説明

ダイヤルスイッチ、電子機器およびカメラ

【課題】単一のダイヤルで複数の機能の調節を可能とし、電子機器の小型化を図ることができ、しかも、1ステップの操作で迅速に機能調整を行う。
【解決手段】ベース2と、該ベース2に対して回転させられるダイヤル3と、該ダイヤル3の回転量を検出する回転量検出手段4と、ダイヤル3の周面3a近傍に配置され、ダイヤル3の操作位置を検出する接触センサ5と、前記回転量検出手段4により検出された前記ダイヤル3の回転量に対応した出力信号を出力するとともに、前記接触センサ5により検出されたダイヤル3の操作位置に応じて前記出力信号の出力系統を切り替えるスイッチ制御手段とを備えるダイヤルスイッチ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤルスイッチ、電子機器およびカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラや携帯式音楽プレーヤ等の電子機器に備えられるダイヤルスイッチとして、例えば、特許文献1〜4に開示されているものが知られている。
特許文献1のダイヤルスイッチは、カメラに備えられたダイヤルスイッチであって、カメラのグリップを保持したときに人差し指または中指で無理なく操作することができる。
また、特許文献2のダイヤルスイッチもカメラに備えられたダイヤルスイッチであって、シャッタスピードの調整や絞り値の調整用に、個別に設けられている。
【0003】
特許文献3のダイヤルスイッチは、回転軸回りに回転するダイヤルと、該ダイヤルを回転軸に直交する方向に押すことで切り替えられる押しボタン式スイッチとを組み合わせたものである。押しボタンスイッチを押すことでダイヤルの機能を切り替えることができる。
特許文献4には、ホイールパッドとその中央に配置された押しボタン式スイッチとを組み合わせたものが開示されている。押しボタン式スイッチでホイールパッドの機能を切り替えることができる点は、特許文献3のダイヤルスイッチと同様である。
【0004】
【特許文献1】特開平9−311357号公報
【特許文献2】登録実用新案第2538725号明細書
【特許文献3】特許第3067006号明細書
【特許文献4】米国特許第7046230号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のダイヤルスイッチは、単一の機能しか受け持たせることができないという不都合がある。このようなダイヤルスイッチを用いて複数の機能の切り替えを実現するには、特許文献2のように、別個のダイヤルスイッチを設ける必要があるが、この場合、ダイヤルスイッチの設置スペースが大きくなり、電子機器の小型軽量化を図る上で障害になるという問題がある。
【0006】
また、特許文献3および特許文献4に示されるダイヤルスイッチおよびホイールパッドでは、異なる機能の調整を行うためには、押しボタン式スイッチを押してからダイヤルあるいはホイールパッドを操作する必要があり、2ステップの操作が要求されるために、操作の迅速性を図ることができないという問題がある。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、単一のダイヤルで複数の機能の調節ができて、電子機器の小型化を図ることができ、しかも、1ステップの操作で迅速に機能調整を行うことができるダイヤルスイッチ、電子機器、カメラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、ベースと、該ベースに対して回転させられるダイヤルと、該ダイヤルの回転量を検出する回転量検出手段と、前記ダイヤルの周面近傍に配置され、該ダイヤルの操作位置を検出する接触センサと、前記回転量検出手段により検出された前記ダイヤルの回転量に対応した出力信号を出力するとともに、前記接触センサにより検出された前記ダイヤルの操作位置に応じて前記出力信号の出力系統を切り替えるスイッチ制御手段とを備えるダイヤルスイッチを提供する。
【0009】
本発明によれば、ダイヤルをベースに対して回転させると、回転量検出手段によりダイヤルの回転量が検出され、接触センサによりダイヤルの操作位置が検出される。そして、接触センサにより検出されたダイヤルの操作位置に応じて、スイッチ制御手段が切り替えた出力系統に、回転量検出手段により検出されたダイヤルの回転量に対応した出力信号が出力される。これにより、単一のダイヤルに複数の機能を割り当てて調節可能とし、かつ、ダイヤルの操作位置を変更するという単一のステップによって、迅速に異なる機能の調節を行うことができる。
