説明

テレビジョン放送受信装置

【課題】単一の受信方向を有する単指向性アンテナ、及び複数の受信方向を有する多指向性アンテナが接続され、地上波を受信するTV放送受信装置において、チャンネルを選局する際、チャンネル毎に最適なアンテナを選択できるようにする。
【解決手段】TV放送受信装置1は、2種類のアンテナS,Yとチューナ11の間に配置されて単指向性アンテナYとチューナ11の接続及び多指向性アンテナSとチューナ11の接続を択一的に切り替えるRF切替器10と、それぞれのアンテナS,Yを介して受信したTV放送信号に基づいて、TV放送信号の受信状態を判断し、各チャンネル毎に最適なアンテナS,Yを決定する制御部17とを備える。制御部17は、各チャンネルを選局する際に使用するアンテナS,Yを特定してRF切替器10によりアンテナS,Yとチューナ11の接続を切り替えるので、チャンネル毎に最適なアンテナS,Yを選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上波を受信するテレビジョン放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地上波を受信するために、八木アンテナ等の指向性アンテナが使用されている。このような指向性アンテナは、強い指向性により弱い電波でも拾うことができる一方、特定方向からの電波しか拾うことができないという欠点がある。このような八木アンテナの特性は、電波塔が一箇所に集中している日本等においてはあまり問題にならないが、米国等においては、図10に示されるように都市部を囲むように電波塔A〜Eが分布している地域も多く、領域R2で示されるような指向性を有する八木アンテナYを利用した場合、電波塔A〜Dのように、距離が近くても受信できない局が多数存在するケースがあった。このため、このような問題を解決すべく、アンテナの指向性を変更できるように、受信装置からアンテナをコントロールする規格、EIA−909”Antenna Control Interface”が制定された。これは、テレビジョン(TV)放送受信装置に通称スマートアンテナSと呼ばれる指向性を変更できるアンテナを接続し、これをTV放送受信装置側からモジュラ端子を介して制御するための規格である。なお、本明細書においては、八木アンテナ等の指向性アンテナを単指向性アンテナと呼び、指向性を変更できるアンテナを多指向性アンテナと呼ぶことにより両者を区別する。
【0003】
このようなスマートアンテナSを使用することで、領域R1で示されるように、あらゆる方向からの電波を拾えるようになる。しかしながら、スマートアンテナSは、受信方向を切り替える(指向性を変更する)ための機構等を備えるため、通常、八木アンテナYと同サイズのスマートアンテナSを使用した場合、特定方向に対する性能が八木アンテナより低くなる場合があった。このため、使用するアンテナを八木アンテナYからスマートアンテナSに切り替えた場合、八木アンテナYを使用して受信できていた電波(例えば、図10において、領域R2内にあって且つ領域R1外に存在する電波塔Eから送信される電波)が受信できなくなることがあった。
【0004】
なお、使用するアンテナの種類に応じて、記憶している偏波角調整データをアンテナに供給し、固定式アンテナ及び回転式アンテナの両方のアンテナに対応するようにしたCSチューナ(例えば、特許文献1参照)や、受信したディジタルテレビジョン放送信号のエラーレートに基づいて、受信アンテナを最適な方向に調整できるようにしたTV放送受信装置(例えば、特許文献2参照)、複数のアンテナを簡単に切り替えることができるようにしたアンテナ切替回路等も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平6−132841号公報
【特許文献2】特開2001−320744号公報
【特許文献3】特開平11−196014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、接続された単指向性アンテナ(八木アンテナ)及び多指向性アンテナ(スマートアンテナ)のうちで、受信したTV放送信号の受信状態に基づいて、チャンネル毎に最適なアンテナを決定し、チャンネルを選局する際、チャンネル毎に最適なアンテナを選択することができるTV放送受信装置は知られていない。