説明

テストパターンの表示方法、医用画像表示装置及びプログラム

【課題】オペレータの視認精度を向上させ、オペレータの目視によるキャリブレーションをより正確に行う。
【解決手段】N個のテストパターンを表示部13に表示させる際、制御部11は一画面に一のテストパターンを配置した画面データを生成し、そのテストパターンに設定された駆動レベルの情報とともに表示部13に出力することにより、一画面に一パターンづつ切り替え表示させる。また、各切替画面においてその画面上に表示するテストパターンを、画面を切り替える毎に移動させて異なる表示位置に配置した画面データを生成し、各切替画面に亘ってその表示位置を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者の目視により医用画像表示装置の表示階調特性を補正する際に使用するテストパターンの表示方法、テストパターンを表示する医用画像表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、X線撮影、MRI(Magnetic Resonance Imaging)撮影、超音波撮影等、様々な検査撮影により得られた患者の医用画像をモニタに表示させて読影を行うモニタ診断が普及している。また、病院内外におけるネットワークの発展に伴い、同一画像を異なる場所のモニタで読影することも可能である。しかし、読影に使用するモニタがLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等、異なる種類である場合、表示特性が異なるため同一画像でも画像の見え方が異なり、また、同一種類のモニタでもその使用による劣化の程度や設置環境等により、やはり画像の見え方が異なる場合がある。
【0003】
このように、個々のモニタで画像の見え方にばらつきがあると、診断精度に影響を及ぼすため、表示階調特性の補正(以下、キャリブレーションという)を行って各モニタにおける画像の見え方を統一することが必要である。従来から、輝度計を用いてキャリブレーションが行われているが、輝度計は一般に高価なものであるため輝度計を用いてのキャリブレーションはコスト高となる。また、読影用のモニタが何台もある場合、各モニタについて逐一輝度計によりキャリブレーションを行う作業は非常に手間がかかり、煩雑である。
【0004】
一方、輝度計を使用してキャリブレーションを実施後、オペレータが目視でキャリブレーション結果を確認する方法も提案されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1に記載のキャリブレーション方法は、図19に示すように、それぞれ異なる輝度レベルで表示された複数のテストパターンをモニタ上に表示して、オペレータ(観察者)に各テストパターンの輝度レベルを目視により確認させるものである。
【特許文献1】特開平11−327501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図19に示すように、一画面上に複数のテストパターンを表示してキャリブレーションを行う場合、判定対象のテストパターンとともにその隣接するテストパターンがオペレータの視野に入るため、オペレータの視認精度が低下し、正確なキャリブレーションを行うことが困難となる。
【0006】
また、同じ形状、同じサイズのテストパターンが常に同じ位置で表示されるため、オペレータの目に前回の判定対象のテストパターンの残像が残る場合がある。この場合、前回のテストパターンが後に表示される判定対象のテストパターンに影響することにより、オペレータの視認精度が低下する可能性がある。
【0007】
本発明の課題は、オペレータの視認精度を向上させ、オペレータの目視によるキャリブレーションをより正確に行うことを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、テストパターンの表示方法において、
医用画像表示装置の表示階調特性を補正するための複数のテストパターンを当該医用画像表示装置の表示手段に表示させるテストパターンの表示方法であって、
前記複数のテストパターンを一画面に一パターンづつ切り替えて表示させるとともに、各切替画面において表示するテストパターンの表示形態を変化させることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のテストパターンの表示方法において、
画面を切り替える毎にテストパターンの表示形態を変化させることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のテストパターンの表示方法において、
各切替画面内でテストパターンの表示形態を変化させることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のテストパターンの表示方法において、
前記表示形態は、テストパターンの表示位置であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のテストパターンの表示方法において、
前記表示形態は、テストパターンの表示サイズであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のテストパターンの表示方法において、
前記表示形態は、テストパターンの表示形状であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載のテストパターンの表示方法において、
各切替画面において表示されるテストパターンの背景領域の輝度レベルを、当該テストパターンの輝度レベルに対応させることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、医用画像表示装置において、
医用画像を表示する表示手段と、
医用画像表示装置の表示階調特性を補正するための複数のテストパターンを一画面に一パターンづつ切り替えて前記表示手段に表示させるとともに、各切替画面において表示するテストパターンの表示形態を変化させる制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、
コンピュータに、
医用画像を表示手段に表示させる機能と、
医用画像表示装置の表示階調特性を補正するための複数のテストパターンを一画面に一パターンづつ切り替えて前記表示手段に表示させるとともに、各切替画面において表示するテストパターンの表示形態を変化させる機能と、
