説明

ツリー型トポロジー・ネットワークにおける信頼性強化

【課題】ツリー型トポロジーを用いるネットワークの信頼性を強化する方法を提供する。
【解決手段】下位ノードが、ツリー型トポロジーでルートノードに到達するためにバックアップノードとして直接隣接するノードの1つを選択する方法で、ツリー型トポロジー中のノードはルートノードに対するそのレベルによって差別化される。たとえば、レベル1ノードは、上位ノードがルートノードであるノードのことであり、レベル2ノードは、上位ノードがレベル1ノードであるノードのことである。全ての下位ノードは、最小レベルの隣接するノード(上位ノードを除く)の1つをバックアップノードとして選択する。この方法は非常に簡単で適用しやすく、ノードまたはリンクの障害の際にツリー型トポロジーの信頼性を維持し、大きく強化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツリー型トポロジーを利用する通信ネットワークにおける信頼性強化に関する。
【背景技術】
【0002】
ツリー型トポロジーは、その集中化構造により管理と維持が比較的容易なため、通信システムにおいて広く利用されている。しかしながら、全ての下位ノードが上位ノードに完全に依存するという事実は、ツリー型トポロジーの最大の限界である。上位ノードに障害が発生すると、その全ての下位ノードがルートノードから切断されてしまう。
【発明の概要】
【0003】
そこで、本発明は関連技術の限界および不利益による問題の1つ以上を実質的に取り除く信頼性強化方法を目的とする。
【0004】
本発明の目的は、ツリー型トポロジーを用いるネットワークの信頼性を強化する方法を提供することである。
【0005】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の明細書に記載され、明細書から明らかであると共に、本発明の実施により学ぶこともできる。本発明の目的および他の利点は、書面による明細書とその請求の範囲並びに添付の図面に特に指摘される構造により実現および達成される。
【0006】
これら及び/または他の目的を達成するため、具現化され、広く記述されるように、本発明は、下位ノードが、ツリー型トポロジーを用いたネットワークのルートノードに達するためのバックアップ経路を選択する方法を提供するもので、(a)ノードがその直接隣接するノードに関する情報を取得できるようにする方法と、(b)ノードが、ルートノードに達するためのバックアップノードとして好適な隣接ノードを選択できるようにする方法とからなる。
【0007】
前述の一般的な記載と以下の詳細な記載はいずれも例示および説明であり、請求のように本発明のさらなる説明の提供を目的としていることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、ツリー型トポロジーを用いたネットワークの例を示す。
【図2】図2は、図1に記述するネットワークのバックアップ経路の例を示す。
【図3】図3は、ノード3に障害が発生した場合、図1に記述するネットワークの新しいツリー型トポロジーの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ツリー型トポロジーを用いるネットワークの信頼性を強化するため、下位ノードがルートノードに到達するためのバックアップ経路を用いることができる。
【0010】
本発明の実施形態は、下位ノードがルートノードに到達するためのバックアップノードとして直接隣接するノードのうちの1つを選択する方法を提供する。
【0011】
この方法の詳細は次の通りである。
【0012】
1.ツリーのルートノードは、下位ノード全てに、ツリー型トポロジーにおけるそれらのレベルを頻繁に通知する。たとえば、レベル1ノードとは、上位ノードがルートノードであるノードのことである。レベル2ノードとは、上位ノードがレベル1ノードであるノードのことである。
【0013】
2.全ての下位ノードは、ツリー型トポロジーにおけるそのレベルを隣接するノードに頻繁に通知する。
【0014】
3.ルートノードへのバックアップノードを持たない、レベル>1の下位ノードは全てその隣接するノード(上位ノードを除く)を(対象バックアップノード)セットという名のセットに入れなければならない。この(対象バックアップノード)セット中のノードはレベル情報に基づき上り順にソートされる。
【0015】
4.(対象バックアップノード)セット中の第1のノードが、ルートノードに達するバックアップノードとして選択される。
【0016】
5.ツリー型トポロジー中のリンクまたはノードに障害が発生すると、影響を受けたノードはそれぞれのバックアップノードを使ってルートノードに到達する。それらのバックアップノードへのリンクは、ツリーの新しいリンクとして用いられる。
【0017】