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、単指向性アンテナ及び多指向性アンテナが接続され、地上波を受信するTV放送受信装置において、チャンネルを選局する際、チャンネル毎に最適なアンテナを選択することができるTV放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、単一の受信方向を有する単指向性アンテナ、及び複数の受信方向を有する多指向性アンテナが接続され、前記2種類のアンテナのいずれかで受信したテレビジョン放送信号の中から、希望するチャンネルを選局するチューナと、前記チューナに対して選局するチャンネルを指示するためのチャンネル制御信号、及び/又は、前記多指向性アンテナに対してテレビジョン放送信号を受信する際の受信方向を指示するための受信方向制御信号を出力することによりテレビジョン放送信号の受信動作を制御する受信制御手段とを備えたテレビジョン放送受信装置において、前記多指向性アンテナを介してテレビジョン放送信号を受信する際に、前記チューナで選局したチャンネルについて、前記多指向性アンテナの複数ある受信方向のうちで最適な受信方向を検索する最適受信方向検索手段と、前記2種類のアンテナと前記チューナの間に配置され、単指向性アンテナとチューナの接続と、多指向性アンテナとチューナの接続を択一的に切り替えるアンテナ接続切替手段と、前記アンテナ接続切替手段により単指向性アンテナとチューナの接続を有効とし、該チューナで選局したチャンネルについて、受信したテレビジョン放送信号のBER(Bit Error Rate)に基づいて、テレビジョン放送信号の受信状態を判断する第1の受信状態判断手段と、前記アンテナ接続切替手段により多指向性アンテナとチューナの接続を有効とし、該チューナで選局したチャンネルについて、受信したテレビジョン放送信号のBERに基づいて、多指向性アンテナの最適受信方向におけるテレビジョン放送信号の受信状態を判断する第2の受信状態判断手段と、前記第1の受信状態判断手段及び第2の受信状態判断手段に基づいて、各チャンネル毎にBERが低くなるアンテナを決定し、各チャンネルのテレビジョン放送信号を受信する際に使用するアンテナを特定するために利用される使用アンテナ情報を決定する使用アンテナ情報決定手段と、前記使用アンテナ情報決定手段により決定された使用アンテナ情報、及び/又は、最適受信方向を記憶する使用アンテナ情報記憶手段と、を備え、前記受信制御手段は、前記使用アンテナ情報に基づいて各チャンネルのテレビジョン放送信号を受信する際に使用するアンテナを特定して前記アンテナ接続切替手段によりアンテナとチューナの接続を切り替え、前記チャンネル制御信号、及び/又は、受信方向制御信号を出力することによりテレビジョン放送信号の受信動作を制御する。
【0008】
請求項2の発明は、単一の受信方向を有する単指向性アンテナ、及び複数の受信方向を有する多指向性アンテナが接続され、前記2種類のアンテナのいずれかで受信したテレビジョン放送信号の中から、希望するチャンネルを選局するチューナと、前記チューナに対して選局するチャンネルを指示するためのチャンネル制御信号、及び/又は、前記多指向性アンテナに対してテレビジョン放送信号を受信する際の受信方向を指示するための受信方向制御信号を出力することによりテレビジョン放送信号の受信動作を制御する受信制御手段とを備えたテレビジョン放送受信装置において、前記2種類のアンテナと前記チューナの間に配置され、単指向性アンテナとチューナの接続と、多指向性アンテナとチューナの接続を択一的に切り替えるアンテナ接続切替手段と、前記アンテナ接続切替手段により単指向性アンテナとチューナの接続を有効とし、該チューナで選局したチャンネルについて、テレビジョン放送信号の受信状態を判断する第1の受信状態判断手段と、前記アンテナ接続切替手段により多指向性アンテナとチューナの接続を有効とし、該チューナで選局したチャンネルについて、テレビジョン放送信号の受信状態を判断する第2の受信状態判断手段と、前記第1の受信状態判断手段及び第2の受信状態判断手段に基づいて、各チャンネル毎に最適なアンテナを決定し、各チャンネルのテレビジョン放送信号を受信する際に使用するアンテナを特定するために利用される使用アンテナ情報を決定する使用アンテナ情報決定手段と、を備え、前記受信制御手段は、前記使用アンテナ情報に基づいて各チャンネルのテレビジョン放送信号を受信する際に使用するアンテナを特定して前記アンテナ接続切替手段によりアンテナとチューナの接続を切り替え、前記チャンネル制御信号、及び/又は、受信方向制御信号を出力することによりテレビジョン放送信号の受信動作を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載のテレビジョン放送受信装置において、前記使用アンテナ情報決定手段により決定された使用アンテナ情報を記憶する使用アンテナ情報記憶手段を、更に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1によれば、単指向性アンテナを用いた場合と多指向性アンテナを用いた場合のテレビジョン放送信号の受信状態に基づいて、各チャンネル毎に最適なアンテナを決定して、各チャンネルのテレビジョン放送信号を受信する際に使用するアンテナを特定するための使用アンテナ情報を決定し、この使用アンテナ情報に基づいて各チャンネルを選局する際に使用するアンテナを特定してアンテナ接続切替手段によりアンテナとチューナの接続を切り替えるので、チャンネルを選局する際、チャンネル毎に最適なアンテナを選択することができる。
