説明

テトラメチルシクロブタンジオールを含む熱硬化性ポリエステルコーティング組成物

ポリエステル樹脂、及び少なくとも1つの架橋剤との組み合わせにあるこれらの樹脂を含める熱硬化性コーティング組成物を有する溶媒を開示する。ポリエステル樹脂は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含み、且つ有機溶媒中で良好な溶解性の組み合わせ、及びコーティング組成物中で良好な柔軟性を有しつつ高硬度を示す。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
詳細な説明
高硬度を示す溶媒を有する熱硬化性コーティングは、所望されている。高硬度を有するコーティングは、典型的に高光沢、良好な像の鮮明性(DOI)、早い乾燥時間、耐スクラッチ性、耐汚染性、耐化学性、及び耐湿性、並びに屋外耐久性を示す。大量の2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(本明細書においては“NPG”と略す)及びイソフタル酸(本明細書においては“IPA”と略す)を含むポリエステル樹脂は、特に硬度に関連するこれらのコーティング特性の良好な組み合わせを示す。しかしながらこれらのポリエステル樹脂は、しばしば有機溶媒中での溶解性の悪さを示し、且つ柔軟性に乏しいコーティングを与える傾向がある。
【0002】
樹脂溶解性の悪さは、しばしば相分離、溶液からの樹脂の沈殿、及びヘイズ(濁り)の発現によって時間とともに出現し、樹脂溶液を不透明にする。これらの特徴は、所望されず、且つ樹脂溶液及びこれらの溶液から製剤化されたコーティングの貯蔵安定性を制限する。かかるコーティングは、例えば、所望されないより高い適用粘度、硬化フィルムの外観の悪さ及び機械的特性の悪さをもたらす粘度増加、相分離、成分の凝集等を経験し得る。
【0003】
溶解性は、多様なジオール、並びにジカルボン酸及び無水物を樹脂製剤中に導入することによって改良され得る場合がある。溶解性を改良し得るジオールの例は、1,6−ヘキサンジオール(本明細書においては“HD”と略す)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(本明細書においては“TMPD”と略す)及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(本明細書においては“BEPD”と略す)を含める。同様に、溶解性を改良し得るジカルボン酸及び無水物の例は、アジピン酸(本明細書においては“AD”と略す)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(本明細書においては“CHDA”と略す)及びヘキサヒドロフタル酸無水物(本明細書においては“HHPA”と略す)を含める。これらのモノマーは、溶解性を改良し得るが、それらは、さらにコーティング硬度を減らし、且つ改良された硬度に付随する所望される特性に悪影響を及ぼし得る。
【0004】
ポリエステル樹脂により製剤化されたコーティングは、一般的にアクリルコーティングより劣る硬度を有することが公知である。さらに高硬度を有するポリエステルは、有用な保存期間、及び熱硬化性コーティングを有する溶媒の製剤化能を制限する、有機溶媒中での溶解性の悪さを示す傾向にあることが公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、コーティング硬度及びより高い硬度に付随する特性を維持しながら、ポリエステル樹脂の溶解性を改良することが所望されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
我々は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(本明細書においては“TMCD”と略す)をポリエステル樹脂組成物中に組み込むことによって、これを達成し得ることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールから調製される硬化性ポリエステルを提供する。したがって、我々の発明の一つの態様は、
i.二酸残基の総モルに基づき、20〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基を含んで成る二酸残基、
ii.ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成るジオール残基、並びに、
iii.ジオール残基及びポリオール残基の総モルに基づき、2〜40モルパーセントのポリオールの残基を含んで成る、硬化性ポリエステルであり、
前記硬化性ポリエステルは、500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜50℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgのKOHのヒドロキシル価、及び1gのポリエステルあたり0〜80mgのKOHの酸価を有する。
【0008】
本発明のポリエステル樹脂は、大量の芳香族ジカルボン酸含有量を有する場合でさえ、有機溶媒中で良好な溶解性を示す。これらのポリエステル樹脂から製剤化されたコーティングは、良好な硬度、耐汚染性、耐化学性、耐湿性、及び屋外耐久性を示す。硬度における利益の割に、これらのコーティングは、良好な柔軟性を示す。したがって、本発明の他の態様は、
(A). i.二酸残基の総モルに基づき、20〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基を含んで成る二酸残基、
ii.ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成るジオール残基、並びに
iii.ジオール及びポリオール残基の総モルに基づき、2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基を含んで成り、
500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜50℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgのKOHのヒドロキシル価、及び1gのポリエステルあたり0〜80mgのKOHの酸価を有する、(A)及び(B)の総質量に基づき、50〜90質量パーセントの硬化性ポリエステル、
(B). カルボン酸またはヒドロキシル基と反応性である少なくとも1つの化合物を含んで成り、(A)及び(B)の総質量に基づき、10〜50質量パーセントの少なくとも1つの架橋剤、
(C). (A)、(B)、及び(C)の総質量に基づき、10〜60質量パーセントの少なくとも1つの溶媒、を含んで成る熱硬化性コーティング組成物である。
【0009】
ポリエステル樹脂は、自動OEM、自動補修、輸送、航空宇宙、メンテナンス、海洋、機械及び装置、一般的な金属、電化製品、金属製家具、プラスチック並びに建造物/建築物コーティング適用において使用される工場及びフィールド適用コーティングを製剤化するために使用され得る。
【0010】
反対について示されていない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載された数字上のパラメーターは、本発明によって得られることが求められる所望特性に応じて変えられる近似値である。最低限でも、それぞれの数字上のパラメーターは、報告された有効数字の数を考慮して、且つ通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。さらに本開示において述べられた範囲及び特許請求の範囲は、全範囲を明確に、且つ単に端点(複数)だけでなく含められることが意図される。例えば、0〜10であると述べられた範囲は、0〜10の間の全ての整数、例えば1、2、3、4等、0〜10の間の全ての小数、例えば1.5、2.3、4.57、6.1113等、及び端点0及び10を開示することが意図される。さらに、化学置換基に付随する範囲、例えば“C1〜C5炭化水素”等は、C1及びC5炭化水素、並びにC2、C3、及びC4炭化水素を明確に含め、且つ開示することが意図される。
【0011】
本発明を広範囲に説明する数字上の範囲及びパラメーターは、近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において記載する数字上の値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数字上の値は、本質的にそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的にもたらされる一定のエラーを含む。
【0012】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形“a”、“an”及び“the”は、文脈が他に明確に指示していない限りそれらの複数の指示対象を含める。例えば、a“ポリエステル”、a“ジカルボン酸”、a“残基”への言及は、“少なくとも1つ”または“1つ以上”のポリエステル、ジカルボン酸、または残基と同義であり、そしてそれ故に単数または複数のポリエステル、ジカルボン酸、または残基の両方に言及することが意図される。さらに、成分(“an” ingredient)、またはポリエステル(“a” polyester)を含む、または含める組成物への言及は、指名されたものに加えて、それぞれ他の成分、または他のポリエステルを含めることが意図される。用語“含む(containing)”または“含める(including)”とは、用語“含んで成る(comprising)”と同義であることが意図され、他の化合物、材料、粒子、方法ステップ等が、指名されたものと同一の機能を有している場合でさえも、特許請求の範囲において明確に排除されていない限り、少なくとも指名された化合物、要素、粒子、または方法ステップ等が、組成物、または品物、または方法において存在しても、他の化合物、触媒、材料、粒子、方法ステップ等の存在を排除しないことを意味する。
【0013】
また、1つ以上の方法ステップの言及は、組み合わされて列挙されたステップ、或いは明確に特定されたそれらのステップの間に介在する方法ステップの前後に、追加の方法ステップの存在を除外しないことが理解される。さらに、方法ステップまたは成分のレタリングは、他に断りがない限り、別個の活性または成分を同定するために便利な手段であり、且つ列挙されたレタリングは、任意の順番で配置され得る。
【0014】
本明細書において使用される用語“硬化性ポリエステル”は、用語“樹脂”と同義であり、且つ1つ以上の酸性成分、ジオール成分、及びポリオール成分の重縮合によって調製される熱硬化性表面コーティングポリマーを意味することが意図される。本発明の硬化性ポリエステルは、熱硬化性ポリマーであり、且つ溶媒に基づくコーティングのための樹脂として特に適している。本ポリエステルは、低分子量、典型的に500〜10,000ダルトンを有し、且つ高分子量熱可塑性ポリマーのために一般的に使用される押し出し、キャスト、ブロー成形、及び他の熱形成工程によるフィルム、シート、並びに他の成形品の制作には適さないだろう。ポリエステルは、後にコーティング製剤中で架橋剤と反応させる目的で、反応性官能基、典型的にヒドロキシル基、またはカルボキシル基を有する。官能基は、ポリエステル樹脂組成物中に過剰なジオールまたは酸(ジカルボン酸またはトリカルボン酸由来)のいずれかを有することによって制御される。所望される架橋経路は、ポリエステル樹脂がヒドロキシル末端であるか、またはカルボン酸末端であるかで決定されるだろう。概念は、当業者に公知であり、且つ例えばZ. Wicks, F. Jones、及びS. Pappas, Wiley、ニューヨークによるOrganic Coatings Science and Technology,第2版、246〜257頁、1999において記載されている。
【0015】
典型的に酸成分は、少なくとも1つのジカルボン酸を含んで成り、且つ任意に一塩基性及び多塩基性カルボン酸を含め得る。例えば、硬化性ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸(例えばイソフタル酸等)、非環式脂肪族、または脂環式ジカルボン酸(例えば、アジピン酸または1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等)、或いは1つ以上の芳香族、脂肪族、及び脂環式酸の混合物を含んで成る酸成分から調製され得る。ジオール成分は、1つ以上の脂肪族脂環式ジオール(例えば2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等)、直鎖または分岐脂肪族ジオール(例えばネオペンチルグリコール等)、或いは芳香族ジオール(例えばp−キシレンジオール等)を含んで成り得る。触媒は、重縮合反応を加速させるために使用され得る。硬化性ポリエステルのそれぞれの成分の追加の例は、以下に検討されているもの、及び例えばP.K.T. Oldring及びG. Hayward, SITA Technology、ロンドン、UKにより編集された、Resins for Surface Coatings, Vol.III、63〜167頁、1987等の当業界において公知の多様な文献において検討されているものを含めて、当業界において公知であるものを含める。
【0016】
本明細書において本発明のポリマーに関連して使用される用語“残基”とは、対応のモノマーを伴う重縮合または開環反応を介してポリマー中に組み込まれる任意の有機構造を意味する。本発明の多様な硬化性ポリエステルに付随する残基が、親モノマー化合物自体、または親化合物の任意の誘導体から由来し得ることも通常の当業者に理解されるだろう。例えば、本発明のポリマーにおいて言及されるジカルボン酸残基は、ジカルボン酸、またはその関連する酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物、またはその混合物から由来し得る。したがって、本明細書において使用される用語“ジカルボン酸”は、硬化性ポリエステルを作成するためのジオールとの重縮合工程において有用なジカルボン酸、及びその関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、またはその混合物を含めるジカルボン酸の任意の誘導体を含めることが意図される。
