説明

テンプレート処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及びテンプレート処理装置

【課題】テンプレート上への処理液の供給量を抑えつつ、当該テンプレートのパターン領域に処理液を適切に供給する。
【解決手段】処理液塗布治具110の塗布面111がテンプレートTのパターン領域Dを覆い、且つ塗布面111とパターン領域Dとの間の隙間116の距離が離型剤Sの毛細管現象を発生させる距離となるように、処理液塗布治具110をテンプレートTに対向して配置する(図12(a))。その後、処理液供給部120から隙間116に離型剤Sを供給し、当該離型剤Sを毛細管現象によってパターン領域D上にのみ拡散させる(図12(b)〜(d))。その後、エアノズル150から離型剤Sに空気を吹き付けて、当該離型剤Sを乾燥させる(図12(e))。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンプレートの表面において所定パターンが形成されたパターン領域上に処理液を塗布し、当該パターン領域を処理するテンプレート処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及びテンプレート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。
【0003】
上述したレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。一般にフォトリソグラフィー処理における微細化の限界は、露光処理に用いる光の波長程度である。このため、従来より露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、近年、ウェハにフォトリソグラフィー処理を行う代わりに、いわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウェハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている。この方法は、表面に微細なパターンを有するテンプレート(モールドや型と呼ばれることもある。)をウェハ上に形成したレジスト表面に圧着させ、その後剥離し、当該レジスト表面に直接パターンの転写を行うものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−43998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のインプリント方法で用いられるテンプレートの表面には、テンプレートをレジストから剥離し易くするため、通常、レジストに対して撥液性を有する離型剤が成膜されている。
【0007】
テンプレートの表面に離型剤を成膜する際には、先ず、テンプレートの表面を洗浄した後、当該テンプレートの表面に離型剤を塗布する。次に、成膜される離型剤が所定の接触角を有してレジストに対する撥液性機能を発揮できるようにするため、離型剤をテンプレートの表面に密着させる。具体的には、離型剤とテンプレートの表面を化学反応させて、離型剤中に含まれる成分のうち、レジストに対して撥液性を有する成分、例えばフッ化物成分をテンプレートの表面に吸着させる。その後、離型剤にリンス液を塗布して当該離型剤の未反応部を除去し、テンプレートの表面に所定の膜厚の離型剤が成膜される。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0008】
上述した離型剤やリンス液などの処理液をテンプレート上に塗布する際には、例えばスピン式塗布や、ノズル噴霧式塗布、浸漬式塗布などの方法が用いられる。スピン式塗布方法は、回転中のテンプレート上に処理液を供給して、遠心力によってテンプレート上に処理液を拡散させる方法である。ノズル噴霧式塗布は、霧状の処理液をテンプレート上に噴霧する方法である。浸漬式塗布は、テンプレートを処理液中に浸漬させる方法である。
【0009】
ここで、テンプレートにおいて離型剤が成膜されている必要がある範囲は、テンプレートのパターンが形成されているパターン領域のみである。すなわち、パターン領域以外のテンプレート表面は、ウェハ上のレジスト表面に圧着されることがないため、離型剤が成膜されている必要がない。しかしながら、上述した従来のいずれの塗布方法を用いても、処理液はテンプレートの表面全面に塗布され、パターン領域のみに処理液を塗布するように制御できない。また、従来の塗布方法では不必要な部分にも処理液を塗布しており、多量の処理液を必要とする。したがって、処理液の省量化に向けて改善の余地があった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、テンプレート上への処理液の供給量を抑えつつ、当該テンプレートのパターン領域に処理液を適切に供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明は、テンプレートの表面において所定パターンが形成されたパターン領域上に処理液を塗布し、当該パターン領域を処理するテンプレート処理方法であって、前記パターン領域上に前記処理液を塗布するための処理液塗布治具の塗布面が少なくとも前記パターン領域を覆い、且つ前記塗布面と前記パターン領域との間の距離が前記処理液の毛細管現象を発生させる距離となるように、前記処理液塗布治具を前記テンプレートに対向して配置する配置工程と、その後、前記塗布面と前記パターン領域との間に前記処理液を供給する供給工程と、その後、前記供給された処理液を毛細管現象によって前記パターン領域上にのみ拡散させる拡散工程と、を有することを特徴としている。なお、塗布面は例えば平坦面である。
【0012】
本発明によれば、処理液塗布治具の塗布面とテンプレートのパターン領域との間に供給された処理液は、毛細管現象によって塗布面とパターン領域との間を拡散する。すなわち、処理液はパターン領域上にのみ拡散する。したがって、処理液は、パターン領域上に適切に塗布される。しかも、処理液はパターン領域以外のテンプレート表面に拡散しないため、処理液の供給量を従来よりも少量に抑えることができ、処理液のコストを低廉化することができる。
【0013】
前記供給工程と前記拡散工程は、複数種類の処理液に対して行われてもよい。複数種類の処理液には、例えば離型剤、離型剤とテンプレート表面との密着性を向上させるためのアルコール、離型剤をリンスするリンス液、テンプレート表面を洗浄する洗浄液などが用いられる。
【0014】
前記供給工程において、少なくとも前記塗布面に形成された第1の供給口又は前記塗布面の外側に設けられた第2の供給口から供給されてもよい。かかる場合、少なくとも前記第1の供給口又は前記第2の供給口は、複数設けられていてもよい。
【0015】
前記拡散工程において、前記処理液に超音波振動を付与してもよい。
【0016】
前記拡散工程後、前記パターン領域上の前記処理液を乾燥させる乾燥工程をさらに有していてもよい。かかる場合、前記乾燥工程において、前記パターン領域上の前記処理液に空気を吹き付けてもよい。また、前記乾燥工程において、前記パターン領域上の前記処理液を加熱してもよい。さらに、前記乾燥工程において、前記パターン領域上の前記処理液の周囲の雰囲気を減圧してもよい。
【0017】
別な観点による本発明によれば、前記テンプレート処理方法をテンプレート処理装置によって実行させるために、当該テンプレート処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0018】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0019】
さらに別な観点による本発明は、テンプレートの表面において所定パターンが形成されたパターン領域上に処理液を塗布し、当該パターン領域を処理するテンプレート処理装置であって、前記パターン領域よりも大きい塗布面を備えた処理液塗布治具と、前記塗布面と前記パターン領域との間に前記処理液を供給する処理液供給部と、前記塗布面が少なくとも前記パターン領域を覆い、且つ前記塗布面と前記パターン領域との間の距離が前記処理液の毛細管現象を発生させる距離となるように、前記処理液塗布治具を前記テンプレートに対向して配置し、その後、前記塗布面と前記パターン領域との間に前記処理液を供給し、その後、前記供給された処理液を毛細管現象によって前記パターン領域上にのみ拡散させるように、前記処理液塗布治具と前記処理液供給部を制御する制御部と、を有することを特徴としている。
【0020】
前記処理液供給部は、複数種類の処理液を供給してもよい。
【0021】
前記処理液供給部は、少なくとも前記塗布面に形成された前記処理液の第1の供給口又は前記塗布面の外側に設けられた前記処理液の第2の供給口を有していてもよい。かかる場合、少なくとも前記第1の供給口又は前記第2の供給口は、複数設けられていてもよい。また、前記処理液供給部が前記第1の供給口を有する場合において、当該処理液供給部は、前記第1の供給口と同じ径を有し且つ前記第1の供給口に接続された第1の供給路と、前記第1の供給口よりも大きい径を有し且つ前記第1の供給路に接続された第2の供給路とを有していてもよい。
