説明

テンショナユニット

【課題】簡単な構成で、組み付け時の作業を容易にするとともに、ガスケットの位置決め精度を確実に確保してシール性を向上し、ガスケットの再利用を可能とするテンショナユニットを提供すること。
【解決手段】テンショナ本体100と、該テンショナ本体100と被取付部材の間に挟まれるガスケット120と、テンショナ本体100を被取付部材に固定する固定ボルト130とを有するテンショナユニット100において、ガスケット120がテンショナ本体110に位置合わせして重ねられた状態で、ガスケット120のボルト孔121に挿入された固定ボルト130が保持されるボルト保持機構を有していること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のタイミングシステムなどに用いられるチェーン伝動装置においてチェーンの張力を適正に保持するためのテンショナユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関のタイミングシステムなどに用いられるテンショナユニット500は、図15、図16に示すように、出没可能なプランジャ512を有するテンショナ本体510と、テンショナ本体510と被取付部材であるエンジンブロック(図示せず)の間に挟まれ、エンジンブロックから供給される圧油の漏洩を防止するガスケット520とが、テンショナ本体510に設けられた取付孔511およびガスケット520に設けられたボルト孔521に固定ボルト530を挿入して締め付けることによって、被取付部材に固定されるように構成されている。
【0003】
これらの周知のテンショナユニット500は、組み付け作業にテンショナ本体510、ガスケット520および固定ボルト530が、それぞれ個別に供給されるため、組み付け時の作業が煩雑となるとともに、ガスケット520の位置決め精度を確保することが困難となる。
【0004】
ガスケット520の位置がずれると、固定ボルト530の締付圧がガスケット520のボルト孔521の周囲に均等にかからず、シール性が低下したり、偏った変形が発生してガスケット520の再利用が不可能になるという問題があった。
このような、ガスケットの位置決め精度の問題を軽減するため、ガスケットのボルト孔の内周部に固定ボルトのネジ山と係合する係合片を設け、固定ボルトとガスケットの位置関係の調整を容易としたものが公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−32893号公報(第3頁、第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記公知のテンショナユニットにおいては、組み付け作業にテンショナ本体、ガスケットおよび固定ボルトがそれぞれ個別に供給されるため、組み付け時の作業の煩雑さは解消されず、また、テンショナ本体とガスケットの位置関係は組み付け時に調整する必要があり、依然として、ガスケットの位置決め精度を確実に確保するためには作業を慎重に行わなければならないという問題があった。
【0007】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、簡単な構成で、組み付け時の作業を容易にするとともに、ガスケットの位置決め精度を確実に確保してシール性を向上し、ガスケットの再利用を可能とするテンショナユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本請求項1に係る発明は、テンショナ本体と、該テンショナ本体と被取付部材の間に挟まれるガスケットと、前記テンショナ本体に設けられた取付孔および前記ガスケットに設けられたボルト孔に挿入されてテンショナ本体を被取付部材に固定する固定ボルトとを有するテンショナユニットにおいて、前記ガスケットが、前記テンショナ本体に位置合わせして重ねられた状態で前記ボルト孔に挿入された固定ボルトを保持するボルト保持機構を有していることにより、前記課題を解決するものである。
【0009】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたテンショナユニットの構成に加えて、前記ガスケットが、先端に前記ボルト孔を有し前記テンショナ本体の取付孔に挿入される円筒状の挿入凸部を有し、前記保持機構が、前記挿入凸部と、外径が挿入凸部の内径より大きく内径が固定ボルトのネジ山の外径より小さいOリングとで構成されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項3に係る発明は、請求項1に記載されたテンショナユニットの構成に加えて、前記ガスケットが、先端に前記ボルト孔を有し前記テンショナ本体の取付孔に挿入される円筒状の挿入凸部を有し、前記保持機構が、前記挿入凸部の先端のボルト孔の内周に設けられ固定ボルトのネジ山に係合する係合片で構成されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0011】
