説明

テレセントリック光学素子を用いた蛍光信号の結像

【課題】均一な照射と正確な検出に向けて、光路を最適化することによって、横方向に分布する部位からの蛍光信号を同時にモニターするための改良されたデバイスを提供すること。
【解決手段】複数の個々の部位のアセンブリ3を有する平面支持体2の保持手段1;少なくとも1つの励起周波数を含む光を放射する光源4;前記複数の個々の部位のアセンブリ3からの蛍光信号を受信するように配置された変換器5は計算可能な一次データを作成する;前記光源4からの励起光をアセンブリ3に送り、前記アセンブリ3からの蛍光信号を前記変換器5に送る視野レンズ6;前記光源4からの励起光を前記視野レンズ6に送る励起レンズ配置10;前記視野レンズ6からの蛍光信号を前記変換器5に送る結像レンズ配置11、を含み、励起光および複数の個々の部位からの蛍光信号の結像が前記視野レンズ6の物体側においてテレセントリックである蛍光信号結像光学機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDNA解析の分野に関する。特に、本発明は複数の部位における蛍光強度の平行結像用のデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光技術を様々に応用して生物試料の分析を行うことが当業者によって知られている。電気泳動技術の場合、タンパク質またはDNAを蛍光プローブで標識して、それらの電気泳動バンドをゲルまたはカラム中で可視化する。さらに、これまでのバイオチップ用途の大半は、蛍光読み取りに基づいており、固体支持体に固定化されたプローブ分子への、蛍光標識された標的分子の特異的結合をモニターするものである。液相におけるDNA解析に対する用途には、2つの蛍光プローブとエネルギー転移を利用する、二本鎖DNA結合色素SybrGreenIまたはFRET(Fluorescent Resonance Energy Transfer)プローブなどの蛍光ハイブリダイゼーションプローブが含まれる。液相における蛍光技術に対する非常に重要な用途は、リアルタイムでのPCR産物の定量、いわゆるリアルタイムPCRである。
【0003】
上記のすべての場合において、アッセイの蛍光標識を励起する特定の波長の光を提供するとともに、ある程度異なる波長で放たれる前記標識からの蛍光を検出することのできる蛍光読み取りデバイスが必要である。全ての蛍光読み取りデバイスの一つの大きな問題は、色素によって発せられる蛍光に比べて、甚大な励起光の強度であり、従って、蛍光信号を正確にモニターするためには、励起ビームが検出器にあたらないようにしなければならない。言い換えれば、励起光の光路は少なくとも部分的に蛍光の光路と異なっていなければならない。
【0004】
例えば毛細管の液相において1種類の蛍光プローブのみがモニターされなければならない場合、蛍光原理の実現は比較的易しい。ここでは、たとえば、二色性ミラーとフィルターのセットを備えた白色光源が、この要件を満たすのには十分である。しかしながら、試料中に1種類より多い蛍光標識が存在する場合には、固体支持体上に横方向に分布するスポットまたはマイクロタイタープレートの蛍光をモニターする必要があり、蛍光読み取りデバイスに対する要件を満たすことはさらに難しくなる。
【0005】
原理上、横方向に分布する部位の蛍光を励起してモニターするには、2つの異なった戦略が存在する。第1の戦略は、横方向に分布する部位を走査することにより、個々の部位を1回に1つずつ順に分析していくことである。第2の戦略は、分布する部位全体に同時に照射を行って、例えばCCDチップ上の対応する蛍光を結像するものである。この走査戦略は、支持体を二次元的に移動させる必要がある(特許文献1および特許文献2)か、検出器を支持体に関して移動させる必要がある(特許文献3)という明白な欠点を有している。一方、支持体全体を同時に照射する戦略の主たる難点は、均一な照射を分布部位全体に行わなければならない点である。均一な照射を分布部位全体に行うことの代替法は、光源アレイの使用であり、これにより個々の部位はその各自の光源によって照射される。特許文献4は、複数のウェルを備えた熱サイクラー中で、照射のためにビームスプリッターおよびLEDアレイを用いてPCRの評価を行うための上記戦略について記載している。特許文献5は、蛍光信号の暗視野モニタリングについて記載しており、ここでも、マイクロアレイをLEDアレイによって照射するが、この態様においては、ビームスプリッターは必要とされていない。
【0006】
励起ビーム及び蛍光の光路を少なくとも部分的に分割するための要件に関して、この場合も2つの異なる可能性が存在する。第1の可能性としては、ビームスプリッターを利用し、励起ビームおよび蛍光が光学列の少なくとも一部を共用するいわゆる落射照明である。第2の可能性は、斜照明を用いることである。ここでは、励起ビームを、支持体表面の法線に対して一定の角度を有し、該励起ビームに対応する反射が検出装置の受光角外にくるように構成する(たとえば、特許文献6および特許文献7)。
【0007】
特許文献8は、ビームスプリッターを用いてプローブ内の複数の蛍光色素を同時に観測する光学装置を記載している。特許文献9は、ビームスプリッターと、視野レンズと、各ウェルに光の焦点を合わせるレンズアレイを用いて、マイクロタイタープレートのウェル内で発生する蛍光信号を同時にモニターする装置を開示している。検出は、光を光ダイオードのアレイまたはCCDチップ上に結像することによって行われる。この装置の本態様において集光される蛍光は、集光レンズの光錐によって励起される色素の量によって決まるため、ウェルの充填度に依存することになる。特許文献10は、温度循環ブロック内の複数のバイアルにおけるPCR反応を同時にモニターするための機器を請求している。この機器の光学部品としても、ビームスプリッターと、視野レンズと、各バイアルに個々の光ビームの焦点を合わせるバイアルレンズアレイと、たとえばCCD検出器上で発光の焦点を合わせる検出手段とが含まれる。バイアルレンズアレイが必要であるために、個々の部位の大きさと横方向の密度が制約される。特許文献11は、複数のウェルにおいて発生する蛍光をモニターする蛍光測定装置を記載している。光学部品は、ビームスプリッターと、ウェルの深さ方向に平行な光によってウェルを一括して照射するレンズ装置とを含む。しかしながら、この画像形成光学装置は、検出手段上に光を集める。特許文献12は、テレセントリックレンズを含む対物レンズを用いた結像アッセイ法を開示している。特許文献13は、フレネルレンズを含む、サンプル保持体を結像するための結像デバイスを請求している。
【特許文献1】国際公開第03/069391号パンフレット
【特許文献2】独国特許発明第102 00 499号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/159057号明細書
【特許文献4】独国特許発明第101 31 687号明細書
【特許文献5】独国特許発明第101 55 142号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0005493号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第1 275 954号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2003/001 1772号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第197 48 21l号明細書
【特許文献10】国際公開第99/60381号パンフレット
