の電気特性が影響を受けるのは好ましいとは言えない。製造過程で結晶配向を適切に制御しなければならない。
【0015】
本発明の目的は、薄膜電子源に好適なMIM型ダイオード素子の電子加速層を陽極酸化で形成する際の成膜不均一に起因する面内もしくは隣接画素間の電子放出量の分布の不均一を抑制し、表示装置に適用した場合の面内輝度差を低減可能としたダイオード素子およびこのダイオード素子を電子源とした表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明は、電子加速層を形成するための下地金属である下部電極を、[I]無配向膜とする、あるいは[II]低配向膜とするが基板内の配向分布を制限する、ことを基本構成とする。本発明の代表的構成を記述すれば、以下のとおりである。
【0017】
本発明のダイオード素子は、平坦な基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子を構成する。
【0018】
そして、前記絶縁層は、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が非晶質体であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜からの広角X線回折における(2 2 0)回折線のピーク強度と(1 1 1)回折線のピーク強度の比[(2 2 0)強度/(1 1 1)強度]が0.2から0.6の範囲にある低配向なアルミニウムもしくはアルミニウム合金膜の結晶体であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、実用時において、前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が、前記基板内における優先配向結晶面のX線回折ロッキングカーブの半値幅分布が10%以下の結晶体であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明のダイオード素子は、その前記下部電極に対して、前記上部電極に正バイアスを印加することによりホットエレクトロンを前記絶縁膜に注入し、該注入されたホットエレクトロンの一部を前記上部電極から真空へ放出させる冷陰極型電子源を構成するものであり、前記上部電極は、当該電極中の電子散乱に関する平均自由工程に比べて同等あるいはそれ以下の膜厚を有し、かつ、その表面仕事関数が当該電極中のホットエレクトロンの最高エネルギーよりも小さいことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、前記ダイオード素子の前記上部電極は、イリジウム、白金、金の順で重ねられた積層膜であることを特徴とする。
【0023】
そして、本発明の表示装置は、マトリクス配置された複数の電子源を内面に備えた平坦な第1の基板と、前記電子源のそれぞれに対応して配置された複数の蛍光体を備えた平坦な第2の基板とを有し、この電子源として上記した構成のダイオード素子を用いたことを特徴とする。
【0024】
本発明は、上記構成および後述する実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【発明の効果】
【0025】
薄膜電子源に好適なMIM型ダイオード素子の電子加速層を陽極酸化で形成する際の成膜不均一に起因する面内もしくは隣接画素間の電子放出量の分布の不均一が抑制され、表示装置に適用した場合の面内輝度差が低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の最良の実施形態を実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
実施例1では、配向度の異なる低配向膜から作られたダイオード素子で構成したMIMエミッタの特性の違いを開示する。図2は、広角X線回折スペクトルで示す各種アルミニウムーネオジム(Al−Nd)膜の回折角と回折強度の関係を説明する図である。図2をもとに、配向性の強弱を表す指標として配高度を次のように定義する。すなわち、
配向度 = (2 2 0)強度 /(1 1 1)強度、
各仕様の膜に対して、配向度を算出すると、
無配向膜:0.035,0.06、配向膜0.55、JCPDSカード:0.22
これから、配向度が0.2から0.6の膜を低配向であるとする。Al合金の成膜に下記のA膜〜C膜を用いた。
【0028】
(1)(1 1 1)配向膜の成膜(A膜):インライン型のDCマグネトロンスパッタ装置を使用した。インライン型のDCマグネトロンスパッタ装置では、短冊状の固定ターゲットを用い、その前を基板が一定速度で通過することで成膜を行う。この本装置は、ロードロック機構とオイルフリーな排気系を有するので、ベースプレッシャーは10-7Torr程度と高真空になる。このような装置を用いて、高成膜レート条件で得る膜は通常(1 1 1)配向となる。
【0029】
