説明

チアゾリル−およびオキサゾリル−イソキノリノン、ならびにそれらの使用方法



本発明は、例えば、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の修飾因子として作用する置換されたチアゾリル−およびオキサゾリル−イソキノリノンに関する。本発明は、置換されたチアゾリル−およびオキサゾリル−イソキノリノンの調製のための方法、ならびに様々な疾患および障害を治療する際のそれらの使用にも関する。該化合物は、例えば被験体におけるニューロン細胞死を阻害するために、PARP阻害剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の修飾因子として作用する置換されたチアゾリル−およびオキサゾリル−イソキノリノンに関する。本発明は、置換されたチアゾリル−およびオキサゾリル−イソキノリノンの調製のための方法、ならびに様々な疾患および障害を治療する際におけるそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
酵素のポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)系統群は、DNAの損傷に応答していくつかの核タンパク質の翻訳後修飾を触媒する。PARPの活性化は、傷ついたDNAを修復する細胞の能力に関与しているが、様々な心血管系および炎症性の疾患の病変形成においても役割を果たしている。PARP酵素の系統群には、PARP−1、PARP−2、PARP−3、タンキラーゼおよびVPARPと呼ばれる少なくとも5つのメンバーが含まれる。
【0003】
DNA修復ならびに様々な心血管系および炎症性の疾患の病変形成におけるPARPの役割のため、多くのPARP阻害剤が現在臨床的に開発されているか、またはすでに、慢性および急性の神経性および心血管系の状態ならびに癌を含めて、様々な疾患および状態の治療のための臨床試験中である。(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Pharmacological Research、52巻、2005年7月1日発行、109〜118頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PARPの活性を阻害することができる強力な化合物に対する要求が存在する。本発明は、この要求および他の要求に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特定の置換されたチアゾリル−およびオキサゾリル−イソキノリノン、ならびに例えば医学的治療におけるそれらの使用を対象とする。一態様において、本発明は、PARPの修飾因子として作用する置換されたチアゾリル−およびオキサゾリル−イソキノリノンに関する。該化合物は、例えば被験体におけるニューロン細胞死を阻害するために、PARP阻害剤として使用することができる。該化合物は、例えば、虚血および再灌流による損傷、変性疾患、多発性炎症性疾患を含めた炎症、癌を含めた腫瘍疾患、ならびに心筋梗塞およびアテローム性動脈硬化症を含めた心血管機能障害を含めて、疾患および障害を治療するために使用することができる。
【0007】
特定の態様において、本発明は、式I
【0008】
【化1】