【0011】
また、最適受信方向検索手段により、チャンネル毎に、多指向性アンテナの複数ある受信方向のうちで最適な受信方向を検索することができるので、多指向性アンテナを用いてテレビジョン放送信号を受信する場合において、最適な状態でテレビジョン放送信号を受信することができる。
【0012】
また、使用アンテナ情報、及び/又は、最適受信方向を記憶する使用アンテナ情報記憶手段を備えるので、既に、使用アンテナ情報、及び/又は、最適受信方向が記憶されているチャンネルについては、再度、これらを決定する必要がなく、すぐに選局されたチャンネルについて、最適なアンテナを用いて、多指向性アンテナを用いる場合は最適な受信方向で、テレビジョン放送信号を受信することができる。
【0013】
請求項2によれば、単指向性アンテナを用いた場合と多指向性アンテナを用いた場合のテレビジョン放送信号の受信状態に基づいて、各チャンネル毎に最適なアンテナを決定して、各チャンネルのテレビジョン放送信号を受信する際に使用するアンテナを特定するための使用アンテナ情報を決定し、この使用アンテナ情報に基づいて各チャンネルを選局する際に使用するアンテナを特定してアンテナ接続切替手段によりアンテナとチューナの接続を切り替えるので、チャンネルを選局する際、チャンネル毎に最適なアンテナを選択することができる。
【0014】
請求項3によれば、請求項2の効果に加えて、使用アンテナ情報を記憶する使用アンテナ情報記憶手段を備えるので、既に、使用アンテナ情報が記憶されているチャンネルについては、再度、使用アンテナ情報を決定する必要がなく、すぐに選局されたチャンネルについて、最適なアンテナを用いてテレビジョン放送信号を受信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係るテレビジョン(TV)放送受信装置について説明する。図1に示されるように、TV放送受信装置1は、八木アンテナ(単指向性アンテナ)Y、及びスマートアンテナ(多指向性アンテナ)Sに接続され、放送局から所定周波数帯域で配信されてくるディジタルTV放送信号(以下、単にTV放送信号という)を受信して、各チャンネルのTV放送信号に含まれるTV番組をモニタ装置3に出力する装置である。なお、本実施形態の説明では、TV番組の放送に使用されている搬送波の周波数帯域である物理チャンネルのことを、単にチャンネルという。
【0016】
TV放送受信装置1は、RF切替器10と、チューナ11と、チューナ11で受信したTV放送信号に対して所定の信号処理を行い、復号化するフロントエンド12と、MPEG圧縮されていたTV放送信号をデコードするMPEGデコーダ13と、デコードされたTV放送信号に所定の表示画像を重畳させるオンスクリーンディスプレイ(OSD)部14と、各種情報を記憶するメモリ15と、アンテナコントローラ22に接続されるモジュラ端子16と、TV放送受信装置1全体の制御を司る制御部17とを備えている。また、スマートアンテナSは、アンテナ部21とアンテナコントローラ22とを備えている。
【0017】
RF切替器(アンテナ接続切替手段)10は、2種類のアンテナS,Yとチューナ11の間に配置され、八木アンテナYとチューナ11の接続と、スマートアンテナSとチューナ11の接続を択一的に切り替える。チューナ11は、2種類のアンテナS,Yのいずれかで受信したTV放送信号の中から、希望するチャンネルを選局する。
【0018】
フロントエンド12は、チューナ11で選局されたチャンネルのTV放送信号の誤り訂正処理を行い、多重化された信号から必要なTS(Transport Stream)パケットを分離し、TV放送受信装置1内の各ブロックへ、それぞれ必要なTSパケットを供給する。受信したTV放送信号のBER(Bit Error Rate)は、このフロントエンド12において検出される。MPEGデコーダ13は、フロントエンド12により分離された映像ストリームのデコード処理を行い、デコードされた映像信号をOSD部14を介してモニタ装置3に出力する。
