説明

テトラゾリルベンゾピランの製法

【課題】4−オキソ−8−[4−(4’−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランを比較的少ない工程で良好な収量にて製造する方法の提供。
【解決手段】下記式


[式中、Aは、単結合、ビニレン等を示し;Rは、アルキル基等を示し;Rは、水素原子、アルキル基等を示し;Rは水素原子、水酸基、アルコキシカルボニル基等を示す]で表される化合物を還元することにより製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療薬として当該分野で知られている置換されたベンゾピラン化合物の調製方法および該製法において有用な中間体の新規の調製に関する。本発明はまた、治療薬として有用な新規化合物にも関する。
【背景技術】
【0002】
置換されたベンゾピラン化合物は当該分野において知られている。例えば、EP 0 173 516−Aはロイコトリエンアンタゴニストおよび5−a−レダクターゼ阻害剤として活性を有する化合物として記載され、ロイコトリエンまたは5−a−レダクターゼ活性によって引き起こされるかあるいは悪化する疾病の治療において、治療上有用なあるクラスの置換されたベンゾピラン化合物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
欧州特許出願公開番号EPO0173516
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、INNプランルカスト(pranlukast)を有する化合物4−オキソ−8−[4−(4’−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランは抗喘息薬として開発されつつある。かかる化合物を調製する種々の方法が当該分野で知られているが、しかしながら大規模な商業的応用を考える場合はある欠点に苦しむ方法もある。特に、当該分野で公知の方法は多段合成であり、それゆえに比較的少ない製法工程で良好な収量にて所望の化合物を与える改良された経路に対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
それゆえに第一の態様において、式(II):
【化1】

(II)
[式中、R、R、RおよびAは式(I)に定義された通りである]
の化合物を還元し、しかる後、所望により医薬上許容される塩、水和物またはN−オキシドを形成させることを特徴とする式(I):
【化2】

(I)
[式中、
はC1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、あるいはその各々が、その5個までの炭素原子が所望により、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、窒素原子、ベンゼン環、チオフェン環、ナフタレン環、4ないし7個の炭素原子の炭素環、カルボニル基、カルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アジド基および/またはニトロ基によって置換されていてもよいC1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニルから独立して選択される1または2個の置換基によって置換されていてもよい構造:
【化3】

の基であり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
は水素、ハロゲン、水酸、ニトロ、一般式−COOR(ここにRは水素またはC1−6アルキルを表す)の基、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはC1−6アルキルチオであり;
Aは、単結合または所望により1、2もしくは3個のC1−10アルキルおよび/またはフェニル基によって置換されていてもよいビニレン、プロペニル−1−エン、ブテニル−1−エン、ブタジエニル−1−エンまたはエチニレン基であり;但し、RおよびAによって形成される基は、式(I)の化合物のカルボニル基の隣に二重または三重結合を供する]
の化合物の調製方法が提供される。
【0006】
式(II)の化合物の還元は、適当には、水素化トリブチルスズ+AIBN(アゾジイソブチルニトリル、2,2’−アゾ−ビス(2−メチルプロピオニトリル))、DMSO+硫酸、三塩化チタン+CO+HCl、酢酸中の粉末Fe、パラジウム+酢酸および無水酢酸、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスファイト、3−スルホレン、スルホキシル酸ジ−n−プロピルおよびチタン(0)のごとき還元剤を用いて行われる。好ましくは、還元剤はチタン(0)である。好ましくは、チタン(0)は系内(in situ)で、例えば、四塩化チタンおよび水素化リチウムアルミニウムから生じさせる。適当には、還元は、室温または高温にて不活性溶媒中で行う。好ましくは、還元は、高温、例えば、還流温度にてTHF中で行う。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特に、本明細書中で特許請求する反応は、RおよびAが式(ii):
【化4】