(式中、
Xは、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yは、OまたはSであり、
、R、RおよびRは、水素、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、CN、C〜Cペルフルオロアルキル、COH、OR、COORまたはNHRから独立して選択され、
およびRはそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、ここで、上記アルキル、アルケニルならびにシクロアルキル基、フェニル基およびベンジル基の環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから独立して選択される1個または複数(例えば1個から3個、1個から2個、または1個)の基で場合によって置換されており、あるいは
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから独立して選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式(monocylic)または二環式の複素環を形成し、
は、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cシクロアルキルであり、ここで、上記アルキル、アルケニルおよびシクロアルキルの環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから独立して選択される1個または複数(例えば1個から3個、1個から2個、または1個)の基で場合によって置換されている)
の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の形態を対象とする。
【0009】
他の実施形態において、本発明は、本発明の少なくとも1種の化合物および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む組成物に関する。
【0010】
また他の実施形態において、本発明は、虚血および/または再灌流による組織損傷を有する患者を治療するための方法;例えば、脳卒中、大脳または脊髄の外傷、てんかん発症、心停止および/または遷延性低血圧、呼吸停止、一酸化炭素もしくはシアン化物中毒、溺死または水頭症の状況から起こる状態による大脳損傷を含めて、虚血および/または再灌流による組織損傷に関連する疾患を治療するための方法;例えば、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、黄斑変性症および網膜虚血を含めて、中枢神経系の変性疾患を治療するための方法;例えば、筋ジストロフィーを含めて、筋肉の変性疾患を治療するための方法;例えば、骨粗鬆症を含めて、骨の変性疾患を治療するための方法;例えば、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、および老化中に見られる免疫系の疾患を含めて、血管系の変性疾患を治療するための方法;例えば、多発性硬化症および他の脱髄疾患、ギランバレー症候群、三叉神経および/または他の脳神経の神経痛、末梢神経障害および他の慢性疼痛、骨関節炎、例えばクローン病、潰瘍性大腸炎および大腸炎の他の形態を含めた腸の炎症性疾患を含めて、炎症性疾患を治療するための方法;および、例えば、白血病、原発性またはAIDSに関連する肉腫、乳癌、難治性固形腫瘍、リンパ系腫瘍、脳腫瘍およびp53欠損腫瘍を含めて、癌の様々な形態の治療のための方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、とりわけ置換されたチアゾリル−およびオキサゾリル−イソキノリノン、ならびにPARPの修飾因子としてのそれらの使用を対象とする。該化合物は、PARPを阻害するために使用することができる。該化合物は、ニューロン細胞死に関連するものを含めて、様々な疾患および障害を治療するための医学的治療において使用することもできる。
【0012】
以下の定義は、本明細書において使用される用語を十分に理解するために提供される。
【0013】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、単独で使用されても別の基の一部として使用されても、1個から12個の炭素原子、好ましくは1個から8個の炭素原子、より好ましくは1個から6個の炭素原子、およびより好ましくは1個から4個もしくは1個から3個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素鎖を指す。「アルキル」という用語は、直鎖および分枝鎖を含める。アルキル基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオ−ペンチル基、n−ヘキシル基およびイソヘキシル基が挙げられる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、一般式−(CH−を有する二価アルキル基(式中、nは1から10である)、ならびにこの範囲の全ての組合せおよび下位組合せを指す。アルキレン基は、直鎖、分枝または環式であってよい。非限定的な例として、メチレン、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン(−(CH−)、トリメチレン、ペンタメチレンおよびヘキサメチレンが挙げられる。好ましいアルキレン基は、1個から約3個の炭素を有する。
【0015】
「ペルフルオロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、1個から8個の炭素原子、好ましくは1個から3個の炭素原子の直鎖または分枝の脂肪族炭化水素鎖を指し、ここで、全ての水素は、フッ素で置き換えられている(例えばCF)。
【0016】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、1個から3個の二重結合を含有する、2個から12個の炭素原子を有する脂肪族直鎖または分枝炭化水素鎖を指す。アルケニル基の例として、これらに限定されないが、ビニル、プロパ−1−エニル、アルキル、ブタ−1−エニル、ブタ−2−エニル、ブタ−3−エニル、3,3−ジメチルブタ−1−エニルまたは2−メチルビニルが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「アルケニレン」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有するアルキレン基を指す。例示的なアルケニレン基として、例えば、エテニレン(−CH=CH−)およびプロペニレン(−CH=CHCH−)が挙げられる。好ましいアルケニレン基は、2個から約3個の炭素を有する。
【0018】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、1個から3個の三重結合を含有する、2個から9個の炭素原子を有する脂肪族直鎖または分枝炭化水素鎖を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「アルキニレン」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有するアルキレン基を指す。例示的なアルキニレン基として、例えば、アセチレン(−C≡C−)、プロパルギル(−CHC≡C−)および4−ペンチニル(−CHCHCHC≡CH−)が挙げられる。好ましいアルキニレン基は、2個から約3個の炭素を有する。
【0020】
「複素環」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素環原子、および窒素、酸素または硫黄から独立して選択される1個から4個の環ヘテロ原子を含有する、3員から12員およびより好ましくは5員から7員の飽和、部分的不飽和または不飽和の単環式または二環式環系を指す。窒素および硫黄のヘテロ原子は、場合によって酸化されていてよい。複素環として、例えば、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンおよびアゼチジンなど、3員から12員の飽和単環式環が挙げられる。
【0021】
「シアノ」という用語は、本明細書で使用される場合、−CN基を指す。
【0022】
「アミノ」という用語は、本明細書で使用される場合、−NH基を指す。
【0023】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、本明細書で使用される場合、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素を指す。
【0024】
本発明の化合物は、溶媒和、特に水和することもできる。水和は、例えば該化合物もしくは該化合物を含む組成物の製造中に起こり得るか、または該水和は、該化合物の吸湿性の性質により時間をかけて起こり得る。当業者は、「式Iの化合物」という成句が、本明細書で使用される場合、式Iの溶媒和化合物を含めることを意味していると理解されよう。
【0025】
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、患者に投与されると、患っているまたは患うと疑わしい患者の状態を少なくとも部分的に治療するのに有効である、本発明の化合物の量を指す。
【0026】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、一般に安全な、無毒性のおよび望ましい医薬組成物の調製において有用である賦形剤を意味し、獣医的使用ならびにヒト医薬的使用に許容できる賦形剤が挙げられる。こうした賦形剤は、固体、液体、半固体、またはエアゾール組成物の場合、気体であってよい。
【0027】
「薬学的に許容される塩」は、医薬として許容でき、所望の薬理学的特性を有する塩を指す。こうした塩として、例えば、該化合物中に存在する酸性プロトンが無機塩基または有機塩基と反応できるように形成され得る塩が挙げられる。適切な無機塩として、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばナトリウムおよびカリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアルミニウムを用いて形成されるものが挙げられる。適切な有機塩として、例えば、アミン塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミンおよびN−メチルグルカミンなどの有機塩基を用いて形成されるものが挙げられる。薬学的に許容される塩として、アルカン−およびアレーン−スルホン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、および同様に公知の許容できる有機酸および無機酸)を含めた無機酸および有機酸との親化合物のアミン部分の反応から形成される酸付加塩も挙げることができる。
【0028】
「阻害剤」「活性化因子」および「修飾因子」という用語は、発現または活性に関連して使用される場合、それぞれ阻害分子、活性化分子または修飾分子を指す。本発明の阻害剤として、PARPの発現を阻害またはPARPに結合し、PARPの刺激を部分的または完全に遮断し、PARPの活性化を減少し、阻止し、遅延し、PARPの活性を不活性化し、脱感作し、または下方制御する化合物または組成物が挙げられる。PARPを含む試料またはアッセイは、本発明の組成物で処理し、本発明の組成物を用いない対照試料と比較することができる。対照試料(本発明の組成物で処理していない)は、相対活性値を100%とすることができる。特定の実施形態において、PARPの阻害は、対照に対する活性値が約80%以下の場合に達成される。
【0029】
「薬学的に許容される」、「生理学的に忍容性のある」という用語およびそれらの文法的変化形は、それらが組成物、担体、希釈剤および試薬を指す場合相互に用いられ、該化合物の投与を妨げる程度である吐き気、眩暈および胃の不調など望ましくない生理的効果の発生なく該物質をヒトにまたはヒト上に投与できることを表す。
【0030】
記載のない限り、「被験体」または「患者」という用語は、相互に使用され、ヒト患者および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラットおよびマウスなどの実験動物、および他の動物を指す。すなわち、「被験体」または「患者」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明の化合物を投与することができる任意の哺乳動物の患者または被験体を意味する。本発明の例示的な実施形態において、本発明の方法によって治療するための対象患者を同定するため、認められたスクリーニング方法を用いることによって、標的とされるもしくは疑わしい疾患または状態に関連する危険因子を決定し、または被験体における現存の疾患もしくは状態の状況を決定する。これらのスクリーニング方法として、例えば、標的とされるまたは疑わしい疾患または状態に関連する恐れがある危険因子を決定するための従来の精密検査が挙げられる。これらおよび他の通例の方法は、臨床医が、本発明の方法および製剤を使用する治療を必要としている患者を選択するのを可能にする。
【0031】
「投与する(administer)」「投与する(administering)」または「投与」という用語は、本明細書で使用される場合、化合物または組成物を患者に直接投与すること、または患者の身体内で活性化合物または活性物質の当量を形成する該化合物のプロドラッグ誘導体または類似体を該患者に投与することのいずれかを指す。
【0032】
「治療する(treat)」および「治療する(treating)」という用語は、本明細書で使用される場合、患者が患うと疑わしい状態を部分的または完全に軽減すること、阻害すること、予防すること、寛解させることおよび/または緩和することを指す。
【0033】
「患う(suffer)」および「患う(suffering)」という用語は、本明細書で使用される場合、患者が診断された、または患者が有すると疑わしい1つまたは複数の状態を指す。
【0034】
特定の態様において、本発明は、式I
【0035】
【化2】

(式中、
Xは、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yは、OまたはSであり、
、R、RおよびRは、水素、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、CN、C〜Cペルフルオロアルキル、COH、OR、COORまたはNHRから独立して選択され、
およびRはそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、ここで、上記アルキル、アルケニルならびにシクロアルキル基、フェニル基およびベンジル基の環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから独立して選択される1個または複数(例えば1個から3個、1個から2個、または1個)の基で場合によって置換されており、あるいは
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから独立して選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式または二環式の複素環を形成し、
は、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cシクロアルキルであり、ここで、上記アルキル、アルケニルおよびシクロアルキルの環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから独立して選択される1個または複数(例えば1個から3個、1個から2個、または1個)の基で場合によって置換されている)
の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の形態を対象とする。
【0036】
こうした置換されたチアゾリル−およびオキサゾリル−イソキノリノン酸として、式II、IIIおよびIVの化合物
【0037】
【化3】