【0019】
メモリ15は、後述するオートスキャン処理等より作成される使用アンテナ情報テーブルを記憶する。図2に示されるように、使用アンテナ情報テーブル50は、放送局から配信される各チャンネルのチャンネル番号51、これら各チャンネルを受信する際に八木アンテナYを使用するか否かを示す八木アンテナ使用情報(使用アンテナ情報)52、及びこれら各チャンネルを受信する際にスマートアンテナSを使用する場合の最適受信方向53等の情報を有している。なお、図2においては、各チャンネルを受信する際に八木アンテナYを使用する場合を○印で示し、八木アンテナYを使用しない場合(この場合、必然的にスマートアンテナSを使用することとなる)を無印で示している。
【0020】
制御部(受信制御手段)17は、上記使用アンテナ情報テーブル50に基づいて各チャンネルのTV放送信号を受信する際に使用するアンテナS,Yを特定してRF切替器10によりアンテナS,Yとチューナ11の接続を切り替える。そして、チューナ11に対して選局するチャンネルを指示するためのチャンネル制御信号を出力し、スマートアンテナSのアンテナコントローラ22に対してTV放送信号を受信する際の受信方向を指示するための受信方向制御信号を出力することによりTV放送信号の受信動作を制御する。その他、制御部17は、後述する最適受信方向検索処理を実行することにより最適受信方向検索手段として機能し、オートスキャン処理を実行することにより、第1の受信状態判断手段、第2の受信状態判断手段、及び使用アンテナ情報決定手段として機能する。
【0021】
スマートアンテナSは、有効な受信方向を機械的又は電子的に切り替えることにより複数の受信方向D0〜D15(図3参照)からTV放送信号を受信するアンテナ部21と、アンテナ部21の動作を制御するアンテナコントローラ22とを備えている。アンテナコントローラ22は、TV放送受信装置1からの受信方向制御信号に応じて、アンテナ部21の複数ある受信方向D0〜D15のうち、指示された受信方向のみを有効にする。
【0022】
次に、TV放送受信装置1によるオートスキャン処理について図4及び図5のフローチャートを参照して説明する。オートスキャン処理が開始されると、制御部17は、チャンネルChの値をセットし(#1)、2チャンネルから69チャンネルについて、ステップ#3からステップ#19までの処理を繰り返す(#2)。すなわち、まず、ステップ#3において、チューナ11にチャンネルChの周波数を設定すると共に、ステップ#4において、RF切替器10の接続を八木アンテナ有効とする。そして、チューナ11で選局されたチャンネルのTV放送信号について、MEPGデコーダ13においてデコード処理を実行し(#5)、デコードが成功したか否か判断する(#6)。デコードが成功している場合には(#6でYES)、BERを記憶し(#7)、RF切替器10の接続をスマートアンテナ有効とする(#8)。一方、デコードが成功しなかった場合には(#6でNO)、BERを記憶せずRF切替器10の接続をスマートアンテナ有効とする(#8)。そして、ステップ#9において、図6に示される最適受信方向検索処理を実行する。
【0023】
最適受信方向検索処理が開始されると、制御部17は、まず、受信方向Dnの値をゼロにセットする(#41)。そして、受信方向Dnの値が16より大きいか否か判断し(#42)、全ての受信方向Dnについてステップ#43からステップ#45までの処理を繰り返す。すなわち、まず、ステップ#43において、アンテナコントローラ22に受信方向制御信号を出力して、スマートアンテナSの有効な受信方向を受信方向Dnに設定する。そして、この受信方向DnにおけるBERを測定、記憶し(#44)、受信方向Dnの値をインクリメントする(#45)。そして、全ての受信方向DnについてBERの測定が終了すると(#42でYES)、全受信方向のBERを比較し(#46)、最もBERの値が小さくなる受信方向を最適受信方向53として決定する(#47)。制御部17は、決定された最適受信方向53を指示する受信方向制御信号をアンテナコントローラ22に出力して、スマートアンテナSの有効な受信方向を最適受信方向53に設定する(#48)。
【0024】
次に、図4におけるステップ#10以降の処理を説明する。最適受信方向検索処理により、スマートアンテナSの受信方向として最適受信方向53が設定されると(#9)、MEPGデコーダ13においてデコード処理を実行し(#10)、デコードが成功したか否か判断する(#11)。そして、デコードが成功している場合には(#11でYES)、BERと共に最適受信方向53を記憶し(#12)、デコードが成功しなかった場合には(#11でNO)、BER等を記憶せず、図5に示されるステップ#13に移行する。