【0010】
ここで、回転量検出手段としては、ポテンシオメータ等の回転角や移動量を検出するセンサ等、あるいは、パルストラック方式の検出手段を挙げることができる。また、スイッチ制御手段としては、回転量検出手段がポテンシオメータの場合には、基準電圧に対する電圧変化を測定する電圧測定部と、接触センサの接触位置に応じて出力系統を切り替える公知の出力系統切替部とを備えていればよい。
【0011】
また、本発明は、ベースと、該ベースに対して回転させられるダイヤルと、該ダイヤルと前記ベースとの間に配置され、前記ダイヤルの回転位置に応じて切り替えられる接点と、前記ダイヤルの周面近傍に配置され、ダイヤルの操作位置を検出する接触センサとを備えるダイヤルスイッチを提供する。
【0012】
本発明によれば、ダイヤルをベースに対して回転させることにより、ダイヤルの回転位置に応じて接点が切り替えられる。例えば、接点から切り替えられた回数をカウントすることにより、ダイヤルの回転によって、シャッタスピードや絞り値、音量や画面の明るさ等、そのダイヤルに割り当てられた機能を調節することができる。
【0013】
また、ダイヤルの周面近傍には接触センサが設けられているので、ダイヤルを操作する際に、その操作位置によっては、ダイヤルを操作する指が接触センサに接触する。したがって、同一のダイヤルを操作する場合においても、そのダイヤルの操作位置を変更することにより、接触センサへの接触の有無によって、ダイヤルに割り当てる機能を変更することができる。これにより、単一のダイヤルに複数の機能を割り当てて調節可能とし、かつ、ダイヤルの操作位置を変更するという単一のステップによって、迅速に異なる機能の調節を行うことができる。
【0014】
上記発明においては、前記接触センサが、前記ダイヤルの周方向に間隔をあけて複数設けられていることとしてもよい。
このようにすることで、接触センサの出力に応じてダイヤルに割り当てる機能を変更することができる。
【0015】
また、本発明は、上記ダイヤルスイッチと、該ダイヤルスイッチの接触センサからの出力に応じて、前記接点により切り替えられる信号の種類を変更する制御部とを備える電子機器を提供する。
ダイヤルスイッチの操作により、ダイヤルの回転角度に応じて、該ダイヤルスイッチに割り当てられた機能を調節することができる。そして、接触センサからの出力が制御部に入力されると、接触センサからの出力に応じて、制御部によりダイヤルに割り当てられた機能が変更される。これにより、単一のダイヤルスイッチにより、複数の機能の調節を可能として、ダイヤルスイッチに必要とされる設置スペースを低減し、小型軽量の電子機器を提供することができる。また、操作位置を変更してダイヤルスイッチを操作するだけで異なる機能の調節を行うことができ、迅速な操作が可能となる。
【0016】
また、本発明は、カメラ本体と、該カメラ本体に設けられた上記ダイヤルスイッチとを備え、前記ダイヤルスイッチの前記ダイヤルが、カメラ本体の異なる側面に周面を露出させ、前記接触センサが、前記カメラ本体の少なくとも一側面に配置されているカメラを提供する。
【0017】
本発明によれば、カメラ本体の一側面に露出したダイヤルの周面を操作する場合と、他の側面に露出した同一のダイヤルの周面を操作する場合とで、接触センサの出力を異ならせることができる。したがって、単一のダイヤルにより複数の機能の調節を可能として、ダイヤルスイッチの設置スペースの低減を図り、カメラ本体の小型軽量化を図ることができる。また、例えば、同一のダイヤルスイッチにシャッタスピードの調節と絞り値の調節とを割り当てた場合に、ダイヤルスイッチの操作位置を変更するだけで、シャッタスピードと絞り値の調節の切り替えを迅速に行うことができる。