チルトミラーの不釣合い修正方法
【課題】異なる傾斜反射面を有するチルトミラーの初期不釣合いが小さくなるように、簡単で楽な計算で行なうことができ、チルトミラーの不釣合い修正方法を得る。
【解決手段】異なる傾斜反射面2を有するチルトミラー3をCAD上で、該チルトミラーを厚さ方向に上側と下側に2分割し、CADに備えられた設計図面部品の重心位置計算機能を用いて、前記チルトミラーの上側と下側のどの位置に、どのような形状の不釣合い修正用穴を形成すれば重心が回転中心にくるのかを計算する上側重心位置計算および下側重心位置計算とからなる重心位置計算工程と、この重心位置計算工程の計算に基づき、上側不釣合い修正用穴9と下側不釣合い修正用穴10を各々個別に設計する不釣合い修正穴設計工程と、この不釣合い修正穴設計工程後に前記チルトミラーの上側と下側に不釣合い修正用穴を形成する不釣合い修正穴形成工程とでチルトミラーの不釣合い修正方法を構成している。
【解決手段】異なる傾斜反射面2を有するチルトミラー3をCAD上で、該チルトミラーを厚さ方向に上側と下側に2分割し、CADに備えられた設計図面部品の重心位置計算機能を用いて、前記チルトミラーの上側と下側のどの位置に、どのような形状の不釣合い修正用穴を形成すれば重心が回転中心にくるのかを計算する上側重心位置計算および下側重心位置計算とからなる重心位置計算工程と、この重心位置計算工程の計算に基づき、上側不釣合い修正用穴9と下側不釣合い修正用穴10を各々個別に設計する不釣合い修正穴設計工程と、この不釣合い修正穴設計工程後に前記チルトミラーの上側と下側に不釣合い修正用穴を形成する不釣合い修正穴形成工程とでチルトミラーの不釣合い修正方法を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異なる傾斜反射面を有するチルトミラーの不釣合い修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる傾斜反射面を有するチルトミラーを搭載したラスタスキャニング装置は、チルトミラーの上面に不釣合い修正用の穴を設けるため、初期動不釣合いが大きくなり、いきなり所定の回転数で動不釣合いを修正することができない。
例えば、定格が2万回転であれば、1回目は5000回転である程度の動不釣合いを修正し、次に1万回転で修正し、そして2万回転で修正するという具合に、徐々に回転数を上げて動不釣合いを修正する必要があり、工数がかかるとともに、動不釣合いが大きいため、修正用重りも多く必要であるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−8920
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、異なる傾斜反射面を有するチルトミラーの初期動不釣合いが小さくなるように、簡単で楽な計算で行なうことができ、例えば、いきなり定格回転で動不釣合いを修正できるようにして、工数の大幅な低減や時間の短縮を図ることができるチルトミラーの不釣合い修正方法を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は異なる傾斜反射面を有するチルトミラーをCAD上で、該チルトミラーを厚さ方向に上側と下側に2分割し、CADに備えられた設計図面部品の重心位置計算機能を用いて、前記チルトミラーの上側と下側のどの位置に、どのような形状の不釣合い修正用穴を形成すれば重心が回転中心にくるのかを計算する上側重心位置計算および下側重心位置計算とからなる重心位置計算工程と、この重心位置計算工程の計算に基づき、上側不釣合い修正穴と下側不釣合い修正穴を各々個別に設計する不釣合い修正穴設計工程と、この不釣合い修正穴設計工程後に前記チルトミラーの上側と下側に不釣合い修正用穴を形成する不釣合い修正穴形成工程とでチルトラーのバランス修正方法を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)異なる傾斜反射面を有するチルトミラーをCAD上で、該チルトミラーを厚さ方向に上側と下側に2分割し、CADに備えられた設計図面部品の重心位置計算機能を用いて、前記チルトミラーの上側と下側のどの位置に、どのような形状の不釣合い修正用穴を形成すれば重心が回転中心にくるのかを計算する上側重心位置計算および下側重心位置計算とからなる重心位置計算工程と、この重心位置計算工程の計算に基づき、上側不釣合い修正穴と下側不釣合い修正穴を各々個別に設計する不釣合い修正穴設計工程と、この不釣合い修正穴設計工程後に前記チルトミラーの上側と下側に不釣合い修正用穴を形成する不釣合い修正穴形成工程とからなるので、CADの重心位置の計算ソフトを用いて、チルトミラーの上側と下側のどの位置に、どのような形状の穴を形成すれば重心が回転中心にくるかを計算することができる。
したがって、計算を容易にすることができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、チルトミラーの上側と下側に不釣合い修正用の穴を形成するので、初期動不釣合いを小さくすることができる。
