説明

チャンネルスキャン装置および方法、並びにプログラム

【課題】チャンネルを高速でスキャンする。
【解決手段】デコード部22のパワースペクトル抽出部31は、入力信号の周波数毎のパワーレベルをパワースペクトルとして抽出し、チャンネルスキャン処理部23に供給する。チャンネルスキャン処理部23は、パワースペクトルのうち、台形状のパワースペクトル波形を構成する帯域をチャンネル候補として抽出し、このうち、音声や映像の再生に必要とされるクロックの同期やTSの同期が確認できるチャンネルを有効なチャンネルとして抽出する。本技術は、テレビジョン受像機に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、チャンネルスキャン装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、チャンネルスキャンを高速で実現できるようにしたチャンネルスキャン装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機におけるチャンネルの自動検出技術が一般に普及している。
【0003】
このうち、特に欧州の衛星放送においては、シンボルレート(信号帯域幅)に規定がなく、シンボルレートの異なる信号が混在していることから、チャンネルの検出に膨大な時間が必要とされていた。
【0004】
このようなチャンネルの検出を高速化する技術として、伝送帯域の受信電力を測定すると共に記憶し、スライディング周波数窓で平方電力を計算し、平方電力に基づいて有効チャンネルを選択する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−005352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術においても、全帯域に対して、スライディング周波数窓について総当りで平方電力を計算する必要があるため、チャンネルの検出には膨大な時間が必要とされる恐れがあった。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、特に、受信環境における周波数に対する受信電力のパワースペクトルを利用することにより、高速で、かつ、読み落としのないチャンネルスキャンを実現できるようにするものとである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
入力信号の周波数毎のパワーレベルをパワースペクトルとして抽出するパワースペクトル抽出部と、前記パワースペクトルを構成する波形の形状が台形状となる範囲を、チャンネル候補であるものと推定し、抽出する第1のチャンネル候補抽出部とを含む。
【0009】
前記第1のチャンネル候補抽出部には、前記パワースペクトルを構成する波形のうち、前記台形状の範囲の中心位置、および幅に基づいて、前記チャンネル候補の中心周波数、およびシンボルレートであるものと推定させるようにすることができる。
【0010】
前記第1のチャンネル候補抽出部により、全帯域より、所定のシンボルレートよりも高いシンボルレートのチャンネル候補が抽出された後、前記所定のシンボルレートよりも高いシンボルレートのチャンネル候補が抽出できた帯域を除外する帯域より、前記第1のチャンネル候補抽出部の手法と同様の手法で、前記所定のシンボルレートよりも低いシンボルレートのチャンネル候補を抽出する第2のチャンネル候補抽出部をさらに含ませるようにすることができる。
【0011】
前記第1のチャンネル候補抽出部には、前記パワースペクトルの波形のうち、所定の勾配からなるチルト成分を含む波形について、前記チルト成分を含む波形を補正した後、前記パワースペクトルのうちの台形状の波形の範囲をチャンネル候補として抽出させるようにすることができる。
【0012】
前記チルト成分を含むパワースペクトルの波形より前記チルト成分を低周波成分として抽出するローパスフィルタと、前記ローパスフィルタにより抽出されたチルト成分を、前記チルト成分を含む波形より減算する減算部とをさらに含ませるようにすることができ、前記第1のチャンネル候補抽出部には、前記ローパスフィルタを制御して、前記チルト成分を含むパワースペクトルの波形よりチルト成分を抽出させ、さらに、前記減算部を制御して、前記チルト成分を含む波形から、前記ローパスフィルタにより抽出されたチルト成分を減算させることで、前記チルト成分を含む波形を補正した後、補正された前記パワースペクトルの波形のうち、前記台形状の範囲をチャンネル候補として抽出させるようにすることができる。
【0013】
前記第1のチャンネル候補抽出部には、前記パワースペクトルの波形の台形状の範囲のうち、隣接する複数の台形状の範囲を1のチャンネル候補として抽出させるようにすることができる。
【0014】
前記第1のチャンネル候補抽出部によりチャンネル候補が抽出できた帯域を除外する帯域について、前記パワースペクトルのピーク位置、および前記ピーク位置よりも所定値だけ小さな2の位置より構成される台形状のパワースペクトルの波形を構成する範囲をチャンネル候補として抽出する第3のチャンネル候補抽出部を含ませるようにすることができる。
【0015】
前記第3のチャンネル候補抽出部には、前記第1のチャンネル候補抽出部によりチャンネル候補が抽出できた帯域を除外する帯域について、前記ピーク位置より段階的に離れた距離のパワースペクトルの値を順次求めることにより、前記ピーク位置よりも所定値だけ小さな2の位置を検出し、前記パワースペクトルのピーク位置、および前記ピーク位置よりも所定値だけ小さな2の位置より構成される台形状のパワースペクトルの波形の範囲をチャンネル候補として抽出させるようにすることができる。
【0016】
前記チャンネル候補抽出部により抽出されたチャンネル候補のうち、チャンネルとして有効であるか否かを確認するチャンネル確認部と、前記チャンネル確認部により有効なチャンネルであると確認されたチャンネルを記憶するチャンネル記憶部とを含ませるようにすることができる。
【0017】
前記チャンネル候補における信号の復調処理の初期段階で必要とされるクロックが同期できるか否かを確認するクロック同期確認部と、前記クロック同期確認部により同期が確認されたチャンネル候補における、前記復調処理の最終段階である前記トランスポートストリームの同期再生が可能であるか否かを確認するトランスポートストリーム同期確認部とをさらに含ませるようにすることができ、前記チャンネル確認部には、前記チャンネル候補抽出部により抽出されたチャンネル候補のうち、前記トランスポートストリーム同期確認部により前記トランスポートストリームが再生可能であることが確認されたチャンネル候補を、前記チャンネルとして有効であるものとして確認させるようにすることができる。
【0018】
