説明

ダニ駆除用組成物およびダニ駆除方法

【課題】高いダニ駆除効果を発揮するダニ駆除用組成物およびダニ駆除方法の提供。
【解決手段】重金属を含む水溶性の化合物および重金属を含む水分散性の化合物からなる群から選択される重金属化合物(A)と、水に溶解して過酸化水素を発生する無機過酸化物および過酸化水素からなる群から選択される化合物(B)とを含有することを特徴とするダニ駆除用組成物およびこれを使用するダニ駆除方法;当該ダニ駆除用組成物においては、脂肪酸又はその塩(C)をさらに含有することが好ましい。また、当該ダニ駆除用組成物においては、有機過酸前駆体(D)をさらに含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な種類のダニ駆除に好適に使用されるダニ駆除用組成物およびこれを使用したダニ駆除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内で繁殖するダニ、そのなかでも特にチリダニが排泄する糞や死骸は、アレルギーの原因となることが知られている。
このアレルギーの原因となる抗原物質(アレルゲン)を不活性化する技術の開発がこれまでに行われている。
たとえば、特許文献1には、有効量のアレルギー中和金属イオンおよび溶媒を含有するアレルゲン中和組成物が提案されている。当該金属イオンとしては、亜鉛イオンとスズイオンが好ましいものとして挙げられており、アレルゲン変性化合物としてタンニン酸を含有する組成物の例が開示されている。
【0003】
現在の気密性の高い住居環境においては、チリダニが生育し易いものになってきており、布団などの寝具類やカーペットをはじめ、住居内の多くの生活用品がダニアレルゲンで汚染されるようになってきている。
また、ダニの種の中には、吸血したり、寄生により痒みを発症させたりするものがある。
近年、ペットブームなどを背景として、家畜やペットに寄生したり吸血したりするダニが、ヒトに対しても影響を及ぼすことが危惧されている。
そのため、これらのダニを殺傷(殺ダニ)したり忌避したりすること、すなわち、「ダニ駆除」が、公衆衛生における重要な課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−510717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載されたアレルゲン中和組成物は、アレルゲンタンパク質類を中和してアレルゲンを不活性化することを目的とするものであり、ダニを殺傷するものではなく、「ダニ駆除」の用途には不適切なものである。
また、上記の背景等から、従来よりも高いダニ駆除効果が得られる技術の開発が求められる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、高いダニ駆除効果を発揮するダニ駆除用組成物およびダニ駆除方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討した結果、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
すなわち、本発明のダニ駆除用組成物は、重金属を含む水溶性の化合物および重金属を含む水分散性の化合物からなる群から選択される重金属化合物(A)と、水に溶解して過酸化水素を発生する無機過酸化物および過酸化水素からなる群から選択される化合物(B)とを含有することを特徴とする。
本発明のダニ駆除用組成物においては、脂肪酸又はその塩(C)をさらに含有することが好ましい。
また、本発明のダニ駆除用組成物においては、有機過酸前駆体(D)をさらに含有することが好ましい。
また、本発明のダニ駆除用組成物においては、前記重金属化合物(A)が、銅を含む水溶性塩および鉄を含む水溶性塩からなる群から選択される少なくとも1種の水溶性塩であることが好ましい。
また、本発明のダニ駆除方法は、前記本発明のダニ駆除用組成物を使用する方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高いダニ駆除効果を発揮するダニ駆除用組成物およびダニ駆除方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪ダニ駆除用組成物≫
本発明のダニ駆除用組成物は、重金属を含む水溶性の化合物および重金属を含む水分散性の化合物からなる群から選択される重金属化合物(A)と、水に溶解して過酸化水素を発生する無機過酸化物および過酸化水素からなる群から選択される化合物(B)とを含有する。
本発明のダニ駆除用組成物においては、脂肪酸又はその塩(C)をさらに含有することが好ましい。
また、本発明のダニ駆除用組成物においては、有機過酸前駆体(D)をさらに含有することが好ましい。
当該ダニ駆除用組成物は、その形態が特に限定されるものではなく、たとえば粉体状又は粒状の組成物であってもよく、液体状の組成物であってもよい。
【0010】
[(A)成分]
本発明において、重金属化合物(A)(以下「(A)成分」という。)は、重金属を含む水溶性の化合物および重金属を含む水分散性の化合物からなる群から選択されるものである。
重金属を含む水分散性の化合物としては、たとえば、水等の溶媒に溶解した際、コロイド状微粒子として溶媒中に分散するものが挙げられる。
かかる(A)成分は、後述する化合物(B)との併用により、高いダニ駆除効果を発揮する。また、水等の溶媒に溶解した際の均一性が良好である。