【0025】
ステップ#13においては、八木アンテナYでデコードが成功したか否か(即ち、ステップ#7においてBERが記憶されたか否か)が判断され、八木アンテナYでデコードが成功していない場合には(#13でNO)、更にスマートアンテナSでデコードが成功したか否か(即ち、ステップ#12においてBER等が記憶されたか否か)が判断される(#14)。そして、八木アンテナY及びスマートアンテナS共にデコードが成功していなければ(ステップ#13でNO、ステップ#14でNO)、チャンネルChの値をインクリメントして(#19)、ステップ#2からの処理を繰り返す。ステップ#14において、スマートアンテナSでデコードが成功している場合には(#14でYES)、チャンネル番号51(Chの値)と対応させて最適受信方向53を記憶し(#15)、チャンネルChの値をインクリメントして(#19)、ステップ#2からの処理を繰り返す。
【0026】
一方、ステップ#13において、八木アンテナYでデコードが成功したと判断される場合には(#13でYES)、更にスマートアンテナSでデコードが成功したか否かが判断される(#16)。そして、スマートアンテナSでデコードが成功していなければ(ステップ#16でNO)、チャンネル番号51と対応させて八木アンテナ使用情報52を記憶し(#18)、チャンネルChの値をインクリメントして(#19)、ステップ#2からの処理を繰り返す。ステップ#16において、スマートアンテナSでデコードが成功していれば(#16でYES)、次に、ステップ#7と、ステップ#12で記憶されたBERを比較し、スマートアンテナSを用いた際のBERの方が小さいか否か判断する(#17)。そして、スマートアンテナSのBERが八木アンテナYのBERより小さければ、チャンネル番号51と対応させて最適受信方向53を記憶し(#15)、チャンネルChの値をインクリメントして、ステップ#2からの処理を繰り返す(#19)。一方、スマートアンテナSのBERが八木アンテナYのBER以上であれば、チャンネル番号51と対応させて八木アンテナ使用情報52を記憶し(#18)、チャンネルChの値をインクリメントして(#19)、ステップ#2からの処理を繰り返す。そして、全てのチャンネルについて、ステップ#3からステップ#19までの処理が終了すると(#2でYES)、オートスキャン処理を終了し、図2に示されるような使用アンテナ情報テーブル50が作成される。このように、本実施形態においては、受信したTV放送信号のBERに基づいて、TV放送信号の受信状態を判断する。
【0027】
次に、選局処理について図7を参照して説明する。制御部17は、例えば、ユーザによって視聴するチャンネルが選択されると、チャンネル制御信号を出力して選択されたチャンネルの周波数をチューナ11に設定する(#61)。そして、選択されたチャンネルが使用アンテナ情報テーブル50に登録されているか否か判断し、登録されていなければ(#62でNO)、ノーシグナル処理に移行する。一方、選択されたチャンネルが使用アンテナ情報テーブル50に登録されていれば(#62でYES)、使用アンテナ情報テーブル50に八木アンテナ使用情報52が登録されているか否かを判断して、このチャンネルのTV放送信号を受信する際に使用するアンテナがスマートアンテナSか否か判断する(#63)。そして、使用アンテナ情報テーブル50に八木アンテナ使用情報52が登録されていなければ(#63でYES)、RF切替器10の接続をスマートアンテナ有効とすると共に(#64)、スマートアンテナSに対して最適受信方向53を設定し(#65)、受信したTV放送信号に対してデコード処理を行う(#66)。一方、使用アンテナ情報テーブル50に八木アンテナ使用情報52が登録されている場合には(#63でNO)、RF切替器10の接続を八木アンテナ有効とし(#68)、受信したTV放送信号に対してデコード処理を行う(#66)。そして、TV放送信号のデコードが成功すれば(#67でYES)、受像処理に移行し、デコードが失敗すれば(#67でNO)、ノーシグナル処理に移行する。
【0028】
図8に示されるように、受像処理では、受信したTV放送信号に対して、デコード処理を繰り返し(#81,#82でYES)、デコードされた映像信号をモニタ装置3に出力する。一方、デコード処理の際にデコードが失敗した場合には(#82でNO)、ノーシグナル処理に移行する。
【0029】
