説明

テロメラーゼ活性を増大させるための組成物および方法

本発明は、細胞内のテロメラーゼ活性を増加させるための方法および組成物に関する。そのような組成物は薬学的処方物を含む。本方法および組成物は、患者の細胞または組織におけるテロメラーゼ活性の増大による治療の対象となる疾患の治療に有用である。本方法および組成物はまた、エクスビボ細胞治療に見られるような培養細胞の複製能力の増強、ならびに幹細胞および前駆細胞の増殖の増強に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先行出願への参照
本出願は、2009年5月18日に出願された米国仮特許出願第61/179,305号の恩典を主張し、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、細胞内のテロメラーゼ活性を増大させるための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
テロメラーゼは、テロメアの末端へのテロメア反復の付加を触媒するリボ核タンパク質である。テロメアは、染色体の末端をキャップする反復配列の長いストレッチであり、染色体を安定化すると考えられている。ヒトでは、テロメアは、通常7〜10kbの長さであり、配列−TTAGGG−の多重反復を含む。テロメラーゼは、大部分の成体細胞では発現されず、テロメア長は、度重なる複製とともに減少する。ある一定の複製回数の後に、テロメアの累積的な短縮により、細胞はテロメアの危機段階に入り、次いでそれが細胞老化へと至る。特定の疾患は、早過ぎる細胞老化をもたらす急速なテロメア喪失と関連している。ヒト細胞でヒトテロメラーゼタンパク質をコードする遺伝子を発現させると、おそらくは細胞の自然な老化経路を迂回することによって、不死表現型が付与されることが示されている。さらに、短いテロメアを有する老化細胞でテロメラーゼ遺伝子発現させると、テロメア長の増加がもたらされ、通常はより若い細胞と関連する表現型が回復することが示されている。
【0004】
腫瘍細胞および特定の幹細胞とは対照的に、体細胞は、テロメラーゼ活性をほとんどまたは全く持たず、少なくともいくつかの染色体のテロメア末端が危機的な長さまで短縮すると、分裂を停止し、プログラム化された細胞老化(細胞死)へと至る。老化に至りつつある体細胞におけるテロメア反復の喪失は、低いテロメラーゼ活性によって強化されるので、テロメア反復の配列をテロメアに付加する作用を有するテロメラーゼ活性を誘導すると、死ぬべき運命にある体細胞に増大した複製能力が付与され、老化細胞に、損傷組織の修復時に増殖し、適切に細胞周期から抜け出る能力が付与される。
【0005】
治療的にテロメラーゼ活性を増大させる方法は、例えば、Bodnar Science 279(5349):349−52(1998年1月16日);White,PCT国際出願公報WO2000/08135号(2000年2月);Hannon et al.PCT国際出願公報WO99/35243号(1999年7月)およびPCT国際出願公報WO2000/031238号(2000年6月);Franzese et al.Lifescience 69(13) 1509−20(2001)、ならびにYudoh et al.J.Bone and Mineral Res.16(8):1453−1464(2001)によって研究されている。これらの報告では、テロメラーゼ活性は、一般に、ヒトテロメラーゼのタンパク質成分をコードする遺伝子であるhTERTの過剰発現によるか、またはテロメラーゼの会合を仲介するタンパク質、例えば、熱ショックタンパク質(White、PCT番号WO2000/08135号)の発現によって増大させられている。Franzeseらは、HIV感染の治療用に処方されるプロテアーゼ阻害剤であるサキナビルが、末梢血単核細胞内のテロメラーゼ活性を増大させることを報告し、Vasaら(Circ Res.87(7) 540−2(2000))は、一酸化窒素(NO)前駆体の投与によるテロメラーゼの活性化と、それにより生じる内皮老化の遅れを記載した。
【0006】
アストラガロシドファミリーの様々なサポニンは、テロメラーゼ活性の増大を含む様々な生物学的作用を有することが報告されている(Harley et al.PCT国際出願公報WO2005/000245号)。効果的なテロメラーゼ活性化因子となる化合物を開発することは有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載の本発明は、一般に、細胞内のテロメラーゼ活性を増大させる化合物および方法ならびにそのような方法で使用される組成物に関する。そのような方法および組成物は、細胞培養物中、すなわち、インビトロもしくはエクスビボの細胞、またはヒト対象および非ヒト哺乳動物を含む対象の組織中で増殖している細胞などのインビボの細胞に対して使用し得る。
【0008】
アストラガロシドファミリーの様々なサポニンは、テロメラーゼ活性の増大を含む様々な生物学的作用を有することがこれまでに報告されていた(Harley et al.PCT国際出願公報WO2005/000245号)。しかしながら、本発明者らは、特定の哺乳動物種に経口投与された場合に、シクロアストラゲノールをはじめとする本明細書に記載の天然化合物のバイオアベイラビリティが極めて限られていることを見出した。この限られたバイオアベイラビリティが、哺乳動物による化合物の取込みが低いことに起因するのか、特定の哺乳動物種における化合物の代謝が高いことに起因するのか、両方の組合せに起因するのかは明確ではなかった。そのような低いバイオアベイラビリティは、これまでに記載された化合物が、特定の哺乳動物種における経口テロメラーゼ活性化因子として極めて効果が低かったことを意味する。
【0009】
強力なテロメラーゼ活性化因子であり、いくつかの哺乳動物種において経口的に利用可能でもあり、代表的な哺乳動物種において改善された半減期を有する新しい化合物が必要であることが明らかになった。本明細書に記載の化学的化合物は、これらの望ましい特性を有する。
【0010】
特定の実施形態では、組成物は、下記のような式Iの化合物およびその薬学的塩を含む。本発明の態様は、薬学的用途、特に細胞内のテロメラーゼ活性の増大が有益であることが示されているか、または有益であると考えられている用途で使用される、そのような化合物の処方物を含む。細胞または組織内のテロメラーゼ活性を増大させる必要性、またはその利点が明らかにされた後で、そのような処方物を適用または投与するための方法を含む、そのような用途のための化合物およびその処方物の使用方法も提供される。
【0011】
本発明は、一態様では、式Iの化合物:
【化1】

および薬学的に許容されるその塩を含み、
式I中、Xは、ケト(=O)、ヒドロキシ(−OH)、および
【化2】

から選択され、
は、ケト(=O)、ヒドロキシ(−OH)、および
【化3】

から選択され、
は、ケト(=O)、ヒドロキシ(−OH)、および
【化4】

から選択され、
、X、またはXのうちの少なくとも1つは、それぞれ、
【化5】

であり、
ここで、RまたはRは、−CH(CH、および−CH(CH)CHCHから独立に選択される。
【0012】
一実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)Rであり、式中、Rは、−CH(CHまたは−CH(CH)CHCHからなる群から選択される。別の実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)Rであり、式中、Rは、−CH(CHまたは−CH(CH)CHCHからなる群から選択される。
【0013】
一実施形態では、X、XまたはXのうちの少なくとも1つは、−OC(O)CH(NH)CH(CHである。別の実施形態では、XとXは両方とも、−OC(O)CH(NH)CH(CHである。
【0014】
一実施形態では、XまたはXのうちの少なくとも1つは、−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHである。別の実施形態では、XとXは両方とも、−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHである。
【0015】
式Iの選択された実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XおよびXは、ヒドロキシおよびケトからから独立に選択される。さらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XおよびXは、ヒドロキシおよびケトからから独立に選択される。さらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XおよびXは、ヒドロキシおよびケトからから独立に選択される。さらなる実施形態では、XとXは両方とも、−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XはOHである。またさらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XとXは各々OHである。またさらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XとXは各々OHである。
【0016】
式Iの選択された実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、XおよびXは、ヒドロキシおよびケトからから独立に選択される。さらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、XおよびXは、ヒドロキシおよびケトからから独立に選択される。さらなる実施形態では、XとXは両方とも、−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、XはOHである。またさらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、XとXは各々OHである。またさらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、XとXは各々OHである。
【0017】
式Iのいくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は塩酸塩である。
【0018】
アミノ酸置換はLまたは天然の立体異性体であると想定される。
【0019】
式Iの例示的化合物としては、本明細書で以下のように命名されたものが挙げられる:2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル(本明細書では4と表す)、2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル(本明細書では7と表す)、2−(L)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸3b−アセトキシ−16b−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6a−イルエステル(本明細書では12と表す)、2−(L),3−ジメチル−ペンタン酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル(本明細書では14と表す)、2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−3−オキソ−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6α−イルエステル(本明細書では30と表す)、2−(L)−アミノ−3−メチル−ペンタン酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ペンタノイルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル(本明細書では32と表す)、2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸3β,6α−ジヒドロキシ−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−16β−イルエステル(本明細書では36と表す)および薬学的に許容されるその塩。
【0020】
式Iの例示的化合物としては、本明細書で以下のように命名されたものが挙げられる:2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩、2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩、2−(L)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸3b−アセトキシ−16b−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6a−イルエステル塩酸塩、2−(L),3−ジメチル−ペンタン酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩、2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−3−オキソ−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6α−イルエステル塩酸塩、2−(L)−アミノ−3−メチル−ペンタン酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ペンタノイルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩または2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸3β,6α−ジヒドロキシ−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−16β−イルエステル塩酸塩.
【0021】
上記の式Iの化合物は、溶媒中に処方した場合、本明細書に記載されたようなTRAPアッセイで測定される、該溶媒で処理された該細胞におけるレベルよりも、少なくとも50%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも80%大きい、または少なくとも90%大きい、TRAPアッセイで測定される、ケラチノサイトまたはPBMCにおけるテロメラーゼ活性のレベルを生じさせるのに有効である。さらなる実施形態では、化合物は、本明細書に記載されたようなTRAPアッセイで測定される、該溶媒で処理した該細胞におけるレベルよりも、少なくとも100%大きい、TRAPアッセイで測定される、ケラチノサイトまたはPBMCにおけるテロメラーゼ活性のレベルを生じさせるのに有効である。
【0022】
本発明は、一態様では、細胞または組織内のテロメラーゼ活性を増大させる方法を含む。本方法は、細胞または組織を式Iの単離された化合物と接触させることを含む。本方法は、テロメラーゼ活性の増大が望まれる細胞または組織を同定する予備工程をさらに含み得る。
【0023】
単離された式Iの化合物を細胞または組織と接触させる方法は、該接触前に、テロメラーゼ活性の増大が望まれる細胞または組織を同定することを含み得る。細胞または組織におけるテロメラーゼ活性の増大によって実現すべき利益としては、例えば、該細胞または該組織内の細胞の複製能力の増強および/または寿命の延長が挙げられる。
【0024】
本方法は、対象の細胞または組織におけるテロメラーゼ活性の増大が望まれるような対象における状態の同定、決定または診断、およびその対象への化合物の投与を含み得る。対象は、家畜化された動物(例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、サル)またはヒト対象もしくはヒト患者などの哺乳動物対象である。
【0025】
予防または治療されるそのような状態または疾患としては、例えば、HIVを含むウイルス感染および日和見感染、様々な変性疾患(例えば、神経変性疾患、骨または関節、および結合組織の変性疾患、黄斑変性、糖尿病性網膜症)、中枢および末梢血管疾患を含む心血管疾患、クローン病および他の免疫学的状態、線維症および肝硬変を含む肝疾患、肺線維症、喘息、肺気腫、およびCOPDを含む肺疾患、造血障害(貧血、血小板減少症、好中球減少症および他の血球減少症を含む)、慢性炎症性消化管疾患(例えば、バレット食道)、幹細胞または前駆細胞集団の増殖能力の喪失に関連する任意の疾患を挙げることができる。そのような状態としては、骨髄不全症候群、再生不良性貧血、骨髄異形成貧血または骨髄異形成症候群を挙げることができる。そのような状態としては、例えば、火傷、擦過傷、切創、移植片、感染性因子により生じる病変、慢性静脈潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫潰瘍または褥瘡性潰瘍、粘膜潰瘍、ケロイド形成、抜け毛または色素喪失、ならびに皮膚およびその付属器官の他の構造異常などの、表皮およびその付属器官の創傷または他の急性もしくは慢性の状態を挙げることもできる。そのような状態としては、少ないテロメラーゼまたは短縮したテロメアがゲノムの不安定性、または突然変異率の増大、または腫瘍抑制機能の喪失を伴い、結果として、対象が、腫瘍のイニシエーション、腫瘍の進行、または腫瘍の再発を起こすリスクが高い癌および前癌状態も挙げられる。
【0026】
本発明は、患者の細胞または組織におけるテロメラーゼ活性を増大させることによって、患者における状態(例えば、上述したもの)を予防または治療する方法であって、そのような予防または治療を必要とする患者に、上で定義したような単離された式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。組成物は、様々な経路(例えば、経口、局所、非経口、皮下、吸入および静脈内)で投与し得る。
【0027】
さらなる実施形態では、本発明は、表皮の急性または慢性状態を治療する方法であって、上皮細胞を上で定義したような単離された式Iの化合物の局所処方物と接触させることを含む方法を提供する。
【0028】
処方物を接触させる細胞としては、例えば、細胞に基づく治療用にエクスビボで接触させる外植片細胞、または他の培養細胞を挙げることもできる。したがって、本発明は、インビトロまたはエクスビボで細胞の複製能力および改善された機能的能力を増強する方法であって、該細胞を有効量の上で定義したような単離された式Iの化合物(上で定義したような化合物の選択された実施形態を含む)を含む組成物と接触させることを含む方法を提供する。一般に、細胞は哺乳動物細胞であり、選択された実施形態では、細胞は、骨髄幹細胞または前駆細胞などの幹細胞、骨髄間質細胞、皮膚ならびに腸、肝臓および膵臓を含む他の組織由来の表皮および上皮幹細胞、膵島前駆細胞、ニューロスフェア細胞、副腎皮質細胞、筋衛星細胞、骨芽細胞前駆体を含む間質幹細胞および前駆細胞、網膜色素上皮細胞、内皮前駆細胞、周皮細胞、ならびにメモリーTおよびナイーブT(CD4およびCD8)細胞ならびにB細胞を含むクローン性拡大が可能な免疫細胞である。
【0029】
さらなる実施形態では、本発明は、生きているドナーまたは死体から生きている患者への組織の移植を増進する方法であって、移植組織を上で定義したような単離された式Iの化合物と接触させることを含む方法を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、ドナーから生きている患者への組織の移植を増進する方法であって、組織の移植の前に、組織の移植と同時に、または組織の移植の後しばらくの間、上で定義したような単離された式Iの化合物を患者に投与することを含む方法を提供する。移植される組織は、固形組織(例えば、腎臓、心臓、肺など)、または造血組織(例えば、限定するものではないが、血液細胞、例えば、白血球、リンパ球もしく骨髄に由来し得る造血前駆細胞)であり得る。
【0030】
一実施形態では、本発明は、薬学的に許容されるビヒクル中に上で示したような式Iの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0031】
別の実施形態では、本発明は、上で定義したような式Iの単離された化合物の局所用薬学的処方物を提供する。化合物の選択された実施形態も上で定義されている。局所処方物は、通常、乳化剤、担体(例えば、リポソーム)、増粘剤、および皮膚軟化剤からなる群から選択される1以上の成分を含む。そのような組成物を表皮の創傷または他の急性もしくは慢性状態の治療に使用し得る。
【0032】
疾患または状態の予防または治療のための医薬品の製造における上記のような選択された実施形態を含む、上で定義したような単離された式Iの化合物の使用。細胞または組織におけるテロメラーゼ活性の増大による予防または治療の対象となる疾患の予防または治療のための医薬品の製造における上で定義したような上記のような選択された実施形態を含む、単離された式Iの化合物の使用。疾患または状態の予防または治療のための上で定義したような上記のような選択された実施形態を含む、単離された式Iの化合物の使用。細胞または組織におけるテロメラーゼ活性の増大による予防または治療の対象となる疾患の予防または治療のための上で定義したような上記のような選択された実施形態を含む、単離された式Iの化合物の使用。使用は、テロメラーゼ活性の増大が望まれる細胞または組織を同定する予備工程をさらに含み得る。細胞または組織におけるテロメラーゼ活性の増大によって実現すべき利益としては、例えば、該細胞または該組織内の細胞の複製能力の増強および/または寿命の延長ならびに機能的能力の増強が挙げられる。
【0033】
使用は、対象の細胞または組織におけるテロメラーゼ活性の増大が望まれるような対象における状態または疾患を同定、決定または診断することを含み得る。そのような状態としては、例えば、HIVを含むウイルス感染および日和見感染、様々な変性疾患(例えば、神経変性疾患、骨または関節、および結合組織の変性疾患、糖尿病性網膜症、黄斑変性)、中枢および末梢血管疾患を含む心血管疾患、クローン病および他の免疫学的状態、線維症および肝硬変を含む肝疾患、肺線維症、喘息、肺気腫、およびCOPDを含む肺疾患、造血障害(貧血、血小板減少症、好中球減少症および他の血球減少症を含む)、慢性炎症性消化管疾患(例えば、バレット食道)、幹細胞または前駆細胞集団の増殖能力の喪失に関連する任意の疾患を挙げることができる。そのような状態としては、骨髄不全症候群、再生不良性貧血、骨髄異形成貧血または骨髄異形成症候群を挙げることができる。そのような状態としては、例えば、火傷、擦過傷、切創、移植片、感染性因子により生じる病変、慢性静脈潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫潰瘍または褥瘡性潰瘍、粘膜潰瘍、ケロイド形成、抜け毛または色素喪失、ならびに皮膚およびその付属器官の他の構造異常などの、表皮およびその付属器官の創傷または他の急性もしくは慢性の状態を挙げることもできる。そのような状態としては、少ないテロメラーゼまたは短縮したテロメアがゲノムの不安定性、または突然変異率の増大、または腫瘍抑制機能の喪失を伴い、結果として、対象が、腫瘍のイニシエーション、腫瘍の進行、または腫瘍の再発を起こすリスクが高い癌および前癌状態も挙げられる。
【0034】
同様に、表皮の慢性または急性状態の治療用の医薬品の製造のための上記のような選択された実施形態を含む、上で定義したような式Iの単離された化合物の使用も想定されている。別の実施形態は、表皮の慢性または急性状態の治療のための上記のような選択された実施形態を含む、上で定義したような式Iの単離された化合物の使用である。
【0035】
本発明のこれらのおよび他の目的および特徴は、本発明の以下の詳細な説明を添付の図面とともに読んだとき、より完全に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】TRAPアッセイで測定された、1用量の化合物4、C3−(L)−バリル−シクロアストラゲノール後のマウス末梢血単核細胞(PBMC)におけるテロメラーゼ活性の増大を示している。
【図2】TRAPアッセイで測定された、1用量の化合物4、C3−(L)−バリル−シクロアストラゲノール後のマウスのひげにおけるテロメラーゼ活性の増大を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
I.定義
本明細書で使用される以下の用語は、別途示されない限り、下記の意味を有する。
【0038】
本明細書に記載の化合物の命名に用いられた一般的な炭素原子付番体系は、下記に示されている。
【化6】