(式中、X、Y、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書において定義した通りである)
またはそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0038】
特定の実施形態において、R、R、RおよびRは独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキル(perfluroalkyl)である。
【0039】
は、適切には、水素またはハロゲンであってよい。特定の実施形態において、Rは水素である。
【0040】
特定の実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルである。
【0041】
適切には、RおよびRの1つまたは両方が、同一でありまたは異なっていてよいC〜Cアルキルであってよい。
【0042】
特定の実施形態において、Xは、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンである。
【0043】
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって環を形成する場合、該環は、適切には、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンまたはアゼチジンであってよい。
【0044】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yが、OまたはSであり、
、R、RおよびRが、独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、または
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態が挙げられる。
【0045】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yが、OまたはSであり、
、R、RおよびRが、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、または
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0046】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0047】
式I、II、III、IV、VまたはVIの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、あるいはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0048】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、あるいはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0049】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、またはRおよびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0050】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0051】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0052】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0053】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0054】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがOであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0055】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRがそれぞれ、独立して、C〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0056】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがOまたはSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式または二環式の複素環を形成し、特定の態様において、該複素環は、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンまたはアゼチジンなど、3員から12員の飽和単環式環である
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0057】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素であり、
YがOまたはSであり、
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、該環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式または二環式の複素環を形成し、特定の態様において、該複素環は、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンまたはアゼチジンなど、3員から12員の飽和単環式環である
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0058】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が、水素またはハロゲンであり、
YがSであり、
およびRがそれぞれ、独立してC〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0059】
式I、II、IIIおよびIVの化合物として、
、R、RおよびRが、本明細書において定義した通りであり、
が水素であり、
YがSであり、
およびRがそれぞれ、独立してC〜Cアルキルである
ものまたはそれらの薬学的に許容される塩の形態がさらに挙げられる。
【0060】
例示的な実施形態において、ハロゲンはフッ素である。
【0061】
例示的な実施形態において、XはC〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンである。
【0062】
式Iの例示的な化合物として、
2−[(ジメチルアミノ)メチル[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−[3−(ジメチルアミノ)プロパ−1−イン−1−イル][1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−(2−(ジメチルアミノ)エチル)チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−((ジメチルアミノ)メチル)−9−ヒドロキシチアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(モルホリン−4−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(ピペリジン−1−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(ピロリジン−1−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−{[(3R)−3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(オクタヒドロキノリン−1(2H)−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−{[(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−[(2−メチルピロリジン−1−イル)メチル][1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−{[(2R)−2−(トリフルオロメチル)ピロリジン−1−イル]メチル}[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;および
2−{[(2R,6S)−2,6−ジメチルピペリジン−1−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;またはそれらの薬学的に許容される塩の形態が挙げられる。
【0063】
特定の実施形態において、式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、塩酸塩または臭化水素酸塩である。
【0064】
本発明の化合物は、それらの全ての医薬として許容できる錯体、塩、両性イオン、溶媒和物および水和物を含める。本発明の化合物は、純粋、実質的に純粋または混合物であっても、全ての結晶形態および非結晶形態を含めて、それらの全ての立体異性体、互変異性体および多形形態も含める。
【0065】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、PARPの活性を調節するために使用することができる。こうした化合物は、様々な疾患および状態の治療にとって関心対象である。特定の実施形態において、例えば、それらは虚血および再灌流による組織損傷の治療のために被験体に投与することができる。その後アポトーシス(apoptopic)細胞死または壊死性細胞死が結果として生じるこうした損傷は、例えば、脳卒中、大脳または脊髄の外傷、てんかん発症、心停止および/または遷延性低血圧、呼吸停止、一酸化炭素もしくはシアン化物中毒、溺死または水頭症の状況による大脳損傷など、様々な神経系疾患を生じさせ得る。脳傷害は、毒性性質(興奮毒および他の化学製品)のもの、(外科を含めて)医原性のもの、およびイオン化放射線によることもあり得る。虚血および再灌流による組織損傷は心筋に影響し、梗塞後、冠動脈バイパス外科手術の間およびその後、移植心臓における灌流の再開時、および実際に外科的理由のため心停止が行われ、血液再灌流が開始される任意の時など、多くの心疾患に存在している恐れもある。腎臓、肝臓、腸および骨格筋系は、虚血および再灌流による損傷を受けやすい。これは、敗血症、内毒素、出血性および圧迫性のショックにおいて生じ得る。それは、絞扼性ヘルニア、腸ループの絞扼、および多発外傷患者における関節の遷延性圧迫後にも生じる。