次に、ノーシグナル処理について、図9を参照して説明する。制御部17は、ノーシグナル処理が開始されると、まず、RF切替器10の接続をスマートアンテナ有効に設定する(#101)。そして、上述した最適受信方向検索処理を実行してスマートアンテナSの受信方向を最適受信方向53に設定し(#102)、デコード処理を実行する(#103)。そして、デコードが成功した場合には(#104でYES)、チャンネル番号51に対応させて最適受信方向53を記憶し(#105)、上述した受像処理に移行する。
【0030】
一方、デコードが失敗した場合には(#104でNO)、RF切替器10の接続を八木アンテナ有効とし(#106)、デコード処理を実行する(#107)。そして、デコードが成功した場合には(#108でYES)、チャンネル番号51に対応させて八木アンテナ使用情報52を記憶し(#109)、上述した受像処理に移行する。スマートアンテナS及び八木アンテナYのいずれも用いてもデコードが失敗した場合には(#104でNO,#108でNO)、ステップ#101からの処理を繰り返し、ノーシグナル処理を続行する。
【0031】
以上のように、本実施形態のTV放送受信装置1によれば、八木アンテナYを用いた場合とスマートアンテナSを用いた場合のTV放送信号の受信状態に基づいて(BERに基づいて)、各チャンネル毎に最適なアンテナS,Yを決定して、各チャンネルのTV放送信号を受信する際に使用するアンテナS,Yを特定するための八木アンテナ使用情報52を決定し、この八木アンテナ使用情報52に基づいて各チャンネルを選局する際に使用するアンテナS,Yを特定してRF切替器10によりアンテナS,Yとチューナ11の接続を切り替えるので、チャンネルを選局する際、チャンネル毎に最適なアンテナS,Yを選択することができる。
【0032】
また、最適受信方向検索処理により、チャンネル毎に、スマートアンテナSの複数ある受信方向のうちで最適な受信方向を検索することができるので、スマートアンテナSを用いてTV放送信号を受信する場合において、最適な状態でTV放送信号を受信することができる。
【0033】
また、八木アンテナ使用情報52、及び/又は、最適受信方向53を記憶するメモリ15を備えるので、既に、八木アンテナ使用情報52、及び/又は、最適受信方向53が記憶されているチャンネルについては、再度、これらを決定する必要がなく、すぐに選局されたチャンネルについて、最適なアンテナS,Yを用いて、スマートアンテナSを用いる場合は最適な受信方向で、TV放送信号を受信することができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、TV放送信号の受信状態を判断する方法はBERに基づく方法でなくともよく、TV放送信号の受信強度に基づいてTV放送信号の受信状態を判断するようにしてもよい。この場合、TV放送信号はディジタルTV放送信号でなくてもよく、アナログTV放送信号であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るTV放送受信装置の構成を示すブロック図。
【図2】同受信装置のメモリに記憶される使用アンテナ情報テーブルの説明図。
【図3】同受信装置に接続されるスマートアンテナの受信方向の説明図。
【図4】同受信装置によるオートスキャン処理を示すフローチャート。
【図5】同受信装置によるオートスキャン処理を示すフローチャート。
【図6】同受信装置による最適受信方向検索処理を示すフローチャート。
【図7】同受信装置による選局処理を示すフローチャート。
【図8】同受信装置による受像処理を示すフローチャート。
【図9】同受信装置によるノーシグナル処理を示すフローチャート。
【図10】八木アンテナ及びスマートアンテナの指向性の説明図。
【符号の説明】
【0036】
1 テレビジョン放送受信装置
3 モニタ装置
10 RF切替器
11 チューナ
12 フロントエンド
13 MPEGデコーダ
14 オンスクリーンディスプレイ部
15 メモリ(使用アンテナ情報記憶手段)
16 モジュラ端子
17 制御部(最適受信方向検索手段、第1の受信状態判断手段、第2の受信状態判断手段、使用アンテナ情報決定手段、受信制御手段)
21 アンテナ部
22 アンテナコントローラ
S スマートアンテナ(多指向性アンテナ)
Y 八木アンテナ(単指向性アンテナ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の受信方向を有する単指向性アンテナ、及び複数の受信方向を有する多指向性アンテナが接続され、前記2種類のアンテナのいずれかで受信したテレビジョン放送信号の中から、希望するチャンネルを選局するチューナと、前記チューナに対して選局するチャンネルを指示するためのチャンネル制御信号、及び/又は、前記多指向性アンテナに対してテレビジョン放送信号を受信する際の受信方向を指示するための受信方向制御信号を出力することによりテレビジョン放送信号の受信動作を制御する受信制御手段とを備えたテレビジョン放送受信装置において、