したがって、いきなり定格回転で動不釣合いを修正することができるとともに、この動不釣合い修正に使用する重りも少なくて済むので、動不釣合い修正の工数を大幅に短縮して、短時間に動不釣合い修正ができ、生産性の向上を図ることができる。
【0010】
(3)前記(1)によって、CADに備えられた設計図面部品の重心位置計算機能を用いて、不釣合い修正用の穴をどの位置に、どのような形状の穴を形成するかを計算するので、従来の熟練者の勘に頼った修正に比べ、確実で、かつ短時間に動不釣合い修正を行なうことができる。
【0011】
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、不釣合い修正用の穴の加工が容易にできるとともに、ミラーへ悪影響を与えるのを効率よく防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の工程図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の計算工程の説明図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の不釣合い修正用穴形成工程の説明図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態の不釣合い修正用穴を形成したチルトミラーの平面図。
【図5】図4の5−5線に沿う断面図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の不釣合い修正用穴を形成したチルトミラーの底面図。
【図7】図6の7−7線に沿う断面図。
【図8】本発明を実施するための第1の形態のモータに取付けた状態の平面図。
【図9】本発明を実施するための第1の形態のモータに取付けた状態の正面図。
【図10】チルトミラーの重心位置の設定手順を説明する断面図。
【図11】チルトミラーの重心位置の設定手順を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1ないし図11に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明のチルトミラーの不釣合い修正方法で、このチルトミラーの不釣合い修正方法1はチルトミラーの初期不釣合い量を修正するもので、8個の異なる傾斜反射面2を有するチルトミラー3をCAD4上で、該チルトミラー3を厚さ方向に反基準面の上側5と基準面の下側6に2分割し、CAD4に備えられた設計図面部品の重心位置計算機能7を用いて、前記チルトミラー3の上側5と下側6のどの位置に、どのような形状の不釣合い修正用穴を形成すれば重心が回転中心にくるのかを計算する上側重心位置計算および下側重心位置計算とからなる重心位置計算工程8と、この重心位置計算工程8の計算に基づき、上側修正穴設計、上側重心位置確認および下側修正穴設計、下側重心位置確認後にCAD4上で合成し、重心位置確認を行なう不釣合い修正穴設計工程8Aと、この不釣合い修正穴設計工程8A後に前記チルトミラー3の上側5と下側6に不釣合い修正用穴9、10をフライス盤等で形成する不釣合い修正穴形成工程11とで構成されている。
【0015】
なお、重心位置の設定手順を図10および図11を用いて説明する。
(1) チルトミラー3を2分割した形状にする。
2分割した片方について、下記手順にて重心位置を計算する。
(2) この状態での重心位置を求める。g1とする。
重心位置修正用の穴が無い状態のものとする。
(3) 回転中心軸からg1の距離を求める。e1とする。
(4) チルトミラー3を2分割した形状の質量を求める。m1とする。
重心位置修正用の穴が無い状態のものとする。
(5) 穴をあける位置回転中心軸からの距離を検討する。r1とする。
これは、ミラー鏡面部に近づきすぎない事と、ミラー締結用の部品に干渉しない、またはミラー搭載面に干渉しない位置とする。
(6) 下記計算式を基に、穴の大きさ、深さを求める。
1)穴をあける分の質量を求める。M1とする。
m1e1=r1M1
M1=m1e1/r1
2)M1からアルミの比重2.7で割り、穴をあける分の体積を求める。V1とする。
V1=M1/2.7アルミの比重
3)穴の深さは2分割したチルトミラー3の高さh1) として、穴の直径を求める。x1とする。
V1=π((x1/2^2) h1
x1=2*((V1/πh1) ) ^1/2
4)穴の直径は「x1」、深さは「h1」、位置は「r1」となる。
r1は回転中心軸とg1を結んだ線の延長線上になる。
(7) CAD4に前記6にて求められた穴を作図する。
【0016】
前記不釣合い修正用穴形成工程11のチルトミラー3の上側5と下側6に形成する不釣合い修正用穴9、10はチルトミラー3のミラー面の加工時の精度への影響が出ることなく、かつチルトミラーの締結する部品に干渉しない部位のチルトミラーを押える基準面を避け、加工が容易な丸穴で形成されている。
【0017】
このようなチルトミラーの不釣合い修正方法1で初期不釣合い量を修正されたチルトミラー3は、図8および図9に示すように動圧気体軸受を備えるモータ12のシャフト13に取付けられ、5000r/minでロータを回転させ、A部およびB部に重りを塗布して、回転部のみで動不釣合い修正を行なって、修正を行なっている。
