説明

テレビ会議システム

【課題】テレビ会議の記録と再生の機能を低価格で実現し、且つ、遠隔の他の地点においても容易に再生できるテレビ会議システムを提供することにある。
【解決手段】複数の地点のネットワーク回線5〜8にそれぞれ接続したテレビ会議ユニット1〜4と、前記ネットワーク回線5〜8の少なくとも一つに接続したレコーダー16とを有し、前記テレビ会議ユニット1と前記レコーダー16との間にコンバータ18を設置し、前記テレビ会議ユニット1から送出するアナログデータを前記コンバータ18により圧縮処理を行ったデジタルデータに変換して、前記レコーダー16に記録したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPネットワークを利用した遠隔の多地点間でのテレビ会議システム、特に、テレビ会議の記録及び再生を簡便に行えるようにしたテレビ会議システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、企業における会議などによるコミュニケーション、文教関係における遠隔教育又は医療活動における遠隔医療などにおいてテレビ会議が普及している。そして、使い易さ、コスト面等からIPネットワークを利用したシステムが主流となっている。
【0003】
また、テレビ会議の内容を記録することについて、役員会議・営業会議を始めとした各種会議の議事録としての利用、コンプライアンスのための記録・保管、又は、講習会・研修・商品説明などのプレゼンテーションとしての再利用等、そのニーズが高い。しかも、記録(録画・録音)したテレビ会議は、いつでも、どこでも容易に再生可能であることが求められている。
【0004】
そこで、従来例のテレビ会議システムの構成の概略図を図2により説明すると、同図は本社と支社A、B及びCの多地点間におけるテレビ会議システムを例示している。本社及び各支社A、B、Cに設置したそれぞれテレビ会議ユニット1、2、3及び4が各拠点のネットワーク回線5、6、7及び8を介してIPネットワーク9に接続している。
【0005】
テレビ会議ユニット1〜4の構成は、大きくコーデック部10とハードウェア11に区分できる。ハードウェア11は図示していないがカメラ、ディスプレイなどの映像機器、及びマイク、スピーカなどの音声機器、さらにPCなどの情報機器などから構成される。コーデック部10はカメラが撮った画像やマイクが拾った音声をアナログデータからデジタルデータに変換し、さらに圧縮処理を行ってデータサイズを少なくした上で相手側に送信する。それと同時に、送信されてきたデジタルデータをアナログデータとして復元し、映像はディスプレイへ音声はスピーカへ出力する。
【0006】
そして、テレビ会議の記録のために、民生用のHDDレコーダー12を接続している。すなわち、カメラが撮った画像のアナログデータやマイクが拾った音声のアナログデータはハードウェア11からHDDレコーダー12に入力して記録する。また、コーデック部10で復元された映像及び音声のアナログデータを前記HDDレコーダ12に入力して記録するものである。
【0007】
他の従来例のテレビ会議システムの構成の概略図を図3により説明すると、基本的な構成は図2の従来例と同じで、同一部品には同一番号が付してある。相違点は、本社側にテレビ会議用の専用レコーダー13が設置され、ネットワーク回線5に直接接続させている点である。該専用レコーダー13はネットワーク回線5のデータの監視機能及びキャプチャー機能を有し、圧縮されたデジタルデータをそのまま記録するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
テレビ会議の記録に前記従来例の民生用のHDDレコーダー12を用いたものは、価格が10万円から30万円と極めて安い。しかしながら、再生は該HDDレコーダー12を設置したその場所、すなわち本社でしか行えないため、他の拠点(支社A、B又はC)で再生したい場合には、DVD等の媒体に書き込んでから配布しなければならず、非常に煩雑である。
【0009】
一方、ネットワーク回線5に専用レコーダー13を接続した他の従来例については、ネットワーク回線5を通じて、他の拠点である支社A、B又はCからも専用レコーダー13の再生が可能である。しかしながら、かかる専用レコーダー13はネットワーク回線5に流れるデータを記録するため、監視機能、キャプチャー機能などの高度な機能を備える必要があり、一台の単価が4百〜5百万円と極めて高額になる欠点がある。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、テレビ会議の記録と再生の機能を低価格で実現し、且つ、遠隔の複数の地点の何れの地点においてもテレビ会議の記録データを容易に再生できるテレビ会議システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るテレビ会議システムは、複数の地点のネットワーク回線にそれぞれ接続したテレビ会議ユニットと、前記ネットワーク回線の少なくとも一つに接続したレコーダーとを有し、前記テレビ会議ユニットと前記レコーダーとの間をコンバータを介して電気的に接読し、前記テレビ会議ユニットから送出するアナログデータを前記コンバータにより圧縮処理を行ったデジタルデータに変換して、前記レコーダーに記録したことを特徴とする。
【0012】
好適に、前記テレビ会議ユニットはコーデック部とハードウェアとから構成され、前記アナログデータが前記コーデック部で復元したデータ及び前記ハードウェアから出力されたデータである。
【0013】
好適に、前記ハードウェアは映像機器、音声機器及び情報機器からなる。
【0014】
好適に、前記情報機器により前記レコーダーに対して記録及び再生の操作ができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、テレビ会議の記録は、テレビ会議ユニットのアナログデータを別に設置したコンバータでデジタルデータに変換してレコーダーに記録するものであり、レコーダーは記録再生のみの機能を有すればよいので低コストに抑えることができる。しかも、他の地点に設置したテレビ会議ユニットの何れからでもネットワーク回線を介して前記レコーダーにアクセスして、容易に記録データを再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るテレビ会議システムの構成を示す概略図である。
【図2】従来例に係るテレビ会議システムの構成を示す概略図である。