(2)低配向膜の成膜:(1)のA膜とは逆に、ロードロック機構を持たない油拡散ポンプを持つRFマグネトロンスパッタ装置(B膜)と、オイルフリー排気系をもつDCマグネトロンスパッタ装置(C膜)を使用した。このような装置を用いて、低成膜レート条件で得る膜は、チャンバー内の残留ガス(水、ハイドロカーボン)や、プロセスガス(Ar)を巻き込んで成長するため無配向膜となる。
【0030】
上記のそれぞれの膜の結晶配向性を評価するために、広角X線回折スペクトルを取得した。その結果が図2に示される。A膜では、(1 1 1)回折線のほかに、(2 2 0)等の回折ピークが観測された。これに対してB、C膜では、微弱な回折ピークが見られるだけであった。
【実施例2】
【0031】
実施例2では、基板内に配向分布がある場合を説明する。Al合金の成膜に、前述のインライン型のDCマグネトロンスパッタ装置を使用した。このスパッタ装置ではターゲットに遥動型のマグネットが装備されており、遥動によりいわゆるエロージョンと呼ばれるスパッタ現象が集中する領域の発生を防止している。しかしながら、この遥動により基板内で約10%の輝度分布が生じることが判った。
【0032】
図3は、本発明の実施例2を説明するカソード基板の表示画面の前面点灯表示写真(a)と、トンネル部の表面凹凸分布をAFMで測定した結果(b)、および同分布を触針式段差計で測定した結果(c)を示す図である。ここでは、作製したカソードアレー(エミッタアレー)基板を、緑蛍光体を全面に塗布したガラス基板と対向させ,真空容器中で全面点灯試験を行った。
【0033】
図3の(a)写真から、縦縞(4本の暗部,約90mm周期)模様が判別できる。当該部分の基板を切り出し、トンネル絶縁膜(エミッション領域)をAFMにより表面粗さを、また触針式段差系で巻く厚を測定した。その結果、上記明暗と表面粗さ(二乗平均荒さ)との間には相関が見られたのに対し、膜厚とは相関が見られなかった。
【0034】
図4は、図3で用いたカソード基板と同一条件で作製したAl−Nd膜のトンネル部の表面凹凸分布をAFMで測定した結果(a)と、同一箇所を絶対反射率の分布を測定した結果(b)、および同一箇所でシート抵抗の分布を測定した結果(c)を示す図である。。これによれば、表面粗さと絶対反射率とは相関があることが判る。一方、表面粗さとシート抵抗とは相関が見られなかった。
【0035】
次に、X線解析により、Al合金膜の結晶性を評価した。図5は、図3で用いたカソード基板と同一条件で作製したAl−Nd膜の絶対反射率を測定した結果(a)と、(a)の測定箇所と同一箇所で(1 1 1)回折ピークのロッキングカーブから得た回折強度(b)、半値幅(c)、面間隔(d)の測定結果を示す図である。回折強度と半値幅には、縦縞と同じ周期の変動が観測されることから、マグネットの遥動により配向性が変調されることが判明した。
【0036】
回折強度の最大点(半値幅の最小点)は、絶対反射率の最小点 = 表面粗さの最小点すなわち輝度分布の暗点に対応しており、このことは実施例1における(1 1 1)配向膜では電流が流れ難い(閾値が右にシフトする)結果と一致している。
【0037】
この測定から(1 1 1)配向膜を使う場合、少なくとも強度比で、(Imax−Imin)/(Imax+Imin)=39.0%、もしくは半値幅比で、(Wmax−Wmin)/(Wmax+Wmin)=8.8%以下の配向分布に制御しないと、輝度分布10%以下の均一性が得られないことが判った。
【0038】
本件の場合、その対策としてマグネットの遥動を停止して成膜したところ、(1 1 1)半値幅比で2%の配向膜が得られ、もはや縦縞は視認出来なくなった。
【0039】
ここで、実施例で開示したX線回折の測定方法について説明すると、
(1)広角X線回折の測定条件:広角X線回折の測定にはX線回折装置を用い、X線源にはCuターゲットを用いて、50kV、250mAの出力とした。分光器結晶は、検出器前に設置したグラファイトを用い、Cu−kα線(波長:15418Å)のみを取り出した。検出器にはシンチレーションカウンターを用いた。試料直前の発散スリットは0.5度、試料直後の散乱スリットは0.5度、検出直前の受光スリットは0.3mmとした。測定は、θ−2θ走査、2度/分の連続スキャン、0.05度ステップ、走査範囲は2θで10度〜100度とした。
【0040】
(2)回折線(111)のロッキングカーブの測定条件:ロッキングカーブの測定には薄膜X線回折装置を用いた。X線源にはCuターゲットを用い、40kV、400mAの出力とした。分光器結晶は、光源直下に設置した多層膜鏡を用い、Cu−K線(波長:15418Å)のみを取り出した。検出器にはシンチレーションカウンターを用いた。試料直前のスリットは0.2×10mm、検出器直前のソーラースリットは0.4度とし、ビームサイズ10mm方向の角度発散を制限した。(1 1 1)回折線の角度(2θ)に検出器を設置し、試料へのX線入射角:θを走査して測定した。測定は2度/分の連続スキャン、0.1度ステップ、走査範囲はθで0度〜38度とした。
【0041】