【0017】
本発明の硬化性ポリエステルは、酸成分、ジオール成分、及びポリオール成分を含んで成る。酸成分は、芳香族ジカルボン酸、非環式、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、またはその組み合わせの残基を含んで成り、ジオール成分は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成る。したがって、一般的な態様では、我々の発明は、
i.二酸残基の総モルに基づき、20〜100モルパーセントの少なくとも1つの芳香族二酸の残基、及び80〜0モルパーセントの少なくとも1つの非環式脂肪族二酸、脂環式二酸、またはその組み合わせの残基を含んで成る二酸残基、
ii.ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−l,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成るジオール残基、並びに
iii.ジオール残基及びポリオール残基の総モルに基づき、2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基を含んで成る硬化性ポリマーを提供し、
前記硬化性ポリマーは、500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜100℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgのKOHのヒドロキシル価、及び1gのポリエステルあたり0〜80mgの水酸化カリウム KOHの酸価を有する。
【0018】
硬化性ポリマーは、二酸残基の総モルに基づき、20〜100パーセントの1つ以上の芳香族二酸の残基を含んで成り得る。芳香族二酸の例は、これらに限定されないが、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、またはその組み合わせを含める。ナフタレンジカルボン酸の1,4−、1,5−、及び2,7−異性体、またはその混合物は、2,6−異性体に追加して使用され得る。芳香族二酸残基に加えて、硬化性ポリマーは、80〜0モルパーセントの非環式脂肪族、または脂環式二酸残基、例えばアジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、またはその組み合わせ等を含んで成り得る。シス及びトランス異性体が可能ならば、脂環式二酸は、純粋なシス、トランス異性体、またはシス/トランス異性体の混合物として使用され得る。
【0019】
我々は、硬化性ポリエステルが、二酸成分の全て、または一部としてイソフタル酸を含んで成る場合、これらのポリエステルから製剤化されたコーティング組成物は、良好な硬度、耐汚染性、耐化学性、耐湿性、及び屋外耐久性を示すことを見出した。したがって、本発明の他の態様は、
i.二酸残基の総モルに基づき、20〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基を含んで成る二酸残基、
ii.ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成るジオール残基、並びに
iii.ジオール残基及びポリオール残基の総モルに基づき、2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基を含んで成る硬化性ポリエステルであって、
前記硬化性ポリエステルは、500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜50℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgのKOHのヒドロキシル価、及び1gのポリエステルあたり0〜80mgのKOHの酸価を有する。硬化性ポリマーが含んで成り得る二酸成分のいつくかの追加の非限定例は、以下の通りである:(a)30〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基、(b)30〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び70〜0モルパーセントの脂肪族二酸の残基、(c)30〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び70〜0モルパーセントの8個以下の炭素を有する脂肪族二酸の残基、(d)20〜80モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び80〜20モルパーセントのアジピン酸の残基、(e)30〜70モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び70〜30モルパーセントのアジピン酸、(f)40〜60モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び60〜40モルパーセントのアジピン酸の残基。上記のイソフタル酸及び脂肪族酸の残基に加えて二酸残基は、さらに30モルパーセントまでの、フタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びグルタル酸から選定される少なくとも1つの二酸の残基を含んで成り得る。他の例では、硬化性ポリエステルは、20〜80モルパーセントのイソフタル酸、80〜20モルパーセントのアジピン酸、及び0〜30モルパーセントの、フタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びグルタル酸から選定される少なくとも1つの二酸の残基を含んで成る二酸残基、並びに20〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成るジオール残基を含んで成り得る。
【0020】
上記の二酸残基に加えて、我々の発明の酸成分、硬化性ポリエステル組成物は、さらにモノカルボン酸、または2つを超えるカルボン酸基を含む多塩基酸の残基を含んで成り得る。例えば、硬化性ポリエステルは、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、tert−ブチル安息香酸、及びブタン酸、無水トリメリット酸、またはその混合物から選定される残基を含んで成り得る。
【0021】
さらに硬化性ポリエステルは、ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(本明細書においては“TMCD”と略す)の残基を含んで成る。TMCDは、純粋なシス及びトランス異性体として、またはシス−トランス異性体の混合物として使用され得る。TMCD残基含有量の他の例は、20〜100モルパーセント、30〜70モルパーセント、40〜60モルパーセント、及び50モルパーセントである。硬化性ポリエステルは、TMCDとの組み合わせにおいて、任意に90モルパーセントまでの他のジオール、例えば、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサン−ジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール及び水素化ビスフェノールA等の残基を含んで成り得る。例えば、硬化性ポリエステル樹脂は、TMCDとの組み合わせにおいて、ネオペンチルグリコールの残基を含んで成り得る。
【0022】
二酸及びジオール残基に加えて、硬化性ポリエステルは、ジオール及びポリオール残基の総モルに基づき、2〜40モルパーセントの1つ以上のポリオールの残基を含んで成る。これらのポリオールは、脂肪族、脂環式、及びアリールアルキルポリオールを含め得る。ポリオールのいくつかの具体例は、これらに限定されないが、トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリトリトール(PE)、トリメチロールエタン(TME)、エリトリトール、トレイトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、グリセリン等を含める。一つの例では、硬化性ポリエステルは、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、エリトリトール、トレイトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、及びグリセリンから選定される3〜30モルパーセントの1つ以上のポリオールの残基を含んで成り得る。他の態様では、硬化性ポリエステルは、トリメチロールプロパンを含んで成る。
【0023】
本発明の硬化性ポリエステルは、1gの樹脂あたり20〜300mgのKOHのヒドロキシル価を有する。さらにヒドロキシル価の例は、25〜275、及び30〜250である。さらに硬化性ポリエステルは、1gのポリエステルあたり0〜80mgのKOHの酸価、または他の例では、1gのポリエステルあたり2〜25mgのKOHの酸価、及び1gのポリエステルあたり2〜15mgのKOHの酸価を有する。硬化性ポリエステルの数平均分子量は、500ダルトン〜10,000ダルトンである。分子量範囲の追加の例は、700〜7000ダルトン、及び800〜5000ダルトンである。硬化性ポリエステルは、−35〜50℃のガラス転移温度(本明細書においては“Tg”と略す)を有する。いくつかの追加のTg範囲の代表例は、−35℃〜50℃未満、−35〜49℃、−35〜48℃、−35〜47℃、−35〜−46℃、−35〜45℃、及び−35〜40℃である。
【0024】
本発明の硬化性ポリエステルの他の代表的な組成物は、二酸残基の総モルに基づき、20〜80モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び80〜20モルパーセントのアジピン酸の残基、ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基、並びにジオール残基及びポリオール残基の総モルに基づき、2〜40モルパーセントのポリオールの残基を含んで成るものであり、前記硬化性ポリエステルは、500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜50℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgのKOHのヒドロキシル価、及び1gのポリエステルあたり0〜80mgのKOHの酸価を有する。本ポリエステルは、上記の二酸、ジオール、ポリオール、酸価及びヒドロキシル価、及びガラス転移温度の多様な態様を含めると理解されるべきである。例えば、硬化性ポリエステルは、40〜60モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基、60〜40モルパーセントのネオペンチルグリコールの残基、並びにトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、エリトリトール、及びジペンタエリトリトールから選定される2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基を含んで成り得る。他の例では、硬化性ポリエステルは、50モルパーセントのイソフタル酸の残基、50モルパーセントのアジピン酸の残基、50モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基、50モルパーセントのネオペンチルグリコールの残基、及び10モルパーセントのトリメチロールプロパンの残基を含んで成り得る。他の例では、硬化性ポリエステルは、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、tert−ブチル安息香酸、ブタン酸、無水トリメリット酸、またはその混合物から選定されるモノカルボン酸の残基をさらに含んで成り得る。さらに他の例では、硬化性ポリエステルは、50〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基、0〜50モルパーセントのアジピン酸の残基、100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基、及び10モルパーセントのトリメチロールプロパンの残基を含んで成り得る。本態様では、硬化性ポリエステルは、ポリエステルのグラムあたり30〜250mgの水酸化カリウムのヒドロキシル価、ポリエステルのグラムあたり2〜15mgの水酸化カリウムの酸価、700〜7000ダルトンの数平均分子量、及び−20〜50℃のTgを有し得る。
【0025】
本発明のさらなる観点は、本質的に、
i.本質的に、二酸残基の総モルに基づき、20〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基から成る二酸残基、
ii.本質的に、ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基から成るジオール残基、並びに
iii.ジオール残基及びポリオール残基の総モルに基づき、2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基、
から成る硬化性ポリエステルであって、