【0022】
前記塗布面と前記パターン領域との間を拡散する前記処理液に超音波振動を付与する振動機構を有していてもよい。
【0023】
前記処理液塗布治具は、前記塗布面の周囲に環状に形成され、前記パターン領域が形成されていない前記テンプレートの表面と接触して、前記処理液塗布治具と前記テンプレートとの間に処理空間を形成する接触面と、前記接触面に環状に設けられ、前記処理空間内の気密性を保持するためのシール材と、前記処理空間内の雰囲気を排気するための排気口と、を有していてもよい。
【0024】
前記パターン領域上に塗布された前記処理液に空気を吹き付ける空気供給部を有していてもよい。また、前記パターン領域上に塗布された前記処理液を加熱する加熱処理部を有していてもよい。
【0025】
前記塗布面には、メッシュ板が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、テンプレート上への処理液の供給量を抑えつつ、当該テンプレートのパターン領域に処理液を適切に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図4】テンプレートの平面図である。
【図5】テンプレートの側面図である。
【図6】塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図7】処理液塗布治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【図8】処理液塗布治具の構成の概略を示す横断面図である。
【図9】洗浄ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図10】洗浄ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図11】テンプレート処理の各工程を示したフローチャートである。
【図12】テンプレート処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)は処理液塗布治具を所定の位置に配置した様子を示し、(b)は処理液供給部に離型剤が供給された様子を示し、(c)は塗布面とパターン領域との間の隙間を離型剤が拡散する様子を示し、(d)はパターン領域上に離型剤が塗布された様子を示し、(e)は離型剤を乾燥させた様子を示す。
【図13】テンプレート処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)は処理液塗布治具を所定の位置に配置した様子を示し、(b)は処理液供給部にアルコールが供給された様子を示し、(c)は塗布面とパターン領域上の離型剤との間の隙間をアルコールが拡散する様子を示し、(d)は離型剤上にアルコールが塗布された様子を示し、(e)はアルコールを乾燥除去した様子を示す。
【図14】テンプレート処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)は処理液塗布治具を所定の位置に配置した様子を示し、(b)は処理液供給部にリンス液が供給された様子を示し、(c)は塗布面とパターン領域上の離型剤との間の隙間をリンス液が拡散する様子を示し、(d)は離型剤上にリンス液が塗布された様子を示し、(e)はリンス液を乾燥除去した様子を示す。
【図15】他の実施の形態にかかる塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図16】テンプレート処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)は処理液塗布治具を所定の位置に配置した様子を示し、(b)は処理液供給部に洗浄液が供給された様子を示し、(c)は塗布面とパターン領域との間の隙間を洗浄液が拡散する様子を示し、(d)はパターン領域上に洗浄液が塗布された様子を示し、(e)は洗浄液を乾燥除去した様子を示す。
【図17】他の実施の形態にかかる処理液塗布治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【図18】他の実施の形態にかかる処理液塗布治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【図19】他の実施の形態にかかる処理液塗布治具の構成の概略を示す横断面図である。
【図20】他の実施の形態にかかる処理液塗布治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【図21】他の実施の形態にかかる処理液塗布治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【図22】他の実施の形態にかかる処理液塗布治具の構成の概略を示す縦断面図である。
【図23】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置を備えたインプリントシステムの構成の概略を示す平面図である。
【図24】インプリントユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図25】インプリントユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図26】インプリント処理の各工程を示したフローチャートである。
【図27】インプリント処理の各工程におけるテンプレートとウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハ上にレジスト液が塗布された様子を示し、(b)はウェハ上のレジスト膜を光重合させた様子を示し、(c)はウェハ上にレジストパターンが形成された様子を示し、(d)はウェハ上の残存膜が除去された様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は、テンプレート処理装置1の構成の概略を示す側面図である。なお、以下の説明で用いる図面において、各構成要素の寸法は、技術の理解の容易さを優先させるため、必ずしも実際の寸法に対応していない。
【0029】
本実施の形態のテンプレート処理装置1では、図4及び図5に示すように直方体形状を有し、表面に所定の転写パターンCが形成されたテンプレートTが用いられる。以下、転写パターンCが形成されているテンプレートTの面を表面Tといい、当該表面Tと反対側の面を裏面Tという。また、テンプレートTの表面Tにおいて、転写パターンCが形成されている領域をパターン領域Dといい、その外側の領域であって、転写パターンCが形成されていない領域を外側領域Dという。パターン領域Dは、外側領域Dより突出した台状形状を有している。なお、テンプレートTには、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えばガラスが用いられる。
【0030】
テンプレート処理装置1は、図1に示すように複数、例えば5枚のテンプレートTをカセット単位で外部とテンプレート処理装置1との間で搬入出したり、テンプレートカセットCに対してテンプレートTを搬入出したりするテンプレート搬入出ステーション2と、テンプレートTに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0031】
テンプレート搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10は、複数のテンプレートカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、テンプレート搬入出ステーション2は、複数のテンプレートTを保有可能に構成されている。
【0032】
テンプレート搬入出ステーション2には、X方向に延伸する搬送路11上を移動可能なテンプレート搬送体12が設けられている。テンプレート搬送体12は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレートカセットCと処理ステーション3との間でテンプレートTを搬送できる。
【0033】
処理ステーション3には、その中心部に搬送ユニット20が設けられている。この搬送ユニット20の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば4つの処理ブロックG1〜G4が配置されている。処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2が順に配置されている。処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第3の処理ブロックG3、第4の処理ブロックG4が順に配置されている。処理ステーション3のテンプレート搬入出ステーション2側には、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット21が配置されている。
【0034】
搬送ユニット20は、テンプレートTを保持して搬送し、且つ水平方向、鉛直方向及び鉛直周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、搬送ユニット20は、処理ブロックG1〜G4内に配置された後述する各種処理ユニット、及びトランジションユニット21に対してテンプレートTを搬送できる。