次に、図6乃至図15により、本発明のダイオード素子を適用した表示装置の電子源を製造する工程を説明する。図7は図6に続く工程図、図8は図7に続く工程図、・・・図15は図14に続く工程図で、各図において、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A’線に沿った断面図、(c)は(a)のB−B’線に沿った断面図を示す。
【0042】
図6において、ガラス等の絶縁性の基板(背面基板、あるいはカソード基板とも称する)10上に信号電極11(以下、下部電極11)用の金属膜を成膜する。下部電極11の材料としてはアルミニウム(A1)やアルミニウム合金を用いる。ここでは、ネオジム(Nd)を2原子量%ドープしたA1−Nd合金を用いた。この金属膜の成膜には、例えば、スパッタ法を用いる。膜厚は300nmとした。成膜後はホトリソグラフィ工程、エッチングエ程により図6に示すようなストライプ状の下部電極11を形成する。エッチング液には、例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液によるウェットエッチングを適用する。
【0043】
図7において、下部電極11の一部にレジストパターンを付与し、表面を局所的に陽極酸化する。続いて、局所酸化に用いたレジストパターンを剥離し、下部電極11の表面を再度陽極酸化し、下部電極11上に電子加速層となる絶縁層(トンネル絶縁膜)12を形成する。トンネル絶縁膜12の回りにはフィールド絶縁膜12Aが形成される。この時、既に酸化膜が成長した領域では、酸化は行われず、前工程でレジストに覆われていた領域だけに酸化膜が成長する。
【0044】
図8は、信号線の端子部における図8と同様の説明図である。本発明では、信号線の端子部にも画素部分と同様の絶縁層12が複数形成される。
【0045】
図9において、絶縁層14として、窒化珪素SiN(例えば、Si3N4)をスパッタ法により形成する。接続電極15としてクロム(Cr)を100nm、上部電極給電線(上部電極給電配線、走査線バス配線)16としてA1合金を2μm、その上に表面保護層17としてクロム(Cr)を形成する。
【0046】
図10において、走査線となる部分に表面保護層17のCrを残す。Crのエッチングには、硝酸セリウム2アンモニウムと硝酸の混合水溶液が適している。このとき、表面保護層17の線幅は、次工程で作製される上部電極給電線16の線幅よりも狭くなるように設計する必要がある。これは、上部電極給電線16が2μmのA1合金からなるため、ウェットエッチングにより同程度のサイドエッチングの発生が避けられないためである。これを考慮しないと表面保護層17が上部電極給電線16から庇上に張り出す。表面保護層電極17の庇上に張り出した部分は、強度が不十分で、製造工程中容易に崩落や、剥離を起こし、走査線間のショート不良に至るとともに、高電圧印加時に電界集中を起こすため致命的な放電を誘発する。
【0047】
図11において、上部電極給電線16を下部電極11とは直交する方向にストライプ状に加工する。エッチング液には例えば、燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液(PAN)が適している。
【0048】
図12において、接続電極15を絶縁膜14の開口部側にせり出すように、また反対側では上部電極給電配線16に対して後退するように(アンダーカットができるように)加工する。このためには、ホトレジストパターン18を、前者では接続電極15上に、後者では表面保護層17上に配してウェットエッチングを行えばよい。エッチング液には前述の硝酸セリウム2アンモニウムと硝酸との混合水溶液が好適である。このとき、絶縁膜下層14はトンネル絶縁膜12をエッチング液から守るエッチングストッパーの役割を担っている。
【0049】
図13において、電子放出部を開けるために、レジストパターン18を形成しホトリソグラフィとドライエッチングにより絶縁膜14の一部を開口する。エッチングガスにはCF4と02との混合ガスが好適である。露出したトンネル絶縁膜12には再度陽極酸化を施し、エッチングによる加工損傷を修復してもよい。図14に示したようにレジストパターンを除去する。
【0050】
図15に示したように、上部電極13を形成してカソード基板(電子源基板、陰極基板)が完成する。上部電極13の成膜にはシャドウマスクを用い、基板周辺に配された電気配線の端子部分などに成膜しないようにスパッタリング(スパッタ)法で行う。上部電極給電線16は前述のアンダーカット構造部分で被服不良を起こし、上部電極13が走査線毎に自動的に分離される。上部電極13の材料としては、Ir,Pt,Auの積層膜を用い、それぞれの膜厚は数nmとする。これにより、ホトリソグラフィ・エッチングに付随する上部電極13やトンネル絶縁膜12への汚染や損傷を回避することができる。
【0051】
MIM型カソード基板を用いた画像表示装置の構成例を図16と図17により説明する。まず、上述したプロセスでカソード基板10上にMIM型電子源を複数個配列したカソード基板を作製する。説明のため、図16には(3×4)ドットのMIM型電子源基板の平面図と断面図を示したが、実際には表示ドット数に対応した数のMIM型電子源のマトリクスを形成する。
