ダンパプレート
【課題】ダンパプレートにダンパシールを装着させなくても、またリテーナ内壁にリブ等を設けなくとも、通風路の閉鎖時にダンパをリテーナ内壁と当接させずに通風路の密閉性を確保可能なダンパプレートを提供する。
【解決手段】ダンパプレート30の周壁リブ34A、34Aは、ダンパプレート30の周縁部をなす4辺のうち少なくとも回動軸31が立設する方向に沿う長手方向の2辺から立ち上がり帯状の外側面を有する。そしてダンパプレート30が通風路40を閉鎖する位置にあるとき、上側の周壁リブ34A外側面がリテーナ13の上壁面13Aと、下側の周壁リブ34Aの外側面が、リテーナ下壁面13Bと、それぞれ挟隙を介して平行となる。このとき、第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、狭隙が0.1mm乃至0.9mmの範囲にある。
【解決手段】ダンパプレート30の周壁リブ34A、34Aは、ダンパプレート30の周縁部をなす4辺のうち少なくとも回動軸31が立設する方向に沿う長手方向の2辺から立ち上がり帯状の外側面を有する。そしてダンパプレート30が通風路40を閉鎖する位置にあるとき、上側の周壁リブ34A外側面がリテーナ13の上壁面13Aと、下側の周壁リブ34Aの外側面が、リテーナ下壁面13Bと、それぞれ挟隙を介して平行となる。このとき、第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、狭隙が0.1mm乃至0.9mmの範囲にある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両空調用のレジスタのリテーナ内に形成される通風路に回動可能に装入されて通風路を開閉するダンパプレート、及び当該ダンパプレートを装着するレジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両空調用レジスタのリテーナ内に形成される通風路に回動可能に装入されて通風路を開閉するダンパについて通風路閉鎖時の密封性を高めるための種々の技術が報告されている。
例えば、特許文献1及び特許文献2のダンパは、四周に二股状の把持縁が形成されるダンパプレートと、ウレタン等の軟質のゴム或いは合成樹脂等からなり略リング状に形成されてダンパプレートの把持縁に弾性的に装着されるダンパシールの2部品からなる。
特許文献1及び特許文献2のダンパが回動して通風路を閉鎖する際にはダンパシールが通風路の壁面と接触して、通風路の風の流れをほぼ完全にシャットできる。
【0003】
一方で、ダンパシールの装着したダンパの大きさは閉鎖時の密封性を保とうとするために、通風路よりもやや大きくなっている。これにより、ダンパ閉鎖時にダンパシールとリテーナ内壁とが接触してダンパがスムーズに回動せず、また異音が発生してしまうという問題がある。これを防ぐために、例えば特許文献3に、ダンパシールを、回動中にはリテーナ(エアアウトレット10)内壁面と接触させない大きさに設計すると共に、ダンパの全閉位置に沿ってダンパシールと当接する突条を設け、ダンパ閉鎖時にはダンパシールとその突条が当接することによって密閉性を保つ技術が開示されている。
なお、ダンパシールが組み付けられたダンパについてダンパシールとリテーナ内壁との接触による異音を防止する技術として、ダンパシールをダンパプレートへ組み付ける前にシリコンオイルに含浸させる等も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録公報第2570855号
【特許文献2】実用新案登録公報第2575479号
【特許文献3】特開平7−137532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のダンパシールをダンパプレートに装着して密封性を高める技術には以下の問題がある。まず、ダンパが、ダンパプレートとダンパシールとの2部品構成となるため、ダンパシール分の部品費、組み付け工数が増えて製造コストが大幅に大きくなってしまう。特に、ダンパプレートにおいてダンパシールを把持するための二股状の把持部を設けるには金型製造にスライド工程が必要で、その金型製造コストも大きい。
またダンパシールをシリコンオイルに含浸させる場合は、このダンパシールのシリコンオイルがレジスタの他の部品に付着して汚すという問題がある。またこのシリコンオイルの品質管理が難しいという問題もある。
【0006】
また特許文献3のようにリテーナ内壁にリブを設けると、ダンパ等の組み付け時の邪魔になる、リテーナの形状が複雑化して製造コストが上がる等の問題がある。しかしこれまで、リテーナ内壁にリブ等を設けることなく通風路閉鎖時にダンパをリテーナ内壁と当接させずに密封性を保つ技術はほとんど報告されていない。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ダンパプレートにダンパシールを装着させなくても、またリテーナ内壁にリブ等を設けなくとも、通風路の閉鎖時にダンパをリテーナ内壁と当接させずに通風路の密閉性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため請求項1に係るダンパプレートは、車両空調用レジスタのリテーナ内部に形成される通風路に回動可能に装入されると共に、周縁部をなす4辺のうち回動軸方向に沿う2辺が、リテーナの互いに向き合う一対の内壁面に接近して通風路を閉鎖するダンパプレートにおいて、前記周縁部のうち少なくとも前記2辺から立ち上がり帯状の外側面を有する第1周壁リブを有し、前記ダンパプレートが前記通風路を閉鎖する位置にあるとき、前記2辺の各々に形成される前記第1周壁リブの外側面が、それぞれ接近する前記リテーナの各内壁面に対して挟隙を介して平行となり、前記第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、前記狭隙が0.1mm乃至0.9mmの範囲にあることを特徴とする。
【0009】
更に、請求項2に係るダンパプレートは、請求項1記載のダンパプレートにおいて、前記第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、前記狭隙が0.1mm乃至0.5mmの範囲にあることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係るダンパプレートは、請求項1又は請求項2に記載のダンパプレートにおいて、前記2辺のそれぞれに、前記回転軸の中心を通り厚さ方向に直交するダンパプレートの中心断面に対して前記第1周壁リブと対称な形状を有する第2周壁リブが形成されることを特徴とする。
また、請求項4に係るダンパプレートは、請求項3記載のダンパプレートにおいて、前記2辺の各々における前記第1周壁リブは、前記中心断面に対してそれぞれ反対側に立ち上がると共に、前記第1周壁リブの外側面と当該中心断面とが鋭角を成すことを特徴とする。
【0011】
更に、請求項5に係るダンパプレートは、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のダンパプレートにおいて、前記2辺の各々に形成される前記第1周壁リブは前記ダンパプレートが前記通風路を閉鎖する位置にある時にいずれも通風方向に対向することを特徴とする。
【0012】
また請求項6に係るダンパプレートは、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダンパプレートにおいて、前記ダンパプレートの本体をなす板状部に、前記第1周壁リブに沿って薄肉部を設けることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係るダンパプレートは、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のダンパプレートにおいて、前記ダンパプレートは、前記回動軸とは反対側の1辺に被把持部を有し、前記第1周壁リブは、前記ダンパプレートの周縁部のうち前記回転軸と前記被把持部とを除く全周に形成されることを特徴とする。
請求項8に係るレジスタは、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のダンパプレートを装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係るダンパプレートの第1周壁リブは、ダンパプレートの周縁部をなす4辺のうち少なくとも回動軸方向に沿う2辺から立ち上がり帯状の外側面を有する。そしてダンパプレートが通風路を閉鎖する位置にあるとき、当該2辺の各々に形成される第1周壁リブの外側面が、それぞれ接近するリテーナの各内壁面に対して挟隙を介して平行となる。よって通風路閉鎖時には、リブの外側面とリテーナ内壁面の間には面状の隙間が形成される。この面状の隙間が通風路を流れる風にとって大きな抵抗となり、従来のダンパシールを装着した場合と同様の、風の流れを止める効果を得ることができる。よって、ダンパプレートにダンパシールを装着させたり、リテーナ内にリブ等を設けたりしなくても、通風路の閉鎖時にダンパをリテーナ内壁と当接させずに通風路の密閉性を確保できる。その結果、異音の発生やダンパがスムーズに回動しない問題を回避でき、且つ、ダンパ製造コストを大幅に低減できる。
また、第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、狭隙が0.1mm乃至0.9mmの範囲にあり、このような範囲に第1周壁リブの外側面の長さ及び狭隙を設定することにより、ダンパプレートによる通風路の閉鎖時に通風路内を通過する風の流れを止めて通風路の密封性を確保することができる。
【0015】
また、請求項2のダンパプレートでは、第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、狭隙が0.1mm乃至0.5mmの範囲にあるので、ダンパプレートによる通風路の閉鎖時に通風路内を通過する風の流れを更に有効に止めて通風路の密封性を更に容易に確保することができる。
また、請求項3のダンパプレートでは、回動軸方向に沿う2辺のそれぞれに、回転軸の中心を通り厚さ方向に直交するダンパプレートの中心断面に対して第1周壁リブと対称な形状を有する第2周壁リブが形成される。このようなダンパプレートは、例えば車両インパネの左右に、対称な形状の2つのレジスタを配する際に有効である。つまり、1枚のダンパプレートに第1周壁リブだけでなく第2周壁リブも形成しておけば、一方のレジスタの通風路閉鎖時には第1周壁リブにより通風路の密封性を維持すると共に、他方のレジスタには、同じダンパプレートを反転させて用いることで同様に通風路の密封性を維持できる。当該他方のレジスタでは、通風路の閉鎖時に第2周壁リブの外側面がリテーナの各内壁面と挟隙を介して平行となるためである。よって請求項2のダンパプレートでは、対称形状をした2つのレジスタの両方に1種類のダンパプレートを用いることができ、各レジスタに対応する2種類のダンパプレートを製造する必要がなく、金型製造コスト等を更に低減できる。
【0016】
また、請求項4のダンパプレートでは、回動軸方向に沿う2辺の各々における第1周壁リブは、前記中心断面に対してそれぞれ反対側に立ち上がると共に、第1周壁リブの外側面と当該中心断面とが鋭角を成すから、ダンパプレートがリテーナ各内壁面に対して直角とならずに傾斜する状態で通風路を閉鎖する場合であっても、ダンパプレートの回動を邪魔しないように第2周壁リブを形成できる。
【0017】
また、請求項5のダンパプレートでは、2辺の各々に形成される第1周壁リブはダンパプレートが通風路を閉鎖する位置にある時にいずれも通風方向に対向する。よって、第1周壁リブと各リテーナ内壁面との間に形成される平行狭隙部分の入口形状は、より通風路の空気が流れ込みにくい形状となるため、ダンパプレートによる通風路の密封性を更に効果的に高めることができる。
【0018】
また、請求項6のダンパプレートでは、ダンパプレートの本体をなす板状部に、第1周壁リブに沿って薄肉部を設ける。ここでまれに製品ばらつきによって、ダンパプレートを回動させて通風路を閉鎖する途中でリテーナ内壁とダンパプレートの周端部とが干渉してしまう。しかし請求項5のダンパプレートでは、その場合であっても薄肉部により衝撃が吸収されて、ダンパプレートを閉鎖状態まで回動できる。
【0019】