本技術の一側面のチャンネルスキャン方法は、チャンネルスキャン装置のチャンネルスキャン方法であって、入力信号の周波数毎のパワーレベルをパワースペクトルとして抽出するパワースペクトル抽出処理をし、前記パワースペクトルを構成する波形の形状が台形状となる範囲を、チャンネル候補であるものと推定し、抽出する第1のチャンネル候補抽出処理をするステップを含む。
【0019】
本技術の一側面のプログラムは、チャンネルスキャン装置を制御するコンピュータを、入力信号の周波数毎のパワーレベルをパワースペクトルとして抽出するパワースペクトル抽出部と、前記パワースペクトルを構成する波形の形状が台形状となる範囲を、チャンネル候補であるものと推定し、抽出する第1のチャンネル候補抽出部として機能させる。
【0020】
本技術の一側面においては、入力信号の周波数毎のパワーレベルがパワースペクトルとして抽出され、パワースペクトルを構成する波形の形状が台形状となる範囲が、チャンネル候補であるものと推定され、抽出される。
【0021】
本技術のチャンネルスキャン装置は、独立した装置であっても良いし、チャンネルスキャン処理を行うブロックであっても良い。
【発明の効果】
【0022】
本技術の一側面によれば、入力信号より高速でチャンネルを検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本技術を適用した信号処理装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のチャンネルスキャン処理部の構成例を説明するブロック図である。
【図3】図1のチャンネルスキャン処理部におけるチャンネルスキャン処理を説明するフローチャートである。
【図4】図3における1次候補処理を説明するフローチャートである。
【図5】最大値および最小値、並びに線分の設定方法を説明する図である。
【図6】チャンネル候補の求め方を説明する図である。
【図7】マルチパスを考慮したチャンネル候補の求め方を説明する図である。
【図8】チルト波形を考慮したチャンネル候補の求め方を説明する図である。
【図9】図3における2次候補処理を説明するフローチャートである。
【図10】図3における3次候補処理を説明するフローチャートである。
【図11】定電力低下点の検出方法を説明する図である。
【図12】前方定電力低下点検出処理を説明するフローチャートである。
【図13】定電力低下点の検出方法を説明する図である。
【図14】汎用のパーソナルコンピュータの構成例を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[信号処理装置の構成例]
図1は、本技術を適用した信号処理装置の一実施の形態の構成例を示している。図1の信号処理部11は、図示せぬアンテナを介して受信された入力信号より受信可能な放送チャンネル(以下、単にチャンネルとも称する)をスキャンして記憶する。また、信号処理装置11は、必要に応じて、記憶されたチャンネルを切り替えて出力する。
【0025】
信号処理装置11は、チューナ21、デコード部22、およびチャンネルスキャン処理部23を備えている。
【0026】
チューナ21は、チャンネルスキャン処理部23により順次帯域を切り替えながら入力信号を受信して、デコード部22に供給する。
【0027】
デコード部22は、チューナ21より供給されてくるチャンネルの入力信号をデコードし、出力する。また、デコード部22は、パワースペクトル抽出部31を備えており、供給されてくる入力信号の周波数帯域毎の受信電力、すなわち、パワーをパワースペクトルとしてチャンネルスキャン処理部23に供給する。尚、ここでいうパワースペクトルとは、横軸を周波数とし、縦軸をパワー(例えば、受信電力を示すdB単位)とするスペクトル波形である。
【0028】
チャンネルスキャン処理部23は、デコード部22のパワースペクトル抽出部31より供給されてくるパワースペクトルに基づいて、チャンネルスキャン処理を実行して、入力信号の全帯域をチャンネルスキャンして、有効なチャンネルを特定すると共に記憶する。
【0029】
[チャンネルスキャン処理部の構成例]
次に、図2のブロック図を参照して、チャンネルスキャン処理部23の構成例について説明する。
【0030】
チャンネルスキャン処理部23は、パワースペクトル取得部51、チャンネル候補抽出部52、有効チャンネル確認部53、および有効チャンネル記憶部54を備えている。
【0031】
パワースペクトル取得部51は、デコード部22のパワースペクトル抽出部31より供給されてくるパワースペクトルを抽出し、チャンネル候補抽出部52に供給する。
【0032】
チャンネル候補抽出部52は、チャンネルの候補となる帯域を抽出して有効チャンネル確認部53に供給する。
【0033】
より詳細には、チャンネル候補抽出部52は、1次候補抽出部61乃至3次候補抽出部を備えている。1次候補抽出部61は、パワースペクトルの全帯域より、シンボルレートが、例えば、20MSpsより高い、比較的シンボルレートの高いチャンネル候補を抽出する。
【0034】
また、2次候補抽出部62は、パワースペクトルの全帯域のうち、1次候補抽出部61によりチャンネル候補が抽出された帯域を除外した帯域より、例えば、5乃至20MSps程度の、シンボルレートの高さが中程度の帯域のチャンネル候補を抽出する。
【0035】
さらに、3次候補抽出部63は、パワースペクトルの全帯域のうち、1次候補抽出部61および2次候補抽出部62によりチャンネル候補が求められている帯域を除外した帯域より、例えば、5MSpsよりシンボルレートの低いチャンネル候補を抽出する。尚、1次候補抽出部61乃至3次候補抽出部63により抽出されるチャンネル候補のシンボルレートについては、大小関係が満たされている限り、その他のシンボルレートのチャンネル候補が抽出されるようにしてもよい。
【0036】
また、1次候補抽出部61は、最大値最小値検出部71、線分生成部72、候補抽出部73、マルチパス候補抽出部74、およびチルト候補抽出部75を備えている。
【0037】
最大値最小値検出部71は、パワースペクトル取得部51より供給されてくるパワースペクトルの最大値および最小値を検出する。線分生成部72は、供給されてきたパワースペクトル上に、最大値最小値検出部71により検出された最大値および最小値に対して等間隔に目盛り状の間隔線を設定すると共に、間隔線上であってパワースペクトル間で挟まれる領域に線分を設定する。候補抽出部73は、線分生成部72により設定された線分のうち、中心位置がほぼ同一であって、かつ、ほぼ同一の長さの線分が複数に存在する、パワースペクトル上の台形状の領域をチャンネル候補として抽出する。
【0038】
マルチパス候補抽出部74は、パワースペクトル上でマルチパスを考慮した線分を設定してチャンネル候補を抽出する。より詳細には、マルチパス候補抽出部74は、パワースペクトル上で、候補抽出部73によりチャンネル候補として求められる台形状の領域について、隣接する台形状の領域間のディップ(マルチパスディップ)が、マルチパスにより生じたものとみなし、マルチパスディップがない場合に求められる台形状の領域を、マルチパスを考慮したチャンネル候補として抽出する。
