ダイレーター
【課題】使用形態を選択することができ、洗浄性に優れ、安価に製造することができるダイレーターを提供する。
【解決手段】ダイレーター1は、ガイドワイヤーを通すためのガイド内腔13が長手方向に貫通し、先端部11が先細りのテーパー状に形成され、後端部に着脱可能なストッパー12を有する、円筒状のダイレーター本体10と、ダイレーター本体10よりも全長が短く、先端部21が先細りのテーパー状に形成された、ダイレーター本体10に外挿可能な円筒状のシース20と、シース20の後端に続けてシース20とストッパー12との間に外挿可能な円筒状のアダプター30とを備え、ダイレーター本体10にシース20とアダプター30とを外挿すると、シース20の先端がダイレーター本体10の先端部11のテーパー状が始まる始端に位置するように、シース20およびアダプター30の全長を設定した。
【解決手段】ダイレーター1は、ガイドワイヤーを通すためのガイド内腔13が長手方向に貫通し、先端部11が先細りのテーパー状に形成され、後端部に着脱可能なストッパー12を有する、円筒状のダイレーター本体10と、ダイレーター本体10よりも全長が短く、先端部21が先細りのテーパー状に形成された、ダイレーター本体10に外挿可能な円筒状のシース20と、シース20の後端に続けてシース20とストッパー12との間に外挿可能な円筒状のアダプター30とを備え、ダイレーター本体10にシース20とアダプター30とを外挿すると、シース20の先端がダイレーター本体10の先端部11のテーパー状が始まる始端に位置するように、シース20およびアダプター30の全長を設定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するために、前記穿刺孔を拡張するためのダイレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイレーターは、ダイレーターを用いるカテーテル等の医療器具とセットで販売されている場合も多かった。そのようなダイレーターには、一本の円筒体からなり、一気に穿刺孔を拡張するものや小径のダイレーターがそれよりも大径のダイレーター内に組み込まれており、その小径のダイレーターを突出させることによって穿刺孔を多段階で拡張するものがあった。
【0003】
しかしながら、使用者にはこのよう医療器具とセットになったものでは、使用形態が限定され、使用形態の選択ができないので、使用しにくい場合も少なからず有った。また、小径のダイレーターがそれよりも大径のダイレーター内に組み込まれているものでは、洗浄性の面でその洗浄度や洗浄の容易性に問題が有った。
【0004】
一方、使用形態の選択が多くあるものとして、特許文献1に記載されたような拡張器が有る。
すなわち、ゾンデの先端側を先細り形状にして途中に段差を設け、ゾンデの外周に移動自在に多重に外嵌した先端がテーパー状の複数の管から成るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平2−46222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の技術では、拡張器を構成する部材が多種有るので、高価になるという問題点がある。また、多数の管を重層に外嵌してあるので、すべての管を取り外して洗浄するのに手間がかかるという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、使用形態を選択することができ、洗浄性に優れ、安価に製造することができるダイレーターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1] 体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するために、前記穿刺孔を拡張するためのダイレーター(1)において、
ガイドワイヤーを通すためのガイド内腔(13)が長手方向に貫通し、先端部(11)が先細りのテーパー状に形成され、後端部に着脱可能なストッパー(12)を有する、円筒状のダイレーター本体(10)と、
前記ダイレーター本体(10)よりも全長が短く、先端部(21)が先細りのテーパー状に形成された、前記ダイレーター本体(10)に外挿可能な円筒状のシース(20)と、
前記シース(20)の後端に続けて前記シース(20)と前記ストッパー(12)との間に外挿可能な円筒状のアダプター(30)とを備え、
前記ダイレーター本体(10)に前記シース(20)を外挿し、該シース(20)の後端に続けて前記シース(20)にアダプター(30)を外挿したときに、前記シース(20)の先端が前記ダイレーター本体(10)の先端部(11)のテーパー状が始まる始端付近に位置するように、前記シース(20)および前記アダプター(30)の全長を設定したことを特徴とするダイレーター(1)。
【0009】
[2] 前記アダプター(30)は、前記シース(20)の外径よりも大きい外径を有し、先端部(11)が先細りのテーパー状に形成されたことを特徴とする[1]に記載のダイレーター(1)。
【0010】
[3] 体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するために、前記穿刺孔を拡張するためのダイレーター(1A)において、
ガイドワイヤーを通すためのガイド内腔(13A)が長手方向に貫通し、先端部(11)が先細りのテーパー状に形成され、後端部にストッパー(12A)を有する、円筒状のダイレーター本体(10A)と、
前記ダイレーター本体(10A)よりも全長が短く、先端部(21)が先細りのテーパー状に形成された、前記ダイレーター本体(10A)に外挿可能な円筒状のシース(20)と、
前記シース(20)の後端に続けて前記シース(20)と前記ストッパー(12A)との間に外嵌可能なアダプター(30A,30B)とを備え、
前記アダプター(30A,30B)は、円筒体の先端から後端まで長手方向にスリット(31)を形成して、前記ダイレーター本体(10A)に嵌脱可能としたものであり、
前記ダイレーター本体(10A)に前記シース(20)を外挿し、該シース(20)の後端に続けて前記シース(20)にアダプター(30A)を外挿したときに、前記シース(20)の先端が前記ダイレーター本体(10A)の先端部(11)のテーパー状が始まる始端付近に位置するように、前記シース(20)および前記アダプター(30A,30B)の全長を設定したことを特徴とするダイレーター(1A)。
【0011】
[4] 前記アダプター(30A)は、前記スリット(31)の相対する端面それぞれの一部に凹部(32)を設けたことを特徴とする[3]に記載のダイレーター(1A)。
【0012】
[5] 前記アダプター(30B)は、前記ダイレーター本体(10A)との嵌脱の際に前記スリット(31)を拡げ易くするための複数の突出片(33)を外周面に設けたことを特徴とする[3]に記載のダイレーター(1B)。
【0013】
[6] 前記シース(20)の先端部(21)は、前記ダイレーター本体(10,10A)の先端部(11)のテーパー状の拡がり角度と同じ角度で拡がるテーパー状であることを特徴とする[1]から[5]のいずれか一項に記載のダイレーター(1,1A,1B)。
【0014】
前記本発明は次のように作用する。
ダイレーター(1)を使用するときは、ダイレーター本体(10)にシース(20)を外挿し、さらにアダプター(30)を外挿して先端をダイレーター(1)の後端部に接触させる。次に、ダイレーター本体(10)の後端部にストッパー(12)を装着する。
【0015】
これにより、シース(20)の先端がダイレーター本体(10)の先端部(11)のテーパー状が始まる始端に位置するように位置決めすることができる。この状態では、ダイレーター本体(10)の先端部(11)に形成されたテーパー状が始まる始端からシース(20)の先端部(21)に形成されたテーパー状部分が連続した状態となるので、ダイレーター(1)を体表面に開けた穿刺孔に挿入したときに、シース(20)の外径まで穿刺孔をスムーズに拡張することができる。
【0016】
体表面に開けた穿刺孔には予めガイドワイヤーを通してある。したがって、前記のようにして組み付けたダイレーター(1)のダイレーター本体(10)のガイド内腔(13)にガイドワイヤーを通して、ガイドワイヤーに沿ってダイレーター(1)を体腔内の所望の位置まで挿入することができる。なお、ストッパー(12)にもガイドワイヤーを通すためのガイド腔が形成されているので、ダイレーター本体(10)を通したガイドワイヤーの一端をストッパー(12)のガイド腔を通して外部に出すことができる。
【0017】
このようにして穿刺孔を拡張したら、ダイレーター(1)を抜き取り、ガイドワイヤーに沿ってカテーテル等の医療用器具を体腔内に挿入することができる。