【0039】
したがって、C3−(L)バリルシクロアストラゲノールは、化合物構造の炭素3のエステル結合を介して結合した(L)バリンを指す。
【0040】
「C1−5アルキル」は、1〜5個の炭素原子を有して、分枝状または線状であり得る、炭素および水素を含む完全に飽和した非環式の一価のラジカルを指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルがある。
【0041】
「ケト」は=Oを意味する。
【0042】
「ヒドロキシ」は−OHを意味する。
【0043】
「アミノ酸」という用語は、D形またはL形の天然アミノ酸(例えば、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Hyl、Hyp、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、and Val)、および非天然アミノ酸の残基を含む。この用語はまた、従来のアミノ保護基(例えば、アセチルまたはベンジルオキシカルボニル)を担持する天然および非天然のアミノ酸を含む。他の好適な保護アミノ保護基は当業者に公知である(例えば、T.W.Green,Protecting Groups in Organic Synthesis;第3版,Wiley New York 1999を参照されたい)。別途記述しない限り、アミノ酸置換は、エステル結合を介してそのカルボキシ基を通じてシクロアストラゲノールに結合している。したがって、C3−(L)バリルシクロアストラゲノールは、C3−(L)バリルシクロアストラゲノールエステルである。
【0044】
「異性体」という用語は、光学異性体および類似体、構造異性体および類似体、配座異性体および類似体などを含むが、これらに限定されない。
【0045】
キラル中心を有する本発明の化合物は、光学活性形態およびラセミ形態で存在し得、単離され得ることが当業者には理解されるであろう。いくつかの化合物は多型を示し得る。本発明は、本明細書に記載された有用な特性を有する本発明の化合物の、任意のラセミ形態、光学活性形態、多型形態もしくは立体異性形態またはそれらの混合物を包含することを理解すべきであり、(例えば、再結晶化技術によるラセミ形態の分割によって、光学活性出発材料からの合成によって、キラル合成によって、またはキラル固定相を用いるクロマトグラフ分離によって)光学活性形態をどのように調製するかということや、本明細書に記載された試験を用いてテロメラーゼ活性を増大させる化合物の能力をどのように決定するかということは当技術分野で周知である。一実施形態では、アミノ酸は、天然に存在する(L)形である。
【0046】
本発明は、一実施形態では、生成して、アルカリ金属塩を形成し得るおよび遊離酸または遊離塩基の遊離付加塩を形成し得る、本発明の化合物の「薬学的に許容される塩」を含む。本発明の化合物の好適な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸からまたは有機酸から調製され得る。一実施形態では、無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、カルボン酸、硫酸およびリン酸がある。一実施形態では、有機酸は、脂肪酸、脂環式酸、芳香族酸、アラリファチック(araliphatic)酸、複素環式酸、カルボン酸およびスルホン酸の部類の有機酸から選択され得、その例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、シュウ酸、メシル酸、サリチル酸、ステアリン酸およびガラクツロン酸がある。一実施形態では、本発明の化合物の好適な薬学的に許容可能な塩基付加塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から作られた金属塩またはN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、コリン、クロロプロカイン、エタノールアミン、エチレンジアミン、およびプロカインから作られた有機塩が挙げられる。これらの塩は全て、対応する化合物から従来の手段によって調製され得る。薬学的に許容される塩は、他の実施形態では、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウムで処理することによって調製することができる。別の実施形態では、例えば、酢酸エステルおよび安息香酸エステルなどの、化合物のエステルは、脂肪族および芳香族カルボン酸で作ることができる。
【0047】
「幹細胞」は、出生後の生涯を通して分裂し、サイクルして、さらに分化し、特殊化することができる細胞を提供する能力を保持する共通の系譜の比較的未分化な細胞(例えば、皮膚の基底層における、または様々なあらゆる種類の血液細胞が由来する骨髄における原始細胞などの造血組織における幹細胞)を指す。
【0048】
化合物に関して、「細胞におけるテロメラーゼ活性を増大させるのに有効な」とは、10μM以下の濃度の化合物を含む組成物が、TRAPアッセイで測定された、化合物を含まない同様の処方物によって生じるレベルよりも少なくとも1.5倍大きい(すなわち、少なくとも50%大きい)、本明細書に記載されたようなテロメラーゼ活性アッセイ(例えば、TRAP)アッセイで測定された、ケラチノサイトまたは線維芽細胞におけるテロメラーゼ活性のレベルを生じさせるのに有効であることを意味する。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物を含まない同様の処方物によって生じるレベルよりも少なくとも2倍(すなわち、少なくとも100%大きい)、本明細書に記載されたようなTRAPアッセイで測定された、そのような細胞におけるテロメラーゼ活性のレベルを生じさせるのに10μM以下の濃度で有効である。
【0049】
「対象」は哺乳動物である。対象は、家畜化された哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、マウス、ラット、サルなどであり得る。対象または患者はヒトであり得る。
【0050】
患者への化合物の投与に関して、「有効量」は、所望の治療結果が達成されるような、患者の細胞または組織内のテロメラーゼ活性を増大させるのに有効な量を指す。インビトロまたはエクスビボでの細胞の治療に関して、「有効量」とは、細胞内のテロメラーゼ活性を増大させ、それにより細胞の複製能力を増大させ、かつ/または寿命を延長させるのに有効な量を指す。
【0051】
本明細書で%(w/v)と表される濃度において、100%(w/v)は、1gの溶質/ml溶媒に相当する。例えば、0.1%(w/v)=1mg/mlである。
【0052】
「単離された化合物の処方物」は、処方物を作製するために、単離された化合物を1以上の他の成分(活性成分であっても、または不活性成分であってもよい)と組み合わせることによって調製される処方物を指す。「単離された化合物」という語句は、80%(w/w)以上の純度の化合物の調製物を生じさせる、1以上の化学合成工程を含むプロセスによって(処方の前に)製造された化合物を指す。
【0053】
II.テロメラーゼ活性を増大させるための方法および組成物
本発明によって、細胞内のテロメラーゼ活性を増大させるための、組成物および方法が提供される。
【0054】
本発明の化合物は、細胞内のテロメラーゼ活性を増大させることができ、かつ静脈内かまたは経口的かのいずれかで哺乳動物に投与したときに、すぐに生物学的に利用可能となることが見出されている。
【0055】
本方法によって、細胞または組織を、化合物の非存在下での細胞または組織内のテロメラーゼ活性レベルと比べて、細胞または組織内のテロメラーゼ活性を増大させるのに有効な量で、本明細書に開示されたような式Iの単離された化合物と接触させる。本方法はまた、テロメラーゼ活性の増大が望まれる細胞または組織を同定する予備工程を含み得る。
【0056】
本発明は、一態様では、式Iの化合物:
【化7】

および薬学的に許容されるその塩を含み、
式I中、Xは、ケト(=O)、ヒドロキシ、および
【化8】

から選択され、
は、ケト(=O)、ヒドロキシ、および
【化9】

から選択され、
は、ケト(=O)、ヒドロキシ、および
【化10】

から選択され、
、X、またはXのうちの少なくとも1つは、それぞれ、
【化11】

であり、
ここで、RまたはRは、−CH(CH、および−CH(CH)CHCHから独立に選択される。
【0057】
一実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)Rであり、式中、Rは、−CH(CHまたは−CH(CH)CHCHからなる群から選択される。別の実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)Rであり、式中、Rは、−CH(CHまたは−CH(CH)CHCHからなる群から選択される。
【0058】
一実施形態では、X、XまたはXのうちの少なくとも1つは、−OC(O)CH(NH)CH(CHである。別の実施形態では、XとXは両方とも、−OC(O)CH(NH)CH(CHである。
【0059】
一実施形態では、XまたはXのうちの少なくとも1つは−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHである。別の実施形態では、XとXは両方とも、−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHである。
【0060】
式Iの選択された実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XおよびXは、ヒドロキシおよびケトからから独立に選択される。さらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XおよびXは、ヒドロキシおよびケトからから独立に選択される。さらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XおよびXは、ヒドロキシおよびケトからから独立に選択される。さらなる実施形態では、XとXは両方とも、−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XはOHである。またさらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XとXは各々OHである。またさらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、XとXは各々OHである。
【0061】
式Iの選択された実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、XおよびXは、ヒドロキシおよびケトからから独立に選択される。さらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、XおよびXは、ヒドロキシおよびケトからから独立に選択される。さらなる実施形態では、XとXは両方とも、−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、XはOHである。またさらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、XとXは各々OHである。またさらなる実施形態では、Xは−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、XとXは各々OHである。
【0062】
式Iのいくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は塩酸塩である。
【0063】
式Iの例示的化合物としては、本明細書で以下のように命名されたものが挙げられる:2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル(本明細書では4と表す)、2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル(本明細書では7と表す)、2−(L)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸3b−アセトキシ−16b−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6a−イルエステル(本明細書では12と表す)、2−(L),3−ジメチル−ペンタン酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル(本明細書では14と表す)、2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−3−オキソ−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6α−イルエステル(本明細書では30と表す)、2−(L)−アミノ−3−メチル−ペンタン酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ペンタノイルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル(本明細書では32と表す)、2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸3β,6α−ジヒドロキシ−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−16β−イルエステル(本明細書では36と表す)および薬学的に許容されるその塩。
【0064】
式Iの例示的化合物としては、本明細書で以下のように命名されたものが挙げられる:2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩、2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩、2−(L)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸3b−アセトキシ−16b−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6a−イルエステル塩酸塩、2−(L),3−ジメチル−ペンタン酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩、2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−3−オキソ−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6α−イルエステル塩酸塩、2−(L)−アミノ−3−メチル−ペンタン酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ペンタノイルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩 or 2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸3β,6α−ジヒドロキシ−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−16β−イルエステル塩酸塩。
【0065】
一実施形態では、化合物は、以下の式Iの化合物:
【化12】



【化13】

【化14】

【化15】

および薬学的に許容されるそれらの塩から選択される。
【0066】
式Iの例示的化合物は、式I:
【化16】

に関して、以下の表中の化合物を含む。
【表1】


【0067】
上記の式Iの化合物は、溶媒中に処方した場合、本明細書に記載されたようなTRAPアッセイで測定された、該溶媒で処理された該細胞におけるレベルよりも少なくとも50%大きい、少なくとも70%大きい、少なくとも80%大きい、または少なくとも90%大きい、TRAPアッセイで測定された、ケラチノサイトまたは線維芽細胞におけるテロメラーゼ活性のレベルを生じさせるのに有効である。さらなる実施形態では、化合物は、本明細書に記載されたようなTRAPアッセイで測定された、該溶媒で処理した該細胞におけるレベルよりも少なくとも100%大きい、TRAPアッセイで測定された、ケラチノサイトまたは線維芽細胞におけるテロメラーゼ活性のレベルを生じさせるのに有効である。
【0068】
本発明はまた、1以上の式Iの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0069】
さらなる態様では、本発明は、細胞または組織を式Iの単離された化合物と接触させることによって、細胞または組織内のテロメラーゼを増大させる方法を提供する。この場合も、本方法は、テロメラーゼ活性の増大が望まれる細胞または組織を同定する工程を含み得る。
【0070】
III.式Iの化合物の源および合成
式の化合物は、下記のように合成することができる。
【0071】
アストラガロシドI〜VIIは、例えば、A.Kadotaら、特開昭62012791 A2号(1987)に記載されているように、キバナオウギ(Astragalus membranaceus)の根から単離することができる。その中で報告されているように、有益な薬草の様々な源から商業的に利用可能な根組織(8kg)をMeOHで還流し、その濃縮抽出物(200g)をMeOHに再溶解させ、溶出液としてCHCl/MeOH/HO混合物を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分画する。各画分を、同様の溶媒混合物を用いる逆相シリカゲルクロマトグラフィーによって後処理すると、以下の概算量の単離された化合物:アセチルアストラガロシドI(0.2g)、アストラガロシドI(3.5g)、イソアストラガロシドI(0.3g)、アストラガロシドII(2.3g)、アストラガロシドIII(1.0g)、アストラガロシドIV(0.8g)、アストラガロシドV(0.1g)、アストラガロシドVI(0.3g)、およびアストラガロシドVII(0.1g)が得られる。Kitagawa et al.,Chem.Pharm.Bull.31(2):698−708(1983b)も参照されたい。
【0072】
シクロアストラゲノール(2)は、下記の実験の節(実施例1)に記載されているように、アストラガロシドIV(1)をメタノール性HClで処理した後、中和し、標準的な後処理をし、クロマトグラフィーで精製することによって調製することができる。シクロアストラゲノールは、P−H Wang et al.,J.Chinese Chem.Soc.49:103−6(2002)によって記載されているように、キバナオウギのブタノール抽出物の酸化的分解(酸素および元素ナトリウムによる処理)によって得ることもできる。
【0073】
式Iの様々な実施形態、例えば、様々な程度にエステル化、アルキル化もしくはアシル化された化合物、またはケト基を有する化合物の調製物は、天然のおよび/または市販の出発材料(例えば、シクロアストラゲノール)を用いて、必要ならば生成物を分離して、有機合成の公知の方法によって調製することができる。下記の実験の節にいくつかの例が示されている。
【0074】
IV.生物学的活性の決定
A.TRAPアッセイプロトコル
細胞内のテロメラーゼ活性を増大させる化合物の能力は、当技術分野で公知のTRAP(テロメア反復増幅プロトコル)アッセイを用いて決定することができる(例えば、Kimら、米国特許第5,629,154号;Harleyら、米国特許第5,891,639号)。本明細書で使用するとき、「TRAPアッセイで測定されたテロメラーゼ活性」とは、以下のプロトコルに従って、ケラチノサイトまたは線維芽細胞において測定されたテロメラーゼ活性を指す。活性は、通常、そのような細胞の対照アッセイで同様に測定される活性(例えば、溶媒対照で観察されるものより50%大きいテロメラーゼ活性)と比較される。
【0075】
このアッセイで使用するのに好適な細胞株である、正常ヒト末梢血単核細胞(PBMC)または正常ヒト表皮ケラチノサイト(新生児)(HEK)は、Portland,ORもしくは4C Biotech,Seneffe,BelgiumのCascade Biologicsなどの商業的供給源、またはATCC(American Type Culture Collection)から得ることができる。ATCCウェブサイトで探し出すことができるATCC正常ヒト線維芽細胞株としては、例えば、CCL135、CCL137およびCCL151が挙げられる。
【0076】
例えば、新生児ヒト表皮ケラチノサイト(HEK)を、増殖培地(例えば、Cascade Biologics社により供給されるEpi−Life培地+ケラチノサイト増殖因子補給剤)中、約5000細胞/ウェルで、96ウェルマイクロタイタープレートにプレーティングし、1日間インキュベートする。95%エタノールまたはDMSOなどの好適な溶媒中の試験組成物を、ある範囲の濃度で、選択されたウェルに添加し、さらに24±1時間インキュベートする。
【0077】
まず、試験すべき化合物を所望の最終濃度の10倍で10%DMSO中に処方する。処方された化合物をDMSOの対照とともに96ウェル培養物に添加すると、様々な濃度の化合物が得られる。最終的なDMSO濃度は、全ウェル中、1%であってもよい。他の細胞型についてまたは他の状況では、より高いまたはより低い濃度のDMSOが望ましい場合がある。
【0078】
試験化合物とのインキュベーションの開始時および終了時の細胞の数を評価するために、同じ化合物で処理した2つ複製した細胞培養プレートを調製し、アラマーブルー(Alamar Blue)などの代謝応答性色素を用いることによって、テロメラーゼTRAP試験と並行して細胞毒性アッセイを行なってもよい。
【0079】
試験化合物の細胞毒性を客観的に測定しない場合、処理された細胞の形態をまず顕微鏡下で観察して、目に見える不規則な増殖の兆候がないことを確認することができる。
【0080】
TRAPアッセイを実施するために、培地をウェルから除去し、細胞を(CaとMgを含まない)PBS中で2回すすぐ。ディッシュを氷上で冷やし、Nonidet P40細胞溶解バッファーを添加し(1ウェル当たり約100μl)、ピペッティングで数回上下させることによって粉砕化する。この細胞を氷上で1時間インキュベートする。
【0081】
あるいは、増殖培地を除去し、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で1回洗浄し、できる限り多くの培地を除去することによって、細胞を24時間±1時間で回収してもよい。その後、50μLのM−Perバッファー(Pierce Cat# 78503&78501)を添加し、氷上で1時間±15分間インキュベートすることによって、細胞を溶解させる。場合により、プレートを2000RPMで5分間遠心分離する。プレートの各ウェルからライセートを慎重に回収し、新しいV底の貯蔵96ウェルプレートに移し、単層細胞をインタクトの状態にしておく。
【0082】
あるいは、細胞溶解溶液は、DNアーゼ、RNアーゼを含まない5.0mLのHOに、3.0mLのNonidet(登録商標)P40、1.0mLのCHAPS溶解バッファー(下記参照)、および1.0mLの10×TRAPバッファー(下記参照)を添加することによって調製され得る(DNアーゼ、RNアーゼを含まない水は、DEPC(ジエチルピロカルボナート)処理によって作製してもよいし、またはSigmaなどの販売会社から購入してもよい)。
【表2】