なかでも、(A)成分としては、水等の溶媒への溶解性がさらに良好であることから、重金属を含む水溶性の化合物であることが好ましい。
【0011】
(A)成分としては、鉄、鉛、金、白金、銀、銅、クロム、カドミウム、水銀、亜鉛、ヒ素、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、錫もしくはビスマス等の重金属を含む化合物、又はこれらの金属イオンを放出する化合物が挙げられる。
なかでも、鉄、銀、銅、マンガン、コバルト、ニッケルおよびモリブデンからなる群から選択される遷移元素を含む化合物、又はこれらの金属イオンを放出する化合物;亜鉛、錫およびビスマスからなる群から選択される典型元素を含む化合物、又はこれらの金属イオンを放出する化合物が好ましい。
そのなかでも、前記遷移元素を含む化合物、又はこれらの金属イオンを放出する化合物がより好ましく;長周期型周期表における第4周期の遷移元素を含む化合物、又はこれらの金属イオンを放出する化合物がさらに好ましく;鉄もしくは銅を含む化合物、又はこれらの金属イオンを放出する化合物が特に好ましく;銅を含む化合物、又は銅イオンを放出する化合物が最も好ましい。
(A)成分として具体的には、上記重金属を含む塩、酸化物、水酸化物、硫化物、金属コロイド又は有機金属化合物等が挙げられる。なかでも、上記重金属を含む塩が好ましく、上記重金属を含む水溶性塩が特に好ましい。
上記重金属を含む塩としては、塩化物などのハロゲン化物、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩などの無機塩;安息香酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、オレイン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、シュウ酸塩、タンニン酸などの有機酸塩が挙げられる。なかでも、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩が好ましく、塩化物、硝酸塩、硫酸塩がより好ましく、塩化物、硫酸塩がさらに好ましい。
なお、(A)成分としては、上記化合物に加えて、上記化合物の水和物も用いることができる。
【0012】
(A)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明において、(A)成分としては、銅もしくは鉄を含む水溶性の化合物および銅もしくは鉄を含む水分散性の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の重金属化合物が好ましく、水等の溶媒への溶解性が良好であり、かつ、ダニ駆除効果に優れることから、銅を含む水溶性塩および鉄を含む水溶性塩からなる群から選択される少なくとも1種の水溶性塩であることがより好ましく、銅を含む水溶性塩であることが特に好ましい。
【0013】
本発明のダニ駆除用組成物における(A)成分((A)成分を無水和物として用いる際)の含有割合は、当該ダニ駆除用組成物を水等に溶解し希釈して使用する場合、0.0006〜7質量%であることが好ましく、0.006〜0.7質量%であることがより好ましく、0.06〜0.7質量%であることが特に好ましい。
当該ダニ駆除用組成物を水等に溶解せず希釈しないで使用する、特に液体状の組成物である場合、(A)成分の含有割合は、0.0000006〜0.07質量%であることが好ましく、0.000006〜0.0007質量%であることがより好ましく、0.00006〜0.0007質量%であることが特に好ましい。
(A)成分の含有割合がそれぞれ前記範囲の下限値以上であると、ダニ駆除効果がより向上する。(A)成分の含有割合がそれぞれ前記範囲の上限値以下であると、他の成分との配合バランスをとることができる。
【0014】
また、本発明のダニ駆除用組成物における(A)成分((A)成分を水和物として用いる際)の含有割合は、当該ダニ駆除用組成物を水等に溶解し希釈して使用する場合、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜1質量%であることがより好ましく、0.1〜1質量%であることが特に好ましい。
当該ダニ駆除用組成物を水等に溶解せず希釈しないで使用する、特に液体状の組成物である場合、(A)成分の含有割合は、0.000001〜0.1質量%であることが好ましく、0.00001〜0.001質量%であることがより好ましく、0.0001〜0.001質量%であることが特に好ましい。
(A)成分の含有割合がそれぞれ前記範囲の下限値以上であると、ダニ駆除効果がより向上する。(A)成分の含有割合がそれぞれ前記範囲の上限値以下であると、他の成分との配合バランスをとることができる。
【0015】
[(B)成分]
本発明において、化合物(B)(以下「(B)成分」という。)は、水に溶解して過酸化水素を発生する無機過酸化物および過酸化水素からなる群から選択されるものである。
かかる(B)成分は、前記(A)成分との併用により、高いダニ駆除効果を発揮する。
(B)成分としては、過酸化水素、又は水溶液中で過酸化水素を発生するものであればよく、たとえば、過酸化水素;過炭酸、過ホウ酸、又はこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)もしくはアンモニウム塩などが挙げられる。なかでも、ダニ駆除効果に優れることから、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過リン酸水素ナトリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムであることが好ましく、過酸化水素、過炭酸ナトリウムであることがより好ましく、過炭酸ナトリウムであることが最も好ましい。