を実現するためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、8、9に記載の発明によれば、テストパターンを表示する際に、一画面に一パターンづつ切替表示させるので、視認すべきテストパターン以外の他のテストパターンがオペレータの視野に入ることにより、視認精度が低下することを防止することができる。また、各切替画面において表示するテストパターンの表示形態を変化させるので、テストパターンの残像が残ることを防止する、或いはテストパターンの残像が残った場合でもその残像が次に視認すべきテストパターンに影響することを防止することができる。従って、より正確なキャリブレーションを行うことができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、画面を切り替える毎にテストパターンの表示形態を変化させるので、前の画面で表示されたテストパターンが後の画面で表示されるテストパターンの視認に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、各切替画面内でテストパターンの表示形態を変化させるので、一画面内で表示するテストパターンの表示形態を常に変化させることにより、テストパターンの残像が発生することを防止することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、画面を切り替える毎にテストパターンの表示位置を変化させた場合、前画面のテストパターンの残像が残った際にも次に視認すべきテストパターンとは異なる位置に残るので、前画面のテストパターンの残像が後の画面で表示されるテストパターンに影響を及ぼすことを防止することができる。一方、各切替画面内で表示位置を変化させた場合、テストパターンの表示位置が固定されないため、その残像の発生を防止することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、テストパターンの表示サイズを、画面を切り替える毎、或いは各切替画面内において変化させることにより、テストパターンの表示形態が固定されず、その残像の発生を防止することができる。或いは、残像が発生した場合でも後の画面で表示されるテストパターンへの影響を減ずることができ、オペレータの視認精度の低下を防止することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、テストパターンの表示形状を変化させるので、画面を切り替える毎、或いは各切替画面内において変化させることにより、テストパターンの表示形態が固定されず、その残像の発生を防止することができる。或いは、残像が発生した場合でも後のテストパターンへの影響を減ずることができ、オペレータの視認精度の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〈第1実施形態〉
第1実施形態では、複数のテストパターンを一画面に一パターンづつ切り替えて表示するとともに、各切替画面におけるテストパターンの表示位置をその画面を切り替える毎に変化させる例を説明する。
【0024】
まず、構成を説明する。
図1に、第1実施形態における医用画像表示装置10の内部構成を示す。
図1に示すように、医用画像表示装置10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、RAM(Random Access Memory)15、記憶部16から構成されている。
【0025】
制御部11は、記憶部16に記憶されているシステムプログラム、本発明に係る第1のパターン表示処理プログラム、キャリブレーション処理プログラム等の各種制御プログラムをRAM15に展開し、当該制御プログラムに従って各部の動作を集中制御する。
【0026】
第1のパターン表示処理では、医用画像表示装置10で表示駆動可能な駆動レベルのレベル範囲をN等分し、そのN等分された駆動レベルがそれぞれ設定されたN個の各テストパターンをその駆動レベルの情報とともに表示部13に出力して、各テストパターンを設定された駆動レベルで表示駆動させる。すなわち、各テストパターンをN等分された各駆動レベルに応じた輝度レベルで表示させることとなる。各テストパターンは、異なる輝度レベルで表示されるように異なる駆動レベルが設定された2つの表示領域から形成されているものである。
【0027】
このN個のテストパターンを表示部13に表示させる際、制御部11は一画面に一のテストパターンを配置した画面データを生成し、そのテストパターンに設定された駆動レベルの情報とともに表示部13に出力することにより、一画面に一パターンづつ切り替え表示させる。また、各切替画面においてその画面上に表示するテストパターンを、画面を切り替える毎に移動させて異なる表示位置に配置した画面データを生成し、各切替画面に亘ってその表示位置を変化させる。すなわち、制御部11と第1のパターン処理プログラムとの協働により、制御手段を実現することができる。
【0028】
キャリブレーション処理では、表示されたテストパターンについて、操作部12を介して輝度レベルの調整操作が為されると、その操作指示に応じてテストパターンにおける駆動レベルを変更して表示部13により表示駆動させる。調整操作が終了すると、各テストパターンを形成する2つの表示領域の駆動レベルの値に基づいて医用画像表示装置10の表示階調特性を補正する補正曲線を算出する。そして、当該補正曲線の入力値に対する出力値を規定したLUT(Look Up Table)を作成し、記憶部16に記憶させる。
【0029】
なお、表示特性とは駆動レベルと輝度レベルとの相関をいい、表示階調特性とは表示対象の画像データにおける画素値の入力レベルとその画像データを表示出力した際における輝度レベルとの相関をいう。
【0030】
操作部12は、キーボードやマウスを有し、これらキーボードやマウスが操作されると、その操作に応じた操作信号を生成して制御部11に出力する。なお、操作部12は、表示部13と一体に形成されたタッチパネル等を有することとしてもよい。
【0031】
表示部13は、LCD、CRT等のモニタを有する表示手段であり、制御部11による制御に従って当該モニタを駆動し、操作画面、テストパターンの表示画面等の各種画面データを表示する。なお、各テストパターン[n]を表示する際には、ともに入力された駆動レベル情報に従って指定された駆動レベルでモニタを表示駆動する。
【0032】
