説明

ダプソンを含む乳化組成物

【課題】
【解決手段】本発明は、ダプソンまたはその誘導体を含有する局所用乳化組成物に関する。本発明組成物は、安定な乳化物中にエモリエントおよびダプソンもしくはその誘導体を組み込んでいる。安定性は、特定の界面活性剤混合物およびダプソンに溶解性を付与する増強剤の組合せを使用することによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の表示
本PCT特許出願は、2003年8月13日出願の米国特許仮出願第60/494,912号に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
DDSすなわち4,4’−ジアミノジフェニルスルホンは、米国薬局方(USP)ではダプソン(Dapsone)の名称を有し、幾つかの有益な医薬活性を所持する周知の薬剤である。ダプソンは、典型的には、ハンセン病の治療に使用される医薬の1つとして投与される。また、ダプソンおよびその誘導体は、細菌感染症、マラリア、ニューモシチスカリニなどの原生動物感染症、およびトキソプラズマ症などのプラズマ感染症の治療に有効である。ダプソンおよびその誘導体について記載している若干の先行刊行物として、1938年のフランス特許(FR829,926)および米国特許第2,385,899号が挙げられる。これらの文献は、ダプソンが、細菌、マイコバクテリア、プラスモジウムの増殖に対する抑制効果を有すると述べている。フィジシャンズデスクレファレンス(Physicians Desk Reference)2001年版によれば、ダプソンは、Jacobus Pharmaceutical Companyから錠剤形態で商業的に入手可能である。ダプソンは、エポキシ樹脂の架橋剤としても使用される。
【特許文献1】:FRP第829,926号(1938年)
【特許文献2】:米国特許第2,385,899号
【0003】
ダプソンは、抗炎症剤として有用であることも周知である。ダプソンは、ヘルペス状皮膚炎、線状IgA皮膚症、膿胞性乾癬、壊疽性膿皮症、尋常性アクネ、およびスイート症候群など、好中球の異常浸潤で特徴付けられる皮膚疾患を治療するのに使用されてきた。
【0004】
局所適用を含むこれら適用のすべてにおいて、ダプソン治療は全身性であり、薬剤は経口で投与される。皮膚疾患の局部的治療のためのダプソン局所製剤は商業的に入手できず、ダプソンの局所投与を記載している文献は一般化していない。局所投与を考究している数少ない研究者の中で、オズボーン(Osborne)は、ダプソンの局所製剤を提供している一人である(米国特許第5,863,560号および6,060,085号)。彼は、ダプソンを含む皮膚科学的ゲル組成物について記載している。
【特許文献3】:米国特許第5,863,560号
【特許文献4】:米国特許第6,060,085号
【0005】
市販の局所製剤がない理由の1つは、ダプソンおよびその誘導体の溶解特性のためである。ダプソンおよびその誘導体の多くは、エタノール、メタノール、アセトンおよび希塩酸水に可溶であるが、水、ならびに、石油ゲル、ワックスおよび植物油などのオイルに実質上不溶である。従って、水またはオイルを使用したダプソン局所製剤を開発するのは困難である。開発されてきたそれらのダプソン局所製剤は、一般に、単一相水性溶液またはゲルの形成を可能にする塩形成剤および可溶化剤を含む。可溶化剤は、水と混和可能であり、エチレンジグリコールモノエチルエーテルおよびエタノールのような有機液体が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このようなダプソン局所製剤を使用するのには問題がある。これらの局所製剤は、一般に、皮膚に対する乾燥剤として作用する。これらの製剤は、皮膚から必須オイルおよび天然の皮膚柔軟化剤を取り去り、それによって、皮膚に乾燥、痒み、亀裂を生じさせる。しかし、外来性の皮膚エモリエント剤、オイルなどを含有させると、ダプソンの相分離および沈殿が生じる。典型的な乳化剤を使用しても、ダプソンの低溶解性および得られる組成物の複数相の矛盾した物理特性のために、ダプソンの沈殿問題は解決しない。
【0007】
従って、皮膚を乾燥させない、または皮膚に亀裂を作らない、安定で、水を基剤としたダプソン乳化組成物の製剤化が求められている。さらに、このような組成物を薬学上許容される材料を用いて製剤することが求められている。また、このような乳化物に、ダプソンの分離または沈殿を起こさないで外来性のオイル、エモリエント剤などを含めることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
これらのおよびその他の要望事項は、ダプソンまたはその誘導体を含む安定な乳化組成物を提供する本発明によって達成される。該乳化組成物によって、ダプソンまたはその誘導体の局所(皮膚または粘膜)送達のためのビヒクルとして広範な種類の油相成分の使用が可能にする。また、本発明の乳化組成物は、送達を増大させるための極性相成分の使用、および、皮膚または粘膜上のダプソンまたはその誘導体の増大を可能にする。
【0009】
従って、本発明は、次の成分、すなわち、a)ダプソンまたはその誘導体(以後、まとめてダプソンと称する)、b)ダプソンに対する溶媒和媒質(極性相成分)、c)乳化剤系、d)油相成分、e)任意選択の水、およびf)任意選択のゲル化または増粘剤からなる乳化組成物を対象とする。溶媒和媒質(極性相)および油相成分中に追加化合物として、その他の添加剤および着色剤はもちろん、賦形剤を含めることもできる。乳化組成物の各成分は(任意選択の水を除いて)、成分の説明に包含される1種または複数の個々の成分から構成できる。
【0010】
溶媒和媒質(極性相)は、水に対する溶解度が適度に溶解(例えば、水に対して2重量%〜10重量%の溶解度)からあらゆる比率で水に混和できるまでの範囲の有機溶媒でよい。溶媒和媒質は、少なくとも部分的に、好ましくは完全にダプソンを溶解する。任意選択の水を溶媒和媒質と組み合わせる場合には、組み合わせたものが、やはり少なくとも部分的に、好ましくは完全にダプソンを溶解する。どちらの態様においても、溶媒和媒質、および水を加えた溶媒和媒質は、ダプソンを安定な溶液または分散液として溶解または分散する。溶媒和媒質と水の組合せを採用する場合、組み合わせたものが極性相(水性極性層)であり、好ましくは、該溶媒和媒質が、この水性極性相に対するダプソンの溶解度を増大させる。単独または水との組合せにおいて、溶媒和媒質として機能する好ましい有機溶媒としては、ポリグリコール、ポリオール、ポリグリコールエーテル、ポリオールエーテル、ポリグリコールモノエーテルもしくはポリオールモノエーテル、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0011】
油相成分としては、表皮および真皮などの皮膚層を柔軟かつ湿潤化する薬学上許容される有機疎水性物質が挙げられる。ワックス、オイル、脂肪酸、ポリオール、およびエステル化脂肪酸は、油相成分の若干の例である。
【0012】
乳化剤系は、イオン性および非イオン性の両方の性質を有し、その結果、本発明の乳化組成物を安定化し、ダプソンの分離を防止する。好ましくは、そのイオン性はアニオン性である。これら性質の組合せは、界面活性剤と飽和および/または不飽和脂肪アルコールの組合せによって達成される。詳細には、(C10〜C24)飽和および/または不飽和脂肪アルコールと、(C8〜C24)飽和および/または不飽和脂肪アルコールのリン酸エステルまたはジエステル、(C8〜C24)飽和および/または不飽和脂肪アルコールの硫酸エステルまたはジエステル、(C8〜C24)飽和および/または不飽和脂肪アルコールの炭酸エステルまたはジエステル、ならびにこのような飽和/不飽和脂肪アルコールのリン酸、硫酸および/または炭酸エステルの誘導体のいずれか1つまたは複数とのブレンドが、本発明による乳化剤系として役立つ可能性がある。好ましくは、乳化剤系は、(C12〜C18)脂肪アルコール、(C12〜C18)脂肪アルコールのリン酸ジエステルおよび(C12〜C18)不飽和脂肪アルコールのリン酸モノエステルからなる組合せである。
【0013】
本発明によれば、乳化組成物の総重量に対する成分の重量濃度は、次の通りである。すなわち、
a)ダプソンは、乳化組成物の、約0.005重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約25重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、特により好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、極めて特により好ましくは約0.2重量%〜約8重量%、最も好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の範囲でよく、1、2,5および7.5などの百分率がその特に好ましい実施形態である。