【0052】
図16(a)は平面図、図16(b)は図16(a)のA−A’断面図、図16(c)は図16(a)のB−B’断面図である。前記の説明における符号と同一符号は同一機能部分に対応する。
【0053】
図17により、前面基板(アノード基板とも称する)の構成をその作製方法で説明する。図17(a)は平面図、図17(b)は図17(a)のA−A’断面図、図17(c)は図17(a)のB−B’断面図である。前記の説明における符号と同一符号は同一機能部分に対応する。アノード基板110には透光性のガラスなどを用いる。
【0054】
まず、画像表示装置のコントラストを上げる目的でブラックマトリクス117を形成する。ブラックマトリクス117は、PVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸アンモニウムとを混合した溶液をアノード基板110に塗布し、ブラックマトリクス117を形成したい部分以外に紫外線を照射して感光させた後、未感光部分を除去し、そこに黒鉛粉末を溶かした溶液を塗布してPVAをリフトオフすることにより形成する。
【0055】
次に、赤色蛍光体111を形成する。蛍光体粒子にPVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸アンモニウムとを混合した水溶液をアノード基板110上に塗布した後、蛍光体を形成する部分に紫外線を照射して感光させた後、未感光部分を流水で除去する。このようにして赤色蛍光体111をパターン化する。同様にして、緑色蛍光体112と青色蛍光体113を形成する。蛍光体としては、例えば赤色にY202S:Eu(P22−R)、緑色にZnS:Cu,Al(P22−G)、青色にZnS:Ag(P22−B)を用いればよい。
【0056】
次いで、ニトロセルロースなどの膜でフィルミングして表面を平坦化した後、アノード基板110全体にAlを膜厚75nm程度蒸着してメタルバック114とする。このメタルバック114が加速電極として働く。その後、アノード基板110を大気中400℃程度に加熱してフィルミング膜やPVAなどの有機物を加熱分解する。このようにして、アノード基板が完成する。このようにして製作したアノード基板110とカソード基板10とをスペーサ30を介し、表示領域の周囲に枠ガラス116を介在させてフリットガラス115で封着する。
【0057】
図18は、カソード基板とアノード基板を貼り合わせた画像表示装置断面図であり、図18(a)は図17のA−A’断面に相当し、図18(b)は図17のB‐B’断面に相当する。貼り合わせたアノード基板110とカソード基板10間の距離は1〜3mm程度になるようにスペーサ30の高さを設定する。スペーサ30は、例えば板状のガラスまたはセラミックスを上部電極給電線16上に配置する。この場合、スペーサが表示基板側のブラックマトリクス117の下に配置されるため、スペーサ30は発光を阻害しない。ここでは、説明のため、R(赤)、G(緑)、B(青)に発光するドット毎、すなわち上部電極給電線16上の上に全てスペーサ30を立てているが、実際は機械強度が耐える範囲でスペーサ30の枚数(密度)を減らし、例えば数cmおきに立てればよい。
【0058】
また、ここでは説明しなかったが、支柱状のスペーサ、格子状のスペーサを使用する場合でも同様な手法によりパネル組み立てが可能である。封着したパネルは、10-7Torr程度の真空に排気して封じ切る。封止後、内蔵したゲッターを活性化し、基板と枠とで構成される容器内を高真空に維持する。例えば、Baを主成分とするゲッター材の場合、高周波誘導加熱等によりゲッター膜を形成できる。また、Zrを主成分とする非蒸発型ゲッターを用いてもよい。このようにして、MIM型電子源を用いた表示パネルが完成する。アノード基板110とカソード基板10間の距離は1〜3mm程度と長いので、メタルバック114に印加する加速電圧を1〜10KVと高電圧に出来る。これにより、蛍光体には陰極線管(CRT)用の蛍光体を使用できる。
【0059】
図19は、本発明の画像表示装置の全体構成例の概略を説明する展開斜視図である。カソード基板を構成する背面パネルPNL1には、そのカソード基板10の内面に、一方向に延在し該一方向と直交する他方向に並設されて前記他方向に走査信号が順次印加される複数の走査線で構成される上部電極13と、他方向に延在し走査線で構成される上部電極13に交差する如く前記一方向に並設された複数の信号線11(下部電極11)と、上部電極13と下部電極11の各交叉部近傍に設けた電子源ELSを有する。陰極基板10の上に下部電極11が形成され、その上に層間絶縁層を介して上部電極13が形成されている。
【0060】