【0035】
第1の処理ブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートTに各種処理液を塗布して、当該テンプレートTのパターン領域Dに離型剤を成膜する塗布ユニット30、31が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックG2も同様に、塗布ユニット32、33が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックG1及び第2の処理ブロックG2の最下段には、前記塗布ユニット30〜33に各種処理液を供給するためのケミカル室34、35がそれぞれ設けられている。
【0036】
第3の処理ブロックG3には、図3に示すようにテンプレートTに対して紫外線を照射し、テンプレートT上に離型剤が成膜される前の表面Tを洗浄する洗浄ユニット40、41が下から順に2段に重ねられている。
【0037】
第4の処理ブロックG4にも、第3の処理ブロックG3と同様に、洗浄ユニット42、43が下から順に2段に重ねられている。
【0038】
次に、上述した塗布ユニット30〜33の構成について説明する。塗布ユニット30は、図6に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器100を有している。
【0039】
処理容器100内の底面には、テンプレートTが載置される載置台101が設けられている。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くように載置台101の上面に載置される。載置台101内には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン102が設けられている。昇降ピン102は、昇降駆動部103により上下動できる。載置台101の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔104が形成されおり、昇降ピン102は、貫通孔104を挿通するようになっている。
【0040】
載置台101の上方には、テンプレートTのパターン領域D上に処理液を塗布するための処理液塗布治具110が設けられている。処理液塗布治具110は、載置台101上のテンプレートTに対向して配置されている。
【0041】
処理液塗布治具110は、図7及び図8に示すように略直方体形状を有している。処理液塗布治具110の下面には、少なくともテンプレートTのパターン領域Dを覆うように、当該パターン領域Dより大きい塗布面111が形成されている。なお、本実施の形態においては、塗布面111とパターン領域Dはほぼ同じ大きさである。塗布面111の外側には、上方に窪んだ窪み部112が環状に形成されている。さらに、窪み部112の外側には、壁部113が環状に形成されている。壁部113の下面は、外側領域Dと接触する接触面114を形成している。そして、この接触面112が外側領域Dに接触することで、壁体113とテンプレートTに囲まれた処理空間115が形成される。すなわち、処理空間115は、塗布面111とパターン領域Dとの間の隙間116と、窪み部113とを含む空間である。なお、処理空間115内の気密性を保持するため、接触面114には、シール材としてのOリング117が環状に設けられている。また、処理液塗布治具110は、後述するようにパターン領域D上に処理液を塗布する際に、塗布面111とパターン領域Dとの間の距離Hが処理液の毛細管現象を発生させる距離、例えば0.01mm〜0.1mmとなるように構成されている。なお、距離Hを大きくすると隙間116を拡散する処理液の拡散速度は速くなり、距離Hを小さくすると処理液の拡散速度は遅くなる。
【0042】
処理液塗布治具110の中央部には、塗布面111とパターン領域Dとの間の隙間116に処理液を供給する処理液供給部120が設けられている。処理液供給部120は、処理液塗布治具110を厚み方向に貫通して設けられている。
【0043】
処理液供給部120は、塗布面111に形成された処理液の第1の供給口121と、第1の供給口121に接続され、鉛直上方に延伸する第1の供給路122と、さらに第1の供給路122に接続され、鉛直上方に延伸する第2の供給路123とを有している。第1の供給口121の径と第1の供給路122の径は、同じ微小な径であって、例えば0.5mmである。第2の供給路123の径は、第1の供給路122の径より大きく、例えば5mmである。したがって、第1の供給路122と第2の供給路122との間には、上方に向かって径が大きくなるテーパ部124が形成されている。このテーパ部124のテーパ角度θは、例えば120度である。なお、第1の供給路122と第2の供給路123の径は本実施の形態に限定されず、第2の供給路123の径が第1の供給路122よりも大きければよい。
【0044】
処理液供給部120からは、複数種類、例えば離型剤、アルコール、リンス液の3種類の処理液が供給される。図6に示すように処理液供給部120の第2の供給路123には、第1の供給管130、第2の供給管131及び第3の供給管132が接続されている。
【0045】
第1の供給管130は、内部に離型剤を貯留する離型剤供給源133に連通している。また、第1の供給管130には、離型剤の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群134が設けられている。なお、離型剤の材料には、後述するウェハ上のレジスト膜に対して撥液性を有する材料、例えばフッ素炭素系化合物等が用いられる。
【0046】
第2の供給管131は、内部に常温のアルコール、例えばt−ペンチルアルコールを貯留するアルコール供給源135に連通している。また、第2の供給管131には、アルコールの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群136が設けられている。なお、アルコールはアルコール類であればよく、t−ペンチルアルコール以外の他のアルコールを用いてもよい。例えばエタノール、メタノール、プローパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールを用いてもよく、あるいはこれらのアルコールの混合物を用いてもよい。また、アルコールの濃度は特に限定されないが、100%であることが好ましい。さらに、本実施の形態では常温のアルコールを用いているが、アルコールが結露するのを抑制するため、例えば70℃以下に加熱したアルコールを用いてもよい。
【0047】
第3の供給管132は、内部にリンス液、例えば離型剤の溶剤を貯留するリンス液供給源137に連通している。また、第3の供給管132には、リンス液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群138が設けられている。
【0048】
図7及び図8に示すように壁体113には、処理空間115内の雰囲気を排気するための排気口140が形成されている。排気口140には、図6に示すよう排気管141を介して処理空間115内の雰囲気を真空引きする真空ポンプ142が接続されている。
【0049】
図7及び図8に示すように壁体113の内側には、塗布面111とパターン領域Dとの間の隙間116に空気、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気を吹き付ける空気供給部としてのエアノズル150が設けられている。エアノズル150は、塗布面111を挟んで排気口140に対向する位置に配置されている。また、エアノズル150は、パターン領域D(塗布面111)の一辺に沿ってX方向に延伸して設けられている。そして、エアノズル150は、後述するようにパターン領域D上に塗布された処理液に空気を吹き付けて、当該処理液を乾燥させることができる。なお、エアノズル150の形状は、本実施の形態に限定されず、種々の形状を用いることができる。
【0050】
処理容器100の天井面であって、処理液塗布治具110の上方には、図6に示すように処理液塗布治具110を鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構160が設けられている。移動機構160は、処理液塗布治具110を支持する支持部材161と、支持部材161を支持し、処理液塗布治具110を鉛直方向及び水平方向に移動させるための治具駆動部162とを有している。
【0051】
なお、塗布ユニット31〜33の構成は、上述した塗布ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0052】
次に、上述した洗浄ユニット40〜43の構成について説明する。洗浄ユニット40は、図9に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器170を有している。
【0053】