b)溶媒和媒質は、約0.5%〜約99%、好ましくは約0.5%〜約50%、より好ましくは約5%〜約40%、特により好ましくは約5%〜約35%、最も好ましくは約5%〜約30%の範囲でよい。
c)乳化剤系は、約0.1〜約30%、好ましくは約0.5%〜約25%、より好ましくは約1%〜約25%、最も好ましくは約5%〜約25%、最も好ましくは約5%〜約20%の範囲でよい。
d)油相は、約0.1重量%〜約75%、好ましくは約0.1%〜約50%、より好ましくは約1%〜約45%、最も好ましくは約2%〜約40%の範囲でよい。
e)水は、約0%〜約99%、好ましくは約0%〜約50%、より好ましくは約0%〜約40%、最も好ましくは約0%〜約35%の範囲でよく、すなわち水は任意選択であり、
f)それぞれの量を、100%に等しくなるように組み合わせ、かつ、水は別として、成分a〜dのそれぞれを含めなければならない。4種の材料成分のそれぞれは、指定した成分の部類に包含される1つまたは複数の個々の化合物から構成できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の乳化組成物は、それに限定されないが、抗炎症活性、抗菌活性、抗痒み活性およびエモリエント特性など、治療上の利益を提供し、それゆえ、乾癬、皮膚炎、および治癒中または凝固した火傷に付随する痒みのような皮膚科学上の障害を、皮膚および/または粘膜の健全性、柔軟性、伸縮性および湿潤性を維持しながら治療するのに有用である。
【0015】
定義
本発明で使用する場合、ある一定の用語は次の意味を有する。本明細書で使用されるその他の用語および句は、すべて、当業者が理解するであろうそれらの通常の意味を有する。このような通常の意味は、SaxおよびLewisによる「Hawley’s Condensed Chemical Dictionary」第11版、1987年、Van Nostrand Reinhold、New York、ニューヨーク州、「Merck Index」第11版、1989年、Merck&Co.、Rahway、ニュージャージー州、「The Physician’s Desk Reference(PDR)」2001年版、Medical Economics Company、Montvale、ニュージャージー州、「Stedman’s Medical Dictionary」第25版、1990年、Williams&Wilkens、Baltimore、メリーランド州、などの技術辞典を参照することによって得ることができる。
【非特許文献1】:Hawley’s Condensed Chemical Dictionary」第11版、1987年、Van Nostrand Reinhold、New York、ニューヨーク州
【非特許文献2】:Merck Index」第11版、1989年、Merck&Co.、Rahway、ニュージャージー州
【非特許文献3】:The Physician’s Desk Reference(PDR)」2001年版、Medical Economics Company、Montvale、ニュージャージー州
【非特許文献4】:Stedman’s Medical Dictionary」第25版、1990年、Williams&Wilkens、Baltimore、メリーランド州
【0016】
ダプソンは、4,4−’ジアミノジフェニルスルホンである。これは、化学式C1212Sを有し、あるいは、4,4’−スルホニルジアニリンまたはビス(4−アミノフェニル)スルホンとしても知られている。上に示したメルクインデックス(Merck Index)の見出し番号2820を参照されたい。
【0017】
ダプソンの誘導体とは、類似の化学構造を有し、かつ、そのことによってダプソンに類似の潜在的治療能力を有する化合物を指す。これらの化合物としては、2つのアミノ基に2つの有機置換基(R、R)が付いた化合物(RNCSONR)が挙げられる。Rおよび/またはRは、それぞれ、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシオイル、および、その置換基がヒドロキシル、チオ、アルコキシ、ハロ、アミドおよび類似の極性または親油性置換基でよい炭素数が1〜6個の置換アルキル基でよい。好ましくは、RとRが同一である。RとR置換がR=CHOの場合、形成される化合物は、総称的にジホルミルダプソンと呼ばれる。あるいは、ビス(4−ホルムアミノフェニル)スルホンおよび4,4’−ジホルミルジアミノジフェニルスルホンとして知られている。RとR置換がR=COCHの場合、形成される化合物はアセダプソン(AceDapsone)であり、あるいは、ビス(4−アセトアミドフェニル)スルホンおよび4,4’−ジアセチルジアミノジフェニルスルホンと命名される。アセダプソンは、ダプソンの既知プロドラッグである。抗菌および/または抗炎症効果を有することが知られている他の誘導体が、グルコスルホンナトリウム(Glucosulfone Sodium)、ソラプソン(solapsone)、ジアチモスルホン(diathymosulfone)、アセジアスルホン(acediasulfone)、モノアセチルダプソン(Monoacethyl Dapsone)、アセトスルホン(acetosulfone)、スクシスルホン(succisulfone)、アルデスルホンナトリウム(aldesulfone sodium)およびチアゾールスルホン(thiazolsulfone)である。さらなるダプソン誘導体が、次の定期雑誌論文、M.D.Colmanら「J.Pharm.Pharmacol.」1997年、49巻、53〜57頁、「J.Pharm.Pharmacol.」1996年、48巻、945〜50頁、「Environmental Toxicology and Pharmacology」1996年、2巻、389〜395頁に記載されており、それらの開示を参照により本明細書に組み込む。
【非特許文献5】:M.D.Colmanら、J.Pharm.Pharmacol.,1997年、49巻、53〜57頁
【非特許文献6】:J.Pharm.Pharmacol.,1996年、48巻、945〜50頁
【非特許文献7】:Environmental Toxicology and Pharmacology、1996年、2巻、389〜395頁
【0018】
乳化剤は、(後で別途定義する)界面活性剤である。しかし、すべての界面活性剤が乳化剤であるとは限らない。乳化剤とは、典型的には、2種の溶媒が混和しない場合に、一方の溶媒の他方の溶媒への均一分散を安定化する有機化合物を記述するのに使用される用語である。乳化剤の部分が異なる相に溶解し、それによって、分散液が合着して、分離した2つの液体になるのを防止する。
【0019】
脂肪アルコールは、飽和または不飽和の(C8〜C40)アルコールであって、該アルコールは、ハロ、炭素が1〜6個のアルコキシ、炭素が2〜6個のアルキルケト、炭素が2〜6個のアルコキシカルボニル、炭素が2〜6個のアルキルアミド、および、アミン上で炭素が1〜4個のアルキル基1または2個で場合によっては置換された炭素が1〜6個のアルキエアミンなどのさらなる置換基で置換されてもよいし、置換されなくともよい。
【0020】
用語「不溶」および「混和できない」とは、2種の液体に適用した場合、1つの液体が第2の液体に対して本質的に溶解性を示さないことを意味する。測定可能な溶解度がゼロである必要はなく、局所用製品を製剤する実用目的のためには、ある材料が他の材料に対して不溶または混和できないと記載されているなら、溶解度の程度は問わない。
【0021】
用語「混和できる」とは、2種の液体に関して使用する場合、2種の液体があらゆる比率で互いに可溶であることを意味する。
【0022】
溶液は、溶質(液体、固体、気体)を液状溶媒に溶解させた化学平衡にある系である。
【0023】
界面活性剤または表面活性化剤は、それを水または水溶液に溶かした場合に、その表面張力を低下させる有機化合物である。乳化物において、界面活性剤は、親水性部分と親油性部分を含み、その両部分によって、界面活性剤は混和できない相界面の表面張力を低下させるように機能する。機能的に見れば、皮膚科学的応用において、界面活性剤には、乳化剤、湿潤剤、洗浄剤、起泡剤、および可溶化剤が含まれる。界面活性剤は、任意の非イオン性、アニオン性、またはカチオン性の中ないし高分子量(約100〜約300,000ダルトンなど)の有機化合物であり、その分子のかなりの部分は親水性であり、かなりの部分は親油性である。