また、請求項7のダンパプレートでは、第1周壁リブは、ダンパプレートの周縁部のうち回転軸と被把持部を除く全周に形成される。よって、第1周壁リブの外側面はダンパプレートの回動軸を軸支する一対のリテーナ内壁面とも狭隙を介して対向し、通風路閉鎖時の密封性がより高まることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係るレジスタの正面図である。
【図2】第1実施形態に係るレジスタの分解斜視図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】通風路閉鎖時のレジスタを図1のA−A位置で切断した断面図である。
【図5】第1実施形態のダンパプレートの平面図である。
【図6A】第1実施形態のダンパプレートの斜視図である。
【図6B】別方向から見た第1実施形態のダンパプレートの斜視図である。
【図7A】第1実施形態のダンパプレートの一側面図である。
【図7B】第1実施形態のダンパプレートの他方の側面図である。
【図8】第1実施形態のダンパプレートの正面図である。一部を拡大して示す。
【図9A】図5のD−D断面図である。
【図9B】図5のE−E断面図である。
【図10】図1のB−B断面図である。
【図11】第1実施形態のレジスタの背面図である。
【図12】図1のC−C断面図である。
【図13】通風路閉鎖時のレジスタを図1のC−C位置で切断した断面図である。一部を拡大して示す。
【図14】第2実施形態のダンパプレートの平面図である。
【図15A】第2実施形態のダンパプレートの斜視図である。
【図15B】別方向から見た第2実施形態のダンパプレートの斜視図である。
【図16】図14のF−F断面図である。
【図17A】第2実施形態のダンパプレートの一側面図である。
【図17B】第2実施形態のダンパプレートの他方の側面図である。
【図18】第2実施形態のダンパプレートを装着する通風路開放時のレジスタを図1のC−C位置で切断した断面図である。
【図19】第2実施形態のダンパプレートを装着する通風路閉鎖時のレジスタを図1のC−C位置で切断した断面図である。一部を拡大して示す。
【図20】第3実施形態のダンパプレートの平面図である。
【図21A】図20のG−G断面図である。
【図21B】図20のH−H断面図である。
【図22A】第3実施形態のダンパプレートの一側面図である。
【図22B】第3実施形態のダンパプレートの他方の側面図である。
【図23】第3実施形態のダンパプレートを装着する通風路開放時のレジスタを図1のC−C位置で切断した断面図である。
【図24】第3実施形態のダンパプレートを装着する通風路閉鎖時のレジスタを図1のC−C位置で切断した断面図である。一部を拡大して示す。
【図25】第4実施形態のダンパプレートの斜視図である。
【図26】第4実施形態のダンパプレートを図5のD−D位置で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るダンパプレートについて、具体化した4つの実施形態に基づいて図1〜図26を参照しつつ詳細に説明する。
先に、図1〜図3に基づき、4つの実施形態のダンパプレートを装着可能なレジスタ1について概説する。図1の左をレジスタ1の左方向、図1の右をレジスタ1の右方向、図1の下をレジスタ1の下方向、図1の上をレジスタ1の上方向、図1の前方向をレジスタ1の前方向、図1の後をレジスタ1の後方向とそれぞれ呼ぶ。
レジスタ1は、これと左右対称なレジスタと一対となって車両のインストルメントパネルの左右対称な位置に配置される。
【0022】
図1〜図3のように、第1実施形態のレジスタ1は、レジスタ1の前面部を構成するベゼル2と、ベゼル2と嵌合して連結するダクト状のリテーナ13とを有する。
図1のように、正面視において、ベゼル2は長手方向に長く短手方向に短い形状であり、細長い二等辺三角形状をした吹出口3が開口している。
吹出口3には、その二等辺三角形の中心線に沿って1枚の前フィン5が軸支されている。その奥側には前フィン5の回動軸と略直交する回動軸によってそれぞれ軸支される奥フィン10が配列している。前フィン5は図1の上下方向、奥フィン10は図1の左右方向に風の向きを変化させる。図1では前フィン5も奥フィン10も吹出口3を全開させる回動状態にある。
また、吹出口3の左側には長方形のダイヤル孔4が穿設され、側面視円形状のダイヤル16が後方から嵌入する。操作者はダイヤル16のダイヤルノブ17を上下に操作することで後述の通風路40を開閉できる。
【0023】
図2のように、前フィン5はその両端部にそれぞれ立設される一対の回動軸が左側の軸受部6と右側の軸受部7とに回動可能に軸支される。また、前フィン5の略中央部分を挟みこむように操作ノブ8が前フィン5の長手方向に沿って上下方向に摺動可能に外嵌される。操作ノブ8は上部8A、下部8Bと金属部8C、内嵌合部8Dとからなる。これらが前フィン5に組み付けられると、下部8Bに形成されるラック状の歯部9が前フィン5の後部に配される。
【0024】
また複数枚の奥フィン10は、下側の回動軸が軸受部11に回動可能に軸支される。また上側の回動軸からそれぞれ後方に突起する突起部が連結板12に連結され、奥フィン10は連動して回動して一斉にその向きを変えることができる。また1枚の奥フィン10には扇形歯車10Aが前方に突出して嵌着されている。この扇形歯車10Aは、その前方に位置する前フィン5に設けられる上述の歯部9と噛合するように配設される。よって操作ノブ8を前フィン5に沿って左右方向に摺動操作することにより、連動して回動する奥フィン10の向きを一斉に変更出来る。
【0025】
またダクト状のリテーナ13はその内側に背面視略長方形(図11参照)の通風路40を形成すると共に、外壁部に係合部27を有し、これがベゼル2の係合孔2Aと係合してベゼル2とリテーナ13とが嵌着される。ベゼル2とリテーナ13とが嵌着されると吹出口3と通風路40が連通する。なお、前フィン5回動軸の軸受部6、7がリテーナ13の左右の嵌合部24A、24Bのそれぞれ内側に、また奥フィン10回動軸の軸受部11はリテーナ13の下側嵌合部11の内側に配置されると共に奥フィン10の上側の回動軸はリテーナ13の上側の孔部25Bに嵌入されている。そしてベゼル2がリテーナ13に嵌着されると、ベゼル2の左右内壁や上下の後端縁部とリテーナ13との間で軸受部6、7、11や奥フィン10の上側回動軸がしっかり固定される。
【0026】
また、レジスタ1は、リテーナ13の左右内側壁に回動可能に軸支される後述のダンパプレート30、上述のダイヤル16のほか、ダンパプレート30を把持する把持部材19を備える。ダイヤル16は側面視円形状であって、ダイヤルノブ17とは反対側の位置から軸部18が側方に突起している。後述のダンパプレート30は、長手方向の一端から回動軸31が外側に突出すると共に、長手方向の他端には被把持部32を有する。そして把持部材19は、ダンパプレート30の被把持部32が嵌挿される二股部21を有すると共に、長孔状の逃しガイド溝20を備える。
【0027】
ここでリテーナ13には、左側の外壁面にダイヤル軸14が突設されると共に、挿入孔15が穿設される。図3、図4のように、ダイヤル16はその中心孔16Aにリテーナ13のダイヤル軸14が挿入され、中心孔16A周縁のネジ部をナット29で締め付けることによりリテーナ13に回動可能に取り付けられる。そして、把持部材19の二股部21がリテーナ13の挿入孔15に挿入されてダンパプレート30の被把持部32を把持する。同時に把持部材19の逃しガイド溝20にダイヤル16の軸部18が挿入されて把持部材19とダイヤル16とを係合させる。
【0028】
図3に示すように、通風路40を開放する際にはダイヤルノブ17はダイヤル孔4の上端部に位置し、このときダイヤル16の軸部18は最も下方位置にある。図4に示すように、ユーザがダイヤルノブ17をダイヤル孔4の下端まで押し下げるとダイヤル16の軸部18はダイヤル軸14を中心に約50°時計回りに回動する。これにより把持部材19のアームが持ち上げられて約80°反時計回りに回動する。すると把持部材19に把持されるダンパプレート30も同じ角度反時計回りに回動する。
【0029】
続いて図5〜図9に基づいて第1実施形態のダンパプレート30の具体的構成を詳述する。図5〜図7のようにダンパプレート30は4つの角が丸味を帯びた略長方形をしている。このダンパプレート30の周端部全周のうち、回動軸31と被把持部32を除く部分が周壁リブ34で縁取られている。ダンパプレート30のうち回動軸31、被把持部32、周壁リブ34を除く中央部分は平坦な板状部36となっている。
【0030】
上述の回動軸31は略円柱状をしている。一方、被把持部32は図6B及び図7Aのように、ダンパプレート30の厚さ方向と直交して回動軸31の中心を通る中心断面(線35は当該中心断面が通る線を示し、以下中心線と呼ぶ)に対して対称な2段の凹状に形成される。内側の凹状32Bの底平面と外側の凹状32Aの底平面との間は、ダンパプレート30の短手方向では直角の壁で連続するが、長手方向では斜面により連続する。このような形状は、把持部材19における二股部21の内側形状と嵌り合う。二股部21の先端の鉤部21A(図2参照)は、外側の凹状32Aと板状部36との段差部分に係合して被把持部32にしっかり係合する。
【0031】
図6A〜図7Bに示すように周壁リブ34は、周壁リブ34A、34A、34B、34B(以下34A〜34Bと略記)からなる。一方の周壁リブ34Aはダンパプレート30の全周のうち回動軸31から被把持部32までの半周部分に形成されると共に他方の周壁リブ34Aは残りの半周部分に形成される。各周壁リブ34A、34Aは同形状であって中心線35に対してそれぞれ反対側に立ち上がっている。そして各半周部分において各周壁リブ34Bがそれぞれ中心線35に対して各周壁リブ34A、34Aと対称な形状に形成される。
【0032】
また、各周壁リブ34A〜34Bの外側面は図6及び図8のように短手方向の2辺に沿う部分では中心線35とほぼ直交するが、図6及び図9のように、長手方向の2辺に沿う部分ではリブ先端に向かうに連れダンパプレート30の中央に近づくように、同じ傾斜角度θ(例えば約80°)で傾斜している。当該長手方向の2辺に形成される周壁リブ34A、34Aの各外側面が中心線35となす角度θは通風路40の閉鎖状態においてダンパプレート30とリテーナ上下壁面13A、13Bが成す角度(図13参照)とほぼ等しく、これにより通風路40の閉鎖時において周壁リブ34A、34Aの外側面とリテーナ上下壁面13A、13Bとは平行となる。
【0033】
また、図8に明示されるように、各周壁リブ34A〜34Bの先端には三角形状の凹凸部33が形成され、これも中心線35に対して対称な形状となっている。
図6及び図8のように、各周壁リブ34A〜34Bの先端には、ダンパプレート30の長手2辺に沿って同形状の凹凸部33が沿って連続して設けられる。図9Aはダンパプレート30をこの凹凸部33の凹部の底部分で切断して各周壁リブ34A〜34Bの外側面の幅が最小となる側面図を示す。また図9Bはダンパプレート30を凹凸部33の凸部の先端位置で切断して各周壁リブ34A〜34Bの外側面の幅が最大幅r1となる側面図を示す。
【0034】
なお、図9A、図9Bに示すように、各周壁リブ34A〜34Bの内側面は板状部36の表面に対して略直角であり、ダンパプレート30の周端部は周壁リブ34が形成されて略T字状の断面をなす。図9A、図9Bのように、凹凸部33が形成される各周壁リブ34A〜34Bの先端面(以下凹凸面と呼ぶ)はリブの内側面と略直交する線により構成されている。
【0035】
続いて図10〜図13に基づいて、このダンパプレート30による通風路40の開閉について詳述する。
図10乃至図12は、ダンパプレート30が通風路40を開放する状態を示す。図10及び図12のように、通風路40はリテーナ上壁面13A、リテーナ下壁面13B(図12参照)とリテーナ右壁面13C、左壁面13Dに囲まれてなる。図10のように、ダンパプレート30はその回動軸31がリテーナ13の右壁面13Cの軸孔に回動可能に軸支されると共に、被把持部32がリテーナ13の左壁面13Dの挿入孔15に挿入される把持部材19の二股部21に把持されて回動可能に通風路40内に設けられている。またダンパプレート30の回動軸31は通風路40の通風方向と略直交する方向を向いている。ダンパプレート30周端部は短手2辺に沿う部分でも回動軸31と被把持部32を除く部分ではほとんどリテーナの左右壁面13C、13Dと当接せず、スムーズに回転する。