の基を形成する化合物(I)の調製において有用である。
【0008】
好ましくは、RおよびRは共に水素である。
最も好ましくは、本発明の製法は、化合物プランルカスト、すなわち4−オキソ−8−[4−(4’−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩、水和物またはN−オキシドを調製するに用いることができる。
【0009】
式(II)の化合物は式(III):
【化5】


(III)
[式中、RはC1−6アルキルであって、Rは、水素、C1−6アルキルまたはアルカリ金属イオンである]
の化合物と式(IV):
【化6】

(IV)
[式中、R、R、RおよびAは式(I)に定義されたとおりである]
の化合物との反応によって当該分野で公知の化学、例えば、WO94/12492に開示される方法を用いて調製できる。適当には、Rは水素、C1−6アルキルあるいはナトリウムまたはカリウムのごときアルカリ金属イオンである。好ましくは、Rは水素である。好ましくは、本反応は、4−オキソ−8−[4−(4’−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(2−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランである式(II)の化合物を調製するに用いられる。
【0010】
式(III)のN−1 ヒドロキシテトラゾール化合物は本明細書中に例示される文献の方法によって調製できる。式(III)のN−2 ヒドロキシテトラゾール化合物の立体特異的な調製は式(V):
【化7】

(V)
[式中、Rは式(III)に定義されたとおりである。]
の化合物の酸化によって行うことができる。式(V)の化合物は、適当には、アルカリpHにて、オキソン(ペロキシ一硫酸カリウム、2KHSO.KHSO.KSO)で処理する。好ましくは、反応は、pH7.5−8.0において水性アセトン中で行う。好ましくは、Rはエチル基である。
【0011】
特に、本発明の製法は、化合物4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩、水和物またはN−オキシドを調製するに用いられる好ましい中間体である式(II)の化合物4−オキソ−8−[4−(4’−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(1−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたは4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(2−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランを調製するに用いることができる。
【0012】
さらなる態様において、それゆえに本発明は、本明細書中にて開示される製法を用いて、特に、4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(1−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたは4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(2−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランから調製される場合はいつでも、調製された4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩、水和物またはN−オキシドを提供する。
それゆえに本発明は、4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩、水和物またはN−オキシドの調製のための本明細書中に定義される製法の使用を提供する。
【0013】
式(II)の化合物は、新規であると信じられ、本発明のさらなる態様を形成する。式(II)の化合物は生物学的活性を有すことが見出されており、それゆえに本発明は、治療薬として使用される式(II)の化合物またはその医薬上許容される塩または水和物を提供する。
本発明は、また、ロイコトリエン活性の拮抗作用が有効な疾患の予防または治療、特に喘息の治療において使用される一般式(II)の化合物またはその生理学的に許容される塩または水和物を提供する。
もう一つの態様において、本発明は一般式(II)の化合物またはその医薬上許容される塩または水和物の、上記疾患の治療用の医薬品の製造のための使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、有効量の一般式(II)の化合物またはその医薬上許容される塩または水和物をかかる治療を必要とする患者に投与することを特徴とする上記疾患の治療方法を提供する。