【0016】
(B)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0017】
本発明のダニ駆除用組成物における(B)成分の含有割合は、当該ダニ駆除用組成物を水等に溶解し希釈して使用する場合、1〜90質量%であることが好ましく、当該ダニ駆除用組成物が液体状の組成物である場合は1〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが特に好ましく、粉体状又は粒状の組成物である場合は10〜90質量%であることがより好ましく、10〜20質量%であることが特に好ましい。
当該ダニ駆除用組成物を水等に溶解せず希釈しないで使用する、特に液体状の組成物である場合、(B)成分の含有割合は、0.001〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.1質量%であることがより好ましい。
(B)成分の含有割合がそれぞれ前記範囲の下限値以上であると、ダニ駆除効果がより向上する。(B)成分の含有割合がそれぞれ前記範囲の上限値以下であると、他の成分との配合バランスをとることができる。
【0018】
[(C)成分]
本発明においては、脂肪酸又はその塩(C)(以下「(C)成分」という。)をさらに含有することにより、より高いダニ駆除効果が得られる。
(C)成分としては、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよく、飽和脂肪酸又はその塩であっても不飽和脂肪酸又はその塩であってもよく、なかでも直鎖状のものが好ましく、直鎖状の飽和脂肪酸又はその塩がより好ましい。
(C)成分における炭素数(アシル基の炭素数)は、炭素数4〜18であることが好ましく、炭素数8〜18であることがより好ましく、炭素数8〜14であることがさらに好ましく、炭素数12であることが最も好ましい。
上記のなかでも、(C)成分としては、炭素数4〜18の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和脂肪酸又はその塩、炭素数4〜18の直鎖状もしくは分枝鎖状の不飽和脂肪酸又はその塩が好ましく、炭素数8〜18の直鎖状の飽和脂肪酸又はその塩、炭素数8〜18の不飽和脂肪酸又はその塩がより好ましく、炭素数8〜14の直鎖状の脂肪酸又はその塩が特に好ましく、炭素数12の直鎖状の脂肪酸又はその塩(すなわち、ラウリン酸又はその塩)が最も好ましい。
塩(対イオン)としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩;二価金属としては、カルシウム、マグネシウム等の二価金属塩;モノアルカノールアミン(モノエタノール、モノプロパノール、モノブタノールなど)、ジアルカノールアミン(ジエタノール、ジプロパノール、ジブタノールなど)、トリアルカノールアミン(トリエタノール、トリプロパノール、トリブタノールなど)等の低級アルカノールアミン等が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。
【0019】
(C)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ただし、当該(C)成分には、前記(A)成分に該当するものは含まれないものとする。
【0020】
本発明のダニ駆除用組成物における(C)成分の含有割合は、当該ダニ駆除用組成物を水等に溶解し希釈して使用する場合、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
当該ダニ駆除用組成物を水等に溶解せず希釈しないで使用する、特に液体状の組成物である場合、(C)成分の含有割合は、0.0001〜1質量%であることが好ましく、0.001〜0.01質量%であることがより好ましい。
(C)成分の含有割合がそれぞれ前記範囲の下限値以上であると、ダニ駆除効果がより向上する。(C)成分の含有割合がそれぞれ前記範囲の上限値以下であると、他の成分との配合バランスをとることができる。
【0021】
[(D)成分]
本発明においては、有機過酸前駆体(D)(以下「(D)成分」という。)をさらに含有することにより、より高いダニ駆除効果が得られる。
(D)成分としては、過加水分解により有機過酸を生成するものであればよく、例えば漂白活性化剤として従来提案されているものの中から好適に使用できる。
ここで、「有機過酸」とは、−OH(水酸基)を含む酸性基(カルボキシ基、スルホ基等)を有する有機化合物において、その−OHが−OOHで置換された化合物を意味し、たとえば−C(=O)OOH(過カルボキシ基)を有する過カルボン酸、−S(=O)OOHを有するペルオキソスルホン酸等が挙げられる。
【0022】
(D)成分として具体的には、たとえば、アルキルアシルオキシベンゼンスルホン酸塩(OBS)、アルキルアシルオキシ安息香酸(OBC)が好適なものとして挙げられる。
【0023】
アルキルアシルオキシベンゼンスルホン酸塩(OBS)、アルキルアシルオキシ安息香酸(OBC)のなかで好適なものとしては、たとえば、下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