【0024】
用語「薬学上有効な薬剤」は、局所投与に適し、かつ所望の生理学的効果を誘導する化学材料または化合物を指すのに使用される。
【0025】
用語「局所投与」とは、皮膚または粘膜組織に対する組成物または有効成分の送達を意味する。局所組成物とは、局所投与に適した組成物である。
【0026】
用語「約」とは、指定値から10%の変動を意味し、例えば、約50%とは45〜55%の変動を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、ダプソンおよびその誘導体(以下、まとめてダプソンと称する)の局所投与に関連する製剤および治療上の諸問題を解決する。これらの化合物は、芳香族であり、ジアミノ基で置換され、水を基剤とする局所組成物として製剤するのが困難である。これらの化合物は、水を基剤とするこのような組成物からそれ自体容易に分離かつ/または沈殿する。溶媒和促進剤を使用すると、一般に、得られたその組成物にオイルを基剤とする所望の皮膚コンディショニング剤を入れることができない。しかし、このような皮膚コンディショニング剤は、それなしでは局所組成物が皮膚をしばしば乾燥し、赤化し、皮膚に対して有害なので、局所組成物にとって共通の製剤材料である。
【0028】
本発明によれば、溶媒和媒質材料と乳化剤を組み合わせると、オイルを基剤とする皮膚コンディショニング剤を含むダプソン局所組成物を製剤することが可能になることが発見された。詳細には、本発明の乳化組成物は、ダプソン、溶媒和媒質、乳化剤系、および1種または複数のオイルを基剤とする皮膚コンディショニング剤を含む。本発明の別な乳化組成物は、水性極性相を提供するために、溶媒和媒質と共に水を含む。
【0029】
本発明の乳化組成物は、皮膚または粘膜に適用するのに適した、製品の粘稠度および感覚特性を示すことができる。組成物の粘稠度は、自由に流動する液体であればよい。このような粘稠度であれば、皮膚に速やかに広げることが可能で、塗布が容易になる。代わりに、組成物の粘稠度は、固練りまたは堅い半固体に及んでもよい。固練りの粘稠度は、皮膚または粘膜の限られた部位に組成物を厚く塗布するのに適している可能性がある。さらに、高オイル相に起因する固練りの粘稠度は、組成物が皮膚または粘膜を密封する性質に寄与できる。皮膚に対する組成物の感覚は、薄い湿った感覚から堅いワックス状の感覚に及ぶことができる。各種の材料を加減することによって、組成物を、意図した適応症にダプソンを送達するのに最適な粘稠度および感覚を示すように製剤することができる。
【0030】
本発明の組成物
多くの皮膚科学製品が、乳化物として記載されているが、このような製品を形成する2つの混和できない相は、コロイド混合物を形成しないことが多い。その代わり、内部の相が、連続相内に液滴として分散され、一時的に安定な系を作り出している。このような系の化学平衡は、混和できない相が分離する方向に向かっている。
【0031】
系は、それが、ランダムな分子運動の結果として理論的には永久に安定である場合に、化学平衡にあると言うことができる。これに対し、物理的に安定な局所乳化物系は、実用的でかつ限られた安定性を意味することが多い。乳化物は、その相分散が規定の期間の終わりまで変化しないか、微々たる変化である場合に、物理的に安定として分類される。皮膚科学的乳化物製品の場合、物理的に安定な系とは、一般に、販売できる自己寿命期間の終わりまで相分散の変化を示さないか、微々たる変化である系である。
【0032】
皮膚科学または局所製品において、一般的な乳化物は、水中油型乳化物および油中水型乳化物である。前者において、油相は連続水相中に分散した内部相である。後者において、油相は連続相であってよい。より複雑な乳化物系が、皮膚科学製品として記載され、製剤されている。水中油中水型乳化物、およびその他の複雑な組合せを、混和できない相の間で形成できる。
【0033】
多くの局所乳化物において、内部油相は、室温で固体である油性または脂肪質の賦形剤を含み、このことによって、液中液分散液としての乳化物の定義に関する混乱部分が生じる。この混乱部分は、その油相を加熱、または別な方法で液体にして扱うことができるので、乳化物は形成の時点で液中液分散液であると解釈することによって明瞭となる。また、水/油の界面において、油相の物理的状態の正確な性質を液体または固体のいずれかとすることは簡単な特性決定ではないことにも留意されたい。
【0034】
局所乳化物の油相には、互いに混和または相溶可能であるが、水に対する混和性または溶解性を有さないか微々たるものである、油性または脂肪質材料を含めることができる。多くの油相賦形剤は標準温度で固体なので、混和性は、通常、液体状態にある賦形剤を用いて評価する。
【0035】
局所または皮膚科学製品において、水相、または水性相は、ある量の水、および任意選択で、水に可溶な、混和可能な、または分散された各種の液体または固体を含むことが多い。
【0036】
これらの特性の多くは、本発明の乳化組成物中に存在する。しかし、本発明による溶媒和媒質と組み合わせて、水を存在させる必要はない。
【0037】
以下の考察において、用語「ダプソン」は、特記しない限り、ダプソンまたはその誘導体を意味するものとして使用する。
【0038】
本発明は、溶媒和媒質(極性相)中に少なくとも1種の油相成分(油相)および乳化系と組み合わせてダプソンを含む、物理的に安定な乳化組成物を提供する。溶媒和媒質(極性相)としては、ダプソンを溶媒和するための有機溶媒が挙げられる。場合によっては、溶媒和媒質には、通常の賦形剤、着色剤などのさらなる化合物を含めることができる。また、場合によっては、溶媒和媒質は、水との組合せを形成して、極性相として作用できる。
【0039】
乳化系は、脂肪アルコールと界面活性剤の組合せでよい。
【0040】
乳化組成物は、軽質の非グリース状ローションから重質のエモリエントクリームまでの一連の局所組成物に製剤化できる。
【0041】
本発明によれば、ダプソンの濃度は、乳化組成物に有効な抗菌および/または抗炎症特性を付与する任意の量でよい。詳細には、本発明の乳化組成物中のダプソン濃度は、乳化物製剤の約0.05重量%〜約30重量%の範囲でよい。好ましくは、この濃度は、乳化組成物の約0.1重量%〜約25重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約15重量%、特により好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、極めて特により好ましくは約0.2重量%〜約8重量%、最も好ましくは約0.5重量%〜約5重量%でよい。特に好ましい実施形態でのダプソン濃度は、1、2、5および7.5のようなパーセテージでよい。
【0042】
本発明によれば、溶媒和媒質は、水に適度に可溶、ないし混和可能であって、ダプソンを溶解するか、または溶媒和媒質と任意選択の水との組合せへのダプソンの溶解を可能にする有機溶媒でよい。溶媒和媒質またはその水との組合せは、乳化組成物の極性相として機能を発揮する。
【0043】
好ましくは、どちらの選択肢においても、すなわち、溶媒和媒質として1種の有機溶媒または複数の溶媒だけを使用しても、あるいは、1種の有機溶媒もしくは複数の有機溶媒と水との組合せを使用しても、乳化組成物におけるダプソンの完全溶解が可能になる。しかし、溶媒和媒質として単独で使用される有機溶媒の量、または水と溶媒和媒質との組合せにおける有機溶媒濃度は、乳化組成物におけるダプソンの部分的溶解を可能にする場合もある。後者の状況においては、溶媒和媒質または組合せに溶解しない一部のダプソンを、ミクロ粒子またはミクロ化粒子などの分散液として乳化組成物中に懸濁させることができる。別法として、溶解しない一部のダプソンを結晶性ダプソンの分散液として懸濁させることができる。ダプソン懸濁粒子の大きさは、ダプソン原体の調製法によって、あるいは乳化組成物の合成方法によって調節できる。懸濁粒子の大きさは、10ミクロン未満(ミクロ粒子またはミクロ化粒子)から約100ミクロンを超す触知できる粒子までの範囲でよい。乳化系は、この分散の維持に関係する。別法として、乳化組成物が、溶媒和媒質、油相および乳化系の組合せで形成される場合には、ダプソンの非溶解部分を乳化組成物の油相に溶解させることができる。
【0044】