本請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載されたテンショナユニットの構成に加えて、前記挿入凸部が、放射状に複数のスリットを有し、前記テンショナ本体の取付孔の内面方向に広がるように弾性が付与されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項5に係る発明は、請求項1に記載されたテンショナユニットの構成に加えて、前記ガスケットが、芯材となる薄板の表面にシール性の高いコーティング層を有してなり、前記保持機構が、前記ガスケットのボルト孔の内周面のコーティング層を、前記固定ボルトのネジ山の外径より小さい内径となるように膨出させて形成された抜け止め部で構成されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0013】
本請求項6に係る発明は、請求項5に記載されたテンショナユニットの構成に加えて、前記抜け止部が、円筒状に形成されて前記テンショナ本体の取付孔に挿入され、その先端の内周面を前記固定ボルトのネジ山の外径より小さい内径となるように構成されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0014】
本請求項1に係る発明のテンショナユニットは、テンショナ本体と、該テンショナ本体と被取付部材の間に挟まれるガスケットと、テンショナ本体に設けられた取付孔およびガスケットに設けられたボルト孔に挿入されてテンショナ本体を被取付部材に固定する固定ボルトとを有するテンショナユニットにおいて、ガスケットがテンショナ本体に位置合わせして重ねられた状態でボルト孔に挿入された固定ボルトを保持するボルト保持機構を有していることにより、組み付け作業にテンショナ本体、ガスケットおよび固定ボルトを位置決めされた状態で一体にして供給できるため、組み付け時の作業が容易となる。
【0015】
また、煩雑な作業なしにガスケットの位置決め精度を確実に確保することができるため、固定ボルトの締付圧がガスケットのボルト孔の周囲に均等かかるため、ガスケットのシール性が向上するとともに、ガスケットの偏った変形が発生せず、メンテナンス等で分解した際にもガスケットの再利用が可能となる。
【0016】
本請求項2に係る発明のテンショナユニットは、請求項1に係るテンショナユニットが奏する効果に加えて、ガスケットが先端に前記ボルト孔を有しテンショナ本体の取付孔に挿入される円筒状の挿入凸部を有し、保持機構が、挿入凸部と外径が挿入凸部の内径より大きく内径が固定ボルトのネジ山の外径より小さいOリングとで構成されていることにより、挿入凸部によってテンショナ本体とガスケットとの位置関係をより正確に確保できるとともに、固定ボルトがOリングの弾性によってガスケットにしっかり保持され、固定の際の固定ボルトの締め付け時にもガスケットと固定ボルトの位置関係を維持しながら締め付けることができるため、さらに組み付け時の作業が容易となり、ガスケットの位置決め精度を向上できる。
【0017】
本請求項3に係る発明のテンショナユニットは、請求項1に係るテンショナユニットが奏する効果に加えて、ガスケットが先端にボルト孔を有しテンショナ本体の取付孔に挿入される円筒状の挿入凸部を有し、保持機構が、挿入凸部の先端のボルト孔の内周に設けられ固定ボルトのネジ山に係合する係合片で構成されていることにより、挿入凸部によってテンショナ本体とガスケットとの位置関係をより正確に確保できるとともに、固定ボルトが係合片によってガスケットにしっかり保持され、固定の際の固定ボルトの締め付け時にもガスケットと固定ボルトの位置関係を維持しながら締め付けることができるため、さらに組み付け時の作業が容易となり、ガスケットの位置決め精度を向上できる。
【0018】
本請求項4に係る発明のテンショナユニットは、請求項2または請求項3に係るテンショナユニットが奏する効果に加えて、挿入凸部が、放射状に複数のスリットを有し、テンショナ本体の取付孔の内面方向に広がるように弾性が付与されていることにより、固定ボルトが挿入されていない状態でもテンショナ本体とガスケットが一体に保持されるため、組み付け前にテンショナユニットを一体化する作業が容易となるとともに、テンショナ本体とガスケットとの位置関係をさらに正確に確保できる。
【0019】
本請求項5に係る発明のテンショナユニットは、請求項1に係るテンショナユニットが奏する効果に加えて、ガスケットが、芯材となる薄板の表面にシール性の高いコーティング層を有してなり、保持機構が、ガスケットのボルト孔の内周面のコーティング層を、固定ボルトのネジ山の外径より小さい内径となるように膨出させて形成された抜け止め部で構成されていることにより、固定ボルトが抜け止め部の弾性によってガスケットにしっかり保持され、固定の際の固定ボルトの締め付け時にもガスケットと固定ボルトの位置関係を維持しながら締め付けることができるため、さらに組み付け時の作業が容易となり、ガスケットの位置決め精度を向上できる。