【0083】
細胞ライセート中のテロメラーゼ活性のレベルをTRAPアッセイを用いて測定する。
【表3】

【0084】
以下の材料を組み合わせて、マスターPCR混合物を作製する。
【表4】

【0085】
PCR混合物は以下の成分を含む。Cy5−TSプライマー(5’−AAT CCG TCG AGC AGA GTT−3’(配列番号1)という配列を有する5’−Cy5標識オリゴヌクレオチド)は、テロメラーゼの基質である。培地中のテロメラーゼ活性に応じて、テロメア反復(配列(AGGGTT)を有する)が基質に付加され、テロメラーゼ産物とも呼ばれるテロメラーゼ伸長産物が形成されることになる。5’−GCG CGG CTT ACC CTT ACC CTT ACC CTA ACC−3’(配列番号2)という配列を有するACXプライマーは、テロメラーゼ伸長産物にハイブリダイズする固定復帰プライマーである。
【0086】
細胞ライセートのサンプル(例えば、5μL)を反応チューブ中のPCR混合物に添加し、テロメア伸長およびPCR増幅を、卓上PCR機器にて、以下のサイクルプロファイルで行なう。すなわち、30℃で30分の後、以下の3段階の反応:94℃/30秒、60℃/30秒、および72℃/1分を28サイクル繰り返し、次いで72℃/4分の後、4℃で保持する。
【0087】
例えば、ブロモフェノールブルーおよびキシレンシアノールを含むローディング色素を添加し、ブロモフェノールブルーがゲルから消えるまで、サンプルを、1×TBE中、10〜15%の非変性PAGEに供する。CY5標識テロメラーゼ産物の検出(650nmで最大励起;670nmで最大放出)のために、例えば、蛍光画像装置を用いて、TRAP反応産物を観察する。
【0088】
テロメラーゼ活性は、各ゲルレーンのバックグラウンドを上回る捕捉された全ピクセル体積(DNAラダーバンド)によって測定し得る。活性は、Molecular Probes製のリボグリーン(登録商標)RNA定量キット(カタログ# R−11490)および商業的に推奨されている以下の条件(0.8〜200ng/mLのRNA標準範囲、1:200希釈のRG色素、100〜250倍希釈のサンプル)を用いて、全RNA(ng/mL)を測定することにより正規化し得る。
【0089】
全ピクセル体積/RNA=正規化された相対テロメラーゼ活性である。
【0090】
(細胞毒性の評価に使用される)細胞数は、アラマーブルーの読取値と正比例した。
【0091】
あるいは、1組の内部標準とプライマーを定量目的で添加することができる。まず、TSU2内部標準(TSプライマー配列の伸長物の、5’−AAT CCG TCG AGC AGA GTT AAA AGG CCG AGA AGC GAT−3’;配列番号3という配列を有するオリゴヌクレオチド)を制御されたわずかな量で添加する。5’−ATC GCT TCT CGG CCT TTT(配列番号4)という配列を有するU2プライマーは、内部標準の3’領域にハイブリダイズするように設計された復帰プライマーである。
【0092】
増幅後のTSU2内部標準の最終量は、通常、50μLの反応混合物当たり5〜10pmolである。この内部対照は、第1のテロメア付加産物の下に、ゲル上の明瞭な1本のバンドとして現れる特定の36merのPCR増幅産物(すなわち、TSオリゴヌクレオチドにテロメアが1つ付加された後、ACX復帰プライマーで増幅された産物)を生じる。この内部対照バンドを用いて、様々なサンプルからのPCR増幅を正規化することができる。
【0093】
このアッセイで生成したテロメラーゼ産物分子(TM)の相対数は、下式:
TM=(TTRAP産物−TBKD1)/(T内部標準−TBKD2
(式中:TTRAP産物は、全てのテロメラーゼ産物についてゲル上で測定された合計強度であり、TBKD1は、テロメラーゼ産物によって囲まれた面積と等しい大きさの面積について空白レーンで測定されたバックグラウンドであり、T内部標準は、内部標準バンドについての強度であり、TBKD2は、内部標準バンドよって囲まれた面積と等しい大きさの面積について空白レーンで測定されたバックグラウンド強度である)によって決定される。結果として得られた数は、TMを決定する目的で、本明細書では30分と指定される所与のインキュベーション時間に生成されたテロメラーゼ産物の分子数である。
【0094】
上記のような式Iの化合物は、1μM以下の濃度で、線維芽細胞またはケラチノサイトにおいて、溶媒対照で見られるテロメラーゼ活性のレベルよりも少なくとも50%大きいテロメラーゼ活性のレベルを生じさせることができる。10μM以下の濃度で、記載されたTRAPアッセイで測定される、溶媒対照で見られるそのような活性のレベルよりも少なくとも約75%、100%または500%大きいテロメラーゼ活性を生じさせる化合物などの、さらにより強力な活性が、いくつかの用途には適切である場合がある。
【0095】
テロメラーゼ活性の増大における有効性を様々な濃度の上記の式Iの化合物について評価した。上記のプロトコルに従って、HEKneoP細胞(新生児ケラチノサイト)でアッセイを行なった。濃度は、通常、DMSO中約0.001μM〜10μMの範囲であった。
【0096】
テロメラーゼの活性を増大させる化合物の能力を表2に示す。
【0097】
B.創傷治癒アッセイプロトコル
式Iの化合物を用いて、下記でさらに論じられるように、創傷、火傷、擦過傷または表皮の他の急性もしくは慢性状態の治癒を促進することができる。本明細書で使用するとき、「スクラッチアッセイで測定された創傷治癒活性」とは、以下のプロトコルに従って、ケラチノサイトまたは線維芽細胞で測定され、下式で示されたWHの数値で表される活性を指す。
【0098】
細胞をフラスコにプレーティングし(フラスコ1つ当たり5×10細胞)、5%CO、37℃の加湿チャンバ内で2日間培養する。「創傷」を作り出すために、2mlのプラスチックピペットを静かに引き動かして細胞表面を「スクラッチ」する。理想的な創傷は、幅が約2〜3mm、長さが50mm(組織培養フラスコの長軸に沿って)である。ビヒクル(DMSO;対照サンプル)または複数の濃度の試験組成物のいずれかを含む培地で細胞を再処理する。創傷部分を特定し、フラスコに印を付け、細胞の外観を、3〜4日間細胞培養を続ける間、写真で記録する。
【0099】
ビヒクル処理細胞または他の対照細胞と比べた化合物処理サンプルの経時的な創傷の幅を測定することによって、創傷閉鎖の量が決定される。測定は、1日目(スクラッチした直後)、2日目、3日目、および4日目に各サンプルについて撮られた写真から行われる。創傷治癒のパーセンテージ(「創傷治癒活性」とも表される)を、下式:
WH=100−(100×W/W
(式中、Wは、n日目の創傷の幅であり、Wは、1日目(すなわち、スクラッチした直後)の創傷の幅である)から算出した。
【0100】
V.治療適応症および治療方法
本発明は、細胞または組織を、細胞内のテロメラーゼ活性を増大させるのに有効な量の上記の第II節に開示されたような単離された式Iの化合物の処方物と接触させることによって、細胞内のテロメラーゼ活性を増大させる方法を提供する。本方法は、テロメラーゼ活性の増大が望まれる細胞または組織を同定する予備工程を含み得る。細胞は、培養されているもの、すなわち、インビトロもしくはエクスビボにあるものでもよいし、またはインビボで対象もしくは患者内にあるものでもよい。
【0101】
細胞または組織内のテロメラーゼ活性の増大によって実現すべき利益としては、例えば、接触した細胞の複製能力の増強および/または寿命の延長ならびに細胞の改善された機能的能力(すなわち、細胞の通常の分化した機能の改善された発現)の増強が挙げられる。本方法は、患者の細胞または組織におけるテロメラーゼ活性の増大が望まれる対象または患者における状態の診断、例えば、細胞または組織におけるテロメラーゼ活性の増大による治療の対象となる疾患の診断をさらに含み得る。したがって、本発明は、該患者の細胞または組織におけるテロメラーゼ活性を増大させることによって、患者における状態を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、有効量の上記の第II節に開示されたような式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。「有効量」とは、治療結果が達せられるように、患者の細胞または組織内のテロメラーゼ活性を増大させるのに有効な量を指す。
【0102】
治療または予防されるそのような状態または疾患には、例えば、細胞老化と関連するかまたはテロメア反復の喪失の加速を導く、テロメラーゼの非存在下における細胞の増殖速度の増加に関連する状態が含まれ得る。「増殖速度の増加」とは、その細胞型の正常な細胞と比較して、またはその細胞型の他の個体内の正常な細胞と比較して、より高い細胞分裂速度を意味する。異常に早い年齢におけるそれらの細胞群の老化は、いずれは疾患に至ること可能性がある(Westら、米国特許第6,007,989号を参照されたい)。
【0103】
特定の細胞型におけるテロメラーゼ活性の増大が有益であり得る様々な疾患状態が存在する。したがって、本発明は、患者の細胞内のテロメラーゼ活性を増大させることによって、以下から選択される状態または疾患を患者において治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、有効量の上記のような式Iの化合物を投与することを含む方法をを提供する。場合によっては、この状態は、関連した細胞型(括弧内に示されている)を利用する、以下でさらに記載されているような、エクスビボ細胞療法による治療の対象となり得る。
(a)アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、および脳卒中(ニューロン、グリア細胞、例えば、星状細胞、内皮細胞、線維芽細胞をはじめとする中枢神経系の細胞)、
(b)皮膚の萎縮および菲薄化、弾力線維分解および皮膚のしわ、皮脂腺の過形成もしくは低形成、老年性黒子および他の色素沈着異常、白髪化および抜毛または菲薄化、または慢性皮膚潰瘍などの、皮膚の加齢関連疾患(線維芽細胞、皮脂腺細胞、メラニン形成細胞、ケラチノサイト、ランゲルハンス細胞、微小血管内皮細胞、毛嚢細胞)、
(c)変性関節疾患(軟骨細胞ならびに陰窩線維芽細胞および滑膜線維芽細胞などの関節軟骨の細胞)、
(d)骨粗鬆症および骨格系の他の変性状態(骨芽細胞、骨髄間質細胞または間充織細胞、骨芽前駆細胞などの骨格系の細胞)、
(e)アテローム性動脈硬化症、石灰化症、血栓症および動脈瘤をはじめとする血管系の加齢およびストレス関連疾患(内皮細胞、平滑筋細胞、および外膜線維芽細胞をはじめとする心血管系の細胞)、
(f)加齢関連黄斑変性(色素沈着上皮細胞および血管内皮細胞などの眼の細胞)
(g)AIDS(HIV制限CD8細胞);
(h)自然的加齢、癌、癌療法、急性または慢性感染に伴って、または細胞代謝回転の加速を引き起こす遺伝子障害に伴って生じる、組織代謝回転の障害、ならびに関連貧血および他の変性状態をはじめとする加齢およびストレス関連免疫系障害(Bリンパ球およびTリンパ球、単球、循環マクロファージおよび特殊化した組織マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、NK細胞、ならびにそれらのそれぞれの前駆体などの、リンパ系、骨髄系および赤血球系の細胞をはじめとする、免疫系の他の細胞);ならびに
(i)肺線維症または肝硬変または肝線維症;
(j)バレット食道などの慢性炎症性消化管疾患;ならびに
(k)骨髄不全症候群、再生不良性貧血、骨髄異形成貧血または骨髄異形成症候群。
【0104】
上述の細胞型に加えて、テロメラーゼ活性の増大が治療的に有益であり得るさらなる細胞型としては、肝臓、内分泌腺および外分泌腺、平滑筋系、または骨格筋系の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
一例として、HIV感染個体の場合、CD8細胞の代謝回転は、これらの細胞が、HIV感染CD4細胞のレベルを制御しようとするときに増大する。AIDS(上記(g)の項)では、HIV制限CD8細胞の早期老化によって疾患が生じると考えられている。そのような細胞の老化は、1回の細胞倍加当たりの異常な量のテロメア配列の喪失によるだけでなく、それに加えて、テロメアの損耗が、その細胞群の通常のテロメア損耗よりも大きくなるように、細胞の複製速度が増大することにもよる。したがって、本発明は、HIV感染対象を治療する方法、およびより具体的には、そのような治療を必要とする対象に、有効量の上記の第II節に開示されたような式Iの化合物を投与することによって、HIV感染対象におけるHIV制限CD8細胞の早期老化を軽減する方法を提供する。
【0106】
テロメラーゼ活性の増大は、例えば、心不全または脳卒中における虚血などの、ストレスによる細胞死に対する感受性の増大に関連した状態において、非分裂細胞および増殖細胞に利益をもたらすことができる(例えば、Oh and Schneider,J Mol Cell Cardiol 34(7):717−24;Mattson,Exp Gerontol.35(4):489−502を参照されたい)。したがって、本発明は、対象の細胞内のテロメラーゼ活性を増大させることによって、対象(例えば、心不全または脳卒中による組織の虚血状態を経験している対象)におけるストレスまたはDNA損傷誘導性の細胞死を減少させる方法であって、そのような治療を必要とする対象に、有効量の上記の第II節に開示されたような式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。上述のように、本方法は、示された状態を対象において診断する予備工程を含み得る。
【0107】
別の態様では、組成物を、1以上の細胞型がその患者において限界となっており、かつそれらの細胞が複製を続ける能力またはストレス誘導性細胞死に抵抗する能力を拡大することによって、その寿命を延長することができる個体の治療に使用してもよい。そのような細胞群の一例は、ダウン症候群の患者に存在するリンパ球である。したがって、本発明は、患者の該細胞におけるテロメラーゼ活性を増大させることによって、ダウン症候群の患者に存在するリンパ球の複製能力を増強するおよび/または寿命を延長する方法であって、そのような患者に、有効量の上記の第II節に開示されたような式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。また、組成物を、通常の老化時に生じるストレス誘導性細胞死に対する抵抗性を改善するために使用してもよい。
【0108】
本発明のさらなる態様では、テロメラーゼ活性の増大は、肺線維症を予防するかまたは肺線維症の治癒を促進するのに有効である。短いテロメアは、特発性肺線維症および原因不明肝硬変のシグナチャーであることが明らかにされている(Alder et al.,PNAS(2008) 105(35)13051−13056)。化合物を肺線維症または肝硬変を治療するために使用してもよい。
【0109】
さらなる態様では、本発明は、生きているドナーまたは死体から生きている患者または対象への組織の移植を増進する方法であって、移植組織を上で定義したような単離された式Iの化合物と接触させることを含む方法を提供する。さらなる態様では、本発明は、生きている患者または対象への組織の移植を増進する方法であって、患者への組織の移植の前に、組織の移植と同時に、または組織の移植の後しばらくの間、上で定義したような単離された式Iの化合物を患者に投与することを含む方法を提供する。移植される組織は、固形組織(例えば、腎臓、心臓、肺など)、または造血組織(例えば、限定するものではないが、血液細胞、例えば、白血球、リンパ球もしく骨髄に由来し得る造血前駆細胞)などであり得る
【0110】
本発明のさらなる態様では、テロメラーゼ活性の増大は、創傷、火傷、擦過傷または表皮の他の急性もしくは慢性状態の治癒を促進するのに有効である。したがって、本発明は、そのような治療を必要とする患者に対して、患部に局所的に、有効量の上記の第II節に開示されたような単離された式Iの化合物の処方物を投与することによって、表皮の急性または慢性状態を治療する方法を提供する。
【0111】
本明細書で使用するとき、「表皮の急性または慢性状態」としては、外傷、火傷、擦過傷、外科的切開部位、ドナー移植部位で負った病変、および感染性因子により生じた病変などの急性状態、ならびに慢性静脈潰瘍、糖尿病性潰瘍、圧迫潰瘍、床擦れ、および粘膜表面の潰瘍またはびらんなどの慢性状態が挙げられる。また、永続的な炎症状態または感染によるかまたは遺伝子欠陥によって生じた皮膚または上皮表面の病変(例えば、ケロイド形成および凝固異常)も挙げられる。例えば、PCT刊行物WO02/91999号を参照されたい。
【0112】
そのような治療におけるテロメラーゼ活性の増大の望ましい効果としては、治療部位における細胞増殖もしくは細胞移動、表面の上皮形成、創傷の閉鎖(存在する場合)、または正常な生理学的機能の回復が挙げられる。治療部位の「上皮形成」または「再上皮形成」とは、適用された療法の結果としてのその部位における上皮細胞の密度の増加を意味する。
【0113】
また、本方法を、移植された細胞の増殖を増強するために使用してもよい。そのような治療におけるテロメラーゼ活性の増大の望ましい効果としては、治療部位の被覆、移植された細胞の生存、免疫拒絶が無いこと、創傷の閉鎖(存在する場合)、または正常な生理学的機能の回復が挙げられる。移植された細胞は、治癒過程に直接関与する(例えば、治癒組織の一部となる)ことによるか、または創傷を被覆し、それにより宿主細胞による治癒を促進する環境を提供することによって、創傷閉鎖に関与し得る。
【0114】
本発明はまた、皮膚の操作および皮膚表面における何らかの認められる欠陥の修復を想定している。
【0115】
さらなる態様では、本発明の方法および組成物を、細胞内のテロメラーゼ活性を増大させることによって、培養において(例えば、エクスビボもしくはインビトロ細胞療法において)、またはモノクローナル抗体産生において、細胞の複製能力を増強し、かつ/または寿命を延長させるために使用することができる。テロメラーゼ活性の増大は、細胞増殖時のテロメラーゼ反復の喪失を遅延させ、かつ/またはストレス誘導性の細胞死に対する抵抗性を改善することによって、そのような細胞の複製能力を増大させる。
【0116】
エクスビボ用途の場合、有効量の上記のような式Iの化合物を、対象から得られた外植片細胞に添加する。「有効量」とは、細胞内のテロメラーゼ活性を増大させ、それにより細胞の複製能力を増大させ、かつ/または寿命を延長させるのに有効な量を指す。
【0117】
外植片細胞としては、例えば、骨髄幹細胞などの幹細胞(米国特許第6,007,989号)、骨髄間質細胞(Simonsen et al.,Nat Biotechnol 20(6):592−6,2002)、または副腎皮質細胞(Thomas et al,Nat Biotechnol 18(1):39−42,2000)を挙げることができる。上記(a)〜(g)項に記述されたものなどの疾患状態もまた、エクスビボでの細胞に基づく療法の対象となり得る。例としては、筋ジストロフィ治療のための筋衛星細胞、骨粗鬆症治療のための骨芽細胞、加齢関連黄斑変性に対する網膜色素沈着上皮細胞、骨関節炎に対する軟骨細胞などの使用が挙げられる。
【0118】
例えば、AIDS患者では、感染したCD4細胞の拡大を制御するのに、機能的CD8細胞が限界になっているという認識から、AIDSが最初に検出された早い段階で、HIV感染個体からHIV制限CD8細胞を取り出し、バンクに保存し、その後、その個体に必要な利用できるCD8細胞がもはやなくなってしまう、より後の段階で、その個体に再導入するという治療プロトコルを考案することができる。したがって、適切な時点での限界になった個体の細胞の継続的投与を含むプロトコルによって、その個体の寿命を延長することができる。これらの適切な時点は、その後のCD8細胞の老化によるか、またはそれらの細胞が老化する時の兆候としての、そのようなCD8細胞内のテロメアの長さを測定することによって、決定することができる。本発明によって、テロメア反復の喪失を遅延させる薬剤、すなわち、上記の第II節に開示されたような式Iの化合物の存在下で保存細胞の数を拡大することができる。
【0119】
したがって、本発明は、対象から細胞集団を得て、この細胞集団をエクスビボで拡大することを含む、エクスビボでの細胞に基づく療法の方法を提供し、ここで、この細胞集団は、細胞集団のテロメラーゼ活性を増大させ、それにより細胞集団の複製能力を増大させ、かつ/または細胞集団の寿命を延長させるのに有効な量の上記の第II節に開示されたような式Iの化合物で処理される。本方法は一般に、エクスビボでの細胞に基づく療法による治療の対象となる状態(例えば、上述の状態)を対象において診断することを含む。
【0120】
さらなる実施形態では、本発明は、幹細胞増殖の方法を提供し、ここで、この幹細胞集団は、細胞集団のテロメラーゼ活性を増大させ、それにより細胞集団の複製能力を増大させ、かつ/または細胞集団の寿命を延長させるのに有効な量の上記の第II節に開示されたような式Iの化合物で処理される。
【0121】
VI.処方物および投与の方法
本発明は、細胞内のテロメラーゼ活性を増大させ、かつ/または創傷治癒を促進するのに有用な薬学的組成物を調製する方法を包含する。したがって、第II節に記載されたような単離された式Iの化合物は、薬学的賦形剤、ならびに任意で他の医療用の薬剤、補助剤(これらは、活性成分および非活性成分を含み得る)などと組み合わされる。組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、徐放処方物、液剤、懸濁剤、エマルジョン、坐剤、クリーム、軟膏、ローション、エアロゾルなどの固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体の投薬形態を取り得る。処方物は、正確な投薬量の簡単な投与に好適な単位投薬形態として提供され得る。
【0122】
単離された式Iの化合物はまた、経口投与用に処方され得る。経口薬学的処方物の場合、好適な賦形剤としては、マンニトール、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、デンプン、セルロース、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、および/またはカルボン酸マグネシウムなどの薬学的等級の担体が挙げられる。経口液体処方物において使用するために、組成物は、例えば、塩類溶液、デキストロース溶液、グリセロール、もしくはエタノール、ポリエチレングリコール、マクロゴール−15ヒドロキシステアラート、または例えば、水もしくは生理食塩水などの水性担体における水和に好適な固体または液体形態のいずれかで供給される、液剤、懸濁剤、エマルジョンまたはシロップとして調製されてもよい。所望の場合、組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、または緩衝剤などの微量の非毒性補助物質を含み得る。
【0123】
創傷治癒または表皮の他の急性もしくは慢性状態の治療において使用するために、式Iの化合物は、局所投与用に処方される。局所適用のためのビヒクルは、様々な形態のうちの1つ、例えば、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、スティック、スプレー、またはペーストであってもよい。これらの製品形態は、周知の方法に従って処方することができる。それらは、限定するものではないが、液剤、エアロゾル、エマルジョン、ゲルおよびリポソームなどの様々な種類の担体を含み得る。担体は、例えば、水中油基剤または油中水基剤を有するエマルジョンとして処方され得る。エマルジョンで利用される好適な疎水性(油性)成分としては、例えば、植物油、動物油脂、合成炭化水素、ならびにポリエステルをはじめとする、それらのエステル類およびアルコール類、ならびに有機ポリシロキサン油が挙げられる。そのようなエマルジョンはまた、連続相内の不連続相を分散および懸濁させるために、当技術分野でよく知られているような、乳化剤および/または界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤)を含み得る。
【0124】
局所処方物は通常、構造化剤、増粘剤またはゲル化剤、および皮膚軟化剤または潤滑剤から選択される1以上の成分を含む。よく利用される構造化剤としては、ステアリルアルコールなどの長鎖アルコール類、ならびにグリセリルエーテル類またはそのエステル類およびオリゴ(エチレンオキシド)エーテル類またはそのエステル類が挙げられる。増粘剤およびゲル化剤としては、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマーおよびそれらのエステル類、ポリアクリルアミド類、ならびに寒天、カラギーナン、ゼラチン、およびグアーゴムなどの天然増粘剤が挙げられる。皮膚軟化剤の例としては、トリグリセリドエステル類、脂肪酸エステル類およびアミド類、蜜ろう、鯨ろう、カルナウバろうなどのろう、レシチンなどのリン脂質、ならびにステロール類およびその脂肪酸エステル類が挙げられる。局所処方物は、当技術分野で公知の他の成分、例えば、収斂剤、芳香剤、色素、皮膚浸透促進剤、日焼け止めなどをさらに含み得る。
【0125】
薬学的組成物はまた、非経口、経皮、または吸入による投与用に処方され得る。非経口投与用の注射可能組成物は通常、滅菌生理食塩水などの好適なIV溶液中に活性化合物を含む。組成物はまた、脂質もしくはリン脂質中、リポソーム懸濁液中、または水性エマルジョン中の懸濁液として処方され得る。
【0126】
吸入による投与のために、活性化合物は、固体または液体のエアロゾル粒子として処方される。処方物はまた、噴射剤および/またはエアロゾル形成を容易にするための分散剤(例えば、乳糖)を含み得る。経皮投与のために、活性化合物は、選択された皮膚領域への化合物の緩徐な送達を可能にし、かつ脂肪族アルコール類またはグリセロールなどの浸透促進物質も含み得る経皮パッチに含まれる。
【0127】
そのような処方物を調製するための方法は、当業者に知られているか、または当業者に明白となるであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第19版,Williams & Wilkins,1995)を参照されたい。投与される組成物は、標的細胞または標的組織においてテロメラーゼ活性を増大させる上で薬学的に安全でかつ有効な量の一定量の選択された化合物を含む。
【0128】
薬学的組成物は、0.1%(w/v)よりも多く、約10%(w/v)まで、約5%(w/v)まで、および約1%(w/v)までの、少なくとも0.1%(w/v)の上記のような式Iの化合物を含む。好適な濃度の選択は、活性剤の所望の用量、送達の頻度および送達の方法などの因子によって決まる。
【0129】
哺乳動物またはヒト患者などの対象または患者の治療のために、投薬量は、対象の体重および全身の健康、治療の対象となる状態、症状の重症度などの因子に基づいて決定される。投薬量および濃度は、所望の利益をもたらすと同時に、望ましくない副作用を避けるように決定される。対象化合物の通常の投薬量は、1〜50mg/kg/日、1〜25mg/kg/日、1〜20mg/kg/日、4〜15mg/kg/日の範囲である。対象化合物の通常の投薬量は、ヒト患者の場合、約1〜1,500mg/日、約1〜500mg/日の範囲である。特定の実施形態では、例えば、本明細書で4と表された化合物は、少なくとも1mg/kg/日または少なくとも5mg/kg/日のレベルで投与される。
【0130】
式Iの化合物の投与は、1日おき、毎日、1日2回またはそれより頻繁であってもよい。投与は、1回、1〜20日間、5〜10日間、または予防または治療中の疾患もしくは状態を予防もしくは治療する必要がある限り途切れることなく行なわれてもよい。
【0131】
以下の実施例は、実例として提示されるのであって、限定として提示されるのではない。
(実施例)
【0132】
実施例1.アストラガロシドIV(1)の17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β,6α,16β−トリオール(シクロアストラゲノール)(2)への変換
【化17】