【特許文献11】特開2002−014044号公報
【特許文献12】米国特許第6,498,690号明細書
【特許文献13】米国特許第6,246,525号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、均一な照射と正確な検出に向けて、光路を最適化することによって、横方向に分布する部位からの蛍光信号を同時にモニターするための改良されたデバイスを提供することにある。本発明の1つの局面において、解決すべき問題は、マイクロタイタープレート形式の多重化リアルタイムPCRのモニタリングにおける改良に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである:
〔1〕 複数の個々の部位のアセンブリ3を有する平面支持体2を保持するための保持手段1;
少なくとも1つの励起周波数を含む光を放射する少なくとも1つの光源4;
前記複数の個々の部位のアセンブリ3からの蛍光信号を受信するように配置された変換器5、一方で前記変換器5は計算可能な一次データを作成する;
前記光源4からの励起光を前記複数の個々の部位のアセンブリ3に送り、前記複数の個々の部位のアセンブリ3からの蛍光信号を前記変換器5に送る視野レンズ6;
前記光源4からの励起光を前記視野レンズ6に送る励起レンズ配置10;
前記視野レンズ6からの蛍光信号を前記変換器5に送る結像レンズ配置11、を含み、一方で前記励起光および前記複数の個々の部位からの蛍光信号の結像が前記視野レンズ6の物体側においてテレセントリックである、複数の個々の部位からの蛍光信号を結像するための光学機器、
〔2〕 少なくとも1つの励起周波数を透過させ、前記蛍光信号の周波数を反射するビームスプリッター7、または少なくとも1つの励起周波数を反射し、前記蛍光信号の周波数を透過させるビームスプリッターをさらに含む前記〔1〕記載の光学機器、
〔3〕 前記結像レンズ配置11が前記変換器5に結合されて、結像ユニット12を形成する前記〔1〕〜〔2〕記載の光学機器、
〔4〕 前記アセンブリの個々の部位がウェルであり、励起光が前記ウェルの側壁に平行であり、前記ウェルを満たす溶液が蛍光色素を含む前記〔1〕〜〔3〕記載の光学機器、
〔5〕 前記アセンブリの個々の部位が平面支持体上のスポットであり、蛍光色素が前記スポットに付着している前記〔1〕〜〔3〕記載の光学機器、
〔6〕 前記〔1〕〜〔5〕記載の光学機器;
各々がPCR反応を行なうことができる反応混合物を含む1つ以上のウェルを有する支持体を加熱および冷却する手段
を含む、リアルタイムPCR機器、
〔7〕 複数の個々のアッセイのアセンブリを含む平面支持体2;
少なくとも1つの励起周波数を含む光を放射する少なくとも1つの光源4;
前記複数のアッセイからの蛍光信号を受信するように配置された変換器5、一方で、変換器は計算可能な1次データを作成する;
前記複数の個々のアッセイのアセンブリのテレセントリック励起により、および前記複数の個々のアッセイのアセンブリの個々のアッセイ各々で生じる前記蛍光信号のテレセントリック結像により特徴付けられる前記光源4から前記変換器5までのビーム路、
を含む、複数のアッセイの蛍光信号を結像するための装置、
〔8〕 結像レンズ配置11をさらに含み、一方で前記結像レンズ配置11が前記変換器5と結合されて、結像ユニット12を形成する前記〔7〕記載の装置、
〔9〕 視野レンズをさらに含み、一方で前記ビーム路が前記視野レンズを2回通過する前記〔7〕〜〔8〕記載の装置、
〔10〕 少なくとも1つの励起周波数に対して透過であり、前記蛍光信号の周波数に対して反射するビームスプリッター7、または少なくとも1つの励起周波数に対して反射し、前記蛍光信号の周波数に対して透過であるビームスプリッター7をさらに含む前記〔7〕〜〔9〕記載の装置、
〔11〕 各々がPCR反応を行なうことができる反応混合物を含む、複数の個々の部位を有するマルチウェルプレート;
蛍光DNA結合実体;
マルチウェルプレート全体をテレセントリック光で照射し、計算可能な1次データを作成するために、対応する蛍光信号を受信するように配置された変換器により、前記マルチウェルプレートの各々のウェルからの蛍光信号を検出する前記〔1〕〜〔5〕記載の光学機器を含む、請求項6記載のリアルタイムPCR機器
を含む、リアルタイムで同時に複数のPCR反応を行ない、モニターする装置、
〔12〕 PCR反応を行なうことができる組成物または反応混合物を提供すること;
前記複数の標的DNA配列の増幅が起こり得るような熱サイクリングプロトコールに前記反応混合物を供すること;
蛍光DNA結合実体および前記〔6〕記載のリアルタイムPCR機器を用いる複数の増幅サイクル後に、各DNA配列の存在および量を少なくとも1回モニターすること、
を含む、複数の標的DNA配列を増幅、検出および/または定量する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、均一な照射と正確な検出に向けて、光路を最適化することによって、横方向に分布する部位からの蛍光信号を同時にモニターするための改良されたデバイスが提供され得る。本発明の1つの態様において、マイクロタイタープレート形式の多重化リアルタイムPCRのモニタリングにおける改良に関する問題が解決され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の簡単な説明
このように、本発明は、複数の個々の部位のアセンブリの蛍光を結像する光学機器であって、全アセンブリ領域にわたって励起を行うことと、対応する蛍光信号を正確に結像することを含む光学機器に関する。
【0012】
より詳細には、本発明は、マイクロタイタープレートのウェル中で起こっている複数のPCR増幅をリアルタイムで同時に分析するか、もしくは特定の標的/プローブの相互作用の尺度としてマイクロアレイの蛍光強度を結像する光学機器に関する。
【0013】
本発明の1つの主題は、複数の個々の部位からの蛍光信号を結像するための光学機器であって、該機器は、
−複数の個々の部位のアセンブリ3を有する平面支持体2を保持するための保持手段1、
−少なくとも1つの励起周波数を含む光を放射する少なくとも1つの光源4、
−前記複数の個々の部位のアセンブリ3からの蛍光信号を受信するように配置された変換器5、一方、前記変換器5は計算可能な一次データを作成する、
−前記光源4からの励起光を前記複数の個々の部位のアセンブリ3に送り、前記複数の個々の部位のアセンブリ3からの蛍光信号を前記変換器5に送る視野レンズ6、
−前記光源4からの励起光を前記視野レンズ6に送る励起レンズ配置10、
−前記視野レンズ6からの蛍光信号を前記変換器5に送る結像レンズ配置11
を含み、
一方で、前記励起光および前記複数の個々の部位からの蛍光信号の結像が、前記視野レンズ6の物体側においてテレセントリックである。
【0014】
本発明の文中において、複数の個々の部位のアセンブリとは、空間的に分離され、横方向に分布した2つ以上の部位からなる物体の総称である。部位は、例えばマイクロタイタープレートのウェル、またはスライドグラスの官能化表面領域であり得る。殆どの場合において、複数の個々の部位のアセンブリは、均一に配置され、多重分析を実施するためにそれぞれの部位が異なる内容物を有する。本発明の範囲内において、アセンブリの平面支持体は、平面状の固相である。マイクロアレイの場合、アセンブリの平面支持体は、部位が配置されたこの平面状固相の面である。マイクロタイタープレートの場合、アセンブリの平面支持体は、ウェルの開口部が配置された単調なものである。アセンブリの平面支持体は、光路内において、個々の部位の各々の位置を所望の位置に安定化させるために、保持手段によって固定される。