【0039】
チルト候補抽出部75は、パワースペクトル上でチャンネル候補となる台形状の波形がチルトして(傾いて)いる状態を想定し、傾き成分となるチルト成分を補正した後、求められる台形状の波形に基づいて、チャンネル候補を抽出する。より詳細には、チルト候補抽出部75は、LPF(Low Pass Filter)75a、および減算器75bを備えており、波形が傾いている領域のパワースペクトルに対してLPF75aを掛けて平滑化することでチルト成分を抽出する。さらに、チルト候補抽出部75は、減算器75bを利用して、オリジナルの波形からチルト成分を減算することにより、見かけ上の傾きが除去されることにより求められる台形状の領域をチャンネル候補として抽出する。
【0040】
2次候補抽出部62は、最大値最小値検出部91、線分生成部92、候補抽出部93、マルチパス候補抽出部94、およびチルト候補抽出部95を備えている。
【0041】
尚、最大値最小値検出部91、線分生成部92、候補抽出部93、マルチパス候補抽出部94、およびチルト候補抽出部95(LPF95aおよび減算器95bを含む)は、それぞれ抽出されるチャンネル候補のシンボルレートが、1次候補抽出部61におけるシンボルレートよりも低いものとなることを除き、最大値最小値検出部71、線分生成部72、候補抽出部73、マルチパス候補抽出部74、およびチルト候補抽出部75(LPF75aおよび減算器75bを含む)と基本的に同一の機能を備えているので、その説明は省略するものとする。
【0042】
3次候補抽出部63は、ローカルピーク検出部111、定電力低下点検出部112、および候補抽出部113を備えている。ローカルピーク検出部111は、パワースペクトルの全帯域のうち、1次候補抽出部61および2次候補抽出部62によりチャンネル候補が抽出された帯域を除外する帯域において、ピークとなる位置を検出する。定電力低下点検出部112は、ローカルピークとなる位置から前後の帯域において、ローカルピーク点の前後の周波数において、そのパワー(電力)より所定値だけ低下する2点の定電力低下点の位置を検出する。候補抽出部113は、ローカルピーク点、および2点の定電力低下点となる合計3点を含む台形状の領域をチャンネル候補として抽出する。
【0043】
有効チャンネル確認部53は、チャンネル候補抽出部52より供給されてくるチャンネル候補となる帯域の情報に基づいて、それらがチャンネルとして有効であるか否かを確認する。より詳細には、有効チャンネル確認部53は、クロック同期確認部131、およびTS同期確認部132とを備えている。クロック同期確認部131は、チャンネル候補として抽出された帯域の信号を復調する際の初期に必要とされるクロックの同期が可能であるか否かを確認し、同期が可能であるチャンネル候補の情報を、TS同期確認部132に供給する。
【0044】
TS同期確認部132は、クロック同期確認部131によりクロックの同期が確認されているチャンネル候補について、復調処理における最終段階で生成されるTS(トランスポートストリーム)の再生に必要な同期が可能であるか否かを確認する。すなわち、TS同期が確認できた場合、チャンネル候補は、有効なチャンネルであることが確認されることになる。チャンネル候補のうち、有効なチャンネルであると確認できた場合、有効チャンネル確認部53は、有効なチャンネルとして確認されたチャンネル候補となる帯域の情報を有効チャンネル記憶部54に記憶させる。
【0045】
[チャンネルスキャン処理]
次に、図3のフローチャートを参照して、チャンネルスキャン処理について説明する。
【0046】
ステップS1において、デコード部22のパワースペクトル抽出部31は、パワースペクトル抽出処理を実行することで、チューナ21で受信可能な帯域の入力信号を順次取得し、周波数毎のパワースペクトルを求めて、チャンネルスキャン処理部23に供給する。尚、パワースペクトル抽出処理については、本出願人により出願されている特開2010−278911号公報を参照されたい。
【0047】
ステップS2において、チャンネルスキャン処理部23は、1次候補抽出処理を実行して、例えば、20MSpsよりも高い、比較的シンボルレートの高い有効なチャンネルを抽出して有効チャンネル記憶部54に記憶させる。尚、1次候補抽出処理については、図4のフローチャートを参照して、詳細を後述するものとする。
【0048】
ステップS3において、チャンネルスキャン処理部23は、2次候補抽出処理を実行して、全帯域のうち既にチャンネルが抽出されている帯域を除外する帯域より、例えば、5乃至20MSps程度の、中程度の高さのシンボルレートのチャンネルを抽出して有効チャンネル記憶部54に記憶させる。尚、2次候補抽出処理については、図9のフローチャートを参照して、詳細を後述するものとする。
【0049】
ステップS4において、チャンネルスキャン処理部23は、3次候補抽出処理を実行して、全帯域のうち既にチャンネルが抽出されている帯域を除外する帯域より、例えば、5MSpsより低い、比較的シンボルレートの低いチャンネルを抽出して有効チャンネル記憶部54に記憶させる。尚、3次候補抽出処理については、図10のフローチャートを参照して、詳細を後述するものとする。
【0050】
以上の処理により、シンボルレートの高さに応じて、比較的高速で抽出可能なシンボルレートの高いチャンネルから順次段階的に抽出すると共に、一旦、有効なチャンネルが求められた帯域については除外して、段階的にスキャンに時間の係るシンボルレートの低いチャンネルを抽出するようにすることで、有効チャンネルを高速で抽出することが可能となる。
【0051】
[1次候補抽出処理]
次に、図4のフローチャートを参照して、1次候補抽出処理について説明する。
【0052】
ステップS21において、パワースペクトル取得部51は、デコード部22より供給されてくるパワースペクトルを取得し、チャンネル候補抽出部52に供給する。これにより、1次候補抽出部61は、供給されてきたパワースペクトルを取得する。パワースペクトルは、例えば、図5の実線で示されるような波形である。尚、図5のパワースペクトルにおいては、横軸が周波数であり、縦軸がパワー(受信電力:dB)を示しているものである。
【0053】
ステップS22において、最大値最小値検出部71は、パワースペクトルにおける最大値、および最小値を検出する。例えば、図5のパワースペクトルの場合、最大値最小値検出部71は、図5における最大値Max、および最小値Minを検出する。
【0054】