そして、アノード基板を構成する前面パネルPNL2には、その基板110の内面にブラックマトリクス43で互いに区画された3色(赤(R)、緑(G)、青(B))の3つの副画素41と、アノード(陽極)43が形成されている。この構成例では、陰極基板10の走査線で構成される上部電極13の上に、当該走査線13に沿ってスペーサ30を設置して両パネルを所定の間隔で図示しない枠ガラスを介在させて貼り合せ、真空封止している。スペーサ30は一枚のみ図示したが、通常は一本の走査線を構成する上部電極13の上に複数に分割して、かつ何本かの上部電極13ごとに設置される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】下地膜に、無配向多結晶膜と(1 1 1)配向多結晶膜のそれぞれからなるMIMエミッタにおけるエミッション電流、ダイオード電流のダイオード電圧依存性を示す図である。
【図2】広角X線回折スペクトルで示す各種アルミニウムーネオジム膜の回折角と回折強度の関係を説明する図である。
【図3】本発明の実施例2を説明するカソード基板の表示画面の前面点灯表示写真(a)と、トンネル部の表面凹凸分布をAFMで測定した結果(b)、および同分布を触針式段差計で測定した結果(c)を示す図である。
【図4】図3で用いたカソード基板と同一条件で作製したAl−Nd膜のトンネル部の表面凹凸分布をAFMで測定した結果(a)と、同一箇所を絶対反射率の分布を測定した結果(b)、および同一箇所でシート抵抗の分布を測定した結果(c)を示す図である。
【図5】図3で用いたカソード基板と同一条件で作製したAl−Nd膜の絶対反射率を測定した結果(a)と、(a)の測定箇所と同一箇所で(1 1 1)回折ピークのロッキングカーブから得た回折強度(b)、半値幅(c)、面間隔(d)の測定結果を示す図である。
【図6】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図である。
【図7】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図6に続く図である。
【図8】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図7に続く図である。
【図9】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図8に続く図である。
【図10】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図9に続く図である。
【図11】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図10に続く図である。
【図12】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図11に続く図である。
【図13】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図12に続く図である。
【図14】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図13に続く図である。
【図15】本発明の薄膜型電子源の製造工程を説明する図14に続く図である。
【図16】MIM型カソード基板の構成例を説明する図である。
【図17】アノード基板の構成例を説明する図である。
【図18】カソード基板とアノード基板を貼り合わせた画像表示装置断面図である。
【図19】本発明の画像表示装置の全体構成例の概略を説明する展開斜視図である。
【図20】薄膜型電子源の基本構造例をMIM型を用いて説明する断面図である。
【図21】薄膜型電子源の動作原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0062】
10・・・絶縁基板、11・・・下部電極、12・・・トンネル絶縁層(電子加速層)、13・・・上部電極、14・・・層間絶縁層、15・・・接続電極、16・・・上部電極給電配線、17・・・表面保護膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子であって、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が非晶質体であることを特徴とするダイオード素子。
【請求項2】
平坦な基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子であって、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜からの広角X線回折における(2 2 0)回折線のピーク強度と(1 1 1)回折線のピーク強度の比[(2 2 0)強度/(1 1 1)強度]が、0.2から0.6の範囲にある低配向のアルミニウムもしくはアルミニウム合金膜の結晶体であることを特徴とするダイオード素子。
【請求項3】
平坦な基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子であって、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、実用時において、前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が、前記基板内における優先配向結晶面のX線回折ロッキングカーブの半値幅分布が10%以下の結晶体であることを特徴とするダイオード素子。