【0018】
アダプター(30)を使用しない場合は、例えばシース(20)の位置をその先端がダイレーター本体(10)のテーパー状が始まる始端から後退した位置になるようにすることによってダイレーター本体(10)のテーパー状が始まる始端からシース(20)のテーパー状の先端までの間にダイレーター本体(10)の同径の胴部が現れるので、前記の例とは異なる使用態様でダイレーター(1)を使用することができる。
【0019】
なお、アダプター(30)をシース(20)よりも肉厚にしてシース(20)の外径よりも大きい外径として先端部を先細りのテーパー状に形成したものとすることにより、ダイレーター(1)で拡張できる穿刺孔の大きさをダイレーター本体(10)の外径→シース(20)の外径→アダプター(30)の外径の順に大きくなる異なる3つの大きさのものから選択することができる。
【0020】
また、アダプター(30)をダイレーター本体(10)に外挿するのではなく、円筒体の先端から後端まで長手方向にスリット(31)を形成して、ダイレーター本体(10A)に嵌脱可能としたものでは、ダイレーター本体(10A)へのアダプター(30A,30B)の装着がより容易となる上にストッパー(12A)をダイレーター本体(10A)の後端部に固着したものあるいはダイレーター本体(10A)の後部に一体に成形できるので、ダイレーター(1A)の部材の数を減らすことができる。
【0021】
また、アダプター(30A)のスリット(31)の相対する端面それぞれの一部に凹部(32)を設けたものにあっては、凹部(32)にジグを入れたり、使用者が指の爪を立てたりしてスリット(31)を拡げ易くすることができる。
【0022】
また、アダプター(30B)の外周面に複数の突出片(33)を設けたものにあっては、突出片(33)を指で摘まんで突出片(33)同士がスリット(31)の反対側で近づくように力を加えることでスリット(31)を拡げることができる。これにより、アダプター(30B)をダイレーター本体(10A)に嵌脱する際にスリット(31)を拡げることにより、嵌脱を容易に行うことができる。
【0023】
さらに、シース(20)の先端部(21)のテーパー状の拡がり角度をダイレーター本体(10,10A)の先端部(11)のテーパー状の拡がり角度と同じ角度にしたものでは、ダイレーター本体(10,10A)の先端部(11)からシース(20)の外径まで一様の角度で拡がるので、穿刺孔をシース(20)の外径の大きさまでスムーズに拡張することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかるダイレーターによれば、ダイレーター本体に挿着したシースの先端部の位置を変えることにより、異なる使用態様でダイレーターを使用することができるとともに、ダイレーターの部材の数が少ないので十分な洗浄を短時間に容易に行うことができる。
【0025】
また、アダプターの外径をシースの外径よりも大きくし、先端部を先細りのテーパー状に形成したものとすることにより、ダイレーターで拡張できる径の大きさをダイレーター本体の外径、シースの外径、アダプターの外径の順に大きくなる異なる3つの大きさのものから選択することができる。
【0026】
また、アダプターをダイレーター本体に嵌脱可能としたものでは、ダイレーター本体へのアダプターの装着がより容易となる上にストッパーをダイレーター本体の後端部に固着し、又はダイレーター本体の後部に一体に成形できるので、ダイレーターの部材の数をより少なくし、十分な洗浄をより容易に行えるとともに安価なものとして提供することができる。
【0027】
さらに、アダプターのスリットの相対する端面それぞれの一部に凹部を設けたものにあっては、凹部にジグを入れたり、使用者が指の爪を立てたりしてスリットを拡げることにより、また、アダプターの外周面に複数の突出片を設けたものにあっては、突出片を指で摘まんで突出片同士がスリットの反対側で近づくように力を加えてスリットを拡げることにより、ダイレーター本体とのアダプターの嵌脱をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るダイレーターの全体を示す側面図である。
【図2】図1のダイレーターにおいて、アダプターを使用しない場合の使用形態を示す側面図である。
【図3】図1のダイレーターにおけるシースとアダプターそれぞれの側面図およびアダプターの端面を示す端面図である。
【図4】ダイレーター本体からストッパーを外した状態を示す分解側面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るダイレーターの全体を示す側面図である。
【図6】図5のダイレーターにおいて、アダプターを使用しない場合の使用形態を示す側面図である。
【図7】図5のダイレーターにおけるシースとアダプターそれぞれの側面図およびアダプターの端面を示す端面図である。
【図8】図5のダイレーター本体を示す側面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るダイレーターの全体を示す側面図である。
【図10】図9のダイレーターにおけるシースとアダプターそれぞれの側面図およびアダプターの端面を示す端面図である。
【図11】第3の実施の形態の変形例のダイレーター全体を示す側面図である。
【図12】図11のダイレーターにおけるシースとアダプターそれぞれの側面図およびアダプターの端面を示す端面図である。
【図13】図11のダイレーター本体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき本発明の好適な各種の実施の形態を説明する。
図1から図4までは、本発明の第1の実施の形態を示している。
図1は、第1の実施の形態に係るダイレーター1の全体を示す側面図であり、図2は、図1のダイレーター1においてアダプター30を使用しない場合の使用形態を示す側面図である。図3は、図1のダイレーター1におけるシース20とアダプター30それぞれの側面図およびアダプター30の端面を示す端面図である。図4は、ダイレーター本体10からストッパー12を外した状態を示す分解側面図である。
【0030】
図1に示したように、ダイレーター1は、円筒状のダイレーター本体10と、該ダイレーター本体10に外挿可能な円筒状のシース20と、該シース20の後端に続けてダイレーター本体10に外挿可能な円筒状のアダプター30とから構成されている。
【0031】
ダイレーター本体10は、先端部11が先細りのテーパー状に形成された円筒体である。ダイレーター本体10の素材は、例えばポリエチレンである。
【0032】
このダイレーター本体10には、不図示のガイドワイヤーを通すためのガイド内腔13が先端部11から後端部まで長手方向に貫通している。また、ダイレーター本体10は、その後端部に着脱可能なストッパー12を備えている。
【0033】
ダイレーター本体10の後端部には雌螺子部が形成されており、ストッパー12には、この雌螺子部に螺合するように頭部12aの先に雄螺子部12bが形成されている。
【0034】
ストッパー12は、雄螺子部12bの先端から頭部12aまで長手方向にガイドワイヤーを通すためのガイド内腔12cが貫通している。これにより、ストッパー12をダイレーター本体10に螺着した状態でストッパー12の頭部12aからダイレーター本体10の先端までガイド内腔12c,13が連通して貫通するので、ガイドワイヤーを通すことができる。ストッパー12の頭部12aは、少なくともアダプター30の内径よりも大きい外径の円筒状に形成されている。なお、頭部12aは、アダプター30内に入り込まない大きさのものであれば、円筒状に限られない。
【0035】
シース20は、ダイレーター本体10よりも全長が短い円筒体であり、先端部21が先細りのテーパー状に形成されている。シース20の内径はダイレーター本体10の外径と略同じ大きさである。この先端部21は、ダイレーター本体10にシース20を外挿したときに、ダイレーター本体10の先端部11のテーパー状が始まる始端の外周面に先端が滑らかに連続するように形成されている。
【0036】
図示したテーパー状の先端部21は、ダイレーター本体10の先端部11がテーパー状に先細る角度と同じ角度で先細っている。言い換えると、シース20の先端部21は、ダイレーター本体10の先端部11がテーパー状に拡がる角度と同じ角度でテーパー状に拡がっている。
【0037】
アダプター30は、その内径および外径がともにシース20の内径および外径と同じ円筒体であり、シース20の後端に続けてダイレーター本体10に外挿するものである。このアダプター30は、シース20とストッパー12との間に外挿させることにより、シース20の位置決めをすることができる。すなわち、アダプター30は、前記のようにダイレーター本体10に外挿したときに、シース20の先端部21がダイレーター本体10の先端部11のテーパー状の始端の位置に一致するように全長が定められている。
