説明

テラスデッキ

【課題】夏場の冷房負荷低減に寄与することができるテラスデッキを提供する。
【解決手段】地盤面Gに立設された束材11と、束材の上部に架設された床材13と、を備えたテラスデッキ10において、床材が建物の床面FLと略同一の高さに配されており、床材の上面の少なくとも一部に緑地帯31が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テラスデッキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の室内側から張り出されるように設けられたテラスデッキが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、テラスデッキの一般的な例としては、ウッドデッキやコンクリート床板を用いたコンクリートデッキが知られている。
【特許文献1】特開平11−13259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、環境に配慮した住宅を実現するために様々な工夫がなされている。しかしながら、特許文献1に提案されているウッドデッキやコンクリートデッキが設けられていると、夏季には直射日光によりデッキ表面が高温になり、その反射熱が室内に導かれ、余分な空調負荷(冷房エネルギー)が必要になってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、この発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、夏場の冷房負荷低減に寄与することができるテラスデッキを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、地盤面に立設された束材と、該束材の上部に架設された床材と、を備えたテラスデッキにおいて、前記床材が建物の床面と略同一の高さに配されており、前記床材の上面の少なくとも一部に緑地帯が設けられていることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記床材が、グリッド状に配設された床板で構成されており、該床板が着脱可能に構成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載した発明は、前記床板が取り外された箇所に、植物が植栽されるとともに、上面が前記床板と略同一の高さに構成された箱型ユニットが設置可能に構成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載した発明は、前記建物の外壁面と前記床板との間に通気スペースが形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載した発明は、地盤面上に設けられた砕石層と、該砕石層の上面に設けられた砂利層と、該砂利層の上面に設けられた床材と、を備えたテラスデッキにおいて、前記床材が建物の床面と略同一の高さに配されており、前記床材の上面の少なくとも一部に緑地帯が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、建物の床面と略同一の高さにテラスデッキが設けられ、そのテラスデッキの上面に緑地帯が設けられているため、夏場などの高温環境下では植物の蒸散作用が活発となり、それによる冷気(水蒸気)が建物の室内側へとスムーズに導かれる。したがって、室外側から冷気を取り込み、室内の暖かい空気を室外へ逃がすことができ、夏場の冷房負荷を低減することができる効果がある。また、床材の上面に緑地帯だけでなく、化粧砂利、灯籠、照明器具または犬小屋などを設置することで、建物の床面と略同一高さに存在する庭園を実現することができる。
【0011】
請求項2に記載した発明によれば、床板が取り外された箇所に、高木などを植えることが可能になる。したがって、落葉樹などを植えることで、建物およびテラスデッキに対して、夏場は直射日光を遮ることができ、冬場は直射日光に曝すことができる。つまり、建物の空調負荷をさらに低減することができる効果がある。また、床板はグリッド状に配設されているため、床板を取り外す箇所を任意に設定することができ、設計の自由度を向上することができる効果がある。
【0012】
請求項3に記載した発明によれば、箱型ユニットに植栽を植えることで、上述した請求項2と略同等の作用効果が得られる。さらに、箱型ユニットの上面(仕上面)が床板と略同一の高さになっているため、デッキとしての一体感を得ることができる効果がある。また、ユニット内に植栽が植えられているため、植栽の移設や植栽の変更を容易に行うことができる効果がある。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、箱型ユニットを複数使用した場合にも、建物の床下の換気をスムーズに行うことができ、カビの発生などを抑制することができる効果がある。
【0014】
