説明

テレビドアホン装置

【課題】 等倍画像を伝送する際の空き領域を使用して縮小画像を伝送する。
【解決手段】 玄関子機1にカメラ11が出力する画像を縮小する画像縮小部12と、画像データを圧縮する画像圧縮部13と、圧縮率を変更する圧縮率判定部14と、他の玄関子機1から伝送されたデータを中継する第1伝送部18と、画像圧縮部13から出力される画像データ及び第1伝送部18が受信した中継データを居室親機2へ伝送する第2伝送部19とを設け、居室親機2に複数の画像データを受信する伝送部21と、受信した複数の画像をモニタ25に表示するための画像合成部24と、撮像画像を等倍画像データで出力する玄関子機1と縮小画像データで出力する玄関子機1とを指定する親機CPU29とを設けた。第2伝送部19に等倍画像データをフレーム単位で伝送しながらフレームの空き領域に縮小画像データを挿入する画像データ合成回路19aを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラを備えたテレビドアホン装置に関し、特に居住者を呼び出すための玄関子機を複数備え、来訪者映像や音声、制御信号をデジタル化して伝送するテレビドアホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジタル伝送路を用いて映像信号、制御信号、更には音声信号をデジタル化して伝送するテレビドアホン装置がある。このようなテレビドアホン装置は、玄関子機に設けた1台のカメラの撮像画像を伝送して居室親機のモニタに表示することを前提にしており、同時に複数のカメラの撮像画像を伝送できるようにデータ伝送速度が設定されてはいない。そのため、複数のカメラが撮像した画像を居室親機に同時に伝送する場合、伝送路を時間分割して1画面あたりのデータ量を削って他の画像データを送っていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−159229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、複数の画像データを同時に伝送する場合、1画像あたりのデータ量を削って他の画像データを送ることになる為、連続する画像を伝送して映像としてモニタに表示させる場合は荒い映像となった。このような画像の劣化を最小限に留める伝送形態を考えると、画像に優先順位を付けて、1画像は極力劣化させずに伝送し、即ちデータ量を極力削減せずに伝送し、他の画像をその分大きく削減して小画像データとして伝送する形態が考えられる。
しかしながら、伝送路を時分割する上記従来の方法では、等倍表示用の画像を伝送する伝送路の伝送可能データサイズを縮小画面用の画像データを伝送する分だけどうしても削る必要があり、やはり画像の圧縮率を上げて画像データサイズを小さく抑えなければならなかった。そのため、等倍表示画像の画質もある程度劣化する状況は回避できなかった。
【0005】
一方で、JPEG等によって画像圧縮されたデータは、1画像のデータサイズが元の映像の内容によって大幅に変動する特徴をもっている。そのため、圧縮された画像データサイズは伝送路に対してある程度の余裕をもって伝送され、通常は平均的な画像で最大値の7〜8割程度のデータ量に抑え、複雑な映像の場合に初めて最大値近くになるように圧縮率が調整される。従って、ほとんどの場合では伝送路は2〜3割空いている状態で使っている。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、等倍画像を伝送する際の空き領域を使用して縮小画像を効果的に伝送することで、等倍画像を劣化させることなく縮小画像を居室親機にて良好に表示できるテレビドアホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者を撮像する為のカメラ及び居住者を呼び出して通話する機能を備えた複数の玄関子機と、カメラの撮像映像を表示する為のモニタ及び玄関子機からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機とを有し、複数の玄関子機と居室親機とはデジタル伝送路のカスケード接続により