ダプソンの部分的溶解は、幾つかの製剤設計中のいずれか1つまたは複数の結果である可能性がある。第一に、有機溶媒は、少量のダプソンであれば完全に溶解するであろうが、所望濃度のダプソンを溶媒和媒質に完全溶解できない可能性がある。第二に、油相の容積は、溶媒和媒質に溶解しなかったダプソン部分を溶解するには不十分である可能性がある。第三に、乳化組成物を形成すると、油相、乳化系および溶媒和媒質の相互作用のために、溶媒和媒質に対するダプソンの溶解度が低下する可能性がある。
【0045】
溶媒和媒質および乳化組成物に対するダプソンの溶解特性にも拘わらず、本発明の好ましい実施形態において、ダプソンおよび有機溶媒の量は、ダプソンが純粋の有機溶媒に完全に溶解するように選択される。有機溶媒へのダプソンの溶解が完全に可能であっても、それに続く乳化組成物の形成により、ダプソンの部分的な沈殿が生じる場合もあるし、ダプソンの完全溶解が維持される場合もある。本発明では、両方の可能性がある。
【0046】
本発明によれば、乳化組成物の総重量に対する有機溶媒単独としての溶媒和媒質の濃度は、約0.5重量%〜約99重量%である。より好ましくは、溶媒和媒質の濃度は約0.5重量%〜約50重量%である。特により好ましくは、溶媒和媒質の濃度は、乳化組成物の約5重量%〜約40重量%であり、極めて特により好ましくは、約5重量%〜約35重量%であり、最も好ましくは、約5重量%〜約30重量%である。
【0047】
溶媒和媒質として、水を1種の溶媒または複数の溶媒と組み合わせる場合、水と溶媒和媒質を合算した重量に対する溶媒和媒質の濃度は、0.005重量%〜98重量%の範囲である。この場合の材料は、1種または複数の有機溶媒と水である。
【0048】
乳化物中の有機溶媒濃度は、ダプソンの所望濃度、溶媒和媒質に対するダプソンの溶解度、および乳化組成物に溶解させるダプソンの所望程度に応じて異なる。幾つかの有機溶媒に対するダプソンの溶解度は、溶液の30重量%を超える。別の有機溶媒に対するダプソンの溶解度は、1重量%未満の場合もある。適切な乳化組成物は、有効量のダプソンを溶解するように考慮された有機溶媒を用いて製剤できる。さらに、2つまたはそれ以上の有機溶媒の濃度および比率は、ダプソン相乗的溶解度に応じて最適効果を目指して選択すればよい。
【0049】
本発明の溶媒和媒質として使用するのに適し、水に適度に可溶ないし水と混和できる有機溶媒は、幾つかの大雑把な群に分類できる。1つの群は、グリコールエーテルである。グリコールエーテルは、少なくとも1種のグリコールと少なくとも1種の低級アルキルアルコールから形成されるエーテルである。好ましくは、グリコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはブチレングリコールなどのアルキレングリコールから選択される。グリコールエーテルのエーテル部分は、(C1〜C6)アルコールなどの低級アルキルアルコールからの基である。好ましくは、エーテル部分のアルコールは、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、またはイソブチルアルコールから選択される。グリコールエーテルは、Cの一般式を有し、ここで、xは4〜10、yは約10〜22、zは2〜5である。本発明によれば、グリコールエーテルは、水に可溶または水と混和可能であり、C〜約C10の分子式の範囲である。
【0050】
エチレングリコールエーテルの分類に属するグリコールエーテルの例には、エチレングリコールモノプロピルエーテル(プロポキシエタノール)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブトキシエタノール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メトキシジグリコール)、ジエチレングリコールモノエチルグリコール(エトキシジグリコール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブトキシジグリコール)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(イソプロピルジグリコール)、およびジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(イソブチルジグリコール)が含まれる。
【0051】
プロピレングリコールエーテルの分類に属するグリコールエーテルの例には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(PPG−2メチルエーテル)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(PPG−3メチルエーテル)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(PPG−2プロピルエーテル)、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(PPG−2ブチルエーテル)、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、およびジプロピレングリコールジメチルエーテルが含まれる。本発明の一実施形態において、溶媒和促進剤はエトキシジグリコールである。他の実施形態において、溶媒和促進剤はブトキシジグリコールである。
【0052】
本発明に有用な有機溶媒の第二群には、ジオールとして分類される化合物が含まれる。ジオールは、2つのヒドロキシル基を有する有機化合物である。上に示したようなエーテルグリコールは、2つのヒドロキシル基を含む場合があり、従ってジオールとして分類できることを理解されたい。本発明での使用に適したジオールには、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、およびイソペンチルジオールが含まれる。
【0053】
水に適度に溶解、ないし水に混和する、本発明での使用に適したさらなる有機溶媒には、式C1〜C10のモノアルコール、および、それに限定はしないが、ジメチルイソソルバイド、ベンジルアルコール、トリアセチン、ジアセチン、エタノール、ブチルアルコール、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、酢酸エトキシジグリコール、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、酢酸エトキシジグリコール、およびイソプロピルアルコールを含むそれらのエステルが含まれる。
【0054】
適切な有機溶媒のもう1つの群には、分子量が約700までの、エチレンオキシドのポリマーが含まれる。国際化粧品成分名称(International Nomenclature of Cosmetic Ingredient)の分類のもとで、これらの化合物は、PEG−4からPEG−16として知られている。
【0055】
本発明乳化組成物の油相成分には、ダプソンを溶解するであろう一般的な部類の化合物を含めることができる。これらの化合物は、ダプソンに対する溶媒和媒質とはならないが、乳化組成物の2つの相へのダプソンの溶解を完結または促進することを可能にする。これらの化合物には、有機溶媒または有機溶媒と水との組合せに溶解しない、あるいは有機溶媒またはそれと水との組合せに対する溶解度が使用のために選択した濃度において不十分である液体が含まれる。これらの化合物の多くは、水および/または有機溶媒と組み合わせて乳化物を形成できる油性液体である。このような化合物を油相成分として選択する場合には、ダプソンの溶解度を考慮して選択される。このような化合物が、乳化物の油相のすべてを構成することもできる。
【0056】
ダプソンをさらに溶解させるためのこのような油相化合物の1つの大まかな群分けには、ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸と、アルキルアルコール、例えば、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ブチルアルコール、エチルアルコール、ヘキシルアルコール、イソデシルアルコール、イソノニルアルコール、エチルヘキシルアルコール、プロピルアルコールの間で形成されるジエステルが含まれる。一般的な例には、セバチン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエチル、およびアジピン酸ジプロピルが含まれる。
【0057】