なお、本出願人の実験では、本発明の初期不釣合い量を修正したサンプル1では、初期動不釣合い量が49.4mgで、動不釣合い修正に要した時間が6分であった。また、本発明の初期不釣合い量を修正したサンプル2では、初期動不釣合い量が45.8mgで、動不釣合い修正に要した時間は6分であった。
これに対して、従来のチルトミラーの上側に不釣合い修正用穴を形成したものは、初期動不釣合い量が130.0mgで、動不釣合い修正に要した時間は19分であったので、従来と本願とを比較すると、本願は、初期動不釣合い量は約1/2.7、所要の動不釣合い量を得るまでの修正にかかった時間は約1/3というように効率よく所要の動不釣合い量を得ることができた。
【0018】
なお、前記本発明を実施する形態では8個の異なる傾斜反射面を有するチルトミラー3について説明したが、本発明はこれに限らず、8個以上、以下の異なる傾斜反射面を有するチルトミラーにも同様に用いることができる。
また、不釣合い修正用穴として、丸穴を形成するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、同心円上に形成された長孔であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は異なる傾斜反射面を有するチルトミラーの不釣合い修正方法で、チルトミラーを製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0020】
1:チルトミラーの不釣合い修正方法、
2:傾斜反射面、 3:チルトミラー、
4:CAD、 5:上側、
6:下側、 7:重心位置計算機能、
8:重心位置計算工程、
8A:不釣合い修正穴設計工程、
9:上側不釣合い修正用穴、 10:下側不釣合い修正用穴、
11:不釣合い修正用穴形成工程、
12:モータ、 13:シャフト。
【技術分野】
【0001】
本発明は異なる傾斜反射面を有するチルトミラーの不釣合い修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる傾斜反射面を有するチルトミラーを搭載したラスタスキャニング装置は、チルトミラーの上面に不釣合い修正用の穴を設けるため、初期動不釣合いが大きくなり、いきなり所定の回転数で動不釣合いを修正することができない。
例えば、定格が2万回転であれば、1回目は5000回転である程度の動不釣合いを修正し、次に1万回転で修正し、そして2万回転で修正するという具合に、徐々に回転数を上げて動不釣合いを修正する必要があり、工数がかかるとともに、動不釣合いが大きいため、修正用重りも多く必要であるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−8920
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、異なる傾斜反射面を有するチルトミラーの初期動不釣合いが小さくなるように、簡単で楽な計算で行なうことができ、例えば、いきなり定格回転で動不釣合いを修正できるようにして、工数の大幅な低減や時間の短縮を図ることができるチルトミラーの不釣合い修正方法を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は異なる傾斜反射面を有するチルトミラーをCAD上で、該チルトミラーを厚さ方向に上側と下側に2分割し、CADに備えられた設計図面部品の重心位置計算機能を用いて、前記チルトミラーの上側と下側のどの位置に、どのような形状の不釣合い修正用穴を形成すれば重心が回転中心にくるのかを計算する上側重心位置計算および下側重心位置計算とからなる重心位置計算工程と、この重心位置計算工程の計算に基づき、上側不釣合い修正穴と下側不釣合い修正穴を各々個別に設計する不釣合い修正穴設計工程と、この不釣合い修正穴設計工程後に前記チルトミラーの上側と下側に不釣合い修正用穴を形成する不釣合い修正穴形成工程とでチルトラーのバランス修正方法を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)異なる傾斜反射面を有するチルトミラーをCAD上で、該チルトミラーを厚さ方向に上側と下側に2分割し、CADに備えられた設計図面部品の重心位置計算機能を用いて、前記チルトミラーの上側と下側のどの位置に、どのような形状の不釣合い修正用穴を形成すれば重心が回転中心にくるのかを計算する上側重心位置計算および下側重心位置計算とからなる重心位置計算工程と、この重心位置計算工程の計算に基づき、上側不釣合い修正穴と下側不釣合い修正穴を各々個別に設計する不釣合い修正穴設計工程と、この不釣合い修正穴設計工程後に前記チルトミラーの上側と下側に不釣合い修正用穴を形成する不釣合い修正穴形成工程とからなるので、CADの重心位置の計算ソフトを用いて、チルトミラーの上側と下側のどの位置に、どのような形状の穴を形成すれば重心が回転中心にくるかを計算することができる。