図11のように、この開放状態においてダンパプレート30の板状部36は水平に(図12のように通風方向と平行に)なると共にダンパプレート30の回動軸31は前フィン5の回動軸と水平な同一平面を成すように配置される。よって通風路40の通風の、ダンパプレート30による圧力損失は最小限に抑えられる。
【0036】
図12のように、通風路40を開放する位置におけるダンパプレート30は図3及び図4で説明したダイヤルノブ17の下方への回動操作により右側面視で時計回りに約80°回動する。すると図13のように下側の周壁リブ34Bがリテーナ下壁面13Bと狭隙r2を介して平行となる。同様に上側の周壁リブ34Aの外側面もリテーナ上壁面13Aと同じ狭隙r2を介して平行となっている。
【0037】
ここで上述のようにリテーナ周壁ノブ34A、34Aは中心線35に対して別々の方向に立ち上がり、また各周壁ノブ34A〜34Bの各外側面と中心線35との成す角度θは鋭角(実施形態では約80°)であるから、周壁ノブ34B、34Bはダンパプレート30が閉鎖位置まで回動してもリテーナ上下壁面13A、13Bと干渉しない。
【0038】
ここで図13に基づいて閉鎖時の周壁リブ34A、34Aの効果について述べる。上側の周壁リブ34Aとリテーナ上壁面13A、下側の周壁リブ34Bとリテーナ下壁面13Bとがそれぞれ狭隙r2を介して平行となると、上側の周壁リブ34Aとリテーナ上壁面13Aの間及び下側の周壁リブ34Aとリテーナ下壁面13Bとの間(以下各平行狭隙部分と呼ぶ)にそれぞれ狭隙r2の面状の隙間ができ、この面状の隙間が通風に対して大きな抵抗となり狭隙r2が存在するにも関わらず通風をシャットできるのである。具体的にそのメカニズムとして、一つはベルヌイの定理により説明される狭隙r2の値が小さいことによるシャット効果が挙げられる。すなわち流路が急に狭くなり静圧が下がると逆に動圧(流速)が非常に大きくなり、動圧に比例した圧力損失が発生し、また圧力損失は周壁リブ34Aの外側面の最大幅r1が大きい程大きくなると考えられるからである。もう一つのメカニズムとして挙げられるのが、周壁リブ34A、34Aの外側面及び周壁リブ34Aと対向するリテーナ上下壁面13A、13B表面に、それぞれ乱流の渦が生まれ、これにより各平行狭隙部分において空気流が通ることのできる部分の幅が狭隙r2よりも小さくなるというものである。
【0039】
このような乱流の渦はリテーナ上下壁面13A、13Bの表面やダンパプレート30の表面における空気の流速が0であることから各表面付近で空気の流れが剥離することにより起こり、剥離泡とも呼ばれる。流れの剥離の起こり易さは各平行狭隙部分の入口形状と関係するとされている。図13の例で言えば、上側の周壁リブ34Aの凹凸面と外側面とがなす角度は鈍角であるが直角に近いから上側の平行狭隙部分では流れの剥離が比較的起こり易いのに対して、下側の平行挟隙部分では周壁リブ34Bの外側面が周壁リブ34Aと通風方向の逆側で周壁リブ34Aの外側面と連続すると共に周壁リブ34Aに対して緩やかに傾斜しており流れの剥離は比較的起こりにくくなっている。しかし、このような事情にも関わらず、後に示す実施例では、断面T字状の周壁リブ34によって十分な通風シャット効果が得られることが示されている。
【0040】
なお上述のダンパプレート30の凹凸部33(図6、図8等参照)の効果について説明する。上述のようにダンパプレート30が図13のように通風路40を閉鎖する際に周壁リブ34A、34Aのシャット効果により各平行挟隙部分にはほとんど風が通らない。しかし一部風が通過した場合にその風は非常に流速が速いために高いエネルギーを有する2次元的な渦が発生し、これにより異音が発生しやすい。しかし、図13では上側の周壁リブ34Aの先端や下側の周壁リブ34Bの先端に形成される凹凸部33により、2次元的な渦に対し、当該渦糸と交差する3次元的な渦が発生されて2次元的な渦を抑制するから異音の発生を抑制できる。なお、ダンパプレート30の三角形状の凹凸部33では、例えば第4実施形態の凹凸部333のような四角形状のものよりも発生する3次元的な渦が複雑となり、その分2次元的な渦を抑制する効果は高いものとなる。
【0041】
また、周壁リブ34B、34Bによる効果について説明する。上述のように周壁リブ34B、34Bは中央線35に対して周壁リブ34A、34Aと対称な形状に形成されているから、レジスタ1と左右対称なレジスタ(図1と左右対称に、ダイヤル16が右側にあるレジスタ)にダンパプレート30を反転して装着することが可能である。すると、当該レジスタにおいてダイヤル16を下方に押し下げると周壁リブ34B、34Bがリテーナ上下壁面13A、13Bとそれぞれ狭隙r2を介して平行となるため、レジスタ1における周壁リブ34A、34Aの作用と同様に、通風路の密封性を維持できる。
【0042】
続いて図14〜図19に基づいて、第2実施形態のダンパプレート130について説明する。以下、第2〜第4実施形態において第1実施形態と同一又は相等する構成は、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
第2実施形態のダンパプレート130は第1実施形態のダンパプレート30と周壁リブの構成が異なる。図14〜図16のように第2実施形態の周壁リブ134は、ダンパプレート130の周端部のうち回動軸31と被把持部32を除く全周部分において回動軸31の中心を通りダンパプレートの厚さ方向と直交する中央断面(図16の中心線135参照)に対して同じ側に突起している。ダンパプレート130のうち回動軸31、被把持部32及び周壁リブ134を除く板状部136は、その中央部分が周壁リブ134の先端側に突出する形状をしているが、これは周壁リブ134の形状によるダンパプレート130の重心の偏りを是正するためである。
【0043】
図14、図15等のように、周壁リブ134は回動軸31から被把持部32までの半周に沿う周壁リブ134Cと、残りの半周に沿う周壁リブ134Dとからなる。各周壁リブ134C、134Dの外側面は、ダンパプレート130の短手2辺に沿う部分では板状部136表面と略直交している。しかし図16に示すようにダンパプレート130の長手辺に沿う部分において、周壁リブ134Dの外側面と板状部136とは鋭角θを成すと共に周壁リブ134Cの外側面と板状部136とは鋭角θの補角となる鈍角をなす。θは通風路40を閉鎖する位置にあるダンパプレート130の板状部136がリテーナ上壁面13A及びリテーナ下壁面13Bとそれぞれなす鋭角(実施形態では約80°)と略等しい(図19参照)。
【0044】
図15A、15B及び図16のように、周壁リブ134C、134Dの先端は側断面視で鋭角をなす。図15A、図15Bのように第2実施形態では、周壁リブ134C、134Dに所定間隔で四角形の切り欠き部133を設けることによって周壁リブ134C、134Dの先端を凹凸形状として異音対策をしている。この切り欠き部133はダンパプレート130の周端部の長手2辺に沿って設けられる。
【0045】
また、図16のように各周壁リブ134C、134Dの外側面は同じ幅r101を有すると共に、それぞれ先端が鋭角の側断面視三角形をしている。
図16、図17のように周壁リブ134はダンパプレート130の一方のみに立ち上がるため幅r101は第1実施形態よりも大きく設計しやすい。(図16では板状部136の厚みの2倍程度となっている。)
【0046】
図18、図19に基づき第2実施形態のダンパプレート130による通風路40の開閉を説明する。第2実施形態のレジスタ101は第1実施形態のレジスタ1のダンパプレート30をダンパプレート130に置き換えたものである。
第1実施形態と同様、図18のように通風方向に平行なダンパプレート130は、ダイヤルノブ17を下方に押し下げることによって右側面視時計回りに(実施形態では約80°)回動し、図19のように通風路40を閉鎖する位置に来る。この時、周壁リブ134Dの外側面は狭隙r102を介してリテーナ上壁面13Aと平行となると同時に、周壁リブ134Cの外側面は狭隙r102を介してリテーナ上壁面13Bと平行となり、それぞれの平行狭隙部分に面状の隙間が形成される。
【0047】
ここで、周壁リブ134C、134Dの各先端はいずれも通風に対して対向方向を向く。よって通風路40の空気は各平行狭隙部分に入りこむ際に、周壁リブ134C、134D先端の表面に当たることにより流れの剥離を起こしやすく、各平行狭隙部分を空気流が通りにくくなる。特に周壁リブ134C、134Dの先端のうち、切り欠き部133のない部分は鋭角に形成されているから、当該鋭角部分の表面では更に流れの剥離は起こり易い。
【0048】
続いて、図20〜図24に基づいて第3実施形態のダンパプレート230について述べる。図20〜図22のように、第3実施形態のダンパプレート230において周端部の各半周部分にそれぞれ沿う各周壁リブ234E、234Fはダンパプレート230の厚さ方向に直交する中央断面(図21の中心線235参照)に対してそれぞれ反対側に突出する。各周壁リブ234E、234Fの各外側面が平坦な板状部236となす角度θはいずれも通風路40閉鎖時にダンパプレート230がリテーナ上壁面13A及び下壁面13Bと成す鋭角に等しい。よって第3実施形態のダンパプレート230は、第1実施形態のダンパプレート30から周壁リブ34B、34Bを取り去った変形例とも言える。
【0049】
各周壁リブ234E、234Fの先端には第1実施形態の各周壁リブと同様の三角形状の凹凸部33が形成されている。図21Aはダンパプレート230を凹凸部33の底部分で切断した側断面図であり、各周壁リブ234E、234Fの外側面の最短幅が示される。図21Bは凹凸部33の三角状の凸部で切断した側断面図であり、各周壁リブ234E、234Fの外側面の最大幅r201が示される。
図21、図22のように、第3実施形態では各周壁リブ234E、234Fの外側面は板状部236表面まで延びているから外側面の最大幅r201はその分大きく設計できる。
【0050】
図23、図24に基づいて第3実施形態のダンパプレート230による通風路40の開閉について述べる。第3実施形態のレジスタ201は第1実施形態のレジスタ1のダンパプレート30を第3実施形態のダンパプレート230に置き換えたものである。図23に示すように通風路40の通風方向に対して平行なダンパプレート230は、ダイヤルノブ17が下方に引き下げられると(図1参照)、右側面視時計回りに約80°回動し図24の状態となる。そして上側の周壁リブ234Eとリテーナ上壁面13A及び、下側の周壁リブ234Fとリテーナ下壁面13Bとが狭隙r202を介してそれぞれ平行となり、それぞれの平行狭隙部分に面状の隙間が形成される。
【0051】
図24のように、通風方向に対向する上側の周壁リブ234Eでは外側面が凹凸面と成す角度は直角に近いから上側の平行狭隙部分では比較的流れの剥離は起こり易く、空気流がより通りにくい。また、下側の平行狭隙部分でも周壁リブ234Fの外側面と板状部36表面とは丸みのない鋭角をなすから流れの剥離が起こり易く、空気流がより通りにくい。
【0052】
なお、凹凸部33を有する周壁リブ234Fの先端は通風方向を向いているため、下側の平行狭隙部分では異音が起こり易い。この対策として閉鎖位置において通風に対向する板状部236下端縁に凹凸形状を連続して設けてもよい。
【0053】
続いて、第4実施形態のダンパプレート330について図25及び図26に基づいて説明する。ダンパプレート330は、第1実施形態のダンパプレート30とほぼ同じ構成を有するが板状部336に薄肉部350、350が形成される点が異なる。薄肉部350、350はダンパプレート330の長手方向に沿う長い帯状であり、回動軸31・被把持部32と長手2辺の周端部との間に2箇所設けられる。図25では各周壁リブ334A〜334Bは薄肉部350と接する部分には形成されていない。図26のように、薄肉部350の厚さwは中央部分の板状部336の厚さの2分の1以下となっており、ダンパプレート330に十分な可撓性を与える。
【0054】
