説明

チーグラー・ナッタ触媒の存在下で製造されたプロピレン−ヘキセンランダムコポリマー

プロピレンコポリマーであって、a.コモノマーとして少なくとも1−ヘキセンを含み、b.1.0〜3.0重量%の範囲でコモノマー含有量を有し、c.2.5重量%以下のキシレン溶解画分を有し、d.β変態で部分的に結晶化しているプロピレンコポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン/1−ヘキセンコポリマー、その調製のための方法及び管、特に圧力管におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー材料は、例えば水又は天然ガスの流体輸送等の様々な目的に対する管を調製するためによく使用される。その輸送される流体は、加圧され、通常は約0℃〜約70℃の範囲内である様々な温度を有することがあり得る。そのような管は一般的にはポリオレフィン製である。高温が伴うために、ポリオレフィン製の熱水管は特定の必要条件を満たす必要がある。熱水管内の温度は、30℃乃至70℃の範囲であり得よう。しかし、ピーク温度は、最高100℃もあり得る。長期使用を確保するためには選択される管材料は上記の範囲を超える温度に耐えることができなければならず、標準規格DIN8078によれば、プロピレンホモポリマー又はコポリマー製の熱水管は、95℃及び3.5MPaの圧力において故障なしで少なくとも1000時間の運転時間を有さなければならない。
【0003】
ポリプロピレンは、他のポリオレフィン類と比較した場合、その高い耐熱性のために、熱水管等の上昇した温度における応用に対して特に有用である。しかし、管への応用に対して有用なポリプロピレンは、耐熱性以外にゆっくりと進む亀裂成長に対する高い耐性と相まった高い剛性を有する必要がある。
【0004】
ポリプロピレン管には2つの異なる亀裂様式、延性破壊又は脆性破壊が存在する。
【0005】
延性破壊は、肉眼で見える降伏と関係があり、即ち、故障の位置に隣接した大きな材料の移動が存在する。
【0006】
しかし、ポリプロピレン管内で起こる大部分の亀裂は、脆性タイプのものであり、大きな変形は示さない。脆性破壊は、通常低い応力のもとで起こり、ゆっくりした亀裂成長の進行を経て材料中に広まるには長時間がかかる。そのようなタイプの故障は、初期段階で見つけるのが困難であるために最も好ましくない。
【0007】
したがって、特に圧力管への応用における管への応用のために有用ないかなるポリプロピレンに対しても、ゆっくりした亀裂成長に対する高い耐性、耐熱性、剛性、及び衝撃強度の間の有利な妥協を有することが望ましい。しかし、極めて頻繁に、これらの特性の1つは他の特性の犠牲のもとで得ることができるのみであることが分かる。
【0008】
プロピレンホモポリマー製の管は、高い剛性と相まった高い耐熱性を示すが、ゆっくりした亀裂成長に対する耐性は低い。ゆっくりした亀裂成長の性質は、プロピレンのコポリマーを使用することによって改良することができる。しかし、ポリプロピレン鎖中へのコモノマーの組込みは、耐熱性及び剛性に対する不利な影響を有し、追加のプロピレンホモポリマー成分を混合することによって補填する必要のある効果である。その上、コモノマーの含有量が高いほど、ポリマー材料が輸送流体によって洗い流される危険度が高い。
【0009】
WO2005/040271 A1は、(i)プロピレン及びC2〜C10α−オレフィンの単位を含むランダムコポリマー、及び(ii)プロピレン−エチレンエラストマーから形成された樹脂を含む圧力管を開示している。
【0010】
WO2006/002778 A1は、プロピレンと1−ヘキセンの半結晶性ランダムコポリマーを含む少なくとも1つの層を有する管システムを開示している。そのコポリマーは、広い単峰性の分子量分布を示し、キシレン可溶物のかなり高い含有量を有する。
【0011】
WO03/042260は、β変態において少なくとも部分的に結晶化されたプロピレンコポリマーからできている圧力管を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の圧力管材料の必要条件を考慮して、ゆっくりした亀裂の広がりに対する高い耐性を有し、同時にさらに耐熱性及び剛性を高レベルで保持するポリプロピレンを提供することが本発明の目的である。なおその上に、加圧された流体による管からのポリマー材料洗い出しの潜在的危険を最小限にすることが望まれる。
【0013】
本発明が見出したことは、キシレン溶解物が少量のβ核化プロピレン1−ヘキセンコポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、上で概要を述べた目的は、特に、プロピレンコポリマー(A)であって、
(a)コモノマーとして少なくとも1−ヘキセンを含み、
(b)1.0〜3.0重量%の範囲でコモノマー含有量を有し、
(c)2.5重量%以下のキシレン溶解画分を有し、
(d)β変態において部分的に結晶化されており、好ましくは少なくとも50%のβ変態を有する
上記プロピレンコポリマーによって解決される。
【0015】
好ましくは、該コポリマー(A)は、β核形成剤(B)を含む。
【0016】
或いは、本発明は、プロピレンコポリマー(A)であって、
(a)コモノマーとして少なくとも1−ヘキセンを含み、
(b)1.0〜3.0重量%の範囲でコモノマー含有量を有し、
(c)2.5重量%以下のキシレン溶解画分を有し、
さらにβ核形成剤(B)を含む上記プロピレンコポリマーによって定義することができる。
【発明の効果】
【0017】
驚いたことに、前記プロピレンコポリマー(A)により、最新式である管と比較してより優れた遅い亀裂伝播性能を有する管を得ることができることが見出された。その上、この独創的なプロピレンコポリマー(A)に基づく管の遅い亀裂伝播性能が卓越しているばかりでなく、さらに、管及びプロピレンコポリマー(A)の剛性及び衝突性能も優れている。特に低温におけるアイゾット(Izod)衝撃耐性及び曲げ弾性率は、平均より上である(表5を比較されたい)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、以下でより詳細に説明する独創的な材料のための特定の必要条件を要する。
【0019】
本発明の1つの重要な必要条件は、プロピレンコポリマー(A)がかなり低いキシレン溶解画分を有することである。
【0020】
キシレン溶解物は、冷たいキシレン中に溶解するポリマー部分であり、沸騰しているキシレンに溶解し、冷却溶液から不溶性部分を結晶化させることによって測定される(その方法については以下の実験部分の中を参照されたい)。そのキシレン溶解物は、低い立体規則性のポリマー鎖を含んでおり、非晶質域の量を示すものである。
【0021】
それ故、本発明のプロピレンコポリマー(A)のキシレン溶解物は、2.5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは、2.3重量%未満、さらにより好ましくは2.2重量%未満である。好ましい実施形態において、キシレン溶解物は0.1〜2.5重量%の範囲であり、より好ましくは、0.1〜2.3重量%の範囲である。
【0022】
本発明のさらなる必要条件として、発明のプロピレンコポリマー(A)は、β核化されていなくてはならず、即ち、該プロピレンコポリマー(A)は、β変態において部分的に結晶化されていなければならない。例えば、β変態のプロピレンコポリマー(A)の量は、少なくとも50%であることが好ましく、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも65%、なおもより好ましくは少なくとも70%、さらになおもより好ましくは少なくとも80%、例えば約90%である(例の部分において詳細に記されているように第2の加熱を用いるDSCによって測定する)。