【0133】
アストラガロシドIV(1)(5.00g、mmol)に、「HCl−MeOH 10」(TCI America)(500mL)を添加し、混合物を、室温で7日間撹拌した。反応混合物を減圧下20℃(加熱せず)で約半分の容量まで濃縮した。この混合物を、重炭酸ナトリウム水溶液および酢酸エチルに分配した。水層を、酢酸エチルで再び抽出した。有機層を合わせ、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20:1〜14:1のクロロホルム/メタノール)で精製した。残留溶媒をエタノールと置き換えるために、精製物質をエタノールに溶解させ、この溶媒を減圧下で除去して、2(2.1g、64%)を得た。
【0134】
H NMR(CDCl)δ(ppm)0.34(d,J=4.7Hz,1H),0.48(d,J=4.3Hz,1H),0.92(s,3H),0.93(s,3H),1.0−1.8(m,13H),1.11(s,3H),1.19(s,3H),1.22(s,6H),1.27(s,3H),1.9−2.0(m,4H),2.30(d,J=7.8Hz,1H),2.54(q,J=11.8Hz,1H),3.27(m,1H),3.50(m,1H),3.72(t,J=7.4Hz,1H),4.65(q,J=7.4Hz,1H)。 ESI−MS 正のm/z491(MH)、負のm/z549(MAcO)。TLC(Merck,Kieselgel 60) Rf=0.33(6:1クロロホルム/メタノール)。
【0135】
実施例2.2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩(C3−(L)−バリル−シクロアストラゲノール)(4)の調製
【化18】


3の調製:Boc−(L)−バリン−OH(18g、81.63mmol)(Bachem,Torrance,CA)を150mlのジクロロメタン(DCM)に溶解させた。これに、15g(81.63mmol)のペンタフルオロフェノールを添加した。反応液を氷浴中で冷却した後、12.8ml(81.63mmol)の1,3ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)をゆっくりと添加した。全て添加した後、反応混合物を室温で30分間撹拌した。30分の時点で、反応混合物は混濁していた(ジイソプロピルカルボジイミド−尿素沈殿)。次に、この混合物に、10g(20.41mmol)の(2)、次いで10g(81.63mmol)のジメチルアミノピリジン(DMAP)を添加し、反応液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、HO(2×)、1%水性HCl(2×)、0.1N水性NaOH(2×)、飽和NaHCO(3×)、HO(1×)およびブライン(1×)で洗浄し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を、DCM中2%−5%MeOHの溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製すると、7.0g(50%)の標的生成物3が6.0g(33%)のビス生成物とともに得られた。
【0136】
3についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(1H,bs),0.52(1H,bs),0.90−1.38(m,30H),1.39−1.45(s,m12H),1.59−1.63(m,5H),1.76−1.82(m,2H),1.96−2.01(m,4H),2.16−2.20(m,1H),2.30−2.35(d,1H),2.49−2.54(q,1H),3.45−3.57(t,1H),3.71−3.76(t,1H),4.19−4.21(m,1H),4.53−4.61(m,1H),4.69−4.71(q,1H),5.0−5.2(d,1H)。MS(M+H)690。
【0137】
【化19】

4の調製:1g(1.45mmol)の3に、1.8mlの4.0M HCl/ジオキサンを添加し、4時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、生成物を10mlの冷ジエチルエーテル中で沈殿させ、固体を濾過した。次に、この固体を高真空下で乾燥させると、800mg(88%)の標的生成物4(2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩)が白色の固体として得られた。
【0138】
4についてのH NMR(DMSOd)δppm:0.36(bs,1H),0.49(bs,1H),0.80−1.39(m,29H),1.44−1.60(m,3H),1.61−1.70(m,2H),1.81−1.89(m,4H),2.19−2.30(m,2H),2.41−2.60(m,2H),3.29−3.41(m,2H),3.58−3.61(t,1H),3.81−3.83(m,1H),4.18−4.39(bs,4H),4.49−4.51(q,2H),4.54−4.59(m,1H),8.40−8.58(bs,2H)。MS(M+H)590。
【0139】
実施例3.2−(D)−アミノ−3−メチル−酪酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩(C3−(D)−バリル−シクロアストラゲノール)(5)の調製
【化20】

Boc−(D)バリン−OH(Bachem,Torrance,CA)(18g、81.63mmol)とともに実施例2の手順を用いて、化合物5を調製した。
【0140】
5についてのH NMR(DMSOd)δppm:0.30(bs,1H),0.50(bs,1H),0.80−1.39(m,29H),1.46−1.58(m,3H),1.61−1.70(m,2H),1.79−1.89(m,4H),2.16−2.32(m,2H),2.38−2.54(m,2H),3.29−3.41(m,2H),3.58−3.61(t,1H),3.81−3.83(m,1H),4.13−4.24(bs,4H),4.50−4.52(q,2H),4.54−4.59(m,1H),8.43−8.60(bs,2H)。MS(M+H)590。
【0141】
実施例4:2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩(C3,C6−(L,L)−ビスバリル−シクロアストラゲノール)−7の調製
【化21】

6の調製:Boc−(L)バリン−OH(10g、46.08mmol)を80mlのN−メチルピロリドン(NMP)に溶解させた。これに、8.5g(46.08mmol)のペンタフルオロフェノールを添加した。反応液を氷浴中で冷却した後、7.2ml(46.08mmol)のDICをゆっくりと添加した。全て添加した後、反応混合物を室温で30分間撹拌した。30分の時点で、反応混合物は混濁していた(ジイソプロピルカルボジイミド−尿素沈殿)。次に、この混合物に、3.2g(6.60mmol)の2、次いで5.5g(45mmol)のDMAPを添加し、反応液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、HO(6×)、1%水性HCl(2×)、0.1N水性NaOH(2×)、飽和NaHCO(3×)、HO(1×)およびブライン(1×)で連続的に洗浄し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をDCM中2%−5%MeOHの溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製すると、4.8g(83%)の標的生成物6が得られた。
【0142】
6についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(1H,bs),0.60(1H,bs),0.80−1.0(m,24H),1.15(s,s6H),1.20(s,s6H),1.31(s,6H),1.35(s,s4H)1.41(s,s18H),1.56−1.60(m,4H),1.79−1.83(m,3H),3.71−3.76(t,1H),4.08−4.21(m,2H),4.58−4.60(m,1H),4.61−4.70(q,1H),4.72−4.80(m,1H),4.82−4.84(d,1H),4.9−5.0(d,1H)。MS(M+H)889。
【0143】
【化22】


7の調製:4.5g(5.06mmol)の6に、13mlの4.0M HCl/ジオキサンを添加し、4時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、生成物を40mlの冷ジエチルエーテルで沈殿させ、固体を濾過して除去した。次に、この固体を高真空下で乾燥させると、3.1g(91%)の標的生成物7が白色の固体として得られた。7についてのH NMR(DMSOd)δppm:0.24(bs,1H),0.59(bs,1H),0.80−1.20(m,35H),1.41−1.85(m,12H),2.10−2.22(m,2H),2.32−2.42(m,4H),2.19−2.30(m,2H),3.59−3.62(m,1H),3.81−3.83(m,2H),4.40−4.53(m,1H),4.60−4.71(m,1H),4.81−4.9(m,1H),8.40−8.70(d,4H)。MS(M+H)689。
【0144】
実施例5:2−(D)−アミノ−3−メチル−酪酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩(C3,C6−(D,D)−ビスバリル−シクロアストラゲノール)8の調製
実施例4の手順およびBoc−(D)バリン−OH(Bachem,Torrance,CA)を用いて、化合物8を調製した。
【化23】