処理容器170内には、テンプレートTを吸着保持するチャック171が設けられている。チャック171は、テンプレートTの表面Tが上方を向くように、その裏面Tを吸着保持する。チャック171の下方には、チャック駆動部172が設けられている。このチャック駆動部172は、処理容器170内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール173上に取付けられている。このチャック駆動部172により、チャック171はレール173に沿って移動できる。
【0054】
処理容器170内の天井面であって、レール173の上方には、チャック171に保持されたテンプレートTに紫外線を照射する紫外線照射部174が設けられている。紫外線照射部174は、図10に示すようにX方向に延伸している。そして、テンプレートTがレール173に沿って移動中に、紫外線照射部174から当該テンプレートTの表面Tに紫外線を照射することで、テンプレートTの表面T全面に紫外線が照射される。
【0055】
なお、洗浄ユニット41〜43の構成は、上述した洗浄ユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。
【0056】
以上のテンプレート処理装置1には、図1に示すように制御部200が設けられている。制御部200は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、テンプレート搬入出ステーション2と処理ステーション3との間のテンプレートTの搬送や、処理ステーション3における駆動系の動作などを制御して、テンプレート処理装置1における後述するテンプレート処理を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部200にインストールされたものであってもよい。
【0057】
本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1は以上のように構成されている。次に、そのテンプレート処理装置1で行われるテンプレート処理について説明する。図11は、このテンプレート処理の主な処理フローを示し、図12〜14は、各工程におけるテンプレートTの状態を示している。
【0058】
先ず、テンプレート搬送体12によって、カセット載置台10上のテンプレートカセットCからテンプレートTが取り出され、処理ステーション3のトランジションユニット21に搬送される(図11の工程A1)。このとき、テンプレートカセットC内には、テンプレートTは、転写パターンCが形成された表面Tが上方を向くように収容されており、この状態でテンプレートTはトランジションユニット21に搬送される。
【0059】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、洗浄ユニット40に搬送され、チャック171に吸着保持される。続いて、チャック駆動部172によってテンプレートTをレール173に沿って移動させながら、紫外線照射部174から当該テンプレートTに紫外線が照射される。こうして、テンプレートTの表面T全面に紫外線が照射され、テンプレートTの表面Tの有機汚染物やパーティクル等の不純物が除去され、当該表面Tが洗浄される(図11の工程A2)。
【0060】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは塗布ユニット30に搬送される。塗布ユニット30に搬送されたテンプレートTは、昇降ピン102に受け渡され、載置台101に載置される。続いて、移動機構160によって処理液塗布治具110の水平方向の位置を調整すると共に、図12(a)に示すように処理液塗布治具110をその接触面114が外側領域Dに接触するまで下降させる。このとき、塗布面111はパターン領域Dを覆うように対向する。また、塗布面111とパターン領域Dとの間の距離Hは、離型剤の毛細管現象を発生させる距離、例えば0.05mmになっている。なお、このように接触面114が外側領域Dに接触すると、Oリング117によって処理空間115内の気密性が保持される。
【0061】
その後、図12(b)に示すように離型剤供給源133から所定量の離型剤Sを処理液供給部120に供給する。なお、後述するように離型剤Sは、パターン領域D上にのみ供給され、外側領域D上には供給されない。したがって、上述した所定量とは、塗布面111とパターン領域Dとの間の隙間116の体積に見合った量、あるはその量より僅かに多い量である。
【0062】
その後、処理液供給部120に供給された離型剤Sは、図12(c)に示すように塗布面111とパターン領域Dとの間の隙間116に供給される。このとき、離型剤Sは、処理液供給部120の第2の供給路123と第1の供給路122を順に通過し、第1の供給口121から隙間116に供給される。発明者らが鋭意検討した結果、このように第1の供給口121の径と第1の供給路122の径を同じ微小な径にすると、離型剤Sが第1の供給路122を流れ易くなることが分かった。この原因については、いわゆるピン止め効果が抑制されることと、毛細管現象との相互作用によるものであると発明者らは推察している。なお、ここでいうピン止め効果とは、例えば第1の供給路122を経ずに第2の供給路123が第1の供給口121に接続されている場合、第1の供給口121において離型剤Sの表面張力が大きくなるため、離型剤Sが流れ難くなる現象である。以上のように、本実施の形態の処理液供給部120を用いれば、離型剤Sを円滑に隙間116に供給することができる。なお、このように処理液を円滑に隙間116に供給できるのは、後述するように処理液供給部120から他の処理液、例えばアルコールやリンス液、洗浄液等を供給する場合も同様である。
【0063】
その後、隙間116に供給された離型剤Sは、図12(c)に示すように毛細管現象によって当該隙間116を拡散する。そして、図12(d)に示すように離型剤Sは隙間116に充填され、パターン領域D上に塗布される(図11の工程A3)。このとき、上述したように隙間116に供給される離型剤Sの供給量は隙間116の体積に見合った量であり、しかも毛細管現象が発生するのは隙間116においてのみであるため、離型剤Sが外側領域Dに流出することはない。
【0064】
その後、図12(e)に示すように処理液塗布治具110を所定の位置まで上昇させる。この所定の位置はエアノズル150からパターン領域D上の離型剤Sに空気を吹き付けることができる位置であって、塗布面111とパターン領域Dとの間の距離Hが例えば1mmとなる位置である。なお、このように処理液塗布治具110を上昇させても、Oリング117が外側領域Dに接触しているため、処理空間115内の気密性は保持されている。そして、エアノズル150からパターン領域D上の離型剤Sに空気を吹き付け、当該離型剤Sを乾燥させる(図11の工程A4)。
【0065】
パターン領域D上の離型剤Sが乾燥すると、図13(a)に示すように処理液塗布治具110を所定の位置まで下降させる。この所定の位置は処理液供給部120からパターン領域D上の離型剤Sにアルコールを供給できる位置であって、塗布面111とパターン領域Dとの間の距離Hが例えば0.1mmとなる位置である。なお、このときもOリング117が外側領域Dに接触しているため、処理空間115内の気密性は保持されている。
【0066】
その後、図13(b)に示すようにアルコール供給源135から所定量のアルコールLを処理液供給部120に供給する。
【0067】
その後、処理液供給部120に供給されたアルコールLは、図13(c)に示すように塗布面111とパターン領域D上の離型剤Sとの間の隙間116に供給される。続いて、隙間116に供給されたアルコールLは、毛細管現象によって当該隙間116を拡散する。そして、図13(d)に示すようにアルコールLは隙間116に充填され、パターン領域Dの離型剤S上に塗布される(図11の工程A5)。このとき、毛細管現象が発生するのは隙間116においてのみであるため、アルコールLが外側領域Dに流出することはない。こうして塗布されたアルコールLによって、離型剤SがテンプレートTの表面Tと強固且つ密に化学反応し、当該テンプレートTの表面Tに離型剤Sが密着する。なお、このようにテンプレートTの表面Tに離型剤Sが密着する際、離型剤S上のアルコールLによって、離型剤Sの未反応部の一部、すなわち離型剤SがテンプレートTの表面Tと化学反応して当該表面Tと密着する部分以外の一部が除去される。
【0068】
その後、図13(e)に示すように処理液塗布治具110を所定の位置まで上昇させる。この所定の位置はエアノズル150からパターン領域D上のアルコールLに空気を吹き付けることができる位置であって、塗布面111とパターン領域Dとの間の距離Hが例えば1mmとなる位置である。なお、このように処理液塗布治具110を上昇させても、Oリング117が外側領域Dに接触しているため、処理空間115内の気密性は保持されている。そして、エアノズル150からアルコールLに空気を吹き付け、当該アルコールLを乾燥除去させる(図11の工程A6)。
【0069】
離型剤S上のアルコールLが乾燥すると、図14(a)に示すように処理液塗布治具110をその接触面114が外側領域Dに接触するまで下降させる。このように接触面114が外側領域Dに接触すると、Oリング117によって処理空間115内の気密性が保持される。
【0070】