【0015】
本発明の範囲において、「光源(LS)」という表現には、単一の周波数を有する光または複数の異なる周波数を有する光を発する発光体が含まれる。さらに、光源は、1つより多い前記発光体の配置であってもよい。
【0016】
本発明の文中において、変換器(Det)とは、可視光をコンピューターによって処理可能な電子信号に変換することのできるデバイス、たとえばCCDチップである。
【0017】
本発明の範囲内において、テレセントリック光学素子とは、非常に小さい開口を有する光学素子であり、従って、深い焦点深度を提供する。換言すれば、テレセントリック光学素子のテレセントリック光は、物体および/または結像空間において物体を横切る全点に対して光軸に平行である主光線を伴う略平行である。従って、物体空間において、テレセントリック性を使用する励起光学素子又は結像光学素子の品質は、一定の物体点の光学素子までの距離に反応しない。テレセントリック光学素子の開口は、無限遠に結像される。さらに、テレセントリック光を使用すると、光ビーム全域に渡る良好な横方向の均一性が確保され、アセンブリの中央部に位置する部位が、アセンブリの境界部に位置する部位と同等である。本発明全体を通して、テレセントリック光学素子は常に視野レンズを含む。本発明の文中において、視野レンズは、機器の視野を決定する目的物に最も近く、1つ以上の部品(アクロマット)を含み、装置のさらなる光学部品と組み合わせて物体および/または結像空間におけるテレセントリック性に寄与する単レンズである。
【0018】
本発明の視野レンズは、光源からの励起光を複数の個々の部位のアセンブリに送るとともに、複数の個々の部位のアセンブリからの蛍光信号を変換器に送る。このことは、追加の光学部品が、ビーム路内、たとえば光源と視野レンズの間、視野レンズと変換器の間、または視野レンズと複数の個々の部位のアセンブリの間に導入されることを除外するものではない。
【0019】
本発明の別の局面は、
本発明による光学機器、および
各々がPCR反応を行うことができる反応混合物を含む1つ以上のウェルを有する支持体を加熱および冷却する手段
を含むリアルタイムPCR機器である。
【0020】
本発明の範囲において、加熱および冷却手段には、核酸の周期的PCR増幅を実施するために、複数の個々の部位のアセンブリの温度を周期的に制御および変化させることのできる任意の手段が含まれる。好ましくは、保持手段を、複数の個々の部位のアセンブリの平面支持体と熱接触させた状態で加熱および冷却することができる。
【0021】
本発明のさらに別の局面は、複数のアッセイの蛍光信号を結像するための装置であり、該装置は、
−複数の個々のアッセイのアセンブリを含む平面支持体2、
−少なくとも1つの励起周波数を含む光を放射する少なくとも1つの光源4、
−前記複数のアッセイからの蛍光信号を受信するように配置された変換器5、一方で変換器は計算可能な一次データを作成する、ならびに
−前記複数の個々のアッセイのアセンブリのテレセントリック励起により、および前記複数の個々のアッセイのアセンブリの個々のアッセイ各々で生じる前記蛍光信号のテレセントリック結像により特徴づけられる、前記光源4から前記変換器5までのビーム路
を含む。
【0022】
複数の個々のアッセイのアセンブリは、平行分析を実現するために空間的に分離された2つ以上のアッセイからなる物体を総称するものである。これらのアッセイは、たとえば、マイクロタイタープレートのウェル中またはスライドグラスの官能化表面領域上で実施されてもよい。
【0023】
ビーム路という言い回しは、本発明を通して、光源から少なくとも視野レンズを通って複数の個々のアッセイのアセンブリに至るまでの過程、および複数の個々のアッセイのアセンブリから少なくとも視野レンズを通って変換器に至る過程において、光ビームが横切るすべての領域を総称するために用いられる。
【0024】
本発明の別の主題は、リアルタイムで同時に複数のPCR反応を行い、モニターする装置であり、該装置は、
−各々がPCR反応を行うことができる反応混合物を含む、複数の個々の部位を有するマルチウェルプレート;
−蛍光DNA結合実体、および
−マルチウェルプレート全体をテレセントリック光で照射し、計算可能な一次データを作成するために、対応する蛍光信号を受信するように配置された変換器によって前記マルチウェルプレートの各々のウェルからの蛍光信号を検出する、本発明の光学機器を含む本発明のリアルタイムPCR機器
を含む。
【0025】
本発明全体を通して、蛍光DNA結合実体はいずれも、増幅されたDNAの検出に使用され得る当業者によって公知の全蛍光色素または蛍光色素のアセンブリ、即ち、たとえば、二本鎖DNA結合色素、TagManプローブ、分子ビーコン、単一標識プローブまたはFRETハイブリダイゼーションプローブである。
【0026】
本発明のさらに別の主題は、複数の標的DNA配列を増幅、検出および/または定量する方法であって、
−PCR反応を行うことが出来る組成物または反応混合物を提供すること、
−前記複数の標的DNA配列の増幅が起こり得るような熱サイクリングプロトコールに前記反応混合物を供すること、および
−蛍光DNA結合実体および本発明のリアルタイムPCR機器を用いる複数の増幅サイクル後に各DNA配列の存在および量を少なくとも1回モニターすること
を含む方法である。
【0027】
PCR反応を行うことのできる組成物または反応混合物は、本発明を通して、バッファー、ヌクレオチド、酵素、プライマーおよび蛍光DNA結合実体を含む。
【0028】
熱サイクリングプロトコールは、PCR組成物の時間を追った(chronological)温度処理、融解およびアニーリング温度、増幅サイクルの回数、並びに加熱および冷却のための時間を規定するプロトコールである。
【0029】
発明の詳細な説明
本発明の1つの局面は、複数の個々の部位からの蛍光信号を結像するための光学機器であって、該光学機器は、
−複数の個々の部位のアセンブリ3を備える平面支持体2を保持するための保持手段1、
−少なくとも1つの励起周波数を含む光を放射する少なくとも1つの光源4、
−前記複数の個々の部位のアセンブリ3からの蛍光信号を受信するように配置された変換器5、一方で該変換器5は計算可能な一次データを作成する、
−前記光源4からの励起光を前記複数の個々の部位のアセンブリ3に送り、前記複数の個々の部位のアセンブリ3からの蛍光信号を前記変換器5に送る視野レンズ6、
−前記光源4からの励起光を前記視野レンズ6に送る励起レンズ配置10、ならびに
−前記視野レンズ6からの蛍光信号を前記変換器5に送る結像レンズ配置11を含み、
一方で、前記励起光および前記複数の個々の部位からの蛍光信号の結像が、前記視野レンズ6の物体側においてテレセントリックである。
【0030】
蛍光信号の結像を行うことのできる多くの機器が当業者によって知られている。光学機器が、複数の個々の部位のアセンブリ、例えばマイクロタイタープレートのウェルまたはマイクロアレイのスポットの蛍光信号を同時に結像できるべきである場合、アセンブリの中央およびアセンブリの境界部における色素の励起および蛍光信号の結像が同等であることを保証しなければならない。さらに、光ビーム全体にわたる均一な強度分布の要件が満たされたとしても、支持体全体が励起光学素子だけでなく結像光学素子の焦点面内にあるようにするためには、平面支持体の位置合わせがまだなお重要である。マイクロタイタープレートの場合のように支持体が深さを有するときには、加えていくつかの特有の問題が生じる。
【0031】