ステップS23において、線分生成部72は、パワースペクトル、並びに最大値および最小値の情報に基づいて、パワースペクトル上に、チャンネル候補となる帯域を抽出するための線分を生成する。より詳細には、まず、線分生成部72は、例えば、図5のパワースペクトルの場合、最大値Maxおよび最小値Minの間に、一点鎖線で示されるように、等間隔の刻み線L1乃至L6を引く。次に、線分生成部72は、図6で示されるように、上述した刻み線上であって、パワースペクトルの上に凸となる波形に内包される部分に線分を生成する。より具体的には、線分生成部72は、例えば、図6の実線の矢印で示されるように、線分LL11,LL12,LL21乃至LL23,LL31乃至LL33,LL41乃至LL43,LL51乃至LL53,LL61乃至LL64,LL101,LL111,LL112,LL121を生成する。
【0055】
ステップS24において、候補抽出部73は、線分の情報に基づいて、1次候補となるチャンネル候補を抽出する。より具体的には、候補抽出部73は、線分のうち中心位置が近く、かつ、所定の長さ以上であって、類似する長さの線分が複数に存在する帯域については、チャンネルが存在するとされる台形状の波形が存在するものとみなして、その帯域をチャンネル候補として抽出し、有効チャンネル確認部53に供給する。尚、ここでいう所定の長さ以上であるとは、例えば、シンボルレートが20MSpsよりも高い帯域に対応する長さを示す。
【0056】
すなわち、図6の場合、点線で囲まれる線分LL11およびLL12からなるチャンネル候補Ch1、線分LL21乃至LL23からなるチャンネル候補Ch2、および線分LL31乃至LL33からなるチャンネル候補Ch3が、それぞれ候補となりうる。また、点線で囲まれる線分LL41乃至LL43からなるチャンネル候補Ch4、線分LL51乃至LL53からなるチャンネル候補Ch5、線分LL61乃至LL64からなるチャンネル候補Ch6が、それぞれ候補となりうる。この場合、候補抽出部73は、各チャンネル候補を構成する線分の長さの平均値、または最大値をシンボルレートにすると共に、線分の中心位置の平均周波数を中心周波数としたチャンネル候補として抽出する。
【0057】
尚、図6においては、線分LL101,LL111,LL112,LL121については、中心位置が近く、かつ、所定の長さ以上であって、類似する長さの線分が存在しないため、いずれについてもチャンネル候補から除外される。
【0058】
さらに、例えば、図6の線分LL21の長さが、帯域幅20MSpsであった場合、この候補チャンネルCh1乃至Ch6のうち、チャンネル候補Ch1,Ch4については、所定の長さ以上という条件を満たさないことになるため、除外されることになり、Ch2,Ch3,Ch5,Ch6が1次候補となるチャンネル候補として抽出されることになる。
【0059】
ステップS25において、マルチパス候補抽出部74は、マルチパスを考慮して、パワースペクトルのうち、隣接する複数の台形状の領域を1つのチャンネル候補となる台形状の領域にマルチパスディップが入ったものとみなして、チャンネル候補を抽出し、有効チャンネル確認部53に供給する。より具体的には、例えば、図7の上段で示されるように、線分LL211,LL212からなるチャンネル候補となる台形状領域と、線分LL201乃至LL203からなるチャンネル候補となる台形状領域とが存在している場合、マルチパス候補抽出部74は、図7の下段で示されるように、それらはマルチパスにより得られた同一のチャンネル候補となる同一の台形状領域にマルチパスディップDが入ったものとしてみなして、別途チャンネル候補として抽出する。すなわち、この場合、マルチパス候補抽出部74は、図7の下段において点線で示されるように、線分LL331乃至LL314が存在するものとして、チャンネル候補Ch11として抽出する。
【0060】
ステップS26において、チルト候補抽出部75は、パワースペクトルのうち、台形状波形が傾いているとみられる領域を台形状波形に整形して、チャンネル候補を抽出し、有効チャンネル確認部53に供給する。より具体的には、チルト候補抽出部75は、例えば、図8の上段における台形状波形W1で示されるような台形状波形が傾いているような波形を検出し、検出範囲をLPF75aにより平滑化し、例えば、図8の上段における点線で示されるチルト成分LPを求める。さらに、チルト候補抽出部75は、減算器75bを制御して、傾いていると見られる台形状波形W1からチルト成分LP1を減算させることにより、例えば、図8の下段で示されるような台形状波形W2を求める。チルト候補抽出部75は、このようにして求められた台形状波形W2を利用して、上述したようにシンボルレートおよび中心周波数を求めて、傾いた台形状波形をチャンネル候補として抽出する。
【0061】
すなわち、ステップS24乃至S26の処理により、そのままのパワースペクトルに含まれる台形状領域より求められるチャンネル候補、マルチパスを考慮して隣接する台形状領域を含めたチャンネル候補、および傾いた台形状領域より求められるチャンネル候補の3種類のチャンネル候補が抽出されて、有効チャンネル確認部53に供給される。有効チャンネル確認部53は、これらのチャンネル候補を図示せぬメモリに記憶する。
【0062】
ステップS27において、有効チャンネル確認部53は、クロック同期確認部131を制御して、上述した一連の処理により供給されてきたチャンネル候補について、それぞれデコードに必要とされる初期のクロックの同期を確認する。ここでなされるクロックの同期とは、デコード部22において、受信されたチャンネルの信号より映像および音声をデコードする際に必要とされる同期処理の中で最も初期の段階で必要とされるクロックの同期である。
【0063】
ステップS28において、有効チャンネル確認部53は、クロック同期確認部131によりクロックの同期が確認できなかったチャンネル候補を、図示せぬメモリに記憶していたチャンネル候補から除外する。すなわち、このクロックの同期が不能であるチャンネル候補では、例えば、デコードに際して必要とされる初期の処理さえもできないチャンネル候補であることが確認されることとなるので、直ちに有効なチャンネルではないことが確認される。したがって、クロック同期が確認できないチャンネル候補は、有効なチャンネルではないので、候補から除外される。
【0064】
ステップS29において、有効チャンネル確認部53は、TS同期確認部132を制御して、上述した一連の処理により供給されてきたチャンネル候補のうち、クロックの同期が確認されたチャンネル候補についてのみ、それぞれTS(トランスポートストリーム)の同期を確認する。ここでなされるTSの同期とは、デコード部22において、受信されたチャンネルの信号より映像および音声をデコードする際に、必要とされる同期処理であり、デコードに際して最後に必要とされる同期である。すなわち、TSの同期が確認されれば、映像および音声が正しくデコードされたことを示し、従って、チャンネル候補として抽出されたチャンネルが有効なチャンネルであることが確認されることになる。
【0065】
