説明

テーパの付いた吸収カラーを有するポータブルX線蛍光測定装置

【課題】ハンドヘルドのX線蛍光測定装置からのX線の漏れを防止する。
【解決手段】本発明は、テスト材料の元素の組成を測定するための測定装置であって、テスト材料の被照射領域を照射するための透過放射線源と、テスト材料による蛍光放射線を検出し、検出信号を発生するための検出器と、検出信号を、テスト材料の組成の特徴を定めるスペクトルに変換するためのコントローラと、テスト材料の表面に実質的に平行な方向の、被照射領域からのラジアル距離と共に厚さが減少することを特徴とする減衰材料のプラテンと、を備える。テスト材料の被照射表面に隣接し、この照射表面から外側に延びると共に、この表面を囲むように、減衰材料のプラテンが延びている。所定の実施形態では、テスト材料の中心被照射領域からのラジアル距離が増加するにつれ、減衰プラテンの厚さが薄くなるように減衰プラテンにはテーパが付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が危険なレベルの周辺放射線に照射されないようにしながら、X線蛍光測定を実行するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線蛍光(XRF)測定装置は、材料にX線またはガンマ線を照射し、蛍光放射線を分析し、特定の性質を測定することにより、材料の性質を決定するものである。本明細書および特許請求の範囲で使用する「X線」なる用語は、放射線源またはX線管のような装置のいずれかにより発生される放射線を意味し、この用語の範囲内ではガンマ線を含むすべての種類の透過放射線を含む。測定すべき特定の性質として、被照射対象の元素の組成、または対象の近接表面における特定元素の分布、または対象の密度、またはモルフォロジーを挙げることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
XRF測定装置は、オペレータが過度の電離放射線を受けないよう、コリメート化されたビームと適当なシールドとを一般に有する。例えば、研究室用のXRF測定装置では、XRF測定装置から、無視できる放射線しか発せられないよう、オペレータ自身が測定装置およびサンプルを、一般に完全にカバーしなければならない。
【0004】
ポータブルXRF測定装置は、特殊な放射線シールド条件を有する。その理由は、これら測定装置を使用するには、一般にオペレータが測定を行っている間、測定装置を保持しなければならないからである。周辺放射線レベルが主要な問題となる。オペレータとその近くの人は、過度のレベルの電離放射線を受けてはならない。鉛塗料に関し、家屋を検査するXRF測定装置が、本発明の特定の一実施形態であり、そのニーズの良好な例を提供するものである。
【0005】
ポータブルXRF測定装置は、現在では家屋の塗装された壁における鉛の密度を定量的に測定するための選択手段である。市販されているポータブルXRF鉛塗料測定装置は、塗装表面における鉛原子を励起する蛍光放射線を発生するために、109Cdおよび57Coのような放射線源またはX線管のいずれかを使用する。鉛の蛍光特性X線の強度は、密度の尺度を与え、塗料が決められている規制限度内にあるかどうかを検査員が判断できるようにする。
【0006】
許容される周辺放射線レベルは国ごとに異なっている。米国の規制は、測定装置のX線出口ポートの直接後方の周辺スペースにおける放射線レベルを規制している。特に問題となるのは、オペレータの手または顔が位置し得る空間である。測定の際には、検査すべき壁とオペレータの手、腕および身体の表面との間の空間における放射線レベルには最小の注意しか払われていない。米国における放射線の制限は、測定装置自身をシールドすることにより満たすことができる。
【0007】
欧州における放射線の制限は、現在では米国における制限よりもかなり厳格である。測定場所にいる作業員に対する放射線の許容レベルは、10分の1以下である。すなわち欧州では1μSv/時であるのに対し、米国では10μSv/時となっている(μSv/時とは、1時間当たりのマイクロシーベルの標準的な略称であり、現在の絶対的な単位では、100マイクロレムの放射線に等価的な放射線のレベルである)。更に、本発明に特別重要なこととして、フランスでは、XRF測定装置のアクセス可能な表面から10cmのポイントが1μSv/時レベルを超えてはならないことが求められている。この条件は、XRF測定装置の内部にシールドを設けても満足させることはできない。