RCOO−C−COOM ・・・(I)
RCOO−C−SOM ・・・(II)
[式(I)および式(II)中、Rはそれぞれ独立して直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数2〜14のアルキル基又はアルケニル基を表し、Mはそれぞれ独立して水素原子又は塩形成カチオンを表す。]
【0024】
前記式(I)および式(II)中、Rは、それぞれ独立して直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数2〜14のアルキル基又はアルケニル基を表す。Rにおいて、炭素数は8〜12が好ましく、10〜12がより好ましい。
前記式(I)および式(II)中、Mは、それぞれ独立して水素原子又は塩形成カチオンを表す。塩形成カチオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン;アンモニウムイオン、ジエタノールアミン等の2級アミンのイオン、トリエタノールアミン等の3級アミンのイオン等が挙げられる。
前記一般式(I)又は前記一般式(II)で表される化合物は、過加水分解の条件下で、所望により置換された過安息香酸又は脂肪族ペルオキソカルボン酸(好ましくは1〜14個の炭素原子、より好ましくは2〜12個の炭素原子を含む。)を生成する化合物である。
【0025】
また、(D)成分としては、前記のOBS、OBC以外にも、たとえば、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)もしくはその塩等のポリアシル化アルキレンジアミン;1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)等のアシル化トリアジン誘導体;1,3,4,6−テトラアセチルグリコルリル(TAGU)等のアシル化グリコルリル;N−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)等のN−アシルイミド;トリエチル−O−アセチルシトレート(TEOC)等のアシル化ヒドロカルボン酸;フタル酸無水物、イサト酸無水物、コハク酸無水物等のカルボン酸無水物;N−メチルジアセトアミド、グリコリド等のカルボン酸アミド;トリアセチン、エチレングリコールジアセテート、イソプロペニルアセテート、2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフランもしくはエノールエステル(独国特許出願公開第DE19616693号明細書および第DE19616767号明細書から既知である。)、アセチル化ソルビトール、マンニトール又はこれらの混合物(SORMAN)(欧州特許出願公開第EP0525239号明細書に記載)等のアシル化多価アルコール;ペンタアセチルグルコース(PAG)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロース、オクタアセチルラクトース、又はアセチル化し、所望によりN−アルキル化したグルカミンもしくはグルコノラクトン等のアシル化糖誘導体;トリアゾールもしくはトリアゾール誘導体;粒状カプロラクタムもしくはカプロラクタム誘導体[好ましくは、N−ベンゾイルカプロラクタムもしくはN−アセチルカプロラクタム(これらは、国際公開第94/27970号パンフレット、国際公開第94/28102号パンフレット、国際公開第94/28103号パンフレット、国際公開第95/00626号パンフレット、国際公開第95/14759号パンフレットおよび国際公開第95/17498号パンフレットから既知である。)等のN−アシル化ラクタム]等が挙げられる。
また、置換された親水性アシルアセタール(独国特許出願公開第DE−A−19616769号明細書から既知である。)、アシルラクタム(独国特許出願公開第DE−A−19616770号明細書および国際公開第95/14075号パンフレットに記載)も挙げられる。
また、独国特許出願公開第DE−A−4443177号明細書から既知である、通常の有機過酸前駆体の組合せ等を使用することもできる。
さらに、シアノピリジン、N−アルキルアンモニウムアセトニトリル、ニトリルクアット等のニトリル誘導体;シアナミド誘導体、N−メチルモルホリニウムアセトニトリル(MMA)を使用することもできる。
また、Benzoic acid 4−sulfo(1−4−sulfophenyl) ester等のベンゾイルオキシベンゼンスルホネートも使用することもできる。
【0026】
(D)成分は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明において、(D)成分としては、ダニ駆除効果が特に向上することから、炭素数2〜12のアルキル基又は炭素数2〜12のアルケニル基を有する有機過酸を生成するものが好ましい。当該アルキル基又はアルケニル基における炭素数は8〜12がより好ましく、炭素数10〜12がさらに好ましい。その中でも、前記一般式(I)又は前記一般式(II)におけるRの炭素数が8〜12であるOBS又はOBC、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)もしくはその塩がより好ましく、前記一般式(I)又は前記一般式(II)におけるRの炭素数が10〜12であるOBS又はOBCが特に好ましい。
【0027】