【0023】
当然のことながら、該プロピレンコポリマー(A)は、β核形成剤(B)を含むこともできる。β核形成剤(B)としては、六方晶系又は偽六方晶系変性におけるプロピレンコポリマー(A)の結晶化を引き起こすのに適する任意の核形成剤を使用することができる。好ましいβ核形成剤(B)は、以下に記載されているものであり、それらの混合物も含む。
【0024】
適当なタイプのβ核形成剤(B)は、以下のものである。
● C〜C−シクロアルキルモノアミン又はC〜C12−芳香族モノアミン及びC〜C−脂肪族、C〜C−脂環式又はC〜C12−芳香族ジカルボン酸からのジカルボン酸誘導体タイプのジアミド化合物、例えば、
● N,N’−ジ−C〜C−シクロアルキル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド化合物、例えば、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド及びN,N’−ジシクロオクチル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドなど、
● N,N’−ジ−C〜C−シクロアルキル−4,4−ビフェニルジカルボキシアミド化合物、例えば、N,N’−ジシクロヘキシル−4,4−ビフェニルジカルボキシアミド及びN,N’−ジシクロペンチル−4,4−ビフェニルジカルボキシアミドなど、
● N,N’−ジ−C〜C−シクロアルキル−テレフタルアミド化合物、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルテレフタルアミド及びN,N’−ジシクロペンチルテレフタルアミドなど、
● N,N’−ジ−C〜C−シクロアルキル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアミド化合物、例えば、N,N’−ジシクロヘキシル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシアミド及びN,N’−ジシクロヘキシル−1,4−シクロペンタンジカルボキシアミドなど、
● C〜C−シクロアルキルモノカルボン酸又はC〜C12−芳香族モノカルボン酸と、C〜C−脂環式又はC〜C12−芳香族ジアミンからのジアミン誘導体タイプのジアミド化合物、例えば、
● N,N−C〜C12−アリーレン−ビス−ベンズアミド化合物、例えば、N,N’−p−フェニレン−ビス−ベンズアミド及びN,N’−1,5−ナフタレン−ビス−ベンズアミドなど、
● N,N’−C〜C−シクロアルキル−ビス−ベンズアミド化合物、例えば、N,N’−1,4−シクロペンタン−ビス−ベンズアミド及びN,N’−1,4−シクロヘキサン−ビス−ベンズアミドなど、
● N,N−p−C〜C12−アリーレン−ビス−C〜C−シクロアルキルカルボキシアミド化合物、例えば、N,N’−1,5−ナフタレン−ビス−シクロヘキサンカルボキシアミド及びN,N’−1,4−フェニレン−ビス−シクロヘキサンカルボキシアミド、並びに
● N,N’−C〜C−シクロアルキル−ビス−シクロヘキサンカルボキシアミド化合物、例えば、N,N’−1,4−シクロペンタン−ビス−シクロヘキサンカルボキシアミド及びN,N’−1,4−シクロヘキサン−ビス−シクロヘキサンカルボキシアミドなど、
● C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル−又はC〜C12−アリールアミノ酸、C〜C−アルキル−、C〜C−シクロアルキル−又はC〜C12−芳香族モノカルボン酸クロリドと、C〜C−アルキル−、C〜C−シクロアルキル−又はC〜C12−芳香族モノアミンとのアミド化反応からのアミノ酸誘導体タイプのジアミド化合物、例えば、
● N−フェニル−5−(N−ベンゾイルアミノ)ペンタンアミド及びN−シクロへキシル−4−(N−シクロヘキシル−カルボニルアミノ)ベンズアミド。
【0025】
さらなる適当なタイプのβ核形成剤(B)は、以下のものである。
● キナクリドンタイプの化合物、例えば、
キナクリドン、ジメチルキナクリドン及びジメトキシキナクリドン、
● キナクリドンキノンタイプの化合物、例えば、
キノ(2,3b)アクリジン−6,7,13,14−(5H,12H)−テトロン及びジメトキシキナクリドンキノンによるキナクリドンキノン、5,12−ジヒドロ(2,3b)アクリジン−7,14−ジオンの混合結晶、並びに
● ジヒドロキナクリドンタイプの化合物、例えば、
ジヒドロキナクリドン、ジメトキシジヒドロキナクリドン及びジベンゾジヒドロキナクリドン。
【0026】
なおさらなる適当なタイプのβ核形成剤(B)は、以下のものである。
● 周期系のIIa族からの金属のジカルボン酸塩、例えば、
ピメリン酸カルシウム塩及びスベリン酸カルシウム塩、並びに
● 周期系のIIa族からの金属のジカルボン酸及び塩の混合物。
【0027】
なおさらなる適当なタイプのβ核形成剤(B)は、以下のものである。
● 周期系のIIa族からの金属と式
【化1】


(式中、xは1〜4であり、RはH、−COOH、C〜C12−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はC〜C12−アリールであり、YはC〜C12−アルキル、C〜C−シクロアルキル又はC〜C12−アリール−置換された二価のC〜C12−芳香族残基である)のイミド酸との塩、例えば、
フタロイルグリシン、ヘキサヒドロフタロイルグリシン、N−フタロイルアラニン及び/又はN−4−メチルフタロイルグリシンのカルシウム塩。
【0028】
好ましいβ核形成剤(B)は、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、キナクリドンタイプ又はピメリン酸カルシウム塩の任意の1つ又は混合物である(EP0682066)。
【0029】
プロピレンコポリマー(A)中のβ核形成剤(B)の量は、好ましくは、最高2.0重量%まで、より好ましくは最高1.5重量%まで、例えば1.0重量%である。したがって、β核形成剤(B)は、プロピレンコポリマー(A)中に、0.0001乃至2.0000重量%、より好ましくは0.0001乃至2.0000重量%、さらにより好ましくは0.005乃至0.5000重量%存在することが分かる。
【0030】
これに関連して、プロピレンコポリマー(A)は、当技術において通常の添加剤を含むことができる。しかし、該ポリプロピレンコポリマー(A)は、さらなるその他のポリマータイプは含まない。したがって、該プロピレンコポリマー(A)は、前記プロピレンコポリマー(A)及び該β核形成剤(B)と場合によってさらなる添加剤との組成物であるがその他のポリマーは含まないものとみなすことができる。
【0031】
それ故に、プロピレンポリマー(A)は、必須のβ核形成剤(B)を含有し、ほかに場合によって、充填剤及び/又は安定剤及び/又は加工助剤及び/又は帯電防止剤及び/又は顔料及び/又は補強剤も含めた最大で10重量%までの添加剤を含むことができる。
【0032】
さらに、該ポリプロピレンコポリマー(A)は、コモノマーとして少なくとも1−ヘキセンを含むことが必須である。
【0033】
しかし、該プロピレンコポリマー(A)は、さらに、C2、C4、C5、又はC7〜C10α−オレフィン(単数又は複数)のようなα−オレフィン(単数又は複数)を含むことができる。そのような場合、エチレンが特に好ましい。したがって、1つの好ましい実施形態において、該プロピレンコポリマー(A)は、プロピレン、1−ヘキセン及びエチレンを含むターポリマーである。しかし、該プロピレンコポリマー(A)は、さらなるコモノマー(単数又は複数)を含まない、即ち、1−ヘキセンが該プロピレンコポリマー(A)の唯一のコモノマーであること(二元のプロピレン−ヘキセンコポリマー)がより好ましい。