前記多指向性アンテナを介してテレビジョン放送信号を受信する際に、前記チューナで選局したチャンネルについて、前記多指向性アンテナの複数ある受信方向のうちで最適な受信方向を検索する最適受信方向検索手段と、
前記2種類のアンテナと前記チューナの間に配置され、単指向性アンテナとチューナの接続と、多指向性アンテナとチューナの接続を択一的に切り替えるアンテナ接続切替手段と、
前記アンテナ接続切替手段により単指向性アンテナとチューナの接続を有効とし、該チューナで選局したチャンネルについて、受信したテレビジョン放送信号のBER(Bit Error Rate)に基づいて、テレビジョン放送信号の受信状態を判断する第1の受信状態判断手段と、
前記アンテナ接続切替手段により多指向性アンテナとチューナの接続を有効とし、該チューナで選局したチャンネルについて、受信したテレビジョン放送信号のBERに基づいて、多指向性アンテナの最適受信方向におけるテレビジョン放送信号の受信状態を判断する第2の受信状態判断手段と、
前記第1の受信状態判断手段及び第2の受信状態判断手段に基づいて、各チャンネル毎にBERが低くなるアンテナを決定し、各チャンネルのテレビジョン放送信号を受信する際に使用するアンテナを特定するために利用される使用アンテナ情報を決定する使用アンテナ情報決定手段と、
前記使用アンテナ情報決定手段により決定された使用アンテナ情報、及び/又は、最適受信方向を記憶する使用アンテナ情報記憶手段と、を備え、
前記受信制御手段は、前記使用アンテナ情報に基づいて各チャンネルのテレビジョン放送信号を受信する際に使用するアンテナを特定して前記アンテナ接続切替手段によりアンテナとチューナの接続を切り替え、前記チャンネル制御信号、及び/又は、受信方向制御信号を出力することによりテレビジョン放送信号の受信動作を制御することを特徴とするテレビジョン放送受信装置。
【請求項2】
単一の受信方向を有する単指向性アンテナ、及び複数の受信方向を有する多指向性アンテナが接続され、前記2種類のアンテナのいずれかで受信したテレビジョン放送信号の中から、希望するチャンネルを選局するチューナと、前記チューナに対して選局するチャンネルを指示するためのチャンネル制御信号、及び/又は、前記多指向性アンテナに対してテレビジョン放送信号を受信する際の受信方向を指示するための受信方向制御信号を出力することによりテレビジョン放送信号の受信動作を制御する受信制御手段とを備えたテレビジョン放送受信装置において、
前記2種類のアンテナと前記チューナの間に配置され、単指向性アンテナとチューナの接続と、多指向性アンテナとチューナの接続を択一的に切り替えるアンテナ接続切替手段と、
前記アンテナ接続切替手段により単指向性アンテナとチューナの接続を有効とし、該チューナで選局したチャンネルについて、テレビジョン放送信号の受信状態を判断する第1の受信状態判断手段と、
前記アンテナ接続切替手段により多指向性アンテナとチューナの接続を有効とし、該チューナで選局したチャンネルについて、テレビジョン放送信号の受信状態を判断する第2の受信状態判断手段と、
前記第1の受信状態判断手段及び第2の受信状態判断手段に基づいて、各チャンネル毎に最適なアンテナを決定し、各チャンネルのテレビジョン放送信号を受信する際に使用するアンテナを特定するために利用される使用アンテナ情報を決定する使用アンテナ情報決定手段と、を備え、
前記受信制御手段は、前記使用アンテナ情報に基づいて各チャンネルのテレビジョン放送信号を受信する際に使用するアンテナを特定して前記アンテナ接続切替手段によりアンテナとチューナの接続を切り替え、前記チャンネル制御信号、及び/又は、受信方向制御信号を出力することによりテレビジョン放送信号の受信動作を制御することを特徴とするテレビジョン放送受信装置。
【請求項3】
前記使用アンテナ情報決定手段により決定された使用アンテナ情報を記憶する使用アンテナ情報記憶手段を、更に備えたことを特徴とする請求項2に記載のテレビジョン放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−157340(P2006−157340A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343439(P2004−343439)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】