したがって、機能調整に手間取ってシャッタチャンスを逃す不都合の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、単一のダイヤルで複数の機能の調節ができて、電子機器の小型化を図ることができ、しかも、それぞれ1ステップの操作で迅速に複数の機能調整を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の第1の実施形態に係るダイヤルスイッチ1について、図1〜図3を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るダイヤルスイッチ1は、図1に示されるように、ベース2と、該ベース2に対して回転させられるダイヤル3と、該ダイヤル3とベース2との間に配置され、ダイヤル3の回転位置に応じて切り替えられる接点4と、ダイヤル3の周面3a近傍に配置され、ダイヤル3の操作位置を検出する接触センサ5とを備えている。図中、符号6は、ベース2に固定された支柱、符号7は、支柱6に対してダイヤル3を回転自在に支持する摺動軸受、符号8は支柱6に固定されるカバーである。
【0020】
接点(回転量検出手段)4は、例えば、ベース2側に固定された複数の接触子4a,4b,4cと、ダイヤル3側に固定されたダイヤル基板9とにより構成されている。
ダイヤル基板9は、全周にわたって設けられたグランドトラック9aと、周方向に等間隔をあけて配列された2つのパルストラック9b,9cとを備えている。パルストラック9b,9cどうしは、周方向に位相をずらして設けられている。また、グランドトラック9aおよびパルストラック9b,9cは相互に接続されている。
接触子4a,4b,4cは、ダイヤル基板9に所定の接触圧力で接触するように付勢力を発生する板バネからなり、グランドトラック9aに常時接触するグランド接触子4aと、各パルストラック9b,9cに対向して配置された2つのパルストラック接触子4b,4cとを備えている。
【0021】
これにより、ベース2に対してダイヤル3が回転させられると、接触子4a,4b,4cに対してダイヤル基板9が回転させられ、パルストラック9b,9cのパターンに応じてパルス状に、パルストラック接触子9b,9cとグランド接触子9aと導通と遮断とが繰り返される。したがって、発生したパルスをカウントすることにより、ダイヤル3の回転量および回転方向を検出することができる。
【0022】
接触センサ5は、ダイヤル3の周面3aに軸方向に隣接する位置に配置されている。これにより、当該接触センサ5の位置でダイヤル3を操作する場合に、ダイヤル3を操作する指が接触センサ5に接触するのを検出することができるようになっている。
【0023】
また、接触センサ5は、ダイヤル3の周面3aよりも半径方向内方に若干凹んだ位置に検出面5aを配置している。これにより、ダイヤル3を回転させるために、ダイヤル3の周面3aに接触させた指先に力を込めると、皮膚が変形して接触センサ5の検出面5aに到達し、接触信号が出力されるようになっている。一方、ダイヤル3を回転させる意思なく、単にダイヤル3の周面3aに指先が触れただけの場合には、指先の皮膚が接触センサ5の検出面5aに到達せず、接触信号が出力されないようになっている。
【0024】
このように構成された本実施形態に係るダイヤルスイッチ1によれば、ダイヤル3を回転操作するだけで、ダイヤル3を回転させることにより発生するパルス列信号P1,P2と、ダイヤル3を操作する指が接触センサ5に接触することにより発生する接触信号T1,T2とを出力することができる。したがって、パルス列信号P1,P2によりダイヤル3の回転位置を取り出して、機能の調節に使用し、接触信号T1,T2に応じて、ダイヤル3により調節する機能を切り替えることが可能となる。符号Gは接地されていることを示している。
【0025】
特に、ダイヤルスイッチ1が単一の接触センサ5を備える場合には、接触センサ5からの出力の有無により、ダイヤル3により調節する機能を切り替えることができる。また、図2に示されるように、接触センサ5がダイヤル3の周方向に間隔をあけて複数設けられている場合には、どの接触センサ5から接触信号T1,T2が出力されているのか、あるいは、出力されている接触信号T1,T2の組合せによってダイヤル3に割り当てる機能を変更することができる。
【0026】
すなわち、本実施形態に係るダイヤルスイッチ1によれば、ダイヤル3を回転させるというダイヤルスイッチ1本来の操作だけで、複数の機能の調節を単一のダイヤル3の回転に割り当てることができる。したがって、複数の機能の調節のために複数のダイヤルスイッチ1を用意する必要がなく、電子機器におけるダイヤルスイッチ1の設置スペースを削減して、電子機器の小型軽量化を図ることができる。