【0008】
市販のハンドヘルドのX線蛍光測定装置は、測定装置のノーズ内に放射線吸収材料を有している。この吸収材料は、放射線源から直接出る放射線を吸収するが、出口ポートを通る放射線は吸収せず、研究対象のサンプルに放射線が入射するように設計されている。この吸収材料は、1回散乱された放射線が検出器に進入せず、かつ実行中の測定を混乱させないように、1回散乱された放射線も吸収する。しかしながら、検査装置のノーズに設けられた吸収材料は、測定装置のノーズに交差しないよう、ある場所で、ある方向から、ターゲットから発せられるように何回も散乱された放射線は阻止できない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、ユーザーが手で保持している蛍光測定装置により、テスト材料の組成を検査するための方法が提供される。この方法は、
a.透過放射線によりテスト材料の表面の被照射領域を照射するステップと、
b.前記テスト材料から発せられた蛍光放射を検出するステップと、
c.前記テスト材料の表面に実質的に平行な方向の、被照射領域からのラジアル距離と共に厚さが減少することを特徴とする放射線シールドにより、前記テスト材料の表面から発せられる電離放射線からユーザーをシールドするステップとを有する。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、前記ユーザーをシールドする前記ステップは、前記テスト材料の表面の前記被照射領域から外側に延びる放射線シールドによりシールドすることを含むことができる。
【0011】
本発明の別の様相によれば、テスト材料の元素の組成を測定するための測定装置が提供される。この装置は、前記テスト材料の被照射領域を照射するための透過放射線源と、前記テスト材料による蛍光の放射を検出し、検出信号を発生するための検出器とを有する。この装置は、更に前記検出信号を、前記テスト材料の組成の特徴を定めるスペクトルに変換するためのコントローラと、前記テスト材料の表面に実質的に平行な方向の、被照射領域からのラジアル距離と共に厚さが減少することを特徴とする減衰材料のプラテンも有する。
【0012】
本発明の別の実施形態では、前記減衰材料は、ポリマー基材に埋め込まれた、原子番号が45よりも大きい金属とすることができる。締結具により前記測定装置に前記減衰材料のプラテンを結合でき、この減衰材料のプラテンは、前記測定装置から取り外し自在とすることができ、エラストマー製の外側層を含むこともできる。この減衰材料のプラテンは、前記被照射表面と多数回相互作用した前記電離放射線が、周辺環境を通って伝搬する前に、前記放射線シールドによって減衰されるようなサイズにできる。この減衰材料のプラテンの厚みは、前記被照射領域からのラジアル距離の二乗よりも急激に、前記被照射領域からのラジアル距離と共に減少できる。
【0013】
添付図面と共に、次の詳細な説明を読めば、本発明のこれまでの特徴について、より容易に理解できよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態によれば、次に図1を参照して説明するように、多数回散乱したX線が、規制限度を超える強度でXRF測定装置から比較的離れた壁を励起することを防止するのに、カラーの形態をしたシールドが使用される。
【0015】
本発明がなぜ必要であるか、かつ本発明をどのように設計すべきかを完全に理解するために、X線ビームが材料に進入し、コンプトン散乱を生じさせる周辺放射線の発生元を理解しなければならない。
【0016】
周辺放射線の物理
これまでの説明は、特に鉛塗料の分析に使用されるXRF測定装置に関するものであったが、この説明から引き出される結論および以下に説明する発明は、広範な用途、特に土壌およびプラスチックのXRF分析にも適用できると理解しなければならない。
【0017】