したがって、計算を容易にすることができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、チルトミラーの上側と下側に不釣合い修正用の穴を形成するので、初期動不釣合いを小さくすることができる。
したがって、いきなり定格回転で動不釣合いを修正することができるとともに、この動不釣合い修正に使用する重りも少なくて済むので、動不釣合い修正の工数を大幅に短縮して、短時間に動不釣合い修正ができ、生産性の向上を図ることができる。
【0010】
(3)前記(1)によって、CADに備えられた設計図面部品の重心位置計算機能を用いて、不釣合い修正用の穴をどの位置に、どのような形状の穴を形成するかを計算するので、従来の熟練者の勘に頼った修正に比べ、確実で、かつ短時間に動不釣合い修正を行なうことができる。
【0011】
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、不釣合い修正用の穴の加工が容易にできるとともに、ミラーへ悪影響を与えるのを効率よく防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の工程図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の計算工程の説明図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の不釣合い修正用穴形成工程の説明図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態の不釣合い修正用穴を形成したチルトミラーの平面図。
【図5】図4の5−5線に沿う断面図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の不釣合い修正用穴を形成したチルトミラーの底面図。
【図7】図6の7−7線に沿う断面図。
【図8】本発明を実施するための第1の形態のモータに取付けた状態の平面図。
【図9】本発明を実施するための第1の形態のモータに取付けた状態の正面図。
【図10】チルトミラーの重心位置の設定手順を説明する断面図。
【図11】チルトミラーの重心位置の設定手順を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1ないし図11に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明のチルトミラーの不釣合い修正方法で、このチルトミラーの不釣合い修正方法1はチルトミラーの初期不釣合い量を修正するもので、8個の異なる傾斜反射面2を有するチルトミラー3をCAD4上で、該チルトミラー3を厚さ方向に反基準面の上側5と基準面の下側6に2分割し、CAD4に備えられた設計図面部品の重心位置計算機能7を用いて、前記チルトミラー3の上側5と下側6のどの位置に、どのような形状の不釣合い修正用穴を形成すれば重心が回転中心にくるのかを計算する上側重心位置計算および下側重心位置計算とからなる重心位置計算工程8と、この重心位置計算工程8の計算に基づき、上側修正穴設計、上側重心位置確認および下側修正穴設計、下側重心位置確認後にCAD4上で合成し、重心位置確認を行なう不釣合い修正穴設計工程8Aと、この不釣合い修正穴設計工程8A後に前記チルトミラー3の上側5と下側6に不釣合い修正用穴9、10をフライス盤等で形成する不釣合い修正穴形成工程11とで構成されている。
【0015】
なお、重心位置の設定手順を図10および図11を用いて説明する。
(1) チルトミラー3を2分割した形状にする。
2分割した片方について、下記手順にて重心位置を計算する。
(2) この状態での重心位置を求める。g1とする。
重心位置修正用の穴が無い状態のものとする。
(3) 回転中心軸からg1の距離を求める。e1とする。
(4) チルトミラー3を2分割した形状の質量を求める。m1とする。
重心位置修正用の穴が無い状態のものとする。
(5) 穴をあける位置回転中心軸からの距離を検討する。r1とする。
これは、ミラー鏡面部に近づきすぎない事と、ミラー締結用の部品に干渉しない、またはミラー搭載面に干渉しない位置とする。
(6) 下記計算式を基に、穴の大きさ、深さを求める。
1)穴をあける分の質量を求める。M1とする。
m1e1=r1M1
M1=m1e1/r1
2)M1からアルミの比重2.7で割り、穴をあける分の体積を求める。V1とする。
V1=M1/2.7アルミの比重
3)穴の深さは2分割したチルトミラー3の高さh1) として、穴の直径を求める。x1とする。
V1=π((x1/2^2) h1
x1=2*((V1/πh1) ) ^1/2
4)穴の直径は「x1」、深さは「h1」、位置は「r1」となる。
r1は回転中心軸とg1を結んだ線の延長線上になる。
(7) CAD4に前記6にて求められた穴を作図する。
【0016】
前記不釣合い修正用穴形成工程11のチルトミラー3の上側5と下側6に形成する不釣合い修正用穴9、10はチルトミラー3のミラー面の加工時の精度への影響が出ることなく、かつチルトミラーの締結する部品に干渉しない部位のチルトミラーを押える基準面を避け、加工が容易な丸穴で形成されている。