上記問題に対する解決策は、テレセントリック光学素子を使用することである。テレセントリック光学素子において、焦平面は無限遠に位置し、各物点から放射する主光線は光軸に平行である。したがって、有限視野内のすべての物点は同じ遠近感および同じ強度で観察され、換言すると、テレセントリック光学素子は大きな視野深度と均一な励起または結像プロファイルを有している。
【0032】
テレセントリック光学素子は、その開口数(NA)によって特徴づけられ得、該開口数は、深い焦点深度を実現するためにできる限り小さくされるべきである:
NA=n・sin A
(式中、nは媒体の屈折率であり、Aは開口角である。マイクロタイタープレートのケースのように、個々の部位のアセンブリが一定の深さを有する場合、焦点深度の深さが最も重要である。)
【0033】
横方向に分布する部位のテレセントリック励起と、前記部位からの蛍光信号のテレセントリック結像のための光学機器を設計するためには、いくつかの局面を考慮に入れる必要がある。焦点深度のみの局面から、NA値は可能な限り小さくするべきである。一方、結像光学素子に関する小さいNA値は、不良な結像解像度に対応し、励起光学素子に関する小さいNA値は、励起のための照射力の浪費に対応する。
【0034】
テレセントリック光学機器を全範囲の周波数に適用可能にすべき場合には、光学素子も無色のものとしなければならない。蛍光結像自身に関して、対処すべき要件はさらに多いが、これは蛍光結像が、変換器上で横方向に分布する部位を正確に再現するためには、正しいスケーリングを有していなければならないからである。さらに、球面または色収差、コマ収差、非点収差または視野の湾曲などの結像誤差も制御しなければならない。
【0035】
テレセントリック光学素子の作成するためにはいくつかの方法がある。一般に、テレセントリック光学素子は、ビーム路内に1つより多いレンズを順に配置した複数要素からなるレンズ設計である。テレセントリック光学素子を、物体面においてテレセントリック、結像面においてテレセントリック、またはいわゆる二重テレセントリック光学素子である、両方の面においてテレセントリックなものとして構成することができる。さらに、テレセントリック光によって物体を照射することおよび/または物体をテレセントリックにモニターすることができる。一般には、物体面においてテレセントリック性を有する光学素子を提供するだけで十分であるが、これは、このことですでに、物体全体を横方向ならびに第3の次元に均一に照射できるとともに、物体からの放射光を正確に集光できるからである。
【0036】
当該分野の状況から、蛍光信号を結像するためにテレセントリック光学素子を使用する機器が知られているものの、励起は通常は非テレセントリックな様式で、たとえば背面照明、斜照明によって、またはエバネッセント場によって行われている。本発明においては全体を通して、複数の個々の部位からの蛍光信号の結像だけでなく、複数の個々の部位の励起のいずれもテレセントリックな様式で行う。
【0037】
図1および図2は、下記に詳細に説明する本発明の好ましい態様による2つの光学機器の概略図を示す。
【0038】
すべてのテレセントリック光学素子の中心部は視野レンズである。このレンズは、物体に最も近く、機器の視野の直径を決めるものである。したがって、このレンズの直径は、複数の個々の部位のアセンブリが大きな面積にわたって分布している時には、サイズが大きくなる傾向にある。視野レンズはシングレット(1つの単レンズ)として、または、たとえば互いに貼り付けられた2つのレンズを含む色消しレンズとして存在する。本発明に用いられ得る特有の視野レンズは、フレネルレンズである。フレネルレンズは、視野レンズと同じテレセントリック特性を提供する少なくとも1つの光学的に有効な表面上に、複数のテーパー部を有する独特の複雑な湾曲を有している。ほとんどの場合、フレネルレンズは光軸に垂直な平坦面によって支持される複数のテーパー部を有する表面を一つしか有さないので、それらは通常の視野レンズに比べてより薄い。特定の場合において、湾曲した支持面をさらに有するか、またはレンズの両面に複数のテーパー部を有するフレネルレンズが提供される。さらに、フレネルレンズはプラスチックで形成される場合があり、したがって、ガラスからなる大きな視野レンズよりも安価であり得る。しかしながら、一方で、これらのフレネルレンズの結像の質、特にコントラストとクロストークに関しては、通常の視野レンズに比べて劣ることになり、これは、不連続な湾曲を有するレンズの上記点において光が散乱するためである。
【0039】
好ましい態様において、本発明の光学機器は、少なくとも1つの励起周波数を透過させ、前記蛍光信号の周波数を反射するビームスプリッター7、または、少なくとも1つの励起周波数を反射し、前記蛍光信号の周波数を透過させるビームスプリッターをさらに含む。
【0040】
ビームスプリッターは通常は、光をその波長によって透過または反射する二色性ミラーであるので、光ビームの2つの要素を空間中の異なる方向に分離するために用いることができる。かかる二色性ミラーは、ガラスまたはプラスチックから生産され得、必要があれば、一定の光学的に活性なコーティングを備える。それらは、薄片またはプリズムの形態で存在する。
【0041】
蛍光信号を結像するための光学機器における適用に関して、この二色性ミラーは、励起光を反射して蛍光を透過させる(図2)か、または、その逆(図1)でなければならない。1つ以上の励起周波数を含む光ビームおよび他の周波数を有する光ビームにおける光源から放射される光の分離は、蛍光色素が短波長によって破壊されないこと、および、例えば支持体の励起による所望されないバックグラウンド照射が低減されることを担保するために役立つ。少なくとも1つの励起周波数を含む部品中の複数の個々の部位からの光を、蛍光信号を含む該部品から分離することは、高い強度を有する励起光の反射が変換器にあたることを回避する。これは、信号対雑音比を劇的に改善する。
【0042】
本発明の別のさらに好ましい変形において、視野レンズは、複数の個々の部位のアセンブリの支持体に対して垂直である励起光ビームを生ずる。
【0043】
複数の個々の部位のアセンブリの支持体に対して垂直である励起光ビームは、該アセンブリの支持体に対して垂直な反射ビームも生じる。しかし、ビームスプリッターのおかげで、この反射ビームは、蛍光信号から分離され、変換器に当たらない。例えば複数の個々の部位のアセンブリとしてのマイクロタイタープレートの場合において、垂直な励起光ビームは、ウェルの深さを通ることができるという利点を有する。一方、励起ビームが0°より大きい入射角で支持体に到達する場合、ウェルの壁はウェル内部の完全な照射を妨げ、蛍光色素の小部分のみが励起され得る。さらに、斜励起ビームが使用されるとき、ウェル内の蛍光色素励起の量は、充填度に依存する。
【0044】
さらに好ましい変形において、本発明の光学機器は、前記光源からの少なくとも1つの励起周波数を前記複数の個々の部位のアセンブリへ送り、その一方で、複数の他の周波数を遮断することができる励起フィルター装置8をさらに含む。
【0045】
かかる追加の励起フィルター装置は、ビームスプリッターの前であっても、光源からの一定の周波数を遮断し得る。このことは、ビームスプリッターによって励起周波数から分離され得ない周波数の光を光源が含む場合、必要となり得る。適切な励起フィルター装置は、例えば、種々の光学特性を有する個々のフィルターの一定数を含む、所謂、フィルターホイールである。かかるフィルターホイールを使用することは、励起周波数を変化させる簡単な手段を提供する。特殊な励起フィルター装置は、例えば、赤外線(IR)周波数または紫外線(UV)光を吸収するフィルターである。かかる特殊な励起フィルター装置は、薄膜フィルターなどの別個の光学部品の形態、または装置の他の光学部品上の光学活性コーティングの形態で実現され得る。