【図3】他の従来例に係るテレビ会議システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るテレビ会議システムの構成を示す概略図である。前記従来例と同様に、本社と、遠隔の多地点にある支社A、B及びCとの間におけるIPネットワーク9を介したテレビ会議システムを例示している。なお、従来例と同一部品は同一番号を付してある。
【0018】
本社、各支社A、B及びCにはそれぞれテレビ会議ユニット1、2、3及び4を設置し、各テレビ会議ユニット1、2、3及び4は各拠点におけるネットワーク回線5、6、7及び8にそれぞれ接続している。
【0019】
前記テレビ会議ユニット1〜4の基本構成について、本社のテレビ会議ユニット1には図示し、支社A〜Cには図示していないが、それぞれ同一である。本社において、テレビ会議ユニット1はコーデック部10とハードウェア11とから成り、コーデック部10及びハードウェア11の機能・構成は前記従来例で記述したとおりである。コーデック部10がネットワーク回線5に配線14により接続し、デジタルデータの送受信を行っている。また、該コーデック部10に前記ハードウェア11が配線15により接続され、アナログデータなどの送受信を行っている。
【0020】
また、本社側にだけレコーダー16が設置され、該レコーダー16がネットワーク回線5に配線17で直接接続されている。しかし、該レコーダー16は図3の従来例の専用レコーダー13のようにネットワーク回線5を流れるデジタルデータの監視機能やキャプチャー機能は備えていない。レコーダー16の機能は記録と再生に絞ることができ、コストの大幅な低減が可能である。
【0021】
また、コンバータ18が、前記コーデック部10とハードウェア11との間において配線19により接続され、且つ、前記レコーダー16との間で配線20で接続されている。従って、ハードウェア11のカメラが撮った画像のアナログデータやマイクが拾った音声のアナログデータが配線19を介してコンバータ18に入力され、該コンバータ18が該アナログデータをデジタルデータに変換し、且つMPEG4などに圧縮処理して、配線20を介して前記レコーダー16に記録することができる。
【0022】
また、ネットワーク回線5から配線14を介してテレビ会議ユニット1に入力される映像及び音声のデジタルデータは、コーデック部10でアナログデータに復元される。該アナログデータは前述したのと同様に配線19を介してコンバータ18に入力され、再度デジタルデータに圧縮変換されて、レコーダー16に記録される。なお、本方式は、映像がハイビジョン方式であっても対応可能である。
【0023】
レコーダー16に記録されたデジタルデータについては、レコーダー16がネットワーク回線5に接続しているため、遠隔の支社A、B又はCはIPネットワーク9を介して何時でもレコーダー16にアクセスすることができ、記録データの再生を容易にすることができる。また、本テレビ会議システムのレコーダー16とコンバータ18に掛かる費用は併せても50万円程度と安価に抑えることができる。
【0024】
テレビ会議の記録や再生は、ネットワーク回線上のPCなどの情報機器のブラウザで簡単に行える。すなわち、録画は録画可能な時間を確認して、録画ボタンを押すだけで果たせる。再生は、録画一覧から見たい録画映像を選択して再生できる。プレビューやダウンロード再生、ストリーミング再生等、環境に合わせた再生方法を選ぶことができる。PC又は携帯端末にダウンロードすることにより、外出先や自宅で再生が可能である。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、テレビ会議ユニット1のアナログデータを別に設置したコンバータ18でデジタルデータに変換してレコーダー16に記録するものであり、レコーダー16は記録再生のみの機能を有すればよいので低コストに抑えることができる。しかも、他の地点に設置したテレビ会議ユニット2〜4の何れからでもネットワーク回線5〜8及びIPネットワーク9を介して前記レコーダー16にアクセスして、容易に記録データを再生することができる。
【0026】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0027】
例えば、上述の実施形態では、本社と支社A、B及びCとの4地点間におけるテレビ会議システムを説明したが、本社と支社1社との2地点間でのテレビ会議システムにおいても含まれる。
【0028】
上述の実施形態では、レコーダー16とコンバータ18を本社に設置した場合で説明したが、本社の代わりに支社A、B及びCの何れかに設置しても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1,2,3,4…テレビ会議ユニット、5,6,7,8…ネットワーク回線、9…IPネットワーク、10…コーデック部、11…ハードウェア、16…レコーダー、18…コンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の地点のネットワーク回線にそれぞれ接続したテレビ会議ユニットと、前記ネットワーク回線の少なくとも一つに接続したレコーダーとを有し、前記テレビ会議ユニットと前記レコーダーとの間をコンバータを介して電気的に接続し、前記テレビ会議ユニットから送出するアナログデータを前記コンバータにより圧縮処理を行ったデジタルデータに変換して、前記レコーダーに記録したことを特徴とするテレビ会議システム。
【請求項2】
前記テレビ会議ユニットはコーデック部とハードウェアとから構成され、前記アナログデータが前記コーデック部で復元したデータ及び前記ハードウェアから出力されたデータである、
請求項1に記載のテレビ会議システム。
【請求項3】
前記ハードウェアは映像機器、音声機器及び情報機器からなる、
請求項2に記載のテレビ会議システム。
【請求項4】
前記情報機器により前記レコーダーに対して記録及び再生の操作ができる、
請求項3に記載のテレビ会議システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−44444(P2012−44444A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183976(P2010−183976)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(510089937)株式会社フォースメディア (5)
【Fターム(参考)】