通信部14は、NIC(Network Interface Card)やモデム、ルータ等の通信用インターフェイスを有し、これら通信用インターフェイスを介して病院内に設けられたLAN(Local Area Network)上の外部機器とデータ通信を行う。例えば、患者の医用画像がデータベース化されて管理されている画像サーバにアクセスして医用画像のデータを取得する。
【0033】
RAM15は、制御部11において実行される各種プログラムや、これらプログラムによって処理されたデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0034】
記憶部16は、磁気的又は光学的記録媒体、若しくは半導体メモリ等により構成され、システムプログラム、キャリブレーション処理プログラム等の各種制御プロラグムを記憶している。また、キャリブレーション処理時に使用されるパラメータとして、各切替画面に亘ってテストパターンの表示位置を移動させる際の移動量のパラメータや、移動可能な領域範囲のパラメータ、表示部13の表示画面サイズ等の情報を記憶しており、プログラムの処理結果として、例えばキャリブレーション処理により作成された、医用画像表示装置10の表示階調特性を補正するためのLUTを記憶している。
【0035】
また、記憶部16はキャリブレーション処理において使用される複数のテストパターンのデータを記憶している。
図2に、テストパターン例を示す。
図2に示すように、テストパターン[n](括弧内のnは各テストパターンを識別するために付されたパターン番号を示す。n=1、・・・、N)は表示部13において駆動可能な駆動レベルのレベル範囲、つまり0〜最大駆動レベルDDLmaxをN等分し、N等分されたそれぞれの駆動レベルに対応して作成されたものである。なお、本実施形態では8等分した例を示したが、等分するN数はキャリブレーションの精度により適宜設定可能であるとする。高精度にキャリブレーションを行いたい場合はN数を増加させることが好ましい。
【0036】
各テストパターン[n]には、図3に示すように異なる駆動レベルが設定された2つの表示領域が形成されている。一方の表示領域には最大駆動レベルDDLmaxがN等分された駆動レベルが設定され、他方の表示領域にはその一方の表示領域に設定された駆動レベルより一定レベル高い駆動レベルが設定されている。このN等分された駆動レベルが設定された表示領域を基準ターゲットといい、基準ターゲットより高輝度レベルとなるように駆動レベルが設定された表示領域を調整ターゲットという。
【0037】
基準ターゲットの駆動レベルをDDLK[n]、調整ターゲットの駆動レベルをDDLT[n]とすると、DDLK[n]は下記式1により示され、DDLT[n]は下記式2により示される。
【数1】

【0038】
なお、図2及び図3に示したような方形状の表示領域からなるテストパターン[n]に限らず、図4及び図5に示すようなライン状の表示領域から形成されるテストパターン[n]であってもよい。この場合も同様に最大駆動レベルDDLmaxがN等分され、そのN等分された各駆動レベルが設定されたN個のテストパターン[n]が作成される。
【0039】
図4に示す各テストパターン[n]には、図5に示すように異なる駆動レベルが設定された2つのライン状の表示領域を1対のラインペアとして、複数対のラインペアが形成されている。ラインペアの一方のラインには最大駆動レベルDDLmaxがN等分された駆動レベルが設定され、他方のラインにはその一方のラインに設定された駆動レベルより一定レベル高い駆動レベルが設定されている。このN等分された駆動レベルが設定されたラインが基準ターゲットであり、基準ターゲットより高レベルとなるように駆動レベルが設定されたラインが調整ターゲットである。
なお、以下の説明ではテストパターン[n]の種類を区別するため、図2及び図3に示すテストパターンを方形パターン、図4及び図5に示すテストパターンをラインパターンという場合がある。
【0040】
次に、上記テストパターン[n]を用いて本実施形態の医用画像表示装置10により実行される第1のパターン表示処理及びキャリブレーション処理について説明する。
図6は第1のパターン表示処理を説明するフローチャートであり、図7はその処理時に表示される表示画面の遷移を示す図である。この処理は、環境設定メニューからキャリブレーションが選択されると開始される。
【0041】
図6に示す第1のパターン表示処理では、まず表示するテストパターンのパターン番号nが初期値であるn=1に設定される(ステップS11)。パターン番号nが設定されると、制御部11においてそのパターン番号nのテストパターン[n]のデータが記憶部16から読み出される。そして、テストパターン[n]が表示画面上の予め定められた初期位置に配置され、かつそのテストパターン[n]の背景領域の駆動レベルがテストパターン[n]の基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]に設定された表示画面データが生成される。生成された表示画面データはその各表示領域の駆動レベル情報とともに表示部13に出力され、表示部13では駆動レベル情報に従ってモニタの表示駆動が行われ、テストパターン[n]を含む表示画面が表示される(ステップS12)。
【0042】
図7は、テストパターン[1]、[3]、[5]の表示画面例である。テストパターン[3]を例に説明すると、一画面に一パターンのみ表示され、かつその背景領域が基準ターゲットと同一の駆動レベルで表示駆動されるため基準ターゲットの表示領域と同一輝度レベルで表示される。また、テストパターン[3]は初期位置として予め設定されている位置に配置されて表示されている。なお、図中の点線は、テストパターン[n]を移動させることが可能な領域として予め設定された領域範囲rを示すものであり、実際に表示画面上で点線が表示されるわけではない。
【0043】
このようにしてテストパターン[n]が表示されると、オペレータは操作部12を介して、テストパターン[n]中の調整ターゲットと基準ターゲットの輝度レベル差が目視により視認できる最小の輝度レベル差となるまで、調整ターゲットの輝度レベルを上げる又は下げる調整操作を行う。視認できる最小の輝度レベル差とは、オペレータが調整ターゲットの輝度レベルを基準ターゲットの輝度レベルに合わせて調整した結果、その輝度レベル差が視認できる限界における輝度レベル差をいう。具体的には調整ターゲットの輝度レベルをあと1レベル下げると、オペレータが調整ターゲットと基準ターゲットの輝度レベル差を識別できなくなる段階まで輝度レベルを調整する。
【0044】