【0020】
本請求項6に係る発明のテンショナユニットは、請求項5に係るテンショナユニットが奏する効果に加えて、抜け止部が、円筒状に形成されてテンショナ本体の取付孔に挿入され、その先端の内周面を固定ボルトのネジ山の外径より小さい内径となるように構成されていることにより、テンショナ本体の取付孔に挿入される抜け止部によってテンショナ本体とガスケットとの位置関係をより正確に確保できるとともに、固定ボルトが抜け止部の弾性によってガスケットにしっかり保持され、固定の際の固定ボルトの締め付け時にもガスケットと固定ボルトの位置関係を維持しながら締め付けることができるため、さらに組み付け時の作業が容易となり、ガスケットの位置決め精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例であるテンショナユニットの一部断面図。
【図2】図1の固定ボルトの締め付け時の説明図。
【図3】図1のガスケットの挿入凸部の部分拡大図。
【図4】図1のガスケットの挿入凸部の変形例の部分拡大図。
【図5】本発明の第2実施例であるテンショナユニットの一部断面図。
【図6】図5のガスケットの挿入凸部の変形例の部分拡大図。
【図7】図5のガスケットの挿入凸部の他の変形例の部分拡大図。
【図8】図5のガスケットの挿入凸部のさらに他の変形例の部分拡大図。
【図9】本発明のガスケットの説明図。
【図10】本発明の第3実施例であるテンショナユニットの一部断面図。
【図11】図10のガスケットの変形例の一部断面図。
【図12】本発明のガスケットのボルト孔と固定ボルトの係合部の部分拡大図。
【図13】本発明のガスケットのボルト孔と固定ボルトの係合部の変形例の部分拡大図。
【図14】本発明のガスケットのボルト孔と固定ボルトの係合部の他の変形例の部分拡大図。
【図15】従来のテンショナユニットの分解斜視図。
【図16】従来のテンショナユニットの組立時の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のテンショナユニットは、テンショナ本体と、該テンショナ本体と被取付部材の間に挟まれるガスケットと、テンショナ本体に設けられた取付孔およびガスケットに設けられたボルト孔に挿入されてテンショナ本体を被取付部材に固定する固定ボルトとを有するテンショナユニットにおいて、ガスケットがテンショナ本体に位置合わせして重ねられた状態で前記ボルト孔に挿入された固定ボルトを保持するボルト保持機構を有しており、簡単な構成で、組み付け時の作業を容易にするとともに、ガスケットの位置決め精度を確実に確保してシール性を向上し、ガスケットの再利用を可能とするものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても何ら構わない。
【実施例1】
【0023】
以下に、本発明の実施例であるテンショナユニットについて図面に基づいて説明する。
本発明の第1実施例であるテンショナユニット100は、図1、図2に示すように、テンショナ本体110と、該テンショナ本体110と被取付部材であるエンジンブロックEの間に挟まれるガスケット120と、テンショナ本体110に設けられた取付孔111およびガスケット120に設けられたボルト孔121に挿入されてテンショナ本体110をエンジンブロックEに固定する固定ボルト130からなる。
【0024】
ガスケット120のボルト孔121は、テンショナ本体110の取付孔111に挿入される円筒状の挿入凸部122の先端部に設けられており、テンショナ本体110の取付孔111のエンジンブロックE側には、挿入凸部122が挿入される取付孔大径部113が設けられている。
【0025】
そして、図1に示すように、ガスケット120とテンショナ本体110が挿入凸部122が取付孔大径部113に挿入されることで位置合わせして重ねられ、外径が挿入凸部122の内径より大きく内径が固定ボルト130のネジ山131の外径より小さいOリング140が挿入凸部122に挿入され、さらに、固定ボルト130が挿入されてOリング140の弾性によって挿入凸部122に固定されることで、テンショナ本体110、ガスケット120および固定ボルト130が位置決めされた状態で一体に供給可能となる。
【0026】
そして、図2に示すように、テンショナユニット100を一体のままエンジンブロックEに締め付け固定することで、煩雑な作業なしにガスケット120の位置決め精度を確実に確保することができ、固定ボルト130の締付圧がガスケット120のボルト孔121の周囲に均等かかるため、ガスケット120のシール性が向上するとともに、ガスケット120の偏った変形が発生せず、メンテナンス等で分解した際にもガスケット120の再利用が可能となる。
【0027】