【0014】
特に本発明は、喘息の治療または予防で使用される一般式(II)の化合物またはその生理学的に許容される塩または水和物を提供する。
本発明は、また、式(II)の化合物またはその医薬上許容される塩または水和物および医薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物を提供する。
適当には、室温かつ大気圧にて混合することによって調製できる本発明の医薬組成物は、通常、経口、非経口または直腸投与に適合し、それ自体、錠剤、カプセル剤、経口液剤、粉末剤、顆粒剤、ロゼンジ、復元可能な粉末剤、注射可能または点滴可能な溶液または懸濁液または坐剤の形態とすることができる。経口的に投与可能な組成物が一般に好ましい。
【0015】
経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、単位投薬形とすることができ、結合剤、充填剤、錠剤化滑沢剤、崩壊剤および許容される湿潤剤のごとき慣用的な賦形剤を含有させることができる。錠剤は通常の製薬操作において公知の方法によってコートすることもできる。
経口液剤は、例えば、水溶性または油性懸濁物、溶液、乳剤、シロップ剤またはエリキシル剤の形態であってもよく、あるいは使用前に水または他の適当なビヒクルでの復元用の乾燥製品の形態であってもよい。かかる液剤は、懸濁化剤、乳化剤、(食用油を含んでもよい)非−水溶性ビヒクル、防腐剤、および所望であれば慣用的な矯味矯臭剤および着色剤のごとき慣用的な添加物を含有させることもできる。
【0016】
非経口投与には、液体単位投薬形が本発明の化合物またはその医薬上許容される塩および滅菌ビヒクルを利用して調製される。用いられるビヒクルおよび濃度に依存して、化合物はビヒクルに懸濁または溶解のどちらかができる。溶液の調製において、化合物は、注射用に溶解され、適当なバイアルまたはアンプルへ充填および密封される前に濾過滅菌される。有利には、局所麻酔剤、防腐剤および緩衝剤のごときアジュバントをビヒクルに溶解させる。安定性を向上するためには、組成物はバイアルに充填した後に凍結させ、真空下で水を除去する。非経口懸濁剤は、化合物をビヒクルに溶解させる代わりに懸濁させ、滅菌は濾過によって達成できないこと以外は実質的同様の方法で調製される。化合物は滅菌ビヒクル中への懸濁前にエチレンオキシドに暴露することによって滅菌できる。有利には、界面活性剤または湿潤剤を組成物に含ませて、化合物の均一な分散を促進する。
【0017】
以下の実施例は本発明を説明するために供する。
【実施例1】
【0018】
4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(1−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランの調製
【0019】
文献の方法、O. A. Luk’yanov and N. I. Shlykova, Izv, An. CCCP Cep. Xim., (1984), 181, Chem. Abstr. 100, 191795d, (1984); Izv. An. CCCP Cep.Xim), 2540,(1987),Chem. Abstr. 109,92884m(1988)]を用いて調製されたDMF(2ml)中の1−ヒドロキシテトラゾール−2−カルボン酸エチル(1.18g、6.3mmol)を0−5℃にてDMF(8ml)中の3−[4−(4’−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−ヒドロキシアセトフェノン(1.96g)およびカリウムt−ブトキシド(3.82g、34mmol)の混合物へ15分間にわたって滴下した。混合物を1時間、この温度範囲にて撹拌した。メタノール(25ml)、続いて濃塩酸(5ml)を混合物に添加し、得られた黄色懸濁物を1時間半加熱還流した。水(25ml)を添加し、混合物を30℃に冷却した。生成物を濾過し、1:1の水−メタノールで洗浄し、乾燥すると、白色固体として標記化合物が得られた(2.42g、収率98%)。融点、238−40℃。