このような油相化合物の第二の群には、モノカルボン酸とアルキルまたはアラルキルアルコールとの間で形成されるモノエステルが含まれる。モノ酸の例には、パルミチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸および安息香酸が含まれる。アルキルまたはアラルキルアルコールの例には、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソデシルアルコールまたはベンジルアルコールが含まれる。一般的な例には、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソブチル、安息香酸ベンジルおよびパルミチン酸オクチルが含まれる。
【0058】
これらのおよび類似のエステル化合物の幾つかは、Croda(Oleochemical)がCrodamolの一般商標で、およびScher ChemicalsがSchercemolの一般商標で市販している。
【0059】
乳化物の油相を構成できるさらなる化合物には、それに限定はされないが、オレイン酸、オレイルアルコール、オレイン酸オレイル、トリ(カプリル酸/カプリル酸)グリセリル、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロピレングリコール、ジラウリン酸プロピレングリコール、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、ミリスチン酸ミリスチル、乳酸ミリスチル、プロピオン酸PPG−2ミリスチル、オレイン酸エトキシジグリコール、オクチルドデカノール、ビサボロール、およびイソステアリン酸が含まれる。
【0060】
特に重要なのは、両者が少なくとも若干の相溶性を有する、有機溶媒と油相成分の組合せを選択することである。この組合せは、若干の水に溶ける有機溶媒と若干の水に不溶の有機液体との間で示される相溶性によって例示される。ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、およびオレイン酸エトキシジグリコールなど、多くの油相化合物は、水と混和できないが、水溶性有機溶媒と均一溶液を形成する。例えば、エトキシジグリコール、ブトキシジグリコール、およびジメチルイソソルバイドは、すべて、水の不存在下で多くの油相に対する溶媒としての機能を発揮して均一混合物を形成する、水と混和可能な液体である。
【0061】
本発明の好ましい実施形態によれば、溶媒和媒質を構成する有機溶媒と油相との間での上記の物理的相溶性により、乳化組成物の油相有機液体と極性相有機溶媒を水の不存在下で組み合わせ、ダプソンのための均一溶媒混合物を形成できる製剤を選択することが可能になる。
【0062】
本発明によれば、乳化組成物には、乳化剤系を含めることによって物理的に安定化できる極性相および油相が含まれる。本発明によれば、乳化剤系には、少なくとも脂肪アルコールと界面活性剤が含まれる。この脂肪アルコールと界面活性剤との組合せは、自己乳化性でよく、溶媒和媒質を用いた乳化物中にその他の脂肪質もしくは油性化合物およびダプソンを分散させるための乳化剤としての機能を発揮できる。
【0063】
本発明によれば、乳化剤系の界面活性剤部分には、非イオン性、アニオン性およびカチオン性の界面活性剤が含まれる。好ましくは、乳化剤系の界面活性剤部分は、非イオン性またはアニオン性の界面活性剤である。特に好ましくは、乳化剤系の界面活性剤部分が非イオン界面活性剤である。
【0064】
非イオン界面活性剤としては、次の群、すなわち、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、ポリソルベート20およびポリソルベート80)、ソルビタンエステル(例えば、ステアリン酸ソルビタンおよびセスキオレイン酸ソルビタン)、ポリオキシエチレングリコールエステル(例えば、ジオレイン酸PEG−4およびパルミチン酸PEG−20)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、セテス−20、ラウレス−4、およびステアレス−10)、ポリオキシエチレンアルコキシル化アルコール(例えば、PEG−40水添ヒマシ油およびPEG−5ラノリン)、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリマー(例えば、ポロキサマー217およびポロキサマー237)、ポリオキシエチレンフェノールエーテル(例えば、ノノキシノール10)を挙げることができる。脂肪アルコールの硫酸、リン酸および炭酸モノ、ジおよびトリエステルも非イオン界面活性剤の群に含まれる。
【0065】
使用に適したイオン性界面活性剤には、硫酸化第一級高級脂肪族アルコールのナトリウムおよびカリウム塩が含まれる。例としては、カプリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、トリデシル硫酸ナトリウム、およびラウリル硫酸カリウムが挙げられる。
【0066】
相溶可能なアニオン界面活性剤の第二の群は、硫酸化エトキシル化脂肪アルコールのナトリウム塩として記述されるものである。例としては、デセス硫酸ナトリウム、ミレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラネス硫酸ナトリウム、およびトリデセス硫酸ナトリウムが挙げられる。一般的なアニオン界面活性剤のもう1つの群は、リン酸とのエステルを形成するポリオキシエテレンエーテル界面活性剤の塩である。例としては、(C13〜15)パレス−8ブチルリン酸ナトリウム、ジセテアレス−10リン酸ナトリウム、ジオレス−8リン酸ナトリウム、オレス−7リン酸ナトリウム、およびステアレス−4リン酸ナトリウムが挙げられる。リン酸エステルを硫酸エステル、炭酸エステル、または酒石酸エステルで置き換えることによって類似の界面活性剤群を形成できる。
【0067】
上記アニオン界面活性剤のすべてに関して、カチオン、脂肪アルコール、エトキシル鎖、または複合アニオンの単純な置換により、類似界面活性剤の巨大な配列を作り出すことが可能になることを理解されたい。上記は、可能な薬剤を解説することを目的とし、限定リストとしての意味を持つものではなく、あるいは乳化物系に使用するのに適した界面活性剤の範囲を制限することを意図するものではない。
【0068】
乳化剤としての使用に適した界面活性剤の第三の群は、カチオン界面活性剤である。この機能に適したカチオン界面活性剤の著名な群は、第四級アンモニウム塩から形成される。例としては、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、ベンザルコニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、セトリモニウムメトサルフェート、ジセチルジモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、ラピリウムクロリド、ラウラルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド、およびPEG−3ジステアロイルアミドエチルモニウムメトサルフェート、クオタニウム−24(デシルジメチルオクチルアンモニウムクロリド)が挙げられる。
【0069】
適切な界面活性剤を、本発明の乳化剤系に個別的に組み込み、または2種またはそれ以上の組合せで使用し、本発明による乳化剤系の開発を可能にする。
【0070】
本発明によれば、界面活性剤を脂肪アルコールとブレンドして乳化組成物の乳化剤系を形成できる。このようなブレンドは、少なくとも1種の脂肪アルコールと少なくとも1種の界面活性剤との相乗的組合せであってよい。界面活性剤は、アニオン性および/または非イオン性でよい。脂肪アルコール/界面活性剤のブレンドは、自己乳化性でよく、他の油相成分に対する乳化剤としても機能を発揮する。
【0071】
脂肪アルコールと界面活性剤との広範な種類の市販ブレンドを利用できる。Croda,Inc.は、Polawax(登録商標)およびPolawax(登録商標)A−31の商標名で乳化ワックス(Emulsifying Wax)N.F.を製造している。Crodaは、Cosmowax(登録商標)の名称でセテアリルアルコールとセテアレス−20の一連のブレンドも供給している。Crodaは、セテアリルアルコール、リン酸ジセチル、およびリン酸セテス−10のブレンドであるアニオン性自己乳化性ワックス、Crodafos(登録商標)CESも製造している。Gattefosseも、幾つかの適切なブレンドを製造している。GattefosseのEmulcire61(登録商標)は、セチルアルコール、セテス−20、およびステアレス−20のブレンドである。
【0072】