【0034】
したがって、二元プロピレン−1−ヘキセンコポリマーが特に好ましい。
【0035】
より好ましくは、上で定義したプロピレンコポリマー(A)は、ランダムコポリマーである。したがって、本発明によるランダムプロピレンコポリマーは、1−ヘキセンの単位(存在する場合、ランダムターポリマーを生じさせるエチレン又はC4、C5、又はC7〜C10α−オレフィン、好ましくはエチレンの単位を含む)の統計的組入れによって生成するランダムプロピレンコポリマーである。
【0036】
コモノマーのタイプは、結晶化挙動、剛性、融点又はポリマー融液の流動性のような多数の特性に対して多大な影響を有する。したがって、本発明の目的を解決するため、特に、剛性、耐衝撃性及び遅い亀裂伝播性能の間の改良されたバランスを提供するためには、該プロピレンコポリマーがコモノマーとして、特に少なくとも1.0重量%の1−ヘキセンを少なくとも検出可能な様式で含むことが必要である。
【0037】
他方で、プロピレンコポリマー(A)中のコモノマーの含有量特に1−ヘキセンの増加は、キシレン溶解物の割合が増加し、したがって、加圧流体が管からポリマー材料を洗い流す潜在的危険と関連する。その上、プロピレンコポリマー(A)中のコモノマーの増加と共に剛性が低下して望ましくない。
【0038】
したがって、特に良好な結果を得るためには、プロピレンコポリマー(A)は、該プロピレンコポリマー(A)の重量を基準として、好ましくは最大で3重量%を超えないコモノマー、特に1−ヘキセンを含む。上記のように、コモノマーの1−ヘキセンは必須であり、他のα−オレフィン類は追加的に存在させることができる。しかし、追加的なα−オレフィンの量は、該プロピレンコポリマー(A)において1−ヘキセンの量を好ましくは超えないようにする。より好ましくは、プロピレンコポリマー中のコモノマー、特に1−ヘキセンの量は、2.2重量%以下であり、さらにより好ましくは2.0重量%以下、なおもより好ましくは1.8重量%以下である。それ故、プロピレンコポリマー(A)中のコモノマー、特に1−ヘキセンの量は、1.0乃至3.0重量%、より好ましくは1.0乃至2.2重量%、さらにより好ましくは1.0乃至2.0重量%、なおもより好ましくは1.0乃至1.9重量%、なおもさらに好ましくは1.0乃至1.8重量%である。特に好ましい実施形態において、コモノマー、特に1−ヘキセンの量は、1.0〜1.8重量%であり、より好ましくは1.1〜1.6重量%である。
【0039】
プロピレンコポリマー(A)が、二元のプロピレン−1−ヘキセンコポリマー、即ち特に好ましい実施形態である場合、前の段落において明示した範囲は、1−ヘキセンのみを指す。
【0040】
プロピレンコポリマー(A)のコモノマー含有量は、例において以下で記載されているFT赤外分光法により測定することができる。
【0041】
さらに、プロピレンコポリマー(A)は、アイソタクチックのプロピレンコポリマーであることが好ましい。したがって、該プロピレンコポリマーは、かなり高い、即ち、90%より高い、より好ましくは92%より高い、さらにより好ましくは95%より高い、なおもより好ましくは98%より高いペンタッド濃度を有することが好ましい。
【0042】
さらに、プロピレンコポリマー(A)は、例えばそれが高溶融強度ポリマー(HMSポリマー)によって知られるように化学的に変性されないことが認識されている。したがって、プロピレンコポリマー(A)は、架橋されない。衝撃挙動は、例えば、EP0787750に記載されているような分枝ポリプロピレン、即ち1つだけ分枝したポリプロピレンのタイプ(単一の長い側鎖を有する主鎖及び「Y」に似た構造を有するY型ポリプロピレン)を使用することによって通常は改良することもできる。かかるポリプロピレンは、かなりの高溶融強度を特徴とする。分枝度の指標は、分枝指数g’である。分枝指数g’は、ポリマーの分枝の量と相関する。分枝指数g’は、g’=[IV]br/[IV]linとして定義され、ここで、g’は分枝指数であり、[IV]brは分枝ポリプロピレンの固有粘度であり、[IV]linは分枝ポリプロピレンと同じ重量平均分子量(±10%の範囲内で)を有する線状ポリプロピレンの固有粘度である。それによって、低いg’値は、高い分枝ポリマーに対する指針である。言い換えると、g’値が低下する場合、ポリプロピレンの分枝は増加する。これに関連して、B.H.Zimm及びW.H.Stockmeyer、J.Chem.Phys.17巻、1301頁(1949年)を引用する。この文献は参照により本明細書に含める。かくして、プロピレンコポリマー(A)の分枝指数g’は、少なくとも0.85であることが好ましく、より好ましくは少なくとも0.90、さらにより好ましくは少なくとも0.95、例えば1.00である。
【0043】
該プロピレンコポリマー(A)は、かなり広い分子量分布(MWD)を示さなければならないことがさらに認識されている。プロピレンコポリマー(A)の広い分子量分布(MWD)は、プロピレンコポリマー(A)の改良された剛性挙動を支持するように認識されている。それは、プロピレンコポリマー(A)の加工性を改良することもできる。
【0044】
分子量分布(MWD)は、それがMw/Mnとして表されるSEC(GPCとしても知られる)によって、又はレオロジー的測定、例えば、多分散性指数(PI)測定又は剪断減粘指数(SHI)測定によって測定することができる。この場合は、主として多分散性指数(PI)が測定値として使用される。全ての測定法が技術的に知られており、例の部分において以下でさらに明らかにする。
【0045】
かくして、該プロピレンコポリマー(A)は、少なくとも3.0の、好ましくは少なくとも3.5、より好ましくは少なくとも4.0、さらにより好ましくは少なくとも4.2の多分散性指数(PI)を好ましくは有する。より高い多分散性指数(PI)の値は8.0であり得、例えば6.0であり得る。したがって、該プロピレンコポリマー(A)の多分散性指数(PI)は、好ましくは3.0〜8.0の範囲であり、より好ましくは3.5〜7.0の範囲、さらにより好ましくは3.5〜6.0の範囲である。
【0046】
発明のプロピレンコポリマー(A)の広い分子量分布のさらなる指針は、重量平均分子量(M)である。重量平均分子量(M)は、分子量に対するそれぞれの分子量範囲におけるポリマーの重量の最初の重要な計画である。
【0047】
重量平均分子量(M)は、オンライン粘度計を備えたWaters Alliance GPCV2000装置を用いるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定する。オーブン温度は、145℃である。トリクロロベンゼンを溶媒として使用する(ISO16014)。
【0048】
該プロピレンコポリマー(A)は、少なくとも500,000g/molの、より好ましくは少なくとも600,000g/molの重量平均分子量(M)を有することが好ましい。好ましい範囲は、650,000g/mol乃至1,500,000g/mol、より好ましくは750,000乃至1,200,000g/molである。
【0049】
その上、該プロピレンコポリマー(A)は、単峰性又は多峰性、例えば二峰性であり得る。
【0050】
本明細書で使用される表現の「多峰性」又は「二峰性」とは、ポリマーのモダリティー、即ち、その分子量に応じた分子量画分のグラフであるその分子量分布曲線の形を指す。以下で説明するように、本発明のポリマー成分は、連続配置されている反応装置を使用して様々な反応条件で操作する逐次ステップのプロセスにおいて製造され得る。その結果、特定の反応装置において調製されたそれぞれの画分は、それぞれの分子量分布を有することになる。これらの画分からの分子量分布曲線が最終ポリマーの分子量分布曲線を得るために重ねられる場合、その曲線は、2つ以上の極大を示すか又は個々の画分についての曲線と比較したとき少なくともはっきりと広げられている可能性がある。2つ以上の連続ステップで製造されたそのようなポリマーは、そのステップの数に応じて二峰性又は多峰性と呼ばれる。