【0038】
次に第1の実施の形態に係るダイレーター1の作用を説明する。
体表面に開けた穿刺孔からカテーテル等の医療用器具を体腔内に挿入する際に、穿刺孔を拡張するためのダイレーター1を使用するときは、ダイレーター本体10の後端部からストッパー12を外して、シース20の先端部21をダイレーター本体10の後端部から外挿して行く。シース20は、その先端部21がダイレーター本体10の先端部11のテーパー状の始端の付近の手前に達するまで外挿する。
【0039】
次に、アダプター30をダイレーター本体10の後端部から外挿する。アダプター30は、その先端がダイレーター1の後端部に後端の付近に至るまで外挿する。
【0040】
この後に、ダイレーター本体10の後端部の雌螺子部にストッパー12の雄螺子部12bを螺合させて、ストッパー12をダイレーター本体10に固定する。ストッパー12がねじ込まれながらダイレーター本体10の先端部11の方向に進む際に、ストッパー12の頭部12aがアダプター30を押し進める。これにより、アダプター30がシース20の後端を押して、シース20は、その先端がダイレーター本体10の先端部11のテーパー状が始まる始端に位置するように位置決めされる。
【0041】
このようにダイレーター本体10にシース20、アダプター30を組み付けたダイレーター1は、ダイレーター本体10の先端部11に形成されたテーパー状が始まる始端からシース20の先端部21に形成されたテーパー状部分がスムーズに連続した状態となる。したがって、ダイレーター1を体表面に開けた穿刺孔に挿入したときに、シース20の外径まで穿刺孔をスムーズに拡張することができる。
【0042】
次に、体表面に開けた穿刺孔に予め通してあるガイドワイヤーをダイレーター本体10のガイド内腔13およびガイド内腔13に連通しているストッパー12のガイド内腔12cに通し、このガイドワイヤーに沿ってダイレーター1を体腔内の所望の位置まで挿入する。
【0043】
このようにして穿刺孔を拡張したら、ダイレーター1を抜き取り、ガイドワイヤーに沿ってカテーテル等の医療用器具を拡張した穿刺孔から体腔内に挿入することができる。
【0044】
ダイレーター1は、アダプター30を用いずに使用することもできる。図2にはそのような使用例が例示されている。図示したように、シース20は、その後端がダイレーター本体10のストッパー12に接する位置付近になるように外挿されている。このため、シース20の先端がダイレーター本体10のテーパー状の始まる始端よりもストッパー12側に離れた位置に在るようにしている。
【0045】
この場合、ダイレーター本体10のテーパー状が始まる始端からシース20の先端部21までの間には、ダイレーター本体10の同径の胴部が現れる。これにより、図1に示した使用態様ではダイレーター本体10の先端部11からシース20の外径まで一気に穿刺孔を拡張することになるが、図2に示したような使用態様では、一旦、ダイレーター本体10の先端部11からダイレーター本体10の外径まで穿刺孔を拡張し、その後、さらにシース20の外径まで穿刺孔を拡張することになる。
【0046】
したがって、2つの異なる使用態様でダイレーター1を使用することができる。なお、シース20の位置は図1、図2に示した位置に限られない。図1の使用態様では、図示した位置よりも先端部21をダイレーター本体10のテーパー状の始まる始端よりも10mm程度まで後方位置に在るようにしてもよい。また図2の使用態様では、図示した位置よりも先端部21をダイレーター本体10の先端部11に近づけてもよい。
【0047】
なお、シース20およびアダプター30をダイレーター本体10に外挿するときは、それらをダイレーター本体10の先端部11側から外挿しても良い。
【0048】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図5から図8までは、本発明の第2の実施の形態を示している。
図5は、第2の実施の形態に係るダイレーター1Aの全体を示す側面図であり、図6は、図5のダイレーター1Aにおいてアダプター30Aを使用しない場合の使用形態を示す側面図である。図7は、図5のダイレーター1Aにおけるシース20とアダプター30Aそれぞれの側面図およびアダプター30Aの端面を示す端面図である。図8は、図5のダイレーター本体10Aを示す側面図である。
【0049】
本実施の形態に係るダイレーター1Aでは、アダプター30Aが第1の実施の形態におけるアダプター30とは異なっている点、およびストッパー12Aがダイレーター本体10Aと一体となっている点が第1の実施の形態とは異なっている。なお、第1の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0050】
図5および図7に示したように、アダプター30Aは、円筒体の先端から後端まで長手方向に切欠いたスリット31が形成されている。したがって、アダプター30Aをダイレーター本体10Aに装着する場合、ダイレーター本体10Aの先端部11側から外挿してもよいが、スリット31からダイレーター本体10Aに嵌め込むようにして外嵌することもできる。また、スリット31をダイレーター本体10Aから外す場合、ダイレーター本体10Aの先端部11側から抜き取るようにしてもよいが、スリット31から取り外すこともできる。
【0051】
スリット31には、その相対する端面それぞれの両端付近に凹部32が形成されている。この凹部32は、ダイレーター本体10Aに装着してあるアダプター30Aを取り外す際に、ジグを入れたり、使用者が指の爪を立てたりしてスリット31を拡げ易くするためのものである。なお、凹部32を設ける位置は図示した位置に限られず、スリット31の相対する端面それぞれの一部であれば何処であってもよい。
【0052】
図5、図6および図7に示したように、ダイレーター本体10Aは、その後端部にストッパー12Aが一体に設けられている。これにより、ダイレーター1Aは、第1の実施の形態に係るダイレーター1よりも部材の数が1つ少なくなっている。
【0053】
第2の実施の形態に係るダイレーター1Aの作用は、ダイレーター本体10Aにアダプター30Aを装着する仕方がダイレーター本体10Aへの外挿の他にダイレーター本体10Aへ嵌め込むことができる点を除いて、第1の実施の形態に係るダイレーター1の作用と同様であるので、その説明を省略する。
【0054】
なお、アダプター30Aをダイレーター本体10Aに外嵌させるときは、スリット31をダイレーター本体10Aに沿うように当ててから、スリット31からダイレーター本体10Aに外嵌するようにアダプター30Aおよびダイレーター本体10Aを互いに押し付ければ良い。スリット31がダイレーター本体10Aに押し付けられたアダプター30Aは、スリット31が拡がるので、ダイレーター本体10Aに容易に外嵌させることができる。アダプター30Aがダイレーター本体10Aに完全に外嵌したときは、アダプター30Aは、その弾性により、拡がったスリット31が閉じるように形状が戻るのでダイレーター本体10Aに確実にしっかりと装着される。
また、スリット31の一端をダイレーター本体10Aに押し付けて一端側をある程度まで外嵌させてから、外嵌している端部側からもう一方の端部側まで順に押し込んでアダプター30A全体が外嵌するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施の形態に係るダイレーター1Aは、次に説明する第3の実施の形態に係るダイレーター1Bのアダプター30B等に設けた突出片33を有さないので、穿刺孔から体腔内のより深部まで挿入することができる。本実施の形態に係るダイレーター1Aは、前記のようにアダプター30Aに凹部32を設けてあるので、ダイレーター本体10Aに装着してあるアダプター30Aを取り外す際に、凹部32にジグを入れたり、使用者が指の爪を凹部32に立てたりして容易にスリット31を拡げることができる。このため、アダプター30Aをダイレーター本体10Aから容易に取り外すことができる。
【0056】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図9および図10は、本発明の第3の実施の形態を示している。
図9は、第3の実施の形態に係るダイレーター1Bの全体を示す側面図であり、図10は、図9のダイレーター1Bにおけるシース20とアダプター30Bそれぞれの側面図およびアダプター30Bの端面を示す端面図である。
【0057】
本実施の形態に係るダイレーター1Bは、アダプター30Bが第2の実施の形態におけるアダプター30Aとは異なっている点を除いて第2の実施の形態と同様のものである。 なお、第2の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0058】