前記硬化性ポリエステルは、500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜50℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgのKOHのヒドロキシル価、及び1gのポリエステルあたり0〜80mgのKOHの酸価を有する。本明細書において使用される語句“本質的に、〜から成る”とは、上記に挙げた成分(i)〜(iii)を有する硬化性ポリエステルを包含することが意図され、且つ語句が言及するポリエステルの本質的な特性を実質的に変化させる任意の要素を排除すると理解される。例えば、二酸残基及びジオール残基は、硬化性ポリエステルの溶解性を変化させない他の成分を含め得る。例えば、ポリエステルポリマーの結晶化度を増加させ、且つ溶解性を減少させることが当業界において公知である50モルパーセント以上のジオールまたは二酸の残基の添加は、本態様から排除されるだろう。結晶化度を増加させ、且つ溶解性を減少させることが予測される二酸及びジオールのいくつかの代表的な分類は、これらに限定されないが、パラ置換された芳香族のジオールまたは二酸の成分、多核芳香族の二酸またはジオール、及び脂環式のジオール及び二酸を含め、ここでのジオール基及び二酸基は、1,4置換パターンまたは互いに対し“パラ”関係を有する。本態様から排除されるだろう二酸成分及びジオール成分のいくつかの例は、50モルパーセント以上のテレフタル酸、50モルパーセント以上の1,6−ナフタレンジカルボン酸、75モルパーセント以上の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、50モルパーセント以上のビスフェノールA、75モルパーセント以上の1,4−シクロヘキサンジメタノール、及び50モルパーセント以上の水素化ビスフェノールAの残基である。すべてのモルパーセンテージは、二酸残基またはジオール残基の総モルに基づく。
【0026】
一方、上記態様に含められるだろう組成物のいくつかの例は、例えば、前記二酸成分が、本質的に20〜80モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び80〜20モルパーセントのアジピン酸の残基から成り、且つジオール成分が、本質的に20〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基から成るものである。他の態様では、二酸成分は、本質的に30〜70モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び70〜30モルパーセントのアジピン酸の残基から成ることができ、且つジオール成分は、本質的に20〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基から成る。他の例では、二酸成分は、本質的に40〜60モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び60〜40モルパーセントのアジピン酸の残基から成り得る。既に記載したように、二酸成分は、本質的に、さらに20モルパーセントまでの、フタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びグルタル酸から選定される少なくとも1つの二酸の残基から成り得る。
【0027】
2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールに加えて、二酸成分は、本質的に、50モルパーセントまでの、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−l,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサン−ジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、及び水素化ビスフェノールAから選定される少なくとも1つのジオールの残基から成り得る。
【0028】
硬化性ポリエステルは、−35〜50℃のガラス転移温度(本明細書においては“Tg”と略す)を有し得る。Tg範囲のいくつかの追加の例は、−35〜49℃、−35〜48℃、−35〜47℃、−35〜46℃、−35〜45℃、及び−35〜40℃である。
【0029】
硬化性ポリエステルは、所望される分子量、酸価、またヒドロキシル価に到達するまで、反応物を加熱することによって調製され得る。したがって、我々の発明は、さらに
i.ジオール成分の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含んで成るジオール成分、
ii.二酸成分の総モルに基づき、20〜100モルパーセントのイソフタル酸を含んで成る二酸成分、
iii.ジオール成分及びポリオール成分の総モルに基づき、2〜40モルパーセントのポリオール成分、並びに
iv.触媒
を含んで成る混合物を、混合物から水を回収する間に150〜250℃の温度で加熱して、500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜50℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgの水酸化カリウムのヒドロキシル価、または1gのポリエステルあたり0〜80mgの水酸化カリウムの酸価を有する硬化性ポリエステルを生産することを含んで成る、硬化性ポリエステルの製造方法を提供する。
【0030】
反応は、水(二酸が出発原料として使用される場合)またはアルコール(ジエステルが使用される場合)の回収によって監視され得る。ポリエステルは、典型的に150〜250℃の温度範囲で、大気圧または真空下で調製され得る。一つの態様では、例えば、ポリエステルの二酸成分及びジオール成分は、ポリオールが添加される前に、部分的に反応にかけられ得る。一度、反応混合物にポリオールが添加されたら、加熱は標的の酸価が果たされるまで継続される。
【0031】
我々の方法によって製造された硬化性ポリエステルが、既に記載した多様な態様の二酸、ジオール、ポリオール、酸価及びヒドロキシル価、並びにガラス転移温度を含んで成り得ることは、当業者に明らかであるだろう。例えば、二酸成分は、20〜80モルパーセントのイソフタル酸、及び80〜20モルパーセントのアジピン酸を含んで成ることがき、且つジオール成分は、20〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含んで成り得る。他の例では、二酸成分は、30〜70モルパーセントのイソフタル酸、及び70〜30モルパーセントのアジピン酸を含んで成ることができ、且つジオール成分は、20〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含んで成り得る。他の例では、二酸成分は、40〜60モルパーセントのイソフタル酸、及び60〜40モルパーセントのアジピン酸を含んで成り得る。さらに他の例では、二酸成分は、フタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びグルタル酸から選定される、20モルパーセントまでの少なくとも1つの二酸をさらに含んで成り得る。
【0032】
2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールに加えて、ジオール成分は、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサン−ジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、及び水素化ビスフェノールAから選定される、50モルパーセントまでの少なくとも1つのジオールを含んで成り得る。
【0033】
硬化性ポリエステルは、−35〜50℃のガラス転移温度(本明細書においては“Tg”と略す)を有し得る。Tg範囲のいくつかの追加の例は、−35〜49℃、−35〜48℃、−35〜47℃、−35〜46℃、−35〜45℃、及び−35〜40℃である。
【0034】
既に記載したように、ポリオール成分は、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、エリトリトール、トレイトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、及びグリセリンから選定される、3〜30モルパーセントの少なくとも1つのポリオールを含んで成り得る。例えば、一つの態様では、ジオール成分は、40〜60モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基、及び60〜40モルパーセントのネオペンチルグリコールを含んで成ることができ、ポリオール成分は、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、エリトリトール、及びジペンタエリトリトールから選定される、2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールを含んで成ることができ、且つ触媒は、錫化合物を含んで成り得る。さらに他の態様では、ポリオールは、トリメチロールプロパンを含んで成る。
【0035】
或いは、硬化性ポリエステルは、反応の水またはアルコール副産物の除去を助け、且つポリエステル樹脂の合成を促進するために、処理溶媒の存在中で調製され得る。処理溶媒は、ポリエステルポリマーの調製に有用であるとして当業界において公知である任意の溶媒であり得る。例えば、処理溶媒は、炭化水素溶媒であり得る。他の例では、処理溶媒は、芳香族炭化水素、例えばキシレン等を含んで成り得る。キシレンは、純粋な異性体、またはオルト、メタ、及びパラ異性体の混合物であり得る。添加される処理溶媒の量は、当業者に理解されているような、所定の実験によって決定され得る。処理溶媒は、反応混合物の総質量に基づき、0.5〜5質量パーセントの範囲の量で添加され得る。
【0036】
ポリエステルの合成を促進するために、任意に触媒が使用され得る。触媒は、当業界においてポリエステルポリマーの形成に有用であることが公知である任意の触媒であり得る。例えば、触媒は、錫触媒、例えばFASCAT(商標)4100(Arkema Corporationから入手可能)等であり得る。触媒は、ポリエステル樹脂反応を加速させ、且つその量は、当業者に理解されているような、所定の実験によって決定され得る。通常、触媒は、反応物の総質量に基づき、0.01〜1.00質量パーセントの範囲の量で添加される。
【0037】
また、我々の発明は、上記の2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(TMCD)を含む硬化性ポリエステル樹脂の多様な態様を含んで成るコーティング組成物を提供する。したがって、本発明の他の観点は、
(A). i.二酸残基の総モルに基づき、20〜80モルパーセントの芳香族二酸の残基、及び80〜20モルパーセントの脂肪族二酸、脂環式二酸、またはその組み合わせの残基を含んで成る二酸残基、
ii.ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成るジオール残基、並びに
iii.ジオール残基及びポリオール残基の総モルに基づき、2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基、
を含んで成る、(A)及び(B)の総質量に基づき、50〜90質量パーセントの硬化性ポリエステルであって、500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜50℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgのKOHのヒドロキシル価、または1gのポリエステルあたり0〜80mgのKOHの酸価を有する硬化性ポリエステル、
(B).カルボン酸またはヒドロキシル基と反応性である少なくとも1つの化合物を含んで成る、(A)及び(B)の総質量に基づき、10〜50質量パーセントの少なくとも1つの架橋剤、
(C).(A)、(B)、及び(C)の総質量に基づき、 10〜60質量パーセントの少なくとも1つの溶媒、を含んで成る熱硬化性コーティング組成物である。
【0038】
コーティング組成物の硬化性ポリエステル成分が、本発明に従って上記に記載された二酸、ジオール、ポリオール、酸価及びヒドロキシル価、並びにガラス転移温度の多様な態様の任意の組み合わせを含め得ることは、理解される。一つの観点では、芳香族二酸は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、またはその組み合わせを含んで成ることができ、脂肪族二酸は、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、またはその組み合わせを含んで成ることができ、且つ脂環式二酸は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、またはその組み合わせを含んで成り得る。他の態様では、二酸残基は、二酸残基の総モルに基づき、20〜80モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び80〜20モルパーセントのアジピン酸の残基を含んで成ることができ、且つジオール残基は、ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−l,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成り得る。
【0039】
我々のコーティング組成物のさらなる他の態様では、硬化性ポリエステルは、
i.二酸残基の総モルに基づき、20〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基を含んで成る二酸残基、
ii.ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成るジオール残基、並びに
iii.ジオール残基及びポリオール残基の総モルに基づき、2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基
