説明

ダブルアクションスイッチ

【課題】操作ストロークの削減を図る。
【解決手段】操作部17eの第1の押込位置及び第2の押込位置への押圧操作に応動してそれぞれ第1のスイッチ動作及び第2のスイッチ動作をするようにしたものにおいて、第1のスイッチ動作が、操作部17eの第1の押込位置への押圧操作に伴い、発光部20と受光部21との間にリング部(到光制限部)17cが位置して発光部20から受光部21への光の到達の制限をすることで果たされるようにした。これにより、従来のダブルアクションスイッチで必要であった、第1の可動接点が第1の固定接点に接触した後も第1の固定接点間を確実に橋絡するために接圧を加える操作ストロークが必要なく、その分、操作ストロークを削減でき、操作性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部の第1の押込位置への押圧操作に応動して第1のスイッチ動作を行う構造を改良したダブルアクションスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車など車両のナビゲーションやパワーウインド、電動ミラー、もしくは一般のカメラといったものの操作をするのに用いられるダブルアクションスイッチは、源位置から第1の押込位置及びそれより先方の第2の押込位置へと押圧操作される操作部を具え、この操作部の上記第1の押込位置及び第2の押込位置への押圧操作に応動してそれぞれ第1のスイッチ動作及び第2のスイッチ動作をするようにしたものである。
図4の(a)は、そのようなダブルアクションスイッチの従来構造を示しており、回路基板1上に操作部材2が設けられている。回路基板1は、上面に第1の固定接点3,4を離間させて有すると共に、それらの間に第2の固定接点5,6を有している。
【0003】
一方、操作部材2は、最下部がリング状のベース部2aであり、このベース部2a上にスカート状の薄肉部から成る第1の弾性変形部2bを有し、その上に厚肉のリング部2cを、更にその上に第1の弾性変形部2bより径小なスカート状の薄肉部から成る第2の弾性変形部2dを、そして更にその上の頂部にほゞ円柱状の操作部2eを有している。しかして、操作部材2は全体として、ゴムなど弾性材から成っており、リング部2cの下面にはリング状の第1の可動接点7を設け、操作部2eの下面に円盤状の第2の可動接点8を設けている。
そして、操作部材2は、ベース部2aで回路基板1に固着されており、第1の可動接点7を第1の固定接点3,4に対向させ、第2の可動接点8を第2の固定接点5,6に対向させている。
【0004】
この構成で、操作部2eを図3の(a)に示した源位置から、図3の(b)に矢印Xで示すように押圧操作すると、最初に第1の弾性変形部2bが弾性変形して第1の可動接点7が第1の固定接点3,4に接触し、該第1の固定接点3,4間を橋絡する。この位置が第1の押込位置であり、このときの上記第1の可動接点7による第1の固定接点3,4間の橋絡が第1のスイッチ動作である。
【0005】
次いで、操作部2eを図3の(c)に矢印Xで示すように更に押圧操作すると、第2の弾性変形部2dが弾性変形して第2の可動接点8が第2の固定接点5,6に接触し、該第2の固定接点5,6間を橋絡する。この位置が第2の押込位置であり、このときの上記第2の可動接点8による第2の固定接点5,6間の橋絡が第2のスイッチ動作である(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−111134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図5は、上記従来のダブルアクションスイッチにおける第1及び第2のスイッチ動作及び操作ストロークと、操作荷重との関係を示している。図中、A点が源位置、B´点が第1の押込位置である。第1の可動接点7は、詳細には、B´点よりも操作ストロークでΔsだけ手前のB点で、第1の固定接点3,4に接触する。この接触した第1の可動接点7で第1の固定接点3,4間を確実に橋絡するためには、それにΔsの操作ストローク分の操作荷重を加えた接圧が必要であり、よって、B点からΔsの操作ストローク分を過ぎたB´点で第1の固定接点3,4間が確実に橋絡(ON)されるのである。具体的には、例えば、A点からB点までの操作ストロークsが0.3〔mm〕であり、B点からB´点までの操作ストロークΔsが0.2〔mm〕ほどである。
【0007】
この後、操作部2eの押圧操作を続けることにより、操作荷重が増え続けて、C点に達したところで第2の弾性変形部2dが弾性変形して座屈することにより、その後操作荷重が減り、このときにクリック感が得られる。そして、D点で、第2の可動接点8が第2の固定接点5,6に接触する。この接触した第2の可動接点8で第2の固定接点5,6間を確実に橋絡するにも、それにΔtの操作ストローク分の操作荷重を加えた接圧が必要であり、よって、D点からΔtの操作ストローク分を過ぎたD´点で第2の固定接点5,6間が確実に橋絡(ON)される。すなわち、D´点が第2の押込位置である。