図9および図10に示したように、ダイレーター1Bは、ダイレーター本体10Aの外周面から直径方向外側に互いに突出した一対の突出片33が設けられている。これらの突出片33は、アダプター30Bをダイレーター本体10Aに嵌脱する際にスリット31を拡げるためのものである。突出片33は、半円形の板状のものがアダプター30Bの端部に配設されている。
【0059】
次に第3の実施の形態に係るダイレーター1Bの作用を説明する。
第3の実施の形態に係るダイレーター1Bは、前記のようにアダプター30Bに突出片33が設けられている点のみが第2の実施の形態に係るダイレーター1Aと異なるので、突出片33に関する作用について説明し、他の説明は省略する。
【0060】
アダプター30Bをダイレーター本体10Aに装着するには、第2の実施の形態に係るダイレーター1Aのアダプター30Aと同様に、アダプター30Bをダイレーター本体10Aの先端から外挿する方法とスリット31からダイレーター本体10Aに嵌め込む方法とがある。
【0061】
スリット31からダイレーター本体10Aに嵌め込む際には、スリット31をダイレーター本体10Aに沿うように当ててから、スリット31がダイレーター本体10Aに外嵌するようにスリット31およびダイレーター本体10Aを互いに押し付ければ良いが、このとき、アダプター30Bの外周面に一対の突出片33を指で摘まんでスリット31が開くように突出片33,33に力を加える。これにより、アダプター30Bをダイレーター本体10Aにより容易に外嵌させることができる。
【0062】
また、スリット31の一端をダイレーター本体10Aに押し付けて一端側をある程度まで外嵌させてから、外嵌している端部側からもう一方の端部側まで順に押し込んで全体が外嵌するようにする場合にも、一対の突出片33を指で摘まんで突出片33,33に力を加え、スリット31を拡げることによって一端側をより容易にダイレーター本体10Aに外嵌させることができる。
【0063】
ダイレーター本体10Aに外嵌しているアダプター30Bを外すときは、同様に一対の突出片33を指で摘まんで突出片33,33に力を加え、スリット31を拡げることにより、容易に外すことができる。なお、ダイレーター本体10Aから先にシース20を抜き取り、続いてアダプター30Bをダイレーター本体10Aから抜き取るようにしてもよい。
【0064】
以上のように、突出片33を指で摘まんでスリット31が拡がるように力を加えることにより、ダイレーター本体10Aとのアダプター30Bの嵌脱がより容易になる。
【0065】
なお、図示した例では、突出片33は半円形の板状のものとしてアダプター30Bの端部に設けてあるが、形状、設ける位置、設ける数等は図示した例に限られない。また、突出片33と第2の実施の形態におけるアダプター30Aに設けた凹部32とは二律背反するものではないので、アダプター30Bに凹部32を設けてもよい。
【0066】
また、図11から図13までにはダイレーター1Bの変形例が示されている。図11は、第3の実施の形態の変形例のダイレーター全体を示す側面図であり、図12は、図11のダイレーターにおけるシース20Aとアダプター30Aそれぞれの側面図およびアダプター30Aの端面を示す端面図であり、図13は、図11のダイレーター本体10Bを示す側面図である。
【0067】
この変形例では、ダイレーター本体10Bの外径がダイレーター本体10Aの外径よりも小さいものと成っている。このため、シース20Aの内径並びにアダプター30Cのスリット31cの幅および内径がダイレーター本体10Bの外径に合うように小さくなっている。
【0068】
なお、第1の実施の形態のようにアダプター30がスリットのない円筒体である場合には、アダプター30をシース20よりも肉厚にしてシース20の外径よりも大きい外径とし、先端側を先細りのテーパー状に形成し、先端の径がシース20の外径と同じ大きさのものとすることにより、ダイレーター1で拡張できる穿刺孔の大きさをダイレーター本体10の外径→シース20の外径→アダプター30の外径の順に3段階に拡張することができる。
【0069】
この場合、アダプター30のテーパー状の先端を前記とは異なり、ダイレーター本体10の先端部11のテーパー状が始まる始端の外周面に滑らかに連続するように形成することにより、シース20とアダプター30のダイレーター本体10への装着位置を入れ替えてアダプター30をシースとし、シース20をアダプターとして使用することができる。これにより、穿刺孔の拡張の大きさをシース20の外径とアダプター30の外径の2つから選択することができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0071】
例えば、前記実施の形態では、ダイレーター本体10に着脱自在なストッパー12として、ダイレーター本体10の後端部に雌螺子部を形成し、この雌螺子部に螺合する雄螺子部12bをストッパー12に設けたものとして説明したが、雄螺子部12bに代えて互いに離接可能に変形する弾撥片を設け、該弾撥片をダイレーター本体10の内部に挿入して、弾撥片同士が離れる方向の弾撥力で弾撥片がダイレーター本体10の内部に係止するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係るダイレーターの思想は、体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するためのものに限られず、例えば、尿道や食道狭窄、大腸狭窄部等を拡張するブジーとしても利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1…ダイレーター
1A…ダイレーター
1B…ダイレーター
10…ダイレーター本体
10A…ダイレーター本体
10B…ダイレーター本体
11…先端部
12…ストッパー
12a…頭部
12A…ストッパー
12b…雄螺子部
12c…ガイド内腔
13…ガイド内腔
20…シース
20A…シース
21…先端部
30…アダプター
30A…アダプター
30B…アダプター
30C…アダプター
31…スリット
31c…スリット
32…凹部
33…突出片
【技術分野】
【0001】
本発明は、体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するために、前記穿刺孔を拡張するためのダイレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイレーターは、ダイレーターを用いるカテーテル等の医療器具とセットで販売されている場合も多かった。そのようなダイレーターには、一本の円筒体からなり、一気に穿刺孔を拡張するものや小径のダイレーターがそれよりも大径のダイレーター内に組み込まれており、その小径のダイレーターを突出させることによって穿刺孔を多段階で拡張するものがあった。
【0003】
しかしながら、使用者にはこのよう医療器具とセットになったものでは、使用形態が限定され、使用形態の選択ができないので、使用しにくい場合も少なからず有った。また、小径のダイレーターがそれよりも大径のダイレーター内に組み込まれているものでは、洗浄性の面でその洗浄度や洗浄の容易性に問題が有った。
【0004】
一方、使用形態の選択が多くあるものとして、特許文献1に記載されたような拡張器が有る。
すなわち、ゾンデの先端側を先細り形状にして途中に段差を設け、ゾンデの外周に移動自在に多重に外嵌した先端がテーパー状の複数の管から成るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平2−46222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の技術では、拡張器を構成する部材が多種有るので、高価になるという問題点がある。また、多数の管を重層に外嵌してあるので、すべての管を取り外して洗浄するのに手間がかかるという問題点があった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、使用形態を選択することができ、洗浄性に優れ、安価に製造することができるダイレーターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1] 体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するために、前記穿刺孔を拡張するためのダイレーター(1)において、
ガイドワイヤーを通すためのガイド内腔(13)が長手方向に貫通し、先端部(11)が先細りのテーパー状に形成され、後端部に着脱可能なストッパー(12)を有する、円筒状のダイレーター本体(10)と、