【0066】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、変性疾患の治療のために被験体に投与することができる。PARPの阻害は、様々な細胞の生殖能力を拡大し、通常加齢に伴う疾患を予防するために利用することができる。例示的な変性疾患として、例えばパーキンソン病、アルツハイマー型認知症、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、黄斑変性症および網膜虚血など、中枢神経系のものが挙げられる。他の変性疾患として、例えば皮膚の加齢、筋肉の変性疾患(筋ジストロフィー)、骨の変性疾患(骨粗鬆症)および血管系の変性疾患(アテローム性動脈硬化症)、糖尿病、ならびに老化中に見られる免疫系の疾患が挙げられる。
【0067】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、炎症性疾患の治療のために被験体に投与することができる。PARPの過剰な活性化は、中枢神経系および末梢器官の両方の支配的な炎症的性質の様々な疾患において有害であり得る。本発明の化合物は、したがって、以下の病的状況において有用であり得る:多発性硬化症および他の脱髄疾患、ギランバレー症候群、三叉神経および/または他の脳神経の神経痛、末梢神経障害および他の慢性疼痛、骨関節炎、ならびに腸の炎症性疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、および他の大腸炎の形態)。
【0068】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、腫瘍疾患の治療のために被験体に投与することができる。PARP阻害剤は、イオン化剤または化学療法剤により誘発された腫瘍細胞の死を促進することができ、原発性であるか、またはAIDS、乳癌、難治性固形腫瘍、リンパ系腫瘍、脳腫瘍およびp53欠損腫瘍に関連しているかにかかわらず、癌の様々な形態、例えば白血病および/または肉腫の予防および治療において、単独および他の治療との組合せの両方で使用することができる。本発明のPARP阻害剤は、抗腫瘍剤の細胞毒性を増強するように作用することができる。例えば、特定の実施形態において、PARP阻害剤は、トポイソメラーゼIおよびII阻害剤、および例えばテモゾロマイドを含めたアルキル化剤の細胞毒性を増強するように作用するであろう。
【0069】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、例えば、例えば卵巣癌、子宮頸癌および子宮癌を含めて、雌性生殖器の癌;肺癌;乳癌;腎細胞腫瘍;ホジキンリンパ腫;非ホジキンリンパ腫;例えば腎臓癌、前立腺癌、膀胱癌および尿道癌を含めて、尿生殖器系の癌;頭部および頸部の癌;肝臓癌;例えば胃癌、食道癌、小腸癌または大腸癌を含めて、胃腸管系の癌;胆樹の癌;膵癌;例えば精巣癌を含めて、雄性生殖器系の癌;妊娠性トロホブラスト疾患;例えば甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、カルチノイド腫瘍、インスリノーマおよびPNET腫瘍を含めて、内分泌系の癌;例えばユーイング肉腫、骨肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫および横紋筋肉腫を含めた肉腫;中皮腫;皮膚の癌;メラノーマ;中枢神経系の癌;小児癌;ならびに例えば白血病、脊髄形成異常性症候群、骨髄増殖性疾患および多発性骨髄腫の全形態を含めて、造血系の癌を含めた癌の治療のために被験体に投与することができる。
【0070】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、骨折ならびに骨粗鬆症を含めた骨障害の治療のため、ならびに関節炎、慢性閉塞性肺疾患、軟骨欠損、平滑筋腫、急性骨髄球性白血病、創傷治癒、前立腺癌、グレーブス眼症などの自己免疫性炎症性障害およびそれらの組合せの治療のために被験体に投与することができる。
【0071】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、網膜変性症および軸索切断の治療のために被験体に投与することができる。
【0072】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、心筋梗塞およびアテローム性動脈硬化症を含めた心血管機能障害の治療のために被験体に投与することができる。
【0073】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、脳損傷を減少するため、部分的または完全な動脈閉塞後に被験体に投与することができる。該化合物は、閉塞直後に、または動脈閉塞後著しく遅延しても投与することができる。例えば、特定の実施形態において、投与は、動脈閉塞の1時間から10時間(すなわち、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間または10時間)後、好ましくは動脈閉塞の1時間から4時間後に開始する。
【0074】
特定の実施形態において、本発明は、したがって、本発明の化合物の治療有効量を、こうした病気を患うと疑われる患者に投与することを含む、哺乳動物、好ましくはヒトにおける、上に列挙されている病気のそれぞれを治療、予防、阻害または軽減する方法を提供する。
【0075】
特定の実施形態において、本発明は、本発明の少なくとも1種の化合物、および1種または複数の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物に関する。特定の実施形態において、該組成物は、本発明の1種または複数の化合物の混合物を含む。
【0076】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子または他のキラル元素を含有し、したがって、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含めた立体異性体を生じさせる。本発明は、一般に、式I、II、IIIまたはIVの化合物の全ての立体異性体、ならびに該立体異性体の混合物に関する。本出願を通して、不斉中心の絶対配置に関する表示のない化合物の名称は、個々の立体異性体、ならびに立体異性体の混合物を包含すると意図される。旋光度[(+)、(−)および(±)]の言及は、互いにおよびラセミ体からエナンチオマーを識別するのに利用される。さらに、本出願を通して、RおよびSという記号表示は、最も低い番号の不斉中心に対してRを自動的に付けるケミカルアブストラクトの慣例を用いて、相対立体化学を示すために使用される。
【0077】
エナンチオマーは、本発明の一部の実施形態において、対応するエナンチオマーを実質的に含まずに提供することができる。したがって、エナンチオマーを、対応するエナンチオマーを実質的に含まないと言及することは、それを、分離技術を介して単離もしくは分離、または調製することによって、対応するエナンチオマーを実質的に含まないことを示唆する。「実質的に含まない」は、本明細書で使用される場合、有意に小さい割合の対応するエナンチオマーが存在することを意味する。好ましい実施形態において、所望のエナンチオマーに対して約90重量%未満の対応するエナンチオマーが存在し、より好ましくは約1重量%未満である。好ましいエナンチオマーは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含めて、当業者に公知の任意の方法によりラセミ混合物から単離することができ、または好ましいエナンチオマーは、本明細書に記載されている方法により調製することができる。エナンチオマーの調製のための方法は、例えば、Jacquesら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(Wiley Interscience、New York、1981年); Wilen, S.H.ら、Tetrahedron、33巻:2725頁(1977年); Eliel, E.L. Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill、NY、1962年);およびWilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions、268頁(E.L. Eliei編集、Univ. of Notre Dame Press、Notre Dame、IN、1972年)に記載されており、これらのそれぞれの全体を参照により本明細書に組み込む。
【0078】
以下の合成スキームは、本発明の化合物の調製のための一般的手順を例示するために設計されており、限定するためではない。使用される試薬は、市販で得ることができるか、または文献に記載されている標準手順により調製することができる。本発明の範囲は、全ての異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)、および限定されないがラセミ混合物を含めた全ての混合物を包含することが意図される。本発明の化合物の異性体形態は、当業者に公知の方法または立体特異的もしくは不斉的である合成方法を使用して、分離または分割してよい。
【0079】
スキーム1に例示されている通り、臭化チアジルまたは臭化オキサゾリル(II)をアリールボロン酸と、Pd(PhP)、NaCO水溶液の存在下にてDME中でカップリングさせることによって、IIIを生成する。三環形成は、SOClまたは(CO)Clなどの試薬を使用してカルボン酸を対応する酸塩化物に変換すること、アジ化ナトリウムを使用するアジ化アシルへの変換と、クルチウス転位を経ることによって対応するイソシアネート(IV)を得、続いてジクロロベンゼンなどの高沸点非極性溶媒中にて加熱下で閉環することにより達成される。化合物(I)は、次いで、マンニッヒ条件(アミン、CHO、加熱)下でアミン側鎖を付加することにより調製される。
【0080】
スキーム1
【0081】
【化4】