医用画像表示装置10では、操作部12を介して調整ターゲットの輝度調整の操作がなされると、その操作信号が信号解析され、輝度レベルを上げる又は下げるの何れか操作指示されたか否かが判別される(ステップS13)。輝度レベルを上げるように操作指示された場合(ステップS13;up)、調整ターゲットの駆動レベルDDLT[n]が1レベル分増加され、表示中の調整ターゲットが増加された駆動レベルDDLT[n]で表示駆動される(ステップS14)。一方、輝度を下げるように操作指示された場合(ステップS13;down)、調整ターゲットの駆動レベルDDLT[n]が1レベル分下げられ、表示中の調整ターゲットが下げられた駆動レベルDDLT[n]で表示駆動される(ステップS15)。すなわち、一操作に応じて1駆動レベル分だけ輝度レベルが上下されて表示される。なお、調整ターゲットの輝度レベルを下げる操作が繰り返された場合でも、調整ターゲットの輝度レベルが基準ターゲットの輝度レベル以下とならないように、基準ターゲットの駆動レベル以下となる調整操作を無効とする等してその調整操作を制限することとする。
【0045】
駆動レベルの調整操作が行われると、調整操作が終了したか否かが判別され(ステップS16)、まだ操作部12を介して調整操作が行われている場合は(ステップS16;N)、ステップS13の処理に戻り、入力される操作指示に従って輝度レベルが調整される。一方、調整操作が終了した場合(ステップS16;Y)、調整終了時におけるテストパターン[n]の調整ターゲットの駆動レベルDDLT′[n]が判別され、当該駆動レベルDDLT′[n]と基準ターゲットの駆動レベルDDLK[n]との差ΔDDLjnd[n]が算出される(ステップS17)。このΔDDLjnd[n]は、そのテストパターン[n]においてオペレータが視認可能な最小の輝度レベル差に対応する。
【0046】
次いで、全てのテストパターン[n]について上述した調整操作が終了したか否かが判別される(ステップS18)。全てのテストパターンについて調整操作が終了していない場合(ステップS18;N)、パターン番号nが1だけインクリメントされる(ステップS19)。そして、インクリメントされたパターン番号nのテストパターン[n]のデータが記憶部16から読み出され、当該テストパターン[n]を現在表示中のテストパターン[n]の表示位置から所定量だけ移動されて配置され、かつそのテストパターン[n]の背景領域の駆動レベルがテストパターン[n]の基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]に設定された表示画面データが生成される。なお、テストパターン[n]の表示位置は、予め定められた領域範囲r内で移動することとする。
【0047】
生成された表示画面データはその各表示領域の駆動レベル情報とともに表示部13に出力され、表示部13では駆動レベル情報に従ってモニタの表示駆動が行われ、テストパターン[n]を含む表示画面データが表示される(ステップS20)。このように次のパターン番号nのテストパターン[n]が表示されると、ステップS13の処理に戻り、当該テストパターン[n]について調整操作が繰り返される。
【0048】
すなわち、表示部13には、図7に示すように一画面に一のテストパターン[n]のみが表示され、そのパターン番号順に各テストパターン[n]が順次切り替え表示されていく。また、画面が切り替えられる毎にテストパターン[n]の表示位置が所定量だけ移動され、各切替画面に亘って表示位置が変化する。
【0049】
そして、全てのテストパターン[n]が表示され、調整操作が終了した場合(ステップS18;Y)、図8に示すLUT作成処理に移行する。
図8に示すLUT作成処理では、図9に示すように各テストパターン[n]の基準ターゲットの駆動レベルDDLK[n]に対して算出されたΔDDLjnd[n]がプロットされ、各プロット点の近似関数g(DDL)が算出される(ステップS101)。つまり、離散値である各ΔDDLjnd[n]が補間されて全レベル範囲の駆動レベルDDLに対応する連続値が得られる。つまり近似関数g(DDL)は、駆動レベルDDLと最小駆動レベル差ΔDDLjnd[n]との対応関係を示す関数である。
【0050】
次いで、算出された関数g(DDL)を駆動レベルDDL毎に積分した関数h(DDL)が下式3により算出される(ステップS102)。上記g(DDL)はh(DDL)の傾きを示す。
【数2】

【0051】
図10は、h(DDL)を示す図である。X軸は駆動レベルDDL、Y軸は駆動レベルDDLに対するh(DDL)を示す。このとき、医用画像表示装置10で駆動可能な最大駆動レベルDDLmaxに対応するh(DDL)の値をImaxとすると、このImaxが最大駆動レベルDDLmaxに対応するようにh(DDL)(つまり、Y軸の値)が正規化され、正規化されたh(DDL)を示すf(DDL)が下式4により算出される(ステップS103)。
【数3】

【0052】
そして、図10のX軸の単位である駆動レベルDDLを画像値の入力レベルに置き換え(図中のPmaxは医用画像表示装置10で表現可能な最大階調を示す)、Y軸の単位であるh(DDL)を算出されたf(DDL)に置き換えた、図11に示すような曲線が作成される。この曲線により、画素値の入力レベルが最終的にその入力レベルに視覚的にリニアな輝度レベルで表示されるように、画素値の入力レベルから対応する輝度レベルを実現する駆動レベルを得ることができる。つまり医用画像表示装置10の表示特性に応じて表示階調特性(つまり画素値の入力レベルとその入力レベルに応じて実際に表示された際の輝度レベルとの関係)を補正する補正曲線である。制御部31では、この補正曲線の入力値に対する出力値が算出されてテーブル化され、LUTが作成される(ステップS104)。作成されたLUTが医用画像表示装置10の表示階調特性を補正するためのLUTとして記憶部16に記憶されると、本処理を終了する。
【0053】
医用画像を表示する際には、作成されたLUTが参照され、医用画像の画素値の入力レベル(入力値)に対応する駆動レベル(出力値)を得て当該駆動レベルで表示駆動が行われる。LUTにより得られた駆動レベルは、その駆動レベルで駆動表示された際の輝度レベルが画素値の入力レベルと視覚的にリニアな関係となるように補正された駆動レベルであるので、医用画像表示装置10の表示特性及びオペレータの視覚特性に応じて、医用画像表示装置10の表示階調特性が補正されたこととなる。
【0054】