前記ダイレーター本体(10)よりも全長が短く、先端部(21)が先細りのテーパー状に形成された、前記ダイレーター本体(10)に外挿可能な円筒状のシース(20)と、
前記シース(20)の後端に続けて前記シース(20)と前記ストッパー(12)との間に外挿可能な円筒状のアダプター(30)とを備え、
前記ダイレーター本体(10)に前記シース(20)を外挿し、該シース(20)の後端に続けて前記シース(20)にアダプター(30)を外挿したときに、前記シース(20)の先端が前記ダイレーター本体(10)の先端部(11)のテーパー状が始まる始端付近に位置するように、前記シース(20)および前記アダプター(30)の全長を設定したことを特徴とするダイレーター(1)。
【0009】
[2] 前記アダプター(30)は、前記シース(20)の外径よりも大きい外径を有し、先端部(11)が先細りのテーパー状に形成されたことを特徴とする[1]に記載のダイレーター(1)。
【0010】
[3] 体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するために、前記穿刺孔を拡張するためのダイレーター(1A)において、
ガイドワイヤーを通すためのガイド内腔(13A)が長手方向に貫通し、先端部(11)が先細りのテーパー状に形成され、後端部にストッパー(12A)を有する、円筒状のダイレーター本体(10A)と、
前記ダイレーター本体(10A)よりも全長が短く、先端部(21)が先細りのテーパー状に形成された、前記ダイレーター本体(10A)に外挿可能な円筒状のシース(20)と、
前記シース(20)の後端に続けて前記シース(20)と前記ストッパー(12A)との間に外嵌可能なアダプター(30A,30B)とを備え、
前記アダプター(30A,30B)は、円筒体の先端から後端まで長手方向にスリット(31)を形成して、前記ダイレーター本体(10A)に嵌脱可能としたものであり、
前記ダイレーター本体(10A)に前記シース(20)を外挿し、該シース(20)の後端に続けて前記シース(20)にアダプター(30A)を外挿したときに、前記シース(20)の先端が前記ダイレーター本体(10A)の先端部(11)のテーパー状が始まる始端付近に位置するように、前記シース(20)および前記アダプター(30A,30B)の全長を設定したことを特徴とするダイレーター(1A)。
【0011】
[4] 前記アダプター(30A)は、前記スリット(31)の相対する端面それぞれの一部に凹部(32)を設けたことを特徴とする[3]に記載のダイレーター(1A)。
【0012】
[5] 前記アダプター(30B)は、前記ダイレーター本体(10A)との嵌脱の際に前記スリット(31)を拡げ易くするための複数の突出片(33)を外周面に設けたことを特徴とする[3]に記載のダイレーター(1B)。
【0013】
[6] 前記シース(20)の先端部(21)は、前記ダイレーター本体(10,10A)の先端部(11)のテーパー状の拡がり角度と同じ角度で拡がるテーパー状であることを特徴とする[1]から[5]のいずれか一項に記載のダイレーター(1,1A,1B)。
【0014】
前記本発明は次のように作用する。
ダイレーター(1)を使用するときは、ダイレーター本体(10)にシース(20)を外挿し、さらにアダプター(30)を外挿して先端をダイレーター(1)の後端部に接触させる。次に、ダイレーター本体(10)の後端部にストッパー(12)を装着する。
【0015】
これにより、シース(20)の先端がダイレーター本体(10)の先端部(11)のテーパー状が始まる始端に位置するように位置決めすることができる。この状態では、ダイレーター本体(10)の先端部(11)に形成されたテーパー状が始まる始端からシース(20)の先端部(21)に形成されたテーパー状部分が連続した状態となるので、ダイレーター(1)を体表面に開けた穿刺孔に挿入したときに、シース(20)の外径まで穿刺孔をスムーズに拡張することができる。
【0016】
体表面に開けた穿刺孔には予めガイドワイヤーを通してある。したがって、前記のようにして組み付けたダイレーター(1)のダイレーター本体(10)のガイド内腔(13)にガイドワイヤーを通して、ガイドワイヤーに沿ってダイレーター(1)を体腔内の所望の位置まで挿入することができる。なお、ストッパー(12)にもガイドワイヤーを通すためのガイド腔が形成されているので、ダイレーター本体(10)を通したガイドワイヤーの一端をストッパー(12)のガイド腔を通して外部に出すことができる。
【0017】
このようにして穿刺孔を拡張したら、ダイレーター(1)を抜き取り、ガイドワイヤーに沿ってカテーテル等の医療用器具を体腔内に挿入することができる。
【0018】
アダプター(30)を使用しない場合は、例えばシース(20)の位置をその先端がダイレーター本体(10)のテーパー状が始まる始端から後退した位置になるようにすることによってダイレーター本体(10)のテーパー状が始まる始端からシース(20)のテーパー状の先端までの間にダイレーター本体(10)の同径の胴部が現れるので、前記の例とは異なる使用態様でダイレーター(1)を使用することができる。
【0019】
なお、アダプター(30)をシース(20)よりも肉厚にしてシース(20)の外径よりも大きい外径として先端部を先細りのテーパー状に形成したものとすることにより、ダイレーター(1)で拡張できる穿刺孔の大きさをダイレーター本体(10)の外径→シース(20)の外径→アダプター(30)の外径の順に大きくなる異なる3つの大きさのものから選択することができる。
【0020】
また、アダプター(30)をダイレーター本体(10)に外挿するのではなく、円筒体の先端から後端まで長手方向にスリット(31)を形成して、ダイレーター本体(10A)に嵌脱可能としたものでは、ダイレーター本体(10A)へのアダプター(30A,30B)の装着がより容易となる上にストッパー(12A)をダイレーター本体(10A)の後端部に固着したものあるいはダイレーター本体(10A)の後部に一体に成形できるので、ダイレーター(1A)の部材の数を減らすことができる。
【0021】
また、アダプター(30A)のスリット(31)の相対する端面それぞれの一部に凹部(32)を設けたものにあっては、凹部(32)にジグを入れたり、使用者が指の爪を立てたりしてスリット(31)を拡げ易くすることができる。
【0022】
また、アダプター(30B)の外周面に複数の突出片(33)を設けたものにあっては、突出片(33)を指で摘まんで突出片(33)同士がスリット(31)の反対側で近づくように力を加えることでスリット(31)を拡げることができる。これにより、アダプター(30B)をダイレーター本体(10A)に嵌脱する際にスリット(31)を拡げることにより、嵌脱を容易に行うことができる。
【0023】
さらに、シース(20)の先端部(21)のテーパー状の拡がり角度をダイレーター本体(10,10A)の先端部(11)のテーパー状の拡がり角度と同じ角度にしたものでは、ダイレーター本体(10,10A)の先端部(11)からシース(20)の外径まで一様の角度で拡がるので、穿刺孔をシース(20)の外径の大きさまでスムーズに拡張することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかるダイレーターによれば、ダイレーター本体に挿着したシースの先端部の位置を変えることにより、異なる使用態様でダイレーターを使用することができるとともに、ダイレーターの部材の数が少ないので十分な洗浄を短時間に容易に行うことができる。
【0025】
また、アダプターの外径をシースの外径よりも大きくし、先端部を先細りのテーパー状に形成したものとすることにより、ダイレーターで拡張できる径の大きさをダイレーター本体の外径、シースの外径、アダプターの外径の順に大きくなる異なる3つの大きさのものから選択することができる。
【0026】
また、アダプターをダイレーター本体に嵌脱可能としたものでは、ダイレーター本体へのアダプターの装着がより容易となる上にストッパーをダイレーター本体の後端部に固着し、又はダイレーター本体の後部に一体に成形できるので、ダイレーターの部材の数をより少なくし、十分な洗浄をより容易に行えるとともに安価なものとして提供することができる。
【0027】
さらに、アダプターのスリットの相対する端面それぞれの一部に凹部を設けたものにあっては、凹部にジグを入れたり、使用者が指の爪を立てたりしてスリットを拡げることにより、また、アダプターの外周面に複数の突出片を設けたものにあっては、突出片を指で摘まんで突出片同士がスリットの反対側で近づくように力を加えてスリットを拡げることにより、ダイレーター本体とのアダプターの嵌脱をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るダイレーターの全体を示す側面図である。