このようなダンパプレート330を第1実施形態のダンパプレート30の替わりにレジスタ1に装着すると、以下の効果が得られる。つまりダンパプレート330では周端部に各周壁リブ334A〜334Bを設けたために、製品ばらつきによっては通風路40の開放状態から閉鎖状態まで回動する間にダンパプレート330の周端部(例えば周壁リブ334Aの先端)がリテーナ上下壁面13A、13Bに当接してしまう場合が想定される。このような製品ばらつきは、例えばレジスタ1の製造時における熱収縮等によるものが考えられる。しかし薄肉部350の存在により、通風路40の閉鎖直前にダンパプレート330の周端部とリテーナ上下壁面51A、51Bとが干渉した場合もダンパプレート330が撓むことによって、ダンパプレート330を閉鎖状態まで回動させることができる。
【実施例】
【0055】
本発明について、以下の実施例を用いて更に検討する。なお、本発明は、この実施例に限定されるものでは決してない。
【0056】
下記の実験は、第1実施形態のダンパプレート30を装着したレジスタ1を用いて行った。各周壁リブ34A〜34B外側面の最大幅r1の値と、通風路40閉鎖時における平行挟隙部分の狭隙r2の値とを様々に変更させ、各場合において通風路40閉鎖時に十分な密封性が得られるか実験した。
最大幅r1は1〜10mmの範囲で1mm刻みに10段階、狭隙r2は0〜1mmの範囲で0.1mm刻みに11段階の値をとり、r1値とr2値の組合せ全110通りを調べた。
【0057】
以下、実験系を概説する。本実施例の実験系ではチャンバ(大きさ約1.5m×約1.5m×約1.5mの立方体状)の一の側面に円筒管(長さ30cm程度)の一端が接続され他端にブロワが接続されている。この円筒管の途中に超音波式流量計が配置される。チャンバにおいて円筒管を配した側面と反対側の側面には、20cm×20cmの正方形の吹出孔が開いており、この正方形の吹出孔に、四角錐状のノズルの基端部(当該吹出孔と略同形)が接続される。当該ノズルの先端は、レジスタ1のリテーナ13後端縁部と同形の略長方形に形成されており、当該リテーナ13の後端縁部に接続される。このようにブロワからの送風をレジスタ1の通風路40に流入させる前にチャンバを介するのはブロワの送風に対する外部変化の影響を排除するためである。ブロワから送風された空気のエネルギーがチャンバ内で動圧から静圧に変化することで、吹出孔からノズルには風速のバラツキの少ない風が流入することになる。
【0058】
レジスタ1では図12のようにダンパプレート30を通風方向と平行にして通風路40を開放させる。この状態でブロワから送風を行い、所定時間経過後に超音波流量計で送風量が一定となったことを確認する(流量A)。続いて、ダイヤルノブ17を操作してダンパプレート30を閉鎖し、図13の状態としてから、このときの流量Bを計測する。そして、流量Bが流量Aの10%未満ならば密封性は十分(表1の○)とし、10%以上ならば密封性は不十分(表1の×)とする。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に実験結果を示す。表1で○となる数値範囲であれば、通風路40の密封性が確保されることが確認された。
表1のように、ダンパプレート30における各周壁リブ34A〜34Bの最大幅r1が大きいほど、通風路40をシャットする効果は大きく、狭隙r2がある程度大きくても通風路40閉鎖時の密封性を確保できることが分かった。
一方で、通風路40の開放時に周壁リブ34A、34Bは通風方向に対向するため(図11参照)、r1の値が大きいほど、周壁リブ34による通風路40開放時の圧力損失が大きくなる。また、r1の値があまりに大きいとダンパプレート30と他の部材との干渉が起き易い。以上より、r1の値を一定程度小さくできるr2の範囲が好ましいことになる。
【0061】
表1より、狭隙r2が1mm以上の場合はr1が1〜10mmの範囲では通風路40閉鎖時の密封性を確保できないのに対し、0.9mm以下の場合、各周壁リブ34A〜34Bの外側面の長さr1は10mm以上であれば確実に密封性を確保でき、好ましい。更に0.7mm以下の場合、r1は6mm以上であれば、確実に密封性を確保でき、より好ましい。更に、r2が0.3mm以下の場合、r1が2mm以上であれば、確実に密封性を確保でき、最も好ましい。なお、例えば表1でr2が0.2mmでr1が1mmの場合に○が付くような場合があるため、仮にr2を0.3mm以下と設定した場合に必ずしもr2を2mm以上と設定しなければならないわけではない。
【0062】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態(又は第2、第3、第4実施形態)では、ダンパプレート30(又は130、230、330)が通風路40を閉鎖する位置にあるとき、回動軸31方向に沿う2辺の各々に形成される上側の周壁リブ34A(又は周壁リブ134D、周壁リブ234E)の外側面がリテーナ上壁面13Aと挟隙を介して平行になると共に、下側の周壁リブ34B(又は周壁リブ134C、周壁リブ234F)の外側面がリテーナ下壁面13Bと狭隙を介して平行となり、それぞれ面状の隙間を形成する。この面状の隙間が通風路40を流れる風にとって大きな抵抗となり、従来のダンパシールを装着した場合と同様の、風の流れを止める効果を得ることができる。よって、ダンパプレート30(又は130、230、330)にダンパシールを装着させたり、リテーナ13内にリブ等を設けなくても、通風路40の閉鎖時にダンパをリテーナ13内壁と当接させずに通風路40の密閉性を確保できる。その結果、異音の発生やダンパがスムーズに回動しない問題を回避でき、且つ、ダンパ製造コストを大幅に低減できる。
【0063】
また、第1実施形態のダンパプレート30では、回動軸31の立設方向に沿う2辺のそれぞれに、回動軸31の中心を通り厚さ方向に直交するダンパプレートの中心断面(中心線35)に対して周壁リブ34A、34Aと対称な形状を有する周壁リブ34B、34Bが形成される。よってダンパプレート30を反転させてレジスタ1と対称形状のレジスタに装着すると周壁リブ34B、34Bの作用によりレジスタ1と同様に通風路40の密封性を維持できる。よって第1実施形態のダンパプレート30では、対称形状をした2つのレジスタの両方に1種類のダンパプレート30を用いることができ、金型等の製造コストを更に低減できる。
【0064】
また第1実施形態のダンパプレート30では、回動軸31方向に沿う2辺の各々における周壁リブ34A、34Aは、中央断面(中心線35)に対してそれぞれ反対側に立ち上がると共に、周壁リブ34Aの外側面と中央断面(中心線35)とが鋭角を成す。よって周壁リブ34Aと対称な周壁リブ34B、34Bも中央断面に対してそれぞれ反対側に立ち上がると共に外側面が中央断面と鋭角をなすように形成されるから、ダンパプレート30がリテーナ13の上壁面13A及び下壁面13Bに対して傾斜した状態で通風路40を閉鎖しても、ダンパプレート30の回動を邪魔しないように周壁リブ34B、34Bを形成できる。
【0065】
また第2実施形態のダンパプレート130では、回動軸方向に沿う2辺の各々に形成される周壁リブ134C、134Dはダンパプレート130が通風路を閉鎖する位置にある時にいずれも通風方向に対向する。よって、周壁リブ134C、134Dとリテーナ13の上壁面13A、下壁面13Bとの間に形成される平行狭隙部分の入口形状は、より通風路40の空気が流れ込みにくい形状となるため、ダンパプレート130による通風路40の密封性を更に効果的に高めることができる。
【0066】
また第4実施形態では、ダンパプレート330の板状部336に、周壁リブ34A、34Aに沿って薄肉部350を設ける。よってダンパプレート330を回動させて通風路40を閉鎖する途中でリテーナ13内壁とダンパプレート330の周端部とが干渉してしまう場合であっても薄肉部350により衝撃が吸収されて、ダンパプレート330を閉鎖状態まで回動できる。
【0067】
また第1実施形態(又は第2、第3実施形態)では、周壁リブ34A、34A(又は周壁リブ134C、134D、周壁リブ234E、234F)は、ダンパプレート30(又は130、230)の周縁部のうち回動軸31と被把持部32を除く全周に形成される。よって、周壁リブ34A、34Aの外側面はダンパプレート30(又は130、230)の回動軸31を軸支するリテーナ左右壁面13C、13Dとも狭隙を介して対向し、通風路40閉鎖時の密封性がより高まることになる。
【0068】
尚、本発明は前記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、第4実施形態の薄肉部350を第2、第3実施形態のダンパプレートに形成してもよいことは当然である。また第2実施形態の周壁リブの切り欠き部133の替わりに第1実施形態のような周壁リブ先端に連続する三角形状の凹凸部33を設けてもよい。その際、凹凸部のうち凸部部分で周壁リブ先端が鋭角となるように形成すると、より効果的である。
【0069】
各実施形態ではダンパプレートは前傾状に通風路を閉鎖したが、本発明ではこれに限られず、ダイヤル等の設計によって後傾状に通風路を閉鎖するものも含まれる。また平行状態から約90°回動して通風路と直交した状態で閉鎖するものも当然含まれ、その場合各周壁リブ外側面と板状部となす角度θは約90°となる。
【0070】
また各実施形態の通風路閉鎖時において2つの平行狭隙部分の幅は同じ値となっていたが、必ずしも同じ値でなく多少の変動幅は許容されることは言うまでもない。
【0071】
また、第3実施形態では、各周壁リブ234E、234Fは、外側面と板状部表面とがなす角度が同角度の鋭角となるが、同角度の鈍角となるように設計されるものも当然本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 レジスタ
13 リテーナ
13A リテーナ上壁
13B リテーナ下壁
34A、34A、34B、34B、134C、134D、234E、234F 周壁リブ
30、130、230、330 ダンパプレート
31 回動軸
32 被把持部
35、135、235 中心線
40 通風路
36、136、236、336 板状部
350 薄肉部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両空調用のレジスタのリテーナ内に形成される通風路に回動可能に装入されて通風路を開閉するダンパプレート、及び当該ダンパプレートを装着するレジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両空調用レジスタのリテーナ内に形成される通風路に回動可能に装入されて通風路を開閉するダンパについて通風路閉鎖時の密封性を高めるための種々の技術が報告されている。
例えば、特許文献1及び特許文献2のダンパは、四周に二股状の把持縁が形成されるダンパプレートと、ウレタン等の軟質のゴム或いは合成樹脂等からなり略リング状に形成されてダンパプレートの把持縁に弾性的に装着されるダンパシールの2部品からなる。
特許文献1及び特許文献2のダンパが回動して通風路を閉鎖する際にはダンパシールが通風路の壁面と接触して、通風路の風の流れをほぼ完全にシャットできる。
【0003】
一方で、ダンパシールの装着したダンパの大きさは閉鎖時の密封性を保とうとするために、通風路よりもやや大きくなっている。これにより、ダンパ閉鎖時にダンパシールとリテーナ内壁とが接触してダンパがスムーズに回動せず、また異音が発生してしまうという問題がある。これを防ぐために、例えば特許文献3に、ダンパシールを、回動中にはリテーナ(エアアウトレット10)内壁面と接触させない大きさに設計すると共に、ダンパの全閉位置に沿ってダンパシールと当接する突条を設け、ダンパ閉鎖時にはダンパシールとその突条が当接することによって密閉性を保つ技術が開示されている。
なお、ダンパシールが組み付けられたダンパについてダンパシールとリテーナ内壁との接触による異音を防止する技術として、ダンパシールをダンパプレートへ組み付ける前にシリコンオイルに含浸させる等も行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録公報第2570855号
【特許文献2】実用新案登録公報第2575479号
【特許文献3】特開平7−137532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のダンパシールをダンパプレートに装着して密封性を高める技術には以下の問題がある。まず、ダンパが、ダンパプレートとダンパシールとの2部品構成となるため、ダンパシール分の部品費、組み付け工数が増えて製造コストが大幅に大きくなってしまう。特に、ダンパプレートにおいてダンパシールを把持するための二股状の把持部を設けるには金型製造にスライド工程が必要で、その金型製造コストも大きい。