以上のように、第1実施形態によれば、キャリブレーション用のテストパターンを表示する際に、一画面に一パターンづつ切り替え表示させる。よって、オペレータの視野に視認すべきテストパターン以外の他のテストパターンが入ることにより、視認精度が低下することを防止することができる。よって、より正確なキャリブレーションを行うことができる。
【0055】
また、画面が切り替わる毎にテストパターン[n]の表示位置が移動されるので、前画面で表示されていたテストパターン[n]の残像が生じた場合であっても、次画面のテストパターン[n]は前画面におけるテストパターン[n]の表示位置と異なる位置に表示されるので、前画面のテストパターン[n]の残像がオペレータが視認中のテストパターン[n]に影響することを防止することができる。
【0056】
さらに、各切替画面では、テストパターン[n]の背景領域は当該テストパターン[n]の基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]であるため同一輝度レベルで表示される。このように、テストパターン[n]の輝度レベルと背景領域の輝度レベルとを対応させることにより、オペレータの目がその輝度レベルに順応し視認精度が向上する。なお、本実施形態では背景領域の駆動レベルを基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]とすることとしたが、テストパターン[n]の輝度レベルに対応して背景領域の輝度レベルも変化するのであれば、例えば背景領域の駆動レベルをDDLK[n]とDDLT[n]の平均値とする、DDLK[n]〜DDLT[n]の範囲内で設定する等、他の値を設定することとしてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、方形パターンを用いた例を説明したが、ラインパターンを用いた場合も同様の処理が行われる。図12に、ラインパターンが使用された場合の画面遷移図を示す。方形パターンの場合と同様に一画面に一パターンづつ切替表示され、画面が切り替わる毎にラインパターンの表示位置が移動されている。
【0058】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、複数のテストパターンを一画面に一パターンづつ切り替えて表示するとともに、各切替画面においてテストパターンの表示位置をその画面内で変化させる例を説明する。
【0059】
まず、構成について説明する。
第2実施形態における医用画像表示装置は、第1実施形態の医用画像表示装置10と略同一構成であるのでその図示を省略し、同一構成部分には同一の符号を付して異なる機能部分についてのみ説明する。すなわち、第2実施形態における医用画像表示装置10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、RAM15、記憶部16から構成されている。
【0060】
制御部11は、本発明に係る第2のパターン表示処理プログラムを記憶部16から読み出して、このプログラムに従って各部の処理動作を集中制御する。
第2のパターン表示処理では、N個のテストパターン[n]を表示部13に表示させる際、制御部11は一画面に一のテストパターン[n]を配置した画面データをそのテストパターン[n]に設定された駆動レベルの情報とともに表示部13に出力することにより、一画面に一パターンづつ切り替え表示させる。また、各切替画面においてその画面上に表示するテストパターン[n]の表示位置を所定の速度で移動させることにより、表示位置を変化させる。すなわち、制御部31と第2のパターン処理プログラムとの協働により、制御手段を実現することができる。
【0061】
記憶部16は、第2のパターン表示処理プログラムを記憶している。また、その処理時におけるパラメータとして、各切替画面においてテストパターン[n]の表示位置を移動させる際の速度(本実施形態では0.5cm/sとする)の情報、移動可能な領域範囲の情報等を記憶している。
【0062】
次に、第2実施形態における医用画像表示装置10の動作について説明する。
図13は、医用画像表示装置10により実行される第2のパターン表示処理を説明するフローチャートであり、図14はその処理時における表示画面の画面遷移を示す図である。
【0063】
図13に示す第2のパターン表示処理では、まず表示するテストパターンのパターン番号nが初期値であるn=1に設定される(ステップS31)。パターン番号nが設定されると、そのパターン番号nのテストパターン[n]のデータが記憶部16から読み出される。そして、テストパターン[n]が表示画面上の予め定められた初期位置に配置され、かつそのテストパターン[n]の背景領域の駆動レベルがテストパターン[n]の基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]に設定された表示画面データが生成される。生成された表示画面データはその各表示領域の駆動レベル情報とともに表示部13に出力され、表示部13では駆動レベル情報に従ってモニタの表示駆動が行われて、テストパターン[n]の表示画面が表示される(ステップS32)。
【0064】
図14は、テストパターン[1]、[3]、[5]の各表示画面例を示す図である。テストパターン[3]を例に説明すると、テストパターン[3]は表示画面上の初期位置として予め定められた位置に配置されて表示される。テストパターン[n]の背景領域は基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]で表示駆動されるので、基準ターゲットと同一輝度レベルで表示されることとなる。なお、図中の点線はテストパターン[n]が移動可能な領域として予め定められている領域範囲rを示すものであり、実際に表示画面上に表示されるものではない。
【0065】
テストパターン[n]が表示されると、その表示された初期位置から0.5cm/sの速度でテストパターン[n]の表示位置の移動が開始される(ステップS33)。なお、テストパターン[n]は領域r内で移動される。
【0066】
このようにしてテストパターン[n]が表示されると、オペレータは操作部12を介して、テストパターン[n]中の調整ターゲットと基準ターゲットの輝度レベル差が目視により視認できる最小の輝度レベル差となるまで、調整ターゲットの輝度レベルを上げる又は下げる調整操作を行う。なお、この調整操作の間、表示画面上のテストパターン[n]は一定速度で移動している。
【0067】