その後、図14(b)に示すようにリンス液供給源137から所定量のリンス液Nを処理液供給部120に供給する。
【0071】
その後、処理液供給部120に供給されたリンス液Nは、図14(c)に示すように塗布面111とパターン領域D上の離型剤Sとの間の隙間116に供給される。続いて、隙間116に供給されたリンス液Nは、毛細管現象によって当該隙間116を拡散する。そして、図14(d)に示すようにリンス液Nは隙間116に充填され、パターン領域Dの離型剤S上に塗布される(図11の工程A7)。このとき、毛細管現象が発生するのは隙間116においてのみであるため、リンス液Nが外側領域Dに流出することはない。こうして塗布されたリンス液Nによって、離型剤Sの未反応部が除去される。このとき、テンプレートTの表面Tに離型剤Sが密着しているので、テンプレートTの表面Tから所定の距離の離型剤Sが剥離することはない。また、テンプレートT上の離型剤Sの接触角は所定の角度、例えば108度になっており、離型剤Sは後述するレジスト膜に対して十分な撥液性を有し、その離型機能を発揮することができる。
【0072】
その後、図13(e)に示すように処理液塗布治具110を所定の位置まで上昇させる。この所定の位置はエアノズル150からパターン領域D上のリンス液Nに空気を吹き付けることができる位置であって、塗布面111とパターン領域Dとの間の距離Hが例えば1mmとなる位置である。なお、このように処理液塗布治具110を上昇させても、Oリング117が外側領域Dに接触しているため、処理空間115内の気密性は保持されている。そして、エアノズル150からリンス液Nに空気を吹き付け、当該リンス液Nを乾燥除去させる(図11の工程A8)。こうして、テンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される。
【0073】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはトランジションユニット21に搬送され、テンプレート搬送体12によってテンプレートカセットCに戻される(図11の工程A9)。こうしてテンプレート処理装置1における一連のテンプレート処理が終了し、テンプレートTのパターン領域D上のみに、転写パターンCの形状に沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される。
【0074】
以上の実施の形態によれば、処理液塗布治具110の塗布面111とテンプレートTのパターン領域Dとの間の隙間116に供給された処理液(離型剤S、アルコールL、リンス液N)は、毛細管現象によって隙間116を拡散する。すなわち、処理液はパターン領域D上にのみ拡散する。したがって、処理液はパターン領域D上に適切に塗布される。しかも、処理液はテンプレートTの外側領域Dに拡散しないため、処理液の供給量を従来よりも少量に抑えることができる。このため、処理液のコストを低廉化することができる。
【0075】
また、処理液塗布治具110の処理液供給部120からパターン領域Dに対して、離型剤S、アルコールL、リンス液Nの複数種類の処理液が供給されるので、一の塗布ユニット30内で複数の処理を行うことができる。したがって、一連のテンプレート処理を効率よく行うことができる。また、各処理液毎にユニットを別途設ける必要がないので、テンプレート処理装置1のフットプリントを小さくできると共に、装置構成を簡略化して装置コストを低廉化することもできる。なお、このように複数種類の処理液を供給するため、本実施の形態では一の処理液塗布治具110を用いていたが、処理液毎に複数の処理液塗布治具110を設けてもよい。
【0076】
また、処理液をパターン領域D上に拡散させた後、エアノズル150から処理液に空気を吹き付けているので、当該処理液を乾燥させることができる。これによって、テンプレート上に不要な処理液が残存せず、後続の処理を適切に行うことができる。
【0077】
また、工程A3〜工程A8の各処理液の塗布と乾燥を行う際、処理空間115内の雰囲気を気密に保持することができるので、当該処理液による処理を適切に行うことができる。また、処理液が処理空間115の外部に飛散するのを防止することができる。なお、処理液が処理空間115の外部に飛散するのを許容する場合には、処理空間115内の雰囲気を気密に保持する機構(Oリング117、排気口140、排気管141、真空ポンプ142)を省略することができる。
【0078】
なお、以上の実施の形態では、工程A5及びA6でアルコールLを用いて離型剤SとテンプレートTの表面Tとの密着性を向上させた後、工程A7及びA8でリンス液Nを用いて離型剤Sの未反応部を除去していたが、工程A7及び工程A8でのリンス液Nの塗布及び乾燥を工程A5及び工程A6でのアルコールLの塗布及び乾燥の前に行ってもよい。かかる場合、工程A3及び工程A4でパターン領域D上に離型剤Sが成膜された後、離型剤S上にリンス液Nが塗布され、離型剤Sの未反応部が除去される。その後、離型剤S上にアルコールLが塗布され、離型剤SとテンプレートTの表面Tとの密着性を向上させると共に、当該アルコールLによって離型剤Sの未反応部が確実に除去される。
【0079】
また、以上の形態の工程A5でアルコールLによって離型剤Sの未反応部が十分に除去される場合には、後続の工程A7及びA8におけるリンス液Nの塗布及び乾燥を省略してもよい。また、以上の実施の形態の工程A3で離型剤SがテンプレートTの表面Tと十分に密着する場合には、後続の工程A5及び工程A6におけるアルコールLの塗布及び乾燥を省略してもよい。
【0080】
以上の実施の形態のテンプレート処理装置1では、洗浄ユニット40〜43においてテンプレートTの表面Tを洗浄していたが、塗布ユニット30〜33において、処理液としての洗浄液を用いてテンプレートTの表面Tを洗浄してもよい。そして、テンプレート処理装置1の洗浄ユニット40〜43は、塗布ユニットに置換される。
【0081】
かかる場合、塗布ユニット30において、図15に示すように洗浄液は処理液塗布治具110の処理液供給部120から供給される。処理液供給部120には、第4の供給管210が接続されている。第4の供給管210は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源211に連通している。また、第4の供給管210には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群222が設けられている。なお、洗浄液には、例えばIPA(イソプロピルアルコール)、アセトン、アクリル洗浄液等が用いられる。
【0082】
そして、工程A2において、テンプレートTは塗布ユニット30に搬送され、載置台101に載置される。続いて、図16(a)に示すように処理液塗布治具110をその接触面114が外側領域Dに接触するまで下降させる。その後、図16(b)に示すように洗浄液供給源211から所定量の洗浄液Mを処理液供給部120に供給する。処理液供給部120に供給された洗浄液Mは、図16(c)に示すように塗布面111とパターン領域Dとの間の隙間116に供給される。隙間116に供給された洗浄液Mは、毛細管現象によって当該隙間116を拡散する。そして、図16(d)に示すように洗浄液Mは隙間116に充填され、パターン領域D上に塗布される。その後、図16(e)に示すように処理液塗布治具110を所定の位置まで上昇させる。この所定の位置はエアノズル150からパターン領域D上の洗浄液Mに空気を吹き付けることができる位置であって、塗布面111とパターン領域Dとの間の距離Hが例えば1mmとなる位置である。そして、エアノズル150からパターン領域D上の洗浄液Mに空気を吹き付け、当該洗浄液Mを乾燥して除去する。こうして、テンプレートTの表面Tの有機汚染物やパーティクル等の不純物が除去され、当該表面Tが洗浄される。なお、その他の工程A1、A3〜A9については、前記実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0083】
本実施の形態によれば、一の塗布ユニット30内でテンプレートTの表面Tの洗浄も行うことができるので、一連のテンプレート処理をさらに効率よく行うことができる。
【0084】
なお、本実施の形態では、工程A2においてテンプレートTの表面Tを洗浄していたが、工程A8でパターン領域D上に離型剤Sを成膜した後、当該離型剤Sの表面に洗浄液Mを供給して離型剤Sを洗浄してもよい。
【0085】
以上の実施の形態では、処理液塗布治具110の処理液供給部120は、塗布面111に形成された第1の供給口121を有していたが、第1の供給口121に代えて、図17に示すように第2の供給口220を有していてもよい。第2の供給口220は、処理液ノズル221において斜め下方に向くように形成されている。処理液ノズル221は、塗布面111の外側の窪み部112に配置されている。そして、第2の供給口221からパターン領域Dの一端部に向けて処理液が供給されるようになっている。なお図示はしないが、処理液ノズル221には、例えば上述した第1の供給管130、第2の供給管131、第3の供給管132、第4の供給管210が接続されている。そして、第2の供給口221から離型剤S、アルコールL、リンス液N、洗浄液M等の複数の処理液が供給されるようになっている。