を含んで成り、前記硬化性ポリエステルは、500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜50℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgのKOHのヒドロキシル価、及び1gのポリエステルあたり0〜80mgのKOHの酸価を有する。他の例では、硬化性ポリエステルは、30〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基を含んで成り得る。さらに他の例では、二酸残基は、30〜70モルパーセントのイソフタル酸の残基、70〜30モルパーセントのアジピン酸を含んで成る。さらなる他の例では、二酸残基は、40〜60モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び60〜40モルパーセントのアジピン酸の残基を含んで成り得る。
【0040】
他の例では、硬化性ポリエステルは、20〜80モルパーセントのイソフタル酸、80〜20モルパーセントのアジピン酸、並びにフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びグルタル酸から選定される、0〜30モルパーセントの少なくとも1つの二酸の残基を含んで成る二酸残基、並びに20〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成るジオール残基を含んで成り得る。他の例では、硬化性ポリエステルは、30〜70モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び70〜30モルパーセントのアジピン酸の残基を含んで成る二酸残基、並びに20〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成るジオール残基を含んで成り得る。他の例では、硬化性ポリエステルは、40〜60モルパーセントのイソフタル酸の残基、及び60〜40モルパーセントのアジピン酸の残基を含んで成る二酸残基を含んで成り得る。さらに他の例では、硬化性ポリエステルは、フタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びグルタル酸から選定される、30モルパーセントまでの少なくとも1つの二酸の残基をさらに含んで成る。
【0041】
2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールに加えて、ジオール残基は、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−テトラメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサン−ジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、及び水素化ビスフェノールAから選定される、90モルパーセントまでの少なくとも1つのジオールの残基を含んで成り得る。上記の通り、硬化性ポリエステルは、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、エリトリトール、トレイトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、及びグリセリンから選定される、3〜30モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基を含んで成り得る。一つの態様では、例えば、ポリエステルは、40〜60モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基、及び60〜40モルパーセントのネオペンチルグリコールの残基;トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、エリトリトール、及びジペンタエリトリトールから選定される、2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基、並びに錫化合物を含んで成る触媒を含んで成り得る。他の例では、ポリオールは、トリメチロールプロパンを含んで成る。さらに他の例では、硬化性ポリエステルは、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、エリトリトール、トレイトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、及びグリセリンから選定される、3〜30モルパーセントの1つ以上のポリオールの残基を含んで成り得る。
【0042】
我々の発明のコーティング組成物の他の代表例は、これらに限定されないが、硬化性ポリエステルが(i)40〜60モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基、60〜40モルパーセントのネオペンチルグリコールの残基、並びにトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、エリトリトール、及びジペンタエリトリトールから選定される、2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基を含んで成るジオール残基;(ii)50モルパーセントのイソフタル酸の残基、50モルパーセントのアジピン酸の残基を含んで成る二酸残基;50モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含んで成るジオール残基;50モルパーセントのネオペンチルグリコールの残基、及び10モルパーセントのトリメチロールプロパンの残基;並びに(iii)50〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基、0〜50モルパーセントのアジピン酸の残基を含んで成る二酸残基;100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基;及び10モルパーセントのトリメチロールプロパンの残基;を含んで成り、前記硬化性ポリエステルが1gのポリエステルあたり30〜250mgの水酸化カリウムのヒドロキシル価、1gのポリエステルあたり2〜15mgの水酸化カリウムの酸価、700〜7,000ダルトンの数平均分子量、及び−20℃〜50℃のTgを有するものを含める。硬化性ポリエステルのTg範囲の他の例は、−35〜49℃、−35〜48℃、−35〜47℃、−35〜46℃、−35〜45℃、及び−35〜40℃である。
【0043】
熱硬化性コーティング組成物は、ポリエステル及び架橋剤の組み合わせ質量に基づき、10〜50質量パーセントの1つ以上の架橋剤をさらに含み得る。典型的に、架橋剤は、カルボン酸末端またはヒドロキシル末端のいずれかのポリエステル樹脂と反応し得る、一般的に当業界において公知である化合物であるだろう。例えば、架橋剤は、エポキシド、メラミン、ヒドロキシアルキルアミド、イソシアネート、及びイソシアヌレートから選定される、少なくとも1つの化合物を含んで成り得る。他の例では、エポキシド架橋剤は、カルボン酸末端ポリエステル樹脂と反応するだろうし、一方、メラミン、イソシアネート、及びイソシアヌレートは、ヒドロキシル末端ポリエステルと反応するだろう。
【0044】
代表的なエポキシド架橋剤は、ビスフェノールAエポキシノボラック樹脂を含むエポキシ樹脂、水素化ビスフェノールAを含むエポキシ樹脂、ビスフェノールFを含むエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、及びこれらの架橋剤の組み合わせを含める。いくつかのこれらの化合物は、例えば、Hexion Specialty ChemicalsからEPON(商標)の名の下で販売されているそれらのエポキシド、及びHuntsman Advanced MaterialsからARALDITE(商標)の名の下で販売されているそれらのエポキシド等を商業的に入手できる。
【0045】
メラミンまたは“アミノ”タイプの架橋剤も当業界において周知であり、且つ本発明のコーティング組成物において使用され得る。例えば、本発明のコーティング組成物は、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラメトキシメチル尿素、及び混合ブトキシ/メトキシ置換メラミンから選定される少なくとも1つのメラミン化合物を含んで成り得る。商業的に入手可能なメラミン架橋剤のいくつかの例は、Cytec Surface Specialtiesから入手可能なCYMEL(商標)300シリーズ、及びCYMEL(商標)1100シリーズメラミン架橋剤を含める。ポリエステル対メラミンの質量比は、典型的に50:50〜90:10である。ポリエステル:メラミンの質量比の他の例は、60:40〜85:15、及び65:35〜80:20である。
【0046】
エポキシド及びメラミンに加えて、イソシアネート及びイソシアヌレートも本発明に従って架橋剤として使用され得る。代表的なイソシアネート及びイソシアヌレートは、これらに限定されないが、トルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートのイソシアヌレート、メチレンビス−4,4’−イソシアネートシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタン4,4’,4”−トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、ポリイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、及びメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートを含める。
【0047】
コーティング組成物は、さらにエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、トリメチロールプロパン等のジオール及びポリオールのイソシアネート末端付加物も架橋剤として含んで成り得る。これらの架橋剤は、上記のもののような1当量超のジイソシアネートを、1当量のジオールまたはポリオールと反応させて、2〜3のイソシアネート官能性を有する、より高分子量のイソシアネートプレポリマーを形成することによって形成される。いくつかの商業的なイソシアネート末端付加物の例は、DESMODUR(商標)及びMONDUR(商標)の名の下で、Bayer Material Scienceから入手可能なイソシアネート架橋剤を含める。
【0048】
本発明の一つの態様では、架橋剤は、硬化コーティングにおいて良好な屋外耐久性、及び色彩安定性を提供し得る1つ以上の脂肪族イソシアネートを含んで成る。脂肪族イソシアネートの例は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、及びさらにその他のその組み合わせを含める。イソシアネート架橋剤の混合物も使用され得る。例えば、架橋剤は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、またはその混合物を含んで成り得る。
【0049】
硬化性ポリエステル及びイソシアネート反応の化学量論計算は、当業者に公知であり、且つBayer Material Scienceにより、The Chemistry of Polyurethane Coatings, Technical Publication 20頁、2005において記載されている。通常の知識を有する当業者は、ポリエステル及びイソシアネートの間の架橋が、1:1のイソシアネート:ヒドロキシル当量比、すなわち、1当量のイソシアネート(−NCO)が、1当量のヒドロキシル(−OH)と反応する場合に、最大限の分子量及び最適な特性に達するということを理解するだろう。しかしながら、典型的に、小過剰のイソシアネート、例えば、1:1を5〜10%上回る当量は、大気、溶媒、及び顔料からの付随的な水分との反応によるイソシアネートの損失を許容するために使用される。使用され得る他のNCO:OH比率は、例えば、柔軟性を改良するためには1未満:1まで、またはより硬い、より耐化学性の、及びより耐候性のコーティングを生み出すためには1超:1まで、NCO対OH比率を変化させることが所望され得る。
【0050】
本発明のためのコーティング組成物は、典型的に、当量基準において、0.9:1.0〜1.5:1.0のNCO:OH比率を有する。他のNCO:OH比率の例は、0.95:1.0〜1.25:1.0、及び0.95:1.0〜1.1:1.0である。
【0051】
熱硬化性コーティング組成物は、さらに成分(A)、(B)、及び(C)の総質量に基づき、10〜60質量パーセントの溶媒も含んで成り得る。溶媒の例は、ベンゼン、キシレン、ミネラルスピリット、ナフサ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノ−イソブチレート、エチレングリコールモノ−オクチルエーテル、ジアセトンアルコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(TEXANOL(商標)の名の下で、Eastman Chemical Co.から商業的に入手可能)、またはその組み合わせを含める。さらにコーティング組成物は、例えば、フタル酸ジアリル、SANTOLINK(商標)XI−100ポリグリシジルアリルエーテル(Cytecから入手可能)等の反応性溶媒、及び例えば、米国特許第5,349,026号及び5,371,148号において記載されるような他のものを含んで成り得る。
【0052】