【図2】図1のダイレーターにおいて、アダプターを使用しない場合の使用形態を示す側面図である。
【図3】図1のダイレーターにおけるシースとアダプターそれぞれの側面図およびアダプターの端面を示す端面図である。
【図4】ダイレーター本体からストッパーを外した状態を示す分解側面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るダイレーターの全体を示す側面図である。
【図6】図5のダイレーターにおいて、アダプターを使用しない場合の使用形態を示す側面図である。
【図7】図5のダイレーターにおけるシースとアダプターそれぞれの側面図およびアダプターの端面を示す端面図である。
【図8】図5のダイレーター本体を示す側面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るダイレーターの全体を示す側面図である。
【図10】図9のダイレーターにおけるシースとアダプターそれぞれの側面図およびアダプターの端面を示す端面図である。
【図11】第3の実施の形態の変形例のダイレーター全体を示す側面図である。
【図12】図11のダイレーターにおけるシースとアダプターそれぞれの側面図およびアダプターの端面を示す端面図である。
【図13】図11のダイレーター本体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき本発明の好適な各種の実施の形態を説明する。
図1から図4までは、本発明の第1の実施の形態を示している。
図1は、第1の実施の形態に係るダイレーター1の全体を示す側面図であり、図2は、図1のダイレーター1においてアダプター30を使用しない場合の使用形態を示す側面図である。図3は、図1のダイレーター1におけるシース20とアダプター30それぞれの側面図およびアダプター30の端面を示す端面図である。図4は、ダイレーター本体10からストッパー12を外した状態を示す分解側面図である。
【0030】
図1に示したように、ダイレーター1は、円筒状のダイレーター本体10と、該ダイレーター本体10に外挿可能な円筒状のシース20と、該シース20の後端に続けてダイレーター本体10に外挿可能な円筒状のアダプター30とから構成されている。
【0031】
ダイレーター本体10は、先端部11が先細りのテーパー状に形成された円筒体である。ダイレーター本体10の素材は、例えばポリエチレンである。
【0032】
このダイレーター本体10には、不図示のガイドワイヤーを通すためのガイド内腔13が先端部11から後端部まで長手方向に貫通している。また、ダイレーター本体10は、その後端部に着脱可能なストッパー12を備えている。
【0033】
ダイレーター本体10の後端部には雌螺子部が形成されており、ストッパー12には、この雌螺子部に螺合するように頭部12aの先に雄螺子部12bが形成されている。
【0034】
ストッパー12は、雄螺子部12bの先端から頭部12aまで長手方向にガイドワイヤーを通すためのガイド内腔12cが貫通している。これにより、ストッパー12をダイレーター本体10に螺着した状態でストッパー12の頭部12aからダイレーター本体10の先端までガイド内腔12c,13が連通して貫通するので、ガイドワイヤーを通すことができる。ストッパー12の頭部12aは、少なくともアダプター30の内径よりも大きい外径の円筒状に形成されている。なお、頭部12aは、アダプター30内に入り込まない大きさのものであれば、円筒状に限られない。
【0035】
シース20は、ダイレーター本体10よりも全長が短い円筒体であり、先端部21が先細りのテーパー状に形成されている。シース20の内径はダイレーター本体10の外径と略同じ大きさである。この先端部21は、ダイレーター本体10にシース20を外挿したときに、ダイレーター本体10の先端部11のテーパー状が始まる始端の外周面に先端が滑らかに連続するように形成されている。
【0036】
図示したテーパー状の先端部21は、ダイレーター本体10の先端部11がテーパー状に先細る角度と同じ角度で先細っている。言い換えると、シース20の先端部21は、ダイレーター本体10の先端部11がテーパー状に拡がる角度と同じ角度でテーパー状に拡がっている。
【0037】
アダプター30は、その内径および外径がともにシース20の内径および外径と同じ円筒体であり、シース20の後端に続けてダイレーター本体10に外挿するものである。このアダプター30は、シース20とストッパー12との間に外挿させることにより、シース20の位置決めをすることができる。すなわち、アダプター30は、前記のようにダイレーター本体10に外挿したときに、シース20の先端部21がダイレーター本体10の先端部11のテーパー状の始端の位置に一致するように全長が定められている。
【0038】
次に第1の実施の形態に係るダイレーター1の作用を説明する。
体表面に開けた穿刺孔からカテーテル等の医療用器具を体腔内に挿入する際に、穿刺孔を拡張するためのダイレーター1を使用するときは、ダイレーター本体10の後端部からストッパー12を外して、シース20の先端部21をダイレーター本体10の後端部から外挿して行く。シース20は、その先端部21がダイレーター本体10の先端部11のテーパー状の始端の付近の手前に達するまで外挿する。
【0039】
次に、アダプター30をダイレーター本体10の後端部から外挿する。アダプター30は、その先端がダイレーター1の後端部に後端の付近に至るまで外挿する。
【0040】
この後に、ダイレーター本体10の後端部の雌螺子部にストッパー12の雄螺子部12bを螺合させて、ストッパー12をダイレーター本体10に固定する。ストッパー12がねじ込まれながらダイレーター本体10の先端部11の方向に進む際に、ストッパー12の頭部12aがアダプター30を押し進める。これにより、アダプター30がシース20の後端を押して、シース20は、その先端がダイレーター本体10の先端部11のテーパー状が始まる始端に位置するように位置決めされる。
【0041】
このようにダイレーター本体10にシース20、アダプター30を組み付けたダイレーター1は、ダイレーター本体10の先端部11に形成されたテーパー状が始まる始端からシース20の先端部21に形成されたテーパー状部分がスムーズに連続した状態となる。したがって、ダイレーター1を体表面に開けた穿刺孔に挿入したときに、シース20の外径まで穿刺孔をスムーズに拡張することができる。
【0042】
次に、体表面に開けた穿刺孔に予め通してあるガイドワイヤーをダイレーター本体10のガイド内腔13およびガイド内腔13に連通しているストッパー12のガイド内腔12cに通し、このガイドワイヤーに沿ってダイレーター1を体腔内の所望の位置まで挿入する。
【0043】
このようにして穿刺孔を拡張したら、ダイレーター1を抜き取り、ガイドワイヤーに沿ってカテーテル等の医療用器具を拡張した穿刺孔から体腔内に挿入することができる。
【0044】
ダイレーター1は、アダプター30を用いずに使用することもできる。図2にはそのような使用例が例示されている。図示したように、シース20は、その後端がダイレーター本体10のストッパー12に接する位置付近になるように外挿されている。このため、シース20の先端がダイレーター本体10のテーパー状の始まる始端よりもストッパー12側に離れた位置に在るようにしている。
【0045】
この場合、ダイレーター本体10のテーパー状が始まる始端からシース20の先端部21までの間には、ダイレーター本体10の同径の胴部が現れる。これにより、図1に示した使用態様ではダイレーター本体10の先端部11からシース20の外径まで一気に穿刺孔を拡張することになるが、図2に示したような使用態様では、一旦、ダイレーター本体10の先端部11からダイレーター本体10の外径まで穿刺孔を拡張し、その後、さらにシース20の外径まで穿刺孔を拡張することになる。
【0046】
したがって、2つの異なる使用態様でダイレーター1を使用することができる。なお、シース20の位置は図1、図2に示した位置に限られない。図1の使用態様では、図示した位置よりも先端部21をダイレーター本体10のテーパー状の始まる始端よりも10mm程度まで後方位置に在るようにしてもよい。また図2の使用態様では、図示した位置よりも先端部21をダイレーター本体10の先端部11に近づけてもよい。
【0047】
なお、シース20およびアダプター30をダイレーター本体10に外挿するときは、それらをダイレーター本体10の先端部11側から外挿しても良い。
【0048】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図5から図8までは、本発明の第2の実施の形態を示している。