この後、操作部2eの押圧操作を続ければ、操作荷重は増加する。
【0008】
このように、従来のダブルアクションスイッチでは、第1の可動接点7が第1の固定接点3,4に接触して後もΔsの操作ストロークが必要であり、又、第2の可動接点8が第2の固定接点5,6に接触して後もΔtの操作ストロークが必要であって、それらの分、全体の操作ストロークが大きく必要とされるという欠点を有していた。
【0009】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、操作ストロークの削減を図ることのできるダブルアクションスイッチを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のダブルアクションスイッチは、源位置から第1の押込位置及びそれより先方の第2の押込位置へと押圧操作される操作部を具え、この操作部の前記第1の押込位置及び第2の押込位置への押圧操作に応動してそれぞれ第1のスイッチ動作及び第2のスイッチ動作をするようにしたものにおいて、前記第1のスイッチ動作を、発光部と、この発光部が発した光を受けてそれに応じた信号を出力する受光部と、前記操作部の第1の押込位置への押圧操作に伴い、前記発光部と受光部との間に位置して発光部から受光部への光の到達を制限する到光制限部とにより行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記手段によれば、第1のスイッチ動作は、到光制限部が、操作部の第1の押込位置への押圧操作に伴い、発光部と受光部との間に位置して発光部から受光部への光の到達を制限することで果たされるものであり、従来のダブルアクションスイッチで必要であった、第1の可動接点が第1の固定接点に接触した後も第1の固定接点間を確実に橋絡するために接圧を加える操作ストロークが必要ないので、その分、操作ストロークを削減でき、操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施例(一実施形態)につき、図1ないし図3を参照して説明する。
まず、図2には、ダブルアクションスイッチの外殻を含む構成を示しており、ベース11と、これに被着したカバー12、及びカバー12に上下に往復動可能に組み込んだ押ボタン13とで、外殻14を組成している。
【0013】
そして、外殻14内にダブルアクションスイッチ15を組み込んでおり、このダブルアクションスイッチ15は、回路基板16と操作部材17とを有している。そのうち、回路基板16は、前記ベース11に上面のみを露出させて埋設しており、その上面に固定接点18,19を近接させて有している。
【0014】
一方、操作部材17は、図3にも示すように、最下部がリング状のベース部17aであり、このベース部17a上にスカート状の薄肉部から成る第1の弾性変形部17bを有し、その上に厚肉のリング部17cを、更にその上に第1の弾性変形部17bより径小なスカート状の薄肉部から成る第2の弾性変形部17dを、そして更にその上の頂部にほゞ円柱状の操作部17eを有している。
【0015】
しかして、操作部材17は全体としてゴムなど弾性材から成っており、ベース部17aには、左右に対向するうちの一方側(図では左側)に発光部20を設け、他方側(図では右側)に受光部21を設けている。この場合、発光部20は発光体、中でも発光素子であって、例えば発光ダイオードであり、受光部21は受光素子であって、例えばフォトトランジスタである。
【0016】
又、それら発光部20及び受光部21を設けた部分は、操作部材17のベース部17aの裏面側に形成した溝22,23中であって、発光部20が発する光は、発光部20側の溝22から操作部材17内の空洞部及び受光部21側の溝23を通じて受光部21に到達するようになっており、受光部21はその光を受けてそれに応じた信号を出力するようになっている。
【0017】
更に、この場合、リング部17cは、図2に示すように、発光部20から受光部21への光路より上方に退避した位置を常時は占めるようになっている。又、操作部17eの下面には例えば円盤状(図3参照)の可動接点24を設けている。
そして、操作部材17は、ベース部17aで回路基板16に固着しており、可動接点24を固定接点18,19に上下の関係で対向させている。又、操作部17e上には、前記押ボタン13が位置しており、操作部材17は全体で押ボタン13を押し上げている。
【0018】
次に、上記構成のものの作用を述べる。