【0145】
8についてのH NMR(DMSOd)δppm:0.26(bs,1H),0.60(bs,1H),0.78−1.23(m,35H),1.39−1.80(m,12H),2.10−2.22(m,2H),2.19−2.30(m,2H)2.35−2.40(m,4H),3.60−3.62(m,1H),3.80−3.85(m,2H),4.42−4.53(m,1H),4.58−4.70(m,1H),4.81−4.9(m,1H),8.40−8.70(d,4H)。MS(M+H)689。
【0146】
実施例6.2−(L)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸3b−アセトキシ−16b−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6a−イルエステル塩酸塩(C6−(L)−バリル−シクロアストラゲノール)12の調製
【化24】


9の調製:5g(10.22mmol)の2に、40mlのCHClおよび2.1ml(26mmol)のピリジンを添加した。反応混合物を氷浴中で冷却し、これに2.5ml(26mmol)の無水酢酸をゆっくりと添加した。全て添加した後、反応液を4℃で24時間撹拌した。TLCは、9とモノアセチル化生成物とビスアセチル化生成物とに対応する3つのスポットを示した。反応混合物を100mlのDCMで希釈し、以下のもので連続的に洗浄した:飽和NaHCO水溶液(2×)、1M HCl(1×)、HO(1×)およびブライン(1×)。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させた。粗生成物をDCM中2%のMeOHを用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、2.3g(42%)の9が白色の固体として得られた。9についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(1H,bs),0.49(1H,bs),0.90−1.25(m,32H),1.39−1.45(m2H),1.50−1.60(m,2H),1.70−1.82(m,2H),1.96−2.01(m,4H),2.18−2.20(s,3H),2.30−2.35(d,1H),3.45−3.57(m,1H),3.71−3.76(m,1H),4.49−4.59(m,1H),4.69−4.72(m,1H)。MS(M+H)533。
【0147】
10の調製:1.08g(5.0mmol)のBoc−(L)−バリンを5mlのDCMに溶解させた。これに、920mg(5.0mmol)のペンタフルオロフェノールを添加した。反応液を氷浴中で冷却した後、0.78ml(5.0mmol)のDICをゆっくりと添加した。全て添加した後、反応混合物を室温で30分間撹拌した。次に、この混合物に、532mg(1.0mmol)の9、次いで490mg(4.0mmol)のDMAPを添加し、反応液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、飽和NaHCO(3×)、0.1N HCl(1×)、HO(3×)およびブライン(1×)で洗浄し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。20mlのEtOを残渣に添加し、白色の沈殿を吸引下で濾過した。この操作をもう1度繰り返し、濾液を蒸発させ、残渣を、DCM中2%−5%MeOHの溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製すると、590mg(81%)の10が得られた。
【0148】
10についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.35(1H,bs),0.53(1H,bs),0.75−1.30(m,38H),1.45(s9H),1.50−1.60(m,2H),1.70−1.82(m,2H),1.96−2.01(m,4H),2.18−2.20(s,3H),2.30−2.35(d,1H),3.71−3.76(m,1H),4.13−4.19(m,1H),4.40−4.41(m,1H),4.51−4.53(m,1H),4.60−4.63(m,1H),4.69−4.72(m,1H),.4.81−4.83(m,1H)。MS(M+H)731。
【0149】
11の調製:500mg(0.68mmol)の10を5.0mlの無水MeOHに溶解させ、それに、2.8mlの0.5M MeONa/MeOHを添加した。反応液を室温で24時間撹拌した。反応液を(pHメーターでモニタリングしながら)1MのHCl/MeOHを滴加して注意深く中和し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を30mlのDCMに溶解させ、飽和NaHCO(1×)、HO(1×)、ブライン(1×)で連続的に洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製すると、403mg(86%)の11が白色の固体として得られた。この粗生成物を精製することなく次の工程に持ち越した。11についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.39(1H,bs),0.58(1H,bs),0.86−1.35(m,38H),1.47(s9H),1.53−1.61(m,2H),1.70−1.82(m,2H),1.96−2.01(m,4H),2.30−2.35(d,1H),3.19−3.22(m,1H),3.71−3.76(m,1H),4.13−4.19(m,1H),4.40−4.41(m,1H),4.60−4.63(m,1H),4.69−4.72(m,1H),.4.81−4.83(m,1H)。MS(M+H)690。
【0150】
12の調製:400mg(0.58mmol)の10に、0.73mlの4.0M HCl/ジオキサンを添加し、4時間撹拌した。次に、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣を5mLの冷ジエチルエーテルで洗浄した。固体を完全濾過し、高真空下で一晩乾燥させると、290mg(80%)の12が白色の固体として得られた。
【0151】
12についてのH NMR(DMSOd)δppm:0.30(bs,1H),0.45(bs,1H),0.80−1.19(m,29H),1.47−1.58(m,3H),1.61−1.70(m,2H),1.81−1.89(m,4H),2.19−2.30(m,2H),2.43−2.60(m,2H),3.03−3.05(m,1H),3.56−3.60(t,1H),3.73−3.75(m,1H),3.80−4.09(bs,4H),4.40−4.51(m,1H),4.71−4.79(m,1H),8.40−8.58(bs,2H)。MS(M+H)590。
【0152】
実施例7.2−(L),3−ジメチル−ペンタン酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩(C3−(L)−イソロイシル−シクロアストラゲノール)14の調製
【化25】

13の調製:Boc−(L)イソロイシン−OH(Bachem,Torrance,CA)(1.9g、8.16mmol)を25mlのDCMに溶解させた。これに、1.5g(8.16mmol)のペンタフルオロフェノールを添加した。反応液を氷浴中で冷却した後、1.3ml(8.16mmol)のDICをゆっくりと添加した。全て添加した後、反応混合物を室温で30分間撹拌した。30分の時点で、反応混合物は混濁していた(ジイソプロピルカルボジイミド−尿素沈殿)。次に、この混合物に、1.0g(2.04mmol)の2、次いで976mg(8.0mmol)のDMAPを添加し、反応液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、HO(2×)、1%水性HCl(2×)、0.1N水性NaOH(2×)、飽和NaHCO(3×)、HO(1×)およびブライン(1×)で洗浄し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を、DCM中2%−5%MeOHの溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製すると、943mg(67%)の標的生成物13が330mgのビス生成物とともに得られた。
【0153】
13についてのH NMR :(CDCl)δppm:0.38(1H,bs),0.52(1H,bs),0.93−1.28(m,33H),1.39−1.45(s,m12H),1.59−1.63(m,5H),1.76−1.82(m,2H),1.96−2.01(m,4H),2.16−2.20(m,1H),2.30−2.35(d,1H),2.49−2.54(q,1H),3.45−3.57(m,1H),3.71−3.76(t,1H),4.19−4.21(dd,1H),4.53−4.61(m,1H),4.69−4.71(q,1H),5.0−5.2(d,1H)。MS(M+H)704。
【化26】

【0154】
14の調製:700mg(1.0mmol)の11に1.25mlの4.0M HCl/ジオキサンを添加し、4時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、生成物を10mlの冷ジエチルエーテル中で沈殿させ、固体を濾過した。次に、この固体を高真空下で乾燥させると、512mg(80%)の標的生成物12が白色の固体として得られた。12についてのH NMR(DMSOd)δppm:0.36(bs,1H),0.49(bs,1H),0.80−1.39(m,32H),1.44−1.60(m,3H),1.61−1.70(m,2H),1.81−1.89(m,4H),2.19−2.30(m,2H),2.41−2.60(m,2H),3.29−3.41(m,1H),3.58−3.61(t,1H),3.86−3.90(m,1H),4.18−4.39(bs,4H),4.51−4.53(m,2H),4.54−4.59(m,1H),8.40−8.58(bs,2H)。MS(M+H)604。
【0155】
実施例8:2−(L)−アミノ−ヘキサン酸6a,16b−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3b−イルエステル塩酸塩(C3−(L)−オルニチニル−シクロアストラゲノール)16aと、2(L),5−ジアミノ−ペンタン酸3b,16b−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6a−イルエステル塩酸塩(C6−(L)−オルニチニル−シクロアストラゲノール)16bと、2(L),5−ジアミノ−ペンタン酸3b,6a−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−16b−イルエステル塩酸塩(C16−(L)−オルニチニル−シクロアストラゲノール)16cの混合物の調製
【化27】

【0156】
15a、15b、15cの調製:(Boc)−(L)オルニチン−OH(4.5g、13.6mmol)(Bachem,Torrance,CA)を15mlのDCMに溶解させた。これに、2.5g(13.6mmol)のペンタフルオロフェノールを添加した。反応液を氷浴中で冷却した後、2.2ml(13.6mmol)のDICをゆっくりと添加した。全て添加した後、反応混合物を室温で30分間撹拌した。30分の時点で、反応混合物は混濁していた(ジイソプロピルカルボジイミド−尿素沈殿)。次に、この混合物に、700mg(1.43mmol)の2、次いで1.6g(13.6mmol)のDMAPを添加し、反応液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、HO(2×)、1%水性HCl(2×)、0.1N水性NaOH(2×)、飽和NaHCO(3×)、HO(1×)およびブライン(1×)で洗浄し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。次に、この残渣に、25mlのジエチルエーテルを添加し、尿素を完全に沈殿させた。濾液を蒸発させ、残渣を、DCM中2%−5%MeOHの溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製すると、690mg(60%)の生成物(15aと15bと15cの混合物)、および120mg(8%)のC3,C6ビス生成物が得られた。
【0157】
H NMRにより、多量の15aおよび15bの生成物が、2%の位置異性体15cとともに示された。混合物(15a、15bおよび15c)についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(1H,bs),0.52(1H,bs),0.90−1.38(m,26H),1.39−1.45(s,m27H),1.59−1.63(m,5H),1.76−1.82(m,2H),1.96−2.01(m,4H),2.16−2.20(m,1H),2.30−2.35(d,1H),2.49−2.54(q,1H),3.10−3.19(m,6H),3.19−3.22(m,1H),3.45−3.57(t,1H),3.71−3.76(m,1H),4.19−4.21(m,1H),4.22−4.30(m,1H),4.52−4.60(m,1H),4.61−4.65(m,1H),4.79−4.81(m,1H),4.95−5.01(m,1H),5.13−5.21(m,1H),5.38−5.41(m,1H)。MS(M+H)804。
【化28】

【0158】
16a、16b、16cの調製。200mg(0.25mmol)の15aと15bと15cの混合物に、10mlの1.0M HCl/ジエチルエーテルを添加し、16時間撹拌した。白色の固体を濾過し、10mlのEtO(4×)で洗浄した。次に、この固体を高真空下で乾燥させると、160mg(95%)の標的生成物16a、16b、16cが白色の固体として得られた。H NMRにより、多量の16aおよび16bの生成物が、2%のC−16(16c)位置異性体とともに示された。
【0159】
混合物(16a、16bおよび16c)についてのH NMR:(DO)δppm:0.26(1H,bs),0.52(1H,bs),0.90−1.18(m,26H),1.49−1.74(m,5H),1.83−2.10(m,2H),2.20−2.31(m,4H),2.81−2.92(m,2H),3.19−3.20(m,1H),3.39−3.42(m,1H),3.62−3.71(m,1H),3.88−4.00(m,1H),4.08−4.12(m,1H),4.52−4.57(m,1H),4.61−4.65(m,1H),4.79−4.81(m,1H)。MS(M+H):605。
【0160】
実施例9:2−(L)−アミノ−グルタール酸1−{6a,16b−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3b−イル}エステル塩酸塩(C3(L)−グルタマート−シクロアストラゲノール)18aと、2−(L)−アミノ−グルタール酸1−{3b,16b−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6a−イル}エステル塩酸塩(C6(L)−グルタマート−シクロアストラゲノール)18bと、2−(L)−アミノ−グルタール酸1−{3b,6a−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−16b−イル}エステル塩酸塩(C16(L)−グルタマート−シクロアストラゲノール)18cの混合物の調製
【化29】

【0161】
17a、17b、17cの調製:Boc−(L)−グルタミン酸(Bachem,Torrance,CA)(O−tBu)−OH(4.5g、14.82mmol)を15mlのDCMに溶解させた。これに、2.73g(14.82mmol)のペンタフルオロフェノールを添加した。反応液を氷浴中で冷却した後、2.3ml(14.82mmol)のDICをゆっくりと添加した。全て添加した後、反応混合物を室温で30分間撹拌した。30分の時点で、反応混合物は混濁していた(ジイソプロピルカルボジイミド−尿素沈殿)。次に、この混合物に、765mg(1.56mmol)のシクロアストラゲノール2、次いで1.8g(14.82mmol)のDMAPを添加し、反応液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、HO(2×)、1%水性HCl(2×)、0.1N水性NaOH(2×)、飽和NaHCO(3×)、HO(1×)およびブライン(1×)で洗浄し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。次に、この残渣に、50mlのジエチルエーテルを添加し、尿素を完全に沈殿させた。濾液を蒸発させ、残渣を、DCM中2%−5%MeOHの溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製すると、714mg(60%)の分離不可能な生成物(17aと17bと17cの混合物)、および140mg(9%)のビス生成物(C3,C6)が得られた。H NMRにより、多量の17aおよび17bの生成物が、2%の位置異性体(17c)とともに示された。
【0162】
混合物(17a、17bおよび17c)のH NMR:(CDCl)δppm:0.29(1H,bs),0.56(1H,bs),0.90−1.20(m,26H),1.30−1.40(s,m25H),1.48−1.65(m,3H),1.82−1.92(m,2H),2.16−2.22(m,2H),2.42−2.50(m,2H),3.20−3.40(m,1H),3.55−3.61(m,1H),3.82−3.96(m,1H),4.42−4.50(m,1H),4.62−4.71(m,1H),4.79−4.81(m,1H),4.95−5.01(m,1H),5.13−5.21(m,1H),5.38−5.41(m,1H)。MS(M+H)776。
【化30】

【0163】
18a、18b、18cの調製:260mg(0.34mmol)の17aと17bと17cの混合物に、10mlの1.0M HCl/ジエチルエーテルを添加し、16時間撹拌した。白色の固体を濾過し、10mlのEtO(4×)で洗浄した。次に、この固体を高真空下で乾燥させると、210mg(95%)の標的生成物18が白色の固体として得られた。H NMRにより、多量のC−3(18a)およびC−6(18b)の生成物が、2%未満のC−16(18c)位置異性体とともに示された。混合物(18a、18bおよび18c)のH NMR:(DO)δppm:0.26(1H,bs),0.49(1H,bs),0.90−1.18(m,26H),1.49−1.74(m,4H),1.83−2.10(m,2H),2.20−2.31(m,4H),2.39−2.50(m,4H),2.81−2.92(m,2H),3.29−3.30(m,1H),3.39−3.42(m,1H),3.62−3.71(m,1H),3.88−4.02(m,3H),4.52−4.57(m,1H),4.61−4.65(m,1H),4.79−4.81(m,1H)。MS(M+H):620。
【0164】
実施例10:2−(L)−アミノ−3−フェニル−プロピオン酸6a,16b−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3a−イルエステル塩酸塩(C3−(L)−フェニルアラニル−シクロアストラゲノール)20aと、2−(L)−アミノ−3−フェニル−プロピオン酸3b,16b−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6a−イルエステル塩酸塩(C6−(L)−フェニルアラニル−シクロアストラゲノール)20bの混合物の調製
【化31】

19a、19bの調製:Boc−(L)−フェニルアラニン−OH(Bachem,Torrance,CA)(5.0g、18.84mmol)を30mlのDCMに溶解させた。これに、3.5g(18.84mmol)のペンタフルオロフェノールを添加した。反応液を氷浴中で冷却した後、2.9ml(1.9mmol)のDICをゆっくりと添加した。全て添加した後、反応混合物を室温で30分間撹拌した。30分の時点で、反応混合物は混濁していた(ジイソプロピルカルボジイミド−尿素沈殿)。次に、この混合物に、1.0g(1.56mmol)のシクロアストラゲノール2、次いで1.8g(15mmol)のDMAPを添加し、反応液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、HO(2×)、1%水性HCl(2×)、0.1N水性NaOH(2×)、飽和NaHCO(3×)、HO(1×)およびブライン(1×)で洗浄し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。次に、この残渣に、50mlのジエチルエーテルを添加し、尿素を完全に沈殿させた。濾液を蒸発させ、残渣を、DCM中1%−2%のMeOHの溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製すると、950mg(68%)の分離できない生成物混合物(C−3およびC−6)と、290mg(30%)のビス生成物(C3およびC6)とが得られた。H NMRにより、多量のC−3生成物(19a)およびC−6生成物(19b)が示された。
【0165】
混合物(19aおよび19b)のH NMR:(CDCl)δppm:0.32(1H,bs),0.60(1H,bs),0.70−1.20(m,14H),1.30−1.40(s,m12H),1.48−1.65(m,2H),1.76−1.92(m,4H),2.22−2.32(m,1H),2.52−2.58(m,1H),2.86−2.91(m,1H),3.0−3.18(m,1H),3.20−3.24(m,1H),3.55−3.61(m,1H),3.72−3.80(m,1H),4.0−4.10(m,1H),4.42−4.58(m,2H),4.61−4.63(m,1H),4.77−4.78(m,1H),4.81−4.90(m,1H),7.08−7.25(m,5H)。MS(M+H)738。
【0166】
【化32】