【0046】
さらに好ましい態様において、本発明の光学機器は、前記複数の個々の部位のアセンブリからの蛍光信号を前記変換器へ送り、その一方で、励起周波数を有する光を遮断することができる結像フィルター装置9をさらに含む。
【0047】
かかる追加の結像フィルター装置は、複数の個々の部位で発生されるか、または、ビームスプリッターのさらに後の励起反射からの一定の周波数を遮断し得る。このことは、ビームスプリッターによって励起周波数から分離され得ない周波数を有する光が複数の個々の部位で発生される場合、必要となり得る。また、適切な結像フィルター装置は、種々のフィルターを含むフィルターホイールである。励起フィルター装置の場合と同様に、特殊な結像フィルター装置は、例えば、赤外線(IR)フィルターまたは紫外線(UV)フィルターであり得る。特殊な結像フィルター装置は、薄膜フィルターなどの別個の光学部品の形態、または装置の他の光学部品上の光学活性コーティングの形態で実現され得る。別の結像フィルター装置は、検出器による分散光の検出を回避するフィルター装置である。
【0048】
前述のように、本発明の光学機器は、励起レンズ配置10を含み、前記励起レンズ配置は、前記光源4からの光を前記視野レンズ6に送る。
【0049】
このことは、光源からの光が、複数の個々の部位のアセンブリ上において、視野レンズ6および励起レンズ配置10を含む励起光学素子を用いて、結像されることを意味している。前記励起光学素子は、視野レンズ6の物体側上にテレセントリックな励起光を与えるので、テレセントリック励起光学素子である。励起レンズ配置は、光源の出力の利用性を高めるべく、励起開口を増大させるために、少なくとも1つのレンズを含み、好ましくは少なくとも3つのレンズを含む。レンズの量を減らすべき場合には、励起レンズ配置は、非球面(asphere)なものを含んでもよい。好ましくは、テレセントリック励起光学素子は、励起波長に関係なく、複数の個々の部位のアセンブリ全体に均一な強度分布を実現するために、無色に設計される。
【0050】
本発明の別の態様において、前記光源は複数の周波数を含む光を発し、好ましくは、前記光源は白色光源であり、最も好ましくは、前記光源はキセノン灯もしくは水銀灯などの放電灯、またはタングステン灯などのフィラメント灯である。
【0051】
本発明のさらに別の態様において、前記光源は単一の周波数を有する光を発し、好ましくは、前記光源はレーザーであり、最も好ましくは、前記光源はLEDである。
【0052】
種々の周波数を有する光を発する光源の使用は、ビームスプリッターならびに必要である場合、励起フィルター装置および/または結像フィルター装置からなるフィルターセットを換えるだけで、種々の蛍光色素に対してこの光源を用いることができるという利点を有する。ある蛍光色素から他のものに容易に切り替えるために、一定量のフィルターを含む励起フィルター装置および/または結像フィルター装置としてのフィルターホイールを用いることが好ましい。一方、光源が単一の周波数のみを有する光を発する場合、フィルターセットの要件を満たすのは簡単である、しかし光学機器は限定量の蛍光色素に固定される。
【0053】
本発明の一態様において、光源ウィンドウは、IRおよび/またはUV光を吸収するために、特別の励起フィルター装置として作用する光学活性コーティングを有する。
【0054】
本発明のさらに好ましい変形において、前記光源は1つより多い発光体、好ましくは1つより多いレーザー、最も好ましくは1つより多いLEDの組み合わせを含む。
【0055】
この好ましい態様において、1つより多い励起周波数を有する本発明の光学機器を提供するために、種々の発光体のアセンブリを用いる。2つの異なる光源を有する本発明の一態様を図2に示し、一方で各光源は、自身の励起フィルター装置8、励起レンズ配置10およびビームスプリッター7を有する。
【0056】
本発明の別の変形において、前記光源は、1つ以上の前記発光体を選択するための装置をさらに含む。
【0057】
前記発光体のうちの1つを選択する装置を、種々の方法で実現することができる。一つの可能性は、選択した発光体の光を光路内に投入するために回転式ミラーを使用することである。もう一つの可能性は、選択した発光体の光を光路内に投入するために発光体の配置を移動させることである。
【0058】
本発明のテレセントリック励起光学素子は、視野レンズ6、励起フィルター装置8、励起レンズ配置10およびビームスプリッター7に加えて、いくつかの追加の部品を含み得る。一態様において、テレセントリック励起光学素子は、光ガイドをさらに含み、光源からの光を光学装置の光学部品に送るために、光源からの光を前記光ガイドに結合する。光ガイドを用いて、種々の光源からの光を結合し、この結合光を同時に光学部品に送ることができる。あらゆる種類の光ガイドが本発明の目的のために適用できる。可能な光ガイドとしては、たとえば、流体光ガイド、ファイバー光ガイドまたはファイバー光ガイドの束がある。本発明の態様において、前記光ガイドの一端または両端は、IRおよび/またはUV光を吸収するために、特別の励起フィルター装置として作用する光学活性コーティングを有する。
【0059】
本発明のさらに別の態様において、テレセントリック励起光学素子は、光ミキサーをさらに含み、前記光源からの光を混合し、前記光ミキサーの照射表面を複数の個々の部位からなるアセンブリ上に結像する。
【0060】
光ミキサーは、断面全体にわたって均一な強度分布を有する光を供給する光源として使用され得る、非常に均一な照射表面を有する装置である。光ミキサーは、光学透過性材料からなるやや長い実体であり、一方で前記実体の境界は光路に平行である。言い換えれば、光ミキサーは一種の光学ファイバーである。前記光ミキサーに投入される光は、非常に均一に照射されるファイバーの一端に断面積を生じる光学透過性材料の内側の界面で複数回の全反射を受ける。光学透過性材料の内側界面における全反射は、単に前記界面での屈折率の変化に基づき、または反射性コーティングによって支持されうる。前記光ミキサーのその断面積に対する長さの比は、照射の均一性のために重要である。前記比は好ましくは2より大きい。
【0061】
光源からの、特に光ミキサーの一端における断面積からの光は、視野レンズ6および励起レンズ配置10を含むテレセントリック励起光学素子を用いて、複数の個々の部位からなるアセンブリ上に結像される。したがって、本発明の本態様において、複数の個々の部位の励起を、視野レンズ6の物体サイトでテレセントリックな励起光学素子で行う。
【0062】
本発明の光学機器は、化学発光および生物発光の結像にも適用可能である。これらの場合において励起光は必要ないので、光源4、励起レンズ配置10および励起フィルター装置8を省略することができる。
【0063】
さらに好ましい変形において、本発明の光学機器は、1、2以上のフォールディングミラーを含む光ビームフォールディングユニットをさらに含み、前記フォールディングユニットは、前記光源からの光および前記複数の個々の部位からなるアセンブリからの蛍光信号をフォールドする。
【0064】
本発明の範囲において、光ビームフォールディングユニットは、長い光路を提供するユニットであり、一方で同時に、限定量の空間を必要とするだけである。励起光学素子からの開口数を調節するために、変更可能な1つのパラメータとして、光が横断しなければならない光路がある。光路を広げることにより、開口数が低減される。それゆえ、必要な視野深度および均一の強度分布を満たすために小さな開口を所望する場合、光学路は長くなるであろう。大きな機器は適切でないので、長い光路を実現するためにフォールディングミラーを使用でき、同時に機器の大きさを抑える。
【0065】