また、図3、4に示すように、ガスケット120の挿入凸部122に放射状に複数のスリット123を設け、取付孔大径部113の内面方向に広がるように弾性が付与されても良く、そうすることで、固定ボルト130が挿入されていない状態でもテンショナ本体110とガスケット120が一体に保持されるため、組み付け前にテンショナユニット100を一体化する作業がさらに容易となるとともに、テンショナ本体110とガスケット120との位置関係をさらに正確に確保できる。
なお、挿入凸部122にスリットも設けず、テンショナ本体110の取付孔111の取付孔大径部113内周に密着する外径に形成しても良い。
【実施例2】
【0028】
本発明の第2実施例であるテンショナユニット200は、図5に示すように、テンショナ本体210と、該テンショナ本体210と被取付部材であるエンジンブロックEの間に挟まれるガスケット220と、テンショナ本体210に設けられた取付孔211およびガスケット220に設けられたボルト孔に挿入されてテンショナ本体210をエンジンブロックEに固定する固定ボルト230からなる。
【0029】
ガスケット220のボルト孔は、テンショナ本体210の取付孔211に挿入される円筒状の挿入凸部222の先端部に設けられ、ボルト孔の内周部には固定ボルト230のネジ山231に係合する係合片224が設けられており、固定ボルト230が挿入されて係合片224が固定ボルト230のネジ山231に係合することで、テンショナ本体210、ガスケット220および固定ボルト230が位置決めされた状態で一体に供給可能となる。
【0030】
そして、第1実施例同様に、テンショナユニット200を一体のままエンジンブロックEに締め付け固定することで、煩雑な作業なしにガスケット220の位置決め精度を確実に確保することができ、固定ボルト230の締付圧がガスケット220のボルト孔の周囲に均等かかるため、ガスケット220のシール性が向上するとともに、ガスケット220の偏った変形が発生せず、メンテナンス等で分解した際にもガスケット220の再利用が可能となる。
【0031】
また、挿入凸部222はテンショナ本体210の取付孔211の内周に密着するように構成されることで、固定ボルト230が挿入されていない状態でもテンショナ本体210とガスケット220が一体に保持されるため、組み付け前にテンショナユニット200を一体化する作業がさらに容易となるとともに、テンショナ本体210とガスケット220との位置関係をさらに正確に確保できる。
【0032】
なお、挿入凸部222の形状は、図5、図7、図8に示すように、単純な円筒形状としても良く、図6に示すように、中央部で膨らむような鼓形状としても良い。
また、係合片224の形状は、図5に示すように、水平に突出させても良く、図6、図7に示すように、上方に傾斜して設けても良く、図8に示すように、下方に傾斜して設けても良い。
【0033】
また、挿入凸部222および係合片224の形状、および組み合わせは、固定ボルト230が挿入されて係合片224が固定ボルト230のネジ山231に係合することで、テンショナ本体210、ガスケット220および固定ボルト230が位置決めされるものであれば、図5乃至図8に例示したものに限定されず、いかなる形状、組み合わせでも良い。
【0034】
また、ガスケット220に2か所以上のボルト孔がある場合、図9に示すように、少なくとも1か所以上に挿入凸部222および係合片224が設けられていれば良く、その数はそれぞれ、何か所であっても良い。
前述した第1実施例でも同様に、挿入凸部122およびOリング140の数は、少なくとも1か所以上であれば、それぞれ、何か所であっても良い。
【実施例3】
【0035】
本発明の第3実施例であるテンショナユニット300は、図10に示すように、テンショナ本体310と、該テンショナ本体310と被取付部材であるエンジンブロックEの間に挟まれるガスケット320と、テンショナ本体310に設けられた取付孔311およびガスケット320に設けられたボルト孔に挿入されてテンショナ本体310をエンジンブロックEに固定する固定ボルト330からなる。
【0036】
ガスケット320は、芯材となる薄板327の両表面にシール性の高いコーティング層325を有してなり、ボルト孔の内周部には、抜け止め部326が、コーティング層325を固定ボルト330のネジ山331の外径より小さい内径となるように膨出させて形成されており、固定ボルト330が挿入されて抜け止め部326が固定ボルト330のネジ山331に係合することで、テンショナ本体310、ガスケット320および固定ボルト330が位置決めされた状態で一体に供給可能となる。
【0037】
そして、テンショナユニット300を一体のままエンジンブロックEに締め付け固定することで、煩雑な作業なしにガスケット320の位置決め精度を確実に確保することができ、固定ボルト330の締付圧がガスケット320のボルト孔321の周囲に均等かかるため、ガスケット320のシール性が向上するとともに、ガスケット320の偏った変形が発生せず、メンテナンス等で分解した際にもガスケット320の再利用が可能となる。
【0038】