【0086】
かかる場合、図17に示すように第2の供給口220から吐出された処理液は、パターン領域Dの一端部に供給される。供給された処理液は、毛細管現象によって、塗布面111とパターン領域Dとの間の隙間116を、パターン領域Dの他端部に向けて拡散する。こうして、パターン領域D上に処理液が塗布される。したがって、本実施の形態においても、パターン領域D上にのみ処理液を適切に塗布することができる。
【0087】
なお、処理液供給部120は、図18に示すように第1の供給口121と第2の供給口220を両方有していてもよい。すなわち、処理液供給部120は、第1の供給口121、第1の供給路122及び第2の供給路123のセット(以下、「第1の供給機構)という場合がある。)と、第2の供給口220及び処理液ノズル221のセット(以下、「第1の供給機構)という場合がある。)とを両方有していてもよい。また、かかる場合、図19に示すように第1の供給機構と第2の供給機構はそれぞれ複数設けられていてもよい。いずれの場合においても、第1の供給口121と第2の供給口122の両方から処理液が供給されるので、迅速に処理液をパターン領域D上に塗布することができる。特に、複数の第1の供給口121と複数の第2の供給口122から処理液を供給した場合、より効率よく処理液をパターン領域D上に塗布することができる。
【0088】
また、以上の実施の形態の処理液供給部120における第1の供給機構は、第1の供給口121、第1の供給路122及び第2の供給路123を有していたが、図20に示すように第1の供給路122を省略してもよい。かかる場合、第2の供給路123は第1の供給口121に接続される。また、第2の供給路123の径は第1の供給口121の径よりも大きい。このため、第1の供給口121と第2の供給路122との間には、上方に向かって径が大きくなるテーパ部124が形成されている。なお、このテーパ部124のテーパ角度θは、前記実施の形態と同様に例えば120度である。本実施の形態の第1の供給機構は、例えば処理液の流量が多い場合等、第1の供給路122を省略しても上述したピン止め効果が生じない場合に有効である。そして、かかる場合、第1の供給路122を省略できるので、処理液供給部120の加工製造を容易に行うことができる。
【0089】
以上の実施の形態の工程A2、A4、A6、A8等では、離型剤S、アルコールL、リンス液N、洗浄液M等の処理液を乾燥させる際、エアノズル150から処理液に空気を吹き付けていたが、他の方法を用いて処理液を乾燥させてもよい。
【0090】
例えばパターン領域D上の処理液を加熱することで、当該処理液を乾燥させてもよい。かかる場合、例えば図21に示すように処理液塗布治具110の壁体113の内部に加熱処理部としてのヒータ230が設けられる。このヒータ230によってパターン領域D上の処理液が加熱される。
【0091】
また、例えば処理空間115内の雰囲気を減圧することで、パターン領域D上の処理液を乾燥させてもよい。かかる場合、処理液塗布治具110の排気口140に接続された真空ポンプ142を作動させて、処理空間115内の雰囲気を所定の圧力に減圧する。
【0092】
いずれの場合においても、パターン領域D上の処理液を適切に乾燥させることができる。
【0093】
以上の実施の形態の工程A2、A3、A5、A7等において、離型剤S、アルコールL、リンス液N、洗浄液M等の処理液を、塗布面111とパターン領域Dとの間の隙間116に拡散させる際、当該処理液に超音波振動を付与してもよい。かかる場合、例えば図22に示すように処理液塗布治具110の窪み部112内に超音波振動子240が配置される。超音波振動子240には、当該超音波振動子240から超音波を発振させるための超音波発振装置241が接続されている。そして、隙間116を拡散する処理液に対して超音波振動子240から超音波振動を付与することによって、当該処理液をより円滑に拡散させることができる。例えばテンプレートTの転写パターンCの高さが高く、処理液が転写パターンCの凹部内に進入し難い場合や、洗浄液Mを用いてテンプレートTの表面Tを洗浄する場合には、特に効果がある。なお、上述した超音波振動子240と超音波発振装置241が本発明の振動機構を構成している。
【0094】
以上の実施の形態において、処理液塗布治具110の塗布面111にはメッシュ板(図示せず)が設けられていてもよい。メッシュ板は、塗布面111と同じ大きさで設けられる。かかる場合、処理液供給部120からパターン領域Dに向けて供給された離型剤S、アルコールL、リンス液N、洗浄液M等の処理液は、毛細管現象によってメッシュ板とパターン領域Dとの間を拡散する。そして、処理液が外側領域Dに流出することはない。したがって、本実施の形態でも、処理液はパターン領域D上に適切に塗布される。
【0095】
以上の実施の形態のテンプレート処理装置1は、図23に示すようにインプリントシステム300に配置されていてもよい。インプリントシステム300は、テンプレートTを用いてウェハW上にレジストパターンを形成するインプリントユニット310と、複数、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部とインプリントシステム300との間で搬入出したり、ウェハカセットCに対してウェハWを搬入出したりするウェハ搬入出ステーション311とを有している。また、テンプレート処理装置1とインプリントユニット310との間には、テンプレートTの受け渡しを行うインターフェイスステーション312が配置されている。インプリントシステム300は、これらテンプレート処理装置1、インターフェイスステーション312、インプリントユニット310、ウェハ搬入出ステーション311を一体に接続した構成を有している。
【0096】
ウェハ搬入出ステーション311には、カセット載置台320が設けられている。カセット載置台320は、複数のウェハカセットCをX方向(図23中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、ウェハ搬入出ステーション311は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
【0097】
ウェハ搬入出ステーション311には、X方向に延伸する搬送路321上を移動可能なウェハ搬送体322が設けられている。ウェハ搬送体322は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハカセットCとインプリントユニット310との間でウェハWを搬送できる。
【0098】
ウェハ搬入出ステーション311には、ウェハWの向きを調整するアライメントユニット323がさらに設けられている。アライメントユニット323では、例えばウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。
【0099】
インターフェイスステーション312には、X方向に延伸する搬送路330上を移動するテンプレート搬送体331が設けられている。また、搬送路330のX方向正方向側には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット332が配置され、搬送路330のX方向負方向側には、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファカセット333が配置されている。テンプレート搬送体331は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、処理ステーション3、反転ユニット332、バッファカセット333、インプリントユニット310との間でテンプレートTを搬送できる。
【0100】
テンプレート処理装置1の処理ステーション3には、搬送ユニット20のインターフェイスステーション312側に、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット334が配置されている。
【0101】
次に、上述したインプリントユニット310の構成について説明する。インプリントユニット310は、図24に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)とウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器340を有している。
【0102】
処理容器340内の底面には、ウェハWが載置されて保持されるウェハ保持部341が設けられている。ウェハWは、その被処理面が上方を向くようにウェハ保持部341の上面に載置される。ウェハ保持部341内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン342が設けられている。昇降ピン342は、昇降駆動部343により上下動できる。ウェハ保持部341の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔344が形成されおり、昇降ピン342は、貫通孔344を挿通するようになっている。また、ウェハ保持部341は、当該ウェハ保持部341の下方に設けられた移動機構345により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0103】