接続されたテレビドアホン装置において、玄関子機は、カメラが出力する画像データの画像サイズを縮小する画像縮小部と、カメラまたは画像縮小部が出力する画像データを圧縮する画像圧縮部と、画像圧縮部の圧縮率を変更する圧縮率判定部と、他の玄関子機から伝送されたデータを中継する第1伝送部と、画像圧縮部から出力される画像データ及び第1伝送部が受信した中継データの双方を居室親機へ伝送する第2伝送部とを有する一方、居室親機は、伝送されてきた複数の画像データを受信する伝送部と、受信した複数の画像を同時にモニタに表示するために画像合成する画像合成部と、カメラ撮像画像を等倍画像データで出力する玄関子機と縮小画像データで出力する玄関子機とを指定する出力画像制御部とを有し、第2伝送部は、等倍画像データをフレーム単位で伝送しながら、フレームの空き領域に縮小画像データを挿入して出力する画像データ合成回路を有することを特徴とする。
この構成によれば、機器間のデジタル伝送路のデータ伝送容量が1台のカメラの画像データを縮小せず等倍画像で伝送可能な程度であっても、等倍画像の圧縮率を変更することなく縮小画像も同時に伝送することが可能となる。よって、等倍画像の画質を維持しながらピクチャ・イン・ピクチャ等で圧縮画像も表示させることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、居室親機は、受信した等倍画像データのデータサイズ及び縮小画像データサイズを読み取り、縮小画像を出力する玄関子機の圧縮率判定部に対してフレームの空き領域に応じたデータサイズの縮小画像を生成するよう圧縮率制御信号を送信する圧縮率操作手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、等倍画像データサイズが変動しても縮小画像の表示を一定のフレームレートに制御できるため、モニタに表示された縮小画像による表示映像がぎこちない動作の映像にならず自然な動作で表示され、縮小画像が長時間静止画になったり、映像の遅延や乱が発生する事態を防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、デジタル伝送路のデータ伝送容量が1台のカメラの画像データ程度であっても、等倍画像の圧縮率を変更することなく縮小画像も同時に伝送することが可能となる。よって、等倍画像の画質を維持しながらピクチャ・イン・ピクチャ等で圧縮画像も表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るテレビドアホン装置の一例を示す構成図であり、個々の機器を回路ブロック図で示している。
【図2】画像データの構成を示し、(A)は合成前の等倍画像と縮小画像の構成、(B)は合成後の構成である。
【図3】縮小画像データを挿入した等倍画像のデータフレームの内部構成を示し、図2に示す第1〜第4フレームまでのデータ構成を示している。
【図4】画像を合成する流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るテレビドアホン装置の一例を示す構成図であり、個々の機器を回路ブロックで示している。ここでは、2台の玄関子機(第1玄関子機1aと第2玄関子機1bと)1と居室親機2とを備えた構成を示している。また夫々の機器は、第1玄関子機1a、第2玄関子機1b、居室親機2の順に伝送線L1、L2によりカスケード接続されている。
【0012】
第1玄関子機1aと第2玄関子機1bは同一の構成であり、来訪者を撮像するためのカメラ11、カメラ11の撮像画像を縮小する画像縮小部12、画像データをJPEG圧縮する画像圧縮部13、画像圧縮部13の圧縮率を切り替える圧縮率判定部14、画像圧縮するための量子化テーブルを生成する量子化テーブル生成部15、通話するためのマイク/スピーカ部16、音声信号を圧縮/伸張するオーディオコーデック部17、他の玄関子機1の信号及び居室親機2からの信号を中継する第1伝送部18、居室親機2或いは居室親機2側に接続された玄関子機1と通信する第2伝送部19、図示しない呼出ボタン等を備えている。