またダンパシールをシリコンオイルに含浸させる場合は、このダンパシールのシリコンオイルがレジスタの他の部品に付着して汚すという問題がある。またこのシリコンオイルの品質管理が難しいという問題もある。
【0006】
また特許文献3のようにリテーナ内壁にリブを設けると、ダンパ等の組み付け時の邪魔になる、リテーナの形状が複雑化して製造コストが上がる等の問題がある。しかしこれまで、リテーナ内壁にリブ等を設けることなく通風路閉鎖時にダンパをリテーナ内壁と当接させずに密封性を保つ技術はほとんど報告されていない。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ダンパプレートにダンパシールを装着させなくても、またリテーナ内壁にリブ等を設けなくとも、通風路の閉鎖時にダンパをリテーナ内壁と当接させずに通風路の密閉性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため請求項1に係るダンパプレートは、車両空調用レジスタのリテーナ内部に形成される通風路に回動可能に装入されると共に、周縁部をなす4辺のうち回動軸方向に沿う2辺が、リテーナの互いに向き合う一対の内壁面に接近して通風路を閉鎖するダンパプレートにおいて、前記周縁部のうち少なくとも前記2辺から立ち上がり帯状の外側面を有する第1周壁リブを有し、前記ダンパプレートが前記通風路を閉鎖する位置にあるとき、前記2辺の各々に形成される前記第1周壁リブの外側面が、それぞれ接近する前記リテーナの各内壁面に対して挟隙を介して平行となり、前記第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、前記狭隙が0.1mm乃至0.9mmの範囲にあることを特徴とする。
【0009】
更に、請求項2に係るダンパプレートは、請求項1記載のダンパプレートにおいて、前記第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、前記狭隙が0.1mm乃至0.5mmの範囲にあることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係るダンパプレートは、請求項1又は請求項2に記載のダンパプレートにおいて、前記2辺のそれぞれに、前記回転軸の中心を通り厚さ方向に直交するダンパプレートの中心断面に対して前記第1周壁リブと対称な形状を有する第2周壁リブが形成されることを特徴とする。
また、請求項4に係るダンパプレートは、請求項3記載のダンパプレートにおいて、前記2辺の各々における前記第1周壁リブは、前記中心断面に対してそれぞれ反対側に立ち上がると共に、前記第1周壁リブの外側面と当該中心断面とが鋭角を成すことを特徴とする。
【0011】
更に、請求項5に係るダンパプレートは、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のダンパプレートにおいて、前記2辺の各々に形成される前記第1周壁リブは前記ダンパプレートが前記通風路を閉鎖する位置にある時にいずれも通風方向に対向することを特徴とする。
【0012】
また請求項6に係るダンパプレートは、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダンパプレートにおいて、前記ダンパプレートの本体をなす板状部に、前記第1周壁リブに沿って薄肉部を設けることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係るダンパプレートは、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のダンパプレートにおいて、前記ダンパプレートは、前記回動軸とは反対側の1辺に被把持部を有し、前記第1周壁リブは、前記ダンパプレートの周縁部のうち前記回転軸と前記被把持部とを除く全周に形成されることを特徴とする。
請求項8に係るレジスタは、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のダンパプレートを装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係るダンパプレートの第1周壁リブは、ダンパプレートの周縁部をなす4辺のうち少なくとも回動軸方向に沿う2辺から立ち上がり帯状の外側面を有する。そしてダンパプレートが通風路を閉鎖する位置にあるとき、当該2辺の各々に形成される第1周壁リブの外側面が、それぞれ接近するリテーナの各内壁面に対して挟隙を介して平行となる。よって通風路閉鎖時には、リブの外側面とリテーナ内壁面の間には面状の隙間が形成される。この面状の隙間が通風路を流れる風にとって大きな抵抗となり、従来のダンパシールを装着した場合と同様の、風の流れを止める効果を得ることができる。よって、ダンパプレートにダンパシールを装着させたり、リテーナ内にリブ等を設けたりしなくても、通風路の閉鎖時にダンパをリテーナ内壁と当接させずに通風路の密閉性を確保できる。その結果、異音の発生やダンパがスムーズに回動しない問題を回避でき、且つ、ダンパ製造コストを大幅に低減できる。
また、第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、狭隙が0.1mm乃至0.9mmの範囲にあり、このような範囲に第1周壁リブの外側面の長さ及び狭隙を設定することにより、ダンパプレートによる通風路の閉鎖時に通風路内を通過する風の流れを止めて通風路の密封性を確保することができる。
【0015】
また、請求項2のダンパプレートでは、第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、狭隙が0.1mm乃至0.5mmの範囲にあるので、ダンパプレートによる通風路の閉鎖時に通風路内を通過する風の流れを更に有効に止めて通風路の密封性を更に容易に確保することができる。
また、請求項3のダンパプレートでは、回動軸方向に沿う2辺のそれぞれに、回転軸の中心を通り厚さ方向に直交するダンパプレートの中心断面に対して第1周壁リブと対称な形状を有する第2周壁リブが形成される。このようなダンパプレートは、例えば車両インパネの左右に、対称な形状の2つのレジスタを配する際に有効である。つまり、1枚のダンパプレートに第1周壁リブだけでなく第2周壁リブも形成しておけば、一方のレジスタの通風路閉鎖時には第1周壁リブにより通風路の密封性を維持すると共に、他方のレジスタには、同じダンパプレートを反転させて用いることで同様に通風路の密封性を維持できる。当該他方のレジスタでは、通風路の閉鎖時に第2周壁リブの外側面がリテーナの各内壁面と挟隙を介して平行となるためである。よって請求項2のダンパプレートでは、対称形状をした2つのレジスタの両方に1種類のダンパプレートを用いることができ、各レジスタに対応する2種類のダンパプレートを製造する必要がなく、金型製造コスト等を更に低減できる。
【0016】
また、請求項4のダンパプレートでは、回動軸方向に沿う2辺の各々における第1周壁リブは、前記中心断面に対してそれぞれ反対側に立ち上がると共に、第1周壁リブの外側面と当該中心断面とが鋭角を成すから、ダンパプレートがリテーナ各内壁面に対して直角とならずに傾斜する状態で通風路を閉鎖する場合であっても、ダンパプレートの回動を邪魔しないように第2周壁リブを形成できる。
【0017】
また、請求項5のダンパプレートでは、2辺の各々に形成される第1周壁リブはダンパプレートが通風路を閉鎖する位置にある時にいずれも通風方向に対向する。よって、第1周壁リブと各リテーナ内壁面との間に形成される平行狭隙部分の入口形状は、より通風路の空気が流れ込みにくい形状となるため、ダンパプレートによる通風路の密封性を更に効果的に高めることができる。
【0018】
また、請求項6のダンパプレートでは、ダンパプレートの本体をなす板状部に、第1周壁リブに沿って薄肉部を設ける。ここでまれに製品ばらつきによって、ダンパプレートを回動させて通風路を閉鎖する途中でリテーナ内壁とダンパプレートの周端部とが干渉してしまう。しかし請求項5のダンパプレートでは、その場合であっても薄肉部により衝撃が吸収されて、ダンパプレートを閉鎖状態まで回動できる。
【0019】
また、請求項7のダンパプレートでは、第1周壁リブは、ダンパプレートの周縁部のうち回転軸と被把持部を除く全周に形成される。よって、第1周壁リブの外側面はダンパプレートの回動軸を軸支する一対のリテーナ内壁面とも狭隙を介して対向し、通風路閉鎖時の密封性がより高まることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係るレジスタの正面図である。
【図2】第1実施形態に係るレジスタの分解斜視図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】通風路閉鎖時のレジスタを図1のA−A位置で切断した断面図である。
【図5】第1実施形態のダンパプレートの平面図である。
【図6A】第1実施形態のダンパプレートの斜視図である。
【図6B】別方向から見た第1実施形態のダンパプレートの斜視図である。
【図7A】第1実施形態のダンパプレートの一側面図である。
【図7B】第1実施形態のダンパプレートの他方の側面図である。
【図8】第1実施形態のダンパプレートの正面図である。一部を拡大して示す。
【図9A】図5のD−D断面図である。
【図9B】図5のE−E断面図である。
【図10】図1のB−B断面図である。
【図11】第1実施形態のレジスタの背面図である。
【図12】図1のC−C断面図である。
【図13】通風路閉鎖時のレジスタを図1のC−C位置で切断した断面図である。一部を拡大して示す。
【図14】第2実施形態のダンパプレートの平面図である。
【図15A】第2実施形態のダンパプレートの斜視図である。
【図15B】別方向から見た第2実施形態のダンパプレートの斜視図である。
【図16】図14のF−F断面図である。
【図17A】第2実施形態のダンパプレートの一側面図である。
【図17B】第2実施形態のダンパプレートの他方の側面図である。
【図18】第2実施形態のダンパプレートを装着する通風路開放時のレジスタを図1のC−C位置で切断した断面図である。
【図19】第2実施形態のダンパプレートを装着する通風路閉鎖時のレジスタを図1のC−C位置で切断した断面図である。一部を拡大して示す。
【図20】第3実施形態のダンパプレートの平面図である。
【図21A】図20のG−G断面図である。
【図21B】図20のH−H断面図である。
【図22A】第3実施形態のダンパプレートの一側面図である。
【図22B】第3実施形態のダンパプレートの他方の側面図である。
【図23】第3実施形態のダンパプレートを装着する通風路開放時のレジスタを図1のC−C位置で切断した断面図である。
【図24】第3実施形態のダンパプレートを装着する通風路閉鎖時のレジスタを図1のC−C位置で切断した断面図である。一部を拡大して示す。
【図25】第4実施形態のダンパプレートの斜視図である。
【図26】第4実施形態のダンパプレートを図5のD−D位置で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るダンパプレートについて、具体化した4つの実施形態に基づいて図1〜図26を参照しつつ詳細に説明する。
先に、図1〜図3に基づき、4つの実施形態のダンパプレートを装着可能なレジスタ1について概説する。図1の左をレジスタ1の左方向、図1の右をレジスタ1の右方向、図1の下をレジスタ1の下方向、図1の上をレジスタ1の上方向、図1の前方向をレジスタ1の前方向、図1の後をレジスタ1の後方向とそれぞれ呼ぶ。
レジスタ1は、これと左右対称なレジスタと一対となって車両のインストルメントパネルの左右対称な位置に配置される。
【0022】
図1〜図3のように、第1実施形態のレジスタ1は、レジスタ1の前面部を構成するベゼル2と、ベゼル2と嵌合して連結するダクト状のリテーナ13とを有する。
図1のように、正面視において、ベゼル2は長手方向に長く短手方向に短い形状であり、細長い二等辺三角形状をした吹出口3が開口している。
吹出口3には、その二等辺三角形の中心線に沿って1枚の前フィン5が軸支されている。その奥側には前フィン5の回動軸と略直交する回動軸によってそれぞれ軸支される奥フィン10が配列している。前フィン5は図1の上下方向、奥フィン10は図1の左右方向に風の向きを変化させる。図1では前フィン5も奥フィン10も吹出口3を全開させる回動状態にある。