本発明によれば、本発明の乳化剤系としてのCrodafos(登録商標)CES濃度の好ましい範囲は、1重量%〜20重量%であり、より好ましい範囲は4重量%〜12重量%である。同様に、本発明による有用な製剤は、セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG−75、セテス−20、およびステアレス−20のブレンドであるGattefosseのEmulium Delta(登録商標)である。Emulium Delta(登録商標)の好ましい濃度は、約3重量%〜約10重量%である。
【0073】
本発明の他の実施形態において、乳化系は、アリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸コポリマーの中から選択される。これらの乳化剤のINCI名称は、acrylates/C10−30alkyl acrylate crosspolymer(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30)クロスポリマー)である。この材料に対する米国処方集(National Formulary)モノグラフはカルボマーコポリマーの名称に属する。これらの材料は、オハイオ州クリーブランドのNoveon,Inc.がPemulen TR1およびPemulen TR2の商標で上市している。これらの薬剤は、乳化系として単独で使用してもよいし、あるいは1種もしくは複数の界面活性剤と組み合わせて本発明の乳化系を構成してもよい。
【0074】
乳化物の油相成分は、ダプソンを溶解する液状有機化合物から作製できるが、さらなる油相材料を組み込んで一連の乳化物製品を提供できる。局所製剤の技術分野で理解されているように、これらの賦形剤には、各種のオイル、ワックス、エモリエント剤、増粘剤、密封剤、および皮膚コンディショニング剤が含まれる。油相の賦形剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチン酸セチル、クエン酸セチル、白色ワックス、白色ペトロラタム、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、クエン酸ステアリル、ベヘン酸エトキシジグリコール、ステアリルジメチコン、ミリスチン酸ミリスチル、セチルエステルワックス、ステアリン酸ジメチコノール、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム、オゾケライトワックス、シアバター、ステアリン酸オクチルを挙げることができる。
【0075】
当業者は、局所製剤に有用な賦形剤の幾つかの群を本発明の乳化組成物に添加できることを理解するであろう。水相に添加するのに適した賦形剤のこのような群の1つは、水溶性または水に分散可能なゲル化剤である。このような薬剤の例としては、ポリアクリル酸ポリマー、グアーガム、ポリクオタニウム−10、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。
【0076】
製剤の技術分野で周知の賦形剤群を添加して、本発明の乳化組成物の油相を増大できる。これらの群としては、トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、トコフェロール、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、およびクエン酸で代表される抗酸化剤、ならびに、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、安息香酸、安息香酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ベンジルアルコール、ジメチロール−ジメチルヒダントイン、イミダゾリジニルウレア、ジアゾリジニルウレア、およびメチルイソチアゾリノンで代表される酸化防止剤が挙げられる。
【0077】
本発明の乳化組成物に含めるのに有用な賦形剤のその他の群としては、緩衝剤、中和剤、保湿剤、キレート剤、着色剤および不透明化剤、香料、皮膚コンディショニング剤、シクロデキストリンなどの可溶化剤、および生物学的添加剤が挙げられる。
【0078】
組成物のpH値は、酸または塩基を単独または組み合わせて添加して調整できる。本発明の特定の値について、塩基を添加して、ポリアクリル酸ポリマーまたはその他の酸性成分を含む実施形態の組成物を中和できる。このようなポリマーは、増粘またはゲル化剤として、あるいは乳化剤として存在する場合がある。さらに、組成物中に1種を超えるポリアクリル酸ポリマーが存在する場合がある。塩基を添加して、所望するポリアクリル酸ポリマーの性能を考慮したpH範囲内に組成物を中和できる。適切な塩基は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの無機塩基から選択可能であり、あるいはジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびジイソプロピルアミンなどの有機塩基から選択できる。同様に、有機酸を使用して、界面活性剤を含むアミンなどの塩基性成分を中和できる。
【0079】
以下の実施例は、本発明をさらに説明することを意図したものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0080】
実施例1
次の製剤を調製した。
賦形剤 %w/w
ダプソン 5.0
白色ペトロラタム 10.0
パルミチン酸イソプロピル 5.0
Crodafos(登録商標)CES 10.0
精製水 全量で100まで
エトキシジグリコール 25.0
メチルパラベン 0.2
プロピルパラベン 0.05
Crodafos(登録商標)CESはCroda Inc.製であり、セテアリルアルコール、リン酸ジセチル、およびセテス−10のブレンドである。
手順
1)白色ペトロラタム、パルミチン酸イソプロピル、およびCroda(登録商標)CESを合わせ70℃で融解した。
2)メチルパラベンおよびプロピルパラベンをエトキシジグリコールに溶解した。
3)ダプソンをステップ2)のエトキシジグリコール溶液に溶解した。
4)精製水を70℃まで加温した。
5)高速で混合しながらステップ1の油相をステップ3の水相に添加した。乳化物を混合して油相の均一分散液を形成した。
6)連続して混合しながらダプソン溶液をステップ5)の乳化物に添加した。乳化物を冷却した。
【0081】
実施例2
次の製剤を調製した。
賦形剤 %w/w
ダプソン 3.0
白色ペトロラタム 5.0
パルミチン酸イソプロピル 5.0
Emulium Delta(登録商標) 10.0
精製水 全量で100まで
カーボポール980 0.25
エトキシジグリコール 15.0
メチルパラベン 0.2
プロピルパラベン 0.05
水酸化ナトリウム溶液、10% 0.25
Emulium Delta(登録商標)はGattefosse製であり、セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG−75、セテス−20、およびステアレス−20のブレンドである。
手順
1)白色ペトロラタム、パルミチン酸イソプロピル、およびEmulium Delta(登録商標)を合わせ、70℃で融解した。
2)メチルパラベンおよびプロピルパラベンをエトキシジグリコールに溶解した。
3)ダプソンをステップ2)のエトキシジグリコール溶液に溶解した。
4)プロペラで撹拌しながらカーボポール980を精製水に分散させた。混合物を70℃に加温した。
5)高速で混合しながらステップ1の油相をステップ4の水相に添加した。乳化物を混合し、油相の均一分散液を形成した。
6)連続で混合しながらダプソン溶液をステップ5に添加した。乳化物を冷却した。
【0082】
実施例3
次の製剤を調製した。
%w/w
賦形剤 4−A 4−B 4−C
ダプソン 2.0 1.0 1.0
ミリスチン酸イソプロピル 30.0 20.0 20.0
オクチルドデカノール −−− −−− 10.0
パルミチン酸セチル −−− 10.0 5.0
PemulenTR2 0.3 0.3 0.3
カーボポール980 0.2 0.4 0.2
プロピレングリコール −−− 10.0 10.0
エトキシジグリコール 10.0 −−− −−−
ベンジルアルコール −−− −−− 1.0
メチルパラベン 0.15 0.15 −−−
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.05 0.05 0.05
精製水 全量で100まで 全量で100まで 全量で100まで
水酸化ナトリウム、10% 0.5 0.5 0.5
手順
1)油相(ミリスチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、パルミチン酸セチル)を60℃まで加温した。