20aと20bの混合物の調製:330mg(0.45mmol)の19aと19bの混合物に、10mlの1.0M HCl/ジエチルエーテルを添加し、8時間撹拌した。白色の固体を濾過し、10mlの冷EtO(3×)で洗浄した。次に、この固体を高真空下で乾燥させると、260mg(86%)の標的生成物20aおよび20bが白色の固体として得られた。
【0167】
混合物(20aおよび20b)のH NMR:(DMSOd)δppm:0.22(1H,bs),0.55(1H,bs),0.70−1.10(m,24H),1.20−1.30(m,3H),1.42−1.55(m,2H),1.61−1.80(m,2H),1.87−1.89(m,2H),2.19−2.20(d,1H),2.42−2.50(m,1H),2.92−3.10(m,2H),3.20−3.21(m,2H),3.30−3.34(m,1H),3.55−3.61(m,1H),3.78−3.88(m,1H),4.12−4.20(m,2H),4.42−4.45(m,1H),4.48−4.53(m,1H),4.80−4.82(m,1H),7.08−7.25(m,5H),8.62−8.80(bs,3H)。MS(M+H)638。
【0168】
実施例11.3−メチル−2−(L)−メチルミノ−酪酸16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−6α−メトキシ−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩(C3−(L)−バリル−C6−メトキシ−シクロアストラゲノール)(22)の調製
この類似体は、以下の手順によって中間体3から作製された。
【化33】

【0169】
21の調製:280mg(0.41mmol)の3を1.5mLのNMPに溶解させ、それに、33mg(0.82mmol)のNaH(60%油中分散)を添加した。反応液を10分間撹拌した後、80μLのジメチルスルファートを添加し、周囲温度で16時間撹拌した。反応混合物を25mLのDCMで希釈し、HO(4×5mL)およびブライン(1×5mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物をDCM中1%−3%MeOHの溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、170mg(58%)の21が得られた。
【0170】
12についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(1H,bs),0.52(1H,bs),0.90−1.38(m,30H),1.39−1.45(s,m12H),1.59−1.63(m,5H),1.76−1.82(m,2H),1.96−2.01(m,4H),2.16−2.20(m,1H),2.30−2.35(d,1H),2.49−2.54(q,1H),2.70−2.73(s,s,3H),3.20−3.22(s,s3H),3.26−3.28(t,1H),3.70−3.75(t,1H),4.19−4.21(m,1H),4.53−4.61(m,1H),4.70−4.73(q,1H)。MS(M+H)718。
【0171】
【化34】

22の調製:150mg(0.21mmol)の21に、8mlの1.0M HCl/ジエチルエーテルを添加し、24時間撹拌した。白色の固体を濾過し、ジエチルエーテル(2×5mL)で洗浄した。次に、この固体を高真空下で乾燥させると、115mg(85%)の標的生成物22が白色の固体として得られた。
【0172】
22についてのH NMR(DMSOd)δppm:0.35(bs,1H),0.48(bs,1H),0.81−1.40(m,29H),1.45−1.60(m,3H),1.61−1.70(m,2H),1.81−1.89(m,4H),2.19−2.30(m,2H),2.41−2.70(m,5H),3.0−3.18(m,3H)3.20−3.28(m,2H),3.58−3.61(t,1H),3.81−3.83(m,1H),4.0−4.12(bs,4H),4.49−4.51(m,1H),4.62−4.70(m,1H),9.20−9.42(bs,2H)。MS(M+H)618。
【0173】
実施例12.2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α,16β−ジメトキシ−17−(5−(1−メトキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩(C3−(L)−バリル−C6,C16−ジメトキシ−シクロアストラゲノール)27の調製
【化35】


23の調製:5.0g(10.2mmol)の2をピリジン(50ml)に溶解させ、0℃まで冷却した。ベンゾイルクロリド(2.35ml、20.4mmol)を添加し、反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物を200mlのジエチルエーテルで希釈し、飽和NaHCO(2×)、HO(2×)およびブライン(1×)で洗浄した。MgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をDCM中1%−2%のMeOHを用いるカラムクロマトグラフィーで精製すると、1.6g(26%)の23が白色の固体として得られた。
【0174】
23についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(bs,1H),0.55(bs,1H),0.90−2.0(m,37H),1.70−1.82(m,2H),2.30−2.35(m,1H),2.50−2.6(m,1H),3.45−3.57(m,1H),3.71−3.76(m,1H),4.69−4.72(m,1H),4.79−4.81(m,1H),7.41(t,2H),7.52(t,1H),8.03(d,2H)。MS(M+H)595。
【0175】
24の調製:600mg(1.01mmol)の23をTHF(10ml)に溶解させ、NaH(323mg、8.08mmol)を添加し、反応混合物を20分間撹拌した。ジメチルスルファート(509mg、4.04mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を100mlのジエチルエーテルで希釈し、HOでクエンチし、HO(2×)およびブライン(1×)で連続的に洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をDCM中1%−2%のMeOHを用いるカラムクロマトグラフィーで精製すると、460mg(72%)の24が白色の固体として得られた。
【0176】
24についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.30(bs,1H),0.53(bs,1H),0.90−2.0(m,37H),2.40−2.45(m,2H),2.92−2.96(m,1H),3.10−3.14(s,3H),3.22−3.24(s,3H),3.80−3.82(m,1H),3.9−4.10(m,1H),4.69−4.79(m,1H),7.43(t,2H),7.52(t,1H),8.04(d,2H)。MS(M+H)637。
【0177】
25の調製:460mg(0.72mmol)の24をDCM(10ml)に溶解させ、これに、10mlの0.5M NaOMのMeOH溶液を添加し、反応混合物を40℃で48時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO溶液でクエンチし、次に、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗生成物をDCM中1%−2%のMeOHを用いるカラムクロマトグラフィーで精製すると、210mg(55%)の25が白色の固体として得られた。
【0178】
25についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.24(bs,1H),0.49(bs,1H),0.90−2.0(m,37H),2.40−2.45(m,2H),2.92−2.96(m,1H),3.10−3.14(s,3H),3.22−3.24(s,3H),3.26−3.28(m,1H),3.80−3.82(m,1H),3.9−4.10(m,1H)。MS(M+H)533。
【0179】
26の調製:Boc−Val−OH(685mg、3.16mmol)を3mlのDCMに溶解させた。これに、581mg(3.16mmol)のペンタフルオロフェノールを添加した。反応液を氷浴中で冷却した後、0.49ml(3.16mmol)のDICをゆっくりと添加した。全て添加した後、反応混合物を室温で10分間撹拌し、その時、反応混合物は混濁していた(ジイソプロピルカルボジイミド−尿素沈殿)。この混合物に、210mg(0.395mmol)の25、次いで385mg(3.16mmol)のDMAPを添加し、反応液を室温で48時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、HO(2×)、1%水性HCl(2×)、0.1N水性NaOH(2×)、飽和NaHCO(3×)、HO(1×)およびブライン(1×)で洗浄し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。次に、この残渣に、10mlのジエチルエーテルを添加し、尿素を完全に沈殿させた。濾液を蒸発させ、残渣を、DCM中2%−5%MeOHの溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製すると、277mg(96%)の標的生成物26が得られた。
【0180】
26についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.23(bs,1H),0.49(bs,1H),0.90−2.0(m,52H),2.20−2.25(m,1H),2.32−2.45(m,1H),2.92−3.0(m,1H),3.08−3.10(s,3H),3.19−3.20(s,3H),3.22−3.25(s,3H),3.82−3.84(m,1H),3.90−3.92(m,1H),4.10−4.21(m,1H),4.50−4.58(m,1H),4.91−5.01(m,1H)。MS(M+H)732。
【0181】
27の調製。100mg(0.14mmol)の26に、8mlの1.0M HCl/ジエチルエーテルを添加し、8時間撹拌した。白色の固体を濾過し、ジエチルエーテル(2×5mL)で洗浄した。次に、この固体を高真空下で乾燥させると、65mg(70%)の標的生成物27が白色の固体として得られた。
【0182】
27についてのH NMR(DMSOd)δppm:0.20(bs,1H),0.38(bs,1H),0.75−1.90(m,43H),2.10−2.15(m,1H),2.20−2.25(m,1H),2.82−2.88(m,1H),2.93−3.03(s,3H),3.19−3.20(s,3H),3.22−3.25(s,3H),3.70−3.79(m,1H),3.90−3.92(m,1H),4.10−4.21(m,1H),4.50−4.58(m,1H),8.14−8.24(bs,3H)。MS(M+H)632。
【0183】
実施例13:2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−3−オキソ−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6α−イルエステル塩酸塩(C6−(L)−バリル−シクロアストラゲノン)(30)の調製:3−(L)バリル−シクロアストラゲノンの調製
【化36】


28の調製:−60〜−70℃のDMSO(6.4g、4当量、100mLのDCM)の撹拌溶液に、塩化オキサリル(10mLのDCM中5.2g)を添加し、それを10分間撹拌した。化合物2(200mLのDCM中10g)を10分間かけて添加し、反応混合物を30分間撹拌した後、トリエチルアミン(5分間かけて10.3g)を添加した。反応が終わるまで、反応液を−60〜−70℃で1〜2時間撹拌した。粗生成物28をカラムクロマトグラフィーで精製した。石油エーテル:酢酸エチル=4:1で溶出すると、8gのモノ酸化生成物が得られた。
【0184】
28についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(bs,1H),0.58(bs,1H),0.80−1.32(m,25H),1.50−2.20(m,12H),2.30−2.70(m,4H),2.50−2.6(m,1H),3.45−3.52(m,1H),3.71−3.76(m,1H),4.69−4.72(m,1H)、MS(M+H)489。
【0185】
29の調製:Boc−(L)Val−OH(0.54g)を15mlのDCMに溶解させた。この溶液に、0.45gのペンタフルオロフェノールを添加した。反応液を氷浴中で冷却した後、0.4mlのDICをゆっくりと添加した。全て添加した後、反応混合物を室温で30分間撹拌した。30分の時点で、反応混合物は混濁していた(ジイソプロピルカルボジイミド−尿素沈殿)。次に、この混合物に、0.3gの化合物28、次いで0.3gのDMAPを添加し、反応液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、0.1N水性NaOH(2×)、HO(3×)およびブライン(1×)で洗浄し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。化合物29を含む残渣は、精製するのではなく、次の脱保護の工程に移した。
【0186】
30の調製:上記の粗生成物を酢酸エチル中のHClで12時間処理した。次に、生成物を水で抽出して単離し、乾燥させると、粗HCl塩が得られた。これを、石油エーテルと酢酸エチルの混合物を用いる分取HPLCで精製した。純粋な画分をプールして、120mgの最終生成物30を得た。
【0187】
30についてのH NMR:(DMSOd)δppm:0.40(bs,1H),0.80(bs,1H),0.80−1.32(m,29H),1.50−2.20(m,12H),2.30−2.32(m,2H),2.40−2.45(m,2H),3.60−3.62(m,1H),3.93−4.01(m,1H),4.49−4.51(m,1H),4.79−4.81(m,1H)。MS(M+H)588。
【0188】
実施例14:2−(L)−アミノ−3−メチル−ペンタン酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ペンタノイルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩(C3,C6−(L,L)−ビス−イソロイシン−シクロアストラゲノール)−32の調製
【化37】


31の調製:Boc−(L)−Ile−OH(4.6g、20mmol)を25mlのN−メチルピロリドン(NMP)に溶解させた。これに、3.7g(20mmol)のペンタフルオロフェノールを添加した。反応液を氷浴中で冷却した後、3.1ml(20mmol)のDICをゆっくりと添加した。全て添加した後、反応混合物を室温で30分間撹拌した。30分の時点で、反応混合物は混濁していた(ジイソプロピルカルボジイミド−尿素沈殿)。次に、この混合物に、1.0g(2.04mmol)の2、次いで1.7g(14mmol)のDMAPを添加し、反応液を室温で24時間撹拌した。反応混合物を分液漏斗に移し、HO(6×)、1%水性HCl(2×)、0.1N水性NaOH(2×)、飽和NaHCO(3×)、HO(1×)およびブライン(1×)で連続的に洗浄し、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を、DCM中2%−5%MeOHの溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製すると、1.4g(80%)の標的生成物31が得られた。
【0189】
31についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(1H,bs),0.60(1H,bs),0.80−1.0(m,24H),1.13(s,s6H),1.20(s,s6H),1.32(s,6H),1.35(s,s4H)1.41(s,s18H),1.55−1.60(m,6H),1.79−1.83(m,3H),3.71−3.75(t,1H),4.08−4.20(m,2H),4.58−4.60(m,1H),4.61−4.71(q,1H),4.72−4.80(m,1H),4.82−4.84(d,1H),4.9−5.0(d,1H)。MS(M+H)915。
【0190】
【化38】


32の調製:4mlの無水EtO中の1.5g(1.6mmol)の31に、3.5mlの4.0M HCl/ジオキサンを添加し、4時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、生成物を40mlの冷ジエチルエーテルで3回沈殿させた。固体を濾過して除去した。次に、この固体を高真空下で乾燥させると、3.1g(91%)の標的生成物32が白色の固体として得られた。32についてのH NMR(DMSOd)δppm:0.22(bs,1H),0.57(bs,1H),0.80−1.20(m,35H),1.41−1.80(m,14H),2.10−2.21(m,2H),2.34−2.42(m,4H),2.20−2.30(m,2H),3.59−3.62(m,1H),3.81−3.83(m,2H),4.42−4.53(m,1H),4.61−4.71(m,1H),4.81−4.9(m,1H),8.40−8.70(d,4H)。MS(M+H)717。
【0191】
実施例15:2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸3β,6α−ジヒドロキシ−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−16β−イルエステル塩酸塩(C16−(L)−バリル−シクロアストラゲノール)−36の調製
【化39】



33の調製:4g(8.2mmol)の2に、100mlのピリジンを添加し、氷浴中で冷却した。これに、77ml(820mmol)の無水酢酸、次いで100mg(0.81mol)のDMAPをゆっくりと添加した。反応混合物を16時間撹拌した。反応混合物を氷浴中で冷却し、3%水性HClでクエンチし、200mlのDCMで希釈し、以下のもの:飽和NaHCO水溶液(2×)、HO(3×)およびブライン(1×)で連続的に洗浄した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させた。粗生成物をDCM中1%のMeOHを用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、4.2g(89%)の33が白色の固体として得られた。33についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(1H,bs),0.49(1H,bs),0.90−1.25(m,32H),1.39−1.45(m2H),1.50−1.60(m,2H),1.70−1.82(m,2H),1.96−2.01(m,4H),2.18−2.20(s,s6H),2.30−2.35(d,1H),3.71−3.76(m,1H),4.49−4.59(m,1H),4.69−4.72(m,2H)。MS(M+H)575。
【0192】
34の調製:1.54g(2.7mmol)の33を8.0 mlのNMPに溶解させた。この透明な溶液に、800mg(8.3mmol)のカリウムtert−ブトキシドを添加し、45分間撹拌した。これに、3.0g(8.9mmol)のBoc−Val−ONp、次いで245mg(2mmol)のDMAPを添加し、24時間撹拌した。反応混合物を100mlのDCMで希釈し、以下のもの:HO(4×)、1%水性HCl(1×)、飽和NaHCO水溶液(2×)、HO(3×)およびブライン(1×)で連続的に洗浄した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させた。粗生成物を石油エーテル/酢酸エチルを用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、1.0g(48%)の34が白色の固体として得られた。34についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(1H,bs),0.49(1H,bs),0.90−1.25(m,38H),1.39−1.45(m,s11H),1.50−1.60(m,2H),1.70−1.82(m,2H),1.96−2.01(m,4H),2.18−2.20(s,s6H),2.30−2.35(d,1H),3.71−3.76(m,1H),4.13−4.18(m,1H),4.49−4.59(m,1H),4.62−4.72(m,1H),5.12−5.17(m,1H),5.38−5.42(m,1H)。MS(M+Na)796。
【0193】
35の調製:700mg(0.91mmol)の34に、20mlの0.5M MeOH/MeONa溶液を添加し、16時間撹拌した。反応液を氷浴中で冷却し、pH5になるまで1%水性HCl溶液でクエンチした。メタノールを減圧下で蒸発させ、水層に飽和NaHCO水溶液を添加し、DCM(4×)で抽出し、合わせた有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させた。粗生成物を2%から3%へのMeOH/DCMの勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製すると、360mg(58%)の35が白色の固体として得られた。35についてのH NMR:(CDCl)δppm:0.38(1H,bs),0.49(1H,bs),0.90−1.25(m,38H),1.39−1.45(m,s11H),1.50−1.60(m,2H),1.70−1.82(m,2H),2.10−2.20(m,2H),2.30−2.35(d,1H),3.20−3.25(m,1H),3.41−3.50(m,1H),3.71−3.76(m,1H),4.13−4.18(m,1H),5.12−5.17(m,1H),5.38−5.42(m,1H)。MS(M+Na)712。
【0194】
36の調製:350mg(0.51mmol)の35に、10mlの1.0M HCl/EtO溶液を添加し、5時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を10mlの無水EtO(3×)で洗浄し、真空下で濾過した。白色の固体を高真空下で乾燥させると、250mg(78%)の36が白色の固体として得られた。36についてのH NMR:(DMSO−d)δppm:0.38(1H,bs),0.49(1H,bs),0.80−1.25(m,29H),1.39−1.83(m,4H),2.10−2.20(m,2H),2.30−2.40(m,4H),3.18−3.21(m,1H),3.38−3.40(m,1H),3.71−3.76(m,1H),4.13−4.17(m,1H),5.40−5.42(m,1H),8.38−8.53(bs,3H)。MS(M+H)590。
【0195】
生物学的サンプル1:ケラチノサイト細胞/テロメラーゼ反復増幅プロトコル(TRAP)アッセイ
化合物が細胞内のテロメラーゼ活性を増大させる能力をTRAP(テロメア反復増幅プロトコル)アッセイを用いて決定することができる。このアッセイは、当技術分野で公知である(例えば、Kimら、米国特許第5,629,154号;Harleyら、米国特許第5,891,639号)。活性は、通常、そのような細胞の対照アッセイで同様に測定される活性(例えば、溶媒対照で観察されるよりも50%大きいテロメラーゼ活性)と比較される。
【0196】
このアッセイで使用するのに好適な細胞株である、正常ヒト線維芽細胞(NHF)または正常ヒトケラチノサイト(NHK)は、Cascade Biologics,Portland,ORもしくは4C Biotech,Seneffe,Belgiumなどの市販供給源から、またはATCC(American Type Culture Collection)から入手することができる。ATCCウェブサイトで探し出すことができるATCCの正常ヒト線維芽細胞株としては、例えば、CCL135、CCL137、およびCCL151が挙げられる。
【0197】
3人の個別のドナー由来のヒト表皮ケラチノサイト(新生児HEK)(Cascade Biologics,Portland OR)を1つにまとめてプールし、ワーク細胞バンクを作製した。これらの細胞を、HKGS(ヒトケラチノサイト増殖用補給剤)(Cascade,カタログ# S−001−5)を補充したEpiLife培地(Cascade Biologics,カタログ# M−EPI−500,Portland OR)中で培養した。細胞をトリプシン処理し、消化物を中和バッファーTN(登録商標)(Cascade Biologics,Portland OR)で中和して、細胞懸濁液を作製する24時間前に、HEKneo−P細胞を96ウェルプレートに播種した。細胞を増殖培地中5000細胞/100μL/ウェルで播種し、プレートを加湿式組織培養インキュベーターにて37℃、5%CO/95%大気でインキュベートした。細胞が75〜80%コンフルエンスに達するとき、播種密度は、約2.5×10/cmとなるはずである。
【0198】
試験しようとする化合物を所望の濃度にして10%DMSO中に処方した。0.01〜10μMの濃度の処方された化合物11μLを対照の10%DMSO 11μLとともに96ウェル培養物に添加した。未処理対照(NT)も含まれた。増殖培地を除去し、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で1回洗浄し、できる限り多くの培地を除去することによって、細胞を24時間±1時間で回収した。50μLのM−Perバッファー(Pierce Cat# 78503&78501)を添加し、氷上で1時間±15分間インキュベートすることによって、細胞を溶解させた。場合により、プレートを2000RPMで5分間遠心分離した。プレートの各ウェルからライセートを慎重に回収し、新しいV底の貯蔵96ウェルプレートに移して、単層細胞をインタクトの状態にしておいた。
【0199】
同じ化合物で処理した2つ複製した細胞培養プレートを調製することによって、細胞溶解と並行して細胞毒性アッセイを行なった。化合物とのインキュベーションの24時間±1時間後に、1×アラマーブルー11μLを、2つ複製したプレートに添加し、プレートを37℃でインキュベートした。励起波長530nmおよび放出波長590nmで蛍光プレートリーダーを用いて、プレートを1時間および3時間で読み取った。細胞生存率(細胞毒性)は、アラマーブルーの読取値と正比例した。
【表5】