ステップS30において、有効チャンネル確認部53は、クロック同期確認部131によりクロックが同期され、かつ、TS同期確認部132によりTS同期が確認されたチャンネル候補を、有効なチャンネルとして有効チャンネル記憶部54に記憶させる。尚、TS同期確認部132によりなされるTS同期については、デコード部22によりなされるデコード処理を実質的に実行し、その結果得られる情報に基づいてなされることになる。したがって、TS同期は、ステップS27におけるクロック同期の確認処理よりも、処理時間が必要とされることになる。しかしながら、TS同期を確認する前の段階で、クロック同期が確認されることにより、チャンネル候補から明らかに除外すべきチャンネルが除外された後に、TS同期が確認されることにより、チャンネル候補が有効であるか否かを確認する処理を最小限とすることができるので、処理速度を高速化することが可能となる。
【0066】
以上の如く、1次候補抽出処理により、例えば、20MSpsより長い、シンボルレートが比較的高い有効なチャンネルを高速で抽出し、有効チャンネル記憶部54に記憶させることが可能となる。
【0067】
[2次候補抽出処理]
次に、図9のフローチャートを参照して、2次候補抽出処理について説明する。尚、図9のフローチャートを参照して説明する2次候補抽出処理については、抽出しようとする対象となるチャンネルのシンボルレートが1次候補抽出処理により抽出されるチャンネル候補より低くなることを除き、基本的な処理については、略同様である。このため、ステップS42乃至S50の処理については、その説明を適宜省略するものとする。
【0068】
すなわち、ステップS41において、2次候補抽出部62は、有効チャンネル記憶部54にアクセスし、既に有効なチャンネルとして登録されているチャンネルの情報を取得する。そして、2次候補抽出部62は、パワースペクトル取得部51より供給されてくるパワースペクトルのうち、有効なチャンネルとして登録されているチャンネルの帯域を処理対象から除外する。
【0069】
すなわち、図6を参照して説明したように、パワースペクトルのうち、チャンネル候補Ch2,Ch3,Ch5,Ch6が全て有効なチャンネルとして抽出されて、有効チャンネル記憶部54に記憶されている場合、図6の線分LL21の長さが、帯域幅20MSpsであったとき、以降のステップS42乃至S46の処理でチャンネル候補Ch1,Ch4が抽出されることになる。
【0070】
さらに、ステップS47乃至S50の処理により、チャンネル候補Ch1,Ch4が有効なチャンネルであるとみなされると、これらのチャンネル候補Ch1,Ch4が、それぞれ有効なチャンネルとして有効チャンネル記憶部54に記憶される。
【0071】
以上の如く、2次候補抽出処理によれば、例えば、5乃至20MSpsといったシンボルレートが中程度のチャンネルを有効チャンネルとして抽出することが可能となる。また、この際、1次候補抽出処理によりシンボルレート高い有効なチャンネルが先に抽出されることにより、それらの帯域が探索範囲から除外された状態で、よりシンボルレートの低いチャンネル候補を抽出するようにできるので、2次候補抽出処理によるチャンネル候補の抽出処理速度を高速化することが可能となる。
【0072】
[3次候補抽出処理]
次に、図10のフローチャートを参照して、3次候補抽出処理について説明する。尚、図10のフローチャートにおけるステップS69乃至S72については、図4を参照して説明したステップS27乃至S30と同様であるので、その説明は適宜省略するものとする。
【0073】
すなわち、ステップS61において、3次候補抽出部63は、有効チャンネル記憶部54にアクセスし、既に有効なチャンネルとして登録されているチャンネルの情報を取得する。そして、3次候補抽出部63は、パワースペクトル取得部51より供給されてくるパワースペクトルのうち、有効なチャンネルとして登録されているチャンネルの帯域を処理対象から除外する。
【0074】
ステップS62において、ローカルピーク検出部111は、処理対象となる帯域内において、ローカルピークを検出する。より詳細には、ローカルピーク検出部111は、所定の粗い周波数間隔で得られるパワーのうち、例えば、図11の上段の白三角で示されるパワーSP1,SP11,SP12の場合、図11の中段で示されるように、前後のパワーSP11,Sp12よりも大きな黒三角で示されるパワーSP1をローカルピークとして検出する。このようなローカルピークは、複数に検出される可能性があるが、ローカルピーク検出部111は、ローカルピークとして検出した周波数およびパワーをそれぞれ記憶する。
【0075】
ステップS63において、定電力低下点検出部112は、ローカルピーク検出部111が記憶しているローカルピークのうち、未処理のローカルピークを処理対象に設定する。
【0076】
ステップS64において、定電力低下点検出部112は、前方定電力低下点検出処理を実行し、ローカルピークとなる周波数Fより前方に存在する前方定電力低下点(ローカルピークとなる周波数よりも小さい方向に存在する定電力低下点)を検出する。
【0077】
[前方定電力低下点検出処理]
ここで、図12のフローチャートを参照して、前方定電力低下点検出処理について説明する。
【0078】
ステップS91において、定電力低下点検出部112は、カウンタkをk=1に設定し、カウンタAをA=α(定数:ローカルピークを検出する粗い周波数間隔に対して十分小さい値)に設定する。
【0079】
ステップS92において、定電力低下点検出部112は、処理対象となるローカルピークの周波数Fに対して、その前後の周波数F−Aのパワーを検出する。
【0080】
ステップS93において、定電力低下点検出部112は、検出した周波数F−Aのパワーがいずれもローカルピークのパワーの1/2よりも小さいか否かを判定する。すなわち、ローカルピークのパワーよりも1/2程度に定電力だけ小さくなっている点を、定電力低下点とみなし、対応する周波数の点であるか否かを判定する。
【0081】
ステップS93において、例えば、検出した周波数F±Aのパワーがいずれもローカルピークのパワーの1/2よりも小さくない場合、処理は、ステップS94に進む。
【0082】
ステップS94において、定電力低下点検出部112は、カウンタkを1インクリメントする。
【0083】
ステップS95において、定電力低下点検出部112は、カウンタAをA×2に更新し、処理は、ステップS92に戻る。すなわち、ローカルピークとして検出されたパワーSP1の周波数Fに対して、定電力低下点とみなされるまで、順次、その前方の周波数であって、周波数Fからの距離が2倍ずつ変化する周波数のパワーとの比較が繰り返される。
【0084】