尚、第2伝送部19は後述する画像データ合成回路19aを備えている。また、第1伝送部18は第2玄関子機1bのように玄関子機1をカスケード接続した時に使用される為、第1玄関子機1aの第1伝送部18はこの実施形態では機器が接続されず使用されない。
【0013】
居室親機2は、玄関子機1と通信するための伝送部21、玄関子機1から伝送された圧縮画像を伸張する画像伸張部22、伝送された画像データを一時的に記憶する画像バッファ部23、複数の画像をモニタ25に表示する際に表示画像を生成する画像合成部24、画像を表示するモニタ25、通話するためのマイク/スピーカ部26、音声信号を圧縮/伸張するオーディオコーデック部27、応答操作やカメラ11の表示操作等の各種操作を行う操作部28,カメラ11の撮像画像の圧縮率制御、画像の等倍/圧縮の変更制御、そして居室親機の各ブロックの制御等を行う親機CPU29等を備えている。
【0014】
玄関子機1の画像縮小部12は、居室親機2からの制御信号を受けてカメラ11が出力する画像データの縮小を実施し、縮小しない指示を受けたら入力された画像データを縮小せずに画像圧縮部13へ出力する。居室親機2は操作部28の所定の画像表示操作或いは玄関子機1の呼出操作等を基に、双方のカメラ11の画像を同時にモニタ25で表示する場合は、どちらのカメラ11の撮像画像を縮小するか制御し、親機CPU29から第1及び第2の玄関子機1a,1bに対して制御信号を出力する。
この制御により、どちらかの玄関子機1のカメラ11の撮像画像が縮小されて、ピクチャ・イン・ピクチャ画像として双方の画像が居室親機2のモニタ25に表示される。
【0015】
圧縮率判定部14は、居室親機2からの制御信号を基に、等倍画像の圧縮に際しては適正なデータサイズになるよう、即ち伝送路L2の容量であるフレームの最大値に対して70〜80%程度のデータサイズとなるよう圧縮率を設定して量子化テーブル生成部15を制御する。一方、縮小画像を圧縮する際には、等倍画像のデータフレームの空きサイズでデータを伝送できるよう居室親機2からの圧縮率制御信号を基に圧縮率を設定して、量子化テーブル生成部15に量子化テーブルを生成させる。
【0016】
居室親機2による圧縮率判定部14の制御は次のようにして実施される。親機CPU29は、伝送された等倍画像のデータサイズ、及びフレームの空きサイズを読み取って、等倍画像の圧縮率及び縮小画像の圧縮率を設定する。具体的に、伝送された等倍画像のデータサイズから1フレームあたりのデータ量が適正であるか、即ちフレームの最大値に対して70〜80%であるか判断し、等倍画像を出力する圧縮率判定部14に対して圧縮率制御信号を出力する。
【0017】
また、縮小画像の圧縮率設定は、伝送された等倍画像1フレームの空きサイズと、縮小画像の1画像分のデータサイズをデータフレーム数で割った数値(以下、「分割データサイズ」とする。)とを比較して、この分割データサイズが空きサイズに対して適正な割合(この適正は割合は親機CPU29において予め設定されている)なら縮小画像の圧縮率を前回のまま維持させる。しかし、空きサイズに対して分割データサイズが適正な割合を超えていたら圧縮率を上げる制御を実施し、空きサイズに対して分割データが適正な割合を下回っていたら圧縮率を下げるように圧縮率制御信号を生成して玄関子機1に送信する。
【0018】
縮小画像の伝送は、後述するように等倍画像のデータフレームの空き領域を使用して実施されるため、このように、データサイズの適正化操作が行われる。この結果、例えば等倍画像の1画像が30フレームに分割して送信され、縮小画像の1画像が10フレームに分割されて送信されるよう構成されているような場合は、等倍画像を伝送する30フレームの空き領域に縮小画像の10フレームが収まるような制御が実施される。
【0019】
玄関子機1の第1伝送部18は、カスケード接続された玄関子機1がある場合は画像/音声データを受け取って第2伝送部19へ中継する。一方第2伝送部19を介して居室親機2から送信された制御信号や音声データを中継してカスケード接続された玄関子機1へ伝送する。図1においては、第2玄関子機1bの第1伝送部18は、第1玄関子機1aから伝送される画像/音声データを受け取って第2伝送部19へ中継すると共に、居室親機2からの制御信号を中継する。