2)ダプソンをステップ1)に添加し、撹拌して湿らせた。
3)プロペラで撹拌しながらPermulen TR2およびカーボポール980を精製水に分散させた。分散液を60℃に加温した。
4)防腐剤(メチルパラベンまたはベンジルアルコール)およびBHTをエトキシジグリコールまたはプロピレングリコールに添加した。
5)ステップ4の溶液をステップ3)の水相に添加した。
6)高速で混合をしながらステップ1の油相をステップ5)の水相に添加した。
7)混合しながら水酸化ナトリウムを添加した。
8)クリームを室温まで冷却した。
【0083】
実施例4
次の製剤を調製した。
賦形剤 %w/w
ダプソン 1.0
白色ペトロラタム 5.0
パルミチン酸イソプロピル 5.0
Emulium Delta(登録商標) 6.0
精製水 全量で100まで
カーボポール980 0.2
ジメチルイソソルバイド 5.0
エトキシジグリコール 5.0
メチルパラベン 0.2
プロピルパラベン 0.05
水酸化ナトリウム溶液、10% 0.2
混合手順は実施例2と同様とした。ジメチルイソソルバイドをエトキシジグリコールと合わせて、ダプソン用の中間溶媒を形成した。
【0084】
実施例5
次の製剤を調製した。
賦形剤 %w/w
ダプソン 1.0
ステアリルアルコール 7.0
セチルアルコール 1.5
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 10.0
セバチン酸ジイソプロピル 5.0
モノステアリン酸ソルビタン 2.0
ステアリン酸ポリオキシエチレン40 2.5
精製水 全量で100まで
ジメチルイソソルバイド 10.0
ポリエチレングリコール400 10.0
ベンジルアルコール 1.2
リン酸塩緩衝液 pH7
手順
1)ステアリルアルコール、セチルアルコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、セバチン酸ジイソプロピル、モノステアリン酸ソルビタン、およびステアリン酸ポリオキシエチレン40を合わせ、70℃で融解した。
2)ジメチルイソソルバイド、ポリエチレングリコール400、およびベンジルアルコールを合わせた。ダプソンを添加し、混合して湿らせた。
3)精製水をリン酸塩緩衝液と合わせ、70℃まで加温した。
4)高速で混合しながら油相を水相に添加した。
5)混合しながらステップ2)の薬剤相を添加した。
6)クリームを混合しながら室温まで冷却した。
【0085】
実施例6
次の製剤を調製した。
賦形剤 %w/w
ダプソン 0.5
オクチルドデカノール 10.0
セトステアリルアルコール 5.0
精製水 全量で100まで
PemulenTR2 0.3
カルボマー980 0.3
プロピレングリコール 15.0
エトキシジグリコール 20.0
ベンジルアルコール 1.5
水酸化ナトリウム溶液、10% 0.5
手順
1)オクチルドデカノールおよびセトステアリルアルコールを合わせ、加温し、70℃で融解した。
2)プロピレングリコール、エトキシジグリコール、およびベンジルアルコールを合わせた。ダプソンを添加し、溶解した。
3)精製水を70℃まで加温した。
4)Pemulen TR2およびカーボポール980をステップ1)の油相に添加し、撹拌して分散させた。
5)高速で混合しながら油相を水相に添加した。
6)連続で混合しながらステップ2)の薬剤相を添加した。
7)水酸化ナトリウム溶液を添加、混合した。
8)クリームを室温まで冷却した。
【0086】
実施例7
次の製剤を調製した。
賦形剤 %w/w
ダプソン 2.0
白色ペトロラタム 5.0
乳化ワックス、NF 10.0
ミリスチン酸イソプロピル 10.0
アジピン酸ジイソプロピル 10.0
ブチル化ヒドロキシトルエン 0.05
プロピレングリコール 10.0
ベンジルアルコール 1.5
精製水 全量で100まで
手順
1)白色ペトロラタム、乳化ワックス、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、およびBHTを合わせ、70℃で融解した。
2)プロピレングリコールとベンジルアルコールの混合物にダプソンを添加し、混合して湿らせた。
3)精製水を70℃まで加温した。
4)高速で混合しながら水に油相を添加した。
5)連続で混合しながらダプソン溶液を添加した。
6)混合しながら生成物を室温まで冷却した。
【0087】
実施例8
次の製剤を調製した。
賦形剤 %w/w
ダプソン 3.0
セチルアルコール 0.5
ステアリン酸 7.0
ミネラルオイル 7.0
プロピオン酸PPG−2ミリスチル 4.0
ラウレス4 2.0
ラウレス硫酸ナトリウム 0.5
精製水 全量で100まで
プロピレングリコール 15.0
エトキシジグリコール 15.0
カーボポール980 0.4
トリエタノールアミン pH6まで
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.03
手順
1)セチルアルコール、ステアリン酸、ミネラルオイル、プロピオン酸PPG−2ミリスチル、およびラウレス4を合わせ、70℃に融解した。
2)高速で混合しながらカーボポール980を精製水に分散させた。
3)水相にラウレス硫酸ナトリウムを添加し、水相を70℃まで加温した。
4)パラベンおよびダプソンをプロピレングリコールとエトキシジグリコールの混合物に溶解した。
5)高速で混合しながら油相を水相に添加した。
6)連続で混合しながらダプソン溶液を添加した。
7)中和のためにトリエタノールアミンを添加し、混合しながら生成物を室温まで冷却した。
【0088】
実施例9
次の製剤を調製した。

一般手順
1)油相材料を容器中で合わせ、65℃〜75℃まで加温して融解する。油相材料には、白色ペトロラタム、セトステアリルアルコール、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、およびラウレス−23が含まれる。
2)別な容器中でエトキシジグリコールにメチルパラベン、プロピルパラベン、およびダプソンを添加し、撹拌して溶解することによって、有効成分相を調製する。
3)高速で混合しながら精製水にカルボマーを添加して均一分散液を形成することによって水相を調製する。得られた分散液を65℃〜75℃まで加温する。
4)水相に存在させる場合にはトリラウレス−4リン酸を添加する。
5)高速で混合しながら水相に油相を添加することによって乳化物を混ぜ合わせる。
6)高速で連続混合しながら乳化物に有効成分相を徐々に添加する。
7)乳化物に水酸化ナトリウム(水溶液として)を添加し、混合して合わせる。
8)撹拌しながら乳化物を室温まで冷却する。
【0089】
実施例10
次の製剤を調製した。

Arlacel 165は、ステアリン酸グリセリルとステアリン酸POE100との混合物の商標名であり、ICI Surfactantsから入手できる。
一般手順
1)有効成分相については、プロピレングリコールまたはエトキシジグリコールのいずれかにダプソンを添加し、混合して合わせ、湿らせる。
2)基剤については、残りの材料を合わせ、55℃〜60℃まで加温して完全に融解する。
3)混合しながら基剤に有効成分相を添加する。撹拌して均一に合わせる。
4)連続で混合しながら混合物を冷却する。室温まで冷却する。
【0090】
参照文献
a)バラバス(Barabas)、 米国特許第4,853,439号(特許文献5)
b)チョ(Cho)ら、 米国特許第4,920,145号(特許文献6)
c)ビチュロスキー(Vichroski)ら 米国特許第5,437,867号(特許文献7)
d)コンピス(Kompis)ら、 米国特許第5,721,242号(特許文献8)
e)オズボーン(Osborne)、 米国特許第5,863,560号
f)プロイル(Preuilh)ら、 米国特許第6,106,848号(特許文献9)
g)カストロ(Castro)ら、 米国特許第6,113,888号、同第6,214,322号(特許文献10、11
h)フィシェッティ(Fischetti)ら、 米国特許第6,056,955号、同第6,277,399号、同第6,248,324号、同第6,432,444号(特許文献12〜15)
i)ストラウド(Stroud)ら、 米国特許第6,231,837号(特許文献16)
【特許文献5】:米国特許第4,853,439号
【特許文献6】:米国特許第4,920,145号
【特許文献7】:米国特許第5,437,867号
【特許文献8】:米国特許第5,721,242号
【特許文献9】:米国特許第6,106,848号
【特許文献10】:米国特許第6,113,888号