【0051】
いかなる場合でも、本発明において定義されている多分散性指数(PI)及び/又は重量平均分子量(M)のプロピレンコポリマー(A)は、全体のプロピレンコポリマー(A)が、それは単峰性又は多峰性、例えば二峰性、であると称する。
【0052】
好ましくは、コモノマー含有量、例えば、1−ヘキセン含有量は、低分子量画分と比較して高分子量画分においてより高い。したがって、同等〜3.3dl/gより高い固有粘度を有する画分において、コモノマー含有量、例えば、1−ヘキセン含有量は、3.3dl/g未満の固有粘度を有する画分中より高い。
【0053】
さらに、該プロピレンコポリマー(A)は、かなり低い溶融流れ速度を有することが好ましい。その溶融流れ速度は、主として平均分子量に依存する。これは長い分子が短い分子よりその材料を低流動性の傾向にする事実のためである。分子量の増加は、MFR値の減少を意味する。溶融流れ速度(MFR)は、特定の温度及び圧力条件、並びに、次々にポリマーの各タイプに対して主としてその分子量によるがその分枝度によっても影響されるポリマーの粘度の大きさのもとで、規定された型を通って排出されるポリマーを、g/10分として測定する。230℃での2.16kgの負荷(ISO1133)のもとで測定した溶融流れ速度は、MFR(230℃)として表示する。
【0054】
したがって、該プロピレンコポリマー(A)は、0.8g/10分以下、より好ましくは0.5g/10分以下の、さらにより好ましくは0.4g/10分以下の溶融流れ速度(MFR(230℃))を有することが必要である。他方、そのMFR(230℃)は、0.05g/10分を超え、より好ましくは0.1g/10分を超えているべきである。
【0055】
溶融流れ速度が5kgの負荷のもとで測定される場合は下記が好ましい。
【0056】
該プロピレンコポリマー(A)は、好ましくは4.0g/10分以下、より好ましくは2.5g/10分以下、さらにより好ましくは1.8g/10分以下の溶融流れ速度(MFR(230℃))を有する。他方、そのMFR(230℃)は、0.1g/10分を超え、より好ましくは0.3g/10分を超えているべきである。それ故好ましい範囲は、0.3乃至1.8g/10分である。
【0057】
さらに、該プロピレンコポリマー(A)は、変形に対するかなり高い耐性を有する、即ち高い剛性を有する管を提供することを可能にすることが認められる。それ故、射出成形状態及び/又は前記材料に基づく管におけるプロピレンコポリマー(A)は、ISO178に従って測定して、少なくとも950MPa、より好ましくは少なくとも1000MPa、さらにより好ましくは少なくとも1100MPaの曲げ弾性率を有することが好ましい。
【0058】
その上、該プロピレンコポリマー(A)は、かなり高い衝撃強度を有する管を提供することができることが認められる。それ故、射出成形状態及び/又は前記材料に基づく管におけるプロピレンコポリマー(A)は、シャルピー衝撃試験(ISO179(1eA))に従って23℃で測定して少なくとも35.0kJ/m、より好ましくは少なくとも40.0kJ/m、さらにより好ましくは少なくとも41.0kJ/mの衝撃強度及び/又はシャルピー衝撃試験(ISO179(1eA))に従って−20℃で測定して少なくとも1.5kJ/m、より好ましくは少なくとも1.8kJ/m、さらにより好ましくは少なくとも2.0kJ/mの高い衝撃強度を有することが好ましい。
【0059】
本プロピレンコポリマー(A)は、特に、管の特性、特に、非常に良好な遅い亀裂伝播性能を、他の特性、例えば、変形に対する耐性及び衝撃強度を高レベルで保持することによって改良するように開発されている。したがって、本発明は、又、管、例えば圧力管のため、又は管例えば圧力管の部品のため、及び管を製造するためプロピレンコポリマー(A)の使用を対象とする。
【0060】
加えて、該プロピレンコポリマー(A)は、非常に良好な遅い亀裂伝播性能を有する管を提供することができることが認められる。したがって、該プロピレンコポリマー(A)及び/又は前記材料に基づく管は、フルノッチクリープ試験(FNCT)(ISO16770、80℃で4.0MPaの圧力をかける)に従って測定して少なくとも7000時間の遅い亀裂伝播性能を有することが好ましい。
【0061】
該プロピレンコポリマー(A)は、β核形成剤に加えて、さらなるβ核形成剤と相互作用をしない充填剤等の添加剤、例えば、マイカ及び/又はチョークを含むことができる。
【0062】
その上、本発明は、又、本発明において定義されているプロピレンコポリマー(A)を含む管及び/又は配管継手、特に圧力管も対象とする。これらの管、特に圧力管は、前の段落で定義した曲げ弾性率、衝撃強度及び遅い亀裂伝播性能を特に特徴とする。
【0063】
本明細書で使用される用語「管」は、直径より大きい長さを有する中空の品物を網羅することを指す。その上、用語「管」は、継手、バルブのような付属品及び例えば熱水配管系のために通常必要である全ての部品も包含するものとする。
【0064】
本発明による管は、例えば、1つ又は複数の層が金属層であり、接着層を含んでもよい単層又は多層管も含む。
【0065】
本発明による管のために使用されるプロピレンコポリマー(A)は、通常の補助材料、例えば、10重量%までの充填剤及び/又は0.01〜2.5重量%の安定剤及び/又は0.01〜1重量%の加工助剤及び/又は0.1〜1重量%の帯電防止剤及び/又は0.2〜3重量%の顔料及び/又は補強材、例えばガラス繊維を、いずれの場合も使用されるプロピレンコポリマー(A)を基準として、含有することができる(この段落に示されている重量%は、前記プロピレンコポリマー(A)を含む管及び/又は管層の全体量を指す)。この点において、又一方、一定の顔料のような極めて活性に富むα核形成剤としての機能を果たすような補助材料は、いずれも本発明に従って利用されることはない。
【0066】
加えて、上で定義した該プロピレンコポリマー(A)は、以下で明らかにする触媒の存在下で製造することが好ましい。その上、上で定義した該プロピレンコポリマー(A)の製造には、以下で述べるプロセスを好ましくは使用する。
【0067】
例えば、本発明のプロピレンコポリマー(A)の製造は、
(a)本明細書で定義されているプロピレンコポリマー(A)を、好ましくは多段プロセスにおいて製造するステップ及びその後
(b)そのプロピレンコポリマー(A)をβ核形成剤により、好ましくは175〜300℃の範囲の温度で処理するステップ、並びに
(c)そのプロピレンコポリマー(A)組成物を冷却して結晶化させるステップ、
を含む。
【0068】
以下において、このプロセスをより詳細に説明する。
【0069】
好ましくは、該プロピレンコポリマー(A)は、チーグラー・ナッタ触媒の存在下、特に10〜100バール、特に25〜80バールの圧力、及び40〜110℃、特に60〜100℃の温度でプロピレンの重合の触媒作用をすることができるチーグラー・ナッタ触媒の存在下で製造する。
【0070】
一般に、本発明で使用されるチーグラー・ナッタ触媒は、触媒成分、共触媒成分、外部供与体を含み、その触媒系の触媒成分は、主としてマグネシウム、チタン、ハロゲン及び内部供与体を含有する。電子供与体は、立体特異性を制御し、且つ/又は、触媒系の活性を改良する。エーテル、エステル、ポリシラン、ポリシロキサン、及びアルコキシシランを含めた多数の電子供与体が技術的に知られている。
【0071】