前述のように、本発明の光学機器は結像レンズ配置11を含み、前記結像レンズ配置11は前記視野レンズ6から前記変換器5に光を送る。
【0066】
このことは、複数の個々の部位からなるアセンブリで発生した蛍光信号が、視野レンズ6及び結像レンズ配置11を含むテレセントリック結像光学素子によって、変換器5上に結像されることを意味する。本発明の他の態様において、テレセントリック結像光学素子は、たとえば光ビームフォールディングユニットおよび/または特別の結像フィルター装置9をさらに含む。
【0067】
テレセントリック結像光学素子を、変換器の大きさおよび複数の個々の部位のアセンブリの空間的大きさについて最適化しなければならない。励起レンズ配置10の場合のように、結像レンズ配置11は、少なくとも1つのレンズ、好ましくは少なくとも5つのレンズのアセンブリを含む。励起光学素子に比べて、結像光学素子にはより高い要件が課せられなければならないので、結像レンズ配置に対しては多数のレンズが必要である。蛍光結像は、変換器上で側方に分散する部位の正確な再現のために正しい縮尺を有さなければならない。さらに、球面または色収差、コマ収差、非点収差、特別の誤差または視野の湾曲のような結像誤差は制御されなければならない。変換器上への蛍光信号の結像のため、蛍光結像は視野レンズ6の物体サイトにおいてのみテレセントリックな結像光学素子で行なわれる。
【0068】
本発明の光学機器のさらに好ましい変形において、前記結像レンズ配置11は、前記変換器5に連結されて結像ユニット12を形成する。
【0069】
本発明のこの好ましい態様において、テレセントリック結像光学素子は、標準的な対物レンズとは異なり、その中で全レンズが対物レンズを構成する所定の様式で配置および固定され、前記対物レンズ全体が変換器と物体の間に配置されていることに注目する。全く対照的に、本発明のこの好ましい態様において、結像レンズ配置11は変換器5に連結され、結像ユニット12を構成する。結像解像度および精度に関する要件を満たすために、結像レンズ配置および変換器の位置決めが特に重要である。本態様において、これらの要件は、最適化された位置を固定する前に、結像レンズ配置と変換器の間での位置を最適化することで満たされる。結像レンズ配置と変換器の間での前記連結は、目的とした使用の間、維持され、位置決めの再最適化が必要になる場合にのみ解除される。
【0070】
本発明の光学機器の態様において、前記変換器は半導体デバイスまたは好ましくは電荷結合デバイスを含む。
【0071】
本発明の内容において、変換器は、光をコンピューターで処理可能な電気信号に変換することのできるデバイスである。これを、検出すべき蛍光信号に対応するエネルギーよりも小さいバンドギャップを有する半導体デバイスによって行うことができる。デバイスの照射によって半導体の導電帯域で発生した電子が、計算可能なデータに翻訳されうる測定可能な信号を生み出す。これらの半導体デバイスの例としては、光ダイオードまたは電荷結合デバイス(CCD)がある。
【0072】
本発明の光学機器のさらなる好ましい変形は光学機器であり、その中で前記アセンブリの個々の部位がウェルであり、励起光は前記ウェルの側壁に平行で前記ウェルに充填される溶液が蛍光色素を含む。
【0073】
光学機器のこのさらなる好ましい変形の例としては、マイクロタイタープレートの個々のウェル中で行なうPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅の同時モニタリング用の装置がある。ウェル内の充填高に関係なく、ウェルの全内部を照射するために、励起光はウェルの側壁に平行である。励起用ならびに蛍光結像用のテレセントリック光学素子が用いられているので、プレート中央におけるウェルからの結果は、プレート境界部にあるウェルからの結果と同等になる。
【0074】
個々のウェル内で実施されるPCR増幅の場合、全蛍光実体は、二本鎖核酸に特異的に結合する蛍光色素として適用可能である。本発明の内容において、これらの蛍光色素は蛍光DNA結合実体と呼び、一方で蛍光DNA結合実体は、それらが二本鎖DNAに結合する場合、特有の蛍光を提供する分子または一対の分子である。リアルタイムPCRモニタリングの分野において、以下の検出様式が知られている。DNA結合色素様式(たとえばSybrGreenI)、TaqManプローブ、分子ビーコン、単一標識化プローブ(SLP)様式またはFRETハイブリダイゼーションプローブ。
【0075】
本発明の光学機器の好ましい態様としてはまた光学機器があり、その中で前記アセンブリの個々の部位が平面支持体上のスポットであり、前記スポットに蛍光色素が付加される。
【0076】
光学機器のこの好ましい態様の例としては、平面アレイの種々のスポットからの蛍光信号を同時に結像するデバイスがある。特定の態様において、かかるアレイはDNAアレイであり、側方限定領域が種々の配列を有するDNAプローブによって官能化される。この場合、本発明の光学機器は、たとえば相補的DNA鎖を蛍光色素で標識する場合、核酸を含む試料とのハイブリダイゼーション事象をモニターすることができる。試料中のDNA分子を標識するかわりに、ハイブリダイゼーション事象を、二本鎖核酸結合蛍光色素によっても可視化することができる。
【0077】
本発明はまた、
本発明の光学機器および、
それぞれがPCR反応を実施し得る反応混合物を含む1つ以上のウェルを有する支持体の加熱および冷却手段、
を含むリアルタイムPCR機器に関する。
【0078】
本発明の範囲において、加熱および冷却手段は、核酸の周期的PCR増幅を実施するために、複数の個々の部位からなるアセンブリの温度を周期的方法において制御および変化し得る任意の手段を含む。各PCRサイクルはいくつかの種々の工程、すなわち、温度を低下させるアニーリング工程、蛍光色素を用いた検出工程とともに行う比較的低温での酵素増幅工程および高温での融解工程を含む。
【0079】
本発明はさらに、複数のアッセイの蛍光信号を結像するための装置に関し、該装置は、
−複数の個々のアッセイのアセンブリを含む平面支持体2;
−少なくとも1つの励起周波数を含む光を発する少なくとも1つの光源4;
−前記複数のアッセイからの蛍光信号を受信するように配置され、一方で計算可能な一次データを作成する変換器5;
−前記複数の個々のアッセイのアセンブリのテレセントリック励起および前記複数の個々のアッセイのアセンブリのそれぞれ個々のアッセイで発生した前記蛍光信号のテレセントリック結像によって特徴づけられる、前記光源4から前記変換器5までのビーム路、
を含む。
【0080】
複数の個々のアッセイのアセンブリは、並行分析を実現するために空間的に分離された2つ以上のアッセイからなる物体を総称する。これらのアッセイは、たとえばマイクロタイタープレートのウェル中またはスライドガラスの官能化表面領域上で実施されうる。大半の場合において、複数の個々のアッセイからなるアセンブリは、均一に配置され、多重分析を実施するためにそれぞれのアッセイが異なる内容物を有する。DNAマイクロアレイの場合、アレイの各スポットはある配列を有するオリゴマーによって官能化され、一方でイムノアッセイの場合、アレイの各スポットは、例えば、種々の親和性を有するタンパク質によって官能化される。マイクロタイタープレートの場合、各ウェル中で例えば異なるPCRを行なう。
【0081】
本発明の複数のアッセイの蛍光信号を結像する装置の好ましい態様において、前記装置は、視野レンズをさらに含み、一方で前記ビーム路は前記視野レンズを2回通過する。
【0082】
本発明の複数のアッセイの蛍光信号を結像する装置の別の好ましい態様において、前記装置は結像レンズ配置11をさらに含み、一方で前記結像レンズ配置11は、前記変換器5に連結されて結像ユニット12を構成する。