分析のために10.5keVおよび12.6keVの鉛のLラインのX線を使用するときの、鉛を蛍光励起するX線のエネルギーは、一般に20keVのレンジ内にあり、分析のために72.8keVおよび75keVのKラインのX線を使用するときのX線のエネルギーは、88keVより大である。次の説明では、LラインのX線を励起するのに(109Cdからの)22.2keVの蛍光エネルギーに限定し、KラインのX線を励起するのに使用される(57Coからの)122keVに限定するものとする。しかしながら、これら特定の値は、発明を説明するためのものであり、発明を限定するものでないと理解すべきである。
【0018】
図1を参照すると、ハンドヘルドのXRF測定装置2は壁4に当接した位置に示されている。この測定装置2は、矢印8(この数字は、発生されるX線も示している)によって表示される、主に伝搬軸線に沿って透過放射線を発生し、この測定装置は、本明細書ではX線8を放出するXRF測定装置2として説明する。X線8は、図示されるような放射線源またはX線管またはX線を発生する他の装置とすることができる線源100から発生される。X線はXRF測定装置2を出てテストサンプル6に進入する。このサンプルは図示されている例では、壁4の上の塗膜となっている。X線8の一部は、蛍光10または測定装置2に戻るような散乱を生じさせ、XRF測定装置2の検出器102でカウントされるか、または測定装置の壁20によって吸収される。蛍光フォトンの検出は、検出器の信号を生じさせ、この信号はデジタル信号プロセッサ104およびコントローラ106によって処理され、例えば(2004年7月20日に、発明者グロジン外に付与された)米国特許第6,765,986号に記載されているような技術に従って、テストサンプル6の元素の含有量の識別を可能にするスペクトルを発生する。
【0019】
X線24の一部は壁から後方に散乱し、XRF測定装置に検出されない。しかしながら、多くのX線12および16は、壁の材料自身の内部で散乱される。壁の材料内部に散乱したX線の一部は再び散乱し、この結果、X線22および126がXRF測定装置2からかなりの距離にある塗装された壁から出ることになる。
【0020】
このように、壁から出るX線の相対的強度は、コンプトン散乱の角度分布、散乱した放射線のエネルギー、および相互作用の間で壁の材料内を散乱した放射線が移動する距離に応じて決まる。後述するように、散乱は約2倍の範囲内で等方性であり、散乱したX線のエネルギーは、入射エネルギーとほとんど同じ大きさであり、消散する前に木の内部をX線がカスケード移動する距離は、数センチメートルとなり得る。従って、本明細書で説明するようなシールドが、ユーザーが照射される放射線のレベルを、これまで詳細に記載した特定の安全レベルの範囲内まで低下させることが望ましい。
【0021】
XRFで関係するX線に対するコンプトン散乱の角度分布は、トンプソン(古典的)散乱の分布に類似する。角度θのトンプソン散乱の確率は、(1+cos2θ)に比例し、後方散乱の強度は、前方散乱の強度に等しく、側方散乱は、半分の強度である。22keVの放射線の散乱は、数%の範囲内でトンプソンの式に従う。122keVのX線のコンプトン散乱は、より前方にピークがあるが、側方散乱および後方散乱は、生じる確率がかなり高いままである。
【0022】
特定の角度θだけ散乱されたときのX線のエネルギーの変化は、X線のエネルギーによって大きく決まる。90°散乱した22keVのX線は、散乱電子に対して1keVしか失わないので、散乱X線は21keVとなる。90°散乱した122keVのX線は、約24keVを失うので、最終的に98keVとなる。
【0023】
壁媒体内をX線が移動する距離は、媒体の組成によって大きく決まる。平均自由行路(MFP)の距離を測定することは有効である。入射X線に対する平均自由行路は、入射X線の強度が2.718分の1に低下するまで、X線のビームが媒体内を移動する距離のことである。X線は光電効果によって吸収される(この場合、X線は周辺放射線の発生には寄与しない)ので、入射ビームの強度が低下し得る。
【0024】
光電効果によって励起された原子が、基底状態に弛緩したときに、この光電効果の結果、二次的X線が発生する。これら特性X線は、周辺放射線を大幅に強化するよう、特別な状況では十分強くなり得る。これら二次X線も、本明細書に説明する放射線シールドによって吸収できることが望ましい。更に放射線シールド18は、番号24で示されるような1回散乱されたX線もブロックできることが望ましい。