また、吹出口3の左側には長方形のダイヤル孔4が穿設され、側面視円形状のダイヤル16が後方から嵌入する。操作者はダイヤル16のダイヤルノブ17を上下に操作することで後述の通風路40を開閉できる。
【0023】
図2のように、前フィン5はその両端部にそれぞれ立設される一対の回動軸が左側の軸受部6と右側の軸受部7とに回動可能に軸支される。また、前フィン5の略中央部分を挟みこむように操作ノブ8が前フィン5の長手方向に沿って上下方向に摺動可能に外嵌される。操作ノブ8は上部8A、下部8Bと金属部8C、内嵌合部8Dとからなる。これらが前フィン5に組み付けられると、下部8Bに形成されるラック状の歯部9が前フィン5の後部に配される。
【0024】
また複数枚の奥フィン10は、下側の回動軸が軸受部11に回動可能に軸支される。また上側の回動軸からそれぞれ後方に突起する突起部が連結板12に連結され、奥フィン10は連動して回動して一斉にその向きを変えることができる。また1枚の奥フィン10には扇形歯車10Aが前方に突出して嵌着されている。この扇形歯車10Aは、その前方に位置する前フィン5に設けられる上述の歯部9と噛合するように配設される。よって操作ノブ8を前フィン5に沿って左右方向に摺動操作することにより、連動して回動する奥フィン10の向きを一斉に変更出来る。
【0025】
またダクト状のリテーナ13はその内側に背面視略長方形(図11参照)の通風路40を形成すると共に、外壁部に係合部27を有し、これがベゼル2の係合孔2Aと係合してベゼル2とリテーナ13とが嵌着される。ベゼル2とリテーナ13とが嵌着されると吹出口3と通風路40が連通する。なお、前フィン5回動軸の軸受部6、7がリテーナ13の左右の嵌合部24A、24Bのそれぞれ内側に、また奥フィン10回動軸の軸受部11はリテーナ13の下側嵌合部11の内側に配置されると共に奥フィン10の上側の回動軸はリテーナ13の上側の孔部25Bに嵌入されている。そしてベゼル2がリテーナ13に嵌着されると、ベゼル2の左右内壁や上下の後端縁部とリテーナ13との間で軸受部6、7、11や奥フィン10の上側回動軸がしっかり固定される。
【0026】
また、レジスタ1は、リテーナ13の左右内側壁に回動可能に軸支される後述のダンパプレート30、上述のダイヤル16のほか、ダンパプレート30を把持する把持部材19を備える。ダイヤル16は側面視円形状であって、ダイヤルノブ17とは反対側の位置から軸部18が側方に突起している。後述のダンパプレート30は、長手方向の一端から回動軸31が外側に突出すると共に、長手方向の他端には被把持部32を有する。そして把持部材19は、ダンパプレート30の被把持部32が嵌挿される二股部21を有すると共に、長孔状の逃しガイド溝20を備える。
【0027】
ここでリテーナ13には、左側の外壁面にダイヤル軸14が突設されると共に、挿入孔15が穿設される。図3、図4のように、ダイヤル16はその中心孔16Aにリテーナ13のダイヤル軸14が挿入され、中心孔16A周縁のネジ部をナット29で締め付けることによりリテーナ13に回動可能に取り付けられる。そして、把持部材19の二股部21がリテーナ13の挿入孔15に挿入されてダンパプレート30の被把持部32を把持する。同時に把持部材19の逃しガイド溝20にダイヤル16の軸部18が挿入されて把持部材19とダイヤル16とを係合させる。
【0028】
図3に示すように、通風路40を開放する際にはダイヤルノブ17はダイヤル孔4の上端部に位置し、このときダイヤル16の軸部18は最も下方位置にある。図4に示すように、ユーザがダイヤルノブ17をダイヤル孔4の下端まで押し下げるとダイヤル16の軸部18はダイヤル軸14を中心に約50°時計回りに回動する。これにより把持部材19のアームが持ち上げられて約80°反時計回りに回動する。すると把持部材19に把持されるダンパプレート30も同じ角度反時計回りに回動する。
【0029】
続いて図5〜図9に基づいて第1実施形態のダンパプレート30の具体的構成を詳述する。図5〜図7のようにダンパプレート30は4つの角が丸味を帯びた略長方形をしている。このダンパプレート30の周端部全周のうち、回動軸31と被把持部32を除く部分が周壁リブ34で縁取られている。ダンパプレート30のうち回動軸31、被把持部32、周壁リブ34を除く中央部分は平坦な板状部36となっている。
【0030】
上述の回動軸31は略円柱状をしている。一方、被把持部32は図6B及び図7Aのように、ダンパプレート30の厚さ方向と直交して回動軸31の中心を通る中心断面(線35は当該中心断面が通る線を示し、以下中心線と呼ぶ)に対して対称な2段の凹状に形成される。内側の凹状32Bの底平面と外側の凹状32Aの底平面との間は、ダンパプレート30の短手方向では直角の壁で連続するが、長手方向では斜面により連続する。このような形状は、把持部材19における二股部21の内側形状と嵌り合う。二股部21の先端の鉤部21A(図2参照)は、外側の凹状32Aと板状部36との段差部分に係合して被把持部32にしっかり係合する。
【0031】
図6A〜図7Bに示すように周壁リブ34は、周壁リブ34A、34A、34B、34B(以下34A〜34Bと略記)からなる。一方の周壁リブ34Aはダンパプレート30の全周のうち回動軸31から被把持部32までの半周部分に形成されると共に他方の周壁リブ34Aは残りの半周部分に形成される。各周壁リブ34A、34Aは同形状であって中心線35に対してそれぞれ反対側に立ち上がっている。そして各半周部分において各周壁リブ34Bがそれぞれ中心線35に対して各周壁リブ34A、34Aと対称な形状に形成される。
【0032】
また、各周壁リブ34A〜34Bの外側面は図6及び図8のように短手方向の2辺に沿う部分では中心線35とほぼ直交するが、図6及び図9のように、長手方向の2辺に沿う部分ではリブ先端に向かうに連れダンパプレート30の中央に近づくように、同じ傾斜角度θ(例えば約80°)で傾斜している。当該長手方向の2辺に形成される周壁リブ34A、34Aの各外側面が中心線35となす角度θは通風路40の閉鎖状態においてダンパプレート30とリテーナ上下壁面13A、13Bが成す角度(図13参照)とほぼ等しく、これにより通風路40の閉鎖時において周壁リブ34A、34Aの外側面とリテーナ上下壁面13A、13Bとは平行となる。
【0033】
また、図8に明示されるように、各周壁リブ34A〜34Bの先端には三角形状の凹凸部33が形成され、これも中心線35に対して対称な形状となっている。
図6及び図8のように、各周壁リブ34A〜34Bの先端には、ダンパプレート30の長手2辺に沿って同形状の凹凸部33が沿って連続して設けられる。図9Aはダンパプレート30をこの凹凸部33の凹部の底部分で切断して各周壁リブ34A〜34Bの外側面の幅が最小となる側面図を示す。また図9Bはダンパプレート30を凹凸部33の凸部の先端位置で切断して各周壁リブ34A〜34Bの外側面の幅が最大幅r1となる側面図を示す。
【0034】
なお、図9A、図9Bに示すように、各周壁リブ34A〜34Bの内側面は板状部36の表面に対して略直角であり、ダンパプレート30の周端部は周壁リブ34が形成されて略T字状の断面をなす。図9A、図9Bのように、凹凸部33が形成される各周壁リブ34A〜34Bの先端面(以下凹凸面と呼ぶ)はリブの内側面と略直交する線により構成されている。
【0035】
続いて図10〜図13に基づいて、このダンパプレート30による通風路40の開閉について詳述する。
図10乃至図12は、ダンパプレート30が通風路40を開放する状態を示す。図10及び図12のように、通風路40はリテーナ上壁面13A、リテーナ下壁面13B(図12参照)とリテーナ右壁面13C、左壁面13Dに囲まれてなる。図10のように、ダンパプレート30はその回動軸31がリテーナ13の右壁面13Cの軸孔に回動可能に軸支されると共に、被把持部32がリテーナ13の左壁面13Dの挿入孔15に挿入される把持部材19の二股部21に把持されて回動可能に通風路40内に設けられている。またダンパプレート30の回動軸31は通風路40の通風方向と略直交する方向を向いている。ダンパプレート30周端部は短手2辺に沿う部分でも回動軸31と被把持部32を除く部分ではほとんどリテーナの左右壁面13C、13Dと当接せず、スムーズに回転する。
図11のように、この開放状態においてダンパプレート30の板状部36は水平に(図12のように通風方向と平行に)なると共にダンパプレート30の回動軸31は前フィン5の回動軸と水平な同一平面を成すように配置される。よって通風路40の通風の、ダンパプレート30による圧力損失は最小限に抑えられる。
【0036】
図12のように、通風路40を開放する位置におけるダンパプレート30は図3及び図4で説明したダイヤルノブ17の下方への回動操作により右側面視で時計回りに約80°回動する。すると図13のように下側の周壁リブ34Bがリテーナ下壁面13Bと狭隙r2を介して平行となる。同様に上側の周壁リブ34Aの外側面もリテーナ上壁面13Aと同じ狭隙r2を介して平行となっている。
【0037】
ここで上述のようにリテーナ周壁ノブ34A、34Aは中心線35に対して別々の方向に立ち上がり、また各周壁ノブ34A〜34Bの各外側面と中心線35との成す角度θは鋭角(実施形態では約80°)であるから、周壁ノブ34B、34Bはダンパプレート30が閉鎖位置まで回動してもリテーナ上下壁面13A、13Bと干渉しない。
【0038】
ここで図13に基づいて閉鎖時の周壁リブ34A、34Aの効果について述べる。上側の周壁リブ34Aとリテーナ上壁面13A、下側の周壁リブ34Bとリテーナ下壁面13Bとがそれぞれ狭隙r2を介して平行となると、上側の周壁リブ34Aとリテーナ上壁面13Aの間及び下側の周壁リブ34Aとリテーナ下壁面13Bとの間(以下各平行狭隙部分と呼ぶ)にそれぞれ狭隙r2の面状の隙間ができ、この面状の隙間が通風に対して大きな抵抗となり狭隙r2が存在するにも関わらず通風をシャットできるのである。具体的にそのメカニズムとして、一つはベルヌイの定理により説明される狭隙r2の値が小さいことによるシャット効果が挙げられる。すなわち流路が急に狭くなり静圧が下がると逆に動圧(流速)が非常に大きくなり、動圧に比例した圧力損失が発生し、また圧力損失は周壁リブ34Aの外側面の最大幅r1が大きい程大きくなると考えられるからである。もう一つのメカニズムとして挙げられるのが、周壁リブ34A、34Aの外側面及び周壁リブ34Aと対向するリテーナ上下壁面13A、13B表面に、それぞれ乱流の渦が生まれ、これにより各平行狭隙部分において空気流が通ることのできる部分の幅が狭隙r2よりも小さくなるというものである。
【0039】
このような乱流の渦はリテーナ上下壁面13A、13Bの表面やダンパプレート30の表面における空気の流速が0であることから各表面付近で空気の流れが剥離することにより起こり、剥離泡とも呼ばれる。流れの剥離の起こり易さは各平行狭隙部分の入口形状と関係するとされている。図13の例で言えば、上側の周壁リブ34Aの凹凸面と外側面とがなす角度は鈍角であるが直角に近いから上側の平行狭隙部分では流れの剥離が比較的起こり易いのに対して、下側の平行挟隙部分では周壁リブ34Bの外側面が周壁リブ34Aと通風方向の逆側で周壁リブ34Aの外側面と連続すると共に周壁リブ34Aに対して緩やかに傾斜しており流れの剥離は比較的起こりにくくなっている。しかし、このような事情にも関わらず、後に示す実施例では、断面T字状の周壁リブ34によって十分な通風シャット効果が得られることが示されている。
【0040】
なお上述のダンパプレート30の凹凸部33(図6、図8等参照)の効果について説明する。上述のようにダンパプレート30が図13のように通風路40を閉鎖する際に周壁リブ34A、34Aのシャット効果により各平行挟隙部分にはほとんど風が通らない。しかし一部風が通過した場合にその風は非常に流速が速いために高いエネルギーを有する2次元的な渦が発生し、これにより異音が発生しやすい。しかし、図13では上側の周壁リブ34Aの先端や下側の周壁リブ34Bの先端に形成される凹凸部33により、2次元的な渦に対し、当該渦糸と交差する3次元的な渦が発生されて2次元的な渦を抑制するから異音の発生を抑制できる。なお、ダンパプレート30の三角形状の凹凸部33では、例えば第4実施形態の凹凸部333のような四角形状のものよりも発生する3次元的な渦が複雑となり、その分2次元的な渦を抑制する効果は高いものとなる。