【0083】
本発明の複数のアッセイの蛍光信号を結像する装置のさらに別の好ましい態様において、前記装置は、少なくとも1つの励起周波数に対して透過であり及び前記蛍光信号の周波数を反射するビームスプリッター7、または少なくとも1つの励起周波数を反射しおよび前記蛍光信号の周波数に対して透過であるビームスプリッター7をさらに含む。
【0084】
本発明の複数アッセイの蛍光信号を結像するための装置のさらに好ましい態様は、前記光源から前記複数の個々の部位からなるアセンブリに少なくとも1つの励起周波数を転送可能な励起フィルター装置をさらに含み、励起周波数を有する光を遮断しつつ、一方で複数の他の周波数をブロックしおよび/または前記複数の個々の部位のアセンブリから前記変換器に蛍光信号を転送可能な結像フィルター装置をさらに含む。
【0085】
本発明の別の側面は複数のPCR反応をリアルタイムで同時に実施およびモニターする装置に関し、該装置は、
それぞれがPCR反応を実施し得る反応混合物を含む複数の個々の部位を備えるマルチウェルプレート、
蛍光DNA結合実体および、
マルチウェルプレート全体をテレセントリック光で照射し、計算可能な一次データを作成するために対応する蛍光信号を受信するように配置された変換器によって、前記マルチウェルプレートの各ウェルからの蛍光信号を検出する本発明の光学機器を含むリアルタイムPCR機器
を含む。
【0086】
一般に、増幅DNAのリアルタイム検出のための蛍光DNA結合実体の種々の様式が存在し、以下のものが周知であり、当該分野において一般的に使用される。
【0087】
a)DNA結合色素様式
二本鎖増幅産物の量は通常、分析すべき試料中に元から存在する核酸の量を超えるので、二本鎖DNA特異的色素を使用してもよく、該色素は適切な波長で励起されると、それらが二本鎖DNAに結合している場合に限り、蛍光の増大を示す。好ましくは、例えば、PCR反応の効率に影響を及ぼさないSybrGreenIのような色素だけが使用されうる。
【0088】
当該分野において知られる他のすべての様式は、その標的核酸に結合した際に蛍光を発するだけの蛍光標識されたハイブリダイゼーションプローブの設計を必要とする。
【0089】
b)TaqManプローブ
一本鎖ハイブリダイゼーションプローブを2つの成分で標識する。第1の成分が適切な波長の光によって励起される時、吸収エネルギーは、蛍光共鳴エネルギー移動の法則にしたがって、第2の成分(いわゆるクエンチャー)に移される。PCR反応のアニーリング工程の間に、ハイブリダイゼーションプローブが標的DNAに結合し、連続伸長段階の間にTaqポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって分解される。結果として、励起蛍光成分およびクエンチャーが空間的に互いに分離され、第1の成分の蛍光発光を測定できる(US 5,538,848)。
【0090】
c)分子ビーコン
これらのハイブリダイゼーションプローブはまた、第1の成分およびクエンチャーによって標識され、標識は好ましくはプローブの両端に置かれる。プローブの二次構造の結果として、両成分が溶液中で空間的に接近した状態になる。標的核酸へのハイブリダイゼーションの後、適切な波長の光で励起した後に第1の成分の蛍光発光が測定可能となるように、両成分を互いに分離する(US 5,118,801)。
【0091】
d)単一標識プローブ(SLP)様式
本検出様式は、5'または3'末端のいずれかにおいて単一の蛍光色素によって標識された単一のオリゴヌクレオチドを含む(WO 02/14555)。G-クエンチング(quenching)プローブおよびニトロインドール-デクエンチング(dequenching)プローブの2つの異なる設計をオリゴ標識のために用いることができる。
【0092】
G-クエンチング(quenching)の態様においては、蛍光色素をオリゴ5'-または3'-末端のCに付加する。2つのGがCの反対側の標的鎖上および相補的オリゴヌクレオチドプローブの脇の位置1に位置する場合において、プローブが標的にハイブリダイズする時、蛍光が著しく減少する。
【0093】
ニトロインドールデクエンチング(dequenching)の態様においては、蛍光色素を、オリゴヌクレオチドの5'-または3'-末端においてニトロインドールに付加する。ニトロインドールは、遊離のプローブの蛍光シグナリングをいくらか低減させる。デクエンチング(dequenching)効果のためにプローブが標的DNAにハイブリダイズされる時、蛍光は増大する。
【0094】
e)FRETハイブリダイゼーションプローブ
FRETハイブリダイゼーションプローブ試験様式は、あらゆる種類の均一ハイブリダイゼーションアッセイに対して特に有用である(Matthews, J.A., および Kricka, L.J., Anal. Biochem. 169 (1988) 1-25)。これは、同時に用いられおよび増幅された標的核酸の同一鎖の隣接部位に相補的である、2つの一本鎖ハイブリダイゼーションプローブ対によって特徴付けされる。両プローブも種々の蛍光成分によって標識される。適切な波長の光で励起される時、両ハイブリダイゼーションプローブが検出すべき標的分子の隣接部位に結合する時に第2の成分の蛍光発光を測定できるように、蛍光共鳴エネルギー移動の原理にしたがって、第1の成分が第2の成分に吸収エネルギーを移す。
【0095】
標的配列にアニールされる時、ハイブリダイゼーションプローブは、頭から尾の配置において、互いに非常に近づくにちがいない。通常、第1のプローブの標識3'末端と第2のプローブの標識5'末端の間隔はできるだけ小さく、すなわち1〜5塩基である。これにより、FRET供与体化合物とFRET受容体化合物が非常に接近することができ、その距離は典型的には10〜100オングストロームである。
【0096】
FRET受容体化合物の蛍光の増大をモニタリングする代わりに、FRET供与体化合物の蛍光の減少を、ハイブリダイゼーション事象の定量測定としてモニターすることもできる。
【0097】
特に、FRETハイブリダイゼーションプローブ様式は、増幅された標的DNAを検出するために、リアルタイムPCRにおいて使用されうる。リアルタイムPCRの分野で公知のすべての検出様式のなかで、FRET-ハイブリダイゼーションプローブ様式は、非常に感度よく、正確かつ信頼性があることが証明されている(WO 97/46707; WO 97/46712; WO 97/46714)。けれども、適切なFRETハイブリダイゼーションプローブ配列の設計は、検出すべき標的核酸配列の特有の特性によってしばしば制限されうる。
【0098】
2つのFRETハイブリダイゼーションプローブを使用する代わりとして、蛍光標識されたプライマーおよび1つだけ標識されたオリゴヌクレオチドプローブを用いることもできる(Bernard, P. S.ら, Anal. Biochem. 255 (1998) 101-107)。この点に関して、プライマーをFRET供与体またはFRET受容体化合物で標識するかは任意で選択されうる。
【0099】
本発明はさらに、複数の標的DNA配列の増幅、検出、および/または定量する方法に関し、該方法は、
−PCR反応を実施し得る組成物または反応混合物を提供すること、
−前記反応混合物を、前記複数の標的DNA配列の増幅が起こり得るような熱サイクリングプロトコールに供すること、
−蛍光DNA結合実体および本発明のリアルタイムPCR機器を用いた複数の増幅サイクルの後、各DNA配列の存在および量を少なくとも1回モニタリングすること、を含む。
【0100】