また、図11に示すように、ガスケット320のコーティング層325を、テンショナ本体310の取付孔311に挿入される円筒状の挿入凸部322を形成し、さらにその先端に抜け止め部326を固定ボルト330のネジ山331の外径より小さい内径となるように膨出させて形成しても良い。
【0039】
そして、挿入凸部322をテンショナ本体310の取付孔311の内周に密着する外径とすることで、固定ボルト230が挿入されていない状態でもテンショナ本体310とガスケット320が一体に保持されるため、組み付け前にテンショナユニット300を一体化する作業がさらに容易となるとともに、テンショナ本体310とガスケット320との位置関係をさらに正確に確保できる。
【0040】
なお、第2実施例の係合片224および第3実施例の抜け止め部326のネジ山231、331と係合する先端部の形状は、固定ボルト230、330が固定位置決めされるとともに、締め付け作業を妨げないものであれば、図12、図13、図14に示すような、断面円形、断面先端凸形状、断面先端凹形状等、いかなる形状であっても良い。
【0041】
以上のように、本発明のテンショナユニットによれば、簡単な構成で、組み付け時の作業を容易にするとともに、ガスケットの位置決め精度を確実に確保してシール性を向上し、ガスケットの再利用を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0042】
100、200、300、500 ・・・テンショナユニット
110、210、310、510 ・・・テンショナ本体
111、211、311、511 ・・・取付孔
512 ・・・プランジャ
113 ・・・取付孔大径部
120、220、320、520 ・・・ガスケット
121、221、321、521 ・・・ボルト孔
122、222、322 ・・・挿入凸部
123 ・・・スリット
224 ・・・係合片
325 ・・・コーティング層
326 ・・・抜け止め部
130、230、330、530 ・・・固定ボルト
131、231、331 ・・・ネジ山
140 ・・・Oリング
E ・・・エンジンブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンショナ本体と、該テンショナ本体と被取付部材の間に挟まれるガスケットと、前記テンショナ本体に設けられた取付孔および前記ガスケットに設けられたボルト孔に挿入されてテンショナ本体を被取付部材に固定する固定ボルトとを有するテンショナユニットにおいて、
前記ガスケットが、前記テンショナ本体に位置合わせして重ねられた状態で前記ボルト孔に挿入された固定ボルトを保持するボルト保持機構を有していることを特徴とするテンショナユニット。
【請求項2】
前記ガスケットが、先端に前記ボルト孔を有し前記テンショナ本体の取付孔に挿入される円筒状の挿入凸部を有し、
前記保持機構が、前記挿入凸部と、外径が挿入凸部の内径より大きく内径が固定ボルトのネジ山の外径より小さいOリングとで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のテンショナユニット。
【請求項3】
前記ガスケットが、先端に前記ボルト孔を有し前記テンショナ本体の取付孔に挿入される円筒状の挿入凸部を有し、
前記保持機構が、前記挿入凸部の先端のボルト孔の内周に設けられ固定ボルトのネジ山に係合する係合片で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のテンショナユニット。
【請求項4】
前記挿入凸部が、放射状に複数のスリットを有し、前記テンショナ本体の取付孔の内面方向に広がるように弾性が付与されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のテンショナユニット。
【請求項5】
前記ガスケットが、芯材となる薄板の表面にシール性の高いコーティング層を有してなり、
前記保持機構が、前記ガスケットのボルト孔の内周面のコーティング層を、前記固定ボルトのネジ山の外径より小さい内径となるように膨出させて形成された抜け止め部で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のテンショナユニット。
【請求項6】
前記抜け止部が、円筒状に形成されて前記テンショナ本体の取付孔に挿入され、その先端の内周面を前記固定ボルトのネジ山の外径より小さい内径となるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のテンショナユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−127741(P2011−127741A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289304(P2009−289304)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】