【0025】
入射ビームの強度が散乱によって低下した場合、入射X線は新しい方向に移動する、より低いエネルギーのX線に変換されるだけであり、このX線も周辺放射線に寄与し得る。
【0026】
表1は、22keVおよび122keVのX線の平均自由行路および90°散乱された後の21keVおよび98keVのX線のエネルギーを示す。材料は空気、木、レンガ、アルミおよび鉄となっている。
【表1】

20keVの放射線に対する平均自由行路は、空気中では何メートルかであり、木では数センチであり、一般的な壁を構成する重い材料では数ミリ以下である。鉛のK線を励起するのに使用された122keVの放射線は、鉄を除くすべての一般的な壁材料内で数センチから何十センチも進む。
【0027】
表2は、吸収前に材料を横断する際に、X線が少なくとも1回散乱される確率を示しており、この表は、何が起きるかの別の考えも示している。
【表2】

【0028】
表1から、塗料6を通って木質壁4内に進入する22keVのX線は、壁と相互作用する前に数センチ移動することが明らかである。22keVのX線が壁と相互作用するとき、X線が散乱され、吸収されない確率は40%である。更に、側方への散乱が生じる可能性は高い。側方に散乱されるX線は、入射エネルギーとほとんど同じエネルギーを有し、壁と相互作用する前に数センチ移動する。再度散乱される確率も高く、木4からXRF測定装置2の側方にかなりの量の放射線が逃れ得ると予想することは容易である。
【0029】
木よりも原子数が多く、密度も大きい材料は、問題が少ない。その理由は、表1および2が示すように、これら材料内をX線は長く移動することはなく、すぐに吸収されるからである。
【0030】
表1および2は、K線を検討することによって鉛の濃度を測定するK殻のXRFアナライザーが、周辺放射線を時間制御することがより困難となる理由も示している。散乱はスチール壁を除き、主として完全に吸収を決定し、散乱した放射線は、相互作用する前に木の内部を、10cm移動できる。
【0031】
放射線シールドの一実施形態は、図1に示される番号18で表示されるテーパ付きプラテンである。必要とされる吸収厚さはカラーの半径Rと共に、すなわちX線ビーム入力ポイントからの距離と共に減少することを考慮すれば、放射線シールド(またはカラー)18の重量を有利に最小にできる。本明細書で使用するような「テーパ」および同語源の用語は、減少の機能的形態とは関係なく、また連続的であるか、ステップ状であるかにかかわらず、ターゲットスポットからの距離と共にプラテンの幅が実質的に単調に減少することを意味する。
【0032】
以下、図2を参照して説明する、平行表面のカラー18は、タングステン(または一般に原子数が45よりも大きいその他の元素)によって満たされたゴム(またはその他のエラストマー)の均一なディスクであり、少なくとも50keVまで良好に働く。
【0033】
X線のエネルギーが100keVのレンジとなるにつれ、カラー18の性能はよりクリティカルとなる。100keVのレンジでは、特に軽い元素の材料ではX線はテストサンプル内の光電相互作用により吸収されることによって停止されるまで、数回から何回ものコンプトン散乱を受けるはずである。タングステンのアノードに入射する100keVの電子の1ワットビームに基づく簡単な計算は、カラーは、約2〜6cm(数インチ)のラジアル距離にて、少なくとも10の平均自由行路の厚さとなることを意味している。
【0034】
一般に、カラーの直径および吸収量は、主要X線ビームのエネルギーが増加するにつれて増加するはずである。X線エネルギーが増加するにつれ(小さい半径で必要とされる吸収量に基づく)均一厚さのカラーの重量は、ハンドヘルド測定装置の総重量のうちのかなりの部分となり始め、測定装置の前方では、オペレータにかなりの負担がかかる。
【0035】
従って、本発明の好ましい実施形態によれば、カラー18は半径R(すなわちX線入口ポイントから、またはテストサンプルの被照射領域から、ポイントではなく面積として被照射領域を特徴付けることがより好ましい範囲まで)の関数として変化する厚さWを特徴とする。厚さWにテーパをつけたことは、最小重量に対するカラー18の横断面を最適に考慮したものである。シールドしなければならないX線の数および平均エネルギーは、照射X線ビームの入射ポイントからの距離と共に減少するので、カラー18は外周に向かってより薄くなるようなテーパが付けられている。