請求項5に記載した発明によれば、建物の床面と略同一の高さにテラスデッキが設けられ、そのテラスデッキの上面に緑地帯が設けられているため、夏場などの高温環境下では植物の蒸散作用が活発となり、それによる冷気(水蒸気)が建物の室内側へとスムーズに導かれる。したがって、室外側から冷気を取り込み、室内の暖かい空気を室外へ逃がすことができ、夏場の冷房負荷を低減することができる効果がある。また、床材の上面に緑地帯だけでなく、化粧砂利、灯籠、照明器具または犬小屋などを設置することで、建物の床面と略同一高さに存在する庭園を実現することができる。さらに、降雨時に雨水を効率よく地中に浸透させることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第一実施形態)
次に、本発明のテラスデッキの第一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、テラスデッキ10は、地盤面Gより立設された複数の束材11と、束材11の上面に設けられたコンクリート床板13と、を備えている。
【0016】
束材11は、例えば鋼材で構成されており、建物の外壁15に沿う方向および外壁15に直交する方向に略等間隔に複数配置されている。また、束材11の上部間を繋ぐ鋼製の梁材17が架設されている。つまり、梁材17は平面視においてグリッド状に配されている。なお、束材11の取付強度を増加させるために、筋交い(不図示)を適宜設けてもよい。
【0017】
コンクリート床板13は、束材11および梁材17上に載置されるように配されている。つまり、1枚のコンクリート床板13が、一つのグリッド部分と略同一の大きさで形成されている。コンクリート床板13の四隅には貫通孔19が形成されており、貫通孔19に固定ボルト21を挿通して束材11と接合できるようになっている。つまり、コンクリート床板13は、束材11から容易に着脱できるようになっている。ここで、コンクリート床板13が取付けられている高さは、建物の床面FLの高さと略同一になっている。そして、建物の窓を掃き出し窓にすることで、建物の床面FLからテラスデッキ10が略同一の高さで構成される。なお、雨水の浸入を防止する目的で、テラスデッキ10は建物側から外側に向かって若干の勾配が形成されていることが好ましい。
【0018】
コンクリート床板13上には、芝生ユニット31が設置されている。図3に示すように、芝生ユニット31は、保水シート33と、保水シート33上に配された培養土35と、培養土35に植えられた芝37と、を備えている。また、一つの芝生ユニット31はコンクリート床板13と略同等の大きさで形成されており、隣接する芝生ユニット31と図示しない係止部により結合できるようになっている。
【0019】
また、コンクリート床板13が取付けられていない箇所には、箱型ユニット41が配されている。図4に示すように、箱型ユニット41は、鋼製の箱体43内に培養土45が充填されており、培養土45には例えば落葉樹47や低木48が植栽されている。また、箱体43の上面周縁部はフランジ部49が形成されており、フランジ部49の平面視における四隅には貫通孔51が形成されている。そして、貫通孔51に固定ボルト21を挿通して束材11と接合できるようになっている。
【0020】
図1に戻り、建物の外壁15とテラスデッキ10との間には隙間53が形成されており、その隙間53にはグレーチング55が取付けられている。グレーチング55により居住者が室内とテラスデッキ10との往来の際に、脚を引っ掛けたりすることを防ぐことができる。また、建物の床下の換気をグレーチング55の開口部を通して行うことができる。
【0021】
本実施形態によれば、建物の床面FLと略同一の高さにテラスデッキ10が設けられ、そのテラスデッキ10に芝生ユニット31が設けられているため、夏場などの高温環境下では芝の蒸散作用が活発となり、それによる冷気(水蒸気)が建物の室内側へとスムーズに導かれる。したがって、室外側から冷気を取り込み、室内の暖かい空気を室外へ逃がすことができ、夏場の冷房負荷を低減することができる。また、コンクリート床板13の上面に芝生ユニット31だけでなく、化粧砂利、灯籠、照明器具または犬小屋などを設置することで、建物の床面FLと略同一高さに存在する庭園を実現することができる。
【0022】
また、コンクリート床板13が取り外された箇所に箱型ユニット41を配置することで、テラスデッキ10内に例えば落葉樹47などを配置することが可能になる。したがって、落葉樹47を配した場合には、建物およびテラスデッキ10に対して、夏場は直射日光を遮ることができ、冬場は直射日光に曝すことができる。つまり、建物の空調負荷をさらに低減することができる。また、コンクリート床板13はグリッド状に配設されているため、コンクリート床板13を取り外す箇所を任意に設定することができ、また、箱型ユニット41には様々な種類の植栽を植え付けることができるため、テラスデッキ10の設計の自由度を向上することができる。
【0023】
さらに、箱型ユニット41の上面(仕上面)がコンクリート床板13と略同一の高さになっているため、テラスデッキとしての一体感を得ることができる。