【0027】
また、調節すべき機能の変更は、ダイヤル3の操作位置を変更するだけで行われるので、ダイヤル3の回転とは異なる操作、例えば、従来のような押しボタンスイッチの押下等を伴わない。したがって、異なる複数の機能の調節を迅速に切り替えて行うことができるという利点がある。
また、押下動作の回数に応じた複数の機能の切り替えを行う従来の押しボタンスイッチに比べて、押し下げ回数を認識する必要がないので、誤操作の発生を減少させることが可能となる。
【0028】
次に、本発明の一実施形態に係るカメラ(電子機器)10について、図4および図5を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るカメラ10は、図4および図5に示されるように、カメラ本体11と、該カメラ本体11に設けられた上記ダイヤルスイッチ1と、該ダイヤルスイッチ1からの出力に応じてダイヤルスイッチ1に割り当てられた機能を調節する制御部(図示略)とを備えている。図中符号12は液晶ディスプレイ、符号13はレンズユニットである。
【0029】
ダイヤルスイッチ1のダイヤル3は、カメラ本体11の異なる側面11a,11b,11cに周面3aを部分的に露出させている。
すなわち、ダイヤルスイッチ1は、カメラ本体11を背面11a側から見て右肩に設けられたレリーズボタン14の近傍に設けられ、カメラ本体11のレンズユニット13が取り付けられる側の側面11c(前面)、右側面11bおよび背面11aにその周面3aを露出させている。
【0030】
ダイヤルスイッチ1の接触センサ5は、カメラ本体11の側面11a,11b,11cから露出するダイヤル3の周面3a近傍に、それぞれ配置されている。すなわち、撮影者は、カメラ本体11の側面11a,11b,11cから露出する部分のダイヤル3を操作することとなるが、その場合に、異なる露出部分のダイヤル3を操作すると、異なる接触センサ5に接触することになり、異なる接触信号が発せられることになる。
【0031】
制御部は、ダイヤル3が回転されることにより接触子4b,4cに現れるパルス列信号P1,P2を受けて、該パルス列信号P1,P2をカウントすることにより、ダイヤル3の回転角を検出し、検出された回転角に基づく調節量で、機能調節を行うようになっている。機能としては、例えば、シャッタスピードの調節、絞り値の調節等が挙げられる。
【0032】
また、制御部は、ダイヤルスイッチ1に設けられた接触センサ5からの出力を受けて、各接触センサ5からの接触信号T1,T2に応じて、ダイヤルスイッチ1に割り当てる機能を変更するようになっている。例えば、前面11c側の露出部分に設けられた接触センサ5から接触信号T1が入力された場合には、ダイヤルスイッチ1に対してシャッタスピードを調節する機能を割り当て、背面11a側の露出部分に設けられた接触センサ5からの接触信号T2が入力された場合には、ダイヤルスイッチ1に対して絞り値を調節する機能を割り当てるようになっている。また、右側面11bに露出する接触センサ5からの接触信号が入力された場合には、ダイヤルスイッチ1に対して他の機能を割り当てるようになっている。
【0033】
このように構成された本実施形態に係るカメラ10によれば、撮影者がカメラ本体11を把持する右手の人差し指をレリーズボタン14に接触させると、同じ右手の親指が、背面11a側に露出するダイヤルスイッチ1を操作可能な位置に配置され。また、このとき、同じ右手の中指が、前面11c側に露出するダイヤルスイッチ1を操作可能な位置に配置される。また、カメラ本体11の右側面11bに露出するダイヤルスイッチ1も同じ右手の親指により操作可能な位置に配されている。
【0034】
この状態で、撮影者が右手の親指によりダイヤルスイッチ1を操作すると、その操作位置近傍に配置されている接触センサ5に親指が接触し、該接触センサ5から接触信号T1,T2が出力される。制御部は背面11a側の接触センサ5からの接触信号T2により、背面11a側に露出するダイヤル3部分が操作されたことを認識できるので、その位置が操作された場合に割り当てられる機能、例えば、絞り値の調節機能をダイヤルスイッチ1に割り当て、ダイヤル3の回転角に応じた調節量で、その機能を調節するようになる。
【0035】