【0036】
テーパ状プロフィルが好ましいことを理解するために、ターゲット壁4のリングについて検討する。壁のcm2あたりから出るX線の数は、吸収により、X線ビームがターゲット壁に入射するポイントから測定した半径の二乗よりも急激に低下する。
【0037】
壁内を移動するX線がないという仮説的ケースの場合、中心ポイントから、各連続するリングを通過するX線の数は同じとなる。cmの二乗あたりのX線の数(および壁から散乱されるX線の数)は、半径の二乗に応じて減少するので壁4の説明を簡単にするために仮定したカラーの厚さwは、半径Rと共に減少し得る。(吸収体の厚さは2よりも大きい径方向の距離の倍数ごとに、log4(すなわち40%)だけ減少し得る。)
【0038】
壁4は散乱および光電相互作用によりX線を吸収するので、中心からの連続するリングから生じるX線の数は、半径の二乗よりも急激に減少する。更に、多数回の散乱を検討すれば、連続する各散乱は出るX線の平均エネルギーが半径を関数として低下するようにX線エネルギーを減少させる。従って、吸収カラー18の必要な厚さは、テーパ状(または羽根状)のカラーの重量が均一な厚さのカラーの重量よりも、好ましいことに大幅に少なくなるように、半径と共に急激に減少できる。
【0039】
図2には、本発明の別の実施形態にかかわる放射線シールド18が、斜視図で示されている。締結具26により、XRF測定装置2に放射線シールド18が結合されており、締結具26として、ネジ、リベット、クリップまたは他の任意の締結具を挙げることができる。放射線シールド18は、容易に取り外し可能、または交換可能なものにできる。
【0040】
本発明の所定の実施形態では、放射線シールド18は、図3に横断面が示されたシールド材料製のプラテン28を有する。このプラテンは本明細書では膜と称すことができる。好ましい実施形態では、プラテン28は円形であり、約20cmの直径を有する。本発明の範囲内では、他の形状およびサイズとすることができ、例えばこの放射線シールド18は、(図1に示される)伝搬軸線8から円錐形に外側に延びることができる。図3は、(ゴムのような)エラストマーを2つの層と、シールド材料、例えばポリマー基材に埋め込まれた、一般にZ=45よりも大きい原子数の大きい金属製の介在層32とから形成されたラミネート体を示す。かかる金属として、錫、タングステンまたは鉛を挙げることができる。タングステンで充填されたポリ塩化ビニ−ル(PVC)が好ましい材料である。このプラテンは、コーナーのできるだけ近くを測定するよう、または壁内の隙間、例えば窓用のスライド溝を測定するよう、当接表面の輪郭に合致できるように、フレキシブルとなっていることが好ましい。
【0041】
本発明の別の実施形態によれば、図4を次に参照すると、放射線シールド18の断面40は、例えば壁の内側コーナーで放射線シールドを使用できるように、プラテン28の主要部分を除き、平面内に位置できる。固定されたカーブにて、またはこれとは異なり、当技術で周知となっているようなヒンジにより、プラテン28の他の部分に非平面状断面40を結合してもよい。
【0042】
これまで説明した本発明の実施形態は、単に例にすぎず、当業者には多数の変形例および変更例が明らかとなろう。かかる変形例および変更例のすべては、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲内のものである。
【0043】
関連出願として、2005年4月27日に米国特許庁に出願されているが、未公開の、米国特許出願第11/115,977号および米国特許第6,965,118号およびその優先権を主張する根拠となる、2003年5月22日に米国特許庁に出願された米国仮特許出願第60/472,674号を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係わる、テストサンプルから発せられる電離放射線からユーザーを保護するための、テーパ付き放射線シールドを有する、ハンドヘルドのXRF測定装置の横断面図である。