任意に、コーティング組成物は、少なくとも1つの架橋触媒をさらに含んで成り得る。代表的な架橋触媒は、カルボン酸、スルホン酸、第3級アミン、第3級ホスフィン、錫化合物、またはこれらの化合物の組み合わせを含める。架橋触媒のいくつかの特例は、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、及びジノニルナフタレンジスルホン酸、安息香酸、トリフェニルホスフィン、ジブチル錫ジラウレート、及びジブチル錫ジアセテートから選定され得る1つ以上の化合物である。架橋触媒は、コーティング組成物において使用される架橋剤のタイプに依存し得る。本発明の一つの態様では、例えば、架橋剤は、エポキシドを含んで成ることができ、且つ架橋触媒は、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、第3級アミン、及びトリフェニルホスフィンから選定される少なくとも1つの化合物を含んで成り得る。他の例では、架橋剤は、メラミン、または“アミノ” 架橋剤を含んで成ることができ、且つ架橋触媒は、p−トルエンスルホン酸、非ブロック化及びブロック化ドデシルベンゼンスルホン酸(本明細書においては“DDBSA”と略す)、ジノニルナフタレンスルホン酸(本明細書においては“DNNSA”と略す)、及びジノニルナフタレンジスルホン酸(本明細書においては“DNNDSA”と略す)を含んで成り得る。いくつかのこれらの触媒は、例えば、NACURE(商標)155、5076、1051、及び5225(King Industriesから入手可能)、BYK−CATALYSTS(商標)(BYK−Chemie USAから入手可能)、並びにCYCAT(商標)触媒(Cytec Surface Specialtiesから入手可能)等の商標の下で商業的に入手可能である。
【0053】
他の態様では、硬化性ポリエステルは、ヒドロキシル末端基を含んで成ることができ、且つ架橋剤は、イソシアネートを含んで成り得る。コーティング組成物は、さらに1つ以上のイソシアネート架橋触媒、例えば、FASCAT(商標)4202(ジブチル錫ジラウレート)、FASCAT(商標)4200(ジブチル錫ジアセテート、共にArkemaから入手可能)、DABCO(商標)T−12(Air Productsから入手可能)、及びK−KAT(商標)348、4205、5218、XC−6212(商標)非錫触媒(King Industriesから入手可能)、並びに第3級アミン等も含んで成り得る。
【0054】
本発明のさらに他の態様では、熱硬化性コーティング組成物は、25〜35質量パーセントの溶媒、20〜35質量パーセントのメラミン架橋剤、及びp−トルエンスルホン酸を含んで成る架橋触媒を含んで成る。他の例では、熱硬化性コーティング組成物は、25〜35質量パーセントの溶媒、及び20〜35質量パーセントのヘキサメトキシメチルメラミンを含んで成る。
【0055】
本発明のコーティング組成物は、1つ以上の当業界において公知のコーティング添加剤をさらに含み得る。コーティング添加剤の例は、これらに限定されないが、シリコーン、フッ化炭素、またはセルロース誘導体等のレベリング、レオロジー及びフロー制御剤;増量剤;可塑剤;艶消し剤;顔料湿潤剤及び分散剤:紫外線(UV)吸収剤;UV光安定剤;脱泡剤及び消泡剤;沈降防止剤、垂れ防止剤及び増粘剤;皮張り防止剤;色むら防止剤及び色浮き防止剤;並びに腐食防止剤を含める。かかる添加剤の具体例は、National Paint & Coatings Association, 1500 Rhode Island Avenue, N.W.,Washington.,DC 20005によって刊行されたRaw Material Index and Buyer’s Guideにおいて見出され得る。かかる添加剤のさらなる例は、米国特許第5,371,148号において見出され得る。
【0056】
艶消し剤の例は、これらに限定されないが、SYLOID(商標)としてDavison Chemical Division of W. R. Grace & Companyから入手可能な合成シリカ、HERCOFLAT(商標)としてHercules Inc.,から入手可能なポリプロピレン、及びZEOLEX(商標)としてJ. M. Huber Corporationから入手可能な合成ケイ酸塩を含める。
【0057】
分散剤の例は、これらに限定されないが、ビス(トリデシル)スルホコハク酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム、ジイソブチル(dusobutyl)スルホコハク酸ナトリウム、イソデシルスルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸の二ナトリウムエトキシル化アルコール半エステル(disodium ethoxylated alcohol half ester of sulfosuccinic acid)、アルキルアミドポリエトキシスルホコハク酸二ナトリウム、テトラ−ナトリウムN−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホスクシナメート、二ナトリウムN−オクタスルホスクシナメート、硫酸化エトキシル化ノニルフェノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等を含める。
【0058】
粘度、懸濁、及びフローの制御剤の例は、ポリアミノアミドホスフェート、ポリアミンアミドの高分子量のカルボン酸塩、及び不飽和脂肪酸のアルキレンアミン塩を含め、全てANTI TERRA(商標)としてBYK Chemie USAから入手可能である。さらなる例は、これらに限定されないが、ポリシロキサンコポリマー、ポリアクリレート溶液、セルロースエステル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアミドワックス、ポリオレフィンワックス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド等を含める。
【0059】
いくつかの独占所有権のある消泡剤は、商業的に入手可能であり、且つこれらに限定されないが、Buckman Laboratories Incから入手可能なBUBREAK(商標)、BYK Chemie, U.S.Aから入手可能なBYK(商標)、Henkel Corporation Coating Chemicalsから入手可能なFOAMASTER(商標)及びNOPCO(商標)、Drew Industrial Division of Ashland Chemical Companyから入手可能なDREWPLUS(商標)、Troy Chemical Corporationから入手可能なTROYSOL(商標)及びTROYKYD(商標)、並びにUnion Carbide Corporationから入手可能なSAG(商標)を含める。
【0060】
UV吸収剤及びUV光安定剤のいくつかの例は、CYASORB(商標)UVとしてCytec Specialty Chemicalsから入手可能な、及びTINUVIN(商標)としてCiba Specialty Chemicalsから入手可能な置換ベンゾフェノン、置換ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン、及びヒンダードベンゾエート;ジエチル−3アセチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−ホスホネート、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、及びレゾルシノールモノベンゾエートである。
【0061】
上記のような塗料またはコーティング添加剤は、比較的に少ないコーティング組成物の比率、一般的に0.05質量パーセント〜5.00質量パーセントを形成する。コーティング組成物は、任意に1つ以上の上記の添加剤及び1つ以上の顔料を含み得る。
【0062】
上記のような熱硬化性コーティング組成物を有する溶媒は、さらに少なくとも1つの顔料も含んで成り得る。典型的に、顔料は、組成物の総質量に基づき、20〜60質量パーセントの量で存在する。顔料の例は、一般的に表面コーティングの通常の当業者によって認識されるものを含める。例えば、顔料は、典型的な有機または無機顔料、特にAmerican Association of Textile Chemists and Coloristsと共同で、Society of Dyers and Colouristsによって刊行されたColour Index、第3版、第2改訂、1982において記載されたものであり得る。適切な顔料の他の例は、二酸化チタン、バライト、粘土、炭酸カルシウム、Cl顔料白6(二酸化チタン)、Cl顔料赤101(酸化鉄赤)、Cl顔料黄42、Cl顔料青15,15:1,15:2,15:3,15:4(銅フタロシニアン);Cl顔料赤49:1及びCl顔料赤57:1を含める。例えば、フタロシニアン青、モリブデン酸塩オレンジ、またはカーボンブラック等の着色剤もコーティング組成物に添加され得る。例えば、溶媒系の熱硬化性コーティング製剤は、顔料として二酸化チタンを含み得る。
【0063】
製剤化の後、コーティング組成物は、基材または物品に適用され得る。したがって、本発明のさらなる観点は、本発明のコーティング組成物でコーティングされて成形された、または形成された物品である。基材は、紙;ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリマーフィルム;木;アルミニウム、スチール、または亜鉛メッキ板等の金属;ガラス;ウレタンエラストマー;プライマー処理された(塗装された) 基材等の任意の一般的な基材であり得る。コーティング組成物は、当業界において公知の技術、例えば、吹き付け、ドローダウン、ロールコーティング等による基材上への0.5〜4ミルの湿式コーティングを用いて基材上にコーティングされ得る。コーティングは、周囲温度(室温)で硬化され得るか、または強制空気乾燥器中で、典型的に5〜90分の間、50℃〜175℃の温度に加熱され、そして冷却にかけられ得る。典型的な適用及び硬化方法のさらなる例は、米国特許第4,737,551号及び第4,698,391号及び3,345,313号において見出され得る。本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0064】
ポリエステル樹脂の調製及び得られる特性
比較及び実施例のポリエステル樹脂は、数平均分子量=1250ダルトン、ヒドロキシル当量=500g樹脂/eq OH、ヒドロキシル官能性=2.5、及び1gのポリエステルあたりの最終の酸価=8mgのKOHを目標として、以下の手順に従って調製した。これらの樹脂は、表1及び2に挙げられている。樹脂は、エステル化の水の除去を助けるために、溶媒処理を用いて調製した。樹脂は、加熱マントル、機械式かくはん機、熱電対、窒素ブランケット(0.6 scfh)、103℃〜105℃の温度で操作されるオイル加熱パーシャルコンデンサー、凝縮物トラップ、及び約15℃の温度で操作される水冷却トータルコンデンサーを備えた2リットルの反応ケトル中で2段階において調製した。ケトルからカラムまでの凝縮物トラップ、ケトルトップ及びアダプターをアルミ箔及び繊維ガラステープで覆い、水の除去を促進した。ステージ1では、原料を反応器に添加した。追加のキシレン(=30g)を使用して、水分トラップを満たした。その後に温度を90分かけて室温〜150℃まで上げて、均質の溶融物を形成させた。かくはん(300rpm)を開始し、そして温度を240分かけて最大230℃にまで上げた。ステージ2では、理論上半分の凝縮物が収集された時に、トリメチロールプロパン(“TMP”)を添加した。1グラムの樹脂あたり、6±2mgのKOHの最終酸価が得られるまで、反応混合物を230℃で保持した。その後に樹脂を金属塗料缶に注いだ。
【0065】
それぞれの樹脂の酸価、数平均分子量(“Mn”)、及びガラス転移温度(“Tg”)を決定し、そして表1及び2に示す。酸価は、ASTM法1639を用いて決定した。ヒドロキシル価は、ピリジン中の過剰な無水酢酸との反応によって樹脂をエステル化させ、そしてその後に未反応の無水物を水で分解させることによって決定した。その後に得られた酢酸をKOHの標準溶液で滴定する。上記手順において、1グラムの樹脂サンプルから放出された酢酸を中和するために要求されるKOHのミリグラムは、ヒドロキシル価として報告される。数平均分子量は、屈折率検出器及びポリスチレン標準を有するゲル浸透クロマトグラフィー(Agilent 1100シリーズGPC−SECシステム)によって決定した。
【0066】
樹脂形成反応からポリエステル中に残留している残りのキシレンは、Tg測定を人為的に低下させ得た。より正確なTgを得るために、樹脂サンプルを最初に熱重量分析(“TGA”)機器における前処理にかけた。樹脂サンプルをステンレススチール示差走査熱量計(“DSC”)平鍋の中に置き、そして窒素環境下で、5℃/分の速度で、室温から150℃まで加熱した。その後に性能を調節しながらサンプルを示差走査熱量計(UniversalソフトウェアV4.3Aを有するTA Instruments Q2000 MDSC)に移した。最初の加熱サイクルでは、サンプルを窒素環境下で、−120℃から125℃まで、5℃/分の速度、且つ±0.796℃/分の調節速度で加熱した。次にそれを−120℃まで、5℃/分、且つ±0.796℃/分の調節速度で冷却した。第二の加熱サイクルのために、サンプルを第一の加熱サイクルにおいて使用したのと同一の条件下で加熱した。第二の加熱サイクルの中点は、サンプルのTgとして報告される。
【0067】
酢酸n−ブチル(“n− BuOAc”)の中で、70質量パーセントの固体まで、それぞれの樹脂を減少させた。その後に色及びヘイズについて溶液を評価した。白金−コバルト色は、方法ASTM D 1209を用いるGardco LICO 100比色計により測定した。ヘイズパーセントは、ASTM法 D 1003、方法Aを用いるBYK−Gardnerヘイズガードプラス機器により測定した。
【0068】
比較樹脂P1及びP2は、ネオペンチルグリコール(“NPG”)を高いイソフタル酸(“IPA”)含有量で含む。それらは、乏しい溶解性を示し、且つコーティングへの製剤化に適していない不透明な固体をもたらす。比較樹脂P3は、NPGをより高い脂肪族酸(“AD”)含有量で含む。樹脂は、良好な溶解性を示し、且つコーティングへの製剤化に適している。NPGとしての安定性が減少していることを示す比較樹脂P4、P5、P6及びP7は、1,4−シクロヘキサン−ジメタノール(“CHDM”)により増加的に置換される。高用量のCHDMは、濁った溶液をもたらし、半溶液を不透明にする。NPGとして良好な安定性を示す実施例樹脂P8、P9、P10、P11、及びP12は、比較樹脂P3と比べて、TMCDにより増加的に置換される。
【0069】
【表1】