【表6】

【0200】
Taqポリメラーゼは、AmpliTaq DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems,カタログ# N8080171)およびdNTP(Invitrogen,カタログ# R72501)であった。
【表7】

【0201】
PCR混合物は、以下の成分を含む:Cy5−TSプライマー(5’−AAT CCG TCG AGC AGA GTT−3’(配列番号1)という配列を有する5’−Cy5標識オリゴヌクレオチド)は、テロメラーゼの基質である。培地中のテロメラーゼ活性に応じて、テロメア反復(配列..AGGGTT..を有する)が基質に付加され、テロメラーゼ産物またはTRAP産物とも呼ばれるテロメラーゼ伸長産物が形成されることになる。5’−GCG CGG CTT ACC CTT ACC CTT ACC CTA ACC−3’(配列番号2)という配列を有するACXプライマーは、テロメラーゼ伸長産物にハイブリダイズする固定復帰プライマーである。
【0202】
細胞ライセートのサンプル(5〜10μL)を反応チューブ中のPCR混合物に添加し、混合物を以下の温度で指示された時間インキュベートすることによって、すなわち、30℃で30分の後、28サイクルの3段階のPCR反応:94℃で30秒、60℃で30秒、および72℃で1分、次いで72℃で4分の後、4℃で保持することによって、テロメア伸長/増幅を行なった。このPCR反応産物をすぐにポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた。
【0203】
例えば、ブロモフェノールブルーおよびキシレンシアノールを含むローディング色素を反応混合物に添加し、サンプルを、1×TBE中10〜15%の非変性PAGEにかけた。CY5標識テロメラーゼ産物の検出(650nmで最大励起;670nmで最大放出)のために、例えば、蛍光画像装置を用いて、TRAP反応産物を観察した。
【0204】
各ゲルレーンのバックグラウンドを上回る捕捉された全ピクセル体積(DNAラダーバンド)によって、テロメラーゼ活性を測定した。Molecular Probes製のリボグリーン(登録商標)RNA定量キット(カタログ# R−11490)および業者によって推奨されている条件(0.8〜200ng/mLのRNA標準範囲、1:200希釈のRG色素、100〜250倍希釈のサンプル)を用いて、全RNA(ng/mL)を測定することによって、活性を正規化した。
【0205】
全ピクセル体積/RNA=正規化された相対テロメラーゼ活性である。
【0206】
細胞生存率(細胞毒性)は、ABの読取値と正比例した。
【0207】
結果を表2に示す。
【表8】




【0208】
生物学的サンプル2:末梢血単球細胞/テロメラーゼ反復増幅プロトコル(TRAP)アッセイ
PBMC単離。血液をヘパリンナトリウムバキュテナー中に回収し、1本の50mLポリプロピレンチューブ中にプールした。血液を1×PBSで1:1希釈し、逆さにして完全に混合した。25mLの希釈した血液を12mLのLympholyte−H(Cedarlane Laboratories)の上に重ねて、800gにて室温で20分間遠心分離した。ピペットを用いて、Lympholyte−Hの界面にあるリンパ球層を慎重に取り除き、新しい50mLチューブに移した。移した細胞を1×PBSで1:1希釈し、800gで10分間遠心分離して、リンパ球をペレット化した。このリンパ球を「完全」培地(これは、10%の非働化FBSおよび10mMのHepesが補充されたRPMI(Sigma,カタログNo.R8758)からなる)で2回洗浄した。
【0209】
培養条件。トリパンブルー排除を用いて細胞を計数し、細胞の最終濃度が1×10/mLとなるように完全培地(50ユニットのhIL−2/mLが補充されている)に再懸濁した。細胞懸濁液に、T細胞活性化/拡大キット(Miltenyi,カタログNo.130−091−441)からのCD2/3/28 Abがコーティングされたビーズを1:2(ビーズ:細胞)の比で添加した。細胞をフラスコ中で増殖させ、培地の半分を(20ユニットのhIL−2/mLとともに)2〜3日おきに交換した。少なくとも1週間に1回、細胞を計数し、培地の量を調整して、細胞を約5×10/mLに維持した。
【0210】
類似体の処方。純粋な培養等級DMSO中に1mMの濃度で類似体を処方した。このストックから、類似体を100μMになるまで完全RPMI培地に希釈した。100μMの処方物の一部を10μMになるまで10%DMSOを含む完全RPMI培地に希釈した。また、ビヒクル対照を、DMSOを含む完全RPMI培地に希釈して処方し、10%溶液を得た(これは、類似体希釈物中のDMSOの量と等しい)。
【0211】
類似体による処理。培養10〜14日後に、細胞を計数し、1×10/mLの濃度で馴化培地に再懸濁した。この細胞懸濁液0.5mLを24ウェルプレートのウェルにプレーティングした。2μM(100μMストックから)および0.2μM(10μMストックから)の濃度を得るために、類似体を新鮮な完全RPMI培地に1:50で希釈した。また、ビヒクル対照(10%DMSOを含むRPMI培地)を1:50で新鮮な完全RPMI培地に希釈した。0.5mLの細胞懸濁液を含む各ウェル(1ウェル当たり5×10のはずである)に0.5mLの希釈した類似体またはDMSOビヒクル対照を入れた。それゆえ、類似体の最終濃度は1μMおよび0.1μMであり、(ビヒクル対照を含む)全てのウェル中のDMSOの最終濃度は0.1%であった。
【0212】
細胞の回収および細胞ライセートの調製。類似体およびDMSOビヒクル対照を培養物に添加して24時間後、細胞をウェルから取り出し、微量遠心チューブに入れた。細胞を14,000rpmで2分間遠心分離し、培地を吸引した後、0.5mLの冷1×PBSに再懸濁した。細胞を再び2分間遠心分離し、PBSを吸引した。細胞ペレットを100μLのM−PER(哺乳動物タンパク質抽出試薬)に再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後、懸濁液を14,000rpmにて4℃で20分間遠心分離した。スピンした後、80μLのライセートを、細胞破片を移さないように慎重に、事前に冷やした微量遠心チューブに移した。細胞ライセートの最終濃度は5000細胞/μLであった。
【0213】
TRAP反応およびゲル。1段階のTRAP PCR反応を用いて、サンプルを解析した。反応を実施する前に、サンプルを1:5でM−PERバッファーに希釈した(1000細胞/μL)。各反応について、以下の混合物を使用した:37.5μLのH0、5μLの10×TRAPバッファー(BSAを含む)、1μLの2.5mM dNTP、1μLの0.1mg/mL ACXプライマー、0.1μLの0.5mg/mL Cy5標識TSプライマー、0.4μLの5 U/μL Taqポリメラーゼ、および5μLの希釈したサンプル(反応液全体で50μL)。PCR反応は以下の通りであった:30℃で30分、94℃で30秒、60℃で30秒、および72℃で1分を28サイクル、その後、72℃で4分。PCR産物を12.5%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、STORMホスホイメージャーを用いて解析した。
【表9】

【0214】
生物学的実施例3:マウスへの化合物の投与ならびに血漿レベルおよび組織におけるテロメラーゼ活性の解析
雄のC57BL/6マウスに対して静脈内に、経口で、腹腔内に、または皮下に単回投与した後の化合物の血漿レベルを測定した。血漿サンプルを回収し、それを用いて、化合物および代謝産物の血漿濃度を測定した。さらに、テロメラーゼ活性解析のために、組織サンプル(ひげサンプルを含む)、および末梢血単核細胞(PBMC)を回収した。
【0215】
C57BL/6マウスを処理群に分けた。経口投与前の一晩の絶食期間を除いて、マウスには、研究期間の存命中ずっと、SLAC−MO1 #W080208(Shanghai Laboratories Animal Center,Shanghai,China)を自由に与えた。水は自由に飲めた。
【0216】
動物部屋の環境制御は、23±2℃の温度、50〜70%の湿度および12時間明/12時間暗の周期を維持するように設定された。12時間の暗周期は、研究手順に合わせるために一時的に中断されることがある。最初の投与を施す前の1〜7日間、動物を研究手順に順応させた。
【0217】
この研究で使用された動物は、平均体重±20%の範囲に入る体重、全身の健康および飼育(caging)への順応に基づいて選択された。動物は、経口投与前の一晩の絶食期間を除く、全研究期間中、食餌と水の両方を自由に摂ることができた。
【0218】
表3に示すように、尾静脈経由で静脈内に、経口で、皮下に、または腹腔内に投与を施した。投与を施した日に、体重を測定した。投与の容量は、投与する日に測定された個々の体重に基づいて決定された。
【0219】
投与後の様々な時点で、麻酔後に心穿刺または後眼窩穿刺により、K2−EDTA抗凝固剤および1mg/mlのNaFを含むチューブに血液サンプル(約300μL)を回収した。血液を氷上で保存した後、遠心分離(8000rpm×6分)で血漿を分離した。血漿はLC−MS/MS分析まで20℃で保存した。
【0220】
二酸化炭素吸入によって安楽死させた後、瀉血した。何匹かの動物では、30時間でひげおよび末梢血単核細胞(PBMC)を回収し、処理するまで−80℃で保存した。
【0221】
EDTAを抗凝固剤として用いて血液からPBMCを回収した。回収後、チューブを穏やかに8〜10回転倒混和した。チューブを12000rpmで30秒間遠心分離して、細胞をペレット化し、上清を除去して、得られたPBMCペレットをドライアイス/メタノール中で瞬間凍結させ、−80℃で保存した。生物学的実施例2に示したように細胞を処理した。図1は、化合物4で処理した後のPBMCにおける経時的なテロメラーゼ活性を示す。
【0222】
1本または1束のひげを抜き取り、動物1匹当たり10〜20本のひげを200μLのM−Perバッファー(Pierceカタログ#:78503/78501/78505、毛包を浸す)に入れた。これらのサンプルを抜き取ってから1時間以内にドライアイス/メタノール中で凍結させた。図2は、化合物4で処理した後のひげにおける経時的なテロメラーゼ活性テロメラーゼ活性を示す。
【0223】
式Iのモノ−アミノ酸置換化合物は、マウスに投与したときに、シクロアストラゲノールへの一部変換を示し、また、ジ−アミノ酸置換化合物は、微量のモノ置換化合物への変換を示し得ることが明らかになった。
【0224】
位置異性体混合物である、C3−(L)−オルニチニル−シクロアストラゲノール、C6−(L)−オルニチニル−シクロアストラゲノール、C16−(L)−オルニチニル−シクロアストラゲノール(16a、16b、16c混合物)およびC3−(L)−グルタマート−シクロアストラゲノール、C6−(L)−グルタマート−シクロアストラゲノール、L−グルタマート−C16− シクロアストラゲノール(18a、18b、18c混合物)はマウスでは生物学的に利用可能ではなかった。
【0225】
化合物のバイオアベイラビリティを表3に示す。
【表10】

【0226】
生物学的実施例4:雄ラットへの化合物の投与ならびに血漿レベルおよび組織におけるテロメラーゼ活性
頸動脈にカニューレを挿入した雄のスプラーグドーリーラットに対して静脈内におよび経口で単回投与した後の化合物の血漿レベルを測定した。血漿サンプルを回収し、それを用いて、化合物および代謝産物の血漿濃度を測定した。さらに、テロメラーゼ活性解析のために、組織サンプル(ひげサンプルを含む)およびPBMC細胞を回収した。
【0227】
頸動脈にカニューレを挿入した雄のスプラーグドーリーラットを表6による処理群に分けた。経口投与前の一晩の絶食期間を除いて、ラットには、研究期間の存命中ずっと、SLAC−MO1 #YY080208(Shanghai Laboratories Animal Center,Shanghai,China)を自由に与えた。水は自由に飲めた。
【0228】
動物部屋の環境制御は、23±2℃の温度、50〜70%の湿度および12時間明/12時間暗の周期を維持するように設定された。12時間の暗周期は、研究手順に合わせるために一時的に中断されることがある。最初の投与を施す前の1〜7日間、動物を研究手順に順応させた。
【0229】
この研究で使用された動物は、平均体重±20%の範囲に入る体重、全身の健康および飼育への順応に基づいて選択された。動物は、経口投与前の一晩の絶食期間を除く、全研究期間中、食餌と水の両方を自由に摂ることができた。
【0230】
化合物を2%EtOH/98%水に溶解させると、静脈内投与と経口投与の両方について、それぞれ、2.5mg/mlと1mg/mlの最終濃度が得られた。各化合物の濃度をHPL分析で確認した。
【0231】
表4に示すように、尾静脈経由で静脈内におよび経口で投与を施した。投与を施した日に、体重を測定した。投与の容量は、投与する日に測定された個々の体重に基づいて決定された。
【0232】
適当な時点で、動脈カニューレを通して、K−EDTA抗凝固剤および1mg/mlのNaFを含むチューブに血液サンプル(約250μL)を回収した。血液を氷上で保存した後、遠心分離(8000rpm×6分)で血漿を分離した。血漿はLC−MS/MS分析まで20℃で保存した。
【0233】
組織サンプル:何匹かの動物において、止血剤の投与後30時間でひげサンプルを回収し、動物1匹当たり10〜20本のひげを、200μLのM−Perバッファー(Pierceカタログ#:78503/78501/78505)を含む1.5mLエッペンドルフチューブに入れた。これらのサンプルを抜き取ってから1時間以内にドライアイス/メタノール中で凍結させた。
【0234】
式Iのモノ−アミノ酸置換化合物は、ラットに投与したときに、シクロアストラゲノールへの一部変換を示し、また、ジ−アミノ酸置換化合物は、微量のモノ置換化合物への変換を示し得ることが明らかになった。
【0235】
バイオアベイラビリティのパーセンテージを算出した。
【表11】