【図2】XRF測定装置への取り付けを分解した状態で示す、本発明の一実施形態に係わる放射線シールドの斜視図である。
【図3】ラミネートされたシールド構造体を示す、図2の放射線シールドの半径部分の横断面図である。
【図4】コーナーでXRF測定装置を使用できるようにするための放射線シールドから下方に見た斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
2 XRF測定装置
4 壁
6 テストサンプル
8 X線
10、12、16、24 蛍光
20 壁
100 X線源
102 検出器
104 信号プロセッサ
106 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが手に持つ蛍光測定装置により、テスト材料の組成を検査するための方法であって、
a.透過放射線によりテスト材料の表面の被照射領域を照射するステップと、
b.前記テスト材料から発せられた蛍光放射を検出するステップと、
c.前記テスト材料の表面に実質的に平行な方向の、被照射領域からのラジアル距離と共に厚さが減少することを特徴とする放射線シールドにより、前記テスト材料の表面から発せられる電離放射線からユーザーをシールドするステップとを含む、前記蛍光測定装置により前記テスト材料の組成を検査するための方法。
【請求項2】
前記ユーザーをシールドする前記ステップは、
前記テスト材料の表面の前記被照射領域から外側に延びる放射線シールドによりシールドすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
テスト材料の元素の組成を測定するための測定装置であって、
a.前記テスト材料の被照射領域を照射するための透過放射線源と、
b.前記テスト材料による蛍光の放射を検出し、検出信号を発生するための検出器と、
c.前記検出信号を、前記テスト材料の組成の特徴を定めるスペクトルに変換するためのコントローラと、
d.前記テスト材料の表面に実質的に平行な方向の、被照射領域からのラジアル距離と共に厚さが減少することを特徴とする減衰材料のプラテンとを備える測定装置。
【請求項4】
前記減衰材料は、ポリマー基材に埋め込まれた、原子番号が45よりも大きい金属である、請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
締結具により前記測定装置に前記減衰材料のプラテンが結合されている、請求項3に記載の測定装置。
【請求項6】
前記減衰材料の前記プラテンは、前記測定装置から取り外し自在である、請求項3に記載の測定装置。
【請求項7】
前記減衰材料の前記プラテンは、エラストマー製の外側層を含む、請求項3に記載の測定装置。
【請求項8】
前記減衰材料の前記プラテンは、前記被照射表面と多数回相互作用した前記電離放射線が、周辺環境を通って伝搬する前に、前記放射線シールドによって減衰されるようなサイズとなっている、請求項3に記載の測定装置。
【請求項9】
前記減衰材料の前記プラテンは、前記被照射領域からのラジアル距離と共に減少する厚さを特徴とする、請求項3に記載の測定装置。
【請求項10】
前記減衰材料の前記プラテンは、前記被照射領域からのラジアル距離の二乗よりも急激に、前記被照射領域からのラジアル距離と共に減少する厚さを特徴とする、請求項9に記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−538427(P2009−538427A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512159(P2009−512159)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/012464
【国際公開番号】WO2008/105782
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(508019894)サーモ ニトン アナライザーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (12)
【Fターム(参考)】