図1は、ツリー型トポロジーを用いたネットワークを示す。ノード1は、トポロジーツリーのルートノードである。ツリーリンク1からツリーリンク9までの全てがトポロジーツリーのリンクである。さらに、ツリー型トポロジーのノードは、1個より多い隣接ノードを持つことができる。直接リンク1は、ノード6とノード3とが隣接するノードであることを表す。直接リンク3は、ノード6とノード5とが隣接するノードであることを表す。直接リンク4は、ノード6とノード7とが隣接するノードであることを表す。直接リンク7は、ノード6とノード10とが隣接するノードであることを表す。そのため、ノード6は、ノード2、ノード3、ノード5、ノード7、およびノード10の5個の隣接ノードを有する。ノード9は、ノード4とノード10の2個の隣接ノードを有する。同じ原理が他のノードにも適用される。
【0018】
ノード2とノード3は、これらの上位ノードがノード1、すなわちルートノードであるため、レベル1ノードである。ノード4、ノード5、ノード6、ノード7、ノード8は、これらの上位ノードがそれぞれ、レベル1ノードのノード2とノード3であるため、レベル2ノードである。ノード9とノード10は、これらの上位ノードがそれぞれレベル2ノードのノード4とノード5であるため、レベル3ノードである。
【0019】
図2は図1のツリー型トポロジーのバックアップノードを示す。ノード4には、ノード2(レベル1)、ノード5(レベル2)、ノード9(レベル3)の3個の隣接ノードがある。ノード4の対象バックアップノードセットは、ノード5とノード9とからなる。ノード5は、対象バックアップノードセットの中の最低レベル、すなわちレベル2であるため、ノード4のバックアップノードに選ばれる。バックアップリンク2がこの事実を表す。
【0020】
同じ原理が他のノードにも適用される。たとえば、ノード5の、バックアップリンク3によって表されるバックアップノードはノード6である。ノード6の、バックアップリンク1によって表されるバックアップノードはノード3である。
【0021】
図3は、図1のツリー型トポロジーのノード3に障害が発生した場合を示す。ノード3は、ノード7とノード8との上位ノードである。そのため、ノード7とノード8は、ルートノードに到達するために、それぞれのバックアップノードを用いなければならない。図2から、ノード7はノード8のバックアップノードであり、ノード6はノード7のバックアップノードである。そのため、図2のバックアップリンク4および5がそれぞれ図3のツリーリンク5および6となり、新しいツリー型トポロジーを図3に示す。この新しいツリー型トポロジーは非常に速く形成され、ネットワークの信頼性維持に役立つ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のa−dを特徴とするツリー型トポロジーを用いたネットワークに実装される方法。
a.全ての下位ノードがツリーにおけるそれぞれのレベルに関する情報を取得する。たとえば、レベル1ノードは、上位ノードがルートノードであるノードであり、レベル2ノードは上位ノードがレベル1ノードであるノードとなる。
b.全ての下位ノードは、ツリー型トポロジーにおけるそのレベルを隣接するノードに頻繁に通知する。
c.ルートノードへのバックアップノードを持たない、レベル>1の下位ノードは全て、最小レベルの隣接するノード(上位ノードを除く)の1つをバックアップノードとして選択しなければならない。
d.ツリー型トポロジーのリンクまたはノードに障害が発生した時、影響を受けたノードはそれぞれのバックアップノードを用いてルートノードに到達する。このバックアップノードへのリンクは、ツリーの新しいリンクとして用いられる.
【請求項2】
ツリー型トポロジーを用いることのできる請求項1記載の方法。
【請求項3】
e.全てのレベル1下位ノードがバックアップノードとして隣接するノードの1つを選択しなければならないステップからさらになる請求項2記載の方法。
【請求項4】
ツリー型トポロジー中のノードのレベルが、帯域、消費電力、可動性等異なる基準を用いることができることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項5】
下位はその隣接ノードのレベル情報を受動的に取得するか、能動および受動両方の組み合わせで取得することを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項6】
下位ノードは、その隣接する多くのノードをバックアップノードとして選択することができることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項7】
時宜に応じて新しいルートノードがあることを特徴とする請求項2記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−217112(P2012−217112A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−92455(P2011−92455)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】