また、撮影者が右手の中指によりダイヤルスイッチ1を操作すると、その操作位置近傍に配置されている接触センサ5に中指が接触し、該接触センサ5から接触信号T1が出力される。制御部は、前面11c側の接触センサ5からの接触信号T1により、前面11c側に露出するダイヤル3部分が操作されたことを認識できるので、その位置が操作された場合に割り当てられる機能、例えば、シャッタスピードの調節機能をダイヤルスイッチ1に割り当て、ダイヤル3の回転角に応じた調節量で、その機能を調節するようになる。
【0036】
この場合において、撮影者は、右手の人差し指をレリーズボタン14に触れたままの状態に維持することができ、絞り値の調節動作あるいはシャッタスピードの調節動作の直後に、迅速にレリーズボタン14を押すことができる。
【0037】
このように、本実施形態に係るカメラ10によれば、ダイヤル3を回転させるための操作位置を異ならせるだけで、ダイヤルスイッチ1に異なる機能を割り当てると同時に、その回転によって機能調節を行わせることができる。
すなわち、従来のように複数のダイヤルスイッチを配置しなくても、ダイヤルスイッチ1に複数の機能を割り当てることができ、したがって、ダイヤルスイッチ1の設置スペースを節約して、カメラ本体11の小型軽量化を図ることができる。また、部品点数を低減することができる。
【0038】
また、同じ設置スペースに複数のダイヤルスイッチ1を設置する場合と比較すると、ダイヤル3の直径寸法を大きく確保できる。したがって、同じ回転角でも周面の周方向移動量を大きく確保することができ、機能調節を精密に行うことができるという利点がある。
【0039】
さらに、従来の押しボタンスイッチと組み合わせたダイヤルスイッチのように、ダイヤルスイッチの機能を切り替えるために押しボタンスイッチを押す必要がなく、その手間を省いてワンステップで迅速に異なる機能の調節を行うことができる。その結果、迅速に適正な撮影条件を設定して、シャッタチャンスを逃すことなく、撮影を行うことができるという利点がある。
【0040】
また、本実施形態においては、接触センサ5の検出面5aがダイヤル3の周面3aよりも半径方向内方に凹んだ位置に配置されているので、撮影者の指が意識せずに接触センサ5に触れてしまうことによる機能選択のミスを防止することができる。ダイヤル3を回転させるために指先に力を込めた指の接触のみを検出でき、不用意に触れた指の接触を検出しないので、適切な機能調節を行うことができる。
【0041】
なお、本実施形態においては、ダイヤル3の周面3aをカメラ本体11の側面11a,11b,11cから3カ所露出させることとしたが、これに代えて、切り替える機能が2つの場合には、2カ所露出させることにしてもよい。また、ダイヤル3の周面3aを部分的に露出させることとしたが、これに代えて、全体を露出させることにしてもよい。
【0042】
また、切り替える機能の数に対して、接触センサ5の数を1つ少なくしてもよい。
この場合、接触センサ5が接触信号T1,T2を出力していない場合に、1つの機能をダイヤルスイッチ1に割り当てることにすればよい。
このようにすることで、接触センサ5の数を低減し、構造の簡略化およびコストの低減を図ることができる。
【0043】
また、接触センサ5の検出面5aを凹ませることで、誤接触を防止することに代えて、接触センサ5からの出力が複数存在する場合に、優先順位を付けることにしてもよい。例えば、前面11c側と背面11a側の両方の接触センサ5から接触信号T1,T2が出力されている場合には、背面11c側の接触センサ5の接触信号T1を優先させる等である。また、複数の接触信号T1,T2の組合せにより、ダイヤルスイッチ1に割り当てる機能を変更することにしてもよい。
【0044】
また、本発明においては、電子機器としてカメラ10を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、携帯電話機やPDA、パーソナルコンピュータあるいは音楽プレーヤのような任意の電子機器に適用することができる。特に、操作者の持ち方が決まっている電子機器の場合に効果的である。
【0045】