1H NMR (400MHz, CDCl3: d6-DMSO 1:1)δ9.44(1H, s, NH), 8,56(1H, dd, Ar-H), 7.95(2H, d, Ar-H), 7.78(1H, dd, Ar-H), 7.44(1H, t, Ar-H), 7.30-7.14(5H, m, Ar-H), 7.18(1H, s, C(3)H), 6.93(2H, d, Ar-H), 4.02(2H, br.t, CH2-O), 1.75-1.85(4H, m, CH2-CH2), 2.69(2H, br.t, ArCH2), ppm; 13C NMR(100MHz, CDCl3: d6-DMSO 1:1) δc176.0(C=O, q), 164.1(アミド, C=O, q), 161.6(Ar-O, q), 149.9(q), 146.2(q), 141.7(q), 138.7(tet C-5, q), 129.0, 128.2(q), 128.0, 127.9, 125.4, 125.2(q), 125.0, 123.6(q), 119.0, 113.9, 109.6, 67.4, 34.8, 28.1, 27.2ppm; MS:陽イオン電子噴射m/z 498 [M+H]+
【0020】
2−ヒドロキシテトラゾール−5−カルボン酸エチルの調製
水(100ml)中のテトラゾール−5−カルボキン酸エチルのナトリウム塩(6.56g、40mmol)の溶液に、アセトン(3ml、40mmol)および固体炭酸水素ナトリウム(8.4g、50mmol)を添加した。オキソン(30.74g、50mmol)を何回かに分けて5分間にわたって添加し、35℃にて44時間、反応混合物を撹拌した。固体炭酸水素ナトリウムでpHを5.82に再調整し、2分間にわたってさらにオキソン(3.1g、5mmol)、続いてアセトン(1ml)をチャージし、反応混合物を35℃にてさらに16時間、撹拌した。固体炭酸水素ナトリウムを用いて反応混合物のpHを6.5に調整し、10℃に冷却した。メタ重亜硫酸ナトリウムを添加し、メルクコクアント(merckoquant)ペルオキシドペーパーテストを用いて陰性の結果が出るまで、炭酸水素ナトリウムを予備的に添加することによりpHが5.5−6.5に維持されることを確実にした。
【0021】
ペルオキシドが全て分解すると、濃塩酸を用いて水層のpHを1.0に調整し、得られた懸濁物を酢酸イソプロピルで洗浄し(40mlx2,20mlx4)、有機抽出物を捨てた。水層のpHを酢酸イソプロピル(40ml)存在下、濃塩酸を用いて0.3に調整した。次いで水層を塩化ナトリウムで飽和し、層を分離した。水層を、酢酸イソプロピルを用いて再抽出した(40ml、20mlx4)。次いで、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮乾固して油状物質(4.45g)が得られ、これは放置すると結晶化した。HPLCによる分析により、これが純度95%以上の標記化合物であると示された。総収量は5.71g(88%収率)であった。融点75−8℃。
1H NMR (400MHz: d6- アセトン)δ1.36(3H, t, 4.42, CH2CH3), (2H, q, CH2CH3)ppm; 13C NMR(100MHz, d6-アセトン) δc 157.9(q), 154.7(q), 62.74, 14.28ppm; HRMS: 実測値159.0515、C4H7N4O3として159.0512を要する。
【実施例2】
【0022】
4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(2−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランの調製
THF(30mol)中の3−[4−(4’−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−ヒドロキシアセトフェノン(10.2g、25mmol)および2−ヒドロキシテトラゾール−5−カルボン酸エチル(4g、25.3mmol)の懸濁物へTHF(70ml)中のカリウムt−ブトキシド(98.3%アッセイで17.34g、152mmol)を添加した。大気圧蒸留が行われる温度にて反応混合物を1時間、加熱還流し、蒸留物50mlを収集した。反応混合物をメタノール(20ml)で希釈し、冷却し、得られた懸濁物を、素早く撹拌しながらメタノール(85ml)中濃塩酸(19ml、217.6mmol)の溶液へ添加した。得られた懸濁物を90分間加熱還流し、するとすぐ濃塩酸(8.8ml、100mmol)をさらにチャージし、反応物をさらに16時間加熱還流した。得られた白色懸濁物を室温まで冷却し、生成物を濾過し、メタノールで洗浄し(50mlx2)した。粗生成物を水(100ml)中で撹拌し、濾過し、水で洗浄し(50mlx3)、50℃で一晩乾燥すると、標記化合物が得られた(9.92g、収率79%)。融点、192℃(分解)。