該触媒はプロ触媒成分としての遷移金属化合物を好ましくは含有する。その遷移金属化合物は、3又は4の酸化度を有するチタン化合物、バナジウム化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、タングステン化合物及び希土類金属化合物からなる群から選択される。そのチタン化合物は、通常は、ハロゲン化物若しくはオキシハロゲン化物、有機金属ハロゲン化物、又は有機配位子のみが遷移金属に結合している純粋な有機金属化合物である。特に好ましいのはハロゲン化チタン類、特に、四塩化チタン、三塩化チタンであり、四塩化チタンが特に好ましい。
【0072】
二塩化マグネシウムはそれ自体で使用することができ、又は、それは、例えば二塩化マグネシウムを含有する溶液又はスラリーによりシリカを吸収することによってシリカと組み合わせることができる。使用される低級アルコールは好ましくはメタノール又はエタノール、特にエタノールであり得る。
【0073】
本発明に従って使用される1つの好ましい触媒は、EP591224に開示されており、それは、二塩化マグネシウム、チタン化合物、低級アルコール及び少なくとも5個の炭素原子を含有するフタル酸のエステルからプロ触媒組成物を調製する方法を開示している。EP591224によれば、エステル交換反応が高温で低級アルコールとフタル酸エステルの間で行われ、それによって低級アルコールによるエステル基とフタル酸エステルとが交代する。
【0074】
使用されるフタル酸エステルのアルコキシ基は、少なくとも5個の炭素原子、好ましくは少なくとも8個の炭素原子を含む。したがって、エステルとしては、フタル酸プロピルヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソデシル及びフタル酸ジトリデシルを使用することができる。フタル酸エステルとハロゲン化マグネシウムのモル比は、好ましくは約0.2:1である。
【0075】
該エステル交換は、例えば、自然に又はプロ触媒組成物を損傷しない触媒の助けによって、高温でその触媒をエステル交換するフタル酸エステル−低級アルコールの一対、を選択することによって行うことができる。そのエステル交換は、110〜115℃、好ましくは120〜140℃である温度で行うのが好ましい。
【0076】
該触媒は、有機金属共触媒及び外部供与体と共に使用される。一般に、その外部供与体は、式
R’Si(R”O)4−n−m
を有し、
式中、
R及びR’は、同じか異なるものであり得、線状、分枝した又は環状の脂肪族、又は芳香族基であり、
R”は、メチル又はエチルであり、
nは、0〜3の整数であり、
mは、0〜3の整数であり、
n+mは、1〜3である。
【0077】
特に外部供与体は、シクロヘキシルメチルメトキシシラン(CHMMS)、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、及びジ−t−ブチルジメトキシシランからなる群から選択される。
【0078】
有機アルミニウム化合物は、共触媒として使用される。その有機アルミニウム化合物は、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロリド及びアルキルアルミニウムセスキクロリドからなる群から好ましくは選択される。
【0079】
本発明によれば、上記触媒は一般的には最初の反応器にのみ導入される。その触媒の成分は、該反応器に別々に又は同時に供給することができ或いはその触媒系の成分は反応器に入れる前に予備接触させることができる。
【0080】
かかる予備接触は、重合反応器中に供給する前の触媒予備重合を含むこともできる。その予備重合においては、触媒成分を反応器に供給する前にモノマーと短時間接触させる。
【0081】
上で述べたように、該プロピレンコポリマー(A)は、単一峰性又は多峰性、例えば二峰性のモル質量分布(MWD)を有することができる。したがって、重合プロセスの装置は、プロピレンコポリマー(A)製造のための慣用的設計の任意の重合反応器を含むことができる。本発明の目的に対して、「スラリー反応器」とは、バルク又はスラリーで運転する連続又は単一バッチ式撹拌タンク反応器又はループ型反応器であり、ポリマーが微粒子型を形成する任意の反応器を指す。「バルク」とは、少なくとも60重量%のモノマーを含む反応媒体中の重合を意味する。好ましい実施形態によれば、スラリー反応器は、バルクのループ型反応器を含む、又はバルクのループ型反応器である。「気相反応器」とは、任意の機械的に混合される又は流動床反応器を意味する。好ましくはその気相反応器は、少なくとも0.2m/秒のガス速度を有する機械的に撹拌される流動床反応器を含む。
【0082】
したがって、該重合反応システムは、1つ又は複数のWO94/26794に記載されているような慣用的撹拌タンクスラリー反応器、及び/又は1つ又は複数の気相反応器を含むことができる。
【0083】
好ましくは、使用される反応器は、ループ型及び気相反応器の群から選択され、特に、該プロセスは、少なくとも1つのループ型反応器及び少なくとも1つの気相反応器を採用する。この代替手段は、本発明に合致する広い分子量分布(MWD)を有するプロピレンコポリマー(A)を製造するために特に適している。様々な重合反応器中で様々な量の水素の存在下で重合を行うことによって、生成物のMWDを広げ、その機械的性質を改良することができる。各タイプのいくつかの反応器、例えば、1つのループ型反応器と2つ若しくは3つの気相反応器又は2つのループ型反応器と1つの気相反応器を連続して使用することも可能である。
【0084】
プロピレンコポリマー(A)を製造するために使用する実際の重合反応器に加えて、その重合反応システムは、多数のさらなる反応器、例えば前反応器及び/又は後反応器を含めることもできる。前反応器としては触媒をプロピレンと予備重合するための任意の反応器が挙げられる。後反応器としては、ポリマー生成物の性質を変性して改良するために使用する反応器が挙げられる。
【0085】
反応装置系の全ての反応器は、好ましくは連続して配置する。
【0086】
該気相反応器は、他のタイプの気相反応器を使用することができるが、通常の流動床反応器であり得る。流動床反応器において、その床は、形成されて成長しつつあるポリマー粒子並びにポリマー部分と一緒にやってくる依然として活性な触媒から成る。その床は、ガス状成分、例えばモノマーを、粒子が流動体としての役割を果たすようにするような流速によって導入することによって流動状態に保たれる。その流動化ガスは、窒素のような不活性搬送ガスも、そして変性剤としての水素も、含むことができる。その流動化気相反応器は、機械的混合機を備えることができる。
【0087】
使用されるその気相反応器は、50〜115℃の温度範囲、好ましくは60℃と110℃の間及び5バールと50バールの間の反応圧並びに2バールと45バールの間のモノマーの分圧で運転することができる。
【0088】
流出液、即ちガス状の反応媒体を含む重合生成物、の圧力は、場合によって生成物の気体成分及び蒸発が見込まれる成分の一部を例えばフラッシュタンク中で分離するために、気相反応器の後で解除することができる。オーバーヘッド流又はその一部は、反応器に再循環させる。
【0089】
重合後、該プロピレンコポリマー(A)は、上で定義したβ核形成剤(B)とブレンドしてプロピレンコポリマー(A)を得る。その混合は、それ自体既知の方法によって、例えばプロピレンコポリマー(A)をβ核形成剤(B)と所望の重量関係でバッチ又は連続プロセスを用いて行うことができる。典型的なバッチミキサーの例としては、バンバリーミキサー及び加熱ロールミルを挙げることができる。連続ミキサーは、ファレル(Farrel)式ミキサー、ブスコニーダー(Buss co−Kneader)、及びシングル又はツインスクリュー押出し機が例示される。
【0090】
発明の材料の製造を求めるよりもプロピレンコポリマー(A)の管を実現すべきである場合は、次のステップが続く。一般に、発明のプロピレンコポリマー(A)は押出し加工され、その後管に成形される。
【0091】