図5は、第2の実施の形態に係るダイレーター1Aの全体を示す側面図であり、図6は、図5のダイレーター1Aにおいてアダプター30Aを使用しない場合の使用形態を示す側面図である。図7は、図5のダイレーター1Aにおけるシース20とアダプター30Aそれぞれの側面図およびアダプター30Aの端面を示す端面図である。図8は、図5のダイレーター本体10Aを示す側面図である。
【0049】
本実施の形態に係るダイレーター1Aでは、アダプター30Aが第1の実施の形態におけるアダプター30とは異なっている点、およびストッパー12Aがダイレーター本体10Aと一体となっている点が第1の実施の形態とは異なっている。なお、第1の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0050】
図5および図7に示したように、アダプター30Aは、円筒体の先端から後端まで長手方向に切欠いたスリット31が形成されている。したがって、アダプター30Aをダイレーター本体10Aに装着する場合、ダイレーター本体10Aの先端部11側から外挿してもよいが、スリット31からダイレーター本体10Aに嵌め込むようにして外嵌することもできる。また、スリット31をダイレーター本体10Aから外す場合、ダイレーター本体10Aの先端部11側から抜き取るようにしてもよいが、スリット31から取り外すこともできる。
【0051】
スリット31には、その相対する端面それぞれの両端付近に凹部32が形成されている。この凹部32は、ダイレーター本体10Aに装着してあるアダプター30Aを取り外す際に、ジグを入れたり、使用者が指の爪を立てたりしてスリット31を拡げ易くするためのものである。なお、凹部32を設ける位置は図示した位置に限られず、スリット31の相対する端面それぞれの一部であれば何処であってもよい。
【0052】
図5、図6および図7に示したように、ダイレーター本体10Aは、その後端部にストッパー12Aが一体に設けられている。これにより、ダイレーター1Aは、第1の実施の形態に係るダイレーター1よりも部材の数が1つ少なくなっている。
【0053】
第2の実施の形態に係るダイレーター1Aの作用は、ダイレーター本体10Aにアダプター30Aを装着する仕方がダイレーター本体10Aへの外挿の他にダイレーター本体10Aへ嵌め込むことができる点を除いて、第1の実施の形態に係るダイレーター1の作用と同様であるので、その説明を省略する。
【0054】
なお、アダプター30Aをダイレーター本体10Aに外嵌させるときは、スリット31をダイレーター本体10Aに沿うように当ててから、スリット31からダイレーター本体10Aに外嵌するようにアダプター30Aおよびダイレーター本体10Aを互いに押し付ければ良い。スリット31がダイレーター本体10Aに押し付けられたアダプター30Aは、スリット31が拡がるので、ダイレーター本体10Aに容易に外嵌させることができる。アダプター30Aがダイレーター本体10Aに完全に外嵌したときは、アダプター30Aは、その弾性により、拡がったスリット31が閉じるように形状が戻るのでダイレーター本体10Aに確実にしっかりと装着される。
また、スリット31の一端をダイレーター本体10Aに押し付けて一端側をある程度まで外嵌させてから、外嵌している端部側からもう一方の端部側まで順に押し込んでアダプター30A全体が外嵌するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施の形態に係るダイレーター1Aは、次に説明する第3の実施の形態に係るダイレーター1Bのアダプター30B等に設けた突出片33を有さないので、穿刺孔から体腔内のより深部まで挿入することができる。本実施の形態に係るダイレーター1Aは、前記のようにアダプター30Aに凹部32を設けてあるので、ダイレーター本体10Aに装着してあるアダプター30Aを取り外す際に、凹部32にジグを入れたり、使用者が指の爪を凹部32に立てたりして容易にスリット31を拡げることができる。このため、アダプター30Aをダイレーター本体10Aから容易に取り外すことができる。
【0056】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図9および図10は、本発明の第3の実施の形態を示している。
図9は、第3の実施の形態に係るダイレーター1Bの全体を示す側面図であり、図10は、図9のダイレーター1Bにおけるシース20とアダプター30Bそれぞれの側面図およびアダプター30Bの端面を示す端面図である。
【0057】
本実施の形態に係るダイレーター1Bは、アダプター30Bが第2の実施の形態におけるアダプター30Aとは異なっている点を除いて第2の実施の形態と同様のものである。 なお、第2の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0058】
図9および図10に示したように、ダイレーター1Bは、ダイレーター本体10Aの外周面から直径方向外側に互いに突出した一対の突出片33が設けられている。これらの突出片33は、アダプター30Bをダイレーター本体10Aに嵌脱する際にスリット31を拡げるためのものである。突出片33は、半円形の板状のものがアダプター30Bの端部に配設されている。
【0059】
次に第3の実施の形態に係るダイレーター1Bの作用を説明する。
第3の実施の形態に係るダイレーター1Bは、前記のようにアダプター30Bに突出片33が設けられている点のみが第2の実施の形態に係るダイレーター1Aと異なるので、突出片33に関する作用について説明し、他の説明は省略する。
【0060】
アダプター30Bをダイレーター本体10Aに装着するには、第2の実施の形態に係るダイレーター1Aのアダプター30Aと同様に、アダプター30Bをダイレーター本体10Aの先端から外挿する方法とスリット31からダイレーター本体10Aに嵌め込む方法とがある。
【0061】
スリット31からダイレーター本体10Aに嵌め込む際には、スリット31をダイレーター本体10Aに沿うように当ててから、スリット31がダイレーター本体10Aに外嵌するようにスリット31およびダイレーター本体10Aを互いに押し付ければ良いが、このとき、アダプター30Bの外周面に一対の突出片33を指で摘まんでスリット31が開くように突出片33,33に力を加える。これにより、アダプター30Bをダイレーター本体10Aにより容易に外嵌させることができる。
【0062】
また、スリット31の一端をダイレーター本体10Aに押し付けて一端側をある程度まで外嵌させてから、外嵌している端部側からもう一方の端部側まで順に押し込んで全体が外嵌するようにする場合にも、一対の突出片33を指で摘まんで突出片33,33に力を加え、スリット31を拡げることによって一端側をより容易にダイレーター本体10Aに外嵌させることができる。
【0063】
ダイレーター本体10Aに外嵌しているアダプター30Bを外すときは、同様に一対の突出片33を指で摘まんで突出片33,33に力を加え、スリット31を拡げることにより、容易に外すことができる。なお、ダイレーター本体10Aから先にシース20を抜き取り、続いてアダプター30Bをダイレーター本体10Aから抜き取るようにしてもよい。
【0064】
以上のように、突出片33を指で摘まんでスリット31が拡がるように力を加えることにより、ダイレーター本体10Aとのアダプター30Bの嵌脱がより容易になる。
【0065】
なお、図示した例では、突出片33は半円形の板状のものとしてアダプター30Bの端部に設けてあるが、形状、設ける位置、設ける数等は図示した例に限られない。また、突出片33と第2の実施の形態におけるアダプター30Aに設けた凹部32とは二律背反するものではないので、アダプター30Bに凹部32を設けてもよい。
【0066】
また、図11から図13までにはダイレーター1Bの変形例が示されている。図11は、第3の実施の形態の変形例のダイレーター全体を示す側面図であり、図12は、図11のダイレーターにおけるシース20Aとアダプター30Aそれぞれの側面図およびアダプター30Aの端面を示す端面図であり、図13は、図11のダイレーター本体10Bを示す側面図である。
【0067】
この変形例では、ダイレーター本体10Bの外径がダイレーター本体10Aの外径よりも小さいものと成っている。このため、シース20Aの内径並びにアダプター30Cのスリット31cの幅および内径がダイレーター本体10Bの外径に合うように小さくなっている。
【0068】
なお、第1の実施の形態のようにアダプター30がスリットのない円筒体である場合には、アダプター30をシース20よりも肉厚にしてシース20の外径よりも大きい外径とし、先端側を先細りのテーパー状に形成し、先端の径がシース20の外径と同じ大きさのものとすることにより、ダイレーター1で拡張できる穿刺孔の大きさをダイレーター本体10の外径→シース20の外径→アダプター30の外径の順に3段階に拡張することができる。