【0020】
第2伝送部19は、1つの等倍画像データ及び少なくとも1つの縮小画像データとから成る複数の画像データを居室親機2に伝送する場合に、画像データを合成して居室親機2へ伝送する画像データ合成回路19aを備えている。この画像データ合成回路19aはDSPで構成され、1つの等倍画像データ及び少なくとも1つの縮小画像データとから成る複数の画像データを居室親機2に伝送する場合、画像データを合成して居室親機2へ伝送する。
また第2伝送部19は、第1伝送部18から伝送された画像/音声データを居室親機2へ伝送し、カメラ11が撮像した画像データ及びマイク/スピーカ部26が集音した音声データを居室親機2へ伝送する。また更に、居室親機2から伝送された音声データをオーディオコーデック部17或いは第1伝送部18へ伝送する。
【0021】
具体的に、第2玄関子機1bの第2伝送部19の場合、居室親機2の親機CPU29の制御によってデータ伝送が実施され、例えば第1玄関子機1aの画像だけを伝送する場合は、中継された第1玄関子機1aの画像に加えて第1玄関子機1aの音声データを居室親機2へ伝送し、第2玄関子機1bのデータの伝送は行わない。また、第2玄関子機1bの画像を等倍画像で伝送し、第1玄関子機1aの画像を縮小して伝送する場合は、画像データを合成して伝送すると共に、第2玄関子機1bの音声データを伝送する。また、第2玄関子機1bの画像のみ等倍画像で伝送する場合は、第2玄関子機1bの画像/音声データを居室親機2へ伝送する。
【0022】
居室親機2の伝送部21は、第2玄関子機1bからデータが送られてきたら、画像データは画像伸張部22へ送り、音声データはオーディオコーデック部27へ送る。
オーディオコーデック部27は、伝送された音声データを伸張してマイク/スピーカ部26へ出力し、マイク/スピーカ部26が収音した音声を圧縮して音声データを生成して伝送部21へ出力する。
【0023】
画像合成部24は、親機CPU29の制御によって等倍画像と縮小画像の両方が伝送されてきた時に、ピクチャ・イン・ピクチャ画像を生成して1つの画像に合成し、モニタ25に出力する。尚、画像伸張部22に送られた画像データは、画像伸張部22で元の画像データへ復号化され、一旦、画像バッファ部23へ保存される。保存された画像データは、通常はそのままモニタ25に送出されて表示される。
【0024】
このように構成されたテレビドアホン装置は次のように動作する。但し、玄関子機1からの呼び出し、呼出操作によりカメラ11が起動して居室親機2のモニタ25に来訪者画像が表示される動作、更に呼び出しに対する居室親機2での応答動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここでは第1玄関子機1a及び第2玄関子機1bの双方から画像データが伝送される場合の画像信号の伝送について図2,図3に基づいて説明する。このように双方のカメラ11の撮像映像が同時に伝送される状況は、居室親機2において表示操作された場合や、双方の玄関子機1a,1bが同時に呼出操作された場合等に発生する。
【0025】
図2は本発明のテレビドアホン装置の画像伝送の説明図であり、(A)はデータ合成前の夫々のフレームの状態を示し、上が生成された縮小画像データのフレーム、下が生成された等倍画像データのフレームを表している。(B)はデータ合成後のフレームの状態を示し、上が挿入される縮小画像データ、下が等倍画像のデータフレームの空き領域に縮小画像データを挿入して伝送する様子を表している。何れも横軸はフレームを時間軸で表したもので、フレーム番号を付してある。縦軸は伝送帯域をデータサイズで表したもので、上限が伝送可能なデータ量の最大値を示している。また、図3は圧縮方式がJPEGで、等倍画像JPEGデータと縮小画像JPEGデータを合成した場合のフレームデータ構成を示し、(A)〜(D)は第1〜第4フレームのデータ構成を示している。
【0026】