【請求項4】
請求項3において、
前記ダイオード素子は、その前記下部電極に対して、前記上部電極に正バイアスを印加することによりホットエレクトロンを前記絶縁膜に注入し、該注入されたホットエレクトロンの一部を前記上部電極から真空へ放出させる冷陰極型電子源を構成するものであり、
前記上部電極は、当該電極中の電子散乱に関する平均自由工程に比べて同等あるいはそれ以下の膜厚を有し、かつ、その表面仕事関数が当該電極中のホットエレクトロンの最高エネルギーよりも小さいことを特徴とするダイオード素子。
【請求項5】
請求項4において、
前記上部電極は、イリジウム、白金、金の順で重ねられた積層膜であることを特徴とするダイオード素子。
【請求項6】
マトリクス配置された複数の電子源を内面に備えた平坦な第1の基板と、前記電子源のそれぞれに対応して配置された複数の蛍光体を備えた平坦な第2の基板とを有する表示装置であって、
前記電子源は、前記第1の基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子からなり、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が非晶質体であることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
マトリクス配置された複数の電子源を内面に備えた平坦な第1の基板と、前記電子源のそれぞれに対応して配置された複数の蛍光体を備えた平坦な第2の基板とを有する表示装置であって、
前記電子源は、前記第1の基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子からなり、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜からの広角X線回折における(2 2 0)回折線のピーク強度と(1 1 1)回折線のピーク強度の比[(2 2 0)強度/(1 1 1)強度]が、0.2から0.6の範囲にある低配向のアルミニウムもしくはアルミニウム合金膜の結晶体であることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
マトリクス配置された複数の電子源を内面に備えた平坦な第1の基板と、前記電子源のそれぞれに対応して配置された複数の蛍光体を備えた平坦な第2の基板とを有する表示装置であって、
前記電子源は、前記第1の基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子からなり、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、実用時において、前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が、前記基板内における優先配向結晶面のX線回折ロッキングカーブの半値幅分布が10%以下の結晶体であることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記ダイオード素子は、その前記下部電極に対して、前記上部電極に正バイアスを印加することによりホットエレクトロンを前記絶縁膜に注入し、該注入されたホットエレクトロンの一部を前記上部電極から真空へ放出させる冷陰極型電子源を構成するものであり、
前記上部電極は、当該電極中の電子散乱に関する平均自由工程に比べて同等あるいはそれ以下の膜厚を有し、かつ、その表面仕事関数が当該電極中のホットエレクトロンの最高エネルギーよりも小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記上部電極は、イリジウム、白金、金の順で重ねられた積層膜であることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
平坦な基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子であって、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が非晶質体であることを特徴とするダイオード素子。
【請求項2】
平坦な基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子であって、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜からの広角X線回折における(2 2 0)回折線のピーク強度と(1 1 1)回折線のピーク強度の比[(2 2 0)強度/(1 1 1)強度]が、0.2から0.6の範囲にある低配向のアルミニウムもしくはアルミニウム合金膜の結晶体であることを特徴とするダイオード素子。
【請求項3】