(a)計算された添加量に基づき、1質量%過剰のグリコールを含める。
(b)2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(Eastman)。
(c)1,4−シクロヘキサンジメタノール(Eastman)。
(d)トリメチロールプロパン (Perstorp)。
(e)イソフタル酸(Eastman)。
(f)アジピン酸(DuPont)。
(g)ブチルスタノイック酸(Arkema)。
【0070】
【表2】

(a)計算された添加量に基づき、1質量%過剰のグリコールを含める。
(b)2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(Eastman)。
(c)2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(Eastman)。
(d)トリメチロールプロパン (Perstorp)。
(e)イソフタル酸(Eastman)。
(f)アジピン酸(DuPont)。
(g)ブチルスタノイック酸(Arkema)。
【0071】
HDIのトリイソシアヌレートと架橋したポリウレタンコーティングの調製、及び得られる特性
白色顔料を有するポリウレタンコーティング組成物を調製し、そして表3に挙げる。樹脂を1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのトリイソシヌレートと1.1:1のNCO:OH当量比で架橋させた。
【0072】
コーティング組成物は、パートAポリエステル樹脂及び顔料を500mLのステンレススチールビーカーに添加することによって調製した。コールズ分散機を使用して、樹脂及び顔料を、5000rpmで約5分かけて、7+ヘグマンまで砕いた。次に、流動助剤を添加し、そして数分間完全に混合した。最終的に、触媒及び溶媒物を添加し、そして完全に混合した。パートAの全てを、ガラス瓶に移して、そして必要とされるまで回転させた。パートB架橋剤をパートAに添加し、そして木製の舌圧子で完全に混合し、その後に中間メッシュのろ紙の内側のHayward PE 100 PN164 300Mフェルト塗料フィルターを介してろ過した。
【0073】
コーティング粘度は、ASTM D 1200 “Ford Viscosity Cupによる粘度のための標準試験法”に従って、Gardco mini Ford dip cup ♯4により決定した。最初の粘度測定は、パートBをパートAと組み合わせて、且つ完全に混合した後に行った。その後、2時間ごとに粘度を測定し、そして表3に示した。
【0074】
針金を巻きつけた棒を使用して、コーティングをガラス顕微鏡スライドに適用し、そしてBonderite 1000前処理により冷延スチール試験板を滑らかにした。棒は、1.5±0.2ミルの乾燥フィルム厚を達成するように選択した。
【0075】
3つの異なる条件:1)250°F(121.1℃)で30分間の強制乾燥;2)160°F(71.1℃)で40分間の強制乾燥;3)70°F(21.1℃)で21日間の空気乾燥でコーティングを硬化させた。硬化スケジュール1は、自動車OEM用途を代表し;硬化スケジュール2は、プラスチック及び自動車補修等の熱に対して敏感な用途を代表し;硬化スケジュール3は、目的物が非常に大きくてオーブンに設置できない用途、例えばメンテナンス、航空機及び輸送等を代表する。
【0076】
Koenig振り子硬度を除いて、全てのコーティング機械的特性を、21日間の大気経時後に決定した。以下の特性:鏡面光沢度、像の鮮明性、色、硬度、柔軟性、及び耐化学性を決定し、表4〜6において示した。
【0077】
乾燥フィルム厚(“DFT”)は、鉄基材のプローブを用いるFISCHERSCOPE(商標)MMS Multi Measuring System permascope(Fischer Technology)により測定した。鏡面光沢度は、BYK−Gardnerマイクロ−TRI−グロスメーターにより、ASTM法 D 523に従って測定した。像の鮮明性(“DOI”)は、ASTM法 E 430を用いるBYK−Gardnerウェイブ−スキャンDOI機器により測定した。色は、ASTM法 E 308を用いるBYK−Gardner分光−ガイド球体グロスメーターにより測定した。
【0078】
MEK耐二重摩擦性は、ASTM法 D1308を用いて、16層の綿チーズクロス中に包まれた32オンスのボールピーンハンマーにより実施した。金属への任意のコーティングの突破が観察されるまでの通過した数を最後の摩擦として報告する。摩擦方向が逆になるハンマーストロークの開始及び終了時に生じる突破は、無視した。試験は、コーティングの突破が観察されない場合に、最大750二重摩擦について実施した。
【0079】
硬度は、3つの方法:ASTM法 D 4366を用いるBYK−Gardner振り子硬度試験器;ASTM法D 3363を用いる鉛筆試験;及びASTM法 E 384を用いるInstron Wilson−Wolpert Tukon 2100B圧入硬度試験器によって決定した。振り子硬度のためのKoenig法(KPH)を報告する。KPHを21日間にわたって追跡した。最初の測定、1日は、250°F(121℃)及び160°F(71.1℃)条件で、硬化後24時間行った。70°F(21.1℃)で硬化したものについて、最初のKPH読み取りは、コーティングがもたらされた後、24時間行った。鉛筆硬度について報告された値は、金属へのコーティングを突き破っていなかった最後の鉛筆である。Tukon硬度は、ガラス顕微鏡スライドに適用されたコーティング上で測定した。機器は、20倍率を用いて、10gの重り及び13秒のインデント時間により処理するように設定した。Tukon硬度は、Knoopスケール(HK)を用いて報告する。
【0080】
柔軟性は、ASTM法 D 2794を用いる、Gardco Model 172ユニバーサルインパクト試験器による耐衝撃性として測定した。報告された値は、任意のコーティングフィルム中の亀裂または基材からのコーティングの剥離を生み出さない最後の衝撃である。
【0081】
50%の硫酸水溶液に対する耐性は、ASTM法 D 1308を用いて、21〜36日の間に周囲条件下で実施した。一滴の酸溶液をコーティング上に置き、時計皿で覆い、そしてパラフィンワックスで封じた。試験は、所定の硬化スケジュール内でコーティングが損傷を示した時に終了した。
【0082】
SKYDROL(商標)リン酸塩エステル(Solutiaから入手可能)は、耐火性航空機用油圧油である。250°F(121.1℃)で30分間強制乾燥させたコーティングのみをSKYDROL(商標)耐性について試験した。SKYDROL(商標)流体に対するコーティングの耐性は、コーティングされた試験板の下部1/3をSKYDROL(商標)LD−4流体の中に14日間、室温(約70°F(21.1℃))で浸すことによって実施した。試験板を取り出し、そしてヘプタンで湿らせた綿布を用いて拭き取って、乾かした。コーティングの鉛筆硬度は、流体に浸漬前、及び浸漬後速やかに、また24時間の回復期間後に評価した。コーティングは、鉛筆硬度が2鉛筆硬度単位を超えて落ちない場合に試験を通過するものと見なされる。
【0083】
屋外耐久性を評価するために、コーティングをQUV/SE機器(Q−LAB(商標))を用いるQUVA(340 nm) 加速風化にかけた。ASTM法 D 4587による‘一般金属’コーティングのための試験条件は、60℃で4時間のUV曝露、その後に50℃で4時間の凝縮を含めて選定した。試験板の端及び裏は、さびの形成を予防するためにテープを貼った。測定は、UV光サイクルの中で2時間行い、乾燥表面及び測定の一貫性を確保した。試験板は、それぞれの観察後の合間に交代した。表7〜12に示すように、光沢(ASTM法 D 523を用いて、20°及び60°)及び色の変化(ASTM法 E 308、及びASTM法 D 1925を用いて、Hunter ΔE*及び黄色度インデックス)についてコーティングを試験した。
【0084】
表4は、比較コーティングC1と比べて、コーティング中のTMCD含有量が250°F(121.1℃)硬化スケジュールで増加するにつれて、MEK二重摩擦増加を示す。すべてのコーティングについて、MEK二重摩擦は、硬化温度が下がるにつれて減少する傾向がある(表5及び6を参照)。しかしながら、これらのコーティングは、150を超える二重摩擦を有してなお許容され得るものである。
【0085】
鉛筆試験及びTukon試験により測定される硬度は、比較コーティングC1と比べて、TMCD含有量が増加するにつれて増加する(表4〜6を参照)。250°F(121.1℃)での硬化で、KPHは、コーティング中のTMCD含有量と共に大きく増加した(表4を参照)。表5及び6は、上昇しているTMCD含有量が、特に最初の2〜7日にかけて、2つのより低い温度の硬化条件について、より良好な速い硬度発現を与えることを示す。
【0086】
TMCDを含む実施例コーティングは、50%のH2SO4水溶液に曝露することによってもたらされる影響はより少なかったが、一方比較NPGコーティングC1は、それぞれのケースでブリスター化された(表4〜6を参照)。一般的に、耐酸性は、任意の硬化条件で増加したコーティング中のTMSD含有量に従い増加した。
【0087】
表4は、ポリエステルP12(高いIPA含有量を有するTMCD)から作られた実施例コーティングC5が、SKYDROL(商標)流体への浸漬から14日後にその鉛筆硬度を保った唯一のコーティングであったことを示す。
【0088】
QUVA(340nm)加速風化曝露において、TMCDを含む実施例コーティングは、比較NPGコーティングC1よりも良好な光沢保持を示した(表7、9及び11を参照)。すべてのコーティングは、1以下のHunterΔE*シフトで低い色彩発現を示した(表8、10及び12を参照)。
【0089】
【表3】