【0024】
そして、建物の外壁15とテラスデッキ10との間に隙間を設け、その隙間に開口部が形成されたグレーチング55を取りつけたため、箱型ユニット41を複数個使用した場合にも、建物の床下の換気をスムーズに行うことができ、カビの発生などを抑制することができる。
【0025】
(第二実施形態)
次に、本発明のテラスデッキの第二実施形態を図5に基づいて説明する。
図5に示すように、テラスデッキ110は、地盤面G上に積み上げられた砕石層111と、砕石層111の上面に設けられた砂利層112と、砂利層112の上面に設けられたコンクリート床板13と、を備えている。コンクリート床板13上には、芝生ユニット31が設置されている。なお、砕石層111および砂利層112の周囲は、土留めの上、型枠補強することが望ましい。
【0026】
建物の外壁15とテラスデッキ110との間には隙間53が形成されており、その隙間53にはグレーチング55が取付けられている。グレーチング55により居住者が室内とテラスデッキ110との往来の際に、脚を引っ掛けたりすることを防ぐことができる。また、建物の床下の換気をグレーチング55の開口部を通して行うことができる。
【0027】
本実施形態によれば、第一実施形態と略同等の作用効果を得ることができる。また、降雨時に雨水を効率よく地中に浸透させることができる。
【0028】
なお、本発明の技術範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料、形状や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、束材や梁材に鋼製のものを採用した場合の説明をしたが、強度が確保できれば樹脂製のものを採用してもよい。
また、本実施形態では、箱型ユニットを採用しているが、箱型ユニットに植物を植え付ける場合には、箱型ユニットの底部近傍に水抜孔を形成し、植物の根腐れを抑制するような構成にしてもよい。
さらに、本実施形態では、箱型ユニットを用いて落葉樹を配する場合の説明をしたが、コンクリート床板を取り外した箇所に、直接地盤面に落葉樹を植え付ける構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第一実施形態におけるテラスデッキの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態におけるテラスデッキ(芝生ユニット取付前)の平面図である。
【図3】本発明の実施形態における芝生ユニットの側面図である。
【図4】本発明の実施形態における箱型ユニットの斜視図である。
【図5】本発明の第二実施形態におけるテラスデッキの斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
10,110…テラスデッキ 11…束材 13…コンクリート床板(床材、床板) 15…外壁 31…芝生ユニット(緑地帯) 41…箱型ユニット 53…隙間(通気スペース) 111…砕石層 112…砂利層 G…地盤面 FL…建物の床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤面に立設された束材と、
該束材の上部に架設された床材と、を備えたテラスデッキにおいて、
前記床材が建物の床面と略同一の高さに配されており、
前記床材の上面の少なくとも一部に緑地帯が設けられていることを特徴とするテラスデッキ。
【請求項2】
前記床材が、グリッド状に配設された床板で構成されており、
該床板が着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のテラスデッキ。
【請求項3】
前記床板が取り外された箇所に、
植物が植栽されるとともに、上面が前記床板と略同一の高さに構成された箱型ユニットが設置可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のテラスデッキ。
【請求項4】
前記建物の外壁面と前記床板との間に通気スペースが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテラスデッキ。
【請求項5】
地盤面上に設けられた砕石層と、
該砕石層の上面に設けられた砂利層と、
該砂利層の上面に設けられた床材と、を備えたテラスデッキにおいて、
前記床材が建物の床面と略同一の高さに配されており、
前記床材の上面の少なくとも一部に緑地帯が設けられていることを特徴とするテラスデッキ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−185540(P2009−185540A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27717(P2008−27717)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(391024696)住友林業緑化株式会社 (39)
【Fターム(参考)】