まず、図2及び図1の(a)は源状態を示しており、この状態(源位置)では、前述のように発光部20から受光部21への光路より上方にリング部17cが退避した状態にあり、従って、発光部20が発した光は、図1の(a)に矢印Zで示すように、受光部21に充分に到達し、受光部21はそれに応じた信号を出力する。
【0019】
この状態から、次に押ボタン13で操作部17eを図1の(b)に矢印Yで示すように押圧操作すると、第1の弾性変形部17bが弾性変形してリング部17cを降下させる。すると、リング部17cが発光部20と受光部21との間にその間を遮るように位置する。このため、発光部20が発した光は受光部21に充分に到達しなくなり、もしくは全く到達しなくなり、それによって受光部21が出力する信号が減少し、もしくは無くなる。
【0020】
この位置が第1の押込位置であり、このときの上記受光部21が出力する信号の減少、もしくは無くなりが第1のスイッチ動作である。従って、このとき、発光部20と受光部21及び操作部材17のリング部17cは、第1のスイッチ動作をする第1のスイッチ手段として機能するものであり、リング部17cは発光部20から受光部21への光の到達を制限する到光制限部として機能する。
【0021】
そして更に、押ボタン13で操作部17eを図1の(c)に矢印Yで示すように押圧操作すると、第2の弾性変形部17dが弾性変形して可動接点24が固定接点18,19に接触し、該固定接点18,19間を橋絡する。この位置が第2の押込位置であり、このときの上記可動接点24による固定接点18,19間の橋絡が第2のスイッチ動作である。従って、このとき、固定接点18,19と可動接点24は、第2のスイッチ動作をする第2のスイッチ手段として機能する。
【0022】
なお、第2の弾性変形部17dは、上述のように弾性変形したとき、座屈するものであり、それによって、その後の操作荷重が減り、このときにクリック感が得られる。又、その第2の弾性変形部17dの座屈は、一般的にはリング部17cが回路基板16に接触した後に起きるが、接触する前に起きる構成とすることも可能である。
【0023】
このように本構成のものでは、第1のスイッチ動作は、操作部材17のリング部17c(到光制限部)が、操作部17eの第1の押込位置への押圧操作に伴い、発光部20と受光部21との間に位置して発光部20から受光部21への光の到達を制限することで果たされるものであり、従来のダブルアクションスイッチで必要であった、第1の可動接点7が第1の固定接点3,4に接触した後も第1の固定接点3,4間を確実に橋絡するために接圧を加える操作ストロークが必要ないので、その分、操作ストロークを削減でき、操作性を向上させることができる。
【0024】
なお、第2のスイッチ動作は、可動接点24による固定接点18,19間の橋絡に限られず、例えば発光部20から受光部21への光の到達度合を第1のスイッチ動作と異なるものとして果たすようにしても良いし、あるいは磁石から磁気検知素子への磁気の及び具合の変化で果たすようにしても良いなど、他の手段で果たすようにしても良い。
そのほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例を示す主要部分の縦断面図で、(a)が源状態の図、(b)が第1の押込状態の図、(c)が第2の押込状態の図
【図2】全体の縦断面図
【図3】主要部分の下面図
【図4】従来例を示す図1相当図
【図5】従来例の第1及び第2のスイッチ動作及び操作ストロークと操作荷重との関係を示した図
【符号の説明】
【0026】
図面中、15はダブルアクションスイッチ、17cは操作部材のリング部(到光制限部)、17eは操作部、18,19は固定接点、20は発光部、21は受光部、24は可動接点を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
源位置から第1の押込位置及びそれより先方の第2の押込位置へと押圧操作される操作部を具え、この操作部の前記第1の押込位置及び第2の押込位置への押圧操作に応動してそれぞれ第1のスイッチ動作及び第2のスイッチ動作をするようにしたものにおいて、
前記第1のスイッチ動作を、
発光部と、
この発光部が発した光を受けてそれに応じた信号を出力する受光部と、
前記操作部の第1の押込位置への押圧操作に伴い、前記発光部と受光部との間に位置して発光部から受光部への光の到達を制限する到光制限部とにより行うようにしたことを特徴とするダブルアクションスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−207713(P2007−207713A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28346(P2006−28346)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】