尚、図3に示すSOIはJPEGフォーマットにおけるJPEGデータの開始を表すコードで、EOIはJPEGフォーマットにおけるJPEGデータのデータの終わりを表すコードであり、それぞれJPEGデータに含まれている。これは縮小画像のJPEGデータも同じであり、このSOIやEOIによって等倍画像と縮小画像、或いは縮小画像同士の境界を識別している。また、データカウンタ値とは、データフレームのデータサイズをカウントした値で、最大値をnとしている。また、図2及び図3は、等倍画像において1フレームで1画像を伝送する場合を示している。
【0027】
等倍画像を伝送する場合、上述したように映像の複雑度に応じて随時変わるデータサイズが伝送帯域を超えて一時的に伝送できなくなってしまう状況を無くすために、平均的な映像では圧縮画像データサイズが伝送可能な最大値よりある程度小さくなるよう圧縮率が設定されている。そのため、図2に示すように、JPEG等で圧縮された等倍画像データのサイズは随時変わるが伝送帯域に空き領域が存在し、画像データ合成回路19aの制御により、その空き領域に縮小画像JPEGデータが挿入されて伝送される。以下、具体的に説明する。
【0028】
等倍画像JPEGデータの終わりでEOIが伝送されると、そのすぐ後に縮小画像JPEGデータが挿入される。縮小画像JPEGデータが1つのフレーム内で収まる場合には、次に送るべき縮小画像JPEGデータがない為、フレームはそこで伝送を終了させる。フレームが終わるまでに縮小画像JPEGデータの伝送が終わらない場合は、そこで伝送を中断し、次のフレームの伝送を開始させる。
次のフレームの伝送では、最初と同様に等倍画像JPEGデータの先頭から伝送を開始し(図3(A)〜(D)に示す)、等倍画像データの伝送が終わったら、前フレームで中断した縮小画像データの続きから伝送が再開される。このフレームの伝送途中で縮小画像データの伝送が終わった場合、次に送るべき縮小画像データがあるので、続けて次の縮小画像データを伝送する(図3(B),(D)に示す)。但し、次に送る縮小画像データは、その時点で等倍画像のフレーム番号に一致する最新のフレームデータとなる。この後、フレームの終わりに合わせて伝送を中断する。
【0029】
これを繰り返すことで、等倍画像JPEGデータの伝送を妨げずに縮小画像JPEGデータを並行して伝送することが可能となる。ただし、このように縮小画像を伝送した結果、一部の縮小画像のフレームは伝送されずに破棄される。図2(B)では、第1、第2、第4、第7フレームは伝送されるが、伝送されなかった第3、第5、第8フレームは破棄される状況を示している。
【0030】
このように、1台のカメラの画像データしか送れない伝送路であっても、等倍表示用の画像は単に1画像を伝送した時と同じ圧縮率、画質を維持して良好な画像を表示する事ができるし、縮小画像も同時に伝送することができ、ピクチャ・イン・ピクチャ画面を良好に表示することができる。
また、等倍画像のデータサイズが変動しても縮小画像の表示が一定のフレームレートで伝送できるよう制御されるので、モニタ25に表示された縮小画像の表示映像がぎこちない動作の映像にならず自然な動作で表示することが可能となり、縮小画像が長時間静止画になったり、映像に遅延が発生したり乱れるような事態を防止できる。
【0031】
ここで、第2玄関子機1bのカメラ11から出力される画像データを等倍画像データとして伝送し、第1玄関子機1aから伝送されてきた画像データを縮小画像データとした場合の画像データ伝送の流れを具体的に説明する。図4は第2玄関子機1bから見た画像データ伝送の流れを示したフローチャートを示し、このフローに基づいて説明する。
【0032】
第2玄関子機1bのカメラ11が撮像を開始して画像データの出力を開始する(S1)と、この画像データは等倍画像データとして居室親機2に伝送されるため、画像縮小部12は縮小動作せずに入力した画像データをそのまま画像圧縮部13に出力する。この画像データは画像圧縮部13において圧縮され(S2)、第2伝送部19、伝送路L2を介して居室親機2へ伝送される(S3)。このとき第2伝送部19は、1フレームの伝送データカウントを開始する(S4)。
【0033】
カメラ11から1フレーム分の画像データの出力が終了し(S5)、画像データの圧縮が完了し(S6)、等倍画像の伝送が完了したら(S7)、第2伝送部19は伝送線L1を介して第1玄関子機1aから伝送された縮小画像データの伝送を開始する。このとき、前回のフレームの伝送完了時に縮小画像のフレーム伝送も完了したか判断し(S8)、完了していたら新規のフレームの縮小画像の伝送を開始し(S9)、終了していなかったら前回中断した縮小画像の続きを伝送する(S10)。