【0041】
また、周壁リブ34B、34Bによる効果について説明する。上述のように周壁リブ34B、34Bは中央線35に対して周壁リブ34A、34Aと対称な形状に形成されているから、レジスタ1と左右対称なレジスタ(図1と左右対称に、ダイヤル16が右側にあるレジスタ)にダンパプレート30を反転して装着することが可能である。すると、当該レジスタにおいてダイヤル16を下方に押し下げると周壁リブ34B、34Bがリテーナ上下壁面13A、13Bとそれぞれ狭隙r2を介して平行となるため、レジスタ1における周壁リブ34A、34Aの作用と同様に、通風路の密封性を維持できる。
【0042】
続いて図14〜図19に基づいて、第2実施形態のダンパプレート130について説明する。以下、第2〜第4実施形態において第1実施形態と同一又は相等する構成は、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
第2実施形態のダンパプレート130は第1実施形態のダンパプレート30と周壁リブの構成が異なる。図14〜図16のように第2実施形態の周壁リブ134は、ダンパプレート130の周端部のうち回動軸31と被把持部32を除く全周部分において回動軸31の中心を通りダンパプレートの厚さ方向と直交する中央断面(図16の中心線135参照)に対して同じ側に突起している。ダンパプレート130のうち回動軸31、被把持部32及び周壁リブ134を除く板状部136は、その中央部分が周壁リブ134の先端側に突出する形状をしているが、これは周壁リブ134の形状によるダンパプレート130の重心の偏りを是正するためである。
【0043】
図14、図15等のように、周壁リブ134は回動軸31から被把持部32までの半周に沿う周壁リブ134Cと、残りの半周に沿う周壁リブ134Dとからなる。各周壁リブ134C、134Dの外側面は、ダンパプレート130の短手2辺に沿う部分では板状部136表面と略直交している。しかし図16に示すようにダンパプレート130の長手辺に沿う部分において、周壁リブ134Dの外側面と板状部136とは鋭角θを成すと共に周壁リブ134Cの外側面と板状部136とは鋭角θの補角となる鈍角をなす。θは通風路40を閉鎖する位置にあるダンパプレート130の板状部136がリテーナ上壁面13A及びリテーナ下壁面13Bとそれぞれなす鋭角(実施形態では約80°)と略等しい(図19参照)。
【0044】
図15A、15B及び図16のように、周壁リブ134C、134Dの先端は側断面視で鋭角をなす。図15A、図15Bのように第2実施形態では、周壁リブ134C、134Dに所定間隔で四角形の切り欠き部133を設けることによって周壁リブ134C、134Dの先端を凹凸形状として異音対策をしている。この切り欠き部133はダンパプレート130の周端部の長手2辺に沿って設けられる。
【0045】
また、図16のように各周壁リブ134C、134Dの外側面は同じ幅r101を有すると共に、それぞれ先端が鋭角の側断面視三角形をしている。
図16、図17のように周壁リブ134はダンパプレート130の一方のみに立ち上がるため幅r101は第1実施形態よりも大きく設計しやすい。(図16では板状部136の厚みの2倍程度となっている。)
【0046】
図18、図19に基づき第2実施形態のダンパプレート130による通風路40の開閉を説明する。第2実施形態のレジスタ101は第1実施形態のレジスタ1のダンパプレート30をダンパプレート130に置き換えたものである。
第1実施形態と同様、図18のように通風方向に平行なダンパプレート130は、ダイヤルノブ17を下方に押し下げることによって右側面視時計回りに(実施形態では約80°)回動し、図19のように通風路40を閉鎖する位置に来る。この時、周壁リブ134Dの外側面は狭隙r102を介してリテーナ上壁面13Aと平行となると同時に、周壁リブ134Cの外側面は狭隙r102を介してリテーナ上壁面13Bと平行となり、それぞれの平行狭隙部分に面状の隙間が形成される。
【0047】
ここで、周壁リブ134C、134Dの各先端はいずれも通風に対して対向方向を向く。よって通風路40の空気は各平行狭隙部分に入りこむ際に、周壁リブ134C、134D先端の表面に当たることにより流れの剥離を起こしやすく、各平行狭隙部分を空気流が通りにくくなる。特に周壁リブ134C、134Dの先端のうち、切り欠き部133のない部分は鋭角に形成されているから、当該鋭角部分の表面では更に流れの剥離は起こり易い。
【0048】
続いて、図20〜図24に基づいて第3実施形態のダンパプレート230について述べる。図20〜図22のように、第3実施形態のダンパプレート230において周端部の各半周部分にそれぞれ沿う各周壁リブ234E、234Fはダンパプレート230の厚さ方向に直交する中央断面(図21の中心線235参照)に対してそれぞれ反対側に突出する。各周壁リブ234E、234Fの各外側面が平坦な板状部236となす角度θはいずれも通風路40閉鎖時にダンパプレート230がリテーナ上壁面13A及び下壁面13Bと成す鋭角に等しい。よって第3実施形態のダンパプレート230は、第1実施形態のダンパプレート30から周壁リブ34B、34Bを取り去った変形例とも言える。
【0049】
各周壁リブ234E、234Fの先端には第1実施形態の各周壁リブと同様の三角形状の凹凸部33が形成されている。図21Aはダンパプレート230を凹凸部33の底部分で切断した側断面図であり、各周壁リブ234E、234Fの外側面の最短幅が示される。図21Bは凹凸部33の三角状の凸部で切断した側断面図であり、各周壁リブ234E、234Fの外側面の最大幅r201が示される。
図21、図22のように、第3実施形態では各周壁リブ234E、234Fの外側面は板状部236表面まで延びているから外側面の最大幅r201はその分大きく設計できる。
【0050】
図23、図24に基づいて第3実施形態のダンパプレート230による通風路40の開閉について述べる。第3実施形態のレジスタ201は第1実施形態のレジスタ1のダンパプレート30を第3実施形態のダンパプレート230に置き換えたものである。図23に示すように通風路40の通風方向に対して平行なダンパプレート230は、ダイヤルノブ17が下方に引き下げられると(図1参照)、右側面視時計回りに約80°回動し図24の状態となる。そして上側の周壁リブ234Eとリテーナ上壁面13A及び、下側の周壁リブ234Fとリテーナ下壁面13Bとが狭隙r202を介してそれぞれ平行となり、それぞれの平行狭隙部分に面状の隙間が形成される。
【0051】
図24のように、通風方向に対向する上側の周壁リブ234Eでは外側面が凹凸面と成す角度は直角に近いから上側の平行狭隙部分では比較的流れの剥離は起こり易く、空気流がより通りにくい。また、下側の平行狭隙部分でも周壁リブ234Fの外側面と板状部36表面とは丸みのない鋭角をなすから流れの剥離が起こり易く、空気流がより通りにくい。
【0052】
なお、凹凸部33を有する周壁リブ234Fの先端は通風方向を向いているため、下側の平行狭隙部分では異音が起こり易い。この対策として閉鎖位置において通風に対向する板状部236下端縁に凹凸形状を連続して設けてもよい。
【0053】
続いて、第4実施形態のダンパプレート330について図25及び図26に基づいて説明する。ダンパプレート330は、第1実施形態のダンパプレート30とほぼ同じ構成を有するが板状部336に薄肉部350、350が形成される点が異なる。薄肉部350、350はダンパプレート330の長手方向に沿う長い帯状であり、回動軸31・被把持部32と長手2辺の周端部との間に2箇所設けられる。図25では各周壁リブ334A〜334Bは薄肉部350と接する部分には形成されていない。図26のように、薄肉部350の厚さwは中央部分の板状部336の厚さの2分の1以下となっており、ダンパプレート330に十分な可撓性を与える。
【0054】
このようなダンパプレート330を第1実施形態のダンパプレート30の替わりにレジスタ1に装着すると、以下の効果が得られる。つまりダンパプレート330では周端部に各周壁リブ334A〜334Bを設けたために、製品ばらつきによっては通風路40の開放状態から閉鎖状態まで回動する間にダンパプレート330の周端部(例えば周壁リブ334Aの先端)がリテーナ上下壁面13A、13Bに当接してしまう場合が想定される。このような製品ばらつきは、例えばレジスタ1の製造時における熱収縮等によるものが考えられる。しかし薄肉部350の存在により、通風路40の閉鎖直前にダンパプレート330の周端部とリテーナ上下壁面51A、51Bとが干渉した場合もダンパプレート330が撓むことによって、ダンパプレート330を閉鎖状態まで回動させることができる。
【実施例】
【0055】
本発明について、以下の実施例を用いて更に検討する。なお、本発明は、この実施例に限定されるものでは決してない。
【0056】
下記の実験は、第1実施形態のダンパプレート30を装着したレジスタ1を用いて行った。各周壁リブ34A〜34B外側面の最大幅r1の値と、通風路40閉鎖時における平行挟隙部分の狭隙r2の値とを様々に変更させ、各場合において通風路40閉鎖時に十分な密封性が得られるか実験した。
最大幅r1は1〜10mmの範囲で1mm刻みに10段階、狭隙r2は0〜1mmの範囲で0.1mm刻みに11段階の値をとり、r1値とr2値の組合せ全110通りを調べた。
【0057】
以下、実験系を概説する。本実施例の実験系ではチャンバ(大きさ約1.5m×約1.5m×約1.5mの立方体状)の一の側面に円筒管(長さ30cm程度)の一端が接続され他端にブロワが接続されている。この円筒管の途中に超音波式流量計が配置される。チャンバにおいて円筒管を配した側面と反対側の側面には、20cm×20cmの正方形の吹出孔が開いており、この正方形の吹出孔に、四角錐状のノズルの基端部(当該吹出孔と略同形)が接続される。当該ノズルの先端は、レジスタ1のリテーナ13後端縁部と同形の略長方形に形成されており、当該リテーナ13の後端縁部に接続される。このようにブロワからの送風をレジスタ1の通風路40に流入させる前にチャンバを介するのはブロワの送風に対する外部変化の影響を排除するためである。ブロワから送風された空気のエネルギーがチャンバ内で動圧から静圧に変化することで、吹出孔からノズルには風速のバラツキの少ない風が流入することになる。
【0058】
レジスタ1では図12のようにダンパプレート30を通風方向と平行にして通風路40を開放させる。この状態でブロワから送風を行い、所定時間経過後に超音波流量計で送風量が一定となったことを確認する(流量A)。続いて、ダイヤルノブ17を操作してダンパプレート30を閉鎖し、図13の状態としてから、このときの流量Bを計測する。そして、流量Bが流量Aの10%未満ならば密封性は十分(表1の○)とし、10%以上ならば密封性は不十分(表1の×)とする。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に実験結果を示す。表1で○となる数値範囲であれば、通風路40の密封性が確保されることが確認された。
表1のように、ダンパプレート30における各周壁リブ34A〜34Bの最大幅r1が大きいほど、通風路40をシャットする効果は大きく、狭隙r2がある程度大きくても通風路40閉鎖時の密封性を確保できることが分かった。
一方で、通風路40の開放時に周壁リブ34A、34Bは通風方向に対向するため(図11参照)、r1の値が大きいほど、周壁リブ34による通風路40開放時の圧力損失が大きくなる。また、r1の値があまりに大きいとダンパプレート30と他の部材との干渉が起き易い。以上より、r1の値を一定程度小さくできるr2の範囲が好ましいことになる。
【0061】
表1より、狭隙r2が1mm以上の場合はr1が1〜10mmの範囲では通風路40閉鎖時の密封性を確保できないのに対し、0.9mm以下の場合、各周壁リブ34A〜34Bの外側面の長さr1は10mm以上であれば確実に密封性を確保でき、好ましい。更に0.7mm以下の場合、r1は6mm以上であれば、確実に密封性を確保でき、より好ましい。更に、r2が0.3mm以下の場合、r1が2mm以上であれば、確実に密封性を確保でき、最も好ましい。なお、例えば表1でr2が0.2mmでr1が1mmの場合に○が付くような場合があるため、仮にr2を0.3mm以下と設定した場合に必ずしもr2を2mm以上と設定しなければならないわけではない。