すなわち、図13で示されるように、最初の処理で、ローカルピークであるパワーSP1に対して、その周波数Fの前方となる周波数F−A(A=d1)となるパワーSP101が定電力低下点であるか否かが判定される。ここで、定電力低下点ではないとみなされた場合、次の処理では、Aは2倍に更新された周波数F−A(A=d2=2×d1)のパワーSP111が定電力低下点であるか否かが判定される。また、ここで、定電力低下点ではないとみなされた場合、さらに次の処理では、Aが、さらに2倍に更新された周波数F−A(A=d3=2×d2=4×d1)のパワーSP121が定電力低下点であるか否かが判定される。
【0085】
すなわち、シンボルレートが高いほど必要分解能が粗くなるため、ローカルピークとなる周波数Fからの周波数上の距離が離れるにつれて、比較すべきパワーの間隔を広げることが可能となる。この結果、比較すべきパワーの点数を減少させながら高速で定電力低下点を検出させることが可能となる。
【0086】
そして、ステップS93において、例えば、図11の下段におけるパワーSP21で示されるように、ローカルピークとなるパワーSP1に対して、1/2となる定電力低下点であるとみなされた場合、処理は、ステップS96に進む。
【0087】
ステップS96において、候補抽出部113は、周波数(F−A)におけるパワーをローカルピークの周波数より前方に存在する(より周波数の小さい方向に存在する)定電力低下点であるものとみなして記憶する。
【0088】
以上の処理によりローカルピークとなる周波数Fよりも前方の周波数における定電力低下点を高速で検出することが可能となる。
【0089】
ここで、図10のフローチャートの説明に戻る。
【0090】
ステップS65において、定電力低下点検出部112は、後方定電力低下点検出処理を実行し、ローカルピークとなる周波数より後方に存在する(より周波数の大きい方向に存在する)定電力低下点を検出する。尚、後方定電力低下点検出処理は、図12を参照して説明した前方定電力低下点検出処理と基本的に同様であり、その説明は省略するものとする。ただし、後方定電力低下点検出処理においては、周波数Fに対してカウンタAが加算される点が異なり、定電力低下点としては、例えば、図11の下段で示されるように、パワーSP22が検出される。また、後方定電力低下点を検索する場合においても、図12におけるパワーSP102,SP112,SP122における距離d1’,d2’,d3’で示されるように、順次、周波数Fからの距離が2倍ずつ変化するように設定される。
【0091】
ステップS66において、候補抽出部113は、前方定電力低下点、および後方定電力低下点の情報に基づいて、2点の定電力低下点間の周波数上の位置の情報から中心周波数、およびシンボルレートを算出する。すなわち、図11の下段で示されるように、ローカルピークSP11に対する定電力低下点であるパワーSP21,SP22間の中心位置から中心周波数が求められ、同様にして、その2点間の距離からシンボルレートが求められる。
【0092】
ステップS67において、候補抽出部113は、ローカルピーク、およびシンボルレートの情報に基づいて算出された中心周波数およびシンボルレートのチャンネル候補を、有効チャンネル確認部53に供給する。
【0093】
ステップS68において、定電力低下点検出部112は、未処理となるローカルピークが存在するか否かを判定し、存在する場合、処理は、ステップS63に戻る。
【0094】
すなわち、未処理のローカルピークがなくなるまで、全てのローカルピークに対して定電力低下点が検出されて、3次候補となるチャンネル候補が登録されるまで、ステップS63乃至S68の処理が繰り返される。そして、ステップS68において、未処理のローカルピークが存在しないとみなされた場合、処理は、ステップS69に進む。
【0095】
そして、ステップS69乃至S72の処理により、チャンネル候補が有効であるか否かが確認されて、有効なチャンネルのみが有効チャンネル記憶部54に記憶される。
【0096】
以上の処理により、例えば、5MSpsよりもシンボルレートの低い狭帯域のチャンネルについては、5MSpsよりもシンボルレートの高い有効なチャンネルが抽出できた帯域を除外した帯域から抽出するだけでよく、検索範囲が限定されるため、より高速に抽出することが可能となる。
【0097】
また、一連のチャンネルスキャン処理により、シンボルレートの高い広帯域のチャンネルから、順次、有効なチャンネルが検出された帯域を除外しつつ、順次シンボルレートの低い狭帯域のチャンネルをスキャンすることで、有効なチャンネルを高速でスキャンできるようになるだけでなく、有効なチャンネルの読み落としを防止することが可能となる。
【0098】
尚、上述した定電力低下点の検出にあたり説明に使用したカウンタAは、ローカルピークを求める際の粗い周波数間隔に対して十分に小さな周波数間隔であることが望ましい。また、ローカルピークに対して、その前後の周波数の間隔を順次2倍とすることで定電力低下点を検出する例について説明したが、徐々に間隔が広くなるように設定されれば、必ずしも2倍にする必要はなく、例えば、1.5倍ずつ変化させたり、3倍ずつ変化させるようにしても良い。さらに、定電力低下点の検出にあたり、ローカルピークのパワーに対して、その半分のパワーとなる点を定電力低下点とする例について説明してきたが、一定の電力だけ低下していればよいので、その他の条件を低電力低下点の条件としてもよく、例えば、ローカルピークにおける受信電力に対して数dBだけ低下している点を定電力低下点とするようにしてもよい。
【0099】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0100】
図14は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0101】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)1001,ROM(Read Only Memory)1002,RAM(Random Access Memory)1003は、バス1004により相互に接続されている。
【0102】
バス1004には、さらに、入出力インタフェース1005が接続されている。入出力インタフェース1005には、入力部1006、出力部1007、記憶部1008、通信部1009、及びドライブ1010が接続されている。
【0103】
入力部1006は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部1007は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部1008は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部1009は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ1010は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011を駆動する。