1H NMR (400MHz, CDCl3: d6-DMSO 1:1)δ9.89(1H, s, NH), 8.22(1H, dd, Ar-H), 8.04(2H, d, Ar-H), 7.91(1H, dd, Ar-H), 7.49(1H, t, Ar-H), 7.27-7.16(5H, m, Ar-H), 7.03(2H, d, Ar-H), 7.01(1H, s, C(3)H), 4.08(2H, br.t, CH2-O), 2.69(2H, br.t, ArCH2), 1.85-1.75(4H, m, CH2CH2), ppm; 13C NMR(100MHz, CDCl3: d6-DMSO 1:1) δ176.1(C=O, q), 164.6(アミドC=O, q), 161.5(q), 153.7(q), 52.1(tetC(5), q), 148.1(q), 141.5(q), 129.3, 128.5, 127.9, 127.8(q), 127.8, 125.6 (q), 125.3, 124.9, 124.0(q), 120.4, 113.8, 108.8, 67.4, 34.7, 28.0, 27.1ppm; HRMS 実測値 498.1765、C27H24N5O5として498.1770[M+H]+を要する。
【0023】
4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(2−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたは4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(1−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランのいずれかからのプランルカストの調製
テトラヒドロフラン(2.5ml)中の四塩化チタン(0.49ml、1.8mol当量)の懸濁物に水素化リチウムアルミニウム(123mg、1.3mol当量)を添加し、15分間撹拌したチタン(0)の黒色懸濁物を得た。追加のテトラヒドロフラン(5ml)と共に4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(2−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン(1.24,1mol当量)を添加した。混合物を室温にて60分間撹拌し、次いで90分間加熱還流すると71%溶液収率でプランルカストが得られた。
室温にて30分のみの反応混合物が必要であるが、4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(1−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランを用いて上記条件下で同様の収量が得られた。
【0024】
薬理学的データ
プランルカストおよび代謝物でのモルモット肺における結合実験の実験方法
結合実験は、[H]−LTDを用いて以前に記載されたごとくモルモット肺膜内で行った(1)。雄ハートレー(Hartley)モルモット(ヘイゼルトン・リサーチ・アニマルズ(Hazelton Research Animals)、米国ペンシルバニア州、デンバー;体重450−650g)から得られた組織から調製された肺膜(5.0−20ugタンパク質)を、PIPES(pH、6.5;シグマケミカル(Sigma chemical)、米国ミズーリ州セント・ルイス)、10mM CaCl、10mM MgCl,10mMグリシン(シグマ(Sigma))、10mMシステイン(シグマ(Sigma))および0.5nM[H]−LTD(140Ci/mmol;ニュー・イングランド・ニュークエレア(New England Nuclear)、米国マサチューセッツ州ボストン)を含む体積200ul中で25℃にて30分間インキュベートした。非−特異的結合を0.5uMの冷LTD存在下、測定した。結合リガンドを有する膜を、真空濾過およびブランデル・セル・ハーベスター(Brandel cell harvester)を用いてワットマン(Whatman)GF/C濾紙で捕捉し、次いで、氷冷した25mMTris−HCl、pH7.4で洗浄した。10mlのレディータンパク質(Ready Protein)(ベックマン(Beckman)、米国カリフォルニア州、フレルトン)の入ったシンチレーションバイアル内に濾紙を入れ、シンチレーションスペクトロメトリーによって放射能を測定した。
【0025】
データ分析
データは全て平均±標準偏差で表す。各化合物の濃度−反応曲線(0.3−10,000nM)は少なくとも2回アッセイで行い、二連で操作した。各試料につき、細胞−結合放射能を測定し、非−特異的結合を1uM非標識化LTD存在下で決定し、対照および薬剤−処理試料から差し引いた。特異的[H]−LTD結合の百分率阻害を各薬剤濃度につき測定し、特異的[H]−LTD結合の50%を阻害するに必要な供試化合物の濃度と定義されるIC50を測定した。値は、式:
【化8】