それ故、発明の管は、好ましくは、最初に本発明のプロピレンコポリマー(A)を押出し機中200乃至300℃の範囲の温度で可塑化し、次いでそれを環状のダイを通して押出し、冷却することによって製造する。
【0092】
管を製造するための押出し機は、20〜40のL/Dを有するシングルスクリュー押出し機又はツインスクリュー押出し機或いは均質化押出し機の押出し機カスケード(シングルスクリュー又はツインスクリュー)であり得る。場合によって、メルトポンプ及び/又は静的ミキサーを押出し機と環状ダイヘッドの間でさらに使用することができる。約16乃至2000mmの範囲及びそれより大きい直径の環の形をしたダイが可能である。
【0093】
押出し機から届く溶融液は、最初に円錐形に配置された穴を通して環状断面上に分配され、次にコイルディストリビュータ又はスクリーンによりコア/ダイの組合せに供給される。必要に応じて、均一な溶融流れを確保するためのリストリクターリング又はその他の構造要素をダイ出口の前に設置することができる。環状のダイから離れた後、管は、内径を定めるマンドレルを超えて通常は空冷及び/又は水冷による、場合によっては内部の水冷にもよる管の冷却を伴って取り出される。
【0094】
本発明を次に以下に提供する例によってもっと詳しく説明する。
【実施例】
【0095】
定義/測定法
以下の用語の定義及び測定方法は、別なふうに明示されていない限りは本発明の上記の概要並びに以下の例に対して適合する。
【0096】
溶融温度及び結晶化度
融点Tm、結晶化温度Tcr、及び結晶化度は、5〜10mg、典型的には8±0.5mgの試料についてメトラーTA820示差走査熱量測定法(DSC)により測定した。結晶化及び融解曲線は、両方とも、10℃/分の冷却及び30℃と225℃の間の加熱走査の間に得た。融点及び結晶化温度は、吸熱及び発熱のピークとしてとらえた。結晶化度は、完全結晶のポリプロピレンの融解熱、即ち209J/gとの比較によって計算した。
【0097】
数平均分子量(M)、重量平均分子量(M)及び分子量分布(MWD)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定し、次の方法に従う:
重量平均分子量Mw及び分子量分布(MWD=Mw/Mn、式中、Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量である)は、ISO16014−1:2003及びISO16014−4:2003に基づく方法によって測定する。屈折率検出器及びオンライン粘度計を備えたWaters Alliance GPCV 2000の装置を、TosoHaas製の3×TSK−ゲルカラム(GMHXL−HT)及び溶媒としての145℃で1mL/分の一定流速における1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB、200mg/Lの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールにより安定化)と共に使用した。216.5μLの試料溶液を分析ごとに注入した。カラムのセットは、0.5kg/mol〜11500kg/molの範囲の19の狭いMWDのポリスチレン(PS)標準及び一組の十分に特性化された広範なポリプロピレン標準による相対的較正を用いて較正した。全ての試料は、5〜10mgのポリマーを10mL(160℃で)の安定化したTCB(移動相と同じ)に溶解し、連続的な振動と共に3時間保つことによって準備した後にGPC機器に試料注入した。
【0098】
レオロジー:動的レオロジー測定を、Rheometrics RDA−II QCを用いて、200℃における窒素雰囲気下の25mm直径のプレート及びプレート形状を用いる圧縮成型試料について行った。振動剪断実験は、周波数0.01乃至500rad/秒におけるひずみの線形粘弾性の範囲内で行った。(ISO6721−1)
貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、複素弾性率(G)及び複素粘度(η)は、周波数(ω)の関数として得た。
ゼロ剪断粘度(η)は、複素粘度の逆数として定義される複素流動性を用いて計算した。その実数部及び虚数部は、したがって、
f’(ω)=η’(ω)/[η’(ω)+η”(ω)]及び
f”(ω)=η”(ω)/[η’(ω)+η”(ω)
によって定義され、次の方程式、
η’=G”/ω及びη”=G’/ω
から、
f’(ω)=G”(ω)ω/[G’(ω)+G”(ω)
f”(ω)=G’(ω)ω/[G’(ω)+G”(ω)
である。
【0099】
多分散性指数PI、は、G’(ω)及びG”(ω)の交差点から計算する。
f’とf”の間には、1/ηのゼロ縦座標値を有する線形相関が存在する(Heinoら)。
ポリプロピレンに対してこれは低周波数において有効であり、5つの最初の点(5点/ディケード)がηの計算において使用される。
【0100】
MWDと関連し、MWとは無関係である剪断減粘指数(SHI)は、Heino1、2)(下記)に従って計算した。
【0101】
SHI
SHIは、ゼロ剪断粘度をある一定の剪断応力値Gにおいて得られた複素粘度値により割ることによって計算される。略語SHI(0/50)は、ゼロ剪断粘度と50000Paの剪断応力の粘度の間の比である。
1)ポリエチレン画分のレオロジー特性(Rheological characterization of polyethylene fractions)。Heino,E.L.;Lehtinen,A;Tanner,J.;Seppala,J.Neste Oy,Porvoo,Finland。Theor.Appl.Rheol.,Proc.Int.Congr.Rheol.、11th(1992年)、1 360〜362頁。
2)ポリエチレンのいくつかのレオロジー特性に対する分子構造の影響(The influence of molecular structure on some rheological properties of polyethylene)。Heino,Eeva−Leena。Borealis Polymers Oy,Porvoo,Finland。Annual Transactions of the Nordic Rheology Society、1995年。
【0102】
NMRスペクトロスコピー測定:
ポリプロピレンの13C−NMRスペクトルを、1,2,4−トリクロロベンゼン/ベンゼン−d6(90/10w/w)に溶解した試料から130℃におけるBruker400MHzスペクトロメーターに記録した。ペンタッド解析のため、文献(T.Hayashi、Y.Inoue、R.Chujo、及びT.Asakura、Polymer 29 138〜43頁(1988年)、及びChujo R,ら、Polymer 35 339頁(1994年))に記載されている方法に従って課題を行う。
NMR測定は、技術的に周知のやり方でmmmmペンタッドの濃度を測定するために使用した。
【0103】
溶融流れ速度(MFR
溶融流れ速度は、230℃で2.16kgの負荷をかけて測定した。溶融流れ速度は、ISO1133に基準を合わせた試験装置が2.16kgの負荷のもとで230℃の温度で10分間に押し出すグラム数におけるポリマーのその量である。
【0104】
コモノマー含有量
該コポリマーのコモノマー含有量は、定量的な13C−NMRスペクトロスコピーから得られた結果に対応させた定量的フーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって測定した。
【0105】
薄膜を190℃で300μmと500μmの間の厚さにプレスし、転送方式でスペクトルを記録した。関連する機器の設定としては、5000〜400の波数(cm−1)のスペクトル窓、2.0cm−1の解像度及び8スキャンを含む。
【0106】