【0104】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU1001が、例えば、記憶部1008に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0105】
コンピュータ(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0106】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記憶部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記憶部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記憶部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0107】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0108】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0109】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0110】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0111】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0112】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0113】
尚、本技術は、以下のような構成も取ることができる。
(1) 入力信号の周波数毎のパワーレベルをパワースペクトルとして抽出するパワースペクトル抽出部と、
前記パワースペクトルを構成する波形の形状が台形状となる範囲を、チャンネル候補であるものと推定し、抽出する第1のチャンネル候補抽出部と
を含むチャンネルスキャン装置。
(2) 前記第1のチャンネル候補抽出部は、前記パワースペクトルを構成する波形のうち、前記台形状の範囲の中心位置、および幅に基づいて、前記チャンネル候補の中心周波数、およびシンボルレートであるものと推定する
(1)に記載のチャンネルスキャン装置。
(3) 前記第1のチャンネル候補抽出部により、全帯域より、所定のシンボルレートよりも高いシンボルレートのチャンネル候補が抽出された後、前記所定のシンボルレートよりも高いシンボルレートのチャンネル候補が抽出できた帯域を除外する帯域より、前記第1のチャンネル候補抽出部の手法と同様の手法で、前記所定のシンボルレートよりも低いシンボルレートのチャンネル候補を抽出する第2のチャンネル候補抽出部をさらに含む
(1)または(2)に記載のチャンネルスキャン装置。
(4) 前記第1のチャンネル候補抽出部は、前記パワースペクトルの波形のうち、所定の勾配からなるチルト成分を含む波形について、前記チルト成分を含む波形を補正した後、前記パワースペクトルのうちの台形状の波形の範囲をチャンネル候補として抽出する
(1)乃至(3)のいずれかに記載のチャンネルスキャン装置。
(5) 前記チルト成分を含むパワースペクトルの波形より前記チルト成分を低周波成分として抽出するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタにより抽出されたチルト成分を、前記チルト成分を含む波形より減算する減算部とをさらに含み、
前記第1のチャンネル候補抽出部は、前記ローパスフィルタを制御して、前記チルト成分を含むパワースペクトルの波形よりチルト成分を抽出させ、さらに、前記減算部を制御して、前記チルト成分を含む波形から、前記ローパスフィルタにより抽出されたチルト成分を減算させることで、前記チルト成分を含む波形を補正した後、補正された前記パワースペクトルの波形のうち、前記台形状の範囲をチャンネル候補として抽出する
(4)に記載のチャンネルスキャン装置。
(6) 前記第1のチャンネル候補抽出部は、前記パワースペクトルの波形の台形状の範囲のうち、隣接する複数の台形状の範囲を1のチャンネル候補として抽出する
(1)乃至(5)のいずれかに記載のチャンネルスキャン装置。
(7) 前記第1のチャンネル候補抽出部によりチャンネル候補が抽出できた帯域を除外する帯域について、前記パワースペクトルのピーク位置、および前記ピーク位置よりも所定値だけ小さな2の位置より構成される台形状のパワースペクトルの波形を構成する範囲をチャンネル候補として抽出する第3のチャンネル候補抽出部を含む
(1)乃至(6)のいずれかに記載のチャンネルスキャン装置。
(8) 前記第3のチャンネル候補抽出部は、前記第1のチャンネル候補抽出部によりチャンネル候補が抽出できた帯域を除外する帯域について、前記ピーク位置より段階的に離れた距離のパワースペクトルの値を順次求めることにより、前記ピーク位置よりも所定値だけ小さな2の位置を検出し、前記パワースペクトルのピーク位置、および前記ピーク位置よりも所定値だけ小さな2の位置より構成される台形状のパワースペクトルの波形の範囲をチャンネル候補として抽出する
(7)に記載のチャンネルスキャン装置。
(9) 前記チャンネル候補抽出部により抽出されたチャンネル候補のうち、チャンネルとして有効であるか否かを確認するチャンネル確認部と、
前記チャンネル確認部により有効なチャンネルであると確認されたチャンネルを記憶するチャンネル記憶部とを含む
(1)乃至(8)のいずれかに記載のチャンネルスキャン装置。
(10)
前記チャンネル候補における信号の復調処理の初期段階で必要とされるクロックが同期できるか否かを確認するクロック同期確認部と、
前記クロック同期確認部により同期が確認されたチャンネル候補における、前記復調処理の最終段階である前記トランスポートストリームの同期再生が可能であるか否かを確認するトランスポートストリーム同期確認部とをさらに含み、
前記チ
ャンネル確認部は、前記チャンネル候補抽出部により抽出されたチャンネル候補のうち、前記トランスポートストリーム同期確認部により前記トランスポートストリームが再生可能であることが確認されたチャンネル候補を、前記チャンネルとして有効であるものとして確認する
(9)に記載のチャンネルスキャン装置。
(11) チャンネルスキャン装置のチャンネルスキャン方法であって、
入力信号の周波数毎のパワーレベルをパワースペクトルとして抽出するパワースペクトル抽出処理をし、
前記パワースペクトルを構成する波形の形状が台形状となる範囲を、チャンネル候補であるものと推定し、抽出する第1のチャンネル候補抽出処理をする
ステップを含むチャンネルスキャン方法。
(12) チャンネルスキャン装置を制御するコンピュータを、
入力信号の周波数毎のパワーレベルをパワースペクトルとして抽出するパワースペクトル抽出部と、