医用画像表示装置10では、操作部12を介して調整ターゲットの輝度調整の操作がなされると、その操作信号が信号解析され、輝度レベルを上げる又は下げるの何れか操作指示されたか否かが判別される(ステップS34)。輝度レベルを上げるように操作指示された場合(ステップS34;up)、調整ターゲットの駆動レベルDDLT[n]が1レベル分増加され、表示中の調整ターゲットが増加された駆動レベルDDLT[n]で表示駆動される(ステップS35)。一方、輝度を下げるように操作指示された場合(ステップS34;down)、調整ターゲットの駆動レベルDDLT[n]が1レベル分下げられ、表示中の調整ターゲットが下げられた駆動レベルDDLT[n]で表示駆動される(ステップS36)。調整操作については第1実施形態における第1のパターン処理時と同様であるので、ここでは詳細を省略する。
【0068】
駆動レベルの調整操作が行われると、調整操作が終了したか否かが判別され(ステップS37)、まだ操作部12を介して調整操作が行われている場合は(ステップS37;N)、ステップS34の処理に戻り、入力される操作指示に従って輝度レベルが調整される。一方、調整操作が終了した場合(ステップS37;Y)、調整終了時におけるテストパターン[n]の調整ターゲットの駆動レベルDDLT′[n]が判別され、当該駆動レベルDDLT′[n]と基準ターゲットの駆動レベルDDLK[n]との差ΔDDLjnd[n]が算出される(ステップS38)。
【0069】
次いで、全てのテストパターン[n]について上述した調整操作が終了したか否かが判別される(ステップS39)。全てのテストパターンについて調整操作が終了していない場合(ステップS39;N)、パターン番号nが1だけインクリメントされる(ステップS40)。そして、ステップS32の処理に戻り、次のテストパターン[n]について調整操作が繰り返される。すなわち、図14に示すように一画面に一のテストパターン[n]のみが表示され、そのパターン番号順に各テストパターン[n]が順次切り替え表示されていく。
【0070】
そして、全てのテストパターン[n]が表示され、調整操作が終了した場合(ステップS39;Y)、図8に示すLUT作成処理に移行する。LUT作成処理については、第1実施形態と同様の処理が行われるので、その説明は省略する。
【0071】
以上のように、第2実施形態によれば、キャリブレーション用のテストパターンを表示する際に、一画面に一パターンづつ切り替え表示させる。よって、オペレータの視野に視認すべきテストパターン以外の他のテストパターンが入ることにより、視認精度が低下することを防止することができる。よって、より正確なキャリブレーションを行うことができる。
【0072】
また、各切替画面において表示されたテストパターン[n]は、その画面上で表示位置が移動され、表示位置が常に変化するので、各切替画面において表示されたテストパターン[n]が残像となってオペレータの目に残ることを防ぐことができる。従って、前画面のテストパターン[n]が後の画面で表示されるテストパターン[n]に与える影響を軽減することができ、オペレータの視認精度が低下することを防止することができる。
【0073】
さらに、各切替画面では、テストパターン[n]の背景領域は当該テストパターン[n]の基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]であるため同一輝度レベルで表示される。このように、テストパターン[n]の輝度レベルと背景領域の輝度レベルとを対応させることにより、オペレータの目がその輝度レベルに順応し視認精度が向上する。なお、本実施形態では背景領域の駆動レベルを基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]とすることとしたが、テストパターン[n]の輝度レベルに対応して背景領域の輝度レベルも変化するのであれば、例えば背景領域の駆動レベルをDDLK[n]とDDLT[n]の平均値とする、DDLK[n]〜DDLT[n]の範囲内で設定する等、他の値を設定することとしてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、方形パターンを用いた例を説明したが、ラインパターンを用いた場合も同様の処理が行われる。図15に、ラインパターンが使用された場合の画面遷移図を示す。方形パターンの場合と同様に一画面に一パターンづつ切替表示され、画面が切り替わる毎にラインパターンの表示位置が移動されている。
【0075】
〈第3実施形態〉
第3実施形態では、複数のテストパターンを一画面に一パターンづつ切り替えて表示するとともに、各切替画面におけるテストパターンの表示サイズをその画面内で変化させて表示する例を説明する。
【0076】
まず、構成について説明する。
第3実施形態の医用画像表示装置は、第1実施形態の医用画像表示装置10と略同一構成であるのでその図示を省略し、同一構成部分には同一の符号を付して異なる機能部分についてのみ説明する。すなわち、第3実施形態における医用画像表示装置10は、制御部11、操作部12、表示部13、通信部14、RAM15、記憶部16から構成されている。
【0077】
制御部11は、第3のパターン表示処理プログラムを記憶部16から読み出し、このプログラムに従って各部の処理動作を制御する。
第3のパターン表示処理では、N個のテストパターン[n]を表示部13に表示させる際、制御部11は一画面に一のテストパターン[n]を配置した画面データをそのテストパターン[n]に設定された駆動レベルの情報とともに表示部13に出力することにより、一画面に一パターンづつ切り替え表示させる。また、各切替画面においてその画面上に表示するテストパターン[n]の表示サイズを一定速度で拡大又は縮小することにより、変化させる。すなわち、制御部11と第3のパターン処理プログラムとの協働により、制御手段を実現することができる。
【0078】
記憶部16は、第3のパターン表示処理プログラムを記憶する。また、この第3のパターン表示処理時に必要なパラメータ情報、例えばテストパターン[n]の表示サイズを変化させる際の速度(本実施形態では、1cm2/sとする)のパラメータや、表示サイズを拡大できる最大サイズ及び縮小できる最小サイズのパラメータ等を記憶している。
【0079】
次に、第3実施形態の医用画像表示装置10の動作について説明する。
図16は、医用画像表示装置10により実行される第3のパターン表示処理を説明するフローチャートであり、図17はその処理時に表示される表示画面例を示す図である。
【0080】