【0034】
こうして伝送を開始した縮小画像データのフレームが、伝送データカウンタが最大値に成る前に終了したら(S11でyes)、縮小画像の伝送を終了して(S13)、新規のフレームの縮小画像の伝送を開始する。
一方、縮小画像データのフレームが終了する前にフレームの伝送データカウンタが最大値になったら(S12でyes)縮小画像の伝送を中断し(S14)、次の等倍画像のフレームの伝送に入る(S15)。こうして、フローの最初に戻り、カメラ11から次の画像データを入手し(S1)、等倍画像データの圧縮等を繰り返す。
このように、等倍画像データを送信するフレームの空き領域を利用して縮小画像データが伝送される。
【0035】
尚、上記実施形態では、縮小表示画面は等倍表示画面と同程度のフレーム数として動きを重視して画質を落としているが、フレーム数を落として高画質な静止画を伝送しても良い。また、縮小画像データを等倍画像データのデータフレームの空き領域のみを使って伝送しているが、これに加えて音声データ伝送の空き領域を利用しても良い。
また、玄関子機1は2台として説明しているが、3台であっても更に多くても良く、等倍画像データの空き領域で伝送する縮小画像データは複数であっても良い。
【符号の説明】
【0036】
1・・玄関子機、2・・居室親機、11・・カメラ、12・・画像縮小部、13・・画像圧縮部、14・・圧縮率判定部、15・・量子化テーブル生成部、18・・第1伝送部、19・・第2伝送部、19a・・画像データ合成回路、21・・伝送部、23・・画像バッファ部、24・・画像合成部、25・・モニタ、29・・親機CPU(出力画像制御部、圧縮率操作手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者を撮像する為のカメラ及び居住者を呼び出して通話する機能を備えた複数の玄関子機と、前記カメラの撮像映像を表示する為のモニタ及び前記玄関子機からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機とを有し、前記複数の玄関子機と前記居室親機とはデジタル伝送路のカスケード接続により接続されたテレビドアホン装置において、
前記玄関子機は、前記カメラが出力する画像データの画像サイズを縮小する画像縮小部と、前記カメラまたは前記画像縮小部が出力する画像データを圧縮する画像圧縮部と、前記画像圧縮部の圧縮率を変更する圧縮率判定部と、他の玄関子機から伝送されたデータを中継する第1伝送部と、前記画像圧縮部から出力される画像データ及び第1伝送部が受信した中継データの双方を前記居室親機へ伝送する第2伝送部とを有する一方、
前記居室親機は、伝送されてきた複数の画像データを受信する伝送部と、受信した複数の画像を同時にモニタに表示するために画像合成する画像合成部と、カメラ撮像画像を等倍画像データで出力する玄関子機と縮小画像データで出力する玄関子機とを指定する出力画像制御部とを有し、
前記第2伝送部は、等倍画像データをフレーム単位で伝送しながら、前記フレームの空き領域に縮小画像データを挿入して出力する画像データ合成回路を有することを特徴とするテレビドアホン装置。
【請求項2】
前記居室親機は、受信した等倍画像データのデータサイズ及び縮小画像データサイズを読み取り、縮小画像を出力する前記玄関子機の前記圧縮率判定部に対してフレームの空き領域に応じたデータサイズの縮小画像を生成するよう圧縮率制御信号を送信する圧縮率操作手段を有することを特徴とする請求項1記載のテレビドアホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−205107(P2012−205107A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68276(P2011−68276)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】