前記パワースペクトルを構成する波形の形状が台形状となる範囲を、チャンネル候補であるものと推定し、抽出する第1のチャンネル候補抽出部と
して機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0114】
11 信号処理装置, 21 チューナ, 22 デコード部, 23 チャンネルスキャン処理部, 31 パワースペクトル抽出部, 51 パワースペクトル取得部, 52 チャンネル候補抽出部, 53 有効チャンネル確認部, 54 有効チャンネル記憶部, 61 1次候補抽出部, 62 2次候補抽出部, 63 3次候補抽出部, 71 最大値最小値検出部, 72 線分生成部, 73 候補抽出部, 74 マルチパス候補抽出部, 75 チルト候補抽出部, 91 最大値最小値検出部, 92 線分生成部, 93 候補抽出部, 94 マルチパス候補抽出部, 95 チルト候補抽出部, 111 ローカルピーク検出部, 112 定電力低下点検出部, 113 候補抽出部, 131 クロック同期確認部, 132 TS同期確認部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の周波数毎のパワーレベルをパワースペクトルとして抽出するパワースペクトル抽出部と、
前記パワースペクトルを構成する波形の形状が台形状となる範囲を、チャンネル候補であるものと推定し、抽出する第1のチャンネル候補抽出部と
を含むチャンネルスキャン装置。
【請求項2】
前記第1のチャンネル候補抽出部は、前記パワースペクトルを構成する波形のうち、前記台形状の範囲の中心位置、および幅に基づいて、前記チャンネル候補の中心周波数、およびシンボルレートであるものと推定する
請求項1に記載のチャンネルスキャン装置。
【請求項3】
前記第1のチャンネル候補抽出部により、全帯域より、所定のシンボルレートよりも高いシンボルレートのチャンネル候補が抽出された後、前記所定のシンボルレートよりも高いシンボルレートのチャンネル候補が抽出できた帯域を除外する帯域より、前記第1のチャンネル候補抽出部の手法と同様の手法で、前記所定のシンボルレートよりも低いシンボルレートのチャンネル候補を抽出する第2のチャンネル候補抽出部をさらに含む
請求項1に記載のチャンネルスキャン装置。
【請求項4】
前記第1のチャンネル候補抽出部は、前記パワースペクトルの波形のうち、所定の勾配からなるチルト成分を含む波形について、前記チルト成分を含む波形を補正した後、前記パワースペクトルのうちの台形状の波形の範囲をチャンネル候補として抽出する
請求項1に記載のチャンネルスキャン装置。
【請求項5】
前記チルト成分を含むパワースペクトルの波形より前記チルト成分を低周波成分として抽出するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタにより抽出されたチルト成分を、前記チルト成分を含む波形より減算する減算部とをさらに含み、
前記第1のチャンネル候補抽出部は、前記ローパスフィルタを制御して、前記チルト成分を含むパワースペクトルの波形よりチルト成分を抽出させ、さらに、前記減算部を制御して、前記チルト成分を含む波形から、前記ローパスフィルタにより抽出されたチルト成分を減算させることで、前記チルト成分を含む波形を補正した後、補正された前記パワースペクトルの波形のうち、前記台形状の範囲をチャンネル候補として抽出する
請求項4に記載のチャンネルスキャン装置。
【請求項6】
前記第1のチャンネル候補抽出部は、前記パワースペクトルの波形の台形状の範囲のうち、隣接する複数の台形状の範囲を1のチャンネル候補として抽出する
請求項1に記載のチャンネルスキャン装置。
【請求項7】
前記第1のチャンネル候補抽出部によりチャンネル候補が抽出できた帯域を除外する帯域について、前記パワースペクトルのピーク位置、および前記ピーク位置よりも所定値だけ小さな2の位置より構成される台形状のパワースペクトルの波形を構成する範囲をチャンネル候補として抽出する第3のチャンネル候補抽出部を含む
請求項1に記載のチャンネルスキャン装置。
【請求項8】
前記第3のチャンネル候補抽出部は、前記第1のチャンネル候補抽出部によりチャンネル候補が抽出できた帯域を除外する帯域について、前記ピーク位置より段階的に離れた距離のパワースペクトルの値を順次求めることにより、前記ピーク位置よりも所定値だけ小さな2の位置を検出し、前記パワースペクトルのピーク位置、および前記ピーク位置よりも所定値だけ小さな2の位置より構成される台形状のパワースペクトルの波形の範囲をチャンネル候補として抽出する
請求項7に記載のチャンネルスキャン装置。
【請求項9】
前記チャンネル候補抽出部により抽出されたチャンネル候補のうち、チャンネルとして有効であるか否かを確認するチャンネル確認部と、
前記チャンネル確認部により有効なチャンネルであると確認されたチャンネルを記憶するチャンネル記憶部とを含む
請求項1に記載のチャンネルスキャン装置。
【請求項10】
前記チャンネル候補における信号の復調処理の初期段階で必要とされるクロックが同期できるか否かを確認するクロック同期確認部と、
前記クロック同期確認部により同期が確認されたチャンネル候補における、前記復調処理の最終段階である前記トランスポートストリームの同期再生が可能であるか否かを確認するトランスポートストリーム同期確認部とをさらに含み、
前記チャンネル確認部は、前記チャンネル候補抽出部により抽出されたチャンネル候補のうち、前記トランスポートストリーム同期確認部により前記トランスポートストリームが再生可能であることが確認されたチャンネル候補を、前記チャンネルとして有効であるものとして確認する
請求項9に記載のチャンネルスキャン装置。
【請求項11】
チャンネルスキャン装置のチャンネルスキャン方法であって、
入力信号の周波数毎のパワーレベルをパワースペクトルとして抽出するパワースペクトル抽出処理をし、
前記パワースペクトルを構成する波形の形状が台形状となる範囲を、チャンネル候補であるものと推定し、抽出する第1のチャンネル候補抽出処理をする
ステップを含むチャンネルスキャン方法。
【請求項12】
チャンネルスキャン装置を制御するコンピュータを、
入力信号の周波数毎のパワーレベルをパワースペクトルとして抽出するパワースペクトル抽出部と、
前記パワースペクトルを構成する波形の形状が台形状となる範囲を、チャンネル候補であるものと推定し、抽出する第1のチャンネル候補抽出部と
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−115477(P2013−115477A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257444(P2011−257444)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】