【0069】
この場合、アダプター30のテーパー状の先端を前記とは異なり、ダイレーター本体10の先端部11のテーパー状が始まる始端の外周面に滑らかに連続するように形成することにより、シース20とアダプター30のダイレーター本体10への装着位置を入れ替えてアダプター30をシースとし、シース20をアダプターとして使用することができる。これにより、穿刺孔の拡張の大きさをシース20の外径とアダプター30の外径の2つから選択することができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0071】
例えば、前記実施の形態では、ダイレーター本体10に着脱自在なストッパー12として、ダイレーター本体10の後端部に雌螺子部を形成し、この雌螺子部に螺合する雄螺子部12bをストッパー12に設けたものとして説明したが、雄螺子部12bに代えて互いに離接可能に変形する弾撥片を設け、該弾撥片をダイレーター本体10の内部に挿入して、弾撥片同士が離れる方向の弾撥力で弾撥片がダイレーター本体10の内部に係止するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係るダイレーターの思想は、体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するためのものに限られず、例えば、尿道や食道狭窄、大腸狭窄部等を拡張するブジーとしても利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1…ダイレーター
1A…ダイレーター
1B…ダイレーター
10…ダイレーター本体
10A…ダイレーター本体
10B…ダイレーター本体
11…先端部
12…ストッパー
12a…頭部
12A…ストッパー
12b…雄螺子部
12c…ガイド内腔
13…ガイド内腔
20…シース
20A…シース
21…先端部
30…アダプター
30A…アダプター
30B…アダプター
30C…アダプター
31…スリット
31c…スリット
32…凹部
33…突出片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するために、前記穿刺孔を拡張するためのダイレーターにおいて、
ガイドワイヤーを通すためのガイド内腔が長手方向に貫通し、先端部が先細りのテーパー状に形成され、後端部に着脱可能なストッパーを有する、円筒状のダイレーター本体と、
前記ダイレーター本体よりも全長が短く、先端部が先細りのテーパー状に形成された、前記ダイレーター本体に外挿可能な円筒状のシースと、
前記シースの後端に続けて前記シースと前記ストッパーとの間に外挿可能な円筒状のアダプターとを備え、
前記ダイレーター本体に前記シースを外挿し、該シースの後端に続けて前記シースにアダプターを外挿したときに、前記シースの先端が前記ダイレーター本体の先端部のテーパー状が始まる始端付近に位置するように、前記シースおよび前記アダプターの全長を設定したことを特徴とするダイレーター。
【請求項2】
前記アダプターは、前記シースの外径よりも大きい外径を有し、先端部が先細りのテーパー状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のダイレーター。
【請求項3】
体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するために、前記穿刺孔を拡張するためのダイレーターにおいて、
ガイドワイヤーを通すためのガイド内腔が長手方向に貫通し、先端部が先細りのテーパー状に形成され、後端部にストッパーを有する、円筒状のダイレーター本体と、
前記ダイレーター本体よりも全長が短く、先端部が先細りのテーパー状に形成された、前記ダイレーター本体に外挿可能な円筒状のシースと、
前記シースの後端に続けて前記シースと前記ストッパーとの間に外嵌可能なアダプターとを備え、
前記アダプターは、円筒体の先端から後端まで長手方向にスリットを形成して、前記ダイレーター本体に嵌脱可能としたものであり、
前記ダイレーター本体に前記シースを外挿し、該シースの後端に続けて前記シースにアダプターを外挿したときに、前記シースの先端が前記ダイレーター本体の先端部のテーパー状が始まる始端付近に位置するように、前記シースおよび前記アダプターの全長を設定したことを特徴とするダイレーター。
【請求項4】
前記アダプターは、前記スリットの相対する端面それぞれの一部に凹部を設けたことを特徴とする請求項3に記載のダイレーター。
【請求項5】
前記アダプターは、前記ダイレーター本体との嵌脱の際に前記スリットを拡げ易くするための複数の突出片を外周面に設けたことを特徴とする請求項3に記載のダイレーター。
【請求項6】
前記シースの先端部は、前記ダイレーター本体の先端部のテーパー状の拡がり角度と同じ角度で拡がるテーパー状であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のダイレーター。
【請求項1】
体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するために、前記穿刺孔を拡張するためのダイレーターにおいて、
ガイドワイヤーを通すためのガイド内腔が長手方向に貫通し、先端部が先細りのテーパー状に形成され、後端部に着脱可能なストッパーを有する、円筒状のダイレーター本体と、
前記ダイレーター本体よりも全長が短く、先端部が先細りのテーパー状に形成された、前記ダイレーター本体に外挿可能な円筒状のシースと、
前記シースの後端に続けて前記シースと前記ストッパーとの間に外挿可能な円筒状のアダプターとを備え、
前記ダイレーター本体に前記シースを外挿し、該シースの後端に続けて前記シースにアダプターを外挿したときに、前記シースの先端が前記ダイレーター本体の先端部のテーパー状が始まる始端付近に位置するように、前記シースおよび前記アダプターの全長を設定したことを特徴とするダイレーター。
【請求項2】
前記アダプターは、前記シースの外径よりも大きい外径を有し、先端部が先細りのテーパー状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のダイレーター。
【請求項3】
体表面に開けた穿刺孔から医療用器具を体腔内に挿入するために、前記穿刺孔を拡張するためのダイレーターにおいて、
ガイドワイヤーを通すためのガイド内腔が長手方向に貫通し、先端部が先細りのテーパー状に形成され、後端部にストッパーを有する、円筒状のダイレーター本体と、
前記ダイレーター本体よりも全長が短く、先端部が先細りのテーパー状に形成された、前記ダイレーター本体に外挿可能な円筒状のシースと、
前記シースの後端に続けて前記シースと前記ストッパーとの間に外嵌可能なアダプターとを備え、
前記アダプターは、円筒体の先端から後端まで長手方向にスリットを形成して、前記ダイレーター本体に嵌脱可能としたものであり、
前記ダイレーター本体に前記シースを外挿し、該シースの後端に続けて前記シースにアダプターを外挿したときに、前記シースの先端が前記ダイレーター本体の先端部のテーパー状が始まる始端付近に位置するように、前記シースおよび前記アダプターの全長を設定したことを特徴とするダイレーター。
【請求項4】
前記アダプターは、前記スリットの相対する端面それぞれの一部に凹部を設けたことを特徴とする請求項3に記載のダイレーター。
【請求項5】
前記アダプターは、前記ダイレーター本体との嵌脱の際に前記スリットを拡げ易くするための複数の突出片を外周面に設けたことを特徴とする請求項3に記載のダイレーター。
【請求項6】
前記シースの先端部は、前記ダイレーター本体の先端部のテーパー状の拡がり角度と同じ角度で拡がるテーパー状であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のダイレーター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−70872(P2013−70872A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213062(P2011−213062)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(391016705)クリエートメディック株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(391016705)クリエートメディック株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]