チアゾールアルキン化合物(IX)は、スキーム2に従って調製することができる。アミノチアゾール(V)を、Yamaguchi Kら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 1999年、9巻、957〜960頁に従って調製した。アセトニトリル中にてNaNO、i−亜硝酸アミル、CHを用いる処理により、対応するヨウ化物(VI)を生成する。NaOHのEtOH溶液などの条件を使用するエステルの加水分解により、チアゾール酸(VII)を生成する。SOClを用いる酸塩化物への変換、NaNを用いるアジ化アシルの形成、および還流ジクロロベンゼン中でのクルチウス転位/閉環により、VIIIを生成する。Pd(PhP)Cl、CuIおよび1−ジメチルアミノ−2−プロピンを使用する薗頭クロスカップリングにより、所望のチアゾールアルキン(IX)を得る。アルケン類似体(X)を、スキーム3に従って、標準的なHeck/触媒Pd条件を使用してヨード化合物(VIII)をアリルアミンと組み合わせることにより調製する。
【0082】
スキーム2
【0083】
【化5】

スキーム3
【0084】
【化6】

特定の実施形態において、本発明は、本発明の少なくとも1種の化合物および1種または複数の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を含む組成物に関する。こうした組成物は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、編集Alfonoso R. Gennaro、Mack Publishing Company、Easton、PA(1985年)に記載されているものなど一般の医薬製剤手順に従って調製される。薬学的に許容される担体は、該製剤中の他の成分と相容性があり、生物学的に許容できる担体である。
【0085】
本発明の化合物は、経口もしくは非経口で、未希釈で、または従来の医薬品担体との組合せで投与することができる。適用可能な固体担体として、香味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁剤、充填剤、流動促進剤、圧縮助剤、バインダー、錠剤崩壊剤または封入材料として作用することもできる1つまたは複数の物質を挙げることができる。散剤において、該担体は、微粉化活性成分との混合状態である微粉化固体である。錠剤において、該活性成分は、必要な圧縮特性を適切な割合で有する担体と混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。散剤および錠剤は、活性成分を最大99%まで含有するのが好ましい。適切な固体担体として、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖類、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、低融ワックスおよびイオン交換樹脂が挙げられる。
【0086】
液体担体は、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップおよびエリキシルを調製するのに使用することができる。該活性成分は、水、有機溶媒、両方の混合物または薬学的に許容される油もしくは脂肪など薬学的に許容される液体担体中に溶解または懸濁することができる。該液体担体は、例えば可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存料、甘味料、香味剤、懸濁剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定剤または浸透圧調節剤など、他の適切な医薬品添加剤を含有することができる。経口および非経口投与用の液体担体の適切な例として、水(特に、上記の通りの添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液を含有する)、アルコール(一価アルコール、および多価アルコール例えばグリコールを含める)およびこれらの誘導体、ならびに油(例えば、分別やし油およびラッカセイ油)が挙げられる。非経口投与のため、該担体は、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルであってもよい。滅菌液体担体は、非経口投与用の滅菌液状形態組成物に使用される。加圧組成物用の液体担体は、ハロゲン化炭化水素または他の薬学的に許容される噴霧剤であってよい。
【0087】
滅菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば筋肉内、腹腔内または皮下の注射により投与することができる。滅菌溶液は、静脈内に投与することもできる。経口投与用の組成物は、液体または固形のいずれかの形態であってよい。
【0088】
本発明の化合物は、従来の坐剤の形態で直腸または経膣に投与することができる。鼻腔内または気管支内の吸入または吹入による投与のため、本発明の化合物は、水溶液または部分的水溶液に処方することができ、次いでエアゾールの形態で利用することができる。本発明の化合物は、該活性化合物、および該活性化合物に対して不活性であり、皮膚に対して無毒性であり、皮膚を介して血流中への全身吸収用薬剤の送達を可能にする担体を含有する経皮パッチの使用を介して経皮的に投与することもできる。該担体は、クリームおよび軟膏剤、ペースト剤、ゲルならびに閉塞性デバイスなど、任意の数の形態をとることができる。クリームおよび軟膏剤は、粘稠液体、または水中油型もしくは油中水型のいずれかの半固体エマルジョンであってよい。該活性成分を含有する石油または親水性石油に分散された吸収性粉末を含むペースト剤も適切であり得る。担体の有無にかかわらず活性成分を含有するリザーバーを覆う半透膜、または活性成分を含有するマトリックスなどの様々な閉塞性デバイスが、該活性成分を血流中に放出するために使用できる。他の閉塞性デバイスは、文献において公知である。
【0089】
好ましくは、該医薬組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、溶液、懸濁液、エマルジョン、粒剤または坐剤としての単位剤形である。こうした形態において、該組成物は、該活性成分の適切な分量を含有する単位用量に細分することができ、該単位剤形は、包装組成物、例えば小包散剤、バイアル、アンプル、予備充填シリンジ、または液体を含有するサシェであってよい。該単位剤形は、例えばカプセル剤もしくは錠剤自体であってよく、または包装形態における適切な数の任意のこうした組成物であってよい。
【0090】
患者に与えられる量は、投与されているもの、予防または治療などの投与の目的および患者の状況、ならびに投与の方法などに依存して変動する。治療用途において、式Iの化合物は、疾患をすでに患っている患者に、該疾患およびその合併症の症状を治癒または少なくとも部分的に寛解させるのに十分な量で与えることができる。これを達成するのに適切な量を「治療有効量」と定義する。特定の場合の治療に使用される投与量は、主治医により主観的に決定されなければならない。関与する変動要素として、特定の状態ならびに患者のサイズ、年齢および応答パターンが挙げられる。該化合物は、皮膚および粘膜に対して経口的、直腸的、非経口的または局所的に投与することができる。通常の日用量は、特定の化合物、治療の方法および治療される状態に依存する。通常の日用量は、特定の化合物、治療の方法および治療される状態に依存する。通常の日用量は、例えば経口適用に対しては単回用量または細分用量のいずれかで0.01mg/kg〜1000mg/kg、好ましくは0.5mg/kg〜500mg/kg、例えば非経口適用に対しては毎日1回から3回で約0.1mg/kgから100mg/kg、好ましくは毎日1回から3回で0.5mg/kg〜50mg/kgである。
【0091】
特定の実施形態において、本発明は、本発明において提供される化合物のプロドラッグを対象とする。「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用される場合、インビボで代謝手段により(例えば加水分解により)式Iの化合物に変換可能な化合物を意味する。例えば、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれるBundgaard、(編集)、Design of Prodrugs、Elsevier(1985年);Widderら(編集)、Methods in Enzymology、4巻、Academic Press(1985年);Krogsgaard−Larsenら、(編集)「Design and Application of Prodrugs, Textbook of Drug Design and Development」、5章、113〜191頁(1991年)、Bundgaardら、Journal of Drug Delivery Reviews、8巻:1〜38頁(1992年)、Bundgaard, J.のPharmaceutical Sciences、77巻:285頁以下参照(1988年);およびHiguchiおよびStella(編集)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(1975年)において考察されているものなど、様々な形態のプロドラッグが当技術分野で公知である。
【実施例】
【0092】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態の例示であり、本発明の範囲を限定すると考えられるべきではない。使用される試薬は、市販で得ることができるか、または文献において記載されている標準手順により調製することができる。本発明の範囲は、全ての異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)、および限定されないがラセミ混合物を含めた全ての混合物を包含することが意図される。本発明の化合物の異性体形態は、当業者に公知の方法を使用して、または立体特異的もしくは不斉的である合成方法によって、分離または分割してよい。
【0093】
(実施例1)
2−[(ジメチルアミノ)メチル][1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0094】
【化7】

ステップ1
4−フェニル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸
【0095】
【化8】

公知手順(Yamaguchi K.ら、Biorg. Med. Chem. Lett. 1999年、9巻(7)、957〜960頁)(0.28g、1.2mmol)に従って調製されたエチル4−フェニル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを、96%エタノール(10ml)に溶解し、水酸化ナトリウム(0.4g)で処理し、還流下で16時間撹拌した。溶液を3NのHCl溶液で酸性化し、酢酸エチル(5×50ml)で抽出した。有機層を回収し、乾燥させ(NaSOで)、真空下で蒸発させることで、33(72%の収率)を純粋な個体として得た、mp:204〜205℃。
mp:204〜205℃。
【0096】
【化9】

ステップ2
1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0097】
【化10】

塩化チオニル(1ml)を、4−フェニル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸(300mg、1.46mmol)の乾燥ベンゼン10ml懸濁液に添加し、混合物を2時間還流した。溶媒および塩化チオニルの過剰分を減圧下で除去し、残渣を、乾燥THF 10mlを使用して溶かし、0℃に冷却した。最少量の水中に溶解したアジ化ナトリウム(1.5mmol)を急速に添加し、生じた溶液を1時間室温で撹拌した。砕氷/HO 100ml中に注ぎ、ジエチルエーテル(4×100ml)で抽出した後、回収した有機層をNaSOで乾燥させた。濾液を減圧下で穏やかに蒸発させ、残渣をo−ジクロロベンゼン10ml中に溶解し、生じた混合物を5〜10時間還流した。混合物を次いで冷却し、フラッシュクロマトグラフィーに直接かけ、ジクロロメタン/メタノール(99/1)を用いる溶出により、標題化合物が得られた。収率:20%。
mp>200℃。
【0098】
【化11】

ステップ3
2−[(ジメチルアミノ)メチル]−8−メトキシチエノ[2,3−c]イソキノリン−5(4H)−オン塩酸塩
【0099】
【化12】

1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン(55mg、0.27mmol)を、乾燥ジメチルホルムアミド(1ml)と乾燥アセトニトリル(2ml)との混合物中に溶解し、公知手順(Kinast G.ら、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1976年、15巻(4)、239〜240頁;Bohme H.ら、Chem. Ber. 1960年、93巻、1305頁)に従って調製されたN,N−ジメチル(メチレン)塩化アンモニウム(1mmol)で処理した。反応混合物を終夜還流し、生じた沈殿物を濾過し、乾燥ジエチルエーテルで洗浄することによって、標題化合物を得た。収率:55%。
mp>200℃。
【0100】
【化13】