平坦な基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子であって、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、実用時において、前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が、前記基板内における優先配向結晶面のX線回折ロッキングカーブの半値幅分布が10%以下の結晶体であることを特徴とするダイオード素子。
【請求項4】
請求項3において、
前記ダイオード素子は、その前記下部電極に対して、前記上部電極に正バイアスを印加することによりホットエレクトロンを前記絶縁膜に注入し、該注入されたホットエレクトロンの一部を前記上部電極から真空へ放出させる冷陰極型電子源を構成するものであり、
前記上部電極は、当該電極中の電子散乱に関する平均自由工程に比べて同等あるいはそれ以下の膜厚を有し、かつ、その表面仕事関数が当該電極中のホットエレクトロンの最高エネルギーよりも小さいことを特徴とするダイオード素子。
【請求項5】
請求項4において、
前記上部電極は、イリジウム、白金、金の順で重ねられた積層膜であることを特徴とするダイオード素子。
【請求項6】
マトリクス配置された複数の電子源を内面に備えた平坦な第1の基板と、前記電子源のそれぞれに対応して配置された複数の蛍光体を備えた平坦な第2の基板とを有する表示装置であって、
前記電子源は、前記第1の基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子からなり、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が非晶質体であることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
マトリクス配置された複数の電子源を内面に備えた平坦な第1の基板と、前記電子源のそれぞれに対応して配置された複数の蛍光体を備えた平坦な第2の基板とを有する表示装置であって、
前記電子源は、前記第1の基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子からなり、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、前記陽極酸化処理の工程では前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜からの広角X線回折における(2 2 0)回折線のピーク強度と(1 1 1)回折線のピーク強度の比[(2 2 0)強度/(1 1 1)強度]が、0.2から0.6の範囲にある低配向のアルミニウムもしくはアルミニウム合金膜の結晶体であることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
マトリクス配置された複数の電子源を内面に備えた平坦な第1の基板と、前記電子源のそれぞれに対応して配置された複数の蛍光体を備えた平坦な第2の基板とを有する表示装置であって、
前記電子源は、前記第1の基板上に形成された下部電極、絶縁層、および上部電極をこの順で重ねて構成された金属−絶縁層−金属型のダイオード素子からなり、
前記絶縁層が、前記下部電極の表面を陽極酸化処理で形成した非晶質な酸化膜からなり、
前記下部電極が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の単層膜、あるいはそれらの何れかひとつを最表層にもつ積層膜からなり、かつ、実用時において、前記アルミニウムもしくはアルミニウム合金膜が、前記基板内における優先配向結晶面のX線回折ロッキングカーブの半値幅分布が10%以下の結晶体であることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記ダイオード素子は、その前記下部電極に対して、前記上部電極に正バイアスを印加することによりホットエレクトロンを前記絶縁膜に注入し、該注入されたホットエレクトロンの一部を前記上部電極から真空へ放出させる冷陰極型電子源を構成するものであり、
前記上部電極は、当該電極中の電子散乱に関する平均自由工程に比べて同等あるいはそれ以下の膜厚を有し、かつ、その表面仕事関数が当該電極中のホットエレクトロンの最高エネルギーよりも小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記上部電極は、イリジウム、白金、金の順で重ねられた積層膜であることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図3】
【公開番号】特開2007−213888(P2007−213888A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30707(P2006−30707)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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