(a) DuPont Titanium Technologies。
(b) BYK−Chemie。
(c) Arkema(ジブチル錫ジラウレート)。
(d) Bayer MaterialScience(脂肪族ポリイソシアネートHDIトリマー)。
【0090】
【表4】

【0091】
【表5】

【0092】
【表6】

【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
【表9】

【0096】
【表10】

【0097】
【表11】

【0098】
【表12】

【0099】
HDIのビウレットと架橋したポリウレタンコーティングの調製、及び得られる特性
白色顔料を有するポリウレタンコーティングは、実施例2に記載されるように、比較ポリエステル樹脂P3及び実施例ポリエステル樹脂P11から調製し、そして表13に示す。樹脂は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと1.1:1のNCO:OH当量比で架橋させた。
【0100】
30分間、250°F(121.1℃)でコーティングを強制乾燥させた。表14及び15において示されたコーティング特性は、実施例2において記載したように決定した。実施例コーティングC7は、比較コーティングと比べて、類似の光沢、DOI、色及びメチルエチルケトン(“MEK”)二重摩擦を有する(表14を参照)。実施例コーティングC7は、21日間の50%のH2SO4水溶液への曝露後に影響されなかったが、比較コーティングC6は、激しくブリスター化された。実施例コーティングC7は、比較コーティングC6よりも、Skydrol流体への14日間の浸漬後、若干、より高い鉛筆硬度を保持した。
【0101】
QUVA(340nm)加速風化曝露の間、実施例コーティングC7は、表15におけるデータによって示される通り、大幅により良好な光沢保持を示した。比較コーティングC6は、1000時間曝露によってその20°光沢の75%を失った。実施例コーティングC7について同量の光沢損失を示すには、2倍長くかかった。両コーティングは、低い色彩発現を示した。
【0102】
【表13】

(a) DuPont Titanium Technologies。
(b) BYK−Chemie。
(c) Arkema(ジブチル錫ジラウレート)。
(d) Bayer MaterialScience(脂肪族ポリイソシアネートHDIビウレット)。
【0103】
【表14】