(実施例2)
2−[3−(ジメチルアミノ)プロパ−1−イン−1−イル][1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0101】
【化14】

ステップ1
エチル2−ヨード−4−フェニル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート
【0102】
【化15】

公知手順(Yamaguchi K.ら、Biorg. Med. Chem. Lett. 1999年、9巻(7)、957〜960頁)に従って調製されたエチル2−アミノ−4−フェニル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート(6.1g、25mmol)を、MeCN(240ml)中に溶解し、CH(7ml、150mmol)、亜硝酸イソアミル(12ml、112.5mmol)で処理した。反応物を室温で1時間撹拌した。溶媒を高真空下で除去し、混合物を、軽油/酢酸エチル(9:1)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーにかけることによって、標題化合物を固体として得た。収率:57%。
mp:104〜106℃。
【0103】
【化16】

ステップ2
2−ヨード−4−フェニル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸
【0104】
【化17】

エチル2−ヨード−4−フェニル−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート(5g、13.9mmol)を、96%エタノール(30ml)中に溶解し、固体の水酸化ナトリウム(1.1g)で処理し、室温で1時間撹拌した。溶液を3NのHCl溶液で酸性化し、酢酸エチル(5×50ml)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、蒸発させることによって、標題化合物を固体として得た。収率:92%の収率。
mp:194〜196℃。
【0105】
【化18】

ステップ3
2−ヨード−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0106】
【化19】

塩化チオニル(1ml)を2−ヨード−4−フェニル−1,3−チアゾール−5−カルボン酸(2.2g、6.6mmol)の乾燥ベンゼン30ml懸濁液に添加し、混合物を2時間還流した。溶媒および塩化チオニルの過剰分を減圧下で除去し、残渣を、乾燥THF 20mlを用いて溶かし、0℃に冷却し、最少量の水中に溶解したNaN(10mmol)を急速に添加した。室温で時間撹拌した後、反応混合物を砕氷/水100ml中に注ぎ、ジエチルエーテル(5×100ml)で抽出し、合わせた有機物をNaSOで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で穏やかに蒸発させ、残渣をo−ジクロロベンゼン20ml中に溶解し、5時間還流した。混合物を次いで冷却し、ジクロロメタン/メタノール(99/1)で溶出するSiOゲル上のクロマトグラフィーに直接かけることによって、標題化合物を固体として生成した。収率:23%の収率。
mp:>250℃。
【0107】
【化20】

ステップ4
2−[3−(ジメチルアミノ)プロパ−1−イン−1−イル]−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン(5)
【0108】
【化21】

2−ヨード−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン(0.1g、0.3mmol)、DMF(10ml)、1−ジメチルアミノ−2−プロピン(0.25g、3.05mmol)、(PhP)PdCl(10mg)、CuI(1mg)およびトリエチルアミン(1.2ml)を、室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、混合物を、ジクロロメタン/メタノール(98/2)で溶出するSiOゲル上のクロマトグラフィーにかけることによって、標題化合物を生成した。収率:68%の収率。
mp:216〜221℃ 分解
【0109】
【化22】

(実施例3)
2−(2−(ジメチルアミノ)エチル)チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0110】
【化23】

2−(2−(ジメチルアミノ)エチル)チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オンを、スキーム2の中間体VIIIから調製した。
【0111】
【化24】

ステップ1
2−ビニル−4H−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5−オン
【0112】
【化25】

ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(0.005g、0.007mmol)を、2−ヨード−4H−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5−オン(0.115g、0.35mmol)およびDMF(5ml)の溶液に23℃で添加した。30分後、トリブチルビニルスタンナン(0.11ml、0.37mmol)を添加し、反応混合物を終夜45℃で撹拌した。全ての揮発性物質を蒸発させ、生じたオイルをフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/メタノール、99/1)により精製することによって、標題化合物が黄色固体として得られた(定量的収率)。m.p235〜239℃(分解);
【0113】
【化26】

ステップ2
2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−4H−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5−オン(3)
【0114】
【化27】

2−ビニル−4H−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5−オン(0.05g、0.22mmol)およびCHCl/メタノール(6ml;1/1)の懸濁液に、ジメチルアミン(THF中の2M溶液0.33ml、0.66mmol)を添加した。65℃で48時間撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(CHCl/メタノール、90/10)により精製した。メタノール/ジエチルエーテルからの再結晶により、標題化合物0.038g(63%の収率)を白色固体として得た。m.p.236〜240℃(分解);
【0115】
【化28】

(実施例4)
2−((ジメチルアミノ)メチル)−9−ヒドロキシチアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0116】
【化29】

2−((ジメチルアミノ)メチル)−9−ヒドロキシチアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オンを下記に示す通りに調製した。
【0117】
【化30】

ステップ1
2−ブロモ−3−(2−メトキシフェニル)−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル
【0118】
【化31】

3−(2−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル(5.3g、23.9mmol;J. Org. Chem. 2001年、66巻、6323〜6332頁に報告されている通りに調製)の四塩化炭素(50ml)溶液に、N−ブロモコハク酸イミド(5.1g、28.7mmol)を分割して添加した。反応混合物を室温にてアルゴン雰囲気下で4時間撹拌した。水を添加し、生じた混合物をCHClで抽出し、有機物をNaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させることによって、標題化合物を黄色オイルとして得た。
【0119】
【化32】

ステップ2
4−(2−メトキシフェニル)−チアゾール−5−カルボン酸
【0120】
【化33】

(Eur. J. Med. Chem. 2004年、39巻、867〜872頁に従って調製された)チオホルムアミド(0.70g、11.5mmol)の無水EtOH(1ml)中の0℃溶液に、2−ブロモ−3−(2−メトキシフェニル)−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル(2.4g、7.97mmol)の無水エタノール溶液(9ml)を滴下で添加した。反応混合物を室温で72時間撹拌した。水でクエンチし、クロロホルムで抽出した後、有機物をNaSOで乾燥させ、蒸発させた。SiOゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル、60/40)により粗4−(2−メトキシフェニル)−チアゾール−5−カルボン酸エチルエステルが得られ、さらに精製することなく次のステップで使用した。
【0121】
95%エタノール(20ml)中の粗4−(2−メトキシ−フェニル)−チアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(0.88g)に、水酸化ナトリウム(0.67g、16.75mmol)を添加し、生じた混合物を室温で5時間撹拌した。3NのHClでの酸性化および真空下での濃縮後、残留残渣を水で溶かし、酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機物をNaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させることによって、標題化合物が黄色固体として得られた(0.77g、3.28mmol、41%の収率)。m.p.:170〜172℃;
【0122】
【化34】

ステップ3
9−メトキシ−4H−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5−オン
【0123】
【化35】