本発明のダニ駆除用組成物における(D)成分の含有割合は、当該ダニ駆除用組成物が粉体状又は粒状の組成物である場合は0.05〜10質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることがさらに好ましく、0.1〜3質量%であることが特に好ましい。
(D)成分の含有割合がそれぞれ前記範囲の下限値以上であると、ダニ駆除効果がさらに向上する。(D)成分の含有割合がそれぞれ前記範囲の上限値以下であると、他の成分との配合バランスをとることができる。
【0028】
本発明のダニ駆除用組成物においては、前記(A)成分および前記(B)成分に加えて、前記(C)成分をさらに含有することでダニ駆除効果がより向上する。
また、本発明のダニ駆除用組成物においては、前記(A)成分および前記(B)成分に加えて、前記(D)成分をさらに含有することでダニ駆除効果がより向上する。
また、本発明のダニ駆除用組成物においては、前記(A)成分および前記(B)成分に加えて、前記(C)成分と前記(D)成分とをさらに含有することでダニ駆除効果がよりいっそう向上する。
【0029】
[その他の成分]
本発明のダニ駆除用組成物においては、必要に応じて、上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分および(D)成分以外のその他の成分を併用してもよい。
その他の成分としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム等のアルカリ剤;界面活性剤、キレート剤などが挙げられる。
また、特に当該ダニ駆除用組成物が液体状の組成物である場合、水(蒸留水、イオン交換水、工業用水、水道水など)、エタノール、メタノール、ブチルカルビトール等の溶媒;パラトルエンスルホン酸、ポリエチレングリコール等の製剤安定化剤;塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム等のpH調整剤;防腐剤、香料などを使用することができる。
【0030】
本発明のダニ駆除用組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、各成分を常法に準じて混合することにより調製できる。
当該ダニ駆除用組成物が液体状の組成物である場合、たとえば2液タイプとすることもできる。具体的には、予め調製しておいた(A)成分を含有する溶液と、(B)成分を含有する溶液とを、ダニ駆除を行う直前に混合して混合溶液としたものを用いてもよく、又は、(A)成分を含有する溶液と、(B)成分を含有する溶液とを、ダニ駆除を行う際にそれぞれ別個に用いてダニ駆除の対象物上で混合するように用いてもよい。
【0031】
当該ダニ駆除用組成物が液体状の組成物である場合、当該ダニ駆除用組成物(原液)のpHは、pH6.0〜11.0であることが好ましく、pH7.0〜11.0であることがより好ましい。当該ダニ駆除用組成物(原液)のpHが前記範囲であると、高いダニ駆除効果が得られやすくなる。また、当該ダニ駆除用組成物の液安定性がより良好となる。また、後述するように、当該ダニ駆除用組成物(原液)を水により希釈処理した溶液(希釈処理液)のpHを、所望とするpH範囲に容易に調整できる。
【0032】
本発明のダニ駆除用組成物の使用方法としては、特に限定されるものではなく、たとえば後述する≪ダニ駆除方法≫に記載の方法が簡便であり、特に好適な方法である。
【0033】
≪ダニ駆除方法≫
本発明のダニ駆除方法は、上記本発明のダニ駆除用組成物を使用する方法である。
【0034】
本発明のダニ駆除方法として具体的には、一例として、ダニ駆除の対象物の表面に直接、上記本発明のダニ駆除用組成物もしくはその希釈処理液(以下、これらをまとめて「ダニ駆除用組成物等」という。)を塗布する方法などが挙げられる。
ダニ駆除用組成物等を塗布する方法としては、たとえば、ダニ駆除用組成物等をスプレー容器などに収容して対象物の表面に直接噴霧する方法;ダニ駆除用組成物等を対象物の表面に綿棒、ハケ、ローラーなどで塗布する方法;ティッシュペーパやキッチンペーパなどの紙や布にダニ駆除用組成物等を含ませて対象物の表面に塗布する方法などが挙げられる。
ダニ駆除の対象物としては、住居内でダニが存在すると考えられる対象物であれば特に限定されるものではなく、たとえば、布団やシーツなどの寝具類、カーペット、じゅうたん、畳、ぬいぐるみ、ソファー、マット、家具や床などの木質表面、プラスチック製品の表面、衣料などが挙げられる。
【0035】
ダニ駆除用組成物等をスプレー容器に収容して対象物の表面に直接噴霧する方法を使用する場合、当該ダニ駆除用組成物等としては、ダニ駆除用組成物を水により希釈処理した溶液(希釈処理液)を使用することが好ましい。
【0036】
(希釈処理液)
かかる希釈処理液においては、当該ダニ駆除用組成物を、水により質量基準で、好ましくは10〜10000倍に希釈したもの、より好ましくは1000倍又は10000倍に希釈したもの、特に好ましくは1000倍に希釈したもの、の25℃におけるpHが6.0〜11.0であることが好ましく、pH7.0〜11.0であることがより好ましい。
pHが6.0以上であると、ダニ駆除効果に優れる。pHが11.0以下であると、弱アルカリ性の領域を満足することができる(なお、pHが11.0を超えると、家庭品品質表示法ではアルカリ性となる。)。
本発明において、当該希釈処理液のpHは、希釈処理液を25℃に調整し、ガラス電極式pHメーター(製品名:F−52、(株)堀場製作所製)を用い、JIS K3362−1998に準拠して測定される値を示す。
【0037】