プロピレン−ブテンコポリマーのブテン含有量は、780〜750cm−1から確定したベースラインを有する767cm−1における定量的バンドのベースラインを補正したピークの最大を用いて測定した。
【0107】
プロピレン−ヘキセンコポリマーのヘキセン含有量は、758.5〜703.0cm−1から確定したベースラインを有する727cm−1における定量的バンドのベースラインを補正したピークの最大を用いて測定した。
【0108】
コモノマー含有量Cは、定量的なバンドI(q)の強度及び加圧膜Tの厚さを用い、次の関係:[I(q)/T]m+c=C(式中、m及びcは、13C NMRスペクトロスコピーから得られたコモノマー含有量を用いて作成した較正曲線から測定した係数である)を用いる膜厚法を用いて測定した
【0109】
β変態の含有量:
β結晶化度は、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定する。DSCは、ISO3146/パート3/方法C2に従って10℃/分のスキャン速度で作動させる。β変態の量は、次式:
β領域/(α領域+β領域)
によって第2の加熱から計算する。熱力学的β変態は、150℃より上の温度でより安定なα変態への変化を開始するので、β変態の一部は、DSC測定の加熱プロセスの間に移行する。それ故、DSCによって測定したβ−PPの量は低めであり、WAXSによるTurner−Jonesの方法に従って測定したとき(A.Turner−Jonesら、Makromol.Chem 75(1964年) 134頁)と同様である。「第2の加熱」とは、試料をISO3146/パート3/方法C2に従って最初に加熱し、次に10℃/分の速度で室温まで冷却し、その試料を次に同様にISO3146/パート3/方法C2に従って2度目の加熱をすることを意味する。この第2の加熱は測定及び計算に関係する。
【0110】
「最初の加熱」の間に、一般的に異なる処理条件及び/又は方法によってもたらされる異なる結晶構造を生じさせる試料の全ての熱履歴は、破壊される。β結晶化度を測定するための第2の加熱を使用することによって試料をその試料が最初に製造された方法とは関係なく比較することが可能である。
【0111】
キシレン可溶分(XS、重量%)
既知の方法(ISO6427)による分析:2.0gのポリマーを135℃で250mlのp−キシレンに撹拌下で溶解する。30±2分後、その溶液を周囲温度(21℃)で15分間そのまま冷却させ、次に25±0.5℃で30分間そのまま安定させる。その溶液を濾過し、窒素フロー下で蒸発させ、残留物を真空下90℃で一定重量が得られるまで乾燥させる。
XS%=(100×m×v)/(m×v)であり、但し、
=最初のポリマー量(g)
=残留物の重量(g)
=最初の体積(ml)
=分析した試料の体積(ml)
である。
【0112】
固有粘度はDIN ISO1628/1、1999年10月に従って測定する(デカリン中135℃で)。
【0113】
シャルピー(Charpy)衝撃強度
シャルピー衝撃強度は、ISO179:2000に従い、EN ISO1873−2に記載されている射出成形した試験片(80×10×4mm)を用いることにより、Vノッチ試料について23℃(シャルピー衝撃強度(23℃))及び−20℃(シャルピー衝撃強度(−20℃))で測定した。
【0114】
曲げ弾性率
曲げ弾性率は、ISO178に従い(別段の断りのない限り室温)、EN ISO1873−2に記載されている射出成形した試験片(80×10×4mm)を用いることにより測定した。
【0115】
FNCT
これは、ISO16770に従って測定する。試験片は、圧縮成形プレート(厚さ10mm)である。その試験片は80℃及び4N/mmの水溶液中で圧力を加える。
【0116】
(発明例1(E1))
原材料:
− モレキュラーシーブ(3/10A)によって乾燥したヘキサン
− TEAL:sigma−Aldrichからの93%品
− 触媒:BorealisのBCF20P(1.9重量%Ti/チーグラー・ナッタ触媒)
− ホワイトオイル:商標名:Primol 352D;Esso Austria Ges.m.b.H製
− 供与体のジシクロペンチルジメトキシシラン:Wacker Chemie製(99%)。
− N:供給業者AGA、品質5.0;触媒BASF R0311、触媒G132(CuO/ZNO/C)、モレキュラーシーブ(3/10A)及びPにより精製。
− プロピレン
− ヘキセン−1:合成用;供給業者MERCK;Nバブリングにより精製
− 水素:供給業者AGA、品質6.0
【0117】
重合は、5lのオートクレーブ中で行った(バルク重合):
オートクレーブは、機械的表面処理、ヘキサンによる洗浄及び155℃での真空/Nサイクル下の加熱によって浄化した。朝までの30バールNによる漏れ試験の後、反応器を真空にし、一定量のプロピレン、ヘキセン−1(計量して)及びH(流量計により)を充填した。
【0118】
触媒供給装置中で、BCF20P触媒をホワイトオイルと朝まで接触させ、トリエチルアルミニウム(TEAl;1mol/lのヘキサン中の溶液)と、供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシラン(ヘキサン中0.3mol/l)−5分の接触時間の後は一定のモル比で−と、10mlのヘキサンとの混合物により5分間活性化させる。触媒のTEAlとTiとのモル比は250[mol/mol]である。活性化後、触媒は、液体のプロピレンと共に撹拌されている(150rpm)反応器中に流す。触媒投与後撹拌スピードを350rpmに設定する。23℃での6分間の予備重合後、温度を80℃に上昇させる(14分後に達成)。これらの状態を60分間保持し(スタート時点は重合温度=79℃)、次に重合を、モノマーを排出して室温まで冷却することによって停止させる。
【0119】
反応器にNを流した後、ランダムコポリマーの粉末を鋼鉄製の容器に移す。5gのポリマーを、ヘキセン−1の含有量を分析するためにフード中で朝まで、さらに真空オーブン中60℃で3時間乾燥させた。主要部分はフード中室温で朝まで乾燥した。ポリマーの総量を計量し触媒活性を算出した。
【表1】


44gのE1を、イルガノックス(Irganox)1010 FF(0.2重量%)、ステアリン酸Ca(0.07重量%)、イルガフォス(Irgafos)168 FF(0.1重量%)、イルガノックス1330(0.5重量%)及びMastertec GmbH製のEMB250グレー7042(β核形成剤を含むマスターバッチ)(2.0重量%)により2本スクリュー押出し機Prism TSE16を用いて配合した。EMB250グレー7042は、以下の化合物を含む:
49.2重量%のRE216CF(CAS−no9010−79−1)[Borealisのランダムコポリマー]
47.0重量%のピグメントホワイト7(CAS−no1314−98−3)
0.5重量%のピグメントブラック7(CAS−no1333−86−4)
2.0重量%のピグメントグリーン17(CAS−no1308−38−9)
1.3重量%のピグメントブルー28(CAS−no1345−16−0)
0.25重量%のピグメントオレンジ48(CAS−no1503−48−6)
【0120】
この粒質物は、特性解析(ヘキセン−1含有量を除く)のため及び機械的検査(DMTA、曲げ特性、衝撃特性及びFNCT試験)のための試料調製で使用した。
【0121】
曲げ特性及び衝撃特性は、22mmのスクリューを有する機械Engel V60 Techを用いて、255℃、50バールの圧力及び55バールのポスト圧力で射出成形した寸法41080[mm]を有する棒で測定した。その試験は、23℃で7日の保存後に行われる。
【0122】
FNCT試験用の棒は、粒質物を充填した寸法が12〜20120[mm]の金属製型枠を用いるスラブプレスによって製造する。この機械は、CollinプレスP400である。そのプレス作用の圧力/温度/時間の概要は次表の通りである:
【表2】


試験片は、成形手順の後、試験のための正確な寸法に切断され、それは、HESSEL Ingenieurtechnik GmbHにおいて行われた。
【0123】
(発明例2(E2))
【表3】


重合は、例1に従って行った。その結果は、表2から演繹することができる。
【0124】
E2は、例1の処方に従って配合した。試験も又同じ方法で行った。
【0125】
(発明例3(E3))
オートクレーブは、機械的表面処理、ヘキサンによる洗浄及び155℃での真空/Nサイクル下の加熱によって浄化した。朝までの30バールNによる漏れ試験の後、反応器を真空にし、一定量のプロピレン、ヘキセン−1(計量して)及びH(流量計により)を充填した。
【0126】
触媒供給装置中で、BCF20P触媒をホワイトオイルと朝まで接触させ、トリエチルアルミニウム(TEAl;1mol/lのヘキサン中の溶液)と、供与体としてのジシクロペンチルジメトキシシラン(ヘキサン中0.3mol/l)−5分の接触時間の後は一定のモル比で−と、10mlのヘキサンとの混合物により5分間活性化させる。触媒のTEAlとTiとのモル比は250[mol/mol]である。活性化後、触媒は、液体のプロピレンと共に撹拌されている(150rpm)反応器中に流す。触媒投与後撹拌スピードを350rpmに設定する。23℃での6分間の予備重合後、温度を80℃に上昇させる(14分後に達成)。一定圧力を保持するために、圧力が28バールを下回った場合はプロピレンを投与した。これらの状態を60分間保持し(スタート時点は重合温度=79℃)、次に重合を、モノマーを排出して室温まで冷却することによって停止させる。パラメーター及び結果は表2に示されている。
【0127】
反応器にNを流した後、ランダムコポリマーの粉末を鋼鉄製の容器に移す。5gのポリマーを、ヘキセン−1の含有量を分析するためにフード中で朝まで、さらに真空オーブン中60℃で3時間乾燥させた。主要部分はフード中室温で朝まで乾燥した。ポリマーの総量を計量し触媒活性を算出した。パラメーター及び結果は表3に示されている。
【表4】


538.6gのE3を、イルガノックス1010 FF(0.2重量%)、ステアリン酸Ca(0.07重量%)、イルガフォス168 FF(0.1重量%)、イルガノックス1330(0.5重量%)及びEMB250グレー7042(β核形成剤を含むマスターバッチ)(2.0重量%)により2本スクリュー押出し機Prism TSE16を用いて配合した。
【0128】
得られた粒質物は、特性解析(ヘキセン−1含有量を除く)のため及び機械的検査(DMTA、曲げ特性、衝撃特性及びFNCT試験)のための試料調製で使用した。
試験は、例1に従って行った。
【0129】
(比較例1(CE1))
CE1は、ベータ−核化プロピレン/ブテンコポリマー(C4コモノマー含有量:4.3重量%)である。この組成物を表4に示すようにチーグラー・ナッタ触媒を使用して調製した。
【表5】

【0130】
E1、E2、E3及びCE1から得られたポリプロピレンの特性を表5に示す。
【表6】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)コモノマーとして少なくとも1−ヘキセンを含み、
(b)1.0〜3.0重量%の範囲でコモノマー含有量を有し、
(c)2.5重量%以下のキシレン溶解画分を有し、
(d)β変態において部分的に結晶化されている、
プロピレンコポリマー(A)。
【請求項2】
コポリマー(A)が、β核形成剤(B)を含む、請求項1に記載のプロピレンコポリマー。
【請求項3】
(a)コモノマーとして少なくとも1−ヘキセンを含み、
(b)1.0〜3.0重量%の範囲でコモノマー含有量を有し、
(c)2.5重量%以下のキシレン溶解画分を有し、
(d)β核形成剤(B)を含む、
プロピレンコポリマー(A)。
【請求項4】
コポリマー(A)が、β変態において部分的に結晶化されている、請求項3に記載のプロピレンコポリマー。
【請求項5】
プロピレンコポリマー(A)が、ISO1133に従って測定して0.8g/10分を超えないMFR(230℃)を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)。
【請求項6】
プロピレンコポリマー(A)の1−ヘキセン含有量が、1.0〜2.0重量%の範囲内である、請求項1から5までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)。
【請求項7】
プロピレンコポリマー(A)が、プロピレン及び1−ヘキセン単位によってのみ構成されている、請求項1から6までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)。
【請求項8】
プロピレンコポリマー(A)のコモノマー含有量が、1.0〜2.0重量%の範囲内である、請求項1から7までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)。
【請求項9】
プロピレンコポリマー(A)が、3.0〜8.0Pa−1の多分散性指数(PI)を有する、請求項1から8までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)。
【請求項10】
プロピレンコポリマー(A)のβ変態の量が、少なくとも50%である、請求項1から9までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)。
【請求項11】
プロピレンコポリマー(A)が、少なくとも950MPaのISO178に従って測定した曲げ弾性率を有する、請求項1から10までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)。
【請求項12】
プロピレンコポリマー(A)が、シャルピー衝撃試験(ISO179(1eA))に従って23℃で測定して少なくとも35.0kJ/mの衝撃強度及び/又はシャルピー衝撃試験(ISO179(1eA))に従って−20℃で測定して少なくとも1.5kJ/mの衝撃強度を有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)。
【請求項13】
プロピレンコポリマー(A)が、ISO16770に従って測定して(80℃で4.0MPaの圧力をかけて)7000時間を超えるFNCTを有する、請求項1から12までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)の使用であって、管又は管の部品のための上記使用。
【請求項15】
請求項1から13までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)を製造するための方法であって、プロピレンコポリマー(A)が、チーグラー・ナッタ触媒の存在下で製造され、その後β核化される上記方法。
【請求項16】
請求項1から13までのいずれか一項に記載のプロピレンコポリマー(A)を含む管。
【請求項17】
圧力管である、請求項16に記載の管。

【公表番号】特表2011−522075(P2011−522075A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510953(P2011−510953)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056164
【国際公開番号】WO2009/144166
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(510312628)ボレアリス アクチエンゲゼルシャフト (4)
【Fターム(参考)】