図16に示す第3のパターン表示処理では、まず表示するテストパターンのパターン番号nが初期値であるn=1に設定される(ステップS61)。パターン番号nが設定されると、そのパターン番号nのテストパターン[n]のデータが記憶部16から読み出される。そして、テストパターン[n]が表示画面上の予め定められた初期位置に配置され、そのテストパターン[n]の背景領域の駆動レベルがテストパターン[n]の基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]に設定された表示画面データが生成される。生成された表示画面データはその各表示領域の駆動レベル情報とともに表示部13に出力され、表示部13では駆動レベル情報に従ってモニタの表示駆動が行われ、テストパターン[n]を含む表示画面データが表示される(ステップS62)。
【0081】
テストパターン[n]が表示されると、その表示された初期位置から1cm2/sの速度でテストパターン[n]の表示サイズの変化が開始され、拡大又は縮小が繰り返される(ステップS63)。
【0082】
図17は、テストパターン[3]の表示画面の変化を示す図である。
図17に示すように、テストパターン[3]は表示画面全体のうち、初期位置として予め定められた位置(画面中央部)に表示されている。テストパターン[3]の背景領域は基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[3]で表示駆動されるので、基準ターゲットと同一輝度レベルで表示されることとなる。
テストパターン[3]は、時間が経過する毎に徐々に拡大され、最大サイズとして予め設定されているサイズに達すると、その最大サイズから徐々にサイズが縮小される。そして、最小サイズとして予め設定されているサイズに達すると、再度サイズの拡大が行われる。つまり、表示画面d31、d32、d33がd31→d32→d33の順番で表示されると、今度は逆にd33→d32→d31の順番で表示され、テストパターン[n]に対する輝度調整が終了するまでの間、その表示サイズの拡大又は縮小が繰り返し行われる。
【0083】
以上のようにしてテストパターン[n]が表示されると、オペレータは操作部12を介して、テストパターン[n]中の調整ターゲットと基準ターゲットの輝度レベル差が目視により視認できる最小の輝度レベル差となるまで、調整ターゲットの輝度レベルを上げる又は下げる調整操作を行う。なお、この調整操作の間、表示画面上のテストパターン[n]は一定速度でそのサイズが変化している。
【0084】
医用画像表示装置10では、操作部12を介して調整ターゲットの輝度調整の操作がなされると、その操作信号が信号解析され、輝度レベルを上げる又は下げるの何れか操作指示されたか否かが判別される(ステップS64)。輝度レベルを上げるように操作指示された場合(ステップS64;up)、調整ターゲットの駆動レベルDDLT[n]が1レベル分増加され、表示中の調整ターゲットが増加された駆動レベルDDLT[n]で表示駆動される(ステップS65)。一方、輝度を下げるように操作指示された場合(ステップS64;down)、調整ターゲットの駆動レベルDDLT[n]が1レベル分下げられ、表示中の調整ターゲットが下げられた駆動レベルDDLT[n]で表示駆動される(ステップS66)。調整操作については、第1実施形態における第1のパターン表示処理の場合と同様であるので、ここでは詳細説明を省略する。
【0085】
駆動レベルの調整操作が行われると、調整操作が終了したか否かが判別され(ステップS67)、まだ操作部12を介して調整操作が行われている場合は(ステップS67;N)、ステップS64の処理に戻り、入力される操作指示に従って輝度レベルが調整される。一方、調整操作が終了した場合(ステップS67;Y)、調整終了時におけるテストパターン[n]の調整ターゲットの駆動レベルDDLT′[n]が判別され、当該駆動レベルDDLT′[n]と基準ターゲットの駆動レベルDDLK[n]との差ΔDDLjnd[n]が算出される(ステップS68)。
【0086】
次いで、全てのテストパターン[n]について上述した調整操作が終了したか否かが判別される(ステップS69)。全てのテストパターンについて調整操作が終了していない場合(ステップS69;N)、パターン番号nが1だけインクリメントされ(ステップS70)、ステップS62の処理に戻り、次のテストパターン[n]について調整操作が繰り返される。すなわち、一画面に一のテストパターン[n]のみが表示され、そのパターン番号順に各テストパターン[n]が順次切り替え表示されていく。
【0087】
そして、全てのテストパターン[n]が表示され、調整操作が終了した場合(ステップS69;Y)、図8に示すLUT作成処理に移行する。LUT作成処理については、第1実施形態と同様の処理が行われるので、その説明は省略する。
【0088】
以上のように、第3実施形態によれば、キャリブレーション用のテストパターンを表示する際に、一画面に一パターンづつ切り替え表示させる。よって、オペレータの視野に視認すべきテストパターン以外の他のテストパターンが入ることにより、視認精度が低下することを防止することができる。よって、より正確なキャリブレーションを行うことができる。
【0089】
また、各切替画面において表示されたテストパターン[n]は、その画面内で表示サイズが拡大又は縮小され、常に表示サイズが変化するので、各切替画面において表示されたテストパターン[n]が残像となってオペレータの目に残ることを防ぐことができる。従って、前画面のテストパターン[n]がその後の画面で表示されるテストパターン[n]に与える影響を軽減することができ、オペレータの視認精度が低下することを防ぐことができる。
【0090】
なお、本実施形態では、各切替画面内でテストパターン[n]の表示サイズを変化させることとしたが、各画面内では固定サイズであるが、画面を切り替える毎に異なる表示サイズで表示させることとしてもよい。
【0091】
さらに、各切替画面では、テストパターン[n]の背景領域は当該テストパターン[n]の基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]であるため同一輝度レベルで表示される。このように、テストパターン[n]の輝度レベルと背景領域の輝度レベルとを対応させることにより、オペレータの目がその輝度レベルに順応し視認精度が向上する。なお、本実施形態では背景領域の駆動レベルを基準ターゲットと同一駆動レベルDDLK[n]とすることとしたが、テストパターン[n]の輝度レベルに対応して背景領域の輝度レベルも変化するのであれば、例えば背景領域の駆動レベルをDDLK[n]とDDLT[n]の平均値とする、DDLK[n]〜DDLT[n]の範囲内で設定する等、他の値を設定することとしてもよい。