かかる希釈処理液の調製方法としては、特に限定されるものではなく、たとえばダニ駆除用組成物を水に溶解して所定の希釈倍率に希釈する方法、又はダニ駆除用組成物を水に溶解して複数回の希釈処理を行い所定の希釈倍率に希釈する方法等が挙げられる。
水としては、イオン交換水、蒸留水、水道水、工業用水等をいずれも使用することができる。
ダニ駆除用組成物が粉体状又は粒状の組成物である場合、当該組成物中に(A)成分および(B)成分(好ましくは、さらに(C)成分と(D)成分)がより均一に含まれるように縮分処理を施したものを、水に溶解して所定の倍率に希釈して希釈処理液を調製することがより好ましい。
本発明のダニ駆除用組成物において、かかる希釈処理液の25℃におけるpHを6.0〜11.0に制御する方法としては、たとえば、液体状の組成物の場合、pH調整剤を使用して水により希釈する前のダニ駆除用組成物(原液)のpHを上記範囲(好ましくは、pH6.0〜11.0)に調整する方法;粉体状又は粒状の組成物の場合、上記アルカリ剤の配合量を調整する方法などが挙げられる。
【0038】
以上説明したように、本発明によれば、高いダニ駆除効果を発揮するダニ駆除用組成物およびダニ駆除方法を提供することができる。
本発明のダニ駆除用組成物において、高いダニ駆除効果を発揮するという効果が得られる理由としては定かではないが、以下のように推測される。
ダニ抗原などの抗原物質(アレルゲン)を不活性化する従来の組成物においては、金属化合物又はアレルゲンを変性する成分などが配合され、金属イオン又はアレルゲンを変性する成分それ自体がアレルゲンに作用し、アレルゲンにおけるタンパク質分子と結合することにより、アレルゲンを不活性化すると考えられている。しかしながら、従来の組成物によれば、ある程度のアレルゲンを不活性化できるものの、ダニを殺傷するまでの効果を発揮するものではなかった。
一方、本発明のダニ駆除用組成物は、重金属を含む水溶性の化合物および重金属を含む水分散性の化合物からなる群から選択される重金属化合物(A)と、水に溶解して過酸化水素を発生する無機過酸化物および過酸化水素からなる群から選択される化合物(B)とを含有する。当該ダニ駆除用組成物においては、(B)成分が水に溶解して発生する過酸化水素又は(B)成分である過酸化水素と、(A)成分から放出される重金属イオンとの相互作用により、ヒドロキシラジカルが生成する。そして、当該ヒドロキシラジカルの作用により、ダニ抗原が不活性化され、さらにダニを殺傷する効果が得られると推測される。
【0039】
かかる推測の作用効果は、上述した(A)成分の説明において例示した重金属(遷移元素、典型元素)を含む化合物、又はその金属イオンを放出する化合物を用いた場合により良好に得られ、なかでも、遷移元素(好ましくは、似た性質を互いに示す第4周期でかつ7〜11族の遷移元素)を含む化合物、又はその金属イオンを放出する化合物を用いた場合に特に良好に得られる固有のものであると考えられる。
【0040】
また、本発明のダニ駆除用組成物およびダニ駆除方法によれば、ダニ抗原を不活性化できるとともに、室内で繁殖するダニ、特にチリダニを駆除することができる。
また、本発明のダニ駆除方法により、布団やカーペット等の洗濯が困難な対象物に対するダニ駆除を簡便に行うことができる。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、特に断りが無い限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0042】
<ダニ駆除用組成物の調製>
(実施例1〜22、比較例1〜9)
表1〜3に示す組成に従って、各成分を常法に準じて混合し、液体状の組成物(実施例1〜11、比較例1〜4;表1)と、粉体状の組成物(実施例12〜20、比較例5〜8;表2)と、液体状の組成物およびスプレー剤(実施例21〜22、比較例9;表3)とをそれぞれ調製した。以下、液体状の組成物を「液体組成物」、粉体状の組成物を「粉体組成物」とそれぞれ表す。
【0043】
実施例21〜22、比較例9の組成物の調製例:
実施例21〜22、比較例9においては、その他の成分として界面活性剤混合物を配合して液体組成物を調製した。
たとえば、実施例22の組成物は、以下のようにして調製した。
2Lビーカーに、95%エタノール、ポリエチレングリコール、パラトルエンスルホン酸1水和物およびノニオン界面活性剤A〜Cを入れ、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.)で充分に撹拌した後、安息香酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、イソチアゾロン液および香料を入れ、pHを約7に調整し、その後、予め60℃に加熱した(C)成分(ラウリン酸)を添加した。
次いで、バランス量の蒸留水を入れ、(A)成分と(B)成分とを加えて撹拌し、最終的にpHを7.0に調整することにより液体組成物を得た。
【0044】
液体組成物におけるpHの調整は、0.1Nもしくは1Nの塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて行った。
液体組成物(原液)の25℃におけるpHの測定は、その原液を25℃に調整し、ガラス電極式pHメーター(製品名:F−52、(株)堀場製作所製)を用い、JIS K3362−1998に準拠して測定した。
【0045】