図25に示すようにウェハ保持部341のX方向負方向(図25の下方向)側には、Y方向(図25の左右方向)に沿って延伸するレール350が設けられている。レール350は、例えばウェハ保持部341のY方向負方向(図25の左方向)側の外方からY方向正方向(図25の右方向)側の外方まで形成されている。レール350には、アーム351が取り付けられている。
【0104】
アーム351には、ウェハW上にレジスト液を供給するレジスト液ノズル352が支持されている。レジスト液ノズル352は、例えばウェハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル352には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル352の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。そして、レジスト液ノズル352は、レジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量等を厳密に制御できる。
【0105】
アーム351は、ノズル駆動部353により、レール350上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル352は、ウェハ保持部341のY方向正方向側の外方に設置された待機部354からウェハ保持部341上のウェハWの上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、アーム351は、ノズル駆動部353によって昇降自在であり、レジスト液ノズル352の高さを調整できる。
【0106】
処理容器340内の天井面であって、ウェハ保持部341の上方には、図24に示すようにテンプレートTを保持するテンプレート保持部360が設けられている。すなわち、ウェハ保持部341とテンプレート保持部360は、ウェハ保持部341に載置されたウェハWと、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部360は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック361を有している。チャック361は、当該チャック361の上方に設けられた移動機構362により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートTは、ウェハ保持部341上のウェハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0107】
テンプレート保持部360は、チャック361に保持されたテンプレートTの上方に設けられた光源363を有している。光源363からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源363からの光は、テンプレートTを透過して下方に照射される。
【0108】
本実施の形態にかかるインプリントシステム300は以上のように構成されている。次に、そのインプリントシステム300で行われるインプリント処理について説明する。図26は、このインプリント処理の主な処理フローを示し、図27は、このインプリント処理の各工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
【0109】
先ず、テンプレート搬送体12によって、テンプレート搬入出ステーション2から処理ステーション3にテンプレートTが搬送される(図26の工程B1)。処理ステーション3では、テンプレートTの表面Tの洗浄(図26の工程B2)、パターン領域Dへの離型剤Sの塗布(図26の工程B3)、離型剤Sの乾燥(図26の工程B4)、パターン領域D上の離型剤SへのアルコールLの塗布(図26の工程B5)、アルコールLの乾燥除去(図26の工程B6)、パターン領域D上の離型剤Sへのリンス液Nの塗布(図26の工程B7)、リンス液Nの乾燥除去(図26の工程B8)が順次行われ、テンプレートTのパターン領域D上に離型剤Sが成膜される。なお、これら工程B2〜B8は、前記実施の形態における工程A2〜A8と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0110】
離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、トランジションユニット334に搬送される。続いて、テンプレートTは、インターフェイスステーション312のテンプレート搬送体331によって、反転ユニット332に搬送されて、テンプレートTの表裏面が反転される。すなわち、テンプレートTの裏面Tが上方に向けられる。その後、テンプレートTは、テンプレート搬送体331によってインプリントユニット310に搬送され、テンプレート保持部360のチャック361に吸着保持される。
【0111】
このように処理ステーション3においてテンプレートTに所定の処理を行い、インプリントユニット310へテンプレートTを搬送中に、ウェハ搬入出ステーション311では、ウェハ搬送体322により、カセット載置台320上のウェハカセットCからウェハWが取り出され、アライメントユニット323に搬送される。そして、アライメントユニット323において、ウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送体322によってインプリントユニット310に搬送される(図26の工程B9)。なお、ウェハ搬入出ステーション311において、ウェハカセットC内のウェハWは、その被処理面が上方を向くように収容されており、この状態でウェハWはインプリントユニット310に搬送される。
【0112】
インプリントユニット310に搬入されたウェハWは、昇降ピン342に受け渡され、ウェハ保持部341上に載置され保持される。続いて、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせをした後、レジスト液ノズル352をウェハWの径方向に移動させ、図27(a)に示すようにウェハW上にレジスト液が塗布され、塗布膜としてのレジスト膜Rが形成される(図26の工程B10)。このとき、制御部200により、レジスト液ノズル352から供給されるレジスト液の供給タイミングや供給量等が制御される。すなわち、ウェハW上に形成されるレジストパターンにおいて、凸部に対応する部分(テンプレートTの転写パターンCにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は多く、凹部に対応する部分(転写パターンCにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は少なくなるように塗布される。このように転写パターンCの開口率に応じてウェハW上にレジスト液が塗布される。
【0113】
ウェハW上にレジスト膜Rが形成されると、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図27(a)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。テンプレートTは所定の位置まで下降し、テンプレートTの表面TがウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウェハW上に形成されるレジストパターンの高さに基づいて設定される。続いて、光源363から光が照射される。光源363からの光は、図27(b)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにして、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される(図26の工程B11)。
【0114】
その後、図27(c)に示すようにテンプレートTを上昇させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、テンプレートTの表面Tには離型剤Sが塗布されているので、ウェハW上のレジストがテンプレートTの表面Tに付着することはない。その後、ウェハWは、昇降ピン342によりウェハ搬送体322に受け渡され、インプリントユニット310からウェハ搬入出ステーション311に搬送され、ウェハカセットCに戻される(図26の工程B12)。なお、ウェハW上に形成されたレジストパターンPの凹部には、薄いレジストの残存膜Lが残る場合があるが、例えばインプリントシステム300の外部において、図27(d)に示すように当該残存膜Lを除去してもよい。
【0115】
以上の工程B9〜B12(図26中の点線で囲った部分)を繰り返し行い、一のテンプレートTを用いて、複数のウェハW上にレジストパターンPをそれぞれ形成する。この間、上述した工程B1〜B8を繰り返し行い、複数のテンプレートTの表面T上に離型剤Sを成膜する。離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、インターフェイスステーション312のバッファカセット333に保管される。