【0236】
生物学的実施例5:雄のビーグル犬への化合物の投与ならびに血漿レベルおよび組織におけるテロメラーゼ活性
雄のビーグル犬に対して静脈内におよび経口で単回投与した後の化合物の血漿レベルを測定した。血漿サンプルを回収し、それを用いて、化合物および代謝産物の血漿濃度を測定した。さらに、テロメラーゼ活性解析のために、ひげサンプルを含む組織サンプルおよびPBMC細胞を回収した。
【0237】
雄のビーグル犬を表5による処理群に分けた。経口投与前の一晩の絶食期間を除いて、イヌには、研究期間の存命中ずっと、SLAC−MO1 #080701(Shanghai Laboratories Animal Center,Shanghai,China)を自由に与えた。水は自由に飲めた。
【0238】
動物部屋の環境制御は、23±2℃の温度、50〜70%の湿度および12時間明/12時間暗の周期を維持するように設定された。12時間の暗周期は、研究手順に合わせるために一時的に中断されることがある。最初の投与を施す前の1〜7日間、動物を研究手順に順応させた。
【0239】
この研究で使用された動物は、平均体重±20%の範囲に入る体重、全身の健康および飼育への順応に基づいて選択された。動物は、経口投与前の一晩の絶食期間を除く、全研究期間中、食餌と水の両方を自由に摂ることができた。
【0240】
化合物を2%EtOH/98%水または5%PEG400、5%ソルトールHS−15(BASF,TX)、90%水の溶液に溶解させると、静脈内投与と経口投与の両方について、それぞれ、2.5mg/mlと1mg/mlの最終濃度が得られた。各化合物の濃度をHPL分析で確認した。
【0241】
左大腿静脈経由で静脈内に投与を施し、次いで1週間後に、経口で投与を施した。投与を施した日に、体重を測定した。投与の容量は、投与する日に測定された個々の体重に基づいて決定された。
【0242】
適当な時点で、右大腿静脈を通して、K−EDTA抗凝固剤および1mg/mlのNaFを含むチューブに血液サンプル(約250μL)を回収した。血液を氷上で保存した後、遠心分離(8000rpm×6分)で血漿を分離した。血漿はLC−MS/MS分析まで20℃で保存した。
【0243】
バイオアベイラビリティのパーセンテージを算出した。これを表5に示す。
【表12】

【0244】
生物学的実施例6:骨髄造血幹細胞/前駆細胞テロメラーゼの上方調節および細胞増殖
ヒト骨髄由来CD34造血前駆細胞を47歳の健康ドナーから得た。
【0245】
i)短期液体ヒト細胞培養物における化合物4によるテロメラーゼ活性化
ヒト骨髄由来CD34造血前駆細胞を、化合物4(1μM、100nM、10nM)、ビヒクル(1%DMSO)の存在下、または何も加えないで、イスコフの改変ダルベッコ培地(IMDM)(Invitrogen,CA)+10%胎児ウシ血清(FBS)にて3日間増殖させた。テロメラーゼ活性は、(従来のゲル−TRAPアッセイで評価したとき)ビヒクル対照と比べて、100nMの化合物4サンプルで約60〜70%増大した。
【表13】

【0246】
ii)化合物4で処理したヒト細胞培養物におけるコロニー形成単位の数の増加(14日の処理)
ヒト造血前駆CD34細胞(47歳の健康ドナー)を、化合物4(100nM)、ビヒクル(0.1%DMSO)の存在下、または何も加えないで、標準的なコロニー形成アッセイにプレーティングした。14日後、造血コロニーを数えた(CFU−E、BFU−E、CFU−GM、およびCFU−GEMM)。化合物4を含むプレートは、ビヒクルのみよりも17%コロニー形成単位が多かった(総コロニー数は、以下の通りであった:未処理、106.5;ビヒクル処理、103.5;化合物4処理、121.5)。
【表14】

【0247】
マウス骨髄由来の系統除去細胞(造血幹細胞および前駆細胞が濃縮されているが、純粋な集団ではない)を得た。
【0248】
i)化合物4で処理したマウス骨髄由来細胞培養物(正常野生型マウスHSC由来)におけるコロニー形成単位の数の増加(12日の処理)
野生型マウスの系統除去骨髄細胞(2匹の別々のマウス由来)を、化合物4(100nMおよび500nM)、ビヒクル(0.1%DMSO)の存在下、または何も加えないで、標準的なコロニー形成アッセイにプレーティングした。12日後、造血コロニーを数えた(BFU−E、CFU−GM、およびCFU−GEMM)。
【0249】
マウス1において、総コロニー数は、以下の通りであった:未処理、136;ビヒクル処理、122;100nMの化合物4、161;500nMの化合物4、162。
【0250】
マウス2において、総コロニー数は、以下の通りであった:未処理、107;ビヒクル処理、117;100nMの化合物4、121;500nMの化合物4、129。
【表15】

【0251】
総コロニー数の増加は、化合物4を投与した場合に認められた。
【0252】
ii)mTERTヘテロ接合マウスおよび(同じ親由来の)野生型対照に由来するマウス骨髄由来の系統除去細胞の短期液体培養物における化合物4によるテロメラーゼ活性化
mTERTヘテロ接合マウスおよび野生型マウス由来の系統除去骨髄細胞を、化合物4(1μM、100nM、または10nM)、ビヒクル(0.1%DMSO)の存在下、または何も加えないで、幹細胞因子(Kitl)、IL−3、およびIL−11を含むIMDM+15%FBS中で、3日間増殖させた。野生型細胞におけるテロメラーゼ活性は、100nMおよび1μMの化合物4で処理したとき、ビヒクル処理した対照と比べて、40〜50%増大した。
【0253】
mTERTヘテロ接合細胞におけるテロメラーゼ活性は、1μMの化合物4で処理したとき、ビヒクル処理した対照と比べて、50%増大した。
【0254】
iii)化合物4で処理したmTERTヘテロ接合マウス細胞の培養物におけるコロニー形成単位の数の増加(12日の処理)
mTERTヘテロ接合マウスの系統除去骨髄細胞を、化合物4(100nMおよび500nM)、ビヒクル(0.1%DMSO)の存在下、または何も加えないで、標準的なコロニー形成アッセイにプレーティングした。12日後、造血コロニーを数えた(BFU−E、CFU−GM、およびCFU−GEMM)。総コロニー数は、以下の通りであった:未処理:67;ビヒクル処理:64;100nMの化合物4:68および500nMの化合物4:77。
【表16】

【0255】
生物学的実施例7:マトリゲルプラグにおけるテロメラーゼ活性および毛細血管密度と、骨髄幹細胞/前駆細胞におけるテロメラーゼ活性とに対するBALB/cマウスへの化合物4投与の効果
BALB/cマウス(2〜3カ月齢)に、2%エタノール中の化合物4を10mg/kg/日PO(BID)で投与した。マウスに、1日間、予投与した(1日目)。0日目に、腹部に、マトリゲル(商標)(BDBiosciences,California)を皮下注射し、12日目に、マトリゲル(商標)プラグを回収した。
【0256】
プラグの半分を、TRAPアッセイを用いて、テロメラーゼ活性について解析した(RBC細胞バッファー抽出後に、M−PER抽出)。化合物4で処理した後のマトリゲル(商標)プラグにおいて、テロメラーゼ活性の1.9倍の増大(p<0.2)(n=5/群)が認められた。
【0257】
細胞数を反映するトータルRNAは、化合物4で処理した後のマトリゲル(商標)プラグで1.6倍増大した(p<0.2)(n=5/群)。
【0258】
毛細血管密度を解析するために、もう半分のマトリゲル(商標)プラグは、組織診およびCD31免疫染色に使用した(CD31は、毛細血管を裏打ちする内皮細胞のマーカーである)。化合物4で処理した後、(CD31免疫染色)(p<0.5)(n=5/群)における毛細血管密度の1.3倍の増大が認められた。
【0259】
ii)回収された骨髄細胞
系統除去磁気選別技術(Miltenyi MACSカラム)を用いて、処理マウスから骨髄幹細胞および前駆細胞を純化した。TRAPアッセイで測定される1.3〜1.5倍のテロメラーゼ活性の増大は、対照と比較したとき、化合物4で処理した骨髄幹細胞および前駆細胞で認められた(p<0.1)(n=3/群)。
【0260】
生物学的実施例8:マトリゲル(商標)プラグにおけるテロメラーゼ活性および毛細血管密度と、骨髄幹細胞/前駆細胞のテロメラーゼ活性および数とに対するC57BL/6の年老いたTERT(+/−)マウスへの化合物4投与の効果
C57BL/6バックグラウンド(8〜9カ月齢)の年老いたTert(+/−)マウスに、2%エタノール中10mg/kg/日PO(BID)で化合物4を投与した。マウスに、1日間、予投与した(−1日目)。0日目に、腹部に、マトリゲル(商標)(BDBiosciences,California)を皮下注射し、12日目に、マトリゲル(商標)プラグを回収した。
【0261】
プラグの半分をテロメラーゼ活性およびヘモグロビン含量(これは、血管形成を示すものである)について解析した(RBC細胞バッファー抽出後に、M−PER抽出)。もう半分のプラグを組織診用に処理した。
【0262】
マトリゲル(商標)プラグは、2回反復のTRAP実験で測定したとき、化合物4で処理したマウスのテロメラーゼ活性において1.8倍の増大(p<0.02)または2.6倍の増大(p<0.01)を示した(n=15/群)。
【0263】
マトリゲル(商標)プラグは、化合物4で処理したマウスのヘモグロビンレベルにおいて1.2倍の増大(p<0.2)を示した(n=15/群)。
【0264】
化合物4で処理した後、細胞数を反映するトータルRNAは、マトリゲル(商標)プラグにおいて1.5倍増大した(p<0.1)(n=15/群)。
【0265】
系統除去磁気選別技術(Miltenyi MACSカラム)を用いて、骨髄幹細胞および前駆細胞を純化した。骨髄は、2回反復のTRAP実験で測定したとき、化合物4で処理したマウスのテロメラーゼ活性において1.3倍の増大(p<0.18)または1.9倍の増大(p<0.03)を示した(n=6/群)。
【0266】
純化された骨髄幹細胞/前駆細胞の数は、化合物4で処理したマウスにおいて1.5倍増大した(p<0.1)(n=6/群)。
【0267】
生物学的実施例9:ヒト脳周皮細胞に対する化合物4および化合物7投与の効果
PD10におけるヒト脳周皮細胞(27歳の女性ドナー)を、水に溶解させた0.5μMの化合物7中で合計30時間培養した。テロメラーゼ活性および管形成を解析した。
【0268】
まず、脳周皮細胞をT−75フラスコにて0.5μMの化合物7中で24時間培養し、その後、管形成を促進するためにマトリゲルがコーティングされた24ウェルプレートにスプリットした(3つ複製して行なった)。再度、0.5μMの化合物7を培地に含めた。6時間後、サンプルを固定し、1つの条件につき3ウェル、1ウェルにつき5つの視野で、顕微鏡を用いて、分岐点を計数した。化合物7で処理した周皮細胞は、対照よりも1.9倍分岐点が多かった(p<0.15)。
【0269】
細胞を調整し、上記のように処理したが、24ウェルプレートはマトリゲルでコーティングしなかった。6時間後、TRAP解析のために細胞を回収した(M−PER抽出物)。化合物7で処理した周皮細胞において2.8倍のテロメラーゼ活性の増大が認められた。
【0270】
PD10におけるヒト脳周皮細胞(27歳の女性ドナー)をプレーティングし、播種24時間後、0.1および0.1%DMSO中0.5μMの化合物4で処理した。細胞を薬物とともに30時間インキュベートし、TRAP解析のために回収した(M−PER抽出物)。0.1および0.5μMの化合物4で処理した場合、それぞれ、1.8および1.9倍のテロメラーゼ活性の増大が認められた。2つ複製したサンプルを試験した。
【0271】
生物学的実施例10:ヒト小気道上皮細胞に対する化合物4および化合物12投与の効果
ヒト小気道上皮細胞(SAEC)および気道由来線維芽細胞(胎児肺線維芽細胞株IMR−90を含む)を、テロメラーゼ活性に対する化合物の効果を試験するためのインビトロ実験に使用した。
【0272】
SAECおよび気道由来線維芽細胞株IMR−90を24ウェルプレートに播種した。それらを、最終濃度0.2%のエタノールを含む培地中、1μMまたは0.1μMの化合物12で48時間処理した。細胞をPBSで洗浄し、M−Per溶解バッファーで溶解させた。ゲルTRAPアッセイを行ない、テロメラーゼ活性を評価した。化合物12は、上皮由来細胞(SAEC)においてテロメラーゼ活性を選択的に2〜4倍上方調節するが、線維芽細胞由来細胞IMR−90では上方調節しないことことが分かった。反復実験で、これらの発見が確認された。同様の研究で、化合物4は、化合物12と類似した特性および効力を有していた。
【0273】
SAECを、連続培養にて、最終濃度0.004%のエタノール中、0.1μMの化合物4で60日間連続して培養した。化合物4は、SAECの長期複製能力を集団倍加約2回分増大させた(算出される細胞数は4倍増加)。長期培養された肺線維芽細胞では、化合物4で効果が見られなかった。
【0274】
ヒトSAECまたはヒト線維芽細胞を、最終濃度1%のDMSOを含む培地中、様々な濃度の化合物4の存在下で増殖させた。3日後、細胞を回収し、アラマーブルー増殖アッセイを用いて増殖を測定した。SAECは、短期培養実験で約50%の増殖の増大を示した。長期増殖された肺線維芽細胞では、化合物4処理で効果が見られなかった。老化マーカーのp16およびp21は、3日間だけ化合物4で処理したSAECで著しく低下し、線維芽細胞におけるこれらのマーカーの低下は非常にわずかであった。
【0275】
SAECを24ウェルプレートに播種し、最終濃度0.2%のエタノールを含む培地中、1μMおよび0.1μMの化合物12で処理した。24時間後、培地を交換し、細胞を化合物12で再度処理した。さらに、一部の細胞をブレオマイシン(10μg/ml)およびTGFβ(10ng/ml)で処理した。2回目の処理の48時間後、細胞を洗浄し、M−Per溶解バッファーで溶解させた。ゲルTRAPアッセイを行ない、細胞内のテロメラーゼ活性を評価した。TGFβおよびブレオマイシンで処理したSAECを用いた線維症のインビトロモデルでは、筋線維芽細胞/線維症バイオマーカーのα−平滑筋アクチン(aSMA)が増大し、上皮マーカーのE−カドヘリン(E−CAD)発現が減少した。TGFβとブレオマイシンは両方とも、SAECテロメラーゼ活性を抑制し、化合物4の添加は、培養物におけるこれらの化合物の効果に逆らってテロメラーゼ活性を部分的に回復させるかまたは保護した。
【0276】
本発明は特定の実施形態および用途に関して記載されているが、当業者であれば、本明細書に開示された本発明の用途および方法の範囲を理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

および薬学的に許容されるその塩、
式I中、Xは、ケト、ヒドロキシ、および
【化2】

から選択され、
は、ケト、ヒドロキシ、および
【化3】

から選択され、
は、ケト、ヒドロキシ、および
【化4】

から選択され、
、X、およびXのうちの少なくとも1つは、それぞれ、
【化5】

であり、
ここで、RまたはRは、−CH(CH、および−CH(CH)CHCHから独立に選択される。
【請求項2】
が、
【化6】

であり、ここで、Rは、−CH(CHまたは−CH(CH)CHCHからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、
【化7】

であり、ここで、Rは、−CH(CHまたは−CH(CH)CHCHからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、
【化8】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
、XまたはXのうちの少なくとも1つが、
【化9】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
とXが両方とも、
【化10】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
またはXのうちの少なくとも1つが−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
とXが両方とも、−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、かつXおよびXがOHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、かつXおよびXが−OHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が−OC(O)CH(NH)CH(CHであり、かつXおよびXがOHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が−OC(O)CH(NH)CH(CH)CHCHであり、かつXおよびXがOHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
【化11】


【化12】

【化13】

および
【化14】

からなる群から選択される化合物、ならびに薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項15】
前記薬学的に許容される塩が塩酸塩である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル;
2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル;
2−(L)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸3b−アセトキシ−16b−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6a−イルエステル;
2−(L),3−ジメチル−ペンタン酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル、
2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−3−オキソ−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6α−イルエステル;
2−(L)−アミノ−3−メチル−ペンタン酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ペンタノイルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル;
2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸3β,6α−ジヒドロキシ−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−16β−イルエステル;
および薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される化合物。
【請求項17】
前記薬学的に許容される塩が塩酸塩である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記化合物が、
2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル 塩酸塩;
2−(L)−アミノ−3−メチル−酪酸6α−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルオキシ)−16β−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩;
2−(L)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸3b−アセトキシ−16b−ヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−6a−イルエステル塩酸塩;および
2−(L),3−ジメチル−ペンタン酸6α,16β−ジヒドロキシ−17−(5−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−2−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−4,4,13,14−テトラメチル−テトラデカヒドロ−シクロプロパ(9,10)シクロペンタ(a)フェナントレン−3β−イルエステル塩酸塩
からなる群から選択される請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
細胞または組織におけるテロメラーゼ活性を増大させる方法であって、前記細胞または組織を請求項1〜18に記載の単離された化合物と接触させることを含む、方法。
【請求項20】
前記細胞または組織が、テロメラーゼ活性の増大を必要とするものとして同定される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
薬学的に許容されるビヒクル中に請求項1〜18に記載の化合物を含む薬学的組成物。
【請求項22】
前記化合物が、少なくとも0.1%(w/v)の濃度で前記組成物中に存在する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
請求項1〜18に記載の化合物の局所処方物を含む薬学的組成物。
【請求項24】
前記局所処方物が、乳化剤、増粘剤、担体、および皮膚軟化剤からなる群から選択される1以上の成分を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
インビトロまたはエクスビボで細胞の複製能力を増強する方法であって、前記細胞におけるテロメラーゼ活性の増大を達成させる量で、前記細胞を請求項1〜18に記載の化合物と接触させることを含む、方法。
【請求項26】
前記細胞が患者から得られた外植片細胞である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
疾患を治療するための請求項1〜18に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−532092(P2012−532092A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511936(P2012−511936)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/035119
【国際公開番号】WO2010/135247
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511277445)ゲロン コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】