[式中、[L]は添加されるリガンドの濃度であって、Kはリガンド解離定数(飽和実験から決定されたのは0.2nMである)である]
を用いて、チェン(Cheng)およびプルソフ(Prusoff)によって記載されるIC50から算出されたKとして表される(2)。
【0026】
参考文献
1. Sarau, H. M., Mong, S., Foley, J. J., Wu, H.-L. and Crooke, S. T. Identification and characterization of leukotriene D4 receptors and signal transduction processes in rat basophilic leukemia cells. J. Biol. Chem., 262: 4034-4041, 1987.
2. Cheng, Y. -C. and Prusoff, W. H. Relationship between the inhibition constant(Ki) and the concentration of inhibitors which cause 50 percent inhibition(IC50) of an enzymatic reaction. Biochem. Pharmacol., 22, 3099-3108, 1973.
【0027】
実施例1および2の化合物は、それぞれK値[nM]で0.22−0.53であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
【化1】

(II)
[式中、R、R、RおよびAは式(I)に定義されるとおりである]
の化合物を還元し、しかる後、所望により医薬上許容される塩を形成させることを特徴とする構造式(I):
【化2】


(I)
[式中、
はC1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、またはその各々が、5個までの炭素原子が所望により酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、窒素原子、ベンゼン環、チオフェン環、ナフタレン環、4ないし7個の炭素原子の炭素環、カルボニル基、カルボニルオキシ基、水酸基、カルボキシ基、アジド基および/またはニトロ基によって置換されていてもよいC1−20アルキル、C2−20アルケニルまたはC2−20アルキニルから独立して選択される、1または2個の置換基によって置換されていてもよい構造:
【化3】

の基であり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
は水素、ハロゲン、水酸、ニトロ、一般式−COOR(ここに、Rは水素またはC1−6アルキルを表す)、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたは C1−6アルキルチオであり;
Aは単結合または、所望により1、2または3個のC1−10アルキルおよび/またはフェニル基によって置換されていてもよいビニレン、プロペニル−1−エン、ブテニル−1−エン、ブタジエニル−1−エンまたはエチニレン基であり;但し、RおよびAによって形成される基は式(I)の化合物のカルボニル基の隣に二重または三重結合を提供する:
ただし、RおよびAが一緒になって式(ii):
【化4】

の基を形成する場合を除く]
の化合物の調製法。
【請求項2】
が水素である請求項1記載の製法。
【請求項3】
が水素である請求項1または2記載の製法。
【請求項4】
還元剤が水素化トリブチルスズ+2,2’−アゾ−ビス(2−メチルプロピオニトリル)、DMSO+硫酸、三塩化チタン+CO+HCl、酢酸中粉末Fe、パラジウム+酢酸および無水酢酸、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスファイト、3−スルホレン、スルホキシル酸ジ−n−プロピルおよびチタン(0)である請求項1ないし3のいずれか1項記載の製法。
【請求項5】
還元剤がチタン(0)である請求項1ないし3のいずれか1項記載の製法。
【請求項6】
還元剤が、系内(in situ)で四塩化チタンおよび水素化リチウムアルミニウムから生じるチタン(0)である請求項5記載の製法。
【請求項7】
調製される化合物が4−オキソ−8−[4−(4’−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩、水和物またはN−オキシドである請求項1ないし5のいずれか1項記載の製法。
【請求項8】
式(II)の化合物が優先的に1−ヒドロキシテトラゾール誘導体である請求項1ないし6のいずれか1項記載の製法。
【請求項9】
式(II)の化合物が優先的に2−ヒドロキシテトラゾール誘導体である請求項1ないし6のいずれか1項記載の製法。
【請求項10】
式(II):
【化5】

(II)
[式中、R、R、RおよびAは式(I)に定義されたとおりである]
の化合物またはその医薬上許容される塩または水和物。
【請求項11】
4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(1−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたは4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(2−ヒドロキシテトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランである式(II)の化合物またはその医薬上許容される塩または水和物。
【請求項12】
治療薬として使用される式(II)の化合物。
【請求項13】
医薬上許容される担体と共に、請求項10または11記載の化合物またはその医薬上許容される塩または水和物を含む医薬組成物。

【公開番号】特開2009−143931(P2009−143931A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214(P2009−214)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【分割の表示】特願平10−530517の分割
【原出願日】平成9年12月30日(1997.12.30)
【出願人】(595047190)スミスクライン ビーチャム ピー エル シー (34)
【Fターム(参考)】