【0116】
そして、所定枚数のウェハWに対して工程B9〜B12が行われると、ウェハ搬送体331によって、使用済みのテンプレートTがインプリントユニット310から搬出され、反転ユニット332に搬送される(図26の工程B13)。続いて、ウェハ搬送体331によって、バッファカセット333内のテンプレートTがインプリントユニット310に搬送される。こうして、インプリントユニット310内のテンプレートTが交換される。なお、テンプレートTを交換するタイミングは、テンプレートTの劣化等を考慮して設定される。また、ウェハWに異なるパターンPを形成する場合にも、テンプレートTが交換される。例えばテンプレートTを1回使用する度に当該テンプレートTを交換してもよい。また、例えば1枚のウェハW毎にテンプレートTを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートTを交換してもよい。
【0117】
反転ユニット332に搬送された使用済みのテンプレートTは、その表裏面が反転される。その後、ウェハ搬送体331、搬送ユニット20、ウェハ搬送体12によって、テンプレートTはテンプレートカセットCに戻される。このようにして、インプリントシステム300において、テンプレートTを連続的に交換しつつ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPが連続的に形成される。
【0118】
以上の実施の形態のインプリントシステム300はテンプレート処理装置1を有しているので、インプリントシステム300において、テンプレートT上に離型剤Sを成膜しつつ、当該テンプレートTをインプリントユニット310に連続的に供給できる。これによって、例えばテンプレートTが劣化する前、あるいは複数のウェハW上に異なるレジストパターンPを形成する場合でも、インプリントユニット310内のテンプレートTを連続して効率よく交換することができる。したがって、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPを連続的に形成することができる。また、これによって、半導体デバイスの量産化を実現することも可能となる。
【0119】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0120】
1 テンプレート処理装置
30〜33 塗布ユニット
40〜43 洗浄ユニット
110 処理液塗布治具
111 塗布面
114 接触面
115 処理空間
117 Oリング
120 処理液供給部
121 第1の供給口
122 第1の供給路
123 第2の供給路
140 排気口
142 真空ポンプ
150 エアノズル
200 制御部
220 第2の供給口
230 ヒータ
240 超音波振動子
241 超音波発振装置
C 転写パターン
パターン領域
外側領域
L アルコール
M 洗浄液
N リンス液
S 離型剤
T テンプレート
表面
裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプレートの表面において所定パターンが形成されたパターン領域上に処理液を塗布し、当該パターン領域を処理するテンプレート処理方法であって、
前記パターン領域上に前記処理液を塗布するための処理液塗布治具の塗布面が少なくとも前記パターン領域を覆い、且つ前記塗布面と前記パターン領域との間の距離が前記処理液の毛細管現象を発生させる距離となるように、前記処理液塗布治具を前記テンプレートに対向して配置する配置工程と、
その後、前記塗布面と前記パターン領域との間に前記処理液を供給する供給工程と、
その後、前記供給された処理液を毛細管現象によって前記パターン領域上にのみ拡散させる拡散工程と、を有することを特徴とする、テンプレート処理方法。
【請求項2】
前記供給工程と前記拡散工程は、複数種類の処理液に対して行われることを特徴とする、請求項1に記載のテンプレート処理方法。
【請求項3】
前記供給工程において、少なくとも前記塗布面に形成された第1の供給口又は前記塗布面の外側に設けられた第2の供給口から供給されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のテンプレート処理方法。
【請求項4】
少なくとも前記第1の供給口又は前記第2の供給口は、複数設けられていることを特徴とする、請求項3に記載のテンプレート処理方法。
【請求項5】
前記拡散工程において、前記処理液に超音波振動を付与することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のテンプレート処理方法。
【請求項6】
前記拡散工程後、前記パターン領域上の前記処理液を乾燥させる乾燥工程をさらに有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のテンプレート処理方法。
【請求項7】
前記乾燥工程において、前記パターン領域上の前記処理液に空気を吹き付けることを特徴とする、請求項6に記載のテンプレート処理方法。
【請求項8】
前記乾燥工程において、前記パターン領域上の前記処理液を加熱することを特徴とする、請求項6に記載のテンプレート処理方法。
【請求項9】
前記乾燥工程において、前記パターン領域上の前記処理液の周囲の雰囲気を減圧することを特徴とする、請求項6に記載のテンプレート処理方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のテンプレート処理方法をテンプレート処理装置によって実行させるために、当該テンプレート処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項12】
テンプレートの表面において所定パターンが形成されたパターン領域上に処理液を塗布し、当該パターン領域を処理するテンプレート処理装置であって、
前記パターン領域よりも大きい塗布面を備えた処理液塗布治具と、
前記塗布面と前記パターン領域との間に前記処理液を供給する処理液供給部と、
前記塗布面が少なくとも前記パターン領域を覆い、且つ前記塗布面と前記パターン領域との間の距離が前記処理液の毛細管現象を発生させる距離となるように、前記処理液塗布治具を前記テンプレートに対向して配置し、その後、前記塗布面と前記パターン領域との間に前記処理液を供給し、その後、前記供給された処理液を毛細管現象によって前記パターン領域上にのみ拡散させるように、前記処理液塗布治具と前記処理液供給部を制御する制御部と、を有することを特徴とする、テンプレート処理装置。
【請求項13】
前記処理液供給部は、複数種類の処理液を供給することを特徴とする、請求項12に記載のテンプレート処理装置。
【請求項14】
前記処理液供給部は、少なくとも前記塗布面に形成された前記処理液の第1の供給口又は前記塗布面の外側に設けられた前記処理液の第2の供給口を有することを特徴とする、請求項12又は13に記載のテンプレート処理装置。
【請求項15】
少なくとも前記第1の供給口又は前記第2の供給口は、複数設けられていることを特徴とする、請求項14に記載のテンプレート処理装置。
【請求項16】
前記処理液供給部が前記第1の供給口を有する場合において、
当該処理液供給部は、前記第1の供給口と同じ径を有し且つ前記第1の供給口に接続された第1の供給路と、前記第1の供給口よりも大きい径を有し且つ前記第1の供給路に接続された第2の供給路とを有することを特徴とする、請求項14又は15に記載のテンプレート処理装置。
【請求項17】
前記塗布面と前記パターン領域との間を拡散する前記処理液に超音波振動を付与する振動機構を有することを特徴とする、請求項12〜16のいずれかに記載のテンプレート処理装置。
【請求項18】
前記処理液塗布治具は、
前記塗布面の周囲に環状に形成され、前記パターン領域が形成されていない前記テンプレートの表面と接触して、前記処理液塗布治具と前記テンプレートとの間に処理空間を形成する接触面と、
前記接触面に環状に設けられ、前記処理空間内の気密性を保持するためのシール材と、
前記処理空間内の雰囲気を排気するための排気口と、を有することを特徴とする、請求項12〜17のいずれかに記載のテンプレート処理装置。
【請求項19】
前記パターン領域上に塗布された前記処理液に空気を吹き付ける空気供給部を有することを特徴とする、請求項12〜18のいずれかに記載のテンプレート処理装置。
【請求項20】
前記パターン領域上に塗布された前記処理液を加熱する加熱処理部を有することを特徴とする、請求項12〜18のいずれかに記載のテンプレート処理装置。
【請求項21】
前記塗布面には、メッシュ板が設けられていることを特徴とする、請求項12〜20のいずれかに記載のテンプレート処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−99676(P2012−99676A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246890(P2010−246890)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】