また、上記実施形態においては、例えば、図4および図5のカメラ10のように、必ず右手でレリーズボタン14を押下するように把持する電子機器のような特定の持ち方で操作する電子機器において、ダイヤルスイッチ1を操作する指を変更することでダイヤルスイッチ1に割り当てる機能を切り替えている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、電子機器自体の持ち方を変えて、ダイヤルスイッチ1への指の接触位置を変化させるような電子機器、例えば、ディスプレイを複数の側面に備えていて、各側面のディスプレイに表示される画面の切替を同一のダイヤルスイッチ1により行う場合等に適用することにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態においては、接触センサ5の検出面5aをダイヤル3の周面3aよりも半径方向内方に凹んだ位置に配置して、撮影者による不用意な機能選択のミスを防止することとしたが、これに代えて、接触センサ5の検出面5aをダイヤル3の周面3aよりも半径方向外方に突出させることとしてもよい。これにより、操作者はダイヤル3を操作する際に、接触センサ5の検出面5aに確実に接触することができ、機能選択をより意識的に行わせることができる。
【0047】
また、本実施形態においては、回転量検出手段として、パルストラック方式のものを例示したが、これに代えて、ポテンシオメータのような回転角や移動量を検出するセンサを採用してもよい。この場合には、基準電圧に対する電圧変化を測定する電圧測定部と、接触センサの接触位置に応じて出力系統を切り替える公知の出力系統切替部とを備えるスイッチ制御手段を備えることとすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係るダイヤルスイッチを示す縦断面図である。
【図2】図1のダイヤルスイッチの外観を示す斜視図である。
【図3】図1のダイヤルスイッチに備えられるダイヤル基板の端子パターンを説明する平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るカメラを示す、背面側から見た斜視図である。
【図5】図4のカメラを示す、前面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ダイヤルスイッチ
2 ベース
3 ダイヤル
3a 周面
4 接点
5 接触センサ
5a 検出面
10 カメラ(電子機器)
11 カメラ本体
11a,11b,11c 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
該ベースに対して回転させられるダイヤルと、
該ダイヤルの回転量を検出する回転量検出手段と、
前記ダイヤルの周面近傍に配置され、該ダイヤルの操作位置を検出する接触センサと、
前記回転量検出手段により検出された前記ダイヤルの回転量に対応した出力信号を出力するとともに、前記接触センサにより検出された前記ダイヤルの操作位置に応じて前記出力信号の出力系統を切り替えるスイッチ制御手段とを備えるダイヤルスイッチ。
【請求項2】
ベースと、
該ベースに対して回転させられるダイヤルと、
該ダイヤルと前記ベースとの間に配置され、前記ダイヤルの回転位置に応じて切り替えられる接点と、
前記ダイヤルの周面近傍に配置され、ダイヤルの操作位置を検出する接触センサとを備えるダイヤルスイッチ。
【請求項3】
前記接触センサが、前記ダイヤルの周方向に間隔をあけて複数設けられている請求項2に記載のダイヤルスイッチ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のダイヤルスイッチと、
該ダイヤルスイッチの接触センサからの出力に応じて、前記接点により切り替えられる信号の種類を変更する制御部とを備える電子機器。
【請求項5】
カメラ本体と、
該カメラ本体に設けられた請求項1から請求項3のいずれかに記載のダイヤルスイッチとを備え、
前記ダイヤルスイッチの前記ダイヤルが、カメラ本体の異なる側面に周面を露出させ、
前記接触センサが、前記カメラ本体の少なくとも一側面に配置されているカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−78045(P2008−78045A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257769(P2006−257769)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】