【0092】
なお、本実施形態では、方形パターンを用いた例を説明したが、ラインパターンを用いた場合も同様の処理が行われる。つまり、方形パターンの場合と同様に一画面に一パターンづつ切替表示され、各切替画面においてそのラインパターンの拡大又は縮小が繰り返されてサイズが変化する。
【0093】
また、上述した説明では、テストパターン[n]を表示画面に対し所定の比率で表示し、そのサイズを変化させることとしたが、図18に示すように、方形パターンを画面全体に表示してその調整ターゲットのサイズ及び形状を変化させることとしてもよい。図18に示す例では、調整ターゲットの表示領域が四角形から多角形にその形状が変化させ、さらに多角形から円形に変化させている。また、形状の変化に伴ってそのサイズも縮小させて表示する。このように、形状を変化させることにより、残像が生じることを防止することができる。
【0094】
また、第1〜第3の実施形態を組み合わせてテストパターン[n]を表示することとしてもよい。例えば、第1及び第3の実施形態を組み合わせて、画面を切り替える毎にテストパターン[n]の表示位置を移動させるとともに、かつ各切替画面内ではテストパターン[n]の表示サイズを常に変化させることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施の形態における医用画像表示装置10の内部構成を示す図である。
【図2】パターン表示処理時に表示されるテストパターン[n]を示す図である。
【図3】テストパターン[n]を形成する2つの表示領域について説明する図である。
【図4】ラインペアにより形成されるテストパターン[n]例を示す図である。
【図5】テストパターン[n]を形成するラインペアについて説明する図である。
【図6】医用画像表示装置10により実行される第1のパターン表示処理を説明するフローチャートである。
【図7】第1実施形態におけるテストパターン[n]の表示画面例を示す図である。
【図8】医用画像表示装置10により実行されるLUT作成処理を説明するフローチャートである。
【図9】関数g(DDL)を示す図である。
【図10】関数h(DDL)を示す図である。
【図11】医用画像表示装置10の表示階調特性を補正する補正曲線を示す図である。
【図12】ラインペアからなるテストパターン[n]の表示例を示す図である。
【図13】第2実施形態における第2のパターン表示処理を説明するフローチャートである。
【図14】第2実施形態におけるテストパターン[n]の表示画面例を示す図である。
【図15】ラインパターンの場合のテストパターン[n]の表示画面例を示す図である。
【図16】第3実施形態における第3のパターン表示処理を説明するフローチャートである。
【図17】第3実施形態におけるテストパターン[n]の表示例を示す図である。
【図18】テストパターン[n]の形状を変化させた表示画面例を示す図である。
【図19】従来のテストパターン例を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
10 医用画像表示装置
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 通信部
15 RAM
16 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像表示装置の表示階調特性を補正するための複数のテストパターンを当該医用画像表示装置の表示手段に表示させるテストパターンの表示方法であって、
前記複数のテストパターンを一画面に一パターンづつ切り替えて表示させるとともに、各切替画面において表示するテストパターンの表示形態を変化させることを特徴とするテストパターンの表示方法。
【請求項2】
画面を切り替える毎にテストパターンの表示形態を変化させることを特徴とする請求項1に記載のテストパターンの表示方法。
【請求項3】
各切替画面内でテストパターンの表示形態を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載のテストパターンの表示方法。
【請求項4】
前記表示形態は、テストパターンの表示位置であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のテストパターンの表示方法。
【請求項5】
前記表示形態は、テストパターンの表示サイズであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のテストパターンの表示方法。
【請求項6】
前記表示形態は、テストパターンの表示形状であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のテストパターンの表示方法。
【請求項7】
各切替画面において表示されるテストパターンの背景領域の輝度レベルを、当該テストパターンの輝度レベルに対応させることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のテストパターンの表示方法。
【請求項8】
医用画像を表示する表示手段と、
医用画像表示装置の表示階調特性を補正するための複数のテストパターンを一画面に一パターンづつ切り替えて前記表示手段に表示させるとともに、各切替画面において表示するテストパターンの表示形態を変化させる制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項9】
コンピュータに、
医用画像を表示手段に表示させる機能と、
医用画像表示装置の表示階調特性を補正するための複数のテストパターンを一画面に一パターンづつ切り替えて前記表示手段に表示させるとともに、各切替画面において表示するテストパターンの表示形態を変化させる機能と、
を実現するためのプログラム。

【図1】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図16】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−199(P2006−199A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177073(P2004−177073)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】