なお、液体組成物は、いずれの例も、各表に記載の成分の合計が100質量%となるように、蒸留水でバランスすることにより調製した。また、粉体組成物は、いずれの例も、表2に記載の成分の合計が100質量%となるように、炭酸ナトリウムでバランスすることにより調製した。
なお、表1〜3中の配合量の単位は質量%である。
表1〜3に示す各成分の配合量は、過酸化水素を除き、以下に示す原料自体の配合量(有り姿の量)をそれぞれ表す。
過酸化水素については、純分換算量(有り姿の量の35質量%)を示す。
【0046】
[表中に示した成分の説明]。
・重金属化合物(A)
硫酸銅・五水和物:試薬特級、関東化学製。
塩化鉄(III)・六水和物:試薬特級、関東化学製。
【0047】
・化合物(B)
過酸化水素:商品名「35wt%過酸化水素」、食品添加物用、三菱瓦斯化学製。
過炭酸ナトリウム:商品名「SPC−G」、三菱瓦斯化学製。
過ホウ酸ナトリウム:商品名「15%ペルボン」、三菱瓦斯化学製。
【0048】
・脂肪酸又はその塩(C)
カプリル酸ナトリウム:試薬一級、関東化学製。
ラウリン酸ナトリウム:試薬一級、関東化学製。
ミリスチン酸ナトリウム:試薬一級、関東化学製。
ラウリン酸:試薬一級、東京化成製。
【0049】
・有機過酸前駆体(D)
OBS12:ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(自社合成品)。
OBC10:デカノイルオキシ安息香酸(自社合成品)。
【0050】
(有機過酸前駆体の製造方法)
OBS12の製造例:
原料として4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(試薬、関東化学製)と、N,N−ジメチルホルムアミド(試薬、関東化学製)と、デカン酸クロライド(試薬、東京化成工業製)と、アセトン(試薬、関東化学製)とを用い、以下の方法で行った。
予め脱水処理した4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム3000g(15.3mol)をN,N−ジメチルホルムアミド9000g中に分散させ、スターラーで撹拌しながら、デカン酸クロライド2918g(15.3mol)を、50℃で30分かけて滴下した。滴下終了後3時間反応を行い、N,N−ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5〜1mmHg)、100℃で留去した。アセトン洗浄後、水/アセトン(=1/1モル比)溶媒中にて再結晶を行って精製した。
【0051】
OBC10の製造例:
特開平10−231274号公報に記載される方法に従って合成した。
すなわち、4−ヒドロキシ安息香酸をカプリン酸に懸濁[4−ヒドロキシ安息香酸/カプリン酸(=1/1モル比)]させ、110℃に加熱した。次いで、カプリン酸クロリド[4−ヒドロキシ安息香酸/カプリン酸クロリド(=1/1モル比)]を滴下した。そのままの温度で4時間加熱撹拌した。冷却後、析出した沈澱を濾取し、ヘキサンで洗浄した。さらに、この反応物を乾燥させて粗4−デカノイルオキシ安息香酸を得た。
得られた粗4−デカノイルオキシ安息香酸100gを、3リットルの4つ口フラスコにとり、エタノール1500gを加え、70℃にて加温溶解した。溶解後、水300gを加え、放冷して結晶を析出させ、結晶を濾取し、乾燥させて精製4−デカノイルオキシ安息香酸を得た。
【0052】
・その他の成分
0.1Nおよび1N塩酸:分析用、純正化学製。
0.1Nおよび1N水酸化ナトリウム:分析用、純正化学製。
炭酸ナトリウム:試薬特級、関東化学製。
蒸留水
界面活性剤混合物:下記組成からなるもの。
【0053】
(界面活性剤混合物の組成) 液体組成物中の配合量(質量%)を示す。
ノニオン界面活性剤A 10
ノニオン界面活性剤B 10
ノニオン界面活性剤C 10
安息香酸ナトリウム 0.5
クエン酸三ナトリウム 0.2
95%エタノール 6
パラトルエンスルホン酸1水和物 2
ポリエチレングリコール 4
イソチアゾロン液 0.01
香料 0.1
【0054】
ノニオン界面活性剤A:ECOROL26(商品名、ECOGREEN社製;炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)に、酸化エチレンの平均15モルが付加した付加体(純分90質量%)。
ノニオン界面活性剤B:ダイヤドール13(商品名、三菱化学製)に、酸化エチレンの平均5モルが付加した付加体(純分90質量%)。
ノニオン界面活性剤C:ソフタノール90(商品名、日本触媒製)。
安息香酸ナトリウム:伏見製薬所製。
クエン酸三ナトリウム:クエン酸ソーダ、マイルス製。
95%エタノール:特定アルコール95度合成、日本アルコール販売製。
パラトルエンスルホン酸1水和物:協和発酵ケミカル製。
ポリエチレングリコール:ポリエチレングリコール#1000、ライオン株式会社製。
イソチアゾロン液:ケーソンCG(商品名、ローム・アンド・ハウス製;5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/マグネシウム塩/水の混合液)。
香料:特開2002−146399号公報の表11〜18に示す香料組成物A。
【0055】
<ダニ駆除効果の評価>
上記で得た液体組成物(実施例1〜11、比較例1〜4)、粉体組成物(実施例12〜20、比較例5〜8)および液体組成物(実施例21〜22、比較例9)を用い、以下に示すように、希釈処理液をそれぞれ調製してダニ駆除効果の評価を行った。
【0056】
[希釈処理液の調製]