4−(2−メトキシフェニル)−チアゾール−5−カルボン酸(0.56g、2.38mmol)およびベンゼン(10ml)の懸濁液に、塩化チオニル(0.42g、3.57mmol)を添加し、反応混合物を5時間還流した。全ての揮発性物質を蒸発させ、生じた黄色オイルを乾燥THF(10ml)中に溶かし、0℃に冷却し、水(1ml)中のアジ化ナトリウム(0.186g、2.86mmol)の溶液を添加した。反応混合物を0℃で30分間、および室温で3時間撹拌した。水でクエンチした後、混合物をジエチルエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で慎重に蒸発させた(ロータリーエバポレーターの水温を25℃未満に保持)。生じた固体を1,2−ジクロロベンゼン(10ml)中に溶解し、200℃で5時間加熱した。全ての揮発性物質の蒸発物を冷却した後、生じた物質を、SiO(CHCl/メタノール、94/6)上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製することによって、標題化合物(0.120g、0.51mmol、22%の収率)を固体として得た;m.p.:220〜222℃(分解);
【0124】
【化36】

ステップ4
9−ヒドロキシ−4H−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5−オン
【0125】
【化37】

9−メトキシ−4H−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5−オン(0.048g、0.21mmol)およびCHCl(2ml)の懸濁液に、三臭化ホウ素(CHCl中の1M溶液1.05ml、1.05mmol)を添加し、生じた混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を蒸発させ、メタノール(2ml)を添加し、生じた混合物を1時間撹拌し、次いで蒸発させた。生じた固体を、SiOゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製することによって、標題化合物を(0.042g、90%の収率)固体として得た。m.p.>250℃;
【0126】
【化38】

ステップ5
2−ジメチルアミノメチル−9−ヒドロキシ−4H−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5−オン塩酸塩
【0127】
【化39】

9−ヒドロキシ−4H−1,3−チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5−オンのDMF/アセトニトリル(3ml、1:2)溶液に、ジメチル−メチレン−塩化アンモニウム(0.043g、0.46mmol)を添加し、生じた混合物をアルゴン下で42時間還流した。冷却および濃縮後、残渣を、SiO上のフラッシュクロマトグラフィーを介して精製することによって、標題化合物(0.008g、13%の収率)を固体として得た。m.p.>250℃;
【0128】
【化40】

(実施例5)
9−ヒドロキシ−2−(モルホリン−4−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0129】
【化41】

ステップ1
9−メトキシ−2−(モルホリノメチル)チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0130】
【化42】

モルホリン(950μL、0.011mmol)を、9−メトキシチアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オンの37%ホルムアルデヒド水溶液2.6mL中の溶液にゆっくり添加し、生じた反応混合物を7時間還流した。全ての出発原料が消費されるまで、反応をTLCによりモニターした。室温に冷却した後、反応混合物を水および酢酸エチルの間で分配し、有機物を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させることによって、標題化合物を淡色固体として生成した。
MS(ES)m/z 332(M+H)。
【0131】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−(モルホリン−4−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0132】
【化43】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例4ステップ4の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 318(M+H)。
【0133】
(実施例6)
9−ヒドロキシ−2−(ピペリジン−1−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0134】
【化44】

ステップ1
9−メトキシ−2−(ピペリジン−1−イルメチル)チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0135】
【化45】

標題化合物は、モルホリンの代わりにピペリジンを使用したこと以外は上記の実施例5ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 330(M+H)。
【0136】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−(ピペリジン−1−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0137】
【化46】

標題化合物は、出発原料として上記ステップ1の生成物を使用し、実施例5、ステップ2の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 316(M+H)。
【0138】
(実施例7)
9−ヒドロキシ−2−(ピロリジン−1−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0139】
【化47】

ステップ1
9−メトキシ−2−(ピロリジン−1−イルメチル)チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0140】
【化48】

標題化合物は、モルホリンの代わりにピロリジンを使用したこと以外は上記の実施例5ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 316(M+H)。
【0141】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−(ピロリジン−1−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0142】
【化49】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例4ステップ4の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 302(M+H)。
【0143】
(実施例8)
2−{[(3R)−3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0144】
【化50】

ステップ1
(R)−2−((3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル)メチル)−9−メトキシチアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0145】
【化51】

標題化合物は、モルホリンの代わりに(R)−N,N−ジメチルピロリジン−3−アミンを使用したこと以外は上記の実施例5ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 359(M+H)。
【0146】
ステップ2
2−{[(3R)−3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0147】
【化52】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例4ステップ4の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 345(M+H)。
【0148】
(実施例9)
9−ヒドロキシ−2−(オクタヒドロキノリン−1(2H)−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0149】
【化53】

ステップ1
9−メトキシ−2−((オクタヒドロキノリン−1(2H)−イル)メチル)チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0150】
【化54】

標題化合物は、モルホリンの代わりにデカヒドロキノリンを使用したこと以外は上記の実施例5ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 384(M+H)。
【0151】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−(オクタヒドロキノリン−1(2H)−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0152】
【化55】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例4ステップ4の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 370(M+H)。
【0153】
(実施例10)
2−{[(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0154】
【化56】

ステップ1
2−(((2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリノ)メチル)−9−メトキシチアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0155】
【化57】

標題化合物は、モルホリンの代わりに(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリンを使用したこと以外は上記の実施例5ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 360(M+H)。
【0156】
ステップ2
2−{[(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0157】
【化58】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例4ステップ4の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 346(M+H)。
【0158】
(実施例11)
9−ヒドロキシ−2−[(2−メチルピロリジン−1−イル)メチル][1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0159】
【化59】

ステップ1
9−メトキシ−2−((2−メチルピロリジン−1−イル)メチル)チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0160】
【化60】

標題化合物は、モルホリンの代わりにジベンジルアミンを使用したこと以外は上記の実施例5ステップ1に従って調製した。
MS(ES)m/z 330(M+H)。
【0161】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−[(2−メチルピロリジン−1−イル)メチル][1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0162】
【化61】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例4ステップ4の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 316(M+H)。
【0163】
(実施例12)
9−ヒドロキシ−2−{[(2R)−2−(トリフルオロメチル)ピロリジン−1−イル]メチル}[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0164】
【化62】

ステップ1
(R)−9−メトキシ−2−((2−(トリフルオロメチル)ピロリジン−1−イル)メチル)チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0165】
【化63】

標題化合物は、モルホリンの代わりに(R)−2−(トリフルオロメチル)ピロリジンを使用したこと以外は上記の実施例5ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 384(M+H)。
【0166】
ステップ2
9−ヒドロキシ−2−{[(2R)−2−(トリフルオロメチル)ピロリジン−1−イル]メチル}[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0167】
【化64】

標題化合物は、出発原料として上記のステップ1の生成物を使用し、実施例4ステップ4の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 370(M+H)。
【0168】
(実施例13)
2−{[(2R,6S)−2,6−ジメチルピペリジン−1−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0169】
【化65】

ステップ1
2−(((2S,6R)−2,6−ジメチルピペリジン−1−イル)メチル)−9−メトキシチアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0170】
【化66】

標題化合物は、モルホリンの代わりに(2S,6R)−2,6−ジメチルピペリジンを使用したこと以外は上記の実施例5、ステップ1の手順に従って調製した。
MS(ES)m/z 358(M+H)。
【0171】
ステップ2
2−{[(2R,6S)−2,6−ジメチルピペリジン−1−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン
【0172】
【化67】