【特許文献11】:米国特許第第6,214,322号
【特許文献12】:米国特許第6,056,955号
【特許文献13】:米国特許第6,277,399号
【特許文献14】:米国特許第6,248,324号
【特許文献15】:米国特許第6,432,444号
【特許文献16】:米国特許第6,231,837号
【0091】
本明細書中で引用するすべての特許、特許出願、刊行物および参照文献のすべての開示を、本明細書中に完全に複写した如く、参照により本明細書に組み込む。
【0092】
以上の明細書において、本発明を、その特定の好ましい実施形態に関して説明し、例証の目的で多くの細目を示してきたが、本発明はさらなる実施形態が可能であること、および本明細書で説明した詳細のいくつかは本発明の基本的本質から逸脱しないで相当に変更できることは、当業者にとって明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分、a)ダプソンまたはその誘導体、b)溶媒和媒質、c)乳化剤系、およびd)油相成分を含む乳化組成物。
【請求項2】
成分e)として水をさらに含む、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項3】
水および溶媒和媒質が、ダプソンまたはその誘導体を少なくとも部分的に溶解する、請求項2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
乳化組成物の総重量に対する成分の重量百分率が、
a)約0.005%から約30%のダプソンまたはその誘導体、
b)約0.5%から約99%の溶媒和媒質、
c)約0.1%から約30%の乳化剤系、
d)約0.1重量%から約75%の油相成分
から構成される、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項5】
水の重量百分率が約99%までの範囲である、請求項2に記載の乳化組成物。
【請求項6】
水を約99%までの範囲の重量百分率範囲でさらに含む、請求項4に記載の乳化組成物。
【請求項7】
乳化組成物の総重量に対する成分の重量百分率が、
a)約0.1%から約25%のダプソンまたはその誘導体、
b)約0.5%から約50%の溶媒和媒質、
c)約0.5%から約25%の乳化剤系、
d)約0.1重量%から約50%の油相成分
から構成される、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項8】
任意選択の水をさらに含み、かつ乳化組成物の総重量に対する成分の重量百分率が次の範囲であり:
a)ダプソンの範囲選択は、乳化組成物の約0.005%から約30%、約0.1%から約25%、約0.1%から約15%、約0.1%から約10%、約0.2%から約8%、約0.5%から約5%であり、
b)溶媒和媒質の範囲選択は、約0.5%から約99%、約0.5%から約50%、約5%から約40%、約5%から約35%、約5%から約30%であり、
c)乳化剤系の範囲選択は、約0.1%から約30%、約0.5%から約25%、約1%から約25%、約5%から約25%、約5%から約20%であり、
d)油相成分の範囲選択は、約0.1重量%から約75%、約0.1%から約50%、約1%から約45%、約2%から約40%であり、
e)任意選択の水の範囲選択は、0%から約99%、0%から約50%、0%から約40%、0%から約35%であり、
総量が100%に等しく、かつ各成分に対して前の範囲と比較して後の範囲が優先されるように選択される、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項9】
乳化剤系が、脂肪アルコールと界面活性剤の組合せを含む、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項10】
界面活性剤が、非イオン性もしくはアニオン性の界面活性剤またはそれらの組合せを含む、請求項9に記載の乳化組成物。
【請求項11】
脂肪アルコールが、さらなるヒドロキシル基、炭素がC1からC6のアルコキシ基、炭素が2から6個のアルコキシカルボニル基、または炭素が2から6個のアルキルアミド基、あるいはそれらの任意の組合せによって任意に置換されたC8からC30のアルコールを含む、請求項9に記載の乳化組成物。
【請求項12】
溶媒和媒質が、ダプソンまたはその誘導体が可溶である有機溶媒を含む、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項13】
有機溶媒が、グリコール、ポリオール、グリコールエーテルもしくはポリオールエーテル、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項12に記載の乳化組成物。
【請求項14】
ダプソンが、溶媒和媒質に完全にまたは部分的に溶解している、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項15】
ダプソンが、溶媒和媒質および油相成分に完全にまたは部分的に溶解している、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項16】
乳化剤系が、カルボマーコポリマーを含む、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項17】
a)ダプソン、b)グリコールエーテル、c)乳化剤系、d)油相成分、およびe)任意選択の水を含む乳化組成物。
【請求項18】
グリコールエーテルがエトキシジグリコールである、請求項17に記載の乳化組成物。
【請求項19】
カルボマーコポリマーを含む、請求項18に記載の乳化組成物。
【請求項20】
乳化剤系が、脂肪アルコールおよび界面活性剤を含む、請求項18に記載の乳化組成物。
【請求項21】
ダプソンが、組成物の約2重量%から約5重量%の濃度である、請求項17に記載の乳化組成物。
【請求項22】
ダプソン濃度のグリコールエーテル濃度に対する比率が、ダプソンがグリコールエーテルに溶解できる比率である、請求項17に記載の乳化組成物。
【請求項23】
酸性および/または塩基性成分が、約4から8、好ましくは5から8、特に好ましくは5から7のpHに中和または緩衝化される、前記請求項のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項24】
ダプソン、ワックスまたはペトロラタム、(C10〜C20)アルコール、(C10〜C20)アルキル(C10〜C20)アルカノエート、(C2〜C6)アルキル(C10〜C20)アルカノエート、リン酸エステル界面活性剤、エトキシジグリコール、ポリアクリル酸またはそのコポリマー、防腐剤、任意選択の中和剤、および任意選択の水を含む乳化組成物。
【請求項25】
請求項8に記載の成分範囲を有する、請求項24に記載の乳化組成物。
【請求項26】
百分率を組成物の総重量に対する重量で表して、ダプソンが2〜5%、ワックスもしくはペトロラタムが5〜10%、(C10〜C20)アルコールが0〜5%、(C10〜C20)アルキル(C10〜C20)アルカノエートが0〜5%、(C2〜C6)アルキル(C10〜C20)アルカンノエートが5〜8%、リン酸エステル界面活性剤が0〜5%、エトキシジグリコールが10〜30%、ポリアクリル酸もしくはそのコポリマーが0.1〜0.2%、防腐剤が0.04〜0.2%の範囲であり、中和剤および任意選択の水で100%となる、請求項24に記載の乳化組成物。
【請求項27】
ダプソン、ワックスまたはペトロラタム、セトステアリルアルコール、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリラウレス−4リン酸、エトキシジグリコール、カルボマーコポリマー、カルボマー940、防腐剤、任意選択の中和剤および任意選択の水を含む、請求項24に記載の乳化組成物。

【公表番号】特表2007−533606(P2007−533606A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523427(P2006−523427)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026447
【国際公開番号】WO2005/016296
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506041660)キューエルティー・ユーエスエイ・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】