液体組成物を用いた場合、液体組成物0.1gを、イオン交換水により1000倍に希釈することによって希釈処理液100gを調製した。
粉体組成物を用いた場合、上記で得た粉体組成物1000gを4回縮分し、その縮分された粉体組成物の50gを、イオン交換水に溶解してまず100倍に希釈した水溶液(a)5000gを調製し、当該水溶液(a)10gを、さらに蒸留水により10倍に希釈(合計で1000倍に希釈)して水溶液(b)100gを調製することによって希釈処理液を得た。
なお、上記希釈処理は、質量基準ですべて行った。
希釈処理液のpHの測定は、希釈処理液を25℃に調整し、ガラス電極式pHメーター(製品名:F−52、(株)堀場製作所製)を用い、JIS K3362−1998に準拠して測定した。
【0057】
[ダニ駆除効果の評価]
ダニとしてコナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)を使用した。
【0058】
・実施例1〜20、比較例1〜8における評価
上記で得た希釈処理液(いずれも1000倍希釈液)30mLを、前記ダニ約50匹を入れた50mL容のガラスビンに入れ、35℃で2時間放置した。その後、ろ紙No.131(アドバンテック社製)により希釈処理液中のダニをろ過し、ろ過直後のろ紙上のダニ数を、実態顕微鏡(オリンパス社製、製品名:SZ61)を用いてカウントした。
続いて、ダニをろ過したろ紙を、相対湿度70%、25℃で1日間放置し、ろ紙上の不動のダニ数(死滅したダニ数)をカウントした。その結果に基づいて、ダニの死滅率(%)を次式より求めた。その結果を表に併記した。
ダニ死滅率(%)=1日後のろ紙上の不動のダニ数/ろ過直後のろ紙上のダニ数
【0059】
・実施例21〜22、比較例9における評価
実施例21〜22、比較例9において、上記の「実施例1〜20、比較例1〜8における評価」と同様の評価を行った。
また、上記で得た希釈処理液(いずれも1000倍希釈液)300gを、トリガー式スプレー容器に収容し、スプレー剤として用いた場合のダニ駆除効果についても評価を行った。
本評価で使用したトリガー式スプレー容器と、綿布とを以下に示す。
トリガー式スプレー容器:吉野工業所(株)製のAKSRMトリガー、噴口径0.45mm、容量300mL。
綿布:かなきん3号(商品名)、日本規格協会、大きさ20cm×20cm、約4.2g/枚、中央部に直径40mmの円を油性ペンにて記載したもの。
【0060】
スプレー剤として用いた場合のダニ駆除効果の評価は、以下のようにして実施した。
綿布の中央部に記載した円内に、コナヒョウヒダニ約50匹を入れ、各例のスプレー剤の約0.42gを、綿布に均等となるように噴霧した。次いで、綿布に記載した円の部分をはさみで切り取り、実体顕微鏡にて、当該円の部分に生息するダニ数を観察した。
次に、25℃、相対湿度70%の雰囲気に、切り取った円形状の綿布を約24時間放置し、その後、同様にして当該円の部分に生息するダニ数を観察し、不動のダニ数をカウントした。そして、ダニの死滅率(%)を次式より求めた。その結果を表に併記した。
ダニ死滅率(%)
=(24時間後の不動のダニ数)/(噴霧直後の生息するダニ数)×100
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
以上の結果から明らかなように、本発明のダニ駆除用組成物およびダニ駆除方法においては、高いダニ駆除効果を発揮することが確認できた。
【0065】
また、実施例1と6〜9との対比、実施例2と10との対比、実施例3と11との対比、および実施例12と17との対比から、脂肪酸又はその塩(C)をさらに含有すると、ダニ駆除効果がより高くなることが確認できた。
また、実施例12と18〜19との対比から、有機過酸前駆体(D)をさらに含有すると、ダニ駆除効果がより高くなることが確認できた。
また、実施例12、17、18および20の対比から、(A)成分および(B)成分に加えて、(C)成分と(D)成分の両方をさらに含有すると、ダニ駆除効果がよりいっそう高くなることが確認できた。
さらに、表3に示す、スプレー剤として用いた場合の評価結果から、実施例21のスプレー剤は、比較例9のスプレー剤に比べて、高いダニ死滅率を示すことが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属を含む水溶性の化合物および重金属を含む水分散性の化合物からなる群から選択される重金属化合物(A)と、
水に溶解して過酸化水素を発生する無機過酸化物および過酸化水素からなる群から選択される化合物(B)とを含有することを特徴とするダニ駆除用組成物。
【請求項2】
脂肪酸又はその塩(C)をさらに含有する請求項1記載のダニ駆除用組成物。
【請求項3】
有機過酸前駆体(D)をさらに含有する請求項1又は請求項2記載のダニ駆除用組成物。
【請求項4】
前記重金属化合物(A)が、銅を含む水溶性塩および鉄を含む水溶性塩からなる群から選択される少なくとも1種の水溶性塩である請求項1〜3のいずれかに記載のダニ駆除用組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のダニ駆除用組成物を使用するダニ駆除方法。

【公開番号】特開2009−215288(P2009−215288A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31772(P2009−31772)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】