【0017】
このようなチルトミラーの不釣合い修正方法1で初期不釣合い量を修正されたチルトミラー3は、図8および図9に示すように動圧気体軸受を備えるモータ12のシャフト13に取付けられ、5000r/minでロータを回転させ、A部およびB部に重りを塗布して、回転部のみで動不釣合い修正を行なって、修正を行なっている。
なお、本出願人の実験では、本発明の初期不釣合い量を修正したサンプル1では、初期動不釣合い量が49.4mgで、動不釣合い修正に要した時間が6分であった。また、本発明の初期不釣合い量を修正したサンプル2では、初期動不釣合い量が45.8mgで、動不釣合い修正に要した時間は6分であった。
これに対して、従来のチルトミラーの上側に不釣合い修正用穴を形成したものは、初期動不釣合い量が130.0mgで、動不釣合い修正に要した時間は19分であったので、従来と本願とを比較すると、本願は、初期動不釣合い量は約1/2.7、所要の動不釣合い量を得るまでの修正にかかった時間は約1/3というように効率よく所要の動不釣合い量を得ることができた。
【0018】
なお、前記本発明を実施する形態では8個の異なる傾斜反射面を有するチルトミラー3について説明したが、本発明はこれに限らず、8個以上、以下の異なる傾斜反射面を有するチルトミラーにも同様に用いることができる。
また、不釣合い修正用穴として、丸穴を形成するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、同心円上に形成された長孔であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は異なる傾斜反射面を有するチルトミラーの不釣合い修正方法で、チルトミラーを製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0020】
1:チルトミラーの不釣合い修正方法、
2:傾斜反射面、 3:チルトミラー、
4:CAD、 5:上側、
6:下側、 7:重心位置計算機能、
8:重心位置計算工程、
8A:不釣合い修正穴設計工程、
9:上側不釣合い修正用穴、 10:下側不釣合い修正用穴、
11:不釣合い修正用穴形成工程、
12:モータ、 13:シャフト。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる傾斜反射面を有するチルトミラーをCAD上で、該チルトミラーを厚さ方向に上側と下側に2分割し、CADに備えられた設計図面部品の重心位置計算機能を用いて、前記チルトミラーの上側と下側のどの位置に、どのような形状の不釣合い修正用穴を形成すれば重心が回転中心にくるのかを計算する上側重心位置計算および下側重心位置計算とからなる重心位置計算工程と、この重心位置計算工程の計算に基づき、上側不釣合い修正穴と下側不釣合い修正穴を各々個別に設計する不釣合い修正穴設計工程と、この不釣合い修正穴設計工程後に前記チルトミラーの上側と下側に不釣合い修正用穴を形成する不釣合い修正穴形成工程とからなることを特徴とするチルトミラーの不釣合い修正方法。
【請求項2】
不釣合い修正用穴形成工程のチルトミラーの上側と下側に形成する不釣合い修正用穴はチルトミラーを押える基準面を避け、丸穴で形成されていることを特徴とする請求項1記載のチルトミラーの不釣合い修正方法。
【請求項1】
異なる傾斜反射面を有するチルトミラーをCAD上で、該チルトミラーを厚さ方向に上側と下側に2分割し、CADに備えられた設計図面部品の重心位置計算機能を用いて、前記チルトミラーの上側と下側のどの位置に、どのような形状の不釣合い修正用穴を形成すれば重心が回転中心にくるのかを計算する上側重心位置計算および下側重心位置計算とからなる重心位置計算工程と、この重心位置計算工程の計算に基づき、上側不釣合い修正穴と下側不釣合い修正穴を各々個別に設計する不釣合い修正穴設計工程と、この不釣合い修正穴設計工程後に前記チルトミラーの上側と下側に不釣合い修正用穴を形成する不釣合い修正穴形成工程とからなることを特徴とするチルトミラーの不釣合い修正方法。
【請求項2】
不釣合い修正用穴形成工程のチルトミラーの上側と下側に形成する不釣合い修正用穴はチルトミラーを押える基準面を避け、丸穴で形成されていることを特徴とする請求項1記載のチルトミラーの不釣合い修正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−2675(P2011−2675A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146059(P2009−146059)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000105659)日本電産コパル電子株式会社 (85)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000105659)日本電産コパル電子株式会社 (85)
【Fターム(参考)】
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