標題化合物は、出発原料として上記ステップ1の生成物を使用し、実施例4、ステップ4に従って調製した。
MS(ES)m/z 344(M+H)。
【0173】
(実施例14)
ヒトPARP−1酵素活性の機能評価
【0174】
【化68】

材料および試薬:hrPARP−1(ヒト組換え、Trevigen)、活性化DNA(Sigma)、6(5H)−フェナントリジノン(PND)、(Sigma)、NAD+(Calbiochem)、PARP−1アッセイ緩衝液(50mMのトリス、2mMのMgCl、pH8.0)、EtOH中20%アセトフェノン、2MのKOH
88%ギ酸、110℃オーブン、Flexstationプレートリーダー。
【0175】
手順:化合物プレートは、5mMの濃度から出発するDMSO中20μLで、それぞれ10段階の各試験化合物に対して一連の1:3希釈を作製することにより調製した。NAD(6.4μM溶液39μL)を96ウェル平底蛍光アッセイプレートの各ウェルに添加した。試験化合物(1μL)を各ウェルに添加した。反応を開始するため、PARP(5UのPARPおよび75μg/mLの活性化DNAを含有)10μLを、最終1UのhrPARP−1、15μg/mLの活性化DNAおよび5μMのNADで添加した。試験化合物のために使用した最高濃度は100μMであった。プレートを室温でシェーカー上にてインキュベートした。20分後、2M KOH 20μLおよび20%アセトフェノン20μLを添加した。プレートを10分4℃でインキュベートし、88%ギ酸90μLを添加した。110℃オーブン内で5分間インキュベートした後、プレートを室温に冷却し、Flexstationプレートリーダーで読み取った(360nmで励起、445nmで発光)。
【0176】
結果の分析:LSWデータ分析ソフトウェアを使用して、PARP−1 IC50を出した。結果を表1に示す。
【0177】
【表1】

分子量などの物性または化学式などの化学的特性に関して本明細書において範囲が使用されている場合、そこにおける具体的な実施形態の範囲の全ての組合せおよび下位組合せが包含されることを意図する。
【0178】
この文献において引用または記載されている各特許、特許出願および公報の開示は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0179】
当業者は、多数の変更および修正が本発明の好ましい実施形態になされ得ること、およびこうした変更および修正が本発明の趣旨を逸脱することなくなされ得ることを理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、全てのこうした同等な変形を、本発明の真の趣旨および範囲内に含まれるとして包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化69】

(式中、
Xは、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yは、OまたはSであり、
、R、RおよびRは、水素、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、CN、C〜Cペルフルオロアルキル、COH、OR、COORまたはNHRから独立して選択され、
およびRはそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、ここで、該アルキル、該アルケニルならびに該シクロアルキル基、該フェニル基および該ベンジル基の環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されており、あるいは
およびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから独立して選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、前記環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和または不飽和の3員から12員の単環式または二環式の複素環を形成し、
は、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cシクロアルキルであり、ここで、該アルキル、該アルケニルおよび該シクロアルキルの環は、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、−COH、C〜Cアルコキシカルボニル、NH、C〜Cモノもしくはジアルキルアミノまたはハロゲンから独立して選択される1個または複数の基で場合によって置換されている)
の化合物またはその薬学的に許容される塩の形態。
【請求項2】
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンであり、
Yが、OまたはSであり、
、R、RおよびRが、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、NH、C〜Cアルコキシ、CNまたはC〜Cペルフルオロアルキルであり、
およびRがそれぞれ、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cシクロアルキル、フェニルもしくはベンジルであり、または
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OもしくはSから独立して選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、環原子の残りが炭素原子である、飽和、部分的不飽和もしくは不飽和の3員から12員の単環式もしくは二環式の複素環を形成する、
請求項1に記載の式Iを有する化合物、またはその薬学的に許容される塩の形態。
【請求項3】
式II
【化70】

を有する、請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の形態。
【請求項4】
式III
【化71】

を有する、請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の形態。
【請求項5】
式IV
【化72】

を有する、請求項1または請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の形態。
【請求項6】
がハロゲンまたは水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が水素である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Xが、C〜Cアルキレン、C〜CアルケニレンまたはC〜Cアルキニレンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
YがOである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
YがSである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
およびRがそれぞれ独立してC〜Cアルキルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、N、OまたはSから選択される1個から3個の追加の環ヘテロ原子を場合によって含み、環原子の残りが炭素原子である飽和単環式複素環を形成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ホモピペリジン、アジリジンまたはアゼチジンを形成する、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
XがC〜Cアルキニレンである、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
YがSであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ独立してC〜Cアルキルである、
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
YがOであり、
XがC〜Cアルキレンであり、
およびRがそれぞれ独立してC〜Cアルキルである、
請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
2−[(ジメチルアミノ)メチル[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−[3−(ジメチルアミノ)プロパ−1−イン−1−イル][1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−(2−(ジメチルアミノ)エチル)チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−((ジメチルアミノ)メチル)−9−ヒドロキシチアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(モルホリン−4−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(ピペリジン−1−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(ピロリジン−1−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−{[(3R)−3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−(オクタヒドロキノリン−1(2H)−イルメチル)[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
2−{[(2R,6S)−2,6−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−[(2−メチルピロリジン−1−イル)メチル][1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
9−ヒドロキシ−2−{[(2R)−2−(トリフルオロメチル)ピロリジン−1−イル]メチル}[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;および
2−{[(2R,6S)−2,6−ジメチルピペリジン−1−イル]メチル}−9−ヒドロキシ[1,3]チアゾロ[5,4−c]イソキノリン−5(4H)−オン;
である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の形態。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の薬学的に許容される有効量および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
被験体におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼを阻害する方法であって、該被験体におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼを阻害するため、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項20】
被験体におけるニューロン細胞死を阻害する方法であって、該被験体におけるニューロン細胞死を阻害するため、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項21】
被験体における虚血および再灌流による損傷を治療する方法であって、該被験体における虚血および再灌流による損傷を治療するため、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項22】
被験体におけるポリ(ADP−リボース)活性に関連する変性疾患を治療する方法であって、該被験体における変性疾患を治療するため、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項23】
被験体におけるポリ(ADP−リボース)活性に関連する炎症を治療する方法であって、該被験体における炎症を治療するため、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項24】
被験体におけるポリ(ADP−リボース)活性に関連する癌を治療する方法であって、該被験体における癌を治療するため、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の有効量を該被験体に投与することを含む方法。
【請求項25】
被験体におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの阻害、ニューロン細胞死の阻害、虚血および再灌流による損傷の治療、ポリ(ADP−リボース)活性に関連する変性疾患の治療、ポリ(ADP−リボース)活性に関連する炎症の治療、またはポリ(ADP−リボース)活性に関連する癌の治療に使用するための、請求項1から17のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項26】
被験体における虚血および再灌流による損傷の治療、ポリ(ADP−リボース)活性に関連する変性疾患の治療、ポリ(ADP−リボース)活性に関連する炎症の治療、またはポリ(ADP−リボース)活性に関連する癌の治療における、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−525185(P2011−525185A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514801(P2011−514801)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/047767
【国際公開番号】WO2009/155402
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】