【0104】
【表15】

【0105】
ポリエステル−メラミン熱硬化性コーティングの調製、及び得られる特性
白色顔料を有するポリエステル−メラミンコーティングは、以下の手順にしたがって調製し、そして表16に示す。ポリエステル樹脂は、75:25のポリエステル:メラミン比でヘキサメトキシメチルメラミンと架橋させた。
【0106】
ポリエステル樹脂及び顔料を500mLのステンレススチールビーカーに添加した。コールズ分散機を使用して、樹脂及び顔料を5000rpmで、約5分かけて7+Hegmanまで砕いた。その後に触媒をメラミンに添加して、そして一緒に完全に混合した。その後に触媒/メラミン混合物を粉砕物に添加し、そして数分間完全に混合した。最終的に、流動助剤及び降下溶媒混合物を添加し、そして完全に混合した。中間メッシュのろ紙の内側のHAYWARD(商標)PE 100 PN164 300Mのフェルト塗料フィルターを介してコーティングをろ過し、そしてガラス瓶の中に移し、そして必要とされるまで回転した。
【0107】
コーティング粘度は、Gardco mini Fordディップカップ♯4及びBrookfield LVDV−II+ Pro粘度計により決定した。Brookfield粘度についてのコーティングのサンプルを1オンスの瓶の中に置いた。その後に100rpmの速さで、スピンドル♯63(LV3)を用いて粘度を測定した。
【0108】
針金を巻きつけた棒を使用して、コーティングをガラス顕微鏡スライドに適用し、そしてBonderite 1000前処理により冷延スチール試験板を滑らかにした。棒は、1.7±0.2ミルの乾燥フィルム厚を達成するように選択した。
【0109】
適用後、コーティングを室温で、10分間フラッシュし、その後に以下の1つの条件下で、強制空気オーブン中で硬化させた。
・248°F(120℃)で20分。
・248°F(120℃)で25分。
・248°F(120℃)で30分。
・275°F(135℃)で20分。
・275°F(135℃)で25分。
・275°F(135℃)で30分。
・302°F(150℃)で20分。
・302°F(150℃)で25分。
・302°F(150℃)で30分。
硬化スケジュールは、自動車、電化製品、一般金属、機械及び装置、並びに金属家具等の多様なOEM適用を代表する。
【0110】
以下の特性:鏡面光沢度、像の鮮明性、色、硬度及び柔軟性は、コーティングを1週間リラックスさせた後に、実施例2において記載したように決定し、そして表17〜19に示す。
【0111】
さらにASTM法 D 1308に従って、コーティングを多様な化学薬品及びステインのスポット試験にかけた。試験は、
・3日、50%のH2SO4
・3日、50%のNaOH
・30分、ヨウ素、
・24時間、マスタード、
・24時間、ケチャップ、
・5日、グリース(Mobil Polyrex EM electric motor bearing grease)、
・24時間、赤の口紅、
・24時間。茶の靴用艶出し、
・48時間。黒のシャーピーマーカー、を含めた。
【0112】
黒マーカーを除いて、試験の間、全ての試薬を時計皿で覆った。それぞれの試験期間の後、時計皿を取り除き、そしてスポンジ及びDawn食器用洗浄剤薄め液で、化学薬品及び汚れた部分を洗浄した。その後に試験部分を冷水で洗い流し、そして評価前に拭き取って乾かした。黒マーカーは、Goof−Off(Valspar)の業務用汎用除去剤で湿らせた綿布を用いてきれいにした。その後に試験部分を冷水で洗い流し、そして乾かした。コーティング上のそれぞれの試薬の効果は、以下のスケール:5=影響なし;4=軽度な影響;3=中等度な影響;2=考慮すべき影響;1=重大な影響に従って評価した。
【0113】
実施例TMCDコーティングC9及びC10は、比較NGPコーティングC8に匹敵する光沢、DOI及び色を有する(表17〜19)。MEK耐二重摩擦性は、コーティング(C9及びC10)中のTMCD含有量が、比較NPGコーティングC8と比べて増加するにつれて増加する。すべてのコーティングについてのMEK二重摩擦は、硬化時間/温度が増加するにつれて増加する傾向にある(表17〜19を参照)。鉛筆、Tukon及びKoenig試験によって測定された硬度は、所定の硬化スケジュールの中で、比較NPGコーティングC8と比べて、TMCD含有量が増加するにつれて増加する(表17〜19を参照)。表17〜19は、良好な柔軟性(耐衝撃性による)は、得られるコーティング硬度と比べて、TMCD含有量の増加につれて維持されることを示す。さらに実施例TMCDコーティングC9及びC10は、比較NGPコーティングC8よりも良好な耐酸性、耐塩基性、及び耐汚染性を示す。
【0114】
【表16】

(a) DuPont Titanium Technologies。
(b) Cytec Industries Inc。
(c) BYK−Chemie。
【0115】
【表17】

【0116】
【表18】

【0117】
【表19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.二酸残基の総モルに基づき、20〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基を含んで成る二酸残基、
ii.ジオール残基の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成るジオール残基、並びに
iii.ジオール残基及びポリオール残基の総モルに基づき、2〜40モルパーセントの少なくとも1つのポリオールの残基、を含んで成り、
500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜50℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgのKOHのヒドロキシル価、及び1gのポリエステルあたり0〜80mgのKOHの酸価を有する硬化性ポリエステル。
【請求項2】
前記二酸残基が、20〜80モルパーセントのイソフタル酸を含んで成り、且つ80〜20モルパーセントのアジピン酸、並びに0〜30モルパーセントの、フタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、ドデカン二酸、セバシン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びグルタル酸から選定される少なくとも1つの二酸の残基をさらに含んで成り、且つ前記ジオール残基が、20〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基を含んで成る、請求項1に記載の硬化性ポリエステル。
【請求項3】
前記二酸残基が、40〜60モルパーセントのイソフタル酸の残基、60〜40モルパーセントのアジピン酸の残基を含んで成る、請求項1に記載の硬化性ポリエステル。
【請求項4】
前記ジオール残基が、90モルパーセントまでの、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ノナエチレングリコール、デカエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、チオジエタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、p−キシレンジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、1,10−デカンジオール、及び水素化ビスフェノールAから選定される少なくとも1つのジオールの残基をさらに含んで成る、請求項1に記載の硬化性ポリエステル。
【請求項5】
3〜30モルパーセントの、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、エリトリトール、トレイトール、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、及びグリセリンから選定される1つ以上のポリオールの残基を含んで成る、請求項1に記載の硬化性ポリエステル。
【請求項6】
40〜60モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基、60〜40モルパーセントのネオペンチルグリコールの残基、及び2〜40モルパーセントの、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、エリトリトール、及びジペンタエリトリトールから選定される少なくとも1つのポリオールの残基を含んで成る、請求項2に記載の硬化性ポリエステル。
【請求項7】
50モルパーセントのイソフタル酸の残基、50モルパーセントのアジピン酸の残基、50モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基、50モルパーセントのネオペンチルグリコールの残基、及び10モルパーセントのトリメチロールプロパンの残基を含んで成る、請求項6に記載の硬化性ポリエステル。
【請求項8】
50〜100モルパーセントのイソフタル酸の残基、0〜50モルパーセントのアジピン酸の残基、100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの残基、及び10モルパーセントのトリメチロールプロパンの残基を含んで成り、1gのポリエステルあたり30〜250mgの水酸化カリウムのヒドロキシル価、1gのポリエステルあたり2〜15mgの水酸化カリウムの酸価、700〜7,000ダルトンの数平均分子量、及び−20〜50℃のTgを有する、請求項1に記載の硬化性ポリエステル。
【請求項9】
(A). (A)及び(B)の総質量に基づき、50〜90質量パーセントの請求項1〜8のいずれか1項に記載の少なくとも1つの硬化性ポリエステル、
(B). (A)及び(B)の総質量に基づき、10〜50質量パーセントのカルボン酸またはヒドロキシル基と反応性である少なくとも1つの化合物を含んで成る架橋剤、
(C). (A)、(B)、及び(C)の総質量に基づき、10〜60質量パーセントの少なくとも1つの非水性溶媒を含んで成る、熱硬化性コーティング組成物。
【請求項10】
前記架橋剤が、エポキシド、メラミン、イソシアネート、及びイソシアヌレートから選定される少なくとも1つの化合物を含んで成る、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記架橋剤が、ビスフェノールAを含むエポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、ビスフェノールFを含むエポキシ樹脂、及びトリグリシジルイソシアヌレートから選定される少なくとも1つのエポキシド化合物を含んで成る、請求項10に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記架橋剤が、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラメトキシメチル尿素、及び混合ブトキシ/メトキシ置換メラミンから選定される少なくとも1つのメラミン化合物を含んで成る、請求項10に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記架橋剤が、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、またはその組み合わせを含んで成る、請求項10に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
前記非水性溶媒が、ベンゼン、キシレン、ミネラルスピリット、ナフサ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t−ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸メチル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノ−イソブチレート、エチレングリコールモノ−オクチルエーテル、ジアセトンアルコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、またはその組み合わせを含んで成る、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
請求項9に記載のコーティング組成物でコーティングされた成形品。
【請求項16】
i.ジオール成分の総モルに基づき、10〜100モルパーセントの2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含んで成るジオール成分、
ii.二酸成分の総モルに基づき、20〜80モルパーセントのイソフタル酸、及び80〜20モルパーセントのアジピン酸を含んで成る二酸成分、
iii.ジオール及びポリオール成分の総モルに基づき、2〜40モルパーセントのポリオール成分、並びに
iv.触媒、
を含んで成る混合物を、前記混合物から水を回収する間に150〜250℃の温度で加熱し、500〜10,000ダルトンの数平均分子量、−35℃〜50℃のガラス転移温度、1gのポリエステルあたり20〜300mgの水酸化カリウムのヒドロキシル価、または1gのポリエステルあたり0〜80mgの水酸化カリウムの酸価を有する硬化性ポリエステルを生産することを含んで成る、硬化性ポリエステルの製造方法。
【請求項17】
前記混合物が、前記混合物の総質量に基づき、0.5〜5質量パーセントの炭化水素溶媒をさらに含んで成る、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2012−517500(P2012−517500A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549148(P2011−549148)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/000216
【国際公開番号】WO2010/090715
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】