以下の実施例、参考文献および図面は、本発明の理解を助けるために提供され、本発明の真の範囲は添付の請求項に列挙されている。本発明の精神を逸脱しない限り列挙した手順に変更がなされ得ることが理解される。
【実施例】
【0101】
詳細な説明において説明し、図2(ただ1つの光源を有する)に図示した光学機器を以下のように配置した。テレセントリック励起光学素子は、450〜650 nmの周波数に対応するように調整され、テレセントリック結像光学素子は500〜740 nmの周波数に対応するように調整された。光源はキセノン灯であり、変換器としては1024 x 1344画素からなる冷却2/3"CCDチップを用いた。光学機器は、96ウェル(距離9 mm;直径5 mm)および384(距離4.5 mm;直径3 mm)のマイクロタイタープレート(MTP)を使用できるように、83 mm x 117 mmの面積を結像するように設計された。ある蛍光色素に対する励起および結像のための適切な波長は、フィルターホイールによって調整された。
【0102】
テレセントリック励起光学素子は、光源側に0.35、MTP側に0.014の開口数を有した。光源はCCDチップに対して垂直に配置され、励起光ビームは必要な励起周波数を反射しおよび光源からの光に含まれる他の周波数を透過するビームスプリッターによってMTPに向けられなければならなかった。ビームスプリッターからの励起光ビームはMTPに垂直であり、物体視野(88 mm x 122 mm)の全域で10%未満の強度変化を有した。結像光学素子は物体側で0.O14の開口も有し、800 mmの物体−画像間距離と共に-0.075の再現スケールを有した。この大きな距離を、2つのフォールディングミラーを用いて実現した。結像光学素子は、+/- 3 mmの視野深度を有した。使用されたビームスプリッターは励起によってMTPウェルで発生した蛍光信号に対して透過であった。
【0103】
文献一覧
Bernard, P. S.ら、 Anal. Biochem. 255 (1998) 101-107
DE 101 31 687
DE 101 55 142
DE 102 00 499
DE 197 48 211 A1
EP 1 275 954 A2
JP 2002014044
Matthews, J. A.およびKricka, L. J.、Anal. Biochem. 169 (1988) 1-25
US 2002/0005493 A1
US 2002/159057
US 2003/0011772 A1
US 5,118,801
US 5,538,848
US 6,246,525 B1
US 6,498,690 B1
WO 02/14555
WO 03/069391
WO 97/46707
WO 97/46712
WO 97/46714
WO 99/60381
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明による光学機器の一態様の概略図。
【図2】本発明による光学機器の別の態様の概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の個々の部位のアセンブリ3を有する平面支持体2を保持するための保持手段1;
少なくとも1つの励起周波数を含む光を放射する少なくとも1つの光源4;
前記複数の個々の部位のアセンブリ3からの蛍光信号を受信するように配置された変換器5、一方で前記変換器5は計算可能な一次データを作成する;
前記光源4からの励起光を前記複数の個々の部位のアセンブリ3に送り、前記複数の個々の部位のアセンブリ3からの蛍光信号を前記変換器5に送る視野レンズ6;
前記光源4からの励起光を前記視野レンズ6に送る励起レンズ配置10;
前記視野レンズ6からの蛍光信号を前記変換器5に送る結像レンズ配置11、を含み、一方で前記励起光および前記複数の個々の部位からの蛍光信号の結像が前記視野レンズ6の物体側においてテレセントリックである、複数の個々の部位からの蛍光信号を結像するための光学機器。
【請求項2】
少なくとも1つの励起周波数を透過させ、前記蛍光信号の周波数を反射するビームスプリッター7、または少なくとも1つの励起周波数を反射し、前記蛍光信号の周波数を透過させるビームスプリッターをさらに含む請求項1記載の光学機器。
【請求項3】
前記結像レンズ配置11が前記変換器5に結合されて、結像ユニット12を形成する請求項1〜2記載の光学機器。
【請求項4】
前記アセンブリの個々の部位がウェルであり、励起光が前記ウェルの側壁に平行であり、前記ウェルを満たす溶液が蛍光色素を含む請求項1〜3記載の光学機器。
【請求項5】
前記アセンブリの個々の部位が平面支持体上のスポットであり、蛍光色素が前記スポットに付着している請求項1〜3記載の光学機器。
【請求項6】
請求項1〜5記載の光学機器;
各々がPCR反応を行なうことができる反応混合物を含む1つ以上のウェルを有する支持体を加熱および冷却する手段
を含む、リアルタイムPCR機器。
【請求項7】
複数の個々のアッセイのアセンブリを含む平面支持体2;
少なくとも1つの励起周波数を含む光を放射する少なくとも1つの光源4;
前記複数のアッセイからの蛍光信号を受信するように配置された変換器5、一方で、変換器は計算可能な1次データを作成する;
前記複数の個々のアッセイのアセンブリのテレセントリック励起により、および前記複数の個々のアッセイのアセンブリの個々のアッセイ各々で生じる前記蛍光信号のテレセントリック結像により特徴付けられる前記光源4から前記変換器5までのビーム路、
を含む、複数のアッセイの蛍光信号を結像するための装置。
【請求項8】
結像レンズ配置11をさらに含み、一方で前記結像レンズ配置11が前記変換器5と結合されて、結像ユニット12を形成する請求項7記載の装置。
【請求項9】
視野レンズをさらに含み、一方で前記ビーム路が前記視野レンズを2回通過する請求項7〜8記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの励起周波数に対して透過であり、前記蛍光信号の周波数に対して反射するビームスプリッター7、または少なくとも1つの励起周波数に対して反射し、前記蛍光信号の周波数に対して透過であるビームスプリッター7をさらに含む請求項7〜9記載の装置。
【請求項11】
各々がPCR反応を行なうことができる反応混合物を含む、複数の個々の部位を有するマルチウェルプレート;
蛍光DNA結合実体;
マルチウェルプレート全体をテレセントリック光で照射し、計算可能な1次データを作成するために、対応する蛍光信号を受信するように配置された変換器により、前記マルチウェルプレートの各々のウェルからの蛍光信号を検出する請求項1〜5記載の光学機器を含む、請求項6記載のリアルタイムPCR機器
を含む、リアルタイムで同時に複数のPCR反応を行ない、モニターする装置。
【請求項12】
PCR反応を行なうことができる組成物または反応混合物を提供すること;
前記複数の標的DNA配列の増幅が起こり得るような熱サイクリングプロトコールに前記反応混合物を供すること;
蛍光DNA結合実体および請求項6記載のリアルタイムPCR機器を用いる複数の増幅サイクル後に、各DNA配列の存在および量を少なくとも1回モニターすること、
を含む、複数の標的DNA配列を増幅、検出および/または定量する方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−226998(P2006−226998A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−9256(P2006−9256)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】