【0062】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態(又は第2、第3、第4実施形態)では、ダンパプレート30(又は130、230、330)が通風路40を閉鎖する位置にあるとき、回動軸31方向に沿う2辺の各々に形成される上側の周壁リブ34A(又は周壁リブ134D、周壁リブ234E)の外側面がリテーナ上壁面13Aと挟隙を介して平行になると共に、下側の周壁リブ34B(又は周壁リブ134C、周壁リブ234F)の外側面がリテーナ下壁面13Bと狭隙を介して平行となり、それぞれ面状の隙間を形成する。この面状の隙間が通風路40を流れる風にとって大きな抵抗となり、従来のダンパシールを装着した場合と同様の、風の流れを止める効果を得ることができる。よって、ダンパプレート30(又は130、230、330)にダンパシールを装着させたり、リテーナ13内にリブ等を設けなくても、通風路40の閉鎖時にダンパをリテーナ13内壁と当接させずに通風路40の密閉性を確保できる。その結果、異音の発生やダンパがスムーズに回動しない問題を回避でき、且つ、ダンパ製造コストを大幅に低減できる。
【0063】
また、第1実施形態のダンパプレート30では、回動軸31の立設方向に沿う2辺のそれぞれに、回動軸31の中心を通り厚さ方向に直交するダンパプレートの中心断面(中心線35)に対して周壁リブ34A、34Aと対称な形状を有する周壁リブ34B、34Bが形成される。よってダンパプレート30を反転させてレジスタ1と対称形状のレジスタに装着すると周壁リブ34B、34Bの作用によりレジスタ1と同様に通風路40の密封性を維持できる。よって第1実施形態のダンパプレート30では、対称形状をした2つのレジスタの両方に1種類のダンパプレート30を用いることができ、金型等の製造コストを更に低減できる。
【0064】
また第1実施形態のダンパプレート30では、回動軸31方向に沿う2辺の各々における周壁リブ34A、34Aは、中央断面(中心線35)に対してそれぞれ反対側に立ち上がると共に、周壁リブ34Aの外側面と中央断面(中心線35)とが鋭角を成す。よって周壁リブ34Aと対称な周壁リブ34B、34Bも中央断面に対してそれぞれ反対側に立ち上がると共に外側面が中央断面と鋭角をなすように形成されるから、ダンパプレート30がリテーナ13の上壁面13A及び下壁面13Bに対して傾斜した状態で通風路40を閉鎖しても、ダンパプレート30の回動を邪魔しないように周壁リブ34B、34Bを形成できる。
【0065】
また第2実施形態のダンパプレート130では、回動軸方向に沿う2辺の各々に形成される周壁リブ134C、134Dはダンパプレート130が通風路を閉鎖する位置にある時にいずれも通風方向に対向する。よって、周壁リブ134C、134Dとリテーナ13の上壁面13A、下壁面13Bとの間に形成される平行狭隙部分の入口形状は、より通風路40の空気が流れ込みにくい形状となるため、ダンパプレート130による通風路40の密封性を更に効果的に高めることができる。
【0066】
また第4実施形態では、ダンパプレート330の板状部336に、周壁リブ34A、34Aに沿って薄肉部350を設ける。よってダンパプレート330を回動させて通風路40を閉鎖する途中でリテーナ13内壁とダンパプレート330の周端部とが干渉してしまう場合であっても薄肉部350により衝撃が吸収されて、ダンパプレート330を閉鎖状態まで回動できる。
【0067】
また第1実施形態(又は第2、第3実施形態)では、周壁リブ34A、34A(又は周壁リブ134C、134D、周壁リブ234E、234F)は、ダンパプレート30(又は130、230)の周縁部のうち回動軸31と被把持部32を除く全周に形成される。よって、周壁リブ34A、34Aの外側面はダンパプレート30(又は130、230)の回動軸31を軸支するリテーナ左右壁面13C、13Dとも狭隙を介して対向し、通風路40閉鎖時の密封性がより高まることになる。
【0068】
尚、本発明は前記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、第4実施形態の薄肉部350を第2、第3実施形態のダンパプレートに形成してもよいことは当然である。また第2実施形態の周壁リブの切り欠き部133の替わりに第1実施形態のような周壁リブ先端に連続する三角形状の凹凸部33を設けてもよい。その際、凹凸部のうち凸部部分で周壁リブ先端が鋭角となるように形成すると、より効果的である。
【0069】
各実施形態ではダンパプレートは前傾状に通風路を閉鎖したが、本発明ではこれに限られず、ダイヤル等の設計によって後傾状に通風路を閉鎖するものも含まれる。また平行状態から約90°回動して通風路と直交した状態で閉鎖するものも当然含まれ、その場合各周壁リブ外側面と板状部となす角度θは約90°となる。
【0070】
また各実施形態の通風路閉鎖時において2つの平行狭隙部分の幅は同じ値となっていたが、必ずしも同じ値でなく多少の変動幅は許容されることは言うまでもない。
【0071】
また、第3実施形態では、各周壁リブ234E、234Fは、外側面と板状部表面とがなす角度が同角度の鋭角となるが、同角度の鈍角となるように設計されるものも当然本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 レジスタ
13 リテーナ
13A リテーナ上壁
13B リテーナ下壁
34A、34A、34B、34B、134C、134D、234E、234F 周壁リブ
30、130、230、330 ダンパプレート
31 回動軸
32 被把持部
35、135、235 中心線
40 通風路
36、136、236、336 板状部
350 薄肉部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両空調用レジスタのリテーナ内部に形成される通風路に回動可能に装入されると共に、周縁部をなす4辺のうち回動軸方向に沿う2辺が、リテーナの互いに向き合う一対の内壁面に接近して通風路を閉鎖するダンパプレートにおいて、
前記周縁部のうち少なくとも前記2辺から立ち上がり帯状の外側面を有する第1周壁リブを有し、
前記ダンパプレートが前記通風路を閉鎖する位置にあるとき、前記2辺の各々に形成される前記第1周壁リブの外側面が、それぞれ接近する前記リテーナの各内壁面に対して挟隙を介して平行となり、
前記第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、前記狭隙が0.1mm乃至0.9mmの範囲にあることを特徴とするダンパプレート。
【請求項2】
前記第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、前記狭隙が0.1mm乃至0.5mmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のダンパプレート。
【請求項3】
前記2辺のそれぞれに、前記回転軸の中心を通り厚さ方向に直交するダンパプレートの中心断面に対して前記第1周壁リブと対称な形状を有する第2周壁リブが形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダンパプレート。
【請求項4】
前記2辺の各々における前記第1周壁リブは、前記中心断面に対してそれぞれ反対側に立ち上がると共に、前記第1周壁リブの外側面と当該中心断面とが鋭角を成すことを特徴とする請求項3に記載のダンパプレート。
【請求項5】
前記2辺の各々に形成される前記第1周壁リブは前記ダンパプレートが前記通風路を閉鎖する位置にある時にいずれも通風方向に対向することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のダンパプレート。
【請求項6】
前記ダンパプレートの本体をなす板状部に、前記第1周壁リブに沿って薄肉部を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダンパプレート。
【請求項7】
前記ダンパプレートは、前記回動軸とは反対側の1辺に被把持部を有し、
前記第1周壁リブは、前記ダンパプレートの周縁部のうち前記回転軸と前記被把持部とを除く全周に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のダンパプレート。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のダンパプレートを装着する車両空調用のレジスタ。
【請求項1】
車両空調用レジスタのリテーナ内部に形成される通風路に回動可能に装入されると共に、周縁部をなす4辺のうち回動軸方向に沿う2辺が、リテーナの互いに向き合う一対の内壁面に接近して通風路を閉鎖するダンパプレートにおいて、
前記周縁部のうち少なくとも前記2辺から立ち上がり帯状の外側面を有する第1周壁リブを有し、
前記ダンパプレートが前記通風路を閉鎖する位置にあるとき、前記2辺の各々に形成される前記第1周壁リブの外側面が、それぞれ接近する前記リテーナの各内壁面に対して挟隙を介して平行となり、
前記第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、前記狭隙が0.1mm乃至0.9mmの範囲にあることを特徴とするダンパプレート。
【請求項2】
前記第1周壁リブの外側面の長さが1mm乃至10mmの範囲にあり、前記狭隙が0.1mm乃至0.5mmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のダンパプレート。
【請求項3】
前記2辺のそれぞれに、前記回転軸の中心を通り厚さ方向に直交するダンパプレートの中心断面に対して前記第1周壁リブと対称な形状を有する第2周壁リブが形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダンパプレート。
【請求項4】
前記2辺の各々における前記第1周壁リブは、前記中心断面に対してそれぞれ反対側に立ち上がると共に、前記第1周壁リブの外側面と当該中心断面とが鋭角を成すことを特徴とする請求項3に記載のダンパプレート。
【請求項5】
前記2辺の各々に形成される前記第1周壁リブは前記ダンパプレートが前記通風路を閉鎖する位置にある時にいずれも通風方向に対向することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のダンパプレート。
【請求項6】
前記ダンパプレートの本体をなす板状部に、前記第1周壁リブに沿って薄肉部を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダンパプレート。
【請求項7】
前記ダンパプレートは、前記回動軸とは反対側の1辺に被把持部を有し、
前記第1周壁リブは、前記ダンパプレートの周縁部のうち前記回転軸と前記被把持部とを除く全周に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のダンパプレート。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のダンパプレートを装着する車両空調用のレジスタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−39924(P2013−39924A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−262827(P2012−262827)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2011−507741(P2011−507741)の分割
【原出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(308016242)豊和化成株式会社 (65)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2011−507741(P2011−507741)の分割
【原出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(308016242)豊和化成株式会社 (65)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]